JP2020095162A - 波長変換部材、発光デバイス及び波長変換部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光取出し効率を高め、発光効率を向上させることが可能な波長変換部材を提供する。【解決手段】 ガラスマトリクスと、ガラスマトリクス中に分散された無機蛍光体粉末とを含む蛍光体層と、蛍光体層の表面上に配されており、無機蛍光体粉末の屈折率以下の屈折率を有するガラス層と、ガラス層の表面上に配されており、フッ化物からなる微細凹凸層を備えていることを特徴とする波長変換部材。【選択図】図1
Description
本発明は、プロジェクター等の発光デバイスに使用される波長変換部材に関する。
近年、プロジェクターを小型化するため、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の光源と、蛍光体を用いた発光デバイスが提案されている。例えば、特許文献1には、紫外光を発光する光源と、光源からの紫外光を可視光に変換する波長変換部材(蛍光体層)とを備える発光デバイスを用いたプロジェクターが開示されている。特許文献1においては、リング状の回転可能な透明基板の上に、リング状の蛍光体層を設けることにより作製した波長変換部材(蛍光ホイール)が用いられている。
波長変換部材の発光効率を向上させるため、波長変換部材表面に反射防止機能膜が施される場合がある。例えば、特許文献2には、ガラスマトリクス中に蛍光体が分散してなる波長変換部材であって、部材表面にシリカ微小球を埋め込むことにより凹凸構造を形成し、反射防止機能を付与してなる波長変換部材が開示されている。
特許文献2に開示されている波長変換部材は、光取出し効率が依然として不十分であるという課題がある。
以上に鑑み、本発明は、光取出し効率に優れ、発光強度の高い波長変換部材を提供することを目的とする。
本願発明の波長変換部材は、ガラスマトリクスと、ガラスマトリクス中に分散された無機蛍光体粉末とを含む蛍光体層と、蛍光体層の表面上に配されており、無機蛍光体粉末の屈折率以下の屈折率を有するガラス層と、ガラス層の表面上に配されており、フッ化物からなる微細凹凸層を備えていることを特徴とする。
本発明の波長変換部材においては、蛍光体層の表面にガラス層、及び、フッ化物からなる微細凹凸層の反射防止機能層を備えている。ここで、ガラス層は無機蛍光体粉末の屈折率以下の屈折率を有し、フッ化物は概ねガラスより低い屈折率を有する。このように、本発明の波長変換部材は、蛍光体層(無機蛍光体粉末)→ガラス層→フッ化物からなる微細凹凸層の順に屈折率が漸減する構造を有しているため、各層の界面での光反射を抑制することができる。また、フッ化物からなる微細凹凸層は、入射光及び出射光のいずれに対しても角度依存性の小さい反射防止機能を有する(つまり、入射及び出射の角度によって反射防止機能に差が生じにくい)。結果として、光取出し効率が高まり、発光効率を向上させることができる。特に、蛍光体層における無機蛍光体粉末の含有量が多い場合は、蛍光体層の表面に無機蛍光体粉末が露出しやすく、蛍光体層表面における屈折率が高くなる傾向がある。従って、この場合は蛍光体層と微細凹凸層の間にガラス層を設けることによる上記効果を享受しやすい。
本発明の波長変換部材は、フッ化物が、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム及びフッ化リチウムから選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、微細凹凸層がフッ化物粒子により構成されていることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、フッ化物粒子の一部がガラス層に埋め込まれていることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、フッ化物粒子の平均粒子径が0.05〜10μmであることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、ガラス層の表面に占める微細凹凸層の面積比率が90%以上であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、ガラス層の軟化点が500℃以上であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、ガラス層の厚みが0.1mm以下であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、ガラスマトリクスとガラス層の軟化点の差が200℃以下であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、蛍光体層の熱膨張係数とガラス層の熱膨張係数の差が100×10−7/℃以下であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、蛍光体層における無機蛍光体粉末の含有量が20〜80体積%であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、プロジェクター用であることが好ましい。
