メモリセル内のセレクタデバイスにおける電圧ドリフトの効果は、セレクタデバイスの組成物中に安定性を高める元素を導入することによって、軽減されるようにすることができる。例えば、周期表のIII族(ホウ素属及び第13族とも称する)からの元素は、そのような元素を含まない組成物に対して、セレクタデバイスの電圧ドリフトを安定化又は制限することができる。III族(又はホウ素属)元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)を含む。
例えば、セレクタデバイス(又は他のメモリエレメント)のためのカルコゲナイド材料組成物は、セレン(Se)、ヒ素(As)、及びゲルマニウム(Ge)を含むことができる。この組合せ又は素子は、SAGと呼ばれることがある。メモリストレージ素子及びセレクタデバイスを含むことができるメモリセル内においては、カルコゲナイド組成物又はカルコゲナイド材料は、記憶保持素子又はセレクタデバイスの、何れか又は両方に使用できる。セレクタデバイスは、安定した閾値電圧及び比較的望ましいリーク特性を有していてもよい、SAG組成物を有することができる。いくつかのケースでは、ケイ素(Si)がSAG組成物中に導入されて、ドリフトや閾値電圧漏洩を損なわずに、セレクタデバイスの熱安定性を高めることができる。しかし、SAGシステム中へのSiの実装は、その技術の規模を拡大できるのに十分なだけドリフトを改善することはできない可能性がある。
セレクタデバイス中でのGeのより高い濃度は、閾値電圧を上昇させ、セレクタデバイスの安定性を損なわせる可能性がある。例えば、Ge原子は、ピラミッド型結合の構成から四面体結合の構成に遷移することがある。この遷移は、バンドギャップの拡大を促進し、セレクタデバイスの閾値電圧を増加させる可能性がある。
ここで説明したように、III族元素は、カルコゲナイド材料組成物中に導入されて、セレクタデバイスにおけるGeの存在感を制限することができる。例えば、III族元素は、セレクタデバイスの組成において、Geの一部又は全部を置換することができる。いくつかのケースでは、III族元素は、安定した、III族元素中心の既存の要素(即ちSe、As、及び/又はSi)との四面体結合構造を形成することができる。カルコゲナイド材料組成物にIII族元素を組み込むことは、セレクタデバイスを安定化させて、技術規模の拡大と、増加したクロスポイント技術開発(例えば、3次元クロスポイントのアーキテクチャ、RAMの開発、ストレージの開発、又はそのようなもの)を可能にすることができる。
上記で紹介した機能と技法については、メモリアレイの説明で後述する。次に、他のデバイスや組成物に対して低い電圧ドリフトを提供するカルコゲナイドメモリデバイスの構成要素及び組成物について、具体例を示す。開示のこれら及びその他の機能は、更に、装置図、システム図、及び不揮発性メモリセルの読出し又は書込みに関連するフローチャートによって示され、またそれらを参照して説明される。
図1は、本開示の種々の実施形態による、メモリアレイ100の一例を示している。メモリアレイ100は、電子メモリ装置とも称することがある。メモリアレイ100には、異なる状態を記憶するためにプログラム可能なメモリセル105が含まれている。各メモリセル105は、論理「0」と論理「1」で示される2つの状態を記憶するようにプログラム可能である。いくつかのケースでは、メモリセル105は、2つよりも多い論理状態を記憶するように構成されている。メモリセル105は、キャパシタにプログラム可能な状態を表す電荷を記憶することができ、例えば、荷電キャパシタ及び非荷電キャパシタはそれぞれ2つの論理状態を表すことができる。DRAMのアーキテクチャは、一般的にこのような設計を使用することができ、それに採用されるキャパシタは絶縁体として線形又は常誘電性の電気分極特性を持つ誘電体材料を含むことができる。これに対して、強誘電体メモリセルは、絶縁材料として、強誘電性を有するキャパシタを含んでいてもよい。強誘電体キャパシタの電荷の異なるレベルは、異なる論理状態を表すことができる。強誘電体材料は非線形な分極特性を有する。強誘電体メモリセル105のいくつかの詳細と利点については、以下で説明する。また、いくつかのケースでは、カルコゲナイドベース及び/又はPCMが採用されてもよい。ここで説明するカルコゲナイドは、PCM記憶装置又はセレクタデバイスの何れか又はその両方に使用することができる。
メモリアレイ100は、2次元(2D)メモリアレイが互いの上に形成される3次元(3D)メモリアレイであるようにすることができる。これは、2Dアレイと比較して、1つのダイ又は基板上に形成されるメモリセルの数を増加させることができ、これによって今度は、生産コストを削減し、メモリアレイのパフォーマンスを向上させることの何れか又はその両方を行うことが可能となる。図1に示される例によれば、メモリアレイ100は、2つのレベルのメモリセル105を含み、従って3次元メモリアレイとみなすことができる。ただし、レベルの数は2つに限定されない。各レベルは、メモリセル105は、メモリセルスタック145を形成し、各レベルにわたって互いにほぼ整列することができるように、整列又は配置することができる。メモリアレイ100は、Se、As、Ge、Si、B、Al、Ga、In、又はTl、或いはこれらの元素の組合せの組成物を含むことができる。
メモリセル105の各ロウはアクセス線110に接続され、メモリセル105の各カラムはビットライン115に接続されている。アクセス線110はワードライン110として、またビットライン115はデジットライン115として知られていてもよい。ワードライン及びビットライン、又はその類縁体への参照は、理解や操作を損なうことなく交換可能である。ワードライン110及びビットライン115は、アレイを生成するために、互いにほぼ垂直になる場合がある。メモリセルスタック145における2つのメモリセル105は、デジットライン115などの共通の導電性線を共有してもよい。即ち、デジットライン115は、下側メモリセル105の上部電極と上側メモリセル105の底部電極との電子通信を行うことができる。例えば第3の層が下位層とワードライン110を共有する可能性がある、他の構成も可能である。
一般に、1つのメモリセル105は、ワードライン110やビットライン115などの2つの導電性線の交点に配置されていてもよい。この交点は、メモリセルのアドレスと呼ばれてよい。対象となるメモリセル105は、通電されたワードライン110とビットライン115の交点に位置するメモリセル105であってもよい。即ち、ワードライン110とビットライン115は、それらの交点でメモリセル105を読み書きするために通電されてもよい。同じワードライン110又はビットライン115で電子通信を行っている(例えば、接続されている)他のメモリセル105は、対象外のメモリセル105と称することがある。
上記で説明したように、電極は、メモリセル105と、ワードライン110又はビットライン115に結合されるようにすることができる。電極という用語は、電気導体を指してよく、いくつかのケースでは、メモリセル105への電気的接点として用いられてよい。電極は、メモリアレイ100の素子又は構成要素間に導通経路を提供する、トレース、ワイヤ、導電性線、導電層等を含むことができる。
