JP2020085270A - ガスタービン燃焼器およびガスタービン - Google Patents

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Abstract

【課題】液体燃料の噴孔近傍に形成される液柱を速やかに液滴に変換できるとともに、燃焼負荷の変化に伴う液体燃料の到達距離の変動を抑制できるガスタービン燃焼器とガスタービンを提供する。【解決手段】液体燃料8と空気7とを予め混合させる予混合部34を有するガスタービン燃焼器3において、予混合部34を流れる空気流35に対し交差するように液体燃料8を供給する液体燃料噴出孔30,42,61と、液体燃料噴出孔30,42,61から噴出される液体燃料8に向けて流体を噴出して、流体を液体燃料8に衝突させるよう構成された流体噴出孔50,55,62とを備え、流体噴出孔50,55,62の噴出部における流路断面積が、液体燃料噴出孔30,42,61の噴出部における流路断面積に比べて小さいことを特徴とする。【選択図】図2b

Description

本発明は、液体燃料を使用するガスタービン燃焼器およびガスタービンに関するもので,特に液体燃料を空気中に噴出し、予め混合して燃焼するガスタービン燃焼器の構造に関する。
ガスタービン燃焼器やガスタービンでは多種の燃料に対応できる、いわゆる燃料の多様化と燃焼排ガス中の未燃焼分や窒素酸化物(NOx)の低減という、高い環境性能の両立が求められる。
燃料の多様化に対して一部のガスタービンは、燃料の供給状況に応じて天然ガスに代表される燃料ガスの他に軽油やA重油等の液体燃料を使用する、いわゆるデュアルフューエル燃焼器を使用する。デュアルフューエル燃焼器は気体燃料と液体燃料の一方の燃料の供給が滞っても他方の燃料を使用して運転できる。
高い環境性能に対して、燃焼により排出される窒素酸化物(NOx)や一酸化窒素(CO)、煤塵の低減が求められる。このうち、窒素酸化物(NOx)の低減に対し、ガスタービン燃焼器では空気中の窒素が高温で酸化されて生じるサーマルNOxの低減が重要視される。サーマルNOxの低減は、燃料に過剰な空気を予め混合させたうえで燃焼させる希薄予混合燃焼方式の適用が有効である。希薄予混合燃焼方式は、燃料の完全燃焼に必要な空気量より多く空気を供給し、燃料と空気を燃焼前に均一に混合したうえで燃焼することで、燃焼温度を均一に低温とする。燃焼時に局所的に高温場を生成しないので、サーマルNOxの生成を抑制することができる。
液体燃料を使用する際も、上記の希薄予混合燃焼方式の適用がNOxの低減に望ましい。液体燃料の場合、燃焼前に液体燃料を液滴として空気を混合し、液体燃料の成分を予め気化することが望ましい。液体燃料の液滴の分散と微粒化が重要である。
液体燃料と空気の希薄予混合気を得るには、両者の混合距離を長くする方法があるが、この場合、燃焼器の大型化や、火炎が予混合部に侵入するいわゆる逆火が生じやすくなる。このため、短い混合距離で空気と均一に混合する技術が求められる。
液体燃料を空気中に分散し、微粒化する噴霧方法の一つに空気の流れに対し液体燃料を交差させるように吹き込む方法がある(特許文献1)。この方法は高速の空気流により、液体燃料との境界面に働くせん断力により液体燃料を微粒化し、空気の乱れにより液滴を分散させる。また、複数の噴孔から液体燃料を吹き込むことで液体燃料を空気中に分散させる方法もある(特許文献2)。
特開平6−241458号公報 特開2015−68538号公報
空気の流れに対し液体燃料を交差させるように吹き込む方法は液体燃料が噴孔から出た直後での形態から液柱式気流微粒化、または、流体を交差させることからクロスフロー微粒化と一般に呼ばれる。この方法は空気の密度と流路での流速から求まる空気の運動量と、液体燃料の密度と噴孔から噴出する際の流速から求まる液体燃料の運動量、液体燃料の空気流に対する噴射角度等の諸元により液体燃料の到達距離が決まる。液体燃料は噴孔近くでは液柱形状なり、その表面が空気とのせん断力により液滴状に分離することで微粒化が進む。このとき液体を同一重量で比較すると、液柱形状に比べ、液滴形状となることで空気との接触面積が大きくなるので、以下の効果が得られる。
1)空気流との流速差による抵抗を受け、空気流に追随しやすい。このため、液体燃料の到達距離が短くなるとともに、空気流速の乱れにより分散する。
2)表面から蒸発が進み、燃料成分が気化しやすくなる。
このため、液体燃料を空気中に分散し、微粒化させて希薄予混合気を形成するには、速やかに液体燃料を液柱形状から液滴状に変化させることが望ましい。
また、ガスタービン燃焼器で燃焼負荷を変化させる際、一般には液体燃料の噴出量を増加させる。ガスタービンでは一般的に燃焼負荷を変化させる際、液体燃料の噴出量の増加に対し、空気の流量変化は小さい。このため、燃焼負荷の増加により、液体燃料の運動量の増加の方が空気の運動量の増加よりも大きいので、液体燃料を噴孔から噴出したときの到達距離は長くなる。到達距離が長くなることで、液体燃料と空気との混合空間(予混合部)の隔壁に付着する液体燃料が増加する。液体燃料は隔壁に付着すると液膜状となり、液滴状に比べて同一重量での表面積が小さい。このため、燃料成分の気化が遅れる。理想的には、燃焼負荷の変化による液体燃料の噴出量の変化に対し、液体燃料の到達距離が一定となることが望ましい。
