JP2020084034A - 耐指紋性光硬化性コーティング組成物 - Google Patents

耐指紋性光硬化性コーティング組成物 Download PDF

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敬治 肥田
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晶彦 佐藤
鉄也 山▲崎▼
Tetsuya Yamazaki
鉄也 山▲崎▼
有喜 藤村
Yuuki Fujimura
有喜 藤村
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Abstract

【課題】 耐指紋性を有し、かつ高光沢及び滑り性を有するコーティング層を形成することができる、光硬化性コーティング組成物を提供すること。【解決手段】 光重合性多官能化合物(A)、ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)、光重合開始剤(C)、及びワックス(D)を含む、耐指紋性光硬化性コーティング組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、耐指紋性光硬化性コーティング組成物に関する。
光硬化性コーティング組成物は、実質的にほぼ無溶剤であり、熱乾燥工程を伴うことなく、ごく短時間の光照射により硬化し、コーティング層を得ることができる。光硬化性コーティング組成物は、このように利便性が高く、環境保護の点においても優れているため、紙器、食品包装、化粧品等のパッケージ分野等で広く使用されてきている。このような用途で用いられる光硬化性コーティング組成物を塗装して得られるコーティング層には、被塗物表面を保護するため、耐擦傷性、耐摩擦性、耐摩耗性、耐ブロッキング性等の機械的強度を有していることが求められる。
上記コーティング層は、さらに、その用途に応じて、光沢感又はマット感を有していることも求められることがある。例えば、パッケージとして用いる紙に対してこのような質感を有するコーティング層を設けることによって、高級感そして優れた美粧感を付与することができる。さらに、例えば、紙、紙器等においては、一般的な紙とは異なる質感をもたらすことを目的として、より光沢の高い外観を求められることがある。
一方で、コーティング層の光沢が高いほど、耐指紋性も求められる。ここで耐指紋性とは、コーティング層の表面上に指紋痕が付着しない、又は指紋痕が付着したとしても簡単に拭き取ることができる性能を意味する。指紋痕とは、コーティング層を指で触れた際に、付着した指紋が白く浮き出たように見える現象である。コーティング層の光沢の高い場合は、付着した指紋痕がより目立つ傾向にある。また、コーティング層を有する被塗物が黒色又は紺色等の濃色の場合にも目立つ傾向にある。
紙表面に対して、耐指紋性等の防汚性を付与する方法として、例えば、シリコーンオイル又はフッ素ポリマーを塗布することにより、表面の防汚性(撥水・撥油性)を向上させる方法が提案されている。しかしながらこの方法は、防汚剤を表面に塗布するのみであるため、防汚剤がすぐに剥離又は脱離し、防汚性の効果が長続きしない、つまり防汚耐久性に劣る、という欠点がある。
他の方法として、シリコーンオイル又はフッ素ポリマー等の添加剤を含むコーティング組成物を用いてコーティング層を設けることにより、耐指紋性等の防汚性を付与する方法もある。例えば、特開2006−167490号公報(特許文献1)には、基板上に塗布されたシリコーン含有フッ素系共重合体を含む組成物から形成された塗膜であって、X線光電子分光法により測定された塗膜表面に存在するSi原子の原子数が2〜30atomic%を占めることを特徴とする塗膜が記載されている(請求項1)。
また、被塗物が紙である場合においては、その表面が、適度の滑り性を有していることが求められる。紙表面が適度の滑り性を有することによって、コーティング紙をコピー機又は印刷機等の機器で用いる場合において、紙詰まり等の不具合を優位に回避することができる等の利点がある。特開2003−080644号公報(特許文献2)には、透明基材フィルム上に、滑り剤として、側鎖変性もしくは片末端変性の非反応性変性シリコーンが配合された、いずれも2官能以上である多官能モノマーまたは/および多官能オリゴマーから構成されている電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物の層からなるハードコート層が積層されており、前記ハードコート層の前記透明基材フィルム側とは反対側に、前記滑り剤の含有量が多い滑り層を有することを特徴とするハードコート層を有するフィルムが記載されている。また、特開2007−264281号公報(特許文献3)には、光学積層体に用いられるハードコート層であって、防汚染剤及び/又は滑り性付与剤として、ケイ素系化合物、フッ素系化合物またはこれらの混合物を含んでなり、前記ハードコート層の最表面をXPS解析した場合に、ケイ素原子の存在率が10%以上であり、及び/又は、フッ素原子の存在率が20%以上である、ハードコート層が記載されている。特開2006−070385号公報(特許文献4)には、光硬化性樹脂もしくは電子線硬化樹脂にシラン変性された充填剤を配合した樹脂を塗工し、その塗工層の表面に前記転写材を重ね合わせ、その転写材を介して紫外線もしくは電子線を照射して、前記塗工層の表面に鏡面を転写してなることを特徴とする鏡面光沢紙が記載されている。
特開2006−167490号公報 特開2003−080644号公報 特開2007−264281号公報 特開2006−070385号公報
上記特許文献1によると、耐指紋性等の防汚性を付与することができると記載されている。しかしながら、これらの添加剤(例えば、シリコーン含有フッ素系共重合体)が有するシリコーン部分は、一般に、ソフトブロックといわれるものであり、樹脂に可とう性を付与するという性質も併せて有している。そのため、得られるコーティング層の表面硬度等の機械的強度の低下するおそれがある。また、紙器に適用した場合、製箱時における糊やテープの密着性の低下や、再印刷性の低下等、不具合の生じるおそれがある。
特許文献2、3には、滑り性を付与する技術について記載されている。しかしながら、これらの滑り性付与剤(滑り剤;シリコーン化合物やフッ素系化合物等)を紙に適用した場合、前記と同様に耐指紋性が損なわれたり、糊やテープの密着性の低下や、再印刷性の低下等、不具合の生じるおそれがある。
特許文献4には、シラン編成された充填剤を配合することによって、鏡面光沢紙表面に滑り性を付与する技術について記載されている。一方でこのような充填剤を配合することによって、表面硬度等の機械的強度の低下するおそれがある。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、耐指紋性を有する光硬化性コーティング組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
光重合性多官能化合物(A)、
ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)、
光重合開始剤(C)、及び
ワックス(D)
を含む、耐指紋性光硬化性コーティング組成物であって、
上記ワックス(D)の融点が120℃以下である、
耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[2]
さらに粒状物(E)を含む、上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[3]