読み書きなどの操作は、ワードライン110とビットライン115を活性化又は選択することによってメモリセル105に対して実行され、それぞれのラインに電圧又は電流を印加することを含んでよい。ワードライン110及びビットライン115は、金属(例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、タングステン(W)、チタン(Ti)など)、金属合金、炭素、導電的にドープされた半導体、又はその他の導電性材料、合金、又は化合物のような、導電性材料からなるものであってよい。メモリセル105を選択すると、その結果として得られる信号を、記憶されている論理状態を判定するために利用することができる。例えば、電圧が印加されるようにすることができ、得られた電流が相変化材料の抵抗状態を区別するために使用されるようにすることができる。セレクタデバイスがバイアスされたときに、セル105が選択されるようにすることができる。セル105の選択はセレクタデバイスの閾値電圧の関数であるようにすることができ、このことは今度は、セレクタデバイスがIII族元素を含む組成物を有する場合にはより予測可能な値を有するようにすることができる。これにより、セレクタデバイスが、純粋にSAG組成物又はSi−SAG組成物を有している場合よりも、III族元素を含む組成物を有する場合には、セル105のセレクタデバイスの電圧ドリフトが少ないようにすることができる。
メモリセル105へのアクセスは、ロウデコーダ120及びカラムデコーダ130を介して制御することができる。例えば、ロウデコーダ120は、メモリコントローラ140からロウアドレスを受け取り、受信したロウアドレスに基づいて適切なワードライン110をアクティブにすることができる。同様に、カラムデコーダ130は、メモリコントローラ140からカラムアドレスを受け取り、適切なビットライン115をアクティブにする。このように、ワードライン110とビットライン115を活性化することにより、メモリセル105にアクセスすることができる。
アクセスにおいて、メモリセル105は、センスコンポーネント125によって読出し又は検知が行われるようにすることができる。例えば、センスコンポーネント125は、メモリセル105にアクセスすることにより生成された信号に基づいて、メモリセル105の記憶された論理状態を判定するように構成されるようにすることができる。その信号は電圧又は電流を含み、センスコンポーネント125は、電圧検知アンプ又は電流検知アンプ、或いはその両方を含むことができる。例えば、電圧が(対応するワードライン110及びビットライン115を使用して)メモリセル105に印加されるようにし、得られた電流の大きさがメモリセル105の電気的抵抗に依存するようにすることができる。同様に、電流がメモリセル105に印加されるようにし、その電流を生成する電圧の大きさがメモリセル105の電気的抵抗に依存するようにすることができる。センスコンポーネント125は、信号を検出及び増幅するために各種のトランジスタ又はアンプを含んでもよく、これはラッチ(latching)と呼ばれることがある。メモリセル105の検出された論理状態が出力135として出力されるようにすることができる。いくつかのケースでは、センスコンポーネント125は、カラムデコーダ130又はロウデコーダ120の一部であってもよい。又は、センスコンポーネント125は、カラムデコーダ130又はロウデコーダ120に接続され、又はそれらと電子通信を行って接続してもよい。
メモリセル105は、関連するワードライン110及びビットライン115を同様に活性化することによって、設定又は書込みが行われるようにすることができる。例えば、論理値がメモリセル105に記憶されるようにすることができる。カラムデコーダ130又はロウデコーダ120は、メモリセル105に書き込まれる、例えば入力/出力135であるデータを受け付けることができる。相変化メモリのケースでは、メモリセル105は、例えばメモリ素子を介して電流を流してメモリ素子を加熱することによって、書込みが行われる。このプロセスについては、以下で詳しく説明する。
メモリセル105はそれぞれ、各セレクタデバイスが、セレン、ヒ素、並びに、B、Al、Ga、In、及びTlのうちの少なくとも1つの組成物を有するカルコゲナイド材料を含む、メモリ素子及びセレクタデバイスを有することができる。いくつかのケースでは、カルコゲナイド材料の組成物は、ゲルマニウム又はケイ素、或いはその両方を含む。
いくつかのメモリアーキテクチャでは、メモリセル105にアクセスすることが、記憶されている論理状態を低下させ又は破壊することがあり、元の論理状態を上記メモリセル105に戻すために、再書込み又は更新操作が実行されるようにすることができる。例えば、DRAMでは、論理記憶キャパシタがある検知動作中に部分的又は完全に放電され、記憶された論理状態が破損する可能性がある。従って、論理状態は、検知動作の後に再書込みされるようにすることができる。更に、1つのワードライン110をアクティブにすると、そのロウ内の全てのメモリセルが放電される結果になる可能性があるため、上記ロウ内の全てのメモリセル105が再書込みされる必要がある可能性がある。しかし、カルコゲナイドベースやPCMなどの不揮発性メモリでは、メモリセル105にアクセスすることが論理状態を破壊しないようにすることができ、従って、メモリセル105はアクセス後に再書込みを必要としないようにすることができる。
DRAMを含む一部のメモリアーキテクチャでは、外部電源によって定期的にリフレッシュされない限り、時間の経過とともにそれらの記憶状態を失う可能性がある。例えば、充電されたキャパシタは、リーク電流によって時間の経過とともに放電し、記憶情報が失われることがある。これらのいわゆる揮発性メモリデバイスのリフレッシュレートは比較的高い可能性があり、例えば、DRAMに対して毎秒10回のリフレッシュ操作が行われるため、大幅な消費電力が発生する可能性がある。メモリアレイの増大に伴い、電力消費の増加により、特にバッテリなどの有限電源に依存するモバイルデバイスのためのメモリアレイのデプロイメント又は操作が阻害される可能性がある(例えば、電源、発熱、材料限界など)。後述するように、不揮発性カルコゲナイドベース又はPCMセルは、他のメモリアーキテクチャに比べて、パフォーマンスが改善する可能性がある有益な特性を有することができる。例えば、カルコゲナイドベース又はPCMは、DRAMと同等の読出し/書込み速度を提供できるが、不揮発性であり、増加されたセル密度を可能にする。
メモリコントローラ140は、例えば、ロウデコーダ120、カラムデコーダ130、及びセンスコンポーネント125である、種々の構成要素を介してメモリセル105の動作(読出し、書込み、再書込み、リフレッシュ、放電等)を制御することができる。いくつかのケースでは、1つ以上のロウデコーダ120、カラムデコーダ130、及びセンスコンポーネント125が、メモリコントローラ140と共に配置されていてもよい。メモリコントローラ140は、所望のワードライン110及びビットライン115をアクティブにするために、ロウアドレス信号及びカラムアドレス信号を生成することができる。メモリコントローラ140はまた、メモリアレイ100の動作中に使用される様々な電位又は電流を生成及び制御することができる。例えばそれは、1つ又は複数のメモリセル105にアクセスした後に、ワードライン110又はビットライン115に放電電圧を印加することができる。