本発明は上記の課題を鑑みたものであり、その目的は、液体燃料の噴孔近傍に形成される液柱を速やかに液滴に変換できるとともに、燃焼負荷の変化に伴う液体燃料の到達距離の変動を抑制できるガスタービン燃焼器とガスタービンを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、液体燃料と空気とを予め混合させる予混合部を有するガスタービン燃焼器において、前記予混合部を流れる空気流に対し交差するように前記液体燃料を供給する液体燃料噴出孔と、前記液体燃料噴出孔から噴出される前記液体燃料に向けて流体を噴出して、前記流体を前記液体燃料に衝突させるよう構成された流体噴出孔とを備え、前記流体噴出孔の噴出部における流路断面積が、前記液体燃料噴出孔の噴出部における流路断面積に比べて小さいことを特徴とする。
本発明によれば、液体燃料噴出孔から噴出される液体燃料を液柱状から液滴状に速やかに変換できるとともに、燃焼負荷の変化に伴う液体燃料の到達距離の変動を抑制できるので、空気流内での液体燃料の分散と気化が促進して短距離で希薄予混合気体を生成できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態によるガスタービンとガスタービン燃焼器の構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態によるガスタービン燃焼器の構成の一部を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態によるガスタービン燃焼器の液体燃料噴出時の構成の一部を示すC−C矢視断面図である。 本発明の第1の実施形態によるガスタービン燃焼器の別の構成の一部を示す正面図である。 本発明の第2の実施形態によるガスタービン燃焼器の構成の一部を示す正面図である。 本発明の第2の実施形態によるガスタービン燃焼器の液体燃料噴出時の構成の一部を示すD−D矢視断面図である。 本発明の第2の実施形態によるガスタービン燃焼器の別の構成の一部を示す正面図である。 本発明の第3の実施形態によるガスタービン燃焼器の構成の一部を示す正面図である。 本発明の第3の実施形態によるガスタービン燃焼器の液体燃料噴出時の構成の一部を示すE−E矢視断面図を示す。
本発明の実施形態に係るガスタービンとガスタービン燃焼器について,図面を用いて以下に説明する。なお,説明において同一構成部品には同符号を使用し,説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るガスタービン燃焼器について図1と図2a及び図2bを用いて説明する。図1は本発明の実施形態に係るガスタービンの模式図の一例である。図2a及び図2bは図1に示すガスタービン燃焼器の予混合部の模式図であり、第1の実施形態の予混合部を示す。
図1に示すようにガスタービン1は、圧縮機2と、ガスタービン燃焼器3(以下、燃焼器3という。)と、タービン4と、発電機5とを備え,駆動軸6にて圧縮機2,タービン4と発電機5が接続されている。空気(燃焼用空気)7は圧縮機2で圧縮され高圧となり、燃焼器3で液体燃料8と混合されて燃焼される。燃焼器3で生成した高温,高圧の燃焼排ガス9はタービン4を回転し、それにより発生した回転エネルギーは発電機5で電力となる。
圧縮機2は、羽根車の回転運動によって気体を圧送する機械で、吸気部(図示せず)から吸い込まれた空気7を燃焼器3に圧送する。燃焼器3は、燃料を空気と混合させて燃焼させる装置で、圧縮機2から圧送された空気7と液体燃料8を混合させて燃焼させ、高温の燃焼ガス9を生成しタービン4に供給する。タービン4は、流体がもっているエネルギーを機械的動力に変換する回転式の原動機で、燃焼器3から供給された燃焼ガス9により回転駆動する。
図1は、燃焼器3はその頭部10を圧縮機2側に,尾部11をタービン4側に配置し、複数の燃焼器3を駆動軸6の周囲に環状に配置したガスタービン1について、1つの燃焼器3を拡大して示したものである。図1は燃焼器3を駆動軸6の周囲に環状に複数個配置したが、駆動軸6とは別に1個、または複数個設置することも可能である。また,図1は1つの駆動軸6に圧縮機2,タービン4と発電機5を接続したガスタービン発電機を示すが,駆動軸を複数に分割して設けること(すなわち複数軸のガスタービンとすること)も可能である。さらに、発電機5に変えて他の回転体の駆動に用いることも可能である。
図1において拡大して示す燃焼器3は、円筒状の側壁により形成されている外周隔壁12と、外周隔壁12の内側に設置された円筒状の側壁であるライナ14と、外周隔壁12とライナ14との間に形成された空気流路13と、ライナ14の内部に形成された燃焼室15と、燃焼器3の中心軸上に配置され燃焼室15に液体燃料8を供給するパイロットバーナ16と、パイロットバーナ16の周囲かつライナ14の内側に配置され、液体燃料8と空気7を予混合させた燃料を燃焼室15に供給する複数のメインバーナ17と、外周隔壁12を形成する円筒部材の一方(燃焼ガス9の流れに対して上流側)の端部を閉塞するエンドカバー(頭部)10と、を備える。パイロットバーナ16とメインバーナ17には液体燃料8を供給する燃料配管19,20が接続される。
燃焼用空気7は、圧縮機2で圧縮された後に空気流路13を通り、頭部10からパイロットバーナ16やメインバーナ17に設けた流路を通り燃焼室15に供給される。液体燃料8を燃焼する場合、パイロットバーナ16は、燃焼器3の中心軸上に設けた燃料配管19における燃焼室側の端部に設けられた噴霧ノズル21から燃焼室15に液体燃料8を噴霧し、液体燃料8を燃焼用空気7の一部と燃焼室15内で混合して燃焼させる。一方、メインバーナ17は燃焼時に生成される窒素酸化物(NOx)を低減するために、液体燃料8と空気7を予め混合した上で燃焼させる予混合燃焼方式を用いる。このため、メインバーナ17は、燃料配管20から供給される液体燃料8を、メインノズル30を介して予混合部34内に噴射し、メインバーナ17の出口までに燃焼用空気7の一部と混合した上で燃焼室15に供給して燃焼する。