上記光重合性多官能化合物(A)は、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び1分子中に3個又はそれ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選択される1種又はそれ以上を含む、上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[4]
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.5〜40質量部であり、
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるワックス(D)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.1〜5質量部である、
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[5]
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)及びワックス(D)の質量比は、(B):(D)=400:1〜1:10の範囲内である、
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[6]
上記粒状物(E)は、平均粒子径が10〜300nmの範囲内である有機樹脂粒子又は無機粒子を含む、
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[7]
コーティング紙調製用である、上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
[8]
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物の硬化塗膜を有するコート紙。
[9]
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物を基材表面上に塗装し、次いで、活性エネルギー線を照射して、コーティング層を形成する工程を包含する、コーティング紙の調製方法。
[10]
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物を基材表面上に塗装し、次いで、活性エネルギー線を照射してコーティング層を形成し、得られたコーティング層を別の紙基材表面に貼付する工程を包含する、コーティング紙の調製方法。
[11]
活性エネルギー線を照射する前に加熱する工程を含むか、又は、活性エネルギー線を照射する工程において活性エネルギー線照射と同時に加熱する、上記コーティング紙の調製方法。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物を用いることによって、被塗物に、耐指紋性を有し、かつ、高光沢及び滑り性を有するコーティング層を形成することができる。上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、例えばコーティング紙の調製において好適に用いることができる。
まず、本発明に至った経緯を説明する。本発明者らは、光硬化性コーティング組成物において、高光沢及び耐指紋性の両立を図ることを目的とした。例えば、高光沢を有するコーティング層に対して耐指紋性を付与するために、シリコーンオイル又はフッ素ポリマー等を用いることを検討した。しかしながら、光硬化性コーティング組成物の硬化層に対してシリコーンオイルを塗布する場合は、耐指紋性を長期間維持することが困難であった。また、光硬化性コーティング組成物にフッ素ポリマーを加えた場合は、耐指紋性は向上する一方で、得られるコーティング層の表面硬度が低下することがあった。
また、耐指紋性を付与できる添加剤を、光硬化性コーティング組成物に対して単に加える場合は、得られるコーティング層の光沢が低下してしまい、高光沢を維持することが困難となることがあった。さらに、被塗物が紙である場合は、滑り性及び紙送り性の低下、コーティング層と紙面の裏面との耐ブロッキングの低下等の不具合の生じることがあった。
本発明者らは、上記事象に鑑み、高光沢及び耐指紋性の両立を図るべく実験を行った。そして、光重合性多官能化合物(A)、ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)、光重合開始剤(C)及びワックス(D)を用いることによって、高光沢及び耐指紋性を両立させることができることを実験により見いだし、本発明を完成するに至った。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、
光重合性多官能化合物(A)、
ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)、
光重合開始剤(C)、及び
ワックス(D)
を含む。以下、上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物に含まれる各成分について詳述する。
光重合性多官能化合物(A)
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、光重合性多官能化合物(A)を含む。光重合性多官能化合物(A)は塗膜形成成分として作用する。そして光重合性多官能化合物(A)が含まれることによって、光硬化性コーティング組成物の光硬化性が向上し、また得られるコーティング層の機械的強度が高まることとなる。
光重合性多官能化合物(A)は、1分子中に2個以上の光重合性基を有する化合物である。光重合性基として、例えば、エチレン性不飽和二重結合基含有基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基であるのがより好ましい。
光重合性多官能化合物(A)として、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることができる。光重合性多官能化合物(A)として、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、モノマーであってもオリゴマーであってもよい。なお本明細書中において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を表す。
1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーの例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の脂環族ジオールのジ(メタ)アクリレート;イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系化合物のアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等(ここでアルキレンオキサイド付加物の例としては、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる);
等が挙げられる。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーの例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートと反応物である多官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、市販品を用いてもよい。1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の市販品としては、例えば、
アロニックスM−208、M−211B、M−215、M−220、M−240、M−309、M−310、M−321、M−350、M−360、M−315、M−305、M−450、M−408、M−400、M−402、M−460等(いずれも、東亞合成社製);
