JP2020084905A - 車両の吸気配管構造 - Google Patents

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松田 賢治
Kenji Matsuda
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Abstract

【課題】吸気配管内における吸入空気の速度分布に揺らぎが生じる過渡状態であっても、従来よりも高精度に吸入空気量を算出可能とする。【解決手段】配管440には、車外から取り込まれた吸入空気が流れる。エアフローメータ300はバイパス管312及びセンサ素子320を有する。バイパス管310には配管440内を流れる吸入空気の一部が流れ込む。エアフローメータ300は、バイパス管310内に収容され空気流の流速を測定する。バイパス管310の流入口312は配管440の径方向中心に配置される。配管440には、バイパス管310の流入口312よりも上流に、配管440内に突出する断面凸曲面の凸部であるエアロスタビライジングフィン122が形成される。【選択図】図2

Description

本発明は、車外の空気を車内に取り込む、車両の吸気配管構造に関する。
車両には吸気配管構造として、エアクリーナ及びエアインレットホースが設けられる。エアクリーナは吸気配管構造の上流端(取り込み口)に設けられる。エアクリーナはエレメントとも呼ばれるフィルタ部材を収容するケーシングを備える。フィルタ部材によって空気中の塵埃等の異物が除去される。ケーシングの下流端にはエアインレットホースが接続される。
また、この吸気配管構造には、吸入空気量(吸気量)を測定するためのエアフローメータが設けられる。例えば特許文献1には、エアインレットホースの長手方向中間位置にエアフローメータが設けられる。
例えば図7に例示されるように、エアフローメータ500のバイパス管510がエアインレットホース600の流路内に配置される。さらにバイパス管510内に流速を測定するセンサ素子520が設けられる。
エアインレットホース600内を流れる空気流の一部はバイパス管510にサンプリングされ、センサ素子520に流速を測定される。センサ素子520によって測定された流速に応じてエアフローメータ500から信号が出力される。さらに図示しない制御部(ECU)がこの信号を受信して、当該信号に応じた吸入空気量[g/s]を求める。
また、図7に例示されるように、空気の粘性に起因して、エアインレットホース600の内壁602付近は空気流が低速となり、内壁602から離間されるに連れて流速が増える。このように、エアインレットホース600内を流れる空気流は速度分布D1を有する。例えば速度分布D1は定常流における速度分布を示す。また速度分布D1に記載された矢印は流速を示す。
この速度分布D1に基づき、バイパス管510の流入口512は、内壁602から離間し流速が比較的安定した場所、例えばエアインレットホース600の管内中央に配置される。
特開2004−182220号公報
ところで、車両の発進時や加速時には吸入空気量が変化する。車両発進時点や加速開始時点から吸入空気量が安定する(定常状態になる)までの過渡状態において、エアインレットホース600内の空気流の速度分布には、定常状態に対する揺らぎが生じる。例えば図7において破線で示す過渡状態における速度分布D2は、その最大流速がエアインレットホース600の径方向中央から外側にずれた位置に分布される。
このとき、バイパス管510の流入口512には、最大流速の空気流が外される形で空気流が導入(サンプリング)される。その結果、定常状態と空気量は同一であるにも拘らず、流速が低めに検出されてしまうことで、定常状態と比較して少ない空気量が算出されてしまうおそれがある。
そこで本発明は、吸気配管内における吸入空気の速度分布に揺らぎが生じる過渡状態であっても、従来よりも高精度に吸入空気量を算出可能な、車両の吸気配管構造を提供することを目的とする。
本発明は、車両の吸気配管構造に関する。当該構造は、配管及びエアフローメータを備える。配管には、車外から取り込まれた吸入空気が流れる。エアフローメータはバイパス管及びセンサ素子を有する。バイパス管には配管内を流れる吸入空気の一部が流れ込む。エアフローメータは、バイパス管内に収容され空気流の流速を測定する。バイパス管の流入口は配管の径方向中心に配置される。配管には、バイパス管の流入口よりも上流に、配管内に突出する断面凸曲面の凸部が形成される。
