JP2020087831A - 非水電解液、非水電解液電池及びそれらの製造方法 - Google Patents

非水電解液、非水電解液電池及びそれらの製造方法 Download PDF

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Shuji Harada
秀治 原田
翔 山澤
Sho Yamasawa
翔 山澤
田中 徹
Toru Tanaka
徹 田中
鈴木 克俊
Katsutoshi Suzuki
克俊 鈴木
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Abstract

【課題】高温(60℃以上)における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上させることができる非水電解液の提供。【解決手段】非水溶媒と、溶質と、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物とを含む非水電解液。(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリール基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、これらの基はヘテロ原子及び/又はハロゲン原子を有していてもよい。Aは、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子がリン原子又はホウ素原子である基である。nは、1〜10の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液及び非水電解液電池に関する。また、本発明は非水電解液及び非水電解液電池の製造方法に関する。
これまで非水電解液電池の高温特性及び充放電を繰り返した場合の電池特性(サイクル特性、出力特性)を改善する手段として、正極や負極の活物質をはじめとする様々な電池構成要素の最適化が検討されてきた。非水電解液関連技術もその例外ではなく、活性な正極や負極の表面で電解液が分解することによる電極の劣化を、種々の添加剤で抑制することが提案されている。例えば、電解液に環状シロキサンを添加することで、当該電解液の分解反応が抑制され、入出力特性及びサイクル特性を向上させることが提案されている(特許文献1)。
他に、ハロゲン化ジシロキサン化合物を電解液の添加剤として用いることで、サイクル後の容量低下を抑制できることが開示されている(特許文献2)。また、不飽和結合を有するケイ素化合物を非水電解液に添加することでサイクル特性及び低温特性に優れた非水電解液二次電池が得られることが開示されている(特許文献3)。また、F−Si基を有する鎖状シロキサン化合物の添加剤も開示されている(特許文献4)。さらに、本出願人は、フッ素原子を少なくとも一つ含有するアルコキシ基が末端に結合した鎖状シロキサン化合物の添加剤を開示している(特許文献5)。
特開2004−71458号公報 特開2017−54736号公報 特開2002−134169号公報 特開2010−272376号公報 特開2015−5329号公報
特許文献1〜2に記載の発明では、60℃以上の高温におけるサイクル後(100サイクル程度)の特性は向上するが、「長期」サイクル後(500サイクル以上)の特性に関しては、効果が十分とは言えなかった。特許文献4に記載の発明では、高温保存後において高い容量維持率を示すものの、高温における長期サイクル後の容量維持率は十分に満足のいくものではなかった。
特許文献3に記載の不飽和結合を有するケイ素化合物は、電極に安定な被膜を形成でき、サイクル特性及び低温特性を向上する添加剤であるため優れた発明である。しかしながら、高温(60℃以上)における長期サイクル後の容量維持率の向上効果が必ずしも十分とは言えず、未だ改善の余地があることが判明した。
そこで本発明では、高温(60℃以上)における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上させることができる非水電解液を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意検討した結果、
非水溶媒と、溶質と、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物と、を含む非水電解液を用いることで、高温における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上できることを見出し、本発明の完成に至った。
Figure 2020087831
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリール基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、これらの基はヘテロ原子及び/又はハロゲン原子を有していてもよい。
Aは、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子がリン原子又はホウ素原子である基である。
nは、1〜10の整数である。)
式(1)で表される鎖状シロキサン化合物は、末端酸素原子に結合する原子が「リン原子又はホウ素原子を含む基」を有する特異的な構造であり、このような鎖状シロキサン化合物を含む非水電解液が、高温における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上することは、大変意外な結果であった。この理由として、「リン原子又はホウ素原子を含む基」の効果により、負極表面に形成される被膜が、イオン伝導性が高く低抵抗で安定なものとなり、高温における長期サイクル後であっても、容量維持率をさらに向上できるものと考えている。
すなわち本発明は
非水電解液電池用の電解液であって、
(I)非水溶媒と、
(II)溶質と、
(III)下記式(1)で表される鎖状シロキサン化合物と、
を含む非水電解液を提供するものである。
Figure 2020087831
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリール基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、これらの基はヘテロ原子及び/又はハロゲン原子を有していてもよい。
Aは、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子がリン原子又はホウ素原子である基である。
nは、1〜10の整数である。)
また、前記式(1)のnの平均値mは1超5以下であることが好ましい。
また、前記式(1)のAが、下記式(A−1)〜(A−15)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2020087831
(前記、Mは金属イオンであり、破線は上記繰り返し単位の末端酸素原子との結合位置を示す。)
さらに、前記式(1)のAが、前記式(A−1)〜(A−4)及び(A−9)〜(A−13)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
また、前記式(1)のR及びRの少なくとも1つが、不飽和結合を有する基であることが好ましい。
また、上記(I)〜(III)の総量に対し、上記(III)の含有量が0.005〜7.0質量%であることが好ましい。
また、上記非水電解液において、さらに環状シロキサン化合物を含んでいてもよい。
また、前記非水電解液において、上記環状シロキサン化合物が、下記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2020087831
また、本発明は、上記の非水電解液と、正極と、負極と、セパレータと、を含む非水電解液電池である。
また、本発明は、非水電解液電池用の電解液の製造方法であって、
(I)非水溶媒と、
(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、
(IV)下記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、
を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液を、
前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)の一部又は全部を分解せしめる工程を含む、非水電解液の製造方法を提供することができる。
Figure 2020087831
前記加熱が、30〜60℃の温度範囲において行われることが好ましい。
前記溶質が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、及びテトラフルオロホウ酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明は、(I)非水溶媒と、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、(IV)下記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液である前駆電解液を用いて、当該前駆電解液と、正極と、負極と、セパレータと、を含む非水電解液電池を組み立て、当該電池中の前駆電解液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)の一部又は全部を分解せしめる工程を含む、非水電解液電池の製造方法である。
Figure 2020087831
本発明により、高温(60℃以上)における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上させることができる非水電解液及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書の「発明を実施するための形態」の欄において、「[」及び「]」、「〔」及び「〕」、「<」及び「>」で表示する事項は、単なる記号であって、それ自体に意味を有しない。
以下、次の順で説明を行う。
1.非水電解液
1−1.(III) 式(1)で表される鎖状シロキサン化合物
1−2.(I)非水溶媒及び(II)溶質
1−3.環状シロキサン化合物
1−4.その他の添加剤
1−5.式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の製造方法
2.非水電解液電池
3.非水電解液の製造方法及び非水電解液電池の製造方法
1.非水電解液
本発明の非水電解液は、
非水電解液電池用の電解液であって、
(I)非水溶媒と、
(II)溶質と、
(III)式(1)で表される鎖状シロキサン化合物と、
を含む。
1−1.(III) 式(1)で表される鎖状シロキサン化合物
本発明の非水電解液の構成要素の中でも、上記(III)の成分を含むことが特に重要である。当該成分を有する非水電解液電池は、高温(60℃以上)における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上させることができる。この理由は明確ではないが、前述の通り、以下のように推察する。ただし、本発明はここに記載する効果に限定されるものではない。