本発明の発光デバイスは、上記の波長変換部材と、波長変換部材に無機蛍光体粉末の励起波長の光を照射する光源と、を備えることを特徴とする。
本発明の波長変換部材の製造方法は、上記の波長変換部材を製造するための方法であって、ガラス粉末と無機蛍光体粉末を含むグリーンシートを準備する工程、グリーンシートの表面に、ガラス粉末を含む層、さらにフッ化物粒子を含む層を順に形成することにより積層体を作製する工程、及び、積層体を焼成する工程、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光取出し効率に優れ、発光強度の高い波長変換部材を提供することが可能となる。
以下、本発明の波長変換部材の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る波長変換部材10を示す模式的断面図である。波長変換部材10は、蛍光体層1と、蛍光体層1の表面上に配されているガラス層2と、ガラス層2の表面上に配されている微細凹凸層3を備えている。ここで、ガラス層2は無機蛍光体粉末の屈折率以下の屈折率を有し、微細凹凸層3は低屈折率を有するフッ化物粒子からなる。このような構成にすることにより、各層の界面での光反射を抑制することができ、光取出し効率を高めることができる。
蛍光体層1は、ガラスマトリクスと、ガラスマトリクス中に分散された無機蛍光体粉末とを含む。蛍光体層1の形状は、例えば矩形板状、円盤状、ホイール状である。
ガラスマトリクスは、無機蛍光体粉末の分散媒として用いることができるものであれば特に限定されない。例えば、ホウ珪酸塩系ガラス等を用いることができる。ホウ珪酸塩系ガラスとしては、質量%で、SiO2 30〜85%、Al2O3 0〜30%、B2O3 0〜50%、Li2O+Na2O+K2O 0〜10%、及び、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜50%を含有するものが挙げられる。
ガラスマトリクスの軟化点は300〜1000℃、500℃〜1000℃、特に600℃〜900℃であることが好ましい。ガラスマトリクスの軟化点が低すぎると、蛍光体層の機械的強度や化学的耐久性が低下しやすくなる。また、ガラスマトリクス自体の耐熱性が低いため、無機蛍光体粉末から発生する熱により軟化変形するおそれがある。一方、ガラスマトリクスの軟化点が高すぎると、製造時の焼成工程で無機蛍光体粉末が劣化して、波長変換部材10の発光強度が低下するおそれがある。
無機蛍光体粉末は、励起光の入射により蛍光を出射するものであれば、特に限定されるものではない。無機蛍光体粉末の具体例としては、例えば、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、塩化物蛍光体、酸塩化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体、カルコゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ハロリン酸塩化物蛍光体及びガーネット系化合物蛍光体から選ばれた1種以上等が挙げられる。励起光として青色光を用いる場合、例えば、緑色光、黄色光または赤色光を蛍光として出射する蛍光体を用いることができる。
無機蛍光体粉末の屈折率(nd)は、通常、1.45〜1.95、さらには1.55〜1.90である。
無機蛍光体粉末の平均粒子径は1μm〜50μmであることが好ましく、5μm〜25μmであることがより好ましい。無機蛍光体粉末の平均粒子径が小さすぎると、発光強度が低下する場合がある。一方、無機蛍光体粉末の平均粒子径が大きすぎると、発光色が不均一になる場合がある。
なお本明細書において、平均粒子径はレーザー回折法で測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径(D50)を指す。
蛍光体層1中での無機蛍光体粉末の含有量は20〜80体積%、30〜75体積%、特に40〜70体積%であることが好ましい。無機蛍光体粉末の含有量が少なすぎると、発光強度が不十分になる。一方、無機蛍光体粉末の含有量が多すぎると、蛍光体層1の機械的強度が低下しやすくなる。
蛍光体層1の厚みは、励起光が十分に蛍光体に吸収されるような厚みが必要であるが、できるだけ薄い方が好ましい。蛍光体層1が厚すぎると、蛍光体層1における光の散乱や吸収が大きくなりすぎ、蛍光の出射効率が低くなってしまう場合があるためである。具体的には、蛍光体層1の厚みは1mm以下、0.5mm以下、特に0.3mm以下であることが好ましい。蛍光体層1の厚みの下限値は、通常、0.03mm程度である。
