まず、添付図面を用いて実施例1にかかる管理装置および管理方法について説明する。実施例1は、製造業における販売会社のPSI情報を管理する管理装置および管理方法について説明する。管理装置は、販売会社が調達先である工場に納入要求する数量を自動計算する際、各種パラメータを設定することによってより細やかな計算を実行する。具体的には、たとえば、管理装置は、納入要求を計算する場合に品目ごとに定義されるMOQやSPQを考慮した計算を実行する。
ただし、販売会社においては、余剰在庫を管理する在庫管理費の問題と、在庫不足による販売期間損失の問題が常に存在する。在庫管理費とは、ヒト(在庫管理の人件費)、モノ(商品の劣化、廃棄、値引き販売)、場所(倉庫、光熱費)の観点で、一般的に在庫金額の15%〜25%に相当する費用である。このような問題が存在するため、管理装置は、MOQやSPQを考慮した計算の実行により、余剰となる在庫や逆に在庫不足になる場合の費用的なリスクを考慮した計算を実行する。これにより、納入要求の際のリスク管理の向上を図る。
<システム構成例>
図1は、管理システムのシステム構成例を示す説明図である。管理システム101は、1以上の販売会社(「販社」ともいう)102の端末90および1以上の調達先である工場103の端末90がインターネット等のネットワーク110を経由して利用可能なクラウド型のシステムである。
管理システム101は、WEBサーバ104とDB(データベース)サーバ108とを有する。WEBサーバ104は、上述した各種計算を実行する管理装置であり、ログインプログラム105、販売会社用プログラム106、および工場用プログラム107を実行する。ログインプログラム105は、端末90のユーザが管理システム101にログインするためのプログラムである。販売会社用プログラム106は、ログインした販売会社102の端末90からの操作入力により、上述した各種計算を実行して、計算結果を返すプログラムである。工場用プログラム107は、ログインした工場103の端末90からの操作入力に応じて、結果を返すプログラムである。
DBサーバ108は、DB109を管理するコンピュータである。DBサーバ108は、WEBサーバ104からのデータをDB109に書き込んだり、WEBサーバ104からの指示によりDB109内のデータをWEBサーバ104へ読み出したりする。
なお、図1では、WEBサーバ104が端末90に計算結果を送信して、端末90のディスプレイに計算結果を表示させる構成としたが、WEBサーバ104がWEBサーバ104のディスプレイに計算結果を表示してもよい。
<管理システム101のハードウェア構成例>
図2は、管理システム101のハードウェア構成例を示すブロック図である。ファイアウォール200は、管理システム101とネットワーク110との間に設けられる。WEBサーバ104は、第1通信IF(インタフェース)201と、第1プロセッサ202と、第1記憶デバイス203と、第1バス204と、を有する。
第1通信IF201は、DBサーバ108と接続したり、ネットワーク110を介して端末90と接続したりして、データを送受信する。第1プロセッサ202は、WEBサーバ104を制御する。第1記憶デバイス203は、第1プロセッサ202の作業エリアとなる。第1記憶デバイス203は、ログインプログラム105、販売会社用プログラム106、および工場用プログラム107のような各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイスとしては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。第1バス204は、第1通信IF201、第1プロセッサ202、および第1記憶デバイス203を通信可能に接続する。
販売会社用プログラム106は、PSI表示機能(販売会社側)211と、納入要求P計算機能212と、販売S予測機能213と、販売予定入力機能214と、基準在庫設定機能215と、を有する。PSI表示機能(販売会社側)211は、販売会社102の端末90に対象品目に関するPSI情報を表示する機能である。PSI情報は、対象品目に関するPSI(納入(Purchase),販売(Sales),在庫(Inventory))の示す情報(たとえば、個数)である。なお、未来の納入P、すなわち、納入Pの予測値を「納入要求P」と表記する場合がある。
納入要求P計算機能212は、販売会社102の端末90からの要求により、対象品目に関する納入要求Pを計算する機能である。販売S予測機能213は、販売会社102の端末90からの要求により、対象品目に関する販売Sを過去の実績から予測する機能である。販売予定入力機能214は、販売会社102の端末90からの対象品目に関する販売予定の入力を受け付ける機能である。基準在庫設定機能215は、対象品目に関する基準在庫を設定する機能である。基準在庫(数)とは、対象品目に関する特定の在庫数であり、たとえば、販売会社102が対象品目を最低限保管しなければならない在庫数である。
工場用プログラム107は、PSI表示機能(工場側)218を有する。PSI表示機能(工場側)218は、工場103の端末90に対象品目に関するPSI情報を表示する機能である。
販売会社用プログラム106および工場用プログラム107はそれぞれ、データアップロード/ダウンロード機能216を有する。データアップロード/ダウンロード機能216は、DBサーバ108のDB109からデータをダウンロードしたり、DBサーバ108のDB109にデータをアップロードしたりする機能である。また、図示されていないが、販売会社用プログラム106および工場用プログラム107はそれぞれ、時刻を計時する時計機能を有する。
DBサーバ108は、第2通信IF221と、第2プロセッサ222と、第2記憶デバイス223と、第2バス224と、を有する。
第2通信IF221は、WEBサーバ104と接続したり、ネットワーク110を介して端末90と接続したりして、データを送受信する。第2プロセッサ222は、DBサーバ108を制御する。第2記憶デバイス223は、第2プロセッサ222の作業エリアとなる。第2記憶デバイス223は、DB109を記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイスとしては、たとえば、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリがある。第2バス224は、第2通信IF221、第2プロセッサ222、および第2記憶デバイス223を通信可能に接続する。
DB109は、品目情報DB231と、PSI情報DB232と、PSI履歴情報DB233と、納期回答情報DB234と、ユーザ情報DB235と、を有する。品目情報DB231は、品目情報および品目属性情報を記憶する。品目情報とは、品目とその販売会社102および調達先(工場103)を特定する識別情報である。品目属性情報とは、品目に関する各種属性を示す情報である。品目情報DB231の詳細は、図3で後述する。
PSI情報DB232は、PSI情報を記憶する。PSI情報DB232は、PSI情報の予測値を記憶する。PSI情報DB232の詳細は、図4で後述する。PSI履歴情報DB233は、PSI履歴情報を記憶する。PSI履歴情報とは、過去に設定されたPSI情報である。PSI履歴情報DB233の詳細は、図5で後述する。
納期回答情報DB234は、品目に関する納期回答を記憶する。納期回答とは、納入リードタイム(LT)における対象品目の納入Pの値である。納入LTは、たとえば、発注された個数の対象品目が販売会社102に納入されるまでの期間である。たとえば、納入LTが「2」であれば、2018年4月現在での納入LTは、2018年4月および5月の2か月である。納期回答情報DB234の詳細は、図6で後述する。ユーザ情報DB235は、ユーザ情報を記憶する。ユーザ情報は、端末90を操作するユーザに関する情報である。ユーザ情報DB235の詳細は、図7で後述する。
<各種DB109の記憶内容例>
図3は、図2に示した品目情報DB231の記憶内容例を示す説明図である。品目情報DB231は、販売会社フィールド301と、調達先フィールド302と、品目フィールド303と、MOQフィールド304と、SPQフィールド305と、基準在庫フィールド306と、納入LTフィールド307と、計算方式フラグフィールド308と、仕入単価フィールド309と、販売単価フィールド310と、在庫管理費比率フィールド311と、変動可能比率フィールド312と、を有する。
販売会社フィールド301、調達先フィールド302、および品目フィールド303が、品目情報を規定する。MOQフィールド304、SPQフィールド305、基準在庫フィールド306、納入LTフィールド307、計算方式フラグフィールド308、仕入単価フィールド309、販売単価フィールド310、在庫管理費比率フィールド311、および変動可能比率フィールド312が、品目属性情報を規定する。
なお、以降の各DB231〜235の説明において、AAフィールドbbb(AAはフィールド名、bbbは符号)の値を、AAbbbと表記する場合がある。たとえば、品目フィールド303の値を、品目303と表記する。
販売会社フィールド301は、値として、販売会社102の識別情報(たとえば、「A」)を格納する記憶領域である。調達先フィールド302は、値として、調達先である工場103の識別情報(たとえば、「X」)を格納する記憶領域である。品目フィールド303は、値として、品目の識別情報(たとえば、「Item_01」)を格納する記憶領域である。したがって、1行目のエントリの品目情報は、調達先302を示す工場103「X」から販売会社301を示す販売会社102「A」に納入される品目303としての品目「Item_01」を示す。