図2aと図2bに図1に示すメインバーナ17の1つを拡大して示す。図2bは図2aのC−C矢視断面図である。
メインバーナ17は、パイロットバーナ16の周囲に複数配置され、燃焼室15内に予混合気を供給する装置で、円筒状の側壁により形成された隔壁33と、隔壁33により囲まれた空間(予混合部)34と、隔壁33の中心軸100上に配置されたメインノズル(燃料ノズル)30を有する。
メインノズル30は、液体燃料8を予混合部34に噴出するノズルである。図1に示すように、メインノズル30には燃料配管20から液体燃料8が注入される。メインノズル30の内部には図2bに示すように油流路31を設けられ、油流路31における燃料流通方向の下流側にはメインノズル30の側面に設けられた油噴孔(液体燃料噴出孔)32が接続されている。
油流路31は、燃料配管20から供給された液体燃料8を油噴孔32に給送するための流路である。
油噴孔32は、メインノズル30の下流側の端部側面に穿たれた円孔であり、油流路31に接続されている。図2bに示すように、油噴孔32は、その中心軸(軸線)Aがメインノズル30の径方向に沿うように形成されており(例えば、油噴孔32の中心軸Aがメインノズル30の中心軸101に対して垂直となるように形成しても良い)、油噴孔32からはメインノズル30の径方向に沿って液体燃料8が噴出される。
また、メインバーナ17には隔壁33に囲まれた筒状の空間(予混合部)34が形成されている。予混合部34には空気流35が、頭部10側(上流側)から燃焼室15側(下流側)へ向かって流れている。そして、油噴孔32は空間34を流れる空気流35に対し軸線(中心軸)Aが交差する。
油噴孔32から噴出する液体燃料8は油噴孔32の近傍では液柱形状36で噴出されるが、その周囲の空気流35との速度差により表面に作用するせん断力によって微粒化されて油噴孔32から離れるに従って液滴37となる。液滴37は空気流35の乱れにより分散され、予混合気を形成する。この液体燃料8と空気流35の予混合気は、燃料濃度が均一で、かつ、液滴37が燃焼室15に入る前に蒸発する方が、燃焼時の局所的な温度が均一に低く抑制され、燃焼時に生成する窒素酸化物(NOx)を抑制できる。このため液体燃料8を液滴37へと早期に微粒化し、空気流35と混合しやすくすることが望ましい。
なお、図2a,2bでは油噴孔32を1つ記載するが、油噴孔32をメインノズル30の周方向に複数個設けても良い。また、空間34の上流側の空気流35に旋回流速成分を与える旋回羽根(図示せず)をメインノズル30に設けても良い。油噴孔32を複数個設けることで、液体燃料8と空気流35との混合箇所が増え、予混合気の燃料濃度が均一化する。また、空気流35に旋回流速成分を与えることで空気流35の乱れが増え、予混合気の燃料濃度が均一化する。但し、油噴孔32を複数個設けると個々の油噴孔32の断面積が狭まり閉塞の可能性が高まることや、構造物が複雑化して製造コストが高くなることが懸念され得る。このため、油噴孔32の数は、1つのメインノズル30あたり2〜5個が好ましい。
本実施形態の燃焼器は液体燃料8を液滴37へと微粒化し、空気流と混合するために、油噴孔32の上流側に油噴孔32の開口部面積に比べて小断面積である小噴孔(流体噴出孔)50を有する。小噴孔50は、図2a及び図2bに示す本実施形態では、油噴孔32と同様に上流側が油流路31に接続する。
ここで、油噴孔(液体燃料噴出孔)32を主噴孔とし、その上流側に設けた小噴孔50を副噴孔とする。副噴孔50の開口部は、メインノズル30の側面において、主噴孔32の開口部に対して空気流35における上流側に位置するように配置されている。さらに、副噴孔50の液体燃料8を噴出される部分(副噴孔50の噴出部)の直径d2は、主噴孔32の噴出部の直径d1より小さくなっており(図2b参照)、副噴孔50の噴出部の流路断面積は、主噴孔32の噴出部の流路断面積に比べて小さくなっている。
また、主噴孔(油噴孔)32の中心軸(軸線)Aと副噴孔(小噴孔)50の中心軸(軸線)Bが交差することで、主噴孔32から噴出する液体燃料8に、副噴孔50から噴出する液体燃料8が衝突する。主噴孔32から噴出する液体燃料8は出口近傍では液柱形状36を形成するが、この部分に副噴孔50から噴出する液柱形状51の液体燃料8が衝突することで、液柱形状36,51の表面に乱れが生じ、液滴37へと分離し易くなる。液滴37とすることで重量当たりの空気との接触表面積が大きくなる。このため、空気流35との流速差による抵抗を受け、空気流35に追随しやすくなり、空気流速の乱れにより分散する。また、表面から蒸発が進み、燃料成分が気化しやすくなる。このため燃料成分が短い距離で空気と均一に混合し、希薄予混合気体となる。この希薄予混合気体を予混合部34の下流の燃焼室15で燃焼させることで、局所的な高温部が生成せずに、燃焼により窒素酸化物、いわゆるサーマルNOxの生成を抑制することができる。また、微粒化が進むことで液滴37として燃焼する液体燃料8も燃焼反応が進み、一酸化炭素(CO)やばいじんの生成を抑制できる。