DPGDA、HDDA、TPGDA、EBECRYL145、EBECRYL150、IRR214−K、EBECRYL130、PEG400DA−D、EBECRYL11、HPNDA、EBECRYL210、EBECRYL230、EBECRYL280、PETIA、PETRA、TMPTA、TMPEOTA、EBECRYL135、OTA480、EBECRYL40、EBECRYL140、EBECRYL1142、PETA、DPHA、EBECRYL1290、EBECRYL4265等(いずれも、ダイセル・オルネクス社製);
等が挙げられる。
上記光重合性多官能化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
光重合性多官能化合物(A)は、1分子中に3個又はそれ以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを含むのが好ましい。このようなモノマーを用いることによって、得られるコーティング層の機械的強度をより高めることができる。好ましい光重合性多官能化合物(A)として、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)は、下記式(1):
Figure 2020084034
(1)
[式中、Xは、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物の両末端の水酸基を除いた残基を示す。]
で示される構造を有する成分である。
上記ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)が、上記式(1)で示される、ウレタン結合を介したポリエーテル構造を有することによって、優れた耐指紋性が得られることとなる。
上記式(1)で示される構造を有するポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)として、例えば、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)とポリイソシアネート(b)との反応物が挙げられる。
ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリカプロラクトン、及び、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有する、ポリエーテルポリオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールをポリエーテル変性した、ポリエーテル骨格を含む多価アルコール;上記ポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオールをカプロラクトン変性したカプロラクトン変性ポリオール;等が挙げられる。
ポリイソシアネート(b)としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、中でもトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネートあるいはこれらポリイソシアネートの三量体化合物、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート、又はこれらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等を挙げることができる。
ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)とポリイソシアネート(b)との反応は、ポリオール化合物(a)の水酸基1当量に対して、ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基1.1〜2.5当量を反応させるのが好ましく、1.3〜2.0当量を反応させるのがより好ましい。反応温度は、70〜100℃が好ましく、反応時間は、1〜20時間程度が好ましい。このポリオール化合物(a)とポリイソシアネート(b)との反応においては、ブチルチンジラウレートのような金属系触媒又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のようなアミン系触媒等を用いて、反応を促進させるのがより好ましい。
上記ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)は、分子の両末端それぞれに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するのがより好ましい。成分(B)が、両末端それぞれに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有することによって、良好な耐擦傷性が得られることとなる。
なお成分(B)のウレタン(メタ)アクリレートは、分枝構造を有していてもよい。そしてこの場合において「両末端」とは、分子鎖が最長となる状態における両方の末端を意味する。そしてこのような分枝構造を有する場合は、分枝鎖の末端においても少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有してもよい。
両末端それぞれに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)として、例えば、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)とポリイソシアネート(b)と水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)との反応物が挙げられる。
両末端それぞれに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する、ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)は、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)、ポリイソシアネート(b)及び水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)を反応させることによって調製することができる。この調製において、例えばポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)、ポリイソシアネート(b)及び水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)を一度に反応させてもよく、あるいは、例えばポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)を反応させてもよい。
ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)、ポリイソシアネート(b)は、上記のものを用いることができる。水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能モノマーであってもよく、(メタ)アクリロイル基を2又はそれ以上有する多官能モノマーであってもよい。単官能モノマーとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。多官能モノマーとして、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)、ポリイソシアネート(b)及び水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)を一度に反応させる場合においては、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)の量は、ポリイソシアネート(b)1当量に対して1.0〜1.5当量を用いるのが好ましく、1.0〜1.3当量用いるのがより好ましい。反応温度は、60〜100℃が好ましく、反応時間は、1〜20時間であるのが好ましい。
