JP2020086402A - 位相差フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】逆波長分散性を有し、低いコストで容易に製造することができる位相差フィルムを提供する。【解決手段】 重合単位Aと重合単位Bとを含む共重合体Pを含む樹脂Cからなり、構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含み、前記相分離構造は、前記重合単位Aを主成分とする相(A)と、前記重合単位Bを主成分とする相(B)とを含み、下記条件(1)又は(2)を満たす、位相差フィルム。条件(1):D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。条件(2):D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。ここで、f(A)、f(B)、D(A)、及びD(B)は、明細書で定義されたとおりである。【選択図】なし

Description

本発明は、位相差フィルムに関する。
液晶表示装置などの表示装置において、その表示品質の向上のために、様々な種類の位相差フィルムが設けられることがある。位相差フィルムとしては、多層構造を有するフィルム(特許文献1、2)、ラメラ構造を有するブロック共重合体を用いたフィルム(特許文献3)が開発されている。
特開2011−013378号公報 国際公開第2008/146924号 特開平05−164920号公報
特許文献2のフィルムは、多数の層を組み合わせて所望の光学的特性を発現させているため、構造が複雑であり、位相差フィルムの製造コストが高く、また生産性も低くなる。
また、透過させる光の波長により、位相差フィルムの光学的特性が大きく変化しないことが望ましく、そのために、位相差フィルムは逆波長分散性を有することが望ましい。ここで、逆波長分散性とは、Re(450)/Re(550)<1であるようなフィルムの特性をいう。ここで、Re(450)は、波長450nmで測定されたフィルムの面内方向のレターデーションを意味し、Re(550)は、波長550nmで測定されたフィルムの面内方向のレターデーションを意味する。
したがって、逆波長分散性を有し、低いコストで容易に製造することができる位相差フィルムが求められている。
本発明者は、前記課題を解決するべく、鋭意検討した。その結果、特定の共重合体Pを含む樹脂を用いて構造性複屈折を発現するシリンダ状の相分離構造を構成し、相分離構造におけるシリンダの配向方向を所定の方向とすることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] 重合単位Aと重合単位Bとを含む共重合体Pを含む樹脂Cからなり、
構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含み、
前記相分離構造は、前記重合単位Aを主成分とする相(A)と、前記重合単位Bを主成分とする相(B)とを含み、下記条件(1)又は(2)を満たす、位相差フィルム。
条件(1):D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。
条件(2):D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。
ここで、
f(A)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Aの総重量比率を表し、
f(B)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Bの総重量比率を表し、
D(A)=ReA(450)/ReA(550)であり、
D(B)=ReB(450)/ReB(550)であり、
ReA(450)は、前記重合単位Aからなる重合体(A)から形成されたフィルム(A)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReA(550)は、前記フィルム(A)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(450)は、前記重合単位Bからなる重合体(B)から形成されたフィルム(B)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(550)は、前記フィルム(B)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表す。
[2] 波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)が、100nm以上300nm以下である、[1]に記載の位相差フィルム。
[3] 波長450nmで測定された面内方向レターデーションRe(450)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)に対する比率(Re(450)/Re(550))が、0以上1未満である、[1]又は[2]に記載の位相差フィルム。
[4] 前記相分離構造における前記シリンダの直径が、50nm以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[5] 前記重合体(A)の屈折率n(a)と前記重合体(B)の屈折率n(b)との差の絶対値(|n(a)−n(b)|)が、0.05以上である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[6] 前記相分離構造における相間距離が、200nm以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[7] 前記共重合体Pが、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有するブロック重合体である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[8] 前記共重合体Pが、トリブロック共重合体P’を含み、前記トリブロック共重合体P’は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)トリブロック共重合体である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[9] 前記共重合体Pが、ペンタブロック共重合体P”を含み、前記ペンタブロック共重合体P”は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)ペンタブロック共重合体である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[10] 前記共重合体Pの固有複屈折値が、負である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
[11] 0.9>f(A)>0.5又は0.9>f(B)>0.5である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
本発明によれば、逆波長分散性を有し、低いコストで容易に製造することができる位相差フィルムを提供できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。フィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、「板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、フィルムの面内方向レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向のレターデーションRthは、別に断らない限り、Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×dで表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルムの前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、550nmである。
