JP2020090644A - 高分子金属錯体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリマーに錯形成する従来法に比べ、高分子量であり、所望とする錯構造を有する高分子金属錯体が迅速かつ簡便に製造される高分子金属錯体の製造方法を提供する。【解決手段】炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が金属に配位した金属錯体モノマーを重合反応させる工程を有する、高分子金属錯体の製造方法である。【選択図】なし

Description

本開示は、高分子金属錯体及びその製造方法に関する。
金属錯体は、化学反応に用いられる触媒、色材、制がん剤等の薬剤などの幅広い分野において用いられている。そして、近年では、金属錯体の機能の向上又は他の分野への応用を目的として、金属錯体を高分子化する検討が広く行われるに至っている。
一方、高分子金属錯体は、錯体を形成するリガンド部位を含むモノマーをポリマー化し、得られたポリマーを用い、所望とする金属で錯形成することにより製造されることが主流となっている。例えば、非特許文献1では、ポリマーに亜鉛の配位部分を形成する技術を提案している。
"Zinc Coordination Substitute Amine: A Noncationic Platform for Efficient and Safe Gene Delivery", Shuai Liu, Huiting Jia, Jixiang Yang, Jianping Pan, Huiyun Liang, Liheng Zeng, Hao Zhou, Jiatong Chen, and Tianying Guo, ACS Macro Letters. 2018, 7, 868-874.
しかしながら、従来のようにポリマー化した後に金属を作用させて錯形成する方法では、モノマー構造によっては重合反応が迅速に進行しない場合があり、重合度の高いポリマーを得ることが難しい場合がある。例えば、ジピコリルアミン基等の比較的嵩高い構造を有するモノマーを用いて高分子化する場合、高分子量化が進行し難いというのが実状である。
また、高分子金属錯体における金属は、錯体の性状に影響を与える部位と推定されるが、例えば、種類の異なる金属をポリマーに導入し、分子中に異なる錯構造を有する高分子金属錯体を製造しようとした場合、フリーの状態で存在する金属と金属錯体の交換性、又は系内に混在する金属がそれぞれ有する配位結合の強さが異なるため、高分子中に導入される錯構造の導入のされやすさが金属種により異なる。結果、高分子中における金属組成の制御は難しく、簡便に所望構造を有する高分子金属錯体を製造し得ない課題がある。
本開示は、上記に鑑みなされたものである。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、ポリマーに錯形成する従来法に比べ、高分子量であり、所望とする錯構造を有する高分子金属錯体が迅速かつ簡便に製造される高分子金属錯体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、高分子量であり、所望とする錯構造を有する高分子金属錯体を提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が金属に配位した金属錯体モノマーを重合反応させる工程を有する、高分子金属錯体の製造方法である。
<2> 前記金属錯体モノマーは、前記金属が異なる2種以上の前記金属錯体モノマーである前記<1>に記載の高分子金属錯体の製造方法である。
<3> 前記金属が、Pt、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn及びGdからなる群より選択される少なくとも1つである前記<1>又は前記<2>に記載の高分子金属錯体の製造方法である。
<4> 前記工程は、ポリエチレンオキシド鎖を有する連鎖移動剤の存在下で重合反応させる前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の高分子金属錯体の製造方法である。
<5> 前記金属錯体モノマーは、アクリルモノマーである前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の高分子金属錯体の製造方法である。
<6> 前記金属錯体モノマーは、下記式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーである前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の高分子金属錯体の製造方法である。
式1において、Ar及びArは、それぞれ独立に、下記式2で表される基又は下記式3で表される基を表し、n、n及びnは、それぞれ独立に、1〜4の整数を表す。
式2及び式3において、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
<7> 下記式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーに由来の構成単位を有し、重合度が10〜100である、高分子金属錯体である。
式1において、Ar及びArは、それぞれ独立に、下記式2で表される基又は下記式3で表される基を表し、n、n及びnは、それぞれ独立に、1〜4の整数を表す。
式2及び式3において、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
<8> 前記金属錯体モノマーは、前記金属が異なる2種以上の前記金属錯体モノマーである前記<7>に記載の高分子金属錯体である。
<9> 前記金属錯体モノマーは、ポリエチレンオキシド鎖を有する前記<7>又は前記<8>に記載の高分子金属錯体である。
本発明の一実施形態によれば、ポリマーに錯形成する従来法に比べ、高分子量であり、所望とする錯構造を有する高分子金属錯体が迅速かつ簡便に製造される高分子金属錯体の製造方法が提供される。
また、本発明の他の実施形態によれば、高分子量であり、所望とする錯構造を有する高分子金属錯体が提供される。
CTAのNMRスペクトルである。 本開示の高分子金属錯体の製造方法によりDPAAc(Zn)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を製造した一例を示す図である。 従来法によりDPAAcモノマーを重合反応させて高分子金属錯体を製造した一例を示す図である。 DPAAc(Zn)モノマーを重合反応させた場合の転化率とDPAAcモノマーを重合反応させた場合の転化率とを対比して示すグラフである。 DMFを用いた場合の転化率とDMF及び水の混合溶媒を用いた場合の転化率とを対比して示すグラフである。 DMFを用いた場合の分子量分布とDMF及び水の混合溶媒を用いた場合の分子量分布とを対比して示すグラフである。 本開示の高分子金属錯体の製造方法によりDMF存在下、DPAAc(Pt)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を製造した一例を示す図である。 本開示の高分子金属錯体の製造方法によりDMF及び水の混合溶媒存在下、DPAAc(Pt)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を製造した一例を示す図である。 本開示の高分子金属錯体の製造方法によりDMF存在下、DPAAc(Zn)モノマー及びDPAAc(Pt)モノマーの2種を共重合反応させて高分子金属錯体を製造した一例を示す図である。 PEG−macro CTAのNMRスペクトルである。 本開示の高分子金属錯体の製造方法によりPEG−macro CTAの存在下で高分子金属錯体を製造した一例を示す図である。 (a)本開示の高分子金属錯体の製造方法によりPEG−macro CTAの存在下、DPAAc(Zn)モノマーを共重合反応させて得た高分子金属錯体の分子量分布を示すグラフであり、(b)PEG−macro CTAの分子量分布を示すグラフであり、(c)本開示の高分子金属錯体の製造方法によりPEG−macro CTAの存在下、DPAAcモノマーを共重合反応させて得た高分子金属錯体の分子量分布を示すグラフである。
