JP2020083789A - N−メチル環状アミドの製造方法 - Google Patents

N−メチル環状アミドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モノメチルアミンを原料として使用せずに、メチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドを収率よく製造できる方法を提供する。【解決手段】ラクトンとアンモニアとメタノールとを、(A)金属酸化物、(B)ゼオライト、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト、(D)リン酸ホウ素、(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩から選ばれる1種または2種以上の触媒の存在下で反応させるN−メチル環状アミドの製造方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、N−メチル環状アミドの製造方法に関する。
5員環ラクタム(環状アミド)であるγ−ブチロラクタム(2−ピロリドン)の窒素原子にメチル基が結合したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、高沸点の非プロトン性極性溶媒として、リチウムイオン電池などの分野で広く利用されている。
NMPの製造方法としては、5員環ラクトン(環状エステル)であるγ−ブチロラクトンとモノメチルアミンとを反応させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、アンモニアをメタノールと反応させることによって、モノメチルアミン、ジメチルアミンおよびトリメチルアミンならびにアンモニアを含む混合物を製造し、アンモニアを分離してから混合物をγ−ブチロラクトンと反応させるNMPの製造方法が記載されている。
また、特許文献3には、ブチロラクトンとアンモニアとメタノールとが反応してNMPが生成することが記載されている。
特許第4051835号公報 特開2001−278858号公報 米国特許第4841069号明細書
Murayama,T.;Chen,J.;Hirata,J.;Matsumoto,K.;Ueda,W.Catal.Sci.Technol.2014,4,4250−4257.
NMPは、γ−ブチロラクトンとモノメチルアミンとを反応させる方法により、収率よく製造できる。
しかしながら、この方法では、原料としてモノメチルアミンを用いる。モノメチルアミンは、以下に示すように、収率よく製造することが困難な化合物であり、原料として使用しないことが望まれている。
モノメチルアミンは、アンモニアとメタノールとを反応させる方法によって製造できる。しかしながら、この方法では、生成したモノメチルアミンがトリメチルアミンに転化されやすい。すなわち、アンモニアの水素原子のうちの1つがメチル基に置換されて生成したモノメチルアミンは、アンモニアよりもメタノールとの反応性が高い。このため、モノメチルアミンとメタノールとの反応により、容易にジメチルアミンが生成される。更に、ジメチルアミンは、モノメチルアミンよりもメタノールとの反応性が高い。よって、ジメチルアミンとメタノールとの反応により、容易にトリメチルアミンが生成される。
このことから、上記の方法では、アンモニア過剰存在下でメタノールと気相反応させてモノメチルアミンのメチル化の進行を抑えるとともに、副生するトリメチルアミンの不均化反応により、アンモニアおよびモノメチルアミンを生成させている。また、上記の方法では、アンモニアとジメチルアミンおよびトリメチルアミンとの共沸、モノメチルアミンとトリメチルアミンとの共沸の影響により、モノメチルアミンの分離が困難である。したがって、従来の製造方法では、モノメチルアミンのメチル化の進行を抑えるとともに、副生するトリメチルアミンを不均化反応させても、モノメチルアミンのみを効率よく低コストで製造できていない。
一方、モノメチルアミンを原料として使用せずにNMPを製造する方法として、特許文献3に記載されているようにγ−ブチロラクトンとアンモニアとメタノールとを反応させてNMPを生成する方法が挙げられる。しかし、この方法では、NMPよりも2−ピロリドンの方が多く生成し、NMPを収率よく製造することは困難であった。
したがって、モノメチルアミンを原料として使用せずに、効率よくNMPを製造できる方法が求められている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、モノメチルアミンを原料として使用せずに、メチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドを効率よく製造できる方法を提供することを課題とする。
[1]ラクトンとアンモニアとメタノールとを、(A)金属酸化物、(B)ゼオライト、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト、(D)リン酸ホウ素、(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩から選ばれる1種または2種以上の触媒の存在下で反応させることを特徴とする、N−メチル環状アミドの製造方法。
[2]前記(A)金属酸化物に含まれる金属および、前記(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトに含まれる金属が、Nb、Mo、Snから選択される少なくとも一種を含む[1]に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
[3]前記(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の金属が、Znである[1]に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
