JP2020093980A - 医薬 - Google Patents

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俊一 黒田
益巳 飯嶋
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益巳 飯嶋
健司 立松
Kenji Tatematsu
健司 立松
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Abstract

【課題】本発明では、優れた医薬を得ることを目的とする。【解決手段】膜貫通タンパク質を担持する脂質二重膜有する抗体担持リポソームを含む医薬であって、該膜貫通タンパク質には抗体結合ドメインが設けられ、該抗体結合ドメインを介して、抗体が該脂質二重膜の外側の表面に配置され、該抗体の機能が当モル量の該抗体分子に比べて増強することを特徴とする、医薬の提供。【選択図】図3

Description

本発明は医薬に関する。
近年の抗体医薬に関する競争の激化に伴い、高品質な抗体医薬を開発する目的で、様々な手段を講じた研究開発がされている。
例えば、抗体医薬の有効成分となるモノモノクローナル抗体を入手するために必要なスクリーニング技術が進歩し、特定の抗原に対する親和性の高い抗体が得られるようになっている。また、抗体医薬による薬理効果を発揮する上で重要なADCC活性及びCDC活性を増強させるために、イムノグロブリンの定常領域に存在するFc領域に対して、特定の変異を施す技術も開発されている。
具体的に、S298A-E333A-K334A変異体は、FcγRIIB(抑制型Fcγ)への結合力が弱く、且つ、FcγRIIIへの結合力が強くなることが、非特許文献1に開示されている。
また、非特許文献2には、S239D-I332E変異体及びS239D-I332E-A330L変異体は、共に変異導入前と比較してFcγRIIBへの結合力が上昇し、これらの変異体のFcγRIIIへの結合力がとても強いため、結果としてADCC活性化能が、上昇する事実が示されている。また、S239D-I332E-A330L変異体は、変異導入前と比べて、CDC活性化能が消失す傾向となる事実も示されている。
そして、F243L-R292P-Y300L-V305I-P396L変異体が、FcγRIIBへの結合力が変異導入前と比較して上昇し、FcγRIIIへの結合力がとても強いため、結果としてADCC活性化能が上昇する事実が非特許文献3に示されている。
他方、K326W及びK326W-E333S変異体が、変異導入前と比較して補体C1qの結合量が増大することにより、結果としてCDC活性化能が増強されることも知られている(非特許文献4)。
また、S267E-H268F-S324T変異体のCDC活性化能は、変異導入前と比較して約6.9倍程度上昇し、ADCC活性化能は約0.045倍程度にまで激減すること、及び、S267E-H268F-S324T-G236A-I332E変異体のCDCC活性化能は、変異導入前と比較して約23倍程度に上昇し、ADCCは約1.2倍程度の微増であることが非特許文献5に開示されている。
特許文献1には、B型肝炎ウイルス表面抗原を改変して、これに抗体を担持させた複合体をDDS製剤として用いることができる旨の発明が開示されている。DDS製剤とは、体内の必要な部位に、必要な量を、必要な時間だけ到達させることを目的に開発された医薬組成物の剤形の一つである。また、特許文献2には、B型肝炎ウイルス表面抗原を改変して抗体を担持させた複合体を用いることによって、これが感度の良いイムノセンサーとして用いることができる旨の発明が開示されている。
また、特許文献3には上記する特許文献1に記載のDDS用途を利用して、ワクチンを開発した旨の発明が開示されている。
特開2004−002323 特開2015−184269 国際公開番号2013/147232
Robert L.Shieldsら,.J.B.C,Vol.276,No.9,March 2(2001),p6591-6604 Greg A.Lazarら,.PNAS March 14(2006)vol.103,no.11,4005-4010 Jeffrey B.Stavenhagenら,.Cancer Res,2007;67(18).8882−8890 Esohe E.Idusogieら,.TheJournal of Immunology,(2001);166,2571-2575. Gregory L.Mooreら,.mAbs2:2,181−189
上記するように、抗体の入手手段の改良又は抗体自体に変異に施すことは、優れた抗体医薬を開発する手段として採用することは難しい。
というのも、既に抗体医薬の有効成分とするために開発された抗体よりも高い親和性を有する抗体を取得することは、まったく新しい抗体を得ることと大差は無く、それまでの開発にかかった時間的及び金銭的な事情を考慮すると、たとえ優れた抗体医薬を得るためといえども、現実的な対応とはいえない。
また、既に抗体医薬の有効成分とするために開発がなされた抗体に対して、上記の様な特定の変異を施して抗体の機能を増強させることは、斯かる変異導入によって抗体医薬の有効成分となる抗体そのものが発揮すべき機能が、意図しないように変更又は減衰してしまう恐れがあるために好ましくない。
斯かる事情を考慮したうえで、本発明では、優れた抗体医薬を得ることを目的とする。
上記課題を解決すべく、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、既に開発された抗体医薬に用いられる有効成分である抗体をそのまま用いて、斯かる抗体の機能を増強する技術を開発することに着目した。
そこで、抗体結合ドメインが設けられた膜貫通タンパク質を担持する脂質二重膜を有するリポソーム用いることによって、斯かる抗体結合ドメインに結合する抗体の機能を増強させることを明らかにした。
本発明は斯かる知見に基づいて完成されたものであり、後記する態様の発明を広く包含する。
[項1]抗体担持リポソームを含有する医薬であって、該抗体担持リポソームは
(1)1個のリポソーム
(2)1個以上の膜貫通タンパク質、及び
(3)1個以上の抗体
を含有し、
前記膜貫通タンパク質は前記リポソームの脂質二重膜を貫通し、及び1個以上の抗体結合ドメインを有し、
前記1個以上の抗体結合ドメインの一部又は全部は、前記リポソームの外側に配置され、及び
前記抗体は前記リポソームの外側に配置された抗体結合ドメインに結合し、前記抗体の機能が、当モル量の前記抗体分子に比べて増強されている、医薬。
[項2] 前記抗体が、前記リポソームの外側表面に整列配置されることを特徴とする、項1に記載する抗体医薬。
[項3] 前記の増強される抗体の機能が、抗原結合活性、ADCC活性、CDC活性、及びADCP活性からなる群より選択される少なくとも一種である、項1又は2に記載する抗体医薬。
[項4] 前記膜貫通タンパク質が、エンベロープ型ウイルス外皮タンパク質である、項1〜3の何れか1項に記載する抗体医薬。
[項5] 前記ウイルス外皮タンパク質が、B型肝炎ウイルス外皮タンパク質、C型肝炎ウイルス外皮タンパク質、センダイウイルス外皮タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス外皮タンパク質、単純ヘルペスウイルス外皮タンパク質、水痘・帯状疱疹ウイルス外皮タンパク質、及びインフルエンザウイルス外皮タンパク質からなる群より選択される少なくとも一種のウイルス外皮タンパク質である、項4に記載の抗体医薬。
[項6] 前記膜貫通タンパク質がB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)である、項1〜5の何れか1項に記載の抗体医薬。
[項7] 前記抗体結合ドメインが、イムノグロブリンのFc、Fv、糖鎖、及びJ鎖からなる群より選択される少なくとも一種に選択的に結合する、項1〜6の何れか1項に記載の医薬。
