JP2020085007A - 電磁弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁体を摺動可能に支持するガイド部材の支持部について樹脂材料の均一な充填を図ることができる電磁弁を提供する。【解決手段】電磁弁は、開状態と閉状態とにわたって弁口25を開閉する弁体7と、ガイド部材6と、弁体7を軸方向に変位させる駆動力を発生する電磁ソレノイド部3とを備える。ガイド部材6は、弁体7を軸方向に摺動可能に支持する支持部61と、ハウジングに内接された状態で装着されている装着部60と、装着部60と支持部61とをつなぐ中継部とを有する。装着部60は軸方向に対して直交する直交方向について中継部よりも大きい形状である。支持部61は中継部から軸方向に延びる形状である。装着部60の外面にはゲート痕60gが設けられている。【選択図】図2
Description
この明細書における開示は、作動流体の流路を切り換える装置として使用される電磁弁に関する。
特許文献1に開示された電磁弁は、弁室に設けられて開状態と閉状態とにわたって弁口を開閉する弁体と、弁室に設けられて弁体を軸方向に摺動可能に支持するガイド部材とを備えている。
特許文献1の電磁弁では、例えば閉弁状態において弁室に作用する圧力が、ガイド部材における筒状の支持部と弁体の筒壁部とにおける摺動部分に作用する。閉弁状態において弁室の圧力を保持しつつ、筒壁部が支持部に対して円滑に摺動するためには、支持部の寸法精度が必要になる。
樹脂成形品であるガイド部材を用いる場合に、支持部における寸法精度確保のためには、成形時において樹脂材料の流動が円滑に行われて、樹脂材料が支持部において均一に充填されることが求められている。
この明細書における開示の目的は、弁体を摺動可能に支持するガイド部材の支持部について樹脂材料の均一な充填を図ることができる電磁弁を提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
開示された電磁弁の一つは、作動流体が流入する弁室(22)を内部に有するハウジング(2)と、弁室に設けられて、弁室から下流側通路(53)への作動流体の流通を許可する開状態と作動流体の流通を妨げる閉状態とにわたって弁口(25)を開閉する弁体(7)と、弁室に設けられて、弁体を軸方向に摺動可能に支持する支持部(61)とハウジングに内接された状態で装着されている装着部(60;160)とを有した樹脂成型品であるガイド部材(6;106)と、弁体を軸方向に変位させる駆動力を発生する電磁ソレノイド部(3)と、を備え、
ガイド部材は、さらに装着部と支持部とをつなぐ中継部(60b1;62)を有し、装着部は軸方向に対して直交する直交方向について中継部よりも大きい形状であり、支持部は中継部から軸方向に延びる形状であり、装着部の外面にはゲート痕(60g)が設けられている。
ガイド部材は、さらに装着部と支持部とをつなぐ中継部(60b1;62)を有し、装着部は軸方向に対して直交する直交方向について中継部よりも大きい形状であり、支持部は中継部から軸方向に延びる形状であり、装着部の外面にはゲート痕(60g)が設けられている。
この開示によれば、ガイド部材の成型工程において装着部の外面のゲート痕から金型内に流入した溶融樹脂は、装着部からスムーズに内側の中継部に流下するとともに、さらに中継部から支持部に分流するようになる。これにより、溶融樹脂を他の部分に比べて支持部に遅れて流入させることができるため、弁体との摺動部を構成する支持部に樹脂を充填できるガイド部材を提供できる。以上により、弁体を摺動可能に支持するガイド部材の支持部について樹脂材料の均一な充填を図る電磁弁を提供できる。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態の電磁弁1について図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、例えば自動車のオートマチックトランスミッションシステムに搭載され、変速制御のために油路切換えを行う電磁弁1の全体の概要構成を示す。図1に示すように、電磁弁1は、ハウジング2に収容されている流路制御部と、流路制御部と一体に連結されている電磁ソレノイド部3とを備えている。
第1実施形態の電磁弁1について図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、例えば自動車のオートマチックトランスミッションシステムに搭載され、変速制御のために油路切換えを行う電磁弁1の全体の概要構成を示す。図1に示すように、電磁弁1は、ハウジング2に収容されている流路制御部と、流路制御部と一体に連結されている電磁ソレノイド部3とを備えている。
流路制御部は、自動変速装置または自動変速装置側の通路形成部材5の内部に円柱状の通路を形成する装着穴52に先端側筒部2aが嵌合され、装着穴52の軸方向に延びる筒状のハウジング2を備える。この明細書における軸方向は、ガイド部材の中心軸に沿う方向に相当する。通路形成部材5には、作動流体の一例として、調圧されたオイルが流れるオイル流入通路である上流側通路51が形成され、上流側通路51は入口通路11に通じている。入口通路11は、上流側通路51と弁室22とを連通させる通路である。
ハウジング2は、装着穴52に嵌合される先端側筒部2aと、先端側筒部2aとは軸方向の反対側に位置するシャフト保持部26とを有している。図2に示すように、先端側筒部2aは、内側に開口端を形成する先端部2a1と、ガイド部材6の装着部60を取り囲む第1周囲部2a2および第2周囲部2a3とを有している。第1周囲部2a2は、第2周囲部2a3よりも先端部2a1寄りに位置している。第1周囲部2a2は、第2周囲部2a3よりも内径寸法が大きい筒状部である。
シャフト保持部26は、軸方向に変位可能なようにシャフト4を保持するとともに、外嵌めされる電磁ソレノイド部3に組み付けられる。電磁弁1は、ハウジング2の先端側筒部2aが通路形成部材5の装着穴52に嵌合され、かつ流出口12と下流側通路53とを接続した状態で固定することによって自動変速装置側に取り付けられる。
