以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・I/O (Input/Output)デバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するI/Oインターフェースデバイス。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC (Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA (Host Bus Adapter))であってもよい。
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)であり、具体的には、例えば、HDD (Hard Disk Drive)又はSSD (Solid State Drive)である。
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスである。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU (Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスであるが、GPU (Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA (Field-Programmable Gate Array)又はASIC (Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
また、以下の説明では、「xxxリスト」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のデータでもよい。従って、「xxxリスト」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各リストの構成は一例であり、一つのリストは、二つ以上のリストに分割されてもよいし、二つ以上のリストの全部又は一部が一つのリストであってもよい。
また、以下の説明では、「kkk部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路によって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
また、以下の説明では、「施策選択支援システム」は、一つ以上の物理的な計算機を含んだシステムでもよいし、当該物理的なシステム(例えば、クラウド基盤)上に構築されたシステムでもよい。例えば、物理的な計算機は、汎用計算機でも専用計算機でもよいし、分散システムを構成する物理的なノード装置でもよい。また、物理的な計算機(例えばノード装置)が所定のソフトウェアを実行することにより、当該物理的な計算機、又は、当該物理的な計算機を含んだシステムに、施策選択支援システムとしてのSDx (Software-Defined anything)が構築されてもよい。システム開発支援装置における計算機が「表示用情報を表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る施策選択支援システムを含むシステム全体の構成を示す。
施策選択支援システム150は、インターフェース装置111と、記憶装置112と、それらに接続されたプロセッサ113とを有する。施策選択支援システム150は、インターフェース装置111を介して、解析用入力データ(以下、入力データ)101と、ラベル管理情報102と、上限数情報103とを受け付ける。施策選択支援システム150の外部(又は内部)において、分析エンジン(例えば、多変量解析エンジン)140が実行される。
入力データ101は、例えば図2に示すように、複数のデータセットを有する。「データセット」は、アプリケーションプログラムのようなプログラムから見た一つの論理的な電子データの塊であり、本実施形態ではレコードであるが、それに代えて、データセットは、ファイル、キーバリューペア及びタプル等のうちのいずれでもよい。各データセットは、顧客に対応し、目的変数と複数の説明変数とを含む。本実施形態では、分析サービスを利用するユーザの主な目的は、当該ユーザの一以上の顧客からの売上を最大化するための施策を見つけることである。このため、目的変数の一例として、売上が採用される。入力データ101における各データセットは、更に、対応する顧客の顧客IDを含む。
分析エンジン140は、ラベル管理情報102を参照し入力データ101を分析することで施策リスト131(施策情報の一例)を生成する。生成された施策リスト131は、記憶装置112に格納される。
ラベル管理情報102は、説明変数とその属性(可制御性変数と非可制御性変数のいずれであるか)とを示す情報である。ラベル管理情報102は、例えば図3に示すように、説明変数毎に変数名を表す情報を含み、各変数名に、当該変数名に対応した変数が可制御性変数と非可制御性変数のいずれであるかを示す情報が関連付けられている。ラベル管理情報102を参照することで、いずれの説明変数が可制御性変数と非可制御性変数のいずれであるかを特定できる。例えば、顧客業種は、ユーザが通常コントロールできないため非可制御性変数であり、訪問時間帯は、ユーザが通常コントロールできるため可制御性変数である。
施策リスト131は、入力データ101の分析結果として得られた複数の施策の情報を含む。施策リスト131は、例えば図4に示すように、施策毎にデータセットを含む。データセットは、目的変数と相関が高く施策に関わる二つ以上の説明変数を含む。当該二つ以上の説明変数は、一つ以上の非可制御性変数と一つ以上の可制御性変数とのうち少なくとも一つの可制御性変数を含む。非可制御性変数は、変更不可能な説明変数である。可制御性変数は、変更可能な説明変数である。施策は、非可制御性変数に関わる条件である非可制御性条件と可制御性変数に関わる条件である可制御性条件とのうち少なくとも一つの可制御性条件を含む。施策の詳細は後述する。なお、施策リスト131によれば、売上向上のために、例えば、建設業の顧客には朝訪問すること(施策#1)、神奈川県にいる顧客には提案商材を文房具とすること(施策#2)等がある。
施策選択支援システム150は、施策リスト131が示す複数の施策の各々の単体ポテンシャルを導出する単体ポテンシャル導出部121と、上限数情報103に基づいて最良の施策組合せとなり得る1通り以上の施策組合せを選択し施策組合せリスト132に出力する施策組合せ選択部122と、施策組合せリスト132が示す各施策組合せについて当該施策組合せの組合せポテンシャルを導出する組合せポテンシャル導出部123と、施策リスト131及び施策組合せリスト132のうちの少なくとも一つを基に施策及び/又は施策組合せを示す情報(典型的には表示用情報)である推奨情報を出力する出力部124とを有する。施策組合せリスト132は、記憶装置112に格納される。
