既知であるように、電気自動車またはハイブリッド自動車は、電気駆動システムと、電気設備のオプション部品を備える。電気駆動システムは、車載高電圧電気ネットワークを介して高電圧電力供給バッテリによって電力供給を受ける。オプション部品は、車載低電圧電気ネットワークを介して低電圧電力供給バッテリによって電力供給を受ける。
高電圧電力供給バッテリにより、自動車を推進させる電気駆動システムへのエネルギー供給機能を実現できる。より正確には、自動車の車輪を駆動する電気機器に対して指示するために、または高電圧電力供給バッテリ内の電気機器が供給するエネルギーを格納するために、インバータを用いることが知られている。インバータにより、高電圧電力供給バッテリが供給する直流電流を1以上の交流指示電流(例:正弦波)へ変換することができ、あるいは、電気機器が供給する1以上の交流指示電流を直流電流へ変換することができる。この直流電流の電気エネルギーは、高電圧電力供給バッテリによって蓄積される。
既知の技術においてインバータはBOX形態であり、内部に電子電力部品が搭載されている。この部品を介して、電気機器に供給するエネルギーが流れ、あるいは電気機器から受け取るエネルギーが流れる。これら電子電力部品はドライバによって制御され、ドライバ自身は電子制御ユニットによって制御される。3相モータの場合、インバータは3つの電気導体(相導体)を備え、これにより、2つずつシフトした(例:120°)3つの「相」電流位相を用いて、モータに対して指令することができる。これら相電流は、高電圧バッテリが供給する電流から、インバータによって生成される。これを実施するためにインバータは、第1バッテリ導体(「正導体」と呼ばれ、バッテリの正電位に接続される)、第2バッテリ導体(「負導体」と呼ばれ、高電圧電力供給バッテリの負電位に接続される)を備える。
電子制御ユニットはドライバに対して指令し、電子電力部品を制御して、これら部品が直流電流を交流電流に変換し、あるいはその反対を実施できるようにする。これを実施するため、電子制御ユニットは電子カードの形態になっており、その上には電気トラックによって接続された電子部品が搭載され、ドライバに対して指令することができる。同様にドライバは、電子カードの形態であり、その上には電気トラックによって接続された電子部品が搭載され、電子部品に対して指令することができる。
インバータの動作を制御するため、各相導体を循環する相電流の強度変化を検出する必要が生じる可能性がある。これを実施するため、各相導体においてセンサ(「ホール効果センサ」と呼ばれる)を用いることが知られている。このセンサは電子制御ユニットに接続され、相導体の近傍まで延伸した磁気検出素子を備える。したがって、電流が相導体を循環するとき磁場を放出し、センサの検出素子が測定することによって、同電流の強度値または同電流の強度変化を推定する。
測定精度を改善するために、磁気コアを用いて、相導体の循環電流によって生じる磁場をチャネリングすることが知られている。
既存技術において、このような磁気コアは、U型またはC型強磁性部によって構成されている。強磁性部は空間ギャップを規定し、このギャップに計測センサの検出素子が挿入される。このような磁気コアは、内部体積が非常に大きく、これにより線形範囲が狭くなり、電流が大きく変化すると計測が急速に飽和状態となる。さらに飽和により、隣接するセンサの磁気コアに対して結合効果(クロストークとも呼ばれる)が生じ、これにより測定品質が劣化し、重大な欠点となる。
これら課題を一部解消するため、既存技術は、角が丸い矩形の磁気コア(図1)を用いる。この磁気コアは、それぞれ0.2mmオーダの薄い積層強磁性ストリップによって構成されており、内部体積が小さく、相導体のできる限り近傍を囲むようになっている。この磁気コアは線形範囲が大きく、隣接センサのコアとの結合は制限される。
一般的に磁気コアは、下記式のようにリラクタンスによって規定される:
しかしこのコアは、十分な線形範囲を有しておらず、および/または、用途に適したサイズを有していない。用途は例えば自動車の電気設備であり、例えば車載インバータやDC−DCコンバータや充電器である。
