JP2020091322A - 感光性樹脂組成物、転写フィルム、硬化膜、積層体、及びタッチパネルの製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、転写フィルム、硬化膜、積層体、及びタッチパネルの製造方法 Download PDF

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Kunihiko Kodama
邦彦 児玉
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悟 山田
健太 牛島
Kenta Ushijima
健太 牛島
陽平 有年
Yohei Aritoshi
陽平 有年
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Abstract

【課題】基板に対する密着性及び金属の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物、上記感光性樹脂組成物を用いた転写フィルム、硬化膜、積層体、並びにタッチパネルの製造方法の提供。【解決手段】バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物、光重合開始剤、チオール基と、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有する複素環化合物(A)、及び、上記複素環化合物(A)とは異なる複素環化合物(B)を含む感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、転写フィルム、硬化膜、積層体、及びタッチパネルの製造方法に関する。
近年、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末等の電子機器では、液晶装置等の表面にタブレット型の入力装置が配置されている。このような電子機器では、液晶装置の画像表示領域に表示された指示画像を参照しながら、指示画像が表示されている箇所を指又はタッチペンで触れることにより、指示画像に対応する情報の入力を行うことができる。
上記のような入力装置(以下、「タッチパネル」ともいう。)には、抵抗膜型、静電容量型等がある。静電容量型入力装置は、単に一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。かかる静電容量型入力装置としては、例えば、互いに交差する方向に電極パターンを延在させて、指等が接触した際、電極間の静電容量が変化することを検知して入力位置を検出するタイプの装置がある。
静電容量型入力装置では、電極パターン、枠部にまとめられた引き回し配線(例えば、銅線等の金属配線)などを保護する等の目的で、指等で入力する表面とは反対側に透明樹脂層が設けられている。このような透明樹脂層を形成するための材料として、感光性の樹脂組成物が用いられている。
例えば、特許文献1には、特定の構造を有する還元性化合物(A)、並びに、トリアゾール構造、チアジアゾール構造、及びベンズイミダゾール構造からなる群より選ばれる構造と、メルカプト基と、ヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基とを有し、上記炭化水素基中の炭素原子の合計数(なお、複数の上記炭化水素基がある場合、各炭化水素基中の炭素原子の数の合計数)が5以上である化合物(B)のうち少なくとも1種、透明樹脂(C)、及び重合性化合物(D)を含有する保護膜形成用組成物が開示されている。
特開2014−141592号公報
ところで、上記の感光性の樹脂組成物に対しては、基板(特に、銅基板)に対する密着性に優れる硬化膜を形成できることが求められる。
また、上記の感光性の樹脂組成物に対しては、金属(特に、銅)を腐食し難い性質(以下、「金属の腐食抑制性」ともいう。)に優れる硬化膜を形成できることが求められる。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、基板に対する密着性及び金属の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性樹脂組成物を用いた転写フィルム、硬化膜、積層体、及びタッチパネルの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> バインダーポリマー、
エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物、
光重合開始剤、
チオール基と、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有する複素環化合物(A)、及び、
上記複素環化合物(A)とは異なる複素環化合物(B)
を含む感光性樹脂組成物。
<2> 上記置換基(a)の炭素数が、3以下である<1>に記載の感光性樹脂組成物。
<3> 上記置換基(a)のハメット置換基定数σp値が、0以上である<1>又は<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4> 上記複素環化合物(A)及び上記複素環化合物(B)の少なくとも一方が、イミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、及びベンゾチアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<5> 上記複素環化合物(B)が、チオール基及びアミノ基の少なくとも一方を有する複素環化合物である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<6> 更に、脂肪族チオール化合物を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<7> 上記脂肪族チオール化合物が、2官能以上の脂肪族チオール化合物である<6>に記載の感光性樹脂組成物。
<8> 上記脂肪族チオール化合物の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、5質量%以上である<6>又は<7>に記載の感光性樹脂組成物。
<9> 更に、ブロックイソシアネート化合物を含む<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<10> 上記ブロックイソシアネート化合物が、ラジカル重合性基を有する<9>に記載の感光性樹脂組成物。
<11> タッチパネル保護膜形成用である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<12> 仮支持体と、
<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性層と、
を有する転写フィルム。
<13> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜。
<14> 基板と、
<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜と、
を有する積層体。
<15> 基板上にタッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備することと、
上記タッチパネル用基板の上記タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方が配置された側の面の上に、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性層を形成することと、
上記タッチパネル用基板上に形成された上記感光性層をパターン露光することと、
パターン露光された上記感光性層を現像することにより、上記タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方の少なくとも一部を保護するタッチパネル用保護膜を得ることと、
を含むタッチパネルの製造方法。
本発明の一実施形態によれば、基板に対する密着性及び金属の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記感光性樹脂組成物を用いた転写フィルム、硬化膜、積層体、及びタッチパネルの製造方法が提供される。
本開示の転写フィルムの一例を示す概略断面図である。 本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層を適用したタッチパネルの第1具体例を示す概略断面図である。 本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層を適用したタッチパネルの第2具体例を示す概略断面図である。
以下、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示は、そのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示における基(所謂、原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないもの及び置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(所謂、無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(所謂、置換アルキル基)も包含するものである。
本開示において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
本開示において、「(ベンゾ)イミダゾール」は、イミダゾール及びベンゾイミダゾールの両方を包含する概念である。その他の「(ベンゾ)」を付した用語についても同様である。
本開示において、「(ベンゾ)イミダゾール化合物」とは、(ベンゾ)イミダゾール環を有する化合物を意味し、「(ベンゾ)オキサゾール化合物」とは、(ベンゾ)オキサゾール環を有する化合物を意味し、「(ベンゾ)チアゾール化合物」とは、(ベンゾ)チアゾール環を有する化合物を意味し、「チアジアゾール化合物」とは、チアジアゾール環を有する化合物を意味し、「トリアゾール化合物」とは、トリアゾール環を有する化合物を意味し、「トリアジン化合物」とは、トリアジン環を有する化合物を意味する。
本開示において、「全固形分量」とは、組成物の全組成から溶剤等の揮発性成分を除いた成分の全質量を意味する。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤等の揮発性成分を除いた成分であり、例えば、25℃において、固体であってもよく、液体であってもよい。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示において、分子量分布がある場合の分子量は、特に断りがない限り、重量平均分子量(Mw)を表す。
本開示における重量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限り、カラムとして、TSKgel(登録商標) GMHxL、TSKgel(登録商標) G4000HxL、及びTSKgel(登録商標) G2000HxL(いずれも商品名、東ソー(株)製)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、示差屈折率(RI)検出器により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、ポリマー中の各構成単位の割合は、特に断りがない限り、モル割合を表す。
本開示における各図面において、同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。
本開示において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等の活性エネルギー線を包含する概念である。
本開示において、「透明」とは、温度23℃における波長380nm〜780nmにおける全光線透過率が、85%以上(好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)であることを意味する。上記全光線透過率は、分光光度計〔例えば、(株)日立製作所の分光光度計「U−3310(商品名)」〕を用いて測定される。
本開示において、「屈折率」は、特に断りがない限り、波長550nmにおける屈折率を指す。また、本開示における「屈折率」は、特に断りがない限り、温度23℃において波長550nmの可視光により、エリプソメトリー法により測定した値を意味する。
[感光性樹脂組成物]
本開示の感光性樹脂組成物は、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物、光重合開始剤、チオール基と、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有する複素環化合物(A)、及び、上記複素環化合物(A)とは異なる複素環化合物(B)ともいう。〕を含む。
本開示の感光性樹脂組成物は、上記のような構成を有することで、基板(特に、銅基板)に対する密着性及び金属(特に、銅)の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成できる。
本開示の感光性樹脂組成物がこのような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。但し、以下の理由は、本開示の感光性樹脂組成物を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本開示の感光性樹脂組成物は、チオール基と、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有する複素環化合物(A)、及び、複素環化合物(A)とは異なる複素環化合物(B)を含む。複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)は、いずれも防錆剤として機能し得る化合物である。
複素環化合物(A)は、ハメット置換基定数σp値が比較的高く、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)を有することで、チオール基の酸性度が高まり、基板への吸着性が向上すると考えられる。複素環化合物(A)の基板への吸着性が向上すると、形成される硬化膜と基板との密着性が向上するのみならず、複素環化合物(A)の防錆剤としての機能が発揮されやすくなるため、金属が腐食し難くなると考えられる。そして、複素環化合物(A)と同様に防錆剤として機能し得る複素環化合物(B)を併用することで、金属が腐食し難くなる。そのため、本開示の感光性樹脂組成物は、基板(特に、銅基板)に対する密着性と、金属(特に、銅)の腐食抑制性と、を高いレベルで両立した硬化膜を形成し得ると推測される。
本開示の感光性樹脂組成物に対し、特許文献1(特開2014−141592号公報)に記載の保護膜形成用組成物は、複素環化合物(A)に相当する成分を含んでいるが、複素環化合物(B)に相当する成分を含んでいないため、金属の腐食抑制性に劣る。そのため、特許文献1(特開2014−141592号公報)に記載の保護膜形成用組成物では、基板に対する密着性と金属の腐食抑制性とを両立することはできない。
<複素環化合物(A)>
本開示の感光性樹脂組成物は、チオール基(「メルカプト基」ともいう。)と、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有する複素環化合物(A)を含む。
本開示の感光性樹脂組成物において、複素環化合物(A)は、基板(特に、銅基板)に対する密着性及び金属(特に、銅)の腐食抑制性の向上に寄与する。
複素環化合物(A)が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物(A)が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
複素環化合物(A)が有する複素環としては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を、少なくとも1つ有する複素環が好ましく、少なくとも2つ有する複素環がより好ましい。
複素環化合物(A)が有する複素環の具体例としては、(ベンゾ)イミダゾール環、(ベンゾ)オキサゾール環、(ベンゾ)チアゾール環、(ベンゾ)トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリジン環、(ベンゾ)フラン環、(ベンゾ)チオフェン環等が挙げられる。
これらの中でも、複素環化合物(A)が有する複素環としては、(ベンゾ)イミダゾール環、(ベンゾ)オキサゾール環、(ベンゾ)チアゾール環、(ベンゾ)トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、ピリミジン環、及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素環が好ましく、(ベンゾ)イミダゾール環、(ベンゾ)オキサゾール環、及び(ベンゾ)チアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素環がより好ましい。
複素環化合物(A)が有する複素環としては、具体的には、下記式H1〜式H20に示す複素環が好ましい。

