JP2020081760A - 光量モニタ装置、及びそれを有する情報取得装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 パルス光の発光タイミングと、発光タイミングの情報を伝達するためのトリガ信号が生成するタイミングとの差の、複数のパルス光の間でのばらつきであるジッタσを小さくしつつ、パルス光の光量を測定できる光量モニタ装置を提供すること。【解決手段】 パルス光を受光し電荷を発生させる受光手段と、前記受光手段によって発生した電荷を蓄積する蓄積手段と、前記受光手段から前記蓄積手段への電荷の移動を、電位の変化に変換する変換手段と、前記蓄積手段に蓄積した電荷の量から、前記パルス光の光量を測定する光量測定手段と前記変換手段によって生じた電位の変化から、前記パルス光の発光タイミングを検出する発光タイミング検出手段と、を有することを特徴とする光量モニタ装置。【選択図】 図1
Description
本発明は、光量モニタ装置、及びそれを有する情報取得装置に関する。
従来、医療分野で、光音響効果を利用して被検体内部の形態や機能を画像化する光音響装置が研究されている。このような従来の光音響装置では、使用者の指示を受けると、光音響装置内部のコントローラがレーザ光源の駆動回路に信号を送り、パルス光を発光させる。このパルス光が導光手段を介して被検体に照射されると、光音響波が発生する。この光音響波は、被検体に接触した探触子により受信され、光音響信号と呼ばれる電気信号に変換される。コントローラはこの光音響信号に対して信号処理および画像再構成処理を行い、診断画像を使用者に提示する。パルス光の発光と光音響受信の同期をとるために光センサを用いてパルス光の発光タイミングを検出する光音響装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の光音響装置では、パルス光の発光に同期したトリガ信号という電気信号を生成する。そしてトリガ信号に同期して光音響受信のA/D変換のサンプリングを開始する。
また、従来の光音響装置において、パルス光の光量を計測する手段を備えた光音響装置が提案されている(特許文献2)。特許文献2に記載の光音響装置では、光センサで測定されたパルス光の光量に応じて、光音響信号の補正を行い、画像ムラを低減させる機能を備えている。
このような従来の光音響装置においては、レーザ光源からのパルス光の一部を光学系で分岐して光センサに導光し、パルス光の発光タイミングや光量を測定している。
光モニタにおいて、発光タイミング検出と光量の測定を行う際に、それぞれ専用の光センサを用いると、複数の分岐用の光学系が必要になるため、光モニタの大型化、高コスト化につながる恐れがある。そのため、一つの光センサで発光タイミング検出と光量の測定の両方の機能を兼ねるのが望ましい。
しかしながら、発光タイミングの検出と光量の測定を1つの光センサで兼用すると、発光タイミング検出のジッタが大きくなる課題があった。発光タイミング検出のジッタとは、パルス光が発光してから、発光タイミングを検出するまでの時間差の、複数のパルス光の間でのばらつきのことである。発光タイミング検出のジッタが大きくなると、光音響装置においては、複数の光音響信号のサンプリング開始タイミングがずれるので、診断画像の解像度低下につながる恐れがある。
上記課題に鑑み、本発明は、発光タイミング検出のジッタを小さくしつつ、パルス光の光量を測定できる光量モニタ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光量モニタ装置は、パルス光を受光し電荷を発生させる受光手段と、前記受光手段によって発生した電荷を蓄積する蓄積手段と、前記受光手段から前記蓄積手段への電荷の移動を、電位の変化に変換する変換手段と、前記蓄積手段に蓄積した電荷の量から、前記パルス光の光量を測定する光量測定手段と前記変換手段によって生じた電位の変化から、前記パルス光の発光タイミングを検出する発光タイミング検出手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、パルス光の発光タイミングと、発光タイミングの情報を伝達するためのトリガ信号が生成するタイミングとの差の、複数のパルス光の間でのばらつきを小さくしつつ、パルス光の光量を測定できる光量モニタ装置を提供することができる。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状及びそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明の実施形態に係る光量モニタ装置100は、パルス光を受光し電荷を発生させる受光手段101と、受光手段101によって発生した電荷を蓄積する蓄積手段102とを有する。さらに、受光手段101から蓄積手段102への電荷の移動を、電位の変化に変換する変換手段103を有する。変換手段103の典型例として電流検出抵抗が挙げられるため、変換手段は電流検出手段と言い換えることもできる。
そして、蓄積手段102に蓄積した電荷の量から、パルス光の光量を測定する光量測定手段111と変換手段103によって生じた電位の変化から、パルス光の発光タイミングを検出する発光タイミング検出手段112を有する。このように、受光手段101から蓄積手段102への電荷移動に伴う電位の変化を検出してパルス光の発光タイミングを検出できるため、蓄電手段102に電荷が蓄積されてから発光タイミングを検出するよりも早く検出できる。その結果、パルス光の発光タイミングと、発光タイミングの情報を伝達するためのトリガ信号が生成するタイミングとの差の、複数のパルス光の間でのばらつき(ジッタ)を小さくできる。前述のジッタをσとしたときに、0秒<σ≦2ナノ秒を満たすことが好ましく、σが、0秒<σ≦1ナノ秒を満たすことが好ましく、σが、0秒<σ≦0.1ナノ秒を満たすことが特に好ましい。
なお、受光手段101、蓄積手段102、変換手段103が直列に接続させることができ、受光手段101、蓄積手段102、変換手段103がこの順に直列に接続されていることが好ましい。
受光手段101はフォトダイオード等の受光素子を含み構成されている。
また、変換手段103は、電荷の移動すなわち電流を電位の変化に変換できるものであれば特に限定されず、電流検出抵抗のような電気を用いた手段でも、磁気を用いた手段でも良い。変換手段の一方の端子の電位の変化は、変換手段の一方の端子と他方の端子の間の電圧(電位差)の発生と言い換えることもできる。
また、変換手段103は2つの端子を有し、一方の端子が蓄積手段に接続され、他方の端子がグランドに接続されている構成だと、差を検出する差動検出回路を必要としないため、好ましい。なお、変換手段103が2つの端子を有し、2つの端子間の電圧を増幅する増幅手段を有することで、検出される電位差が小さくても検出することができる。
なお、蓄積手段102に蓄積された電荷を放電する、放電手段106を有してもよい。放電手段としてはリセット回路が挙げられる。