一般に、本明細書に記載されている印加される電圧又は電流の振幅、形状、又は持続時間は、メモリアレイ100の操作において論じられる種々の操作に対して、調整又は変化させることができ、異なるようにすることができる。更に、メモリアレイ100内の1つ、複数、又は全てのメモリセル105が、同時にアクセスされるようにすることができる。例えば、メモリアレイ100中の複数又は全てのセルは、全てのメモリセル105又は或るグループのメモリセル105が単一の論理状態に設定されるというリセット操作中に、同時にアクセスされるようにすることができる。セル105にアクセスするために必要な電圧がセル105の寿命において比較的一定のままであるため、各セル105のセレクタデバイスの閾値電圧ドリフトが減少すると、メモリコントローラ140がセル105にアクセスすることができる信頼性は増加するようにすることができる。
図2は、本開示の種々の実施形態による、カルコゲナイドメモリデバイスの構成要素及び組成物をサポートするメモリアレイ200の例を示している。メモリアレイ200は、図1を参照して説明したメモリアレイ100の一例であってもよい。
メモリアレイ200は、メモリセル105−a、第1アクセス線110−a(例えば、ワードライン110−a)、及び第2アクセス線115−a(例えば、ビットライン115−a)を含み、これらは、図1を参照して説明したメモリセル105、ワードライン110、及びビットライン115の例であってよい。メモリセル105−aは、電極205、電極205−a、及びメモリ素子220を含み、これらは強誘電体材料であってよい。メモリセル105−aの電極205−aは、中間電極205−aと称されてもよい。メモリアレイ200はまた、底部電極210やセレクタデバイス215を含んでいてもよく、これらはまた選択コンポーネントとも称されてもよい。いくつかのケースでは、複数のメモリアレイ200を互いに積み重ねて、3次元(3D)メモリアレイが形成されるようにすることができる。2つの積層アレイは、いくつかの例では、各レベルが図1を参照して説明したようにワードライン110又はビットライン115を共有することができるような共通の導電性線を有することができる。メモリセル105−aは、対象となるメモリセルであってもよい。
メモリアレイ200は、クロスポイントアーキテクチャと呼ばれることがある。それはまた、ピラー構造と称されることもある。例えば、図2に示すように、ピラーは、第1導電性線(第1アクセス線110−a)及び第2導電性線(第2アクセス線115−a)と接するようにすることができ、ここで、そのピラーは、第1電極(底部電極210)、セレクタデバイス215、及び強誘電体メモリセル105−aを備え、強誘電体メモリセル105−aは、第2電極(電極205−a)、メモリ素子220、及び第3電極(電極205)を備えている。いくつかのケースでは、電極205−aを中間電極と称する場合がある。いくつかのケースでは、第1アクセス線110−aは、メモリセル105−aを介して第2アクセス線115−aと電子通信することができる。第1アクセス線110−a及び第2アクセス線115−aは、3次元のクロスポイント構成で配置されるようにすることができ、複数のメモリセル105−aと電子通信することができる。
そのようなピラーアーキテクチャは、他のメモリアーキテクチャに比べて低生産コストで比較的高密度のデータストレージを提供することができる。例えば、クロスポイントアーキテクチャは、他のアーキテクチャに比べて、縮小された領域を有しその結果として増大したメモリセル密度を有する、メモリセルを有することができる。例えば、そのアーキテクチャは、Fを最小加工寸法として、3端子選択を有するような6F2 のメモリセル領域を有する他のアーキテクチャと比較して、4F2 のメモリセル領域を有することができる。例えば、DRAMは、各メモリセルの選択コンポーネントとして3端子デバイスであるトランジスタを使用することがあり、ピラーアーキテクチャに比べてより大きなメモリセル領域を有することがある。
セレクタデバイス215は、いくつかのケースでは、メモリセル105と導電性線との間、例えば、メモリセル105−aと第1アクセス線110−a又は第2アクセス線115−aの少なくとも1つとの間で、直列に接続されるようにすることができる。例えば、図2に示されるように、セレクタデバイス215は、電極205−aと底部電極210の間に配置されていてもよい。このように、セレクタデバイス215は、メモリセル105−aと第1アクセス線110−aとの間に直列に配置されている。他の構成も可能である。例えば、セレクタデバイス215は、メモリセル105−aと第2アクセス線115−aとの間に直列に配置されていてもよい。その選択コンポーネントは、特定のメモリセル105−aを選択するのを助けるか、又は選択されたメモリセル105−aに隣接する選択されていないメモリセル105−aを介して浮遊電流が流れるのを防ぐのを助けることができる。例えば、セレクタデバイス215は、閾値電圧が満たされたとき又は超えたときにセレクタデバイス215に電流が流れるような閾値電圧を有することができる。
セレクタデバイス215は、メモリ素子220と結合されていてもよい。セレクタデバイス215及びメモリ素子220は、第1アクセス線110−aと第2アクセス線115−aとの間で直列構成で配置されるようにすることができる。セレクタデバイス215は、Se、As、並びに、B、Al、Ga、In、及びTlの少なくとも1つを含む組成物からなる第1のカルコゲナイド材料を含むことができる。いくつかのケースでは、セレクタデバイス215は、第1のカルコゲナイド材料を備えていてよく、メモリ素子220は、セレクタデバイス215とは異なる組成物(例えば、第2のカルコゲナイド材料)を備えていてもよい。ただし、示さないが、いくつかのケースでは、セル105は、分かれたメモリ素子及びセレクタデバイスを使用しなくてもよい。このタイプのメモリアーキテクチャは自己選択メモリ(SSM)と呼ぶことができ、セレクタデバイス215はメモリストレージ素子として機能することができる。従って、メモリデバイスは、自己選択メモリデバイスを備えるメモリセルを含んでいてもよい。例えば、カルコゲナイド材料を含む単一の素子は、分離されたセレクタデバイスがunncessaryであるような、メモリ素子とセレクタデバイスの両方として機能されるようにすることができる。いくつかのケースでは、メモリ素子220は、相変化材料ではなく、強誘電体キャパシタ又はメモリスタを備えていてもよい。
セレクタデバイス215は、中間電極205−aによってメモリ素子220から分離されていてもよい。このように、中間電極205−aは電気的に浮遊することがあり、即ち、電気的アース又は電気的に接地することができる構成要素に直結しないことがあるため、電荷が蓄積することがある。メモリ素子220は、セレクタデバイス215を介してアクセスされるようにすることができる。例えば、セレクタデバイス215の両端の電圧が閾値に達すると、メモリ素子220を介してアクセス線110−aと115−aの間に、電流が流れるようにすることができる。この電流の流れは、メモリ素子220に記憶されている論理値を読み取るために使用することができる。電流が流れ始めるセレクタデバイス215の両端の閾値電圧は、セレクタデバイス215の組成物の関数とすることができる。同様に、セレクタデバイス215の組成物は、セレクタデバイス215の閾値電圧が経時的に変化する可能性があるか否か及びその大きさに影響を及ぼす可能性がある。