複素環化合物(A)は、チオール基を有する。
複素環化合物(A)が有するチオール基の数は、特に制限されないが、例えば、基板への吸着性の観点から、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
複素環化合物(A)は、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)を有する。
置換基(a)は、チオール基とは異なる基である。
複素環化合物(A)において、炭素原子に結合した置換基(a)の数は、特に制限されないが、例えば、基板に対する密着性の観点から、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
複素環化合物(A)は、チオール基と、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有していればよいが、例えば、金属の腐食抑制性の観点から、ハメット置換基定数σp値が−0.5未満の置換基を有していないことが好ましい。
本開示における「ハメット置換基定数σp値」は、Chem. Rev. 1991, 91, p.165-195, Table-1に記載の値である。
以下、「ハメット置換基定数σp値」を単に「σp値」ともいう。
置換基(a)(即ち、σp値が−0.5以上の置換基)としては、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等が挙げられる。
これらの中でも、置換基(a)としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
ハロゲン原子としては、塩素原子及びフッ素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
置換基(a)の炭素数は、3以下であることが好ましい。
置換基(a)の炭素数が3以下であると、複素環化合物(A)を含む緻密な硬化膜が形成されやすくなる。そのため、金属(特に、銅)の腐食抑制性により優れる硬化膜を形成できる傾向がある。
炭素数が3以下の置換基(a)としては、アルコキシ基、アルキル基、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
置換基(a)は、σp値が−0.5以上になる限りにおいて、更に置換基を有していてもよい。
置換基(a)のσp値は、−0.5以上であり、−0.4以上であることが好ましく、−0.3以上であることがより好ましく、−0.2以上であることが更に好ましく、−0.1以上であることが特に好ましく、0以上であることが最も好ましい。
置換基(a)のσp値の上限は、特に制限されないが、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.6以下であることが更に好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
置換基(a)のσp値が−0.5以上であると、基板(特に、銅基板)に対する密着性及び金属(特に、銅)の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成し得る。
このような効果を奏し得る理由としては、以下のような理由が考えられる。置換基(a)のσp値が−0.5以上であると、チオール基の酸性度が高まり、複素環化合物(A)の基板(特に、銅基板)への吸着性が向上すると考えられる。複素環化合物(A)の基板(特に、銅基板)への吸着性が向上すると、感光性樹脂組成物により形成される硬化膜と、基板(特に、銅基板)との密着性が向上し、かつ、複素環化合物(A)の防錆剤としての機能が向上するためと推測される。
表1に、好ましい置換基(a)及びそのσp値を示す。
表1中の水素原子は、σp値が−0.5以上になる限りにおいて、他の置換基と置き換わってもよい。
表1中、「−Ph」は、フェニル基を表す。
表1中、「−OCH3」は、「−OCH」を表し、「−CH3」は、「−CH」を表し、「−NHCOCH3」は、「−NHCOCH」を表し、「−SCH3」は、「−SCH」を表し、「−CH2OH」は、「−CHOH」を表し、「−NHSO2CH3」は、「−NHSOCH」を表し、「−OCOCH3」は、「−OCOCH」を表し、「−CONH2」は、「−CONH」を表し、「−COOCH3」は、「−COOCH」を表し、「−CF3」は、「−CF」を表し、「−COCH3」は、「−COCH」を表し、「−SO2NH2」は、「−SONH」を表し、「−SO2CH3」は、「−SOCH」を表し、「−NO2」は、「−NO」を表す。

複素環化合物(A)としては、下記一般式で表される化合物が好ましい。
下記一般式で表される化合物のうち、下記式のような互変異性体を有するものは、それらの異性体のいずれも複素環化合物(A)に包含される。
上記式において、Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−NHを表す。
下記一般式において、Rxは、炭素原子と結合している置換基(a)を表す。
下記一般式において、nは、1〜4の整数を表し、nが2以上の整数を表す場合、複数存在するRxは、同一でも異なっていてもよい。

複素環化合物(A)の好ましい具体例を以下に示す。
(ベンゾ)チアゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

(ベンゾ)オキサゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

(ベンゾ)イミダゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

チアジアゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

(ベンゾ)トリアゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

トリアジン化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

本開示の感光性樹脂組成物は、複素環化合物(A)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)の含有量は、特に制限されないが、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜8質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが特に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.01質量%以上であることは、本開示の感光性樹脂組成物が複素環化合物(A)を積極的に含むことを意味する。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、20質量%以下であると、基板(特に、銅基板)に対する密着性及び金属(特に、銅)の腐食抑制性により優れる硬化膜を形成し得る。また、硬度及び透明性に優れる硬化膜を形成できる傾向がある。
本開示の感光性樹脂組成物が後述の脂肪族チオール化合物を含む場合、感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)の含有量Mと脂肪族チオール化合物の含有量Mとの質量比(M/M)は、例えば、基板(特に、銅基板)に対する密着性(特に、露光後における密着性)の観点から、0.001〜1.50であることが好ましく、0.01〜1.00であることがより好ましく、0.05〜0.80であることが更に好ましく、0.10〜0.50であることが特に好ましい。
<複素環化合物(B)>
本開示の感光性樹脂組成物は、複素環化合物(A)とは異なる複素環化合物(B)を含む。
本開示の感光性樹脂組成物では、複素環化合物(A)に加えて、複素環化合物(B)を含むことにより、基板(特に、銅基板)に対する密着性と金属(特に、銅)の腐食抑制性とを高いレベルで両立した硬化膜を形成し得る。
複素環化合物(B)が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物(B)が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
複素環化合物(B)が有する複素環としては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を、少なくとも1つ有する複素環が好ましく、少なくとも2つ有する複素環がより好ましい。
複素環化合物(B)が有する複素環の具体例は、複素環化合物(A)が有する複素環の具体例と同義である。
複素環化合物(B)が有する複素環としては、(ベンゾ)トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、(ベンゾ)イミダゾール環、(ベンゾ)オキサゾール環、(ベンゾ)チアゾール環、及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素環が好ましく、(ベンゾ)イミダゾール環、(ベンゾ)オキサゾール環、及び(ベンゾ)チアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素環がより好ましい。
複素環化合物(B)が有する複素環としては、具体的には、上記式H1〜式H20に示す複素環が好ましい。
複素環化合物(B)としては、例えば、以下の複素環化合物が挙げられる。
・無置換の上記式H1〜式H20で表される複素環化合物
・上記式H1〜式H20で表される複素環化合物において、チオール基のみが置換した複素環化合物
・上記式H1〜式H20で表される複素環化合物において、チオール基以外の置換基のみが置換した複素環化合物
・上記式H1〜式H20で表される複素環化合物において、チオール基と、σp値が−0.5未満の置換基とが置換した複素環化合物
σp値が−0.5未満の置換基としては、アミノ基(σp値=−0.66)、アルキル基又はアリール基で置換したアミノ基〔例えば、−NHCH(σp値=−0.70)、−N(CH(σp値=−0.83)、及び−NHPh(σp値=−0.56)〕等が挙げられる。なお、「−NHPh」における「Ph」は、フェニルを表す。
複素環化合物(B)は、例えば、基板(特に、銅基板)に対する密着性の観点から、チオール基及びアミノ基の少なくとも一方を有する複素環化合物であることが好ましい。ここでいう「アミノ基」には、置換アミノ基が包含される。
複素環化合物(B)の好ましい具体例を以下に示す。
(ベンゾ)トリアゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

テトラゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

チアジアゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

トリアジン化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

(ベンゾ)チアゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

(ベンゾ)オキサゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

(ベンゾ)イミダゾール化合物としては、以下に示す化合物を好ましく例示できる。

本開示の感光性樹脂組成物では、例えば、基板(特に、銅基板)に対する密着性の観点から、複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の少なくとも一方が、(ベンゾ)イミダゾール化合物、(ベンゾ)オキサゾール化合物、及び(ベンゾ)チアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、(ベンゾ)イミダゾール化合物、(ベンゾ)オキサゾール化合物、及び(ベンゾ)チアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)と複素環化合物(B)との好ましい組み合わせは、下記(1)又は(2)に示す組み合わせである。
(1)複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の両方が、複素環にヘテロ原子を2つ有する化合物から選ばれる化合物である組み合わせ。
より好ましい組み合わせの態様としては、複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の両方が、(ベンゾ)オキサゾール化合物、(ベンゾ)チアゾール化合物、及び(ベンゾ)イミダゾール化合物からなる群より選ばれる化合物である組み合わせ。
(2)複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の両方が、複素環にヘテロ原子を3つ以上有する化合物から選ばれる化合物である組み合わせ。
より好ましい組み合わせの態様としては、複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の両方が、(ベンゾ)トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる化合物である組み合わせ。
本開示の感光性樹脂組成物は、複素環化合物(B)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(B)の含有量は、特に制限されないが、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜8質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが特に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(B)の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.01質量%以上であることは、本開示の感光性樹脂組成物が複素環化合物(B)を積極的に含むことを意味する。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(B)の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、20質量%以下であると、金属(特に、銅)の腐食抑制性により優れる硬化膜を形成し得る。また、硬度及び透明性に優れる硬化膜を形成できる傾向がある。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)の含有量Mと複素環化合物(B)の含有量Mと質量比(M/M)は、特に限定されないが、1/10〜10/1であることが好ましく、1/5〜5/1であることがより好ましく、1/3〜3/1であることが更に好ましく、1/2〜2/1であることが特に好ましい。
質量比(M/M)が、上記範囲内であると、基板(特に、銅基板)に対する密着性及び金属(特に、銅)の腐食抑制性により優れる硬化膜を形成できる傾向がある。
本開示の感光性樹脂組成物における複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の合計含有量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.05質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜15質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが更に好ましく、1質量%〜8質量%であることが特に好ましい。
複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)の合計含有量が、上記範囲内であると、基板(特に、銅基板)に対する密着性及び金属(特に、銅)の腐食抑制性により優れる硬化膜を形成できる傾向がある。
本開示の感光性樹脂組成物が後述の脂肪族チオール化合物を含む場合、感光性樹脂組成物における複素環化合物(B)の含有量Mと脂肪族チオール化合物の含有量Mとの質量比(M/M)は、例えば、基板(特に、銅基板)に対する密着性(特に、露光後における密着性)の観点から、0.001〜1.50であることが好ましく、0.01〜1.00であることがより好ましく、0.05〜0.80であることが更に好ましく、0.10〜0.50であることが特に好ましい。
<バインダーポリマー>
本開示の感光性樹脂組成物は、バインダーポリマーを含む。
バインダーポリマーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
バインダーポリマーは、例えば、現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のバインダーポリマーであることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
また、バインダーポリマーは、例えば、加熱により架橋成分と熱架橋し、強固な膜を形成しやすいという観点から、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する樹脂(所謂、カルボキシ基含有樹脂)であることが更に好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(所謂、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂)であることが特に好ましい。
バインダーポリマーがカルボキシ基を有する樹脂であると、例えば、ブロックイソシアネートを添加して熱架橋することで、3次元架橋密度を高めることができる。また、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基が無水化され、疎水化すると、湿熱耐性が改善し得る。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂(以下、「特定重合体A」ともいう。)としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて、特に制限はなく、公知の(メタ)アクリル樹脂から適宜選択して用いることができる。
例えば、特開2011−95716号公報の段落[0025]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、特開2010−237589号公報の段落[0033]〜[0052]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂等を、本開示における特定重合体Aとして好ましく用いることができる。
ここで、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を指す。
(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。
特定重合体Aにおける、カルボキシ基を有するモノマーの共重合比は、特定重合体A 100質量%に対して、5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
また、バインダーポリマー(特に、特定重合体A)は、硬化後の透湿度及び強度の観点から、芳香環を有する構成単位を有することが好ましい。
芳香環を有する構成単位を形成するモノマーとしては、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香環を有する構成単位としては、後述する式P−2で表される構成単位を少なくとも1種含むことが好ましい。また、芳香環を有する構成単位としては、スチレン化合由来の構成単位であることが好ましい。
バインダーポリマーが芳香環を有する構成単位を含む場合、芳香環を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、20質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
また、バインダーポリマー(特に、特定重合体A)は、タック性、及び、硬化後の強度の観点から、脂肪族環式骨格を有する構成単位を含むことが好ましい。
脂肪族環式骨格を有する構成単位を形成するモノマーとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂肪族環式骨格を有する構成単位が有する脂肪族環としては、ジシクロペンタン環、シクロヘキサン環、イソボロン環、トリシクロデカン環等が挙げられる。
これらの中でも、脂肪族環式骨格を有する構成単位が有する脂肪族環としては、トリシクロデカン環が特に好ましい。
バインダーポリマーが脂肪族環式骨格を有する構成単位を含む場合、脂肪族環式骨格を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
また、バインダーポリマー(特に、特定重合体A)は、タック性、及び、硬化後の強度の観点から、反応性基を有していることが好ましい。
反応性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、バインダーポリマー(特に、特定重合体A)がエチレン性不飽和基を有している場合、バインダーポリマー(特に、特定重合体A)は、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を含むことが好ましい。
本開示において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリル基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有する構成単位を含む場合、エチレン性不飽和基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましく、20質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
反応性基を特定重合体Aに導入する手段としては、水酸基、カルボキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アセトアセチル基、スルホン酸等に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、カルボン酸無水物等を反応させる方法が挙げられる。
反応性基を特定重合体Aに導入する手段の好ましい例としては、カルボキシ基を有するポリマーを重合反応により合成した後、ポリマー反応により、得られたポリマーのカルボキシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロキシ基をポリマーに導入する手段が挙げられる。この手段により、側鎖に(メタ)アクリロキシ基を有するバインダーポリマー(例えば、下記化合物A及び化合物B)を得ることができる。
上記重合反応は、70℃〜100℃の温度条件で行うことが好ましく、80℃〜90℃の温度条件で行うことがより好ましい。上記重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、例えば、富士フイルム和光純薬(株)製のV−601(商品名)又はV−65(商品名)がより好ましい。上記ポリマー反応は、80℃〜110℃の温度条件で行うことが好ましい。上記ポリマー反応においては、アンモニウム塩等の触媒を用いることが好ましい。
特定重合体Aとしては、以下に示す化合物A及び化合物Bが好ましく、化合物Bがより好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率は目的に応じて適宜変更することができる。


