<実施形態1>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、銀行等の窓口に設置され、左右のテラーにより使用される貨幣入出金機が、貨幣処理装置の一例として示されている。なお、各図には、適宜、貨幣入出金機の上下、左右および前後を示す矢印が付されている。
なお、実施形態1においては、貨幣入出金機1が、特許請求の範囲に記載の「貨幣処理装置」に対応する。また、硬貨入金口13および硬貨受け入れ部101が、特許請求の範囲に記載の「入金部」に対応し、硬貨出金ボックス16a、16bが、特許請求の範囲に記載の「出金部」に対応する。また、分岐機構109、110が、特許請求の範囲に記載の「分岐部」に対応し、硬貨回収部113が、特許請求の範囲に記載の「回収部」に対応する。また、硬貨収納部102が、特許請求の範囲に記載の「第1収納部」に対応し、一時保留部103が、特許請求の範囲に記載の「第2収納部」に対応する。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態1の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態1の構成に何ら限定されるものではない。
図1は、貨幣入出金機1の構成を示す斜視図である。図2は、貨幣入出金機1に搭載された硬貨入出金ユニット12を上方から見た構成を模式的に示す図である。
貨幣入出金機1は、銀行等の金融機関における窓口カウンタの内側で窓口業務を行う2人のテラー(操作者)の間に設置される。貨幣入出金機1は、各テラーによって操作される上位端末2に通信ケーブル3を介して接続されている。
貨幣入出金機1は、外郭を構成する外装体10内に、紙幣入出金ユニット11と硬貨入出金ユニット12とを備える。紙幣入出金ユニット11は、外装体10内の下側に設けられ、紙幣の入金処理、出金処理等を行う。硬貨入出金ユニット12は、外装体10内の上側に設けられ、硬貨の入金処理、出金処理等を行う。
図1に示すように、外装体10は、左右方向の横幅よりも前後方向の奥行が長く、上下方向の高さが左右方向の横幅よりも高いほぼ直方体形状を有する。外装体10は、本体10aと、本体10aの前上部に設けられた外装カバー10bと、本体10aの前面に設けられた扉10cとを備える。たとえば、外装カバー10bは樹脂材料で形成され、本体10aおよび扉10cは金属材料で形成される。
外装カバー10bには、上面に硬貨入金口13が形成され、前面に紙幣出金口14が形成され、上面から前面にかけて湾曲する湾曲面に紙幣入金口15が形成される。これら硬貨入金口13、紙幣出金口14および紙幣入金口15は、それぞれ、シャッター13a、14a、15aにより開閉される。
また、外装カバー10bの下部の左右方向の両端には、それぞれ、硬貨出金ボックス16a、16bが設置されている。これら硬貨出金ボックス16a、16bは、前方へ引き出して取り外すことができる。硬貨出金ボックス16a、16bは、ロック機構によって装着位置にロックされる。2つの硬貨出金ボックス16a、16bは、互いに同じ形状(左右対称)で、且つ、同等の容量を有している。これら2つの硬貨出金ボックス16a、16bは、硬貨を取り出すための出金部を構成する。
外装カバー10bの後部には、操作表示部17が設けられている。操作表示部17は、前方斜め上方を向くように外装カバー10bに固定されている。操作表示部17は、ディスプレイとタッチセンサとからなるタッチパネルで構成される。操作表示部17は、ディスプレイに各種の画像(画面)を表示するとともに、ディスプレイに対するユーザのタッチ操作をタッチセンサにより検出する。
外装カバー10bの上面における硬貨入金口13の両側の領域には、4つの占有キー18が設けられる。4つの占有キー18は、それぞれ、左側および右側の操作者が貨幣入出金機1の紙幣に係る取引処理の占有を指示するために操作される占有キー18a、18bと、それぞれ、左側および右側のテラーが貨幣入出金機1の硬貨に係る取引処理の占有を指示するために操作される占有キー18c、18dとからなっている。占有キー18a〜18dは、それぞれ、所定の発光色で点灯可能に構成されている。
さらに、外装カバー10bの前面には、硬貨出金ボックス16a、16bの直上位置にそれぞれランプ19a、19bが設けられている。ランプ19a、19bは、たとえば、LEDにより構成される。また、ロック機構が解除されて硬貨出金ボックス16a、16bが取り外し可能となった場合に、ランプ19a、19bが点灯する。
図2に示すように、硬貨入出金ユニット12は、硬貨受け入れ部101と、3つの硬貨収納部102と、一時保留部103と、を備える。
硬貨受け入れ部101は、硬貨入金口13の下方に配置され、硬貨入金口13に投入された硬貨を受け入れる。硬貨入金口13に投入された硬貨は、硬貨受け入れ部101に落下する。3つの硬貨収納部102は、それぞれ、直方体形状の箱体からなっている。3つの硬貨収納部102は、それぞれ、所定金種の硬貨を収納する。本実施形態1では、1つの硬貨収納部102に2つの金種が割り当てられている。たとえば、3つの硬貨収納部102は、硬貨入出金ユニット12の前側から順番に、1円硬貨および5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を収納する。
一時保留部103は、入出金処理や、硬貨収納部102に収納された硬貨を回収する処理等において、硬貨を一時的に収納する。一時保留部103は、直方体形状の箱体からなっている。本実施形態1では、後述のように、一時保留部103が、出金用の硬貨を収納および放出するための収納部として共用される。
さらに、硬貨入出金ユニット12は、硬貨受け入れ部101に対応づけられた繰出機構104と、3つの硬貨収納部102にそれぞれ対応づけられた繰出機構105と、一時保留部103に対応づけられた繰出機構106と、搬送部107と、識別部108と、を備えている。
繰出機構104は、硬貨受け入れ部101に受け入れられた硬貨を、1枚ずつ搬送部107に繰り出す。3つの繰出機構105は、それぞれ、対応する硬貨収納部102に収納されている硬貨を、1枚ずつ搬送部107に繰り出す。繰出機構106は、一時保留部103に収納されている硬貨を、1枚ずつ搬送部107に繰り出す。
搬送部107は、時計回りの方向に循環移動を行う循環ベルト107aを備えている。この循環ベルト107aには、複数の突起部分(図示せず)が等間隔で設けられている。循環ベルト107aに設けられた各突起部分に硬貨が引っかかることにより、循環ベルト107aの循環移動に伴って、硬貨が1枚ずつ搬送される。こうして、上記各繰出機構により繰り出された硬貨が、循環ベルト107aの循環経路に沿って搬送される。
識別部108は、硬貨の搬送経路上に設けられ、搬送部107によって1枚ずつ搬送される硬貨の金種および真偽等を識別する。識別部108における硬貨の識別情報は、後述する制御部201に送信される。
さらに、硬貨入出金ユニット12は、一時保留部103に対応づけられた分岐機構109と、3つの硬貨収納部102にそれぞれ対応づけられた分岐機構110と、硬貨受け入れ部101に対応づけられた分岐機構111と、硬貨出金ボックス16aに対応付けられた分岐機構112と、硬貨回収部113と、を備えている。
分岐機構109は、搬送部107によって搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて一時保留部103に送る。3つの分岐機構110は、それぞれ、搬送部107によって搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて、対応する硬貨収納部102に送る。分岐機構111は、搬送部107により搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて、硬貨を硬貨入金口13(硬貨受け入れ部101)に移送する移送部(図示せず)に送る。分岐機構112は、搬送部107により搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて、硬貨を硬貨出金ボックス16aと硬貨回収部113に振り分ける振分機構(図示せず)に送る。分岐機構112で分岐されなかった硬貨は、全て、搬送部107によって硬貨出金ボックス16bに送られる。
硬貨回収部113は、図1に示した紙幣入出金ユニット11を支持する支持ユニット(図示せず)に支持されている。扉10cを開放して支持ユニットを引き出すことにより、紙幣入出金ユニット11とともに硬貨回収部113を外部に引き出すことができる。
図3は、貨幣入出金機1の構成を示すブロック図である。図3には、硬貨入出金ユニット12に関する主要な構成が示されており、紙幣入出金ユニット11に関する各部の構成は省略されている。