式(1)で表される鎖状シロキサン化合物は、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子が、「リン原子又はホウ素原子を含む基」である特異的な構造である。該鎖状シロキサン化合物を非水電解液に添加することによって、負極表面にイオン伝導性が高く低抵抗で安定な被膜が形成すると思われる。これは、(−Si−O−)で表されるシロキサン構造の寄与もあるが、式(1)における「リン原子又はホウ素原子を含む基」による寄与が大きいためと考えている。この「リン原子又はホウ素原子を含む基」は、被膜におけるイオン伝導性を向上し、かつ、抵抗を下げることを可能にしていると思われる。中でも、式(1)における「リン原子又はホウ素原子を含む基」が塩構造を採るとき、すなわちAが前記式(A−1)〜(A−4)及び(A−9)〜(A−13)からなる群より選ばれる少なくとも1種であるとき、さらにイオン伝導性を向上し、かつ、抵抗を下げることができ、ことさら好ましい態様であると思われる。その結果、高温における長期サイクル後であっても、容量維持率を向上できるものと考えている。
前記式(1)のAは、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子がリン原子又はホウ素原子である基である。
前記式(1)のAが、前記式(A−1)〜(A−15)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。中でも、前記式(1)は、Aが二種以上の構造を採る混合物であることが好ましい。
前記式(1)のAが、前記式(A−1)〜(A−4)及び(A−9)〜(A−13)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。中でも、前記式(1)は、Aが二種以上の構造を採る混合物であることが好ましい。
前記式(A−1)〜(A−15)において、Mは金属イオンであり、リチウムイオンやナトリウムイオン、カリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、四級アンモニウムイオンなどが挙げられる。Mはこれらの金属イオンのうち一種類であってもよく、二種類以上の混合であっても良い。中でも、Mはリチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、四級アルキルアンモニウムイオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオンがより好ましく、リチウムイオンが特に好ましい。
式(1)におけるR及びRのうち、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基、アルキニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状であってよい。以下、それぞれの基の具体例を記載する。
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを挙げることができる。中でも、合成上の容易性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、1−メチルプロポキシ基、2−メチルプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、1−メチルブトキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、n−ヘキソキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ヘキサフルオロイソプロポキシ基などが挙げられる。中でもメトキシ基、エトキシ基、ヘキサフルオロイソプロポキシ基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロポキシ基がより好ましい。
炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。中でも、電極表面でより良好な被膜が形成できることから、ビニル基、アリル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
炭素数2〜10のアルケニルオキシ基としては、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基、シクロヘキセニルオキシ基などが挙げられる。中でも、電極表面でより良好な被膜が形成できることから、ビニルオキシ基、アリルオキシ基が好ましい。
炭素数2〜10のアルキニル基としては、エチニル基やプロピニル基などが挙げられ、中でも、電極表面でより良好な被膜が形成できることから、エチニル基が好ましい。
炭素数2〜10のアルキニルオキシ基としては、エチニルオキシ基やプロピニルオキシ基などが挙げられる。中でも、電極表面でより良好な被膜が形成できることから、エチニルオキシ基が好ましい。
炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、m−トリフルオロメチルフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ビストリフルオロメチルフェニル基、2,4−ビストリフルオロメチルフェニル基、2,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、2,6−ビストリフルオロメチルフェニル基、3,4−ビストリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヨードフェニル基などを挙げることができる。中でも、フェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ビフェニルオキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、p−ヒドロキシフェニルオキシ基、p−メトキシフェニルオキシ基、メシチルオキシ基、3,5−キシリルオキシ基、o−フルオロフェニルオキシ基、m−フルオロフェニルオキシ基、p−フルオロフェニルオキシ基、o−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、m−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、p−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルオキシ基、p−クロロフェニルオキシ基、p−ブロモフェニルオキシ基、p−ヨードフェニルオキシ基などを挙げることができる。
中でも、式(1)におけるR及びRの少なくとも1つが、不飽和結合を有する基であることが特に好ましい。すなわち、ビニル基であることが、殊更電極表面でより良好な被膜が形成できることから、特に好ましい。
前記式(1)のnは、繰り返し単位の数を表し、1〜10の整数である。中でも、前記式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の製造において、使用する原料の入手容易性の観点から、nは1〜5であることが好ましい。
前記式(1)のnの平均値mは1超5以下であることが好ましい。中でも、mが大きいと容量維持率の向上効果が大きいことから、mは2以上5以下の範囲であることが好ましく、3以上5以下の範囲であることがより好ましい。mが1以下である場合、電極表面で被膜形成が不十分となる傾向があり、容量維持率の向上効果は得られにくくなる。また、mが5より大きいと、電極表面で形成する被膜の抵抗が上昇する傾向があり、結果として長期サイクル後の内部抵抗が上がりやすくなる。
平均値mの算出方法は、算術平均であり、すなわち、各データの値の合計を、データ総数で除することで算出する。
式(1)で表される鎖状シロキサン化合物は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を任意の組合せで任意の比率で混合して用いても良い。式(1)におけるAが、二種類以上である混合物を用いることが特に好ましい。
前記(I)〜(III)の総量100質量%に対し、前記(III)の含有量が0.005〜7.0質量%であることが好ましい。前記範囲とすることで、60℃以上の高温における長期サイクル後の容量維持率をさらに向上させたうえで、内部抵抗の上昇を抑制し易い。
長期サイクル後の内部抵抗の上昇抑制効果の観点から、上記の含有量範囲の上限は3.0質量%が特に好ましい。上記の含有量の下限は、長期サイクル後の容量維持率のさらなる向上の観点から0.03質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。
1−2.(I)非水溶媒及び(II)溶質
(I)非水溶媒としては、後述する(II)溶質及び(III)式(1)で表される鎖状シロキサン化合物を溶解できる非水溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、イミド類、スルホン化合物、スルホキシド化合物、イオン液体などが使用できる。中でも、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン化合物、スルホキシド化合物及びイオン液体からなる群より選ばれる少なくとも1つの非水溶媒であることが好ましい。また、単一の溶媒でもよいし、二種類以上の混合溶媒でもよい。
非水溶媒の具体例としては、エチルメチルカーボネート(以下「EMC」とも記載する)、ジメチルカーボネート(以下「DMC」とも記載する)、ジエチルカーボネート(以下「DEC」とも記載する)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチレンカーボネート(以下「EC」とも記載する)、プロピレンカーボネート(以下「PC」とも記載する)、ブチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどを挙げることができる。
また、非水溶媒が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましい。環状カーボネートの例としては、EC、PCなどを挙げることができ、鎖状カーボネートの例としては、EMC、DMC、DEC、メチルプロピルカーボネートなどを挙げることができる。
溶質の媒体として、非水溶媒を用いれば一般に非水電解液と呼ばれ、ポリマーを用いれば、ポリマー固体電解質と呼ばれるものになる。ポリマー固体電解質には可塑剤として非水溶媒を含有するものも含まれる。
なお、この非水電解液と、リチウムイオンやナトリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンが可逆的に挿入−脱離可能な負極材料と、リチウムイオンやナトリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンが可逆的に挿入−脱離可能な正極材料を用いる電気化学デバイスを非水電解液電池と呼ぶ。
