JP2020083780A - 液晶組成物、液晶組成物の製造方法、及び化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】有効成分を内包しても長期間安定であり、かつ前記有効成分の皮膚浸透性を向上可能な液晶組成物、及び前記液晶組成物を長期間安定に含有することができる化粧料の提供。【解決手段】モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、前記水の総質量が10%のときに透明液体相を形成する液晶組成物である。また、モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、角層細胞間脂質モデルの表面に配したとき、小角X線散乱測定において、3.98nm±0.5nmの範囲にピークを有さない液晶組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶組成物、液晶組成物の製造方法、及び化粧料に関する。
化粧料、及び医薬品を皮膚に塗布し、前記化粧料、及び医薬品などに含まれる有効成分を皮膚に浸透させて体内に取り込む方法がある。前記有効成分を効率的に皮膚から浸透させるために、経皮ドラッグデリバリーシステム(TDDS)が研究されている。
前記TDDSの材料として、例えば、立方液晶の分散組成物であるキューボソーム(例えば、特許文献1〜2参照)、逆ヘキサゴナル液晶の分散組成物であるヘキソソーム(例えば、特許文献2)、両親媒性物質が形成する二分子膜構造を有した閉鎖小胞であるベシクル(例えば、特許文献3参照)などが挙げられる。これらの液晶組成物に薬剤などの有効成分を内包し、皮膚に塗布して皮膚から前記有効成分を体内に取り込ませる設計の化粧料、及び医薬品が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかし、提案された液晶組成物は、有効成分を皮膚に十分に浸透できないとの問題がある。
また、提案された液晶組成物は、経時安定性に問題がある。例えば、前記キューボソームは、オレイン酸グリセリルなどのグリセリルエステルを含有することが多い。しかし、pHが低い化粧料及び医薬品の製剤中では、前記グリセリルエステルの分解が起こるため、製造してから時間が経つと、例えば、臭気、着色等の発生などが起こる場合がある。
更に、前記ベシクルはリン脂質から形成されることが多く、前記リン脂質から形成されるベシクルをリポソームと呼ぶ。しかし、前記リポソームは、例えば、pH、温度、電解質などの影響を受けやすいことが知られている。
経時安定性に問題があると、内包した薬剤が皮膚を通して確実に吸収されないなどの不具合が発生する。このため、経時安定性に問題のない液晶組成物が望まれてきた。
また、化粧料は、多価アルコールを含有するものがほとんどである。そして、前記液晶組成物を化粧料として用いた場合、前記多価アルコールの影響により、前記液晶組成物の構造が変化し、長期間安定に存在できなくなることが知られている。このため、多価アルコールと混合しても長期間安定な液晶組成物が望まれてきた。
特開2012−17318号公報 特開2007−45762号公報 国際公開2012/56956号パンフレット
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、有効成分を内包しても長期間安定であり、かつ前記有効成分の皮膚浸透性を向上可能な液晶組成物、及び前記液晶組成物を長期間安定に含有することができる化粧料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、前記水の総質量が10%のときに透明液体相を形成する液晶組成物が、有効成分を内包しても長期間安定であり、かつ有効成分の皮膚浸透性を向上させることが可能な液晶組成物であることを知見した。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、
前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、前記水の総質量が10%のときに透明液体相を形成することを特徴とする液晶組成物である。
<2> モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、
角層細胞間脂質モデルの表面に配したとき、小角X線散乱測定において、3.98nm±0.5nmの範囲にピークを有さないことを特徴とする液晶組成物である。
<3> 前記モノアルキルグリセリルエーテルが、イソステアリルグリセリルエーテルである前記<1>から<2>のいずれかに記載の液晶組成物である。
<4> 前記分散剤が、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体の少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の液晶組成物である。
<5> 前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との質量比(モノアルキルグリセリルエーテル/分散剤)が、1〜5である前記<1>から<4>のいずれかに記載の液晶組成物である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の液晶組成物を製造する液晶組成物の製造方法であって、
前記モノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合して液晶を形成する工程と、
前記液晶を分散させる工程と、
を含むことを特徴とする液晶組成物の製造方法である。
<7> 前記液晶を形成する工程が、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との混合物を生成した後、
前記混合物と前記水溶性溶媒とが混合されることにより行われる前記<6>に記載の液晶組成物の製造方法である。
<8> 前記分散剤が、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体の少なくともいずれかである前記<6>から<7>のいずれかに記載の液晶組成物の製造方法である。
<9> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の液晶組成物を含有する化粧料である。
<10> 多価アルコールを更に含む前記<9>に記載の化粧料である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、有効成分を内包しても長期間安定であり、かつ前記有効成分の皮膚浸透性を向上可能な液晶組成物、及び前記液晶組成物を長期間安定に含有することができる化粧料を提供することができる。
