JP2020084005A - ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2020084005A
JP2020084005A JP2018219405A JP2018219405A JP2020084005A JP 2020084005 A JP2020084005 A JP 2020084005A JP 2018219405 A JP2018219405 A JP 2018219405A JP 2018219405 A JP2018219405 A JP 2018219405A JP 2020084005 A JP2020084005 A JP 2020084005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polycarbonate
carbon atoms
mass
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018219405A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7106434B2 (ja
Inventor
洋平 一原
Yohei Ichihara
洋平 一原
北山 雅博
Masahiro Kitayama
雅博 北山
義生 岡本
Yoshio Okamoto
義生 岡本
靖浩 茂木
Yasuhiro Mogi
靖浩 茂木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp, Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2018219405A priority Critical patent/JP7106434B2/ja
Publication of JP2020084005A publication Critical patent/JP2020084005A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7106434B2 publication Critical patent/JP7106434B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】外観不良を抑制でき、かつ耐衝撃性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物を提供する。【解決手段】特定のポリカーボネートブロック(A−1)及び特定のポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、特定のポリカーボネート樹脂(A’)とからなるポリカーボネート系樹脂(S)、並びにポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、0.01〜0.05質量部の金属アルミニウム粒子(B)及び0.1〜0.5質量部の紫外線吸収剤(C)を含み、前記共重合体(A)は、ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を5〜7質量%含み、特定の粘度平均分子量を有し、ポリカーボネート系樹脂(S)は、前記共重合体(A)を55〜70質量%含み、ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を3〜4質量%含み、かつ特定の粘度平均分子量を有する、ポリカーボネート系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特定量の金属アルミニウム粒子を含むポリカーボネート系樹脂組成物およびその成形体に関する。
ポリカーボネート系樹脂成形品は、透明性、耐熱性及び機械的特性に優れていることから、電気・電子分野、機械分野、自動車分野等における工業用透明材料、あるいはレンズや光学ディスク等の光学用材料等として幅広く用いられている。
さらに樹脂成形体に加飾性をもたせるため、光沢粒子等を添加して商品イメージを大きく向上させる試みもなされている。光沢粒子等の添加により、メタリック調外観や、夜空に星を散りばめたようなキラめく銀河調外観等の高い意匠外観を得ることができる。特許文献1はポリアセタール樹脂組成物に光沢粒子として金属顔料を添加したポリアセタール樹脂組成物を、特許文献2はポリカーボネート樹脂に光沢粒子を加えたポリカーボネート樹脂組成物を開示している。
特開2017−218563号公報 特開2009−120674号公報
特許文献1で用いられているポリアセタール樹脂組成物は透明性に劣り、外観のさらなる向上が望まれる上に、耐衝撃性にも劣る。特許文献2のポリカーボネート系樹脂組成物では、成形体製造時に溶融した樹脂組成物同士の合流部の付近で、樹脂組成物中に含まれる光沢粒子が倒れずに突き立った(配向した)状態となる。そのため、光沢粒子による光の反射が乱されて成形品が黒ずんで(暗く)みえるブラックラインを生じるという外観問題を有する。
本発明者等は、上述したようなブラックライン等の外観不良を抑制でき、かつ耐衝撃性にも優れるポリカーボネート系樹脂組成物とその成形体を得るべく検討した。その結果、特定の共重合単位を含むポリカーボネート系樹脂と、特定量の金属アルミニウム粒子と、特定量の紫外線吸収剤とを含むポリカーボネート系樹脂組成物が上記課題を解決することを見出した。本発明は下記[1]〜[3]に関する。
[1]下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)、及び下記一般式(II)で表され、かつ平均繰り返し数が85以上95以下である繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂(A’)とからなるポリカーボネート系樹脂(S)、並びに
上記ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、0.01質量部以上0.05質量部以下の金属アルミニウム粒子(B)及び0.1質量部以上0.5質量部以下の紫外線吸収剤(C)を含み、
前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)は、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を5質量%以上7質量%以下含み、かつ16,000以上18,000以下の粘度平均分子量を有し、
前記ポリカーボネート系樹脂(S)は、前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)を55質量%以上70質量%以下含み、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を3質量%以上4質量%以下含み、かつ15,000以上17,000以下の粘度平均分子量を有する、ポリカーボネート系樹脂組成物。

[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]