ガラス層2としては、ホウ珪酸塩系ガラス等を用いることができる。ホウ珪酸塩系ガラスとしては、質量%で、SiO2 30〜85%、Al2O3 0〜30%、B2O3 0〜50%、Li2O+Na2O+K2O 0〜10%、及び、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜50%を含有するものが挙げられる。
ガラス層2の軟化点は300〜1000℃、500℃〜1000℃、特に600℃〜900℃であることが好ましい。ガラス層2の軟化点が低すぎると、ガラス層2の機械的強度や化学的耐久性が低下しやすくなる。また、無機蛍光体粉末から発生する熱によりガラス層2が軟化変形するおそれがある。一方、ガラス層2の軟化点が高すぎると、製造時の焼成工程で無機蛍光体粉末が劣化して、波長変換部材10の発光強度が低下するおそれがある。
なお、蛍光体層1におけるガラスマトリクスと、ガラス層2の軟化点の差は200℃以下、特に100℃以下であることが好ましく、両者の軟化点が略同一である(例えば、蛍光体層1におけるガラスマトリクスと、ガラス層2が同じ組成のガラスからなる)ことが好ましい。両者の軟化点の差が大きすぎると、製造時の焼成工程で各ガラスの軟化流動状態が異なり、ロットによって特性にばらつきが生じやすくなる。
ガラス層2の屈折率(nd)は無機蛍光体粉末の屈折率以下であれば特に限定されない。
例えば、ガラス層2の屈折率(nd)は1.9以下、1.85以下、1.8以下、1.7以下、特に1.6以下であることが好ましい。一方、ガラス層2の屈折率の下限は特に限定されないが、現実的には1.4以上、さらには1.45以上である。
例えば、ガラス層2の屈折率(nd)は1.9以下、1.85以下、1.8以下、1.7以下、特に1.6以下であることが好ましい。一方、ガラス層2の屈折率の下限は特に限定されないが、現実的には1.4以上、さらには1.45以上である。
例えばガラス層2は蛍光体層1に融着している。蛍光体層1とガラス層2の密着強度を高める観点からは、蛍光体層1とガラス層2の熱膨張係数の差(30〜380℃)が100×10−7/℃以下、80×10−7/℃以下、60×10−7/℃以下、特に40×10−7/℃以下であることが好ましい。
ガラス層2の厚みが大きすぎると、ガラス層2の内部で励起光や蛍光が面方向に広がったり、吸収されたりして発光強度が低下する傾向がある。このため、ガラス層2の厚みは0.1mm以下、0.05mm以下、0.03mm以下、特に0.02mm以下であることが好ましい。ガラス層2の厚みの下限値は特に限定されないが、現実的には0.003mm以上、さらには0.01mm以上である。
ガラス層2において励起光や蛍光が吸収されにくくする観点から、ガラス層2の全光線透過率は50%以上、65%以上、特に80%以上であることが好ましい。
微細凹凸層3はフッ化物からなる。フッ化物は非常に屈折率が低いため、微細凹凸層3の反射防止機能を高めることが可能となる。フッ化物としては、フッ化マグネシウム(1.38)、フッ化カルシウム(1.39)、フッ化バリウム(1.46)、フッ化リチウム(1.39)等が挙げられる(括弧内は屈折率(nd)の値を示す)。これらは単独または2種以上を混合して使用してもよい。
微細凹凸層3は、例えばフッ化物粒子により構成されている。具体的には、微細凹凸層3は、複数のフッ化物粒子がガラス層2の表面に一部が埋め込まれた状態で接合することにより構成されている。
微細凹凸層3の屈折率(nd)はガラス層2の屈折率以下であることが好ましい。例えば、微細凹凸層3の屈折率(nd)は1.5以下、1.45以下、特に1.4以下であることが好ましい。一方、微細凹凸層3の屈折率の下限は特に限定されないが、現実的には1.3以上、さらには1.35以上である。
フッ化物粒子の平均粒子径は0.05〜10μm、0.1〜5μm、0.2〜2μm、特に0.3〜1μmであることが好ましい。フッ化物粒子の平均粒子径が小さすぎると、粒子全体がガラス層2の内部に取り込まれてしまい、微細凹凸構造が形成されにくくなる。一方、フッ化物粒子の平均粒子径が大きすぎると、微細凹凸層における光散乱が大きくなって、光取出し効率が低下するおそれがある。
ガラス層2の表面に占める微細凹凸層3の面積比率は90%以上、95%以上、99%以上であることが好ましく、略100%であることが特に好ましい。当該面積比率が低すぎると、光反射防止機能が低下して、所望の光取出し効率が得にくくなる。
なお、ガラス層2及び微細凹凸層3は波長変換部材の両面に形成されていてもよい。それにより、反射防止効果をさらに高めることが可能となる。このようにすれば、波長変換部材10を透過型の波長変換部材として使用した場合、励起光の蛍光体層1への入射効率を高めることができるとともに、蛍光の蛍光体層1からの出射効率を高めることができる。