本実施形態では、燃焼負荷が相対的に高く、液体燃料量の相対的に多い高負荷時には、主噴孔32と副噴孔50から噴出する液体燃料8がいずれも増える。このとき主噴孔32と副噴孔50から噴出する液柱形状36,51の燃料同士が衝突する運動量が増えることで、液柱形状36,51に乱れが生じ、液滴37へと分離し易くなる。液滴37とすることで空気流35との流速差による抵抗を受け、空気流35に追随しやすくなり、主噴孔32から噴出した液体燃料8が中心軸A方向に沿って到達する距離(以下、到達距離)D1(図2b参照)を抑制できる。
また、隔壁33への液体燃料8の付着を抑制し、微粒化が進むことで液滴37として燃焼する液体燃料8も燃焼反応が進み、一酸化炭素(CO)やばいじんの生成を抑制できる。
また、燃焼負荷が相対的に低く、液体燃料量の相対的に少ない低負荷時には、液体燃料8がいずれも減る。このとき主噴孔32と副噴孔50から噴出する液柱形状36,51の燃料同士が衝突する運動量が減ることで、液柱形状36,51に生じる乱れが減少し、液滴37へと分離し難くなる。液滴37になりにくいので、空気流35との流速差による抵抗が減り、空気流35に追随し難くなり、液体燃料8の到達距離D1を維持できる。このように本実施形態によれば変化する燃焼負荷に対し、メインノズル30内での液体燃料8の到達距離D1を一定に調節できる。
なお、図2a,2bに示すメインノズル30では主噴孔32と副噴孔50が構成する1組の噴出孔は1つであるが、この1組の噴出孔を例えば周方向に複数組設けてもよい。
なお、図2a,2bに示す主噴孔32と副噴孔50の交差位置は主噴孔32の出口直後であるが、主噴孔32と副噴孔50の距離(間隔)W1(図2a参照)は、主噴孔32と副噴孔50の中心を結ぶ直線方向における主噴孔32の幅(直径)d1の約10倍以内の出口近傍とすることが望ましい。主噴孔32の中心軸Aと副噴孔50の中心軸Bの交差位置のメインノズル30からの距離を短くすることで、主噴孔32と副噴孔50の液柱形状36,51同士を衝突しやすくできる。一方、主噴孔32の中心軸Aと副噴孔50の中心軸Bの交差位置のメインノズル30からの距離を長くすると液体燃料8が衝突前に液滴状となっていることがあり、この場合、衝突により小液滴が合体し大液滴となり、重量当たりの空気との接触表面積が小さくなり、均一な予混合気の形成を妨げる可能性が生じる。
主噴孔32から噴出する液体燃料8は主噴孔32からの噴出直後の出口近傍では液柱形状である。この出口近傍での主噴孔32からの噴流は、噴流の中心部の流速が同一の領域を形成し、下流になるに従い周囲の空気流35とのせん断力により流速が低下する。この噴流の中心部で流速が同一の領域をポテンシャルコアと呼ぶ。ポテンシャルコアが存在する領域やその直後の領域では、噴流の中心部は噴出時の流速に近く、周囲の空気流速の乱れの影響を受けにくい。本発明では主噴孔32の中心軸Aと副噴孔50の中心軸Bの交差位置を主噴孔32の出口直後であり主噴孔32の直径d1の約10倍以内とし、噴流の中心部の周囲の空気流速の乱れの影響を受けにくい領域に、副噴孔50からの流体が衝突することで液柱形状36,51に乱れが生じさせる。このため、主噴孔32から噴出する液体燃料8はポテンシャルコアの存在する領域が狭まり、液滴37へと分離し易くなる。液柱形状36,51を液滴37とすることで重量当たりの空気7との接触表面積が大きくなる。このため、空気流35との流速差による抵抗を受け、空気流35に追随しやすくなり、空気流速の乱れにより分散することができる。
また、本発明の副噴孔50の噴出部の流路断面積を、主噴孔32の噴出部の流路断面積に比べて小さくすることを特徴とする。副噴孔50の流路断面積を狭め、噴出する流量を少なくすることで、主噴孔32からの液体燃料8の運動量に比べて副噴孔32からの液体燃料8の運動量は小さくなる。このため主噴孔32から噴出する液柱形状36の燃料(流体)の液滴状への変化を早めるものの、燃料(流体)の流れ方向の変化は微小となり、液体燃料8の噴出方向への影響を抑制できる。
また、副噴孔50と空気流35との交差角は主噴孔32と空気流35との交差角に比べて小さいことが望ましい。副噴孔50からの流れは主噴孔32からの流れに比べて流量が少ないので空気流35の影響を受けやすい。主噴孔32と副噴孔50の流れを衝突させる際、副噴孔50と空気流35の交差角を小さくすることで、副噴孔50からの流れは空気流35の影響を受けにくくなる。
上述の効果により、本実施形態に係る燃焼器3は、液体燃料8と空気流35との予混合気を形成する機構を有するデュアルフューエル型のガスタービン燃焼器として、多種の燃料に対応し、かつ、燃焼排ガス中の未燃焼分や窒素酸化物(NOx)の低減という、高い環境性能の両立が可能となる。
なお、副噴孔50は図2aに示すように主噴孔32に対し1つ設ける場合の他、複数設けることも可能である。図3に副噴孔50を主噴孔32に対し2つ設けた場合を示す。副噴孔50を複数設けることで、複数の液柱形状51を1つの液柱形状36に衝突させることができ、液柱形状36の表面の乱れを生じやすくなる。また、油流路31を流れる液体燃料8に水を混合することもできる。液体燃料8に水を混合することで燃焼時の温度を低減し、窒素酸化物(NOx)の低減を図ることができる。
また、本発明は予混合気を形成する予混合部34を有する燃焼器3を対象としたものであり、液体燃料8と空気7を混合するメインノズル30を有するメインバーナ17の数やパイロットバーナ16の有無は適宜選択できる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る燃焼器3の構成及び動作の概略について説明する。
