JP2020079369A - スタンプ用熱変色性インキ組成物及びそれを用いたスタンプ - Google Patents
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Abstract
Description
前記技術を応用して市販されている摩擦熱消色性スタンプは、消色温度が60℃程度に設定されたインキを内蔵しており、印影を付属の消去部材で擦ることで摩擦熱を発生させ、60℃以上とすることで印影が透明化して消色状態となるものである。
また、市販のインキ内蔵スタンプでは、柄やインキ色が多数あるため、使用者は所望の柄やインキ色に応じて消色しない通常のインキ(非熱変色性インキ)を用いたものと、前記熱変色性インキを用いたものを併用している。そのため、形成された印影が熱変色性インキによるものか、非熱変色性インキによるものかを印影から判別することは難く、印影が60℃以上になるように、消去部材で強く擦過して色変化の有無を確認する必要があるため、手間がかかり、熱変色性インキであった場合には、確認するたびに印影が消えてしまうという不具合が生じるものであった。
更に、前記(イ)成分と(ロ)成分が、1:3〜1:30の比率で配合されることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載のスタンプ用熱変色性インキ組成物を内蔵したスタンプを要件とし、前記スタンプによる印影を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなることを要件とする。
尚、本発明において、前記可逆熱変色性組成物を用いた際における「印影の熱消色時」とは、完全消色温度(t4)以上となった状態をいう。
また、前記完全消色状態(t4)から冷却していくときにも、t2〜t1の間の温度域に変色箇所が得られ、該変色箇所が腰掛形状の曲線となる。前記腰掛形状部分(t′2)と、より低温側の完全着色状態(t1)とで異なる色相を発現するものとなる。
本発明においては、加熱によって(ロ)成分から水素イオンを授受してモノカチオン型となることで、第一の色変化が生じ、更に加熱することで、2つ目のスピロ環が開環してジカチオン型となることで、第二の色変化が生じる。
そのため、単一の化合物で二段階に色変化を生じるという、今までにない変化が視覚される興趣に富んだ印影が得られる。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物が挙げられ、そのうち、発色時に蛍光性を有するためには、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物、ジアザローダミンラクトン系化合物が用いられ、ピリジン化合物が好適に用いられる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4−イソプロポキシフェニルスルホン、4−ベンジルオキシフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジメチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジメチルオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−へプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4−t−ブチル−2´,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
前記式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、こはく酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、4−フェニル安息香酸デシル、4−フェニル安息香酸ラウリル、4−フェニル安息香酸ミリスチル、4−フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4−ビフェニル酢酸オクチル、4−ビフェニル酢酸ノニル、4−ビフェニル酢酸デシル、4−ビフェニル酢酸ラウリル、4−ビフェニル酢酸ミリスチル、4−ビフェニル酢酸トリデシル、4−ビフェニル酢酸ペンタデシル、4−ビフェニル酢酸セチル、4−ビフェニル酢酸シクロペンチル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4−ビフェニル酢酸ヘキシル、4−ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
前記化合物としては、4−ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4−テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
前記化合物としては、p−ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp−メトキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
特に(イ)成分と(ロ)成分が、1:3〜1:30(好ましくは5〜20)の比率で配合されることで、着色状態(第1色)が高濃度で鮮明な色調となるため、第1色と第2色(第1色から加熱した後の着色状態)のコントラストがより明瞭なものとなる。
前記光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3〜24質量%、好ましくは0.3〜16質量%の割合で含有される。又、前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1〜1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.01〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜20μmの範囲が実用性を満たす。
尚、平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合には、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
通常、可逆熱変色性顔料は図1に示すように、消色状態からの降温により完全発色温度(t1)に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温により完全消色温度(t4)に達すると完全に消色状態になる顔料である。
具体的に、前記可逆熱変色性顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性は、図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、t4は完全に消色した状態に達する温度(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、t3は消色し始める温度(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、t2は発色し始める温度(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、t1は完全に発色した状態に達する温度(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
また、t1〜t3間の上方直線と、t2〜t4間の下方直線と垂直距離が変色のコントラストを示す尺度であり、t1〜t2間の縦線と、t3〜t4間の縦線との中央値間の距離がヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
