以下、本発明の一実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
図1は、車両用灯具10の斜視図である。図2(a)は車両用灯具10の上面図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面図である。
図1及び図2に示す車両用灯具10は、ロービーム用配光パターンPLo(図9(a)参照)、又は、ロービーム用配光パターンPLo及びADB(Adaptive Driving Beam)用配光パターンPADBを含む合成配光パターン(図9(c)参照)を形成可能な車両用前照灯であり、車両(図示せず)の前端部の左側及び右側に搭載される。ロービーム用配光パターンPLo、ADB用配光パターンPADBは、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に形成される。なお、以下、説明の便宜のため、XYZ軸を定義する。X軸は車両前後方向に延びており、Y軸は車幅方向に延びており、Z軸は鉛直方向に延びている。
図3は、図1に示す車両用灯具10を、基準軸AXを含む水平面(X軸及びY軸を含む平面)で切断した断面図である。図4は、図1に示す車両用灯具10を、基準軸AXを含む鉛直面(X軸及びZ軸を含む平面)で切断した断面図である。図5は、車両用灯具10の分解斜視図である。
図3〜図5に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、ヒートシンク20、光源モジュール30、ホルダ40、導光レンズ体50(導光レンズ又はセパレータともいう)、プライマリレンズ60、リテーナ70、セカンダリレンズ80等を備える。車両用灯具10は、図示しないが、アウターレンズとハウジングとによって構成される灯室内に配置され、ハウジング等に取り付けられる。
図5に示すように、ヒートシンク20は、アルミダイキャスト製で、前面22aとその反対側の後面22bとを含むベース22を含む。
前面22aは、光源モジュール実装面22a1と、当該光源モジュール実装面22a1を取り囲む周囲面22a2と、を含む。
光源モジュール実装面22a1及び周囲面22a2は、例えば、Y軸及びZ軸を含む平面に対して平行な平面である。
光源モジュール実装面22a1には、光源モジュール30をネジ止め固定するために、ネジ穴22a5(図5中、3箇所)が設けられる。また、光源モジュール実装面22a1には、光源モジュール30を位置決めするために、位置決めピン22a6(図5中、2箇所)が設けられる。
周囲面22a2は、ホルダ40が当接するホルダ当接面22a3と、リテーナ70が当接するリテーナ当接面22a4と、を含む。
リテーナ当接面22a4は、周囲面22a2の左右両側にそれぞれ設けられる。
リテーナ当接面22a4と後面22bとの間の厚み(X軸方向の厚み)は、ホルダ当接面22a3と後面22bとの間の厚み(X軸方向の厚み)より厚く、段差部を構成している。
ベース22には、ネジN1が挿入されるネジ穴22c(図3中、2箇所)が設けられる。ネジ穴22cは、リテーナ当接面22a4と後面22bとを貫通している。
ベース22の左右両側には、それぞれ、当該ベース22の左右両側から後方(X軸方向)に向かって延びた第1延長部24が設けられる。第1延長部24の先端部には、側方(Y軸方向)に向かって延びた第2延長部26が設けられる。
ベース22の後面22bには、放熱フィン28が設けられる。
光源モジュール30は、複数のロービーム用光源32a及び複数のADB用光源32bと、複数のロービーム用光源32a、複数のADB用光源32b及びコネクタ34cが実装された基板34と、を含む。
図8(c)は、導光レンズ体50を透視した複数のロービーム用光源32a及び複数のADB用光源32bの正面図(透視図)である。
図8(c)に示すように、複数のロービーム用光源32aは、上段かつY軸方向に配置された形態で基板34に実装される。複数のADB用光源32bは下段かつY軸方向に配置された形態で基板34に実装される。
各々の光源32a、32bは、例えば、矩形(例えば、1mm角)の発光面を備えたLEDやLD等の半導体発光素子であり、各々の発光面を前方(正面)に向けた状態で基板34に実装される。図8(c)中の複数の矩形は、各々の光源32a、32bの発光面を表す。
基板34には、ヒートシンク20の位置決めピン22a6が挿入される貫通穴34a(図5中、2箇所)、ネジN2が挿入される切欠部S1(図5中、3箇所)が設けられる。