また、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)を反応させる場合においては、ポリオール化合物(a)及びポリイソシアネート(b)の反応物のイソシアネート基1当量に対して、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)の水酸基0.95〜1.5当量を反応させるのが好ましく、1.0〜1.1当量を反応させるのが特に好ましい。反応温度は、60〜100℃が好ましく、反応時間は、1〜20時間であるのが好ましい。
上記ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)は、重量平均分子量が500〜100,000であるのが好ましく、3,000〜50,000であるのがより好ましい。ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)の重量平均分子量が上記範囲内であることによって、良好な生産性及びコーティング層の機械的強度が得られる利点がある。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果を、ポリスチレンを標準として換算した値である。
上記ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)として、溶解性パラメータが12以下であるものが好ましい。成分(B)の溶解性パラメータが12以下であることによって、良好な耐指紋性が得られることとなる。
溶解性パラメータ(solubility parameter、SP値と略記することもある。)とは、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、数値が小さいほど極性が低いことを示す。なお成分(B)が2種以上の混合物である場合のSP値は、各成分の溶解性パラメータの加重平均値をSP値とする。
SP値は次の方法によって実測することができる[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)]。
測定温度:20℃
サンプル:樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒10mlを、ホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解する。
溶媒:
良溶媒…ジオキサン、アセトン等
貧溶媒…n−ヘキサン、イオン交換水等
濁点測定:50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。
成分(B)のSP値δは次式によって与えられる。
δ=(Vml 1/2δml+Vmh 1/2δmh)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
=V/(φ+φ
δ=φδ+φδ
Vi:溶媒の分子容(ml/mol)
φi:濁点における各溶媒の体積分率
δi:溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
上記ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)が含まれることによって優れた耐指紋性が得られる理由として、理論に拘束されるものではないが、疎水性である炭素数3以上のアルキレンオキシド及び親水性であるウレタン結合部が分子中に含まれることによって、得られるコーティング層の脂質成分に対する親和性が向上し、これにより耐指紋性が向上したと考えられる。また、成分(B)の溶解性パラメータが12以下であることによって、良好な耐指紋性が得られることとなる理由は、理論に拘束されるものではないが以下のように考えられる。成分(B)はウレタン基を有しているため、分子内に局部的に極性が高い部分構造を持つ。一方、成分(B)は、溶解性パラメータが12以下であることによって、分子全体としては、極性が低い化合物であるということとなる。ここで、指紋跡を構成する脂質成分は長鎖脂肪酸であるとされており、長鎖脂肪酸はアルキル基による極性が低い部分と極性が高いカルボキシル基から構成される。耐指紋性を向上させるには指紋跡を構成する脂質成分へのなじみ性を高くすることにより達成できるのではと考え、このことから上記のように分子内に局部的に極性が高い部位(ウレタン基)と分子全体として極性が低い性質を有する成分(B)を用いることで、良好な耐指紋性を付与できたものと考えられる。溶解性パラメータについても同様である。溶解性パラメータが12以下であることによって、極性の高いウレタン基を有する成分(B)は、分子全体としては極性の低い化合物であるということとなる。そしてこれにより、指紋跡を構成する脂質成分へのなじみ性が高くなり、耐指紋性が向上することとなると考えられる。なお、溶解性パラメータを12以下とすることは分子全体として極性が低い性質を示すものである。一方で、上記理論によって全て解明できるものではなく、溶解性パラメータが12以下であること、ならびにウレタン基をもつことによる局部的に極性が高い構造を有するという性質を、全て兼ね備えた成分(B)を用いることによって、耐指紋性の向上が達成されることとなる。
なお、上記成分(B)のより好ましい例として、例えば下記式で示されるポリエーテル骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
Figure 2020084034
[式中、Rは、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(a)の両末端の水酸基を除いた残基であり、Rはポリイソシアネート(b)の両末端のイソシアネート基を除いた残基であり、R及びRは、同一であっても異なってよい、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)の水酸基を除いた残基であり、及びnは1〜60の整数である。]
このポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)は、重量平均分子量が3,000〜50,000であるのがより好ましい。また上記nは1〜60の整数であるのがより好ましく、1〜30の整数であるのがより好ましい。
前記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.5〜40質量部であるのが好ましく、0.5〜20質量部であるのがより好ましい。ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)の量が上記範囲内にあることで、得られるコーティング層に良好な耐指紋性を付与することができる。
光重合開始剤(C)
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、光重合開始剤(C)を含む。光重合開始剤(C)が含まれることによって、紫外線等の活性エネルギー線照射に対するコーティング組成物の硬化性が向上することとなる。
光重合開始剤(C)として、具体的には、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤等が挙げられる。
アルキルフェノン系光重合開始剤として、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