蛍光体層1におけるガラス層2及び微細凹凸層3が形成された面とは反対側の表面に反射層を設けても良い。このようにすれば、反射型の波長変換部材として使用することができる。反射層としては、アルミニウムや銀等の金属や、アルミナ、チタニア、ジルコニア等、あるいはそれらをガラス中に分散させたものからなる緻密質または多孔質のセラミックスが挙げられる。
次に、波長変換部材10の製造方法の一例について説明する。
まず、蛍光体層1のガラスマトリクスとなるガラス粉末と、無機蛍光体粉末とを含むグリーンシートを準備する。具体的には、ガラス粉末と、無機蛍光体粉末と、バインダー樹脂、溶剤、可塑剤等の有機成分とを含むスラリーを、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム上にドクターブレード法等により塗布し、加熱乾燥することにより、蛍光体層1用グリーンシートを作製する。
次に、グリーンシートの表面に、ガラス粉末を含む層、さらにフッ化物粒子を含む層を順に形成することにより積層体を作製する。
ガラス粉末を含む層は、例えばガラス層2となるガラス粉末のグリーンシートからなる。具体的には、ガラス粉末と、バインダー樹脂、溶剤、可塑剤等の有機成分とを含むスラリーを、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム上にドクターブレード法等により塗布し、加熱乾燥することにより、ガラス層2用グリーンシートを作製する。
フッ化物粒子を含む層についても同様に、例えば微細凹凸層3となるフッ化物粒子のグリーンシートからなる。具体的には、フッ化物粒子と、バインダー樹脂、溶剤、可塑剤等の有機成分とを含むスラリーを、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム上にドクターブレード法等により塗布し、加熱乾燥することにより、微細凹凸層3用グリーンシートを作製する。
得られた積層体を焼成することにより、蛍光体層1、ガラス層2、微細凹凸層3が融着接合されてなる波長変換部材10が得られる。なお、積層体焼成後、必要に応じて余分なフッ化物粒子等を洗浄除去してもよい。ここで、焼成温度は蛍光体層1及びガラス層2を構成するガラス粉末の軟化点±100℃の範囲内、特にガラス粉末の軟化点±50℃の範囲内であることが好ましい。焼成温度が低すぎると、各層が融着しにくくなる。また、ガラス粉末の焼結が不十分となって、蛍光体層1またはガラス層2の機械的強度が低下しやすくなる。一方、焼成温度が高すぎると、蛍光体層1における無機蛍光体粉末が劣化して発光強度が低下するおそれがある。
なお、上記方法では蛍光体層1用グリーンシート、ガラス層2用グリーンシート、微細凹凸層3用グリーンシートを積層して同時に焼成を行ったが、これに限定されない。例えば、まず蛍光体層1用グリーンシートとガラス層2用グリーンシートを積層して焼成した後、得られたガラス層2の上に微細凹凸層3用グリーンシートを積層してさらに焼成することにより微細凹凸層3を形成しても良い。
上記方法以外にも、蛍光体層1の表面にガラス層2用スラリーを塗布し、焼成することより、蛍光体層1上にガラス層2を形成した後、ガラス層2の表面に微細凹凸層3用スラリーを塗布し、さらに焼成することにより微細凹凸層3を形成しても良い。ここで使用するガラス層2用スラリー及び微細凹凸層3用スラリーは、それぞれガラス層2用グリーンシート及び微細凹凸層3用グリーンシートの作製に使用したものを利用できる。
なお、上記の各製造方法において、グリーンシートまたはスラリーの焼成前に、有機物を除去するための脱脂工程を行ってもよい。また、グリーンシートを含む各層の積層時において、互いの密着性を高めるため、適宜加熱圧着してもよい。
本発明の発光デバイスは、波長変換部材10と、波長変換部材10に無機蛍光体粉末の励起波長の光を照射する光源とを備えてなる。光源としてはLEDやLD等を使用することができる。光源から出射された励起光は波長変換部材における蛍光体層で波長変換されて蛍光を発し、励起光とともに出射される。ここで、波長変換部材が反射層を有していれば励起光照射側に、反射層を有していない場合は励起光照射側とは反対側に蛍光や励起光が出射される。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
(a)蛍光体層用グリーンシートの作製
質量%でSiO2 71%、Al2O3 6%、B2O3 13%、K2O 1%、Na2O 7%、CaO 1%、BaO 1%となるように原料を調合し、溶融急冷法によってフィルム状にガラスを成形した。得られたガラスフィルムを、ボールミルを用いて湿式粉砕し、平均粒子径(D50)が2μmであるガラス粉末(屈折率nd1.49、軟化点775℃、熱膨張係数51×10−7/℃)を得た。
(a)蛍光体層用グリーンシートの作製