上記構成の光源モジュール30は、ヒートシンク20の位置決めピン22a6が基板34の貫通穴34aに挿入された状態で、切欠部S1に挿入されたネジN2をヒートシンク20のネジ穴22a5に螺合させることでヒートシンク20(光源モジュール実装面22a1)に固定される。
図3〜図5に示すように、ホルダ40は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、前方側が開口し、後方側が閉塞したカップ状のホルダ本体42を含む。
ホルダ本体42の前面42aは、導光レンズ体50の後面(上導光レンズ本体52の後面52b及び下導光レンズ本体53の後面53b)が面接触するように、当該導光レンズ体50の後面が反転した形状の面(後方に向かって凹の球状面)として構成される。
ホルダ本体42には、導光レンズ体50の第1導光部52d及び第2導光部53dが挿入される貫通穴42cが設けられる。
ホルダ本体42には、当該ホルダ本体42の外周部から後方(X軸方向)に向かって延びた筒状部44が設けられる。そして、筒状部44の先端部には、ヒートシンク20のホルダ当接面22a3に当接するフランジ部46が設けられる。
なお、ホルダ本体42(及び筒状部44)には、切欠部S4が設けられる。
ホルダ40の前方側開口端面40aには、凸部48と、凸部49と、が設けられる。
図6は、ヒートシンク20、光源モジュール30、ホルダ40及び導光レンズ体50を組み合わせた構造体の斜視図である。
図7は、導光レンズ体50の斜視図である。
図7に示すように、導光レンズ体50は、シリコン樹脂製で、前方側が開口し、後方側が閉塞したカップ状の部材である。導光レンズ体50は、上導光レンズ本体52と、下導光レンズ本体53と、を含む。
図4に示すように、上導光レンズ本体52は基準軸AXより上に配置され、下導光レンズ本体53は基準軸AXより下に配置される。基準軸AXは、X軸方向に延びている。
上導光レンズ本体52の前面52aは、プライマリレンズ60の後面60b(後方に向かって凸の球状面)の基準軸AXより上半分が面接触するように、当該プライマリレンズ60の後面60bの上半分が反転した形状の面(後方に向かって凹の球状面)として構成される。
上導光レンズ本体52の後面52b(図3及び図4参照)は、ホルダ40(ホルダ本体42)の前面42a(前方に向かって凹の球状面)の基準軸AXより上半分が面接触するように、当該ホルダ40(ホルダ本体42)の前面42aの上半分が反転した形状の面(後方に向かって凸の球状面)として構成される。
図8(a)に示すように、上導光レンズ本体52の前面52aの下端縁は、カットオフラインCLLo(CL1〜CL3)に対応した形状の段差付きエッジ部52a1、及び、段差付きエッジ部52a1の両側に配置された延長エッジ部52a2、52a3を含む。なお、延長エッジ部は、片側にだけ設けられていてもよい。
段差付きエッジ部52a1は、左水平カットオフラインCL1に対応する辺e1、右水平カットオフラインCL2に対応する辺e2、及び、左水平カットオフラインCL1と右水平カットオフラインCL2とを接続する斜めカットオフラインCL3に対応する辺e3を含む。
延長エッジ部52a2は、Z軸方向に関し、辺e1と同一位置に配置される。延長エッジ部52a3は、Z軸方向に関し、辺e2と同一位置に配置される。
上導光レンズ本体52の下端面52c(図4参照)は、上導光レンズ本体52の前面52aの下端縁から上導光レンズ本体52の後面52bに向かって水平方向(X軸方向)に延びた面である。
図3及び図4に示すように、上導光レンズ本体52の後面52bには、光源モジュール30(複数のロービーム用光源32a)からの光を導光するために、第1導光部52dが設けられる。第1導光部52dは、その基端部が上導光レンズ本体52の後面52bのうち段差付きエッジ部52a1を含む一部領域に設けられ、かつ、光源モジュール30(複数のロービーム用光源32a)に向かって延びている。なお、段差付きエッジ部52a1を含む一部領域は、上導光レンズ本体52の後面52bのうち光源モジュール30(複数のロービーム用光源32aの発光面)が対向する領域である。第1導光部52dは、ホルダ40の貫通穴42cに挿入される。
第1導光部52dの先端部には、第1入光面52eが設けられる。第1入光面52eは、例えば、Y軸及びZ軸を含む平面に対して平行な平面である。
第1入光面52eは、第1導光部52dがホルダ40の貫通穴42cに挿入された状態で、光源モジュール30(複数のロービーム用光源32aの発光面)と対向する位置に配置される(図4参照)。第1入光面52eと光源モジュール30(複数のロービーム用光源32aの発光面)との間隔は、例えば、0.2mmである。