具体的には、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、t4は完全に消色した状態に達する温度(完全消色温度/第二変色温度)における濃度を示す点であり、t′3は第一変色温度における濃度(第2色)を示す点であり、t3は消色し始める温度(消色開始温度)における濃度を示す点であり、t2は発色し始める温度(発色開始温度)における濃度を示す点であり、t′2は第一着色温度における濃度(第2色)を示す点であり、t1は完全に発色した状態(第1色)に達する温度(完全発色温度)における濃度を示す点である。
完全発色温度(t1)より低温で維持された顔料(インキ)は、第1色を呈しており[この時(イ)成分はジカチオン型となっている]、昇温していき、消色開始温度(t3)を越えると変色が開始され、第一変色温度(t′3)に達すると、第2色を呈する[この時(イ)成分はモノカチオン型となっている]。更に昇温していき、完全消色温度(第二変色温度t4)に達すると、消色状態となる。
降温により完全発色温度(t1)に達すると、発色して第1色を呈する。
尚、非変色性の着色剤を添加することにより、着色(1)、着色(2)、着色(3)の色変化が視認され、三通りの印影が視認できるものとなる。
前記可逆熱変色性顔料には、その機能に影響を及ぼさない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤、防腐・防黴剤、非熱変色性染料や顔料等の各種添加剤を添加することができる。
前記水溶性有機溶剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類及びそれらの低級アルキルエーテル、2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、グリセリン、プロピレングリコールが好適に用いられる。
前記増粘剤としてはアルカリ可溶型アクリルエマルジョンが好適に用いられる。
前記増粘剤としてアルカリ可溶型アクリルエマルジョンを用いる場合、インキ組成物のpHは、6乃至11、好ましくは7乃至11、より好ましくは7乃至10に調整される。
前記バインダー樹脂は樹脂エマルジョン、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂から選ばれる。
前記樹脂エマルジョンとしては、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、α−オレフィン−マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリウレタン等の水分散体が挙げられ、前記アルカリ可溶性樹脂としては、スチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられ、前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができ、一種又は二種以上を混合して用いることができる。
前記pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
前記防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
その他、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤を添加することもできる。
尚、インキ組成物中には、非熱変色性の染料或いは顔料を配合して、温度変化により有色(1)から有色(2)への互変性を呈する熱変色像を形成できるよう構成することができる。
前記インキ粘度が3000mPa・s未満では、インキ組成物を用いて紙面に形成した印影が滲み易くなる。10000mPa・sを超えると、連続気孔中においてマイクロカプセル顔料の流動性が不十分で、印面への円滑なインキ組成物の流動が確保できなくなり、連続した捺印操作により不鮮明な印影が形成される。
前記揺変度が1.1未満では、インキ組成物を用いて紙面に形成した印影が滲み易く、2.5を超えると、連続気孔中においてマイクロカプセル顔料の流動性が不十分で、印面への円滑なインキ組成物の流動が確保できなくなり、連続した捺印操作により不鮮明な印影が形成される。
前記スタンプパッド用インキ組成物をスタンプパッドに含浸させて、接触させるスタンプの印面にインキ組成物を供給するスタンプパッドを得たり、連続気孔を有する印材を備えたスタンプ用インキ組成物を連続気孔を有する印材を備えたスタンプの印材に含浸させてスタンプが得られる。
連続気孔を有する印材を備えたスタンプは、印材である連続気孔を有するゴム状弾性体にインキ組成物が含浸されてなり、これを対象面に押しつけると連続気孔の開口部からインキ組成物が対象面に移り、スタンプの表面形状が転写される。転写を望まない箇所は凹部となっているか、あるいはその開口部が閉塞加工されてインキ組成物が対象面に付着することを防止する。
前記スタンプの表面形状としては、日付や記号、「極秘」、「CONFIDENTIAL」、「済」、「受領」等の文字が挙げられる。
連続気孔を有する印材は、その印面が露出するようにスタンプ基材に納められ、露出面は不使用時のインキ組成物の乾燥や不慮の接触による汚染を防止するためキャップを備えることが好ましい。
尚、連続気孔を有する印材の後部には、印材にインキ組成物を供給するインキ貯留部を設けて、押印回数を増加させる構成であってもよい。
前記印材には、予めインキ組成物を含浸してスタンプに取り付ける他、印材を取り付けたスタンプの前記印材にインキ組成物を含浸させてもよい。
印材を取り付けたスタンプの前記印材にインキ組成物を含浸させる場合、印材の前面からインキ組成物を含浸させる他、印材の後面からインキを含浸させることもできる。
また、インキ貯留部を有するスタンプも同様に、予めインキ貯留部にインキを充填してもよいし、印材とインキ貯留部を設けたスタンプのインキ貯留部にインキ組成物を充填してもよい。
前記冷却具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。
尚、消しゴムを使用して印影を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない前述の摩擦部材が好適に用いられる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やスチレン系樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体等)、ポリエステル系樹脂等が用いられる。
前記摩擦部材はスタンプと別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせてスタンプセットを得ることもできるが、スタンプに摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れる。
可逆熱変色性顔料の調整
(イ)成分として、一般式(1)のQ及びQ1が炭素原子、R及びR1が水素原子、p及びqが1、R2及びR3がノルマルブチル基である化合物1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン20.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.0μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:37℃、t′3:45℃、t4:60℃であり、温度変化により紫色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