重合体の固有複屈折値の正負は、重合体の成形物を延伸した場合における、かかる成形物の屈折率の挙動によって規定される。即ち、正の固有複屈折値を有する重合体とは、延伸方向における当該成形物の屈折率が、延伸前に比べて大きくなる重合体である。また、負の固有複屈折値を有する重合体とは、延伸方向における当該成形物の屈折率が、延伸前に比べて小さくなる重合体である。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
更に、ある特定の重合単位が正の固有複屈折値を有するとは、当該重合単位のみからなる重合体が、正の固有複屈折値を有することをいい、ある特定の重合単位が負の固有複屈折値を有するとは、当該重合単位のみからなる重合体が、負の固有複屈折値を有することをいう。したがって、重合単位の固有複屈折値の正負は、当該重合単位のみからなる単独重合体を調製し、当該重合体を任意の形状の成形物とし、当該成形物を延伸し、その光学特性を測定することにより容易に判定しうる。一般に、アルケン、ジエン等の炭化水素の重合単位の多くは正の固有複屈折値を有することが知られている一方、スチレン、ビニルナフタレン等の側鎖に芳香環を有する炭化水素の重合体の多くは負の固有複屈折値を有することが知られている。
以下の説明において、あるフィルムの正面方向とは、別に断らない限り、当該フィルムの主面の法線方向を意味し、具体的には前記主面の極角0°且つ方位角0°の方向を指す。
以下の説明において、あるフィルムの傾斜方向とは、別に断らない限り、当該フィルムの主面に平行でも垂直でもない方向を意味し、具体的には前記主面の極角が0°より大きく90°より小さい範囲の方向を指す。
以下の説明において、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±3°、±2°又は±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
[1.位相差フィルム]
本実施形態の位相差フィルムは、樹脂Cからなる。
[1.1.樹脂C]
樹脂Cは、特定の共重合体Pを含有する。共重合体Pは、重合単位Aと重合単位Bとを含む。共重合体Pは、好ましくは、重合単位Aを主成分とするブロック(A)、及び重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有するブロック共重合体である。一般に、ブロック共重合体とは、複数種類のブロックが連結された分子構造を有する重合体であり、それぞれのブロックは、重合単位が連結することにより構成される鎖である。本発明の一実施形態における特定のブロック共重合体は、特定のブロック(A)及びブロック(B)を有する。以下の説明においては、かかる特定のブロック共重合体を、単に「ブロック共重合体」という場合がある。ここで、あるブロックにおいて主成分である重合単位とは、当該ブロックを構成する重合単位の全重量に対して、50重量%以上である重合単位をいう。
重合単位Aは、負の固有複屈折値を有するものとしうる。一方、重合単位Bは、正の固有複屈折値を有するものとしうる。
重合単位Aの例としては、下記一般式(A)で表される単位が挙げられる。
Figure 2020086402
は、フェニル基、ビフェニルイル基(例、4−ビフェニルイル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基)、ナフチル基(例、1−ナフチル基、2−ナフチル基)、アントラセニル基(例、アントラセン−1−イル基、アントラセン−2−イル基、アントラセン−9−イル基)、フェナントレニル基(例、フェナントレン−1−イル基、フェナントレン−2−イル基、フェナントレン−3−イル基、フェナントレン−4−イル基、フェナントレン−9−イル基)、ナフタセニル基(例、ナフタセン−1−イル基、ナフタセン−2−イル基、ナフタセン−5−イル基)、ペンタセニル基(例、ペンタセン−1−イル基、ペンタセン−2−イル基、ペンタセン−5−イル基、ペンタセン−6−イル基)、及びターフェニルイル基からなる群より選択される基である。
〜Rのそれぞれは独立に、水素原子及び炭素数1〜12のアルキル基からなる群より選択される基である。かかるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びヘキシル基が挙げられる。
式(A)においては、
好ましくは、Rが水素原子である。
好ましくは、R及びRが水素原子である。
好ましくは、Rがナフチル基である。
より好ましくは、R及びRが水素原子であり且つRがナフチル基であるか、又は、R及びRが水素原子であり且つRが水素原子である。更に好ましくは、R及びRが水素原子であり、Rがナフチル基であり、且つRが水素原子である。
重合単位Aは、重合単位Aを与える単量体(a)を重合させることにより得うる。単量体(a)の例としては、ビニルナフタレン及びその誘導体が挙げられる。ビニルナフタレンの例としては、1−ビニルナフタレン、及び2−ビニルナフタレンが挙げられる。ビニルナフタレンの誘導体の例としては、α−メチル−1−ビニルナフタレン、α−エチル−1−ビニルナフタレン、α−プロピル−1−ビニルナフタレン、α−ヘキシル−1−ビニルナフタレン、α−メチル−2−ビニルナフタレン、α−エチル−2−ビニルナフタレン、α−プロピル−2−ビニルナフタレン、及びα−ヘキシル−2−ビニルナフタレンが挙げられる。ビニルナフタレン及びその誘導体としては、工業的な入手の容易性の観点から、2−ビニルナフタレンが好ましい。
共重合体Pは、重合単位Aとして1種のみを単独で有していてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて有していてもよい。したがって、重合単位Aを形成するための単量体(a)としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
重合単位Bの例としては、下記一般式(B−1)及び(B−2)で表される単位が挙げられる。
Figure 2020086402
〜Rのそれぞれは独立に、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基からなる群より選択される基である。かかるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びヘキシル基が挙げられる。R〜Rのそれぞれは独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
重合単位Bは、重合単位Bを与えうる単量体(b)を重合させて重合単位とし、更に当該重合単位中に二重結合が存在する場合はそれを水素化することにより得うる。単量体(b)の例としては、下記一般式(bm)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020086402
単量体(b)の好ましい例としては、ブタジエン(式(bm)におけるR〜Rの全てが水素原子)、イソプレン(式(bm)におけるR〜RのうちR又はRがメチル基で他が水素原子)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、及び2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエンが挙げられる。その中でも、透明性、耐熱性、及び加工性に優れた樹脂Cを得る観点から、ブタジエン及びイソプレンがより好ましい。重合単位Bの好ましい例としては、R〜Rとして、単量体(b)の好ましい例におけるR〜Rと同じものを有するものが挙げられる。
共重合体Pは、重合単位Bとして1種のみを単独で有していてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて有していてもよい。したがって、重合単位Bを形成するための単量体(b)としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