ハウジング2の内部には、先端に近い位置にフィルタ室21が設けられている。フィルタ室21は、自動変速装置側からのオイルが電磁弁1に最初に流入する室であり、フィルタ室21には、通路の横断面全体を覆って作動流体であるオイルを濾過するフィルタ部材8が搭載されている。
ハウジング2には、入口通路11に対して下流側に連通する弁室22が設けられ、さらに弁室22の下流端部には弁口25が開口している。ハウジング2には、弁口25よりも下流側に、外部排出通路15に通じる内部排出通路14が設けられている。さらにハウジング2には、弁口25と内部排出通路14との間で軸方向に交差するように側方に延びる流出口12が設けられている。流出口12は、通路形成部材5に形成されて変速機のバルブに通じるオイル流出通路としての下流側通路53に接続されている。
フィルタ部材8は、先端側筒部2aの内部において、オイル流れの最も上流に位置する円盤状の部材である。フィルタ部材8は、入口通路11に対して上流に対向する位置に設置されている網部を有する。フィルタ部材8は、網部の周囲を囲むように全周にわたって設けられる枠部を有する。網部は、例えば、円盤状の板材について中央部をエッチング加工することによって形成される。そして、エッチング加工されていない残りの板材の部分が、網部の周囲に形成された枠部を構成する。また、フィルタ部材8は、別個の部材である網部と枠部を接着、溶接等することによって製造することもできる。
ハウジング2には、弁体7の下流端部が接触しうる弁座24が設けられている。弁座24は、弁室22の中央部を軸方向に貫通する貫通穴としての弁口25の周縁部をなす。弁室22は、入口通路11と弁口25の間に位置する空間を含み、ガイド部材6の支持部61と弁体7とを収容している。弁体7は、電磁弁1の作動により、弁口25を開状態と閉状態とにわたって移動する。弁体7は、下流端部が弁座24から離間すると弁室22から下流側通路53へ作動流体が流通することを許可する開状態に制御され、下流端部が弁座24に接触すると作動流体が流通することを阻止する閉状態に制御される。
弁体7は、閉状態において弁口25に位置する底部を有する筒状体である。弁体7において、底部とは反対側に位置する上流側の端部は開口している。底部の周縁部は下流端部である。底部には、シャフト4と接触する中央部位を除く部位を貫通する圧力解放通路13が設けられている。圧力解放通路13は、閉状態において、筒状体、すなわち弁体7の内側室であるスプリング室23と弁口25とを連通する通路を構成する。
先端側筒部2aの内側には、ガイド部材6が収容されている。ガイド部材6は、弁体7を軸方向に摺動可能に支持する支持部61と、支持部61よりも上流側の端部において径外方向に放射状に突出する形状の装着部60とを一体に備えた樹脂部品である。ガイド部材6は、樹脂材料を型装置の内部に充填して成型された樹脂成型品である。支持部61は、装着部60と同軸に装着部60から弁口25側に軸方向に沿って延びる筒状部である。
装着部60は、その外周部が先端側筒部2aに内接し、先端側筒部2aの内側壁が部分的に加締められることで先端側筒部2aに固定されている被固定部である。したがって、先端側筒部2aの内側壁には、装着部60をハウジング2に固定するための複数の加締め部が設けられている。装着部60には、複数の加締め部よりも中心寄りに単数または複数の入口通路11が軸方向に貫通している。
図2に示すように、装着部60は、支持部61における上流端部と一体である盤状部60bと、盤状部60bの上流端面60b1における外周縁からガイド部材6の中心軸に沿うように環状に突出する環状突部60aとを備えている。環状突部60aにおける上流端面60a1は、盤状部60bの上流端面60b1よりも作動流体流れの上流に位置している。盤状部60bおよび上流端面60b1は、ガイド部材6の中心軸に対して直交するように形成されている。上流端面60a1は、上流端面60b1よりも環状突部60aの軸方向長さ寸法分、上流に位置している。上流端面60a1は、フィルタ部材8に接触している。環状突部60aと先端側筒部2aの先端部2a1とは、フィルタ部材8を挟持している。上流端面60b1とフィルタ部材8とは、環状突部60aの軸方向長さ寸法分、軸方向に離間している。
上流端面60b1を形成する盤状部60bの中央部分は、装着部60と支持部61とをつなぐ中継部である。装着部60と中継部は、軸方向について同程度の位置であって、軸方向に対して直交する直交方向に並ぶように設けられている。支持部61は、盤状部60bの中央部分における下流側の面から軸方向に延びる筒状部である。装着部60は、軸方向に対して直交する直交方向に、装着部60と支持部61とを連結する中継部よりも大きい形状である。
盤状部60bには、軸方向に貫通するように形成された単数のまたは複数の入口通路11が設けられている。入口通路11は、環状突部60aよりも内側において盤状部60bを貫通している。図3に示すように、複数の入口通路11は、間隔をあけて周方向に並んでいる。隣り合う入口通路11と入口通路11との間の樹脂部分は、盤状部60bの一部であり、この部分を介して環状突部60aと支持部61とがつながっている。入口通路11間の樹脂部分は、周方向において等間隔になるように設けられている。盤状部60bは、入口通路11よりも径内側、すなわち入口通路11よりもガイド部材6の中心軸寄りにおいて、支持部61の上流端部と結合する部分を有する。
図2および図3に示すように、盤状部60bと支持部61の上流端部とがつながっている結合部分は、ガイド部材6の中心軸に直交する面であって、支持部61の肉厚寸法と同程度の幅寸法を有する環状面を形成している。この環状面の面積は、支持部61の横断面61Sの面積と同等または同程度である。支持部61の横断面61Sは、ガイド部材6の中心軸に対して直交する面である。
