JP2020092709A - 核酸の抽出及び貯蔵のための方法及び組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、試料(例えば、生物学的試料)からのRNAの抽出、安定化、及び貯蔵/保存を単一のプロセス内に統合する組成物及び方法を提供することである。【解決手段】本発明は、生物学的試料からの核酸の抽出及び貯蔵のための固体マトリクスであって、該固体マトリクス中にタンパク質変性剤、還元剤、及び緩衝剤を含む組成物が存在している、固体マトリクスに関する。【選択図】なし
Description
本開示は、一般に、乾燥形態の生物学的試料由来の核酸の周囲条件下での抽出、安定化、及び保存のための固体組成物に関する。その固体組成物から核酸を抽出し、収集し、保存し、及び回収する方法も記載されている。
RNAは、化学的な自己加水分解と酵素に媒介される分解との両方の結果として最も不安定な生体分子の1つである。従って、生物学的試料に由来するRNAの抽出及び保存は、限定されることはないがRNAを抽出又は収集するのに使用される緩衝液、pH、温度、及び特に堅牢な(robust)リボヌクレアーゼ(RNase)の普遍的存在をはじめとする幾つかの環境因子に対して感受性である。その結果、精製状態及び未精製状態のRNAは、通例、RNA試料の加水分解及び酵素的分解を防止しその完全性(integrity)を保存するために−80℃で貯蔵する必要があった。RNAを周囲条件下で抽出し、収集し、保存することができるということは、−80℃での冷蔵に伴う費用及び空間の必要性を回避するために経済的に望ましい。
周囲条件下において液体の状態でRNAを保存するための現在の方法論は、例えば、洗剤、カオトロピック化合物、還元剤、遷移金属、有機溶媒、キレート化剤、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)、RNaseペプチド阻害剤、及び抗−RNase抗体を用いることによるRNaseの失活に集中している。補助的な努力は、エステル交換反応及び自己加水分解を防ぐためにRNAを化学的に修飾することに焦点を合わせている。しかし、殆どの市販のRNA保存製品は室温でRNAを数日又は数週間しか保存することができない。乾燥形態のRNAの十分な収集及び保存が可能な現在の技術では、通例、RNAの貯蔵に先立ち、先ず最初にRNAを生物学的材料(例えば、血液、血清、組織、唾液、等のような生物学的試料)から「予備的に精製し」濃縮することを必要とする。
乾燥形態でRNAを保存するための現在の技術では追加の乾燥用設備が必要である。従って、これらの方法は、試料の多大な処理なしに試料(例えば、生物学的試料)から直接RNAを収集することの助けにはならない。
従って、試料(例えば、生物学的試料)からのRNAの抽出、安定化、及び貯蔵/保存を単一のプロセス内に統合する組成物及び方法が望ましく、当技術分野において必要とされている。かかる組成物及び方法によると、周囲条件下におけるRNAの長期の貯蔵が可能となり、またさらなる分析のためにインタクトなRNAを回収することができるようになるであろう。
本明細書中以下で定義される生物学的試料のような試料からの核酸の抽出及び貯蔵のための固体マトリクスであって、該固体マトリクス中にタンパク質変性剤、還元剤、及び緩衝剤を含む組成物が存在している、固体マトリクスが記載されている。本出願の固体マトリクスにより、乾燥形態のRNA及びDNAの周囲条件下での長期の貯蔵が可能になる。核酸(例えば、RNA)を乾燥形態で含む固体マトリクスは、収集された核酸試料のさらなる分析に適したインタクトな形態で核酸を固体マトリクスから解放するためのプロセスに付すことができる。生物学的試料から核酸を抽出し貯蔵するために本発明の固体マトリクスを使用する方法も提供される。
化学的に修飾された多孔性膜の上記及びその他の特徴、局面、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことでより十分に理解されるであろう。図面を通じて類似の符号は類似の部分を表す。
図1は、培養したヒト細胞をいろいろな組成の固体マトリクス上にスポットした後電気溶出を用いてセルロースから回収された核酸の代表的な電気泳動図を示す。高分子量のゲノムDNA及び28s/18s rRNAバンドが矢印で表示されている。さらに、Image J.を用いたDNA及びRNAの定量化が示されている。パネルAの各々のレーンの上から下に垂直の線が引かれており、画素強度(グレー値任意単位)がPlot Profile関数を用いて線間隔(cm)の関数としてプロットされている。ゲノムDNA及び28s/18s rRNAに対応するピークがボックス内に示されている。追加の実験の詳細は後記実施例の欄に記載する。
図2は、示されている組成物の各々について28s及び18s rRNAに対するグレー値任意単位として表されたゲル画素強度を示す。分析の前にセルロース試料を室温でデシケーターキャビネット内に10日間貯蔵した。28sの18s rRNAに対する比の値をグラフの各々のバーの上に示す。追加の実験の詳細は後記実施例の欄に記載する。