共重合体Pがブロック(A)を有する場合、ブロック(A)は、重合単位A以外に任意の重合単位を有しうる。かかる任意の重合単位の例としては、単量体(a)と共重合可能な任意の単量体の重合により形成される単位、及び当該単位の水素化により形成される単位が挙げられる。
共重合体Pがブロック(B)を有する場合、ブロック(B)は、重合単位B以外に任意の重合単位を有しうる。かかる任意の重合単位の例としては、単量体(b)が重合してなる重合単位であって水素化されていない二重結合が残存するもの、並びに単量体(b)と共重合可能な任意の単量体の重合により形成される単位及び当該単位の水素化により形成される単位が挙げられる。
ただし、樹脂Cの光学的特性及び機械的特性の発現の観点から、ブロック(A)における重合単位Aの割合及びブロック(B)における重合単位Bの割合はいずれも高いことが好ましい。ブロック(A)における重合単位Aの割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは95重量%以上であり、特に好ましくは、ブロック(A)は重合単位Aのみからなる。ブロック(B)における重合単位Bの割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは95重量%以上であり、特に好ましくは、ブロック(B)は重合単位Bのみからなる。
ブロック(A)及びブロック(B)は、非相溶性であることが好ましい。これらが非相溶性であることにより、位相差フィルムにおいて相分離構造をより容易に得ることができる。ブロック(A)及びブロック(B)が非相溶性であるか否かは、ブロック共重合体におけるこれらのブロックの大きさと同程度の分子量を有する、重合単位Aからなる単独重合体及び重合単位Bからなる単独重合体の相溶性の有無に基づいて判定しうる。かかる単独重合体の相溶性の有無は、これらの単独重合体を混合して混合物とし、これらが溶融する温度においた場合に、これらが相分離するか否かにより判定しうる。
共重合体Pの分子構造は、重合単位A及び重合単位Bを有する限りにおいて特に限定されず、任意の構成を有する分子構造としうる。例えば、共重合体Pがブロック共重合体である場合、当該ブロック共重合体は、直線型ブロック共重合体であってもよく、グラフト型ブロック共重合体であってもよい。
直線型ブロック共重合体の例としては、ブロック(A)及びブロック(B)が連結した(A)−(B)のブロック構成を有するジブロック共重合体;ブロック(A)、ブロック(B)及びもう一つのブロック(A)がこの順に連結した(A)−(B)−(A)のブロック構成を有するトリブロック共重合体(本願において、「トリブロック共重合体P’」という場合がある);3つのブロック(A)及び2つのブロック(B)が、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)の順に連結したブロック構成を有する、ペンタブロック共重合体(本願において、「ペンタブロック共重合体P”」という場合がある);並びにそれより多数のブロックが連結したブロック構成を有する直線型ブロック共重合体が挙げられる。多数のブロックが連結したブロック構成の例としては、(A)−((B)−(A))n−(B)−(A)、及び(B)−((A)−(B))n−(A)−(B)(nは1以上の整数)のブロック構成が挙げられる。
グラフト型ブロック共重合体の例としては、ブロック(A)に、側鎖としてブロック(B)が連結した(A)−g−(B)のブロック構成を有するブロック共重合体が挙げられる。
樹脂Cに所望の光学的特性を発現させる観点から、好ましくは、共重合体Pは、1分子あたり2個以上の重合体ブロック(A)および1個以上の重合体ブロック(B)を有する分子構造を有するブロック共重合体としうる。より好ましくは、ブロック共重合体は、(A)−(B)−(A)のブロック構成を有するトリブロック共重合体としうる。
また別の実施形態では、ブロック共重合体は、好ましくは、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)のブロック構成を有するペンタブロック共重合体としうる。
樹脂Cは、共重合体Pとして1種のみを単独で含んでいてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて含んでいてもよい。
共重合体Pは、負の固有複屈折性値を有することが好ましい。そのような負の固有複屈折値は、共重合体Pにおける重合単位の割合を調整することにより付与しうる。具体的には、共重合体Pを構成する重合単位のうち、負の固有複屈折値を有する重合単位の重量分率を調整することにより、負の固有複屈折値を有する共重合体としうる。共重合体Pが負の固有複屈折性値を有することにより、位相差フィルムに所望の光学的特性を付与することができる。
樹脂Cは、共重合体Pのみからなってもよく、共重合体Pに加えて任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例としては、染料、顔料、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。かかる任意の成分の割合は、本発明の効果を損ねない範囲の割合としうる。具体的には、樹脂Cにおける共重合体Pの割合は、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99%以上であり、更により好ましくは、樹脂Cは共重合体Pのみからなる。
[1.2.位相差フィルムに含まれる構造]
位相差フィルムは、構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含む。相分離構造は、位相差フィルムを構成する樹脂Cの層内に形成される。樹脂Cの相分離構造とは、樹脂Cにおける共重合体Pの重合単位Aで構成される部分(例えばブロック(A))と重合単位Bで構成される部分(例えばブロック(B))の自己組織化により、層内において、重合単位Aを主成分とする相(相(A)ともいう。)と、重合単位Bを主成分とする相(相(B)ともいう。)とが、区別しうる別々の相に分離することをいう。以下の説明においては、これらの相を単に「重合単位Aの相」及び「重合単位Bの相」ということがある。シリンダ状の相分離構造とは、一方の相がマトリックスとなり、他方の相が、シリンダ状の構造を呈している構造を意味する。このような相分離構造を呈した配向層は、構造が光の波長よりも十分に小さい場合に構造性複屈折を発現しうる。
ここで、ある相において、主成分である重合単位とは、相を構成する重合単位の全重量に対して、50重量%以上含まれる重合単位をいう。
相(A)を構成する重合単位の全重量に対して、重合単位Aは、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上、更に好ましくは99重量%以上であり、100重量%以下としうる。相(B)を構成する重合単位の全重量に対して、重合単位Bは、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上、更に好ましくは99重量%以上であり、100重量%以下としうる。
共重合体Pが、重合単位Aを主成分とするブロック(A)と、重合単位Bを主成分とするブロック(B)とを有するブロック共重合体である場合、相(A)は通常ブロック(A)により構成され、相(B)は通常ブロック(B)により構成される。
構造性複屈折とは、かかる相分離構造のように、異なる屈折率を有する複数種類の相を含む構造において生じる複屈折である。例えば、ある構造において、ある屈折率n1を持つ相中に、n1とは異なる屈折率n2を持つ相が存在する場合、当該構造は、構造性複屈折を発現しうる。構造性複屈折は、各相が等方的な媒質で形成されていても複屈折が生じるという点で、延伸による分子配向で生じる配向性複屈折とは明確に異なるものである。