単体ポテンシャル導出部121は、施策リスト131が示す各施策について当該施策を単体で実施した場合のポテンシャルである単体ポテンシャルを導出する。ポテンシャルは、予想される目的変数変化に従う評価値であるが、本実施形態では、予想される売上増加量である。例えば、ユーザは、同一業種に属する7顧客のうち、3顧客の各々に対して施策Vを実施することで1顧客当たり平均300万円の売上を得て、残りの4顧客の各々に対して施策Wを実施して1顧客当たり平均200万円の売上を得たとする。この場合、ユーザは、当該4顧客の各々に対して施策Vを実施すれば、1顧客当たり平均300万の売上を得ること、つまり、合計400万円(=4顧客*(300万円-200万円))の売上増加が見込める。この400万円が、ポテンシャル、ここでは、具体的には、施策Vを単体で実施した場合の単体ポテンシャルである。
施策組合せ選択部122は、上述したように、施策リスト131が示す複数の施策から一通り以上の施策組合せを選択する。施策組合せは、同時に実施される二つ以上の施策である。本実施形態では、施策組合せは、二つの施策である。なお、「二つ以上の施策を同時に実施するとは」、二つ以上の施策にそれぞれ対応した二つ以上の実施期間の少なくとも二つ(例えば全て)が一つの時刻を共有することでよい。例えば、下記(r1)及び(r2)が採用されてよい。
(r1)二つ以上の施策のうちのいずれか未実施の施策である第1の施策の実施期間中に、当該二つ以上の施策のうちのいずれか別の未実施の施策である第2の施策を実施する。
(r2)第2の施策を実施しても未実施の施策が未だあれば、第2の施策を第1の施策として(r1)に戻る。
組合せポテンシャル導出部123は、施策組合せリスト132が示す各施策組合せについて、施策リスト131と入力データ101とを基に、当該施策組合せとしての二つ以上の施策の各々について、当該施策に関わる要素の集合である対象範囲を特定し、当該二つ以上の施策についてそれぞれ特定された二つ以上の対象範囲に重複範囲があるか否かを判断する。重複範囲があれば、組合せポテンシャル導出部123は、当該重複範囲に関して、当該二つ以上の施策に従う全通りの施策群の各々についてポテンシャルを導出し(施策群は一つ以上の施策であり)、当該全通りの施策群に対応したポテンシャルから一つのポテンシャルを選択する。また、組合せポテンシャル導出部123は、上記二つ以上の対象範囲のうちの一つ以上の非重複範囲の各々について、ポテンシャルを導出する。そして、組合せポテンシャル導出部123は、重複範囲について選択されたポテンシャルと、一つ以上の非重複範囲についてそれぞれ導出された一つ以上のポテンシャルとを用いて、当該施策組合せとしてのポテンシャルである組合せポテンシャルを導出する。このようにして、施策組合せリスト132が示す施策組合せ毎に、正確な組合せポテンシャルを算出することができ、以って、適切な施策組合せの選択を支援することができる。
具体的には、例えば、出力部124が、上位m(mは、上限数情報103が示す上限数)に該当する組合せポテンシャルに対応した施策組合せを示す情報である推奨情報(例えば、GUI (Graphical User Interface)のような画面に表示される情報)を表示する。これにより、ユーザは、上限数の範囲で適切な施策組合せを選択できる。なお、Nは、ユーザにより指定された上限数でよい。これにより、ユーザは、最大で所望の数の施策組合せの提供を施策選択支援システム150から受けることができる。
なお、出力部124が、施策組合せに代えて又は加えて施策単体を示す情報を含んだ情報を推奨情報として表示してもよい。具体的には、例えば、出力部124が、複数の施策に対応した複数の単体ポテンシャルと複数の施策組合せに対応した複数の組合せポテンシャルとのうち上位mに該当するポテンシャルに対応した施策及び/又は施策組合せを特定し、施策及び/又は施策組合せを示す情報を含んだ情報を推奨情報として表示する。これにより、ユーザは、上限数の範囲で適切な一つ以上の施策を選択できる。なお、Nは、ユーザにより指定された上限数でよい。これにより、ユーザは、最大で所望の数の施策及び/又は施策組合せの提供を施策選択支援システム150から受けることができる。
施策選択支援システム150は、一点鎖線で示すように、施策リスト131が示す複数の施策に施策の包含関係に基づく上位互換関係があるか否かを施策リスト131と入力データ101とを基に判断する上位互換判断部125と、上位互換判断部125により特定された上位互換関係の編集をユーザから受け付けるユーザインターフェースを提供する関係編集部126とを有してもよい。また、一点鎖線で示すように、上位互換関係を示す情報である上位互換関係情報133が記憶装置112に格納されてもよい。これら一点鎖線で示す機能等については後に図11A〜図16を参照して詳細に説明する。
図4は、施策リスト131の一例を示す。
この例は、KPI(目的変数の一例)を顧客毎の売上とし、客先に営業訪問するマーケティング活動の業務改善を目的とした分析に従う。図4の施策リスト131によれば、施策#1は、変数1(変数名1:訪問時間帯、範囲1:朝)、変数2(変数名2:顧客業種、範囲2:建設業)、の組合せに相当する。この施策#1は、建設業の顧客に、朝訪問することを推奨している。変数は、変数名と範囲(変数値)のうちの少なくとも範囲を含む。
各変数は、図3に示したラベル管理情報102のように、可制御性変数と非可制御性変数と呼ぶ二つの変数に分類される。可制御性変数は、施策を実施する主体(本実施形態ではユーザ)が変更できる変数であり、非可制御性変数は、当該主体が変更できない変数である。先の例でいえば、ユーザにおける営業担当者はある特定の顧客に対して、その顧客の業種を小売業から建設業に変えることはできないが、訪問時間帯を昼から朝に変えることができる。このため、訪問時間帯は可制御性変数であり、顧客業種は非可制御性変数である。可制御性変数についての条件、及び、非可制御性変数についての条件を、それぞれ、「可制御性条件」、及び、「非可制御性条件」と呼ぶ。
本システム150は、入力データ101の各説明変数について可制御性変数か非可制御性変数かの情報であるラベル管理情報102をユーザから受け付けるユーザインターフェースを提供する。
分析エンジン140が出力する施策は、必ず、一つ以上の可制御性条件と、零あるいは一つ以上の非可制御性条件の組合せで構成される。
施策Mは、可制御性条件CMと非可制御性条件TMの組合せ、つまりCM∧TMと表現する事ができる。
単体ポテンシャル導出部121は、施策リスト131に記載の施策それぞれに対して、ラベル管理情報102を用いて、施策を実施する場合の対象となる集合を計算し、施策の単体ポテンシャルを導出する。
本実施形態において、「ポテンシャル」とは、施策対象となりえる全対象を図5に示す4領域に分類した際に、領域Bに属する対象を領域Aに移動させることで向上するKPI総和のことである。先の例を使えば、建設業の顧客であって、朝以外の時間帯に訪問していた顧客に対して、朝訪問することで向上するKPIの総和、つまり顧客毎の売上の向上の合計値をこの施策の単体ポテンシャルとする。
施策の単体ポテンシャルの導出には、施策を実施すれば、施策未実施だった対象群(領域B)のKPIの平均値が、施策実施済みの対象群(領域A)のKPIの平均値まで上がる、という仮定に基づいている。本実施形態では、KPIの平均値が採用されるが、平均値に代えて最大値又は最小値といった他種の値が採用されてもよい。また、本実施形態では、下記の定義が採用される。
・条件cが真の対象の集合をTarget(c)と表す。
・条件sで表現される施策を集合Gに実施するときのポテンシャルをP(s at G)と表す。