特定重合体Aの重量平均分子量(Mw)は、1万以上であることが好ましく、1万〜10万であることがより好ましく、1.5万〜5万であることが更に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、60mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがより好ましく、60mgKOH/g〜110mgKOH/gであることが更に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に従って、測定される値である。
本開示の感光性樹脂組成物が、バインダーとして、酸価60mgKOH/g以上のバインダーポリマー(特に、特定重合体A)を含むと、既述の利点に加え、後述する第二の樹脂層が酸基を有する(メタ)アクリル樹脂を含むことにより、感光性層と第二の樹脂層との層間密着性を高めることができる。
バインダーポリマーは、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を含む重合体(以下、「特定重合体B」ともいう。)を含むことが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が、バインダーとして、特定重合体Bを含むと、現像性、及び、硬化後の強度により優れる膜を形成できる。
カルボン酸無水物構造は、鎖状カルボン酸無水物構造及び環状カルボン酸無水物構造のいずれであってもよいが、環状カルボン酸無水物構造であることが好ましい。
環状カルボン酸無水物構造の環としては、5〜7員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、5員環が更に好ましい。
また、環状カルボン酸無水物構造は、他の環構造と縮環又は結合して多環構造を形成していてもよいが、多環構造を形成していないことが好ましい。
環状カルボン酸無水物構造に他の環構造が縮環又は結合して多環構造を形成している場合、多環構造としては、ビシクロ構造又はスピロ構造が好ましい。
多環構造において、環状カルボン酸無水物構造に対し縮環又は結合している他の環構造の数としては、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
他の環構造としては、炭素数3〜20の環状の炭化水素基、炭素数3〜20のヘテロ環基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、特に限定されないが、脂肪族ヘテロ環基及び芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
また、ヘテロ環基としては、5員環又は6員環が好ましく、5員環が特に好ましい。
また、ヘテロ環基としては、酸素原子を少なくとも一つ含有するヘテロ環基(オキソラン環、オキサン環、ジオキサン環等)が好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、下記式P−1で表される化合物から水素原子を2つ除いた2価の基を主鎖中に含む構成単位であるか、又は、下記式P−1で表される化合物から水素原子を1つ除いた1価の基が主鎖に対して直接又は2価の連結基を介して結合している構成単位であることが好ましい。

式P−1中、RA1aは、置換基を表し、n1a個のRA1aは、同一でも異なっていてもよい。
1aは、−C(=O)−O−C(=O)−を含む環を形成する2価の基を表す。
1aは、0以上の整数を表す。
A1aで表される置換基としては、アルキル基等が挙げられる。
1aとしては、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基が特に好ましい。
式P−1で表される部分構造は、他の環構造と縮環又は結合して多環構造を形成していてもよいが、多環構造を形成していないことが好ましい。
ここでいう他の環構造としては、既述の、カルボン酸無水物構造と縮環又は結合してもよい他の環構造と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
1aは、0以上の整数を表す。
1aが炭素数2〜4のアルキレン基を表す場合、n1aは、0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
1aが2以上の整数を表す場合、複数存在するRA1aは、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在するRA1aは、互いに結合して環を形成してもよいが、互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、不飽和カルボン酸無水物に由来する構成単位であることが好ましく、不飽和環式カルボン酸無水物に由来する構成単位であることがより好ましく、不飽和脂肪族環式カルボン酸無水物に由来する構成単位であることが更に好ましく、無水マレイン酸又は無水イタコン酸に由来する構成単位であることが更に好ましく、無水マレイン酸に由来する構成単位であることが特に好ましい。
以下、カルボン酸無水物構造を有する構成単位の具体例を挙げるが、カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、これらの具体例に限定されるものではない。
下記の構成単位中、Rxは、水素原子、メチル基、CHOH基、又はCF基を表し、Meは、メチル基を表す。


カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、上記式a2−1〜式a2−21のいずれかで表される構成単位のうちの少なくとも1種であることが好ましく、上記式a2−1〜式a2−21のいずれかで表される構成単位のうちの1種であることがより好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、現像性、及び、得られる硬化膜の透湿度の観点から、式a2−1で表される構成単位及び式a2−2で表される構成単位の少なくとも一方を含むことが好ましく、式a2−1で表される構成単位を含むことがより好ましい。
特定重合体Bにおけるカルボン酸無水物構造を有する構成単位の含有量(2種以上である場合には、総含有量;以下同じ。)は、特定重合体Bの全量に対し、0モル%〜60モル%であることが好ましく、5モル%〜40モル%であることがより好ましく、10モル%〜35モル%であることが更に好ましい。
なお、本開示において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、上記「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本開示において、上記「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
特定重合体Bは、下記式P−2で表される構成単位を少なくとも1種含むことが好ましい。特定重合体Bが下記式P−2で表される構成単位を少なくとも1種含むと、得られる硬化膜の透湿度がより低くなり、また、強度がより向上する。