ここで説明したように、時間の経過による閾値電圧の変化は、閾値電圧ドリフトと呼ばれることがある。閾値電圧ドリフトは、セレクタデバイスの閾値電圧が変化するので好ましくない場合があり、操作(例えば、セレクタデバイスを介して電流を流させるために必要な電圧の印加)が変化することがある。これは、デバイスの読出し又は書込みを複雑にする可能性があり、不正確な読出し又は書込みにつながる可能性があり、メモリ素子の読出し又は書込みに必要な電力の増加を引き起こす可能性がある等である。ここで説明したように、セレクタデバイス215にとって閾値電圧ドリフトの可能性又は程度を制限する材料の組成を採用することが、デバイス性能の改善に役立つようにすることができる。このように、セレクタデバイス215は、以下に説明するように閾値電圧ドリフトを制限できる、1つ以上のIII族元素を含む組成物を具備することができる。
メモリアレイ200は、材料の形成と除去の様々な組合せによって作製することができる。例えば、第1のアクセス線110−a、底部電極210、セレクタデバイス215、電極205−a、メモリ素子220、及び電極205に対応する材料層が、堆積されるようにすることができる。その後、図2に示すピラー構造などの所望の機能を作成するために、材料を選択的に除去することができる。例えば、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストをパターン化することで機能が定義されるようにすることができ、それで、エッチングなどの技法によって材料が除去されるようにすることができる。第2アクセス線115−aは、例えば材料層を堆積し選択的にエッチングして図2に示される線構造を形成することにより、その後に形成されるようにすることができる。いくつかのケースでは、電気的に絶縁された領域又は層が、形成され又は堆積されてもよい。電気的に絶縁された領域には、酸化ケイ素、窒化珪素、又はその他の電気絶縁性材料などの、酸化物又は窒化物材料が含まれていてもよい。
様々な技法が、メモリアレイ200の材料又は組成物を形成するために使用されるようにすることができる。これらは、数ある薄膜成長技法の中で、例えば、化学気相成長法(CVD)、有機金属気相成長法(MOCVD)、物理気相成長法(PVD)、スパッタ堆積法、原子層堆積法(ALD)、分子線エピタキシー法(MBE)を含むことができる。材料は、例えば、化学エッチング(「ウェットエッチング」とも呼ばれる)、プラズマエッチング(「ドライエッチング」とも呼ばれる)、又は化学機械平坦化を含むことができる、多くの技法を用いて除去されるようにすることができる。
図3は、本開示の実施形態による、カルコゲナイドメモリデバイスの構成要素及び組成物の特性のプロット300を示す。本明細書で説明されるように、図3は、III族元素を含んだ組成物を含む、カルコゲナイド材料組成物の比較を示している。図3はこのように、Se、As、及び組成物3(Comp.3)として描かれているIII族元素の組成物の比較的低い電圧ドリフトを示している。
例えば、組成物3は、組成物の総重量に対して、約53重量%のSe、約23重量%のAs、約13重量%のGe、及び約11重量%のInであるようにすることができる。ポイント305における組成物3は、摂氏90度で3日後に、250ミリボルト未満の電圧ドリフトを有することができる。
組成物3の電圧ドリフトは、一定期間にわたって総電圧ドリフトが少ないようにすることができるため、セレクタデバイスの改善された性能を可能にすることができる。このように、カルコゲナイド組成物へのIn(又は他のIII族元素)の添加は、他のカルコゲナイド材料組成物と比較して、電圧ドリフトを最小化することができる。例えば、組成物1及び2は、純粋なSAG組成物(即ち、Se、As、Geのみを含む)であってよい。組成物4及び5は、純粋なSi−SAG合金(即ち、Se、As、Ge、Siのみを含む)であってよい。いくつかの例では、組成物4及び5は、組成物の総重量に対して、約30重量%のAs、約12重量%のGe、及び約8重量%のSiの量を有することができる。いくつかのケースでは、カルコゲナイド材料組成物(即ち、ポイント310における組成物1、ポイント315における組成物2、ポイント320における組成物4、ポイント325における組成物5)が、摂氏90度で3日後に、500ミリボルト以上ドリフトすることがある。
本明細書に記載されるように、カルコゲナイド混合物中へのIn(又は他のIII族元素)の添加は、セレクタデバイスの安定性を高めることができる。カルコゲナイド材料組成物(例えば組成物3)は、表1に示される結果を得ることができる。
表1に示すように、列見出しVth_FFとVth_SFは、組成物3を有するセレクタデバイスの、第1アクティベーション(即ち「第1発火」)及びその後のアクティベーション(即ち「第2発火」)において読み出される閾値電圧を、それぞれ表すことができる。列見出しVformは、第1発火と第2発火の間の閾値の電圧差を表すことができる。いくつかの例では、列見出しVth_1000は1000サイクル後の閾値電圧を表すことができる。列見出しI@0.84Vtは、セレクタデバイスにおけるサブ閾値電圧リーク電流を表すことができる。列見出しSTDriftは、セレクタデバイスのドリフトを表すことができる。表3に示されるように、In又は別のIII族元素(例えば組成物3)を含むカルコゲナイド組成物は、周期動作の間の安定した閾値電圧と一定期間にわたる低いドリフトの結果をもたらすことができる。
図4は、本開示の実施形態による、カルコゲナイドメモリデバイスの構成要素及び組成物の特性のプロット400を示す。例えば、領域405は、III族元素をドープしてもよいSe、As、及びGeの組成を示す。点線410は、As
2Se
3−GeSe
2組成ラインを示している。ここで説明するように、低電圧ドリフトを有する組成物は、セレクタデバイス又は他のメモリ素子に有用であるようにすることができ、Se、As、Ge、Si、又はIII族元素のいくつかの組合せを含むことができる。カルコゲナイド材料組成物は、XをIII族元素の一つとして、一般式Se
xAs
yGe
zSi
wX
uに帰着させることができる。例えば、カルコゲナイド材料組成物は、InをIII族元素の一つとして、式Se
4As
2GeSiInに帰着させることができる。他の例では、カルコゲナイド材料組成物は、BをIII族元素の一つとして、一般式Se
3As
2GeSi
2Bに帰着させることができる。カルコゲナイド材料組成物は、表2に示される組成物から構成されるようにすることができ、それはSe、As、Ge、Si、及びIII族元素の重量百分率により組成範囲を提供することができる。
いくつかのケースでは、Seが、組成物の総重量に対して40重量%以上の量であってもよい。いくつかのケースでは、Seの量が、組成物の総重量に対して45重量%以上であってもよい。ヒ素は、組成物の総重量に対して10重量%から35重量%の範囲の量であってよい。いくつかのケースでは、Asの量が、組成物の総重量に対して12重量%から32重量%の範囲である。いくつかの例では、Geは、組成物の総重量に対して、1重量%から20重量%の範囲の量であってもよい。