図3に示すように、貨幣入出金機1は、上述の紙幣入出金ユニット11、操作表示部17、占有キー18、ランプ19a、19b、シャッター13a、14a、15a、繰出機構104、105、106、搬送部107、識別部108、分岐機構109、110、111、112および硬貨回収部113の他、制御部201、記憶部202および通信部203を備えている。
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部202に記憶された動作プログラムに従って各部を制御する。記憶部202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部201の動作プログラムを記憶し、また、制御部201の制御処理の際にワーク領域として利用される。通信部203は、上位端末2との間で通信を行う。
貨幣入出金機1の左右両側にいる操作者(テラー)は、それぞれ、貨幣入出金機1を使用して入金処理、出金処理、計数処理などの取引処理を行うことができる。計数処理には、貨幣(紙幣、硬貨)の枚数を単純に計数する単純計数処理と、貨幣の枚数を計数するとともに同じ金種の貨幣を所定枚数単位にまとめる整理計数処理とが含まれる。各操作者は、貨幣入出金機1に対して、貨幣入出金機1の処理を占有する操作(占有操作)を行った後に、操作表示部17上で所定の操作を行って自身の取引処理を実行する。
なお、取引処理が入金処理または出金処理である場合には、占有操作がなされる前あるいはなされた後に、上位端末2において金額等の入力を含む入金操作または出金操作が行われる。入金操作または出金操作に基づいて、上位端末2から貨幣入出金機1へ入金コマンドまたは出金コマンドが送信される。
また、取引処理が計数処理である場合には、占有操作がなされた後に、操作表示部17上で単純計数処理または整理計数処理の何れを行うかの選択が行われる。この選択は、上位端末2でも行うことができ、この場合は、単純計数コマンドまたは整理計数コマンドが、上位端末2から貨幣入出金機1へ送信される。
なお、2つの上位端末2は、それぞれ、貨幣入出金機1を挟む左右の操作者の配備位置と対応付けられている。すなわち、貨幣入出金機1には、貨幣入出金機1の右側の配備位置に対して一方の上位端末2を対応付け、貨幣入出金機1の左側の配備位置に対して他方の上位端末2を対応付ける設定がなされている。各テラーは、自身の配備位置に対応付けられた上位端末2から上記コマンドを送信するための入力を行う。上記コマンドの送信において、各上位端末2は、自身の識別情報を付してコマンドを送信する。コマンドを受信した貨幣入出金機1は、識別情報をもとに、受信したコマンドが何れの配備位置の処理に供されるものであるかを識別する。
次に、貨幣入出金機1に対し出金操作および入金操作が行われた場合の硬貨入出金ユニット12における硬貨の処理動作について説明する。
<出金処理>
図4(a)は、硬貨の出金処理を示すフローチャートである。
出金処理に先立ち、制御部201は、所定の条件で一時保留部103に各金種の硬貨を収納させる処理を行う(S101)。ここでは、一時保留部103に収納される硬貨の合計金額が999円になることが、ステップS101の所定の条件に設定されている。以下、ステップS101において行われる処理のことを、「出金準備処理」と称する。
図5は、出金準備処理時における硬貨の流れを模式的に示す図である。図5において、点線は、一時保留部103に収納される硬貨の流れを示し、破線は、硬貨収納部102に戻される硬貨の流れを示している。
出金準備処理において、制御部201は、3つの繰出機構105により各硬貨収納部102から硬貨を繰り出して、搬送部107に供給する。繰り出された硬貨は、搬送部107により搬送される途中で、識別部108により金種が識別される。制御部201は、999円の収納に必要な硬貨を、分岐機構109により一時保留部103へと送り、その他の硬貨を、3つの分岐機構110の何れかにより、対応する硬貨収納部102へと戻す。具体的には、たとえば500円硬貨と50円硬貨と5円硬貨が各1枚と、100円硬貨と10円硬貨と1円硬貨が各1枚である。これにより、一時保留部103に999円の硬貨が収納されると、制御部201は、出金準備処理を終了する。
図4(a)に戻り、制御部201は、操作表示部17に対して出金操作がなされたか否かを判定する(S102)。出金操作がなされると(S102:YES)、制御部201は、一時保留部103に収納されている999円分の硬貨を順次、繰出機構106により繰り出して、搬送部107に供給する(S103)。繰り出された各硬貨は、搬送部107による搬送過程において、識別部108により、金種が識別される。制御部201は、各硬貨の金種に基づき、各硬貨に対して、選別処理を実行する(S104)。
図4(b)は、選別処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
制御部201は、一時保留部103から繰り出された各硬貨が、出金されるべき硬貨であるか否かを判定する(S201)。
たとえば、操作入力された出金金額が3456円である場合、456円分の硬貨が出金される。この場合、100円硬貨4枚と、50円硬貨1枚と、5円硬貨1枚と、1円硬貨1枚が、ステップS201において、出金対象の硬貨とされる。したがって、一時保留部103に収納されている999円分の硬貨のうち、1枚の500円硬貨および4枚の10円硬貨は、何れも出金対象外であり、4枚の100円硬貨、1枚の50円硬貨および1枚の5円硬貨は、何れも、出金対象である。また、一時保留部103に収納されている4枚の1円硬貨のうち、1枚は、出金対象であり、残り3枚は出金対象外である。
一時保留部103から繰り出された硬貨が、出金されるべき硬貨である場合(S201:YES)、制御部201は、当該硬貨を、硬貨出金ボックス16a、16bのうち、処理を占有するテラー側の硬貨出金ボックスへ搬送させる(S202)。他方、一時保留部103から繰り出された硬貨が、出金されるべき硬貨でない場合(S201:NO)、制御部201は、当該硬貨を、当該硬貨の金種に対応する硬貨収納部102へ搬送させる(S203)。
図6は、選別処理における硬貨の流れを模式的に示す図である。図6において、点線は、出金される硬貨の流れを示し、破線は、硬貨収納部102に戻される硬貨の流れを示している。ここでは、右側の硬貨出金ボックス16aが出金先となっている。
一時保留部103から繰り出された硬貨のうち、出金対象の硬貨は、硬貨出金ボックス16aへ搬送される。出金対象でない硬貨は、分岐機構110により、対応する金種の硬貨収納部102に戻される。
たとえば、上記のように、456円の硬貨が出金される場合、500円および10円の硬貨が一時保留部103から繰り出されると、これらの硬貨は、硬貨収納部102へと戻され、100円、50円および5円の硬貨が一時保留部103から繰り出されると、これらの硬貨は、硬貨収納部102へと硬貨出金ボックス16aへと搬送される。また、一時保留部103から切り出された1枚目の1円硬貨は、硬貨出金ボックス16aへと搬送され、2枚目以降の1円硬貨は、1円を収納する硬貨収納部102に戻される。
図4(a)に戻り、制御部201は、出金額に応じた出金が行われるまで(S105:YES)、ステップS103、S104の処理を実行する。こうして、出金額に応じた出金が行われると(S105:YES)、制御部201は、繰出機構106による繰出動作を終了させて(S106)、処理を終了する。
このように、一時保留部103における硬貨の繰り出しは、出金金額に対応する硬貨が硬貨出金ボックス16a、16bに搬送されることに応じて終了する。たとえば、上記のように、456円の硬貨が出金される場合、100円硬貨4枚と、50円硬貨1枚と、5円硬貨1枚と、1円硬貨1枚が、識別部108により識別されたことに応じて、一時保留部103における硬貨の繰り出しが終了する。この場合、一時保留部103から繰り出されなかった硬貨は、一時保留部103に残留する。その後、図4(a)のステップS101における出金準備処理により、999円に対して不足する金額の硬貨が、対応する硬貨収納部102から繰り出されて、一時保留部103へと搬送される。
なお、出金処理時には、上記のように一時保留部103の硬貨を残留させることなく、出金対象外の硬貨も全て一時保留部103から繰り出して、対応する金種の硬貨収納部102に戻すようにしてもよい。この場合、出金処理後に行われる出金準備処理(図4(a)のステップS101)により、999円分の硬貨が、3つの硬貨収納部102から繰り出されて、一時保留部103へと搬送される。
なお、図4(b)の選別処理では、出金対象外の硬貨が、対応する金種の硬貨収納部102に戻されたが(S203)、出金対象外の硬貨が、一時保留部103に戻されてもよい。
図4(c)は、この場合の選別処理を示すフローチャートである。
図4(c)の選別処理では、一時保留部103から繰り出された硬貨が、出金されるべき硬貨でない場合(S201:NO)、制御部201は、当該硬貨を、一時保留部103へ搬送させる(S210)。