構造性複屈折が実際に生じていることは、フィルムの光学特性を測定することによって確認されうる。押出成形、プレス加工、溶剤キャスト等の常法で製膜した未延伸フィルムは通常、分子配向がランダムであるためRe及びRthがほぼゼロに近い値をとる。一方、構造性複屈折が発現している未延伸フィルムでは、常法で製膜した通常の未延伸フィルムで観察される値よりも大きな値のRe及びRthが観察される。したがって、かかる値の測定により、構造性複屈折の発現の確認を行いうる。ただし、電子顕微鏡やX線小角散乱による構造観察を併せて行うことにより、より確実な構造性複屈折の発現の確認を行いうる。
相分離構造における相間距離は、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下であり、0nmより大きく、例えば10nm以上としうる。相間距離とは、シリンダとシリンダとの間隔を指す。相間距離としては、小角X線散乱の測定で得られた散乱パターンを理論曲線とフィッティングして求められた値を採用しうる。
相間距離の調整は、共重合体Pの分子構造を調整することにより行いうる。例えば共重合体Pとしてブロック共重合体を採用し、ブロック(A)及び(B)の長さ等の要素を適宜調整することにより行いうる。
相分離構造におけるシリンダの直径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下であり、0nmより大きく、例えば10nm以上としうる。
相分離構造における相間距離、及びシリンダの大きさがこのように可視光よりも十分に小さいことにより、構造複屈折が発現しうる。また、フィルムの着色を抑制し、ヘイズの上昇により光線透過率が低下することを抑制することができる。
[1.3.位相差フィルムが満たす条件]
[1.3.1.条件(1)]
本発明の一実施形態に係る位相差フィルムは、D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。
ここで、f(B)は、共重合体Pにおける、重合単位Bの総重量比率を表す。共重合単位Pにおける重合単位Bの総重量比率とは、共重合体Pの重量に対する、共重合体Pに含まれる重合単位Bの総重量の比率をいう。
f(B)は、共重合体PのNMRを測定することにより決定されうる。
f(B)が0.5より大きいことで、通常シリンダ状の相分離構造において、相(B)がマトリックスとなり、相(A)がシリンダ状の構造を呈する。
また、D(A)=ReA(450)/ReA(550)であり、
D(B)=ReB(450)/ReB(550)であり、
ReA(450)は、前記重合単位Aからなる重合体(A)から形成されたフィルム(A)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReA(550)は、前記フィルム(A)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(450)は、前記重合単位Bからなる重合体(B)から形成されたフィルム(B)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
ReB(550)は、前記フィルム(B)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表す。
重合単位Aからなる重合体(A)は、重合単位Aに対応する単量体を重合させ、更に必要に応じて水素添加などの反応を行うことにより得られうる。重合単位Bからなる重合体(B)は、重合単位Bに対応する単量体を重合させ、更に必要に応じて水素添加などの反応を行うことにより得られうる。共重合体Pがブロック(A)及びブロック(B)を有する場合、重合体(A)及び重合体(B)はそれぞれ、ブロック(A)及びブロック(B)の製造方法と同様にして得られうる。
フィルム(A)は、次のとおりにして製造しうる。まず、重合体(A)を破砕して粉体とし、粉体を2枚のポリイミドフィルムの間に挟んで積層体とし、積層体を加圧してからポリイミドフィルムを除去して厚み100μmのプレスフィルム(A)を製造する。加圧の条件は、温度280℃、圧力40MPa、時間2分間としうる。次いで、プレスフィルム(A)を1.5倍に一軸延伸することによりフィルム(A)が得られる。
フィルム(B)は、次のとおりにして製造しうる。まず重合体(B)を破砕して粉体とし、粉体を2枚のポリイミドフィルムの間に挟んで積層体とし、積層体を加圧してからポリイミドフィルムを除去して厚み100μmのプレスフィルム(B)を製造する。加圧の条件は、温度25℃、圧力20MPa、時間2分間としうる。次いで、プレスフィルム(B)を3倍に一軸延伸することによりフィルム(B)が得られる。
シリンダの配向方向、すなわち、シリンダの長軸の配向方向は、小角X線散乱の測定で得られた散乱パターンを、理論曲線とフィッティングすることにより決定しうる。
位相差フィルムの面内方向において最大の屈折率を与える方向、すなわちnxを与える方向は、位相差測定装置により測定しうる。
本実施形態の位相差フィルムが条件(1)を満たすことで、位相差フィルムが、逆波長分散性を備えうる。
位相差フィルムが条件(1)を満たす場合において、f(B)は、通常0.5以上、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.6以上であり、好ましくは0.9未満であり、より好ましくは0.85以下であり、更に好ましくは0.8以下である。f(B)は、共重合体Pの製造のための材料及び製造の操作を適宜調整することにより調整しうる。
条件(1)を満たす位相差フィルムは、例えば、D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5を満たす共重合体Pを含む樹脂Cを、溶融押出法によりフィルム状に成形することにより得うる。
位相差フィルムのnxを与える方向とシリンダの配向方向とを平行とする観点から、溶融押出法におけるドラフト比(ダイリップの間隙/フィルム厚み)は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、好ましくは20以下であり、好ましくは5以上20以下であり、より好ましくは10以上20以下である。
溶融押出法における樹脂温度は、好ましくは220℃以上、より好ましくは230℃以上、更に好ましくは240℃以上であり、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下、更に好ましくは270℃以下である。
[1.3.2.条件(2)]
また、本発明の別の実施形態に係る位相差フィルムは、D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。
ここで、f(A)は、共重合体Pにおける、重合単位Aの総重量比率を表す。共重合単位Pにおける重合単位Aの総重量比率とは、共重合体Pの重量に対する、共重合体Pに含まれる重合単位Aの総重量の比率をいう。
f(A)は、共重合体PのNMRを測定することにより決定されうる。
f(A)が0.5より大きいことで、通常シリンダ状の相分離構造において、相(A)がマトリックスとなり、相(B)がシリンダ状の構造を呈する。
また、D(A)、D(B)は、前記条件(1)の説明における定義と同義である。
シリンダの配向方向は、通常面内方向と平行である。
シリンダの配向方向及び位相差フィルムの面内方向において最大の屈折率を与える方向は、前記条件(1)において説明した方法と同様の方法により決定しうる。
本実施形態の位相差フィルムが条件(2)を満たすことで、位相差フィルムが、逆波長分散性を備えうる。
位相差フィルムが条件(2)を満たす場合において、f(A)は、通常0.5以上、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上であり、好ましくは0.9未満であり、より好ましくは0.85以下であり、更に好ましくは0.80以下である。f(A)は、共重合体Pの製造のための材料及び製造の操作を適宜調整することにより調整しうる。
条件(2)を満たす位相差フィルムは、例えば、D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5を満たす共重合体Pを含む樹脂Cを、溶融押出法によりフィルム状に成形し、次いで得られた押出フィルムを、延伸することによって得うる。