図5、図7に示すように、上導光レンズ本体52の前方側開口端面には、フランジ部52fが設けられる。フランジ部52fには、ホルダ40の凸部48が挿入される貫通穴52f1(図5、図7中、1箇所)、ホルダ40の凸部49が挿入される貫通穴52f2(図5、図7中、2箇所)が設けられる。
下導光レンズ本体53の前面53aは、プライマリレンズ60の後面60b(後方に向かって凸の球状面)の基準軸AXより下半分が面接触するように、当該プライマリレンズ60の後面60bの下半分が反転した形状の面(後方に向かって凹の球状面)として構成される。
下導光レンズ本体53の後面53b(図3及び図4参照)は、ホルダ40(ホルダ本体42)の前面42a(前方に向かって凹の球状面)の基準軸AXより下半分が面接触するように、当該ホルダ40(ホルダ本体42)の前面42aの下半分が反転した形状の面(後方に向かって凸の球状面)として構成される。
図8(b)に示すように、下導光レンズ本体53の前面53aの上端縁は、段差付きエッジ部52a1が反転した形状の段差付きエッジ部53a1(辺e1´〜e3´)、及び、段差付きエッジ部53a1の両側に配置された延長エッジ部53a2、53a3を含む。なお、延長エッジ部は、片側にだけ設けられていてもよい。
延長エッジ部53a2は、Z軸方向に関し、辺e1´と同一位置に配置される。延長エッジ部53a3は、Z軸方向に関し、辺e2´と同一位置に配置される。
下導光レンズ本体53の上端面53c(図4参照)は、下導光レンズ本体53の前面53aの上端縁から下導光レンズ本体53の後面53bに向かって水平方向(X軸方向)に延びた面である。
図3及び図4に示すように、下導光レンズ本体53の後面53bには、光源モジュール30(複数のADB用光源32b)からの光を導光するために、第2導光部53dが設けられる。第2導光部53dは、その基端部が下導光レンズ本体53の後面53bのうち段差付きエッジ部53a1を含む一部領域に設けられ、かつ、光源モジュール30(複数のADB用光源32b)に向かって延びている。なお、段差付きエッジ部53a1を含む一部領域は、下導光レンズ本体53の後面53bのうち光源モジュール30(複数のADB用光源32bの発光面)が対向する領域である。第2導光部53dは、ホルダ40の貫通穴42cに挿入される。
第2導光部53dの先端部には、第2入光面53eが設けられる。第2入光面53eは、ADB用配光パターンを構成する複数の領域(例えば、個別に点消灯される複数の領域A1〜A4)が図9(d)に示すように円形となって相互に重なるのを防止し、図9(b)に示すように縦エッジ(例えば、溝部53e2)で分割された状態で形成されるように調整された面である。
なお、図9(b)、図9(d)は、複数のADB用光源32bが4個の場合に形成されるADB用配光パターンを表す。図9(b)、図9(d)中のハッチング領域は、当該領域に対応するADB用光源32bが消灯されていることを表す。
第2入光面53eは、複数のADB用光源32bそれぞれからの光が入光する複数の入光面53e1(図12(a)、図13(a)参照)を含む。各々の入光面53e1は、第2導光部53dに入光した各々のADB用光源32bからの光が混在しないように構成される。例えば、各々の入光面53e1は、X軸方向に延びる複数の溝部53e2で第2入光面53eを区画することで構成される。各々の溝部53e2は、第2導光部53dに入光した各々のADB用光源32bからの光を全反射する全反射面を構成する。
第2入光面53eは、第2導光部53dがホルダ40の貫通穴42cに挿入された状態で、光源モジュール30(複数のADB用光源32bの発光面)と対向する位置に配置される(図4参照)。第2入光面53eと光源モジュール30(複数のADB用光源32bの発光面)との間隔は、例えば、0.2mmである。
図5、図7に示すように、下導光レンズ本体53の前方側開口端面には、フランジ部53fが設けられる。フランジ部53fには、ホルダ40の凸部48が挿入される貫通穴53f1(図5、図7中、2箇所)が設けられる。
なお、下導光レンズ本体53には、当該下導光レンズ本体53に光源モジュール30のコネクタ34cが当接(干渉)しないように、切欠部S5が設けられる。
図8(c)に示すように、上導光レンズ本体52及び下導光レンズ本体53は、上導光レンズ本体52の前面52aの下端縁と下導光レンズ本体53の前面53aの上端縁とが線接触し、かつ、上導光レンズ本体52の下端面52cと下導光レンズ本体53の上端面53cとが面接触した状態で組み合わされて導光レンズ体50を構成する。