図7は、この選別処理における硬貨の流れを模式的に示す図である。
出金対象の硬貨は、図6の場合と同様、硬貨出金ボックス16aへと搬送される。これに対し、出金対象外の硬貨は、図6の場合と異なり、分岐機構109により一時保留部103に送られる。
この構成によれば、999円分の硬貨のうち、出金対象でない硬貨は、出金処理後に、必ず、一時保留部103に残留する。このため、出金処理後の出金準備処理により一時保留部103に補充される硬貨を少なくすることができる。よって、出金準備処理を、より効率的に行うことができる。しかし、その反面、この構成では、出金対象外の硬貨が、出金処理の途中で一時保留部103に戻されて、再び、一時保留部103から繰り出されることが起こり得る。このため、出金処理の効率がやや低下することが起こり得る。したがって、出金処理をより効率的に進めるためには、図4(b)および図6に示すように、出金対象外の硬貨を一時保留部103に戻さずに、対応する金種の硬貨収納部102に搬送することが好ましいと言える。
<入金処理>
図8(a)は、硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
硬貨の入金処理において、操作者は、操作表示部17等に対して入金のための入力を行い、さらに、硬貨入金口13から入金対象の硬貨を投入する。投入された硬貨は、硬貨受け入れ部101に受け入れられる。こうして入金操作が行われると(S301:YES)、制御部201は、硬貨入金口13に投入された硬貨を、繰出機構104によって1枚ずつ、硬貨受け入れ部101から搬送部107に繰り出して、一時保留部103へと搬送させる(S302)。搬送の途中で、各硬貨の金種が識別部108によって識別される。制御部201は、各硬貨に対する金種の識別結果に基づいて、一時保留部103に搬送された入金用の硬貨の総額を把握する。
本実施形態では、上記のように、出金用の999円分の硬貨が予め一時保留部103に収納されている。このため、入金処理時には、入金された硬貨と、出金用の999円分の硬貨が、一時保留部103において混在することになる。
その後、操作表示部17に対して入金を確定させる入力が行われると(S303:YES)、制御部201は、繰出機構106により、一時保留部103から全ての硬貨を順次繰り出して、各硬貨を、それぞれ、分岐機構110により、対応する金種の硬貨収納部102へと送る(S304)。これにより、硬貨の入金処理が終了する。
他方、操作表示部17に対して入金を解消させる入力、すなわち、返却のための操作が行われると(S303:NO、S305:YES)、制御部201は、返却処理を実行する(S306)。
図8(b)は、返却処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
制御部201は、一時保留部103から繰り出された各硬貨が、返却されるべき硬貨であるか否かを判定する(S401)。
たとえば、入金時に投入された硬貨の総額が838円である場合、一時保留部103には、返却処理の際に、出金用の999円分の硬貨と併せて、1837円の硬貨が収納されている。制御部201は、一時保留部103に収納されている1837円分の硬貨のうち、入金時に投入された838円分の硬貨を返却対象に設定する。具体的には、制御部201は、500円硬貨1枚と、100円硬貨3枚と、10円硬貨3枚と、5円硬貨1枚と、1円硬貨3枚を返却対象に設定する。
この場合、一時保留部103に収納されている2枚の500円硬貨のうち、最初に一時保留部103から繰り出された500円硬貨は返却対象とされ、2番目に繰り出された500円硬貨は、返却対象外とされる。また、一時保留部103に収納されている7枚の100円硬貨のうち、1番目から3番目に一時保留部103から繰り出された100円硬貨は返却対象とされ、4番目以降に繰り出された100円硬貨は、返却対象外とされる。10円、5円、1円硬貨も同様である。50円硬貨は、出金用として収納されていた1枚のみであるため、返却対象外である。
一時保留部103から繰り出された硬貨が、返却対象の硬貨である場合(S401:YES)、制御部201は、当該硬貨を、硬貨出金ボックス16a、16bのうち、処理を占有するテラー側の硬貨出金ボックスへ搬送させる(S402)。他方、一時保留部103から繰り出された硬貨が、返却対象の硬貨でない場合(S401:NO)、制御部201は、当該硬貨を、当該硬貨の金種に対応する硬貨収納部102へ搬送させる(S403)。
図9(a)は、硬貨の入金処理において、投入された硬貨が一時保留部103に収納される流れを模式的に示す図である。図9(b)は、図8(b)の返却処理が行われる場合の硬貨の流れを模式的に示す図である。図9(b)において、点線は、返却される硬貨の流れを示し、破線は、硬貨収納部102に戻される硬貨の流れを示している。ここでは、右側の硬貨出金ボックス16aが返却先となっている。
図9(a)に示すように、入金処理において硬貨入金口13に投入された硬貨は、一旦、一時保留部103に収納される。このとき、一時保留部103には、予め、999円分の出金用の硬貨が収納されている。このため、硬貨入金口13に投入された硬貨は、一時保留部103において、999円分の出金用の硬貨と混ざり合う。よって、返却処理時には、一時保留部103に収納されている硬貨のうち、硬貨入金口13に投入された硬貨と同額の硬貨が、硬貨出金ボックス16aへと搬送される必要がある。
図9(b)に示すように、硬貨返却時には、一時保留部103から繰り出された硬貨のうち、返却対象の硬貨は、硬貨出金ボックス16aへ搬送される。返却対象でない硬貨は、分岐機構110により、対応する金種の硬貨収納部102に戻される。
たとえば、上記のように、838円の硬貨が投入された場合、50円の硬貨が一時保留部103から繰り出されると、この硬貨は、返却対象外であるため、硬貨収納部102へと戻される。その他の金種の硬貨が一時保留部103から繰り出されると、これらの硬貨は、返却総額が838円に到達するまでは、硬貨出金ボックス16aに搬送され、返却総額が838円に到達した後は、対応する金種の硬貨収納部102へと搬送される。
なお、一時保留部103における硬貨の繰り出しは、投入金額に対応する硬貨が硬貨出金ボックス16a、16bに搬送されることに応じて終了する。たとえば、上記のように、838円の硬貨が返却される場合、500円硬貨1枚と、100円硬貨3枚と、10円硬貨3枚と、5円硬貨1枚と、1円硬貨3枚が、識別部108により識別されたことに応じて、一時保留部103における硬貨の繰り出しが終了する。この場合、一時保留部103から繰り出されなかった硬貨は、一時保留部103に残留する。その後、図4(a)のステップS101における出金準備処理により、999円に対して不足する金額の硬貨が、対応する硬貨収納部102から繰り出されて、一時保留部103へと搬送される。
なお、返却処理時には、上記のように一時保留部103の硬貨を残留させることなく、出金対象外の硬貨も全て一時保留部103から繰り出して、対応する金種の硬貨収納部102に戻すようにしてもよい。この場合、出金処理後に行われる出金準備処理(図4(a)のステップS101)により、999円分の硬貨が、3つの硬貨収納部102から繰り出されて、一時保留部103へと搬送される。
なお、図8(b)の返却処理では、返却対象外の硬貨が、対応する金種の硬貨収納部102に戻されたが(S403)、返却対象外の硬貨が、一時保留部103に戻されてもよい。
図8(c)は、この場合のサブルーチンを示すフローチャートである。
図8(c)の返却処理では、一時保留部103から繰り出された硬貨が、返却されるべき硬貨でない場合(S401:NO)、制御部201は、当該硬貨を、一時保留部103へ搬送させる(S410)。
図9(c)は、この返却処理における硬貨の流れを模式的に示す図である。
返却対象の硬貨は、図9(b)の場合と同様、硬貨出金ボックス16aへと搬送される。これに対し、返却対象外の硬貨は、図9(b)の場合と異なり、分岐機構109により一時保留部103に送られる。
この構成によれば、返却対象でない硬貨は、返却処理後に、必ず、一時保留部103に残留する。このため、返却処理が終了すると、一時保留部103には、出金用に収納されるべき999円分の硬貨が残ることになる。したがって、この構成では、返却処理後に、図4(a)のステップS101における出金準備処理を行わずに済む。よって、一時保留部103に対して、より効率的に、999円分の硬貨を収納させることができる。
しかし、その反面、この構成では、返却対象外の硬貨が、返却処理の途中に一時保留部103に戻されて、再び、一時保留部103から繰り出されることが起こり得る。このため、返却処理の効率がやや低下することが起こり得る。したがって、返却処理をより効率的に進めるためには、図8(b)および図9(b)に示すように、返却対象外の硬貨を一時保留部103に戻さずに、対応する金種の硬貨収納部102に搬送することが好ましいと言える。
