JP2020090190A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用空調装置において、空調ケースの気密性を確保しつつ、製造ばらつきを好適に吸収して組付性の向上を図る。【解決手段】車両用空調装置10を構成する空調ケース12には、幅方向となる側壁18に第1及び第2シャフト孔24、26が開口し、駆動機構16の第1及び第2挿入部48、50、第1及び第2シャフト20、22が挿入され接続される。そして、空調ケース12の側壁18には、第1シャフト孔24の外周側となる位置に、複数の環状溝40からなり撓曲自在な可撓部38が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載され、熱交換器によって温度調整のなされた空気を車室内へと送風して車室内の温度調整を行う車両用空調装置に関する。
従来から車両に搭載され、車室内の温度調整を行うための車両用空調装置が知られており、この車両用空調装置は、空調ケース内に設けられドアシャフトを介して開閉動作する複数のドアを有し、前記ドアを開閉することで通路における空気の流れを制御している。
このようなドアを駆動するためのドアシャフトの支持構造は、例えば、特許文献1に開示されるように、車両用空調装置を構成する空調ケースの側壁に、シャフトより大径の軸孔が形成され、該軸孔には前記シャフトを支持する軸受部材が形成されている。この軸受部材は、外周縁から中心側へと突出した3本の脚部と、該脚部の先端から周方向に延在した支承部とから構成され、前記支承部の内周面によってシャフトの外周面を支持可能に形成される。
そして、軸受部材を含む空調ケースやシャフトに製造ばらつきが生じた場合には、弾性力を有した支承部によって前記シャフトを支持することで好適にばらつきを吸収可能としている。
実開平2−13810号公報
しかしながら、上述したドアシャフト支持構造は、シャフトを支持する軸受部材が、軸孔の外縁部から径方向内側へと離れ、前記シャフトを支持する支承部と前記外縁部との間に間隙を有している。そのため、この間隙を通じて空調ケースの内部と外部とが連通し、該空調ケース内の空気が外部へと漏れてしまうと共に、外部の空気や水分等が内部へと進入してしまうことが懸念される。
そのため、車両用空調装置を構成する空調ケースにおいて、高い気密性や液密性の要求されるような場合には、上述したドアシャフト支持構造を用いることができないという問題がある。
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、空調ケースの気密性を確保しつつ、製造ばらつきを好適に吸収して組付性の向上を図ることが可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、空気の流れる通路を内部に有したケースを備えた車両用空調装置であって、
ケースのケース壁に形成される複数の軸又は軸孔と、
複数の軸又は軸孔の少なくとも2つに対して接続される接続部位を有した接続部材と、
を備え、
複数の軸又は軸孔のうち少なくとも一つの軸又は軸孔の周辺には、ケースの気密性を維持すると同時に、ケース壁において変形することで軸又は軸孔を移動可能とする可撓部を備える。
本発明によれば、車両用空調装置を構成するケースにおいて、そのケース壁に形成される複数の軸又は軸孔を備え、複数の軸又は軸孔の少なくとも2つに対して接続部材の接続部位がそれぞれ接続され、少なくとも複数の軸又は軸孔のうちの一つの軸又は軸孔の周辺に、ケースの気密性を維持し、且つ、ケース壁において変形することで軸又は軸孔を移動可能とする可撓部を備えている。
従って、ケースのケース壁に対して接続部材を接続する際、ケースや接続部材に生じた製造ばらつきによって、ケース壁における一方の軸又は軸孔と他方の軸又は軸孔との間の距離と、軸又は軸孔に接続される接続部材の接続部位の間の距離とに差が生じた場合でも、可撓部が変形することでケース壁における軸又は軸孔の距離と接続部材における接続部位の距離との差を好適に吸収することができる。
その結果、ケースに対して可撓部を設けることで、ケースや接続部材に生じた製造ばらつきを好適に吸収して両者を組み付けることができるため、車両用空調装置の組付性を向上させることができ、しかも、可撓部を設けた場合でも従来技術に係るドアシャフト支持構造のようにケースが開放されてしまうことがないためケース内の気密性を確実に確保することが可能となる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、車両用空調装置を構成するケースと接続部材とを接続する際に、製造ばらつきによってケース壁における一方の軸又は軸孔と他方の軸又は軸孔との距離と、軸又は軸孔に接続される接続部材の接続部位の距離とに差が生じた場合でも、ケースの気密性を維持し、且つ、ケース壁において変形することで軸又は軸孔を移動可能とする可撓部を備え、この可撓部が好適に変形することで両者の距離の差を吸収することが可能となる。