・施策Mの単体ポテンシャルはP(M at Target(TM))と表す。
・集合Gの構成要素のKPIの平均値をKPI_ave(G)と表す。
・集合Gに属する要素(本実施形態では顧客)の数をNum(G)と表す。
これらを用いて、施策Mの単体ポテンシャルは以下の式で表現できる。
P(M at Target(TM))
= {KPI_ave(Target(CM∧TM)) - KPI_ave(Target(¬CM∧TM))}* Num(Target(¬CM∧TM))…(1)
単体ポテンシャル導出部121は、施策リスト131の施策1件1件それぞれに、式(1)によって施策の単体ポテンシャルを導出する。単体ポテンシャル導出部121は、施策について導出された単体ポテンシャルとともに、導出の過程で算出された下記のうちの少なくとも一つを、当該施策に対応したデータセットに含める。
・対象範囲要素数:施策の対象範囲に属する要素の数。
・対象範囲KPI平均:当該対象範囲についてのKPI平均値。
・施策実施済要素数:当該施策が既に実施されている要素の数。
・到達KPI:当該対象範囲に属する要素において、施策を実施することで予想される施策実施後のKPIの平均値。
また、施策をM=CM∧TMとしたとき、下記のような表現がされる。
・対象範囲要素数は、Num(Target(TM))である。
・対象範囲KPI平均はKPI_ave(Target(TM))である。
・施策実施済要素数はNum(Target(CM∧TM))である。
・到達KPIはKPI_ave(Target(CM∧TM))である。
施策組合せ選択部122は、上限数情報103に基づいて、組合せポテンシャルを算出する施策の組合せを選択し、選択した施策組合せを示す情報を施策組合せリスト132に保存する。上限数情報103が示す上限数がm、施策リスト131が示す施策がn個あるとすれば(m及びnのいずれも自然数)、取りえる施策組合せはnCm通りあり、nCm通りの施策組合せを示す情報を施策組合せリスト132に保存する。本実施例ではm=2、n=10000とする。
組合せポテンシャル導出部123は、施策組合せリスト132に記載の施策組合せに対して、組合せポテンシャルを導出し(詳細は例えば図6)、重複部分で何を実施するかの情報とともに組合せポテンシャルを当該施策組合せについて施策組合せリスト132に保存する。
重複部分で何を実施するかの情報とともに組合せポテンシャルを保存した施策組合せリスト132の一例を図7に示す。施策1の値、及び、施策2の値は、施策リスト131での施策番号(#)に相当する。つまり、施策組合せ#1は、施策#1(建設業の顧客に朝訪問するという施策)と、施策#2(神奈川県の顧客に文房具を提案するという施策)とを同時実施する場合、建設業でありかつ神奈川県の顧客という重複部分には朝訪問し、この時の組合せポテンシャルが2000だということを表す。
複数施策を同時実施する場合、施策対象範囲の重複部分での施策の相互の影響を考慮して、組合せポテンシャルを導出し、最大の組合せポテンシャルが得られた施策組合せを選択する。下記の表現が採用される。
・施策Aは、A = CA∧TAである。
・施策Bは、B = CB∧TBである。
・施策A及びBを組合わせて同時実施する場合の組合せポテンシャルは、PS(A,B)である。
図6A及び図6Bは、組合せポテンシャルを導出する処理の流れを示す。この処理は、施策組合せリスト132が示す施策組合せ毎に行われる。以下、図6〜図10の説明において、施策Aと施策Bで構成された施策組合せを例に取る。
組合せポテンシャル導出部123は、入力データ101から、Target(TA∧TB)に属する要素、すなわち、施策Aの対象範囲(Target(TA))と施策Bの対象範囲(Target(TB))の重複範囲を探す(S601)。
重複範囲が無ければ(S602:No)、組合せポテンシャル導出部123は、施策リスト131から、P(A at Target(TA))及びP(B at Target(TB))を読み込み(S603)、施策Aと施策Bの2施策を同時に実施する場合のポテンシャルPS(A,B)を、各施策単体のポテンシャルの和P(A at Target(TA)) + P(B at Target(TB))とする(S604)。これは、施策A及びBの各々についての単体ポテンシャルに従うポテンシャルとしての組合せポテンシャルの一例である。このように、重複範囲が無い場合は、施策単体のポテンシャルの導出の結果を利用することができる。
重複範囲があれば(S602:Yes)、組合せポテンシャル導出部123は、入力データ101を基に、重複範囲について、Num(Target(TA∧TB))とKPI_ave(Target(TA∧TB))を算出する(S605)。また、組合せポテンシャル導出部123は、入力データ101を基に、施策Aの対象範囲と施策Bの対象範囲との非重複範囲について、P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB))及びP_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA))、すなわち、施策Aの対象範囲のうち施策Bの対象範囲との非重複範囲についてのポテンシャルと、施策Bの対象範囲のうち施策Aの対象範囲との非重複範囲についてのポテンシャルとを算出する(S606)。S606の詳細は図8に示す。
重複範囲について、組合せポテンシャル導出部123は、下記の四つのポテンシャル、
・重複範囲における施策A単体実施のポテンシャル
・重複範囲における施策B単体実施のポテンシャル
・重複範囲における施策Aと施策Bの両方実施のポテンシャル
・0
を算出する(S607)。
組合せポテンシャル導出部123は、当該四つのポテンシャルのうちの最大のポテンシャルを、当該重複範囲についてのポテンシャルとして採用し、採用されたポテンシャルと、上記P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB))及びP_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA))との和を、当該施策組合せの組合せポテンシャルとして算出する(S608〜S614)。下記の表現が採用される。
・重複範囲における施策A単体実施のポテンシャルは、P_single(A at Target(TA∧TB))である。
・重複範囲における施策B単体実施のポテンシャルは、P_single(B at Target(TA∧TB))である。
・重複範囲における施策Aと施策Bの両方実施のポテンシャルは、P_both(A、B at Target(TA∧TB)である。重複範囲における片方施策の単体実施のポテンシャルの導出の詳細は図9に示す。重複範囲における両方の施策実施のポテンシャルの導出の詳細は、図10に示す。
重複範囲について、施策A単体実施のポテンシャルが最大のとき(S608:Yes)、重複範囲では施策Aが単体で実施されることされ、PS(A, B) = P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB)) + P_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA)) + P_single(A at Target(TA∧TB))である(S609)。