[式中、R30及びR31は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。d及びeは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
[2]上記[1]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形体。
[3]自動車内装部品である、上記[2]に記載の成形体。
本発明によれば、特定の共重合単位を含むポリカーボネート系樹脂と、特定量のアルミニウム粒子と、特定量の紫外線吸収剤とを含むポリカーボネート系樹脂組成物であって、アルミニウム粒子を配合した際に生じ得るブラックライン等の外観不良を抑制でき、かつ耐衝撃性にも優れるポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体を得ることができる。
以下、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体について詳細に説明する。本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。本明細書において、「XX〜YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、後述する一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)、及び後述する一般式(II)で表され、かつ平均繰り返し数が85以上95以下である繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、後述する一般式(III)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂(A’)とからなるポリカーボネート系樹脂(S)、並びに上記ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、0.01質量部以上0.05質量部以下の金属アルミニウム粒子(B)及び0.1質量部以上0.5質量部以下の紫外線吸収剤(C)を含み、前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)は、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を5質量%以上7質量%以下含み、かつ16,000以上18,000以下の粘度平均分子量を有し、前記ポリカーボネート系樹脂(S)は、前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)を55質量%以上70質量%以下含み、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を3質量%以上4質量%以下含み、かつ15,000以上17,000以下の粘度平均分子量を有することを特徴とする。
まず、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるポリカーボネート系樹脂(S)の詳細について以下説明する。
<ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)>
上記ポリカーボネート系樹脂(S)に含まれるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(以下、「PC−POS共重合体」と略記することがある)(A)は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)、及び下記一般式(II)で表され、かつ平均繰り返し数が85以上95以下である繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含む。

[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
上記一般式(I)中、R1及びR2がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示す。以下、明細書中同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位として前記アルキル基を有するものが挙げられる。
Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。Xが表すアリールアルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、アルキレン基としては上述したアルキレンが挙げられる。Xが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、アルキリデン基としては上述したアルキリデン基を挙げることができる。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0または1である。
中でも、aおよびbが0であり、Xが単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であるもの、またはaおよびbが0であり、Xが炭素数3のアルキレン基、特にイソプロピリデン基であるものが好適である。
上記一般式(II)中、R3またはR4で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。R3またはR4で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R3またはR4で示されるアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。R3またはR4で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
3及びR4としては、いずれも水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、いずれもメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)は、より具体的には、下記一般式(II−I)〜(II−III)で表される単位を有することが好ましい。

[式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数6〜12のアリール基を示し、複数のR3〜R6は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Yは−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−COO−、−S−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−を示し、複数のYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。前記R7は、単結合、直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、またはジアリーレン基を示す。R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。R9は、ジアリーレン基を示す。R10は、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、またはジアリーレン基を示す。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、またはジカルボン酸若しくはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示す。nはポリオルガノシロキサンの平均鎖長を示す。n−1、及びpとqはそれぞれポリオルガノシロキサン単位の平均繰り返し数を示し、1以上の整数であり、pとqの和はn−2である。]
3〜R6がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。R3〜R6がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R3〜R6がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。R3〜R6がそれぞれ独立して示すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数6〜12のアリール基である。
一般式(II−I)、(II−II)及び/または(II−III)中のR3〜R6がいずれもメチル基であることが好ましい。
Yが示す−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−におけるR7が表す直鎖または分岐鎖アルキレン基としては、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基が挙げられる。R7が表す環状アルキレン基としては、炭素数5〜15、好ましくは炭素数5〜10のシクロアルキレン基が挙げられる。
7が表すアリール置換アルキレン基としては、芳香環にアルコキシ基、アルキル基のような置換基を有していてもよく、その具体的構造としては、例えば、下記の一般式(i)または(ii)の構造を示すことができる。ここで、R7がアリール置換アルキレン基を示す場合、アルキレン基がSiに結合している。