式P−2中、RP1は、水酸基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシ基、又はハロゲン原子を表し、RP2は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、nPは、0〜5の整数を表す。nPが2以上の整数である場合、2つ以上存在するRP1は、同一であっても異なっていてもよい。
P1としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボキシ基、F原子、Cl原子、Br原子、又はI原子であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、Cl原子、又はBr原子であることがより好ましい。
P2としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素原子6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
nPは、0〜3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
式P−2で表される構成単位としては、スチレン化合物に由来する構成単位であることが好ましい。
スチレン化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α,p−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられ、スチレン、又はα−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
式P−2で表される構成単位を形成するためのスチレン化合物は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
特定重合体Bが式P−2で表される構成単位を含む場合、特定重合体Bにおける式P−2で表される構成単位の含有量(2種以上である場合には、総含有量;以下同じ。)は、特定重合体Bの全量に対し、5モル%〜90モル%であることが好ましく、30モル%〜90モル%であることがより好ましく、40モル%〜90モル%であることが更に好ましい。
特定重合体Bは、カルボン酸無水物構造を有する構成単位及び式P−2で表される構成単位以外のその他の構成単位を少なくとも1種含んでいてもよい。
その他の構成単位は、酸基を有しないことが好ましい。
その他の構成単位としては、特に限定されず、例えば、単官能エチレン性不飽和化合物に由来する構成単位が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、特に制限されず、公知の化合物を用いることができる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物;アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物の誘導体などが挙げられる。
特定重合体Bにおけるその他の構成単位の含有量(2種以上である場合には、総含有量;以下、同じ。)は、特定重合体Bの全質量に対し、10質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜100質量%であることがより好ましい。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、3,000を超えることが好ましく、3,000を超え60,000以下であることがより好ましく、5,000以上50,000以下であることが更に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物は、バインダーポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物におけるバインダーポリマーの含有量は、例えば、硬化膜の強度、及び、転写フィルムにおけるハンドリング性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜80質量%であることがより好ましく、30質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
<エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物>
本開示の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物(以下、単に「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含む。
本開示の感光性樹脂組成物において、エチレン性不飽和化合物は、感光性(即ち、光硬化性)及び硬化膜の強度に寄与する。
エチレン性不飽和化合物としては、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
本開示において、「2官能以上のエチレン性不飽和化合物」とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、硬化後における硬化膜の強度の観点から、2官能のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート化合物)と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物)と、を含むことが特に好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメナノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート〔商品名:NKエステル A−DCP、新中村化学工業(株)〕、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート〔商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業(株)〕、1,9−ノナンジオールジアクリレート〔商品名:NKエステル A−NOD−N、新中村化学工業(株)〕、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート〔商品名:NKエステル A−HD−N、新中村化学工業(株)〕等が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物〔日本化薬(株)のKAYARAD(登録商標) DPCA−20、新中村化学工業(株)のA−9300−1CL等〕、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物〔日本化薬(株)のKAYARAD(登録商標) RP−1040、新中村化学工業(株)のATM−35E、A−9300、ダイセル・オルネクス社のEBECRYL(登録商標) 135等〕、エトキシル化グリセリントリアクリレート〔新中村化学工業(株)のNKエステル A−GLY−9E等〕なども挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物〔好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物〕も挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、8UX−015A〔大成ファインケミカル(株)〕、NKエステル UA−32P〔新中村化学工業(株)〕、NKエステル UA−1100H〔新中村化学工業(株)〕等が挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、現像性向上の観点から、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
酸基としては、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、酸基を有する3〜4官能のエチレン性不飽和化合物〔ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80mgKOH/g〜120mgKOH/g)〕、酸基を有する5〜6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの〔酸価:25mgKOH/g〜70mgKOH/g)〕等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物が、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種であると、現像性及び膜強度がより高まる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、アロニックス(登録商標) TO−2349〔東亞合成(株)〕、アロニックス(登録商標) M−520〔東亞合成(株)〕、アロニックス(登録商標) M−510〔東亞合成(株)〕等を好ましく用いることができる。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特開2004−239942号公報の段落[0025]〜[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物を好ましく用いることができ、この公報に記載の内容は、本開示に組み込まれる。
エチレン性不飽和化合物の分子量は、200〜3,000であることが好ましく、250〜2,600であることがより好ましく、280〜2,200であることが更に好ましく、300〜2,200であることが特に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物に含まれるエチレン性不飽和化合物のうち、分子量300以下のエチレン性不飽和化合物の含有量の割合は、感光性樹脂組成物に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の含有量に対し、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物におけるエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、1質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、20質量%〜60質量%であることが更に好ましく、20質量%〜50質量%であることが特に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物とを含む場合、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜85質量%であることがより好ましく、30質量%〜80質量%であることが更に好ましい。
この場合、3官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、10質量%〜90質量%であることが好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、20質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
また、この場合、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物との総含有量に対し、40質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜80質量%であることが更に好ましく、50質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物は、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含む場合、更に単官能エチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含む場合、2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、感光性樹脂組成物に含まれるエチレン性不飽和化合物において主成分であることが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含む場合において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60質量%〜100質量%であることが好ましく、80質量%〜100質量%であることがより好ましく、90質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が酸基を有するエチレン性不飽和化合物(好ましくは、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物又はそのカルボン酸無水物)を含む場合、酸基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、1質量%〜50質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
<光重合開始剤>
本開示の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α−アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α−ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、N−フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N−フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011−95716号公報の段落[0031]〜[0042]、及び、特開2015−014783号公報の段落[0064]〜[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、1−[4−(フェニルチオ)]−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−01、BASF社製〕、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−02、BASF社製〕、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン〔商品名:IRGACURE(登録商標) 379EG、BASF社製〕、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン〔商品名:IRGACURE(登録商標) 907、BASF社製〕、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン〔商品名:IRGACURE(登録商標) 127、BASF社製〕、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1〔商品名:IRGACURE(登録商標) 369、BASF社製〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン〔商品名:IRGACURE(登録商標) 1173、BASF社製〕、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:IRGACURE(登録商標) 184、BASF社製〕、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン〔商品名:IRGACURE 651、BASF社製〕等、オキシムエステル系の〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン(株)製〕などが挙げられる。
本開示の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。
また、本開示の感光性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
<脂肪族チオール化合物>
本開示の感光性樹脂組成物は、脂肪族チオール化合物を含むことが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が脂肪族チオール化合物を含むと、脂肪族チオール化合物がエン−チオール反応することで、形成される膜の硬化収縮が抑えられ、応力が緩和されるため、形成される硬化膜の基板に対する密着性(特に、露光後における密着性)が向上する傾向がある。
一般に、感光性樹脂組成物が脂肪族チオール化合物を含むと、金属(特に、銅)がより腐食しやすい。これに対し、本開示の感光性樹脂組成物は、脂肪族チオール化合物を含む場合であっても、金属(特に、銅)の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成できるという利点を有する。
脂肪族チオール化合物としては、単官能の脂肪族チオール化合物、又は、多官能の脂肪族チオール化合物(即ち、2官能以上の脂肪族チオール化合物)が好適に用いられる。
これらの中でも、脂肪族チオール化合物としては、例えば、形成される硬化膜の基板に対する密着性(特に、露光後における密着性)の観点から、多官能の脂肪族チオール化合物を含むことが好ましく、多官能の脂肪族チオール化合物であることがより好ましい。
本開示において、「多官能の脂肪族チオール化合物」とは、チオール基(「メルカプト基」ともいう。)を分子内に2個以上有する脂肪族化合物を意味する。
多官能の脂肪族チオール化合物は、分子量が100以上の低分子化合物であることが好ましい。具体的には、多官能の脂肪族チオール化合物の分子量は、100〜1,500であることがより好ましく、150〜1,000であることが更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物の官能基数は、例えば、形成される硬化膜の基板に対する密着性の観点から、2官能〜10官能であることが好ましく、2官能〜8官能であることがより好ましく、2官能〜6官能であることが更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,6−ヘキサメチレンジチオール、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso−2,3−ジメルカプトコハク酸、ジ(メルカプトエチル)エーテル等が挙げられる。
これらの中でも、多官能の脂肪族チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、及び1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
単官能の脂肪族チオール化合物としては、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、β−メルカプトプロピオン酸、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
本開示の感光性樹脂組成物は、脂肪族チオール化合物を含む場合、脂肪族チオール化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物が脂肪族チオール化合物を含む場合、脂肪族チオール化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、5質量%以上であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、5質量%〜30質量%であることが更に好ましく、8質量%〜20質量%であることが特に好ましい。
脂肪族チオール化合物の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、5質量%以上であると、基板(特に、銅基板)に対する密着性(特に、露光後の密着性)により優れる硬化膜を形成できる傾向がある。
<ブロックイソシアネート化合物>
本開示の感光性樹脂組成物は、ブロックイソシアネート化合物を含むことが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物において、ブロックイソシアネート化合物は、硬化膜の強度の向上に寄与する。
ブロックイソシアネート化合物は、水酸基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物の少なくとも一方が、水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、保護膜としての機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(所謂、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100℃〜160℃であることが好ましく、130℃〜150℃であることがより好ましい。
本開示におけるブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に用いることができる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100℃〜160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔(マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジ2−エチルヘキシル等)など〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に−C(=N−OH)−で表される構造を有する化合物)などが挙げられる。