重複範囲について、施策B単体実施のポテンシャルが最大のとき(S610:Yes)、重複範囲では施策Bを単体で実施されることされ、PS(A, B)= P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB)) + P_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA)) + P_single(B at Target(TA∧TB))である(S611)。
重複範囲について、施策Aと施策Bの両方実施のポテンシャルが最大のとき(S612:Yes)、重複範囲では施策Aと施策Bの両方が実施されることされ、PS(A, B) = P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB)) + P_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA)) + P_both(A、B at Target(TA∧TB))である(S613)。
重複範囲について、0というポテンシャルが最大のとき(S612:No)、重複範囲では施策は何も実施されないこととされ。PS(A, B) = P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB)) + P_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA))である(S614)。
上記の組合せポテンシャルの導出の説明では、組み合わせる対象の施策はいずれもポテンシャルが正である施策を想定しているが、ポテンシャルが負になる施策を扱うときは(すなわち、各ポテンシャルが負になるような場合には)、これを零として計算し、組合せポテンシャルを算出することができる。
図6によれば、コンピュータにより、入力データ101と、入力データ101を用いた分析(分析エンジン140による分析)の結果として得られた施策リスト131とから、二つ以上の施策に対応した二つ以上の対象範囲に属する要素の集合が、当該二つ以上の対象範囲の重複範囲とされる。当該重複範囲が、施策間の影響が生じる範囲と定義され、当該範囲については、各施策を単体実施した場合と同時実施した場合とのそれぞれのポテンシャルが算出され、それらのポテンシャルのうちの最大のポテンシャルが、重複範囲についてのポテンシャルとされる。このように、施策間の影響を考慮して施策組合せのポテンシャルを正確に導出することができる。
図8は、施策A及びBの対象範囲の非重複範囲で施策Aを単体で実施する場合のポテンシャルP_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB))の導出の流れを示す(なお、同様にして、P_normal(B∧TA at Target(TB∧¬TA)))を導出することができる)。
組合せポテンシャル導出部123は、入力データ101から、Target(TA∧CA∧¬TB)に属する要素を探す(S801)。
Target(TA∧CA∧¬TB)に属する要素が無いケース(S801:No)の一例が、参照符号820が示す通りである。この場合、範囲821に属する要素に対して施策Aを実施することで当該要素が範囲822に移ると仮定した場合のポテンシャルが算出される。すなわち、組合せポテンシャル導出部123は、施策リスト131を基に、施策Aの対象範囲要素数及び対象範囲KPI平均(すなわち、Num(Target(TA))及びKPI_ave(Target(TA)))と、施策Aの対象範囲のうち施策Aの実施済について対象範囲要素数及び対象範囲KPI平均(すなわち、Num(Target(TA∧CA))及びKPI_ave(Target(TA∧CA)))を特定する(S803)。組合せポテンシャル導出部123は、施策Aの対象範囲のうち施策Bの対象範囲との非重複範囲について対象範囲KPI平均及び対象範囲要素数(すなわち、KPI_ave(Target(TA∧¬TB))及びNum(Target(TA∧¬TB))を算出する(S804)。組合せポテンシャル導出部123は、P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB))として、{KPI_ave(Target(TA∧CA)) - KPI_ave(Target(TA∧¬TB))} * Num(Target(TA∧¬TB))を算出する(S805)。
Target(TA∧CA∧¬TB)に属する要素があるケース(S801:Yes)の一例が、参照符号830が示す通りである。この場合、範囲831に属する要素に対して施策Aを実施することで当該要素が範囲832に移ると仮定した場合のポテンシャルが算出される。すなわち、組合せポテンシャル導出部123は、Num(Target(TA∧CA∧¬TB))及びKPI_ave(Target(TA∧CA∧¬TB))を算出する(S806)。組合せポテンシャル導出部123は、P_normal(A∧TB at Target(TA∧¬TB))として、{KPI_ave(Target(TA∧¬CA∧¬TB)) - KPI_ave(Target(TA∧CA∧¬TB))} * Num(Target(TA∧CA∧¬TB))を算出する(S807)。
図9は、施策A及びBの対象範囲の重複範囲で施策Aを単体で実施した場合のポテンシャルP_single(A at Target(TA∧TB))の導出の流れ示す(なお、同様にして、重複範囲における施策B単体実施のポテンシャルP_single(B at Target(TA∧TB))を導出することができる)。
組合せポテンシャル導出部123は、施策リスト131を基に、Num(Target(TA∧CA)),及びKPI_ave(Target(TA∧CA))を特定する(S901)。組合せポテンシャル導出部123は、Num(Target(TA∧CA∧TB)), KPI_ave(Target(TA∧CA∧TB))を算出する(S902)。
Target(TA∧CA∧TBに属する要素が無いケース(S903:No)の一例が、参照符号920が示す通りである。この場合、範囲921に属する要素に対して施策Aを実施することで当該要素が範囲922に移ると仮定した場合のポテンシャルが算出される。すなわち、組合せポテンシャル導出部123は、P_single(A at Target(TA∧TB)) = {KPI_ave(Target(TA∧CA)) - KPI_ave(Target(TA∧TB))} * Num(Target(TA∧TB))を算出する(S904)。
Target(TA∧CA∧TB)に属する要素があるケース(S903:Yes)の一例が、参照符号930が示す通りである。この場合、範囲931に属する要素に対して施策Aを実施することで当該要素が範囲932に移ると仮定した場合のポテンシャルが算出される。すなわち、組合せポテンシャル導出部123は、Num(Target(TA∧¬CA∧TB))及びKPI_ave(Target(TA∧¬CA∧TB))を算出する(S905)。組合せポテンシャル導出部123は、P_single(A at Target(TA∧TB)) = {KPI_ave(Target(TA∧CA∧TB)) - KPI_ave(Target(TA∧¬CA∧TB))} * Num(Target(TA∧¬CA∧TB))を算出する(S906)。