チタノセン系光重合開始剤として、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤として、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等が挙げられる。
さらには、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等の水素引き抜き型開始剤を用いることもできる。
光重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。光重合開始剤の固形分含有量は、コーティング組成物の樹脂固形分100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましく、3〜8質量部であるのがさらに好ましい。本明細書において樹脂固形分は、上記成分(A)及び(B)、そして必要に応じて用いることができるその他の光重合性樹脂の固形分の総量を意味する。
ワックス(D)
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、融点が120℃以下であるワックス(D)を含む。ワックス(D)として、例えば、天然ワックス及び合成ワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えば、
牛脂あるいは豚脂を水素添加した水添油脂、蜜ロウ、鯨ロウ、水添鯨ロウ、カルナバワックス、ラノリンワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバワックス、シェラック、ひまし油系ワックス、ヤシ油脂肪酸及び大豆油脂肪酸等の動植物性ワックス;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、セリシンワックス等の鉱物性ワックス;等を挙げることができる。
合成ワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、塩化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリオレフィンワックス;及び、ポリテトラフルオロエチレンワックス、シリコンワックス、フィッシャートロプシュワックス、油脂系合成ワックス(エステル、ケトン類、アミド)、水素化ワックス等を挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、ワックス(D)は予め、溶剤や光重合性化合物に分散したものを使用してもよい。
上記ワックス(D)は、パラフィンワックス、塩素化パラフィンワックス、PTFE/ポリエチレンアロイワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、これらの変性品からなる群から選択される1種又はそれ以上を含むのがより好ましい。これらのワックス(D)を用いることによって、得られるコーティング層に良好な滑り性を付与することができる。
なお、本明細書において「滑り性」とは、コーティング層表面の静止摩擦係数(μ)が0.6未満であることを意味する。コーティング層表面の静止摩擦係数(μ)は、例えばポータブル摩擦計等を用いて測定することができる。被塗物が紙である場合においては、ある程度の滑り性を有していることが求められる。例えば、静止摩擦係数(μ)が0.6未満であることによって、コーティング紙をコピー機又は印刷機等の機器で用いる場合において、紙詰まり等の不具合を優位に回避することができる等の利点がある。
上記ワックス(D)の融点が120℃以下であることによって、得られるコーティング層に良好な滑り性を付与することができる利点がある。これは、理論に拘束されるものではないが、上記ワックス(D)の融点が120℃以下であることによって、コーティング層の乾燥時又は光硬化時において、コーティング層の光沢を保持した状態で表面凹凸状態が僅かに変化して、滑り性が向上するためと考えられる。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物が上記ワックス(D)を含むことによって、耐指紋性を保持しつつ、得られるコーティング層の光沢を向上させることが可能となった。加えて、上記ワックス(D)が含まれることによって、例えば、被塗物が紙であり塗装物がコーティング紙である場合において、得られるコーティング層の滑り性及び紙送り性が良好な範囲となる利点もある。
上記ワックス(D)が含まれることによって、コーティング組成物の耐指紋性に悪影響を与えることなく、光沢が向上する理由として、理論に拘束されるものではないが、上記成分(A)及び(B)両方に対して上記ワックス(D)が適度な親和性を有することで、コーティング時に上記ワックス(D)がコーティング層表面に局在化し、塗工時の乾燥や光(活性エネルギー線)照射時の熱により形状が変化しているためと考えられる。また、ポリエチレンワックス等のように、ワックスの種類によっては、つや消し用途として多用されるものもあるが、本発明では(B)及び(D)の種類及び配合量をある一定の範囲内とすることにより、ワックスの配合量を従来の使用量より減量することで、得られるコーティング層の光沢の低下を抑制するとともに、良好な耐指紋性及び滑り性を付与することが可能となったと考えられる。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるワックス(D)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.1〜5質量部であるのが好ましく、0.2〜2質量部であるのがより好ましい。ワックス(D)の量が上記範囲内にあることで、光沢の高いコーティング膜が得られ、かつ良好な耐指紋性及び滑り性を付与できる。
前記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.5〜40質量部であるのが好ましく、0.5〜20質量部であるのがより好ましい。
さらに、上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)及びワックス(D)の質量比は、(B):(D)=400:1〜1:10の範囲内であるのが好ましく、(B):(D)=100:1〜1:4の範囲内であるのがより好ましい。ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)及びワックス(D)の質量比が上記範囲内であることによって、得られるコーティング層の耐指紋性及び高光沢を良好な範囲で両立することができる利点がある。
粒状物(E)
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、粒状物(E)を含んでもよい。例えば被塗物が紙であり塗装物がコーティング紙である場合は、粒状物(E)が含まれることによって、滑り性及び紙送り性を良好な範囲に制御することができる。さらに、コーティング層のブロッキングを防ぐことができる。
粒状物(E)として、例えば、無機粒子及び有機樹脂粒子が挙げられる。有機樹脂粒子としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル粒子等のアクリル樹脂粒子、ポリスチレン粒子、ポリ(スチレン/メタクリル酸メチル)共重合粒子、ポリエステル粒子、ポリカーボネート粒子、ポリイミド粒子、ポリウレタン粒子、ナイロン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、シリコーン粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子、ポリ塩化ビニリデン粒子、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物粒子、メラミン・ホルマリン縮合物粒子等が挙げられる。