また、発光タイミングの検出と同期して、トリガ信号を生成するトリガ信号生成手段を有していても良い。トリガ信号生成手段の例としてトリガパルス生成回路が挙げられることから、トリガパルス生成手段と言い換えることもできる。
以下、本実施形態に係る光量モニタ装置について、具体例を示して詳細に説明する。
<実施例1>
本実施例では、パルス光を受光し、パルス光の光量と発光タイミングの両方を精度よく測定可能な光量モニタ回路を含む光量モニタ装置について説明する。パルス光を入力すると、パルス光の光量を示すデジタルデータと、発光タイミングを示すデジタルパルス信号を出力する。デジタルパルス信号をトリガ信号と呼ぶ。
本実施例では、パルス光を受光し、パルス光の光量と発光タイミングの両方を精度よく測定可能な光量モニタ回路を含む光量モニタ装置について説明する。パルス光を入力すると、パルス光の光量を示すデジタルデータと、発光タイミングを示すデジタルパルス信号を出力する。デジタルパルス信号をトリガ信号と呼ぶ。
図1は本実施例にかかわる光量モニタ装置のブロック構成図である。
図1において符号101はパルス光を受光し、光量に比例した電荷を発生させる光センサ(受光手段)である。本実施例で想定するパルス光の光源としては、YAGレーザ、チタンサファイアレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、半導体レーザなどである。これらのレーザ装置のパルス幅は、例えば、0.1ns以上200ns以下である。またパルス光の波長の範囲は、例えば、300nm以上1100nm以下である。また、パルス光の繰り返し周波数は、例えば、1Hz以上10kHz以上である。
光センサ101は高速なパルス光に応答可能なシリコンPINフォトダイオードを用いる。
光センサ101のカソードはプラス電源(Vdd)、アノードはコンデンサ102に接続される。そして、光センサ101に逆バイアス電圧をかけることにより感度や応答性を向上させる。本実施例ではVddの値は5Vとする。また、本実施例において、フォトダイオードの受光面はパルス光のビーム全体を受光可能な面積をもつようにする。例えばパルス光のビーム径がφ3mmの場合には光センサ101の受光面はφ3mmよりも大きくする。このようにパルス光のビーム全体を光センサ101で受光させることにより、ビーム内の光強度の空間的な分布が変化しても、パルス光全体の光量を計測することができる。パルス光のビーム径が光センサ101の受光面よりも大きい場合には、パルス光のビーム径をレンズで絞ってから光センサ101に入射させれば良い。なお、パルス光のビーム内の光強度の空間的な分布の変化が無視できる場合には、ビームの一部のみをフォトダイオードに入射させ、一部の光量からパルス光全体の光量を推定してもよい。
符号102は光センサ101で発生した電荷を蓄積するためのコンデンサ(蓄電手段)である。コンデンサとしては、温度特性、周波数特性に優れたフィルムコンデンサを用いる。コンデンサ102は光センサ101に接続されており、パルス光の光量に比例して発生する電荷を蓄積する。
符号103は光センサ101からコンデンサ101への電荷の移動(電流)を電位の変化(電圧)に変換するための電流検出抵抗(変換手段)である。本実施例では電流検出抵抗103はコンデンサ102とグランドの間に接続される。電流検出抵抗103は数Ω以下の低抵抗を用いる。これにより、電流検出抵抗103によって発生する電圧を小さくし、光センサ103の感度への影響を少なくする。電流検出抵抗103によって生じた電圧による、光センサ101の逆バイアス電圧の減少を少なくする。これにより、電流検出抵抗103の両端の電圧の影響で、一時的に光センサ101が順バイアスになると電荷がプラス電源側に逃げてしまい光量の測定誤差が大きくなることを低減する。
符号104はコンデンサ102の電圧を入力し、同じ電圧を出力するバッファ回路である。バッファ回路104はオペアンプを使用したボルテージフォロワ回路を含み構成される。オペアンプは入力バイアス電流が少ないFET入力タイプのオペアンプを使用することができる。これにより、コンデンサ102に蓄積された電荷がバッファ回路104に流れ込む量を最小限にし、光量測定の誤差を少なくすることができる。
符号105はバッファ回路の出力電圧をデジタル値に変換するA/D変換回路である。A/D(アナログ/デジタル)変換回路105は回部のチップセレクト信号によりサンプリングを開始するタイミングを制御できるものとする。また、A/D変換回路105は外部のコントローラとシリアルバス経由でA/D変換されたデジタルデータを通信できるものとする。シリアルバスとしては、SPIバス、あるいはI2Cバスを用いることができる。
符号106は外部リセット信号入力に基づき、コンデンサ102に蓄積された電荷を放電させるリセット回路(放電手段)である。リセット回路106は放電抵抗とFET(Field Effect Transistor)を直接に接続したものを用いることができる。外部リセット信号の電圧レベルがFETのオン電圧以上になった時にリセット回路106のFETがONし、コンデンサ102に蓄積された回路グランドに放電させる。一方、外部リセット信号の電圧レベルがオン電圧より低いときには、リセット回路106のFETはOFFであり、コンデンサ102に蓄積された電荷は維持される。
符号107は電流検出抵抗103で発生した電圧を増幅するための増幅回路(増幅手段)である。オペアンプを用いた非反転増幅回路で構成される。オペアンプは入力バイアス電流が少ないFET入力タイプの高速オペアンプを使用する。これにより、コンデンサ102に蓄積された電荷が増幅回路107に流れ込む量を最小限にし、光量測定の誤差を小さくする。
符号108は増幅後の電圧と比較するための一定の閾値電圧を生成する回路である。閾値生成回路108は電圧レギュレータIC、コンデンサ、電圧設定抵抗などで構成された定電圧回路である。電圧設定抵抗の値を外部から変更可能にすることで、パルス光の強度に応じて出力電圧を変更できるようにしてもよい。本実施例では閾値生成回路108の出力電圧は2.5Vとする。
符号109は増幅回路107の出力電圧と閾値生成回路108の出力電圧を比較する回路である。比較回路109は、コンパレータICおよび抵抗からなるヒステリシスコンパレータ回路で構成される。比較回路109の出力がローレベルの時に、増幅回路107の出力電圧が、閾値生成回路108の出力電圧とヒステリシス幅電圧の半分の和を上回ると、比較回路の出力がハイレベルに変化する。一方、比較回路109の出力がハイレベルの時に、増幅回路107の出力電圧が、閾値生成回路108の出力電圧からヒステリシス幅電圧の半分の差を下回ると、比較回路の出力がローレベルに変化する。ヒステリシス幅がない単純な閾値比較の場合には、増幅回路107の出力電圧が閾値付近のときに比較回路109の出力電圧がばたつき、1回のパルス光に対し複数のトリガ信号が発生する可能性がある。しかし、比較回路109にヒステリシス幅を持たせることにより、このような誤動作を低減することができる。