押出フィルムの延伸方法としては、公知の方法を用いうるが、少なくとも押出フィルムの搬送方向へ延伸することが好ましい。搬送方向における延伸倍率は、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは1.7倍以上であり、3.0倍以下としうる。
延伸の際の温度は、好ましくは(Tg(C)−5)℃以上、より好ましくはTg(C)℃以上であり、好ましくは(Tg(C)+30)℃以下であり、より好ましくは(Tg(C)+25)℃以下であり、更に好ましくは(Tg(C)+20)℃以下である。
ここで、Tg(C)は、樹脂Cのガラス転移温度(℃)を意味する。
[1.4.相(A)と相(B)との屈折率差]
相(A)と、相(B)との屈折率差は大きければ大きいほど構造性複屈折を効率良く発現することが可能である。したがって、重合単位Aからなる重合体(A)の屈折率n(a)と、重合単位Bからなる重合体(B)の屈折率n(b)との差の絶対値(|n(a)−n(b)|)は大きい方が好ましく、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更により好ましくは0.15以上としうる。
屈折率n(a)は、重合体(A)から前記のとおりプレスフィルム(A)を製造し、プレスフィルム(A)の屈折率を測定することにより得うる。屈折率n(b)は、重合体(B)から前記のとおりプレスフィルム(B)を製造し、プレスフィルム(B)の屈折率を測定することにより得うる。
[1.5.位相差フィルムのその他の特性]
位相差フィルムは、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)が、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、更に好ましくは120nm以上であり、大きいほど好ましいが、300nm以下とすることができ、好ましくは100nm以上300nm以下である。
位相差フィルムは、波長450nmで測定された面内方向レターデーションRe(450)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)に対する比率(Re(450)/Re(550))が、好ましくは0以上であり、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下であり、好ましくは0以上1未満である。比率(Re(450)/Re(550))が、前記範囲内に収まることで、透過させる光の波長により、位相差フィルムの光学的特性が大きく変化することを抑制しうる。
[2.用途]
本実施形態の位相差フィルムは、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置の構成要素として用いうる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
(フィルムのレターデーション)
位相差測定装置(王子計測機器(株)製「KOBRA-21-ADH」)を用いてフィルムのレターデーションを測定した。
(相分離構造)
フィルムを2mm×4mmの大きさにカットし、それらを厚み方向に30枚重ねてフォルダに固定し、小角X線散乱測定施設(あいちSR、ビームライン8S3)を用い、カメラ長4m、X線エネルギー8.2KeV、測定qレンジ:約0.06〜3nm−1、1試料あたりの露光時間60秒の条件で散乱パターンを得た。得られた散乱パターンを理論曲線とフィッティングして相分離構造を決定し、シリンダの半径及び相間距離を算出した。
X線の照射面は、フィルムの断面とし、積分範囲は厚み方向及び厚み方向に垂直な方向についてそれぞれ20°とした。それぞれの積分から得られたデータから相間距離を算出し、厚み方向と厚み方向に垂直な方向の相間距離の平均値及びシリンダの半径の平均値を測定値とした。
(Re(450)/Re(550)の測定)
(D(A)の測定)
(重合体(A)の製造)
乾燥し、窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた後、単量体(a)として2−ビニルナフタレン7.0gを添加して25℃で1時間反応させ、重合反応を行った。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、重合体を沈殿させ分取した。得られた重合体をGPCにより測定したところ重量平均分子量(Mw)は100000であった。熱機械的分析装置(TMA)により測定した重合体のガラス転移温度は145℃であった。
(プレスフィルム(A)の製造)
得られた重合体を粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を一対のポリイミドフィルム(各厚み100μm)の間に挟み積層体とし、積層体を加圧した。加圧は、電熱加圧装置を用いて行った。加圧の条件は、温度280℃、圧力40MPa、加圧時間2分間とした。加圧終了後、圧を解放して空気中で室温まで冷却し、ポリイミドフィルムを除去した。この操作により、厚み100μmの未延伸である、プレスフィルム(A)を作製した。
(フィルム(A)の製造)
作製したプレスフィルム(A)を、加熱式引張試験機を用いて、チャック間80mm、延伸速度100%/分、温度155℃の条件で1.5倍に一軸延伸し、延伸フィルム(フィルム(A))を得た。波長550nmで測定されたフィルム(A)の、面内方向におけるレターデーションRe(550)は、140nmであった。また、フィルム(A)の、Re(450)/Re(550)の値(D(A))は、1.08であった。
(D(B)の測定)
(重合体(B)の製造)
乾燥し、窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(b)としてのイソプレン21gを添加し、更に25℃で1時間反応させて重合を行った。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、重合体を沈殿させ分取した。
得られた重合体をp−キシレン700mLに溶解して溶液とした。この溶液に、p−トルエンスルホニルヒドラジド7.6gを添加し、温度130℃で8時間反応させた。この反応により、イソプレンに由来する二重結合に対する水素添加を行った。水素添加の終了後、大量の2−プロパノールに反応溶液を注ぎ、塊状の水添重合体20gを得た。得られた水添重合体をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定したところ重量平均分子量は100000であった。
(プレスフィルム(B)の製造)
得られた重合体(B)としての水添重合体の塊2gを、一対のポリイミドフィルム(各厚み100μm)の間に挟み積層体とし、積層体を加圧した。加圧は、電熱加圧装置を用いて行った。加圧の条件は、温度25℃、圧力20MPa、加圧時間2分間とした。加圧終了後、圧を解放し、ポリイミドフィルムを除去した。この操作により、厚み100μmの未延伸である、プレスフィルム(B)を作製した。
(フィルム(B)の製造)
作製したプレスフィルム(B)を、加熱式引張試験機を用いて、チャック間80mm、延伸速度100%/分、温度25℃の条件で3倍に一軸延伸し、延伸フィルム(フィルム(B))を得た。波長550nmで測定されたフィルム(B)の、面内方向におけるレターデーションRe(550)は、140nmであった。また、フィルム(B)の、Re(450)/Re(550)の値(D(B))は1.03であった。
(屈折率)
JA−ウーラム社製エリプソメータ「M−2000U]を用いて、前記プレスフィルム(A)及びプレスフィルム(B)について波長550nmでの屈折率を測定した。プレスフィルム(A)の屈折率(n(a))は、1.67であった。プレスフィルム(B)の屈折率(n(b))は、1.52であった。
(液晶表示装置の表示性能)