MOQフィールド304は、値として、その品目情報の品目303に関するタイムバケット単位(たとえば、1か月)あたりのMOQの個数(たとえば、「100」)を格納する記憶領域である。MOQ304は、品目303の発注に関する制約条件の1つを示す。たとえば、MOQ304が「100」個の場合、その品目情報の品目「Item_01」については、販売会社102「A」は、調達先302である工場103「X」から最低でも1月あたり100個納入しなければならない。なお、タイムバケット(TB)とは、あらかじめ設定された販売S、納入Pおよび在庫Iを管理するための単位期間である。本例では、1か月単位とするが、1か月に限られない。
SPQフィールド305は、その品目情報の品目303に関するタイムバケット単位(たとえば、1か月)におけるSPQの個数(たとえば、「50」)を格納する記憶領域である。SPQ305は、品目303の発注に関する制約条件の1つを示す。たとえば、SPQ305が「50」個の場合、その品目情報の品目「Item_01」については、販売会社102「A」は調達先302である工場103「X」から最低でも1月あたり50個単位で納入しなければならない。
基準在庫フィールド306は、値として、その品目情報の品目303に関する基準在庫(数)(たとえば、「500」)を格納する記憶領域である。たとえば、基準在庫306が「500」個の場合、その品目情報の品目「Item_01」については、販売会社102「A」は最低でも500個を在庫として保管しなければならない。
納入LTフィールド307は、値として、その品目情報の品目303に関する納入LT(たとえば、「2」ヶ月)を格納する記憶領域である。たとえば、納入LT307が「2」月であれば、2018年4月現在での納入LT307は、2018年4月および5月の2か月である。
計算方式フラグフィールド308は、値として、その品目情報の品目303に関する計算方式フラグ(たとえば、「管理費考慮」)を格納する記憶領域である。計算方式フラグ308には、「切り上げ」と「管理費考慮」の2種類のフラグがある。
「切り上げ」とは、MOQ304およびSPQ305の少なくとも一方を考慮して、納入要求P計算機能212により納入要求Pを自動計算するためのフラグである。MOQ304およびSPQ305の両方を考慮する場合、MOQ304は、SPQ305よりも優先適用される。図3の一行目の例では、MOQ304を考慮すると、納入要求Pは100個以上必要となり、SPQ305を考慮すると、納入要求Pは50個単位で必要となる。
たとえば、WEBサーバ104は、納入要求Pの予測値として、「73」個を算出した場合、MOQ304を考慮して、「100」個に切り上げる。また、WEBサーバ104は、納入要求Pの予測値として、「273」個を算出した場合、SPQ305を考慮して、「300」個に切り上げる。
「管理費考慮」とは、MOQ304およびSPQ305の少なくとも一方のほか、余剰在庫管理費および機会損失費を考慮して、納入要求P計算機能212により納入要求Pを自動計算するためのフラグである。余剰在庫管理費とは、対象品目303に関する納入要求Pの予測値をMOQ304およびSPQ305で切り上げたことにより発生する余剰在庫の販売会社102での管理費である。
機会損失費とは、対象品目303に関する納入要求Pの予測値をMOQ304およびSPQ305で切り捨てたことにより発生する販売機会の損失費である。たとえば、WEBサーバ104は、「切り上げ」の場合と同様、MOQ304およびSPQ305を考慮して納入要求Pの予測値の切り上げと切り捨てを実行し、切り上げた場合の予測値で余剰在庫管理費を算出し、切り捨てた場合の予測値で機会損失費を算出する。
ここで、納入要求Pの予測値の切り上げおよび切り捨て例を列挙する。たとえば、納入要求Pの予測値が「73」個とすると、MOQ304を考慮して切り上げる場合は、納入要求Pの予測値は「100」個になる。ただし、切り上げ後の納入要求Pの予測値は「100」個よりも少なければ、切り上げ前の納入要求Pの予測値より多い値でもよい。
一方、MOQ304を考慮して切り捨てる場合は、納入要求Pの予測値は「0」個になる。ただし、切り捨て後の納入要求Pの予測値は「0」個よりも多ければ、切り捨て前の納入要求Pの予測値未満でもよい。
また、納入要求Pの予測値が「100」個とすると、MOQ304を考慮して切り上げる場合は、納入要求Pの予測値は「100」個になる。一方、MOQ304を考慮して切り捨てる場合も、納入要求Pの予測値は「100」個になる。このように、納入要求Pの予測値がMOQ304と同一である場合には、切り上げ後の予測値と切り捨て後の予測値は一致する。
また、納入要求Pの予測値が「273」個とすると、SPQ305を考慮して切り上げる場合は、納入要求Pの予測値は「300」個になる。ただし、切り上げ後の納入要求Pの予測値は「300」個よりも少なければ、切り上げ前の納入要求Pの予測値より多い値でもよい。
一方、SPQ305を考慮して切り捨てる場合は、納入要求Pの予測値は「250」個になる。ただし、切り捨て後の納入要求Pの予測値は「250」個よりも多ければ、切り捨て前の納入要求Pの予測値未満でもよい。
また、納入要求Pの予測値が「250」個とすると、SPQ305を考慮して切り上げる場合は、納入要求Pの予測値は「250」個になる。一方、SPQ305を考慮して切り捨てる場合も、納入要求Pの予測値は「250」個になる。このように、納入要求Pの予測値をSPQ305で割ったときの余りが0である場合には、切り上げ後の予測値と切り捨て後の予測値は一致する。
仕入単価フィールド309は、値として、その品目情報の品目303に関する仕入単価(たとえば、「¥100」)を格納する記憶領域である。販売単価フィールド310は、値として、その品目情報の品目303に関する販売単価(たとえば、「¥120」)を格納する記憶領域である。
在庫管理費比率フィールド311は、値として、その品目情報の品目303に関する在庫管理費比率(たとえば、「20」)を格納する記憶領域である。在庫管理費比率311は、仕入単価309に内在する品目1個あたりの在庫管理費の比率である。たとえば、在庫管理費比率311が「20」%の場合、品目303の仕入単価309が「¥100」であれば、品目303に関する在庫管理費は、「¥20」である。したがって、余剰在庫が発生すると、品目1個あたり、20円の在庫管理費がかかる。
変動可能比率フィールド312は、値として、その品目情報の品目303に関する未来のタイムバケット(TB)における納入Pの変動可能比率を格納する記憶領域である。変動可能比率フィールド312は、サブフィールドとして、第1TBフィールド321、第2TBフィールド322、第3TBフィールド323、…を有する。第n(nは1以上の整数)TBフィールドは、値として、納入LT307内における最新のタイムバケット(n=0に相当)からnタイムバケット先の変動可能比率を格納する記憶領域である。変動可能比率フィールド312は、実施例2で利用するフィールドであるため、その詳細は、実施例2で後述する。
図4は、PSI情報DB232の記憶内容例を示す説明図である。PSI情報DB232は、品目情報を構成する販売会社フィールド301、調達先フィールド302、および品目フィールド303のほか、PSI項目名フィールド404と、タイムバケットフィールド405と、数量フィールド406と、を有する。ある行における各フィールド301〜303、404〜406の値の組み合わせがPSI情報を構成するエントリとなる。
PSI項目名フィールド404は、値として、その品目情報の品目303に関するデータ項目名を格納する記憶領域である。PSI項目名404とは、「販売予定S」、「納入要求P」、「在庫I」、「基準在庫」といったPSI情報を特定する項目の名称である。PSI項目名404により、品目303のPSI情報が決定される。
タイムバケットフィールド405は、値として、その品目情報の品目303に関するタイムバケットを格納する記憶領域である。タイムバケット405は、その品目情報の品目303がPSI項目名404の内容で設定された時期を示す。具体的には、たとえば、タイムバケットフィールド405には、現在および未来の時期を示す値が設定される。たとえば、現在が2018年6月であれば、タイムバケット405は、2018年6月、2018年7月、…を示す「201806」、「201807」、…となる。また、たとえば、タイムバケット405が「201806」であれば、2018年6月に、その品目情報の品目303がPSI項目名404の内容で管理されることを示す。
数量フィールド406は、値として、その品目情報の品目303に関する数量を格納する記憶領域である。たとえば、数量406が「190」であれば、その品目情報の品目303がPSI項目名404の内容でそのタイムバケット405の時期に管理されることを示す。
図5は、PSI履歴情報DB233の記憶内容例を示す説明図である。PSI履歴情報DB233は、品目情報を構成する販売会社フィールド301、調達先フィールド302、および品目フィールド303のほか、PSI項目名フィールド404と、タイムバケットフィールド405と、数量フィールド406と、世代フィールド507と、を有する。ある行における各フィールドの値の組み合わせがPSI履歴情報を構成するエントリとなる。
世代フィールド507は、値として、その品目情報の品目303に関するエントリが何世代前のエントリであるかを特定する情報を格納する記憶領域である。たとえば、世代507が「m世代前」(mは1以上の整数)である場合、現在日時を含むタイムバケットからmタイムバケット前に、PSI情報DB232のエントリとして設定されたことを示す。
このため、たとえば、現在日時を含むタイムバケットが2018年5月を示す「201805」である場合、PSI履歴情報DB233におけるタイムバケット405が「201804」のエントリは、過去のPSI情報、すなわち、実績値を示す。時間が進み、現在日時を含むタイムバケットが2018年6月になると、PSI情報DB232の全エントリが、PSI履歴情報DB233のエントリとして追加され、PSI情報DB232から削除される。すなわち、図4に示したタイムバケット405が「201806」や「201807」のエントリが、PSI履歴情報DB233に追加される。当該追加エントリの世代507は、「1世代前」となる。