上記構成の導光レンズ体50は、上導光レンズ本体52の第1導光部52d及び下導光レンズ本体53の第2導光部53dがホルダ40の貫通穴42cに挿入(例えば、圧入又は嵌合)され、上導光レンズ本体52(第1導光部52d)の第1入光面52eと光源モジュール30(複数のロービーム用光源32aの発光面)とが対向し、下導光レンズ本体53(第2導光部53d)の第2入光面53eと光源モジュール30(複数のADB用光源32bの発光面)とが対向し(図3及び図4参照)、かつ、導光レンズ体50の後面(上導光レンズ本体52の後面52b及び下導光レンズ本体53の後面53b)がホルダ40(ホルダ本体42)の前面42aに面接触(図3及び図4参照)した状態で配置される。
その際、上導光レンズ本体52の貫通穴52f1及び下導光レンズ本体53の貫通穴53f1にホルダ40の凸部48が挿入される(図6参照)。さらに、上導光レンズ本体52の貫通穴52f2にホルダ40の凸部49が挿入される(図6参照)。
図5に示すように、プライマリレンズ60は、前面60aとその反対側の後面60bとを含む球状レンズである。前面60aは前方に向かって凸の球状面で、後面60bは後方に向かって凸の球状面である。プライマリレンズ60には、フランジ部62が設けられる。フランジ部62は、前面60aと後面60bとの間において基準軸AXを取り囲むように延びている。
図5に示すように、リテーナ70は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、前方側開口端面から後方側開口端面に向かうに従って錐体状に広くなる筒体であるリテーナ本体72を含む。
図5に示すように、セカンダリレンズ80は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、レンズ本体82を含む。
レンズ本体82は、前面82aとその反対側の後面82bとを含む(図3及び図4参照)。前面82aはY軸及びZ軸を含む平面に対して平行な平面で、後面82bは後方に向かって凸の球状面である。
レンズ本体82の外周部には、当該レンズ本体82の外周部から後方(X軸方向)に向かって延びた筒状部84が設けられる。
プライマリレンズ60及びセカンダリレンズ80は、焦点F(図8(c)参照)が上導光レンズ本体52の前面52aの下端縁(段差付きエッジ部52a1)及び下導光レンズ本体53の前面53aの上端縁(段差付きエッジ部53a1)近傍に位置する投影レンズを構成する。この投影レンズの像面湾曲(後方焦点面)は、上導光レンズ本体52の前面52aの下端縁(段差付きエッジ部52a1)及び下導光レンズ本体53の前面53aの上端縁(段差付きエッジ部53a1)に略一致している。
この投影レンズを構成するプライマリレンズ60及びセカンダリレンズ80としては、例えば、特開2015−79660号公報に記載の球状レンズ及び平凸レンズを用いることができる。
上記構成のセカンダリレンズ80は、レンズ本体82がプライマリレンズ60の前方に配置され、かつ、押さえ部兼ネジ受け部86がリテーナ70のフランジ部76に当接した状態で配置される(図3及び図4参照)。
上記構成の車両用灯具10においては、複数のロービーム用光源32aを点灯すると、当該複数のロービーム用光源32aからの光は、上導光レンズ本体52の第1導光部52dの第1入光面52eから入光し、第1導光部52d内を導光され、上導光レンズ本体52の前面52aから出光する。これにより、上導光レンズ本体52の前面52aに、ロービーム用配光パターンに対応する光度分布が形成される。この光度分布は、カットオフラインCLLo(CL1〜CL3)に対応する辺e1〜e3(図8(a)参照)を含む。プライマリレンズ60及びセカンダリレンズ80によって構成される投影レンズは、この光度分布を前方に反転投影する。これにより、図9(a)に示すように、上端縁にカットオフラインCL(CL1〜CL3)を含むロービーム用配光パターンPLoが形成される。