図10は、重複範囲における施策Aと施策B両方実施のポテンシャルP_both(A, B at Target(TA∧TB))の導出の流れを示す。
組合せポテンシャル導出部123は、入力データ101から、Target(TA∧CA∧TB∧CB)に属する要素を探す(S1001)。
Target(TA∧CA∧TB∧CB)に属する要素が無いケース(S1001:No)の一例が、参照符号1020が示す通りである。この場合、組合せポテンシャル導出部123は、P_both(A,B at Target(TA∧TB)) = 0とする(S1003)。
Target(TA∧CA∧TB∧CB)に属する要素があるケース(S1001:Yes)の一例が、参照符号1030が示す通りである。この場合、範囲1031に属する要素に対して施策A及びBを同時実施することで当該要素が範囲1032に移ると仮定した場合のポテンシャルが算出される。すなわち、組合せポテンシャル導出部123は、Num(Target(TA∧CA∧TB∧CB))及びKPI_ave(Target(TA∧CA∧TB∧CB))を算出する(S1004)。組合せポテンシャル導出部123は、P_both(A,B at Target(TA∧TB)) = P(TA∧CA∧TB∧CB at Target(TA∧TB)) = {KPI_ave(Target(TA∧CA∧TB∧CB)) - KPI_ave(Target(TA∧TB∧¬(TA∧CA∧TB∧CB)))} * Num(Target(TA∧TB∧¬(TA∧CA∧TB∧CB)))を算出する(S1005)。
以上、二つの施策を同時実施する場合、施策対象範囲の重複範囲での施策の相互の影響を考慮して、組合せポテンシャルを導出する方法について述べた。三つ以上の施策を同時実施する場合でも、その重複範囲において、どの施策を組み合わせて実施するのが最善かを考慮することで、組合せポテンシャルを計算することができる。施策組合せリスト132が示す各施策組合せについて導出された組合せポテンシャルは、施策組合せリスト132に保存され、上位mに該当するポテンシャル(例えば組合せポテンシャル及び単体ポテンシャル)に対応した施策組合せ(及び/又は施策)を示す推奨情報が、出力部124により表示される。
以上の処理によれば、重複範囲がある施策組合せについて、以下のことが言える。
・当該重複範囲は、当該施策組合せとしての二つ以上の施策に対応した二つ以上の非可制御範囲の重複した範囲である。
・当該二つ以上の施策の各々について、非可制御範囲は、当該施策のうちの非可制御性条件に関わる要素の集合である。
・当該重複範囲について、全通りの施策群の各々に関し、当該施策群(一つ以上の施策)の導出されたポテンシャルは、下記(X)に属する要素が下記(Y)に移ったと仮定した場合に予想される目的変数増加量である。
(X)当該施策組合せと当該施策群の重複範囲のうち、当該施策群に含まれる一つ以上の可制御範囲と重複しない部分。
(Y)当該施策組合せと当該施策群の重複範囲のうち、当該施策群に含まれる一つ以上の可制御範囲と重複する部分。
・各可制御範囲は、当該範囲に対応する可制御性条件に関わる要素の集合である。
二つの施策を組み合わせて、組合せポテンシャルを最大化させる組合せを選出する場合で、施策リスト131に10^4(= 104 = 10000)件の施策があるときを例に説明する。
このとき、すべての組合せを施策組合せ選択部が施策組合せリストに選出したとき、その組合せは10^4C2組合せある。
組合せポテンシャル導出部における処理でボトルネックとなるのは、指定された条件から対象となる要素を抜き出してくる処理である。
先の例、施策A及びB(A = CA∧TA、B = CB∧TB)を用いて、この二つの施策の組合せポテンシャルを計算する際の、要素抜き出しの処理は、以下の四つである。
・Target(TA∧TB)に属する要素を抽出する処理(図6のS601)
・Target(TA∧CA∧¬TB)に属する要素を抽出する処理(図8のS801)
・Target(TB∧CB∧¬TA)に属する要素を抽出する処理(図8のS801)
・Target(TA∧CA∧TB∧CB)に属する要素を抽出する処理(図10のS1001)
つまり、要素抜き出しの処理回数である抜出し回数Kaは、10^4C2通りの組合せの各々について4処理なので、Ka = 10^4 * (10^4 - 1) * (1/2) * 4である。
図11A〜図11Dに示す上位互換判断処理(上位互換の関係性が施策間に成立するかどうかを判断する処理)をあらかじめ行っておくことで、抜出し回数Kaを削減できる。上位互換判断処理においても要素抜き出しの処理が生じるが、上位互換判断処理において上位互換関係が特定されることで、当該上位互換関係から、組合せポテンシャルが導出不要な程に低いことが予想される施策組合せについては、組合せポテンシャルの導出対象の施策組合せから除外することができる。以って、全体として、抜出し回数Kaを削減することができる。
施策Bが施策Aの上位互換であるとは、下記条件(a)〜(c)満たすことである。
(a)Target(TB)⊃Target(TA)。すなわち、施策Bの対象範囲が施策Aの対象範囲を包含すること。
(b)P(B at Target(TA)) => {P(B∧TA at Target(TA))、 P(A at Target(TA))、 P(B∧A at Target(TA))、 0}。すなわち、施策Aの対象範囲での施策Bのポテンシャルが、施策Aの対象範囲での施策(B∧TA)のポテンシャル以上でありかつ、施策Aのポテンシャル以上でありかつ、施策Aの対象範囲での施策Bと施策A両方実施のポテンシャル以上でありかつ、0以上であることが成立すること。
(c)KPI_ave(Target(CB∧TB)) > KPI_ave(Target(TB∧¬TA))。すなわち、施策Bの対象範囲のうち施策Aの対象範囲との非重複範囲において施策Bのポテンシャルが正であること。
施策Bが施策Aの上位互換の場合、施策Xと施策Bとの施策組合せについて組合せポテンシャルが導出されるのであれば、施策Xと施策Aとの施策組合せは、組合せポテンシャルの導出対象から除外される。なぜなら、施策Xと施策Aとの施策組合せの組合せポテンシャルが施策Xと施策Bとの施策組合せの組合せポテンシャルより低く、故に、施策Xと施策Aとの施策組合せについて組合せポテンシャルを導出する必要が無いからである。
条件(a)は、対象をどこまで広げられるかをチェックするための条件である。例えば、神奈川県の顧客が全て建設業であれば、建設業に属する顧客に対して施策を実施すれば、神奈川県に属する顧客に対して当該施策を実施することになる。
条件(b)は、条件(a)が成立している状況において、施策Aの対象範囲において、施策Aと施策Bに含まれる条件の組合せから形成可能な施策のいづれよりも、施策Bを実施した方がポテンシャルが大きいことをチェックするための条件である。
条件(c)は、施策Bの対象範囲のうち施策Aの対象範囲との非重複範囲において施策Bを実施することに意義があることをチェックするための条件である。
図11A〜図11Dを参照して、上位互換判断処理を説明する。なお、図11A〜図11Dの説明では、施策Bが施策Aの上位互換かどうかの判断を例に取る。