透過軸が幅方向にある長尺の偏光子(サンリッツ社製、商品名「HLC2−5618S」、厚さ180μm)を用意した。偏光子の一方の面側の保護フィルムを除去し、当該面に、評価対象のフィルムを貼合した。貼合は、評価対象フィルムの遅相軸方向と偏光子の透過軸方向とが45°の角度をなすよう行った。この操作により、両面の保護フィルムのうちの一方として、評価対象のフィルムを備える円偏光板を得た。
得られた円偏光板を、市販の有機EL表示装置(LG電子製「OLED55B6P」)の視認側にもともと備えられていた円偏光板と置き換え、評価対象のフィルムを備える有機EL表示装置を得た。置き換えに際し、円偏光板の配置は、評価対象のフィルムを備える側が有機EL素子側となる配置とした。また、偏光子の透過軸は、有機EL表示装置にもともと備えられていた円偏光板における偏光子と同じ方向とした。
得られた有機EL表示装置の表示の状態を、表示面に対して傾斜方向(法線方向に対して45°)から、様々な方位角において観察した。置き換え前と比較し全方位に渡り反射率が抑制されていた場合「良好」と評価し、置き換え前と比較し一以上の方位において反射率が同等以下であった場合「不良」と評価した。
[実施例1]
(トリブロック共重合体P1の製造)
乾燥し窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン3.5gを添加して25℃で1時間反応させ、一段階目の重合反応を行った。
一段階目の重合反応終了後、単量体(b)としてのイソプレン28gを添加し、更に25℃で1時間反応させ、二段階目の重合反応を行った。その結果、反応混合物中に、(2−ビニルナフタレンブロック)−(イソプレンブロック)のブロック構成を有するジブロック共重合体を得た。
その後、反応混合物中に、更に単量体(a)としての2−ビニルナフタレン3.5gを添加して25℃で1時間反応させ、三段階目の重合反応を行った。その結果、(2−ビニルナフタレンブロック)−(イソプレンブロック)−(2−ビニルナフタレンブロック)のブロック構成を有するトリブロック共重合体を含む、反応混合物を得た。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、トリブロック共重合体を沈殿させ分取した。
得られたトリブロック共重合体をp−キシレン700mLに溶解して溶液とした。この溶液に、p−トルエンスルホニルヒドラジド7.6gを添加し、温度130℃で8時間反応させた。この反応により、イソプレン単位の二重結合へ水素を添加した。水素添加終了後、大量の2−プロパノールに反応溶液を注ぎ、トリブロック共重合体P1を、塊状の生成物32gとして得た。得られたトリブロック共重合体P1は、「重合単位Aとして2−ビニルナフタレン単位を含有する重合体ブロック(A)」−「重合単位Bとして水添イソプレン単位を含有する重合体ブロック(B)」−「重合単位Aとして2−ビニルナフタレン単位を含有する重合体ブロック(A)」のブロック構成を有する。
得られたトリブロック共重合体P1をH−NMRにて分析した。その結果、トリブロック共重合体P1における2−ビニルナフタレン単位と水添イソプレン単位との重量比(wA:wB)は20:80であり、したがってトリブロック共重合体P1における重合単位Aの重量分率wAは0.20であった。またトリブロック共重合体P1におけるイソプレン単位に対する水素添加率は99%であった。GPCにより測定したトリブロック共重合体P1の重量平均分子量は200000であった。TMAにより測定したトリブロック共重合体P1のガラス転移温度は100℃であった。またトリブロック共重合体P1は、正の複屈折特性を示した。
(位相差フィルムの作製)
前記項目(トリブロック共重合体P1の製造)で得られたトリブロック共重合体P1を、樹脂Cとして用いた。樹脂Cを、粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を、スクリュー直径が40mmφである押し出し機に投入し、樹脂温260℃、幅400mm、リップ間隙0.5mmのダイから20kg/minの吐出量で表面温度80℃のキャスティングドラム上に押し出した。これにより幅300mm、厚み100μmの位相差フィルムとしてのフィルム1を得た。フィルム1の厚みはキャスティングドラムの回転数によって調整した。
得られたフィルム1について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、相間距離が40nmであり、半径10nm(直径20nm)である、流れ方向に配向したシリンダ構造が観察された。
得られたフィルム1について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)を測定したところ、Re(550)=140nm、Rth(550)=50nmであった。したがって、シリンダ状の相分離構造による構造性複屈折が発現していると考えられる。また、面内方向において最大の屈折率nxを与える方向(面内遅相軸)はフィルム1の流れ方向と一致していた。したがって相分離構造におけるシリンダの配向方向は、nxを与える方向と平行であった。
また、フィルム1は、Re(450)/Re(550)=0.80<1であり、フィルム1は逆波長分散性を発現していた。
このようにして得られたλ/4板として機能するフィルム(位相差フィルム)1を、前記の方法で円偏光板として有機EL表示装置に組み込み、有機EL表示装置の表示性能を評価した。その結果、有機EL表示装置の表示特性は良好であった。
[実施例2]
(トリブロック共重合体P2の製造)
乾燥し、窒素で置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン14gを添加して25℃で1時間反応させ、一段階目の重合反応を行った。
一段階目の重合反応終了後、単量体(b)としてのイソプレン7gを添加し、更に25℃で1時間反応させ、二段階目の重合反応を行った。その結果、反応混合物中に、(2−ビニルナフタレンブロック)−(イソプレンブロック)のブロック構成を有するジブロック共重合体を得た。
その後、反応混合物中に更に、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン14gを添加して25℃で1時間反応させ、三段階目の重合反応を行った。その結果、(2−ビニルナフタレンブロック)−(イソプレンブロック)−(2−ビニルナフタレンブロック)のブロック構成を有するトリブロック共重合体を含む、反応混合物を得た。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、トリブロック共重合体を沈殿させ分取した。
得られたトリブロック共重合体をp−キシレン700mLに溶解して溶液とした。溶液に、p−トルエンスルホニルヒドラジド7.6gを添加し、温度130℃で8時間反応させた。この反応により、イソプレン単位の二重結合へ水素を添加した。水素添加終了後、大量の2−プロパノールに反応溶液を注ぎ、トリブロック共重合体P2を、塊状の生成物32gとして得た。トリブロック共重合体P2は、「重合単位Aとして2−ビニルナフタレン単位を含有する重合体ブロック(A)」−「重合単位Bとして水添イソプレン単位を含有する重合体ブロック(B)」−「重合単位Aとして2−ビニルナフタレン単位を含有する重合体ブロック(A)」のブロック構成を有する。
得られたトリブロック共重合体P2をH−NMRにて分析した。その結果、トリブロック共重合体P2における2−ビニルナフタレン単位と水添イソプレン単位との重量比(wA:wB)は80:20であり、したがってトリブロック共重合体P2における重合単位Aの重量分率wAは0.80であった。またトリブロック共重合体P2におけるイソプレン単位に対する水素添加率は99%であった。GPCにより測定したトリブロック共重合体P2の重量平均分子量は250000であった。TMAにより測定したトリブロック共重合体P2のガラス転移温度は135℃であった。またトリブロック共重合体P2は、負の複屈折特性を示した。
(位相差フィルムの作製)