上記構成によれば、配管内に凸部が設けられることで、いわゆる流線曲率の定理により、配管内壁付近の吸入空気の流速が増加される。これにより、配管内の速度分布の尖度が低減される(ピークが平坦化される)。その結果、速度分布の揺らぎが生じても、バイパス管の流入口に流れ込む吸入空気の流速の変動が抑制される。
本発明によれば、吸気配管内における吸入空気の速度分布に揺らぎが生じる過渡状態であっても、従来よりも高精度に吸入空気量を算出可能となる。
本実施形態に係る車両の吸気配管構造を例示する平面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 コアンダ効果について説明する図である。 流線曲率の定理について説明する図である。 図3のC−C断面図である。 従来の吸気配管構造について説明する図である。
図1に、本実施形態に係る車両の吸気配管構造が例示される。なお、図1〜図6において、車両前後方向を記号FRで表される軸で示し、車幅方向を記号RWで表される軸で示し、車両上下方向を記号UPで表される軸で示す。車両前後軸FRは車両前方方向を正方向とする。車幅軸RWは右幅方向を正方向とする。また車両上下軸UPは上方向を正方向とする。これら3軸は互いに直交する。
本実施形態に係る吸気配管構造は、例えば内燃機関を駆動源とする車両や、燃料電池を電源とする燃料電池車両に搭載される。
本実施形態に係る吸気配管構造は、エアクリーナ100、エアインレットホース200、及びエアフローメータ300を備える。後述するように、エアクリーナ100の下流側に設けられたアウトレットパイプ120と、エアインレットホース200とによって吸気配管構造の配管440が構成される。この配管440に、車外から取り込まれた吸入空気が流れる。
エアインレットホース200は、エアクリーナ100と図示しないスロットルバルブとを繋ぐ配管部材である。なお、本実施形態に係る吸気配管構造が燃料電池車両に搭載される場合には、エアインレットホース200は、スロットルバルブの代わりにコンプレッサに繋がれる。
例えばエアインレットホース200の上流端とエアクリーナ100のアウトレットパイプ120の下流端とがクランプ420で接続される。同様にして、エアインレットホース200の下流端とスロットルバルブ(またはコンプレッサ)の上流端とがクランプ430で接続される。
エアクリーナ100は、車外から取り込まれた空気中の異物を除去する。例えばエアクリーナ100は、車両前方に設けられた図示しないラジエータサポートの上方に設けられる。
エアクリーナ100の上流及び車両前後方向前方には、インレットダクト400が設けられる。例えば車両前面のフロントグリルからエンジンコンパートメントに入り込んだ空気の一部がラジエータ(図示せず)に流れ込み、また他の一部はラジエータ上方のインレットダクト400からエアクリーナ100内に流れ込む。
エアクリーナ100は、ケーシング110及びアウトレットパイプ120を備える。ケーシング110は図示しないフィルタ部材を収容する筐体である。フィルタ部材は例えばろ紙や不織布等で構成され、車外からインレットダクト400を介して取り込まれた吸入空気中の塵埃等の異物を除去(捕捉)する。
ケーシング110の下流端にはアウトレットパイプ120が接続される。ケーシング110内のフィルタ部材を通過した空気は、アウトレットパイプ120に流れ込む。
アウトレットパイプ120は例えばケーシング110と一体成形される。アウトレットパイプ120は例えば水平方向に延設され、その下流端はクランプ420を介してエアインレットホース200の上流端に接続される。
本実施形態に係る車両の吸気配管構造では、アウトレットパイプ120にエアフローメータ300が設けられる。例えば図2を参照して、アウトレットパイプ120の側方に貫通孔が形成され、当該貫通孔にエアフローメータ300のバイパス管310が挿入される。例えばエアフローメータ300はアウトレットパイプ120の上流端から車両後方に3cm以上15cm以下の範囲に設置される。
なお、本実施形態ではアウトレットパイプ120にエアフローメータ300を配置したが、この形態に限らない。要するに配管440にエアフローメータ300が設けられればよいので、例えばアウトレットパイプ120に代えて、エアインレットホース200にエアフローメータ300を設けてもよい。