いくつかの例では、Siは、組成物の総重量に対して、1重量%から15重量%の範囲の量であってもよい。Si、Ge、並びに、B、Al、Ga、In、及びTlからなる群から選択された少なくとも1つの元素の組合せは、組成物の総重量に対して20重量%以上の量とすることができる。
III族元素は、B、Al、Ga、In、及びTlからなる群から選択される少なくとも1つの元素であってもよく、組成物の総重量に対して0.15重量%から35重量%の範囲の量であってよい。いくつかのケースでは、B、Al、Ga、In、及びTIからなる群から選択される少なくとも1つの元素が、組成物の総重量に対して0.15重量%から24重量%の範囲である。
表2のカルコゲナイド材料組成物は、摂氏90度で3日後に250ミリボルト以下の閾値電圧ドリフトを有するようにすることができる。いくつかの例では、表2のカルコゲナイド材料組成物は、ガラス転移温度が摂氏280度を超えることがある。ガラス転移温度及びガラス加工条件は、表2によって与えられる範囲内の組成選択に影響を及ぼす可能性がある。
本明細書に記載されるように、III族元素は、Se及びAs又はSAG又はSi−SAGの組成物のような材料の組成物に組み入れられて、純粋なSAG又はSi−SAGの組成物を有するセレクタデバイスに関連する種々の問題を緩和するようにすることができる。いくつかのケースでは、少なすぎるGeは、カルコゲナイド材料組成物の熱安定性を損なう可能性がある。一方、15%を超えるGe組成物を有するSAGシステムは、熱的に不安定すぎて、クロスポイントアレイに吸収されてしまう可能性がある。いくつかの例では、Seの高い組成は、高閾値電圧とリークのトレードオフを持続するかもしれない高いバンドギャップエネルギーをもたらす可能性がある。
前述のように、III族元素は、強力で安定した結合の形成を介して、セレクタデバイスの安定性を高めることができる。いくつかの例では、III族元素は、ドリフトを低下させない可能性がある四面体結合を形成する。低電圧ドリフトは、図3に示されるように、結合構造に直接関係していてもよい。例えば、Al−Se結合解離エネルギーは318kJ mol−1であってよく、また、In−Se結合解離エネルギーは、245kJ mol−1であってよい。より高い結合解離エネルギーは、より強く及びより安定した結合に相関するようにすることができる。
III族元素はまた、セレクタデバイスにおける増加した熱安定性を提供することもできる。例えば、Al2Se3は3.1eVのバンドギャップエネルギーを有することができ、In2Se3は2.1eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。バンドギャップが広いと、時間の経過に伴って閾値電圧が増加し、セレクタデバイスが高温で動作する可能性がある。例えば、Al2Se3は、1220Kの融解温度を有することができ、In2Se3は933Kの融解温度を有することができる。高い融解温度は、セレクタデバイスの熱安定性を増加させることができる。いくつかの例では、カルコゲナイド材料組成物の転移温度が、上昇することもある。
本明細書に記載されるように、セレクタデバイスにおいてカルコゲナイド材料組成物にIII族元素を添加することは、付加的な利点を提供し得る。例えば、セレクタデバイスへのBの導入は、絶縁体としての役目を果たすことができる。従って、B−SAGシステムを備えるセレクタデバイスは、リークの問題を防ぐことができる。いくつかの例では、Alの導入は、クロスポイントアレイへの吸収を容易にする可能性がある。他の例では、Inの導入は、電圧ドリフトを最小限に抑えることができる。カルコゲナイド材料組成物へのIII族元素(例えばB、Al、Ga、In、Tl)の導入は、セレクタデバイスの安定性を増加させることができる。
図5は、本開示の実施形態による、カルコゲナイドメモリデバイスの構成要素をサポート又は採用するメモリアレイを含むシステム500を示す。システム500は、様々な部品を接続又は物理的に支持するプリント回路板であるか又はそれを含む、デバイス505を含むことができる。デバイス505は、メモリアレイ100−aを含むことができ、メモリアレイ100−aは図1に記載のメモリアレイ100の一例であってよい。メモリアレイ100−aは、メモリコントローラ140−a及びメモリセル105−bを含むことができ、これらは、図1を参照して説明したメモリコントローラ140及び図1、図2を参照して説明したメモリセル105の例であってよい。
メモリアレイ100−aは、それぞれメモリ素子とセレクタデバイスを有する複数のメモリセル105−aを含むことができ、各セレクタデバイスは、セレン、ヒ素、及び、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はタリウムの少なくとも1つの組成を有するカルコゲナイド材料を含むことができる。いくつかの例では、カルコゲナイド材料の組成物は、ゲルマニウム又はケイ素、或いはその両方を含む。いくつかのケースでは、カルコゲナイド材料の組成物は、ケイ素、ゲルマニウム、及び、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はタリウムの少なくとも1つの組合せを、組成物の総重量に対して20重量%以上の量で含む。メモリアレイ100−aはまた、3次元のクロスポイント構成で配置され、複数のメモリセル105−aと電子通信するように配置された、複数のアクセス線を含んでいてもよい。
デバイス505はまた、プロセッサ510、BIOSコンポーネント515、周辺コンポーネント520、及び入力/出力制御コンポーネント525を含むこともできる。デバイス505のコンポーネントは、バス530を介して相互に電子通信することができる。
プロセッサ510は、メモリコントローラ140−aを介してメモリアレイ100−aを操作するように構成されるようにすることができる。いくつかのケースでは、プロセッサ510は、図1を参照して説明したメモリコントローラ140の機能を実行する。他のケースでは、メモリコントローラ140−aは、プロセッサ510に統合されてよい。プロセッサ510は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アプリケーション固有集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はその他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲート又はトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネントであってよく、又はそれはこれらのタイプのコンポーネントの組合せでもよいし、そして、プロセッサ510は、ここで説明する種々の機能を実行してもよい。プロセッサ510は、例えば、メモリアレイ100−aに記憶されたコンピュータ読出し可能命令を実行するように構成することができ、デバイス505に様々な機能やタスクを実行させる。