したがって、線形範囲および/またはサイズが改善した磁気コアに対するニーズがある。
これを実現するため、本発明の主題は第1に、電流計測センサのための磁気コアである。前記磁気コアは、少なくとも1つの凹部を備え、前記凹部は長手平面に沿って延伸するとともに空間ギャップの少なくとも一部を規定し、前記空間ギャップは計測センサの検出素子を受け入れることができるように構成されており、前記凹部は、電気導体を受け入れることができる内部空間を規定し、前記磁気コアは、楕円形状の長手部分を有する。
用語「楕円形状の長手部分」は、金属部を電流計測センサとともに用いる場合において、デバイスの長手部分を意味し、少なくともその内部が楕円形状である。
楕円形状の長手部分を用いることにより、磁気コアの平均有効長を従来技術よりも減少させることができる。これにより、デバイスのリラクタンスを従来技術よりも減少させることができる。磁気コアはより低いリラクタンスを有することになり、したがって同じ材料と部位であっても従来技術より線形範囲が増加する。これに代えて磁気コアは、同じリラクタンスと同じ線形範囲で従来技術よりも小さい内部空間(または体積)を有するものであってもよい。楕円形状の長手部分を用いることにより、強磁性部の凹部が規定する内部空間を調整して、電気導体のストリップのできる限り近傍を囲むことができる。
実施形態において、前記磁気コアは、1つの空間ギャップを規定する1つの強磁性部を有し、これにより磁気コアは一体鋳造となり、センサによる高い計測精度を得ることができる。
別実施形態において、前記磁気コアは、2つの空間ギャップを規定する2つの対向する強磁性部を有し、これにより計測センサは有用な幅の線形間隔で動作することができる。
望ましくは、前記磁気コアの平均有効長は50mm未満であり、これにより前記磁気コアのリラクタンスを減少させる。
さらに望ましくは、前記磁気コアのリラクタンスは80000 Sturgeon(Henry−1)であり、例えば比透磁率μr=20000の鉄−シリコン材料の場合は79577 Sturgeonである。
望ましくは、前記少なくとも1つの部分を構成する前記強磁性材料は鉄合金であり、望ましくは鉄とシリコンの合金(フェロシリコンまたはケイ化鉄)である。前記鉄とシリコンの合金は、飽和磁気誘導が高い材料であり(最大2T)、これにより、増加した線形範囲を維持することができる。この合金の別の利点は低コストなことである。
実施形態において、鉄合金は積層され、これにより材料のヒステリシスを減少させ、材料の損失を抑制するとともに電流計測精度を改善できる。
前記空間ギャップの幅は3〜8mmであることが好ましく、望ましくは3.5〜5mmである。これにより、磁束漏れを減少させ、周辺素子とのクロストーク(結合効果)を抑制できる。
さらに好ましくは、前記部分の厚さは3〜12mmであり、望ましくは5mmオーダである。この厚さは、前記磁気コアの内部空間と電流測定レンジ(線形)との間の適度な折衷である。
本発明はさらに、電気接続部品に関する。前記電気接続部品は、少なくとも一部がストリップ形態の少なくとも1つの電気導体、上述の少なくとも1つの磁気コア、を備える。前記電気導体は前記磁気コアを通過して延伸し、これにより前記磁気コアは、前記電気導体を循環する電流が生成した磁場を少なくとも1つの空間ギャップへチャネリングする。
実施形態において、前記電気接続部品は、複数の電気導体と複数の磁気コアを備え、各前記電気導体は対応する磁気コアの内部空間へ延伸している。
前記電気接続部品は、前記磁気コアを保持する外部被覆を備える。
望ましくは、前記磁気コアの内部端は、楕円形状の長手部分を有し、前記楕円形状は、前記導体(具体的には、前記内部空間内の前記電気導体の部分)の総サイズ内に包含される最小楕円であり、前記電気導体の総サイズと前記内部端との間の最小距離はd3である。前記内部端は、前記磁気コアの前記内部空間を規定する前記楕円の部分に対応する。前記総サイズは、前記磁気コアが規定する前記内部空間内における前記電気導体の外部サイズに対応する。