複数のADB用光源32bを点灯すると、複数のADB用光源32bからの光は、下導光レンズ本体53の第2導光部53dの第2入光面53eから入光し、第2導光部53d内を導光され、下導光レンズ本体53の前面53aから出光する。これにより、下導光レンズ本体53の前面53aに、ADB用配光パターンに対応する光度分布が形成される。この光度分布は、カットオフラインCLADB(CL1´〜CL3´)に対応する辺e1´〜e3´(図8(b)参照)を含む。プライマリレンズ60及びセカンダリレンズ80によって構成される投影レンズは、この光度分布を前方に反転投影する。これにより、図9(b)に示すように、下端縁にカットオフラインCLADB(CL1´〜CL3´)を含むADB用配光パターンPADBが形成される。なお、図9(b)は、複数のADB用光源32bが4個の場合に形成されるADB用配光パターンPADBを表す。図9(b)中のハッチング領域は、当該領域に対応するADB用光源32bが消灯されていることを表す。
複数のロービーム用光源32a及び複数のADB用光源32bを点灯すると、図9(c)に示すように、ロービーム用配光パターンPLo及びADB用配光パターンPADBを含む合成配光パターンが形成される。
次に、第2実施形態として、導光レンズ体50Aを保持する導光レンズ保持構造90の一例について説明する。
図10は、導光レンズ保持構造90を構成する導光レンズ体50A及びホルダ40Aの分解斜視図である。
図10に示すように、本実施形態の導光レンズ保持構造90は、上記第1実施形態の導光レンズ保持構造(導光レンズ体50を保持する導光レンズ保持構造)と比べ、導光レンズ体50に代えて導光レンズ体50Aを用い、かつ、ホルダ40に代えてホルダ40Aを用いている点が相違する。それ以外、上記第1実施形態と同様の構成である。以下、上記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の導光レンズ保持構造90は、導光レンズ体50Aとホルダ40Aとを備える。
図11(a)は導光レンズ体50Aの背面図、図11(b)はホルダ40Aの背面図である。図12(a)は第1仕様の導光レンズ体50A1の導光部52d、53dの一例(背面図)、図12(b)は第2仕様の導光レンズ体50A2の導光部52d、53dの一例(背面図)、図12(c)はホルダ40Aの貫通穴42c周辺の背面図である。
図13(a)は第1仕様の導光レンズ体50A1の導光部52d、53d及び延長部52gが挿入配置された状態のホルダ40の貫通穴42c周辺の背面図、図13(b)は第2仕様の導光レンズ体50A2の導光部52d、53d及び延長部52gが挿入配置された状態のホルダ40の貫通穴42c周辺の背面図である。
図14(a)は図13(a)のA−A断面図、図14(b)は図13(a)のB−B断面図である。
図11(a)、図12(a)、図14(a)に示すように、導光レンズ体50Aの後面(上導光レンズ本体52の後面52b)は、ロービーム用光源32aからの光が入光する第1導光部52dと、第1導光部52dの両側から延長された延長部52gと、を含む。図12(a)中、符号B1が示す範囲が第1導光部52dである。また、符号B2、B3が示す範囲が延長部52gである。
第1導光部52dは、当該第1導光部52dに入光したロービーム用光源32aからの光が導光レンズ体50の前面(上導光レンズ本体52の前面52a)にロービーム用配光パターンに対応する光度分布を形成するように構成されている。具体的には、図14(a)に示すように、第1導光部52dは、上導光レンズ本体52(後面52b)の下部からロービーム用光源32aに向かって延び、先端にロービーム用光源32aが対向する第1入光面52eを有する。第1入光面52eは、ロービーム用光源32aからの光がレンズ体50A(第1導光部52d)に入光する面で、例えば、Y軸及びZ軸を含む平面に対して平行な平面である。
延長部52gは、光学機能が意図されていないいわゆるつなぎの部分である。図15に示すように、延長部52gは、ロービーム用光源32aからの光のうち半値角θ内の光(直射光)が透過しない範囲に設けられる。図13等に示すように、延長部52gは、第1導光部52dのY軸方向の両側から段差部52hを介してY軸方向に延長されている。図15は、ロービーム用光源32aからの光と第1導光部52d(延長部52g)との関係を表す概略図である。
また、導光レンズ体50Aの後面(下導光レンズ本体53の後面53b)は、第1導光部52dの下方に配置されたADB用の第2導光部53dを含む。
第2導光部53dは、当該第2導光部53dに入光したADB用光源32bからの光が導光レンズ体50Aの前面(下導光レンズ本体53の前面53a)にADB用配光パターンに対応する光度分布を形成するように構成されている。具体的には、図14(a)に示すように、第2導光部53dは、下導光レンズ本体53(後面53b)の上部からADB用光源32bに向かって延び、先端にADB用光源32bが対向する第2入光面53eを有する。第2入光面53eは、ADB用光源32bからの光が導光レンズ体50A(第2導光部53d)に入光する面で、例えば、Y軸及びZ軸を含む平面に対して平行な平面である。