本発明の非水電解液を利用してポリマー固体電解質を作製する場合、用いるポリマーとしては、上記の(II)及び(III)成分を溶解できるポリマーであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖又は側鎖に持つポリマー、ポリビニリデンフロライドのホモポリマー又はコポリマー、メタクリル酸エステルポリマー、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらのポリマーには、例えば可塑剤として上記の非水溶媒が含まれる場合がある。
溶質は特に限定されず、任意のカチオンとアニオンの対からなる塩を用いることができる。具体例としては、カチオンとしてリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、四級アンモニウムイオンなどが挙げられ、アニオンとして、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられる。これらの溶質は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組合せ、比率で混合して用いても良い。中でも、電池としてのエネルギー密度、出力特性、寿命等から考えると、カチオンはリチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、四級アルキルアンモニウムイオンが好ましく、アニオンはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンが好ましい。
より具体的には、上記溶質が、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)、及びテトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF)からなる群より選ばれる少なくとも1つの溶質であることがより好ましい。中でも、LiPF又はLiBFであることが特に好ましい。
前記(I)〜(III)の総量100質量%に対し、前記(II)溶質の濃度は、特に制限はないが、下限は0.5mol/L以上、好ましくは0.7mol/L以上、さらに好ましくは0.9mol/L以上であり、また、上限は5.0mol/L以下、好ましくは4.0mol/L以下、さらに好ましくは2.0mol/L以下の範囲である。0.5mol/Lを下回るとイオン伝導度が低下することにより非水電解液電池の長期サイクル特性、出力特性が低下し、一方、5.0mol/Lを超えると非水電解液の粘度が上昇することにより、イオン伝導度を低下させ、非水電解液電池の長期サイクル特性、出力特性を低下させる恐れがある。
本発明の溶質を上記非水溶媒に溶解する操作において、非水溶媒の液温が40℃を超えないようにすることが、非水溶媒及び溶質の劣化防止の観点から有効である。溶質が溶解する際に、該溶質が系内の水分と反応、分解することによるフッ化水素(HF)などの遊離酸の生成を抑制でき、結果として非水溶媒の分解も抑制することが可能となるためである。また、溶質を少量ずつ加えて溶解、調合することも、HFなどの遊離酸の生成を抑制する観点から有効である。
例えば、非水溶媒中にまず溶質の総量の10〜35質量%の範囲を加えて溶解した後、次いで、更に溶質の総量の10〜35質量%の範囲を加えて、溶解する操作を2〜9回実施し、最後に、残った溶質の全量を徐々に加えて溶解するとともに、上記の溶解操作を液温が40℃を超えないように保って行うことが好ましい。
1−3.環状シロキサン化合物
本発明の非水電解液は、さらに環状シロキサン化合物を含んでいてもよい。
環状シロキサン化合物は、前記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。中でも、ケイ素原子の置換基は、不飽和結合を有する基であることが、電極表面でより良好な被膜が形成できることから好ましく、前記式(1−3)、前記式(1−6)、前記式(1−9)であることが特に好ましい。
環状シロキサン化合物は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を混合して用いても良い。
環状シロキサン化合物は、市販品(例えば、東京化成工業株式会社品、富士フイルム和光純薬株式会社品、シグマアルドリッチジャパン社品)を用いても良いし、公知の出発物質から公知の化学反応によって製造することもできる。調達容易性の観点から市販品を用いることが好ましい。
前記非水電解液を総量100質量%として、環状シロキサン化合物の含有量は、0.01〜5.0質量%であってもよい。前記環状シロキサン化合物を含有することで長期サイクル後の容量維持率を向上させる場合があるため、上記の含有量範囲の上限は2.0質量%であってもよく、下限は、0.05質量%以上であってもよく、0.2質量%以上であってもよい。
環状シロキサン化合物は、前記(I)〜(III)を含む本発明の非水電解液を調製する際に添加することで含有させることもできるし、後述する「1−5.式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の製造方法」で未反応の原料として残存することで本発明の非水電解液に含有させることもできるし、あるいは、その両方であってもよい。中でも、環状シロキサン化合物は、本発明の非水電解液を調製する際に添加することで含有させることが好ましい。上記の非水電解液の環状シロキサンの「含有量」とは、「添加量」及び/又は反応後の「残存量」のことを意味する。
1−4.その他の添加剤
本発明の要旨を損なわない限りにおいて、本発明の非水電解液に一般に用いられる添加剤を任意の比率で添加しても良い。具体例としては、下記式(2−1)〜(2−12)で示されるようなカーボネート化合物、4−フルオロビフェニル、フルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、ジフルオロアニソール、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、ジメチレンメタンジスルホネート、トリメチレンメタンジスルホネート、環状ホスファゼン化合物、芳香族化合物等の過充電防止効果、負極被膜形成効果、正極保護効果を有する化合物が挙げられる。また、ポリマー電池と呼ばれる非水電解液電池に使用される場合のように非水電解液をゲル化剤や架橋ポリマーにより擬固体化して使用することも可能である。
Figure 2020087831
1−5.式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の製造方法
式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の製造方法として、殊更好ましい態様を2つ挙げることができ、以下に説明する。
態様1:式(1)で表される鎖状シロキサン化合物は、(I)非水溶媒と、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、(IV)前述の環状シロキサン化合物と、を含む溶液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより該環状シロキサン化合物の一部又は全部を分解せしめることで製造することができる。
態様1で得られる鎖状シロキサン化合物を、別途調製する(I)非水溶媒と、(II)溶質と、を含む溶液に加えることで、本発明の非水電解液を製造することができる。
後述するように、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質の分解によって生じるフッ化水素(HF)と、(IV)環状シロキサン化合物との反応によって、鎖状シロキサン化合物が生成される。なお、生成した鎖状シロキサン化合物と、別途、規定量添加する(II)溶質の分解物との反応は、無視できる程度の微量である。そのため、特許文献5の段落[0006]に記載のような、溶質の濃度変化により電池性能へ悪影響を与えることはない。
態様2:式(1)で表される鎖状シロキサン化合物は、(I)非水溶媒と、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、(IV)前述の環状シロキサン化合物と、を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液である前駆電解液を用いて、後述する「2.非水電解液電池」を作製後、当該電池中の前駆電解液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより該環状シロキサン化合物の一部又は全部を分解せしめることで製造することができる。
態様2で得られる鎖状シロキサン化合物を含む非水電解液電池は、本発明の非水電解液電池としてそのまま使用することができる。このとき、前記(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲であれば、特許文献5の段落[0006]に記載のような、溶質の濃度変化による電池性能への悪影響は、無視できる程度の微量であることがわかった。そのため、態様2では、前記(IIa)/(IV)の重量比を、10〜500の範囲とすることが重要である。中でも、前記(IIa)/(IV)の重量比の下限が、15以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましい。
用いる(I)非水溶媒としては、前述の「1−2.(I)非水溶媒及び(II)溶質」で挙げた非水溶媒の内容を再びここで挙げることができ、具体例についても同様である。中でも、非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質としては、任意のカチオンと、フッ素原子とリン原子を有するアニオン及びフッ素原子とホウ素原子を有するアニオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオンとの対からなる塩を用いることができる。具体例としては、カチオンとしてリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、四級アンモニウムイオンなどが挙げられ、フッ素原子とリン原子を有するアニオン及びフッ素原子とホウ素原子を有するアニオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオンとして、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンなどが挙げられる。これらの溶質は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組合せ、比率で混合して用いても良い。中でも、電池としてのエネルギー密度、出力特性、寿命等から考えると、カチオンはリチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、四級アルキルアンモニウムイオンが好ましく、アニオンはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンが好ましい。中でも、溶質が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、及びテトラフルオロホウ酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらに、LiPF又はLiBFであることが特に好ましい。