符号110はトリガ信号のパルス幅が一定になるように整形するトリガパルス生成回路(トリガ信号生成手段)である。トリガパルス生成回路110は単安定マルチバイブレータIC,パルス幅設定用のコンデンサ、および抵抗で構成される。比較回路109の出力信号のパルス幅はパルス光の波形によって変化する。パルス光源の内部の温度変化や劣化によりパルス光の波形が変化し、トリガ信号のパルス幅が短くなると後段のコントローラでトリガ信号の検出に漏れが生じる恐れがある。検出の漏れの可能性を低減するために、比較回路109の出力パルス幅が変化してもトリガ信号のパルス幅が一定になるようにする。トリガパルス生成回路110は比較回路109の出力信号がローレベルからハイレベルへの立ち上がりを検出し、一定期間ハイレベルになるトリガ信号を出力する。
図2は本実施例の光量モニタ回路の動作を示すタイミングチャートである。符号201は光センサ101に入射されるパルス光の波形である。パルス幅は10nsとする。符号202はコンデンサ102の電圧であり、バッファ回路104へ入力されるものである。光センサからの電流をIpd、コンデンサ102の容量をCとするとコンデンサ102の電圧V102は以下の式になる。
パルス光においては、一定時間後にはIpdが0になるため、Ipd*Rは最終的には0になる。その結果、V102はIpdの積分、すなわち光センサ101からの電荷量に比例するため、光センサ101に入射したパルス光の光量、すなわちパルスエネルギーに比例した電圧を得ることができる。
符号203はA/D変換回路105の入力信号であり、外部のコントローラが駆動するデジタル信号である。A/D変換制御信号203の立下りのタイミングでA/D変換回路105はデータのサンプリングを開始する。
符号204はA/D変換回路105の出力信号であり、パルス光の光量を示すデジタル値を示す信号である。
符号205はリセット回路106の入力信号である。リセット信号205はデジタル信号であり、リセット回路のFETのゲートに入力される。ハイレベルの時はリセット回路106のFETがONになり、コンデンサ102の電荷が放電される。一方、リセット信号205がローレベルの時はリセット回路106のFETがOFFになり、コンデンサ102の電荷が維持される。
符号206は電流検出抵抗103の両端の電圧であり、増幅回路107に入力される。光センサ101で発生した電荷がコンデンサ102に蓄積されると、電流検出抵抗103に電流が流れ、電流検出抵抗103の両端に電圧が発生する。
光センサ101の出力電流をIpd、電流検出抵抗103の抵抗値をRとすると増幅回路入力電圧V206は以下の式で表される。
V206=Ipd*R
V206=Ipd*R
符号207は比較回路108の閾値比較で用いられる閾値電圧である。閾値生成回路108の出力電圧をVth,比較回路109のヒステリシス幅をVhとすると比較回路109の出力電圧がハイレベルの時は、閾値電圧V207は以下の式で表される。
V207=Vth+Vh/2
V207=Vth+Vh/2
同様に比較回路109の出力電圧がローレベルの時は、閾値電圧V207は以下の式で表される。
V207=Vth−Vh/2
V207=Vth−Vh/2
符号208は増幅回路107の出力電圧である。増幅回路107の増幅率をAとすると,増幅回路107の出力電圧V208は理想的には以下の式で表される。
V208=A*V206=A*Ipd*R
V208=A*V206=A*Ipd*R
ただし、図2では増幅率が大きいため出力は飽和し、電源電圧Vddで制限されている。
符号209は比較回路109の出力電圧を表す。比較回路109の出力はデジタル信号であり、増幅回路の出力電圧V208が閾値電圧V207を上回った時にハイレベルとなる。一方、増幅回路の出力電圧V208が閾値電圧207以下の時にはローレベルとなる。
符号210はトリガパルス生成回路110の出力のトリガ信号である。トリガ信号210は、比較回路109の出力電圧V209の立ち上がりに同期してローレベルからハイレベルになり、その後一定期間ハイレベルを維持したのちにローレベルに戻る信号である。閾値比較回路の出力電圧は10nsから数usの間でパルス光の光量に応じて変動するが、トリガ信号のパルス幅は10usと一定の時間になるようにする。
初めに発光タイミングの検出機能について図2を用いて説明する。
時刻t2001において、光センサ101にパルス光が入射し、光波形201が変化する。これに応じて光センサ101で電荷が発生し、コンデンサ102に電荷の蓄積が開始される。これと同時に電流検出抵抗103に変位電流が流れ、増幅回路107の入力電圧V206が立ち上がり始める。光センサ101として用いるフォトダイオードの特性により、PN結合間の空乏層内で生じた電荷は速やかに光センサ101から出力されるため、最初の数10nsの間はコンデンサ102への電流は大きく、増幅回路の入力電圧V206は急峻な立ち上がりを示す。一方、空乏層外で生じた電荷は光センサ101内部を拡散するのに時間を要するので、最初の数10ns経過後は、コンデンサ102への電流は徐々に少なくなり、増幅回路の入力電圧V206の立ち上がりはなだらかになる。このような特性により、時刻t2001から時刻t2002の間は増幅回路の入力電圧V206の立ち上がりが急峻であるが、t2002以降は増幅回路の入力電圧V206の立ち上がりはなだらかになる。このV206は増幅回路107によって増幅される。その際に、増幅回路107は時刻t2001から時刻t2002までのV206の急峻な立ち上がりが、閾値電圧V207を超えるように十分な増幅率で増幅する。増幅回路の出力電圧V208は時刻2003に閾値電圧V207を上回り、比較回路の出力電圧V209がローレベルからハイレベルに変化する。この変化はトリガパルス生成回路110の単安定マルチバイブレータ回路により検出され、トリガ信号V210が時刻t2004に、ローレベルからハイレベルに変化する。トリガ信号V210の立ち上がりは外部のコントローラによって検出され、発光タイミングの把握に用いられる。パルス光の実際の発光時刻(パルス光の発光タイミング)t2001とトリガ信号が立ち上った時刻(トリガ信号が生成するタイミング)t2004の時間差は数nsから数10nsである。この時間差の複数のパルス光の間でのばらつきを発光タイミングジッタと呼ぶ。具体的にはt2001からt2004の時間差の標準偏差をもって発光タイミングジッタと定義する。回路の配線遅延、素子遅延はパルス光間でのばらつきは少ないが、比較回路109での閾値比較の際に入力信号の立ち上がり波形がなまっていると発光タイミングジッタが大きくなる。本実施例においては電流検出抵抗103を用いて光センサからの電流の急峻な立ち上がりを電圧変換し、後段の高速な増幅回路107で増幅することにより、閾値比較時の入力信号の立ち上がり波形を急峻にし、発光タイミングジッタを小さくする。これにより発光タイミングジッタは数10ps以下にすることができる。