実施形態において、前記電気導体は平行6面体部を有し、中心が前記楕円の中心と一致するように配置されており、前記楕円の長半径aと短半径bは以下のようになっている:
望ましくは、
望ましくは、1mm<d1<5mm、および/または、0.5mm<d2<5mm、および/または、0.5mm<d3<5mm。距離d3とd1とd2により、前記電気導体と前記磁気コアとの間の電気的絶縁を確保できる。
本発明はさらに、上述の電気導体部品と計測センサを備えるセンサ部品に関する。前記計測センサは、少なくとも1つの磁気コアの少なくとも1つの空間ギャップへ延伸した検出素子を備える。前記検出素子は、少なくとも1つの対応する電気導体内を循環する電流によって生じた磁場の強度を計測するように構成されている。
前記センサ部品はさらに、電気接続回路を有する電子カードを備えることが望ましい。前記計測センサは、前記電気接続回路と電気的に接続されている。電子カードの例としては、電子電力モジュールまたは電子電力部品のドライバ、あるいは電気機器の電子制御ユニット、などが挙げられる。電気機器の例としては、インバータや電圧コンバータが挙げられる。
本発明はさらに、例えば自動車用の電気機器に関する。前記電気機器は上述の電気接続部品を備える。
電気機器の例としては、インバータや電圧コンバータが挙げられる。
本発明はさらに、電気自動車またはハイブリッド電気自動車に関する。前記電気自動車またはハイブリッド電気自動車は、例えば駆動機器などの電気機械と電気機器を備え、前記電気機械は、車載高電圧電気ネットワーク高電圧電力供給バッテリによって電力供給される。前記電気機器は例えば、上述のインバータであり、前記電気機械に接続されている。
本発明は、以下の詳細説明によってさらに理解される。以下の詳細説明は例示目的のものであり、添付する図面を非限定的例として参照する。図面において、同じ参照符号は同様のオブジェクトを示す。
図面は本発明を実装するための詳細形態を説明するものであり、必要に応じて本発明をよりよく定義することができる。
以下の説明において、本発明を電気自動車またはハイブリッド自動車へ適用した例を説明する。これは本発明の範囲を限定するものではない。以下の例において、自動車は例えば電気機械、電気機器、高電圧電力供給バッテリ、車載高電圧電気ネットワーク、低電圧電力供給バッテリ、車載低電圧電気ネットワーク、複数の補助部品、を備える。この例において、電気機器はインバータであり、ただしこれは本発明の範囲を限定するものではない。電気機器は例えば、車載の充電器や直流−直流(DC−DC)コンバータであってもよい。車載低電圧電気ネットワークは、低電圧電力供給バッテリと複数の補助部品を接続し、これにより低電圧電力供給バッテリは、補助部品に対して電力供給する。これら補助部品は、電気素子または電子素子であり、例えば車載コンピュータ、ウインドウワインダモータ、制御システム、マルチメディアシステム、などである。低電圧電力供給バッテリは通常、12V、24V、48Vなどの電圧を供給する。低電圧バッテリの再充電は、直流−直流電圧コンバータ(DC−DCコンバータ)を介して高電圧バッテリから実施される。車載高電圧電気ネットワークは、高電圧電力供給バッテリとインバータを接続し、これにより高電圧電力供給バッテリはインバータ経由で電気機械に対してエネルギーを確実に供給する。高電圧電力供給バッテリは通常、100V〜900V、望ましくは100V〜500Vの電圧を供給する。電気エネルギーによる高電圧電力供給バッテリの再充電は、自動車のDC高電圧電気ネットワークを介して、外部電気ネットワークへ接続することによって実施される。例えば家庭AC電気ネットワークである。電気機械は回転電機であり、望ましくは高電圧電力供給バッテリが供給するエネルギーによって自動車の車輪を駆動するように構成されている。