図3は、示されている組成物の各々について28s及び18s rRNAに対するゲル画素強度を示す。分析の前にセルロース試料を室温でデシケーターキャビネット内に13日間貯蔵した。各々の実験条件について28sの18s rRNAに対する比の値をグラフの各々のバーの上に示す。追加の実験の詳細は後記実施例の欄に記載する。
図4は、示されている組成物の各々について28s及び18s rRNAに対するゲル画素強度を示す。分析の前にセルロース試料を室温でデシケーターキャビネット内に10日間貯蔵した。各々の実験条件について28sの18s rRNAに対する比の値をグラフの各々のバーの上に示す。追加の実験の詳細は後記実施例の欄に記載する。
図5は、示されている組成物の各々について28s及び18s rRNAバンドに対するゲル画素強度を示す。分析の前にセルロース試料を室温でデシケーターキャビネット内に30日間貯蔵した。各々の実験条件について28sの18s rRNAに対する比の値をグラフの各々のバーの上に示す。追加の実験の詳細は後記実施例の欄に記載する。
図6は、リストに挙げた各々の条件についてRNA 6000 Pico LabChipsを用いてAgilent 2100 Bioanalyzerで決定された、セルロース紙上の乾燥血液スポットで測定されたRNA Integrity Numbers(RIN)を示す。追加の実験の詳細は後記の実施例の欄に記載する。
図7は、セルロース紙上の日光による損傷に対するmRNA保護の証拠を提供する。グラフの各々のバーは、図に示されている組成物を含むUV処理と未処理の試料の間のqRT−PCRサイクル閾値の差を表す。追加の実験の詳細は後記実施例の欄に記載する。
図8は、いろいろな緩衝剤の存在下、異なる温度でのセルロース系紙上のTCEP活性を示す。追加の詳細は後記実施例の欄に述べる。
本明細書には、試料(例えば、生物学的試料)からの核酸(例えば、RNA、DNA、又はこれらの組合せ)の抽出及び貯蔵のための固体マトリクスであって、その中にタンパク質変性剤、還元剤、及び緩衝剤を含む組成物が乾燥状態で存在する固体マトリクスが記載されている。本発明の組成物は周囲の貯蔵条件下における核酸の長期の乾燥保存を可能にする。この観察結果は、不安定であることが広く知られているRNAの周囲条件での保存に関して格別重要である。本明細書で使用する用語「固体マトリクス」は、限定されることはないが、セルロース系製品、セルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、又はこれらの任意の組合せを包含する。本出願の固体マトリクスは多孔性であってもよい。特定の実施形態において、固体マトリクスはFTA(商標)はFTA(商標) EluteのようなWhatman(商標)の多孔性セルロース紙である。用語「抽出」とは、試料、より特定的には生物学的試料から核酸を分離し単離するためのあらゆる方法をいう。RNA及びDNAのような核酸は、例えば、空気中での蒸発性試料細胞溶解中、又は試料と接触すると細胞溶解を起こし核酸を遊離させる化学的に修飾された固体マトリクス(例えば、FTA(商標)Eluteセルロース紙)内の化合物の存在により、遊離させることができる。当業者には分かるように、試料(例えば、未精製の生物学的試料)から核酸、特にRNAを抽出して、その核酸を核酸の安定化と保存のための固体マトリクス上に捕捉することができるいかなる方法でも、開示されている組成物及び方法に使用し得る。試料から核酸を抽出する方法の上の例は例示の目的のみで挙げたものである。本明細書中で用語「貯蔵」又は「保存」は、抽出された核酸をさらなる分析に適した形態で維持することに関して互換的に使用され得る。
核酸、特にRNAの分野で熟練した技術者は、伝統的に、(1)mRNA標的の定量RT−PCR増幅、(2)Agilent 2100 BioanalyzerでのRNA Integrity Number(RIN)分析、及び(3)大部分の全細胞RNAに当て嵌まる(compromise)、28s:18sリボソームRNA(rRNA)の比の値に基づいて、RNAの安定性及び質を評価している。高品質細胞RNAは一般に、1より大きい28s:18s rRNA比及び10に近いRINスコアを示す。また、高品質の細胞RNAは低含量及び大きい(例えば、1kBより大きい)mRNAの両方の効率的な増幅を支える。便宜上、rRNAのシグナル強度及び28s:18s rRNAの比の値が、ゲル電気泳動により強固なRNA貯蔵特性を有する試料を迅速にスクリーニングし同定するために使用されることが多い。
本明細書中で定義されているように、「生物学的試料」は、限定されることはないが、ヒトを含めたいずれかの生物から得られる血液、血清、組織、及び唾液を包含する。生物学的試料は、自己診断(例えば、血糖モニタリング)をする個人により、或いは、例えば注射針を用いる血液の吸引、又は患者の皮膚の病変部のような特定の部分を削り取るか若しくは綿棒で採取するといったような様々な技術によって熟練した医学の専門家により、得ることができる。各種の生物学的試料を収集する方法は当技術分野で周知である。用語「試料」には、上で定義された生物学的試料だけでなく、例えば、組織培養した細胞及び精製した核酸も包含される。