環状シロキサン化合物としては、前述の「1−3.環状シロキサン化合物」に挙げた内容を再びここで挙げることができる。
環状シロキサン化合物の好適な含有量は、態様1と態様2で異なる。
態様1で鎖状シロキサン化合物を製造する際の前記(I)、(IIa)、(IV)を含む溶液中の(IV)環状シロキサン化合物の含有量は、前記溶液の総量100質量%に対して、0.01〜5.0質量%であることが好ましい。前記の含有量範囲の上限は、2.0質量%が特に好ましく、前記の含有量の下限は、0.2質量%以上であることが特に好ましい。
態様2の環状シロキサン化合物の含有量は、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲であればよく、前記溶液(前駆電解液)を総量100質量%として、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。前記の含有量範囲の上限は、1.0質量%が特に好ましく、前記の含有量の下限は、0.2質量%以上であることが特に好ましい。
(I)非水溶媒、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質、(IV)環状シロキサン化合物に含有される水分の総量としては、市販されている前記(I)、(IIa)、又は(IV)に、通常含まれる水分の総量であればよく、中でも、非水電解液電池用として入手可能なものは、その水分の総量のことである。具体的には、1,000質量ppm以下であり、水分の総量がこの範囲であれば、別途水分を添加してもよい。
加熱する温度は、通常、30℃以上60℃以下であり、40℃以上60℃以下であることが好ましい。加熱する温度が60℃を超える場合、溶質の分解が促進されすぎてしまい副反応が多く生じる傾向があり、加熱する温度が30℃未満の場合は、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の生成が不十分となる傾向がある。
加熱する時間は、通常、1時間以上30日間以下であり、2時間以上20日間以下であることが好ましく、3時間以上10日間以下であることがより好ましい。加熱する時間が30日間を超える場合、溶質の分解が促進されすぎてしまい副反応が多く生じることで、式(1)で表される鎖状シロキサンの繰り返し単位の数nの平均値が1以下となる傾向があり、本発明の長期サイクル後の容量維持率の向上効果が得られにくい。加熱する時間が1時間未満の場合は、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の生成が不十分となる傾向がある。ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、環状シロキサン化合物の消失を確認するまで加熱することが好ましい。加熱する間、上記溶液を攪拌してもよい。
この態様によって、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物が製造できる化学反応のメカニズムは明確ではないが、以下のように推察する。ただし、本発明はここに記載する内容に限定されるものではない。
本発明で用いられるフッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質は、非水溶媒又は前述の環状シロキサン化合物に含有される水分によって分解する。例えば、本発明の好ましい溶質として挙げたLiPFは、水分によって分解し、さらに、30℃以上の加熱により当該分解は促進することが知られている。この分解によって発生するフッ化水素(HF)と、環状シロキサン化合物の1つのケイ素原子とが反応することで開環し、(−Si−O−)で表される鎖状構造となり、さらに、溶質の分解物と、鎖状の1つの末端(この段階では末端構造は水酸基であると考えられる)とが反応することで、上記鎖状シロキサン化合物が生成すると考えられる。このようにして、上記鎖状シロキサン化合物は、繰り返し単位の末端ケイ素原子に結合する原子がフッ素原子であり、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子が「リン原子又はホウ素原子を含む基」となる構造を採ると思われる。ただ、溶質の分解物は、単一な化合物ではなく複数の化合物が混合としていると思われる。そのため、本発明の特徴である、式(1)におけるAも同様に、「1−1.(III) 式(1)で表される鎖状シロキサン化合物」で例示したAの構造の通り、単一な構造ではなく複数の構造を採ると考えられる。
また、生成した上記鎖状シロキサン化合物が、LiPFの分解によって発生するフッ化水素(HF)と、さらに反応することもあり、その場合は(−Si−O−)で表される鎖状構造が一部切れ、式(1)におけるnが複数の整数を採る混合物となる。すなわち、この態様によって、製造される上記鎖状シロキサン化合物は、一種類単独ではなく、式(1)におけるAが、少なくとも二種類以上である混合物であると思われる。
2.非水電解液電池
本発明の非水電解液電池は、少なくとも、(ア)上記の非水電解液と、(イ)正極と、(ウ)負極と、(エ)セパレータと、を含む。さらには、外装体等を含むことが好ましい。
〔(イ)正極〕
(イ)正極は、少なくとも1種の酸化物及び/又はポリアニオン化合物を正極活物質として含むことが好ましい。
[正極活物質]
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(イ)正極を構成する正極活物質は、充放電が可能な種々の材料であれば特に限定されるものでないが、例えば、(A)ニッケル、又はニッケルに加えてマンガン、コバルト、アルミニウムからなる群から選ばれる一つ以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、(B)スピネル構造を有するニッケル含有リチウムマンガン複合酸化物、(C)リチウム含有オリビン型ニッケル含有リン酸塩、及び(D)層状岩塩型構造を有するニッケル含有リチウム過剰層状遷移金属酸化物から少なくとも1種を含有するものが挙げられ、中でも上記(A)〜(D)のいずれか1種を含有する場合が多い。
((A)リチウム遷移金属複合酸化物)
正極活物質(A)ニッケル、又はニッケルに加えてマンガン、コバルト、アルミニウムからなる群から選ばれる一つ以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物等が挙げられる。また、これらリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、B、Ba、Y、Sn等の他の元素で置換したものを用いても良い。
リチウム・ニッケル複合酸化物の具体例としては、LiNiOやMg、Zr、Al、Ti等の異種元素を添加したニッケル酸リチウム、LiNiO粒子粉末の粒子表面の一部に酸化アルミニウムが被覆したものを用いても良い。
リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物及びニッケル・コバルトの一部をAlなどで置換した複合酸化物については、式[3−1]で示される。
LiNi1−b−cCo [3−1]
式[3−1]中、MはAl、Fe、Mg、Zr、Ti、Bからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、aは0.9≦a≦1.2であり、b、cは、0.1≦b≦0.3、0≦c≦0.1の条件を満たす。
これらは、例えば、特開2009−137834号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。具体的には、LiNi0.8Co0.2、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.87Co0.10Al0.03、LiNi0.6Co0.3Al0.1等が挙げられる。
リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物の具体例としては、LiNi0.5Mn0.5等が挙げられる。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物及びニッケル・マンガン・コバルトの一部をAlなどで置換した複合酸化物としては、式[3−2]で示されるリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
LiNiMnCo [3−2]
式[3−2]中、MはAl、Fe、Mg、Zr、Ti、B、Snからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、dは0.9≦d≦1.2であり、e、f、g及びhは、e+f+g+h=1、0≦e≦0.7、0≦f≦0.5、0≦g≦0.5、及びh≧0の条件を満たす。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物は、構造安定性を高め、リチウム二次電池における高温での安全性を向上させるためにマンガンを式[3−2]に示す範囲で含有するものが好ましく、特にリチウムイオン二次電池の高率特性を高めるためにコバルトを式[3−2]に示す範囲でさらに含有するものがより好ましい。
具体的には、例えば4.3V以上に充放電領域を有する、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O、Li[Ni0.45Mn0.35Co0.2]O、Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]O、Li[Ni0.6Mn0.2Co0.2]O、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Zr0.01]O、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Mg0.01]O等が挙げられる。
((B)スピネル構造を有するニッケル含有リチウムマンガン複合酸化物)
正極活物質(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、式[3−3]で示されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。
Li(Mn2−k )O [3−3]
式[3−3]中、MはNiを含み、それ以外にCo、Fe、Mg、Cr、Cu、Al及びTiからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含んでも良い。jは1.05≦j≦1.15であり、kは0<k≦0.20である。
具体的には、例えば、LiMn1.9Ni0.1、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
((C)オリビン型ニッケル含有リチウムリン酸塩)
正極活物質(C)オリビン型リチウムリン酸塩としては、例えば式[3−4]で示されるものが挙げられる。
LiFe1−n PO [3−4]