[4]前記ラクトンが、5〜7員環のラクトンである[1]〜[3]のいずれかに記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
[5]前記ラクトンが、γ−ブチロラクトンである[1]〜[4]のいずれかに記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
[6]前記反応を液相で100℃以上290℃未満の温度で行う[1]〜[5]のいずれかに記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
本発明のN−メチル環状アミドの製造方法では、ラクトンとアンモニアとメタノールとを触媒の存在下で反応させる。このため、モノメチルアミンを原料として使用せずに、メチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドを効率よく製造できる。
以下、本発明のN−メチル環状アミドの製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
本実施形態のN−メチル環状アミドの製造方法では、ラクトンとアンモニアとメタノールとを触媒の存在下で反応させて、目的物であるメチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドを製造する。
本実施形態において、ラクトンとアンモニアとメタノールとを触媒の存在下で反応させると、少なくとも以下に示す(第1反応)〜(第5反応)が起こるものと推定される。
(第1反応)アンモニアとメタノールとが反応して、モノメチルアミン(CHNH)が生成する。
(第2反応)第1反応で生成したモノメチルアミンとラクトンとが反応して、メチル基が窒素原子に結合した構造(−C(=O)−N(CH)−)を有するN−メチル環状アミド(目的物)が生成する。
(第3反応)アンモニアとラクトンとが反応して、水素原子が窒素原子に結合した環状アミド(副生物)が生成する。
(第4反応)環状アミド(副生物)とメタノールとが反応して、メチル基が窒素原子に結合した構造(−C(=O)−N(CH)−)を有するN−メチル環状アミド(目的物)が生成する。
(第5反応)第1反応で生成したモノメチルアミンとメタノールとが反応して、ジメチルアミンおよび/またはトリメチルアミン(副生物)が生成する。
本実施形態の製造方法では、以下に示す(1)〜(5)の機能の相乗効果によって、上述した第1反応〜第5反応が制御される。その結果、本実施形態の製造方法では、目的物であるメチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドが、効率よく得られるものと推定される。
(1)アンモニアとメタノールとの反応(第1反応)が触媒によって促進されるため、モノメチルアミンの生成が促進される。
(2)第1反応により生成されるモノメチルアミンは、ラクトンと容易に反応する化合物である。このため、触媒によって第1反応が促進されてモノメチルアミンの生成が促進されることに伴って、モノメチルアミンとラクトンとの反応(第2反応)が促進され、目的物であるメチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドの生成が促進される。
(3)触媒によって第1反応が促進されることにより、モノメチルアミンの原料であるアンモニアの消費が促進される。したがって、アンモニアを原料とする副反応であるアンモニアとラクトンとの反応(第3反応)に、使用可能なアンモニア量が少なくなる。その結果、第3反応が抑制され、水素原子が窒素原子に結合した環状アミドが副生されにくくなる。
(4)水素原子が窒素原子に結合した環状アミド(副生物)とメタノールとの反応(第4反応)が触媒によって促進されるため、目的物であるメチル基が窒素原子に結合したN−メチル環状アミドの生成が促進される。
(5)第1反応により生成されたモノメチルアミンは、第2反応において目的物の原料として速やかに消費される。このことにより、モノメチルアミンとメタノールとの反応(第5反応)が抑制されるとともに、生成した副生物であるジメチルアミンおよび/またはトリメチルアミンが、不均化反応により、アンモニアとモノメチルアミンに戻ることが可能となる。
本実施形態の製造方法では、原料としてアミントラップ剤として機能するラクトンを用いている。このため、アンモニアとメタノールとの反応により生成したモノメチルアミンが更にメチル化される反応よりも優先して、モノメチルアミンとラクトンとの反応が起こる。その結果、モノメチルアミンが速やかに消費され、ジメチルアミンおよび/またはトリメチルアミンの副生が抑制される。よって、本実施形態の製造方法では、モノメチルアミンの水素原子がメタノールの有するメチル基に置換される反応を抑制するために、例えば、モノメチルアミンの原料であるアンモニアを過剰に用いる必要はない。また、本実施形態の製造方法では、アンモニアを過剰に用いる必要はないので、過剰なアンモニアとラクトンとの反応によって、水素原子が窒素原子に結合した環状アミドの副生が促進されることがない。
これらのことから、本実施形態の製造方法では、目的物を効率よく製造できると推定される。
また、本実施形態の製造方法では、上記(1)(2)(4)の機能により、速やかに目的物が生成されるため、290℃未満の反応温度で、短時間で目的物を製造できる。
本実施形態の製造方法において、原料として使用するラクトンとしては、5〜7員環のラクトンが好ましく、γ−ブチロラクトン(五員環)、δ−バレロラクトン(六員環)、ε−カプロラクトン(七員環)などが挙げられる。ラクトンとしては、環構造を構成する炭素原子に置換基として炭素原子数1〜10のアルキル基が結合された化合物であってもよい。このような化合物としては、γ−バレロラクトン(五員環)、γ−ノナラクトン(五員環)、γ−デカラクトン(五員環)、γ−ウンデカラクトン(五員環)などが挙げられる。上記の5〜7員環のラクトンの中でも特に、NMPが得られるγ−ブチロラクトン、または6−ナイロンの原料であるε−カプロラクタムの前駆体として大量生産されており、安価に入手できるε−カプロラクトンを用いることが好ましい。