質量%でSiO2 71%、Al2O3 6%、B2O3 13%、K2O 1%、Na2O 7%、CaO 1%、BaO 1%となるように原料を調合し、溶融急冷法によってフィルム状にガラスを成形した。得られたガラスフィルムを、ボールミルを用いて湿式粉砕し、平均粒子径(D50)が2μmであるガラス粉末(屈折率nd1.49、軟化点775℃、熱膨張係数51×10−7/℃)を得た。
得られたガラス粉末と、平均粒子径(D50)が23μmであるYAG蛍光体粉末(Yttrium Aluminum Garnet,Y3Al5O12、屈折率nd=1.84)とを、ガラス粉末:蛍光体粉末=30体積%:70体積%となるように、振動混合機を用いて混合した。得られた混合粉末50gに結合剤、可塑剤、溶剤等の有機成分を適量添加し、ボールミルで12時間混練することによりスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させることにより蛍光体層用グリーンシート(厚み150μm)を作製した。
(b)ガラス層用グリーンシートの作製
(a)で得られたガラス粉末50gに結合剤、可塑剤、溶剤等の有機成分を適量添加し、ボールミルで12時間混練することによりスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させることにより、ガラス層用グリーンシート(厚み25μm)を作製した。
(a)で得られたガラス粉末50gに結合剤、可塑剤、溶剤等の有機成分を適量添加し、ボールミルで12時間混練することによりスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させることにより、ガラス層用グリーンシート(厚み25μm)を作製した。
(c)微細凹凸層用グリーンシートの作製
フッ化マグネシウム粉末(平均粒子径0.5μm、屈折率nd=1.38)50gに結合剤、可塑剤、溶剤等の有機成分を適宜添加し、ボールミルで12時間混練することによりスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させることにより、微細凹凸層用グリーンシートを作製した。
フッ化マグネシウム粉末(平均粒子径0.5μm、屈折率nd=1.38)50gに結合剤、可塑剤、溶剤等の有機成分を適宜添加し、ボールミルで12時間混練することによりスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させることにより、微細凹凸層用グリーンシートを作製した。
(d)波長変換部材の作製
蛍光体層用グリーンシート、ガラス層用グリーンシート及び微細凹凸層用グリーンシートを順に重ね合わせ、熱圧着機を用いて、90℃で1分、15kPaの圧力を印加することにより積層体を作製した。積層体をφ25mmの大きさに切断した後、常温から600℃まで1℃/分で昇温し、1時間保持し脱脂処理した。その後、800℃で1時間焼成することにより波長変換部材を作製した。焼成後において蛍光体層の厚みが130μm、ガラス層の厚みが10μmであった。また、ガラス層の表面に占める微細凹凸層の面積比率は96%であった。
蛍光体層用グリーンシート、ガラス層用グリーンシート及び微細凹凸層用グリーンシートを順に重ね合わせ、熱圧着機を用いて、90℃で1分、15kPaの圧力を印加することにより積層体を作製した。積層体をφ25mmの大きさに切断した後、常温から600℃まで1℃/分で昇温し、1時間保持し脱脂処理した。その後、800℃で1時間焼成することにより波長変換部材を作製した。焼成後において蛍光体層の厚みが130μm、ガラス層の厚みが10μmであった。また、ガラス層の表面に占める微細凹凸層の面積比率は96%であった。
(比較例1)
微細凹凸層用グリーンシートを作製するに際し、フッ化マグネシウム粉末の代わりにシリカからなる微小球粉末(平均粒子径1μm)を使用したこと以外は、実施例と同様にして波長変換部材を作製した。
微細凹凸層用グリーンシートを作製するに際し、フッ化マグネシウム粉末の代わりにシリカからなる微小球粉末(平均粒子径1μm)を使用したこと以外は、実施例と同様にして波長変換部材を作製した。
(比較例2)
ガラス層の表面に微細凹凸層を形成しなかったこと以外は、実施例と同様にして波長変換部材を作製した。
ガラス層の表面に微細凹凸層を形成しなかったこと以外は、実施例と同様にして波長変換部材を作製した。
<評価>
実施例及び比較例1、2で得られた波長変換部材のガラス層が形成された側とは反対側の面に、アルミニウム反射基板(マテリアルハウス社製MIRO−SILVER)を、接着剤(信越化学工業社製シリコーン樹脂)を用いて貼付し、測定用サンプルを作製した。測定用サンプルをモーターの回転軸に固定した。励起光源として、1Wクラスのレーザー素子が30個整列したレーザーユニットから集光レンズでφ1mmのサイズに集光できる光源を準備した。この光源の光出力は30W、波長440nmであった。測定用サンプルを7000RPMで回転させながら励起光を照射し、得られた蛍光を集光レンズで集光後、光ファイバーを通して小型分光器(オーシャンオプティクス社製USB−4000)で受光し、発光スペクトルを得た。発光スペクトルから蛍光の強度を求めた。結果を表1に示す。
