JP2020086402A - 位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、以下を提供する。
構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含み、
前記相分離構造は、前記重合単位Aを主成分とする相(A)と、前記重合単位Bを主成分とする相(B)とを含み、下記条件(1)又は(2)を満たす、位相差フィルム。
条件(1):D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。
条件(2):D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。
ここで、
f(A)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Aの総重量比率を表し、
f(B)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Bの総重量比率を表し、
D(A)=ReA(450)/ReA(550)であり、
D(B)=ReB(450)/ReB(550)であり、
ReA(450)は、前記重合単位Aからなる重合体(A)から形成されたフィルム(A)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReA(550)は、前記フィルム(A)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(450)は、前記重合単位Bからなる重合体(B)から形成されたフィルム(B)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(550)は、前記フィルム(B)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表す。
[2] 波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)が、100nm以上300nm以下である、[1]に記載の位相差フィルム。
[3] 波長450nmで測定された面内方向レターデーションRe(450)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)に対する比率(Re(450)/Re(550))が、0以上1未満である、[1]又は[2]に記載の位相差フィルム。
[4] 前記相分離構造における前記シリンダの直径が、50nm以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[5] 前記重合体(A)の屈折率n(a)と前記重合体(B)の屈折率n(b)との差の絶対値(|n(a)−n(b)|)が、0.05以上である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[6] 前記相分離構造における相間距離が、200nm以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[7] 前記共重合体Pが、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有するブロック重合体である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[8] 前記共重合体Pが、トリブロック共重合体P’を含み、前記トリブロック共重合体P’は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)トリブロック共重合体である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[9] 前記共重合体Pが、ペンタブロック共重合体P”を含み、前記ペンタブロック共重合体P”は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)ペンタブロック共重合体である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[10] 前記共重合体Pの固有複屈折値が、負である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[11] 0.9>f(A)>0.5又は0.9>f(B)>0.5である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
本実施形態の位相差フィルムは、樹脂Cからなる。
樹脂Cは、特定の共重合体Pを含有する。共重合体Pは、重合単位Aと重合単位Bとを含む。共重合体Pは、好ましくは、重合単位Aを主成分とするブロック(A)、及び重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有するブロック共重合体である。一般に、ブロック共重合体とは、複数種類のブロックが連結された分子構造を有する重合体であり、それぞれのブロックは、重合単位が連結することにより構成される鎖である。本発明の一実施形態における特定のブロック共重合体は、特定のブロック(A)及びブロック(B)を有する。以下の説明においては、かかる特定のブロック共重合体を、単に「ブロック共重合体」という場合がある。ここで、あるブロックにおいて主成分である重合単位とは、当該ブロックを構成する重合単位の全重量に対して、50重量%以上である重合単位をいう。
式(A)においては、
好ましくは、R1が水素原子である。
好ましくは、R2及びR3が水素原子である。
好ましくは、RCがナフチル基である。
より好ましくは、R2及びR3が水素原子であり且つRCがナフチル基であるか、又は、R2及びR3が水素原子であり且つR1が水素原子である。更に好ましくは、R2及びR3が水素原子であり、RCがナフチル基であり、且つR1が水素原子である。
共重合体Pは、重合単位Aとして1種のみを単独で有していてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて有していてもよい。したがって、重合単位Aを形成するための単量体(a)としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
共重合体Pは、重合単位Bとして1種のみを単独で有していてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて有していてもよい。したがって、重合単位Bを形成するための単量体(b)としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