タンパク質変性剤、還元剤、及び緩衝剤を含む組成物が本開示の乾燥固体マトリクス中に存在する。組成物は上記リストの成分の各々の1以上を含み得る。本組成物は場合によりさらに紫外線(UV)抑制剤、遊離基捕捉剤、RNase阻害剤、キレート剤、又はこれらの任意の組合せを含み得る。熟練した技術者には了解されるように、数多くのタンパク質変性剤が当技術分野で公知であり、本明細書に記載した組成物及び方法に使用するために経験的に選択することができる。特定のタンパク質変性剤に制限されることはないが、代表的なタンパク質変性剤としては、チオシアン酸グアニジニウム、グアニジニウム塩酸塩、アルギニン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素、又はこれらの任意の組合せがある。代表的なタンパク質変性剤の式を示す。
ヘテロ原子含有基は窒素、酸素、イオウ、リン、ケイ素、及びホウ素から選択される1以上を含む基である。反応性の官能基を用いてグアニジンを含有する化合物に結合させることが目的である。ヘテロ原子を有する典型的な反応性の基には、エポキシ、アクリレート、マレイミド、アシルハライド、アルキルハライド、アジド、シアン酸エステル、イソシアネート、アリールハライド、アルデヒド、アミン、オキシム、チオール、アルコール、酸、アジリジン、アゾ、イソチオシアネート、無水物、混合無水物、ラクトン、スルトン、及びケトンがある。
炭化水素基は炭素と水素の両方を含む基であるが、親水性を高めるためにヘテロ原子を含有していてもよい。反応性の官能基を用いてグアニジンを含有する化合物に結合させることが目的である。炭化水素を有する典型的な反応性の基としては、アリル、スチリル、ビニル、及びアルキンがある。ヘテロ原子を含有する炭化水素基としては2−、3−又は4−オキシスチリル、アミノアリル、オキシアリル、オキシビニル、アミノビニルがある。
Xは陰イオン、すなわち、1以上の形式負電荷を含有する基である。塩素、チオシアン酸、硫酸、リン酸、臭素、亜塩素酸、塩素酸、チオ硫酸、炭酸、重炭酸、酢酸、ギ酸、リン酸水素、リン酸二水素イオンからなる群から選択される。1以上の陰イオンを使用してもよく、様々なレベル(二価、一価、三価)の形式電荷を有する陰イオンの組合せを使用してもよいと考えられる。陰イオンの分子量は10〜100000で変化し得る。
用語「還元剤」は、別の化学種に電子を供与する化学種を指す。この場合も、様々な還元剤が当技術分野で公知であり、以下及び特許請求の範囲に挙げる代表的なリストは本開示の組成物及び方法に使用することができる還元剤をいかなる意味でも制限することはない。代表的な還元剤としては、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)、及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)がある。また、これら又は他の還元剤のいかなる組合せも本発明を実施する上で使用し得る。特定の実施形態において、還元剤はTCEPである。
本明細書で使用する「緩衝剤」には、例えば、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(Tris)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、クエン酸緩衝剤、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、及びリン酸緩衝剤がある。この可能な緩衝剤のリストは例示のためだけのものである。熟練した技術者には認識されるように、本明細書に開示されている組成物及び方法に使用するのに選択される緩衝剤のpHが関連する。緩衝剤のpHは通例3〜8の範囲である。
上に示したように、固体マトリクス中に存在する組成物は場合によりUV保護剤又は遊離基捕捉剤を含み得る。いかなる特定のUV保護剤にも限定する意図はないが、代表的な作用剤には、例えば、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン(HQ)、トルヒドロキノン(THQ)、及びアスコルビン酸が包含される。幾つかの局面において、フリーラジカルはMEHQである。また、固体マトリクス中の組成物は、バナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)又は市販のRNase阻害剤のいずれか(例えば、SUPERase−In(商標))のようなRNase阻害剤も含み得る。追加の代表的なRNase阻害剤はKumarら(2003)のBiochemical and Biophysical Research Communications 300:81−86(援用によりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されている。