前記項目(トリブロック共重合体P2の製造)で得られたトリブロック共重合体P2を、樹脂Cとして用いた。樹脂Cを、粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を、スクリュー直径が40mmφの押し出し機に投入し、樹脂温250℃、幅400mm、リップ間隙0.5mmのダイから20kg/minの吐出量で表面温度120℃のキャスティングドラム上に押し出した。得られたフィルムのエッジ部分をトリムして、幅300mm厚み100μmのフィルム2を得た。フィルム2の厚みはキャスティングドラムの回転数によって調整した。
得られたフィルム2について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、相間距離が40nmであり、半径13nm(直径26nm)である、流れ方向に配向したシリンダ構造が観察された。
得られたフィルム2について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)を測定したところ、Re(550)=200nm、Rth(550)=110nmであり、面内方向において最大の屈折率nxを与える方向(面内遅相軸)はフィルム2の流れ方向と一致していた。したがって、シリンダ状の相分離構造による構造性複屈折が発現していると考えられる。
フィルム2は、Re(450)/Re(550)=1.2>1であり、フィルム2は正の波長分散性を発現していた。
続いてフィルム2を、フロート式の縦延伸機を用い、縦方向の延伸倍率1.8倍、延伸温度135℃で流れ方向に延伸し、フィルム3を得た。
得られたフィルム3について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、延伸前と同様に、流れ方向に配向したシリンダ構造が観察された。また、相間距離が30nmであり、シリンダ構造の半径は12nm(直径24nm)であった。
得られたフィルム3について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及びRth(550)を測定したところ、Re(550)=140nm、Rth(550)=65nmであり、シリンダ状の相分離構造による構造性複屈折と、2−ビニルナフタレンブロックが持つ負の複屈折性との双方の効果によってフィルム3に複屈折が発現していた。また、面内方向において最大の屈折率nxを与える方向(面内遅相軸)はフィルム3の幅方向(流れ方向と直交する方向)と一致していた。したがって、相分離構造におけるシリンダの配向方向は、nxを与える方向と直交していた。
フィルム3は、Re(450)/Re(550)=0.81<1であり、フィルム3は逆波長分散性を発現していた。
このようにして得られたλ/4板として機能するフィルム(位相差フィルム)3を、前記の方法で円偏光板として有機EL表示装置に組み込み、有機EL表示装置の表示性能を評価した。その結果、有機EL表示装置の表示特性は良好であった。
[比較例1]
(トリブロック共重合体CP1の製造)
乾燥し、窒素ガスで置換された耐圧反応器に、溶媒としてトルエン500mL、重合触媒としてn−ブチルリチウム0.29mmolを入れた。その後、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン14gを添加して25℃で1時間反応させ、一段階目の重合反応を行った。
一段階目の重合反応終了後、単量体(b)としてのイソプレン3.5gを添加し、更に25℃で1時間反応させ、二段階目の重合反応を行った。その結果、反応混合物中に、(2−ビニルナフタレンブロック)−(イソプレンブロック)のブロック構成を有するジブロック共重合体を得た。
その後、反応混合物中に、更に、単量体(a)としての2−ビニルナフタレン14gを添加して25℃で1時間反応させ、三段階目の重合反応を行った。その結果、(2−ビニルナフタレンブロック)−(イソプレンブロック)−(2−ビニルナフタレンブロック)のブロック構成を有するトリブロック共重合体を含む、反応混合物を得た。反応混合物を大量の2−プロパノールに注いで、トリブロック共重合体を沈殿させ分取した。
得られたトリブロック共重合体をp−キシレン700mLに溶解して溶液とした。この溶液に、p−トルエンスルホニルヒドラジド7.6gを添加し、温度130℃で8時間反応させた。この反応により、イソプレン単位の二重結合へ水素を添加した。水素添加終了後、大量の2−プロパノールに反応溶液を注ぎ、トリブロック共重合体CP1を、塊状の生成物32gとして得た。得られたトリブロック共重合体CP1は、「重合単位Aとして2−ビニルナフタレン単位を含有する重合体ブロック(A)」−「重合単位Bとして水添イソプレン単位を含有する重合体ブロック(B)」−「重合単位Aとして2−ビニルナフタレン単位を含有する重合体ブロック(A)」のブロック構成を有する。
得られたトリブロック共重合体CP1をNMRにて分析した。その結果、トリブロック共重合体CP1における2−ビニルナフタレン単位と水添イソプレン単位との重量比(wA:wB)は90:10であり、したがってトリブロック共重合体CP1における重合単位Aの重量分率wAは0.90であった。またトリブロック共重合体CP1におけるイソプレン単位に対する水素添加率は99%であった。GPCにより測定したトリブロック共重合体CP1の重量平均分子量は250000であった。TMAにより測定したトリブロック共重合体CP1のガラス転移温度は140℃であった。
(位相差フィルムの作製)
以下の事項以外は、実施例1の(位相差フィルムの作製)と同様にして、幅300mm、厚み100μmのフィルムC1を得た。
・トリブロック共重合体P1の代わりに、トリブロック共重合体CP1を樹脂Cとして用いた。
得られたフィルムC1について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、相間距離が40nmであり、半径10nm(直径20nm)のスフィア状の構造が観察された。
得られたフィルムC1について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)を測定したところ、Re(550)=5nm、Rth(550)=7nmであり、構造性複屈折の発現は見られなかった。
続いてフィルムC1をフロート式の縦延伸機を用い、縦延伸倍率1.8倍、延伸温度145℃で流れ方向に延伸し、フィルムC2を得た。
得られたフィルムC2について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、延伸前と同様に、スフィア状構造が観察された。また、相間距離が50nmであり、スフィア状構造の半径は13nmであった。
得られたフィルムC2について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及びRth(550)を測定したところ、Re(550)=140nm、Rth(550)=71nmであり、面内方向において最大の屈折率nxを与える方向(面内遅相軸)はフィルムC2の幅方向と一致していた。
フィルムC2は、Re(450)/Re(550)=1.1>1であり、フィルムC2は正の波長分散性を発現していた。
このようにして得られたλ/4板として機能するフィルム(位相差フィルム)C2を、前記の方法で円偏光板として有機EL表示装置に組み込み、有機EL表示装置の表示性能を評価した。その結果、方位によって反射率の上昇及び色味の変化が見られ、有機EL表示装置の表示特性は不良であった。
[比較例2]
(位相差フィルムの作製)
樹脂Cとして、実施例2において製造したトリブロック共重合体P2を用いた。樹脂Cを、粉砕機により粉砕し粉体とした。得られた粉体を一対のポリイミドフィルム(各厚み100μm)の間に挟み積層体とし、積層体を加圧した。加圧は、電熱加圧装置を用いて行った。加圧の条件は、温度280℃、圧力40MPa、加圧時間2分間とした。加圧終了後、圧を解放して空気中で室温まで冷却し、ポリイミドフィルムを除去した。この操作により、厚み100μmのフィルムC3を作成した。