これらの中でも、解離温度が100℃〜160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の観点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物の中でも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという観点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、硬化膜の強度の観点から、重合性基を有することが好ましく、ラジカル重合性基を有することがより好ましい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができる。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基等のエチレン性不飽和基、グリシジル基等のエポキシ基を有する基などが挙げられる。
これらの中でも、重合性基としては、得られる硬化膜における表面の面状、現像速度、及び反応性の観点から、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を用いることができる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI−BM、カレンズ(登録商標) MOI−BM、カレンズ(登録商標) MOI−BP等〔以上、昭和電工(株)製〕、ブロック型のデュラネートシリーズ〔例えば、デュラネート(登録商標) TPA−B80E、旭化成ケミカルズ(株)製〕などが挙げられる。
本開示の感光性樹脂組成物は、ブロックイソシアネート化合物を含む場合、ブロックイソシアネート化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物がブロックイソシアネート化合物を含む場合、ブロックイソシアネート化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、1質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜30質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤>
本開示の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、特に制限されず、公知の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、特許第4502784号公報の段落[0017]及び特開2009−237362号公報の段落[0060]〜[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品の例としては、メガファック(登録商標)F551A(DIC(株)製)が挙げられる。
本開示の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含む場合、界面活性剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.01質量%〜3質量%であることが好ましく、0.05質量%〜1質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜0.8質量%であることが更に好ましい。
<水素供与性化合物>
本開示の感光性樹脂組成物は、水素供与性化合物を含むことが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物において、水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
水素供与性化合物としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号等に記載の化合物等が挙げられる。
水素供与性化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
また、水素供与性化合物としては、アミノ酸化合物(N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報に記載の有機金属化合物(トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報に記載の水素供与体、特開平6−308727号公報に記載のイオウ化合物(トリチアン等)等も挙げられる。
本開示の感光性樹脂組成物は、水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物が水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物の含有量は、例えば、重合成長速度と連鎖移動のバランスとによる硬化速度の向上の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.03質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.05質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
<溶剤>
本開示の感光性樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含むと、塗布による感光性層の形成がより容易となる傾向がある。
溶剤としては、通常用いられる溶剤を特に制限なく用いることができる。
溶剤としては、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1−メトキシ−2−プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
溶剤としては、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤、又は、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤が好ましい。
溶剤としては、米国特許公開第2005/282073号明細書の段落[0054]及び[0055]に記載のSolventを用いることもでき、この明細書の内容は、本開示に組み込まれる。
また、溶剤としては、必要に応じ、沸点が180℃〜250℃である有機溶剤(高沸点溶剤)を用いることもできる。
本開示の感光性樹脂組成物は、溶剤を含む場合、溶剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、感光性樹脂組成物の全固形分量は、感光性樹脂組成物の全質量に対し、5質量%〜80質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましく、5質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、感光性樹脂組成物の25℃における粘度は、例えば、塗布性の観点から、1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましく、2mPa・s〜40mPa・sであることがより好ましく、3mPa・s〜30mPa・sであることが更に好ましい。
粘度は、粘度計を用いて測定される。粘度計としては、例えば、東機産業(株)製の粘度計(商品名:VISCOMETER TV−22)を好適に用いることができる。但し、粘度計は、これに限定されない。
本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、感光性樹脂組成物の25℃における表面張力は、例えば、塗布性の観点から、5mN/m〜100mN/mであることが好ましく、10mN/m〜80mN/mであることがより好ましく、15mN/m〜40mN/mであることが更に好ましい。
表面張力は、表面張力計を用いて測定される。表面張力計としては、例えば、協和界面科学(株)製の表面張力計(商品名:Automatic Surface Tensiometer CBVP−Zを好適に用いることができる。但し、表面張力計は、これに限定されない。
<その他の成分>
本開示の感光性樹脂組成物は、既述の成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、粒子(例えば、金属酸化物粒子)、着色剤等が挙げられる。
また、その他の成分としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0018]に記載の熱重合防止剤、特開2000−310706号公報の段落[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤等も挙げられる。
(粒子)
本開示の感光性樹脂組成物は、屈折率、光透過性等の調節を目的として、粒子(例えば、金属酸化物粒子;以下、同じ。)を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれる。
粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化膜の透明性の観点から、1nm〜200nmであることが好ましく、3nm〜80nmであることがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
本開示の感光性樹脂組成物は、粒子を含む場合、金属種、大きさ等の異なる粒子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の感光性樹脂組成物は、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性樹脂組成物の全固形分量に対し0質量%を超えて35質量%以下であることが好ましく、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性樹脂組成物の全固形分量に対し0質量%を超えて10質量%以下であることがより好ましく、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性樹脂組成物の全固形分量に対し0質量%を超えて5質量%以下であることが更に好ましく、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性樹脂組成物の全固形分量に対し0質量%を超えて1質量%以下であることが更に好ましく、粒子を含まないことが特に好ましい。
(着色剤)
本開示の感光性樹脂組成物は、微量の着色剤(顔料、染料等)を含んでいてもよいが、例えば、透明性の観点からは、着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
<用途>
本開示の感光性樹脂組成物は、基板に対する密着性及び金属の腐食抑制性に優れる硬化膜を形成できるため、タッチパネル保護膜用として好適に用いられる。
<硬化膜>
本開示の硬化膜は、本開示の感光性樹脂組成物の硬化物である。なお、本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合は、本開示の硬化膜は、本開示の感光性樹脂組成物の固形分を硬化してなる硬化膜である。
また、本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合は、膜状に本開示の感光性樹脂組成物を基材へ塗布した後、加熱乾燥、風乾、減圧乾燥等の公知の方法により、溶剤の少なくとも一部を除去し、その後硬化を行い、硬化膜を形成することが好ましい。
また、上記硬化膜は、所望のパターン形状であってもよい。
本開示の硬化膜は、層間絶縁膜(所謂、絶縁膜)、オーバーコート膜(所謂、保護膜)等として好適に用いることができる。また、本開示の硬化膜は、膜物性に優れるため、有機EL表示装置、液晶表示装置等に好適に用いられる。
また、本開示の硬化膜は、タッチパネル用保護膜としてより好適に用いることができ、タッチパネル配線用保護膜として特に好適に用いることができる。
本開示の硬化膜の厚さは、特に制限されないが、1μm〜20μmであることが好ましく、2μm〜15μmであることがより好ましく、3μm〜12μmであることが更に好ましい。
<転写フィルム>
本開示の転写フィルムは、仮支持体と、本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層と、を有する。
(仮支持体)
本開示の転写フィルムは、仮支持体を有する。
仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は伸びを生じないフィルムを用いることができる。
このようなフィルムとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
これらの中でも、仮支持体としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形、傷などがないことが好ましい。
仮支持体の厚さは、特に制限されないが、5μm〜200μmであることが好ましく、例えば、取り扱いやすさ及び汎用性の観点から、10μm〜150μmであることがより好ましい。
(感光性層)
本開示の転写フィルムは、本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層を有する。
感光性層は、本開示の感光性樹脂組成物を含む層であればよいが、本開示の感光性樹脂組成物からなる層、又は、本開示の感光性樹脂組成物の固形分からなる層であることが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合には、公知の方法により少なくとも一部の溶剤を除去し、感光性層を形成することが好ましい。
溶剤は、完全に除去されている必要はない。例えば、感光性層における溶剤の含有量は、感光性層の全質量に対し、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
感光性層の厚さは、特に制限されないが、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、12μm以下であることが更に好ましい。
感光性層の厚さが、20μm以下であると、転写フィルム全体の薄膜化、感光性層又は得られる硬化膜の透過率向上、感光性層又は得られる硬化膜の黄着色化抑制等の面で有利である。
感光性層の厚さは、例えば、製造適性の観点から、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。
感光性層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
感光性層の屈折率は、特に制限されないが、1.47〜1.56であることが好ましく、1.50〜1.53であることがより好ましく、1.50〜1.52であることが更に好ましく、1.51〜1.52であることが特に好ましい。
感光性層の形成方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
感光性層の形成方法の一例として、仮支持体上に、溶剤を含む態様の感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させることにより感光性層を形成する方法が挙げられる。
塗布の方法としては、公知の方法を用いることができる。
塗布の方法としては、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ダイコート法(即ち、スリットコート法)等が挙げられる。
これらの中でも、塗布の方法としては、ダイコート法が好ましい。
乾燥の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等の公知の方法を用いることができ、これらの方法を単独で又は複数組み合わせて適用することができる。
本開示において、「乾燥」とは、組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することを意味する。
(第二の樹脂層)
本開示の転写フィルムは、更に、感光性層からみて仮支持体が存在する側とは反対側に、第二の樹脂層を備えてもよい(例えば、後述する転写フィルムの具体例参照)。
第二の樹脂層としては、屈折率調整層が好ましく挙げられる。
屈折率調整層を備える態様の転写フィルムによれば、透明電極パターンを備えるタッチパネル用基板に対し、転写フィルムの屈折率調整層及び感光性層を転写することによりタッチパネル用保護層を形成した場合において、透明電極パターンがより視認され難くなる(即ち、透明電極パターンの隠蔽性がより向上する。)。透明電極パターンが視認される現象は、一般に、「骨見え」と称されている。
透明電極パターンが視認される現象、及び、透明電極パターンの隠蔽性については、特開2014−10814号公報及び特開2014−108541号公報の記載を適宜参照できる。
第二の樹脂層は、感光性層に隣接して配置されることが好ましい。
第二の樹脂層の屈折率は、例えば、骨見え抑制の観点から、感光性層の屈折率よりも高いことが好ましい。
第二の樹脂層の屈折率は、1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.60以上であることが更に好ましい。
第二の樹脂層の屈折率の上限は、特に制限されないが、2.10以下であることが好ましく、1.85以下であることがより好ましく、1.78以下であることが更に好ましく、1.74以下であることが特に好ましい。
第二の樹脂層は、光硬化性(即ち、感光性)を有してもよいし、熱硬化性を有していてもよいし、光硬化性及び熱硬化性の両方を有してもよい。
転写後の光硬化により、強度に優れた硬化膜を形成するという観点からは、第二の樹脂層は、光硬化性を有することが好ましい。
また、熱硬化により、硬化膜の強度をより向上させることができるという観点からは、第二の樹脂層は、熱硬化性を有することが好ましい。
第二の樹脂層は、熱硬化性及び光硬化性を有することが好ましい。
第二の樹脂層は、アルカリ可溶性(例えば、弱アルカリ水溶液に対する溶解性)を有することが好ましい。
第二の樹脂層が感光性を有する態様は、転写後において、基板上に転写された感光性層及び第二の樹脂層を、一度のフォトリソグラフィによってまとめてパターニングできるという利点を有する。
第二の樹脂層の厚さとしては、特に制限はない。
第二の樹脂層の厚さは、500nm以下であることが好ましく、110nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。
また、第二の樹脂層の厚さは、20nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、55nm以上であることが更に好ましく、60nm以上であることが特に好ましい。
第二の樹脂層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
第二の樹脂層の屈折率は、透明電極パターンの屈折率に応じて調整することが好ましい。例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)からなる透明電極パターンのように透明電極パターンの屈折率が1.8〜2.0である場合は、第二の樹脂層の屈折率は、1.60以上であることが好ましい。
この場合の第二の樹脂層の屈折率の上限は、特に制限されないが、2.1以下であることが好ましく、1.85以下であることがより好ましく、1.78以下であることが更に好ましく、1.74以下であることが特に好ましい。
また、例えば、IZO(Indium Zinc Oxide;酸化インジウム亜鉛)からなる透明電極パターンのように、透明電極パターンの屈折率が2.0を超える場合は、第二の樹脂層の屈折率は、1.70〜1.85であることが好ましい。
第二の樹脂層の屈折率を制御する方法は、特に制限されず、例えば、所定の屈折率の樹脂を単独で用いる方法、樹脂と金属酸化物粒子又は金属粒子とを用いる方法、金属塩と樹脂との複合体を用いる方法等が挙げられる。
金属酸化物粒子の種類としては、特に制限はなく、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
金属酸化物粒子としては、具体的には、酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)、Nb粒子、酸化チタン粒子(TiO粒子)、及び二酸化珪素粒子(SiO粒子)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、金属酸化物粒子としては、例えば、第二の樹脂層の屈折率を1.6以上に調整しやすいという観点から、酸化ジルコニウム粒子及び酸化チタン粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
第二の樹脂層が金属酸化物粒子を含む場合、第二の樹脂層は、金属酸化物粒子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
二酸化珪素粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられる。
二酸化珪素粒子の市販品の例としては、日産化学工業(株)製のスノーテックス(登録商標) ST−N〔コロイダルシリカ、不揮発分(所謂、固形分):20質量%〕、スノーテックス(登録商標) ST−C〔コロイダルシリカ、不揮発分(所謂、固形分):20質量%〕等が挙げられる。