一方、PSI履歴情報DB233のタイムバケット405が「201805」のエントリの世代507は、「1世代前」から「2世代前」に更新される。同様に、PSI履歴情報DB233のタイムバケット405が「201804」のエントリの世代507は、「2世代前」から「3世代前」に更新される。
このように、現在日時が新しいタイムバケットに突入すると、PSI情報DB232の全エントリがPSI履歴情報DB233に追加され、PSI情報DB232から削除される。そして、PSI履歴情報DB233の世代507がインクリメントされる。なお、現在日時が新しいタイムバケット405に突入すると、PSI情報DB232の全エントリではなく、新しいタイムバケット405のエントリのみがPSI履歴情報DB233に追加され、PSI情報DB232から削除され、PSI履歴情報DB233の世代507がインクリメントされてもよい。これにより、PSI履歴情報の全エントリは、PSI情報の実績値のみを記憶することになる。
図6は、納期回答情報DB234の記憶内容例を示す説明図である。納期回答情報DB234は、品目情報(販売会社301、調達先302、および品目303の組み合わせ)ごとに存在する。納期回答情報DB234は、直近実績TB(タイムバケット)フィールド601と、納入LT内タイムバケットフィールド602と、納入Pフィールド603と、を有する。
直近実績TBフィールド601は、値として、直近実績タイムバケットを格納する記憶領域である。たとえば、現在日時を含むタイムバケットが2018年6月であれば、直近実績タイムバケット601は、2018年5月を示す「201805」となる。
納入LT内タイムバケットフィールド602は、値として、納入LT307内のタイムバケットを格納する記憶領域である。たとえば、現在日時を含むタイムバケットが2018年6月であり、かつ、納入LT307が「2」ヶ月であれば、納入LT内タイムバケット602は、2018年6月を示す「201806」および2018年7月を示す「201807」となる。
納入Pフィールド603は、値として、その品目情報の品目303が納入される個数を格納する記憶領域である。たとえば、直近実績タイムバケット601におけるその品目情報の品目303に関する納入P603は、PSI履歴情報DB233のタイムバケット405が直近実績タイムバケット601で、かつ、PSI項目名404が「納入要求P」であるエントリの数量406になる。
具体的には、たとえば、直近実績タイムバケット601が2018年5月を示す「201805」である場合、PSI履歴情報DB233で該当するPSI履歴情報は、エントリ511である。したがって、納入P603は、エントリ511における数量406の「70」となる。
また、たとえば、納入LT内タイムバケット602が「n」個の場合におけるその品目情報の品目303に関する納入P603は、PSI情報DB232のタイムバケット405が直近実績タイムバケット601からn個先までのタイムバケットで、かつ、PSI項目名404が「納入要求P」であるn個エントリの数量406の各々である。
具体的には、たとえば、直近実績タイムバケット601が2018年5月を示す「201805」であり、かつ、納入LT307が「2」月である場合、納入LT内タイムバケット602は、2018年6月を示す「201806」および2018年7月を示す「201807」となる。PSI情報DB232でこれらの納入LT内タイムバケット602に該当するPSI情報は、エントリ411、412である。したがって、納入P603は、エントリ411、412における数量406の「150」、「100」となる。
図7は、ユーザ情報DB235の記憶内容例を示す説明図である。ユーザ情報DB235は、たとえば、ユーザIDフィールド701と、所属先フィールド702と、パスワードフィールド703と、を有する。ある行における各フィールドの値の組み合わせがユーザ情報を構成するエントリとなる。
ユーザIDフィールド701は、ユーザIDを格納する記憶領域である。ユーザID701は、端末90を操作するユーザを一意に特定する識別情報である。所属先フィールド702は、ユーザID701で特定されるユーザの所属先(たとえば、販売会社102、工場103)を一意に特定する識別情報である。パスワードフィールド703は、ユーザID701で特定されるユーザが端末90を操作して管理システム101にログインする際にWEBサーバ104のログインプログラム105から要求されるコードである。端末90に入力されたユーザID701およびパスワード703の組み合わせが、ユーザ情報DB235のいずれかのエントリでのユーザID701およびパスワード703の組み合わせと一致した場合、その端末90は、管理システム101にログインする。
<PSI一覧画面例>
図8は、LPSI一覧画面例を示す説明図である。PSI一覧画面800は、たとえば、ログインが成功した端末90のディスプレイに表示される。PSI一覧画面800は、ダウンロードボタン801と、更新ボタン802と、自動計算ボタン803と、基準在庫設定ボタン804と、品目情報設定領域805と、PSI情報表示領域810と、を有する。図8では、現在日時を含むタイムバケットを2018年4月とする。また、納入LTを「2」ヶ月とする。
ダウンロードボタン801は、管理システム101からのデータのダウンロードを管理システム101に指示するためのボタンである。更新ボタン802は、PSI表示領域内のデータのDB109への更新を管理システム101に指示するためのボタンである。自動計算ボタン803は、納入Pおよび在庫Iの自動計算を管理システム101に指示するためのボタンである。基準在庫設定ボタン804は、端末90からの入力により基準在庫306を設定する設定画面(不図示)を呼び出すためのボタンである。
品目情報設定領域805は、端末90からの入力により品目情報(販売会社301、調達先302、および品目303)を設定するための領域である。
PSI情報表示領域810は、実績表示領域811と、予定設定領域812と、を有する。実績表示領域811は、PSI情報の実績値を表示する表示領域である。品目情報設定領域805に品目情報が設定された状態でダウンロードボタン801が押下されると、当該品目情報におけるPSI情報の実績値が管理システム101からダウンロードされ、実績表示領域811および太枠813内のセルに表示される。太枠813内のセルには、納入LT307においてすでに確定した納入Pの値が設定される。
予定設定領域812は、PSI情報を設定する領域である。予定設定領域812における「販売S」の行の各セルは、端末90から入力可能である。予定設定領域812における「納入P」の行のうち太枠813内のセルを除く各セルには、自動計算ボタン803の押下によりWEBサーバ104で自動計算された値が設定される。予定設定領域812における「在庫I」の行の各セルは、自動計算ボタン803の押下によりWEBサーバ104で自動計算された値が設定される。
<PSI情報表示領域810の更新例>
つぎに、図9〜図12を用いて、図8に示したPSI情報表示領域810の更新例について説明する。
図9は、実施例1にかかるPSI情報表示領域810の更新例1を示す説明図である。(A)は、納入LT307における納入Pの設定例を示す。実績表示領域811には、2017年11月から2018年3月までの販売S、納入P、および在庫Iのデータが管理システム101からのダウンロードにより表示されている。また、予定設定領域812には、2018年4月および5月の納入P(「201804」の「100」個と「201805」の「200」個)が管理システム101からのダウンロードにより表示されている。
(B)は、(A)の状態において、納入LT307における販売Sが端末90から入力され、かつ、更新ボタンが押下された場合の納入LT307における在庫Iの計算結果を示す。あるタイムバケットTBi(iはタイムバケット405。たとえば、2018年4月のタイムバケットであれば、i=201804)における在庫Iiは、下記式(1)により算出される。
Ii=Ii-1−Si+Pi・・・(1)
Siは、タイムバケットTBiにおける対象品目303に関する販売Sの個数、PiはタイムバケットTBiにおける対象品目303に関する納入要求Pの個数である。したがって、2018年3月の在庫I201803が「592」で、かつ、2018年4月の販売S201804が「300」の場合、2018年4月の在庫I201804は「392」となる。また、2018年4月の在庫I201804が「392」で、かつ、2018年5月の販売S201805が「180」の場合、2018年5月の在庫I201805は「412」となる。
図10は、実施例1にかかるPSI情報表示領域810の更新例2を示す説明図である。図10は、管理費を考慮せずに納入要求Pを切り上げる例を示す。(A)は、図9(B)の状態において、納入LT307の次のタイムバケットTBi(2018年6月)における販売Sが端末90から入力され、かつ、自動計算ボタン803が押下された場合の当該次のタイムバケットTBi(2018年6月)における納入要求Pの計算結果と、自動計算ボタン803が押下された場合の当該次のタイムバケットTBi(2018年6月)における在庫Iの計算結果を示す。ここで、あるタイムバケットTBiにおける納入要求Piは、下記式(2)により算出される。
Pi=Is−(Ii-1−Si)・・・(2)
Isは、その品目情報の対象品目303に関する基準在庫306である。本例では、図3に示したように、Is=500(個)とする。2018年6月のタイムバケットTB201806における納入要求P201806は、上記式(2)により、P201806=278(個)となる。
また、MOQ304およびSPQ305(MOQ304が優先される)が考慮される。本例では、図3に示したように、MOQ304=100(個)およびSPQ305=50(個)とする。Pi=278(個)であるため、MOQ304を満たしている。また、SPQ305を適用することにより、Pi=278(個)は、50×5+28(個)となる。したがって、28(個)を切り上げて50(個)とした場合の納入要求Pの切り上げ後の値Puiは、Pui=50×5+50=300(個)となる。これにより、2018年6月のタイムバケットTB201806の納入Pには、納入要求Pとして、Pu201806=300(個)が設定される。なお、図10では適用されないが、SPQ305単位での切り捨ての場合は、切捨て後の値Pd201806は、Pd201806=50×5=250(個)となる(図11参照)。