さらに、本明細書に記載した組成物を使用する方法が提供される。1つの実施形態において、核酸(例えば、RNA、DNA、又はこれらの組合せ)を抽出し保存する方法は、a)1種以上のタンパク質変性剤、1種以上の還元剤、生物学的緩衝剤、及び場合により遊離基捕捉剤を含む組成物が乾燥形態で取り込まれている固体マトリクスを準備し、b)試料(例えば、生物学的試料)を固体マトリクスに適用(塗布)して核酸を抽出し、c)固体マトリクスを乾燥し、d)固体マトリクス上の核酸を乾燥状態で周囲条件下に貯蔵するという工程を含む。本方法の幾つかの局面において、固体マトリクスは市販のFTA Elute(商標)のような多孔性のセルロース系紙である。この方法の性能により、核酸、特に貯蔵するには不安定な生体分子であることが広く知られているRNAの乾燥形態(例えば、固体マトリクス上)における周囲温度での貯蔵が可能になる。この方法に利用される試料としては、制限されることはないが、ヒトを含めたあらゆる生物から得られる血液、血清、組織、及び唾液のような生物学的試料がある。
上に記述した方法は場合により、さらなる分析のために核酸を固体マトリクスから回収する工程を含み得る。例えば、核酸は、固体マトリクス(例えば、セルロース紙)を水溶液、上で定義された緩衝剤溶液、又は有機溶液中に再水和することによって回収し得る。或いは、核酸は、電気溶出によって固体マトリクスから回収することができよう。当業者には了解されるように、固体マトリクスから核酸を回収することができるあらゆる方法を使用して開示されている方法を実施し得る。
用語「核酸」は、あらゆる形態のRNA(例えば、mRNA)、DNA(例えば、ゲノムDNA)、並びに組換えRNA及びDNA分子又はヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNA若しくはRNAの類似体をいう。核酸分子は一本鎖又は二本鎖であることができる。鎖はコード鎖又は非コード鎖を含むことができる。天然のRNA又はDNA分子の核酸の断片が本発明に包含され、開示されている組成物及び方法を使用して回収し得る。「断片」は核酸(例えば、RNA又はDNA)の一部分を指す。
以下の実施例は例証のためのものであり、限定するものではない。
実施例1 一般的なRNA分析
培養ヒトリンパ球細胞株(すなわち、Jurkat細胞)を全細胞RNA源として利用した。細胞を、表示した試薬で含浸させた7−mmセルロースディスク上で乾燥し、室温で10日間デシケーターキャビネット内に貯蔵し、細胞内核酸を標準的なプロトコルに従って電気溶出した。簡潔にいうと、ディスクを15μLのヌクレアーゼを含まない水中2mg/mLプロテイナーゼKで再水和して余分なタンパク質を除去し、〜30min乾燥した。パンチを1%Tris−ホウ酸−EDTA(TBE)アガロースゲルの個々のウェルに入れ、ホルムアミドを含有する1X Gel Loading Buffer II(Ambion)に懸濁させた。細胞内核酸を110ボルトで1〜2時間電気泳動させ、RNAとDNAをSYBR Gold(Invitrogen)で後染色し、Typhoon Imager(GE Healthcare)を用いて検出した。全ての機器と表面は、セルロースからの電気溶出中及びその後の細胞RNAの完全性を保存するためにRNAZap(Ambion)で処理した。RNA 6000 Nano Ladder(Agilent Technologies)及び筋肉から精製したヒト全RNA(Origene)を含めて内部標準をアガロースゲルに含ませて、RNaseの汚染をモニターすると共に対照のrRNAバンドを同定した。
培養ヒトリンパ球細胞株(すなわち、Jurkat細胞)を全細胞RNA源として利用した。細胞を、表示した試薬で含浸させた7−mmセルロースディスク上で乾燥し、室温で10日間デシケーターキャビネット内に貯蔵し、細胞内核酸を標準的なプロトコルに従って電気溶出した。簡潔にいうと、ディスクを15μLのヌクレアーゼを含まない水中2mg/mLプロテイナーゼKで再水和して余分なタンパク質を除去し、〜30min乾燥した。パンチを1%Tris−ホウ酸−EDTA(TBE)アガロースゲルの個々のウェルに入れ、ホルムアミドを含有する1X Gel Loading Buffer II(Ambion)に懸濁させた。細胞内核酸を110ボルトで1〜2時間電気泳動させ、RNAとDNAをSYBR Gold(Invitrogen)で後染色し、Typhoon Imager(GE Healthcare)を用いて検出した。全ての機器と表面は、セルロースからの電気溶出中及びその後の細胞RNAの完全性を保存するためにRNAZap(Ambion)で処理した。RNA 6000 Nano Ladder(Agilent Technologies)及び筋肉から精製したヒト全RNA(Origene)を含めて内部標準をアガロースゲルに含ませて、RNaseの汚染をモニターすると共に対照のrRNAバンドを同定した。
ImageJソフトウェアを用いて電気泳動図をデジタル式に定量化した。簡潔にいうと、垂直の線を各々のレーンの頂部から底部に引き、画素強度(グレー値任意単位)を、Plot Profile関数を用いて線間隔(cm)の関数としてプロットした。ゲノムDNA及び28s/18s rRNAに対応するピークを同定し、28s:18s rRNAの比の値を計算するのに用いた。