酸化ジルコニウム粒子の市販品の例としては、日産化学工業(株)製のナノユース(登録商標) OZ−S30M〔メタノール分散液、不揮発分(所謂、固形分):30.5質量%〕、堺化学工業(株)製のSZR−CW〔商品名、水分散液、不揮発分(所謂、固形分):30質量%〕、SZR−M〔商品名、メタノール分散液、不揮発分(所謂、固形分):30質量%〕等が挙げられる。
酸化チタン粒子の市販品の例としては、テイカ(株)製のTS−020〔商品名、水分散液、不揮発分(所謂、固形分):25.6質量%〕、日産化学工業(株)製のチタニアゾルR〔商品名、メタノール分散液、不揮発分(所謂、固形分):32.1質量%〕等が挙げられる。
金属酸化物粒子として酸化ジルコニウム粒子を用いる場合、電極パターン等の被隠蔽物の隠蔽性が良好になり、被隠蔽物の視認性を効果的に改善することができるという観点から、酸化ジルコニウム粒子の含有量は、第二の樹脂層の全質量に対し、1質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、40質量%〜85質量%であることが更に好ましい。
金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合、電極パターン等の被隠蔽物の隠蔽性が良好になり、被隠蔽物の視認性を効果的に改善することができるという観点から、酸化チタン粒子の含有量は、第二の樹脂層の全質量に対し、1質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、40質量%〜85質量%であることが更に好ましい。
また、第二の樹脂層は、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
第二の樹脂層の成分については、特開2014−108541号公報の段落[0019]〜[0040]及び[0144]〜[0150]に記載されている硬化性第二の樹脂層の成分、特開2014−10814号公報の段落[0024]〜[0035]及び[0110]〜[0112]に記載されている透明層の成分、国際公開第2016/009980号の段落[0034]〜[0056]に記載されている、アンモニウム塩を有する組成物の成分等を参照することができる。
第二の樹脂層に含まれるバインダーポリマーとしては、感光性層に含まれるバインダーポリマーと同様のものを使用することができ、好ましい範囲も同様である。
第二の樹脂層に含まれるエチレン性不飽和化合物としては、感光性層に含まれるエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物と同様のものを使用することができ、好ましい範囲も同様である。
また、第二の樹脂層は、金属酸化抑制剤を少なくとも1種含むことが好ましい。
第二の樹脂層が金属酸化抑制剤を含む場合には、第二の樹脂層を基板(即ち、転写対象物)上に転写する際に、第二の樹脂層と直接接する部材(例えば、基板上に形成された導電性部材)を表面処理することができる。この表面処理は、第二の樹脂層と直接接する部材に対し金属酸化抑制機能(所謂、保護性)を付与する。
金属酸化抑制剤としては、例えば、分子内に窒素原子を含む芳香環を有する化合物が好ましく挙げられる。
金属酸化抑制剤の例としては、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、テトラゾール、メルカプトチアジアゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
第二の樹脂層は、上述した成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
第二の樹脂層に含まれ得るその他の成分としては、既述の感光性層に含まれる各成分と同様のものが挙げられる。
第二の樹脂層は、その他の成分として、界面活性剤を含むことが好ましい。
第二の樹脂層の形成方法としては、特に限定はない。
第二の樹脂層の形成方法の一例として、仮支持体上に形成された既述の感光性層上に、水系溶剤を含む態様の第二の樹脂層形成用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させることにより第二の樹脂層を形成する方法が挙げられる。
第二の樹脂層の形成方法における塗布及び乾燥の方法の具体例は、それぞれ感光性層の形成方法における塗布及び乾燥の具体例と同様である。
第二の樹脂層形成用組成物は、既述の第二の樹脂層の各成分を含むことができる。
第二の樹脂層形成用組成物は、例えば、バインダーポリマー、エチレン性不飽和化合物、粒子(例えば、金属酸化物粒子又は金属粒子)、及び水系溶剤を含む。
また、第二の樹脂層形成用組成物としては、国際公開第2016/009980号の段落[0034]〜[0056]に記載されている、アンモニウム塩を有する組成物も好ましい。
(保護フィルム)
本開示の転写フィルムは、更に、感光性層からみて仮支持体とは反対側に、保護フィルムを有していてもよい。
本開示の転写フィルムが、感光性層からみて仮支持体とは反対側に、第二の樹脂層を有する場合には、保護フィルムは、第二の樹脂層からみて仮支持体とは反対側に配置されることが好ましい。
保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
保護フィルムとしては、例えば、特開2006−259138号公報の段落[0083]〜[0087]、及び[0093]に記載のフィルムを用いてもよい。
(熱可塑性樹脂層)
本開示の転写フィルムは、更に、仮支持体と感光性層との間に、熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
転写フィルムが熱可塑性樹脂層を更に有すると、転写フィルムを基板に転写して積層体を形成した場合に、積層に起因する気泡が発生し難くなる。この積層体を画像表示装置に用いた場合には、画像ムラ等が発生し難くなり、優れた表示特性が得られる。
熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶性を有することが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、転写時において、基板表面の凹凸を吸収するクッション材として機能する。
基板表面の凹凸には、既に形成されている、画像、電極、配線等も含まれる。
熱可塑性樹脂層は、凹凸に応じて変形し得る性質を有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、特開平5−72724号公報に記載の有機高分子物質を含むことが好ましく、ヴィカー(Vicat)法(具体的には、アメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質を含むことがより好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さは、例えば、3μm〜30μmであることが好ましく、4μm〜25μmであることがより好ましく、5μm〜20μmであることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さが3μm以上であると、基板表面の凹凸に対する追従性がより向上するため、基板表面の凹凸をより効果的に吸収できる。
熱可塑性樹脂層の厚さが30μm以下であると、製造適性がより向上するため、例えば、仮支持体に熱可塑性樹脂層を塗布形成する際の乾燥(所謂、溶剤除去のための乾燥)の負荷がより軽減され、また、転写後の熱可塑性樹脂層の現像時間がより短縮される。
熱可塑性樹脂層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
熱可塑性樹脂層は、溶剤及び熱可塑性の有機高分子を含む熱可塑性樹脂層形成用組成物を仮支持体に塗布し、必要に応じて、乾燥させることによって形成され得る。
熱可塑性樹脂層の形成方法における塗布及び乾燥の方法の具体例は、それぞれ感光性層の形成方法における塗布及び乾燥の具体例と同様である。
溶剤は、熱可塑性樹脂層を形成する高分子成分を溶解するものであれば、特に制限されない。
溶剤としては、有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−プロパノール、及び2−プロパノール)が挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、100℃で測定した粘度が1,000Pa・s〜10,000Pa・sであることが好ましい。また、100℃で測定した熱可塑性樹脂層の粘度が、100℃で測定した感光性層の粘度よりも低いことが好ましい。
(中間層)
本開示の転写フィルムは、更に、仮支持体と感光性層との間に、中間層を有していてもよい。
本開示の転写フィルムが熱可塑性樹脂層を有する場合、中間層は、熱可塑性樹脂層と感光性層との間に配置されていることが好ましい。
中間層に含まれる成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーが挙げられる。
また、中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されているものを用いることもできる。
仮支持体上に、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性層とをこの順に有する態様の転写フィルムを製造する場合には、中間層は、例えば、熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤、及び、中間層の成分としての上記ポリマーを含む中間層形成用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させることによって形成され得る。
詳細には、まず、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層形成用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて、熱可塑性樹脂層を形成する。次いで、形成した熱可塑性樹脂層上に、中間層形成用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて、中間層を形成する。次いで、形成した中間層上に、有機溶剤を含む態様の感光性樹脂組成物(所謂、感光性層形成用組成物)を塗布し、乾燥させて感光性層を形成する。なお、感光性層形成用組成物に含まれる有機溶剤は、中間層を溶解しない有機溶剤であることが好ましい。
中間層の形成方法における塗布及び乾燥の方法の具体例は、それぞれ感光性層の形成方法における塗布及び乾燥の具体例と同様である。
<転写フィルムの具体例>
図1は、本開示の転写フィルムの一具体例である転写フィルム10の概略断面図である。図1に示すように、転写フィルム10は、保護フィルム16/第二の樹脂層20A/感光性層18A/仮支持体12の積層構造(即ち、仮支持体12と、感光性層18Aと、第二の樹脂層20Aと、保護フィルム16と、がこの順に配置された積層構造)を有する。
ただし、本開示の転写フィルムは、転写フィルム10であることには限定されず、例えば、第二の樹脂層20A及び保護フィルム16は省略されていてもよい。また、仮支持体12と感光性層18Aとの間に、既述の熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方を有していてもよい。
第二の樹脂層20Aは、感光性層18Aからみて仮支持体12が存在する側とは反対側に配置された層であり、波長550nmにおける屈折率が1.50以上である層である。
転写フィルム10は、ネガ型材料(所謂、ネガ型フィルム)である。
転写フィルム10の製造方法は、特に制限されない。
転写フィルム10の製造方法は、例えば、仮支持体12上に感光性層18Aを形成する工程と、感光性層18A上に第二の樹脂層20Aを形成する工程と、第二の樹脂層20A上に保護フィルム16を形成する工程と、をこの順に含む。
転写フィルム10の製造方法は、第二の樹脂層20Aを形成する工程と保護フィルム16を形成する工程との間に、国際公開第2016/009980号の段落[0056]に記載されている、アンモニアを揮発させる工程を含んでもよい。
<積層体、及び、静電容量型入力装置>
本開示の積層体は、基板と、本開示の感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜と、を有する。
本開示の積層体は、本開示の硬化膜を有していればよいが、基板と、電極と、本開示の硬化膜と、をこの順に積層してなる積層体であることが好ましい。
硬化膜は、所望のパターン形状であってもよい。
本開示の静電容量型入力装置は、本開示の硬化膜、又は、本開示の積層体を有する。
基板は、静電容量型入力装置の電極を含む基板であることが好ましい。
電極は、静電容量型入力装置の電極であることが好ましい。
静電容量型入力装置の電極は、透明電極パターンであってもよく、引き回し配線であってもよい。
積層体は、静電容量型入力装置の電極が、電極パターンであることが好ましく、透明電極パターンであることがより好ましい。
本開示の積層体においては、基板と、透明電極パターンと、透明電極パターンに隣接して配置された第二の樹脂層と、第二の樹脂層に隣接して配置された感光性層と、を有し、第二の樹脂層の屈折率が感光性層の屈折率よりも高いことが好ましい。
第二の樹脂層の屈折率は、1.6以上であることが好ましい。
積層体を上記のような構成にすると、透明電極パターンの隠蔽性が良好となる。
基板としては、ガラス基板又は樹脂基板が好ましい。
また、基板は、透明な基板であることが好ましく、透明な樹脂基板であることがより好ましい。
基板の屈折率は、1.50〜1.52であることが好ましい。
ガラス基板としては、例えば、コーニング社のゴリラガラス(登録商標)等の強化ガラスを用いることができる。
樹脂基板としては、光学的に歪みがないもの及び透明度が高いものの少なくとも一方を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の樹脂からなる基板が挙げられる。
透明な基板の材質としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報、及び特開2010−257492号公報に記載の材質が好ましい。
静電容量型入力装置としては、タッチパネルが好適に挙げられる。
タッチパネル用電極としては、例えば、タッチパネルの少なくとも画像表示領域に配置される透明電極パターンが挙げられる。タッチパネル用電極は、画像表示領域からタッチパネルの枠部にまで延びていてもよい。
タッチパネル用配線としては、例えば、タッチパネルの枠部に配置される引き回し配線(所謂、取り出し配線)が挙げられる。
タッチパネル用基板及びタッチパネルの態様としては、透明電極パターンのタッチパネルの枠部に延びている部分に、引き回し配線の一部が積層されることにより、透明電極パターンと引き回し配線とが電気的に接続されている態様が好適である。
透明電極パターンの材質としては、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の金属酸化膜が好ましい。
引き回し配線の材質としては、金属が好ましい。
引き回し配線の材質である金属としては、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガン、並びに、これらの金属元素の2種以上からなる合金が挙げられる。引き回し配線の材質としては、銅、モリブデン、アルミニウム、又はチタンが好ましく、銅が特に好ましい。
本開示の転写フィルムを用いて形成されたタッチパネル用電極保護膜は、電極等(すなわち、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方)を保護する目的で、電極等を直接又は他の層を介して覆うように設けられる。
タッチパネル用電極保護膜の厚さの好ましい範囲は、既述の感光性層の厚さの好ましい範囲と同様である。
本開示の電極保護膜(好ましくは、タッチパネル用電極保護膜)は、開口部を有していてもよい。
開口部は、感光性層の非露光部が現像液により溶解されることによって形成され得る。
この場合において、タッチパネル用電極保護膜が、転写フィルムを用いて高温のラミネート条件で形成された場合においても、タッチパネル用電極保護膜の開口部における現像残渣が抑制される。
タッチパネルは、更に、電極等とタッチパネル用電極保護層との間に第一屈折率調整層を備えていてもよい(例えば、後述するタッチパネルの第1具体例参照)。
第一屈折率調整層の好ましい態様は、転写フィルムが有し得る第二の樹脂層の好ましい態様と同様である。
第一屈折率調整層は、第一屈折率調整層形成用組成物の塗布及び乾燥によって形成されてもよいし、別途、屈折率調整層を有する転写フィルムの屈折率調整層を転写することによって形成されてもよい。
第一屈折率調整層を備える態様のタッチパネルは、好ましくは、第二の樹脂層を有する態様の本開示の転写フィルムを用い、転写フィルムにおける感光性層及び第二の樹脂層を転写することによって形成することが好ましい。この場合、転写フィルムにおける感光性層からタッチパネル用電極保護層が形成され、転写フィルムにおける第二の樹脂層から第一屈折率調整層が形成される。
また、タッチパネル又はタッチパネル用基板は、基板と電極等との間に、第二屈折率調整層を備えていてもよい(例えば、後述するタッチパネルの第1具体例参照)。
第二屈折率調整層の好ましい態様は、転写フィルムが有し得る第二の樹脂層の好ましい態様と同様である。
タッチパネルが第一屈折率調整層を備える態様(より好ましくは、第一屈折率調整層及び第二屈折率調整層を備える態様)は、電極等が視認され難くなる(所謂、骨見えが抑制される)という利点を有する。
タッチパネルの構造については、特開2014−10814号公報、及び特開2014−108541号公報に記載の静電容量型入力装置の構造を参照してもよい。
<タッチパネルの第1具体例>
図2は、本開示のタッチパネルの第1具体例であるタッチパネル30の概略断面図である。より詳細には、図2は、タッチパネル30の画像表示領域の概略断面図である。
図2に示すように、タッチパネル30は、基板32と、第二屈折率調整層36と、タッチパネル用電極としての透明電極パターン34と、第一屈折率調整層20と、タッチパネル用電極保護膜18と、がこの順序で配置された構造を有する。
タッチパネル30では、タッチパネル用電極保護膜18及び第一屈折率調整層20が、透明電極パターン34の全体を覆っている。ただし、本開示のタッチパネルはこの態様には限定されない。タッチパネル用電極保護膜18及び第一屈折率調整層20は、透明電極パターン34の少なくとも一部を覆っていればよい。
第二屈折率調整層36及び第一屈折率調整層20は、それぞれ透明電極パターン34が存在する第1領域40、及び、透明電極パターン34が存在しない第2領域42を、直接又は他の層を介して連続して被覆することが好ましい。このような態様によれば、透明電極パターン34がより視認され難くなる。
第二屈折率調整層36及び第一屈折率調整層20は、第1領域40及び第2領域42の両方を、他の層を介して被覆するよりも、直接被覆することが好ましい。
「他の層」としては、絶縁層、透明電極パターン34以外の電極パターン等が挙げられる。
第一屈折率調整層20は、第1領域40及び第2領域42の両方にまたがって積層されている。第一屈折率調整層20は、第二屈折率調整層36と隣接しており、更に、透明電極パターン34とも隣接している。
第二屈折率調整層36と接触する箇所における透明電極パターン34の端部の形状が、図2に示される如きテーパー形状である場合は、テーパー形状に沿って(即ち、テーパー角と同じ傾きで)、第一屈折率調整層20が積層されていることが好ましい。
透明電極パターン34としては、ITO透明電極パターンが好適である。
透明電極パターン34は、例えば、以下の方法により形成できる。
第二屈折率調整層36が形成された基板32の上に、スパッタリングにより電極用薄膜(例えば、ITO膜)を形成する。次いで、形成した電極用薄膜の上に、エッチング用感光性レジストを塗布することにより、又は、エッチング用感光性フィルムを転写することにより、エッチング保護層を形成する。次いで、形成したエッチング保護層を、露光及び現像により、所望とするパターン形状にパターニングする。次いで、エッチングにより、電極用薄膜のうち、パターニングされたエッチング保護層に覆われていない部分を除去し、電極用薄膜を所望の形状のパターン(すなわち、透明電極パターン34)とする。次いで、剥離液によりパターニングされたエッチング保護層を除去する。
第一屈折率調整層20及びタッチパネル用電極保護膜18は、例えば、以下のようにして、第二屈折率調整層36及び透明電極パターン34が順次設けられた基板32(即ち、タッチパネル用基板)の上に形成される。
まず、図1に示した転写フィルム10(即ち、保護フィルム16/第二の樹脂層20A/感光性層18A/仮支持体12の積層構造を有する転写フィルム10)を準備する。
次に、転写フィルム10から保護フィルム16を取り除く。
次に、保護フィルム16が取り除かれた転写フィルム10を、第二屈折率調整層36及び透明電極パターン34が順次設けられた基板32(即ち、タッチパネル用基板)の上にラミネートする。ラミネートは、保護フィルム16が取り除かれた転写フィルム10の第二の樹脂層20Aと、透明電極パターン34と、が接する向きで行う。このラミネートにより、仮支持体12/感光性層18A/第二の樹脂層20A/透明電極パターン34/第二屈折率調整層36/基板32の積層構造を有する積層体が得られる。
次に、積層体から仮支持体12を取り除く。
次に、仮支持体12が取り除かれた積層体をパターン露光することにより、感光性層18A及び第二の樹脂層20Aをパターン状に硬化させる。感光性層18A及び第二の樹脂層20Aのパターン状に硬化は、それぞれ別個のパターン露光によって、別個に行ってもよいが、1回のパターン露光によって同時に行うことが好ましい。