また、上記式(1)を適用することにより、2018年5月の在庫I201805が「412」、2018年6月の販売S201806および納入P201806が「190」、「300」であるため、2018年6月の在庫I201806は「522」となる。
(B)は、(A)の状態において、タイムバケットTBi(2018年7月)における販売Sが端末90から入力され、かつ、自動計算ボタン803が押下された場合の当該タイムバケット(2018年7月)における納入要求Pの計算結果と、自動計算ボタン803が押下された場合の当該タイムバケット(2018年7月)における在庫Iの計算結果を示す。
2018年7月のタイムバケットTB201807における納入要求P201807は、上記式(2)により、P201807=8(個)となる。P201807=8(個)であるため、MOQ304を満たしていない。したがって、P201807=8(個)はMOQ304により100(個)に切り上げられ、Pu201807=100(個)となる。
また、上記式(1)を適用することにより、2018年6月の在庫I201806が「522」、2018年7月の販売S201807および納入P201807が「30」、「100」であるため、2018年7月の在庫I201807は「592」となる。
(C)は、(B)の状態から、現在日時が次のタイムバケットTBiである2018年5月になった場合のPSI情報表示領域810を示す。現在日時が2018年5月に突入することで、2018年4月のタイムバケットにおけるPSI情報が確定し、実績を示すPSI履歴情報となる。すなわち、2018年4月のタイムバケットTB201804におけるPSI情報が管理システム101にアップロードされDB109に更新される。
実績表示領域811には、2017年12月から2018年4月までの販売S、納入P、および在庫Iのデータが管理システム101からのダウンロードにより表示されている。また、予定設定領域812には、2018年5月および6月の納入P(「201805」の「200」個と「201806」の「300」個)が管理システム101からのダウンロードにより表示されている。
図11は、実施例1にかかるPSI情報表示領域810の更新例3を示す説明図である。図11は、管理費を考慮して、納入要求Pを切り上げまたは切り捨てをする例を示す。(A)は、図9(B)の状態において、納入LT307の次のタイムバケットTBi(2018年6月)における販売Sが端末90から入力された場合の表示例を示す。
自動計算ボタン803が押下されると、WEBサーバ104に納入要求Pの計算指示が送られ、WEBサーバ104は、当該次のタイムバケット(2018年6月)における納入要求Pを計算して、計算結果を端末90に返す。
具体的には、たとえば、2018年6月のタイムバケットTB201806における納入要求P201806は、上記式(2)により、P201806=278(個)となる。ここで、WEBサーバ104は、MOQ304およびSPQ305を考慮したP201806=278(個)の切り上げと切り捨ての両方を実行する。本例では、SPQ305単位での切り上げ後の値Pu201806は、Pu201806=300(個)となり、SPQ305単位での切り捨て後の値Pd201806は、Pd201806=250(個)となる。
そして、WEBサーバ104は、切り上げ後の納入要求Pの値Puiを用いて、そのタイムバケットTBiにおける切り上げ後の在庫Iuiを計算する。WEBサーバ104は、計算した切り上げ後の在庫Iuiを用いて、下記式(3)により、SPQ305を考慮して納入要求Pを切り上げた場合の余剰在庫管理費Cs(Iui)を算出する。
Cs(Iui)=(Iui−Is)×(pp×R)・・・(3)
ppは、その品目情報における品目に関する仕入単価309である。Rは、その品目情報における品目に関する在庫管理費比率311である。本例の場合、2018年6月のタイムバケットTB201806での余剰在庫管理費Cs(Iu201806)は、Cs(Iu201806)=440円となる。すなわち、納入要求Pを278個から300個に切り上げたことにより、22個の余剰在庫分の管理費として440円がかかることを示す。
また、WEBサーバ104は、切り捨て後の納入要求Pの値Pdiを用いて、そのタイムバケットTBiにおける切り捨て後の在庫Idiを計算する。WEBサーバ104は、計算した在庫Idiを用いて、下記式(4)により、SPQ305を考慮して納入要求Pを切り捨てた場合の機会損失費Cl(Idi)を算出する。
Cl(Idi)=(Idi−Is)×sp・・・(4)
spは、その品目情報における品目に関する販売単価310である。本例の場合、2018年6月のタイムバケットTB201806での機会損失費Cl(Id201806)は、Cl(Id201806)=−3,360円となる。すなわち、納入要求Pを278個から250個に切り捨てたことにより、28個の在庫不足により、販売機会の損失費として3,360円が発生することを示す。
切り上げ後の在庫Iuiおよび切り捨て後の在庫Idiを計算することにより、基準在庫Isという共通の指標で切り上げ後の在庫Iuiおよび切り捨て後の在庫Idiの比較が可能となる。したがって、在庫管理上のリスクについて客観的な評価を得ることができる。
WEBサーバ104は、余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)とを比較してそれらの絶対値が小さい方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを選択する。選択された納入要求Pおよび在庫Iは、選択されなかった納入要求Pおよび在庫Iよりも費用的なリスクを低減する。この場合、余剰在庫管理費Cs(Iu201806)の絶対値の方が小さいため、WEBサーバ104は、納入要求Pu201806=300(個)および在庫Iu201806=522(個)を選択して、端末90に返す。これにより、図11の(B)に示したように、タイムバケットTB201806の納入P201806および在庫I201806にそれぞれ、納入要求Pu201806=300(個)および在庫Iu201806=522(個)が表示される。
図12は、実施例1にかかるPSI情報表示領域810の更新例4を示す説明図である。図12は、図11と同様、管理費を考慮して、納入要求Pを切り上げまたは切り捨てをする例を示す。(A)は、図11(B)の状態において、タイムバケットTB201807における販売Sが端末90から入力された場合の表示例を示す。
自動計算ボタン803が押下されると、WEBサーバ104に納入要求Pの計算指示が送られ、WEBサーバ104は、当該タイムバケットTB201807における納入要求P201807を計算して、計算結果を端末90に返す。
具体的には、たとえば、2018年7月のタイムバケットTB201807における納入要求Pの値P201807は、上記式(2)により、P201807=8(個)となる。ここで、WEBサーバ104は、MOQ304およびSPQ305を考慮したP201807=8(個)の切り上げと切り捨ての両方を実行する。本例では、MOQ304が優先適用され、MOQ304単位での切り上げ後の値Pu201807は、Pu201807=100(個)となり、MOQ304単位での切り捨て後の値Pd201807は、Pdi=0(個)となる。
そして、WEBサーバ104は、切り上げ後の納入要求Pの値Puiを用いて、そのタイムバケットTBiにおける在庫Iuiを計算し、計算した在庫Iuiを用いて、上記式(3)により、MOQ304を考慮して納入要求Pを切り上げた場合の余剰在庫管理費Cs(Iui)を算出する。
本例の場合、2018年7月のタイムバケットTB201807での余剰在庫管理費Cs(Iu201807)は、Cs(Iu201807)=1,840円となる。すなわち、納入要求P201807を8個から100個に切り上げたことにより、92個の余剰在庫分の管理費として1,840円がかかることを示す。
また、WEBサーバ104は、切り捨て後の納入要求Pの値Pdiを用いて、そのタイムバケットTB201807における在庫Idiを計算し、計算した在庫Idiを用いて、上記式(4)により、MOQ304を考慮して納入要求Pを切り捨てた場合の機会損失費Cl(Idi)を算出する。
本例の場合、2018年7月のタイムバケットTB201807での機会損失費Cl(Id201807)は、Cl(Id201807)=−960円となる。すなわち、納入要求Pを8個から0個に切り捨てたことにより、8個の在庫不足により、販売機会の損失費として960円が発生することを示す。
WEBサーバ104は、余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)とを比較してそれらの絶対値が小さい方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを選択する。この場合、機会損失費Cl(Id201807)の絶対値の方が小さいため、WEBサーバ104は、納入要求Pd201807=0(個)および在庫Id201807=492(個)を選択して、端末90に返す。これにより、図12の(B)に示したように、タイムバケットTB201807の納入P201807および在庫I201807にそれぞれ、納入要求Pd201807=0(個)および在庫Id201807=492(個)が表示される。