式[3−4]中、MはNiを含み、それ以外にCo、Mn、Cu、Zn、Nb、Mg、Al、Ti、W、Zr及びCdから選ばれる少なくとも1つであり、nは、0<n≦1である。
具体的には、例えば、LiNiPO等が挙げられる。
((D)ニッケル含有リチウム過剰層状遷移金属酸化物)
正極活物質(D)層状岩塩型構造を有するニッケル含有リチウム過剰層状遷移金属酸化物としては、例えば式[3−5]で示されるものが挙げられる。
xLiM・(1−x)Li [3−5]
式[3−5]中、xは、0<x<1を満たす数であり、Mは、平均酸化数が3である少なくとも1種以上の金属元素であり、Mは、平均酸化数が4である少なくとも1種の金属元素である。式[3−5]中、Mは、好ましくは3価のMn、Ni、Co、Fe、V、Crから選ばれてなる1種の金属元素であるが、2価と4価の等量の金属で平均酸化数を3価にしてもよい。
また、式[3−5]中、Mは、好ましくはMn、Zr、Tiから選ばれてなる1種以上の金属元素である。なお、M、Mのどちらかに必ずニッケルが含まれる。具体的には、0.5[LiNi0.5Mn0.5]・0.5[LiMnO]、0.5[LiNi1/3Co1/3Mn1/3]・0.5[LiMnO]、0.5[LiNi0.375Co0.25Mn0.375]・0.5[LiMnO]、0.5[LiNi0.375Co0.125Fe0.125Mn0.375]・0.5[LiMnO]、0.45[LiNi0.375Co0.25Mn0.375]・0.10[LiTiO]・0.45[LiMnO]等が挙げられる。
この式[3−5]で表される正極活物質(D)は、4.4V(Li基準)以上の高電圧充電で高容量を発現することが知られている(例えば、米国特許第7,135,252号明細書)。
これら正極活物質は、例えば特開2008−270201号公報、国際公開第2013/118661号、特開2013−030284号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
正極活物質としては、主成分として上記(A)〜(D)から選ばれる成分を含有し、当該正極活物質に含まれる金属中のニッケル含有量が30〜100質量%であれば好ましいが、それ以外に含まれるものとしては、例えばFeS、TiS、TiO、V、MoO、MoS等の遷移元素カルコゲナイド、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が挙げられる。
[正極集電体]
(イ)正極は、正極集電体を有する。正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
[正極活物質層]
(イ)正極は、例えば正極集電体の少なくとも一方の面に正極活物質層が形成される。正極活物質層は、例えば、前述の正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)、フッ素化黒鉛等の炭素材料を用いることができる。正極においては、結晶性の低いアセチレンブラックやケッチェンブラックを用いることが好ましい。
〔(ウ)負極〕
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、リチウム金属、リチウム金属と他の金属との合金や金属間化合物、種々の炭素材料(人造黒鉛、天然黒鉛など)、金属酸化物、金属窒化物、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、活性炭、導電性ポリマー等が用いられる。
炭素材料とは、例えば、易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素(ハードカーボン)や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解性炭素、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類にはピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵及び放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。また、非晶質炭素や非晶質炭素を表面に被覆した黒鉛材料は、材料表面と電解液との反応性が低くなるため、より好ましい。
(ウ)負極は、少なくとも1種の負極活物質を含むことが好ましい。
[負極活物質]
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(ウ)負極を構成する負極活物質としては、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能なものであり、例えば(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料、(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料、(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物、(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金、及び(I)リチウムチタン酸化物から選ばれる少なくとも1種を含有するものが挙げられる。これら負極活物質は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組合せて用いることもできる。
((E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料)
負極活物質(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料としては、例えば熱分解炭素類、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは黒鉛化したものでもよい。当該炭素材料は、X線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下のものであり、中でも、その真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が好ましい。
((F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料)
負極活物質(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料としては、非晶質炭素が挙げられ、これは、2000℃以上の高温で熱処理してもほとんど積層秩序が変化しない炭素材料である。例えば難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、1500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)等が例示される。株式会社クレハ製のカーボトロン(登録商標)P等は、その代表的な事例である。
((G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物)
負極活物質(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物としては、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な、例えば酸化シリコン、酸化スズ等が挙げられる。
Siの超微粒子がSiO中に分散した構造を持つSiO等がある。この材料を負極活物質として用いると、Liと反応するSiが超微粒子であるために充放電がスムーズに行われる一方で、上記構造を有するSiO粒子自体は表面積が小さいため、負極活物質層を形成するための組成物(ペースト)とした際の塗料性や負極合剤層の集電体に対する接着性も良好である。
なお、SiOは充放電に伴う体積変化が大きいため、SiOと上述負極活物質(E)の黒鉛とを特定比率で負極活物質に併用することで高容量化と良好な充放電サイクル特性とを両立することができる。
((H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金)
負極活物質(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金としては、例えばシリコン、スズ、アルミニウム等の金属、シリコン合金、スズ合金、アルミニウム合金等が挙げられ、これらの金属や合金が、充放電に伴いリチウムと合金化した材料も使用できる。
これらの好ましい具体例としては、国際公開第2004/100293号や特開2008−016424号公報等に記載される、例えばケイ素(Si)、スズ(Sn)等の金属単体(例えば粉末状のもの)、該金属合金、該金属を含有する化合物、該金属にスズ(Sn)とコバルト(Co)とを含む合金等が挙げられる。当該金属を電極に使用した場合、高い充電容量を発現することができ、かつ、充放電に伴う体積の膨張・収縮が比較的少ないことから好ましい。また、これらの金属は、これをリチウムイオン二次電池の負極に用いた場合に、充電時にLiと合金化するため、高い充電容量を発現することが知られており、この点でも好ましい。
さらに、例えば国際公開第2004/042851号、国際公開第2007/083155号等に記載される、サブミクロン直径のシリコンのピラーから形成された負極活物質、シリコンで構成される繊維からなる負極活物質等を用いてもよい。
((I)リチウムチタン酸化物)
負極活物質(I)リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム等を挙げることができる。
スピネル構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li4+αTi12(αは充放電反応により0≦α≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。また、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li2+βTi(βは充放電反応により0≦β≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。これら負極活物質は、例えば特開2007−018883号公報、特開2009−176752号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、負極活物質としてハードカーボンやTiO、V、MoO等の酸化物等が用いられる。例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、正極活物質としてNaFeO、NaCrO、NaNiO、NaMnO、NaCoO等のナトリウム含有遷移金属複合酸化物、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物のFe、Cr、Ni、Mn、Co等の遷移金属が複数混合したもの、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、NaFeP、NaCo(PO等の遷移金属のリン酸化合物、TiS、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