導光レンズ体50Aは、導光部(第1導光部52d及び第2導光部53dのうち少なくとも一方)の仕様(形状、サイズ等)が相互に異なり、かつ、延長部52gの仕様(形状、サイズ等)が相互に同一の複数の導光レンズ体の中から選択された導光レンズ体である。
導光部52d、53dの仕様が相互に異なり、かつ、延長部52gの仕様が相互に同一の複数の導光レンズ体は、例えば、図12(a)に示す第1仕様の導光レンズ体50A1、及び、図12(b)に示す第2仕様の導光レンズ体50A2である。
第1仕様の導光レンズ体50A1と第2仕様の導光レンズ体50A2は、段差付きエッジ部52a1が左右反転している点で導光部52d、53dの仕様が相互に異なる。一方、延長部52gの仕様(形状、サイズ等)は、相互に同一である。
図12(c)、図14に示すように、ホルダ40Aには、導光レンズ体50Aの導光部52d、53d及び延長部52gが挿入配置される貫通穴42cが形成されている。貫通穴42cは、ホルダ本体42の前面42aと後面42bとを貫通した貫通穴である。
貫通穴42cは、導光部52d、53dの仕様が相互に異なり、かつ、延長部52gの仕様が相互に同一の複数の導光レンズ体(例えば、第1仕様の導光レンズ体50A1及び第2仕様の導光レンズ体50A2)の中からいずれの導光レンズ体50Aが選択された場合でも、当該選択された導光レンズ体50Aの導光部52d、53d及び延長部52gが当該貫通穴42cに挿入配置される形状(及びサイズ)に構成されている。
図13に示すように、貫通穴42cの内壁は、導光レンズ体50Aをホルダ40に対して位置決めした状態で保持する位置決め保持部42c1〜42c4を含む。位置決め保持部42c1〜42c4は、貫通穴42cに挿入配置される導光レンズ体50Aの延長部52gに当接することで上下左右方向(Z軸方向及びY軸方向)に関しレンズ体50Aをホルダ40に対して位置決めした状態で保持する。具体的には、位置決め保持部42c1〜42c4は、導光部52d、53dと貫通穴42cの内壁とが一部離間した状態で導光レンズ体50Aを保持する。すなわち、導光レンズ体50Aは、導光部52d、53dが貫通穴42cの内壁に対して非接触の状態でホルダ40に対して位置決めされる。なお、図16に示すように、位置決め保持部42c1〜42c4は、導光部52d、53dと貫通穴42cの内壁とが全部離間した状態で導光レンズ体50Aを保持してもよい。図16は、導光レンズ体50の導光部52d、53d及び延長部52gが挿入配置された状態のホルダ40の貫通穴42c(変形例)周辺の背面図である。
位置決め保持部42c1〜42c4は、例えば、貫通穴42cの内壁のうち上下面それぞれに設けられたリブ部(以下、リブ部42c1、42c2という。図13、図14(b)参照)、及び、貫通穴42cの内壁のうちY軸方向の両端面(以下、両端面42c3、42c4という。図13参照)である。
次に、上記構成の導光レンズ体50Aをホルダ40Aで保持する手順の一例について簡単に説明する。
作業者は、導光部52d、53dの仕様が相互に異なり、かつ、延長部52gの仕様が同一の複数の導光レンズ体(例えば、第1仕様の導光レンズ体50A1及び第2仕様の導光レンズ体50A2)の中から特定の導光レンズ体50Aを選択し、当該選択した導光レンズ体50Aの導光部52d、53dをホルダ40の貫通穴42cに挿入する。
その際、導光レンズ体50Aは、位置決め保持部42c1〜42c4が導光レンズ体50Aの延長部52gに当接することで上下左右方向(Z軸方向及びY軸方向)に関しホルダ40に対して位置決めされる。
具体的には、導光レンズ体50Aは、貫通穴42cの内壁に設けられたリブ部42c1、42c2がレンズ体50Aの延長部52gの上下面に当接する(図13、図14(b)参照)ことで上下方向(Z軸方向)に関しホルダ40Aに対して位置決めされる。
また、導光レンズ体50Aは、貫通穴42cの内壁のうちY軸方向の両端面42c3、42c4が延長部52gのY軸方向の両端面52i、52jにそれぞれ当接する(図13参照)ことで左右方向(Y軸方向)に関しホルダ40Aに対して位置決めされる。