図1は、電気溶出を用いてセルロースから回収された核酸の代表的な電気泳動図を示す。高分子量のゲノムDNA及び28s/18s rRNAバンドが示されている。
図1は、さらに、Image Jを用いたDNA及びRNAの定量化を示す。パネルAの各レーンの上から下まで垂直の線が引かれており、画素強度(グレー値任意単位)がPlot Profile関数を用いて線間隔(cm)の関数としてプロットされている。ゲノムDNA及び28s/18s rRNAに対応するピークを「箱」に囲って示す。
実施例2 RNAの抽出及び貯蔵のための好都合な条件の経験的な決定
この実施例の主たる目的は、セルロース紙上のRNAの保存に対する、各々の単一の因子の効果、及び試験した因子(例えば、キレート化剤、緩衝剤、pH、タンパク質変性剤、還元剤、及びペプチドRNase阻害剤)の組合せの効果を評価することであった。この実施例の追加の局面は、還元剤(DTT)の存在が、タンパク質変性剤の効果を高めることが可能であるか否かを評価することであった。
この実施例の主たる目的は、セルロース紙上のRNAの保存に対する、各々の単一の因子の効果、及び試験した因子(例えば、キレート化剤、緩衝剤、pH、タンパク質変性剤、還元剤、及びペプチドRNase阻害剤)の組合せの効果を評価することであった。この実施例の追加の局面は、還元剤(DTT)の存在が、タンパク質変性剤の効果を高めることが可能であるか否かを評価することであった。
ここでもJurkat細胞を全細胞RNA源として利用し、細胞を直接セルロース紙試料上に付け、空気−乾燥して典型的な末端使用者の用途を模倣した。先の実施例1に記載したプロトコルに従って、全細胞RNAを電気溶出により1%アガロースゲル中に回収し、既知の標準に基づいて28s:18s rRNA含量を分析した。図2のグラフの各バーの下に挙げた成分を含有する試料を10日間室温でデシケーターキャビネット内に貯蔵した後分析した。
実施例2の結果を図2に示す。各バーの上の数字は、28sと18s rRNAの比の値に対応する。28s:18sの比の値>1は一般にインタクトなRNAを示す。RNaseを不活化する還元剤(DTT)若しくはSUPERase−Inを含まない試料、又はアルカリ性のpHを有する試料を含めて幾つかの組成物はrRNAを安定化しなかった。GITC、DTT、及び中性の緩衝剤を含有する試料は試験した全ての他の試薬の組合せより性能が優れていた。
実施例3 RNAの抽出及び貯蔵のための好都合な条件の継続した経験的な決定
RNAを貯蔵するための鍵となる重要な成分が実施例2で同定された後、DTT及びSDSの単独又は組合せのRNAを保存する能力に対する効果、並びにGITC/DTTの組合せにフリーラジカル捕捉剤及びキレート化剤を追加することの、実施例2で好都合なRNA安定化特性を性能に対する効果を調べるために実施例3を立案した。
RNAを貯蔵するための鍵となる重要な成分が実施例2で同定された後、DTT及びSDSの単独又は組合せのRNAを保存する能力に対する効果、並びにGITC/DTTの組合せにフリーラジカル捕捉剤及びキレート化剤を追加することの、実施例2で好都合なRNA安定化特性を性能に対する効果を調べるために実施例3を立案した。
Jurkat細胞を直接セルロース紙試料上に付け、空気−乾燥して典型的な末端使用者の用途を模倣した。先の実施例1に記載したプロトコルに従って全細胞RNAを電気溶出により1%アガロースゲル中に回収し、既知の標準に基づいて28s:18s rRNA含量を分析した。セルロース試料を13日間室温でデシケーターキャビネット内に貯蔵した後分析した。各バーの上の数字は28s対18s rRNAの比の値に対応する。28s:18sの比の値>1は一般にインタクトなRNAを示す。実施例3の結果は図3に示した。
実施例4 RNAの抽出及び貯蔵のための好都合な条件の継続した経験的な決定
RNAを貯蔵するための追加の重要な成分が実施例3で同定された後、より良好な安定性を有し臭いがずっと少ない代わりの還元剤(TCEP)をDTTの代わりに用いることができるかどうか調べるために実施例4を立案した。本実施例に導入されたもう1つの因子はバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、すなわち小分子RNase阻害剤であった。これらの変更を比較し、rRNAを安定化する能力を評価した。
RNAを貯蔵するための追加の重要な成分が実施例3で同定された後、より良好な安定性を有し臭いがずっと少ない代わりの還元剤(TCEP)をDTTの代わりに用いることができるかどうか調べるために実施例4を立案した。本実施例に導入されたもう1つの因子はバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、すなわち小分子RNase阻害剤であった。これらの変更を比較し、rRNAを安定化する能力を評価した。