[項8] 前記糖鎖が、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、マンノース、フコース及びシアル酸からなる群より選択される少なくとも一種の炭糖が、少なくとも5個以上グリコシド結合した糖鎖である、項1〜7の何れかに1項に記載する医薬。
[項9] 前記抗体が、イムノグロブリン、その断片、及びこれらの再構築物からなる群より選択される少なくとも一種である、項1〜8の何れか1項に記載する医薬。
[項10] 前記イムノグロブリンの断片が、F(ab’)、Fab、Fc、Fv、糖鎖、及びJ鎖から選択される少なくとも一種である、項9に記載する医薬。
[項11] 前記イムノグロリン又はその断片の再構築物が、scFv、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、scFv−Fc、VHH、及び多価化抗体より選択される少なくとも一種である、項9に記載する医薬。
[項12] 前記抗体が、イムノトキシン、アフィボディ(登録商標)、ナノボディ(登録商標)、及びユニボディ(登録商標)からなる群より選択される少なくとも一種である、項1〜11の何れか1項に記載する医薬。
[項13]
(1)1個のリポソーム
(2)1個以上の膜貫通タンパク質、及び
(3)1個以上の抗体を含有し、
前記膜貫通タンパク質は前記リポソームの脂質二重膜を貫通し、及び1個以上の抗体結合ドメインを有し、
前記1個以上の抗体結合ドメインの一部又は全部は、前記リポソームの外側に配置され、及び
前記抗体は前記リポソームの外側に配置された抗体結合ドメインに結合する抗体担持リポソームを使用する工程を含む、
前記抗体の機能を増強させる方法。
[項14]
その機能が増強された抗体を有効成分とする医薬の製造方法であって、
一個以上の抗体結合ドメインを設けた膜貫通タンパク質を担持する脂質二重膜を含有する1個のリポソームと、1個以上の該抗体とを結合させる工程を含み、
前記抗体結合ドメインは前記脂質二重膜の外側表面に配置される、
製造方法。
本発明にかかる医薬は、その有効成分である抗体が有する機能を増強させる効果を発揮する。本発明にかかる医薬は、少ない投与量にて所望する治療効果を発揮することが期待できる。
実施例1に示す本発明の医薬による効果を確認するin vitro実験結果を示すグラフ。グラフ中の四角マークはZZ−BNCを、菱形マークはハーセプチンを、三角マークはZZ−BNC−ハーセプチンを、クロスマークはカドサイラを、そしてサークルマークはZZ−BNC−カドサイラを使用した時の結果を示している。グラフ中の縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、グラフ中の横軸は、使用したサンプルの抗体部分で算出した濃度(nM)を示す。 実施例2に示す本発明の医薬による効果を確認するin vivo実験結果を示すグラフ。グラフ中の四角マークはZZ−BNCを、菱形マークはハーセプチンを、三角マークはZZ−BNC−ハーセプチンを、クロスマークはカドサイラを、そしてサークルマークはZZ−BNC−カドサイラを使用した時の結果を示している。 本発明の医薬を説明するための模式図。図中の(A)は、ZZ−BNC(抗体結合前の本発明の抗体担持リポソームに相当する)に基づく本発明の医薬を説明する図である。図中の(B)は、LL−BNC(抗体結合前の本発明の抗体担持リポソームに相当する)に基づく本発明の医薬を説明する図である。図中の(C)は、GL−BNC又はLG−BNC(抗体結合前の本発明の抗体担持リポソームに相当する)に基づく本発明の医薬を説明する図である。
本発明の医薬は、抗体担持リポソームを含有し、該抗体担持リポソームは
(1)1個のリポソーム
(2)1個以上の膜貫通タンパク質、及び
(3)1個以上の抗体
を含有し、
前記膜貫通タンパク質は前記リポソームの脂質二重膜を貫通し、及び1個以上の抗体結合ドメインを有し、
前記1個以上の抗体結合ドメインの一部、又は全部は、前記リポソームの外側に配置され、及び
前記抗体は前記リポソームの外側に配置された抗体結合ドメインに結合し、前記抗体の機能が、当モル量の前記抗体分子に比べて増強されている医薬である。
前記膜貫通タンパク質は前記抗体担持リポソームに含有されるリポソームの脂質二重膜を貫通する。すなわち、本発明の医薬において、前記膜貫通タンパク質は前記抗体担持リポソームに含有されるリポソームの脂質二重膜中に存在すると言える。ここで、「貫通」とは必ずしも該膜貫通タンパク質が該リポソームの脂質二重膜を突き抜ける態様には限定されず、該膜貫通タンパク質が該リポソームの外側に突出されている態様であってもよい。
本発明の医薬にて増強される抗体の機能とは、抗体が原始的に有する機能であって、所望の薬理効果を発揮する範囲内の機能であれば、特に限定されない。具体的には、抗原結合活性、ADCC活性、CDC活性、又はADCP活性等を挙げることができる。
上記する抗体結合活性とは、抗体と抗原との結合力(親和性ともいう)であると例示される。このような結合力の増強の度合いは、抗体と抗原との結合定数等を指標として確認することができる。結合定数の測定方法は、特に限定されない。本発明に係る抗体医薬が有する上記の抗原結合活性は、本発明の抗体医薬が複数の抗体を有しているため、抗原と抗体との一対一対応の結合能を示すアフィニティとして測定することは好ましくなく、アビディティとして測定することが好ましい。
具体的には、Iijima Mら、Biomaterials,32(2011);1455−1464、Gregory P.Adamsら、Clin Cancer Res2006;12:1599−1605等の公知の文献に記載の方法を適宜改変して求めることができる。また、通常用いられる公知のイライザキット等を用いて測定することも可能である。
上記するADCC活性とは、抗体依存性細胞傷害活性とも呼ばれる。この活性は、抗体がマクロファージ、NK細胞、好中球、又は好酸球等のエフェクター細胞を、その近傍にリクルートし、その抗体近傍に存在する細胞又は生体内分子等に対し、リクルートされたエフェクター細胞を介して障害を与える活性と例示される。
このようなADCC活性化の程度を測定する方法は、特に限定されない。具体的には、Cancer Sci|August 2007|vol.98|no.8|1275-1280等の公知の文献に記載の方法を適宜改変して測定することができる。また、ADCC Reporter Bioassay(Promega)を用いてこれを測定することも可能である。その他の測定方法として、例えば、血液の白血球画分等を標的細胞と混合させることによる細胞障害を、LDH漏れ出し量の測定、WST−8等を用いた細胞の生存活性等を数値化することによっても測定することができる。
上記のCDC活性とは、補体依存性細胞傷害活性とも呼ばれる。この活性は、抗体が補体を、その近傍にリクルートし、その抗体近傍に存在する細胞又は生体内分子等に対し、リクルートされた補体を介して障害を与える活性と例示される。このようなCDC活性の程度を測定する方法は、特に限定されない。具体的には、ADCCの測定にて上記した文献等に記載する公知の方法を適宜改変して測定することができる。具体的には、血清を細胞に添加し、血清中の補体による細胞障害の程度を測定することにより測定可能である。
上記のADCP活性とは、抗体依存性細胞貪食活性とも呼ばれる。この活性は、抗体がマクロファージ等を、その近傍にリクルートし、その抗体近傍に存在する細胞又は生体内分子等に対し、リクルートされたマクロファージ等の貪食作用発揮させる活性と例示される。このようなADCP活性の程度を測定する方法は、特に限定されない。具体的には、Journal of Bioscience and Bioengineering.VOL.111 No.4,391-396,2011等の公知の文献に記載の方法を適宜改変して測定することができる。この文献には、蛍光色素PEで標識された貪食細胞(THP−1)と蛍光色素カルセインで標識された標的細胞(Ramos)を混合培養後にFACS解析することによって、貪食された標的細胞がPEとカルセインのダブル・ポジティブになることを指標として、貪食された標的細胞数の割合によりACDP活性を評価することを開示している。