<実施形態1の効果>
本実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
硬貨収納部102(第1収納部)が、取引対象の金種の数(6金種)より少ない数(3つ)だけ配置されるとともに、これら硬貨収納部102が、何れも、2金種の硬貨の収納先として割り当てられている。これにより、貨幣入出金機1内に配置される硬貨収納部102の数を顕著に減らすことができ、装置の小型化を図ることができる。また、出金動作に先立って出金用の硬貨が一時保留部103(第2収納部)に収納されるため、出金動作時に、一時保留部103から必要な硬貨を円滑に出金することができる。よって、本実施形態1に係る貨幣入出金機1によれば、円滑な出金動作を維持しつつ、装置の小型化を図ることができる。
また、出金用の硬貨を収納する収納部(第2収納部)が、硬貨入金口13(入金部)を介して入金された硬貨を一時的に収納する一時保留部103として共用されている。これにより、別途、入金された硬貨を一時的に収納する収納部を設ける必要がないため、装置の小型化および簡素化を図ることができる。
また、図8(b)、(c)を参照して説明したように、制御部201は、投入された硬貨を返却する返却処理時に、一時保留部103(第2収納部)に収納されている硬貨のうち、投入された金額に応じた硬貨を、識別部108を介して、硬貨出金ボックス16a、16b(出金部)に搬送させる。これにより、返却動作時に、一時保留部103に混在する硬貨のうち、投入金額に応じた硬貨が、一時保留部103から硬貨出金ボックス16a、16bに搬送されるため、投入金額に応じた硬貨を円滑に返却することができる。
また、出金用の硬貨として、全ての金種の硬貨が一時保留部103(第2収納部)に収納される。これにより、一時保留部103に全ての金種の硬貨が揃っているため、一時保留部103に収納された硬貨を搬送するのみで出金に対応でき易くなる。よって、出金動作を、円滑かつ迅速に行うことができる。
特に、実施形態1では、図4(a)のステップS101における所定の条件が、一時保留部103(第2収納部)に収納される硬貨の合計金額が999円となることに設定されている。このように、総額が999円となるように硬貨が一時保留部103に収納されていれば、一時保留部103に収納されている硬貨のみで出金に対応でき、出金処理時に、別途、硬貨収納部102(第1収納部)から硬貨を搬出させる必要がない。よって、出金動作を円滑に行うことができる。
なお、図4(a)のステップS101における所定の条件は、必ずしも、一時保留部103(第2収納部)に収納される硬貨の合計金額が999円となることに限定されるものではない。たとえば、ステップS101における所定の条件が、各金種の硬貨が1枚ずつ一時保留部103(第2収納部)に収納されることであってもよい。ただし、この場合は、たとえば、出金処理時に531円を出金する必要がある場合に、一時保留部103からは10円硬貨を1枚しか出金できず、残り2枚の10円硬貨は、硬貨収納部102から繰り出して出金する必要がある。
このため、より円滑かつ迅速に出金動作を進めるためには、上記のように、ステップS101における所定の条件が、一時保留部103(第2収納部)に収納される硬貨の合計金額が999円になることに設定されることが好ましい。これにより、一時保留部103に収納された硬貨のみによって、どのような金額の出金処理にも対応できるようになる。
また、たとえば、図6を参照して説明したように、制御部201は、出金処理時に、一時保留部103(第2収納部)に収納された硬貨のうち、出金対象でない硬貨を、分岐機構110(分岐部)により、搬送経路から退出させる。これにより、出金動作時に、出金対象の硬貨のみを硬貨出金ボックス16a、16b(出金部)に円滑に導くことができる。
ここで、制御部201は、図4(b)および図6を参照して説明したように、出金処理において、出金対象でない硬貨を、当該硬貨の金種に対応する硬貨収納部102(第1収納部)に戻す制御を行う。これにより、出金動作時に、一時保留部103(第2収納部)から搬出された出金対象でない硬貨が再度、一時保留部103に戻されて、一時保留部103から搬出されることが回避される。これにより、出金動作を効率的に行うことができる。
あるいは、制御部201は、図4(c)および図7を参照して説明したように、出金処理において、出金対象でない硬貨を、一時保留部103(第2収納部)に戻す制御を行う。これにより、出金動作後に、一時保留部103により多くの硬貨を残すことができ、出金準備処理(図4(a)のステップS101)により一時保留部103に補充すべき硬貨の数を減らすことができる。よって、出金動作後に行われる出金準備処理をより効率的に行うことができる。
<変更例1>
上記実施形態1では、予め出金用の硬貨が一時保留部103に収納されているため、入金処理時に投入された硬貨が一時保留部103に送り込まれると、投入された硬貨が出金用の硬貨に混ざってしまっていた。これに対し、変更例1では、入金操作に応じて一時保留部103から出金用の硬貨が退出され、その後、投入された硬貨が一時保留部103に送り込まれるように制御が行われる。
図10は、変更例1に係る、硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、図8(a)のフローチャートに比べ、ステップS310が追加され、ステップS306がステップS311に置き換えられている。すなわち、図10のフローチャートでは、入金操作が行われると(S301:YES)、制御部201は、まず、一時保留部103に収納されている出金用の硬貨を順番に繰り出して、各硬貨を、それぞれ、対応する金種の硬貨収納部102へと搬送する(S310)。これにより、出金用の硬貨を全て一時保留部103から退出させた後、制御部201は、硬貨入金口13に投入された硬貨を一時保留部103に搬送する(S302)。
この制御により、入金処理時に一時保留部103に収納される硬貨は、入金処理時に投入された硬貨のみとなる。すなわち、上記実施形態1のように、入金処理時に投入された硬貨と出金用の硬貨が一時保留部103において混在することがない。したがって、返却操作が行われた場合(S305:YES)、制御部201は、一時保留部103に収納されている全ての硬貨をそのまま、硬貨出金ボックス16a、16bに搬送すればよい(S311)。すなわち、この変更例では、図8(b)、(c)に示した返却処理を省略できる。
図11(a)〜(d)は、それぞれ、変更例1に係る、入金処理時における硬貨の流れを模式的に示す図である。
入金操作が行われると、まず、図11(a)に示すように、一時保留部103に収納されている出金用の硬貨が、繰出機構106により、一時保留部103から順番に繰り出される。繰り出された各硬貨は、識別部108により金種の識別がなされた後、分岐機構110によって、それぞれ対応する金種の硬貨収納部102に搬送される。これにより、一時保留部103が空になる。
次に、図11(b)に示すように、硬貨入金口13に投入された硬貨が、繰出機構104により、硬貨受け入れ部101から順番に繰り出される。繰り出された各硬貨は、識別部108により金種の識別がなされた後、分岐機構109によって、一時保留部103に送り込まれる。
その後、入金を確定させる入力が行われると、図11(c)に示すように、一時保留部103に収納されている硬貨が、繰出機構106により、一時保留部103から順番に繰り出される。繰り出された各硬貨は、識別部108により金種の識別がなされた後、分岐機構110によって、それぞれ対応する金種の硬貨収納部102に搬送される。これにより、入金処理が終了する。このとき、一時保留部103は、空になっている。その後、図4(a)のステップS101において出金準備処理が行われ、一時保留部103に、999円分の硬貨が収納される。
他方、返却操作が行われると、図11(d)に示すように、一時保留部103に収納されている全ての硬貨が、繰出機構106により、一時保留部103から順番に繰り出されて、硬貨出金ボックス16aに搬送される。これにより、入金処理が終了する。この場合も、一時保留部103は、空になっている。その後、図4(a)のステップS101において出金準備処理が行われ、一時保留部103に、999円分の硬貨が収納される。
変更例1の構成によれば、入金時に投入された硬貨が、一時保留部103において、出金用の硬貨と混ざることがない。このため、上記実施形態1に比べて、返却処理を簡素化できる。
<変更例2>
上記実施形態1では、3つの硬貨収納部102が、それぞれ、2つの金種の硬貨を収納する。この場合、硬貨収納部102に収納されている硬貨が何れか一方の金種に偏ると、他方の金種の硬貨が繰り出される確率が低くなる。このため、一時保留部103に出金用の硬貨を収納するための出金準備処理が円滑に行われにくくなり、当該処理に要する時間が長くなってしまう。