Jurkat細胞を直接セルロース紙試料に付け、空気−乾燥して典型的な末端使用者の用途を模倣した。先の実施例1に記載したプロトコルに従って、全細胞RNAを電気溶出により1%アガロースゲル中に回収し、既知の標準に基づいて28s:18s rRNA含量を分析した。セルロース試料を10日間室温でデシケーターキャビネット内に貯蔵した後分析した。各バーの上の数字は28s対18s rRNAの比の値に対応する。28s:18sの比の値>1は一般にインタクトなRNAを示す。実施例4の結果は図4に示した。
実施例5 セルロース上におけるRNAの貯蔵に対する選択組成物の長期の性能
実施例5は、選択組成物の30日間室温で貯蔵後の長期の性能を評価するために立案された。Jurkat細胞を直接セルロース紙試料上に付け、空気−乾燥して典型的な末端使用者の用途を模倣した。先の実施例1に記載したプロトコルに従って、全細胞RNAを電気溶出により1%アガロースゲル中に回収し、既知の標準に基づいて28s:18s rRNA含量を分析した。セルロース試料を30日間室温でデシケーターキャビネット内に貯蔵した後分析した。各バーの上の数字は28s対18s rRNAの比の値に対応する。28s:18sの比の値>1は一般にインタクトなRNAを示す。実施例5の結果は図5に示した。
実施例5は、選択組成物の30日間室温で貯蔵後の長期の性能を評価するために立案された。Jurkat細胞を直接セルロース紙試料上に付け、空気−乾燥して典型的な末端使用者の用途を模倣した。先の実施例1に記載したプロトコルに従って、全細胞RNAを電気溶出により1%アガロースゲル中に回収し、既知の標準に基づいて28s:18s rRNA含量を分析した。セルロース試料を30日間室温でデシケーターキャビネット内に貯蔵した後分析した。各バーの上の数字は28s対18s rRNAの比の値に対応する。28s:18sの比の値>1は一般にインタクトなRNAを示す。実施例5の結果は図5に示した。
実施例6 血液由来のRNAの安定性分析
実施例6は、様々な緩衝条件で新鮮な全血を有する選択紙組成物の性能を評価するために立案された。およそ50μLのラット全血を被験体の尾静脈から採取し、表示した緩衝剤成分で調製されたRNA安定化用の紙上にスポットして付けた。カードを乾燥し、周囲温度であるが制御された湿度(〜20%相対湿度)で5〜22日間貯蔵した。RNAを7mmセンターパンチから溶解緩衝剤中に抽出し、当技術分野で公知のプロトコルに従ってシリカ−膜スピンカラムに通して精製した。精製及び溶出後、RNA Integrity Number(RIN)を、RNA 6000 Pico LabChipsを用いるAgilent 2100 Bioanalyzerで測定した。慣習により、RIN>5は良好であるが、RIN>6はRT−PCR又はマイクロアレイ適用のような定量的下流分析に最良である。実施例6の結果は図6に示す。
実施例6は、様々な緩衝条件で新鮮な全血を有する選択紙組成物の性能を評価するために立案された。およそ50μLのラット全血を被験体の尾静脈から採取し、表示した緩衝剤成分で調製されたRNA安定化用の紙上にスポットして付けた。カードを乾燥し、周囲温度であるが制御された湿度(〜20%相対湿度)で5〜22日間貯蔵した。RNAを7mmセンターパンチから溶解緩衝剤中に抽出し、当技術分野で公知のプロトコルに従ってシリカ−膜スピンカラムに通して精製した。精製及び溶出後、RNA Integrity Number(RIN)を、RNA 6000 Pico LabChipsを用いるAgilent 2100 Bioanalyzerで測定した。慣習により、RIN>5は良好であるが、RIN>6はRT−PCR又はマイクロアレイ適用のような定量的下流分析に最良である。実施例6の結果は図6に示す。
実施例7 RNA安定性に対するUV保護の影響
実施例7は、選択乾燥マトリクス中に存在するUV抑制剤及び遊離基捕捉剤によるmRNA保護を立証するために立案された。DNAを含まない全Jurkat RNA(1μg)を、表示した成分を含有するRNA紙上に二つ組で(in duplicate)でスポットした。各々のカードを分割し、一方の半分を暗所に35℃で20時間保ち、他の半分はQ−SUN Xe−1 Xenon試験チャンバー内で20時間(35℃、0.3W/cm2、340nm)処理して、太陽光の全スペクトルを複製した(全エネルギー21.7kJ/m2)。各々の試料から1.2mmのパンチを採り、直接逆転写酵素反応液中に滴下してcDNAライブラリーを作成し、次いでこれをqPCRによりHPRT1及びクラスリンmRNAに特異的なプライマーに対して探索した(probed)。UVに露光した試料に対するサイクル閾値(CT)を暗所に貯蔵した未処理のつがいの一方のCTから差し引いた。実施例7の結果は図7に示す。
実施例7は、選択乾燥マトリクス中に存在するUV抑制剤及び遊離基捕捉剤によるmRNA保護を立証するために立案された。DNAを含まない全Jurkat RNA(1μg)を、表示した成分を含有するRNA紙上に二つ組で(in duplicate)でスポットした。各々のカードを分割し、一方の半分を暗所に35℃で20時間保ち、他の半分はQ−SUN Xe−1 Xenon試験チャンバー内で20時間(35℃、0.3W/cm2、340nm)処理して、太陽光の全スペクトルを複製した(全エネルギー21.7kJ/m2)。各々の試料から1.2mmのパンチを採り、直接逆転写酵素反応液中に滴下してcDNAライブラリーを作成し、次いでこれをqPCRによりHPRT1及びクラスリンmRNAに特異的なプライマーに対して探索した(probed)。UVに露光した試料に対するサイクル閾値(CT)を暗所に貯蔵した未処理のつがいの一方のCTから差し引いた。実施例7の結果は図7に示す。