また、FcγRIIa−H ADCP Reporter Bioassay(Promega)等のFcγRIIaを発現する細胞を用いたアッセイで、ADCP活性を定量することも可能である。より詳細に説明すると、エフェクター細胞としてFcγRIIa−Hを安定発現し、なおかつFc結合型FcγRIIaにより活性化を受ける転写因子NFATの結合配列、及びその下流にルシフェラーゼ・レポーター遺伝子を結合した塩基配列を有するポリヌクレオチドがゲノムに組み込まれている細胞を用いる。標的細胞に結合した抗体を上記のエフェクター細胞のFcγRIIaが認識するとルシフェラーゼが発現する。このルシフェラーゼの活性を測定することにより、ADCP活性を定量化することができる。
上記する抗体の各種機能の増強を確認する方法は、特に限定されない。具体的には、本発明の医薬と、本発明の医薬を構成する抗体と同一の抗体とを、それぞれ同モル量の使用量で上記の各種測定方法等に供して、両者の抗体の機能の比較をすればよい。
なお、上記する抗体そのものが有する各種機能は、例えば、ある抗体の抗原をその表面に発現する細胞に対する生存活性の低下の程度、又はこのような細胞を含む組織の体積の減少の程度等を基に確認することもできる。具体的に後記する実施例では、本発明の医薬に含まれる抗体そのものが有する各種機能が増大(上記する細胞の生存活性の低下及び組織体積の減少)することの典型例を示している。
本発明の医薬の構成成分である抗体担持リポソームに含有されるリポソームの脂質二重膜中の膜貫通タンパク質とは、特に限定されない。
具体的には、エンベロープ型ウイルス外皮タンパク質等を挙げることができる。エンベロープ型ウイルス外皮タンパク質とは、ウイルス外皮タンパク質の中でも、エンベロープを構成するタンパク質であることを意味する。これらのエンベロープ型ウイルス外皮タンパク質は、一種又は複数を組み合わせて採用することもできる。
上記するエンベロープ型ウイルス外皮タンパク質とは、特に限定されない。例えば、B型肝炎ウイルス外皮タンパク質、C型肝炎ウイルス外皮タンパク質、センダイウイルス外皮タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス外皮タンパク質、単純ヘルペスウイルス外皮タンパク質、水痘・帯状疱疹ウイルス外皮タンパク質、又はインフルエンザウイルス外皮タンパク質等を挙げることができる。
B型肝炎ウイルス(HBV)外皮タンパク質に由来するエンベロープ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
C型肝炎ウイルス(HCV)外皮タンパク質に由来するエンベロープ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、グリコタンパク質であるE1タンパク質又はE2タンパク質等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
センダイウイルス(SeV)外皮タンパク質に由来するエンベローブ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、グリコタンパク質であるFタンパク質又はHNタンパク質等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)外皮タンパク質に由来するエンベローブ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、グリコタンパク質であるGP160タンパク質、GP120タンパク質、又はGP41タンパク質等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
単純ヘルペスウイルス(HSV)外皮タンパク質に由来するエンベローブ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、グリコタンパク質であるgBタンパク質、gCタンパク質、gDタンパク質、gHタンパク質、又はgLタンパク質等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)外皮タンパク質外皮タンパク質に由来するエンベローブ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、グリコタンパク質であるgBタンパク質、gCタンパク質、gEタンパク質、gHタンパク質、gIタンパク質、gKタンパク質、又はgLタンパク質等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
インフルエンザウイルス外皮タンパク質に由来するエンベローブ型ウイルス外皮タンパク質として、具体的には、グリコタンパク質であるM1タンパク質、M2タンパク質、ヘマグルチニン、又はノイラミニダーゼ等を挙げることができる。なお、これらのタンパク質は、一種又は複数を組みわせて、上記する本発明の医薬の膜貫通タンパク質として採用することができる。
上記する膜貫通タンパク質の中で、最も好ましい膜貫通タンパク質は、B型肝炎表面抗原ウイルス(HBsAg)である。
なお、上記する膜貫通タンパク質は、本発明の医薬における抗体の機能を増強させる効果を減衰させない範囲において、置換、挿入、及び/又は欠失等に代表される各種の変異を施すことができる。また、膜貫通能を発揮しないような変異が好ましくないことはいうまでも無い。
このような変異とは、変異前後のアミノ酸配列の相同性が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上である。
上記する本発明の医薬の構成成分である抗体担持リポソームに含有されるリポソームの脂質二重膜中の膜貫通タンパク質に配置される抗体結合ドメインは、特に限定されない。例えば、イムノグロブリンのFc、Fv、糖鎖、又はJ鎖等に結合するドメインを挙げることができる。これらの抗体結合ドメインに対する後記する抗体の結合は、特異的な結合であることが好ましい。
上記する抗体結合ドメインは、本発明の医薬の構成成分である抗体担持リポソームに含有される脂質二重膜中の膜貫通タンパク質において、1個以上配置される。好ましい態様として、上記する脂質二重膜の外側に、1個以上(1個又は複数個)配置される。
イムノグロブリンのFcとは、抗体間でも比較的変化の少ない定常領域に含まれ、例えば、IgGであれば、その構造からF(ab)’領域を除いたCH2−CH3領域がFcに相当する。
このようなFcに結合するタンパク質の典型例として、黄色ブドウ球菌等に由来するプロテインAを挙げることができる。プロテインAとは、ヒト由来(以後、「h」と称することがある)のIgDには結合しない傾向であるものの、各種動物に由来するアイソタイプのIgGに結合することが認められるタンパク質である。
例えば、IgGであれば、hIgG、hIgG、hIgG、マウス由来(以後、「m」と称することがある)IgG2a、mIgG2b、又はmIgG等に高い特異性で結合することが分かっている。
このようなプロテインAが有するE、D、A、B、及びCドメインを含むZドメインを、上記する抗体のFcに結合する抗体結合ドメインとして挙げることができる。具体的なZドメインのアミノ酸配列は特に限定されない。例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列を挙げることができる。
上記する抗体結合ドメインとして、Zドメインを採用した本発明の医薬は、例えば、配列番号4に記載するアミノ酸配列を含むペプチドが配置された膜貫通タンパク質を含有する脂質二重膜有するリポソームを作製することによって得ることができる。このような膜貫通タンパク質には、上記するZドメインがタンデムに2個並べられた態様にて配置されている。