盤状部60bは、支持部61との結合部分よりも盤状部60bの外周面寄りにおける筒状断面60bSの面積が横断面61Sの面積よりも大きい構成を有している。この筒状断面60bSは、ガイド部材6の中心軸周りに盤状部60bを筒状に切断した断面をなしている。筒状断面60bSは、入口通路11よりも径内側、すなわち入口通路11よりもガイド部材6の中心軸寄りであって支持部61の上流端部よりも径外側に位置する盤状部60bの断面である。筒状断面60bSの面積は、筒状断面60bSにおける周長と軸方向長さとの積によって求めることができる値である。また、筒状断面60bSは、盤状部60bと支持部61との結合部分よりも盤状部60bの中心軸寄りの位置における断面として置き換えてもよい。
筒状断面60bSは、ガイド部材6を製造するための成型工程において、溶融樹脂が金型内における盤状部60bの通路である。盤状部60bと支持部61の上流端部とがつながっている結合部分は、成型工程において、溶融樹脂が盤状部60bに相当する通路から支持部61へ分流する分岐部である。横断面61Sは、成型工程において、溶融樹脂が金型内における盤状部60bに相当する通路から支持部61へ分流するときに通る通路である。
盤状部60bは、支持部61と同軸上に設けられている。盤状部60bは、先端側筒部2aの内面に接触して嵌り合っている嵌合部でもある。環状突部60aは、その外周面と先端側筒部2aの内面との間に隙間が形成されている非嵌合部でもある。盤状部60bと第2周囲部2a3とは、全周においてまたは全周における部分において、互いに接触して嵌り合っている。この構成により、ガイド部材6はハウジング2に対して適正に位置決めされて適正な姿勢で固定されている。
環状突部60aの外周面は、径方向について対向する先端側筒部2aの第1周囲部2a2の内面から離間している。環状突部60aと第1周囲部2a2との間には、隙間が形成されている。この隙間は、環状突部60aの外側または第1周囲部2a2の内側に形成された筒状の空間をなしている。この隙間には、ガイド部材6に形成されたゲート痕60gが露出している。ゲート痕60gは、この隙間における径方向長さの範囲に収まるように装着部60に設けられている。ゲート痕60gは、この隙間において、部分的にまたは全体に、隙間に面するようにまたは隙間を占有するように設けることができる。
ゲート痕60gは、環状突部60aの外面に設けられていることが好ましい。ゲート痕60gは、ガイド部材6を樹脂成型する際に製造した成型体100からゲート部101を切断した痕跡としてガイド部材6に残っている部分である。ゲート痕60gは、ゲート部101を切断する方法や切断位置によって、非嵌合部の外面から突出する突部である場合と、非嵌合部の外面から突出しない状態で切断痕として残っている場合とがある。ここでいう環状突部60aの外面は、環状突部60aの外周面に置き換えることができる。
また、ゲート痕60gは、盤状部60bの外面に設けられている構成でもよい。この構成である場合、ゲート痕60gは、盤状部60bの外面から突出していない構成であることが好ましい。ここでいう盤状部60bの外面は、盤状部60bの外周面に置き換えることができる。
ゲート痕60gは環状突部60aの外面から突出している。ゲート痕60gは、環状突部60aの外面と第1周囲部2a2の内面との間に形成された筒状の隙間に収まっている。ゲート痕60gは、第1周囲部2a2の内面から離間する構成でもよいし、第1周囲部2a2の内面に接触する構成でもよい。
ゲート痕60gは、環状突部60aの外面において全周にわたって所定の位置に設けられている。ゲート痕60gは、環状突部60aの外面において全周にわたって間隔をあけて複数個並ぶように設けられている構成でもよい。さらに好ましくは、ゲート痕60gは環状突部60aの外面において全周にわたって設けられている。この構成の場合、ゲート痕60gは環状突部60aの外面において一周する環状突出部をなしている。この環状突出部は、ガイド部材6の軸方向について、環状突部60aの先端部から盤状部60b側の端部までの範囲に設置することが可能である。
図3に示すように、ゲート痕60gは、隣り合う入口通路11と入口通路11との間の樹脂部分の径外側に設けられていることが好ましい。ガイド部材6には、複数のゲート痕60gが設けられている構成でもよい。この場合、ガイド部材6を含む成型体100の製造において、複数箇所のゲートから樹脂を流入させるゲート方式を採用することができる。ゲート痕60gの周方向位置は、少なくとも、入口通路11と入口通路11との間の樹脂部分に相当する位置であることが好ましい。成型工程において、各ゲート痕60gから流入した溶融樹脂は、図3に破線矢印によって示すように、入口通路11と入口通路11との間をガイド部材6の中心軸に向けて流動するとともに、入口通路11の外側を周方向に分かれて流動する。これによれば、ゲート痕60gから流入した溶融樹脂は、外周側から中心軸に向けて環状突部60aおよび盤状部60bを充填してから、支持部61に分流して支持部61を充填するように流動させることができる。
次に、樹脂成型品であるガイド部材6の製造方法について説明する。ガイド部材6は、金型等の型装置90を用いて成型されることになる。まず、型装置90について図4を参照して説明する。図4に示すように、型装置90の内部には、ガイド部材6を成型するためのキャビティ91と、キャビティ91に溶融樹脂を供給するための樹脂通路92とが設けられている。キャビティ91は、ガイド部材6の形状と同様の内部空間を形成している。
樹脂通路92は、射出成型機から溶融樹脂が供給されるスプルーと、キャビティ91に溶融樹脂を供給するゲート92aと、スプルーとゲート92aとを接続するランナ92b,92cとを有している。ゲート92aはフィルムゲートである。ゲート92aは、キャビティ91の外周に接続されて、キャビティ91の周方向に沿って環状に延びている。ゲート92aは、径方向Yにおいてキャビティ91において装着部60の外周面となる部分に設置されている。第1ランナ92bは、ゲート92aの外周側に設けられ、ゲート92aの周方向に沿って環状に延びて接続されている。第2ランナ92cは、径方向Yに延びた状態で第1ランナ92bとスプルーとを接続している。