実施例8 周囲条件下での紙上の還元剤の安定性
Whatman(商標)の31ETFセルロース系紙をTris緩衝液(pH7.4)中のGITCの存在下での増大する濃度のTCEP又はDTTに浸した。セルロース系紙を湿度調節をしないで室温で貯蔵した。5、19、及び105日に、5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(「DTNB」)を各々の紙試料上に載せた。活性な還元剤の存在下で、瞬時の黄変が観察された。周囲条件下で105日までの貯蔵において、全ての濃度のTCEP溶液を塗布したセルロース紙は活性のままであり、紙の白色から黄色への色の変化で示されるようにDTNBを還元することができた。DTTに浸した紙試料はDTNBを還元することができなかったので、紙の色は白色のままであった。これらの点はその意味が書面で表わされていないので、本明細書には含めないが、審査官から要請があれば提出する用意がある。DTNBの還元に関連する化学反応はClineら(2004)Biochemistry 43:15195−15203に見られる。
Whatman(商標)の31ETFセルロース系紙をTris緩衝液(pH7.4)中のGITCの存在下での増大する濃度のTCEP又はDTTに浸した。セルロース系紙を湿度調節をしないで室温で貯蔵した。5、19、及び105日に、5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(「DTNB」)を各々の紙試料上に載せた。活性な還元剤の存在下で、瞬時の黄変が観察された。周囲条件下で105日までの貯蔵において、全ての濃度のTCEP溶液を塗布したセルロース紙は活性のままであり、紙の白色から黄色への色の変化で示されるようにDTNBを還元することができた。DTTに浸した紙試料はDTNBを還元することができなかったので、紙の色は白色のままであった。これらの点はその意味が書面で表わされていないので、本明細書には含めないが、審査官から要請があれば提出する用意がある。DTNBの還元に関連する化学反応はClineら(2004)Biochemistry 43:15195−15203に見られる。
実施例9 還元剤のエージングの定性分析
31ETFセルロース紙試料はいろいろな濃度の還元剤TCEP又はDTTを含むTris緩衝液(pH7.4)中にGITCを含有していた。紙試料を、1)21℃、10%相対湿度、2)21℃、80%相対湿度、3)41℃、10%相対湿度といういろいろな条件で貯蔵した。
31ETFセルロース紙試料はいろいろな濃度の還元剤TCEP又はDTTを含むTris緩衝液(pH7.4)中にGITCを含有していた。紙試料を、1)21℃、10%相対湿度、2)21℃、80%相対湿度、3)41℃、10%相対湿度といういろいろな条件で貯蔵した。
0、1、6、及び25日に、各々の条件でのセルロース紙の試料10mgをDTNB溶液に入れ、簡単に振盪し、カラー画像を撮影した。1日目、各々の環境条件でのTCEP試料は全てDTNB溶液の色を黄色に変えることができ、還元剤として機能可能なままであることを示した。対照的に、DTTは21℃、10%相対湿度でもDTNBの存在下で試料を黄色に変化させることができなかった。25日目、21℃、10%相対湿度に貯蔵したTCEP紙は機能的な還元活性を示し続けた。しかし、湿度又は温度のいずれかの増加は、還元剤としてのTCEP活性の顕著な低下の結果となり、温度と湿度の両方が還元剤としてのTCEPの機能に関連がある因子であることを示した。
実施例10 セルロース系紙上のTCEP活性の定性分析
さらにいろいろな緩衝液(Tris、pH7.4、MES、pH6.2、及びMPOS、pH7.0)中にGITC及びMEHQを含むTCEP組成物、並びに緩衝液を含まない対照試料を調製した。次に、セルロース系紙を各々上記溶液の異なる一つを塗布し、通気した50℃のオーブンですばやく乾燥し、アルミニウムホイルバッグ内に乾燥剤と共に密封して湿気を低く維持し、次に4℃、室温、又は41℃で貯蔵した。
さらにいろいろな緩衝液(Tris、pH7.4、MES、pH6.2、及びMPOS、pH7.0)中にGITC及びMEHQを含むTCEP組成物、並びに緩衝液を含まない対照試料を調製した。次に、セルロース系紙を各々上記溶液の異なる一つを塗布し、通気した50℃のオーブンですばやく乾燥し、アルミニウムホイルバッグ内に乾燥剤と共に密封して湿気を低く維持し、次に4℃、室温、又は41℃で貯蔵した。
図に示した(0、1、及び4)週に、DTMNを各々の3.6mmの紙パンチに加え、30分間撹拌した後、412nmでの液体の吸光度を測定するDTNB比色分析法を用いてTCEP活性を分析した。