また、導光レンズ体50Aは、当該導光レンズ体50Aの一部がホルダ40Aに当接することでX軸方向に関しホルダ40Aに対して位置決めされる。例えば、図示しないが、導光レンズ体50Aは、当該導光レンズ体50Aの後面(上導光レンズ本体52の後面52b、下導光レンズ本体53の後面53b)に設けられたリブ部(例えば、3箇所)がホルダ40Aの前面に当接することでX軸方向に関しホルダ40Aに対して位置決めされる。なお、導光レンズ体50Aは、当該導光レンズ体50Aの後面(一部又は全部)がホルダ40Aの前面(ホルダ本体42の前面42a)に面接触することでX軸方向に関しホルダ40Aに対して位置決めされる場合もある(例えば、リブ部を省略した場合)。
以上のようにして、導光レンズ体50Aは、ホルダ40Aに対して位置決めされた状態で保持される。
以上説明したように、本実施形態によれば、導光レンズ体50Aをホルダ40に対して位置決めした状態で保持することができる導光レンズ保持構造90を提供することができる。
これは、ホルダ40には、導光部52d、53d及び延長部52gが挿入配置される貫通穴42cが形成されていること、及び、貫通穴42cの内壁は、導光レンズ体50Aをホルダ40に対して位置決めした状態で保持する位置決め保持部42c1〜42c4を含むこと、によるものである。
また、本実施形態によれば、導光部52d、53dの仕様が相互に異なり、かつ、延長部52gの仕様が相互に同一の複数の導光レンズ体の中から選択された導光レンズ体であっても、当該選択された導光レンズ体50Aをホルダ40に対して位置決めした状態で保持することができる。
これは、位置決め保持部42c1〜42c4が、導光部52d、53dと貫通穴42cとの内壁とが一部又は全部離間した状態で導光レンズ体50Aを保持することによるものである。
また、本実施形態によれば、導光部52d、53d及び延長部52gが挿入配置される貫通穴42cが形成されたホルダ40Aと、を備えた導光レンズ保持構造90を提供することができる。
また、本実施形態によれば、ホルダ40A(前面)と他の部材(例えば、プライマリレンズ60のフランジ部62)との間に導光レンズ体50A(フランジ部52f、53f)を保持することができる。
また、本実施形態によれば、延長部52gが段差部52hを介して延長されているため、段差部52hを設けない場合と比べ、導光部52d、53dの仕様が相互に異なる複数の導光レンズ体それぞれの延長部の仕様を容易に統一することができる。
また、本実施形態によれば、リブ部42c1、42c2が延長部52gに当接するため、リブ部42c1、42c2を設けない場合と比べ、導光レンズ体50Aのホルダ40Aに対する位置決めの精度を高めることができる。
なお、図14(b)に示すように、位置決め保持部42c1〜42c4(リブ部42c1、42c2等)は、貫通穴42cに挿入配置される導光レンズ体50Aの延長部52gの後端部(すなわち、ロービーム用光源32に近い部分)に当接する(かつ、後端部より前方の部分に当接しない)ことで前記導光レンズ体を前記ホルダに対して位置決めした状態で保持するのが望ましい。
このようにすれば、位置決め保持部42c1〜42c4(リブ部42c1、42c2等)が導光レンズ体50Aの延長部52gの前端部から後端部にかけて当接する場合と比べ、延長部52gの貫通穴42cに対する挿入配置(導光レンズ体50Aのホルダ40Aに対する位置決め)が容易となる。
また、本実施形態によれば、導光レンズ体50Aをホルダ40Aに対して位置決めした状態で保持することができる導光レンズ保持構造90を備えた車両用灯具を提供することができる。
また、本実施形態によれば、ロービーム用配光パターンに適した導光レンズ保持構造90を備えた車両用灯具を提供することができる。
これは、延長部52gが第1導光部52dから延長されていることによるものである。
また、本実施形態によれば、ロービーム用配光パターンに加え、さらにADB用配光パターンの形成が可能となる。
また、本実施形態によれば、ホルダ40Aの仕様を統一することができ(つまり、貫通穴42cの形状が相互に異なる複数仕様のホルダを用意する必要がなく)、かつ、導光部52d、53dの仕様(形状、サイズ等)が相互に異なる複数の導光レンズ体の中からいずれの導光レンズ体50Aが選択された場合でも、当該選択された導光レンズ体50Aをホルダ40Aに対して位置決めした状態で保持することができる。
ホルダ40Aの仕様を統一することができるのは、貫通穴42cが、複数の導光レンズ体の中からいずれの導光レンズ体が選択された場合でも、当該選択された導光レンズ体の導光部52d、53d及び延長部52gが当該貫通穴42cに挿入配置される形状に構成されていることによるものである。