型装置90は、第1ピン状型部93、第2ピン状型部94、第1型部95、第2型部96を有している。型装置90においては、これらの型部を互いに組み合わせることによりキャビティ91、ゲート92a、ランナ92b,92cを形成している。ガイド部材6について、第1型部95は少なくとも支持部61を成型し、第2型部96は少なくとも装着部60の先端面を成型する。第1ピン状型部93は、第1型部95に設けられた挿入孔に挿入されることで第1型部95に組み付けられており、支持部61の内周面を成型する。第2ピン状型部94は、第2型部96に設けられた挿入孔に挿入されることで第2型部96に組み付けられており、入口通路11の内周面を成型する。
ガイド部材6を製造する場合には、型装置90を準備した後に、型装置90を用いて成型体100を成型する工程を行う。この工程では、例えばガラス繊維を混入した状態の樹脂材料である溶融樹脂を射出成形機から型装置90のスプルーに注入する。この溶融樹脂は、ランナ92c、ランナ92bを通ってゲート92aからキャビティ91に流れ込んで、キャビティ91における装着部60を成型する部分に到達し、軸方向Xに進むことによりキャビティ91における支持部61を成型する部分に到達する。
ゲート92aとキャビティ91における装着部60を成型する部分とが径方向Yに並んでいることにより、キャビティ91における装着部60を成型する部分での溶融樹脂の流れる向きが径方向Yに均一化されやすくなる。この場合、キャビティ91における装着部60を成型する部分について溶融樹脂の流れに乱れが生じにくくなっている。このため、溶融樹脂が固化して装着部60が形成される際に、溶融樹脂の収縮異方性が低減されることにより装着部60の撓みや変形が生じにくくなる。
前述したようにゲート92aが環状になっているため、キャビティ91における支持部61を成型する部分を流れる溶融樹脂は、キャビティ91の周方向に進みにくく軸方向Xに進みやすくなっている。換言すれば、キャビティ91における支持部61の内周面等を成型する部分について溶融樹脂の流れに乱れが生じにくくなっている。このため、溶融樹脂が固化して支持部61が形成される際に、溶融樹脂の収縮異方性が低減されることで支持部61の撓みや変形が生じにくい。
また、フィルムゲートにより、ゲート92aが環状になっていることにより、キャビティ91の周方向において反対向きに流れた溶融樹脂が合流するということが生じにくくなっている。このため、溶融樹脂が固化して支持部61が成型される際に、溶融樹脂の合流部分であるウェルドが生じにくい。型装置90に溶融樹脂を注入している際、キャビティ91の軸方向Xにおいてゲート92aとは反対側からガスを逃がすように、第1ピン状型部93によってキャビティ91内のガス抜きを行う。
次に、溶融樹脂を固化させた後、固化した溶融樹脂である成型体100から型装置90を取り外す。図5に示すように成型体100は、ガイド部材6と、ゲート92aにより成型されたゲート部101と、ランナ92b,92cにより成型された第1ランナ部102、第2ランナ部103と、スプルーにより成型されたスプルー部104とが一体化されている。ゲート部101は、装着部60の外周面から径方向外側に向けて放射状に延びており、弁体7の周方向に環状に延びている。第1ランナ部102は、ゲート部101から径方向外側に向けて延びており、ゲート部101の周方向に環状に延びている。この場合、ゲート部101は、ガイド部材6の径方向Yにおいてガイド部材6と第1ランナ部102との間に配置されている。第2ランナ部103は、第1ランナ部102とスプルー部104とを接続している。
次に成型体100について第1ランナ部102からガイド部材6を取り外す工程を行う。この工程では、例えばレーザ照射装置から出力されるレーザによりゲート部101を切断する。レーザはガイド部材6の軸方向Xに延びるようにレーザ照射装置からレーザを出力し、ゲート部101において装着部60から径方向外側に離間しかつ第1ランナ部102から径方向内側に離間した位置にレーザを照射する。ゲート部101を切断した後、ゲート部101のうちガイド部材6側に残った部分がゲート痕60gになる。
フィルタ部材8は、例えば、複数の加締め部によってガイド部材6の装着部60と一体に固定されている。複数の加締め部は、網部の周囲において周方向に均等間隔に並ぶように設けられている。複数の加締め部は、先端側筒部2aにおける先端部2a1に設けられている。他の複数の加締め部は、枠部と接触する装着部60の端面から突出して周方向に並ぶ複数の突起部が加締め加工により変形したものでもよい。この場合、フィルタ部材8と装着部60は、複数の突起部が枠部に形成された穴部を貫通した状態で一体になり、先端側筒部2aの内側に設置される。装着部60は、ガイド部材6の中心軸周りに間隔をあけて並ぶ複数の加締め部を有する。
ガイド部材6の支持部61は同軸に内接する弁体7の筒壁部を支持する。筒状の弁体7は、支持部61の内壁面と弁体7の筒壁部の外壁面とが接触しながら支持部61に対して軸方向に摺動可能である。さらに弁体7は付勢部材の一例であるスプリング70によって軸方向にばね力を受けて弁口25側に押されている。スプリング70は、盤状部60bの中央部分と弁体7の筒壁部に形成された段差部との間に介装されている。