図1Aは、実施例1、比較例1、及び比較例3を角層細胞間脂質モデルに配したときの小角X線散乱測定(SAXS)の結果である。 図1Bは、実施例2、比較例2、及び比較例3を角層細胞間脂質モデルに配したときの小角X線散乱測定(SAXS)の結果である。 図2は、本発明の一形態である実施例2、比較例2、及び比較例3を角層細胞間脂質モデルに配したときのX線散乱測定(PXRD)の結果である。 図3Aは、実施例178において偏光顕微鏡で観察した、異方性の筋状模様の逆ヘキサゴナル液晶である。 図3Bは、実施例178において偏光顕微鏡で観察した、幾何学的模様の逆ヘキサゴナル液晶である。 図3Cは、実施例184において偏光顕微鏡で観察した、異方性の十字状模様のラメラ液晶である。 図3Dは、実施例184において偏光顕微鏡で観察した、縞模様のラメラ液晶である。 図4は、本発明の一形態である実施例165、166、及び比較例11、12の有効成分の放出量を示した図である。 図5Aは、多価アルコールとして、本発明の液晶組成物と1,3−ブチレングリコールとを混合した場合の液晶組成物の相図である。 図5Bは、多価アルコールとして、本発明の液晶組成物とジプロピレングリコールとを混合した場合の液晶組成物の相図である。 図5Cは、多価アルコールとして、本発明の液晶組成物と1,2−プロパンジオールとを混合した場合の液晶組成物の相図である。 図6は、本発明の一形態である実施例173、174、及び比較例13、14の内包物の透過量の測定結果である。 図7Aは、実施例178のSAXS測定の結果である。 図7Bは、実施例184のSAXS測定の結果である。 図7Cは、実施例185のSAXS測定の結果である。
(液晶組成物)
本発明の液晶組成物は、モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明の液晶組成物は、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、前記水の総質量が10%のときに透明液体相を形成する。
本発明の液晶組成物は、角層細胞間脂質モデルの表面に配したとき、小角X線散乱測定において、3.98nm±0.5nmの範囲にピークを有さない。
<モノアルキルグリセリルエーテル>
前記モノアルキルグリセリルエーテルは、非イオン性界面活性剤の1種である。
特定の濃度のモノアルキルグリセリルエーテルを含む水溶液中で、前記モノアルキルグリセリルエーテルは、液晶などの会合体を形成する。
液晶の形態は、モノアルキルグリセリルエーテルの種類により変化する。
液晶組成物中の液晶の形態としては、例えば、非連続型キュービック液晶、ヘキサゴナル液晶、ラメラ液晶、逆ヘキサゴナル液晶、非連続型逆キュービック液晶などが挙げられる。これらの中でも、液晶組成物中の液晶の形態としては、逆ヘキサゴナル液晶、ラメラ液晶が好ましい。
水中に存在する液晶組成物中の形態がヘキサゴナル液晶の場合、モノアルキルグリセリルエーテルは、親水性部分を外側に、疎水性部分を内側に向けて配向する。
水中に存在する液晶組成物中の形態が逆ヘキサゴナル液晶の場合、モノアルキルグリセリルエーテルは、親水性部分を内側に、疎水性部分を外側に向けて配向する。
ヘキサゴナル液晶と逆ヘキサゴナル液晶との違いは、モノアルキルグリセリルエーテルの種類による分子膜の曲率の違いに基づく。
前記液晶組成物中、前記逆ヘキサゴナル液晶は、分散された状態が好ましい。前記逆ヘキサゴナル液晶が分散された状態で含有される液晶組成物は、ヘキソソームとも呼ばれる。
液晶組成物中の形態がラメラ液晶の場合、モノアルキルグリセリルエーテルは、親水性部分及び疎水性部分を、それぞれ同じ向きに揃え、層を形成するように配向する。
前記液晶組成物は、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、水の総質量が10%のときに透明液体相を形成する。具体的には、前記液晶組成物から水が揮発し、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、水の総質量が10%のとき、前記モノアルキルグリセリルエーテルによる液晶は、相転移が生じ、透明液体相を形成する。
前記透明液体相は、前記モノアルキルグリセリルエーテルが無限会合した状態である。前記モノアルキルグリセリルエーテルが無限会合した状態とは、前記モノアルキルグリセリルエーテルが、大量の水を抱え込んだ状態をいう。前記透明液体相は、無色透明の外観を呈する。
皮膚上などで前記液晶組成物に含有される水が揮発すると、前記モノアルキルグリセリルエーテルによる液晶は、相転移が生じ、透明液体相を形成する。即ち、前記液晶組成物中の水が多く含まれる液晶の形態と、皮膚上など水が揮発した透明液体相の形態は、相転移により異なる形態となる。
したがって、前記液晶組成物が有効成分を内包する場合、水を多く含み液晶の形態である前記液晶組成物中では、有効成分を長期間安定に保持する。そして、皮膚表面などに塗布された場合、水の揮発により前記液晶組成物が相転移して透明液体相を形成し、角層に作用することで、有効成分を効果的に皮膚に浸透させることができる。
なお、本発明の液晶組成物の透明液体相において、波長:500nmで測定したときの吸光度が1.6以下の場合、「透明」性を有すると定義する。
例えば、以下のようにして液晶組成物の透明液体相の透明性を求めることができる。イソステアリルグリセリルエーテル3g、及びポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)4gを70℃に加温して、手撹拌で混合する。更に、70℃に加温したイオン交換水1gを加え、手撹拌で混合して、サンプル1とする。
同様に、イソステアリルグリセリルエーテル5g、及びポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)2gを70℃に加温して、手撹拌で混合する。更に、70℃に加温したイオン交換水1gを加え、手で撹拌することで混合し、サンプル2とする。
前記サンプル1及び2を1ヵ月間静置する。その後、石英セル(光路長:1cm)に前記サンプル1及び2をそれぞれ充填する。分光光度計において、波長:500nmの入射光Iを照射し、透過光Iを測定する。また、ランベルト・ベールの法則「A=log(I/I)」を用いて、吸光度Aを算出する。
波長:500nmで測定したときの吸光度が1.6以下の場合、「透明」性を有すると定義する。
前記分光光度計としては、例えば、装置名:UVmini−1240(株式会社島津製作所製)を用いることができる。
前記モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、16以上18以下が好ましい。
前記モノアルキルグリセリルエーテルとしては、直鎖であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。また、飽和結合のみからなる構造でもよいし、不飽和結合を有していてもよい。
炭素数が16以上18以下である前記モノアルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノセチルグリセリルエーテル(炭素数:16、直鎖構造)、モノステアリルグリセリルエーテル(炭素数:18、直鎖構造)、モノイソステアリルグリセリルエーテル(炭素数:18、分岐鎖を有する構造)、モノオレイルグリセリルエーテル(炭素数:18、二重結合を有する構造)などが挙げられる。これらの中でも、モノイソステアリルグリセリルエーテルが好ましい。
なお、本発明において、モノイソステアリルグリセリルエーテルを単に「イソステアリルグリセリルエーテル」とも称する。
前記モノアルキルグリセリルエーテルとしては、適宜市販品を用いてもよい。
前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王株式会社製)などが挙げられる
<分散剤>