上位互換判断部125は、入力データ101から、Target(TA∧TB)に属する要素を探す(S1101)。上位互換判断部125は、Num(Target(TA∧TB))及びKPI_ave(Target(TA∧TB))を算出する(S1102)。
上位互換判断部125は、施策リスト131から、P(A at Target(TA))、Num(Target(TA)), KPI_ave(Target(TA))、Num(Target(TB))、KPI_ave(Target(TB))及びKPI_ave(Target(TB∧CB))を特定する(S1103)。
上位互換判断部125は、Num(Target(TA∧TB))がNum(Target(TA))と一致するか否かを判断する(S1104)。S1104の判断結果が否定の場合(S1104:No)、上位互換判断部125は、施策Bが施策Aの上位互換ではないとの結果を出力する(S1105)。施策Bの対象範囲が施策Aの対象範囲を包含しないためであり、このような場合には、施策Xと施策Aとの施策組合せの組合せポテンシャルが必ずしも施策Xと施策Bとの施策組合せの組合せポテンシャルより低いとは限らないからである。
S1104の判断結果が肯定の場合(S1104:Yes)、上位互換判断部125は、入力データ101から、Target(TA∧¬(TB∧CB))に属する要素を探す(S1106)。上位互換判断部125は、Num(Target(TA∧¬(TB∧CB)))及びKPI_ave(Target(TA∧¬(TB∧CB)))を算出する(S1107)。上位互換判断部125は、P(B at Target(TA)) = {KPI_ave(Target(TB∧CB)) - KPI_ave(Target(TA∧¬(TB∧CB)))} * Num(Target(TA∧¬(TB∧CB)))を算出する(S1108)。
上位互換判断部125は、P(B at Target(TA))が0であるか否かを判断する(S1109)。S1109の判断結果が否定の場合(S1109:No)、上位互換判断部125は、上述した条件(b)に従う、すなわち、施策Bが施策Aの上位互換ではないとの結果を出力する(S1110)。その理由は次の通りである。すなわち、S1104の判断結果が肯定の場合、TBがTAを包含している。S1109の判断結果が否定の場合、施策Aの対象範囲においては、施策Bを実施するよりも何も実施しない方がKPI総和増加量は上昇する。故に、TBの範囲全体に施策Bを実施することは得策ではなく、結果として、施策Bは施策Aの上位互換ではない。
S1110の判断結果が肯定の場合(S1110:Yes)、上位互換判断部125は、P(B at Target(TA))がP(A at Target(TA))と一致するか否かを判断する(S1111)。S1111の判断結果が否定の場合(S1111:No)、上位互換判断部125は上述した条件(b)に従う、すなわち、、施策Bが施策Aの上位互換ではないとの結果を出力する(S1112)。その理由は次の通りである。すなわち、S1104の判断結果が肯定の場合、TBがTAを包含している。S1111の判断結果が否定の場合、施策Aの対象範囲においては、施策Bを実施するよりも施策Aを実施する方がKPI総和増加量は上昇する。故に、TBの範囲全体に施策Bを実施することは得策ではなく、結果として、施策Bは施策Aの上位互換ではない。
S1111の判断結果が肯定の場合(S1111:Yes)、上位互換判断部125は、Num(Target(TA∧TB∧CB))及びKPI_ave(Target(TA∧TB∧CB))を算出する(S1113)。上位互換判断部125は、P(B∧TA at Target(TA)) = {KPI_ave(Target(TA∧TB∧CB)) - KPI_ave(Target(TA∧¬(TB∧CB)))} * Num(Target(TA∧¬(TB∧CB)))を算出する(S1114)。
上位互換判断部125は、P(B at Target(TA))がP(B∧TA at Target(TA))と一致するか否かを判断する(S1115)。S1115の判断結果が否定の場合(S1115:No)、上位互換判断部125は、上述した条件(b)に従う、すなわち、施策Bが施策Aの上位互換ではないとの結果を出力する(S1116)。その理由は次の通りである。すなわち、S1104の判断結果が肯定の場合、TBがTAを包含している。S1115の判断結果が否定の場合、TB∧CB∧TAであらわされる施策を実施する方がKPI総和増加量は上昇する。故に、TBの範囲全体に施策Bを実施することは得策ではなく、結果として、施策Bは施策Aの上位互換ではない。
S1115の判断結果が肯定の場合(S1115:Yes)、上位互換判断部125は、入力データ101から、Target(TA∧CA∧TB∧CB)に属する要素を探す(S1117)。上位互換判断部125は、Num(Target(A∧B))及びKPI_ave(Target(A∧B))を算出する(S1118)。上位互換判断部125は、Num(Target(TA∧¬(A∧B)))及びKPI_ave(Target(TA∧¬(A∧B)))を算出する(S1119)。上位互換判断部125は、P(B∧A at Target(TA)) = {KPI_ave(Target(A∧B)) - KPI_ave(Target(TA∧¬(A∧B)))} * Num(Target(TA∧¬(A∧B)))を算出する(S1120)。
上位互換判断部125は、P(B at Target(TA))がP(A∧B at Target(TA))と一致するか否かを判断する(S1121)。S1121の判断結果が否定の場合(S1121:No)、上位互換判断部125は、上述した条件(b)に従う、すなわち、施策Bが施策Aの上位互換ではないとの結果を出力する(S1122)。その理由は次の通りである。すなわち、S1104の判断結果が肯定の場合、TBがTAを包含している。S1121の判断結果が否定の場合、TB∧CB∧TA∧CAであらわされる施策を実施する方がKPI総和増加量は上昇する。故に、TBの範囲全体に施策Bを実施することは得策ではなく、結果として、施策Bは施策Aの上位互換ではない。
S1121の判断結果が肯定の場合(S1121:Yes)、上位互換判断部125は、KPI_ave(Target(¬TA∧TB))を算出する(S1123)。
上位互換判断部125は、KPI_ave(Target(TB∧CB))がKPI_ave(Target(¬TA∧TB))よりも大きいか否かを判断する(S1124)。S1124の判断結果が否定の場合(S1124:No)、上位互換判断部125は、上述した条件(c)に従う、すなわち、施策Bが施策Aの上位互換ではないとの結果を出力する(S1125)。その理由は次の通りである。すなわち、S1104の判断結果が肯定の場合、TBがTAを包含している。S1124の判断結果が否定の場合、施策Bの対象範囲のうち施策Aの対象範囲との非重複範囲においては、施策Bを実施するよりも何も実施しない方がKPI総和増加量は上昇する。故に、TBの範囲全体に施策Bを実施することは得策ではなく、結果として、施策Bは施策Aの上位互換ではない。
S1124の判断結果が肯定の場合(S1124:Yes)、上位互換判断部125は、施策Bが施策Aの上位互換ではあるとの結果を出力する(S1126)。