[負極集電体]
(ウ)負極は、負極集電体を有する。負極集電体としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
[負極活物質層]
(ウ)負極は、例えば負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が形成される。負極活物質層は、例えば、前述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)、フッ素化黒鉛等の炭素材料を用いることができる。
〔電極((イ)正極及び(ウ)負極)の製造方法〕
電極は、例えば、活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを所定の配合量でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶媒中に分散混練し、得られたペーストを集電体に塗布、乾燥して活物質層を形成することで得ることができる。得られた電極は、ロールプレス等の方法により圧縮して、適当な密度の電極に調節することが好ましい。
〔(エ)セパレータ〕
上記の非水電解液電池は、(エ)セパレータを備える。(イ)正極と(ウ)負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、セルロース、紙、又はガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化されているものが好ましい。
ポリオレフィンセパレータとしては、例えば多孔性ポリオレフィンフィルム等の微多孔性高分子フィルムといった正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が挙げられる。多孔性ポリオレフィンフィルムの具体例としては、例えば多孔性ポリエチレンフィルム単独、又は多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンフィルムとを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。また、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとを複合化したフィルム等が挙げられる。
〔外装体〕
非水電解液電池を構成するにあたり、非水電解液電池の外装体としては、例えばコイン型、円筒型、角型等の金属缶や、ラミネート外装体を用いることができる。金属缶材料としては、例えばニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が挙げられる。
ラミネート外装体としては、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、SUS製ラミネートフィルム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルム等を用いることができる。
本実施形態にかかる非水電解液電池の構成は、特に制限されるものではないが、例えば、正極及び負極が対向配置された電極素子と、セパレータと、非水電解液とが、外装体に内包されている構成とすることができる。非水電解液電池の形状は、特に限定されるものではないが、以上の各要素からコイン状、円筒状、角形、又はアルミラミネートシート型等の形状の電気化学デバイスが組み立てられる。
3.非水電解液の製造方法及び非水電解液電池の製造方法
本発明の非水電解液及び非水電解液電池の製造方法について説明する。非水電解液及び非水電解液電池の製造方法は、特に限定されず、一般的な方法により行うことができる。ただし、殊更好ましい態様として、下記の方法を挙げることができる。
本発明の非水電解液の製造方法は、(I)非水溶媒と、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、(IV)前記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)の一部又は全部を分解せしめる工程を含む。
また、本発明の非水電解液電池の製造方法は、(I)非水溶媒と、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、(IV)前記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液である前駆電解液を用いて、当該前駆電解液と、正極と、負極と、セパレータと、を含む非水電解液電池を組み立て、当該電池中の前駆電解液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)の一部又は全部を分解せしめる工程を含む。
(I)非水溶媒としては、前述の「1−2.(I)非水溶媒及び(II)溶質」で挙げた非水溶媒の内容を再びここで挙げることができ、具体例についても同様である。中でも、非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質としては、前述の「1−5.式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の製造方法」で挙げた溶質の内容を再びここで挙げることができ、具体例及び好ましい種類についても同様である。
(IV)環状シロキサン化合物は、「1−3.環状シロキサン化合物」で挙げた内容を再びここで挙げることができ、具体例及び好ましい種類についても同様である。
環状シロキサン化合物の含有量は、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲であればよく、前記溶液を総量100質量%として、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。前記の含有量範囲の上限は、1.0質量%が特に好ましく、前記の含有量の下限は、0.2質量%以上であることが特に好ましい。
(I)非水溶媒、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質、(IV)環状シロキサン化合物に含有される水分の総量としては、市販されている前記(I)、(IIa)、又は(IV)に、通常含まれる水分の総量であればよく、中でも、非水電解液電池用として入手可能なものは、その水分の総量のことである。具体的には、1,000質量ppm以下であり、水分の総量がこの範囲であれば、別途水分を添加してもよい。
加熱する温度は、通常、30℃以上60℃以下であり、40℃以上60℃以下であることが好ましい。加熱する温度が60℃を超える場合、溶質の分解が促進されすぎてしまい副反応が多く生じることで、式(1)で表される鎖状シロキサンの繰り返し単位の数nの平均値mが1以下となる傾向があり、本発明の長期サイクル後の容量維持率の向上効果が得られにくい。加熱する温度が30℃未満の場合は、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の生成が不十分となる傾向があり、容量維持率の向上効果が得られにくい。
加熱する時間は、通常、1時間以上30日間以下であり、2時間以上20日間以下であることが好ましく、3時間以上10日間以下であることがより好ましい。加熱する時間が30日間を超える場合、溶質の分解が促進されすぎてしまい副反応が多く生じることで、式(1)で表される鎖状シロキサンの繰り返し単位の数nの平均値mが1以下となる傾向があり、本発明の長期サイクル後の容量維持率の向上効果が得られにくい。加熱する時間が1時間未満の場合は、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の生成が不十分となる傾向があり、容量維持率の向上効果が得られにくい。加熱する間、上記溶液を攪拌してもよい。
また、当該加熱することにより分解せしめる工程は、前述するように前駆電解液を用いて非水電解液電池を作製後に実施してもよい。前駆電解液とは、(I)非水溶媒と、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、(IV)前記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液であり、該加熱することにより分解せしめる工程を実施していない電解液のことを意味する。
本発明の非水電解液電池の製造方法は、前述の非水電解液の製造方法を介して、前記非水電解液と、正極と、負極と、セパレータと、を含む構成から作製することができる。
正極、負極及びセパレータとしては、前述の「2.非水電解液電池」で挙げた内容を再びここで挙げることができ、具体例及び好ましい種類についても同様である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何ら制限を受けるものではない。
<式(1)で表される鎖状シロキサン化合物の合成方法>
以下に、本発明の式(1)で表される鎖状シロキサン化合物である化合物1〜9の合成方法を示す。いずれも原料や、生成物の取り扱いは露点が−50℃以下の窒素雰囲気下にて行った。
合成反応の分析は以下の通り行った。
各合成反応が完結したかどうか、すなわち環状シロキサン化合物が消失したことは、ガスクロマトグラフィー(検出器はFID)による測定で、用いた環状シロキサン化合物に対応するピークの消失により確認した。
式(1)におけるAは、19F−NMRによる測定で得られたピークのシフト位置によって構造を確認した。また、式(1)における繰り返し単位の数nの平均値mは、19F−NMRによる測定で得られたピークの積分比により算出した。
[合成例1−化合物1の合成]
(I)非水溶媒であるEMCに、(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質としてLiPFを含有量が1.0mol/Lとなるように溶解した。上記で得られた溶液(19.0g)に、環状シロキサン化合物として、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(1.0g、シグマアルドリッチジャパン社品)を溶解したところ、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は52ppmであった。得られた前記(I)、(IIa)、又は(IV)を含有する溶液を、所定の温度(45℃)で240時間(10日間)加熱し、当該環状シロキサン化合物を分解せしめることで、化合物1を得た。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.3であった。
[合成例2−化合物2の合成]
(I)非水溶媒をEMCからECに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は64ppmであった。得られた前記(I)、(IIa)、又は(IV)を含有する溶液を、19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.1である化合物2を得た。
[合成例3−化合物3の合成]