図4aと図4bに本発明の第2実施形態のメインバーナ40の1つを拡大して示す。図4bは図4aのD−D矢視断面図である。図2a,bに示す第1の実施形態のメインバーナ17との違いは、副噴孔55を主噴孔42の下流側に設けたことである。また、副噴孔55と空気流35との交差角が主噴孔42と空気流35との交差角に比べて大きい。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一構成での効果は同じである。以下、構成の異なることによる効果のみ記述する。
本発明は液体燃料8の液滴37を微粒化し、空気流35と混合するために、上記の主噴孔42について、その下流側に主噴孔42の噴出部の流路断面積に比べて小断面積である副噴孔55を有することを特徴とする。図4aと図4bに示す本発明の第2の実施形態では、主噴孔42と副噴孔55の上流側はいずれも同じ油流路31に接続する。
主噴孔42の中心軸Aと副噴孔55の中心軸Bが予混合部34で交差することで、主噴孔42から噴出する液体燃料8に、副噴孔55から噴出する液体燃料8が衝突する。主噴孔42から噴出する液体燃料8は噴出部近傍では液柱形状36であるが、この部分に副噴孔55から噴出する液体燃料8の液柱形状51が衝突することで、液柱形状36,51の流体の表面に乱れが生じ、液滴37へと分離し易くなる。
主噴孔42から噴出される液体燃料8が形成する液柱形状36のうち、空気流35の上流側に面した部分は、周囲の空気流35との速度差により表面にせん断力が働き、微粒化され液滴37となりやすい。一方、空気流35の下流側に面した部分は液柱形状36により空気の流れが妨げられるため、周囲の空気流35との速度差により表面にせん断力が働きにくく、微粒化されず液滴37となりにくい。第2の実施形態では空気流35の下流側に面した部分に副噴孔55から噴出する液柱形状51の液体燃料8が衝突することで、液柱形状36,51の流体の表面に乱れが生じ、液滴37へと分離し易くなる。また、副噴孔55からの液柱形状51の噴流はその上流側に主噴孔42の液柱形状36の噴流が存在し、空気の流れが妨げられる。このため、副噴孔55と空気流35との交差角を大きくして、直角(90度)近くしても空気流35の影響を受けにくくなる。
なお、副噴孔55は図4aに示す主噴孔42に対し1つ設ける場合の他、第1の実施形態の図3で示したように副噴孔55を主噴孔42に対し複数設けることも可能である。また、副噴孔55は図4aに示す主噴孔42に対し下流にだけ設ける場合の他、主噴孔42に対し上流にも設けることも可能である。図5に主噴孔42に対し上流に副噴孔50、下流に副噴孔55を設けた場合を示す。主噴孔42に対し上流に副噴孔50、下流に副噴孔55を設けることで、液柱形状36の上流側と下流側の両方の表面に乱れを生じやすくすることができ、液滴37へと分離し易くなる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る燃焼器3の構成及び動作の概略について説明する。
本発明の第3の実施形態によるメインバーナ60を、図6a,図6bを用いて説明する。図6a,図6bはメインノズル64の液体燃料8を噴出する部分を拡大した模式図であり、図6aは正面図、図6bは燃料噴出時におけるメインノズル64のE−E矢視断面図である。
図6に本発明の第3の実施形態のメインバーナ60の1つを拡大して示す。図2a,bに示す第1の実施形態のメインバーナ17との違いは、主噴孔61と副噴孔62の上流側が別の油流路31,63と接続することである。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一構成での効果は同じである。以下、構成の異なることによる効果のみ記述する。
第3の実施形態では、副噴孔62から噴出する流体の流量を主噴孔61からの液体燃料8の流量とは別個に調整することができる。副噴孔62から噴出する流体量を調節することで、主噴孔61から噴出される液体燃料8が形成する液柱形状36に与える乱れと、それに伴う主噴孔61から噴出する液体燃料8の到達距離D3と微粒化を制御できる。
従来は燃焼負荷の増加に伴い、主噴孔61から噴出する液体燃料量が増加すると、主噴孔61での流速と運動量が増加することで液体燃料8が空気の流れ(空気流35)に追随しにくくなった。液体燃料8の到達距離D3が延びるため、予混合部34の隔壁33に付着する液体燃料量が増え、隔壁33上で液膜となるため微粒化が悪化する課題があった。
しかし、第3の実施形態では、燃焼負荷が高く、液体燃料量の多い高負荷時に副噴孔62から噴出する流体量を増やすことで、主噴孔61の出口近傍の液柱形状36に乱れが生じ、液滴37へと微粒化し易くなる。液滴37とすることで空気流35との流速差による抵抗を受け、空気流35に追随しやすくなり、液体燃料8の到達距離D3を抑制できる。
また、燃焼負荷が低く、液体燃料量の少ない低負荷時に副噴孔62から噴出する流体量を減らすことで、主噴孔61の出口近傍の液柱形状36の乱れを抑制し、液滴37へと微粒化し難くすることで、空気流35に追随し難くなり、液体燃料8の到達距離D3を維持できる。このように燃焼負荷や液体燃料量に応じて副噴孔62からの噴出する流体量を制御することで、液体燃料8の到達距離D3を調節できる。このため、液体燃料成分を短い距離で空気と均一に混合し、希薄予混合気体を生成しやすくなる。この希薄予混合気体を予混合部34の下流で燃焼させることで、局所的な高温部が生成せずに、燃焼により窒素酸化物、いわゆるサーマルNOxの生成を抑制することができる。