以下、本開示の高分子金属錯体及びその製造方法について詳細に説明する。
なお、本開示の実施形態に関わる構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、組成物又は層中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
<高分子金属錯体の製造方法>
本開示の高分子金属錯体の製造方法は、炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が金属に配位した金属錯体モノマーを重合反応させる工程(以下、「重合工程」ともいう。)を有する。また、本開示の高分子金属錯体の製造方法は、重合工程以外に、更に他の工程を有していてもよい。
従来から、高分子金属錯体は、目的とするポリマーを用意してこれに錯形成する方法が一般に採用されてきた。しかしながら、ポリマーの原料となるモノマーの種類又は構造によっては、重合反応が速やかに進行せず、高分子量の金属錯体が得られない場合があり、高分子量の金属錯体が得られても製造に長い時間を要する場合がある等の支障を来たすことがあった。また、異なる金属をポリマーに導入しようとした場合、フリーの状態で存在する金属と金属錯体の交換性、又は系内に混在する金属がそれぞれ有する配位結合の強さが異なる。結果、金属種で高分子中に導入される錯構造の導入されやすさが異なり、ポリマーに所望の金属を所望量導入することが困難な場合もある。
上記の事情に鑑みて本開示では、炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が金属に配位した金属錯体モノマーを重合反応させる。即ち、従来法のようにポリマーに錯形成するのではなく、モノマーを金属錯体とし、錯構造を有する金属錯体モノマーを重合反応に供することによって、高分子金属錯体を製造する。
これにより、モノマー構造に依存せずに高分子量の金属錯体が得られ、所望とする錯構造を有する高分子量の高分子金属錯体を迅速かつ簡便に製造することが可能である。
(重合工程)
本開示における重合工程では、炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が金属に配位した金属錯体モノマーを重合反応させる。
金属配位した構造部分を有する金属錯体モノマーを重合反応させるので、配位子の構造又は大きさ等に依らず、速やかに重合反応が進行し、しかも高分子量の金属錯体を製造しやすい。また、錯化合物であるモノマーが重合反応に供されるので、所望とする錯構造が導入された高分子金属錯体を製造しやすいという利点があり、分子量分布の狭い高分子金属錯体を製造しやすいという利点もある。
重合工程では、金属錯体モノマーが炭素−炭素不飽和二重結合を有するため、金属錯体モノマーの付加重合反応により高分子の金属錯体を合成する。
重合工程では、金属錯体モノマーを重合反応に供することができればいずれの反応形態を採用してもよく、例えば、金属錯体モノマーのラジカル重合反応により重合させてもよいし、連鎖移動剤(RAFT剤(CTA:charge transfer agent))の存在下でRAFT重合させてもよい。
例えば、金属錯体モノマー、連鎖移動剤(CTA)、及び重合開始剤を溶媒に溶解し、得られた溶液を不活性雰囲気下、加熱重合することにより合成することができる。
重合に際しては、金属錯体モノマー等の各種成分を溶解した溶液を調製する等の観点から、溶媒を用いることができる。
溶媒には、水、有機溶剤、並びに、水及び有機溶剤の混合溶媒等が含まれる。
水としては、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。
有機溶剤の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート系溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール系溶剤;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル;N−メチル−2−ピロリドン;等を挙げることができる。
上記した溶媒の中でも、水及び有機溶剤の混合溶媒を用いることが好ましい。
上記混合溶媒を用いることにより、金属錯体モノマーの転化率の向上が図れ、分子量分布のより狭い高分子(即ち、分子量分布のピーク波形がシャープな高分子)の合成に効果的である。分子量分布がシャープになる理由は、必ずしも明らかではないが、重合中に生成したポリマー錯体の重合溶媒中での溶解性が変化するためと推定される。
混合溶媒における、水に対する有機溶剤の比率(=有機溶剤/水[体積比])としては、上記と同様の理由から、50/50〜90/10が好ましく、70/30〜90/10がより好ましい。以下、体積比を「v%」で略記することがある。
重合工程での合成は、加熱下で重合させることにより行うことが好ましい。
重合温度としては、特に制限はないが、30℃〜100℃の範囲で適宜選択することができ、45℃〜75℃の範囲が好ましい。
重合時間は、特に制限されるものではなく、重合温度等の条件及び合成する重合体の分子量などに応じて適宜選択すればよく、例えば、12時間〜72時間程度であり、好ましくは24時間〜48時間である。
重合工程は、重合反応の速度、酸化反応、及び反応活性種不活化の抑制等の観点から、不活性雰囲気下で行われることが好ましく、不活性雰囲気としては、窒素雰囲気、希ガス雰囲気等が含まれる。希ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス等を用いることができる。
−金属錯体モノマー−
本開示における金属錯体モノマーは、炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物(モノマー)が金属に配位した金属錯化合物(単量体)である。
金属錯体モノマーとしては、炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーを配位子(リガンド)とし、モノマーの部位が金属に配位することにより得られる。金属の配位結合を有する金属錯体モノマーとしては、4配位の四面体型、6配位の八面体型などのいずれでもよい。
モノマーが配位する金属の種類としては、Pt(白金)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)及びGd(ガドリウム)からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
酸化還元活性のあるCu、Fe等の錯体モノマーについては、重合の進行が遅くなることが考えられるが、例えば、他の金属錯体モノマーの重合で高分子量体を得て、その後配位金属をCu、Fe等に変えることで、結果的に従来法よりも高い分子量を持つCu、Fe等の金属錯体ポリマーを得ることもできる。
上記金属の中では、Pt、Mn、Ni、Zn及びGdからなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましい。
また、金属は、用途等に応じて適宜選択することができる。
上記のうち、画像診断に用いられる造影剤、制ガン剤等としての用途では、Pt、Mn、Gd、Fe等が好ましい。
また、アポトーシス検出試薬、遺伝子キャリア(DNAデリバリー、RNAデリバリー等)等の用途としては、Zn、Ni等が好ましい。
また、酸化還元活性を利用する用途としては、Cu、Fe等が好ましい。
金属錯体モノマーは、アクリルモノマーであることが好ましい。
アクリルモノマーとしては、アクリル酸エステル、アクリルアミドが好ましく、アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。アクリル酸アルキルエステルは、アルキル部位の炭素数が2〜6であるアクリル酸アルキルエステルが好ましく、以下に示す式1で表される化合物がより好ましい。
即ち、本開示における金属錯体モノマーは、アクリル酸アルキルエステルの金属錯体が好ましく、以下に示す式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーであることが特に好ましい。