本発明において、前記分散剤とは、前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との総質量に対し水の総質量が10%のときに、透明液体相を形成させるものを意味する。前記分散剤は、前記液晶組成物中で、前記モノアルキルグリセリルエーテルによる液晶を分散させる働きを有する。
また、前記分散剤は、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対する水の総質量が10%のとき、相転移により、前記液晶を透明液体相に変化させる能力を有する。
なお、液晶組成物が分散剤を含有せず、前記モノアルキルグリセリルエーテル及び水のみの場合、皮膚上などで液晶組成物から水が揮発し、モノアルキルグリセリルエーテルの総質量に対して水の総質量が10%のときにも、相転移せず、透明液体相は形成されない。
本発明の液晶組成物は、角層細胞間脂質モデルの表面に配したとき、小角X線散乱測定において、3.98nm±0.5nmの範囲にピークを有さない。
本発明における、角層細胞間脂質モデルとは、セラミド:コレステロール:パルミチン酸を42:15:43(質量比)の割合で混合し、クロロホルム:メタノール(2:1、v/v)の溶媒に溶解し、総脂質量が10.5μg/ウエルとなるように96ウエルプレートの穴に分注し、溶媒を揮発させた後、120℃のホットプレート上で30分間加温し、室温まで冷却して得られた組成物を指す。
なお、前記角層細胞間脂質モデルは、H. Watanabe et al., Novel preparation of intercellular lipid models of the stratum corneum containing stereoactive ceramide. Chem. Pharm. Bull. 58 (3), 312−317 (2010)に記載された角層細胞間脂質モデルを参照することができる。
前記液晶組成物を角層細胞間脂質モデルに配する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
96ウエルプレートの穴の中に作成した角層細胞間脂質モデルに、本発明の液晶組成物を滴下し、角層細胞間脂質モデルの表面全体に液晶組成物が行き渡るように配する。液晶組成物を角層細胞間脂質モデルの表面全体に配した後、96ウエルプレートを室温で24時間静置して、液晶組成物に含有される溶媒を飛ばした後、小角X線散乱測定を行う。
なお、本発明における「3.98nm±0.5nm」の「±0.5nm」は、測定装置の誤差を考慮してのものである。
本発明の角層細胞間脂質モデルは、小角X線散乱測定(以下、単にSAXS、SAXS測定と称することもある。)を行うと、3.98nm±0.5nmの範囲にピークを有する。
前記ピークは、角層細胞間脂質モデルの一部のラメラ構造を示している。
前記角層細胞間脂質モデルをSAXS測定した際に、3.98nm±0.5nmの範囲にピークがないということは、前記ラメラ構造が消失したことが推測でき、即ち、角層細胞間脂質モデルの構造が変化したことが推測できる。つまり、前記ピークが消失した場合、前記液晶組成物が前記角層細胞間脂質モデルの表面に配されたとき、液晶の形態が変化し、透明液体相を形成したと推測することができる。
前記液晶組成物がモノアルキルグリセリルエーテルによる液晶を形成しているかどうかについては、例えば、偏光顕微鏡観察、小角X線散乱(SAXS)測定などにより判断することができる。
偏光顕微鏡にて前記液晶組成物を観察する場合、逆ヘキサゴナル液晶は、複屈折性により、異方性の筋状模様あるいは幾何学的模様が観察される。また、ラメラ液晶は、異方性の十字状模様あるいは縞模様が観察される。
本願実施例178において偏光顕微鏡で観察した、異方性の筋状模様の逆ヘキサゴナル液晶を図3Aに、幾何学的模様の逆ヘキサゴナル液晶を図3Bに示す。また、本願実施例184において偏光顕微鏡で観察した、異方性の十字状模様のラメラ液晶を図3Cに、縞模様のラメラ液晶を図3Dに示す。
観察に用いる偏光顕微鏡としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
小角X線散乱(SAXS)測定では、縦軸の面間隔の数値(ピークの長さ)は、2π/qより求めることができる。また、散乱ベクトル(q)は、4πsinθ/λより求めることができる。したがって、横軸の角度(θ)より、格子間距離を算出することができる。
SAXS測定で前記液晶組成物を測定する場合、最も低角側のピーク(面間隔)を1とすると、逆ヘキサゴナル液晶は低角側から順に「1:1/√3:1/2」の比率で面間隔のピークが現れる。
また、最も低角側のピーク(面間隔)を1とすると、ラメラ液晶は低角側から順に「1:1/2:1/3」の比率で面間隔のピークが現れる。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、モノアルキルグリセリルエーテル以外の界面活性剤であることが好ましい。
前記モノアルキルグリセリルエーテル以外の界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、脂肪酸エステル系非イオン性界面活性剤、アルキルエーテル系非イオン性界面活性剤、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどが挙げられる。
前記脂肪酸エステル系非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビット脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記アルキルエーテル系非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
なお、「ポリエチレングリコール」は、「ポリオキシエチレン」や「PEG」と表記することがある。また、「ポリプロピレングリコール」は、「ポリオキシプロピレン」や「PPG」と表記することがある。
前記ポリエチレングリコール硬化ひまし油としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などが挙げられる。
前記ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
前記ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。
前記ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。なお、ポリオキシエチレン、及びポリオキシプロピレンのあとの( )内の数値は、それぞれエチレンオキシドの数、プロピレンオキシドの数を示す。
前記ポリエチレングリコールアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどが挙げられる。
前記ポリエチレングリコールアルキルエーテルリン酸ナトリウムとしては、例えば、ポリオキシエチレンオレインエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記高分子界面活性剤としては、例えば、共重合体などが挙げられる。