(式中cは正の整数を示し、通常1〜6の整数である)
7、R9及びR10が示すジアリーレン基とは、二つのアリーレン基が直接、または二価の有機基を介して連結された基のことであり、具体的には−Ar1−W−Ar2−で表わされる構造を有する基である。Ar1及びAr2は、アリーレン基を示し、Wは単結合、または2価の有機基を示す。Wの示す2価の有機基は、例えばイソプロピリデン基、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基である。
7、Ar1及びAr2が表すアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基などの環形成炭素数6〜14のアリーレン基が挙げられる。これらアリーレン基は、アルコキシ基、アルキル基等の任意の置換基を有していてもよい。
8が示すアルキル基としては、炭素数1〜8、好ましくは1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。R8が示すアルケニル基としては、炭素数2〜8、好ましくは2〜5の直鎖または分岐鎖のアルケニル基が挙げられる。R8が示すアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R8が示すアラルキル基としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
10が示す直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基は、R7と同様である。
Yとしては、好ましくは−R7O−であって、R7が、アリール置換アルキレン基であって、特にアルキル基を有するフェノール系化合物の残基であり、アリルフェノール由来の有機残基やオイゲノール由来の有機残基がより好ましい。
式(II−II)中のp及びqについては、p=qであることが好ましい。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基またはジカルボン酸またはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(iii)〜(vii)で表される2価の基が挙げられる。
PC−POS共重合体(A)におけるポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の平均繰り返し数(上記式中、n−1、及びpとqで表される数)は85以上95以下であることを要する。該平均繰り返し数が85未満であると、耐衝撃性の向上が十分に得られないため好ましくない。一方、平均繰り返し数が95を超えると、透明性が低下するため好ましくない。上記平均繰り返し数は、より高い耐衝撃性を得る観点から、好ましくは86以上、より好ましくは87以上であり、好ましくは90以下、より好ましくは89以下である。該平均繰り返し数は核磁気共鳴(NMR)測定により算出される。
PC−POS共重合体(A)は、ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を5質量%以上7質量%以下含むことを要する。PC−POS共重合体(A)中のポリオルガノシロキサン量が上記範囲外であると、優れた耐衝撃性及び透明性を両立することが困難となり好ましくない。
PC−POS共重合体(A)中のポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率は、より高い耐衝撃性を得る観点から、好ましくは5.5質量%以上であり、より高い透明性を得る観点から、好ましくは7質量%未満、より好ましくは6.5質量%以下である。該含有率は核磁気共鳴(NMR)測定により算出される。
PC−POS共重合体(A)は、16,000以上18,000以下の粘度平均分子量(Mv)を有する。PC−POS共重合体(A)の粘度平均分子量が上記範囲外となると、成形品の強度が低下する、あるいは射出成形や押出成形を行う際に熱劣化しやすくなる等の悪影響を受け易くなるため好ましくない。分子量調節剤(末端停止剤)等を用いることにより、粘度平均分子量を上記範囲に調整することができる。
PC−POS共重合体(A)の粘度平均分子量は、より高い強度を有する成形品を得る観点から、好ましくは16,500以上であり、成形時の熱劣化をより抑制する観点から、好ましくは18,000未満である。
粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、下記Schnellの式から算出した値である。
上記PC−POS共重合体(A)は、界面重合法(ホスゲン法)、ピリジン法、エステル交換法等の公知の製造方法により製造することができる。特に界面重合法を採用した場合には、PC−POS共重合体(A)を含む有機相と未反応物や触媒残渣等を含む水相との分離工程が容易であり、アルカリ洗浄、酸洗浄、純水洗浄等の各洗浄工程におけるPC−POS共重合体(A)を含む有機相と水相との分離が容易である。そのため、効率よくPC−POS共重合体(A)が得られる。PC−POS共重合体(A)を製造する方法として、例えば、特開2014−80462号公報等に記載の方法を参照することができる。
具体的には、後述する予め製造されたポリカーボネートオリゴマーと、ポリオルガノシロキサンとを、非水溶性有機溶媒(塩化メチレン等)に溶解させ、二価フェノール系化合物(ビスフェノールA等)のアルカリ性化合物水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)を加え、重合触媒として第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、末端停止剤(p−tert−ブチルフェノール等の1価フェノール)の存在下、界面重縮合反応させることにより製造できる。また、PC−POS共重合体(A)は、ポリオルガノシロキサンと、二価フェノールと、ホスゲン、炭酸エステルまたはクロロホーメートとを共重合させることによっても製造できる。
原料となるポリオルガノシロキサンとしては、以下の一般式(1)、(2)及び/または(3)に示すものを用いることができる。
上記式中、R3〜R6、Y、β、n−1、p及びqは上記した通りであり、具体例及び好ましいものも同様である。
Zは、水素原子またはハロゲン原子を示し、複数のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
例えば、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、以下の一般式(1−1)〜(1−11)の化合物が挙げられる。
上記一般式(1−1)〜(1−11)中、R3〜R6、n−1及びR8は上記の定義の通りであり、好ましいものも同じである。cは正の整数を示し、通常1〜6の整数である。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、上記一般式(1−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。入手の容易さの観点においては、上記一般式(1−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、上記一般式(1−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
その他、ポリオルガノシロキサン原料として以下の一般式(4)を有するものを用いてもよい。
上記式中、R3及びR4は上述したものと同様である。一般式(4)で示されるポリオルガノシロキサンブロックの平均鎖長は(r×m)となり、(r×m)の範囲は上記nと同一である。
上記(4)をポリオルガノシロキサン原料として用いた場合には、ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)は下記一般式(II−IV)で表わされる単位を有することが好ましい。

[式中のR3、R4、r及びmは上述した通りである。]
ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)として、下記一般式(II−V)で表される構造を有していてもよい。

[式中、R18〜R21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基である。R22は炭素数1〜6のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜14のアリール基である。Q2は炭素数1〜10の2価の脂肪族基である。n−1はポリオルガノシロキサンブロックの繰り返し数を示し、その範囲は上記した通りである。]
一般式(II−V)中、R18〜R21がそれぞれ独立して示す炭素数1〜13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、2−エチルヘキシル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基が挙げられる。これらの中でも、R18〜R21としては、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
22が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基が挙げられる。R22が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R22が示す炭素数1〜6のアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。R22が示す炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記の中でも、R22は水素原子、又は炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
2が示す炭素数1〜10の2価の脂肪族基としては、炭素数1〜10の、直鎖又は分岐鎖の2価の飽和脂肪族基が好ましい。当該飽和脂肪族基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜6、よりさらに好ましくは4〜6である。繰り返し数n−1は上記の通りである。
構成単位(II−V)の好ましい態様としては、下記式(II−VI)で表される構造を挙げることができる。