式1において、Ar及びArは、それぞれ独立に、下記式2で表される基又は下記式3で表される基を表し、n1、n2及びn3は、それぞれ独立に、1〜4の整数を表す。

式2及び式3において、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ブチル基等が含まれる。
としては、水素原子が好ましい。
式2で表される基には、ピリジン環又は置換ピリジン環が含まれる。
式3で表される基には、ピロール環又は置換ピロール環が含まれる。
Ar及びArは、互いに同一でも異なっていてもよく、同一構造であることが好ましい。また、Ar及びArとしては、式2で表される基であることが好ましく、ピリジン環であることが特に好ましい。
n1としては、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
n2及びn3としては、それぞれ独立に、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
式1で表される化合物の具体例としては、以下の化合物などが挙げられる。

重合工程では、金属が異なる2種以上の金属錯体モノマー(金属錯化合物)が用いられることが好ましい。
重合工程で用いる金属錯体モノマーの種類を所望に応じて選択することにより、金属錯構造が複数設けられた高分子金属錯体が得られる。金属錯体モノマーを所望により選択することで、目的とする性質を有する高分子金属錯体を調製することが可能である。
金属錯体モノマーの、重合工程での重合反応に供される原料組成中の含有モル分率としては、0.900〜0.999の範囲であることが好ましい。
−重合開始剤−
本開示の高分子金属錯体の製造方法では、重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、特に制限はなく、従来公知の重合開始剤の中から適宜選択して用いることができ、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AVN)などのアゾ重合開始剤等;2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の過酸化物重合開始剤;などが挙げられる。
重合工程における重合開始剤の使用量は、目的とするポリマーの重合度によって決定されるが、通常は金属錯体モノマーの物質量に対して、0.001等量〜0.1等量が好ましい。
−連鎖移動剤−
本開示の高分子金属錯体の製造方法では、連鎖移動剤(RAFT剤;CTA)を用いたRAFT重合により重合反応させてもよい。
連鎖移動剤としては、RAFT重合に一般に用いられるものを適宜選択すればよく、例えば、チオカルボニルチオ基(−S=C−S−)を有する化合物の中から適宜選択することができる。連鎖移動剤としては、例えば、ジチオベンゾエート(R−S−C(=S)−Z〔Z:フェニル基等〕;例えば、2−シアノプロパン−2−イル−ベンゾジチオエート、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィドなど)、トリチオカルボナート(R−S−C(=S)−SZ〔Z:アルキル基等〕;例えば、S−ドデシル−S’−(ジメチル酢酸)トリチオカルボナート、S−シアノメチル−S−ドデシルトリチオカルボナート、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドなど)、ジチオカルバマート(R−S−C(=S)−NZZ’〔Z:アルキル基等,Z’:フェニル基等の芳香族基〕;例えば、シアノメチル−N−メチル−N−フェニルジチオカルバマートなど)、キサンタート(R−S−C(=S)−OZ;Z:アルキル基等)などを挙げることができる。
連鎖移動剤は、ポリエチレンオキシド鎖を有するものが好ましい。
ポリエチレンオキシド鎖を有することにより、単峰性で、かつ、より高分子量の高分子金属錯体が得られる。
ポリエチレンオキシド鎖は、−(OCH−で表され、nは、50〜1000が好ましく、100〜400がより好ましい。
ポリエチレンオキシド鎖を有する連鎖移動剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
重合工程における連鎖移動剤の使用量は、目的とするポリマーの重合度によって決定されるが、金属錯体モノマーの物質量に対して0.001等量〜0.1等量が好ましい。
<高分子金属錯体>
本開示の高分子金属錯体は、式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーに由来の構成単位を有し、重合度が10〜100である錯化合物である。
式1の詳細及び好ましい態様については、既述の通りであるので、ここでの説明を省略する。