弁体7が弁座24から離れる開状態では、上流側通路51を通ってきた作動流体は入口通路11を通過して弁室22に流入する。このとき弁室22は作動流体の流入により圧力が高められる。したがって、弁体7には弁室22の流体圧力が作用するため、弁体7の内側のスプリング室23にも流体圧力が働くようになる。スプリング室23に作用する圧力は、弁室22において弁体の筒壁部72の側面に作用し、さらに支持部61との摺動部分を介してスプリング室23にも作用する。したがって、ガイド部材6は、スプリング70のばね力、シャフト4からの作用力および流体圧を受ける弁体7について軸方向往復移動を案内する。そこで弁体7は、底部71を貫通する圧力解放通路13を有するので、スプリング室23、すなわち筒状体の内側室に作用する圧力は圧力解放通路13を通じて下流側通路53へ解放され、筒状体の内側室における内圧を抑制できる。これにより、弁室22に高い流体圧力が作用しても、軸方向に弁体7が受ける圧力を抑えることができる。
弁体7は、電磁ソレノイド部3によって軸方向に動作するシャフト4の押圧力により軸方向に変位し、弁口25の周囲の弁座24に着座する閉状態と弁座24から離れる開状態とに切り換わる。閉状態では、流出口12と上流側通路51との連通が遮断され、シャフト4のテーパ状の弁部42が排出弁口16の周囲から離れて内部排出通路14を開くので下流側通路53と外部排出通路15との連通が許容される。開状態では、流出口12と上流側通路51との連通が許容され、弁部42が排出弁口16の周囲に着座して内部排出通路14を閉じるので下流側通路53と外部排出通路15との連通が遮断される。
ハウジング2の後端側に配設された電磁ソレノイド部3は、ヨーク31、ボビン34、コイル32、可動子33、シャフト4、スプリング45、コネクタ35等を備えている。ボビン34は、樹脂材により略円筒形状に形成され、ヨーク31の内側に設けられている。コイル32は、ボビン34の外周面に巻回されている。ヨーク31は磁性材料により形成されている。ヨーク31は、ボビン34の内周側を支持し、コイル32の外周側を覆うようにして、ボビン34と同軸上に設けられている。ボビン34は、シャフト4を摺動可能に支持するハウジング2の部分を内側に収容した状態でハウジング2と同軸上に設けられている。ヨーク31、可動子33、シャフト4等は、ボビン34と同様にハウジング2と同軸上に設けられている。
可動子33は、磁性材料で円筒状に形成されている。可動子33は、ヨーク31に軸方向に往復移動可能に支持されている。電磁ソレノイド部3においては、可動子33およびヨーク31により磁気回路が形成されている。
可動子33の底部側の端面には、シャフト4の径大部44が可動子33と同軸上に固定されている。シャフト4と可動子33は一体になって軸方向に往復移動可能である。シャフト4は、弁口25に同心状に位置する径小の先端部41と、内部排出通路14に位置する弁部42と、段差部43を介してシャフト保持部26に摺動自在に嵌め込まれた径大部44と、を一体に備えている。内部排出通路14は、ハウジング2の後端側に形成されている外部排出通路15に接続されている。外部排出通路15は、内部排出通路14に対して直交する直交方向に延びるようにシャフト保持部26よりも先端側でハウジング2に設けられる、ドレン口をなす通路である。
段差部43と排出弁口16の周縁との間には、付勢部材の一例であるスプリング45が介装されている。スプリング45は、シャフト4を可動子33側に押す付勢力を常時作用させている。さらに弁室22に配設された弁体7は、スプリング70によって弁口25側に常時押されている。これにより、電磁ソレノイド部3の非通電時には、シャフト4がスプリング45のばね力で付勢されるとともに弁体7がスプリング70のばね力で弁口25側に押されることにより、弁部42が排出弁口16を開き、弁体7の下流側部が弁口25を閉じる。
コネクタ35は、コイル32の外皮とともに成形されて、ヨーク31の側方に位置するように設けられている。コネクタ35は、コイル32を通電するために設けられており、内部のターミナル端子35aは、コイル32と電気的に接続されている。電磁ソレノイド部3は、コネクタ35によってターミナル端子35aを電流制御装置等に電気的に接続することにより、コイル32に通電する電流を制御できる。
電磁ソレノイド部3のコイル32が非通電時の状態では、スプリング45のばね力でシャフト4が弁体7から離れる方向に付勢され、スプリング70によって弁体7が弁口25側に押されるため、弁体7は弁口25を閉弁する。さらにシャフト4の弁部42は排出弁口16を開く。この状態では、上流側通路51と下流側通路53との連通が遮断されて、下流側通路53からのオイルは、流出口12、内部排出通路14を通過して外部排出通路15から外部へ排出される。
この状態でコイル32に通電すると、ヨーク31、可動子33により形成された磁気回路に磁束が発生し、可動子33はハウジング2の先端側に向かって軸方向に吸引され、スプリング45の付勢力に抗して先端側に移動しシャフト4を移動させる。このとき、弁部42は排出弁口16を閉じ、弁体7はシャフト4によって上流側に押されるため、先端側に移動して弁口25を開弁する。この状態では、上流側通路51と下流側通路53との連通が許容されて、上流側通路51からのオイルは、入口通路11、弁室22、弁口25、流出口12を通過して下流側通路53に流れる。このようにコイル32に通電する電流をON/OFFすることにより、オイル流出通路の制御液圧力をON/OFF制御することができる。これにより、制御対象の制御に使用される制御液の圧力、流量等を制御することができる。
以下に、第1実施形態の電磁弁1がもたらす作用効果について説明する。電磁弁1は、弁室22を内部に有するハウジング2と、弁室22に設けられて開状態と閉状態とにわたって弁口25を開閉する弁体7と、弁体7を支持するガイド部材6と、弁体7を軸方向に変位させる駆動力を発生する電磁ソレノイド部3とを備える。ガイド部材6は、弁室22に設けられて、弁体7をガイド部材の軸方向に摺動可能に支持する支持部61とハウジング2に内接された状態で装着されている装着部60とを有した樹脂成型品である。ガイド部材6は、さらに装着部60と支持部61とをつなぐ中継部を有する。装着部60はガイド部材6の軸方向に対して直交する直交方向について中継部よりも大きい形状である。支持部61は中継部からガイド部材6の軸方向に延びる形状である。装着部60の外面には、ゲート痕60gが設けられている。