トリガ信号V210はトリガパルス生成回路110で設定されたパルス幅分の時間経過後に、t2009にてハイレベルからローレベルに戻る。このトリガ信号は光量モニタ装置外部のコントローラにて読み出され、発光タイミングの検出に用いられる。外部のコントローラはトリガ信号V210のローレベルからハイレベルへの変化をもって発光タイミングを検出する。
比較回路109での閾値比較において、信号の立ち上がり波形によって発光タイミングジッタが影響を受ける様子を、図3を用いて説明する。図3は比較回路109にて入力電圧が閾値電圧を上回る瞬間の波形を拡大した図である。
図3において符号301は閾値比較の対象となる入力電圧の波形である。本実施例では増幅回路の出力であるV208に相当する。電圧301には、電気的なノイズ等によるランダムかつ微小な変動がある。電圧301がプラス側に変動したときの電圧を符号302で示す。また、入力電圧301がマイナス側に変動したときの電圧を符号303で示す。
符号304は比較回路の閾値電圧である。本実施例ではV207に相当する。電圧304にも電気的なノイズ等によるわずかな変動がある。電圧304がプラス側に変動したときの電圧を符号305で示す。また、入力電圧304がマイナス側に変動したときの電圧を符号306で示す。
比較回路109の入力電圧が閾値電圧を上回る時刻は、これらの変動によってばらつきが生じる。図3においてt3001は入力電圧301が閾値電圧304と交わる時刻である。t3002は入力電圧302が閾値電圧306と交わる時刻であり、入力電圧がプラス側に変動し、かつ閾値電圧がマイナス側に変動した場合を表す。t3003は入力電圧303が閾値電圧305と交わる時刻であり、入力電圧がマイナス側に変動し、かつ閾値電圧がプラス側に変動した場合を表す。このように入力電圧および閾値電圧の変動により、入力電圧301が閾値電圧304と交わる時刻はt3002からt3003の間でパルスごとにばらつく。入力電圧301のt3001付近の傾きをK,入力電圧の変動量を±Ni,閾値電圧の変動量を±Ntとするとt3002からt3003の時間差は2*(Nd+Nt)/Kとなり、Kの値が大きいほど時間差が小さくなる。この時間差が小さいほど、発光タイミングジッタは小さくなるので、時間差は小さいほうが望ましい。それには、Nd,Ntが小さく、Kが大きいことが望ましいが、NdとNtは回路のノイズを低減させることである程度までは低減でき、Kは入力電圧301の立ち上がりを急峻にすることで大きくすることができる。
続いて光量測定手段による光量計測機能について図2を用いて説明する。
時刻t2001において光センサ101で発生した電荷はコンデンサ102に蓄積される。バッファ回路入力電圧V202は、時刻t2001から時刻t2002までは電流検出抵抗103に発生する電圧の影響で急峻に立ち上がるが、その後は光センサ101からの電流の減少に伴い、なだらかに上昇する。そして、時刻t2005にて、光センサ101からの電流がほぼゼロになると、それ以降は一定の電圧を維持する。この段階ではリセット信号205はローレベルであることと、バッファ回路104、増幅回路107の入力インピーダンスが高いことから、光センサ104で発生した電荷は、最終的にはコンデンサ102に保持される。そのため、コンデンサ102の電圧は、光センサ101へ入射したパルス光の光量すなわちパルスエネルギーに比例する。
バッファ回路104はボルテージフォロワであるため、A/D変換回路105の入力電圧は、バッファ回路入力電圧V202とほぼ同じになる。この状態で、時刻t2007において、外部のコントローラはA/D変換制御信号203をハイレベルからローレベルに変化させ、A/D変換回路105に、入力信号のA/D変換のサンプリングを開始させる。続いて、外部のコントローラはA/D変換回路105と通信を行い、A/D変換の出力データを受信する。A/D変換の出力データはパルス光のエネルギーを示すデータである。その後t2008にて外部のコントローラはA/D変換制御信号V203をローレベルからハイレベルにし、A/D変換回路105の動作を終了させる。続いてt2009にて外部のコントローラはリセット信号V205をローレベルからハイレベルにし、リセット回路106のFETをオンにし、コンデンサ102の電荷をグランドに放電させる。コンデンサ102の電荷は、コンデンサ102の容量とリセット回路の電流検出抵抗で決まる時定数で放電され、バッファ回路入力電圧V202は徐々に減少し0Vに近づく。外部のコントローラは十分にコンデンサ102の電荷が放電されるまで待ち、時刻t2011にリセット信号を立ち下げ、次のパルス光を受光する準備を行う。
時刻t2001から時刻t2011までの処理にかかる時間はパルス光の繰返し周期よりも短くなるようにする。例えば、パルス光の繰返し周期が1kHzの場合には、t2001からt2011までの処理を、ある程度の余裕をもって800us以下で行う。これはリセット回路106の抵抗値を少なくすることや、外部コントローラとA/D変換回路105の通信を高速化すること,トリガ信号のパルス幅を少なくすることなどにより可能である。なお、パルス光の発光周期が不明の場合にはt2001からt2011までの時間は必要最小限にする。なお、1回の周期の間に複数のトリガ信号の立ち上がりが観測された場合には外部のコントローラでエラーとして検出する。
これ以降のパルス光の受光についても時刻t2001から時刻t2011までと同様の動作を繰り返す。外部のコントローラはパルスごとに発光タイミングと光量を示すデータを取得することができる。
以上説明してきたように、本実施例によれば、光センサ101からコンデンサ102への急峻な過渡電流を増幅し、トリガ信号を生成することにより、発光タイミングを検出する際の複数パルス間の発光タイミングジッタを少なくすることができる。一方、光センサ101で発生した電荷は最終的にはコンデンサ102に残るので、光量の計測に用いることができる。
なお、本実施例では光センサとしてシリコンPINフォトダイオードを用いた例を説明したが、パルス光の特性に応じて異なる種類の光センサを使用してもよい。例えばパルス光の波長が1500nsと長波長の場合には、長波長に対して感度を持つInGaAs PINフォトダイオードを用いてもよい。
また、本実施例では光モニタ装置内でコンデンサ102の電圧をA/D変換し、デジタルデータを出力する例を用いて説明したが、光モニタ装置からはアナログ電圧を出力し、A/D変換は外部のコントローラで行ってもよい。
<変形例>