(I)非水溶媒をEMCからPCに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は62ppmであった。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.2である化合物3を得た。
[合成例4−化合物4の合成]
(I)非水溶媒をEMCからDECに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は58ppmであった。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.3である化合物4を得た。
[合成例5−化合物5の合成]
(I)非水溶媒をEMCからγ-ブチルラクトンに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は81ppmであった。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.1である化合物5を得た。
[合成例6−化合物6の合成]
(IIa)をLiPFからLiBFに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は55ppmであった。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−9)〜(A−15)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.8である化合物6を得た。
[合成例7−化合物7の合成]
(IIa)をLiPFからLiBFに替え、(I)非水溶媒をEMCからECに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は61ppmであった。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−9)〜(A−15)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.7である化合物7を得た。
[合成例8−化合物8の合成]
(IIa)をLiPFからLiBFに替え、(I)非水溶媒をEMCからPCに替えたこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は59ppmであった。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−9)〜(A−15)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.6である化合物8を得た。
[合成例9−化合物9の合成]
予め30℃に加熱して溶解させたECとEMCの(I)非水溶媒(体積比EC:EMC=1:2)に、液温を30℃に維持しながら(IIa)としてLiPFを含有量が1.0mol/Lとなるように溶解した。上記で得られた溶液(19.0g)に、環状化合物として、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(0.1g、シグマアルドリッチジャパン社品、非水電解液総量に対し0.5質量%に相当)を加えたところ、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は60ppmであった。得られた前記(I)、(IIa)、又は(IV)を含有する溶液を、所定の温度(45℃)で240時間加熱し、当該環状シロキサン化合物を分解せしめた。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、3.2である化合物9の生成を確認した。この溶液をそのまま非水電解液No.9−0.5として非水電解液電池の調製に用いた。
[比較合成例2−比較化合物2の合成]
所定の温度(45℃)で1,008時間(42日間)加熱したこと以外は、合成例1と同様の操作を行った。19F−NMR分析の結果、式(1)におけるAは、式(A−1)〜(A−8)の混合物(Mはリチウムイオン)であり、式(1)におけるnの平均値mは、0.7である比較化合物2を得た。
<表1に記載の各非水電解液の調製>
露点が−50℃以下の窒素雰囲気ドライボックス中で、合成例1〜9で得られた化合物1〜9を用いて、後述のように非水電解液No.1−0.5〜9−0.5を調製した。また比較化合物として、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(東京化成工業株式会社製)を用いて、非水電解液No.11−0.5を調製した。これらを表1にまとめた。
[実施例1−1]
予め30℃に加熱して溶解させたECとEMCの(I)非水溶媒(体積比EC:EMC=1:2)に、液温を30℃に維持しながら(II)溶質としてLiPFを含有量が1.0mol/リットルとなるように溶解し、(III)の化合物1を、(I)〜(III)の総量100質量%に対し、0.5質量%の含有量となるように溶解することにより、非水電解液No.1−0.5を調製した。
[実施例1−2〜1−8]
(III)の化合物を、化合物1から化合物2〜8に変更した以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、非水電解液No.2−0.5〜8−0.5を調製した。
[実施例1−9]
合成例9で得られた化合物9を含む溶液を、そのまま非水電解液No.9−0.5とした。
[比較例1−1]
(III)化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、非水電解液No.(0)−(0)を調製した。
[比較例1−2]
(III)化合物を、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(比較化合物1)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、非水電解液No.11−0.5を調製した。
[比較例1−3]
(III)化合物を、比較合成例2で得られた比較化合物2に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、非水電解液No.12−0.5を調製した。
Figure 2020087831
<表2に記載の各非水電解液の調製>
露点が−50℃以下の窒素雰囲気ドライボックス中で、合成例1で得られた化合物1を用いて非水電解液No.1−0.01〜1−10.0を調製した。
[実施例2−1〜2−8]
予め加熱して溶解させたECとEMCの非水溶媒(体積比EC:EMC=1:2)に、液温を30℃に維持しながら溶質としてLiPFを濃度が1mol/リットルになるように溶解し、(III)合成例1で得られた化合物1を、表2に記載の含有量となるように溶解し、電解液No.1−0.01〜1−10.0 を調製した。
[比較例2−1]
(III)化合物1を添加しなかったこと以外は、実施例2−1と同様の操作を行い、非水電解液No.(0)−(0)を調製した。
Figure 2020087831
<NMC正極の作製>
正極活物質としてLiNi6/10Mn2/10Co2/10(NMC)粉末を、アセチレンブラック(導電剤)と乾式混合し、これを、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を予め溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させて混合し、さらに粘度調整用NMPを加え、NMC合剤ペーストを調製した。このペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、所定のサイズに加工した試験用NMC正極を得た。正極中の固形分比率は、NMC:導電剤:PVDF=85:5:10(質量比)とした。
<黒鉛負極の作製>
負極活物質として黒鉛粉末を、結着剤であるPVDFを予め溶解させたNMP中に均一に分散させて混合し、さらに粘度調整用NMPを加え、黒鉛合剤ペーストを調製した。このペーストを銅箔(集電体)上に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、所定のサイズに加工した試験用黒鉛負極を得た。負極中の固形分比率は、黒鉛粉末:PVDF=90:10(質量比)とした。
<非水電解液電池の作製>
上記試験用NMC正極と、上記試験用黒鉛負極と、セルロース製セパレータとを備えるアルミラミネート外装セル(容量30mAh)に、表1及び表2に記載の非水電解液をそれぞれ含浸させ、実施例1−1〜1−9、2−1〜2−8及び比較例1−1〜1−3、2−1に係る非水電解液電池を得た。
<評価1> 60℃、500サイクル後の容量維持率(高温における長期サイクル後の耐久性)
実施例1−1〜1−9、実施例2−1〜2−8、比較例1−1〜1−3及び比較例2−1に係る非水電解液電池のそれぞれについて、以下の評価を実施した。
まず、作製したセルを用いて、25℃の環境温度で、以下の条件でコンディショニングを実施した。すなわち、初回充放電として、充電上限電圧4.3V、0.1Cレート(3mA)で定電流定電圧充電し、放電終止電圧3.0Vまで0.2Cレート(6mA)定電流で放電を行い、その後、充電上限電圧4.3V、0.2Cレート(6mA)で定電流定電圧充電し、放電終止電圧3.0Vまで0.2Cレート(6mA)定電流で放電を行う充放電サイクルを3回繰り返した。このときに得られる容量を初期放電容量(25℃)とした。
このコンディショニング後、60℃の環境温度での充放電試験を実施した。充電は、充電上限電圧4.3Vまで3Cレート(90mA)で定電流定電圧充電を実施し、放電は、放電終止電圧3.0Vまで3Cレート(90mA)定電流で放電を行う充放電サイクルを500回繰り返した。
続いて25℃まで非水系電解液二次電池を冷却し、再度3.0Vまで放電させた後に、25℃、0.2Cレートにて4.3Vまで定電流定電圧充電を実施した。さらに25℃のまま、放電は、放電終止電圧3.0Vまで0.2Cレート(6mA)での定電流で放電を行い、このときに得られる容量を、60℃、500サイクル後の放電容量とした。
そして、上述のように得られた初期放電容量と60℃500サイクル後の放電容量を用いて下記の式から60℃、500サイクル後の容量維持率を求めた。
60℃、500サイクル後の容量維持率[%]
=(60℃、500サイクル後の放電容量)×100/初期放電容量
<評価2> 60℃、500サイクル後の非水電解液電池の内部抵抗値測定(高温における長期サイクル後の内部抵抗)
上述評価1を実施後、25℃の状態で、再度3.0Vまで放電させた後に、25℃、0.2C(6mA)にて4.3Vまで定電流定電圧充電を実施した。その後、非水電解液電池を回路に接続し、25℃において内部抵抗を測定した。
なお、実施例1−1〜1−9、実施例2−1〜2−8、比較例1−1〜1−3及び比較例2−1に係る非水電解液電池の<評価1〜2>は、非水電解液No.(0)−(0)を用いた比較例の評価結果を100としたときの相対値として表3、表4に示す。
Figure 2020087831
Figure 2020087831
<表5に記載の各非水電解液の調製>
[実施例3−1]