共重合体Pがブロック(B)を有する場合、ブロック(B)は、重合単位B以外に任意の重合単位を有しうる。かかる任意の重合単位の例としては、単量体(b)が重合してなる重合単位であって水素化されていない二重結合が残存するもの、並びに単量体(b)と共重合可能な任意の単量体の重合により形成される単位及び当該単位の水素化により形成される単位が挙げられる。
ただし、樹脂Cの光学的特性及び機械的特性の発現の観点から、ブロック(A)における重合単位Aの割合及びブロック(B)における重合単位Bの割合はいずれも高いことが好ましい。ブロック(A)における重合単位Aの割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは95重量%以上であり、特に好ましくは、ブロック(A)は重合単位Aのみからなる。ブロック(B)における重合単位Bの割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは95重量%以上であり、特に好ましくは、ブロック(B)は重合単位Bのみからなる。
直線型ブロック共重合体の例としては、ブロック(A)及びブロック(B)が連結した(A)−(B)のブロック構成を有するジブロック共重合体;ブロック(A)、ブロック(B)及びもう一つのブロック(A)がこの順に連結した(A)−(B)−(A)のブロック構成を有するトリブロック共重合体(本願において、「トリブロック共重合体P’」という場合がある);3つのブロック(A)及び2つのブロック(B)が、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)の順に連結したブロック構成を有する、ペンタブロック共重合体(本願において、「ペンタブロック共重合体P”」という場合がある);並びにそれより多数のブロックが連結したブロック構成を有する直線型ブロック共重合体が挙げられる。多数のブロックが連結したブロック構成の例としては、(A)−((B)−(A))n−(B)−(A)、及び(B)−((A)−(B))n−(A)−(B)(nは1以上の整数)のブロック構成が挙げられる。
グラフト型ブロック共重合体の例としては、ブロック(A)に、側鎖としてブロック(B)が連結した(A)−g−(B)のブロック構成を有するブロック共重合体が挙げられる。
位相差フィルムは、構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含む。相分離構造は、位相差フィルムを構成する樹脂Cの層内に形成される。樹脂Cの相分離構造とは、樹脂Cにおける共重合体Pの重合単位Aで構成される部分(例えばブロック(A))と重合単位Bで構成される部分(例えばブロック(B))の自己組織化により、層内において、重合単位Aを主成分とする相(相(A)ともいう。)と、重合単位Bを主成分とする相(相(B)ともいう。)とが、区別しうる別々の相に分離することをいう。以下の説明においては、これらの相を単に「重合単位Aの相」及び「重合単位Bの相」ということがある。シリンダ状の相分離構造とは、一方の相がマトリックスとなり、他方の相が、シリンダ状の構造を呈している構造を意味する。このような相分離構造を呈した配向層は、構造が光の波長よりも十分に小さい場合に構造性複屈折を発現しうる。
ここで、ある相において、主成分である重合単位とは、相を構成する重合単位の全重量に対して、50重量%以上含まれる重合単位をいう。
相間距離の調整は、共重合体Pの分子構造を調整することにより行いうる。例えば共重合体Pとしてブロック共重合体を採用し、ブロック(A)及び(B)の長さ等の要素を適宜調整することにより行いうる。
[1.3.1.条件(1)]
本発明の一実施形態に係る位相差フィルムは、D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。
D(B)=ReB(450)/ReB(550)であり、
ReA(450)は、前記重合単位Aからなる重合体(A)から形成されたフィルム(A)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReA(550)は、前記フィルム(A)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(450)は、前記重合単位Bからなる重合体(B)から形成されたフィルム(B)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(550)は、前記フィルム(B)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表す。
位相差フィルムのnxを与える方向とシリンダの配向方向とを平行とする観点から、溶融押出法におけるドラフト比(ダイリップの間隙/フィルム厚み)は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、好ましくは20以下であり、好ましくは5以上20以下であり、より好ましくは10以上20以下である。
溶融押出法における樹脂温度は、好ましくは220℃以上、より好ましくは230℃以上、更に好ましくは240℃以上であり、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下、更に好ましくは270℃以下である。
また、本発明の別の実施形態に係る位相差フィルムは、D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。
ここで、f(A)は、共重合体Pにおける、重合単位Aの総重量比率を表す。共重合単位Pにおける重合単位Aの総重量比率とは、共重合体Pの重量に対する、共重合体Pに含まれる重合単位Aの総重量の比率をいう。
シリンダの配向方向及び位相差フィルムの面内方向において最大の屈折率を与える方向は、前記条件(1)において説明した方法と同様の方法により決定しうる。
ここで、Tg(C)は、樹脂Cのガラス転移温度(℃)を意味する。
相(A)と、相(B)との屈折率差は大きければ大きいほど構造性複屈折を効率良く発現することが可能である。したがって、重合単位Aからなる重合体(A)の屈折率n(a)と、重合単位Bからなる重合体(B)の屈折率n(b)との差の絶対値(|n(a)−n(b)|)は大きい方が好ましく、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更により好ましくは0.15以上としうる。