式1において、Ar及びArは、それぞれ独立に、下記式2で表される基又は下記式3で表される基を表し、n、n及びnは、それぞれ独立に、1〜4の整数を表す。また、式2及び式3において、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーに由来の構成単位を以下に示す。式1a中のAr、Ar、n、n、n及びRの詳細は、式1における場合と同様であり、好ましい態様も同様である。式1a中のMは、金属元素を表し、金属元素の詳細については、既述の「金属」と同義である。

本開示の高分子金属錯体は、重合度が10〜100であり、錯化合物としては比較的高い分子量を有している。重合度は、目的又は用途等に応じて選択すればよく、例えば20〜50とすることができる。
連鎖移動剤を用いて行われる制御ラジカル重合においては、各ポリマー鎖の末端に連鎖移動剤由来の構造が導入される。よって、得られた高分子金属錯体の重合度は、下記条件にて行われるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定で重合体の分子量の均一性を確認した上で、H−NMRにより、重合反応溶液中でのモノマーにおける重合性基に相当するシグナル強度の減少を、重合によって変化しない連鎖移動剤由来のシグナル強度と比較することでモノマーの消費量を求め、モノマー消費量/連鎖移動剤の物質量比から決定される。
<条件>
温度 :40℃
移動相:DMF,10mM LiCl
流速:0.6mL/min
検量線:PEG standard
カラム:TSKgel Super HZM−H(東ソー(株))
カラム長:15cm,内径:4.6mm
本開示の高分子金属錯体の製造は、特定の構成単位を有する重合度10〜100の錯化合物を製造し得る方法であれば特に制限はないが、好ましくは、既述の本開示の高分子金属錯体の製造方法により、高分子量の金属錯体として速やかに製造することができる。
高分子金属錯体は、金属が異なる2種以上の金属錯体モノマー(金属錯化合物)のそれぞれに由来の構成単位を有していることが好ましい。金属錯体モノマーの詳細及び好ましい態様については、既述の通りである。
高分子金属錯体は、ポリエチレンオキシド鎖を有していることが好ましい。ポリエチレンオキシド鎖を有する場合の詳細については、既述の通りである。
ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子金属錯体は、生体適合性の点で好適である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1):Zn配位によるDPAアクリレートモノマーの重合
−3−(ジピコロルアミン)−1−プロピルアクリレートの合成−
以下のスキームに示すように、3−(ジピコロルアミン)−1−プロピルアクリレート(DPAAc)モノマーを合成した。
(Scheme1−1(a))
(Scheme1−1(b))
2−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(東京化成工業(株);40.4g、2.45×10mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB(東京化成工業(株));1.3g、4.00mmol)及び炭酸カリウム(富士フイルム和光純薬(株);113 g、8.17×10mmol)をアセトニトリル(富士フイルム和光純薬(株))500mLに溶解させた。これに、3−アミノ−1−プロパノール(富士フイルム和光純薬(株);6.12g、81.5mmol)を加えて、98℃で60 時間還流を行った(Scheme1−1(a))。
反応溶液について、セライト(Celite No.503、富士フイルム和光純薬(株))濾過を行い、濾液を濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(silica gel 60(0.063−0.200mm)(メルクジャパン)column、酢酸エチル/メタノール(v%/v%=9/1))により精製を行い、濃縮と真空乾燥を経て、黒茶色の油状化合物(DPA)を得た(収量:8.94g、43%)。
次いで、室温窒素雰囲気下で、DPA(14.1g、54.8mmol)とトリエチルアミン(TEA(富士フイルム和光純薬(株));8.32g、82.2mmol)をジクロロメタン30mLに溶解させ、氷浴下で塩化アクリロイル(富士フイルム和光純薬(株);7.44g、82.2mmol)を滴下し、室温で24 時間攪拌した(Scheme1−1(b))。
反応溶液について、セライト(Celite No.503)濾過を行い、濾液を濃縮して、酢酸エチル(シグマアルドリッチジャパン合同会社)で希釈した.酢酸エチル溶液を、炭酸水素ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株))水溶液で3回、塩化ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株))水溶液で1回洗浄して、油相を回収した。回収した油相に硫酸マグネシウム(富士フイルム和光純薬(株))を添加して脱水し、桐山ロートで濾過を行い、濾液を回収した。シリカゲルクロマトグラフィー(silica gel 60column、酢酸エチル/ヘキサン(v%/v%=9/1))により精製を行い、濃縮と真空乾燥を経て、褐色の油状化合物を得た(収量:8.04g、47%)。
得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz, Bruker, Massachusetts)の結果から、3−(ジピコロルアミン)−1−プロピルアクリレート(DPAAc)モノマーであることを確認した。
−亜鉛錯体化したDPAAcモノマー(DPAAc(Zn)モノマー)の合成−
以下のスキームに示すように、3−(ジピコロルアミン)−1−プロピルアクリレート(DPAAc)の亜鉛錯体モノマー(DPAAc(Zn)モノマー)を合成した。
(Scheme1−2)