上位互換判断部125は、このような上位互換判断処理を行うことで、施策リスト131が示す複数の施策の上位互換関係を特定し、当該上位互換関係を示す情報である上位互換関係情報133を記憶装置112に格納する。施策組合せ選択部122は、上位互換関係情報133が示す上位互換関係を基に、組合せポテンシャルが相対的に低い施策組合せ(つまり、組合せポテンシャルを導出する必要が無い施策組合せ)を特定し、当該施策組合せを、組合せポテンシャルの導出対象から除外する。
先の例、施策A及びB(A = CA∧TA、B = CB∧TB)を用いて、施策Bが施策Aの上位互換か否かを判断する際に必要な要素抜き出しの処理は三つあり、以下のようになる。
・Target(TA∧TB)に属する要素を抽出する処理(図11AのS1101)
・Target(TA∧¬(TB∧CB))に属する要素を抽出する処理(図11AのS1106)
・Target(TA∧CA∧TB∧CB)に属する要素を抽出する処理(図11CのS1117)
上位互換の判断の際に、図12に示した施策を横軸に対象範囲要素数、縦軸に単体のポテンシャルをとった2次元平面上へのプロットを用いることができる。上位互換の成立条件から、施策Bが施策Aの上位互換ならば、Num(Target(TB))がNum(Target(TA))よりも大きい、かつ、P(B at Target(TB)がP(A at Target(TA))と一致する、が成立する。このため、図中のある施策Aに対する上位互換の候補は上位互換性の条件から、施策Aの右上の領域のみ調査対象1200とすればよい。
このとき、施策iにおける上位互換となる施策は何かを調査する処理において、施策iを図12における右上に位置する施策から左下に位置する施策へと順にとることで、上位互換の判断に関わる処理を低減できる。
一般には、一つの施策に対して、その上位互換となる施策が二つ以上存在する場合がある。このため、上位互換による関係性であらわされるツリー構造が、一つの極大元に対して一つのツリー構造というように分割されるとは限らないが、この例では10^4個の施策が、10^3個ずつ、それぞれ一つの極大元となる施策を持つ10個の群に分類される。図13に例示の上位互換関係1300によれば、各階層に2^n-1個の施策を有する上位互換ツリーが形成される。このとき、施策iにおける上位互換となる施策は何かを調査する際に、そこまでに上位互換の判断処理を行った施策については、この上位互換ツリーの一部が判明している。ここで、施策iと判断済みの各ツリーの上位の施策とから上位互換の判断処理を行うことで、施策iと上位互換の関係にないと判断された施策のツリーにおける下位にある施策とは、上位互換の判断処理を行う必要は無い。これによって、調査対象1200の内の大部分は上位互換の判断処理を行う必要は無い。
図12に示した2次元平面上に施策が、一様に分布しており、格子点上にプロットされているとすると、10000件の施策が、100*100の格子点上に分布しており、左下、右下、左上、右上の施策をそれぞれ[1, 1]、[1, 100]、[100, 1]、[100, 100]番目の施策とすると、[m, n]番目の施策における調査対象1200に属する施策の数は(101-m)*(101-n)-1個である。
以上から、上位互換の判断の際に必要な要素抜き出しの処理回数Kbは組合せごとに3処理なので、Kb = { Σ[m=1~100]Σ[n=1~100] {(100-m+1)(100-n+1)-1} }*(1/10)*3≒ 10^8、となる。
図13は、十個のツリーの内二個のツリー(AツリーとBツリー)を示している。
上位互換性から、図13におけるAツリーの中で最良の組合せはa1とa2の組か、a1とa3の組に限定される。
さらに、Target(Ta1)とTarget(Tb1)の重複範囲が図14に示すような状態であったとする。このときa4及びa5以下の施策群はBツリーの施策群と重複しないので、a4及びa5以下の施策群とBツリーの施策群の組合せによる組合せポテンシャルは、a2とBツリーの施策群の組合せによる組合せポテンシャルよりも必ず小さくなる。このため、a4及びa5以下の施策群とBツリーの施策群との組合せは、施策組合せリストに選出する対象から除外されてよい。同様の理由から、a12及びa13以下の施策群とBツリーの施策群の組合せによる組合せポテンシャルはa6とBツリーの施策群の組合せによる組合せポテンシャルよりも必ず小さくなるため、施策組合せリストに選出する対象から除外されてよい。よって、Aツリーに属する施策の中で、Bツリーの施策群との組合せで施策組合せリストに選出するべき施策は、a1、a2、a3、a4、a7とa7を極大元とする施策群であり、この数は(2^8+3)である。同様の事がBツリーについても言える。
以上から、このAツリーとBツリーから、施策組合せリストに選出すべき組合せは、下記である。
・各ツリーの中だけでの組合せ:2*2=4組合せ
・各ツリーで一つずつ出し合う組合せ:(2^8+3)^2組合せである。
これを十個のツリーすべてで考えて、施策組合せリストに選出するべき組合せは、10C2*{(2^8+3)^2 + 4}、となる。
このとき組合せポテンシャル導出部123における要素抜き出しの処理回数Kcは組合せごとに3処理なので、Kc = 10C2*{(2^8+3)^2 + 4}*4 となる。
上位互換性を用いない場合の要素抜き出しの処理回数Kaと、上位互換性を用いた場合の要素抜き出しの処理回数(Kb+Kc)とを比較する事でわかるように、上位互換の関係性が施策どうしの間に成立するかどうかをあらかじめ計算しておくことで、要素抜き出しの処理の回数をおよそ10分の1以下に低減できる。
本システム150における関係編集部126は、施策間の上位互換関係の編集をユーザから受け付けるユーザインターフェースの一例として、編集画面(典型的にはGUI(Graphical User Interface))を提供する。編集画面を介して、ユーザから、上位互換関係を編集すること(言い換えれば、組合せポテンシャルの導出対象とする又はしない施策組合せに入る施策群を変更すること)を受け付けることができる。また、編集画面を介して、最良の施策組合せにはなりえない施策組合せとして組合せポテンシャルの導出対象から除外した組合せをユーザに提示し、当該施策組合せを組合せポテンシャルの導出対象とすることをユーザから受け付けることができる。
施策間の上位互換の関係をユーザに提示しこの内容をユーザが修正する編集画面の一例を図15に示す。
上位互換判断部125により判断された上位互換関係が、ユーザの持つ知識や経験から実情と異なるような場合に、ユーザは、編集画面1500を通じて施策間の上位互換関係を修正することができる。編集画面1500は、施策詳細UI(User Interface)1501と、上位互換関係UI1502とを有する。施策詳細UI1501は、施策リスト131が示す各施策についての情報を示す。施策詳細UI1501における表示は、施策リスト131に従う。上位互換関係UI1502は、上位互換関係情報133が示す上位互換関係におけるツリーを示す。
関係編集部126は、編集画面1500を介して、施策の選択を受け付け、当該選択された施策xについて、下記の編集操作を受け付けることができる。
・施策xを単独で独立させる。
・施策xを極大元とするツリーを独立させる。
・施策xを削除する。
・施策xを極大元とするツリーを削除する。
図15では、下記施策a3が、下記施策a7の上位互換であった例が採用されている。