本実施形態において、ラクトンの使用量に対するアンモニアの使用量は、ラクトン1当量に対して、アンモニアを1〜5当量用いることが好ましく、1.1〜2当量用いることがより好ましい。ラクトン1当量に対するアンモニアの使用量が1当量以上であると、モノメチルアミンが生成する上述した第1反応においてアミノ基が不足することがない。このため、上述した第2反応で目的物の原料として用いられるモノメチルアミンが十分に得られ、目的物の収率がより一層向上する。また、アンモニアは、常温で気体の化合物であり、原料仕込み時に蒸発によって散逸する恐れがある。このため、原料仕込み時におけるアンモニアの散逸量を考慮して、ラクトン1当量に対するアンモニアの使用量を1.1当量以上とし、アンモニアの使用量をラクトンとの反応量よりも小過剰量とすることがより好ましい。このことにより、原料仕込み時のアンモニアの散逸よる目的物の収率低下を抑制できる。また、ラクトン1当量に対するアンモニアの使用量が2当量以下であると、上述した第3反応が抑制され、水素原子が窒素原子に結合したラクタムの副生をより一層抑制できる。
本実施形態において、ラクトンの使用量に対するメタノールの使用量は、ラクトン1当量に対して、メタノールを1〜30当量用いることが好ましく、3.5〜15当量用いることがより好ましい。ラクトン1当量に対するメタノールの使用量が2当量以上であると、上述した第1反応において生成するモノメチルアミンが、これを原料として用いる上述した第2反応において不足することがなく、目的物の収率がより一層向上する。さらにメタノールの使用量が3.5当量以上であると、アンモニアのメタノール溶液を原料として使用可能となり、原料の保管および原料仕込みが簡便となる。また、ラクトン1当量に対するメタノールの使用量が30当量以下であると、反応系内のラクトン濃度が低くなり過ぎることに伴う反応効率(反応速度)の低下を招くことがなく好ましい。また、メタノールの使用量が15当量以下であると、ラクトンとメタノールが反応して生成する副生物であるメトキシ酪酸メチルが生成されにくく、より好ましい。
本実施形態において、原料として使用するアンモニアとメタノールとの割合(メタノール/アンモニア[モル比])は、1.0〜20であることが好ましく、2.0〜15であることがより好ましく、2.8〜5.0であることがさらに好ましい。アンモニアとメタノールとの割合(メタノール/アンモニア[モル比])が1.0以上であると、上述した第1反応によってモノメチルアミンが十分に生成されやすくなり、目的物の収率がより一層向上する。また、上記割合が2.8以上であると、アンモニアのメタノール溶液を原料として使用可能となり、原料の保管および原料仕込みが簡便となる。また、アンモニアとメタノールとの割合(メタノール/アンモニア[モル比])が20以下であると、相対的にラクトンおよびアンモニアの濃度が低くなりすぎることがなく、十分な反応速度を確保できるとともに、ラクトンとメタノールのみが反応して生成する4−メトキシ酪酸メチルや4−ヒドロキシ酪酸メチルなどの副生を抑制できる。
本実施形態の製造方法において使用する触媒は、アンモニアとメタノールとの反応(上述した(第1反応))および、副生成物として生成する水素原子が窒素原子に結合した環状アミドとメタノールとの反応(上述した(第4反応))を促進することにより、目的物を生成させる反応を促進する機能を有する。
本実施形態で使用される触媒としては、(A)金属酸化物、(B)ゼオライト、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト、(D)リン酸ホウ素(BPO)、(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩が挙げられる。これらの触媒から選ばれる1種または2種以上を用いることにより、アンモニアとメタノールとの反応および、水素原子が窒素原子に結合した環状アミドとメタノールとの反応がより効果的に促進され、目的物の収率がより一層向上する。
特に、本実施形態で使用される触媒としては、イオン性の触媒であるリン酸ホウ素(BPO)および金属トリフルオロメタンスルホン酸塩と比較して、目的物を含む液体の反応混合物と触媒との分離が容易であるため、(A)金属酸化物、(B)ゼオライト、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
((A)金属酸化物)
触媒として用いられる(A)金属酸化物としては、例えば、(A)金属酸化物に含まれる金属として、Nb、Mo、Snから選択される少なくとも一種を含むものを使用することが好ましく、Nbおよび/またはMoを含むものを使用することがより好ましい。(A)金属酸化物には、Nb、Mo、Sn以外の金属が含まれていてもよい。
触媒として用いられる(A)金属酸化物としては、市販されているものをそのまま用いてもよい。市販されている金属酸化物としては、例えばMoO(日本無機化学工業株式会社製)などを用いることができる。
(A)金属酸化物は、公知の手順により晶系を制御することで、反応活性を高めてから使用してもよい。例えば、非特許文献1には、Nbの反応活性を高める手順が記載されている。
触媒としての(A)金属酸化物の使用量は、出発物質がラクトン1当量に対してメタノールを1〜30当量含む場合、出発物質であるラクトンとアンモニアとメタノールの合計質量の0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。金属酸化物の使用量が、合計質量の0.5質量%以上であると、基質に対する金属原子上の反応点の数が十分に多くなるため、金属酸化物の触媒としての反応促進機能が顕著となる。また、金属酸化物の使用量が、合計質量の10質量%以下であると、反応時における出発物質と金属酸化物との攪拌効率が低下しにくく、反応後における金属酸化物と目的物との分離が煩雑になりにくく、触媒コストも抑制できる。
((B)ゼオライト)