そこで、変更例2では、硬貨収納部102における金種間の収納枚数の割合を所定の割合に維持するための制御が行われる。たとえば、この割合は、1:3〜3:1程度に設定され得る。発明者らの検討によると、割合が大きく偏った場合には、一時保留部103に999円の硬貨を収納するのに数分程度要したところ、各硬貨収納部102に収納される2金種の割合をそれぞれ1:3〜3:1に設定することにより、最大10数秒程度で、一時保留部103に999円の硬貨を収納できることが確認された。
図12(a)は、変更例2に係る、硬貨収納部102に収納された各金種の硬貨の割合を所定の割合に維持するための処理を示すフローチャートである。この処理は、入金処理が行われた場合等、硬貨収納部102に収納される硬貨に変動が生じた場合に、硬貨収納部102ごとに実行される。
制御部201は、2金種のうち何れか一方の金種の硬貨の割合(2金種の硬貨の総枚数に占める各金種の硬貨の枚数の割合)が所定の割合(たとえば、3/4)を超えるか否かを判定する(S501)。制御部201は、識別部108を経由して硬貨収納部102に硬貨が収納されるごとに、当該硬貨収納部102に収納されている各金種の硬貨の枚数を記憶部202に更新記憶させる。ステップS201の判定において、制御部201は、記憶部202に記憶された各金種の硬貨の枚数に基づいて、各金種の硬貨の割合を求め、求めた割合が所定の割合を超えるか否かを判定する。
何れの金種の割合も所定の割合を超過しない場合(S501:NO)、制御部201は、処理を終了する。他方、何れか一方の金種の割合が所定の割合を超える場合(S501:YES)、制御部201は、所定の割合を超過する金種の硬貨の収納枚数が所定の下限値以上であるか否かを判定する(S502)。当該金種の硬貨の収納枚数が下限値を下回る場合(S502:NO)、制御部201は、処理を終了する。他方、当該金種の硬貨の収納枚数が下限値以上である場合(S502:YES)、制御部201は、所定の割合を超過する金種の硬貨(回収対象硬貨)を1枚ずつ硬貨収納部102から繰り出して硬貨回収部113に搬送する(S503)。これにより、当該金種の硬貨の割合が徐々に減少する。
その後、制御部201は、所定の割合を超過していた金種の硬貨の割合が所定の割合に到達するか(S504:YES)、あるいは、当該金種の硬貨の枚数が下限値に到達するまで(S505:YES)、ステップS503の処理を繰り返し行う。そして、制御部201は、ステップS504またはステップS505の判定がYESとなったことに応じて、処理を終了する。
図12(b)は、図12(a)の処理が実行された場合の硬貨の流れを模式的に示す図である。ここでは、前から2番目の硬貨収納部102において一方の金種の硬貨の割合が所定の割合を超えている。
この場合、前から2番目の硬貨収納部102から繰出機構106により硬貨が繰り出されて搬送部107により搬送され、識別部108により金種が識別される。ここで、当該硬貨が、所定の割合を超過した金種の硬貨(回収対象硬貨)である場合、当該硬貨は、硬貨回収部113へと搬送される。他方、当該硬貨が、所定の割合を超過した金種の硬貨(回収対象硬貨)でない場合、当該硬貨は、前から2番目の硬貨収納部102に戻される。こうして、所定の割合を超過した金種の硬貨の割合が減少する。その後、図12(a)のステップS504またはステップS505の何れかがYESになると、硬貨の繰出が終了する。
変更例2の構成によれば、収納枚数の割合が所定の割合を超えた金種の硬貨が、硬貨収納部102(第1収納部)から硬貨回収部113へと搬送されるため、硬貨収納部102における金種間の収納枚数の割合を所定の割合に維持できる。よって、何れの金種についても、長時間を要することなく、硬貨収納部102から一時保留部(第2収納部)に出金用の硬貨を移動させることができる。
また、収納枚数の割合が所定の割合を超える金種が生じた場合であっても(S501:YES)、当該金種の硬貨の収納枚数が所定の下限値を下回る場合は(S502:NO)、当該金種の硬貨を硬貨収納部102(第1収納部)から退出させる制御(S503)が行われない。これにより、硬貨収納部102に所定金種の硬貨が不足することを防ぐことができる。
<変更例3>
上述の変更例2では、硬貨収納部102における金種間の収納枚数の割合を所定の割合に維持するための制御として、所定の割合を超える金種の硬貨を硬貨収納部102から退出させる制御が行われた。これに対し、変更例3では、硬貨収納部102における金種間の収納枚数の割合を所定の割合に維持するための制御として、所定の割合を下回る金種の硬貨を硬貨収納部102に補充させるための制御が行われる。
変更例3においても、硬貨収納部102に収納される硬貨の枚数に変動が生じた場合に、図13(a)の処理が行われる。
図13(a)を参照して、制御部201は、当該硬貨収納部102に収納される2金種のうち何れか一方の金種の硬貨の割合(2金種の硬貨の総枚数に占める各金種の硬貨の枚数の割合)が所定の割合(たとえば、1/4)を下回ったか否かを判定する(S601)。何れの金種の割合も所定の割合を下回っていない場合(S601:NO)、制御部201は、処理を終了する。
他方、何れか一方の金種の割合が所定の割合を下回っている場合(S601:YES)、制御部201は、当該硬貨収納部102に収納されている2金種の硬貨の総枚数が所定の上限値未満であるか否かを判定する(S602)。硬貨の総枚数が上限値以上である場合(S602:NO)、制御部201は、処理を終了する。他方、硬貨の総枚数が上限値未満の場合(S602:YES)、制御部201は、所定の割合を下回る金種の硬貨の補充を促す報知を行う(S603)。
この報知として、たとえば、制御部201は、所定の割合を下回る金種の硬貨を補充することを促す画面を操作表示部17に表示させる。たとえば、所定の割合を下回る金種が10円である場合、「10円を補充してください」とのメッセージとOKボタンを含む画面が操作表示部17に表示される。
制御部201は、硬貨の補充を受け付けたか否かを判定する(S604)。具体的には、上記報知に応じて、テラー(操作者)が、補充対象の硬貨を硬貨入金口13に投入し、報知画面のOKボタンを押下したか否かを判定する。硬貨の補充を受け付けると(S604:YES)、制御部201は、補充された硬貨を補充対象の硬貨収納部102に搬送する補充処理を実行して(S605)、その後、処理を終了する。
図13(b)は、図13(a)の補充処理における硬貨の流れを模式的に示す図である。ここでは、前から2番目の硬貨収納部102が硬貨の補充対象となっている。
テラー(操作者)により補充処理の受付操作がなされると、図13(b)の点線に示すように、硬貨入金口13に投入された補充対象の硬貨が、1枚ずつ、硬貨受け入れ部101から繰り出され、識別部108を介して、補充対象の硬貨収納部102に送られる。これにより、当該硬貨収納部102における補充対象硬貨の金種の割合が徐々に高まる。
この動作は、硬貨受け入れ部101に収納されている全ての硬貨が繰り出されるまで行われる。その間に、補充対象の硬貨収納部102に収納されている2金種の硬貨の総枚数が上限値に到達すると、その後に繰り出された硬貨は、図13(b)の破線に示すように、硬貨出金ボックス16aへと搬送される。誤って補充対象でない硬貨が投入された場合も、その硬貨は、硬貨出金ボックス16aに搬送される。こうして、補充処理が終了する。
その後、図13(a)の処理が行われ、補充された硬貨の金種の割合が所定の割合以上となったか否かが確認される(S601)。当該金種の割合が所定の割合以上となっていない場合(S601)、再度、ステップS602以降の処理が行われ、適宜、硬貨の補充を促す報知が行われる。こうして、補充対象の硬貨の金種の割合が所定の割合以上に維持される。
なお、図13(a)のステップS603における報知では、さらに、補充対象の硬貨の枚数が報知画面に含められてもよい。この枚数は、補充対象の硬貨の金種の割合を所定の割合に到達させるのに必要な枚数、および、現在の2金種の硬貨の総枚数と上限値との差分の枚数のうち、少ない方の枚数に設定される。これにより、補充処理が行われた後に、再度、図13(a)の処理を行う必要がなくなり、処理の簡素化が図られ得る。なお、ステップS603の報知は、画面に限らず、音声等によって行われてもよい。
変更例3の構成によれば、枚数の割合が低い金種の硬貨が、報知に応じて、硬貨収納部102(第1収納部)に補充されるため、硬貨収納部102に収納される各金種の貨幣の割合を所定の割合に円滑に調整できる。
なお、硬貨の補充により硬貨収納部102に収納されている2金種の硬貨の総枚数が増えすぎると、繰出機構106によって第1収納部から硬貨が円滑に繰り出されにくくなり、硬貨の繰出に時間が掛かり易くなる。これに対し、変更例3では、図13(a)のステップS602によって、硬貨の総枚数が上限以上である場合は、硬貨の補充が行われないように制御される。これにより、各硬貨収納部102から硬貨を円滑かつ迅速に繰り出すことができる。