この構成によれば、成型工程において装着部60の外面のゲート痕60gから金型内に流入した溶融樹脂を、装着部60からスムーズに内側の中継部に流下させるとともに、中継部から支持部61に分流させる流れを形成できる。この樹脂流れの形成により、溶融樹脂を他の部分に比べて支持部61に遅れて流入させることができるので、弁体7と摺動するために高い寸法精度を必要とする支持部61を備えるガイド部材6を提供できる。以上により、ガイド部材6の支持部61について樹脂材料の均一な充填を図る電磁弁1を提供できる。
ガイド部材6は、中継部と支持部61との結合部分よりもガイド部材6の中心軸寄りまたは装着部60の外面寄りにおける中継部の筒状断面60bSの面積が支持部61の横断面61Sの面積よりも大きい構成を有している。この構成によれば、ガイド部材6の成型工程において、ゲート痕60gに相当する位置から流入した溶融樹脂は、装着部60、中継部を順に流れ、さらに中継部から支持部61に分かれて流下する。このとき溶融樹脂は、装着部60から通路抵抗の小さい中継部側へスムーズに流れるため、中継部を先に満たしてから支持部61を満たすような溶融樹脂流れを形成できる。ガイド部材6は、支持部61について樹脂材料の均一な充填が図れ、支持部61の寸法精度を高めることに寄与する。
ゲート痕60gは、装着部60において下流端面よりも上流端面60a1寄りに設けられていることが好ましい。この構成によれば、ガイド部材6の成型工程においてゲートから流入した溶融樹脂は、装着部60の外面における上流端面60a1寄りの位置から装着部60を広く行き渡りながら、中継部に向けて流下する樹脂流れを形成できる。これによれば、上流側に位置する装着部60での樹脂充填性が高まるので、下流側の支持部61における樹脂流れの圧力を高め、ガイド部材全体の寸法精度の確保に寄与する。
ゲート痕60gは装着部60の外面において全周にわたって設けられていることが好ましい。この構成によれば、ガイド部材6の成型工程においてフィルムゲート方式を採用できるので、樹脂に関して成型後の樹脂について径方向の収縮異方性を軽減することができる。したがって、前述したように、円筒状の支持部61に樹脂を均一に充填することが可能になる。このような成型によれば、装着部60や支持部61について撓みや変形が生じにくく、寸法精度を確保することに寄与する。
装着部60は、ハウジング2の内面に接触して嵌り合っている盤状部60bと、外面とハウジング2の内面との間に隙間が形成されている環状突部60aとを有する。環状突部60aの外面には、この隙間に露出するゲート痕60gが設けられている。
この構成によれば、盤状部60bにおいてハウジング2に接触している構成によって、ガイド部材6をハウジング2に対して適正に位置決めして適正な姿勢で装着することができる。さらに環状突部60aの外面に設けられたゲート痕60gは、環状突部60aの外面とハウジング2の内面との間に形成された隙間に面しまたは含まれている。このように樹脂成型品において生じるゲート部101の痕跡がハウジング2とガイド部材6との固定を阻害しない構成を提供できる。以上によれば、電磁弁1は、樹脂成型品であるガイド部材6についてハウジング2に対する適正な位置精度や姿勢を確保することに寄与する。さらに、ゲート切断後の追加工処理が不要になり、製造にかかるコストを低減でき、ゲートバリによる組付け不良を抑えることができる。
ゲート痕60gは、環状突部60aの外面から突出して、前述の隙間に収容されている。この構成によれば、ガイド部材6を含む成型体のゲート部を、この隙間に収容可能な範囲の突出寸法となるように切断すればよい。これにより、ゲート痕60gの突出寸法について高い精度を必要としないので、ゲート部を切断する際の工数を大きく軽減することができる。
ハウジング2は、装着部60を取り囲む第1周囲部2a2および第2周囲部2a3を有する先端側筒部2aを備える。第1周囲部2a2は、第2周囲部2a3よりも先端側に位置し、かつ第2周囲部2a3よりも大きい内径寸法を有する。環状突部60aと第1周囲部2a2との間には、ゲート痕60gが露出する前述の隙間が形成されている。盤状部60bと第2周囲部2a3とは互いに接触して嵌り合っている。
この構成によれば、盤状部60bと第2周囲部2a3とが接触して嵌り合っている構成によって、ガイド部材6をハウジング2に対して適正に位置決めして適正な姿勢で装着することができる。さらに環状突部60aに設けられたゲート痕60gに関して、第1周囲部2a2に接触するかしないかの状態まで、突出高さの範囲を選択する加工が可能になる。以上によれば、樹脂成型品であるガイド部材6において避けられないゲート部101の痕跡が、盤状部60bと第2周囲部2a3との嵌合状態を阻害せず、ガイド部材6の適正な位置精度や姿勢を確保する電磁弁1を提供できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について図6〜図8を参照して説明する。第2実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品および説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
第2実施形態について図6〜図8を参照して説明する。第2実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品および説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
図6および図7に図示するように、ガイド部材106は、支持部61と、先端側筒部2aに装着される装着部160と、装着部160よりも上流に位置する上流側盤状部62と、装着部160と上流側盤状部62と連結する連結部63とを一体に備えた樹脂部品である。ガイド部材106は、ガイド部材6と同様に、樹脂材料を型装置の内部に充填して成型された樹脂成型品である。ガイド部材106には、ガイド部材6と同様のゲート痕60gが設けられている。