用いることができる無機粒子として、例えば、金属又は金属の酸化物、複合酸化物の微粒子を挙げることができる。金属としては、例えば、Si、Ti、Al、Zn、Zr、In、Sn、Sb等が挙げられる。具体的な無機粒子として、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。
上記粒状物は、1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を混合して用いてもよい。また、上記粒状物は、予め溶剤又は光重合性化合物に分散したものを用いてもよい。粒状物(E)を含むことによって、得られるコーティング層の耐擦傷性等の機械的強度をさらに向上させることができる利点がある。
上記粒状物(E)は、平均粒子径が10〜300nmの範囲内であるのが好ましく、10〜150nmの範囲内であるのがより好ましい。粒状物(E)の平均粒子径が上記範囲内であることによって、被塗物が紙であり塗装物がコーティング紙である場合において、より良好な滑り性及び紙送り性の得られる利点がある。また、紙基材に印刷されている場合、印刷画像の視認性や鮮鋭性を良好に維持することができる利点がある。
本明細書中において、平均粒子径は、体積平均粒子径D50を意味する。体積平均粒子径D50は、レーザードップラー式粒度分析計(例えば、日機装社製のマイクロトラックUPA150等)を用いて測定することができる。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物が粒状物(E)を含む場合における粒状物(E)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.1〜20質量部であるのが好ましく、0.5〜10質量部であるのがより好ましい。粒状物(E)の量が上記範囲内であることにより、得られるコーティング層に良好な滑り性及び紙送り性を付与できる。
他の成分
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、上記成分(A)〜(E)に加えて、添加剤等のその他の成分を、本発明における効果を阻害しない範囲内で含んでもよい。添加剤として、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、光重合開始助剤、帯電防止剤、重合禁止剤、表面調整剤、潤滑剤、消泡剤、レベリング剤、染料、顔料等、コーティング組成物の分野で一般的に用いられる添加剤等を挙げることができる。例えば、好ましく用いることができる光重合開始助剤として、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジブチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が挙げられる。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、必要に応じて、1分子中に一つの重合性基を有する化合物を含んでもよい。このような化合物を含めることによって、得られるコーティング層の密着性、硬度、及び柔軟性を調整することができる。1分子中に一つの重合性基を有する化合物としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルコキシオキシド付加物の(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノ(メタ)アクリレート;N−ビニルピドリロン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル化合物等が挙げられる。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、必要に応じて希釈溶媒としての有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤は特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
耐指紋性光硬化性コーティング組成物の調製
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、例えば、上記成分(A)〜(D)及び必要に応じた粒状物(E)、添加剤、溶剤、触媒、充填剤等を混合することによって調製することができる。上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物の調製において用いる混合機として、例えば、ローラーミル、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインドミル、ポットミル、ペイントシェーカー、ディスパー等の混合機等が挙げられる。
また、上記成分(A)〜(D)及び必要に応じた粒状物(E)、その他成分の配合方法(順序)についても特に限定されず、上記成分(A)〜(D)及び必要に応じた粒状物(E)を一括混合してもよい。ある態様では、任意の2種又は3種を予め混合してから残りの2種又は1種を配合してもよい、また、ある態様では任意の2種同士を予め混合しておき、それらを混合する等の混合方法でもよい。本発明の作用効果をより顕著に得ようとすれば、予め上記成分(A)〜(C)を混合しておき、次に、上記成分(D)、必要に応じた粒状物(E)及びその他成分を混合することが好ましい。さらに、上記成分(D)の分散度を向上したい場合には、ローラーミル、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインドミル等により予め分散するか、上記成分(A)〜(C)を予め加熱し(通常は100℃程度まで)、撹拌しながら上記成分(D)を添加し、均一分散させた後、透明又は乳濁液とした後、冷却する、等の方法を選択することができる。
耐指紋性光硬化性コーティング組成物の塗装方法及び硬化方法
被塗物
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物を塗装して、コーティング層を設ける被塗物として、例えば、金属、プラスチック、紙、木材、ガラス、セラミック、モルタル等の、任意の基材を用いることができる。例えば基材が紙である場合は、任意の紙、又は紙形状の樹脂製フィルムを用いることができる。このように本明細書における「紙」は、基材が紙である態様のみに限定されず、基材が樹脂フィルムである紙形状フィルムも含む。
樹脂フィルムとしては特に限定されず、公知のものを使用することができる。樹脂フィルムの具体例として、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリルフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ビスフェノール類と塩化カルボニルから得られるポリカーボネ−トフィルム;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のナイロンフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド等のビニルフィルム;等が挙げられる。これらの樹脂フィルムは、延伸したものであってもよく、2種又はそれ以上が複合化されたものであってもよい。上記樹脂フィルムは、また、上記合成樹脂の樹脂ファイバーをパルプ代わりの原料とし、必要に応じたバインダー等を加えて抄紙機で製紙された、いわゆる合成紙であってもよい。樹脂フィルムは、一般的な表面処理、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、密着性コーティング等を施してもよく、その表層に各種プライマー塗布層を有していてもよい。