より正確には、電気機械は、多相電流源が電力供給する交流電気機械である。例えば電気機械は、交流モータである。以下の望ましい例において、電気機械は、3相電流源によって電力供給される。これは本発明の範囲を限定するものではない。この例において、電気機械の指令はインバータによって実施される。インバータにより、高電圧電力供給バッテリが供給する直流電流を、複数の交流電流へ変換することができる。例えば「相電流」と呼ばれる正弦波であり、これにより電気機械に対して指示することができる。反対に別動作モードにおいて、電気機械は、インバータに対して交流相電流を供給することができる。これによりインバータは、交流相電流を直流電流へ変換し、これにより高電圧電力供給バッテリを充電できる。以下の例においてインバータは、3相電気機械と接続されるように構成されている。
図2から図7は本発明に係る部品1Aの実施形態1を示し、図8から図11は本発明に係る部品1Bの実施形態2を示す。これら部品1Aと1Bは、それぞれインバータ内に備えられる。
図2から図8を参照する。インバータはボックスを備え、ボックス内には、電子電力モジュール10が配置されている。電子電力モジュール10は、電子電力部品(図示せず)、ドライバ15、電子制御ユニット20(図2には示していないが存在している)、を備える。部品1Aと1Bはさらに、電気相導体111、112、113を備え、これらによりインバータを電気機械へ接続できる。
電気機械に対して供給するエネルギーまたは電気機械から受け取るエネルギーは、電子電力モジュール10の電子電力部品を通過し(本例においては3つ)、これらは直流電流を交流電流へ変換しあるいはその反対を実施するように構成されている。これら電子電力部品は電子スイッチ(例えば半導体トランジスタ)を備え、電子スイッチは電気回路内に配置されており、高電圧電力供給バッテリと電気機械との間で電気エネルギーを指示にしたがって通過させる。具体的には、電子電力部品は素の状態の半導体チップであり、電子電力モジュール10本体が筐体を形成する。
図示する例において、ドライバ15は電子カード15Aの形態であり、電子カード15Aは電子電力モジュール10の電子電力部品と電気的に接続されている。この電子カードは、導電トラックによって相互接続した電子部品(図示せず)を備える。これにより電子電力部品(例えばトランジスタや半導体チップ)に対して指示することができる。電子カード15Aは、電気トラックの第1部品(直流バス)、電気トラックの第2部品(交流バス)、を備える。これらの間には電子電力部品が接続される。交流バスは、部品1Aと1Bの電気導体111、112、113に接続されている。ドライバ15は、電子制御ユニット20とデータ信号を交換するように構成することができる。
図示する例において、電子制御ユニット20は電子カード20Aの形態であり、その上には電子部品(図示せず)が配置される。電子部品は、導電トラックによって相互接続され、これによりドライバ15に対して指示できる。
図示する例において、ドライバ15の電子カード15Aと電子制御ユニット20の電子カード20Aは、重ねて配置される。これら電子カード15Aと20Aは、ボックス5の壁上にまたはボックス5が規定するハウジング内に取り付けた支持部品(図示せず、例えばプレート)上に固定することができる。
各電気導体111、112、113により、電子電力モジュール10の電子電力部品を電気機械の相へ電気的に接続できる。これを実施するため、各電気導体111、112、113は、ボックス5の開口部を横断し、これによりインバータ1、1A、1Bを電気機械へ接続することができる。具体的には、電子電力モジュール10の電子電力部品と電気機械との間で交流電流を循環させることができる。各電気導体111、112、113は金属ストリップの形態であり、例えば銅、鋼、アルミニウム、その他導電金属によって作成されている。このストリップはオプションとして、上記例の場合のように、1回以上折り曲げることができる。各電気導体111、112、113はさらに、耐摩耗面によってカバーすることができる。例えば錫やニッケルで作成されたものである。