・施策a3:{顧客所在地:神奈川県}∧{業種:建設業}を満たす対象に{提案商材:OA機器}を実施、という施策。
・施策a7:{従業員数:30以上50未満}∧{顧客平均株価:2k円以上3k円未満}を満たす対象に{訪問時間帯:昼}を実施、という施策。
この時、施策a3は施策a7に対して、包含関係とポテンシャルでわずかに上回っていたことで上位互換判断部125により上位互換と判断されている。しかし、ユーザの判断によれば、提案商材を変更するのは営業担当者の知識や資料等の準備の必要性から実施の難易度が高いのに対して、訪問時間帯を変更するのは実施の難易度が低い。ユーザの持つ知識や経験から施策の実施容易性やコストを判断して、施策a3は施策a7の上位互換ではなく、図15に示すように、ユーザは編集画面1500を操作して、施策a1を極大元とするツリー構造の中から、施策a7を極大元とする上位互換のツリー構造を除外し、独立した施策a7を極大元とする上位互換のツリー構造を生成し、施策の上位互換の関係を修正することができる。
最良の施策組合せにはなりえない施策組合せとして組合せポテンシャルの導出対象から除外した組合せをユーザに提示しこの内容をユーザが修正することができる編集画面の一例を図16に示す。
編集画面1600は、施策詳細UI1601と、上位互換関係UI1602とを有する。施策詳細UI1601は、施策リスト131が示す各施策についての情報を示す。上位互換関係UI1602は、上位互換関係情報133が示す上位互換関係におけるツリーを示す。
関係編集部126は、編集画面1600を介して、組合せポテンシャルの導出対象から除外された施策組合せの情報を表示する。Aツリーに属する施策とBツリーに属する施策間の施策組合せを例に取ると、当該情報は、例えば、AツリーとBツリーの各々について、除外された施策群のうち極大元に最も近い施策を示す情報でよい。関係編集部126は、Bツリー(AツリーとBツリーの一方の一例)のうちの施策の選択をユーザから受け付けた場合、Aツリーに属する施策のうち、当該選択された施策との施策組合せであり組合せポテンシャルの導出対象から除外された施策組合せに属する施策の情報を施策詳細UI1601に表示する。Bツリーから選択された施策xと、施策詳細UI1601(Aツリー)から選択された施策yについて、関係編集部126は、下記のうちのいずれかの操作を受け付けることができる。
・施策xと施策yの組合せを、施策組合せリストに加えること。
・施策xと、施策yを極大元とするツリーに属する施策との施策組合せを、施策組合せリストに加えること。
上位互換の関係から施策組合せリストから除外した施策組合せの中で、ユーザの持つ知識や経験から判断したとき、組合せポテンシャルを計算しておきたい場合に、施策組合せリストにこれらの施策組合せを加えることができる。図16では、まずユーザは例えば上位互換関係UI1602から施策b2を選択する。この選択に応答して、関係編集部126は、施策組合せリスト132に含まれていない、施策b2との組み合わせをなす施策を施策リスト131から特定し、特定した施策の情報を施策詳細UI1601に表示する。この中の施策から、ユーザは施策a5を選択する。この選択に応答して、関係編集部126は、施策b2と施策a5の組合せを施策組合せリストに加える、あるいは施策b2と施策a5を極大元とするツリーに属する施策の組合せを施策組合せリストに加える、という選択肢を表示する。ユーザからいずれかの選択肢の選択を受け付けた場合に、関係編集部126は、当該選択肢に従う処理、つまり、除外されていた施策組合せを示す情報を施策組合せリスト132に追加する。その追加に応答して、組合せポテンシャル導出部123が、当該追加された施策組合せについて組合せポテンシャルを導出することで施策組合せリスト132を更新し、出力部124が、更新後の施策組合せリスト132に基づく推奨情報を表示してもよい。
以上、図11A〜図16を参照して説明したように、図1の一点鎖線で示した機能や情報が本実施形態では用意されてよい。図11A〜図16を参照して説明は、例えば、下記のように表現することができる。
本システム150は、施策リスト131と入力データ101とを基に、複数の施策に施策の包含関係に基づく上位互換関係があるか否かを判断する上位互換判断部125を更に有してもよい。上位互換関係は、二つ以上の極大元としての二つ以上の施策と当該二つ以上の施策の少なくとも一つに包含される一つ以上の施策とを含んだ複数のツリーで構成された関係である。施策組合せ選択部122は、上位互換関係に基づき、一部の施策組合せを、組合せポテンシャルの導出対象から除外する(施策組合せリスト132に当該施策組合せの情報を保存しない)。
具体的には、例えば、施策組合せ選択部122は、第1のツリーに属する施策と施策組合せを構成する第2のツリーに属する施策のうち第2のツリーにおいて極大元より下位にある少なくとも一つの施策について、第1のツリーに属する施策との施策組合せを、組合せポテンシャルの導出対象から除外する。より具体的には、例えば、下記(x)及び(y)のうちの少なくとも一つである。
(x)第1のツリーに属する極大元としての施策と、第1のツリーに属し第2のツリーに属さず第1のツリーにおいて極大元よりも下位にある少なくとも一つの施策との施策組合せ。
(y)第2のツリーに属する極大元としての施策と、第2のツリーに属し第1のツリーに属さず第2のツリーにおいて極大元よりも下位にある少なくとも一つの施策との施策組合せ。
施策Bが施策Aの上位互換であることは、下記(a)乃至(c)の全てが満たされていることである。
(a)施策Bの対象範囲が施策Aの対象範囲を包含する。
(b)施策Aの対象範囲での施策Bのポテンシャルが、施策Aの対象範囲での施策(B∧TA)のポテンシャルであること、施策Aのポテンシャルであること、施策Aの対象範囲での施策Bと施策Aの両方実施のポテンシャルであること、且つ、正でないこと。
(c)施策Bの対象範囲と施策Aの対象範囲以外の範囲とでの施策Bのポテンシャルが正であること。
本システム150は、上位互換関係の編集をユーザから受け付けるユーザインターフェースを提供する関係編集部126を更に有する。
関係編集部126は、ユーザインターフェースを介して、上位互換関係から施策の選択を受け付け、組合せポテンシャルの導出対象から除外された施策組合せのうち、当該選択された施策と施策組合せを構成する施策を提供する。更に、関係編集部126は、ユーザインターフェースを介して、当該選択された施策(例えば施策b2)と上記提供された施策(例えば施策a5)との施策組合せを組合せポテンシャルの導出対象とするか否かの選択を受け付ける。
以上、一実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。例えば、本発明は、工場から収集される種々の計測値(例えば、温度、湿度及びプレス圧等)を含んだデータを入力データとし当該入力データの分析結果として得られた複数の施策から歩留まり率向上のための施策組合せを探すといった種々のケースに適用することができる。この場合、例えば、要素は、製品ロットで、目的変数は、不良品割合で、複数の説明変数は、{外気温,天気,外気湿度,プレス圧,炉内温度,動作スピード}で、そのうち、非可制御性変数は、{外気温,天気,外気湿度}で、可制御性変数は、{プレス圧,炉内温度,動作スピード}である。