<変更例4>
変更例4では、硬貨収納部102における金種間の収納枚数の割合を所定の割合に維持するための制御として、入金処理の際に、所定の割合を超える金種の硬貨を硬貨収納部102に収納させずに硬貨回収部113へと搬送する制御が行われる。
図14は、変更例4に係る、硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図14のフローチャートでは、図8(a)のフローチャートに比べて、ステップS321〜S323が追加されている。ステップS321〜S323以外のステップにおける処理は、図8(a)の場合と同様である。
制御部201は、テラー(操作者)から確定操作を受け付けると(S303:YES)、硬貨受け入れ部101から繰り出した硬貨の金種に対応する硬貨収納部102において、当該硬貨の金種の割合が所定の割合(たとえば3/4)を超えているか否かを判定する(S321)。ここで、ステップS321の判定がNOの場合、制御部201は、当該硬貨を、対応する金種の硬貨収納部102に送る(S304)。
他方、ステップS321の判定がYESの場合、制御部201は、さらに、搬送先の硬貨収納部102における2金種の硬貨の総枚数が下限値以上であるか否かを判定する(S322)。ここで、ステップS322の判定がNOの場合、制御部201は、当該硬貨を、対応する金種の硬貨収納部102に送る(S304)。他方、ステップS312の判定がYESの場合、制御部201は、当該硬貨を、対応する金種の硬貨収納部102ではなく、硬貨回収部113へと送る(S323)。ステップS321〜S323、S324の処理は、一時保留部103に収納された全ての硬貨に対して行われる。
図15(a)、(b)は、それぞれ、図14の処理が実行された場合の硬貨の流れを模式的に示す図である。
まず、図15(a)に示すように、図14のステップS301、S302の処理により、硬貨受け入れ部101に投入された硬貨が、識別部108を介して、一時保留部103に送られる。その後、テラー(操作者)によって、入金を確定させる操作が行われると、硬貨が、一時保留部103から1枚ずつ繰り出され、識別部108へと搬送される。
ここで、繰り出された硬貨の金種に対応する硬貨収納部102において、図14のステップS321、S322の判定の何れかがNOである場合、当該硬貨は、対応する金種の硬貨収納部102に送られる。他方、繰り出された硬貨の金種に対応する硬貨収納部102において、図14のステップS321、322の判定の両方がYESである場合、当該硬貨は、硬貨回収部113に送られる。
図15(b)の例では、前から1番目の硬貨収納部102のみにおいて、図14のステップS321、S322の両方の判定がYESとなっている。このため、前から1番目の硬貨収納部102に割り当てられた金種のうち、枚数の割合が所定の割合を超える金種の硬貨は、前から1番目の硬貨収納部102に送られずに、硬貨回収部113へと送られる。前から2番目および3番目の硬貨収納部102の金種に対応する硬貨は、一時保留部103から繰り出された後、対応する硬貨収納部102へと送られて収納される。
以上のように、変更例4では、入金動作時において、所定の割合を超える金種の硬貨は、硬貨収納部102(第1収納部)を介することなく、硬貨回収部113に搬送される。これにより、所定の割合を超える金種の硬貨の割合がさらに増加することを防ぐことができ、各金種の硬貨を迅速に繰り出すことができる。
また、収納枚数の割合が所定の割合を超える金種であっても(S321:YES)、当該金種の硬貨の収納枚数が所定の下限値を下回る場合は(S322:NO)、当該金種の硬貨を、硬貨回収部113ではなく硬貨収納部102(第1収納部)に収納させる。これにより、硬貨収納部102に所定金種の硬貨が不足することを防ぐことができる。
<変更例5>
上記実施形態1では、操作表示部17に対して出金操作がなされた場合に、図4(a)、(b)の処理が実行された。これに対し、変更例5では、上位端末2から貨幣入出金機1に硬貨の出金指示がなされた場合に、図16の処理が実行される。
上位端末2からの出金指示では、指示された金額が一時保留部103に予め収納された硬貨の金額を超える場合がある。たとえば、10円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を各10枚ずつ出金する指示が上位端末2から貨幣入出金機1に送信される場合がある。制御部201は、上位端末2から出金指示を受信した場合、指示内容に応じて、一時保留部103と硬貨収納部102の何れから硬貨を出金するかを選択的に決定する。
図16に示すように、制御部201は、上記実施形態1と同様、出金処理に先立って、所定の条件で一時保留部103に各金種の硬貨を収納する処理を実行する(S111)。ステップS111の処理は、図4(a)のステップS101の処理と同様である。
その後、上位端末2から出金指示を受信すると(S112:YES)、制御部201は、一時保留部103に予め収納された硬貨により当該出金指示に対応可能か否かを判定する(S113)。具体的には、制御部201は、出金指示により指示された何れの金種の硬貨の枚数も、一時保留部103に予め収納された各金種の硬貨の枚数を超えない場合に、ステップS113の判定をYESとし、それ以外の場合に、ステップS113の判定をNOとする。
ステップS113の判定がYESの場合、制御部201は、ステップS114〜S117の処理を実行する。ステップS114〜S117の処理は、それぞれ、図4(a)のステップS103〜S106の処理と同様である。
ステップS113の判定がNOの場合、制御部201は、出金指示に応じた金種の硬貨を硬貨収納部102から繰り出し(S118)、繰り出した硬貨に対して選別処理を実行する(S119)。ステップS119の選別処理として、図4(b)または図4(c)の選別処理が行われる。
ここで、図4(b)の処理が行われる場合、硬貨収納部102から繰り出された硬貨のうち、出金対象の硬貨は、硬貨出金ボックス16aへと搬送され、出金対象外の硬貨は、当該硬貨が繰り出された硬貨収納部102に戻される。また、図4(c)の処理が行われる場合、硬貨収納部102から繰り出された硬貨のうち、出金対象の硬貨は、硬貨出金ボックス16aへと搬送され、出金対象外の硬貨は、一時保留部103に収納される。
こうして、出金指示に応じた出金処理が完了すると(S120:YES)、制御部201は、硬貨収納部102に対する硬貨の繰出しを終了させ(S117)、処理を終了する。
図17(a)、(b)は、それぞれ、図16のステップS118〜S120処理が実行された場合の硬貨の流れを模式的に示す図である。
図17(a)は、図16のステップS119の選別処理として、図4(c)の処理が実行された場合の硬貨の流れを示している。この場合、硬貨収納部102から繰り出された硬貨のうち、出金対象の硬貨は、硬貨出金ボックス16aに搬送され、出金対象外の硬貨は、一時保留部103に収納される。この処理によれば、出金対象外の硬貨が硬貨収納部102に戻されないため、硬貨収納部102から出金対象の硬貨が繰り出されやすくなる。ただし、この処理では、一時保留部103に出金対象外の硬貨が混入するため、出金後に、図16のステップS111の処理により、余分な硬貨を一時保留部103から排出して、所定の条件で一時保留部103に硬貨を収納させる必要がある。
図17(b)は、図16のステップS119の選別処理として、図4(b)の処理が実行された場合の硬貨の流れを示している。この場合、硬貨収納部102から繰り出された硬貨のうち、出金対象の硬貨は、硬貨出金ボックス16aに搬送され、出金対象外の硬貨は、当該硬貨が繰り出された硬貨収納部102に戻される。この処理によれば、出金対象外の硬貨が一時保留部103に混入しないため、出金処理後に、図16のステップS111の処理を実行する必要がない。ただし、この処理では、出金対象外の硬貨が硬貨収納部102に戻されるため、硬貨収納部102から出金対象の硬貨が繰り出されにくくなる。
なお、出金対象外の硬貨は、硬貨受け入れ部101に搬送されてもよい。こうすると、出金対象外の硬貨が硬貨収納部102に戻されないため、硬貨収納部102から出金対象の硬貨が繰り出されやすくなり、また、一時保留部103に出金対象外の硬貨が混入しないため、出金処理後に、図16のステップS111の処理を実行する必要もなくなる。この場合、出金処理後に、硬貨受け入れ部101から硬貨収納部102に硬貨を戻す処理が行われる。
<実施形態2>
上記実施形態1では、一時保留部103が、出金用の硬貨の収納先に共用された。これに対し、本実施形態2では、図18に示すように、一時保留部103とは別に、出金用の硬貨を収納するための硬貨収納部120が設けられている。