[式中、n−1は前記と同じである。]
上記一般式(II−V)または(II−VI)で表されるポリオルガノシロキサンブロック(A−2)は、下記一般式(5)または(6)で表されるポリオルガノシロキサン原料を用いることにより得ることができる。

[式中、R18〜R22、Q2、及びn−1は上記した通りである。]

[式中、n−1は上記した通りである。]
上記ポリオルガノシロキサンの製造方法は特に限定されない。例えば、特開平11−217390号公報に記載の方法によれば、シクロトリシロキサンとジシロキサンとを酸性触媒存在下で反応させて、α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンを合成し、次いで、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下に、該α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンにフェノール性化合物(例えば2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、オイゲノール、2−プロペニルフェノール等)等を付加反応させることで、粗ポリオルガノシロキサンを得ることができる。また、特許第2662310号公報に記載の方法によれば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラメチルジシロキサンとを硫酸(酸性触媒)の存在下で反応させ、得られたα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを上記と同様に、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下でフェノール性化合物等を付加反応させることで、粗ポリオルガノシロキサンを得ることができる。α,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、その重合条件によりその鎖長nを適宜調整して用いることもできるし、市販のα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを用いてもよい。ヒドロシリル化触媒として具体的には、特開2016−098292号公報に記載されるものを用いることができる。
ポリカーボネートオリゴマーは、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等の有機溶剤中で、二価フェノールとホスゲンやトリホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応によって製造することができる。エステル交換法を用いてポリカーボネートオリゴマーを製造する際は、二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体との反応によって製造することもできる。
二価フェノールとしては、下記一般式(viii)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。

[式中、R1、R2、a、b及びXは上述した通りである。]
上記一般式(viii)で表される二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系の二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、上記一般式(i)において、Xがイソプロピリデン基であり、且つa=b=0のPC−POS共重合体(A)となる。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ジヒドロキシアリールエーテル類、ジヒドロキシジアリールスルフィド類、ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、ジヒドロキシジアリールスルホン類、ジヒドロキシジフェニル類、ジヒドロキシジアリールフルオレン類、ジヒドロキシジアリールアダマンタン類等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等が挙げられる。
ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類としては、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等が挙げられる。ジヒドロキシアリールエーテル類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等が挙げられる。
ジヒドロキシジアリールスルフィド類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホキシド類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホン類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられる。
ジヒドロキシジフェニル類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールフルオレン類としては、例えば9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールアダマンタン類としては、例えば1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
上記以外の二価フェノールとしては、例えば4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。
得られるPC−POS共重合体(A)の分子量を調整するために、末端停止剤(分子量調節剤)を使用することができる。末端停止剤としては、例えば、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、m−ペンタデシルフェノール及びp−tert−アミルフェノール等の一価フェノールを挙げることができる。これら一価フェノールは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記界面重縮合反応後、適宜静置して水相と有機溶媒相とに分離し[分離工程]、有機溶媒相を洗浄(好ましくは塩基性水溶液、酸性水溶液、水の順に洗浄)[洗浄工程]し、得られた有機相を濃縮[濃縮工程]、及び乾燥[乾燥工程]することによって、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるPC−POS共重合体(A)を得ることができる。
<ポリカーボネート系樹脂(A’)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるポリカーボネート系樹脂(S)は、上記PC−POS共重合体(A)と、下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂(A’)とからなる。
ポリカーボネート系樹脂(A’)はPC−POS共重合体(A)以外のポリカーボネート系樹脂であり、主鎖が下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなる。上記ポリカーボネート系樹脂としては、特に制限はなく種々の公知のポリカーボネート系樹脂を使用できる。

[式中、R30及びR31は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。d及びeは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
30及びR31が示す基の具体例は、前記R1及びR2と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。R30及びR31は、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’の具体例としては、前記Xと同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。d及びeは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
上記ポリカーボネート系樹脂(A’)としては、具体的には、反応に不活性な有機溶媒とアルカリ水溶液との存在下で、二価フェノール系化合物及びホスゲンを反応させた後、第三級アミンもしくは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加して重合させる界面重合法や、二価フェノール系化合物をピリジンまたはピリジンと不活性溶媒の混合溶液に溶解し、ホスゲンを導入して直接製造するピリジン法等、従来のポリカーボネートの製造法によって得られるものを使用することができる。
上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。二価フェノール系化合物としては、下記一般式(III’)で表されるものが挙げられる。