なお、上述の例では、WEBサーバ104が、余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)とを比較してそれらの絶対値が小さい方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを選択した。これに対し、WEBサーバ104が、余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)とをWEBサーバ104のディスプレイに表示させ、WEBサーバ104の管理者が余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)のいずれかを選択することとしてもよい。この場合、WEBサーバ104は、選択した方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを選択する。
また、WEBサーバ104が、余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)とを端末90のディスプレイに表示させ、端末90のユーザ(販売会社102所属)が余剰在庫管理費Cs(Iui)と機会損失費Cl(Idi)のいずれかを選択することとしてもよい。この場合、WEBサーバ104は、選択結果を受けて、ユーザが選択した方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを、リスクが少ない方の納入要求Pおよび在庫Iに決定する。
<管理シーケンス>
図13は、WEBサーバ104と端末90との間の処理手順を示すシーケンス図である。なお、端末90は、管理システム101にログイン済みとする。まず、端末90は、PSI一覧画面要求をWEBサーバ104に送信する(ステップS1301)。WEBサーバ104は、端末90からPSI一覧画面要求を受信すると、PSI一覧画面情報を端末90に送信する(ステップS1302)。これにより、図8に示したように、端末90のディスプレイには、PSI一覧画面が表示される。
端末90は、販売Sが入力された状態で自動計算ボタン803の押下を受け付けると、納入要求P計算要求をWEBサーバ104に送信する(ステップS1303)。納入要求P計算要求の計算に必要な情報、すなわち、対象となる品目情報や上記式(2)に代入される値または当該値をDB109から指定する情報が含まれる。
WEBサーバ104は、納入要求P計算要求を端末90から受信すると、納入要求算出処理を実行し、算出結果を端末90に送信する(ステップS1304)。納入要求算出処理(ステップS1304)の詳細は、図14で後述する。端末90は、納入要求算出処理(ステップS1304)の算出結果をWEBサーバ104から受信し、たとえば、図10の(A)に示したように、タイムバケットTBiが「201806」の納入Pである「300」を、ディスプレイに表示する(ステップS1305)。
図14は、図13に示した納入要求算出処理(ステップS1304)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。WEBサーバ104は、納入要求P計算要求を端末90から受信した場合、DB109から関連情報を読み込む(ステップS1401)。具体的には、たとえば、WEBサーバ104は、納入要求P計算要求から対象となる品目情報を特定し、特定した品目情報に対応する品目属性情報を品目情報DB231から取得する。
WEBサーバ104は、納入要求Pの計算に際し、取得した品目属性情報に含まれる計算方式フラグ308により、管理費(余剰在庫管理費および機会損失費)を考慮するか否かを判断する(ステップS1402)。計算方式フラグ308が「切り上げ」である場合(ステップS1402:No)、WEBサーバ104は、図10に示したように、切り上げ処理を実行して(ステップS1403)、ステップS1405に移行する。切り上げ処理(ステップS1403)の詳細は、図15で後述する。
一方、計算方式フラグ308が「管理費考慮」である場合(ステップS1402:No)、WEBサーバ104は、図11および図12に示したように、管理費考慮処理を実行して(ステップS1404)、ステップS1405に移行する。管理費考慮処理(ステップS1404)の詳細は、図18で後述する。
WEBサーバ104は、切り上げ処理(ステップS1403)または管理費考慮処理(ステップS1404)のあと、DBサーバ108にアクセスして、切り上げ処理(ステップS1403)または管理費考慮処理(ステップS1404)の計算結果をDB109に反映する(ステップS1405)。
図15は、図14に示した切り上げ処理(ステップS1403)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。WEBサーバ104は、納入LT307内の販売数および在庫数設定処理を実行し(ステップS1501)、第1予測処理を実行して(ステップS1502)、ステップS1405に移行する。納入LT307内の販売数および在庫数設定処理(ステップS1501)は、図9の(B)に示したように、納入LT307内の販売数および在庫数を設定する処理であり、図16で詳細に説明する。第1予測処理(ステップS1502)は、納入LT307後における納入要求Pおよび在庫Iを予測する処理であり、図17で詳細に説明する。
図16は、図15に示した納入LT307内の販売数および在庫数設定処理(ステップS1501)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。WEBサーバ104は、端末90での自動計算ボタン803の押下を検出するまで待ち受ける(ステップS1601:No)。当該押下が検出された場合(ステップS1601:Yes)、WEBサーバ104は、納入LT307内において在庫Iの数を算出可能な販売Sの数の入力があるか否かを判断する(ステップS1602)。
具体的には、たとえば、WEBサーバ104は、上記式(1)において、納入LT307内のタイムバケットTBiの在庫Iiを算出する場合に必要な、タイムバケットTBiの販売Siと1つ前のタイムバケットTBi-1の在庫Ii-1とが設定されているか否かを判断する。
たとえば、図9の(B)に示すように、2018年4月のタイムバケットTB201804に販売Sとして「300」が入力されている。したがって、WEBサーバ104は、上記式(1)を用いて、2018年4月のタイムバケットTB201804で在庫I201804の算出が可能となる。
また、図9の(B)に示すように、2018年5月のタイムバケットTB201805に販売S201805として「180」が入力され、かつ、2018年4月のタイムバケットTB201804で在庫I201804が算出されている。したがって、WEBサーバ104は、上記式(1)を用いて、2018年5月のタイムバケットTB201805で在庫I201805の算出が可能となる。したがって、ステップS1602:Yesとなり、ステップS1603へ移行する。
一方、2018年4月のタイムバケットTB201804に販売S201804が入力されていない場合、WEBサーバ104は、上記式(1)を用いて、2018年4月のタイムバケットTB201804で在庫I201804を算出できない。また、2018年5月のタイムバケットTB201805に販売S201805が入力されていない場合、WEBサーバ104は、上記式(1)を用いて、2018年5月のタイムバケットTB201805で在庫I201805を算出できない。2018年4月のタイムバケットTB201804で在庫I201804が算出されていても同様である。
また、2018年5月のタイムバケットTB201805に販売S201805が入力されていても、2018年4月のタイムバケットTB201804で在庫I201804が算出されていなければ、WEBサーバ104は、上記式(1)を用いて、2018年5月のタイムバケットTB201805で在庫I201805を算出できない。したがって、ステップS1602:Noとなり、ステップS1605へ移行する。
ステップS1602:Yesの場合、WEBサーバ104は、販売数が入力された納入LT307内のタイムバケットTBiについて在庫数を算出する(ステップS1603)。そして、WEBサーバ104は、ステップS1603の計算結果を端末90に送信する(ステップS1604)。これにより、端末90では、図9の(B)のように、在庫Iの計算結果が表示される。一方、ステップS1602:Noの場合、WEBサーバ104は、NG表示情報を端末90に送信して(ステップS1605)、第1予測処理(ステップS1502)に移行する。
図17は、図15に示した第1予測処理(ステップS1502)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。WEBサーバ104は、納入LT307内の全在庫数を算出済みであるか否かを判断する(ステップS1701)。
算出済みでない場合(ステップS1701:No)、WEBサーバ104は、NG表示情報を端末90に送信して(ステップS1702)、ステップS1405に移行する。算出済みである場合(ステップS1701:Yes)、WEBサーバ104は、納入LT307後において納入要求を算出可能な販売数は入力済みであるか否かを判断する(ステップS1703)。
具体的には、たとえば、WEBサーバ104は、上記式(2)において、納入LT307後のタイムバケットTBiの納入要求Piを算出する場合に必要な、タイムバケットTBiの販売Siと1つ前のタイムバケットTBi-1の在庫Ii-1とが設定されているか否かを判断する。
たとえば、図10の(A)に示すように、2018年6月のタイムバケットTB201806に販売S201806として「190」が入力されている。したがって、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、2018年6月のタイムバケットTB201806で納入要求P201806の算出が可能となる。