本実施例において光センサ101、コンデンサ102、電流検出抵抗103の接続順序はグランド側から順に、電流検出抵抗103、コンデンサ102、光センサ101の順としたが、接続順序はこれに限らない。光センサ101からの電流が電流検出抵抗103で検出でき、かつ光センサ101で発生した電荷が最終的にはコンデンサ102に保持されていれば、ほかの接続順序でもよい。例えば図4のように光センサ101、電流検出抵抗103、コンデンサ102のように接続してもよい。図4は光センサ101、電流検出抵抗103、コンデンサ102の接続順序を変えた変形例を示す図である。本発明の第一実施例と同じ部分は、図1と同じ符号を用い、説明は省略する。本発明の第一実施例では増幅回路107は電流検出抵抗107の片側端子の電圧を増幅していたが、この変形例においては、差動増幅回路401は電流検出抵抗103の端子間の電位差を増幅する必要がある。差動増幅回路401としては光量および発光タイミングの計測誤差を少なくするために、入力インピーダンスの高く、かつ高速動作可能な差動増幅回路を用いるのが望ましい。差動増幅回路401に入力インピーダンスの高い差動増幅回路として、高速オペアンプを3個使用した計装アンプ回路を用いてもよい。
本実施例において光センサ101、コンデンサ102、電流検出抵抗103の接続順序はグランド側から順に、電流検出抵抗103、コンデンサ102、光センサ101の順としたが、接続順序はこれに限らない。光センサ101からの電流が電流検出抵抗103で検出でき、かつ光センサ101で発生した電荷が最終的にはコンデンサ102に保持されていれば、ほかの接続順序でもよい。例えば図4のように光センサ101、電流検出抵抗103、コンデンサ102のように接続してもよい。図4は光センサ101、電流検出抵抗103、コンデンサ102の接続順序を変えた変形例を示す図である。本発明の第一実施例と同じ部分は、図1と同じ符号を用い、説明は省略する。本発明の第一実施例では増幅回路107は電流検出抵抗107の片側端子の電圧を増幅していたが、この変形例においては、差動増幅回路401は電流検出抵抗103の端子間の電位差を増幅する必要がある。差動増幅回路401としては光量および発光タイミングの計測誤差を少なくするために、入力インピーダンスの高く、かつ高速動作可能な差動増幅回路を用いるのが望ましい。差動増幅回路401に入力インピーダンスの高い差動増幅回路として、高速オペアンプを3個使用した計装アンプ回路を用いてもよい。
<実施例2>
以下に本発明の実施例2について説明する。
以下に本発明の実施例2について説明する。
本発明の実施例2は、光量を測定するための電荷の積分にオペアンプを使用した場合の例である。図5に本実施例の回路構成を示す。なお、上記実施例2と共通する事項については、図1および図4と同じ符号を用い、説明は省略する。図5において符号501はオペアンプ502のバイアス電圧を生成するための定電圧回路である。定電圧回路501は電圧レギュレータIC,コンデンサ、抵抗などで構成される。定電圧回路501の出力電圧はVdd/2とする。符号502は光センサ101のアノード端子に接続されたオペアンプであり、コンデンサ102と組み合わせて光センサ101からの電荷を積分する回路を構成する。オペアンプ502には、入力バイアス電流が少ないFET入力タイプの高速オペアンプを使用する。このようにオペアンプを用いることで光センサ101のアノード端子はほぼ一定値(Vdd/2)となる。その結果、コンデンサ102に蓄積された電荷量によらず光センサ101の逆バイアス電圧が一定となり、光センサ101の飽和を防ぎ、ダイナミックレンジを大きくすることができる。
図6に本実施例のタイミングチャートを示す。
上記実施例1と共通する事項については図2と同じ符号を用い、説明を省略する。符号601はコンデンサ102と電流検出抵抗103の間の電圧であり、バッファ回路104へ入力されるものである。光センサからの電流をIpd、コンデンサ102の容量をCとする。オペアンプ502においては反転入力端子の電圧は定電圧回路501の電圧とほぼ同じになるため、コンデンサ102の電圧V601は以下の式になる。
本実施例では、実施例1と異なり、光センサ101からの電荷が蓄積されるにつれて、バッファ回路104への入力電圧は低下する。V601はオペアンプ502の反転入力端子の電圧からIpdの積分、すなわち光センサ101からの電荷量に比例する電圧を減算したものになる。そのため、最終的なVdd/2からの電圧低下量から光センサ101に入射したパルス光の光量、すなわちパルスエネルギーに比例した電圧を得ることができる。
また、符号602は電流検出抵抗103の両端の電圧であり、差動増幅回路401に入力される。光センサ101で発生した電荷がコンデンサ102に蓄積されると、電流検出抵抗103に電流が流れ、電流検出抵抗103の両端に電圧が発生する。
光センサ101の出力電流をIpd、電流検出抵抗103の抵抗値をRとすると増幅回路入力電圧V206は以下の式で表される。
V602=Ipd*R
V602=Ipd*R
本実施例においても、実施例1と同様にパルス光の発光直後に電流検出抵抗103の両端の電圧が急峻な立ち上がりを示す(t2001−t2002)。この部分を、上記実施例1の変形例で示した差動増幅回路401で増幅し、比較回路109にて閾値比較することにより、発光タイミングジッタを少なくすることができる。
本実施例によれば、オペアンプを用いた光量モニタで、光センサ101からコンデンサ102への急峻な過渡電流を増幅し、トリガ信号を生成することで、発光タイミングを検出する際の複数パルス間の発光タイミングジッタを少なくできる。一方、光センサ101で発生した電荷は最終的にはコンデンサ102に残るので、光量の計測に用いることができる。また、本実施例では光センサ101の逆バイアス電圧を一定にすることにより、光センサ101の出力電流の飽和を防ぎダイナミックレンジを大きくすることができる。
なお、本実施例ではオペアンプ502は単電源オペアンプを用いる例を説明したが、正負の電源を持つオペアンプを用いてもよい。その場合には、定電圧回路501を用いずに、オペアンプの非反転入力端子はグランドに接続してもよい。
<実施例3>
本実施例は、上記光量モニタ装置を有する光音響装置(情報取得装置)の例である。
本実施例は、上記光量モニタ装置を有する光音響装置(情報取得装置)の例である。
図7は本実施例を示すブロック構成図である。図7において点線は光の流れ、実線矢印は電気信号の流れを表す。符号701は被検体702を固定し被検体にパルス光を照射するとともに、被検体からの光音響波を受信し、光音響信号に変換するプローブユニットである。プローブユニット内部にはパルス光を被検体702に向けて出射する投光部(光照射部)711、被検体からの音響波(光音響波)を受信し、光音響信号と呼ばれる受信信号(電気信号)を出力する音響センサ(受信部)712を有する。さらに、光音響信号に基づいて、被検体に関する情報を取得する情報取得部を有する。
また、音響センサ712と被検体702の間を光音響波が効率よく伝搬させるための不図示のマッチング材および、投光部711と音響センサ712を被検体702表面に沿って2次元に走査させるためのXYステージ713を有する。そして、X軸およびY軸用モータ714、ステージ位置計測用のX軸用およびY軸用のリニアエンコーダ715を備える。投光部711と音響センサ712を被検体702上の撮影範囲全域にわたり走査させることにより広範囲の診断画像(被検体に関する情報)を得ることができる。