[式中、R30、R31、X’、d及びeは前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。]
該二価フェノール系化合物の具体例としては、PC−POS共重合体(A)の製造方法において述べたものを挙げることができ、好ましいものも同じである。中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
上記ポリカーボネート系樹脂(A’)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリカーボネート系樹脂(A’)は、PC−POS共重合体(A)と異なり、式(II)で表されるようなポリオルガノシロキサンブロックを有さず、例えばポリカーボネート系樹脂(A’)はホモポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート系樹脂(S)は、PC−POS共重合体(A)を55質量%以上70質量%以下含むことを要する。ポリカーボネート系樹脂(S)中のPC−POS共重合体(A)量が55質量%未満では、より優れた耐衝撃性を得ることが難しい。ポリカーボネート系樹脂(S)中のPC−POS共重合体(A)量が70質量%を超えると、得られる樹脂組成物の透明性に劣るため好ましくない。より優れた耐衝撃性及び透明性を得る観点から、好ましくは58質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、好ましくは70質量%未満、より好ましくは65質量%以下である。
ポリカーボネート系樹脂(S)中のポリカーボネート系樹脂(A’)の含有量は、ポリカーボネート系樹脂(S)100質量%から上記PC−POS共重合体(A)を除いた残部が該当する。
ポリカーボネート系樹脂(S)は、ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を3質量%以上4質量%以下含むことを要する。ポリカーボネート系樹脂(S)中のポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率が上記範囲外になると、より優れた耐衝撃性と透明性との両立が困難となる。
ポリカーボネート系樹脂(S)中のポリオルガノシロキサンブロック(A−2)の含有率は、より高い耐衝撃性を得る観点から、好ましくは3.3質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上であり、より優れた透明性を得る観点から、好ましくは3.9質量%以下である。該含有率は核磁気共鳴(NMR)測定により算出される。
ポリカーボネート系樹脂(S)の粘度平均分子量(Mv)は15,000以上17,000以下である。ポリカーボネート系樹脂(S)の粘度平均分子量が上記範囲外となると、成形品の強度が低下する、あるいは射出成形や押出成形を行う際に熱劣化しやすくなる等の悪影響を受け易くなるため好ましくない。分子量調節剤(末端停止剤)等を用いることにより、粘度平均分子量を上記範囲に調整することができる。ポリカーボネート系樹脂(S)の粘度平均分子量は、好ましくは15,000以上16,500以下である。粘度平均分子量が上記範囲内であれば、成形品の強度がより優れたものとなり、射出成形や押出成形を行う際の熱劣化がより抑制される。ポリカーボネート系樹脂(S)の粘度平均分子量は、より高い強度を有する成形品を得る観点から、より好ましくは15,500以上であり、成形時の熱劣化をより抑制する観点から、より好ましくは16,500未満である。粘度平均分子量(Mv)は、PC−POS共重合体(A)について記載した方法と同様に測定した値、すなわち20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、以下のSchnellの式から算出した値である。
<金属アルミニウム粒子(B)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、上記ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、金属アルミニウム粒子(B)を0.01質量部以上0.05質量部以下含む。
金属アルミニウム粒子(B)の含有量が上記ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対して0.01質量部未満であると、表面へのメタリック調外観等の意匠性を付与しにくいため好ましくない。金属アルミニウム粒子(B)の含有量が0.05質量部を超えると、耐衝撃性が低下するため好ましくない。
金属アルミニウム粒子(B)の含有量は、成形体の表面にメタリック調外観等の意匠性を付与する観点から、好ましくは0.015質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上であり、より高い耐衝撃性を得る観点から、好ましくは0.05質量部未満、より好ましくは0.04質量部以下、さらにより好ましくは0.03質量部以下、さらにより好ましくは0.025質量部以下である。
<紫外線吸収剤(C)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、上記ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、紫外線吸収剤(C)を0.1質量部以上0.5質量部以下含む。組成物中の紫外線吸収剤(C)の含有量が0.1質量部未満では耐候性が不十分となるため好ましくない。紫外線吸収剤(C)の含有量が0.5質量部を超えると金型の汚れに繋がるので好ましくない。紫外線吸収剤(C)の量は、ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、好ましくは0.2質量部以上であり好ましくは0.4質量部以下である。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれる紫外線吸収剤(C)としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾオキサジノン系、サリチレート系、マロン酸エステル系、オキサリルアラニド系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系等の各種化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。紫外線吸収剤(C)としては、耐候性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジアミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]等が挙げられる。
<その他の添加剤>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、PC−POS共重合体(A)と、ポリカーボネート樹脂(A’)とからなるポリカーボネート系樹脂(S)、金属アルミニウム粒子(B)、及び紫外線吸収剤(C)の他に、以下に記載するその他の成分を本発明の効果を損なわない限り含むことを許容する。その他の添加剤としては、酸化防止剤、離型剤、補強材、充填剤、耐衝撃性改良用のエラストマー、着色剤、帯電防止剤、ポリカーボネート系樹脂以外の樹脂等を挙げることができる。いくつかの添加剤について以下より具体的に記載する。
<着色剤>
着色剤としては隠蔽性を持たないものが好ましく、染料及び顔料を用いることができる。染料としては、例えばメチン系染料、ピラゾロン系染料、ペリノン系染料、アゾ系染料、キノフタロン系染料、アンスラキノン系染料などが挙げられる。顔料としては、無機顔料、有機顔料、互いに補色関係を有する有機顔料の混合物、三原色の有機顔料の混合物、互いに補色関係を有する有機顔料の混合物等を挙げることができる。無機顔料としては、黒色顔料として例えばカーボンブラック(グレードMT,FT,SRF,GPF,FET,HAF,ISAF,SAF,MPC等)、クロム(Cr),ニッケル(Ni),銅(Cu),プラセオジウム(Pr),白金,ルテイニウム,チタン等の金属又はその酸化物等を挙げることができる。白色顔料として、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、硫化亜鉛、鉛白等を挙げることができる。