具体的に、上記するZドメインを有する医薬は、配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを用いて宿主細胞を形質転換し、これを培養する生合成によって容易に得ることができる。このような製造方法は、具体的には特許文献1〜3の記載に準じて行うことができ、得られる本発明の医薬の構成要素である抗体を担持する前のリポソームを、本明細書において「ZZ−BNC」と呼ぶことがある。
上記の配列番号4に記載のアミノ酸配列は、本発明の医薬における、抗体の機能を増強させる効果を減衰させない範囲において、置換、挿入、及び/又は欠失等に代表される変異を施すことができる。また、膜貫通能を減衰するような変異も、抗体結合能を減衰するような変異も好ましくない。
このような変異とは、変異前後のアミノ酸配列の相同性が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上である。
上記する抗体のFcに結合するタンパク質のもう一つの典型例として、連鎖球菌等に由来するプロテインGを挙げることができる。このプロテインGとは、上記したプロテインAと同様に、IgDには結合しない傾向であるものの、各種動物に由来するアイソタイプのIgGに結合することが認められるタンパク質である。
例えば、IgGであれば、hIgG、hIgG、hIgG、hIgG、mIgG2a、mIgG2b、又はmIgG等に高い特異性で結合することが分かっている。
このプロテインGが有するC1、D1,C2、D2、又はC3ドメインを、上記する抗体のFcに結合する抗体結合ドメインとして挙げることができる。プロテインGに由来するドメインの中でもC2ドメインが好ましい。具体的なC2ドメインのアミノ酸配列は特に限定されない。例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列を挙げることができる。
イムノグロブリンのFvとは抗体の可変領域に包含され、抗原決定に際して重要な働きを担う部分に相当する。
このようなFvに結合するタンパク質として、ペプトストレプトコッカス属マグナスに由来するプロテインLを挙げることができる。このプロテインLとは、抗体のFvに結合する、より詳細には、κ軽鎖に結合することから、ほぼすべてのアイソタイプのイムノグロブリンに結合することが認められる。
プロテインLが有するB1、B2,B3、B4、又はB5ドメインを、上記する抗体のFvに結合する抗体結合ドメインとして挙げることができる。プロテインLに由来するドメインの中でもB1ドメインが好ましい。具体的なB1ドメインのアミノ酸配列は特に限定されない。例えば、配列番号3に示すアミノ酸配列を挙げることができる。
なお、上記する抗体結合ドメインとしてLドメインを採用した本発明の医薬は、例えば、配列番号5に記載するアミノ酸配列を含むペプチドが配置された膜貫通タンパク質を含有する脂質二重膜を有するリポソームを作製することによって得ることができる。このような膜貫通タンパク質には、上記するLドメインがタンデムに2個並べられた態様にて配置されている。
具体的に、上記するLドメインを有する医薬は、配列番号5に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを用いて宿主細胞を形質転換し、これを培養する生合成によって容易に得ることができる。このような製造方法は、具体的には特許文献1〜3の記載に準じて行うことができ、得られる本発明の医薬の構成要素である抗体を担持する前のリポソームを、本明細書において「LL−BNC」と呼ぶことがある。
なお、上記の配列番号5に記載のアミノ酸配列も、上記するZZ−BNCと同様に、本発明の医薬における、抗体の機能を増強させる効果を減衰させない範囲において、置換、挿入、及び/又は欠失等に代表される各種の変異を施すことができる。また、膜貫通能を発揮しないような変異も、抗体結合能を減衰するような変異も好ましくない。
このような変異は、変異前後のアミノ酸配列の相同性が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上である。
また、上記する抗体のFcに結合する抗体結合ドメインの典型例であるプロテインGに含まれるC2ドメイン(例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列)と上記する抗体のFvに結合する抗体結合ドメインの典型例であるプロテインLに含まれるB1ドメイン(例えば、配列番号3に示すアミノ酸配列)とが、タンデムにて配置された態様のアミノ酸配列を有するLG−BNC(配列番号6)及びGL−BNC(配列番号7)も、本発明の医薬の構成要素である抗体を担持する前のリポソームの典型例として挙げることができる。
このようなLG−BNCもGL−BNCも、共に上記するZZ−BNCと同様にして得ることができる。
なお、上記する配列番号6及び7に記載のアミノ酸配列も、本発明の医薬における、抗体の機能を増強させる効果を減衰させない範囲において、置換、挿入、及び/又は欠失等に代表される各種の変異を施すことができる。また、膜貫通能を発揮しないような変異も抗体結合能を減衰するような変異も好ましくない。
このような変異とは、変異前後のアミノ酸配列の相同性が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上である。
上記する本発明の医薬における抗体結合ドメインに選択的に結合する対象として挙げる糖鎖とは、後記する上記抗体結合ドメインに結合する抗体が有する糖鎖であれば、特に限定はされない。このような糖鎖は抗体のアスパラギン酸(Asn)に結合するN型糖鎖であることが好ましい。
このような糖鎖として、具体的には、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、マンノース、フコース、及びシアル酸等に代表される単糖が、グリコシド結合した糖鎖を挙げることができる。
また、糖鎖における上記する単糖がグリコシド結合する個数は特に限定はされない。具体的には、5個以上とすることができる。斯かる個数の上限値も限定的ではなく、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、又は15個を例示することができる。
上記するグリコシド結合の態様も特に限定されない。具体的には、1−2結合、1−3結合、1−4結合、1−5結合、又は1−6結合等を挙げることができる。また、α結合であってもβ結合であってもよい。
このような糖鎖の具体例として、下記の表にて示すようなN型糖鎖を例示することができる。
表1の糖鎖の中でも、2つのシアル酸(◇)を含まない、16種類の何れかに示す糖鎖が、ヒトIgGに存在する糖鎖として好ましく例示される。
この様な好ましい糖鎖の典型例(G0、G1、及びG2)を下記の表2に示す。
上記する本発明の医薬における抗体結合ドメインに選択的に結合する対象として挙げるJ鎖とは、抗体が有するタンパク質であり、特に限定はされない。具体的には、IgA又はIgMが有するJ鎖を例示することができる。このようなJ鎖のアミノ酸配列は特に限定されない。例えば、アメリカ合衆国の国立衛生研究所(NIH)の国立医学図書館に付属する国立生物工学情報センター(NCBI)のウェブサイト(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)にて、NP_653247.1で検索されるアミノ酸配列を挙げることができる。
上記する本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有される抗体は、医薬の有効成分として用いられる抗体であれば、特に限定されない。このような抗体として、具体的には、イムノグロブリン、その断片、又はこれらの再構築物を挙げることができる。
上記するイムノグロブリンのアイソタイプは、特に限定されない。具体的には、IgM、IgD、IgG、IgA、IgE、IgW,IgX、IgY、又はIgNAR等のアイソタイプを挙げることができる。これらのイムノグロブリンのアイソタイプ中でも、哺乳類動物が原始的に有するイムノグロブリンであるIgM、IgD、IgG、IgA、又はIgEが好ましく、中でもIgGが、上記するイムノグロブリンのアイソタイプとして好ましい。