また、図10の(B)に示すように、2018年7月のタイムバケットTB201807に販売S201807として「30」が入力され、かつ、2018年6月のタイムバケットTB201806で在庫I201806が算出されている。したがって、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、2018年7月のタイムバケットTB201807で納入要求P201807の算出が可能となる。したがって、ステップS1703:Yesとなり、ステップS1708へ移行する。
一方、図10の(A)において、2018年6月のタイムバケットTB201806に販売S201806が入力されていない場合、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、2018年6月のタイムバケットTB201806で納入要求P201806を算出できない。また、2018年7月のタイムバケットTB201807に販売S201807が入力されていない場合、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、2018年7月のタイムバケットTB201807で納入要求P201807を算出できない。2018年6月のタイムバケットTB201806で在庫I201806が算出されていても同様である。
また、2018年7月のタイムバケットTB201807に販売S201807が入力されていても、2018年6月のタイムバケットTB201806で在庫I201806が算出されていなければ、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、2018年7月のタイムバケットTB201807で納入要求Pを算出できない。したがって、ステップS1703:Noとなり、ステップS1704へ移行する。
ステップS1703:Noの場合、WEBサーバ104は、納入LT307後において納入要求を算出可能な販売数の入力があるか否かを判断する(ステップS1704)。販売数の入力がない場合(ステップS1704:No)、WEBサーバ104は、端末90での自動計算ボタン803の押下を検出するまで待ち受け(ステップS1705:No)、ステップS1704に戻る。当該押下が検出された場合(ステップS1705:Yes)、WEBサーバ104は、NG表示情報を端末90に送信して(ステップS1702)、ステップS1405に移行する。
販売S数の入力があった場合(ステップS1704:Yes)、WEBサーバ104は、WEBサーバ104は、端末90での自動計算ボタン803の押下を検出するまで待ち受け(ステップS1707:No)、ステップS1704に戻る。当該押下が検出された場合(ステップS1707:Yes)、WEBサーバ104は、ステップS1708に移行する。
ステップS1708において、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、販売S数が入力されたタイムバケットの納入要求P数を算出し(ステップS1708)、図10に示したように、MOQ304およびSPQ305を考慮して、算出した納入要求P数を切り上げる(ステップS1709)。そして、WEBサーバ104は、上記式(1)を用いて、販売S数および納入要求P数が得られたタイムバケットの在庫I数を算出し(ステップS1710)、算出結果(納入要求P数および在庫I数)を端末90に送信する(ステップS1711)。そして、ステップS1405へ移行する。
図18は、図14に示した管理費考慮処理(ステップS1404)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。WEBサーバ104は、図16に示した納入LT307内の販売数および在庫数設定処理を実行し(ステップS1501)、第2予測処理を実行して(ステップS1802)、ステップS1405に移行する。第2予測処理(ステップS1802)は、図11および図12に示したように、MOQ304およびSPQ305を考慮して納入要求Pを切り上げた場合の余剰在庫管理費、ならびに、MOQ304およびSPQ305を考慮して納入要求Pを切り捨てた場合の機会損失費を比較することで、納入要求Pおよび在庫Iを決定する処理である。第2予測処理(ステップS1802)の詳細は、図19で後述する。
図19は、図18に示した第2予測処理(ステップS1802)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。図17に示した第1予測処理(ステップS1502)と同一処理には同一ステップ番号を付し、その説明を省略する。ステップS1708において、WEBサーバ104は、上記式(2)を用いて、販売S数が入力されたタイムバケットTBの納入要求P数を算出した(ステップS1708)後、決定処理を実行して(ステップS1909)、ステップS1710に移行する。決定処理(ステップS1909)は、余剰在庫管理費および機会損失費を算出して、リスクが少ない方の納入要求Pおよび在庫Iを決定する処理であり、図20で後述する。
図20は、図19に示した決定処理(ステップS1909)の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。WEBサーバ104は、図11および図12に示したように、上記式(3)により余剰在庫管理費を算出し、上記式(4)により機会損失費を算出する(ステップS2001)。つぎに、WEBサーバ104は、算出された余剰在庫管理費および機会損失費を比較して、それらの絶対値が小さい方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを決定する(ステップS2002)。
これにより、WEBサーバ104は、第2予測処理(ステップS1802)を実行することで、MOQ304およびSPQ305を考慮して納入要求Pを切り上げおよび切り捨てた場合に、在庫管理上のリスクが少ない方の納入要求Pを選択する。したがって、在庫管理上のリスクの低減化を図ることができる。
なお、WEBサーバ104が、余剰在庫管理費と機会損失費とをWEBサーバ104や端末90のディスプレイに表示させ、WEBサーバ104の管理者や端末90のユーザが余剰在庫管理費と機会損失費のいずれかを選択することとしてもよい。この場合、WEBサーバ104は、選択した方の算出元となる切り上げまたは切り捨て後の納入要求Pおよび在庫Iを、リスクが少ない方の納入要求Pおよび在庫Iに決定する。このように、管理者やユーザに余剰在庫管理費および機会損失費を提示することで、いずれの費用の方が在庫管理上のリスクが高いかを管理者やユーザに認識させることができる。したがって、在庫管理上のリスク管理の容易化を図ることができる。
[1]このように、実施例1によれば、管理装置であるWEBサーバ104は、特定品目303(たとえば、販売会社301が「A」で調達先302が「X」の品目「Item_01」)に関する基準在庫306の数(たとえば、500個)と、特定品目303の仕入単価309(たとえば、\100)と、特定品目303の販売単価310(たとえば、\120)と、特定品目303を在庫として管理する特定品目303に関する在庫管理費比率311(たとえば、20%)と、を含む品目情報を記憶するとともに、第1期間(たとえば、先月)における特定品目303の在庫数(先月の在庫I)を記憶するデータベース109にアクセス可能である。
WEBサーバ104の第1プロセッサ202は、第1期間よりも先の期間である第2期間(たとえば、今月)における特定品目303の販売数(たとえば、今月の販売S)と、第2期間における特定品目303の納入数(たとえば、今月の納入P)とを取得する取得処理と、取得処理によって取得された第2期間における特定品目303の納入数以上の第1納入数(たとえば、切り上げ後の今月の納入P)と、第2期間における特定品目303の納入数以下の第2納入数(たとえば、切り捨て後の今月の納入P)と、を設定する設定処理と、設定処理によって設定された第1納入数が納入された場合の特定品目303に関する余剰在庫の管理費を算出し、設定処理によって設定された第2納入数が納入された場合の特定品目303に関する販売機会の損失費を算出する算出処理と、算出処理によって算出された特定品目303に関する余剰在庫の管理費と特定品目303に関する販売機会の損失費とを出力する出力処理と、を実行する。
これにより、WEBサーバ104は、余剰在庫管理費と機会損失費とをWEBサーバ104や端末90のディスプレイに表示させ、WEBサーバ104の管理者や端末90のユーザが余剰在庫管理費と機会損失費のいずれかを選択させる。このように、在庫管理上のリスクを判断する指標をWEBサーバ104の管理者や端末90のユーザに提示することで、在庫管理上のリスク管理の容易化を図ることができる。
[2]また上記[1]において、第1プロセッサ202は、基準在庫306の数と、第1期間における特定品目303の在庫Iの数と、第2期間における特定品目303の販売Sの数と、に基づいて、第2期間における特定品目の納入数を算出してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、第2期間における納入要求を自動的に求めることができ、在庫管理上のリスク管理の容易化を図ることができる。
[3]また上記[1]において、上述した品目情報は、特定品目303の発注に関する制約条件(たとえば、MOQ304,SPQ305)を記憶しており、設定処理では、第1プロセッサ202は、制約条件に基づいて、第1納入数と、第2納入数と、を設定してもよい。
これにより、制約に遵守するような第1納入数および第2納入数で発注が可能となる。
[4]また上記[3]において、制約条件は、特定品目303の最小発注単位(たとえば、MOQ304=100個)を含み、設定処理では、第1プロセッサ202は、第2期間における特定品目303の納入Pの数が、最小発注単位よりも少ない場合、第1納入数を最小発注単位に設定し、第2納入数を第2期間における特定品目303の納入Pの数よりも少ない値に設定してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、最小発注単位を遵守した場合と遵守しなかった場合とで納入要求を求めることができる。