実施例及び比較例1、2で得られた波長変換部材のガラス層が形成された側とは反対側の面に、アルミニウム反射基板(マテリアルハウス社製MIRO−SILVER)を、接着剤(信越化学工業社製シリコーン樹脂)を用いて貼付し、測定用サンプルを作製した。測定用サンプルをモーターの回転軸に固定した。励起光源として、1Wクラスのレーザー素子が30個整列したレーザーユニットから集光レンズでφ1mmのサイズに集光できる光源を準備した。この光源の光出力は30W、波長440nmであった。測定用サンプルを7000RPMで回転させながら励起光を照射し、得られた蛍光を集光レンズで集光後、光ファイバーを通して小型分光器(オーシャンオプティクス社製USB−4000)で受光し、発光スペクトルを得た。発光スペクトルから蛍光の強度を求めた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例の波長変換部材は比較例1、2の波長変換部材よりも蛍光強度に優れることがわかる。なお、表1において蛍光強度は任意単位(a.u.=arbitrary unit)により示されたものであり、絶対値を示すものではない。
本発明の波長変換部材は、プロジェクター用途に好適である。また、プロジェクター以外にも、ヘッドランプ等の車載用照明用途やその他の照明用途としても使用することができる。
1 蛍光体層
2 ガラス層
3 微細凹凸層
10 波長変換部材
2 ガラス層
3 微細凹凸層
10 波長変換部材
Claims (14)
- ガラスマトリクスと、ガラスマトリクス中に分散された無機蛍光体粉末とを含む蛍光体層と、
蛍光体層の表面上に配されており、無機蛍光体粉末の屈折率以下の屈折率を有するガラス層と、
ガラス層の表面上に配されており、フッ化物からなる微細凹凸層を備えていることを特徴とする波長変換部材。 - フッ化物が、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム及びフッ化リチウムから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材。
- 微細凹凸層がフッ化物粒子により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換部材。
- フッ化物粒子の一部がガラス層に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載の波長変換部材。
- フッ化物粒子の平均粒子径が0.05〜10μmであることを特徴とする請求項3または4に記載の波長波変換部材。
- ガラス層の表面に占める微細凹凸層の面積比率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換部材。
- ガラス層の軟化点が500℃以上であることを特徴とする請求項1〜6項のいずれか一項に記載の波長変換部材。
- ガラス層の厚みが0.1mm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の波長変換部材。
- ガラスマトリクスとガラス層の軟化点の差が200℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の波長変換部材。
- 蛍光体層の熱膨張係数とガラス層の熱膨張係数の差が100×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の波長変換部材。
- 蛍光体層における無機蛍光体粉末の含有量が20〜80体積%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の波長変換部材。
- プロジェクター用であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の波長変換部材。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の波長変換部材と、
波長変換部材に無機蛍光体粉末の励起波長の光を照射する光源と、
を備えることを特徴とする発光デバイス。 - 請求項1〜12に記載の波長変換部材を製造するための方法であって、
ガラス粉末と無機蛍光体粉末を含むグリーンシートを準備する工程、
グリーンシートの表面に、ガラス粉末を含む層、さらにフッ化物粒子を含む層を順に形成することにより積層体を作製する工程、及び、
積層体を焼成する工程、
を備えることを特徴とする波長変換部材の製造方法。
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