前記共重合体としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体、(アクロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、[(PEG240/デシルテトラデセル−20/HDI)コポリマー、トリセデス−6](ウレタン骨格を含む共重合体)などが挙げられる。なお、VPは、ビニルピロリドンの略である。
これらの中でも、前記モノアルキルグリセリルエーテルに対して、分散剤の量を多く入れても液晶形態が安定である点から、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、ポリエチレングリコールアルキルエーテルが好ましい。
分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、液晶組成物全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。
分散剤として、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンステアリルエーテルの少なくともいずれかを使用した場合の、前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との質量比(モノアルキルグリセリルエーテル/分散剤)としては、0.1以上5以下が好ましく、1以上2以下がより好ましい。
分散剤として、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレンセチルエーテルの少なくともいずれかを使用した場合の、前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との質量比(モノアルキルグリセリルエーテル/分散剤)としては、2以上5以下が好ましい。
分散剤として、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテルリン酸ナトリウムの少なくともいずれかを使用した場合の、前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との質量比(モノアルキルグリセリルエーテル/分散剤)としては、4以上5以下が好ましい。
分散剤として、高分子界面活性剤を用いた場合の、前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との質量比(モノアルキルグリセリルエーテル/分散剤)としては、1以上5以下が好ましく、1.5以上2以下がより好ましい。
<水>
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、精製水、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、液晶が内包する有効成分などが挙げられる。
前記有効成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、アルブチン、グリチルリチン酸ジカリウム、トコフェロール、パルミチン酸レチノール、テトライソパルミチン酸アスコルビル、グリチルレチン酸ステアリル、ユビデカレノン、4−ビフェニル酢酸(4−Biphenylacetic acid、フェルビナク)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(液晶組成物の製造方法)
本発明の液晶組成物の製造方法としては、モノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合して液晶を形成する工程と、前記液晶を分散させる工程と、を含み、更に必要に応じて有効成分を前記水溶性溶媒に混合する工程などのその他の工程を含む。
前記液晶を形成する工程は、モノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合する工程である。
前記水溶性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、後述する化粧料に用いやすい点から、水が好ましい。前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、純水、イオン交換水などが挙げられる。
モノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合する方法としては、低いせん断力で撹拌する方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手撹拌、プロペラ、ディスパーなどが挙げられる。
前記液晶を形成する工程は、モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤との混合物を生成した後、前記混合物と前記水溶性溶媒とが混合されることにより行われることが好ましい。この順序で液晶を形成することにより、モノアルキルグリセリルエーテルが分散剤の分散能の効果で安定的に分散できるため、経時安定性に優れる。
具体的な手順としては、まず、高いエネルギーを掛けず、モノアルキルグリセリルエーテルに分散剤を加えて混合物とし、加熱した水溶性溶媒中に低いせん断力で撹拌しながら添加することで目的とする液晶を形成させることが好ましい。ただし、高温での液晶状態は非常に不安定であり、別の液晶に転移しやすいため、前記混合物を形成後、水溶性溶媒を加えて液晶を冷却させることが好ましい。
なお、水溶性溶媒と分散剤とを先に混合し、その後モノアルキルグリセリルエーテルを加えて混合物とした場合、液晶は形成されるものの、経時安定性が不十分となる。
モノアルキルグリセリルエーテルと分散剤との混合物を生成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、モノアルキルグリセリルエーテルと分散剤とを混合し、加熱する方法などが挙げられる。
加熱温度としては、60℃以上90℃以下が好ましく、65℃以上75℃以下がより好ましい。
分散剤としては、前述のものを用いることが好ましい。
前記混合物と前記水溶性溶媒とを混合する方法は、前述のモノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合する方法と同様である。
前記液晶を分散させる工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、前記液晶を形成する工程で得られた液晶を、高速撹拌する工程が挙げられる。
具体的な手順としては、前記液晶を形成する工程の後、8000回転〜10000回転の高いエネルギーで、得られた液晶を高せん断力で撹拌し、より細かく分散させることが好ましい。これにより、液晶の分散安定性を向上させることができる。
前記水溶性溶媒は、前述のものを用いることができる。水溶性溶媒としては、モノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合する工程に用いるものと、液晶を分散させる工程に用いるものとが、同じであってもよいし異なっていてもよい。
前記撹拌する装置としては、高いせん断力で撹拌する方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ホモミキサー、タービン、高速ホモミキサー、圧力式ホモジナイザーなどが挙げられる。
調製温度としては、15℃以上50℃以下が好ましく、20℃以上30℃以下がより好ましい。