[5]また上記[3]において、制約条件は、特定品目303の梱包単位(たとえば、SPQ305=50個)を含み、設定処理では、第1プロセッサ202は、第2期間における特定品目303の納入Pの数以上で、かつ、梱包単位を充足するように第1納入数を設定するとともに、第2期間における特定品目303の納入Pの数以下で、かつ、梱包単位を充足するように第2納入数を設定してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、梱包単位を遵守した場合と遵守しなかった場合とで納入要求を求めることができる。
[6]また上記[4]において、制約条件は、特定品目303の梱包単位を含み、設定処理では、第1プロセッサ202は、第2期間における特定品目303の納入Pの数が、最小発注単位以上である場合、第2期間における特定品目303の納入Pの数以上で、かつ、梱包単位を充足するように第1納入数を設定するとともに、第2期間における特定品目303の納入Pの数以下で、かつ、梱包単位を充足するように第2納入数を設定してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、梱包単位よりも最小発注単位を優先して、最小発注単位を遵守した場合と遵守しなかった場合とで納入要求を求めることができる。すなわち、第2期間における特定品目303の納入Pの数が最小発注単位以上である場合、最小発注単位を充足していることになるため、WEBサーバ104は、梱包単位を遵守した場合と遵守しなかった場合とで納入要求を求めることができる。
[7]また上記[1]において、算出処理では、第1プロセッサ202は、第1期間における特定品目303の在庫Iの数と、取得処理によって取得された第2期間における特定品目303の販売Sの数と、第1納入数と、に基づいて、第2期間における特定品目303の第1在庫数を算出し、かつ、第1期間における特定品目303の在庫Iの数と、第2期間における特定品目303の販売Sの数と、第2納入数と、に基づいて、第2期間における特定品目303の第2在庫数を算出する第1算出処理を実行し、第1算出処理によって算出された第2期間における特定品目303の第1在庫数に基づいて、第1納入数が納入された場合の特定品目に関する余剰在庫の管理費を算出し、第1算出処理によって算出された第2期間における特定品目303の第2在庫数に基づいて、第2納入数が納入された場合の特定品目303に関する販売機会の損失費を算出してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、余剰在庫数を予測した上で余剰在庫管理費を算出することができ、在庫不足分を予測した上で販売期間損失費を算出することができる。
[8]また上記[7]において、算出処理では、第1プロセッサ202は、第2期間における特定品目303の第1在庫数と、特定品目303に関する基準在庫306の数と、特定品目303の仕入単価309と、特定品目303に関する在庫管理費比率311と、に基づいて、特定品目303に関する余剰在庫の管理費を算出する第2算出処理を実行することとしてもよい。
これにより、余剰在庫管理費の予測の高精度化を図ることができる。
[9]また上記[7]において、算出処理では、第1プロセッサ202は、第2期間における特定品目303の第2在庫数と、特定品目303に関する基準在庫306の数と、特定品目303の販売単価310と、に基づいて、特定品目303に関する販売機会の損失費を算出する第3算出処理を実行することとしてもよい。
これにより、販売機会損失費の予測の高精度化を図ることができる。
[10]また上記[1]において、第1プロセッサ202は、特定品目303に関する余剰在庫の管理費と、特定品目303に関する販売機会の損失費と、に基づいて、第1納入数または第2納入数のいずれか一方を、第2期間における特定品目303の納入Pの数に決定する決定処理を実行し、出力処理では、プロセッサは、決定処理によって決定された第2期間における特定品目303の納入Pの数を出力してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、特定品目303に関する余剰在庫管理費および販売機会損失費を考慮して、在第1納入数または第2納入数のいずれか一方の納入要求を選択する。したがって、在庫管理上のリスクの低減化を図ることができる。
[11]また上記[10]において、第1プロセッサ202は、決定処理では、第1プロセッサ202は、特定品目303に関する余剰在庫の管理費と、特定品目303に関する販売機会の損失費の絶対値と、を比較して、特定品目303に関する余剰在庫の管理費の方が小さい場合、第1納入数を、第2期間における特定品目303の納入Pの数に決定し、特定品目303に関する販売機会の損失費の絶対値の方が小さい場合、第2納入数を、第2期間における特定品目303の納入Pの数に決定してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、MOQ304およびSPQ305を考慮して納入要求Pを切り上げおよび切り捨てた場合に、在庫管理上のリスクが少ない方の納入要求Pを選択する。したがって、在庫管理上のリスクの低減化を図ることができる。
調達先302となる工場103は、将来の納入要求Pを元に生産計画を立案するが、販売会社102からの納入要求Pに変動が多いと生産計画が立てられず、結果的に納入が遅れてしまうリスクがある。そこで、実施例2では、納入要求Pの計算時に、前回(1世代前)の立案時の納入要求Pi j-1(jは世代番号を示す整数)の変動可能比率の範囲に収まるように現世代jの納入要求Pi jを計算し、結果的に工場側の生産計画の早期着手、つまり製造リードタイムの短縮を図る。
なお、実施例2では、変動可能比率を中心に説明するため、実施例1と重複する部分については、同一符号を用いて説明を省略する。
図3において、変動可能比率フィールド312の「変動可能比率」とは、現世代jにおけるタイムバケットTBi jでの納入要求Pi jを、1世代前(j−1)のタイムバケットTBi j-1の納入要求Pi j-1を基準とする範囲に変更するための比率である。すなわち、あるタイムバケットTBi jでの納入要求Pi jの変動可能比率312をVRiとすると、下記式(5)を満たすように、納入要求Pi jが変更される。ただし、タイムバケットTBiは、納入LT後からのn番目のタイムバケットである。
(1−VRi)×Pi j-1≦Pi j≦(1+VRi)×Pi j-1・・・(5)
上記式(5)の(1−VRi)×Pi j-1は、納入要求Pi jの下限値PLi j-1であり、(1+VRi)×Pi j-1は、納入要求Piの上限値PUi j-1である。納入要求Pi jが上記式(5)の範囲内であれば、納入要求Pi jは変更されない。納入要求Pi jが下限値PLi j-1を下回った場合は、納入要求Pi jは下限値PLi j-1に変更される。納入要求Pi jが上限値PUi j-1を上回った場合は、納入要求Piは上限値PUi j-1に変更される。
なお、上記式(5)の適用対象となる納入要求Pi jおよび納入要求Pi j-1は、第1予測処理(ステップS1502)のステップS1709で切り上げされた納入要求Pでもよく、決定処理(ステップS1909)のステップS2002で決定された納入要求Pでもよい。すなわち、計算方式フラグ308は、「管理費考慮」および「切り上げ」のいずれでもよい。
<納入要求Pi jの変更例>
つぎに、図21および図22を用いて、納入要求Pi jの変更例について説明する。
図21は、実施例2にかかるPSI情報表示領域810の更新例1を示す説明図である。図21では、現在日時を含むタイムバケットを2018年3月とする。また、納入LT307を「2」ヶ月とする。
(A)は、納入LT307後のタイムバケットTBiにおける販売S、納入要求P、および在庫Iの設定例を示す。(B)は、(A)における現在日時を含む2018年3月のタイムバケットTB201803から時間が経過し、現在日時が次のタイムバケットTB201804に突入した場合の販売S、納入要求P、および在庫Iの設定例を示す。現在日時が2018年4月のタイムバケットTB201804に含まれることになったため、(B)が現世代jを示し、(A)は1世代前(j−1)を示す。
(B)では、納入LT307のタイムバケットTBiが「201804」および「201805」となる。このため、納入LT307の納入P(「100」および「300」)は確定する。また、納入LT307において、1世代前に入力された販売S(「300」および「180」)に変更がなければ、現世代の販売S(「300」および「180」)および在庫I(「392」および「512」)も変更されない。
(B)において、WEBサーバ104は、現世代における納入LT307後のタイムバケットTBiでの納入要求Pi jの変動可能範囲を規定する。この処理は、現在日時が新しいタイムバケットTBiに突入したのをトリガとして実行されてもよく、その後現世代における納入LT307後のタイムバケットTBiでの販売Si jの値が端末90の操作により変更されたのをトリガとして実行されてもよい。
2018年6月のタイムバケットTB201806が第1TB321に該当するため、変動可能比率VR201806は、VR201806=20%である。また、1世代前におけるタイムバケットTB201806 j−1の納入P201806 j-1は、P201806 j-1=200(図21の(A)を参照)である。したがって、現世代jにおけるタイムバケットTB201806 jの納入要求P201806 jの変動可能範囲の下限値PL201806 j-1は、PL201806 j-1=160であり、上限値PU201806 j-1は、PU201806 j-1=240である。すなわち、現世代jにおける「201806」の納入要求P201806 jの変動可能範囲は、[160,240]となる。