上記で得たDPAAcモノマー(431mg、1.38 mmol)をメタノール(シグマアルドリッチジャパン合同会社)1.00mLに溶解させて1.0Mの溶液を調製した。これとは別に、塩化亜鉛(II)(富士フイルム和光純薬(株);202mg、1.48mmol)をメタノール1.41mLに溶解させて1.0Mの溶液を調製した。バイアルにそれぞれの溶液を1.3mL入れ、1時間常温で撹拌した(Scheme1−2)。
その後、析出した固体をジエチルエーテル(関東化学(株))中に分散させて、遠心分離して上澄みを取り除いた。その後、ジエチルエーテル中に再分散し、同様の作業を3度繰り返した。得られた固体は真空乾燥させ、淡黄色の粉末として得た(収量:398mg、89%)。
得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)の結果から、3−(ジピコロルアミン)−1−プロピルアクリレート(DPAAc)の亜鉛錯体モノマー(DPAAc(Zn)モノマー)であることを確認した。
−トリチオエステル構造を有する連鎖移動剤(CTA)の合成−
以下のスキームに示すように、CTAを合成した。
(Scheme1−3)

室温、窒素雰囲気下、1−ブタンチオール(富士フイルム和光純薬(株);3.79g、42.0mmol)をテトラヒドロフラン(THF;富士フイルム和光純薬(株))150mLに溶解させた。その後、ジアザビシクロウンデセン(DBU(富士フイルム和光純薬(株));6.40g、42.0mmol)を添加し、氷浴下で二硫化炭素(富士フイルム和光純薬(株);3.20g、42.0mmol)を滴下し、室温で30分攪拌した。その後、テトラヒドロフラン100mLに溶解させた4−ブロモメチル安息香酸(東京化成工業;7.51g、34.9mmol)を滴下し、一晩攪拌した(Scheme1−3)。
反応溶液について、セライト(Celite No.503)濾過を行い、濾液を濃縮して、酢酸エチルで希釈した。1mol/L塩酸(関東化学(株))で副生成物の抽出を行い、酢酸エチル層を回収して、硫酸マグネシウムで脱水した。ベンゼン(シグマアルドリッチジャパン合同会社)に再溶解させて凍結乾燥を行い、黄色粉末(CTA)を得た(収量:8.854g、85%)。
得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)の結果から、CTAであることを確認した。H−NMRスペクトルを図1に示す。
−DPAAc(Zn)モノマーの重合−
以下のスキームに従い、DPAAc(Zn)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を合成した。
(Scheme1−4(a)):DPAAc(Zn)モノマーの重合

(Scheme1−4(b)):DPAAcモノマーの重合(従来法)

制御ラジカル重合である可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合により、DPAAc(Zn)モノマーの重合を行なった。上述で合成したCTA(12.35 mg、4.11×10−2mmol)、DPAAc(Zn)モノマー(1.30g、2.88mmol、及びAIBN(アゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬(株));1.35mg、8.22μmol)を、最終モノマー濃度が1.0MとなるようDMFに溶解した。この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下で60℃、48時間重合を行った(Scheme1−4(a))。そして、重合開始時から1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、48時間後のモノマーのポリマーへの転化率を、重合基であるアクリル基の減少をH−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)スペクトルにおける5.5ppm〜6.0ppmのピーク強度を観察することで評価した。
また、亜鉛錯体化したDPAAc(Zn)モノマーの重合挙動への効果を見るため、対照反応としてDPAAcモノマーの重合挙動を評価した。
即ち、CTA(16.8mg、5.60×10−2mmol)、DPAAcモノマー(1.22g、3.92mmol)、及びAIBN(1.84mg、11.2μmol)を、最終DPAAcモノマーの濃度が1.0MとなるようにDMFに溶解した。この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行った(Scheme1−4(b))。そして、重合開始時から1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、48時間後のモノマー転化率を、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)により測定した。
従来法により合成した重合体の重合度は6であったのに対し、本実施例で合成した高分子Zn錯体の重合度は34であった。
測定結果を図2〜図4に示す。
図2〜図3に示す通り、DPAAcモノマーにZnを配位したDPAAc(Zn)モノマーでは、モノマーの重合体への転化率が低いDPAAcモノマーの重合反応が促進され、金属元素を配位することによるDPAAcモノマーの重合体への転化率が向上した。
図4に示すように、重合初期においては、DPAAc(Zn)モノマーのポリマーへの転化の速さは、DPAAcモノマーのポリマーへの転化の速さに対し、2倍程度であった。また、DPAAcモノマーにおいては、12時間後以降にモノマー転化率向上が見られないのに対して、DPAAc(Zn)モノマーは、モノマー転化率が12時間後も向上し続けた。結果、DPAAc(Zn)モノマーの48時間後のモノマー転化率は49.2%となり、実にDPAAcモノマーのモノマー転化率の5倍の転化率(48時間後のモノマー転化率9.1%)となった。これは、中心金属の配位によりピリジン環の運動性が制御されたことに起因するものと考えられる。
(実施例2)
以下のスキームに従い、重合溶媒としてDMF及び水の混合溶媒を用いて高分子金属錯体を合成した。
(Scheme2)