また、隔壁33への液体燃料8の付着を抑制し、微粒化が進むことで液滴37として燃焼する液体燃料8も燃焼反応が進み、一酸化炭素(CO)やばいじんの生成を抑制できる。
また、第1の実施形態に係るメインノズル30における主噴孔32と副噴孔50の流量の比率と、第2の実施形態に係るメインノズル41における主噴孔42と副噴孔55からの流量の比率は同一であったが、第3の実施形態に係るメインノズル64では主噴孔61と副噴孔62の流量の比率を調整できるため、主噴孔61からの液体燃料8の到達距離の維持や燃焼状態に合わせた制御が容易となる。
また、第3の実施形態に係るメインノズル64では副噴孔62に接続する油流路63は液体燃料8の他、別の流体として水や蒸気、空気(圧縮空気)を使用することができる。水や蒸気を使用することで、燃焼時の温度を低減し、窒素酸化物(NOx)の低減を図ることができる。
なお、第1の実施形態に係るメインノズル30と第2の実施形態に係るメインノズル41と同様に、第3の実施形態に係るメインノズル64に副噴孔62を複数設けることや、副噴孔62を主噴孔61の下流側に設けることも可能であり、その効果は第1の実施形態に係るメインノズル30と第2の実施形態に係るメインノズル41と同様となる。
<まとめ>
上記の第1,第2,第3の実施形態に係るガスタービン燃焼器が備える代表的な特徴について説明する。
(1)上記のガスタービン燃焼器3は、液体燃料8と空気7とを予め混合させる予混合部34を有し、予混合部34を流れる空気流35に対し交差するように液体燃料8を供給する主噴孔(液体燃料噴出孔)32,42,61と、主噴孔32,42,61から噴出される液体燃料8に向けて流体を噴出して、前記流体を液体燃料8に衝突させるよう構成された副噴孔(流体噴出孔)50,55,62とを備える。
そのため、主噴孔32,42,61から噴出される液体燃料8の液柱形状36の表面に乱れが生じ、液柱形状36が液滴37へと微粒化し易くなる。液柱形状36が液滴37へ微粒化されることにより液体燃料8は空気流35との接触表面積が大きくなる。このため、空気流35に追随しやすくなり、空気流35と液体燃料8の流速差による抵抗と空気流の乱れにより分散化が増大する。また、空気流35との接触面積が大きくなることにより液体燃料8は蒸発が進み、気化しやすくなる。このため、液体燃料8と空気7を短距離で均一に混合することが可能となり、希薄予混合気体を容易に生成できる。
また、副噴孔50,55,62の噴出部における流路断面積を、主噴孔32,42,61の噴出部における流路断面積に比べて小さくすることで、主噴孔32,42,61から噴出される流体量に対して副噴孔50,55,62から噴出される流体量を調節している。これにより主噴孔32,42,61の噴出部に形成される液柱に与える乱れと、それに伴う主噴孔32,42,61から噴出する液体燃料の到達距離を制御できる。このため、液体燃料成分を短い距離で空気と均一に混合し、希薄予混合気体を生成しやすくなる。また、隔壁への液体燃料の付着が抑制され微粒化を促進できる。
(2)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔32,42,61の軸線Aと副噴孔50,55,62の軸線Bとが予混合部34で交差する。そのため、主噴孔32,42,61から噴出される液体燃料8に対して、副噴孔50,55,62から噴出する流体を正確に衝突させることができる。
(3)上記のガスタービン燃焼器3は、副噴孔50,55,62が空気流の方向における主噴孔32,42,61の上流側または下流側の少なくとも一方に設けられている。このことにより、主噴孔32,42,61から噴出する液体燃料8の液柱形状36の上流側と下流側の少なくとも一方の表面に乱れを生じやすくすることができ、液滴37へと微粒化し易くなる。
(4)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔32,42,61と副噴孔50,55,62との距離W1が、主噴孔32,42,61と副噴孔50,55,62の中心を結ぶ直線方向における主噴孔32,42,61の幅d1の約10倍以内である。このことにより、主噴孔32,42,61と副噴孔50,55,62との距離は短くなり、主噴孔32,42,61の液柱形状36と副噴孔50,55,62の液柱形状51を衝突しやすくできる。
(5)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔32,42,61の上流側に設けられた副噴孔50,62の中心軸Bと空気流35との交差角が、主噴孔32,42,61の中心軸Aと空気流35との交差角に比べて小さい。主噴孔32,42,61の上流側に設けられた副噴孔50,62から噴出される液体燃料8は主噴孔32,42,61から噴出される液体燃料8に比べて流量が少ないので空気7の気流に影響を受けやすいが、上記の交差角とすることで、副噴孔50,62から噴出する液体燃料8に対する空気流35の影響を減少させ、副噴孔50,62から噴出する液体燃料8が主噴孔32,42,61から噴出する液体燃料8と衝突しやすくできる。