触媒として用いられる(B)ゼオライトとしては、例えば、SiOとAlとのモル比(SiO/Al[モル比])が10以上200以下、細孔径が0.1nm以上1nm以下、BET法で測定した比表面積が150m/g以上700m/g以下であるゼオライトなどを用いることができる。より好ましいSiO/Al[モル比]は10〜50であり、さらに好ましいSiO/Al[モル比]は12〜20である。
特に、ゼオライトとしては、アンモニアとメタノールとの反応(上述した(第1反応))を効率的に促進させることにより目的物の収率がより一層向上するため、モルデナイト型のゼオライトを用いることが好ましい。市販されているモルデナイト型のゼオライトとしては、例えば、640HOA(東ソー株式会社製)、620HOA(東ソー株式会社製)などが挙げられる。
触媒としての(B)ゼオライトの使用量は、出発物質がラクトン1当量に対してメタノールを1〜30当量含む場合、出発物質であるラクトンとアンモニアとメタノールの合計質量の0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。(B)ゼオライトの使用量が、合計質量の0.5質量%以上であると、基質に対する(B)ゼオライト上の反応点の数が十分に多くなるため、(B)ゼオライトの触媒としての反応促進機能が顕著となる。また、(B)ゼオライトの使用量が、合計質量の10質量%以下であると、反応時における出発物質とゼオライトとの攪拌効率が低下しにくく、反応後における(B)ゼオライトと目的物との分離が煩雑になりにくく、触媒コストも抑制できる。
((C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト)
触媒として(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトを用いる場合、上述した触媒として用いられる(B)ゼオライトに、金属または(A)金属酸化物が担持されたものを用いることもできる。
(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトにおいて、金属または金属酸化物に含まれる金属としては、上述した触媒として用いられる(A)金属酸化物に含まれる金属と同じものを用いることができる。具体的には、金属として、Nb、Mo、Snから選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、Moおよび/またはSnを含むことがより好ましい。金属または金属酸化物には、Nb、Mo、Sn以外の金属が含まれていてもよい。
金属または金属酸化物に含まれる金属として、Nb、Mo、Snから選択される少なくとも一種と共に用いることができる金属としては、例えば、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)と、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)から選択される少なくとも一種が挙げられる。金属または金属酸化物に含まれる金属として、Nb、Mo、Snから選択される少なくとも一種が含まれていれば、高い収率が得られるため、その他の金属が含まれていてもよいが、含まなれていなくてもよい。
触媒として(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトを用いる場合、具体的には、ゼオライトに酸化モリブデンが担持されたもの、および/またはゼオライトに酸化錫が担持されたものであることが好ましい。
金属または金属酸化物を担持するゼオライトとしては、触媒として(B)ゼオライトを単独で使用する場合と同様に、モルデナイト型のゼオライトを用いることが好ましい。
触媒として(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトを用いる場合、触媒中の金属または金属酸化物に含まれる金属の含有量は、ゼオライトの種類および金属の種類などに応じて適宜決定できる。
触媒として(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトを用いる場合、ゼオライトの質量に対する金属または金属酸化物中の金属元素の質量の割合(金属または金属酸化物に含まれる金属元素の質量/ゼオライトの質量)×100(質量%))は、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましい。金属元素の質量の割合が0.5質量%以上であると、ゼオライト中の金属原子の数が十分に確保されているため、ゼオライトに金属または金属酸化物が担持されていることによるルイス酸性の向上効果が顕著となり、好ましい。また、金属元素の質量の割合が10質量%以下であると、ゼオライトの細孔が金属原子で塞がれることによる触媒の活性低下を抑制できる。
(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトは、例えば、以下に示す方法により製造できる。
金属が担持されたゼオライトを製造するには、まず、ゼオライトに担持される金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等を、純水に溶解して水溶液とする。次に、得られた水溶液を、プロトンもしくはアンモニウム置換したゼオライトと接触させる。このことにより、ゼオライトのプロトンもしくはアンモニウムイオンと金属イオンをイオン交換させて、ゼオライトに金属イオンを担持させる(所謂、イオン交換法)。その後、金属イオンが担持されたゼオライトを、400℃〜600℃の温度で2〜10時間焼成する。このことにより、金属が担持されたゼオライトが得られる。なお、金属イオンが担持されたゼオライトを焼成する際には、金属イオンが担持されたゼオライトを水素ガスと接触させて、金属イオンを還元してもよい。また、金属が担持されたゼオライトにおける金属の担持量は、材料として使用するゼオライトのプロトンもしくはアンモニウムイオン量による制約を受ける。このため、金属が担持されたゼオライトを製造する際には、ゼオライトとして、所望の担持量で金属を担持させ得るプロトンもしくはアンモニウムイオン量を有するものを、選定して用いることが好ましい。