符号702は光音響装置の被検体であり、被検者の体の一部である。被検体702内部に存在する光吸収の大きな部位(光吸収部位)にパルス光が照射されると、光音響効果により光音響波が発生する。光吸収部位とは、例えばがんに起因する新生血管などである。光音響波は光音響プローブ701内部の音響センサに受信され、光音響信号と呼ばれる電気信号に変換される。
符号703はパルス光を発生させるためのレーザ光源であり、YAGレーザ、チタンサファイアレーザなどの固体レーザで構成される。レーザ光源は内部のレーザ媒質を励起するための手段として半導体レーザおよびQスイッチをもち、外部から電気的に発光タイミングを制御可能な構成になっている。また、レーザ光源は内部の励起手段への投入エネルギーを設定するためのインタフェースをもち、外部からパルス光のエネルギーを電気的に制御可能な構成になっている。また、光源703は異なる波長を発光可能な光源である。光源703は波長を変更するためのインタフェースを持ち、外部から波長を設定可能とする。光源703は2種類の波長の光を光路704に出射することができるものとする。波長の切り替えは光源703内部の共振器の光学系切り替えによって行う。光の波長は532nmと1064nmとする。また、被検体702の内部情報を解像度よく画像化するために、パルス光のパルス幅は約10nsと短い。
符号705は使用者からの指示に基づいて光源703を制御するコントローラである。使用者はコントローラ705を用いて、レーザ光の波長、繰り返し周波数、励起手段への投入エネルギーを設定する。続いて使用者がコントローラ705を用いて光源703の発光開始指示を行うと、光源703は設定された投入エネルギーでレーザダイオードを点灯させる。そして、レーザ媒質に励起エネルギーを蓄積した後にQスイッチをONにし、ジャイアントパルスと呼ばれる高いエネルギーをもつパルス光が出力される。励起エネルギーの蓄積にかかる時間はレーザによって異なるが100usから500usの間である。パルス光の繰り返し周波数は、コントローラ106で設定された周波数である。本実施例では10Hzから2kHzの間の周波数を設定可能とする。また、光源703は内部のアクチュエータを駆動して光源内部の光路を切り替え、コントローラ705で設定された波長の光を光路704に出射する。
また、コントローラ705は受信回路708によって不図示のメモリに保存された光音響信号データ、XYステージ713の座標データ、パルス光の光量データを読み出す。そしてし、内蔵するGPU(Graphics Processing Unit)にて画像再構成処理を行い、被検体702内部の特性情報を表す診断画像データを生成する。パルス光の光量データは、複数のパルス光の強度のばらつきを補正するのに用いる。これにより、パルス光の光量が変動する場合にも、誤差の少ない診断画像データを得ることができる。また、パルス光の光量データが予め定められた範囲内にあるかをチェックし、範囲外である時はエラーとしてレーザ照射を停止す安全機能を備える。また、使用者が装置を走査するためのGUI(Graphical User Interface)を提供する。使用者がGUIを介して撮影を開始する指示を行うと、コントローラ705は駆動回路709に指示を出し、投光部711および音響センサ712の走査を開始させる。また、コントローラ705は光源703に指示を出し、被検体702へのレーザ照射を開始させる。撮影終了時にはコントローラ705は駆動回路709に指示を出す。そして、投光部711および音響センサ712を所定の位置に退避させるとともに、光源703に指示を出しレーザ照射を止める制御を行う。
符号706は光路704に設置され、光源703からの出力光を2方向に分岐するビームスプリッタである。分岐比は99:1とする。分岐したレーザの出射光のうち、99%はプローブユニット701に入射する。残りの1%の出射光は光量モニタ707に入射する。
符号707はパルス光のエネルギーおよび発光タイミングを測定するための光量モニタである。光量モニタ707の光センサとしては、レーザビーム全体を受光可能な大面積シリコンPinフォトダイオードを用いる。このようにレーザビーム全体を受光可能にすることで、レーザの分布に変動があった場合にもパルス光のエネルギーを安定して取得することができる。光量モニタ707内部の回路構成は本発明の実施例1、または実施例2と同様である。これにより一つの光センサで、発光タイミングの検出と光量の計測の両方を兼ねることができるので、ビームスプリッタ706の数を1つにすることができる。発光タイミングの検出と光量の計測を別個の光センサで行う場合と比較すると光学系を小型化することができる。
光量モニタからの入出力信号として、不図示のA/D変換制御信号、A/D変換出力データ信号、リセット信号、PDトリガ信号は受信回路708に接続される。
符号708は音響センサ712から出力された光音響信号に対し、増幅、A/D変換、ノイズ除去などの信号処理を行う受信回路である。受信回路は光量モニタ707からのトリガ信号の立ち上がりに同期して、A/D変換処理および停止タイミングを決定する。そして、一定期間光音響信号をサンプリングし、不図示のメモリに保存する。また、受信回路は光量モニタ707からのトリガ信号の立ち上がりに同期して、エンコーダ715からXYステージ713の座標データを算出し、不図示のメモリに保存する。また、また、受信回路は光量モニタ707からのトリガ信号の立ち上がりに同期して、光量モニタ707のA/D変換制御信号、リセット信号を制御し、パルスごとの光量データを取得、算出し、不図示のメモリに保存する。光音響装置においては複数のパルス光から得られた光音響信号群から画像再構成を行うため、解像度の高い診断画像を得るためにはパルス光ごとのサンプリングのタイミングのばらつきが少ないほうが望ましい。本発明の光量モニタ707にて発光タイミングジッタを低減することにより、パルス光ごとの光音響信号のサンプリングのタイミングのばらつきを少なくすることで、診断画像を高解像度化することができる。
符号709は光音響プローブ内部のXYステージのモータ714を駆動する駆動回路であり、モータドライバ回路、モータコントローラ回路で構成される。駆動回路709はコントローラ705からの指示に基づき、光音響プローブ701内部の投光部および音響センサを二次元ラスター走査させる。
符号710は使用者が光音響装置の動作条件の設定や動作開始指示を行うためのユーザインタフェース、すなわち操作部であり、キーボード、マウス、ボタンスイッチなどで構成される。動作条件としては、被検体702の撮影範囲や光音響信号の測定時間などがある。また、動作指示としては被検体702の撮影開始および撮影中断などがある。これらの指示はコントローラ705により受け付けられ、各ユニットへの動作指示が行われる。