予め30℃に加熱して溶解させたECとEMCの(I)非水溶媒(体積比EC:EMC=1:2)に、液温を30℃に維持しながら(II)溶質としてLiPFを含有量が1.0mol/リットルとなるように溶解し、(III)合成例1で得られた化合物1を、(I)〜(III)の総量100質量%に対し0.3質量%の含有量となるよう溶解し、さらに、(IV)環状シロキサン化合物として2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(シグマアルドリッチジャパン社品)を、非水電解液の総量100質量%に対し0.2質量%の含有量となるよう溶解することにより、非水電解液No.1−0.3−(1−6)−0.2を調製した。
[実施例3−2〜3−5]
(III)の化合物を、化合物1から化合物2〜5に変更した以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、非水電解液No.2−0.3−(1−6)−0.2〜No.5−0.3−(1−6)−0.2を調製した。
[実施例3−6]
予め30℃に加熱して溶解させたECとEMCの(I)非水溶媒(体積比EC:EMC=1:2)に、液温を30℃に維持しながら(IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質としてLiPFを含有量が1.0mol/リットルとなるように溶解し、(IV)環状シロキサン化合物として2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(シグマアルドリッチジャパン社品)を、非水電解液の総量100質量%に対し0.5質量%の含有量((IIa)/(IV)の重量比が30に相当)となるよう溶解したところ、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の総量は65ppmであった。このようにして、前記(I)、(IIa)、又は(IV)を含有する前駆電解液No.(1−6)−0.5を調製した。
[比較例3−1]
(III)の化合物及び環状シロキサン化合物を添加しなかったこと以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、非水電解液No.(0)−(0)を調製した。
[比較例3−2]
(III)の化合物を、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(比較化合物1)に変更した以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、非水電解液No.11−0.3−(1−6)−0.2を調製した。
Figure 2020087831
<非水電解液電池の作製>
上記試験用NMC正極と、上記試験用黒鉛負極と、セルロース製セパレータとを備えるアルミラミネート外装セル(容量30mAh)に、表5に記載の非水電解液をそれぞれ含浸させ、実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−2に係る非水電解液電池を得た。
実施例3−6では、上記で調製した前駆電解液No.(1−6)−0.5を、上記試験用NMC正極と、上記試験用黒鉛負極と、セルロース製セパレータとを備えるアルミラミネート外装セル(容量30mAh)に含浸させ、所定の温度(45℃)で240時間加熱し、(IV)当該環状シロキサン化合物を分解せしめることで、実施例3−6に係る非水電解液電池を得た。
Figure 2020087831
表3〜4から分かるように、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物を含まない比較例(例えば比較例1−1)及び式(1)で表される鎖状シロキサン化合物ではない1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(比較化合物1)を含む比較例(例えば比較例1−2)に対し、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物を有する非水電解液を用いた実施例(例えば実施例1−1)は、高温における長期サイクル後の容量維持率がより向上する結果を示した。
また、式(1)における繰り返し単位の数nの平均値mが1超5以下の範囲にはない鎖状シロキサン(比較化合物2)を含む比較例(例えば比較例1−3)では、高温における長期サイクル後の容量維持率の向上効果が小さいことが分かる。
実施例2−8に比べ、実施例2−1〜2−7では、内部抵抗の値がより低く抑えられている(内部抵抗の上昇が抑制される)。従って上記(III)の含有量が0.005〜7.0質量%であることが好ましいことが分かる。
同様に、実施例2−7に比べ、実施例2−1〜2−6では、内部抵抗の値がより低く抑えられている(内部抵抗の上昇が抑制される)。従って上記(III)の含有量の上限は、3.0質量%が特に好ましいことが分かる。
また、実施例2−1に比べ、実施例2−2〜2−7では、長期サイクル後の容量維持率がさらに向上されている。従って上記(III)の含有量の下限は、0.03質量%がより好ましいことが分かる。
同様に、実施例2−2に比べ、実施例2−3〜2−6では、長期サイクル後の容量維持率がさらに向上されている。従って上記(III)の含有量の下限は、0.1質量%が特に好ましいことが分かる。
以上のことから、長期サイクル後の容量維持率のさらなる向上効果と、内部抵抗の上昇抑制効果とを総合すると、(I)〜(III)の総量100質量%に対し、上記(III)の含有量は、0.1〜3.0質量%であることが特に好ましい。
また、表6から分かるように、式(1)で表される鎖状シロキサン化合物を有する電解液に、環状シロキサン化合物を加えた実施例(例えば実施例3−1)であっても、高温における長期サイクル後の容量維持率がさらに向上することを示した。
また、表6から分かるように、(IV)環状シロキサン化合物を有する前駆電解液を用いて非水電解液電池を組み立て、当該電池中の前駆電解液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)環状シロキサン化合物の一部又は全部を分解せしめた実施例(実施例3−6)であっても、高温における長期サイクル後の容量維持率がさらに向上することを示した。

Claims (14)

  1. 非水電解液電池用の電解液であって、
    (I)非水溶媒と、
    (II)溶質と、
    (III)式(1)で表される鎖状シロキサン化合物と、
    を含む非水電解液。
    Figure 2020087831
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリール基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、これらの基はヘテロ原子及び/又はハロゲン原子を有していてもよい。
    Aは、繰り返し単位の末端酸素原子に結合する原子がリン原子又はホウ素原子である基である。
    nは、1〜10の整数である。)
  2. 前記式(1)のnの平均値mが1超5以下である、請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記式(1)のAが、下記式(A−1)〜(A−15)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載の非水電解液。
    Figure 2020087831
    (前記、Mは金属イオンであり、破線は前記繰り返し単位の末端酸素原子との結合位置を示す。)
  4. 前記式(1)のAが、前記式(A−1)〜(A−4)及び(A−9)〜(A−13)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の非水電解液。
  5. 前記式(1)のR及びRの少なくとも1つが、不飽和結合を有する基である、請求項1〜4の何れか1項に記載の非水電解液。
  6. 前記(I)〜(III)の総量に対し、前記(III)の含有量が0.005〜7.0質量%である、請求項1〜5の何れか1項に記載の非水電解液。
  7. さらに環状シロキサン化合物を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の非水電解液。
  8. 前記環状シロキサン化合物が、下記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の非水電解液。
    Figure 2020087831
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の非水電解液と、
    正極と、
    負極と、
    セパレータと、
    を含む非水電解液電池。
  10. 非水電解液電池用の電解液の製造方法であって、
    (I)非水溶媒と、
    (IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、
    (IV)下記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、
    を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液を、
    前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)の一部又は全部を分解せしめる工程を含む、非水電解液の製造方法。
    Figure 2020087831
  11. 前記加熱が、30〜60℃の温度範囲において行われる、請求項10に記載の非水電解液の製造方法。
  12. 前記溶質が、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、及びテトラフルオロホウ酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項10または請求項11に記載の非水電解液の製造方法。
  13. 前記非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項10〜12の何れか1項に記載の非水電解液の製造方法。
  14. (I)非水溶媒と、
    (IIa)フッ素原子とリン原子を有する溶質及びフッ素原子とホウ素原子を有する溶質からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶質と、
    (IV)下記式(1−1)〜(1−9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状シロキサン化合物と、
    を含み、(IIa)/(IV)の重量比が、10〜500の範囲の溶液である前駆電解液を用いて、
    当該前駆電解液と、
    正極と、
    負極と、
    セパレータと、
    を含む非水電解液電池を組み立て、当該電池中の前駆電解液を、前記(I)、(IIa)、又は(IV)に含有される水分の存在下で加熱することにより前記(IV)の一部又は全部を分解せしめる工程を含む、非水電解液電池の製造方法。
    Figure 2020087831
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