なお、上記するIgGとはサブクラスにカテゴライズされ、具体的には、IgG、IgG、IgG、IgG、IgG2a、IgG2b、又はIgG2c等を挙げることができる。また、上記するIgAもサブクラスにカテゴライズされ、具体的にはIgA1又はIgA2等を挙げることができる。
上記する本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有される抗体の典型例であるイムノグロブリンの断片とは、特に限定されない。具体的には、F(ab’)、Fab、Fc、Fv、糖鎖、IgAに由来するJ鎖、又はIgMに由来するJ鎖等を挙げることができる。
上記するFabとは、具体的には、IgGの重鎖に由来するVH−CH1領域と軽鎖に由来するVL−CLがジスルフィド結合した分子であり、IgGをパパインで消化することによって得ることができる分子であると例示される。
上記するF(ab’)とは、具体的には、上記する2分子のFabが、ヒンジ領域とそれに含まれるシステイン残基によってジスルフィド結合した分子であり、IgGをペプシンで消化することによって得ることができる分子であると例示される。
上記するFc、Fv、糖鎖、及びJ鎖とは、本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有される脂質二重膜中の膜貫通タンパク質に配置された抗体結合ドメインの結合対象として説明したものと同様にすることができる。
上記する本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有される抗体の典型例であるイムノグロブリン又はイムノグロブリンの断片の再構築物とは、特に限定されない。具体的には、scFv、ディアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、ミニボディ(Minibody)、scFvーFc、VHH、又は多価化抗体等を挙げることができる。
上記するscFvとは、具体的には、IgGの重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とがリンカーを介して結合してなる構造を有する分子であると例示される。このようなscFvは、上記のVHとVLとのリンカーを介する結合として、後記する4つの態様を挙げることができるが、これらの何れかの態様に限定されないのはいうまでも無い。
・(N末端)VH(C末端)−(リンカー)−(N末端)VL(C末端)
・(N末端)VL(C末端)−(リンカー)−(N末端)VH(C末端)
・(N末端)VH(C末端)−(リンカー)−(C末端)VL(N末端)
・(N末端)VL(C末端)−(リンカー)−(C末端)VH(N末端)
上記するディアボディとは、具体的には、上記の2分子のscFvが、これらに含まれるVHとVLとを介して、互いに非共有結合的に会合してなる構造を有する分子であると例示される。
上記するトリアボディとは、具体的には、上記の3分子のscFvが、これらに含まれるVHとVLとを介して、互いに非共有結合的に会合してなる構造を有する分子であると例示される。
上記するテトラボディとは、具体的には、上記の4分子のscFvが、これらに含まれるVHとVLとを介して、互いに非共有結合的に、且つ、平面的に会合してなる構造を有する分子であると例示される。
上記するミニボディとは、具体的には、上記のscFvの末端にIgGのFcドメインに含まれるCH3ドメインが結合してなる2つの分子が、互いにそのCH3ドメイン同士を介した非共有結合的に会合してなる構造を有する分子であると例示される。
上記するscFvーFcとは、具体的には、上記のscFvの末端にヒンジ部、及びIgGのFcドメインに含まれるCH2ドメイン並びにCH3ドメインが結合した2つの分子が、互いに上記のミニボディの構造にて説明したCH3ドメイン同士を介した非共有結合的な会合及び該ヒンジ部を介したジスルフィド結合によって得られる構造を有する分子であると例示される。
上記するVHHとは、具体的には、ラクダ科動物の血中に存在する低解離定数で標的抗原に結合する能力を有する分子であり、IgGと比較すると重鎖のみからなる構造を有する、分子量約13kDa程度のタンパク質として例示される。
上記する多価化抗体とは、一個以上の抗原結合部位を有する抗体である限り、特に限定されない。例えば、上記するトリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、scFv−Fc、又はIgG、IgA並びにIgM等のイムノグロブリンのほかに、四価IgG等を挙げることができる。また、二重特異性抗体も本発明のイムノグロブリン又はイムノグロブリンの断片の再構築物の典型例として挙げる多価化抗体に包含される。
本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有されるリポソームの脂質二重膜中の膜貫通タンパク質に配置された抗体結合ドメインに結合する抗体の他の典型例として、イムノトキシン、アフィボディ(登録商標)、ナノボディ(登録商標)、又はユニボディ等を挙げることもできる。
イムノトキシンとは、抗体−薬物複合体(Antibody−Drug Conugate:ADC)とも呼ばれ、上記する抗体に細胞毒性作用を発揮する分子が担持されてなる分子のことを言う。
細胞毒性作用を発揮する分子とは、特に限定されない。例えば、エムタンシン(DM1)、オゾガマイシン(カリケアミシン類)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、デュオカルマイシン類、アマニチン(AAMT)、アドゼルシン、ビゼルシン、カルゼルシン(U−80244)、PNU159682(ネモルビシン類)等を挙げることができる。これらの分子の中でも、かなり細胞に対する毒性が高いものが好ましい。このような分子として、例えば、エムタンシンを挙げることができる。
アフィボディ(Affibody)とは登録商標である。アフィボディとはプロテインAの特定のドメインを足場にして、3つのへリックスドメインが結束した構造を有し、低解離定数で標的タンパク質(抗原)に結合する機能を有するタンパク質分子として例示される。より詳細に記載される米国特許第5,831,012号を参照することもできる。
ナノボディ(Nanobody)とはAblynx社の商標である。ナノボディとは、本発明の医薬の構成要素である脂質二重膜に担持される膜貫通タンパク質に設けられた抗体結合ドメインに結合する抗体の典型例として、上記に説明したVHHを模倣した構造を有する抗原結合機能を有する分子である。より詳細に記載されるWO2004/041867を参照することもできる。
ユニボディ(Unibody)とは登録商標である。ユニボディとは、当技術分野で周知であり、これは、IgG4抗体のヒンジ領域を欠く抗体断片をいう。このようなヒンジ領域の欠失によって、従来のIgG4抗体の大きさの本質的に半分であり、且つIgG4抗体の二価の結合領域ではなく一価の結合領域を有する分子であると説明できる。より詳細には、WO2007/059782の記載を参照することもできる。
上記する本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有される抗体は、一種又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の医薬は、上記する抗体結合ドメインが配置された膜貫通タンパク質を有する脂質二重膜を有するリポソーム(典型例として上記にて挙げた、上記のZZ−BNC、LL−BNC、LG−BNC、又はGL−BNC等)と、上記する抗体とを接触させることによって容易に作製することができる。