符号711は被検体702の測定部位にパルス光を照射するための投光部であり、光路704に対応するファイバからの出射光をまとめ、所定の倍率で拡大し、照射光の密度および照射領域を調整するための光学系を有している。光源703からのパルス光は投光部711から被検体702に向けて照射される。
符号712は被検体702からの光音響波を受信するための振動子を内部に備えた音響センサである。この振動子はPZT、CMUTなどの超音波センサ素子であり、光音響波を電気信号である光音響信号に変換する。
符号713は投光部711および音響センサ712を水平平面上で2次元走査させるXYステージである。XYステージはモータの回転運動を直線運動に変換するボールねじなどのメカ機構を備えている。
符号714は駆動回路709に接続され、XYステージ713を駆動するためのモータである。X軸用とY軸用の2つのステッピングモータあるいはサーボモータで構成される。駆動回路からの指示に基づき投光部711と音響センサ部712を被検体702上の撮影範囲全域にわたり走査させることにより広範囲の診断画像を得ることができる。
符号715はXYステージ713に取り付けられ、投光部711および音響センサ712の位置を測定するリニアエンコーダである。X軸用とY軸用の2つのリニアエンコーダで構成される。リニアエンコーダの出力信号は、A相、B相、Z相の3つのパルス信号であり、駆動回路709および受信回路708へ出力される。駆動回路709はエンコーダ715からの情報をステージの状態検知、モータ714の速度制御へのフィードバックに用いる。また、受信回路708は、エンコーダ715からのパルス信号をカウントし、投光部711、音響センサ712の位置を示す座標データを算出する。
図8は使用者からの撮影開始指示があった時の光音響装置の動作フローを示す。予め使用者は被検体702をプローブユニット701の前面に固定し、被検体702と音響センサ712との間を音響マッチング材で満たしているものとする。
ステップS801において、コントローラ705は使用者が指定したレーザの照射パラメータをもとに、レーザの発光を開始させる。照射パラメータとしては、波長、繰り返し周波数、投入エネルギーがある。例えば、使用者が波長1064nm,繰り返し周波数1kHz,投入エネルギー100Aとする。この投入エネルギーは光源703の励起手段であるレーザダイオードへの電流値を表す。
ステップS802において、コントローラ705内部のCPUは使用者がユーザインタフェース710を介して指定した設定情報を読み込み、内部のメモリへと記録する。設定情報としては、撮影範囲、撮影中心の位置、測定点間のピッチなどがある。測定点間のピッチとは被検体702上の光音響信号を取得する点の間隔であり、数10umから数100umの間で可変であるものとする。ピッチを大きくすると撮影時間は短縮されるが、診断画像の解像度が劣化する。一方、ピッチを小さくすると撮影時間が長くなるが、診断画像の解像度が向上する。また、撮影範囲においても、大きくすると広範囲の画像が得られるが、撮影時間が長くなる。使用者は診断画像と撮影時間のトレードオフを考慮し、適切な設定情報を指定する。
続いてステップS803において、コントローラ705内部のCPUは駆動回路709に指示を送り、モータ714を駆動する。駆動回路709はプローブユニット701内部の投光部711および音響センサ712をステップS802で指定された撮影中心の位置に移動させる。駆動回路709は、モータ714に指示を出し、S802で指定された撮影範囲をカバーするように投光部711および音響センサ712をラスター走査開始させる。
これによりステップS804において、コントローラ705は光源703に指示を出し、パルス光を照射させる。これにより、1発のパルス光が被検体702に照射されるとともに、光量モニタ707にも入射する。光量モニタ707は、パルス光の入射を受け、トリガ信号を受信回路708に出力する。また、被検体702内部から光音響波が発生し、音響センサ712によって受信され光音響信号が出力される。
続いてステップS805において、受信回路708は光量モニタ707からのトリガ信号の立ち上がりから一定時間待機した後に音響センサ712からの光音響信号を一定時間サンプリングする。この待機時間は、音響センサ712から被検体702までの距離をマッチング材の音速で割った値よりも少なくなるように予め受信回路708内部のメモリに設定しておくものとする。また、サンプリング時間は被検体702の撮影範囲の厚みを音速で割った値以上になるようにする。受信回路708は光音響信号に対し、増幅、A/D変換、ノイズ除去処理、振動子の応答補正処理などの信号処理を行い、内部のメモリの第一の領域に保存する。
続いてステップS806において、受信回路708はエンコーダ715からのA相パルス、B相パルスをカウントし、パルス光を照射したタイミングでの光音響プローブ701内部のXYステージ715の座標値を算出し内部メモリに保存する。
続いてステップS807において、受信回路708は光量モニタ707からパルス光の光量データを取得し、内部メモリに保存する。そして、光量データをコントローラ705へ転送する。コントローラ705では受信回路706から読み出された光量データを光音響信号データと合わせて内部のメモリに記録する。
続いてステップS808にて、コントローラ705は光量データを内部に予め保存した閾値と比較し、光量に異常がないかを確認する。光量データが閾値を超えた場合には、被検体702に照射される光量が大きすぎると判定し、ステップS813に進む。光量データが閾値以下の場合には、被検体702に照射される光量は安全なレベルであると判定し、ステップS809に進む。このように、コントローラ705は、パルス光量を監視することにより、パラメータの設定ミスや光源703の故障などにより安全なレベルを超えるレーザ光が被検体702に照射され続けることを防止する。
続いてステップS809にてコントローラ705内部のCPUは、受信回路708および駆動回路709と通信し、被検体702の撮影範囲全体の走査が完了したか否かを判定する。完了した場合にはステップS810へ進む。完了していない場合にはステップS805へ戻り、駆動部709は、投光部711および音響センサ712を次の測定箇所に移動させながら光音響信号の取得を続ける。
続いてステップS810にて、コントローラ705内部のCPUは光源703と通信し、パルス光の発光を停止させる。
続いてステップS811において、コントローラ705内部のGPUはステップS806,ステップS807,ステップS808で取得されたパルスごとの光音響信号データ、XYステージ713の座標データ、パルス光の光量データから画像再構成処理を行う。そして、被検体702の初期音圧分布、吸収係数分布を算出する。再構成アルゴリズムはUBP(Universal back projection)法を用いる。光量データはパルス光量補正のために用いる。パルス光量補正処理は、光量のパルスごとのばらつきによる影響を軽減するために、光音響信号データに対し、光量に応じたパルスごとに異なる重みづけをしてからUBP法を行う処理である。また、ステップS808で記録されたパルスごとの光量データに応じて再構成処理に使用するデータを選択してもよい。例えば、光量データが許容範囲内にある時の光音響信号データのみを使用して画像再構成処理を行ってもよい。これにより、光源703の出力が不安定な場合にも、十分な光量が被検体702に照射された時の光音響信号データのみを使用して撮影画像を作成するので、撮影画像のノイズを少なくすることができる。