位相差フィルムは、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)が、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、更に好ましくは120nm以上であり、大きいほど好ましいが、300nm以下とすることができ、好ましくは100nm以上300nm以下である。
本実施形態の位相差フィルムは、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置の構成要素として用いうる。
(フィルムのレターデーション)
位相差測定装置(王子計測機器(株)製「KOBRA-21-ADH」)を用いてフィルムのレターデーションを測定した。
フィルムを2mm×4mmの大きさにカットし、それらを厚み方向に30枚重ねてフォルダに固定し、小角X線散乱測定施設(あいちSR、ビームライン8S3)を用い、カメラ長4m、X線エネルギー8.2KeV、測定qレンジ:約0.06〜3nm−1、1試料あたりの露光時間60秒の条件で散乱パターンを得た。得られた散乱パターンを理論曲線とフィッティングして相分離構造を決定し、シリンダの半径及び相間距離を算出した。
(D(A)の測定)
(重合体(A)の製造)
乾燥し、窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた後、単量体(a)として2−ビニルナフタレン7.0gを添加して25℃で1時間反応させ、重合反応を行った。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、重合体を沈殿させ分取した。得られた重合体をGPCにより測定したところ重量平均分子量(Mw)は100000であった。熱機械的分析装置(TMA)により測定した重合体のガラス転移温度は145℃であった。
得られた重合体を粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を一対のポリイミドフィルム(各厚み100μm)の間に挟み積層体とし、積層体を加圧した。加圧は、電熱加圧装置を用いて行った。加圧の条件は、温度280℃、圧力40MPa、加圧時間2分間とした。加圧終了後、圧を解放して空気中で室温まで冷却し、ポリイミドフィルムを除去した。この操作により、厚み100μmの未延伸である、プレスフィルム(A)を作製した。
作製したプレスフィルム(A)を、加熱式引張試験機を用いて、チャック間80mm、延伸速度100%/分、温度155℃の条件で1.5倍に一軸延伸し、延伸フィルム(フィルム(A))を得た。波長550nmで測定されたフィルム(A)の、面内方向におけるレターデーションRe(550)は、140nmであった。また、フィルム(A)の、Re(450)/Re(550)の値(D(A))は、1.08であった。
(重合体(B)の製造)
乾燥し、窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(b)としてのイソプレン21gを添加し、更に25℃で1時間反応させて重合を行った。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、重合体を沈殿させ分取した。
得られた重合体(B)としての水添重合体の塊2gを、一対のポリイミドフィルム(各厚み100μm)の間に挟み積層体とし、積層体を加圧した。加圧は、電熱加圧装置を用いて行った。加圧の条件は、温度25℃、圧力20MPa、加圧時間2分間とした。加圧終了後、圧を解放し、ポリイミドフィルムを除去した。この操作により、厚み100μmの未延伸である、プレスフィルム(B)を作製した。
作製したプレスフィルム(B)を、加熱式引張試験機を用いて、チャック間80mm、延伸速度100%/分、温度25℃の条件で3倍に一軸延伸し、延伸フィルム(フィルム(B))を得た。波長550nmで測定されたフィルム(B)の、面内方向におけるレターデーションRe(550)は、140nmであった。また、フィルム(B)の、Re(450)/Re(550)の値(D(B))は1.03であった。
JA−ウーラム社製エリプソメータ「M−2000U]を用いて、前記プレスフィルム(A)及びプレスフィルム(B)について波長550nmでの屈折率を測定した。プレスフィルム(A)の屈折率(n(a))は、1.67であった。プレスフィルム(B)の屈折率(n(b))は、1.52であった。
透過軸が幅方向にある長尺の偏光子(サンリッツ社製、商品名「HLC2−5618S」、厚さ180μm)を用意した。偏光子の一方の面側の保護フィルムを除去し、当該面に、評価対象のフィルムを貼合した。貼合は、評価対象フィルムの遅相軸方向と偏光子の透過軸方向とが45°の角度をなすよう行った。この操作により、両面の保護フィルムのうちの一方として、評価対象のフィルムを備える円偏光板を得た。
得られた円偏光板を、市販の有機EL表示装置(LG電子製「OLED55B6P」)の視認側にもともと備えられていた円偏光板と置き換え、評価対象のフィルムを備える有機EL表示装置を得た。置き換えに際し、円偏光板の配置は、評価対象のフィルムを備える側が有機EL素子側となる配置とした。また、偏光子の透過軸は、有機EL表示装置にもともと備えられていた円偏光板における偏光子と同じ方向とした。
(トリブロック共重合体P1の製造)
乾燥し窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン3.5gを添加して25℃で1時間反応させ、一段階目の重合反応を行った。
前記項目(トリブロック共重合体P1の製造)で得られたトリブロック共重合体P1を、樹脂Cとして用いた。樹脂Cを、粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を、スクリュー直径が40mmφである押し出し機に投入し、樹脂温260℃、幅400mm、リップ間隙0.5mmのダイから20kg/minの吐出量で表面温度80℃のキャスティングドラム上に押し出した。これにより幅300mm、厚み100μmの位相差フィルムとしてのフィルム1を得た。フィルム1の厚みはキャスティングドラムの回転数によって調整した。
(トリブロック共重合体P2の製造)
乾燥し、窒素で置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン14gを添加して25℃で1時間反応させ、一段階目の重合反応を行った。