金属酸化物が担持されたゼオライトの調製には、ゼオライトに担持される金属酸化物となる金属元素を含む化合物を、溶媒に溶解した溶液を用いる。溶媒としては、金属元素を含む化合物を溶解でき、乾燥させることにより除去可能であり、かつ熱分解しないものであれば、特に制限することなく使用できる。溶媒としては、低コストである純水を用いることが好ましい。
次に、金属元素を含む化合物を溶解した溶液に、ゼオライトを含浸させて攪拌する。金属元素を含む化合物を溶解した溶液に、ゼオライトを含浸させる際に使用する金属元素を含む化合物の質量(溶液の濃度、質量)およびゼオライトの質量は、製造する触媒におけるゼオライトの質量に対する金属酸化物中の金属元素の質量の割合に応じて決定される。
次に、金属元素を含む化合物を溶解した溶液に含浸させたゼオライトを、乾燥させて焼成する。
上記の溶液に含浸させたゼオライトの乾燥は、例えば、大気雰囲気下の室温で0.5〜24時間風乾した後、熱風乾燥器により大気雰囲気下80〜150℃で1〜36時間乾燥させる方法により行うことができる。
また、乾燥させたゼオライトの焼成は、例えば、大気雰囲気下300〜700℃で1〜20時間加熱する方法により、行うことができる。
金属元素を含む化合物を溶解した溶液に含浸させたゼオライトを乾燥、焼成することにより、金属元素を含む化合物として、金属塩などの金属酸化物ではない化合物を用いた場合であっても、化合物中の対アニオンに含まれる揮発成分が確実に除去され、ゼオライトに含浸した化合物中の金属種が酸化物に変換される。
以上の工程により、金属酸化物が担持されたゼオライトからなる触媒が得られる。
触媒としての(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトの使用量は、出発物質がラクトン1当量に対してメタノールを1〜30当量含む場合、出発物質であるラクトンとアンモニアとメタノールの合計質量の0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトの使用量が、合計質量の0.5質量%以上であると、基質に対する(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト上の反応点の数が十分に多くなるため、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトの触媒としての反応促進機能が顕著となる。また、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトの使用量が、合計質量の10質量%以下であると、反応時における出発物質と(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトとの攪拌効率が低下しにくく、反応後における(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトと目的物との分離が煩雑になりにくく、触媒コストも抑制できる。
((D)リン酸ホウ素(BPO))
(D)リン酸ホウ素は、出発物質中に含まれるラクトンおよび目的物であるN−メチル環状アミドが極性の高い化合物であるため、均一触媒として機能する。
触媒としての(D)リン酸ホウ素の使用量は、出発物質がラクトン1当量に対してメタノールを1〜30当量含む場合、原料として使用するラクトンのモル量に対する、(D)リン酸ホウ素のモル量の割合((BPOのモル量/ラクトンのモル量)×100(mol%))が、3〜50mol%であることが好ましく、5〜30mol%であることがより好ましい。
上記の(D)リン酸ホウ素のモル量の割合が3mol%以上であると、効果的に反応を促進させることができる。また、上記(D)リン酸ホウ素のモル量の割合が50mol%以下であると、反応後に(D)リン酸ホウ素と目的物との分離が煩雑になりにくく、触媒コストも抑制できる。また、上記(D)リン酸ホウ素のモル量の割合が50mol%以下であると、反応系中で(D)リン酸ホウ素が固体として析出することによる触媒活性の低下および/または攪拌効率の低下が起こりにくく、好ましい。(D)リン酸ホウ素と目的物とを分離する方法としては、例えば、減圧下で蒸留する方法などを用いることができる。
((E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩)
(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩は、均一触媒として機能する。
触媒として(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩を用いる場合、金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の金属は、Zn、Cu、Sn、Al、Sc、およびランタノイドに分類される元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群から選択されるいずれか一種であることが好ましい。これらの中でも目的物の収率がより一層向上するため、Zn、Nd、Ceから選ばれるいずれか一種であることが好ましく、Znであることが最も好ましい。