(化粧料)
本発明の化粧料は、液晶組成物を含み、多価アルコールを含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記液晶組成物は、本発明の液晶組成物である。
<多価アルコール>
前記多価アルコールとしては、通常の化粧料に用いることができるのであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールは、適宜合成をしたものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
前記市販品としては、例えば、1,3−ブチレングリコール(商品名:1,3−ブチレングリコール、株式会社ダイセル製)、ジプロピレングリコール(商品名:DPG−RF、株式会社ADEKA製)、1,2−プロパンジオール(商品名:化粧品用濃プロピレングリコール、株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
前記多価アルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、化粧料全体に対して、30質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記化粧料に含まれる水の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、化粧料全体に対して、50質量%以上90質量%以下が好ましい。
比較的粘度が低い化粧料の場合、前記水の量としては、化粧料全体に対して、80質量%以上90質量%以下が好ましい。前記比較的粘度が低い化粧料としては、例えば、化粧水などが挙げられる。
やや粘度が高い化粧料の場合、前記水の量としては、化粧料全体に対して、50質量%以上80質量%以下が好ましく、60質量%以上70質量%以下がより好ましい。前記やや粘度が高い化粧料としては、例えば、乳液、クリームなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の各成分の含有量は、純分換算量である。
(実施例1)
モノアルキルグリセリルエーテルとしてのイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトール GE−IS、花王株式会社製)5質量%、及び分散剤としてのポリエチレングリコール硬化ひまし油(2)(商品名:NIKKOL HCO−60、日光ケミカルズ株式会社製)5質量%を混合し、70℃に加温した。加温した溶液を、70℃のクエン酸緩衝液(5mmol/L、pH:5.9)と混合し、実施例1の液晶組成物(液晶の分散体)を製造した。
<角層細胞間脂質モデルとの相互作用>
角層細胞間脂質モデルは、セラミド:コレステロール:パルミチン酸を42:15:43(質量比)の割合で、以下のような手順により調製し、用いた。
セラミドとしては、(2S,3R)−2−(2−ヒドロキシヘキサデカノイル)アミノオクダデカン−1,3−ジオール[(2S,3R)−2−(2−Hydroxyhexadecanoyl)aminooctadecane−1,3−diol]、CER [AS]CERAMIDE TIC−006、高砂香料工業株式会社製を用いた。
コレステロールは、富士フィルム和光純薬株式会社製の試薬(和光特級)を用いた。
パルミチン酸としては、商品名:PALMAC 98−16、Acidchem International Sdn Bhd製を用いた。
セラミド、コレステロール、及びパルミチン酸を、上記の比率で混合し、クロロホルム:メタノール(2:1、v/v)の溶媒に溶解し、総脂質量が10.5μg/ウエルとなるように96ウエルプレート(商品名:ライフサイエンス研究用ガラスマイクロプレート 100%硬質ガラス製、株式会社日計製作所製、直径:6mm、ガラス製)に分注した。溶媒を32℃で揮発させた後、120℃のホットプレート上で30分間加温した。加温した96ウエルプレートを再度室温まで冷却し、セラミド、コレステロール、及びパルミチン酸を含む、0.5mm〜2mmの膜状の角層細胞間脂質モデルを得た。
96ウエルプレートの底面に存在する膜である、得られた角層細胞間脂質モデルに、実施例1の液晶組成物を、20μL/ウエルで滴下により添加し、室温で静置して水分を揮発させた。比較として、実施例1の液晶組成物の代わりに、ポリエチレングリコール硬化ひまし油5質量%のクエン酸緩衝溶液(分散剤と記載、クエン酸緩衝溶液は、5mmol/L、pH:5.9)、クエン酸緩衝液(50mmol/L、pH:5.9)のみの溶液を、実施例1と同様にして、角層細胞間脂質モデルに添加した。
各溶液を添加し、24時間後の角層細胞間脂質モデルの構造をX線小角散乱測定(SAXS)、及び粉末X線回折測定(PXRD)によって評価した。SAXSの測定結果を図1Aに示す。
SAXSとしては、小角散乱測定装置(装置名:Nano−Viewer、株式会社リガク製)を使用し、検出器(装置名:Pilatus K−100、株式会社リガク製)を用いた。線源はCuKα線、出力は40kV−30mA、カメラ長は680mm、露光時間は5分間、室温、大気圧下にて透過法で測定した。
PXRDとしては、粉末X線回折測定装置(装置名:MiniFlex 600(検出器、レーザー内蔵型)、株式会社リガク製)を用いた。2θ側測定範囲:2°−28°、ステップサイズ:0.02°、スピード:10°/分間、温度:室温、線源:CuKα線(λ=1.5418Å)、出力:40kV−15mAで測定した。
なお、液晶の形態は、水の含有量が少ない点でSAXS測定を行い判断した。また、ミセルについては、外観から判断した。
(実施例2、比較例1〜3)
実施例1と同様に、表1に示す配合により、実施例2、及び比較例1〜3についても同様に調製、観察、測定を行った。
各溶液を添加し、24時間後の角層細胞間脂質モデルの構造をX線小角散乱測定(SAXS)、及び粉末X線回折測定(PXRD)によって評価した。比較例1、及び比較例3のSAXS測定結果を図1Aに、実施例2、比較例2、及び比較例3のSAXS測定結果を図1Bに示す。
また、実施例2、比較例2、及び比較例3を角層細胞間脂質モデルに配したときのX線散乱測定(PXRD)の結果を図2に示す。
なお、液晶の形態は、水の含有量が少ない点でSAXS測定を行い判断した。また、ミセルについては、外観から判断した。
なお、表中のSAXS測定結果は、以下の意味を示す。
H:逆ヘキサゴナル液晶
L:ラメラ液晶
M:ミセル
D:透明液体相
T:白濁液体相
−:会合体なし
SAXS測定の結果を、以下の表2、表3に示す。
実施例1及び2の液晶組成物を添加すると、分散剤のクエン酸緩衝溶液、及びクエン酸緩衝溶液のみのサンプルには存在した3.98nmのピークが消失した。これは、角層細胞間脂質モデルの一部のラメラ構造が消失したことを示す。
また、PXRD測定の結果、角層細胞間脂質モデルに認められる直方晶及び六方晶の複格子の実施例2には、2θ=16°〜26°にハローパターンが見られた。これは、角層細胞間脂質モデルの一部がアモルファス化していると考えられる。
これらの結果から、実施例1及び実施例2の液晶組成物は、角層細胞間脂質の構造を変化させたと考えられる。
<透明性の定義>
イソステアリルグリセリルエーテル3g、及びポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)4gを70℃に加温して、手撹拌で混合した。更に、70℃に加温したイオン交換水1gを加え、手撹拌で混合して、サンプル1とした。