各電気導体111、112、113を循環する電流の強度を計測するため、部品1Aと1Bは、電気導体111、112、113ごとに、計測センサ40を有する。すなわち図示する例においては、3つの計測センサ40を有する。これら計測センサ40は、1以上の接続ピン42を介して、ドライバ15の電子カード上に取り付けられており(図2に示すように)、あるいはこれに代えて、電子制御ユニット20の電子カード上に取り付けられている(図8に示すように)。各計測センサ40は、電気導体111、112、113に対向して配置された検出素子44を有し、これにより電気導体111、112、113内の循環電流が生じさせた磁場の強度を計測する。
検出素子44は、磁場強度の計測結果を電子カード15Aと20Aに対して提供する。電子カード15Aと20Aはその計測結果を電流強度に比例する値へ変換し、あるいは電子カード15Aと20Aは、電気導体111、112、113を循環する電流強度の変化に比例する磁場強度の変化を観測することができる。計測センサ40は例えば、既知のホール効果センサである。
各部品1Aと1Bは、電気導体111、112、113、計測センサ40、磁気コア50Aと50B、を有する。磁気コア50Aと50Bは、計測センサ40の検出素子44の高さにおいて、電気導体111、112、113の一部を囲んでいる。
磁気コア50Aと50Bは、少なくとも1つの強磁性部50A1と50B1を有する。強磁性部50A1と50B1は、少なくとも1つの凹部51を備える。凹部51は、長手平面αに沿って延伸しており、内部空間52と少なくとも1つの空間ギャップ53を規定している。磁気コア50Aと50Bは、楕円形状の長手部分を有する。本明細書において用語「楕円部」は、磁気コア50Aと50Bの長手部分が少なくとも部分的に、部分50A1と50B1の個数によらず、内表面(内部端51A)の高さにおいて楕円となっている形状部分を有することを意味する。図3から図5と図8から図11に示す実施形態において、磁気コア50Aと50Bの長手部分は、外表面51Bの高さにおいてのみならず、内表面51Aの高さにおいても楕円である。望ましくは少なくとも1つの強磁性材料は鉄合金であり、望ましくは鉄とシリコンの合金であり(フェロシリコンまたはケイ化鉄)、望ましくは積層することによって材料のヒステリシスサイクル(すなわち損失)を減少させて電流計測精度を向上させる。
図2から図7に示す実施形態1において(部品1A)、磁気コア50Aは、1つの一体鋳造強磁性部50A1によって構成されている。強磁性部50A1は楕円部を有するとともに1つの空間ギャップ53を規定し、これにより検出素子44を受け入れることができる(図5に示すように)。部分50A1の楕円部は、内部空間52を規定する。内部空間52内に対して、電気導体111、112、113のストリップが延伸する。
図6と図7に示す実施形態1の変形例において、部品50Aの端部は平坦化されている。換言すると部品50Aは、端部の高さにおいて平坦部54−1、54−2を有し、これにより以下に説明するように、外部被覆時において部品50Aを容易に位置決めすることができる。望ましくは図6に示すように、平坦部54−1の幅L1は、部品50Aの大径上に配置され、8mm未満である。平坦部54−2の幅L2は、部品50Aの小径上に配置され(空間ギャップ53の反対側)、10mm未満である。
図8から図11に示す実施形態2において、磁気コア50Bは、2つの一体鋳造強磁性部品50B1によって構成されている。これらは同一の部品であり、対向配置されたとき、長手部分は楕円形状を有する。これにより、電気導体111、112、113のストリップ周辺に配置されたとき、2つの部品50B1によって形成される部品の長手部分は楕円となり、2つの空間ギャップ53を規定する。対応する計測センサ40の検出素子44は、2つの空間ギャップ53のうちいずれか1つに対して延伸する。2つの部品50B1は、長手平面に垂直な正中面に対して互いに対称である。
実施形態2の変形例(図示せず)において、各部品50B1は端部において平坦部を有し、これにより外部被覆を容易にすることができる。