図2、図6を参照して、エアフローメータ300は、エアクリーナ100及びエアインレットホース200を流れる吸入空気量を求めるために設けられる。より具体的には、エアフローメータ300はセンサ素子320を通過する空気流の流速を測定する。この流速に基づいて、配管440(アウトレットパイプ120)を流れる空気量(吸入空気量)が求められる。
エアフローメータ300はいわゆるホットワイヤ式のエアフローメータであってよい。エアフローメータ300はバイパス管310、センサ素子320、及び端子330を備える。
バイパス管310にはアウトレットパイプ120内を流れる吸入空気の一部が流れ込む。図2を参照して、バイパス管310の流入口312は上流側に向けられ、流出口314は下流側に向けられる。
さらに図6にはバイパス管310の断面図が例示される。バイパス管310の流入口312の車両後方には、流入空気中の塵埃(エアクリーナ100で捕捉できなかった微小な塵埃)を排出するダスト出口316が形成される。さらにバイパス管310には、渦巻状の流路が形成される。さらにその末端は二股に分かれて図2に例示される流出口314,314に繋がる。
また、バイパス管310にはセンサ素子320が収容される。具体的にはバイパス管310の上記の渦巻状の流路上にセンサ素子320が配置される。センサ素子320は例えば加熱抵抗から構成される。センサ素子320に空気が流れるとセンサ素子320はその流速を測定する。
ホットワイヤ式エアフローメータの測定原理は既知であるためここでは簡単に説明する。加熱抵抗であるセンサ素子320に空気流が流れることで加熱抵抗が冷やされる(放熱する)。この放熱量と空気の流速とが比例関係にある(早いほど冷える)ことから、放熱量に基づいて流速Vを求めることができる。さらにアウトレットパイプ120の内径R(図6参照)を用いて吸入空気量Qが求められる。例えばV×π(R/2)=Qにより吸入空気量Qが求められる。
なお、吸入空気の温度を測定する温度センサをアウトレットパイプ120に設けて、吸入空気の温度に応じてセンサ素子320の放熱量と空気の流速との関係を適宜補正してもよい。
センサ素子320の放熱量に応じた信号がエアフローメータ300から端子330を介して、車両の制御部に送信される。例えば図6を参照して、端子330を介して、内燃機関を制御するエンジンECU450(電子コントロールユニット)にエアフローメータ300からの信号が送られる。例えば放熱量が多いほど周波数[Hz]が高くなるような信号がエアフローメータ300から出力される。
エンジンECU450は受信した信号に応じた吸入空気量Qを求める。例えば上述の式に基づいて、信号の周波数[Hz]に応じた吸入空気量Q[g/s]の対応関係が記憶された表(マップ)がエンジンECU450に記憶される。この表と受信した信号とに基づいて、エンジンECU450は配管440(アウトレットパイプ120)を流れる吸入空気量Qを求める。
上述したように、アウトレットパイプ120を流れる吸入空気流は速度分布を有する。具体的には、空気の粘性に起因して、アウトレットパイプ120の内壁面124付近は空気流が低速となり、内壁面124から径方向中心に向かうに連れて流速が早くなるような速度分布となる。
例えば内壁面124付近を流れる空気層は境界層とも呼ばれる。一般的に境界層とは、流速0の物体表面(内壁面124)から流れの速度が主流の速度の99%になる点までの流体の層を指す。本実施形態に係る吸気配管構造では、境界層を避けるために、バイパス管310の流入口312を、アウトレットパイプ120の内壁面124から離間するように配置している。具体的にはバイパス管310の流入口312は、アウトレットパイプ120の径方向中心に配置される。
さらに本実施形態では、アウトレットパイプ120内に凸部であるエアロスタビライジングフィン122を設けることによって、境界層の厚さを低減させ、それによって空気流の速度分布のピークを平坦化(尖度を小さく)させる。
図2、図3には、アウトレットパイプ120内に形成されたエアロスタビライジングフィン122が例示される。エアロスタビライジングフィン122は、アウトレットパイプ120(配管440)の、バイパス管310の流入口312よりも上流側に設けられる。このような配置により、エアロスタビライジングフィン122により整流された空気流がバイパス管310を通過する。