実施形態2では、硬貨収納部102が、特許請求の範囲に記載の「第1収納部」に対応し、硬貨収納部120が、特許請求の範囲に記載の「第2収納部」に対応する。
上記実施形態1と同様、硬貨収納部120には、999円の硬貨が収納され、3つの硬貨収納部102には、それぞれ、2金種の硬貨が収納される。実施形態2における出金処理は、上記実施形態1と同様である。図4(a)のステップS101では、各金種の硬貨が硬貨収納部120に収納される。出金処理時には、硬貨の出金金額に応じて、硬貨収納部120から硬貨出金ボックス16a、16bに硬貨が搬送される。また、入金処理の際には、一時保留部103に出金用の硬貨が存在しないため、硬貨入金口13に投入された硬貨のみが一時保留部103に収納される。よって、返却処理の際には、一時保留部103に収納された硬貨の全てが、硬貨出金ボックス16a、16bに搬送される。
実施形態2の構成によっても、実施形態1と同様、硬貨収納部102(第1収納部)の数を削減できるため、装置の小型化を図ることができる。また、出金動作に先立って出金用の硬貨が硬貨収納部120(第2収納部)に収納されるため、出金動作時に、一時保留部103から必要な硬貨を円滑に出金することができる。よって、本実施形態2に係る貨幣入出金機1においても、円滑な出金動作を維持しつつ、装置の小型化を図ることができる。
なお、本実施形態2においても、上記変更例2〜4が同様に適用可能である。
<実施形態3>
上記実施形態1、2では、3つの硬貨収納部102に対し、それぞれ、2つの金種が割り当てられた。これに対し、本実施形態では、図19に示すように、3つの金種が割り当てられた硬貨収納部102aと、それぞれ1つの金種が割り当てられた硬貨収納部102bとが設けられている。また、上記実施形態2と同様、一時保留部103とは別に、出金用の硬貨を収納するための硬貨収納部120が設けられている。
実施形態3では、硬貨収納部102a、102bが、特許請求の範囲に記載の「第1収納部」に対応し、硬貨収納部120が、特許請求の範囲に記載の「第2収納部」に対応する。
硬貨収納部120には、硬貨収納部102aに割り当てられた3つの金種の硬貨のみが収納される。
たとえば、硬貨収納部102aには、5円、50円、500円の金種が割り当てられ、出金用の硬貨収納部120には、5円、50円、500円の硬貨が1枚ずつ収納される。すなわち、図4(a)のステップS101における「所定の条件」は、5円、50円、500円の硬貨が1枚ずつ硬貨収納部120に収納されることである。出金処理の際、5円、50円、500円の硬貨は、どのような出金金額であっても、最大1枚ずつしか出金されない。硬貨収納部120は、出金処理時に最大1枚ずつしか出金されない金種の収納に用いられる。残り3つの硬貨収納部102bには、それぞれ、1円、10円、100円の金種が割り当てられる。
なお、硬貨収納部102aに割り当てられる金種は、必ずしも、5円、50円、500円でなくてもよい。たとえば、硬貨収納部102aに割り当てられる金種が、5円、10円、50円でもよい。この場合、硬貨収納部120に収納される出金用の硬貨は、5円および50円が各1枚と、10円が4枚であればよい。あるいは、硬貨収納部102aに割り当てられる金種が、5円、50円、100円、500円であってもよい。この場合、硬貨収納部120に収納される出金用の硬貨は、5円、50円および500円が各1枚と、100円が4枚であればよい。
ただし、硬貨収納部102aに割り当てられる金種が、5円、50円、500円である場合は、出金用の硬貨収納部120に、5円、50円、500円の各硬貨を1枚ずつ、合計3枚の硬貨を収納すればよいため、出金処理時に、5円、50円、500円の各硬貨が硬貨収納部120から繰り出され易くなる。このため、目標金種の硬貨を硬貨収納部120から迅速に繰り出すことができる。
図20(a)、(b)は、実施形態3における出金処理時の硬貨の流れを模式的に示す図である。
図20(a)に示すように、出金処理時には、まず、出金額に応じた硬貨が出金用の硬貨収納部120から繰り出されて、硬貨出金ボックス16aへと搬送される。たとえば、出金されるべき硬貨の額が783円の場合、硬貨収納部120に収納されている5円、50円、500円の各硬貨のうち、50円および500円の硬貨が、図20(a)の点線で示すように、硬貨収納部120から硬貨出金ボックス16aに搬送される。このとき、出金対象でない5円が硬貨収納部120から繰り出されると、この5円硬貨は、図20(a)の破線で示すように、5円、50円、500円の金種が割り当てられた硬貨収納部102aに送られる。
次に、図20(b)に示すように、出金額に応じた硬貨が、それぞれ単一金種が割り当てられた硬貨収納部102bから繰り出されて、硬貨出金ボックス16aへと搬送される。上記のように、出金されるべき硬貨の額が783円の場合、3つの硬貨収納部102bから、それぞれ、1円硬貨3枚と、10円硬貨3枚と、100円硬貨2枚が繰り出されて、硬貨出金ボックス16aへと搬送される。これにより、出金処理が終了する。
こうして、出金処理が終了した後、硬貨収納部102aから硬貨が繰り出されて、5円、50円、500円の各硬貨が1枚ずつ、出金用の硬貨収納部120に収納される。出金処理により硬貨収納部120に硬貨が残っている場合は、555円に対して不足する金額の硬貨が、硬貨収納部102aから硬貨収納部120に送られる。
実施形態3の構成によっても、実施形態1と同様、硬貨収納部102(第1収納部)の数を削減できるため、装置の小型化を図ることができる。また、出金動作に先立って出金用の硬貨が硬貨収納部120(第2収納部)に収納されるため、出金動作時に、一時保留部103から必要な硬貨を円滑に出金することができる。よって、本実施形態2に係る貨幣入出金機1においても、円滑な出金動作を維持しつつ、装置の小型化を図ることができる。
また、硬貨入出金ユニット12は、複数金種の硬貨を収納する硬貨収納部102a(第1収納部)の他、単一金種の硬貨を収納する硬貨収納部102b(前記第1収納部)を含んでいる。これにより、出金動作時に、単一金種の硬貨を収納する硬貨収納部102bから硬貨を放出する必要がある場合に、当該硬貨収納部102bから、硬貨の選別なく円滑に、硬貨を搬送することができる。
また、出金用の硬貨収納部120に収納される硬貨の条件(所定の条件)が、複数金種の貨幣を収納する硬貨収納部102a(第1の収納部)に設定された全ての金種の硬貨が出金用の硬貨収納部120(第2収納部)に収納されることに設定されている。これにより、出金動作時において、複数金種の硬貨を収納する硬貨収納部102aの金種については、出金用の硬貨収納部120に収納された硬貨により出金に対応できるため、出金に応じた金種の硬貨を硬貨収納部102aから逐一選別して硬貨出金ボックス16a、16bに搬出することを抑制できる。また、その他の金種については、単一金種を収納する他の硬貨収納部102bから対応する金種を硬貨出金ボックス16a、16bに搬送すればよいだけであるため、円滑に、出金動作を進めることができる。よって、この構成によれば、円滑に、出金動作を行うことができる。
特に、実施形態3では、出金用の硬貨収納部120(第2収納部)に収納される硬貨の条件(所定の条件)が、硬貨収納部102a(第1収納部)に設定された5円、50円、500円の各金種の硬貨が1枚ずつ収納されることに設定されている。1回の釣銭出金動作において、原則、5円、50円および500円の各硬貨は、1枚ずつしか出金されない。よって、このように、5円、50円および500円の各硬貨が1枚ずつ、出金用の硬貨収納部120に収納されていれば、これら金種の出金は、硬貨収納部120に収納されている硬貨のみで対応でき、これら金種が混在する硬貨収納部102aから対応する金種の硬貨を逐一選別して硬貨出金ボックス16a、16bに搬送することを防止できる。よって、出金動作を円滑に行うことができる。
なお、本実施形態3においても、上記変更例2〜4が同様に適用され得る。また、図19の構成では、一時保留部103とは別に、出金用の硬貨収納部120が設けられたが、上記実施形態1と同様、一時保留部103が、出金用の硬貨を収納する収納部として共用されてもよい。これにより、装置をさらに小型化することができる。この場合、図10に示した変更例1の入金処理が適用され得る。
<実施形態4>
実施形態4では、釣銭を自動で払い出す釣銭機に本発明が適用される。
釣銭機は、硬貨入出金ユニットと、紙幣入出金ユニットとを備え、POS端末の下部に設置される。POS端末から受信した釣銭額の通知に応じて、硬貨入出金ユニットと紙幣入出金ユニットから、釣銭額に応じた硬貨および紙幣が払い出される。また、硬貨入出金ユニットおよび紙幣入出金ユニットに硬貨および紙幣の入金がなされると、入金額の通知が、釣銭機からPOS端末に送信される。
図21(a)は、釣銭機に含まれる硬貨入出金ユニット30の構成を示す図である。