同様に、イソステアリルグリセリルエーテル5g、及びポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)2gを70℃に加温して、手撹拌で混合した。更に、70℃に加温したイオン交換水1gを加え、手撹拌で混合して、サンプル2とした。
サンプル1及び2を1ヵ月間静置した。その後、石英セル(光路長:1cm)にサンプル1及び2をそれぞれ充填した。分光光度計(装置名:UVmini−1240、株式会社島津製作所製)において、波長:500nm及び700nmの入射光Iを照射し、透過光Iを測定した。また、ランベルト・ベールの法則「A=log(I/I)」を用いて、吸光度Aを算出した。
その結果、サンプル1は、波長:500nmで測定したときの吸光度が0.055、波長:700nmで測定したときの吸光度が0.042であった。また、サンプル2は、波長:500nmで測定したときの吸光度が1.542、波長:700nmで測定したときの吸光度が1.311であった。
実施例1において、サンプル1の液晶組成物の透明液体相は、波長:500nmで測定したときの吸光度が1.6以下であり、十分な「透明」性を有していた。また、サンプル2の液晶組成物の透明液体相は、波長:500nmで測定したときの吸光度が1.6以下であり、「透明」性を有していた。
(実施例3〜101)
<モノアルキルグリセリルエーテル及び分散剤の検討>
前記液晶組成物に含まれると、水の総質量が10%のときに透明液体相を形成する、モノアルキルグリセリルエーテル及び分散剤の種類を検討した。モノアルキルグリセリルエーテル、及び分散剤を表4〜表10に示す各比率で混合し、70℃〜80℃に加温した。このとき、モノアルキルグリセリルエーテルと分散剤との透明性を、目視により観察した。この溶液を、70℃に加温したイオン交換水と手で撹拌することで混合し、室温まで冷却した。
翌日、状態を外観観察し、各実施例において、水の総重量が10%のとき、透明液体相を形成したものを「○」、透明液体相と半固体状態が混合した状態を「△」とした(表4〜表10)。また、偏光顕微鏡観察(装置名:CX41、OLYMPUS社製)を用いて、液晶組成物中の状態を確認した。逆ヘキサゴナル液晶を形成した場合を「H」、ラメラ液晶を形成した場合を「L」、結晶を形成した場合を「C」、ラメラ液晶と結晶が混在した状態であった場合を「C/L」とした(表4〜表10)。
以上の結果から、分散剤として、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、ポリエチレングリコールステアリルエーテルを用いた液晶組成物については、イソステアリルグリセリルエーテルに対して高比率配合しても、液晶を形成することが明らかになった。
以上の実施例は、液晶を形成することから、これを分散させると実施例1と同様の液晶組成物が得られる。
(実施例102〜125)
<液晶組成物の分散性>
表11〜表13に示す割合で、イソステアリルグリセリルエーテルと分散剤とを70℃で混合し、同じく70℃に温めた水中に添加した。ディスパー(商品名:T.K.HOMODISPER Model 2.5、PRIMIX社製)で、1,500rpmで3分間撹拌し、室温まで冷却した。さらに、ホモミキサー(装置名:HOMOMIXIER MARK II Model 2.5、PRIMIX社製)で、8,000rpmで5分間撹拌し、液晶組成物を調製した。分散性の確認を、目視の外観観察により評価した。
表中の外観観察、及び透明性の評価基準は、以下のとおりである。
−外観観察の評価基準−
◎:白濁液体
○:白濁液体だったが、1週間後に濃度勾配ができ、凝集するクリーミングが起きた
△:白濁液体だったが、調製した翌日に濃度勾配ができ、凝集するクリーミングが起きた
△△:凝集した
−:過剰量のため、相溶せず、溶け残りができた
以上の結果から、分散剤として、上記の化合物を用いた場合、イソステアリルグリセリルエーテルの量を、液晶組成物全体の5質量%としても、良好に分散することが明らかになった。
(実施例126、比較例4〜5)
<液晶組成物の分散性>
表14に示す割合で、モノアルキルグリセリルエーテルとしてのイソステアリルグリセリルエーテルと分散剤(高分子界面活性剤)と混合し、70℃〜80℃に加温した。このとき、イソステアリルグリセリルエーテルと分散剤との透明相溶性を、目視により観察した。この溶液を、70℃に加温したイオン交換水と手撹拌で混合した後、室温まで冷却し、翌日の状態を外観観察により観察した。
実施例126の結果から、モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有する液晶組成物について、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、前記水の総質量が10%のときに透明液体相を形成することを確認した。
(実施例127〜150)
<高分子界面活性剤で分散させた液晶組成物の安定性>
表15〜表16に示す割合で、イソステアリルグリセリルエーテル、多価アルコール及び各種濃度の共重合体を70℃で混合し、同じく70℃に加温した水に添加した。ディスパー(装置名:T.K.HOMODISPER Model 2.5、PRIMIX社製)で1,500rpmで3分間撹拌し、室温まで冷却した。さらに、ホモミキサー(装置名:HOMOMIXIER MARK II Model 2.5、PRIMIX社製)で8,000rpmで5分間撹拌し、液晶組成物ヘキソソームを調製した。安定性は1ヶ月後の状態を目視による外観観察により評価した。外観が安定であった液晶組成物ヘキソソームの粒子径及び多分散指数を動的光散乱法(装置名:ELSZ−2000ZS、大塚電子株式会社製)により測定した。
表中の1ヶ月後の外観観察の評価基準は、以下の通りである。
−評価基準−
○:白濁液体
△:1ヶ月後に濃度勾配ができ、凝集するクリーミングが起きた
△△:調製直後に濃度勾配ができ、凝集するクリーミングが起きた
以上の結果から、分散剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体のいずれかを用いた場合、平均粒径が100nm〜350nmの液晶組成物が製造できることが明らかになった。この液晶組成物は、製造してから1ヶ月間後も安定であることが明らかになった。
(実施例151〜152)
<ポリエチレングリコール硬化ひまし油で分散した液晶組成物の安定性>
表17に示す割合で、モノアルキルグリセリルエーテルとしてのイソステアリルグリセリルエーテル、及び分散剤としてのポリオキシエチレン硬化ひまし油を70℃で混合し、同じく70℃に加温した水に添加した。ディスパー(装置名:T.K.HOMODISPER Model 2.5、PRIMIX社製)で1,500rpmで3分間撹拌し、室温まで冷却した。さらに、ホモミキサー(装置名:HOMOMIXIER MARK II Model 2.5、PRIMIX社製)を用いて8,000rpmで5分間撹拌し、液晶組成物を調製した。安定性は室温(R.T.)、40℃、及び50℃における3ヶ月後の状態を目視による外観観察により評価した。液晶組成物の平均粒径及び多分散指数を動的光散乱法(装置名:ELSZ−2000ZS、大塚電子株式会社製)により測定した。