触媒としての(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の使用量は、出発物質がラクトン1当量に対してメタノールを1〜30当量含む場合、原料として使用するラクトンのモル量に対する、(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩のモル量の割合((金属トリフルオロメタンスルホン酸塩のモル量/ラクトンのモル量)×100(mol%))が、0.5〜5mol%であることが好ましく、1〜3mol%であることがより好ましい。上記の(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩のモル量の割合が0.5mol%以上であると、効果的に反応を促進させることができる。また、上記(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩のモル量の割合が5mol%以下であると、反応後に(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩と目的物との分離が煩雑になりにくく、触媒コストも抑制できるため、好ましい。
触媒として、(A)金属酸化物、(B)ゼオライト、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト、(D)リン酸ホウ素、(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩から選ばれる1種または2種以上を用いる本実施形態におけるラクトンとアンモニアとメタノールとの反応は、液相反応であっても気相反応であってもよい。なお、本実施形態の製造方法においては、目的物であるN−メチル環状アミドの沸点が比較的高い。このため、本実施形態における反応が気相反応である場合には、反応器内で生成物が液化して触媒の流出および/または溶解による変質が起こるおそれがある。よって、本実施形態における反応は、液相反応であることが好ましい。
本実施形態におけるラクトンとアンモニアとメタノールとの反応が液相反応である場合、ラクトンとアンモニアとメタノールとの反応は、オートクレーブ反応容器内で密閉した状態で攪拌しながら行うことが好ましい。このことにより、安定して反応を進めることができる。
ラクトンとアンモニアとメタノールとの反応温度は、上述した第1および第2反応が進行する範囲内の温度であればよく、第4反応が進行する範囲内の温度であることがより好ましい。ラクトンとアンモニアとメタノールとの反応温度は、気相反応であっても液相反応であっても290℃未満とすることが好ましく、275℃以下とすることがさらに好ましい。反応温度が低いほどラクタムの合成反応の安全性が向上するとともに、反応容器の耐久性が向上する。ただし、反応温度が低くなるのに伴って反応速度が遅くなるので、反応温度の下限値は100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。
回分式の液相反応での反応時間は、出発物質の目的物質への転化速度を考慮すると、2時間以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましく、4時間以上とすることがさらに好ましい。また、液相反応での反応時間は、反応に伴う原料濃度の低下による反応速度の低下の可能性を考慮すると、15時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましく、8時間以下がさらに好ましい。
本実施形態のN−メチル環状アミドの製造方法は、例えば、5員環のラクトンであるγ−ブチロラクトンとアンモニアとメタノールとを触媒の存在下で反応させて、NMPを製造する方法として好ましく用いることができる。
本実施形態のN−メチル環状アミドの製造方法では、ラクトンとしてγ−ブチロラクトンを用いることで、NMPを効率よく製造できる。
この場合、目的物であるNMPだけでなく、副生物として、水素原子が窒素原子に結合した5員環ラクタムである2−ピロリドンと、ジメチルアミンおよび/またはトリメチルアミンとが生成し、さらに4−メトキシ酪酸メチル、4−ヒドロキシ酪酸メチル、4−ヒドロキシ酪酸メチルアミドなどが生成する可能性がある。これらの副生物は、NMPの原料として利用できる。したがって、上記副生物は、回収してNMPの原料としてリサイクルすることが可能である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1〜3、8、12)
γ−ブチロラクトン(GBL、東京化成工業株式会社製)と、市販のアンモニアのメタノール溶液(アンモニアを7[mol/L]含有するメタノール溶液、シグマ アルドリッチ社製)とを混合した。このことにより、γ−ブチロラクトン1当量に対して、表1に示す当量でアンモニアとメタノールとを含む出発物質を得た。
その後、出発物質に、表1に示す使用量で表1に示す触媒を加え、窒素置換後、窒素雰囲気で大気圧に戻し、オートクレーブ反応容器内で密閉した状態で攪拌しながら、液相で表1に示す反応温度および反応時間で反応させてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を製造した。
(実施例4〜7、9〜11)
市販のアンモニアのメタノール溶液として、アンモニアを2[mol/L]含有するメタノール溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて、実施例1と同様にして、γ−ブチロラクトン1当量に対して、表1に示す当量でアンモニアとメタノールとを含む出発物質を得た。
その後、出発物質に、表1に示す使用量で表1に示す触媒を加え、オートクレーブ反応容器内で密閉した状態で攪拌しながら、液相で表1に示す反応温度および反応時間で反応させてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を製造した。
(比較例1、2)
出発物質に触媒を加えないこと以外は、実施例2と同様にして、表1に示す反応温度および反応時間で反応させてNMPを製造した。
(比較例3)
出発物質に触媒を加えないこと以外は、実施例2と同様にして、表1に示す反応温度および反応時間で反応させてNMPを製造した。
比較例3では、NMPを製造するための反応を2回に分けて行った。具体的には、290℃で7時間反応させ、オートクレーブ反応容器内を密閉したまま25℃まで降温した後、再度昇温し、290℃で8時間反応させた。
(比較例4)
比較例4として、特許文献3に記載の実施例7を引用する。