ステップS812においてコントローラ705内部のCPUは、ステップS809で算出した初期音圧分布、吸収係数分布を示す診断画像をユーザインタフェース710のディスプレイに表示させる。
ステップS813では、コントローラ705はユーザインタフェース710にエラーメッセージを表示するとともに、光源703に指示を出しレーザ照射を停止する。また、コントローラ705は受信回路708および駆動回路709に指示を出し、光音響信号の受信とモータ714の動作を停止し、撮影を中止する。
なお、図8では一つの波長(1064nm)で撮影を行う例を示したが、続けて,コントローラ705を用いて波長を変更し、二つ目の波長(532nm)で撮影を行うこともできる。そして,第一の波長で得られた光音響信号データと、第二の波長で得られた光音響信号データから被検体702の内部の酸素飽和度分布を算出し、診断画像に重畳表示させることも可能である。
以上説明してきたように本発明の第三実施例においては、光音響装置の光量モニタにおいてパルス光の発光タイミングの検出と光量の計測を一つの光センサで行うことにより、ビームスプリッタなどの光学系を小型化することができる。また、発光タイミングジッタを低減することにより、パルスごとの光音響信号のサンプリングタイミングのばらつきを低減し、解像度の高い臨床画像を得ることができる。
なお、本実施例ではパルス光源を用いた光音響装置に対し光量モニタを適用する例を示したが、パルス光の光量と発光タイミングを検出する用途であれば、上記光量モニタの適用先はこれに限らない。例えば、パルス光源を用いたレーザ治療装置に対し、光量の測定および発光タイミング検出用途で上記光モニタ装置を適用してもよい。
100 光量モニタ装置
101 光センサ(受光手段)
102 コンデンサ(蓄電手段)
103 電流検出抵抗(変換手段)
104 バッファ回路
105 A/D変換回路
106 リセット回路(放電手段)
107 増幅回路(増幅手段)
108 閾値生成回路
109 比較回路
110 トリガパルス生成回路(トリガ信号生成手段)
111 光量測定手段
112 発光タイミング検出手段
101 光センサ(受光手段)
102 コンデンサ(蓄電手段)
103 電流検出抵抗(変換手段)
104 バッファ回路
105 A/D変換回路
106 リセット回路(放電手段)
107 増幅回路(増幅手段)
108 閾値生成回路
109 比較回路
110 トリガパルス生成回路(トリガ信号生成手段)
111 光量測定手段
112 発光タイミング検出手段
Claims (12)
- パルス光を受光し電荷を発生させる受光手段と、
前記受光手段によって発生した電荷を蓄積する蓄積手段と、
前記受光手段から前記蓄積手段への電荷の移動を、電位の変化に変換する変換手段と、
前記蓄積手段に蓄積した電荷の量から、前記パルス光の光量を測定する光量測定手段と
前記変換手段によって生じた電位の変化から、前記パルス光の発光タイミングを検出する発光タイミング検出手段と、を有することを特徴とする光量モニタ装置。 - 前記受光手段、前記蓄積手段、前記変換手段が直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光量モニタ装置。
- 前記受光手段、前記蓄積手段、前記変換手段がこの順に直列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の光量モニタ装置。
- 前記受光手段がフォトダイオードを含み構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光量モニタ装置。
- 前記変換手段が2つの端子を有し、一方の端子が前記蓄積手段に接続され、他方の端子がグランドに接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光量モニタ装置。
- 前記変換手段が2つの端子を有し、前記2つの端子間の電圧を増幅する増幅手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光量モニタ装置。
- 前記蓄積手段に蓄積された電荷を放電する放電手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光量モニタ装置。
- 前記発光タイミングの検出と同期して、トリガ信号を生成するトリガ信号生成手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光量モニタ装置。
- 前記発光タイミングと、前記トリガ信号が生成するタイミングとの差の、複数の前記パルス光の間でのばらつきをσとしたときに、0秒<σ≦2ナノ秒を満たすことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光量モニタ装置。
- 前記発光タイミングと、前記トリガ信号が生成するタイミングとの差の、複数の前記パルス光の間でのばらつきをσとしたときに、0秒<σ≦1ナノ秒を満たすことを特徴とする請求項9に記載の光量モニタ装置。
- 前記発光タイミングと、前記トリガ信号が生成するタイミングとの差の、複数の前記パルス光の間でのばらつきをσとしたときに、0秒<σ≦0.1ナノ秒を満たすことを特徴とする請求項10に記載の光量モニタ装置。
- 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光量モニタ装置と、
被検体に光を照射する光照射部と、
前記被検体に光が照射させることで生じる音響波を受信し、受信信号を出力する受信部と、
前記受信信号に基づいて、前記被検体に関する情報を取得する情報取得部と、を有することを特徴とする情報取得装置。
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JP2018225873A Pending JP2020081760A (ja) | 2018-11-30 | 2018-11-30 | 光量モニタ装置、及びそれを有する情報取得装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020081760A (ja) |
-
2018
- 2018-11-30 JP JP2018225873A patent/JP2020081760A/ja active Pending
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