紙としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。紙の具体例として、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、再生紙、非木材紙(木材以外の植物から繊維を取りだして抄紙機で製紙した紙)及びこれらの加工紙等が挙げられる。紙として、上記合成樹脂の樹脂ファイバー及びパルプ繊維を原料とし、必要に応じたバインダー等を加えて抄紙機で製紙された、パルプ繊維を含む合成紙であってもよい。本明細書において「パルプ繊維を含む合成紙」は、原料に含まれるパルプ繊維の含有量が50質量%以上であって、樹脂ファイバーの含有量が50質量%未満であるものを意味する。
塗装方法および硬化方法など
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物を被塗物に塗装する方法として、通常用いられる塗装方法を特に制限されることなく用いることができる。塗装方法として、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の公知の印刷方法、又は、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールコート法、ロールドクターコート法、ナイフコート法、ダイコート法、コンマコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法、フレキソ印刷法、ディップコート法エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ディップコート、バーコート、ロールコート等の公知の塗装方法等が挙げられる。
コーティング組成物の塗装によって、被塗物上に形成される塗膜層の膜厚は、被塗物の種類及び用途等に応じて種々選択することができる。膜厚として、例えば1〜100μmの範囲等で適宜選択することができる。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、上記コーティング組成物を塗装した後、50〜1,000mJ/cmの活性エネルギー線を照射させる光硬化工程によって、硬化させることができる。上記光硬化工程は、紫外線、電子線、エックス線、ガンマ線等の活性エネルギー線を照射することによって行うことができる。活性エネルギー線の照射は、例えば、ヒュージョンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用いて照射することができる。このような光硬化工程によって、高硬度を有するハードコーティング層が形成される。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」及び「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B−1)の調製
ポリイソシアネート(b)であるイソホロンジイソシアネート 666質量部、ポリエーテル骨格を有するポリオール化合物(b)であるポリプロピレングリコール(ポリプロピレングリコール1000、キシダ化学社製、有効成分濃度:100質量%)2,000質量部、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)であるペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(混合質量比=60:40)900質量部を、反応容器に加え、さらに触媒としてジブチルスズジラウレートを1,000ppm、重合禁止剤としてハイドロキノンを1,000ppm及び溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK、有効成分濃度が40質量%となる量で用いた。)を加えて、空気を吹き込みながら80℃で3時間混合して、両末端それぞれに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する、ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B−1)(重量平均分子量:7,000)を得た。
実施例1 耐指紋性光硬化性コーティング組成物(1)の調製
製造例1により得られたポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B−1)5質量部、光重合性多官能化合物(A)としてアロニックスM−350 100質量部、及び光重合開始剤(C)としてOmnirad 184 5質量部を、40℃で混合撹拌し、ワックス(D)としてパラフィン 0.5質量部、粒状物(E)としてMEK−ST 5質量部に添加、混合撹拌し、耐指紋性光硬化性コーティング組成物(1)を得た。
なお、用いた成分(A)〜(E)に関する原料の詳細を以下に示す。
・光重合性多官能化合物(A):アロニックスM−350(3官能化合物;東亞合成社製、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、有効成分濃度:100質量%)
・光重合開始剤(C):Omnirad 184(アルキルフェノン系光重合開始剤;IGM Resins社製、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、有効成分濃度:100質量%)
・ワックス(D):パラフィン(パラフィンワックス;富士フィルム和光純薬社製、融点:42〜44℃、有効成分濃度:100質量%)
・粒状物(E):MEK−ST(シリカ粒子(オルガノシリカゾル);日産化学社製、粒子径:15nm、有効成分濃度:30質量%)
実施例2〜11及び比較例1〜5
各成分の種類及び量を、下記表1に記載したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして耐指紋性光硬化性コーティング組成物を調製した。用いた成分に関する原料の詳細を以下に記載する。なお、配合量は、いずれも有効成分の量(質量部)である。
ワックス(D):
・エンパラ70(塩素化パラフィン、味の素ファインテクノ社製;融点:95〜105℃、有効成分濃度:100質量%)
・CERACOL 79(カルナバワックス、BYK社製;融点:90℃、有効成分濃度:20質量%)
・カーディス370(酸化マイクロクリスタリンワックス、東洋アドレ社製;融点:86℃、有効成分濃度:100質量%)
・ハイディスパー1229(マイクロクリスタリンワックス溶剤品、岐阜セラツク製造所社製;融点:80〜90℃、有効成分濃度:100質量%)
・CERAFAK 127N(変性フィッシャートロプシュワックス溶剤品、BYK社製;融点:120℃、有効成分濃度:15質量%)
・CERAFLOUR 950(変性ポリエチレンワックス、BYK社製;融点:135℃、有効成分濃度:100質量%)
・CERAFLOUR 970(ポリプロピレンワックス、BYK社製;融点:160℃、有効成分濃度:100質量%)
・CERAFLOUR 988(アマイド変性ポリエチレンワックス、BYK社製;融点:140℃、有効成分濃度:100質量%)
その他:
・BYK−300(シリコーンオイル(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、BYK社製、有効成分濃度:52質量%)
・メガファックF−572(フッ素系ポリマー(含フッ素基、親油性基含有オリゴマー)、DIC社製、有効成分濃度:30質量%)
上記実施例及び比較例で得られたコーティング組成物を用いて、下記評価を行った。
コーティング層の形成