原色の有機顔料の混合物三原色の有機顔料としては、赤色(R)として、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、アゾ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等の単品又は少なくとも二種類以上の混合物を挙げることができる。緑色(G)として、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、アゾ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等の単品又は少なくとも二種類以上の混合物を挙げることができる。青色(B)として、銅フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品又は少なくとも二種類以上の混合物を挙げることができる。これらの三原色を混合して使用することができる。
互いに補色関係を有する有機顔料の混合物中の互いに補色関係を有する色としては、たとえば赤とシアニン、青,緑とマゼンダ、紫,青と黄等の組み合わせを挙げることができる。個々の色の具体例としては、上述の三原色のほか、例えば黄色としてジスアゾ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料を、紫色として、ジオキサンジン系顔料等を挙げることができる。これらの互いに補助関係を有する有機顔料を混合して使用する。
<フィラー>
フィラーとしては無機フィラーを挙げることができ、例えば、タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、ベントナイト、ガラス繊維、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及び炭酸カルシウム等を好ましくは用いることができる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を好ましく用いることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤の添加量は、ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対して、好ましくは0.05〜1.0質量部程度である。酸化防止剤が上記範囲内であれば、より高い難燃性を得ることが出来る。この観点から、酸化防止剤の添加量は、より好ましくは0.08質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、特に好ましくは0.15質量部以下である。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、前記の各成分を上記割合で、更に必要に応じて用いられる各種任意成分を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。
本発明の一態様において、ポリカーボネート系樹脂(S)、金属アルミニウム粒子(B)及び紫外線吸収剤(C)の合計含有量は、ポリカーボネート系樹脂組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%、よりさらに好ましくは97〜100質量%、特に好ましくは98〜100質量%、最も好ましくは99〜100質量%である。
配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。混練の際の加熱温度は、通常、240℃以上320℃以下の範囲で適宜選択される。この溶融混練としては、押出機、特に、ベント式の押出機の使用が好ましい。
<成形体>
上記の溶融混練した本発明のポリカーボネート系樹脂組成物、または溶融混練後に得られるペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により各種成形体を製造することができる。特に、溶融混練により得られたペレットを用いて、射出成形及び射出圧縮成形による射出成形体の製造に好適に用いることができる。
本発明の成形体は意匠性をさらに高めるために、シボ加工等が行われていてもよい。例えば、射出成形時の金型の成形面にシボ柄(凹凸)を化学腐食(エッチング)によって再現するシボ加工を施し、この金型にポリカーボネート系樹脂組成物を射出して、樹脂成形体の表面に立体状のシボ柄を転写することにより、上記シボ加工を行うことができる。本発明の成形体にシボ加工を施すことにより、幾何学シボの上面部に入射した光は凹凸部における反射や散乱により様々な方向に反射されるため、成形体の表面は全体的に明るくなり、ブラックラインもより視認しにくくなるため好ましい。
シボ加工の凹凸高さは特に限定されないが、例えば5μm以上700μm以下とすることができる。上記凹凸模様の凹凸高さが上記範囲にあることにより、凹凸模様の視認性に優れ、意匠性に富んだ細かい模様を形成しやすいため好ましい。凹凸高さはより具体的には、10μm以上350μm以下であることがより好ましい。
本発明の成形体は、二色成形されたものであってもよい。その場合は、少なくとも一次側または二次側の一方で、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物を射出するものとする。
本発明の成形体は、ブラックライン等の外観不良が抑制され、かつ耐衝撃性にも優れるため、電気・電子機器用部品の筐体等、自動車及び建材の部品等として、特に自動車内装部品として好適に用いることができる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。各例における特性値、評価結果は、以下の要領に従って求めた。
(1)ポリジメチルシロキサン鎖長および含有率
NMR測定によって、ポリジメチルシロキサンのメチル基の積分値比により算出した。本明細書においては、ポリジメチルシロキサンをPDMSと略記することがある。
<ポリジメチルシロキサンの鎖長の定量方法>
1H−NMR測定条件
NMR装置:(株)JEOL RESONANCE製 ECA−500
プローブ:50TH5AT/FG2
観測範囲:−5〜15ppm
観測中心:5ppm
パルス繰り返し時間:9秒
パルス幅:45°
NMR試料管:5φ
サンプル量:30〜40mg
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温
積算回数:256回
アリルフェノール末端ポリジメチルシロキサンの場合
A:δ−0.02〜0.5付近に観測されるジメチルシロキサン部のメチル基の積分値
B:δ2.50〜2.75付近に観測されるアリルフェノールのメチレン基の積分値
ポリジメチルシロキサンの鎖長=(A/6)/(B/4)
オイゲノール末端ポリジメチルシロキサンの場合
A:δ−0.02〜0.5付近に観測されるジメチルシロキサン部のメチル基の積分値
B:δ2.40〜2.70付近に観測されるオイゲノールのメチレン基の積分値
ポリジメチルシロキサンの鎖長=(A/6)/(B/4)
<ポリジメチルシロキサン含有率の定量方法>
アリルフェノール末端ポリジメチルシロキサンを共重合したPTBP末端ポリカーボネート中のポリジメチルシロキサン共重合量の定量方法
NMR装置:(株)JEOL RESONANCE製 ECA−500
プローブ:50TH5AT/FG2
観測範囲:−5〜15ppm
観測中心:5ppm
パルス繰り返し時間:9秒
パルス幅:45°
積算回数:256回
NMR試料管:5φ
サンプル量:30〜40mg
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温
A:δ1.5〜1.9付近に観測されるBPA部のメチル基の積分値
B:δ−0.02〜0.3付近に観測されるジメチルシロキサン部のメチル基の積分値
C:δ1.2〜1.4付近に観測されるp−tert−ブチルフェニル部のブチル基の積分値
a=A/6
b=B/6
c=C/9
T=a+b+c
f=a/T×100
g=b/T×100
h=c/T×100
TW=f×254+g×74.1+h×149
PDMS(wt%)=g×74.1/TW×100
(2)粘度平均分子量
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnellの式)にて算出した。
<製造例:ポリカーボネートオリゴマーの製造>