その結果、可撓部を設けた場合でもケース内の気密性を確実に確保しつつ、この可撓部によってケースや接続部材に生じた製造ばらつきを好適に吸収して両者を組み付けることが可能となるため、車両用空調装置の組付性を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る車両用空調装置における駆動機構近傍を示す一部拡大斜視断面図である。 図2Aは、図1における空調ケースの側壁及び駆動機構を示す一部断面拡大図であり、図2Bは、図2AのIIB−IIB線に沿った断面図であり、図2Cは、変形例に係る空調ケースの側壁及び駆動機構を示す一部断面拡大図である。
本発明に係る車両用空調装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る車両用空調装置を示す。
この車両用空調装置10は、図1に示されるように、空気の各通路を構成する空調ケース(ケース)12と、該空調ケース12の内部に設けられ、前記各通路内を流通する空気の流れを切り換える複数のダンパ14と、該ダンパ14を回動させるための駆動機構16とを含み、この空調ケース12の内部には、図示しないエバポレータ及びヒータコアが設けられている。
空調ケース12は、例えば、樹脂製材料から幅方向に分割可能に形成され、その幅方向一方の側壁(ケース壁)18の外側(矢印A方向)には駆動機構16が設けられると共に、前記側壁18には、ダンパ14を回動させるための第1及び第2シャフト(軸)20、22が挿通される第1及び第2シャフト孔(軸孔)24、26が形成されている。なお、この側壁18は、略一定厚さで板状に形成されている。
第1及び第2シャフト孔24、26は、図1〜図2Bに示されるように、断面円形状で側壁18に沿って所定距離だけ離れて形成される。そして、例えば、第1シャフト孔24には、空調ケース12内に設けられるベントダンパ28(図1参照)に接続された第1シャフト20が挿通され、第2シャフト孔26には、空調ケース12内に設けられるデフロスタダンパ30(図1参照)に接続された第2シャフト22が挿通される。
また、第1及び第2シャフト孔24、26の外縁部には、空調ケース12の側壁18に対して直交するように形成された円筒状の第1及び第2ガイド部(軸)32、34がそれぞれ形成される。この第1及び第2ガイド部32、34は、側壁18に対して空調ケース12の外側(矢印A方向)へと所定高さだけ突出すると共に、前記側壁18に対して内側(矢印B方向)へも突出して形成される。
さらに、第1及び第2ガイド部32、34の下端には径方向内側へと突出した環状の係止部36が形成され、後述する駆動機構16のベース部材42の第1及び第2挿入部(接続部位)48、50を係止する。
また、空調ケース12の側壁18には、第1シャフト孔24の径方向外側に撓曲自在な可撓部38が設けられ、この可撓部38は、例えば、前記第1シャフト孔24を中心として同心状に設けられた複数の環状溝40からなり、前記側壁18の表面に対して所定深さで窪んで形成される。すなわち、複数の環状溝40によって側壁18が部分的に薄く形成されることで、第1シャフト孔24を中心として径方向に撓曲自在となる。
なお、可撓部38を構成する環状溝40は、側壁18の内側となる内面側に設けられていてもよいし、外側となる表面と前記内面にそれぞれ設けられていてもよい。さらには、環状溝40は、第1シャフト孔24側ではなく第2シャフト孔26側に設けられていてもよいし、第1及び第2シャフト孔24、26側にそれぞれ設けられていてもよい。
駆動機構16は、空調ケース12の側壁18に装着されるベース部材(接続部材)42と、該ベース部材42に対して回転自在に設けられる第1及び第2リンクアーム44、46とから構成され、前記第1及び第2リンクアーム44、46が図示しない駆動源の駆動作用下に所定角度だけ回動自在に設けられる。
ベース部材42は、例えば、樹脂製材料から形成され、空調ケース12の側壁18に対して所定間隔離れて平行となるように設けられ、前記側壁18側(矢印B方向)に向かって突出した第1及び第2挿入部48、50を有している。
この第1及び第2挿入部48、50はそれぞれ円筒状に形成され、その下端部が空調ケース12の第1及び第2ガイド部32、34の内部へと挿入されると共に、係止部36へと当接することで軸方向(矢印B方向)に位置決めされることで、空調ケース12に対して駆動機構16が位置決めされた状態で保持される。