次に、現像によって、感光性層18A及び第二の樹脂層20Aの非露光部(即ち、非硬化部)を除去することにより、感光性層18Aのパターン状の硬化物であるタッチパネル用電極保護膜18(パターン形状については不図示)、及び、第二の樹脂層20Aのパターン状の硬化物である第一屈折率調整層20(パターン形状については不図示)をそれぞれ得る。パターン露光後の感光性層18A及び第二の樹脂層20Aの現像は、それぞれ別個の現像によって、別個に行ってもよいが、1回の現像によって同時に行うことが好ましい。
ラミネート、パターン露光、及び現像の好ましい態様は後述する。
<タッチパネルの第2具体例>
図3は、本開示のタッチパネルの第2具体例であるタッチパネル90の概略断面図である。
図3に示すように、タッチパネル90は、画像表示領域74及び画像非表示領域75(即ち、枠部)を有する。
また、タッチパネル90は、基板32の両面にタッチパネル用電極を備えている。詳細には、タッチパネル90は、基板32の一方の面に第1透明電極パターン70を備え、他方の面に第2透明電極パターン72を備えている。
タッチパネル90では、第1透明電極パターン70及び第2透明電極パターン72のそれぞれに、引き回し配線56が接続されている。引き回し配線56は、例えば、銅配線である。
タッチパネル90では、基板32の一方の面において、第1透明電極パターン70及び引き回し配線56を覆うように、タッチパネル用電極保護膜18が形成されており、基板32の他方の面において、第2透明電極パターン72及び引き回し配線56を覆うようにタッチパネル用電極保護膜18が形成されている。
基板32の一方の面及び他方の面には、それぞれ第1具体例における第一屈折率調整層及び第二屈折率調整層が形成されていてもよい。
<タッチパネルの製造方法>
本開示のタッチパネルの製造方法は、特に制限されないが、以下の方法が好ましい。
本開示のタッチパネルの好ましい製造方法は、
基板上に電極等(即ち、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方)が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備すること(以下、「準備工程」ともいう。)と、
タッチパネル用基板の電極等が配置された側の面の上に、本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層を形成すること(以下、「感光性層形成工程」ともいう。)と、
タッチパネル用基板上に形成された感光性層をパターン露光すること(以下、「パターン露光工程」ともいう。)と、
パターン露光された感光性層を現像することにより、電極等の少なくとも一部を保護するタッチパネル用電極保護膜を得ること(以下、「現像工程」ともいう。)と、
を含む。
本開示のタッチパネルの好ましい製造方法によれば、基板に対する密着性及び金属の腐食抑制性に優れる硬化膜を備えるタッチパネルを製造することができる。
以下、本開示のタッチパネルの好ましい製造方法における各工程について説明する。
(準備工程)
準備工程は、便宜上の工程であり、基板上に電極等(即ち、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方)が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程である。
準備工程は、予め製造されたタッチパネル用基板を単に準備するだけの工程であってもよく、タッチパネル用基板を製造する工程であってもよい。
タッチパネル用基板の好ましい態様は、既述のとおりである。
(感光性層形成工程)
感光性層形成工程は、タッチパネル用基板の電極等が配置された側の面の上に、本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層を形成する工程である。
以下、感光性層形成工程において、本開示の転写フィルムを用いて、本開示の感光性樹脂組成物を含む感光性層を形成する態様について説明する。
この態様では、本開示の転写フィルムをタッチパネル用基板の電極等が配置された側の面の上にラミネートし、本開示の転写フィルムの感光性層を上記面の上に転写することにより、上記面の上に感光性層を形成する。
ラミネート(所謂、感光性層の転写)は、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを用いて行うことができる。
ラミネート条件としては、一般的な条件を適用できる。
ラミネート温度は、80℃〜150℃であることが好ましく、90℃〜150℃であることがより好ましく、100℃〜150℃であることが更に好ましい。
ゴムローラーを備えたラミネーターを用いる場合、ラミネート温度は、ゴムローラーの温度を指す。
ラミネート時の基板温度は、特に制限されない。
ラミネート時の基板温度としては、例えば、10℃〜150℃が挙げられ、20℃〜150℃が好ましく、30℃〜150℃がより好ましい。
基板として樹脂基板を用いる場合には、ラミネート時の基板温度としては、10℃〜80℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、30℃〜50℃が更に好ましい。
また、ラミネート時の線圧としては、0.5N/cm〜20N/cmが好ましく、1N/cm〜10N/cmがより好ましく、1N/cm〜5N/cmが更に好ましい。
また、ラミネート時の搬送速度(ラミネート速度)としては、0.5m/分〜5m/分が好ましく、1.5m/分〜3m/分がより好ましい。
保護フィルム/感光性層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムを用いる場合には、まず、転写フィルムから保護フィルムを剥離して感光性層を露出させ、次いで、露出した感光性層とタッチパネル用基板の電極等が配置された側の面とが接するようにして、転写フィルムとタッチパネル用基板とを貼り合わせ、次いで、加熱及び加圧を施す。このような操作により、転写フィルムの感光性層が、タッチパネル用基板の電極等が配置された側の面上に転写され、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性層/電極等/基板の積層構造を有する積層体が形成される。この積層構造のうち、「電極等/基板」の部分が、タッチパネル用基板である。
その後、必要に応じて、上記積層体から仮支持体を剥離する。ただし、仮支持体を残したまま、後述のパターン露光を行うこともできる。
タッチパネル用基板上に転写フィルムの感光性層を転写し、パターン露光し、現像する方法の例としては、特開2006−23696号公報の段落[0035]〜[0051]の記載を参照することもできる。
(パターン露光工程)
パターン露光工程は、タッチパネル用基板上に形成された感光性層をパターン露光する工程である。
「パターン露光」とは、パターン状に露光する態様、即ち、露光部と非露光部とが存在する態様の露光を指す。
タッチパネル用基板上の感光性層のうち、パターン露光における露光部が硬化され、最終的に硬化膜となる。
一方、タッチパネル用基板上の感光性層のうち、パターン露光における非露光部は硬化せず、次の現像工程において、現像液によって溶解されて除去される。非露光部は、現像工程後、硬化膜の開口部を形成し得る。
パターン露光は、マスクを介した露光でもよく、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
パターン露光の光源としては、感光性層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm又は405nm)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。
光源としては、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量は、5mJ/cm〜200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm〜200mJ/cmであることがより好ましい。
転写フィルムを用いて基板上に感光性層を形成した場合には、仮支持体を剥離してからパターン露光を行ってもよく、仮支持体を剥離する前にパターン露光を行い、その後、仮支持体を剥離してもよい。
また、露光工程では、パターン露光後であって現像前に、感光性層に対して熱処理〔所謂、PEB(Post Exposure Bake)〕を施してもよい。
(現像工程)
現像工程は、パターン露光された感光性層を現像することにより(即ち、パターン露光における非露光部を現像液に溶解させることにより)、電極等の少なくとも一部を保護するタッチパネル用電極保護膜を得る工程である。
現像に用いる現像液は、特に制限されず、特開平5−72724号公報に記載の現像液等、公知の現像液を用いることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ性水溶液に含まれ得るアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)等が挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHは、8〜13であることが好ましく、9〜12であることがより好ましく、10〜12であることが特に好ましい。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有量は、アルカリ性水溶液の全質量に対し、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
現像液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含んでいてもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
有機溶剤の濃度は、0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。
現像液は、公知の界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤の濃度は、0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃であることが好ましい。
現像の方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等の方式が挙げられる。
シャワー現像を行う場合、パターン露光後の感光性層に現像液をシャワー状に吹き付けることにより、感光性層の非露光部を除去する。
感光性層と熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方とを備える転写フィルムを用いた場合には、これらの層の基板上への転写後であって感光性層の現像の前に、感光性層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワー状に吹き付け、熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方(両方存在する場合には両方)を予め除去してもよい。
また、現像の後に、洗浄剤等をシャワーにより吹き付けつつ、ブラシ等で擦ることにより、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃であることが好ましい。
現像工程は、上記現像を行う段階と、上記現像によって得られた硬化膜を加熱処理(以下、「ポストベーク」ともいう。)する段階と、を含んでいてもよい。
基板が樹脂基板である場合には、ポストベークの温度は、100℃〜160℃であることが好ましく、130℃〜160℃であることがより好ましい。
このポストベークにより、透明電極パターンの抵抗値を調整することもできる。
感光性層がカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂を含む場合には、ポストベークにより、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂の少なくとも一部をカルボン酸無水物に変化させることができる。このように変化させると、現像性、及び、硬化膜の強度に優れる。
現像工程は、上記現像を行う段階と、上記現像によって得られた硬化膜を露光(以下、「ポスト露光」ともいう。)する段階と、を含んでいてもよい。
現像工程がポスト露光する段階及びポストベークする段階の両方を含む場合、ポスト露光の後、ポストベークを実施することが好ましい。
パターン露光、現像等については、例えば、特開2006−23696号公報の段落[0035]〜[0051]の記載を参照することもできる。
本開示のタッチパネルの好ましい製造方法は、既述の工程以外の工程(所謂、その他の工程)を含んでいてもよい。
その他の工程としては、通常のフォトリソグラフィ工程に設けられることがある工程(例えば、洗浄工程)が挙げられる。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は、以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
<転写フィルムの作製>
(感光性層の形成)
仮支持体〔商品名:ルミラー(登録商標) 16QS62、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:16μm、東レ(株)製〕の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方101に示す感光性層形成用組成物を、乾燥後の厚みが4μmになるように塗布量を調整して塗布し、塗布膜を形成した。
次いで、形成した塗布膜を、100℃で2分間乾燥させた後、更に120℃で1分間乾燥させて、感光性層を形成した。
−感光性層形成用組成物:処方101(有機溶剤系樹脂組成物)−
表2に示す組成の固形分割合となるように、材料を混合し、更に、有機溶剤を加えて、固形分100質量部あたり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、(株)ダイセル製)58.7質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG、富士フイルム和光純薬(株)製)155.9質量部、及びメチルエチルケトン(MEK、丸善石油化学(株)製)348.5質量部が含まれる溶液とすることで、実施例1の感光性樹脂組成物溶液(即ち、感光性層形成用組成物)を調製した。
(第二の樹脂層の形成)
次に、感光性層上に、下記処方201に示す成分からなる第二の樹脂層形成用組成物を、乾燥後の厚みが70nmになるように塗布量を調整して塗布し、塗布膜を形成した。
次いで、形成した塗布膜を、80℃で1分間乾燥させた後、更に110℃で1分間乾燥させて、感光性層に直接接して配置された第二の樹脂層を形成した。
処方201によれば、酸基を有する樹脂が、アンモニア水溶液により中和され、酸基を有する樹脂のアンモニウム塩を含む水系樹脂組成物である第二の樹脂層形成用組成物が調製される。
−第二の樹脂層形成用組成物:処方201(水系樹脂組成物)−
・アクリル樹脂〔酸基を有する樹脂、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合樹脂、重量平均分子量(Mw):2.5万、組成比(モル比)=20/80、固形分:99.8質量%〕
0.29質量部
・アロニックス(登録商標) TO−2349〔商品名、カルボキシ基を有するモノマー、東亞合成(株)製〕
0.04質量部
・ナノユース(登録商標) OZ−S30M〔商品名、ZrO粒子、固形分:30.5質量%、メタノール:69.5質量%、屈折率:2.2、平均粒径:約12nm、日産化学工業(株)製〕
4.80質量部
・BT120〔商品名、1,2,3−ベンゾトリアゾール、城北化学工業(株)製〕
0.03質量部
・メガファック(登録商標) F444〔商品名、フッ素系界面活性剤、DIC(株)製〕
0.01質量部
・アンモニア水溶液(2.5質量%) 7.80質量部
・蒸留水 24.80質量部
・メタノール 76.10質量部
(保護フィルムの形成)
上記のようにして得られた積層体、すなわち、仮支持体の上に感光性層と、感光性層に直接接して配置された第二の樹脂層と、をこの順で設けた積層体に対し、その第二の樹脂層の上に、保護フィルム〔商品名:ルミラー(登録商標) 16QS62、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:16μm、東レ(株)製〕を圧着した。
以上のようにして、実施例1の転写フィルムを作製した。
[実施例2〜19及び比較例1〜3]
実施例1における感光性層形成用組成物を、固形分の比率が下記表2〜5に示す組成の感光性層形成用組成物に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜19及び比較例1〜3の転写フィルムをそれぞれ作製した。
<評価>
上記にて作製した転写フィルムを用い、以下の評価を行った。評価結果を下記表2〜5に示す。
1.銅の腐食抑制性
転写フィルムを、保護フィルムを剥離してから、銅基板の片面にラミネートし、積層体Aを得た。ラミネートの条件は、ラミロール温度110℃、線圧3N/cm、及び搬送速度2m/分とした。
次いで、得られた積層体Aに、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機〔日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製〕を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有する石英露光マスク、1mmのラインアンドスペース:5ライン)面と仮支持体との間の距離を125μmに設定し、仮支持体を介して露光量100mJ/cm(i線)でパターン露光した。パターン露光後の積層体Aに対し、仮支持体を剥離後、32℃の炭酸ソーダ2質量%水溶液を用いた洗浄処理を60秒間行った。洗浄処理後の銅基板に対し、超高圧洗浄ノズルから超純水を噴射することで、銅基板上の残渣を除去した。次いで、残渣を除去した銅基板上に対し、空気を吹きかけて銅基板上の水分を除去した後、140℃で30分間のポストベーク処理を行った。
そして、形成されたパターンのスペース部分の銅の変色を目視で確認し、下記評価基準に従い、銅の腐食抑制性を評価した。
なお、第二の樹脂層の厚さは感光性層の厚さに比べて薄いため、銅の腐食抑制性の評価結果には、感光性層の影響が強く表れる。
下記評価基準において、「A」は、銅の腐食抑制性が最も優れる場合を示し、「E」は銅の腐食抑制性が最も劣る場合を示す。評価結果が、「A」、「B」、及び「C」のいずれかであれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
〜評価基準〜
A:処理前の銅の色と同じで、全く変色が無い。
B:わずかに赤く変色している。
C:赤く変色している。
D:青く変色している。
E:非常に青く変色している。
2.銅基板に対する密着性
(1)露光後
転写フィルムを、保護フィルムを剥離してから、銅基板の片面にラミネートし、積層体Bを得た。ラミネートの条件は、ラミロール温度110℃、線圧3N/cm、及び搬送速度2m/分とした。
次いで、得られた積層体Bに、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機〔日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製〕を用いて、露光マスクを用いずに、仮支持体を介して露光量100mJ/cm(i線)で全面露光した。全面露光後の積層体Bから仮支持体を剥離して露光後のサンプルを得た。
露光後のサンプルに対し、ASTM D3359−17の手法に従い、クロスカット試験を実施した。銅基板から剥がれた部分を確認し、確認された場合には、面積を測定した。そして、測定値に基づき、下記の評価基準に従い、露光後における銅基板に対する密着性を評価した。
下記評価基準において、「銅基板から剥がれた部分の面積割合」とは、下記計算式により求められる値(単位:%)である。
銅基板から剥がれた部分の面積割合(単位:%)=(銅基板から剥がれた部分)/[(銅基板から剥がれた部分)+(銅基板から剥がれなかった部分)]×100
下記評価基準において、「5」は、銅基板に対する密着性が最も優れる場合を示し、「0」は銅基板に対する密着性が最も劣る場合を示す。評価結果が、「5」、「4」、「3」、及び「2」のいずれかであれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
〜評価基準〜
5:銅基板から剥がれた部分が確認されなかった。
4:銅基板から剥がれた部分の面積割合が5%未満であった。
3:銅基板から剥がれた部分の面積割合が5%以上15%未満であった。
2:銅基板から剥がれた部分の面積割合が15%以上35%未満であった。
1:銅基板から剥がれた部分の面積割合が35%以上65%未満であった。
0:銅基板から剥がれた部分の面積割合が65%以上であった。
(2)ポストベーク後
上記「(1)露光後」と同様の操作を行い、露光後のサンプルを得た。得られた露光後のサンプルを140℃のオーブンに30分間入れて、ポストベーク処理した。ポストベーク処理後のサンプルに対し、上記「(1)露光後」における評価試験と同じ手法の評価試験を行った。そして、上記「(1)露光後」と同じ評価基準に従い、ポストベーク後における銅基板に対する密着性を評価した。
上記評価基準において、「5」は、銅基板に対する密着性が最も優れる場合を示し、「0」は銅基板に対する密着性が最も劣る場合を示す。評価結果が、「5」、「4」、「3」、及び「2」のいずれかであれば、実用上許容される範囲内であると判断した。