導光部52d、53dの仕様が相互に異なる複数の導光レンズ体の中からいずれの導光レンズ体50Aが選択された場合でも、当該選択された導光レンズ体50Aをホルダ40Aに対して位置決めした状態で保持することができるのは、第1導光部52dから延長された延長部52gを備えること、そして、貫通穴42cの内壁が、導光レンズ体50Aをホルダ40Aに対して位置決めした状態で保持する位置決め保持部42c1〜42c4を含むこと、によるものである。
また、本実施形態によれば、ホルダ40の仕様を統一することができるため、貫通穴42cの形状が相互に異なる複数仕様のホルダ40を用意する場合と比べ、コストが低減する。
また、本実施形態によれば、ホルダ40の仕様を統一することができるため、貫通穴42cの形状が相互に異なる複数仕様のホルダ40を用意する場合と比べ、導光レンズ体50Aと不適切なホルダ(つまり、導光レンズ体50Aの導光部52d、53dに対応していない形状の貫通穴が形成されたホルダ)とを組み合わせるいわゆる誤組の発生が防止される(製造工程の簡略化)。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、ADB用光源32bからの光が入光する第2導光部53dを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、図示しないが、第2導光部53dに代えて、ハイビーム用光源からの光が入光する第3導光部を用いてもよい。
第3導光部は、当該第3導光部に入光したハイビーム用光源からの光が導光レンズ体50の前面(下導光レンズ本体53の前面53a)にハイビーム用配光パターンに対応する光度分布を形成するように構成されている。具体的には、第3導光部は、下導光レンズ本体53(後面53b)の上部からハイビーム用光源に向かって延び、先端にハイビーム用光源が対向する第3入光面(図示せず)を有する。第3入光面は、ハイビーム用光源からの光が導光レンズ体50A(第3導光部)に入光する面で、例えば、Y軸及びZ軸を含む平面に対して平行な平面である。
また、上記実施形態では、延長部52gが第1導光部52dの両側から延長されている例について説明したが、これに限らない。例えば、延長部52gは、第1導光部52dの片側からのみ延長されていてもよい。また、延長部52gは、第2導光部53dの両側又は片側から延長されていてもよいし、導光部52d、53dの両側又は片側から延長されていてもよい。すなわち、延長部52gは、導光部52d、53dのうち少なくとも一方の両側又は片側から延長されていてもよい。
また、上記実施形態では、延長部52gが段差部52hを介して延長されている例について説明したが、これに限らない。例えば、延長部52gは段差部52hを介することなく延長されていてもよい。すなわち、段差部52hは、省略してもよい。
また、上記実施形態は、リブ部42c1、42c2を貫通穴42cの内壁に設けた例について説明したが、これに限らない。例えば、リブ部42c1、42c2を延長部52gに設けてもよい。
また、上記実施形態では、導光レンズ体50を構成する上導光レンズ本体52と下導光レンズ本体53が物理的に分離した別々の部品として構成されている例について説明したが、これに限らない。例えば、上導光レンズ本体52と下導光レンズ本体53は一体成形された一部品として構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、導光レンズ体として、上導光レンズ本体52と、第1導光部52dと、下導光レンズ本体53と、第2導光部53dと、を含む導光レンズ体50Aを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、導光レンズ体として、上導光レンズ本体52と第1導光部52dとを含み、下導光レンズ本体53と第2導光部53dとを含まない導光レンズ体を用いてもよい。つまり、下導光レンズ本体53と第2導光部53dは省略してもよい。
また、上記実施形態では、投影レンズとして、プライマリレンズ60A及びセカンダリレンズ80の二枚のレンズによって構成される投影レンズを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、投影レンズとして、図示しないが、一枚のレンズによって構成される投影レンズを用いてもよいし、三枚以上のレンズによって構成される投影レンズを用いてもよい。
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。