(6)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔32,42,61の下流側に設けられた副噴孔55の中心軸Bと空気流35との交差角が、主噴孔32,42,61の中心軸Aと空気流35との交差角に比べて大きい。このため、主噴孔32,42,61から噴出した液体燃料8の液柱形状36の空気流35の下流側に面した部分に副噴孔55から噴出する液体を衝突させることができ、液柱形状36の表面に乱れを生させ、液滴37へと微粒化し易くすることができる。なお、副噴孔55から噴出する流体はその上流側に主噴孔32,42,61の液柱形状36が存在し、空気流35が妨げられ、副噴孔55と空気流35との交差角を大きくして、直角(90度)近くしても空気流35の影響を受けにくくなる。このため、主噴孔32,42,61から噴出した液体燃料8の液柱形状36の空気流35の下流側に面した部分に副噴孔55から噴出する液体を衝突しやすくできる。
(7)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔32,42と副噴孔50,55が、上流側で同じ流路に接続する。このことにより、高負荷時に液体燃料量が多くなった場合には、主噴孔32,42と副噴孔50,55から噴出する液体燃料8がいずれも増える。このとき、主噴孔32,42と副噴孔50,55から噴出する液柱形状36、51の噴出量も増え、衝突の乱れも増加し、液滴化する液体燃料8も増加する。そして、液滴化した液体燃料8の増加により、空気流35に追随しやすくなり、液体燃料8が主噴孔32,42から噴出して到達する距離D1,D2(図2b、4b参照)を抑制できる。一方、低負荷時に液体燃料量が少なくなった場合には、主噴孔32,42と副噴孔50,55から噴出する液体燃料8がいずれも減る。このとき主噴孔32,42と副噴孔50,55から噴出する液柱形状36、51の運動量も減ることで、衝突の乱れが減少し、液滴化する液体燃料8も減少する。そして、液滴化した液体燃料8の減少により、空気流35に追随し難くなり、液体燃料8が主噴孔32,42から噴出して到達する距離D1,D2は減少することなく維持できる。このように液体燃料量が増減しても、液体燃料8が主噴孔32,42から噴出して到達する距離D1,D2の変動を抑制できる。したがって、燃焼負荷に対し、液体燃料8の到達距離D1,D2を一定に調節できる。
(8)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔61と副噴孔62が、上流側で異なる流路に接続することもできる。このことにより、副噴孔62から噴出する流体の流量を、主噴孔61からの液体燃料8の流量とは別個に調整することが容易となる。副噴孔62から噴出する流体量を調節することで、主噴孔61の液柱形状36に与える乱れと、液体燃料8が主噴孔61から噴出して到達する距離(到達距離)D3を調整することができる。そのため、主噴孔61から噴出する液体燃料量を増加させたときに、液体燃料8の到達距離D3が延びて予混合部34の隔壁33に液体燃料8が付着する量が増加し液膜となり微粒化が悪化することを防止できる。また、主噴孔61から噴出させる液体燃料8を増加させた時に、副噴孔62から噴出する流体量を増やすことで、到達距離D3が増加することを防ぐことができる。また、主噴孔61から噴出させる液体燃料8を減少させた時に、副噴孔62から噴出する流体量を減らすことで、到達距離D3が減少することを防ぐことができ、液体燃料8の到達距離D3を維持できる。また、主噴孔61から噴出する液体燃料8と、副噴孔62から噴出する流体の流量を個別に調整できるため、主噴孔61から噴出する液体燃料8と、副噴孔62から噴出する流体の流量の比率を容易に調整することができ、燃焼状態に合わせた制御が容易となる。また、第1、第2の実施形態に係る主噴孔32,42と副噴孔50,55の流量の比率が同一であったが、第3の実施形態に係る主噴孔61と副噴孔62では流量の比率を調整できるため、主噴孔61からの液体燃料8の到達距離の維持や燃焼状態に合わせた制御が容易となる。
(9)上記のガスタービン燃焼器3は、副噴孔62により噴出される流体が、気体または水である。このことにより、燃焼時の温度を低減し、窒素酸化物(NOx)の低減を図ることができる。
(10)上記のガスタービン燃焼器3は、主噴孔32,42,61と副噴孔50,55,62とが1組の噴出孔を構成しており、1組の噴出孔が複数組設けられている。このことにより、液体燃料8と空気流35との混合箇所が増え、予混合気の燃料濃度が均一化することができる。
(11)上記のガスタービン燃焼器3は、1つの主噴孔32,42,61に対して複数の前記副噴孔50,55,62を備えることもできる。このことにより、1つの液柱形状36に対して複数の液柱形状51が衝突し液柱形状36の表面の乱れを生じやすくすることができる。
(12)上記のガスタービン1は、ガスタービン燃焼器3を有する。このため、ガスタービン燃焼器3が有する作用と効果を享有することができる。
(その他)
本発明は,上記の各実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば,本発明は,上記の各実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず,その構成の一部を削除したものも含まれる。また,ある実施形態に係る構成の一部を,他の実施形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