実施形態4では、硬貨収納部302が、特許請求の範囲に記載の「第1収納部」に対応し、予備収納部303が、特許請求の範囲に記載の「第2収納部」に対応する。また、釣銭機が、特許請求の範囲に記載の「貨幣処理装置」に対応する。
上記のように、硬貨入出金ユニット30は、硬貨の入金および釣り銭の払い出しに用いられる。硬貨入出金ユニット30は、硬貨を投入するための硬貨投入口31と、釣り銭を払い出すための出金部32とを備える。出金部32は、釣り銭が搬入される硬貨出金口32aを備える。硬貨投入口31に投入された硬貨は、硬貨投入口31の下方に配置された硬貨受け入れ部301に収容される。
硬貨入出金ユニット30の内部には、3つの硬貨収納部302と、予備収納部303が設けられている。3つの硬貨収納部302には、それぞれ、2金種が割り当てられている。たとえば、3つの硬貨収納部302に、それぞれ、1円および5円、10円および50円、100円および500円が割り当てられる。3つの硬貨収納部302は、それぞれ、割り当てられた金種の硬貨を収納する。
予備収納部303は、出金用の硬貨を所定の条件で収納する。たとえば、所定の条件として、上記実施形態1と同様、999円分の硬貨が予備収納部303に収納されることが設定される。上記実施形態1と同様、所定の条件は、これに限られるものではない。
硬貨受け入れ部301から硬貨を繰り出すための繰出機構304が設けられている。また、3つの硬貨収納部302からそれぞれ硬貨を繰り出すための繰出機構305が設けられ、さらに、予備収納部303から硬貨を繰り出すための繰出機構306が設けられている。これら繰出機構によって繰り出された硬貨は、搬送部307によって搬送される。搬送部307は、上記実施形態1と同様、時計回り方向に循環する循環ベルト307aを備えている。
硬貨受け入れ部301から繰出機構304により繰り出された硬貨は、識別部308に搬送され、識別部308により金種が識別される。識別部308の下流側には、3つの硬貨収納部302にそれぞれ硬貨を送り込むための3つの分岐機構309が設けられている。識別部308を通った硬貨は、3つの分岐機構309の何れかによって、対応する金種の硬貨収納部302に送られる。
また、3つの硬貨収納部302から繰出機構305により繰り出された硬貨は、識別部310に搬送され、識別部310により金種が識別される。識別部310の下流側には、分岐機構311、312、313が設けられている。分岐機構311、312、313は、それぞれ、搬送部307に搬送される硬貨を、予備収納部303、硬貨受け入れ部301および硬貨出金口32aに送る。
図21(b)は、釣銭機の構成を示すブロック図である。
釣銭機は、硬貨入出金ユニット30および紙幣入出金ユニット40の他、回路部の構成として、制御部401と、記憶部402と、通信部403と、を備える。
制御部401は、CPU等の演算回路を備え、記憶部402に記憶された動作プログラムに従って各部を制御する。記憶部402は、ROMやRAM等の記憶媒体を備え、制御部401の動作プログラムを記憶し、また、制御部401の制御処理の際にワーク領域として利用される。通信部403は、POS端末(図示せず)との間で通信を行う。
硬貨の入金処理において、制御部401は、繰出機構304および搬送部307を制御して、硬貨受け入れ部301に投入された硬貨を、対応する金種の硬貨収納部302に収納させる。また、制御部401は、硬貨の出金処理に先立って、繰出機構305および分岐機構311により、999円分の硬貨を、3つの硬貨収納部302から予備収納部303に収納させる。そして、制御部401は、硬貨の出金処理において、POS端末から受信した釣銭額に応じた金種の硬貨を、繰出機構306および搬送部307により、予備収納部303から硬貨出金口32aに払い出させる。
図22(a)は、予備収納部303に対して硬貨を収納する際の硬貨の流れを模式的に示す図である。
図22(a)の点線に示すように、制御部401は、3つの硬貨収納部302から順次1枚ずつ硬貨を繰り出して、999円分の硬貨を予備収納部303に収納させる。予備収納部303に収納されるべきでない硬貨が繰り出された場合、制御部401は、図22(a)の破線に示すように、当該硬貨を硬貨受け入れ部301に搬送する。さらに、制御部401は、硬貨受け入れ部301に搬送した硬貨を、硬貨受け入れ部301から繰り出して、対応する金種の硬貨収納部302に送る。こうして、予備収納部303に、999円分の硬貨が収納される。
図22(b)は、硬貨の出金処理時における硬貨の流れを模式的に示す図である。
図22(b)の点線に示すように、制御部401は、予備収納部303から1枚ずつ硬貨を繰り出して、釣銭額に応じた硬貨を硬貨出金口32aに送る。釣銭として払い出されるべきでない硬貨が予備収納部303から繰り出された場合、制御部401は、図22(b)の破線に示すように、当該硬貨を硬貨受け入れ部301に搬送する。さらに、制御部401は、硬貨受け入れ部301に搬送した硬貨を、硬貨受け入れ部301から繰り出して、対応する金種の硬貨収納部302に送る。こうして、釣銭額に応じた硬貨が、硬貨出金口32aに払い出される。
釣銭の払い出しが完了した後、制御部401は、図22(a)に示した処理を実行し、999円分の硬貨を予備収納部303に収納させる。これにより、次の釣銭の払い出しが円滑に行われ得る。
実施形態4の構成によれば、硬貨収納部302(第1収納部)の数を硬貨の金種の数(6つ)よりも少ない数(3つ)に削減できるため、装置の小型化を図ることができる。また、出金動作に先立って出金用の硬貨が予備収納部303(第2収納部)に収納されるため、出金動作時に、予備収納部303から必要な硬貨を円滑に出金することができる。よって、本実施形態4に係る釣銭機においても、円滑な出金動作を維持しつつ、装置の小型化を図ることができる。
なお、本実施形態4においても、上記実施形態3と同様、複数金種が割り当てられる硬貨収納部を1つだけ設け、その他の硬貨収納部に単一金種の硬貨を収納させてもよい。この場合、予備収納部303には、複数金種が割り当たられた硬貨収納部の金種の硬貨が収納されればよい。たとえば、1つの硬貨収納部に5円、50円および500円の金種が割り当てられる場合、予備収納部303には、5円、50円および500円の各硬貨を1枚ずつ収納させればよい。この他、上記各変更例の構成も、適宜、実施形態4に適用され得る。
<その他の変更例>
上記実施形態および変更例では、硬貨入出金ユニット12、30に本発明を適用した場合の構成が示されたが、紙幣入出金ユニット11、40に本発明が適用されてもよい。この場合、紙幣入出金ユニット11、40には、入出金される紙幣の金種の数より少ない数だけ紙幣収納部が配置され、所定の条件で紙幣を収納する出金用の紙幣収納部が別途設けられる。たとえば、1万円、5千円、千円の3種の金種を収納する第1紙幣収納部と、99000円分の出金用の紙幣を収納する第2紙幣収納部が紙幣入出金ユニット11、40に設けられる。この場合、第2紙幣収納部に適用される条件は、99000円でなくてもよく、59000円や19000円等、1度に出金されると想定され得る紙幣の金額に応じて設定されればよい。
また、対象となる通貨は、日本円に限られるものではなく、米国ドルやユーロ、ポンド等、他国の通貨であってもよい。
また、本発明が適用される貨幣処理装置は、実施形態1〜3に示した貨幣入出金機や実施形態4に示した釣銭機に限られるものではなく、他の種類の出金機や入出金機であってもよい。また、必ずしも、硬貨と紙幣の両方を処理する装置でなくてもよく、硬貨と紙幣の何れか一方のみを処理する装置であってもよい。
また、上記実施形態1、2、4では、999円分の出金用の硬貨が第2収納部(一時保留部103等)に収納されたが、装置が取り扱う金種が10円、50円、100円、500円である場合は、990円分の出金用の硬貨が第2収納部(一時保留部103等)に収納されればよい。この点は、実施形態3においても同様である。すなわち、第1収納部に割り当てられる金種および第2収納部に適用される条件は、装置が取り扱う金種に応じて、適宜、変更され得る。
なお、実施形態2、3、4のように、第2収納部が出金用の硬貨のみを収納するための専用の収納部である場合、第2収納部の容積は第1収納部の容積よりも数段小さくてもよい。特に、実施形態3のように、5円、50円、500円の各硬貨を1枚ずつしか第2収納部(硬貨収納部120)に収納させない場合、第2収納部は顕著に小さくしてもよい。これにより、さらに装置の小型化を図ることができる。
また、第1収納部(硬貨収納部102等)の配置数は、上記実施形態1〜4に示したものに限定されるものではなく、他の配置数であってもよい。また、第1収納部(硬貨収納部102等)の形状および大きさや、第1収納部(硬貨収納部102等)および第2収納部(一時保留部103等)のレイアウトは、適宜、調整され得る。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。