表2〜5に記載のバインダーポリマーである化合物Aは、以下に示す化合物である。
化合物A:下記に示す構造の樹脂〔重量平均分子量(Mw):27,000、酸価:98mgKOH/g〕

なお、化合物Aにおける各構成単位に併記された数値は、各構成単位の含有比(質量比)を表す。
また、「Me」は、メチル基を表す。
表2〜5に記載のバインダーポリマーである化合物Bは、以下に示す化合物である。
化合物B:下記に示す構造の樹脂〔重量平均分子量(Mw):18,000、酸価:95mgKOH/g〕

なお、化合物Bにおける各構成単位に併記された数値は、各構成単位の含有比(質量比)を表す。
表2〜5に記載の複素環化合物AであるA−1〜A−9は、以下に示す構造の化合物である。

表2〜5に記載の複素環化合物BであるB−1〜B−6は、以下に示す構造の化合物である。

表2〜5に記載の下記成分の詳細は、以下に示すとおりである。
「SMA EF−40」〔商品名:SMA(登録商標) EF−40、Cray Valley社製〕:スチレン/無水マレイン酸=4:1(モル比)の共重合体、酸無水物価:1.94mmol/g、重量平均分子量(Mw):10,500
「N−フェニルグリシン」:増感剤
「メガファック F551A」〔商品名:メガファック(登録商標)F551A、DIC(株)〕:フッ素系界面活性剤
表2〜5中、「−」は、該当する成分を含まないことを意味する。
表2〜5では、「ハメット置換基定数σp値」を単に「σp値」と表記した。
表2〜4に示すように、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物、光重合開始剤、複素環化合物(A)、及び、複素環化合物(B)を含む実施例1〜19の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜は、銅の腐食抑制性に優れることが確認された。また、実施例1〜19の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜は、露光後及びポストベーク後のいずれにおいても、銅基板に対する密着性に優れることが確認された。
一方、表5に示すように、複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)のうち、複素環化合物(A)のみを含む比較例1の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜は、銅の腐食抑制性に劣ることが確認された。
複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)のうち、複素環化合物(B)のみを含む比較例2の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜は、銅の腐食抑制性及び銅基板に対する密着性に劣ることが確認された。
複素環化合物(A)及び複素環化合物(B)のうち、複素環化合物(B)のみを含み、かつ、複素環化合物(B)が、チオール基と、ハメット置換基定数σp値が−0.5未満であり、かつ、炭素原子に結合した置換基と、を有する比較例3の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜は、銅の腐食抑制性及び銅基板に対する密着性に劣ることが確認された。
[実施例20〜38及び比較例4〜6]
<転写フィルムの作製>
実施例1における第二の樹脂層形成用組成物を、下記処方301に示す成分からなる第二の樹脂層形成用組成物に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例20〜38及び比較例4〜6の転写フィルムの作製し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例20〜38及び比較例4〜6は、それぞれ実施例1〜19及び比較例1〜3と同様の結果を示した。
−第二の樹脂層形成用組成物:処方301(水系樹脂組成物)−
・アクリル樹脂〔酸基を有する樹脂、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合樹脂、重量平均分子量(Mw):2.5万、組成比(モル比)=20/80、固形分:99.8質量%〕
0.54質量部
・下記に示す構造の樹脂〔重量平均分子量(Mw):15,500、酸価:240mgKOH/g〕
0.01質量部
・アロニックス(登録商標) TO−2349〔商品名、カルボキシ基を有するモノマー、東亞合成(株)製〕
0.07質量部
・TS−020〔商品名、TiO粒子、固形分:25.8質量%、酸化スズ及び二酸化ケイ素含有、水分散液、テイカ(株)製)
4.01質量部
・モノイソプロパノールアミン 0.02質量部
・BT−LX〔商品名、ビス2−エチルヘキシルアミノメチルベンゾトリアゾール、城北化学工業(株)製〕
0.03質量部
・メガファック(登録商標) F444〔商品名、フッ素系界面活性剤、DIC(株)製〕
0.01質量部
・アンモニア水溶液(2.5質量%) 7.84質量部
・蒸留水 41.10質量部
・メタノール 68.40質量部

上記構造において、各構成単位に併記された数値は、各構成単位の含有比(質量比)を表す。
10:転写フィルム
12:仮支持体
16:保護フィルム
18:感光性層(タッチパネル用電極保護膜)
20,20A:第二の樹脂層(第一屈折率調製層)
30:タッチパネル
32:基板
34:透明電極パターン
36:第二屈折率調整層
40:透明電極パターンが存在する第1領域
42:透明電極パターンが存在しない第2領域
56:引き回し配線
70:第1透明電極パターン
72:第2透明電極パターン
74:画像表示領域
75:画像非表示領域
90:タッチパネル

Claims (15)

  1. バインダーポリマー、
    エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物、
    光重合開始剤、
    チオール基と、ハメット置換基定数σp値が−0.5以上であり、かつ、炭素原子に結合した置換基(a)と、を有する複素環化合物(A)、及び、
    前記複素環化合物(A)とは異なる複素環化合物(B)
    を含む感光性樹脂組成物。
  2. 前記置換基(a)の炭素数が、3以下である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記置換基(a)のハメット置換基定数σp値が、0以上である請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記複素環化合物(A)及び前記複素環化合物(B)の少なくとも一方が、イミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、及びベンゾチアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記複素環化合物(B)が、チオール基及びアミノ基の少なくとも一方を有する複素環化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 更に、脂肪族チオール化合物を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記脂肪族チオール化合物が、2官能以上の脂肪族チオール化合物である請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記脂肪族チオール化合物の含有量が、感光性樹脂組成物の全固形分量に対し、5質量%以上である請求項6又は請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 更に、ブロックイソシアネート化合物を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記ブロックイソシアネート化合物が、ラジカル重合性基を有する請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
  11. タッチパネル保護膜形成用である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 仮支持体と、
    請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性層と、
    を有する転写フィルム。
  13. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜。
  14. 基板と、
    請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜と、
    を有する積層体。
  15. 基板上にタッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備することと、
    前記タッチパネル用基板の前記タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方が配置された側の面の上に、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性層を形成することと、
    前記タッチパネル用基板上に形成された前記感光性層をパターン露光することと、
    パターン露光された前記感光性層を現像することにより、前記タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方の少なくとも一部を保護するタッチパネル用保護膜を得ることと、
    を含むタッチパネルの製造方法。
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