実施例1で得たCTA(9.70mg、3.23×10−2mmol)、DPAAc(Zn)モノマー(1.062g、2.37mmol)、及びAIBN(富士フイルム和光純薬(株);1.06mg、6.46μmol)を、最終DPAAc(Zn)モノマーの濃度が0.5MとなるようにDMF/水の混合溶媒(v%/v%=80/20)に溶解した。次いで、溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行い(Scheme2(a))、モノマー転化率をH−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)にて測定した。また、重合体の分子量分布をGPC(東ソー)にて測定した。なお、分子量分布の測定は、40mMのエチレンジアミンを含むメタノールに対して透析することでZnを取り除いた後、GPC(東ソー)にて行った。
また同様に、DPAAcモノマーを用いた場合についても溶媒効果を調べた。
即ち、実施例1で得たCTA(8.68mg、2.89×10−2mmol)、DPAAcモノマー(628.0mg、2.02mmol)、及びAIBN(0.95mg、5.78μmol)を、最終DPAAcモノマーの濃度が0.5Mとなるように、DMF/水の混合溶媒(v%/v%=80/20)に溶解させた。次いで、この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行い(Scheme2(b))、モノマー転化率をH−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)にて測定した。
測定結果を図5〜図6に示す。
図5に示すように、重合溶媒をDMF/水の混合溶媒(v%/v%=80/20)とすることで、DMFでの重合(実施例1)と比較し、5%〜10%の転化率の向上がみられた。
また、DMF/水の混合溶媒のように含水溶媒で重合した重合体では、配位Znを除去した後のGPCにより解析したところ、図6に示されるように、非含水溶媒を用いた場合(Mw/Mn=2.173)に比べ、分子量分布のより狭い重合体(Mw/Mn=1.704)が得られていた。これは、重合中に生成したポリマー錯体の重合溶媒中での溶解性が、DMFとDMF/水の混合溶媒とで異なるため、分子量分布が変化したためであると考えられる。
以上から、溶媒を変えることで、分子量分布がより制御されたDPAAc(Zn)モノマーの重合体の合成が可能である。
また、上記において、DMF溶媒中で合成した高分子Zn錯体の重合度は34であったのに対し(実施例1)、本実施例においてDMF/水の混合溶媒中で合成した高分子Zn錯体の重合度は39であった。なお、DMF/水の混合溶媒中でDPAAcを重合させて合成した重合体の重合度は7であった。
(実施例3)
白金(Pt)錯体化したDPAAcモノマー(DPAAc(Pt)モノマー)を用い、以下のスキームに従って、DPAAc(Pt)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を合成した。
−DPAAc(Pt)モノマーの合成−
以下のスキームに示すように、3−(ジピコロルアミン)−1−プロピルアクリレート(DPAAc)の白金錯体モノマー(DPAAc(Pt)モノマー)を合成した。
(Scheme3−1)

DPAAcモノマー(169mg、0.543mmol)をメタノール0.526mLに溶解させて0.8Mの溶液を調製した。
同様に、ヘキサクロロ白金酸(IV)・6水和物(富士フイルム和光純薬(株);234mg、0.452mmol)をメタノール0.565mLに溶解させて0.8Mの溶液を調製した。
次いで、バイアルにそれぞれの溶液を0.565mL入れて、1時間常温で撹拌した(Scheme3−1)。その後、析出した固体をジエチルエーテル中に分散させて、固体を遠心で回収し、この操作を3度繰り返した。そして、固体を真空乾燥させ、橙色の粉末を得た(収量:321.2mg、86%)。
得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)の結果から、DPAAc(Pt)モノマーであることを確認した。
−DPAAc(Pt)モノマーの重合−
以下のスキームに従い、DPAAc(Pt)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を合成した。
(Scheme3−2(a)):DMFを用いた重合