得られたフィルムC3について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、相間距離が40nmであり、半径15nmである、シリンダ状の構造が観察された。
得られたフィルムC3について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)を測定したところ、Re(550)=3nm、Rth(550)=6nmであり、構造複屈折の発現は見られなかった。
続いてフィルムC3を、フロート式の縦延伸機を用い、縦方向の延伸倍率1.8倍、延伸温度140℃で延伸し、フィルムC4を得た。
得られたフィルムC4について、前記の方法により断面からX線を入射させて小角散乱法により観察したところ、やや延伸方向に配向した、相間距離が35nmであり、半径10nmである、シリンダ構造が観察された。
得られたフィルムC4について、波長550nmで面内方向レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)を測定したところ、Re(550)=140nm、Rth(550)=60nmであり、面内方向において最大の屈折率nxを与える方向(面内遅相軸)はフィルムC4の幅方向と一致していた。したがって、相分離構造におけるシリンダの配向方向は、nxを与える方向と直交していた。
フィルムC4は、Re(450)/Re(550)=1.12>1であり、フィルムC4は、正の波長分散性を発現していた。
このようにして得られたλ/4板として機能するフィルム(位相差フィルム)C4を、前記の方法で円偏光板として有機EL表示装置に組み込み、有機EL表示装置の表示性能を評価した。その結果、方位によって反射率の上昇及び色味の変化が見られ、有機EL表示装置の表示特性は不良であった。
以上の結果から、以下の事項が分かる。
構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含んでいない比較例1に係るフィルムC2は、逆波長分散性を発現しておらず、フィルムC1を組み込んだ有機EL表示装置の表示特性は不良である。
シリンダ状の相分離構造を含んでいても、条件(1)及び条件(2)のいずれも満たさない、比較例2に係るフィルムC4は、逆波長分散性を発現しておらず、フィルムC4を組み込んだ有機EL表示装置の表示特性は不良である。
これに対して、f(B)(実施例1においては、重合単位Bのトリブロック共重合体P1における重量分率wB)>0.5であって、nxを与える方向と相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である、条件(1)を満たす実施例1に係るフィルム1は、逆波長分散性を発現し、有機EL表示装置の表示特性が良好である。
また、f(A)(実施例2においては、重合単位Aのトリブロック共重合体P2における重量分率wA)>0.5であって、nxを与える方向と相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交する、条件(2)を満たす実施例2に係るフィルム3は、逆波長分散性を発現し、有機EL表示装置の表示特性が良好である。
以上の結果は、本発明の位相差フィルムが、逆波長分散性を有し、低いコストで容易に製造されうることを示す。

Claims (11)

  1. 重合単位Aと重合単位Bとを含む共重合体Pを含む樹脂Cからなり、
    構造性複屈折を発現する、シリンダ状の相分離構造を含み、
    前記相分離構造は、前記重合単位Aを主成分とする相(A)と、前記重合単位Bを主成分とする相(B)とを含み、下記条件(1)又は(2)を満たす、位相差フィルム。
    条件(1):D(A)>D(B)、かつf(B)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが平行である。
    条件(2):D(A)>D(B)、かつf(A)>0.5、かつ面内方向において最大の屈折率を与える方向と前記相分離構造におけるシリンダの配向方向とが直交している。
    ここで、
    f(A)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Aの総重量比率を表し、
    f(B)は、前記共重合体Pにおける、前記重合単位Bの総重量比率を表し、
    D(A)=ReA(450)/ReA(550)であり、
    D(B)=ReB(450)/ReB(550)であり、
    ReA(450)は、前記重合単位Aからなる重合体(A)から形成されたフィルム(A)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
    ReA(550)は、前記フィルム(A)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
    ReB(450)は、前記重合単位Bからなる重合体(B)から形成されたフィルム(B)の、波長450nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表し、
    ReB(550)は、前記フィルム(B)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーション(nm)を表す。
  2. 波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)が、100nm以上300nm以下である、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 波長450nmで測定された面内方向レターデーションRe(450)の、波長550nmで測定された面内方向レターデーションRe(550)に対する比率(Re(450)/Re(550))が、0以上1未満である、請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記相分離構造における前記シリンダの直径が、50nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記重合体(A)の屈折率n(a)と前記重合体(B)の屈折率n(b)との差の絶対値(|n(a)−n(b)|)が、0.05以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  6. 前記相分離構造における相間距離が、200nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  7. 前記共重合体Pが、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有するブロック重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  8. 前記共重合体Pが、トリブロック共重合体P’を含み、前記トリブロック共重合体P’は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)トリブロック共重合体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  9. 前記共重合体Pが、ペンタブロック共重合体P”を含み、前記ペンタブロック共重合体P”は、前記重合単位Aを主成分とするブロック(A)及び前記重合単位Bを主成分とするブロック(B)を有する、(A)−(B)−(A)−(B)−(A)ペンタブロック共重合体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  10. 前記共重合体Pの固有複屈折値が、負である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  11. 0.9>f(A)>0.5又は0.9>f(B)>0.5である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
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