BIOSコンポーネント515は、ファームウェアとして動作する基本入力/出力システム(BIOS)を含むソフトウェアコンポーネントであってよく、システム500の様々なハードウェアコンポーネントを初期化して実行することができる。BIOSコンポーネント515はまた、プロセッサ510と、例えば、周辺コンポーネント520、入力/出力制御コンポーネント525などの様々なコンポーネント間のデータフローを管理することもできる。BIOSコンポーネント515には、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、又はその他の不揮発性メモリに記憶されているプログラム又はソフトウェアが含まれていてもよい。
(複数の)周辺コンポーネント520は、デバイス505に統合された任意の入出力デバイス又はそのようなデバイス用のインタフェースであってもよい。その例は、ディスクコントローラ、サウンドコントローラ、グラフィックスコントローラ、イーサネットコントローラ、モデム、ユニバーサルシリアルバス(USB)コントローラ、シリアル又はパラレルポート、或いは、周辺コンポーネント相互接続(PCI)スロット又はアクセラレーテッドグラフィックスポート(AGP)スロットのような周辺カードスロットを含むことができる。
入力/出力制御コンポーネント525は、プロセッサ510と周辺コンポーネント520、入力535デバイス、又は出力540デバイス間のデータ通信を管理することができる。入力/出力制御コンポーネント525は、デバイス505に統合されていない周辺機器を管理することもできる。いくつかのケースでは、入力/出力制御コンポーネント525は、外部周辺機器への物理的な接続又はポートを表す場合がある。
入力535は、デバイス505又はそのコンポーネントへの入力を提供するデバイス505の外部のデバイス又は信号を表すことができる。これは、ユーザインタフェース又は他のデバイス間のインタフェースを含むことができる。いくつかのケースでは、入力535は、周辺コンポーネント520を介してデバイス505とインタフェースする周辺機器であってもよいし、入力/出力制御コンポーネント525によって管理されていてもよい。
出力540は、デバイス505又はそのコンポーネントの何れかからの出力を受信するように構成された、デバイス505の外部のデバイス又は信号を表すことができる。出力540の例は、ディスプレイ、オーディオスピーカ、印刷装置、別のプロセッサ又はプリント回路板などに送信されるデータ又は信号を含むことができる。いくつかのケースでは、出力540は、周辺コンポーネント520を介してデバイス505とインタフェースする周辺機器であってもよいし、入力/出力制御コンポーネント525によって管理されていてもよい。
メモリコントローラ140−a、デバイス505、及びメモリアレイ100−aのコンポーネントは、それらの機能を実行するように設計された回路で構成されていてもよい。これは、例えば、導電性線、トランジスタ、キャパシタ、インダクタ、抵抗器、アンプ、又はその他のアクティブ又は非アクティブな素子のような、本明細書で説明する機能を実行するように構成された様々な回路素子を含むことができる。
本明細書の説明は、例であり、請求項に記載されている範囲、適用性、又は例を制限するものではない。変更は、開示の範囲を逸脱することなく、議論された要素の機能及び組合せにおいて行うことができる。種々の実施例では、必要に応じてさまざまなプロシージャやコンポーネントを省略、代用、又は追加できる。また、幾つかの実施例に関して説明した特徴は、他の実施例で組み合わせられてもよい。
ここに記載されている説明は、添付図面と合わせて、構成例を示し、実装可能な全ての実施例、又はクレームの範囲内にある全ての実施例を表すものではない。本明細書において「実施例」、「例示的な」、及び「実施形態」という用語は、「実施例、インスタンス、又は例示として役立つ」という意味であり、「好ましい」又は「他の例より有利な」ではない。詳細な説明には、表された技術の理解を提供する目的での特定の詳細が含まれる。これらの技術は、しかし、これらの特定の詳細なしに実施することができる。いくつかのインスタンス(例)では、説明された実施例の概念をあいまいにしないようにするために、よく知られている構造やデバイスはブロックダイアグラム形式で示されている。
添付の図では、同様のコンポーネント又はフィーチャーが同じ参照ラベルを持つ場合がある。更に、同じタイプの様々なコンポーネントは、参照ラベルの後に同様のコンポーネントの中で区別をつけるダッシュ及び第2のレベルを付けることにより、区別が付けられている。第1の参照ラベルが明細書で使用される場合、その説明は第2の参照ラベルに関係なく同じ第1の参照ラベルを持つ類似のコンポーネントのいずれかに適用される。
本明細書において、「結合する」とは、互いに実質的に接触している構成要素を示す。いくつかのケースでは、3番目の材料又は構成要素が物理的に分離しても、2つの構成要素が結合されることがある。この3番目の構成要素は、2つの構成要素又はその機能を実質的に変更できない。代わりに、この3番目のコンポーネントは、最初の2つの構成要素の接続を助け又は有効にすることができる。例えば、或る材料は、基板材料に堆積した場合に、しっかりとは付着しないことがある。ラミナ層のような、(例えば、数ナノメートル以下のオーダーで)薄い層は、2つの材料の間でそれらの形成や接続を強化するために使用されることがある。他のケースでは、3番目の材料は、2つの構成要素を化学的に分離するためのバッファとして立ち振る舞うことができる。
本明細書で使用される「層(layer)」という用語は、幾何学的構造の層(stratum)又はシートをいう。各層は、3次元(例えば、高さ、幅、及び奥行き)を有し、表面の一部又は全部を覆うことができる。例えば、層は、2つの次元が3番目の次元よりも大きい3次元構造、例えば、薄いフィルムであってよい。層は、様々な元素、構成要素、及び/又は材料を含むことができる。いくつかのケースでは、1つの層が2つ以上のサブレイヤで構成される場合がある。一部の添付図面では、説明の目的のために、3次元の層の2つの次元が描かれている。しかし、当業者は、層が自然界において3次元的であることを認識するだろう。
本明細書において、「実質的に」という用語は、修飾された特性(例えば、用語によって実質的に改変された動詞又は形容詞)が絶対的である必要はなく、特性の利点を達成するために十分に近いことを意味する。
本明細書において、「電極」という用語は、電気導体を指すことがあり、いくつかのケースでは、メモリアレイのメモリセル又はその他の構成要素への電気的接触として用いられてもよい。電極は、メモリアレイ100の素子又は構成要素間に導通経路を提供する、トレース、ワイヤ、導電性線、導電層、又はそのようなものを含むことができる。
本明細書で使用される「フォトリソグラフィ」という用語は、フォトレジスト材料を用いてパターニングし、電磁波を利用してそのような材料を露光する工程を指すことができる。例えば、フォトレジスト材料は、基材上にフォトレジストをスピンコートするなどして、基材上に形成されてもよい。パターンは、フォトレジストを放射線にさらすことで、フォトレジスト内に作成されるようにすることができる。パターンは、例えば放射線がフォトレジストを露光する場所に空間的に写すフォトマスクによって、定義されるようにすることができる。露光されたフォトレジスト領域は、例えば化学的処理によって、所望のパターンを残して除去することができる。いくつかのケースでは、露光した領域が残り、未露光領域が除去されるようにすることができる。