なお、表中の評価結果の「○」は、白濁していることを示す。
以上の結果から、分散剤として、ポリエチレングリコール硬化ひまし油を用いた場合、平均粒径が100nm〜200nmの液晶組成物が製造できることが明らかになった。この液晶組成物は、製造してから3ヶ月後も安定であることが明らかになった。また、高温状態においても、安定であることが明らかになった。
(実施例153〜164、比較例6〜10)
<有効成分を内包した液晶組成物の安定性>
表18〜表19に示す割合で、有効成分を内包した液晶組成物を製造した。
疎水性有効成分であるトコフェロール、パルミチン酸レチノール、テトライソパルミチン酸アスコルビル、グリチルレチン酸ステアリル、ユビキノン、及び4−Biphenylacetic acidは、それぞれイソステアリル酸グリセリルエーテルと、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)と70℃で混合し、同じく70℃に加温した水に添加した。
親水性有効成分であるアルブチン及びグリチルリチン酸ジカリウムは、イソステアリル酸グリセリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)、及び1,2−プロパンジオールと70℃で混合し、同じく70℃に加温した水に添加した。
疎水性有効成分とイソステアリル酸グリセリルエーテル及びポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)との混合物、並びに親水性有効成分とイソステアリル酸グリセリルエーテル及びポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)の混合物はそれぞれ、ディスパー(装置名:T.K. HOMODISPER Model 2.5、 PRIMIX社製)で1,500rpmで3分間撹拌し、室温まで冷却した。さらに、ホモミキサー(装置名:HOMOMIXIER MARK II Model 2.5、PRIMIX社製)で8,000rpmで5分間撹拌し、液晶組成物を調製した。
安定性は室温(R.T.)における1ヶ月後の状態を目視の外観観察により、下記の評価基準により評価した。外観観察が安定であった液晶組成物の粒子径及び多分散指数を動的光散乱法(装置名:ELSZ−2000ZS、大塚電子株式会社製)により測定した。
−評価基準−
○:白濁液体
△:少量の凝集が見られた
×:凝集した
以上の結果から、本発明の液晶組成物は、有効成分を内包しても長期間安定であることが明らかになった。
また、比較例の結果が示すように、モノアルキルグリセリルエーテル、及び水の少なくともいずれかを含有しない液晶組成物は、液晶が形成されないことが分かった。
(実施例165〜166、比較例11〜12)
<製剤中での有効成分保持率>
表20の各成分をそれぞれ5mL量りとり、半透膜(ヴィスキングチューブ 直径15.9mm、25m巻、株式会社日本メデカルサイエンス製)に内包した。
pH7.4のリン酸緩衝液250mLをビーカーに入れ、恒温水槽(商品名:恒温水槽 HB−1400、Lot 7110659、アズワン株式会社製)にてリン酸緩衝液温度が37℃となるように設定した。
実施例、又は比較例の液晶組成物を内包した半透膜をそれぞれ緩衝液に浸し、スターラー(商品名:マグネチックスターラー HS−6AN、Lot Z161314、アズワン株式会社製)を用いて、500rpmで撹拌した。
1、2、3、4、6、24、及び48時間後のリン酸緩衝液をサンプリングし、4−Biohenylacetic acid濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。HPLCは、株式会社島津製作所製のものを使用した。装置の詳細は、以下のとおりである。
・高速液体クロマトグラム用システムコントローラー:CBM−20A
・高速液体クロマトグラム用送液ユニット:LC−20AD
・高速液体クロマトグラム用オートサンプラ:SIL−20ACHT
・高速液体クロマトグラム用フォトダイオードアレイ紫外可視検出器:SPD−20A
・高速液体クロマトグラム用カラムオーブン:CTO−20A
・高速液体クロマトグラム用ソフトフェア:LC solution
移動相としては、水:アセトニトリル:リン酸=(500:500:1)とした。
水は、蒸留水(高速液体クロマトグラフ用、和光純薬工業株式会社製)を、アセトニトリルとしては、商品名:アセトニトリル(高速液体クロマトグラフ用、和光純薬工業株式会社製)を、リン酸としては、商品名:りん酸(和光純薬工業株式会社製)を使用した。
カラム温度は40℃、流速は1.6mL/分間とし、カラムにはジーエルサイエンス株式会社製Inersil(登録商標)ODS−3 4.6×250mmを使用した。フォトダイオードアレイ紫外可視検出器の波長は254nmに設定し、注入サンプル量は20μLとした。
放出量と時間との関係を図4に示した。
なお、液晶の形態は、水の含有量が少ない点でSAXS測定を行い判断した。また、ミセルについては、外観から判断した。
なお、表中の評価結果は、以下の意味を示す。
H:逆ヘキサゴナル液晶
L:ラメラ液晶
M:ミセル
放出量を測定した結果、図4より、液晶形態がラメラ液晶及び逆ヘキサゴナル液晶のいずれの液晶組成物も、放出試験開始48時間後であっても、有効成分を液晶組成物内に保持していることが明らかになった。
このことから、イソステアリルグリセリルエーテルによるラメラ液晶及び逆ヘキサゴナル液晶は、いずれも、有効成分を液晶組成物中に長時間保持できることが明らかになった。
(実施例169〜172)
<多価アルコールの影響>
イソステアリルグリセリルエーテル、及び多価アルコールを表21に示す比率などで混合した。この混合物に更にイオン交換水を添加し、手撹拌後、1週間R.T.で静置した。静置したものについて、外観観察、偏光顕微鏡観察(装置名:CX41、OLYMPUS社製)によって状態を評価した。
多価アルコールには、1,3−ブチレングリコール(商品名:1,3−ブチレングリコール、株式会社ダイセル製)、ジプロピレングリコール(商品名:DPG−RF、株式会社ADEKA製)、及び1,2−プロパンジオール(商品名:化粧品用濃プロピレングリコール、株式会社ADEKA製)を使用した。
また、イソステアリルグリセリルエーテル、多価アルコール、及び水を各比率で混合した際の、それぞれの比率における状態を、図5A〜図5Cの相図にまとめた。
なお、図5A〜図5C中、GE−ISはイソステアリルグリセリルエーテルを表す。
なお、表中の偏光顕微鏡観察結果は、以下の意味を示す。
L:ラメラ液晶
V:バイコンティニュアスキュービック液晶
これらの結果から、本発明の液晶組成物は、多価アルコールと混合しても液晶形態を維持することが明らかになった。多価アルコールは、化粧料に通常含まれている成分であるため、本発明の液晶組成物は、化粧料に含まれた場合は安定であり、有効成分を内包しても、液晶組成物の構造は維持されることから、その特性は維持される。
(実施例173〜174、比較例13〜14)
<有効成分の皮膚浸透性促進作用>
表22に示す割合で、実施例165と同様にして、有効成分を内包する液晶組成物を製造した。比較例13、14については、表22に示す割合のものを混合した。