このようにして得られる本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームにおける上記する抗体の結合態様は、特に限定はされない。具体的には、前記抗体担持リポソームに含まれるリポソームの脂質二重膜の外側表面に、これが有する膜貫通タンパク質に設けられた抗体結合ドメインを介して、上記する抗体が整列配置された態様で結合されることが好ましい。整列配置とは、抗体の配向性が一様である状態を挙げることができる。
例えば、本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含有されるリポソームの脂質二重膜の外側に配置された抗体結合ドメインに結合する抗体が、Fc及びFvを有する抗体であるとき、該Fcが該脂質二重膜中の膜貫通タンパク質に配置された抗体結合ドメインに固定され、Fvが該脂質二重膜(リポソーム)の外側に一様に向いている状態を挙げることができる。このような状態は、Iijima Mら、 Scientific Reports 2(2012)790(5pages)に記載の方法を採用することによって確認することができる。
より具体的には、本発明の医薬の構成成分であるZZ−BNCは、図3(A)の模式図に示すように、リポソームの外側に抗体のFvが一様に配向した構造であると例示することができる。
また、本発明の医薬の構成成分であるLL−BNCは、図3(B)の模式図に示すように、リポソームの外側に抗体のFcが一様に配向した構造であると例示することができる。
そして、本発明の医薬の構成成分であるLG−BNC及びGLーBNCは、図3(C)の模式図に示すように、リポソームの外側に抗体のFvが一様に配向した構造(ZZ−BNCの特徴)と、リポソームの外側に抗体のFcが一様に配向した構造(LL−BNCの特徴)を併せ持った構造であると例示することができる。
上記する本発明の医薬の構成要素である抗体担持リポソームに含まれるリポソームの脂質二重膜中の膜貫通タンパク質に配置された抗体結合ドメインと、上記する抗体との結合は、架橋剤を用いた架橋処理によってより強固にされることもできる。
このような架橋剤は、特に限定されない。例えば、Staudingerライゲーションとして用いられる、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオン酸N−スクシンイミジル等;光反応性クロスリンカーとして用いられる、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸、BASED(ビス[2−(4−アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド)、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]安息香酸、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]ベンジルアルコール、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]ベンジルアミン塩酸塩、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]ベンジルブロミド等;ヘテロ二官能性クロスリンカーとして用いられる、2−メルカプトエチルアミン、N−(2−アミノエチル)マレイミド塩酸塩、カルボキシ−PEG−アミン、NHS−PEG−アジド、3−アジドプロピルアミン、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸、PEG−アジド、アミノ−PEG−アジド、アジド−PEG−カルボン酸、PEG−アジド、5−アジド吉草酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)プロパルギルアミン、3−ブチン酸、N−カルボベンゾキシ−6−アミノヘキサン酸、ジベンゾシクロオクチン−マレイミド(米国では使用不可)、ジエチレングリコールモノ(2−プロピン−1−イル)エーテル、8−(Fmoc−アミノ)−3,6−ジオキサ−n−オクタン酸、3−(Fmoc−アミノ)−1−プロパノール、ゲニピン((1S,2R,6S)−2−ヒドロキシ−9−(ヒドロキシメチル)−3−オキサビシクロ[4.3.0]ノナ−4,8−ジエン−5−カルボン酸メチル)、グリシジル2−プロピニルエーテル、5−ヘキシン酸、DL−α−リポ酸、(R)−α−リポ酸、4−マレイミド酪酸、6−マレイミドヘキサン酸、19−マレイミド−17−オキソ−4,7,10,13−テトラオキサ−16−アザノナデカン酸、3−マレイミドプロピオン酸、6−メルカプト−1−ヘキサノール、プロパルギル酢酸、プロパルギルアミン、N−プロパルギルマレイミド、プロパルギル−PEG−NHS、2−[2−(プロパルギルオキシ)エトキシ]エチルアミン、2−(2−プロパルギルオキシ)エチルアミン、BCN−アミン(N−(1R,8S,9s)−ビシクロ[6.1.0]ノナ−4−イン−9−イルメチルオキシカルボニル−1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン)、SATP(3−(アセチルチオ)プロピオン酸N−スクシンイミジル)、N−アクリルオキシスクシンイミド、ANB−NOS(N−(5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシ)スクシンイミド)、4−(アジドスルホニル)安息香酸N−スクシンイミジル、ATFB−SE(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸N−スクシンイミジル)、4−ベンゾイル安息香酸N−スクシンイミジル、ブロモ酢酸N−スクシンイミジル、4−ホルミル安息香酸N−スクシンイミジル、ヨード酢酸N−スクシンイミジル、AMAS(N−(α−マレイミドアセトキシ)スクシンイミド)、GMBS(N−(4−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド)N−(3−マレイミドベンゾイルオキシ)スクシンイミド、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド、SMCC(4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸N−スクシンイミジル)、LC−SMCC(6−[[4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキシル]カルボキサミド]ヘキサン酸N−スクシンイミジル)、SMPB(4−(4−マレイミドフェニル)酪酸N−スクシンイミジル)、BMPS(3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジル)、KMUS(11−マレイミドウンデカン酸N−スクシンイミジル)、メタクリル酸N−スクシンイミジル、SPDP(3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−スクシンイミジル)、4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸3−スルホ−N−スクシンイミジルナトリウム、メルカプト酢酸、トリエチレングリコールモノプロパルギルエーテル、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]安息香酸、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]ベンジルアルコール、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]ベンジルアミン塩酸塩、4−[3−(トリフルオロメチル)−3H−ジアジリン−3−イル]ベンジルアミン塩酸塩、10−ウンデシン酸;ヘテロ二官能性クロスリンカーとして用いられる、アジポジヒドラジド、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、DFDNPS(ビス(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