(Scheme3−2(b)):DMF/水の混合溶媒を用いた重合

制御ラジカル重合である可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合により、DPAAc(Pt)モノマーの重合を行った。
具体的には、実施例1で得たCTA(0.75mg、2.50×10−3mmol)、DPAAc(Pt)モノマー(137mg、0.165mmol)、及びAIBN(富士フイルム和光純薬(株);0.08mg、0.50μmol)を、最終モノマー濃度が0.2MとなるようにDMFに溶解した。この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行った(Scheme3−2(a))。また、重合開始時から48時間後のモノマーのポリマーへの転化率を、重合基であるアクリル基の減少をH−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)スペクトルにおける5.5ppm〜6.0ppmのピーク強度を観察することで評価した。
また同様に、DPAAc(Pt)モノマーを用いた場合についても、溶媒効果を調べた。即ち、実施例1で得たCTA(0.75mg、2.50×10−3mmol)、DPAAc(Pt)モノマー(145mg、0.175mmol)、及びAIBN(0.08mg、0.50μmol)を、最終DPAAcモノマー濃度が0.2MとなるようにDMF/水の混合溶媒(v%/v%=80/20)に溶解させた。この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行い(Scheme3−2(b))、モノマー転化率を、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)にて測定した。
測定結果を図7〜図8に示す。
Pt錯体モノマーを用いた場合も、Zn錯体モノマーを用いた場合と同様に、重合反応の促進効果が確認された。Pt錯体モノマーを用いた場合も、Zn錯体モノマーを用いた場合と同様にピリジン環の運動性制御によるものと考えられる。
以上の結果から、金属配位による重合反応の促進効果は、Znに特異的なものではなく、他の金属においても同様に認められるものと考えられる。
しかも、DPAAc(Pt)モノマーを用いることにより、DPAAc(Zn)モノマーを用いた場合に比べ、含水溶媒を用いることによる重合促進効果がより顕著に認められた。
DMF存在下で合成した重合体の重合度は39であり、DMF/水の混合溶媒の存在下で合成した高分子Pt錯体の重合度は69であった。
(実施例4)
以下のスキームに従い、DPAAc(Zn)モノマー及びDPAAc(Pt)モノマーを共重合反応させることにより高分子金属錯体を合成した。
(Scheme4−1)
制御ラジカル重合である可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合により、DPAAc(Pt)モノマーとDPAAc(Zn)モノマーとの共重合反応を行わせた。
具体的には、実施例1で得たCTA(0.75mg、2.50×10−3mmol)、DPAAc(Pt)モノマー(106mg、0.128mmol)、DPAAc(Zn)モノマー(63.15mg、0.141mmol)、及びAIBN(富士フイルム和光純薬(株);0.08mg、0.50μmol)を、最終モノマー濃度が0.2MとなるようにDMF/水の混合溶媒(v%/v%=80/20)に溶解した。この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行った(Scheme4−1)。
そして、重合開始時から48時間後のモノマーのポリマーへの転化率を、重合基であるアクリル基の減少をH−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)スペクトルにおける5.5ppm〜6.0ppmのピーク強度を観察することで評価した。
測定結果を図9に示す。
図9に示すように、モノマーとしてDPAAc(Zn)モノマーとDPAAc(Pt)モノマーの2つを共重合させたところ、いずれのモノマーも72時間後にはほぼ全てがポリマーに転化したことを、H−NMR測定より確認した。この結果は、多種金属錯体モノマーを共重合して複数金属を含む高分子鎖が構築可能であることを示唆している。
従来法のように、あらかじめ作製した高分子リガンドに対し、2種以上の金属を1つの高分子中で錯形成させることを想定した場合、高分子リガンドに対して複数金属を添加することになるが、フリーの金属と金属錯体の交換性、及びこれら金属それぞれの配位結合の強さが異なるため、高分子中での金属組成制御は困難である。
これに対して、実施例4では、フリーの金属がない状態であること、及びモノマーの仕込み条件で得られるポリマーの金属組成を規定することができることの観点から、複数種の金属を含む高分子錯体を合成する上で高い汎用性を有するものと考えられる。
合成した高分子中における、Pt錯体モノマーの重合度は49であり、Zn錯体モノマーの重合度は46であった。
(実施例5)
−PEG−macro CTAの合成−
(Scheme5−1)
室温・窒素雰囲気下でポリエチレングリコールメチルエーテル(MeO−PEG−OH(シグマアルドリッチジャパン合同会社);9.905g、2.035mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解させた。その後、トリエチルアミン(TEA;653.7mg、6.46mmol)を添加し、氷浴下でメタンスルホニルクロリド(富士フイルム和光純薬(株);738.8mg、6.45mmol)を滴下し、3時間攪拌した(Scheme5−1(a))。
反応溶液は、セライト(Celite No.503、富士フイルム和光純薬(株))濾過の後、濾液を濃縮してイソプロピルエーテル(シグマアルドリッチジャパン合同会社)により再沈殿を行った。そして、ベンゼンに再溶解させて凍結乾燥を行い、白色粉末を得た(収量:9.493g、94%)。得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)の結果から決定した。
MeO−PEG−OMs(シグマアルドリッチジャパン;9.163g、1.852mmol)をアンモニア水150mLに溶解させ、3日間室温で攪拌した(Scheme5−1(b))。
反応溶液について、セライト(Celite No.503)濾過を行い、濾液を濃縮してイソプロピルエーテルにより再沈殿を行った。そして、ベンゼンに再溶解させて凍結乾燥を行い、白色粉末を得た(収量:6.854g、76.0%)。得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)の結果から決定した。
次に、常温、窒素雰囲気下、CTA(1.507g、5.02mmol)をジクロロメタン100mLに溶解させ、N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC(富士フイルム和光純薬(株));1.226g、5.94mmol)を加え、10分間攪拌した。攪拌後、MeO−PEG5k−NH(4.456g、0.96mmol)とN、N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP(富士フイルム和光純薬(株));0.033g、0.27mmol)を加え、1日間攪拌した(Scheme5−1(c))。
反応溶液について、セライト(Celite No.503、富士フイルム和光純薬(株))濾過を行い、濾液を濃縮してイソプロピルエーテルにより再沈殿を行った。そして、ベンゼンを用いて凍結乾燥を行い、黄色粉末を得た(収量:3.931g、83%、CTA修飾率:88%)。得られた化合物の構造は、H−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)の結果から決定した。
図10にH−NMRスペクトルを示す。
−PEG−macro CTAを用いたDPAAc(Zn)モノマーの重合−
以下のスキームに従い、PEG−macro CTAを用いてDPAAc(Zn)モノマーを重合反応させて高分子金属錯体を合成した。
(Scheme 5−2)
制御ラジカル重合である可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合により、PEG−macro CTAを用いたDPAAc(Zn)モノマーの重合を行った。
実施例1で得たPEG−macro CTA(86.36mg、1.62×10−2mmol)、DPAAc(Zn)モノマー(517.66mg、1.16mmol)、及びAIBN(富士フイルム和光純薬(株);0.54mg、3.26μmol)を、最終モノマー濃度が0.5MとなるようにDMF/水の混合溶媒(v%/v%=80/20)に溶解した。この溶液の凍結脱気を行い、窒素雰囲気下、60℃、48時間重合を行った(Scheme5−2)。重合開始時から48時間後のモノマーのポリマーへの転化率を、重合基であるアクリル基の減少をH−NMR(Bruker Advance 400 MHz、Bruker、Massachusetts)スペクトルにおける5.5ppm〜6.0ppmのピーク強度を観察することで評価した。
ポリマーの分子量分布は、40mMエチレンジアミンを含むメタノールに対して透析することでZnを取り除いた後、GPC(東ソー)にて測定した。
測定結果を図11〜図12に示す。
図12に示されるように、得られたポリマーからZnを除去した後、GPC測定を行ったところ、単峰性のピークを示した(図12(a);Mw/Mn=1.355)。このピークは、PEG−macro CTA(図12(b))と比較して、高分子量側にシフトしたピークであることから、PEG−b−poly(DPAAc)が構築されたものと考えられる。このサンプルのH−NMR測定においても、PEG及びpoly(DPAAc)由来のスペクトルが確認され、ブロック共重合体の構築を強く支持している。
H−NMR測定において、DPAAcモノマーがPEG一本当たりに34連鎖成長したことが確認された。
また、対照として行ったDPAAcモノマーの重合から回収されたサンプルでは、GPC測定において、未反応PEG−macro CTAを含めて複数のピークが観察され(図12(c))、重合の制御が困難であることがうかがえる。
以上のことから、PEG−macro CTAを用いた場合も、金属配位モノマーは重合促進及び制御に高い効果があると考えられる。
本開示の高分子金属錯体及びその製造方法は、例えば高分子Pt錯体はDNAに強く結合し、強い構造変化を誘起するため、制がん剤としての応用が見込まれる。また、高分子Zn錯体は、DNA又はRNAをデリバリーする遺伝子キャリアとしての応用が見込まれる。
本開示の高分子金属錯体及びその製造方法は、電解質としての応用も見込まれる。