上流側盤状部62は、支持部61における上流端部と一体に形成されている。上流側盤状部62は、連結部63を介して、装着部160と支持部61とをつなぐ中継部でもある。装着部160は、ガイド部材6の軸方向に対して直交する直交方向について上流側盤状部62よりも大きい形状である。支持部61は上流側盤状部62から軸方向に延びる形状である。上流側盤状部62は、支持部61と同軸上に設けられている。
装着部160は、軸方向位置について、上流側盤状部62よりも下流側に位置している。中継部である上流側盤状部62は、軸方向について装着部160よりも上流に設けられている。装着部160は、支持部61の周囲を取り囲むように設けられている。装着部160は、径内側に向かうほど軸方向について上流側に位置するように形成された連結部63によって、上流側盤状部62と一体につながっている。連結部63は、装着部160と結合する外縁部分が、上流側盤状部62と結合する内縁部分よりも軸方向について下流側に位置するように形成されている。ここでの下流側という文言は、弁口25側または電磁ソレノイド部3側という文言に置き換えることができる。
装着部160は、装着部60と同様に、その外周部が先端側筒部2aに内接し、先端側筒部2aの内側壁が部分的に加締められることで先端側筒部2aに固定されている被固定部である。装着部160は、盤状部60bと、盤状部60bの外周縁から上流側に向けて、ガイド部材106の中心軸に沿うように環状に突出する環状突部60aとを備えている。環状突部60aにおける上流端面60a1は、上流側盤状部62の上流端面621よりも下流に位置している。上流側盤状部62および上流端面621は、ガイド部材106の中心軸に対して直交する形状である。
上流端面60a1は、フィルタ部材108の枠部に接触している。環状突部60aと先端側筒部2aの先端部2a1とは、フィルタ部材108の枠部を挟持している。フィルタ部材108の網部は、網部における周縁部を支持する枠部よりも上流に位置するように設けられている。フィルタ部材108は、周縁部である枠部に対して、内側の網部が上流側に位置する形状である。上流端面621とフィルタ部材108の網部とは、軸方向に離間している。
図7および図8に示すように、隣り合う入口通路11と入口通路11との間の樹脂部分は、連結部63であり、連結部63を介して装着部160と上流側盤状部62とがつながっている。連結部63は、周方向において等間隔になるように設けられている。上流側盤状部62は、入口通路11よりも径内側、すなわち入口通路11よりもガイド部材106の中心軸寄りにおいて、支持部61の上流端部と結合する部分を有する。
図7に示すように、装着部160から上流側盤状部62まで延びる連結部63と、連結部63からガイド部材106の中心軸側に延びる上流側盤状部62とは、鈍角をなしている。装着部160から上流側盤状部62まで延びる連結部63と、上流側盤状部62から下流側に中心軸方向に沿って延びる支持部61とは、鋭角をなしている。換言すれば、連結部63は、上流端部が下流端部よりもガイド部材106の中心軸に近づくように、この中心軸に対して傾いた形状である。支持部61は、連結部63の上流端部と結合する上流側盤状部62の部位から中心軸に沿うように下流側に延びる形状である。
図7および図8に示すように、上流側盤状部62と支持部61の上流端部とがつながっている結合部分は、ガイド部材106の中心軸に直交する面であって、支持部61の肉厚寸法と同程度の幅寸法を有する環状面を形成している。この環状面の面積は、支持部61の横断面61Sの面積に相当する。
上流側盤状部62は、支持部61との結合部分よりも上流側盤状部62の中心軸寄りにおける筒状断面62Sの面積が横断面61Sの面積よりも大きい構成を有している。この筒状断面62Sは、ガイド部材106の中心軸周りに上流側盤状部62を筒状に切断した断面をなしている。筒状断面62Sは、入口通路11よりも径内側、すなわち入口通路11よりもガイド部材106の中心軸寄りであって支持部61の上流端部よりも径内側に位置する上流側盤状部62の断面である。筒状断面62Sは、ガイド部材106を製造するための成型工程において、溶融樹脂が金型内における、連結部63に相当する通路から上流側盤状部62に流下するときに通る通路である。筒状断面62Sの面積は、筒状断面62Sにおける周長と軸方向長さとの積によって求めることができる値である。
図7に示すガイド部材106において、装着部160から上流側盤状部62まで延びる連結部63の縦断面は、中心軸方向に沿って下流側に延びる支持部61の縦断面と、中心軸側に延びる上流側盤状部62の縦断面とにつながっている。ここでいう縦断面は、ガイド部材106の中心軸に沿う断面である。
この構成により、成型工程において、装着部160の外面におけるゲート痕60gに相当する位置から流入した溶融樹脂は、装着部160、連結部63を順に流れ、さらに支持部61と上流側盤状部62とに分かれて流下する。このとき連結部63から支持部61と上流側盤状部62とに分流する溶融樹脂は、連結部63に対する支持部61の角度が鋭角であるため、支持部61側に流れにくく上流側盤状部62側に流れることになる。また、この溶融樹脂は、筒状断面62Sの面積が横断面61Sの面積よりも大きいため、流通抵抗が小さい上流側盤状部62の方に流れやすい。したがって、この溶融樹脂は、連結部63から上流側盤状部62を先に充填した後、支持部61を充填するように、ガイド部材106に行き渡ることになる。
図8に破線矢印で示すように、成型工程において、各ゲート痕60gから流入した溶融樹脂は、入口通路11と入口通路11との間をガイド部材106の中心軸に向けて流動するとともに、入口通路11の外側を周方向に分かれて流動する。これによれば、ゲート痕60gから流入した溶融樹脂は、外周側から中心軸に向けて装着部160を充填しながら連結部63に通じて上流側盤状部62に至り上流側盤状部62を先に充填した後、支持部61を充填するように流動させることができる。