)スルホン)、BMB(1,4−ビス(マレイミド)ブタン)、1,2−ビス(マレイミド)エタン、1,6−ビス(マレイミド)ヘキサン、ビス(NHS)PEG、(NHS)PEG9、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2'−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、トリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチルエーテル、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、アジプイミド酸ジメチル二塩酸塩、アジプイミド酸ジメチル二塩酸塩、ピメルイミド酸ジメチル二塩酸塩、スベルイミド酸ジメチル二塩酸塩、DSC(炭酸N,N'−ジスクシンイミジル)、DTSP(3,3'−ジチオジプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジル))、スベリン酸ジ(N−スクシンイミジル)、DSS(セバシン酸ジ(N−スクシンイミジル))、3,3'−ジチオジプロピオン酸、1,2−ビス(2−プロピニルオキシ)エタン、1,2−ジグリシジルオキシエタン、グルタルアルデヒド、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジプロパルギルエーテル、ジベンゾ[a,e]シクロオクタジエン−5,11−ジイン、BS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート)等を挙げることができる。
これらの中でも、BS3を用いることが好ましい。
上記する架橋処理は、使用する架橋剤に応じた公知の条件を採用することによって実施することができる。
本発明の医薬は、薬学的に許容される担体等と組み合わせて用いることができる。このような担体等は公知のものを使用すればよく、特に限定されない。
また、本発明の医薬は適当な剤形とすることもできる。なお、本発明の有効成分は抗体であるため経口投与は好ましくなく、例えば、経静脈投与などの非経口投与が可能となる剤形とすることが好ましい。
本発明の医薬を用いることによって、これに含まれる抗体の機能を増強させることができる。
具体的には、上記する本発明の医薬の構成成分となる抗体担持リポソームを作成する前のリポソーム(典型例として上記にて挙げた、ZZ−BNC、LL−BNC、LG−BNC、及びGL−BNC等)に対して、上記する抗体を結合させることによって、結合させた抗体が結合させない同じ量の抗体と比較して、その機能を上昇させることができる。
以下に、本発明をより詳細に説明する実施例を示す。本発明が以下に示す実施例に限定されないのはいうまでも無い。
以下に示す実施例1及び2にて使用する、本発明の医薬の典型例であるZZ−BNCとハーセプチンの複合体(本明細書にて「ZZ−BNC−ハーセプチン」と呼ぶことがある。)、及びZZ−BNCとカドサイラとの複合体(本明細書にて「ZZ−BNC−カドサイラ」と呼ぶことがある。)を、後記する(1)〜(3)に示す手順にて作製した。
(1)50μLのPBSバッファー中で、タンパク質量として5μgのZZ−BNCに、それぞれ抗体量(タンパク質量)として1μgのハーセプチン(トラスツズマブ、中外製薬株式会社)、又はカドサイラ(トラスツズマブエムタンシン、中外製薬株式会社)を加えて混合した。
上記するZZ−BNCとは、上記する特許文献1〜3の何れかに記載する方法に準じて作製した。
なお、上記する条件はZZ−BNC:ハーセプチン又はカドサイラ=5:1(重量比)、モル比では1:8程度であり、結合可能と見つもられる条件は、ZZ−BNC:ハーセプチン又はカドサイラ=1:1(重量比)、モル比では1:40程度である。
(2)上記する(1)にて得られた混合物に対し、BS3(bis(sulfosuccinimidyl)suberate)を、その最終濃度が50μMになるように追加し、これを室温にて30分間インキュベートした。
(3)上記する(2)のインキュベート後の混合物に対し、Tris−HClバッファーを、その最終濃度が100μMになるように追加し、これを室温で10分間インキュベートした。
最後に、上記する(3)にて得られるインキュベート後の混合物を、Sephadex G−25カラムを用いてPBSにバッファー交換し、これを後記する実験で使用するために4℃にて保存した。
<実施例1>in vitroアッセイ
本発明の医薬を用いた、in vitroでの細胞毒性アッセイを行った。医薬によって特定の細胞を死滅させることは、抗体が有する機能が増強したと判断できる。本実施例では、この様な死滅の程度を、特定のサンプルの抗体としての使用量を基にIC50値にて確認する実験を行った。
実験材料
本アッセイでは、以下に示す性質を有するヒト乳がん由来細胞を使用した。
[細胞]
・SK−BR−3細胞:トラスツズマブ感受性(HER2陽性(3+))
・MDA−MB−468細胞:トラスツズマブ非感受性(HER2陰性;ネガティブコントロール)
上記する本アッセイで使用する各種の細胞は、37℃で5%のCOを含む環境下で、以下に示す培地を用いて馴化した。なお、MDA−MB−468細胞は5%のCO含まない環境下にて馴化した。馴化した各細胞を96ウェルプレートに、それぞれ10,000細胞/ウェルで播種した。
[培地]
・SK−BR−3細胞:McCoy’s 5a培地+10%の非動化FBS
・MDA−MB−468細胞:Leibovitz’s L−15培地+10%の非動化FBS
実験手段
上記する細胞等を用い、後記する(1)〜(3)に示す手順にて細胞毒性アッセイを行った。
(1)上記する本発明の医薬の典型例(ZZ−BNC−ハーセプチン及びZZ−BNC−カドサイラ)をサンプルとして上記の適当な培地に加えて、抗体部分の最終濃度で10nM、5nM、2.5nM、1nM、0.5nM、0.25nM、0.1nM、及び0nMとなる100μLの培地を用意した。また、ネガティブコントロールとして、ZZ−BNC、ハーセプチン、及びカドサイラをサンプルとして、それぞれ単独で含む100μLの培地も同様に用意した。
(2)上記する(1)にて作製した100μLの培地を各細胞が播種された上記の96穴プレートの各ウェルに加え、72時間の37℃で5%のCOを含む環境下での培養に供した。なお、MDA−MB−468細胞は5%のCO含まない環境下にて72時間の培養を行った。
(3)上記する培養の終了の後、Cell Count Reagent SF(ナカライテスク)を、各ウェルに10μLで添加し、その後室温で20−100分間程度インキュベート(発色度合いに従い反応時間を決定)し、プレートリーダー(Varioskan:Thermo Scientific)で450nmの吸光度を測定した。この結果を図1に示す。
結果と考察
図1に示す結果から、ZZ−BNC単独では、ハーセプチン(トラスツズマブ)感受性細胞であるSK−BR−3細胞に対して、何らの細胞毒性を与える結果は確認されなかった。
また、SK−BR−3細胞に対する、ハーセプチンのIC50値は抗体部分濃度として、約10nM以上程度と見積もられた。これに対して、ZZ−BNC−ハーセプチンのIC50値は、抗体部分濃度で約1〜2nM程度と見積もられた。
これらの結果から、本発明の医薬の典型例であるZZ−BNC−ハーセプチンは従来品であるハーセプチンよりも、抗体の機能をより増強させることが明らかとなった。
また、SK−BR−3細胞に対する、カドサイラのIC50値は抗体部分濃度として、約1nM程度と見積もられた。これに対して、ZZ−BNC−カドサイラのIC50値は抗体部分濃度で約0.1nMと見積もられた。
これらの結果から、本発明の医薬の典型例であるZZ−BNC−カドサイラは従来品であるカドサイラよりも、抗体の機能をより増強させることが明らかとなった。
なお、ネガティブコントロールであるMDA−MB−468細胞に対しては、約10nM程度の抗体部分濃度まで、何れのサンプルも何ら細胞毒性を示す結果は得られなかった。