Claims (9)

  1. 炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が金属に配位した金属錯体モノマーを重合反応させる工程を有する、高分子金属錯体の製造方法。
  2. 前記金属錯体モノマーは、前記金属が異なる2種以上の前記金属錯体モノマーである請求項1に記載の高分子金属錯体の製造方法。
  3. 前記金属が、Pt、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn及びGdからなる群より選択される少なくとも1つである請求項1又は請求項2に記載の高分子金属錯体の製造方法。
  4. 前記工程は、ポリエチレンオキシド鎖を有する連鎖移動剤の存在下で重合反応させる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高分子金属錯体の製造方法。
  5. 前記金属錯体モノマーは、アクリルモノマーである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高分子金属錯体の製造方法。
  6. 前記金属錯体モノマーは、下記式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の高分子金属錯体の製造方法。


    式1中、Ar及びArは、それぞれ独立に、下記式2で表される基又は下記式3で表される基を表し、n、n及びnは、それぞれ独立に、1〜4の整数を表す。

    式2及び式3中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
  7. 下記式1で表される化合物が金属に配位した金属錯体モノマーに由来の構成単位を有し、重合度が10〜100である、高分子金属錯体。


    式1中、Ar及びArは、それぞれ独立に、下記式2で表される基又は下記式3で表される基を表し、n、n及びnは、それぞれ独立に、1〜4の整数を表す。

    式2及び式3中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
  8. 前記金属錯体モノマーは、前記金属が異なる2種以上の前記金属錯体モノマーである請求項7に記載の高分子金属錯体。
  9. ポリエチレンオキシド鎖を有する請求項7又は請求項8に記載の高分子金属錯体。
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