本明細書に記載される情報及び信号は、種々の異なる技術及び技法のいずれを用いても表すことができる。例えば、上記の説明を通して参照される可能性があるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場や粒子、光波場や光子、又はそれらの任意の組み合わせによって表される。或る図面は、信号群を1つの信号として示す。しかしそれは、当業者ならば、それは信号群の様々なビット幅を持つことができるバスを表してよいことを理解するだろう。
「電子通信」という用語は、コンポーネント間の電子的なフローをサポートするコンポーネント間の関係を指す。これは、コンポーネント間の直接接続を含んでもよく、又は中間コンポーネントを含んでもよい。電子通信のコンポーネントは(例えば、通電回路で)、アクティブに電子や信号を交換できる、又は(例えば、非通電回路で)、アクティブに電子や信号を交換はできないが、通電されている回路上では電子又は信号を交換できるように構成され動作可能としてよい。例として、スイッチ(例えば、トランジスタ)を介して物理的に接続された2つのコンポーネントは、スイッチの状態(つまり、オープン又はクローズ)に関係なく、電子的な通信になっている。
メモリアレイ100を含む本明細書で説明しているデバイスは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム、ケイ素ゲルマニウム合金、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)等の半導体基板上に形成することができる。いくつかのケースでは、基板は、半導体ウェーハである。その他のケースでは、基板は、ガラス上に形成されたケイ素(SOG)又はサファイア上に形成されたケイ素(SOP)などの、絶縁膜上に形成されたケイ素(SOI)基板であってもよいし、又は他の基板上に形成される半導体材料のエピタキシャル層であってもよい。基板又は基板のサブ領域の導電率は、限定されるものではないが、リン、ホウ素、又はヒ素を含む種々の化学種を用いたドーピングを通して制御することができる。ドーピングは、基板の初期形成又は成長の間に、イオン注入、又は他のドーピング手段により実行することができる。メモリアレイ又はメモリ回路を含む基板の一部又は切れ分けたものは、ダイと呼ばれてもよい。
カルコゲナイド材料は、元素S、Se、及びTeの少なくとも1つを含む材料又は合金であってもよい。本明細書で論じた相変化材料は、カルコゲナイド材料であってもよい。カルコゲナイド材料は、S、Se、Te、Ge、As、Al、Sb、Au、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、酸素(O)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)の合金を含むことができる。カルコゲナイド材料及び合金の例は、これらに限られるものではないが、Ge−Te、In−Se、Sb−Te、Ga−Sb、In−Sb、As−Te、Al−Te、Ge−Sb−Te、Te−Ge−As、In−Sb−Te、Te−Sn−Se、Ge−Se−Ga、Bi−Se−Sb、Ga−Se−Te、Sn−Sb−Te、In−Sb−Ge、Te−Ge−Sb−S、Te−Ge−Sn−O、Te−Ge−Sn−Au、Pd−Te−Ge−Sn、In−Se−Ti−Co、Ge−Sb−Te−Pd、Ge−Sb−Te−Co、Sb−Te−Bi−Se、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sb−Se−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Te−Sn−Ni、Ge−Te−Sn−Pd、又はGe−Te−Sn−Ptを含むことができる。
本明細書で使用されるハイフン付き化学組成表記は、特定の化合物又は合金に含まれる元素を示し、示されている元素に含まれる全てのストイキオメトリを表すものである。例えば、Ge−Teは、xとyを任意の正の整数であってよいとして、GexTeyを含むことができる。可変抵抗材料のその他の例は、2種以上の例えば、遷移金属、アルカリ土類金属、及び/又は希土類金属等の金属を含む2成分の金属酸化物材料又は混合原子価酸化物を含むことができる。実施形態は、メモリセルのメモリ素子に関連する特定の1つの可変抵抗材料又は複数の材料に限定されるものではない。例えば、可変抵抗材料の他の例は、メモリ素子を形成するために使用することができ、とりわけカルコゲナイド材料、巨大磁気抵抗材料、又はポリマーベースの材料を含むことができる。
本明細書で説明するトランジスタは、電界効果トランジスタ(FET)を表し、ソース、ドレイン、及びゲートを含む3端子デバイスから構成される。端子は、金属などの導電性材料を介して他の電子素子に接続することができる。ソースとドレインは導電性であり、例えば縮退等、高濃度にドープされた、半導体領域を含むことができる。ソースとドレインは、低濃度にドープされた半導体領域又はチャネルによって分離することができる。チャネルがn型(すなわち、大半のキャリアが電子)の場合、FETはn型FETと呼ぶことができる。同様に、チャンネルがpタイプの場合(すなわち、大半のキャリアがホールである場合)、FETはp型FETと呼ぶことができる。チャネルは、絶縁ゲート酸化物によって覆うことができる。チャネルの導電率は、ゲートに電圧を印加することによって制御することができる。例えば、n型FET又はp型FETにそれぞれ正の電圧又は負の電圧を印加すると、チャネルが導電性になり得る。トランジスタの閾値電圧以上の電圧がトランジスタゲートに印加されると、トランジスタは「オン」又は「アクティブ」になることができる。トランジスタの閾値電圧よりも小さい電圧がトランジスタゲートに印加されると、トランジスタは「オフ」又は「非アクティブ」になることができる。
本明細書の開示に関連して説明されている様々な例示のブロック、コンポーネント、及びモジュールは、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA若しくはその他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲート若しくはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、又は本明細書で説明した機能を実行するように設計されたこれらの任意の組合せを用いて、実装又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、その代わりに、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。また、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ(例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成など)として実装することもできる。