5.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液に、ビスフェノールA(BPA)(後から溶解する)に対して2000ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加えた。これにBPA濃度が13.5質量%となるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このBPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr、塩化メチレンを15L/hr、及びホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。管型反応器を出た反応液を、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入し、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%のトリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で添加して反応を行なった。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度341g/L、クロロホーメート基濃度0.71mol/Lであった。
<ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)>
邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に、上記製造例で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン10.1L、ポリジメチルシロキサンの平均鎖長nが88であるo−アリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(PDMS)407g及びトリエチルアミン8.4mLを仕込み、攪拌下でここに水酸化ナトリウム85gを純水980mLに溶かした水酸化ナトリウム水溶液1065gを加え、20分間ポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSとの反応を行った。
この重合液に、p−tert−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP70.4gを塩化メチレン1.0Lに溶解したもの)、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム618gと亜二チオン酸ナトリウム2.1gとを純水9.0Lに溶解した水溶液に、ビスフェノールA1093gを溶解させたもの)を添加し、40分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン13Lを加え20分間攪拌した後、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体(PC−PDMS共重合体)を含む有機相と過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離し、有機相を単離した。
こうして得られたPC−PDMS共重合体の塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2mol/L塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が5μS/cm以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。
洗浄により得られたPC−PDMS共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下120℃で乾燥し、PC−PDMS共重合体(A)を製造した。
得られたPC−PDMS共重合体(A)のNMRにより求めたPDMSブロック部分の含有量は6.0質量%、粘度平均分子量Mvは17,700であった。
<ポリカーボネート系樹脂(A’)>
芳香族ホモポリカーボネート樹脂(A’)[出光興産(株)製,タフロンFN1500(商品名),粘度平均分子量=14,200]
<金属アルミニウム粒子(B)>
M−70(山陽化工株式会社内使用原料コード、アルミ粒子)
<紫外線吸収剤(C)>
「LA−31RG(商品名)」[2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール],株式会社ADEKA製]
<その他成分>
酸化防止剤:「IRGAFOS 168(商品名)」[トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、BASFジャパン株式会社製]
実施例1〜3、比較例1〜3
上記PC−PDMS共重合体(A)、ポリカーボネート系樹脂(A’)及び金属アルミニウム粒子(B)、紫外線吸収剤(C)並びにその他の各成分を表1に示す配合割合で混合し、ベント式二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B)に供給し、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/hr、樹脂温度295〜300℃にて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。
[評価試験]
上記得られたペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型80℃で射出成形し、以下の評価に必要な所望の試験片を得た。この試験片を用いてYハイライト/シェード、シャルピー衝撃強度及び成形品のブラックラインについて評価した。結果を表1にあわせて示す。
<Yハイライト/シェード>
成形した厚み3mmの試験片について、3次元分光光度計「DDS3000」(日本電色工業(株)製)を用い、入射角−45度、反射角−40〜70度におけるY値を測定した。反射角30度におけるY値と反射角−30度の差をYハイライト/シェードとした。なお、Y値は標準白色版の値を100%として校正を実施した。Yハイライト/シェードが2以上となる場合を「A」、2未満の場合を「B」と判定した。
<シャルピー衝撃強度>
得られたペレットを前述の条件で射出成形して、シャルピー試験片(4mm厚)を作成した。この試験片に後加工でノッチ(r=0.25mm±0.05mm)を付与した試験片を用いて、ISO179−1:2010に準拠して、23℃及び−30℃におけるシャルピー衝撃強度を測定した。
<ブラックライン評価>
引張り試験片金型を用いて2点ゲートで成形し、得られた成形体のウエルド部分におけるブラックラインを肉眼で観察し、以下の通り評価した。
A:ブラックラインは視認されない。
B:ブラックラインが明確に視認できる。
本発明で得られるポリカーボネート系樹脂組成物は、ブラックライン等の外観不良が抑制され、かつ耐衝撃性にも優れるため、電気・電子機器用部品の筐体等、自動車及び建材の部品等として、特に自動車内装部品として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック(A−1)、及び下記一般式(II)で表され、かつ平均繰り返し数が85以上95以下である繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)と、下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂(A’)とからなるポリカーボネート系樹脂(S)、並びに
    上記ポリカーボネート系樹脂(S)100質量部に対し、0.01質量部以上0.05質量部以下の金属アルミニウム粒子(B)及び0.1質量部以上0.5質量部以下の紫外線吸収剤(C)を含み、
    前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)は、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を5質量%以上7質量%以下含み、かつ16,000以上18,000以下の粘度平均分子量を有し、
    前記ポリカーボネート系樹脂(S)は、前記ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A)を55質量%以上70質量%以下含み、前記ポリオルガノシロキサンブロック(A−2)を3質量%以上4質量%以下含み、かつ15,000以上17,000以下の粘度平均分子量を有する、ポリカーボネート系樹脂組成物。