前記可逆熱変色性顔料(予め−25℃以下に冷却して紫色に発色させたもの)20.0部、グリセリン50.0部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルDR73〕1.5部、トリエタノールアミン0.9部、ポリビニルピロリドン50%水溶液10.0部、シリコン系消泡剤0.2部、浸透レべリング剤0.5部、防腐剤0.2部、水16.7部を混合してスタンプ用熱変色性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、4700mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は2400mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.95であった。
前記インキ組成物を、連続気孔を有する印材2に含浸させ、印材の印面が露出するようにスタンプ基材3に固着し、尾栓4とキャップ5を嵌めてスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影を連続して形成することができた。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では紫色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は紫色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
(イ)成分として、一般式(2)のQ2及びQ3が炭素原子、R4及びR5が水素原子、p及びqが1、R6及びR7がノルマルヘキシル基である化合物3.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン20.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.0μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:37℃、t′3:45℃、t4:60℃であり、温度変化により緑色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−25℃以下に冷却して緑色に発色させたもの)18.0部、グリセリン50.0部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルTT935〕3.3部、トリエタノールアミン0.9部、ポリビニルピロリドン50%水溶液10.0部、シリコン系消泡剤0.2部、浸透レベリング剤0.5部、防腐剤0.2部、水16.9部を混合してスタンプ用熱変色性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、4000mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は3000mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.33であった。
実施例1で用いたインキ組成物を、前記スタンプ用熱変色性インキ組成物に置き換えた以外は同様にしてスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影を連続して形成することができた。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では緑色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は緑色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
実施例2の(イ)成分を3.0部から1.5部に代え、(ロ)成分を20.0部から10.0部に代えた以外は実施例2と同様の化合物からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.2μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:37℃、t′3:45℃、t4:60℃であり、温度変化により淡黒色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−25℃以下に冷却して淡黒色に発色させたもの)16.0部、グリセリン50.0部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルTT935〕4.4部、トリエタノールアミン0.9部、ポリビニルピロリドン50%水溶液10.0部、シリコン系消泡剤0.2部、浸透レベリング剤0.5部、防腐剤0.2部、水17.8部を混合してスタンプ用熱変色性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、8000mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は6600mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.21であった。
前記インキ組成物を、連続気孔を有する印材2と、気孔率が印材よりも高い連続気孔を有する貯留部6に含浸させ、取替部7に貯留部を収容し、前記貯留部に当接させて印材を固着し、更に取替部とスタンプ基材3を螺合し、尾栓4とキャップ5を嵌めてスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影をより連続して形成することができた。
また、前記スタンプは、スタンプ基材から取替部を取り外して、複数の別の取替部を装着して実用に供することができた。
別の取替部は、同一のインキを収容し、同一の印材を備えた取替部、色の異なるインキを収容し、同一の印材を備えた取替部、同一のインキを収容し、異なる像の印材を備えた取替部、色の異なるインキを収容し、異なる像の印材を備えた取替部を作製した。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では淡黒色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は淡黒色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
実施例2の(ロ)成分を20.0部から10.0部に変えた以外は実施例2と同様の化合物からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.2μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:37℃、t′3:45℃、t4:60℃であり、温度変化により赤紫色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−25℃以下に冷却して赤紫色に発色させたもの)20.0部、グリセリン50.0部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルTT935〕1.6部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルDR73〕0.8部、トリエタノールアミン0.9部、ポリビニルピロリドン50%水溶液10.0部、シリコン系消泡剤0.2部、浸透レベリング剤0.5部、防腐剤0.2部、水15.8部を混合してスタンプ用熱変色性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、5500mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は3550mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.55であった。