本明細書で説明する機能は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組合せに実装することができる。プロセッサにより実行されるソフトウェアに実装される場合、その機能は、コンピュータ読取り可能媒体上に1つ以上の命令又はコードとして保存又は転送することができる。その他の例と実装は、開示及び添付したクレームの範囲内にある。例えば、ソフトウェアの性質上、上記の機能は、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハードワイヤ接続、又はこれらの任意の組合せによって実行されるソフトウェアを用いて実装することができる。機能の実装はまた、機能の各部分が異なる物理的な場所に実装されるように配置されることを含み、様々な場所に物理的に配置されてよい。また、本明細書で用いられているように、請求項に含まれるものとして、項目のリスト(例えば、「少なくとも1つの」又は「1つ以上」のような語句によって始まる項目のリスト)で使用される「又は」は、例えば、A、B、又はCの少なくとも1つのリストがA又はB又はC又はAB又はAC又はBC又はABC(すなわち、A及びB及びC)を意味するように、すべてを含むリストを指している。
コンピュータ読取り可能な媒体には、非一過性コンピュータ記憶媒体と、コンピュータプログラムを1か所から別の場所へ移すことを容易にする任意の媒体を含む通信媒体が含まれている。非一過性記憶媒体は、汎用又は特定目的のコンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であってもよい。例として、これらに制限されないが、非一過性コンピュータ読取り可能媒体は、RAM、ROM、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク(CD)ROM若しくはその他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくはその他の磁気記憶デバイス、又は命令又はデータ構造形式の所望のプログラムコード手段を運搬又は記憶するために使用可能で、汎用又は特定目的のコンピュータ又は汎用又は特定目的のプロセッサによってアクセス可能な任意の他の非一過性媒体を含むことができる。
また、任意の接続が適切にコンピュータ読取り可能媒体と呼ばれている。例えば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、無線、及びマイクロ波等のワイヤレス技術を使用して、WEBサイト、サーバ、又はその他のリモートソースからソフトウェアを送信する場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、無線、及びマイクロ波等のワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれている。ディスク(disk and disc)は、本明細書で使用されるように、CD、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びブルーレイディスクを含む。ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを再生する。また、ディスク(disc)は、レーザで光学的にデータを再現する。上記の組合せも、コンピュータ読取り可能媒体の範囲に含まれている。
本明細書は、当業者が当該開示のものを製造する又は利用することを可能とするために提供される。開示に対する種々の変更は当業者にとって容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原則は、開示の範囲を逸脱することなく他のバリエーションに適用することができる。このように、開示は、本明細書に記載された例及び設計に限定されるものではないが、本明細書に開示されている原理及び新規な特徴に合致した最も広い範囲に合致するものである。
セレクタデバイス215は、メモリ素子220と結合されていてもよい。セレクタデバイス215及びメモリ素子220は、第1アクセス線110−aと第2アクセス線115
−aとの間で直列構成で配置されるようにすることができる。セレクタデバイス215は、Se、As、並びに、B、Al、Ga、In、及びTlの少なくとも1つを含む組成物からなる第1のカルコゲナイド材料を含むことができる。いくつかのケースでは、セレクタデバイス215は、第1のカルコゲナイド材料を備えていてよく、メモリ素子220は、セレクタデバイス215とは異なる組成物(例えば、第2のカルコゲナイド材料)を備えていてもよい。ただし、示さないが、いくつかのケースでは、セル105は、分かれたメモリ素子及びセレクタデバイスを使用しなくてもよい。このタイプのメモリアーキテクチャは自己選択メモリ(SSM)と呼ぶことができ、セレクタデバイス215はメモリストレージ素子として機能することができる。従って、メモリデバイスは、自己選択メモリデバイスを備えるメモリセルを含んでいてもよい。例えば、カルコゲナイド材料を含む単一の素子は、分離されたセレクタデバイスが不要であるような、メモリ素子とセレクタデバイスの両方として機能されるようにすることができる。いくつかのケースでは、メモリ素子220は、相変化材料ではなく、強誘電体キャパシタ又はメモリスタを備えていてもよい。
表1に示すように、列見出しVth_FFとVth_SFは、組成物3を有するセレクタデバイスの、第1アクティベーション(即ち「第1発火」)及びその後のアクティベーション(即ち「第2発火」)において読み出される閾値電圧を、それぞれ表すことができる。列見出しVformは、第1発火と第2発火の間の閾値の電圧差を表すことができる。いくつかの例では、列見出しVth_1000は1000サイクル後の閾値電圧を表すことができる。列見出しI@0.85Vtは、セレクタデバイスにおけるサブ閾値電圧リーク電流を表すことができる。列見出しSTDriftは、セレクタデバイスのドリフトを表すことができる。表1に示されるように、In又は別のIII族元素(例えば組成物3)を含むカルコゲナイド組成物は、周期動作の間の安定した閾値電圧と一定期間にわたる低いドリフトの結果をもたらすことができる。
III族元素は、B、Al、Ga、In、及びTlからなる群から選択される少なくとも1つの元素であってもよく、組成物の総重量に対して0.15重量%から35重量%の範囲の量であってよい。いくつかのケースでは、III族元素は、B、Al、Ga、In、及びTlからなる群から選択される少なくとも1つの元素であってもよく、組成物の総重量に対して0.15重量%から24重量%の範囲であってよい。
前述のように、III族元素は、強力で安定した結合の形成を介して、セレクタデバイスの安定性を高めることができる。いくつかの例では、III族元素は、ドリフトを低下させない可能性がある四面体結合を形成する。低電圧ドリフトは、図3に示されるように、結合構造に直接関係していてもよい。例えば、Al−Se結合解離エネルギーは318kJ・mol −1 であってよく、また、In−Se結合解離エネルギーは、245kJ・mol −1 であってよい。より高い結合解離エネルギーは、より強く及びより安定した結合に相関するようにすることができる。