エアロスタビライジングフィン122はアウトレットパイプ120(配管440)内に突出する。例えばエアロスタビライジングフィン122は、アウトレットパイプ120の内壁面124の上方及び下方に一対設けられる。またこれら一対のエアロスタビライジングフィン122の、最も径方向内側に突出する頂点123と、バイパス管310の流入口312とが正面視(アウトレットパイプ120の延設方向視)で一直線上に配置されるように、エアロスタビライジングフィン122が形成される。
また、図2、図3では、エアロスタビライジングフィン122を一対のみ設けていたが、この形態に限らない。例えば、頂点123とバイパス管310の流入口312とが正面視で一直線上に配列される、一対のエアロスタビライジングフィン122が複数対に亘って設けられてもよい。
例えばエアクリーナ100は樹脂から構成され、エアロスタビライジングフィン122は、エアクリーナ100の形成時に型合わせによって形成される。図3に例示されるように、エアロスタビライジングフィン122は、アウトレットパイプ120内に突出する、断面凸曲面の凸部であり、上流側の上り勾配よりも下流側の下り勾配が緩やかになるような「への字」(またはブーメラン)形状となっている。
エアロスタビライジングフィン122を設けることで、コアンダ効果及び流線曲率の定理により、内壁面124周辺の境界層の厚さが低減される。
図4にはコアンダ効果を説明する図が例示される。一般的に流体は、断面凸の曲面460に沿って流れようとする性質を備える。例えば図4の流線L1について、流体はその慣性によって破線矢印で示すような直線方向に進もうとする。このとき、破線矢印の脇の、楕円で囲む領域462の圧力が相対的に低くなる。この圧力差により、流体は低圧領域462側に引っ張られる。その結果流体は曲面460に沿って流れる。
さらに図5を参照し、曲面460に沿って流れる流線L1,L2,L3には遠心力Fcが外向きに(曲面460の曲率中心から離間する方向に)働き、曲面460側が相対的に低圧になる。
このとき、エネルギー保存則、あるいはベルヌーイの定理に基づいて、相対的に低圧の流線L1の速度が相対的に高圧の流線L3の速度と比較して高くなる(速くなる)。すなわち、物質表面を流れる空気流が曲面460に沿って加速される。
この結果、アウトレットパイプ120を流れる空気流のうち、速度0から主流速度の99%までの空気流の層である境界層が薄くなり、速度分布はそのピークがなだらかに(尖度が小さく)なる。
図6を参照し、ピークがなだらかになったことで、アウトレットパイプ120を流れる吸入空気の速度分布は、定常状態の速度分布D3と過渡期の速度分布D4とで大きな変化は現れない。その結果、流入口312に流入する空気流の速度変動も抑制される。なお、速度分布D3,D4において矢印は流速を示す。
定常状態と過渡状態とでバイパス管310に流入する空気流の速度変動が抑制されることから、両者間で吸入空気量の変動が抑制される。これにより、特に過渡状態における吸入空気量が従来よりも高精度に求められる。したがって、例えば加速時に実際よりも吸入空気量が少なく算出されることが避けられ、実際の吸入空気量に基づいた空燃比に基づいた燃料が噴射され、いわゆるアクセルレスポンスを向上させることができる。
100 エアクリーナ、110 ケーシング、120 エアクリーナのアウトレットパイプ、122 エアロスタビライジングフィン(凸部)、123 エアロスタビライジングフィンの頂点、124 アウトレットパイプの内壁面、200 エアインレットホース、300 エアフローメータ、310 バイパス管、312 バイパス管の流入口、314 バイパス管の流出口、316 バイパス管のダスト出口、320 センサ素子、330 端子、400 インレットダクト、420,430 クランプ、440 配管、450 エンジンECU。

Claims (1)

  1. 車外から取り込まれた吸入空気が流れる配管と、
    前記配管内を流れる吸入空気の一部が流れ込むバイパス管と、前記バイパス管内に収容され空気流の流速を測定するセンサ素子を有するエアフローメータと、
    を備える車両の吸気配管構造であって、
    前記バイパス管の流入口は前記配管の径方向中心に配置され、
    前記配管には、前記バイパス管の前記流入口よりも上流に、前記配管内に突出する断面凸曲面の凸部が形成された、
    車両の吸気配管構造。
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