Figure 2020083789
表1に記載の触媒は、以下のとおりである。
「640HOA」モルデナイト型のゼオライト、SiOとAlとのモル比(SiO/Al比)18、細孔径0.7nm、BET法で測定した比表面積380m/g(東ソー株式会社製)
「620HOA」モルデナイト型のゼオライト、SiOとAlとのモル比(SiO/Al比)15、細孔径0.7nm、BET法で測定した比表面積400m/g(東ソー株式会社製)
「6%Mo、620HOA」金属酸化物が担持されたゼオライト(ゼオライトが上記の620HOAであり、ゼオライトに担持された金属酸化物に含まれる金属が「Mo」である。)、「6%Mo」は、ゼオライト単独の質量に対する金属酸化物中のMoの質量の割合(Mo酸化物に含まれるMoの質量/ゼオライトの質量)×100(質量%))が6質量%であることを示す。
「6%Mo、620HOA」は、以下に示す方法により製造した。
モリブデン酸アンモニウム(四水和物、日本無機化学株式会社製)0.56gを純水5.3gに溶解した水溶液に、ゼオライト(商品名:620HOA、東ソー株式会社製)5.0gを含浸させて目視で均一と認められるまで手動で攪拌した。
次に、モリブデン酸アンモニウムを溶解した水溶液に含浸させたゼオライトを室温で1時間風乾し、熱風乾燥器により大気雰囲気下110℃で22時間乾燥させた。その後、乾燥させたゼオライトを、マッフル炉(株式会社コクゴ製Y−1218−P)を用いて大気雰囲気下500℃で2時間加熱して焼成し、ゼオライトに酸化モリブデンが担持された触媒を得た。
「2%Sn、620HOA」金属酸化物が担持されたゼオライト(ゼオライトが上記の620HOAであり、ゼオライトに担持された金属酸化物に含まれる金属が「Sn」である。)、「2%Sn」は、ゼオライトの質量に対する金属酸化物中のSnの質量の割合(Sn酸化物に含まれるSnの質量/ゼオライトの質量)×100(質量%))が2質量%であることを示す。
「2%Sn、620HOA」は、以下に示す方法により製造した。
塩化錫(II)二水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.21gを純水5.4gに溶解した水溶液に、ゼオライト(商品名:620HOA、東ソー株式会社製)5.0gを含浸させて目視で均一と認められるまで手動で攪拌した。
次に、塩化錫(II)二水和物を溶解した水溶液に含浸させたゼオライトを室温で1時間風乾し、熱風乾燥器により大気雰囲気下110℃で48時間乾燥させた。その後、乾燥させたゼオライトを、マッフル炉(株式会社コクゴ製Y−1218−P)を用いて大気雰囲気下500℃で2時間加熱して焼成し、ゼオライトに酸化錫が担持された触媒を得た。
「BPO」リン酸ホウ素(米山化学工業株式会社製)
「Zn(OTf)」亜鉛トリフルオロメタンスルホン酸塩(東京化成工業株式会社製)
「Nb」酸化ニオブ(V)(非特許文献1に記載の手順にしたがって、水熱合成法により調製した。)
表1に記載された触媒の使用量の数値は、以下のとおりである。
「640HOA」「620HOA」「6%Mo、620HOA」「2%Sn、620HOA」「Nb」の使用量は、いずれも出発物質(γ−ブチロラクトン(GBL)、アンモニア、メタノール)の合計質量に対する触媒の割合((触媒の質量/出発物質の合計質量)×100(質量%))である。
「BPO」「Zn(OTf)」の使用量は、原料として使用するγ−ブチロラクトンのモル量に対する、触媒のモル量の割合((触媒のモル量/γ−ブチロラクトンのモル量)×100(mol%))である。
実施例1〜12、比較例1〜4の反応によって得られた反応生成物について、それぞれガスクロマトグラフィー(GC、アジレント・テクノロジー社製、6890N)を用いて組成を分析した。
その結果、実施例1〜12、比較例1〜4のいずれにおいても、反応生成物中に、目的物であるNMPが含まれ、その他に、2−ピロリドンとメトキシ酪酸メチルが副生物として含まれていた。
反応生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析結果を用いて、以下に示す方法により、実施例1〜12、比較例1〜4の製造方法により生成したNMPおよび2−ピロリドンの収率と、γ−ブチロラクトンの転化率を算出した。その結果を表1に示す。
表1において「GBL」はγ−ブチロラクトンである。表1における「NH」「CHOH」の数値は、それぞれγ−ブチロラクトン1当量に対する「NH」「CHOH」の当量を示す。
(NMPの収率)
目的物であるNMPの市販品(富士フイルム和光純薬社製)をメタノールで希釈し、NMPの濃度を3〜23質量%の範囲内で異ならせた4つのサンプルを調製した。各サンプルを、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、得られたピーク面積より検量線を求めた。
次に、上記の方法により求めた検量線を用いて、以下に示す方法により収率を算出した。ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて反応生成物を分析し、反応生成物中のNMPのピーク面積を求め、上記の方法により求めた検量線と回収された反応生成物質量に基づいて、反応生成物中のNMPの含有量を算出し、そのモル数を求めた。そして、原料として使用したγ−ブチロラクトンのモル数に対する反応生成物中のNMPのモル数の割合を求め、収率を算出した。
(2−ピロリドンの収率)
2−ピロリドンの市販品(純正化学株式会社製)をメタノールで希釈し、2−ピロリドンの濃度を4〜16質量%の範囲内で異ならせた3つのサンプルを調製した。各サンプルを、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、得られたピーク面積より検量線を求めた。
次に、上記の方法により求めた検量線を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて反応生成物を分析した結果から、NMPと同様にして、反応生成物中の2−ピロリドンの含有量を算出し、そのモル数を求めた。そして、原料として使用したγ−ブチロラクトンのモル数に対する反応生成物中の2−ピロリドンのモル数の割合を求め、収率を算出した。