実施例及び比較例で得られた耐指紋性光硬化性コーティング組成物を、基材である紙(JIS K 5600塗料一般試験方法隠ぺい率試験紙;日本テストパネル社製)上に、バーコーターを用いて、乾燥膜厚が3μmとなるよう塗装した。その後、高圧水銀灯(120W/cm)で紫外線を300mJ/cmの工ネルギーとなるように照射することによって、コーティング層を有するサンプルを得た。
光沢度
得られたコーティング層の隠ぺい率試験紙の黒地部上の60°光沢度を、光沢計(マルチグロス268;コニカミノルタ社製)を用い、JIS K 5600−4−7(鏡面光沢度)に準拠して測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:90以上
〇:80以上、90未満
△:70以上〜80未満
×:70未満
耐擦傷性(耐スチールウール擦傷試験)の評価
得られたコーティング層上において、#0000のスチールウールを500g/cmの荷重にて、10往復させた。その後、三波長蛍光灯の下、評価試験後のコーティング層表面の目視評価をおこない、下記基準によって耐擦傷性評価を行った。傷の本数が少ないほど、良好な表面硬度を有しており、コーティング層上に傷が生じ難いということができる。
○:キズが2本以下しか生じない
△:キズが3本以上、10本以下生じる
×:キズが11本以上生じる
耐指紋性(オレイン酸拭き取り試験)
基材を上記紙からPETフィルム(厚さ100μm)に変更したこと以外は、上記と同様にして、コーティング層を有するサンプルを得た。
得られたサンプルのコーティング層上に、オレイン酸を1滴垂らし、均一となるように塗り広げ、拭き取り試験前ヘイズ値を測定した。次いで、コットン製の不織布を用いて20回拭き取り、拭き取り試験後ヘイズを測定した。得られた拭き取り試験前及び拭き取り試験後のヘイズを用いて、Δヘイズ値を求めた。このΔヘイズ値の値が小さいほど、油脂成分の拭き取り性が良好である、つまり耐指紋性が良好である、ということができる。評価基準は以下の通りである。
◎:Δヘイズ値が0.5未満
○:Δヘイズ値が0.5以上、1.0未満
△:Δヘイズ値が1.0以上、3.0未満
×:Δヘイズ値が3.0以上
なお、ヘイズ値は、次のようにして測定した。ヘイズメーター(スガ試験機社製)を用いて、サンプルの拡散透光率(T(%))及び上記全光線透過率(T(%))を測定し、ヘイズ値を算出した。なお、表中に示される全光線透過率(%)及びヘイズ(%)は、いずれも、コーティング層の調製に基材として用いられた厚さ100μmのPETフィルム部分を介在して測定された値である。
H(%)=T/T × 100
H:ヘイズ(曇価)(%)
:拡散透光率(%)
:全光線透過率(%)
滑り性(静止摩擦係数の測定)
得られたコーティング層の滑り性の評価として、ポータブル摩擦計(ヘイドン・トライボギア)Type:94i−2(新東科学社製)を用いて、摩擦計の接触子と、コーティング層表面との間で静止摩擦係数(μ)を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:滑り性がきわめて良好である(静止摩擦係数:0.4未満)
△:滑り性が良好である(静止摩擦係数:0.4以上0.6未満)
×:滑り性が不良である(静止摩擦係数:0.6以上)
Figure 2020084034
実施例の耐指紋性光硬化性コーティング組成物を用いて得られたコーティング層はいずれも、十分な光沢を有しており、さらに耐指紋性及び滑り性を有していることが確認された。
比較例1〜3はいずれも、ワックスの融点が120℃を超えるものを用いた例である。これらの例では、光沢、耐指紋性及び滑り性のうち1つ又は2以上の性能が劣ることが確認された。
比較例4は、ワックスの代わりにシリコーンオイルを用いた例である。この例では、耐指紋性が劣ることが確認された。
比較例5は、ワックスの代わりにフッ素系ポリマーを用いた例である。この例では、耐指紋性が劣ることが確認された。
上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物を用いることによって、被塗物に、耐指紋性を有し、かつ、高光沢及び滑り性を有するコーティング層を形成することができる。上記耐指紋性光硬化性コーティング組成物は、例えば光沢加工紙の調製において好適に用いることができるという産業上の利点がある。

Claims (11)

  1. 光重合性多官能化合物(A)、
    ポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)、
    光重合開始剤(C)、及び
    ワックス(D)
    を含む、耐指紋性光硬化性コーティング組成物であって、
    前記ワックス(D)の融点が120℃以下である、
    耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  2. さらに粒状物(E)を含む、請求項1に記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  3. 前記光重合性多官能化合物(A)は、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び1分子中に3個又はそれ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選択される1種又はそれ以上を含む、請求項1又は2に記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  4. 前記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.5〜40質量部であり、
    前記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるワックス(D)の量は、光重合性多官能化合物(A)100質量部に対して0.1〜5質量部である、
    請求項1〜3いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  5. 前記耐指紋性光硬化性コーティング組成物中に含まれるポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂(B)及びワックス(D)の質量比は、(B):(D)=400:1〜1:10の範囲内である、
    請求項1〜4いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  6. 前記粒状物(E)は、平均粒子径が10〜300nmの範囲内である有機樹脂粒子又は無機粒子を含む、
    請求項1〜5いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  7. コーティング紙調製用である、請求項1〜6いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物の硬化塗膜を有するコート紙。
  9. 請求項1〜7いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物を基材表面上に塗装し、次いで、活性エネルギー線を照射して、コーティング層を形成する工程を包含する、コーティング紙の調製方法。
  10. 請求項1〜7いずれかに記載の耐指紋性光硬化性コーティング組成物を基材表面上に塗装し、次いで、活性エネルギー線を照射してコーティング層を形成し、得られたコーティング層を別の紙基材表面に貼付する工程を包含する、コーティング紙の調製方法。
  11. 活性エネルギー線を照射する前に加熱する工程を含むか、又は、活性エネルギー線を照射する工程において活性エネルギー線照射と同時に加熱する、請求項9又は10記載のコーティング紙の調製方法。
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