<実施例2>in vivoアッセイ
本発明の医薬を用いた、in vivoでの細胞毒性アッセイを行った。上記する実施例1と同様に、医薬によって特定の細胞を含む組織を死滅させることは、抗体が有する機能が増強が増強したと判断できる。本実施例では、このような組織の死滅の程度を、担癌マウスの腫瘍サイズが本発明の医薬の投与による抑制効果を確認する実験にて評価した。
実験材料
ヒト乳がん細胞(KPL−4細胞:トラスツズマブに非感受性・HER2陽性(3+))をDMEM+5%非動化FBSで培養した。6週令オスヌードマウス(日本SLC)の背部皮下に上記する培養後のKPL−4細胞を1.0×10細胞(100μL,50%Matrigel含有(BD))を接種した。
サンプルとしては、上記する実施例1にて用いた本発明の医薬であるZZ−BNC−ハーセプチン並びにZZ−BNC−カドサイラ、及びネガティブコントロールとしてZZ−BNC、ハーセプチン、並びにカドサイラを用いた。
実験手段
上記するヌードマウスにKPL−4細胞を接種してから約10日後、その腫瘍サイズが300mmに達した時(腫瘍サイズは、(長径x(短径))/2で算出した)、150μLの上記サンプル(10mMのHEPES(pH7.4)、100mMのNaCl、3.4%(w/w)のSucroseで懸濁した状態にする)を投与した。
ここで、ZZ−BNC−ハーセプチンとハーセプチンは、抗体量30mg/kgを週1回で、計4回腹腔内投与した。初回以外は、15mg/kgの投与量で行った。
また、カドサイラとZZ−BNCーカドサイラは抗体量15mg/kgで単回静注した。その後、126日間マウスの育種を続け、腫瘍サイズを測定した。この結果を図2に示す。
結果と考察
図2に示すように、ZZ−BNC単独投与群(当該抗体量の5倍量)については、全く腫瘍増殖に対して何ら抑制効果を示さなかった。
ハーセプチン単独投与については投与期間中(0、7、14、及び21日目)で約140mm程度の腫瘍サイズにまで限定的に増殖抑制効果を示したが、投与期間を超えると腫瘍増殖に対する抑制効果は速やかに消失した。これは、ハーセプチンがKPL−4細胞に対して元来限定的にしか作用しないためと考えられる。
これに対して、ZZ−BNC−ハーセプチンは投与期間(0、7、14、及び21日目)後も126日目までで約100mm程度の腫瘍サイズにまで腫瘍増殖を抑制したものの、この腫瘍増殖抑制の程度は、後記するカドサイラ及びZZ−BNC−カドサイラを投与した時ほどの増殖抑制は観察されなかった。
カドサイラ単独投与は強力な腫瘍増殖抑制を示し、これの投与後126日目でも約15mm程度の腫瘍サイズを示した。しかしながら、ZZ−BNC−カドサイラの投与すると、カドサイラ単独投与を超える最も強力な腫瘍増殖抑制効果を発揮し、21日目において腫瘍は視認できなくなり、この投与後126日目でも腫瘍の再増殖は認められなかった。
以上より、本発明の医薬の典型例であるZZ−BNC−ハーセプチン及びZZ−BNC−カドサイラは、それぞれハーセプチン及びカドサイラよりも強い腫瘍増殖抑制効果を発揮することが確認された。よって、本発明の医薬は、抗体の機能を増強させることが明らかとなった。
上記する本発明は様々な態様に修飾し得ることが明らかであると言える。このような修飾とは、本発明の趣旨から導き出される範囲から逸脱するものではなく、当業者にとって自明であろう全ての範囲の修飾を包含する。
以下に、本明細書にて表示するアミノ酸配列を示す。
1 Fc
2 Fv
3 脂質二重膜
4 膜貫通タンパク質
5 抗体結合ドメイン

Claims (14)

  1. 抗体担持リポソームを含有する医薬であって、該抗体担持リポソームは
    (1)1個の脂質二重膜
    (2)1個以上の膜貫通タンパク質、及び
    (3)1個以上の抗体
    を含有し、
    前記膜貫通タンパク質は前記脂質二重膜を貫通し、及び1個以上の抗体結合ドメインを有し、
    前記1個以上の抗体結合ドメインの一部又は全部は、前記リポソームの外側に配置され、及び
    前記抗体は前記リポソームの外側に配置された抗体結合ドメインに結合し、前記抗体の機能が、当モル量の前記抗体分子に比べて増強されている、医薬。
  2. 前記抗体が、前記リポソームの外側表面に整列配置されることを特徴とする、請求項1に記載する医薬。
  3. 前記の増強される抗体の機能が、抗原結合活性、ADCC活性、CDC活性、及びADCP活性からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載する医薬。
  4. 前記膜貫通タンパク質が、エンベロープ型ウイルス外皮タンパク質である、請求項1〜3の何れか1項に記載する医薬。
  5. 前記ウイルス外皮タンパク質が、B型肝炎ウイルス外皮タンパク質、C型肝炎ウイルス外皮タンパク質、センダイウイルス外皮タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス外皮タンパク質、単純ヘルペスウイルス外皮タンパク質、水痘・帯状疱疹ウイルス外皮タンパク質、及びインフルエンザウイルス外皮タンパク質からなる群より選択される少なくとも一種のウイルス外皮タンパク質である、請求項4に記載の医薬。
  6. 前記膜貫通タンパク質がB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)である、請求項1〜5の何れか1項に記載の医薬。
  7. 前記抗体結合ドメインが、イムノグロブリンのFc、Fv、糖鎖、及びJ鎖からなる群より選択される少なくとも一種に選択的に結合する、請求項1〜6の何れか1項に記載の医薬。
  8. 前記糖鎖が、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、マンノース、フコース及びシアル酸からなる群より選択される少なくとも一種の炭糖が、少なくとも5個以上グリコシド結合した糖鎖である、請求項1〜7の何れかに1項に記載する医薬。
  9. 前記抗体が、イムノグロブリン、その断片、及びこれらの再構築物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜8の何れか1項に記載する医薬。
  10. 前記イムノグロブリンの断片が、F(ab’)、Fab、Fc、Fv、糖鎖、及びJ鎖から選択される少なくとも一種である、請求項9に記載する医薬。
  11. 前記イムノグロリン又はその断片の再構築物が、scFv、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、scFv−Fc、VHH、及び多価化抗体より選択される少なくとも一種である、請求項9に記載する医薬。
  12. 前記抗体が、イムノトキシン、アフィボディ(登録商標)、ナノボディ(登録商標)、及びユニボディからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜11の何れか1項に記載する医薬。
  13. (1)1個のリポソーム
    (2)1個以上の膜貫通タンパク質、及び
    (3)1個以上の抗体
    を含有し、
    前記膜貫通タンパク質は前記リポソームの脂質二重膜を貫通し、及び1個以上の抗体結合ドメインを有し、
    前記1個以上の抗体結合ドメインの一部又は全部は、前記リポソームの外側に配置され、及び
    前記抗体は前記リポソームの外側に配置された抗体結合ドメインに結合する抗体担持リポソームを使用する工程を含む、前記抗体の機能を増強させる方法。
  14. その機能が増強された抗体を有効成分とする医薬の製造方法であって、
    一個以上の抗体結合ドメインを設けた膜貫通タンパク質を担持する脂質二重膜を含有する1個のリポソームと、1個以上の該抗体とを結合させる工程を含み、
    前記抗体結合ドメインは前記脂質二重膜の外側表面に配置される、
    製造方法。
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