実施形態1または2において、部品50A1と50B1の有効長は(電気導体111、112、113の周辺に取り付けたとき)、50mm未満であることが望ましい。同様に部品50A1と50B1の幅は28mm未満であることが望ましく、磁気コア50Aと50Bのリラクタンスは80000 Sturgeon(Henry−1)であることが望ましい)。実施形態1または2において、空間ギャップの幅は3〜8mmであることが望ましく、3.5〜5mmであることがさらに望ましい。実施形態1または2において、楕円部(すなわち部品50A1と50B1)の厚さe1は、3〜12mmであることが望ましく、5mmオーダであることがさらに望ましい。
図12の例において、電気導体111、112、113は平行六面体部を有し、楕円中心を中心として有し、楕円の長半径aと短半径bは以下のようになっている:
望ましくは、
図13を参照する。磁気コア50A、50Bの内部端は楕円形状の長手部分を有し、楕円は電気導体111、112、113(特に、内部体積に含まれる導体111、112、13の部分)の総サイズ内に包含される最小楕円であり、電気導体111、112、113の総サイズと内部端との間の最小距離はd3である。内部端は、磁気コア50Aと50Bの内部体積を規定する楕円部分に対応する。総サイズは、磁気コア50Aと50Bが規定する内部体積内の電気導体111、112、113の外部サイズに対応する。最小距離d3は、正値または0である。
楕円は下記式によって規定される:
望ましくは、
図14と図15を参照する。部品1Aと1Bは、磁気コア50Aと50Bを少なくとも部分的に囲む外部被覆60Aと60Bを有することが望ましい。これにより、インバータ取付時において、電気導体111、112、113のストリップ周辺に部品を保持することができる。
したがって図14に示す例において、外部被覆60Aは、磁気コア50Aを完全に囲む。ポート61Aの幅は実質的に、空間ギャップ53の幅の半分のオーダであり、ポート61Aは空間ギャップ53の高さにおいて外部被覆60A内に形成されており、これにより計測センサ40の検出素子44を挿入する。さらに外部被覆60Aは、スロット62を除いて磁気コア50Aの内部空間52を占有し、スロット62には電気導体111、112、113が挿入される。部品1Aはさらに、第2電気導体211、212、213を有する。スロット62へ挿入した後、導体111、112、113は対応する第2電気導体211、212、213と接続される。
図15に示す例において、外部被覆60Bは磁気コア50Aを完全に囲み、電気導体111、112、113のうち磁気コア50Aの内部空間52に配置された部分を囲む。ポート61Bの幅は実質的に空間ギャップ53の幅のオーダであり、ポート61Bは各空間ギャップ53の高さにおいて外部被覆60B内に形成されており、これにより計測センサ40の検出素子44を挿入する。この例において、電気導体111、112、113は、外部被覆60Bによって被覆されていない。したがって導体111、112、113は、図14と同様にスロットへ挿入される。図15の例において、電気導体111、112、113は、直線ストリップである(すなわち曲がっていない)。
同じ長さと幅において、本発明により、磁気コアを統合した電流計測センサの線形範囲を改善できる。したがって、図1に示す従来技術の磁気コアと比較して、同じ材料と部分であっても、リラクタンスを10%増加させ、対応して線形範囲を増加させることができる。例えば同じ長さ(25mm)と幅(10mm)において、本発明に係る設計により有効長48.18mmが得られる。これに対して従来技術の矩形形状は、52.43mmである。すなわち、
本発明に係る磁気コアは、バッテリに接続された正負電位の電気導体周辺に取り付けることもできる。これにより、正負電位の電気導体内を循環する電流によって生じる磁場の強度を計測できる。電気導体111、112、113、および図面に示す計測センサ40のサイズと形状は、本発明の範囲を限定するものではない。