この第1及び第2挿入部48、50の内部には、軸方向(矢印A、B方向)に貫通した第1及び第2挿入孔52、54がそれぞれ形成され、その内部には後述する第1及び第2リンクアーム44、46の軸部56a、56bがそれぞれ回転自在に挿入される。
第1及び第2リンクアーム44、46は、円柱状の軸部56a、56bと、該軸部56a、56bに対して径方向外側へと延在し、ベース部材42と略平行に設けられたアーム部(図示せず)を有し、このアーム部が他のリンク部材や駆動源と係合されている。
また、軸部56a、56bは、第1及び第2挿入孔52、54へと挿入され、その中心に開口した圧入孔58に第1及び第2シャフト20、22の一端部がそれぞれ圧入されることで、前記第1及び第2挿入孔52、54の内部において同軸上となるように連結されている。この際、第1及び第2シャフト20、22と第1及び第2シャフト孔24、26とが非接触となるように配置される(図1参照)。
本発明の実施の形態に係る車両用空調装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に空調ケース12に対して駆動機構16を組み付ける場合について説明する。
先ず、空調ケース12の内部にベントダンパ28及びデフロスタダンパ30を収納し、その第1及び第2シャフト20、22の一端部をそれぞれ第1及び第2シャフト孔24、26へと挿通させた状態とする。一方、駆動機構16を構成するベース部材42に対し、その第1及び第2挿入部48、50の第1及び第2挿入孔52、54に第1及び第2リンクアーム44、46の軸部56a、56bをそれぞれ挿入した状態とする。これにより、駆動機構16は、ベース部材42、第1及び第2リンクアーム44、46が組み付けられてユニット化される。
次に、空調ケース12の側壁18に対し駆動機構16を接近させ、その第1及び第2挿入部48、50を第1及び第2シャフト孔24、26に対して挿入することで、該第1及び第2挿入部48、50が第1及び第2ガイド部32、34に沿って空調ケース12側(矢印B方向)へと移動し、その下端部が係止部36へと当接することで前記ベース部材42と前記側壁18とが略平行な状態で所定位置に位置決めされる。
また、第1及び第2シャフト孔24、26に挿通された第1及び第2シャフト20、22の一端部が、第1及び第2リンクアーム44、46の圧入孔58へとそれぞれ圧入されることで、前記第1及び第2シャフト20、22と前記第1及び第2リンクアーム44、46とがそれぞれ連結される。
この際、空調ケース12やベース部材42の製造ばらつきによって、図2Aに示される第1及び第2シャフト孔24、26(第1及び第2ガイド部32、34)の軸中心間となる軸間距離Lと、第1及び第2挿入部48、50の軸中心間となる軸間距離Lとが異なっている場合がある。
このような場合、第1挿入部48を第1シャフト孔24(第1ガイド部32)へと挿入し、第2挿入部50を第2シャフト孔26(第2ガイド部34)へと挿入することで、両者の差によって第1ガイド部32と第2ガイド部34とを接近又は離間させる方向に力が付勢される。この両者の間に働く力によって、第1ガイド部32側に設けられた可撓部38が撓むように変形し、前記第1ガイド部32が第1挿入部48と共に、第2ガイド部34に対して接近又は離間する方向へと側壁18において移動する。
具体的には、空調ケース12の製造ばらつきによって第1及び第2シャフト孔24、26の軸中心間となる軸間距離Lが設定値Lsよりも小さい場合(L<Ls)、又は、ベース部材42の製造ばらつきによって第1及び第2挿入部48、50の軸間距離Lが設定値Lsよりも大きい場合(L>Ls)には、前記第1及び第2シャフト孔24、26に対して前記第1及び第2挿入部48、50をそれぞれ挿入することで、両者の軸間距離Lの差によって可撓部38が変形して第1シャフト孔24が第2シャフト孔26から離れる方向へと移動することで軸間距離Lの差を吸収する。
一方、空調ケース12における第1及び第2シャフト孔24、26の軸中心間となる軸間距離Lが設定値Lsよりも大きい場合(L>Ls)、又は、ベース部材42における第1及び第2挿入部48、50の軸間距離Lが設定値Lsよりも小さい場合(L<Ls)には、前記第1及び第2シャフト孔24、26に対して前記第1及び第2挿入部48、50をそれぞれ挿入することで、両者の軸間距離Lの差によって可撓部38が変形して第1シャフト孔24が第2シャフト孔26側へと接近するように移動することで軸間距離Lの差を吸収する。
これにより、空調ケース12やベース部材42に製造ばらつきが生じている場合でも、第1及び第2挿入部48、50を第1及び第2シャフト孔24、26に対して容易且つ確実に挿入して組み付けることができる。