フランツ型拡散セル(2cm)と温水循環装置(装置名:温水循環装置 HTC−1000、SERIAL No. 1911003、アズワン株式会社製)と、を連結し、32℃の循環水を流した。フランツ型拡散セルのレシーバー側にpH7.4の50mMリン酸緩衝液を満たし、スターラー(商品名:マグネチックスターラー REMIX RS−6DS、アズワン株式会社製)に固定した。
フランツ型拡散セルのレシーバー側とドナー側の間をラボスキン(ヘアレスマウス皮膚、星野試験動物飼育所)で仕切り、ラボスキン表面に各サンプルを10μLのせ、密封せずに試験を行った。
スターラーを600rpmで撹拌し、8時間後のレシーバー中フェルビナク濃度をHPLCにより定量した。HPLCとしては、高速液体クロマトグラフィー(G1312Aagilent 1100、LC System製)を使用し、試験条件は実施例137と同様にした。HPLCの測定結果を、図6に示した。
なお、表中の評価結果は、以下の意味を示す。
H:逆ヘキサゴナル液晶
L:ラメラ液晶
M:ミセル
図6及び表22に示すように、実施例173及び174は、モノアルキルグリセリルエーテルを含まない比較例13及び14と比較すると、有効成分の皮膚浸透性に優れることがわかる。また、実施例173及び174の結果から、液晶組成物中の液晶の形態によらず、皮膚表面で液晶が透明液体相に相転移することにより、皮膚浸透性が向上することがわかる。
(実施例175〜185)
<液晶組成物の経皮吸収メカニズム(液晶組成物適用後の相変化)>
モノアルキルグリセリルエーテルとしてのイソステアリルグリセリルエーテル、及び分散剤としてのポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)を表23に示す比率かつ総量10gとなるよう混合し、70℃〜80℃に加温した。次に、この溶液と、70℃に加温したpH:5.9のクエン酸緩衝液とを手で撹拌して混合した。その後、室温まで冷却し、翌日の状態を外観観察した。なお、本実施例では、エネルギーをかけずに液晶組成物を調製しているため、粘性を有する場合、又は分離する場合であっても、好ましい実施形態に含まれる。
また、各実施例において、偏光顕微鏡観察(装置名:CX41、OLYMPUS社製)を行った。結果を表23に示す。このうち、実施例178において偏光顕微鏡で観察した、異方性の筋状模様の逆ヘキサゴナル液晶を図3Aに、幾何学的模様の逆ヘキサゴナル液晶を図3Bに示す。また、実施例184において偏光顕微鏡で観察した、異方性の十字状模様のラメラ液晶を図3Cに、縞模様のラメラ液晶を図3Dに示す。
更に、実施例178、184、及び185は、上述したSAXS測定と同様にしてSAXS測定を行った。実施例178のSAXSの結果を図7Aに、実施例184のSAXSの結果を図7Bに、及び実施例185のSAXSの結果を図7Cに示す。
なお、表中の評価結果は、以下の意味を示す。
H:逆ヘキサゴナル液晶
L:ラメラ液晶
D:透明液体相
T:白濁液体相
上記結果から、緩衝液濃度の違いにより、液晶の形態が変化することが分かる。また、透明液体相は、緩衝液濃度に依存せず、水の比率が低下した場合に生じることが分かる。
実施例175〜178に対し、実施例179は、水分(pH:5.9 クエン酸緩衝液)が少ない。これは、液晶組成物を皮膚などに塗布した場合に水分が蒸発した状態に似ている。本願発明の液晶組成物は、皮膚などに塗布し、水分が抜けて水の総質量が10%のとき、透明液体相を形成し、液晶の状態ではなくなる。この状態変化(相変化、相転移)が、液晶組成物に内包された有効成分の皮膚への浸透が促進される理由であると考えられる。
(実施例186〜188)
<液晶組成物調製法の検討>
モノアルキルグリセリルエーテルとしてのイソステアリルグリセリルエーテル及び分散剤としてのポリオキシエチレン硬化ひまし油を、相溶させずに液晶組成物を製造した。
イソステアリルグリセリルエーテル、及びポリオキシエチレン硬化ひまし油を、表24に示す割合で混合した。ポリオキシエチレン硬化ひまし油(2)は、それぞれ単独で70℃に加温した。ディスパー(装置名:T.K.HOMODISPER Model 2.5、PRIMIX社製)で、1,500rpmで3分間撹拌し,室温まで冷却した。さらに、ホモミキサー(装置名:HOMOMIXIER MARK II Model 2.5、PRIMIX社製)で8,000rpmで5分間撹拌し、液晶組成物を調製した。分散性を目視による外観観察により、下記評価基準に基づき、評価した。
−評価基準−
○:白濁液体
△:クリーミングの発生
△△:凝集
上記の実験結果から、モノアルキルグリセリルエーテルと分散剤とを相溶させずに、それぞれを混合すると、液晶組成物は形成するが、凝集することが明らかになった。
実施例で使用した試薬を、以下の表25〜表26に示す。
本発明の液晶組成物は、液晶形態を変化させることができ、有効成分を内包しても長期間安定に存在し、内包物の皮膚浸透性が高いため、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ローションなどの化粧料などに好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、
    前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との総質量に対し、前記水の総質量が10%のときに透明液体相を形成することを特徴とする液晶組成物。
  2. モノアルキルグリセリルエーテルと、分散剤と、水とを含有し、
    角層細胞間脂質モデルの表面に配したとき、小角X線散乱測定において、3.98nm±0.5nmの範囲にピークを有さないことを特徴とする液晶組成物。
  3. 前記モノアルキルグリセリルエーテルが、イソステアリルグリセリルエーテルである請求項1から2のいずれかに記載の液晶組成物。
  4. 前記分散剤が、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体の少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の液晶組成物。
  5. 前記モノアルキルグリセリルエーテルと前記分散剤との質量比(モノアルキルグリセリルエーテル/分散剤)が、1〜5である請求項1から4のいずれかに記載の液晶組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の液晶組成物を製造する液晶組成物の製造方法であって、
    前記モノアルキルグリセリルエーテルと水溶性溶媒とを混合して液晶を形成する工程と、
    前記液晶を分散させる工程と、
    を含むことを特徴とする液晶組成物の製造方法。
  7. 前記液晶を形成する工程が、前記モノアルキルグリセリルエーテルと、前記分散剤との混合物を生成した後、
    前記混合物と前記水溶性溶媒とが混合されることにより行われる請求項6に記載の液晶組成物の製造方法。
  8. 前記分散剤が、ポリエチレングリコール硬化ひまし油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体の少なくともいずれかである請求項6から7のいずれかに記載の液晶組成物の製造方法。
  9. 請求項1から5のいずれかに記載の液晶組成物を含有する化粧料。
  10. 多価アルコールを更に含む請求項9に記載の化粧料。

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