(γ−ブチロラクトン(GBL)転化率)
GBLの市販品(東京化成工業株式会社製)をメタノールで希釈し、γ−ブチロラクトンの濃度を7〜16質量%の範囲内で異ならせた3つのサンプルを調製した。各サンプルを、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、得られたピーク面積より検量線を求めた。
次に、上記の方法により求めた検量線を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて反応生成物を分析した結果から、NMPと同様にして、反応生成物中のブチロラクトン(GBL)の含有量を算出した。その結果を用いて以下の式により、転化率を算出した。
転化率(%)=(1−(反応生成物中のGBLの質量/出発物質のGBLの質量))×100
表1中の「GBL転化率」に記載の「>」は、NMPを製造する反応において副生が予想される4−ヒドロキシ酪酸メチルのガスクロマトグラフにおけるピークが、GBLのガスクロマトグラフにおけるピークと重複するため、GBL転化率が実際よりも大きい数値となっている可能性があることを表す。
表1に示すように、γ−ブチロラクトンとアンモニアとメタノールとからなる出発物質を触媒である「640HOA」の存在下で反応させた実施例1〜実施例3では、反応時間が同じであって触媒を用いない比較例2と比較して、反応温度が低いにも関わらず、3倍以上の高い収率でNMPが得られた。
また、反応時間が7時間である実施例2では、反応時間が15時間(7.0+8.0時間)であって触媒を用いない比較例3と比較して、反応温度が低いにも関わらず、高い収率でNMPが得られた。
また、反応時間が7時間である実施例1では、反応時間が15時間であって触媒を用いない比較例4と比較して、反応温度が低いにも関わらず、NMPの収率が同等であった。
また、出発物質を触媒の存在下で反応させた実施例4〜実施例11では、触媒を用いない比較例1と比較して、反応時間が短く反応温度が低いにも関わらず、高い収率でNMPが得られた。
出発物質を触媒である「Nb」の存在下で反応させた実施例12では、触媒を用いない比較例1と比較して、反応温度が低いにも関わらず、高い収率でNMPが得られた。
また、反応時間が3時間である実施例9では、反応時間が7時間であって触媒を用いない比較例2と比較して、反応温度が低いにも関わらず、NMPの収率が同等であった。
実施例1では、実施例2と比較してγ−ブチロラクトン1当量に対する「NH」および「CHOH」の当量が多いため、高い収率でNMPが得られた。これは、実施例1では、「NH」と「CHOH」とが反応することによって、γ−ブチロラクトンと容易に反応してNMPを生成させるモノメチルアミンが、実施例2と比較して、より多く生成したためであると推定される。
実施例3では、実施例2と比較して反応温度が低いにも関わらず、NMPの収率が同等であった。
実施例3では、実施例4と比較して反応時間が長いため、高い収率でNMPが得られた。
触媒として「6%Mo、620HOA」を用いた実施例6では、触媒として「620HOA」を用いた実施例5と、NMPの収率が同等であった。
触媒として「2%Sn、620HOA」を用いた実施例7では、触媒として「6%Mo、620HOA」を用いた実施例6と比較して、高い収率でNMPが得られた。
触媒として「BPO」を用いた実施例8では、触媒である「BPO」の使用量が少なく、かつ「CHOH」の当量が多い実施例9と比較して、高い収率でNMPが得られた。これは、実施例8では、実施例9と比較して、触媒によるアンモニアとメタノールとの反応促進効果が顕著であることと、「CHOH」に対する「NH」の当量が多いためジメチルアミンおよび/またはトリメチルアミンが副生されにくいこととにより、γ−ブチロラクトンと容易に反応してNMPを生成させるモノメチルアミンが、より多く生成したためであると推定される。
触媒として「BPO」を用いた実施例10では、実施例8および実施例9と比較して「NH」および「CHOH」の当量が多いため、高い収率でNMPが得られた。

Claims (6)

  1. ラクトンとアンモニアとメタノールとを、(A)金属酸化物、(B)ゼオライト、(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライト、(D)リン酸ホウ素、(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩から選ばれる1種または2種以上の触媒の存在下で反応させることを特徴とする、N−メチル環状アミドの製造方法。
  2. 前記(A)金属酸化物に含まれる金属および、前記(C)金属または金属酸化物が担持されたゼオライトに含まれる金属が、Nb、Mo、Snから選択される少なくとも一種を含む請求項1に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
  3. 前記(E)金属トリフルオロメタンスルホン酸塩の金属が、Znである請求項1に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
  4. 前記ラクトンが、5〜7員環のラクトンである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
  5. 前記ラクトンが、γ−ブチロラクトンである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
  6. 前記反応を液相で100℃以上290℃未満の温度で行う請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のN−メチル環状アミドの製造方法。
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