そして、上述したように駆動機構16を構成するベース部材42が空調ケース12の側壁18に臨むように外側に固定され、その第1及び第2リンクアーム44、46が第1及び第2シャフト20、22に対してそれぞれ連結された状態で組付けられ、空調ケース12に対する前記駆動機構16の組み付けが完了する。
次に、上述したように駆動機構16の組付けられた車両用空調装置10の動作について簡単に説明する。
先ず、乗員による操作によって駆動機構16の駆動源(図示せず)が駆動し、それに伴って、第1及び第2リンクアーム44、46が軸部56a、56bを支点としてベース部材42及び空調ケース12に対して回動する。これにより、第1リンクアーム44に接続された第1シャフト20を介してベントダンパ28や、第2リンクアーム46に接続された第2シャフト22を介してデフロスタダンパ30が各送風口を開閉する。
そして、空調ケース12の通路内を流れる空気が、エバポレータを通過することで冷却され、一方、ヒータコアを通過することで空気が加熱されると共に、冷却された冷風や冷風と温風とが混合された状態で、駆動機構16及びダンパ14によって開放された各送風口を通じて車室内へと供給される。
以上のように、本実施の形態では、車両用空調装置10を構成する空調ケース12には、幅方向一方となる側壁18に所定間隔離れて第1及び第2シャフト孔24、26が開口し、前記第1及び第2シャフト孔24、26には、駆動機構16の第1及び第2挿入部48、50がそれぞれ挿入されると共に、ベントダンパ28に連結された第1シャフト20、デフロスタダンパ30に連結された第2シャフト22が挿入されている。そして、この空調ケース12の側壁18において、第1シャフト孔24の外周側には、複数の環状溝40からなり撓曲自在に設けられた可撓部38が設けられている。
従って、空調ケース12の第1及び第2シャフト孔24、26を利用して、第1及び第2シャフト20、22と連結される駆動機構16を装着する際、前記空調ケース12や前記駆動機構16のベース部材42の製造ばらつきによって、前記第1シャフト孔24と前記第2シャフト孔26との軸間距離Lと、前記ベース部材42における第1挿入部48と第2挿入部50との軸間距離Lとに差が生じている場合でも、前記第1及び第2挿入部48、50を前記第1及び第2シャフト孔24、26へと挿入することで、前記軸間距離Lの差に応じて可撓部38が好適に撓んで変形して製造ばらつきを吸収することが可能となる。
その結果、空調ケース12に対して可撓部38を設けた場合でも、従来のドアシャフト支持構造のように、空調ケースの外側と内側とが連通してしまうことがなく、空調ケース12内の気密性を確実に確保できると同時に、該可撓部38によって空調ケース12や駆動機構16のベース部材42に生じた製造ばらつきを好適に吸収して組み付け可能とすることで、車両用空調装置10の組付性を向上させることができる。
また、空調ケース12に対して駆動機構16を組み付ける際、該駆動機構16を構成する第1及び第2リンクアーム44、46をベース部材42に対して予め組み付けてユニット化しておくことで、空調ケースに取り付けられた部材に対して複数のリンクアームをそれぞれ取り付ける場合と比較し、前記駆動機構16の組付性を向上させることができる。
また、可撓部38は、空調ケース12の側壁18に設けられた複数の環状溝40から構成される場合に限定されるものではなく、例えば、該環状溝40の代わりに径方向に撓んだ蛇腹部を設けるようにしてもよい。
さらに、図2Cに示される空調ケース60のように、第1シャフト孔24の外周側となる所定範囲をゴム等の弾性材料で形成した可撓部62を構成するようにしてもよい。この可撓部62は、例えば、二色成形によって空調ケース60の側壁18に一体的に形成される。
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…車両用空調装置 12、60…空調ケース
16…駆動機構 18…側壁
20…第1シャフト 22…第2シャフト
24…第1シャフト孔 26…第2シャフト孔
38、62…可撓部 42…ベース部材
44…第1リンクアーム 46…第2リンクアーム
56a、56b…軸部

Claims (1)

  1. 空気の流れる通路を内部に有したケースを備えた車両用空調装置であって、
    前記ケースのケース壁に形成される複数の軸又は軸孔と、
    前記複数の軸又は軸孔の少なくとも2つに対して接続される接続部位を有した接続部材と、
    を備え、
    複数の軸又は軸孔のうち少なくとも一つの軸又は軸孔の周辺には、前記ケースの気密性を維持すると同時に、前記ケース壁において変形することで前記軸又は前記軸孔を移動可能とする可撓部を備える、車両用空調装置。
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