    [式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]

    [式中、R30及びR31は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。d及びeは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形体。
  3. 自動車内装部品である、請求項2に記載の成形体。
JP2018219405A 2018-11-22 2018-11-22 ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体 Active JP7106434B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018219405A JP7106434B2 (ja) 2018-11-22 2018-11-22 ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018219405A JP7106434B2 (ja) 2018-11-22 2018-11-22 ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020084005A true JP2020084005A (ja) 2020-06-04
JP7106434B2 JP7106434B2 (ja) 2022-07-26

Family

ID=70906526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018219405A Active JP7106434B2 (ja) 2018-11-22 2018-11-22 ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7106434B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022260077A1 (ja) * 2021-06-09 2022-12-15 出光興産株式会社 ポリカーボネート系樹脂組成物及び成形体

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102588A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂成形品及びその製造方法
JP2009120790A (ja) * 2007-10-26 2009-06-04 Sumitomo Dow Ltd ウェルド部の外観に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品。
JP2011094070A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂成形品及びその製造方法
JP2015124304A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 出光興産株式会社 屋外設置用成形体
JP2016044523A (ja) * 2014-08-27 2016-04-04 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 車両用ドアハンドル

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102588A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂成形品及びその製造方法
JP2009120790A (ja) * 2007-10-26 2009-06-04 Sumitomo Dow Ltd ウェルド部の外観に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品。
JP2011094070A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂成形品及びその製造方法
JP2015124304A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 出光興産株式会社 屋外設置用成形体
JP2016044523A (ja) * 2014-08-27 2016-04-04 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 車両用ドアハンドル

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022260077A1 (ja) * 2021-06-09 2022-12-15 出光興産株式会社 ポリカーボネート系樹脂組成物及び成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP7106434B2 (ja) 2022-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7386297B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
JP7040708B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
US9365683B2 (en) Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer and method for producing same
JP6913028B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物
CN107709460B (zh) 聚碳酸酯系树脂组合物及其成型体
JP6699860B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体
TWI775816B (zh) 聚碳酸酯-聚有機矽氧烷共聚物、包含其之聚碳酸酯系樹脂組合物及其成形品
KR102140433B1 (ko) 폴리카보네이트계 수지 조성물 및 성형체
JP2019044129A (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
US20170275460A1 (en) Molded body for outdoor installation
JP6702614B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
JP7106434B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体
WO2018066561A1 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及び成形体
JP7109419B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
JP6027211B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及び成形体
JP2023002164A (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及び成形体
WO2023157910A1 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190109

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20201022

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220713

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7106434

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150