上記の各実施形態では、メインノズル30,41,64と、主噴孔32,42,61と、副噴孔50,55,62との関係をそれぞれの中心軸100,101,A,Bを用いて説明したが、これらのメインノズル30,41,64や孔32,42,61,50,55,62の内部において自身の中心軸と平行な線(本稿では「軸線」と称する)を適宜設定して、その軸線を基準にしてメインノズル30,41,64や孔32,42,61,50,55,62の関係を定義しても良い。すなわち、例えば、第1の実施形態において、主噴孔32と副噴孔50は互いの中心軸が予混合部34で交差する必要はなく、互いの軸線が予混合部34で交差するように構成すれば良く、このように2つの孔32,50を配置すれば液体燃料同士を衝突させ得る。
また、油流路31を流れる液体燃料8に水を混合することもできる。液体燃料8に水を混合することで燃焼時の温度を低減し、窒素酸化物(NOx)の低減を図ることができる。
また、本発明に係る燃焼器3は、メインノズル30,41,64を有するメインバーナ17,40,60の数やパイロットバーナ16の有無は適宜選択できる。
また、上記の各実施形態における孔32,42,61,50,55,62の断面形状は円としたが、円以外の形状にも適宜変更可能である。
また、上記の各実施形態におけるメインノズル30,41,64の構成は、液体燃料と気体燃料を選択的に噴出可能な燃料ノズルを有するデュアルフューエル型のガスタービン燃焼器にも適用可能である。この種の燃焼器に適用することで、多種の燃料に対応し、かつ、燃焼排ガス中の未燃焼分や窒素酸化物(NOx)の低減という、高い環境性能の両立が可能となる。
1:ガスタービン,2:圧縮機,3:燃焼器,4:タービン,5:発電機,6:駆動軸,7:燃焼用空気,8:液体燃料,9:燃焼排ガス,10:燃焼器の頭部,11:燃焼器の尾部,12:外周隔壁,13:空気流路,14:隔壁(ライナ),15:燃焼室,16:パイロットバーナ,17,60:メインバーナ,19,20:燃料配管,21:噴霧ノズル,30:メインノズル,31:油流路,32,42,61:油噴孔(主噴孔,液体燃料噴出孔),33:隔壁,34:筒状の空間(予混合部),35:空気流,36,51:液柱形状,37:液滴,50,55,62:副噴孔(小噴孔,流体噴出孔),63:流路,d1:主噴孔の直径,d2:副噴孔の直径

Claims (12)

  1. 液体燃料と空気とを予め混合させる予混合部を有するガスタービン燃焼器において、
    前記予混合部を流れる空気流に対し交差するように前記液体燃料を供給する液体燃料噴出孔と、
    前記液体燃料噴出孔から噴出される前記液体燃料に向けて流体を噴出して、前記流体を前記液体燃料に衝突させるよう構成された流体噴出孔と、を備え、
    前記流体噴出孔の噴出部における流路断面積が、前記液体燃料噴出孔の噴出部における流路断面積に比べて小さいことを特徴とするガスタービン燃焼器。
  2. 請求項1に記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔の軸線と前記流体噴出孔の軸線とが前記予混合部で交差することを特徴とするガスタービン燃焼器。
  3. 請求項1または2のガスタービン燃焼器において、
    前記流体噴出孔は、前記液体燃料噴出孔の上流側または下流側の少なくとも一方に設けられていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔と前記流体噴出孔との距離が、前記液体燃料噴出孔と前記流体噴出孔の中心を結ぶ直線方向における前記液体燃料噴出孔の幅の約10倍以内とすることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔の上流側に設けられた前記流体噴出孔の中心軸と前記空気流との交差角が、前記液体燃料噴出孔の中心軸と前記空気流との交差角に比べて小さいことを特徴とするガスタービン燃焼器。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔の下流側に設けられた前記流体噴出孔の中心軸と前記空気流との交差角が、前記液体燃料噴出孔の中心軸と前記空気流との交差角に比べて大きいことを特徴とするガスタービン燃焼器。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔と前記流体噴出孔は、上流側で同じ流路に接続することを特徴とするガスタービン燃焼器。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔と前記流体噴出孔は、上流側で異なる流路に接続することを特徴とするガスタービン燃焼器。
  9. 請求項8に記載のガスタービン燃焼器において、
    前記流体噴出孔により噴出される前記流体が、気体または水であることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    前記液体燃料噴出孔と前記流体噴出孔とが1組の噴出孔を構成しており、
    前記1組の噴出孔が複数組設けられていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のガスタービン燃焼器において、
    1つの前記液体燃料噴出孔に対して複数の前記流体噴出孔を備えたことを特徴とするガスタービン燃焼器。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載のガスタービン燃焼器を有するガスタービン。
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