前記項目(トリブロック共重合体P2の製造)で得られたトリブロック共重合体P2を、樹脂Cとして用いた。樹脂Cを、粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を、スクリュー直径が40mmφの押し出し機に投入し、樹脂温250℃、幅400mm、リップ間隙0.5mmのダイから20kg/minの吐出量で表面温度120℃のキャスティングドラム上に押し出した。得られたフィルムのエッジ部分をトリムして、幅300mm厚み100μmのフィルム2を得た。フィルム2の厚みはキャスティングドラムの回転数によって調整した。
(トリブロック共重合体CP1の製造)
乾燥し、窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン14gを添加して25℃で1時間反応させ、一段階目の重合反応を行った。
以下の事項以外は、実施例1の(位相差フィルムの作製)と同様にして、幅300mm、厚み100μmのフィルムC1を得た。
・トリブロック共重合体P1の代わりに、トリブロック共重合体CP1を樹脂Cとして用いた。
(位相差フィルムの作製)
樹脂Cとして、実施例2において製造したトリブロック共重合体P2を用いた。樹脂Cを、粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を一対のポリイミドフィルム(各厚み100μm)の間に挟み積層体とし、積層体を加圧した。加圧は、電熱加圧装置を用いて行った。加圧の条件は、温度280℃、圧力40MPa、加圧時間2分間とした。加圧終了後、圧を解放して空気中で室温まで冷却し、ポリイミドフィルムを除去した。この操作により、厚み100μmのフィルムC3を作成した。
構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含んでいない比較例1に係るフィルムC2は、逆波長分散性を発現しておらず、フィルムC1を組み込んだ有機EL表示装置の表示特性は不良である。
シリンダ状の相分離構造を含んでいても、条件(1)及び条件(2)のいずれも満たさない、比較例2に係るフィルムC4は、逆波長分散性を発現しておらず、フィルムC4を組み込んだ有機EL表示装置の表示特性は不良である。
Claims (11)
- 重合単位Aと重合単位Bとを含む共重合体Pを含む樹脂Cからなり、
構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含み、
前記相分離構造は、前記重合単位Aを主成分とする相(A)と、前記重合単位Bを主成分とする相(B)とを含み、下記条件(1)又は(2)を満たす、位相差フィルム。
条件(1):D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。
条件(2):D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。
ここで、
f(A)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Aの総重量比率を表し、
f(B)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Bの総重量比率を表し、
D(A)=ReA(450)/ReA(550)であり、
D(B)=ReB(450)/ReB(550)であり、
ReA(450)は、前記重合単位Aからなる重合体(A)から形成されたフィルム(A)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReA(550)は、前記フィルム(A)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(450)は、前記重合単位Bからなる重合体(B)から形成されたフィルム(B)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(550)は、前記フィルム(B)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表す。 - 波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)が、100nm以上300nm以下である、請求項1に記載の位相差フィルム。
- 波長450nmで測定された面内方向レターデーションRe(450)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)に対する比率(Re(450)/Re(550))が、0以上1未満である、請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
- 前記相分離構造における前記シリンダの直径が、50nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 前記重合体(A)の屈折率n(a)と前記重合体(B)の屈折率n(b)との差の絶対値(|n(a)−n(b)|)が、0.05以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 前記相分離構造における相間距離が、200nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 前記共重合体Pが、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有するブロック重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 前記共重合体Pが、トリブロック共重合体P’を含み、前記トリブロック共重合体P’は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)トリブロック共重合体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 前記共重合体Pが、ペンタブロック共重合体P”を含み、前記ペンタブロック共重合体P”は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)ペンタブロック共重合体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 前記共重合体Pの固有複屈折値が、負である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 0.9>f(A)>0.5又は0.9>f(B)>0.5である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
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