(B)において、端末90の操作により、納入LT307後の最初のタイムバケットである2018年6月のタイムバケットTB201806 jの販売S201806 jが、1世代前の「190」から「90」に変更されたものとする。これにより、現世代におけるタイムバケットTB201806の納入要求P201806 jは、切り上げ処理(ステップS1403)または管理費考慮処理(ステップS1404)により1世代前の「200」から「100」に変更されたものとする。
この場合、変更後の納入要求P201806 j=100は、変動可能範囲[160,240]外、すなわち、下限値PL201806 j-1=160を下回る。したがって、WEBサーバ104は、納入要求P201806 jを「100」から「160」に変更する。また、WEBサーバ104は、現世代におけるタイムバケットTB201806 jの在庫I201806 jも、上記式(1)により「522」から「582」に変更する。
またこの場合、『変動可能比率により補正されました。160〜240の間で入力してください。』のように、WEBサーバ104は、補正された旨および変動可能範囲[160,240]を示すポップアップ2100を端末90に表示させてもよい。
図22は、実施例2にかかるPSI情報表示領域810の更新例2を示す説明図である。(A)は、図21の(A)と同一内容である。(B)は、第1TB321である2018年6月のタイムバケットTB201806 jにおける現世代の販売S201806 jが、1世代前(j−1)の「190」から、図21の(B)のように「90」ではなく、「310」になる点が異なる。また、(B)において、現世代jの納入要求P201806 jの変動可能範囲は、図21と同様、[160,240]となる。
(B)において、端末90の操作により、納入LT307後の最初のタイムバケットである2018年6月のタイムバケットTB201806 jの販売S201806 jが、1世代前の「190」から「310」に変更されたものとする。これにより、現世代におけるタイムバケットTB201806 jの納入要求P201806 jは、切り上げ処理(ステップS1403)または管理費考慮処理(ステップS1404)により1世代前の「200」から「300」に変更されたものとする。
この場合、変更後の納入要求P201806 j=300は、変動可能範囲[160,240]外、すなわち、上限値PU201806 j-1=240を上回る。したがって、WEBサーバ104は、納入要求P201806 jを「300」から「240」に変更する。また、WEBサーバ104は、現世代におけるタイムバケットTB201806 jの在庫I201806 jも、上記式(1)により「522」から「442」に変更する。
またこの場合、『変動可能比率により補正されました。160〜240の間で入力してください。』のように、WEBサーバ104は、補正された旨および変動可能範囲[160,240]を示すポップアップ2100を端末90に表示させてもよい。
<納入要求Pi jの変更処理手順例>
図23は、実施例2にかかる現世代の納入要求Pi jの変更処理手順例を示すフローチャートである。なお、前提条件として、ある端末90が管理システム101にログインしており、図21の(A)または図22の(A)のPSI情報表示領域810が当該端末90のディスプレイに表示中とする。
WEBサーバ104は、現在日時が新しいタイムバケットTBに突入するのを待ち受ける(ステップS2301:No)。現在日時が新しいタイムバケットTBに突入した場合(ステップS2301:Yes)、端末90は、当該突入以前に表示されていたPSI情報表示領域810内のPSI情報をWEBサーバ104にアップロードする。WEBサーバ104は、端末90からアップロードされたPSI情報をPSI履歴情報としてPSI履歴情報DB233に格納する。また、新しいタイムバケットTBへの突入後においてPSI情報表示領域810に存在するPSI情報は、現世代jのPSI情報として引き継がれる。
したがって、WEBサーバ104は、現世代jの納入LT307後のタイムバケット(以下、対象タイムバケットTBi j)について、1世代前の対象タイムバケットTBi j-1での納入要求Pi j-1を用いて、上記式(5)により、変動可能範囲を設定する(ステップS2302)。
そして、WEBサーバ104は、対象タイムバケットTBi jの販売Si jについて端末90からの変更入力を待ち受ける(ステップS2303:No)。このときの販売Si j、納入要求Pi j、在庫Ii jはそれぞれ、1世代前から引き継がれた販売Si j-1、納入要求Pi j-1、在庫Ii j-1と同一の値である。販売Si jの変更入力があった場合(ステップS2303:Yes)、WEBサーバ104は、当該変更後の販売S´i jを用いて、上記式(2)により、現世代の対象タイムバケットTBi jにおける納入要求P´i jを算出する(ステップS2304)。
WEBサーバ104は、ステップS2304で算出された納入要求P´i j(以下、算出納入要求P´i j)が、ステップS2302で設定された変動可能範囲内であるか否かを判断する(ステップS2305)。変動可能範囲である場合(ステップS2305:Yes)、WEBサーバ104は、変更後の販売S´i jおよび算出納入要求P´i jを用いて、上記式(1)により在庫Ii jを変更後の在庫I´i jに更新する(ステップS2309)。これにより、一連の処理が終了する。
また、変動可能範囲外である場合(ステップS2305:No)、WEBサーバ104は、算出納入要求P´i jが変動可能範囲の下限値PLi j-1未満であるか否かを判断する(ステップS2306)。下限値PLi j-1未満である場合(ステップS2306:Yes)、WEBサーバ104は、算出納入要求P´i jを下限値PLi j-1(算出納入要求Pi jより大きく下限値PLi j-1未満の値でもよい)に変更し(ステップS2307)、ステップS2309に移行する。
下限値PLi j-1未満でない場合(ステップS2306:No)、算出納入要求P´i jは上限値PUi j-1を上回っていることになる。したがって、WEBサーバ104は、算出納入要求P´i jを上限値PUi j-1(上限値PUi j-1より大きく算出納入要求Pi j未満の値でもよい)に変更し(ステップS2308)、ステップS2309に移行する。
ステップS2307またはS2308のあと、WEBサーバ104は、変更後の販売S´i jおよび変更後の算出納入要求P´i jを用いて、上記式(1)により在庫Ii jを変更後の在庫I´i jに更新する(ステップS2309)。これにより、一連の処理が終了する。
これにより、前回立案時の納入要求Pi j-1で決まる変動可能範囲に収まるように現世代jの納入要求P´i jを計算することで、結果的に工場側の生産計画の早期着手、つまり製造リードタイムを短縮でき、納入遅延を抑制することができる。
[12]このように、実施例2によれば、上記[1]において、DB223は、第2期間(たとえば、2018年6月)における特定品目303の納入Pの数の変動可能範囲を規定する変動可能情報(たとえば、変動可能比率312)を記憶する。
また、取得処理では、第1プロセッサ202は、現在日時が第1期間(たとえば、2018年3月)である場合に、第2期間における特定品目303の変更前の販売S(たとえば、1世代前(j−1)の2018年6月の販売S201806 j−1)の数を取得するとともに、現在日時が第1期間を経過して第2期間より前の第3期間(たとえば、2018年4月)である場合に、変更前の販売数から変更された第2期間における特定品目303の変更後の販売S(現世代jの2018年6月の販売S´201806 j)の数を取得する。
設定処理では、第1プロセッサ202は、変更前の販売Sの数と、変動可能情報と、に基づいて、現在日時が第3期間である場合に第2期間における特定品目303の納入Pの数(現世代jの2018年6月の納入P201806 j)の変動可能範囲を設定し、算出処理では、第1プロセッサ202は、変更後の販売Sの数に基づいて、現在日時が第3期間である場合に第2期間における特定品目303の納入Pの数を算出する。
そして、第1プロセッサ202は、算出処理によって算出された納入Pの数が、変動可能範囲内であるか否かを判断する判断処理と、判断処理による判断結果に基づいて、算出された納入Pの数を、変動可能範囲内の値に変更する変更処理と、を実行し、出力処理では、第1プロセッサ202は、変更処理による変更後の算出された納入Pの数を出力する。
これにより、前回立案時の納入要求Pi j-1で決まる変動可能範囲に近づくように現世代jの納入要求P´i jを計算することで、結果的に工場側の生産計画の早期着手、つまり製造リードタイムを短縮でき、納入遅延を抑制することができる。
[13]また、上記[12]において、変更処理では、第1プロセッサ202は、判断処理によって、算出された納入Pの数が、変動可能範囲を下回ったと判断された場合、算出された納入Pの数を、算出された納入Pの数をよりも大きく変動可能範囲の下限値PLi j−1以下の値に変更してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、算出された納入Pの数が変動可能範囲を下回った場合でも変動可能範囲内に近づけることができる。特に、算出された納入Pの数を変動可能範囲の下限値PLi j−1に変更することにより、算出された納入Pの数を変動可能範囲内に収めることができる。
[14]上記[12]において、変更処理では、第1プロセッサ202は、判断処理によって、算出された納入Pの数が、変動可能範囲を上回ったと判断された場合、算出された納入Pの数を、算出された納入Pの数をよりも小さく変動可能範囲の上限値PUi j−1以上の値に変更してもよい。
これにより、WEBサーバ104は、算出された納入Pの数が変動可能範囲を上回った場合でも変動可能範囲内に近づけることができる。特に、算出された納入Pの数を変動可能範囲の上限値PUi j−1に変更することにより、算出された納入Pの数を変動可能範囲内に収めることができる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。