全ての試料は4℃で安定であり、1月およそ100%の活性を維持する。室温では、1か月、TCEP活性は利用した緩衝剤に基づく変化を示した(例えば、MOPS(100%)>緩衝剤なし(90%)>MES(86%)>Tris(81%))。41℃で1月後、やはりTCEP活性の変化が観察された(例えば、MOPS(67%)>MES(63%)>Tris(48%)>緩衝剤なし(39%))。
全ての刊行物、特許文献、及び特許は援用により、個々の刊行物又は特許が各々具体的に表示されているのと同じように、本明細書の一部をなすものとする。
Claims (26)
- 試料からの核酸の抽出及び貯蔵のための固体マトリクスであって、1種以上のタンパク質変性剤、1種以上の還元剤、及び緩衝剤を含む組成物が固体マトリクス中に乾燥状態で存在する、固体マトリクス。
- 試料が生物学的試料である、請求項1記載の固体マトリクス。
- 固体マトリクス中に存在する組成物がさらに、UV抑制剤、遊離基捕捉剤、キレート剤、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1記載の固体マトリクス。
- 固体マトリクス中に存在する組成物がさらにRNase阻害剤を含む、請求項1記載の固体マトリクス。
- 固体マトリクスが周囲条件下において乾燥形態で核酸の長期の貯蔵を可能にする、請求項1記載の固体マトリクス。
- 核酸がRNA、DNA、又はこれらの組合せである、請求項5記載の固体マトリクス。
- 核酸がRNAである、請求項6記載の固体マトリクス。
- 固体マトリクスが、セルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、又はこれらの任意の組合せを含む多孔性マトリクスである、請求項1記載の固体マトリクス。
- 多孔性マトリクスがセルロース紙である、請求項8記載の固体マトリクス。
- タンパク質変性剤が、グアニジニウム塩酸塩、チオシアン酸グアニジニウム(GITC)、アルギニン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1記載の固体マトリクス。
- 還元剤が、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の固体マトリクス。
- 緩衝剤が、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(Tris)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、クエン酸緩衝剤、及びリン酸緩衝剤からなる群から選択される、請求項1記載の固体マトリクス。
- 緩衝剤が3〜8のpH範囲を有する、請求項12記載の固体マトリクス。
- UV保護剤又は遊離基捕捉剤が、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン(HQ)、トルヒドロキノン(THQ)、及びアスコルビン酸からなる群から選択される、請求項3記載の固体マトリクス。
- RNase阻害剤がバナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、ヌクレオチド類似体、又は市販のRNase阻害剤である、請求項4記載の固体マトリクス。
- 固体マトリクスが多孔性のセルロース性マトリクスであり、かつ
a)タンパク質変性剤がGITC、洗剤、又はこれらの組合せであり、
b)還元剤がDTT、TCEP、又はこれらの組合せであり、かつ
c)緩衝剤がTris、MES、又はMOPSである、請求項1記載の固体マトリクス。 - さらに遊離基捕捉剤を含み、遊離基捕捉剤がMEHQ、HQ、THQ、又はアスコルビン酸を含む、請求項16記載の固体マトリクス。
- 核酸を試料から抽出し貯蔵する方法であって、
a)固体マトリクスを提供し、ここで1種以上のタンパク質変性剤、1種以上の還元剤、緩衝剤、及び場合により遊離基捕捉剤を含む組成物が乾燥状態で固体マトリクス中に存在し、
b)試料を固体マトリクスに適用して核酸を収集し、
c)固体マトリクスを乾燥し、
d)周囲条件下において核酸を乾燥状態で固体マトリクス上に貯蔵する
ことを含む方法。 - 方法がさらに、固体マトリクスから核酸を回収することを含む、請求項18記載の方法。
- 試料が生物学的試料である、請求項18記載の方法。
- 生物学的試料が血液、血清、組織、唾液、又は細胞である、請求項20記載の方法。
- 試料が精製した核酸試料又は組織培養細胞調製物である、請求項18記載の方法。
- 核酸を安定化し保存するための固体マトリクスに試料を適用する前に試料から核酸を精製する必要がない、請求項18記載の方法。
- 方法が周囲条件下における乾燥形態でのRNAの長期の貯蔵を可能にする、請求項18記載の方法。
- マトリクスを水溶液、緩衝液、又は有機溶液に再水和することにより固体マトリクスから核酸を回収し、核酸をさらなる分析に付す、請求項19記載の方法。
- 核酸を電気溶出により固体マトリクスから回収する、請求項19記載の方法。
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