第2実施形態の電磁弁1によれば、ガイド部材106は、装着部160と中継部とを連結する連結部63を備える。連結部63と中継部とは鈍角をなすように設けられており、さらに連結部63と支持部61とは鋭角をなすように設けられている。
この構成によれば、金型内において、連結部63から中継部に至る通路の方が、連結部63から支持部61に至る通路よりも直線に近い形状であるため、通路抵抗が小さくなる。このため、ガイド部材106の成型工程においてゲートから流入した溶融樹脂は、連結部63から中継部へ流れやすく、支持部61に流れにくい。したがって、溶融樹脂は、中継部を先に充填した後、支持部61を充填するように流下して、ガイド部材106に溶融樹脂を行き渡らせることができるので、ガイド部材106の支持部について樹脂材料の均一な充填を図ることができる。
さらにガイド部材106は、中継部と支持部61との結合部分よりもガイド部材106の中心軸寄りにおける中継部の筒状断面62Sの面積が支持部61の横断面61Sの面積よりも大きい構成を有していることが好ましい。この構成によれば、ガイド部材106の成型工程においてゲート痕60gに相当する位置から流入した溶融樹脂は、装着部160、連結部63、中継部を順に流れるとともに、さらに中継部から支持部61に分かれて流下する。このとき溶融樹脂は、連結部63から通路抵抗の小さい中継部側へスムーズに流れるため、中継部を先に満たしてから支持部61を満たすような溶融樹脂流れを形成できる。ガイド部材106は、支持部61について樹脂材料の均一な充填が図れ、支持部61の寸法精度を高めることに寄与する。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書に開示の目的を達成可能な電磁弁が備えるゲート痕は、切断前のゲート部がフィルムゲート方式により形成される形態に限定されない。ゲート痕は、切断前のゲート部が溶融樹脂が間隔をあけて設置された複数個のゲートを通じて装着部60に流入する方式、いわゆる複数箇所の多点ゲート方式によって、形成される形態であってもよい。
第1実施形態および第2実施形態において、非嵌合部は嵌合部よりも装着部において先端側に設けられているが、この形態に限定されない。嵌合部は非嵌合部よりも装着部において先端側に設けられている構成としてもよい。
前述の実施形態において、入口通路11は、ガイド部材の盤状部を軸方向に貫通する通路であり、先端側筒部2aの内側に設けられている。入口通路11は、このような形態に限定されず、例えば、先端側筒部2aを径方向に貫通して、外部と弁室22とを繋ぐ通路によって構成してもよい。
前述の実施形態において弁体7は、ガイド部材6の支持部61に内接しながらガイド部材6に対して軸方向に摺動可能であるが、弁体7はガイド部材6の支持部61に外接しながらガイド部材6に対して摺動する構成であってもよい。
前述の実施形態における電磁弁1を流通する作動流体には、オイルの他、粘性が高いその他の液体を用いることができる。
2…ハウジング、 3…電磁ソレノイド部、 6,106…ガイド部材
7…弁体、 22…弁室、 25…弁口、 53…下流側通路
60,160…装着部、 60b1…上流端面(中継部)
60g…ゲート痕、 61…支持部、 62…上流側盤状部(中継部)
63…連結部
7…弁体、 22…弁室、 25…弁口、 53…下流側通路
60,160…装着部、 60b1…上流端面(中継部)
60g…ゲート痕、 61…支持部、 62…上流側盤状部(中継部)
63…連結部
Claims (6)
- 作動流体が流入する弁室(22)を内部に有するハウジング(2)と、
前記弁室に設けられて、前記弁室から下流側通路(53)への前記作動流体の流通を許可する開状態と前記作動流体の流通を妨げる閉状態とにわたって弁口(25)を開閉する弁体(7)と、
前記弁室に設けられて、前記弁体を軸方向に摺動可能に支持する支持部(61)と前記ハウジングに内接された状態で装着されている装着部(60;160)とを有した樹脂成型品であるガイド部材(6;106)と、
前記弁体を前記軸方向に変位させる駆動力を発生する電磁ソレノイド部(3)と、
を備え、
前記ガイド部材は、さらに前記装着部と前記支持部とをつなぐ中継部(60b1;62)を有し、
前記装着部は前記軸方向に対して直交する直交方向について前記中継部よりも大きい形状であり、
前記支持部は前記中継部から前記軸方向に延びる形状であり、
前記装着部の外面にはゲート痕(60g)が設けられている電磁弁。 - 前記ガイド部材(6)は、前記中継部と前記支持部との結合部分よりも前記ガイド部材の中心軸寄りまたは前記装着部の外面寄りにおける前記中継部の筒状断面(60bS)の面積が前記支持部の横断面(61S)の面積よりも大きい構成を有している請求項1に記載の電磁弁。
- 前記ガイド部材(106)は、前記装着部(160)と前記中継部(62)とを連結する連結部(63)を備え、
前記連結部と前記中継部とは鈍角をなすように設けられ、
前記連結部と前記支持部とは鋭角をなすように設けられている請求項1に記載の電磁弁。 - 前記ガイド部材は、前記中継部と前記支持部との結合部分よりも前記ガイド部材の中心軸寄りにおける前記中継部の筒状断面(62S)の面積が前記支持部の横断面(61S)の面積よりも大きい構成を有している請求項3に記載の電磁弁。
- 前記ゲート痕は、前記装着部において下流端面よりも上流端面(60a1)寄りに設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電磁弁。
- 前記ゲート痕は前記装着部の外面において全周にわたって設けられている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電磁弁。
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