実施例1のインキ組成物を、前記スタンプ用熱変色性インキ組成物に置き換えた以外は同様にしてスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影を連続して形成することができた。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では赤紫色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は赤紫色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
実施例2の(ロ)成分を20.0部から15.0部に変えた以外は実施例2と同様の化合物からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.2μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:37℃、t′3:45℃、t4:60℃であり、温度変化により黒色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−25℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)18.0部、グリセリン50.0部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルTT935〕5.5部、トリエタノールアミン0.9部、ポリビニルピロリドン50%水溶液10.0部、シリコン系消泡剤0.2部、浸透レベリング剤0.5部、防腐剤0.2部、水14.7部を混合してスタンプ用熱変色性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、10000mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は9000mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.11であった。
前記インキ組成物を、連続気孔を有する印材と、気孔率が印材よりも高い連続気孔を有する貯留部に含浸させ、貯留部を収容し、前記貯留部に当接させて印材を固着したスタンプ基材と、スタンプ基材の外周に、スタンプ基材に対して摺動自在に配設され、未使用時は弾発力により印材の印面より下に下端が位置する鞘部と、鞘部内に配設され、未使用時は印材を遮蔽する一対のシャッター部材を有するスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影をより連続して形成することができた。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では黒色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は黒色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
実施例2の(ロ)成分を4,4′−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノールに変えた以外は実施例2と同様の化合物からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.0μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:35℃、t′3:43℃、t4:60℃であり、温度変化により黒色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−25℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25.0部、グリセリン50.0部、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、商品名:プライマルDR73〕1.1部、トリエタノールアミン0.9部、ポリビニルピロリドン50%水溶液10.0部、シリコン系消泡剤0.2部、浸透レベリング剤0.5部、防腐剤0.2部、水12.1部を混合してスタンプ用熱変色性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、3000mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は1500mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、2.0であった。
前記インキ組成物を、0から9の数字からなる印面を形成した連続気孔を有する回転印用のベルト状印材に含浸させた。
前記印材を回転印に組み込んでスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影をより連続して形成することができた。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では黒色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は黒色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
実施例2の(ロ)成分を4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノールに変えた以外は実施例2と同様の化合物からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.0μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:36℃、t′3:44℃、t4:60℃であり、温度変化により黒色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
実施例4の可逆熱変色性顔料を、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に置き換えた以外は同様にしてスタンプ用熱変色性インキ組成物を調製した。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、5500mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は3550mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.55であった。
前記インキ組成物を、連続気孔を有する印材に含浸させ、印材の印面が露出するようにスタンプ基材に固着し、尾栓とキャップを嵌めてスタンプを得た。
尚、前記印材の周囲には、押印時に縦方向にバネ機構により上下動するガイド片を設けてなり、ガイド片が対称面(紙)に当接することにより印材が均等に対称面に接触するよう構成されてなる。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では黒色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は黒色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
可逆熱変色性顔料の調整
実施例2の(イ)成分を、一般式(2)のQ2及びQ3が炭素原子、R4及びR5がターシャリーブチル基、p及びqが1、R6及びR7がノルマルブチル基である化合物に変えた以外は実施例2と同様の化合物からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性顔料を調製した。
前記可逆熱変色性顔料は、平均粒子径2.0μm、t1:−25℃、t2:−14℃、t3:37℃、t′3:45℃、t4:60℃であり、温度変化により緑色からピンク色に変色し、更にピンク色から無色に変色する。
実施例5の可逆熱変色性顔料を、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に置き換えた以外は同様にしてスタンプ用熱変色性インキ組成物を調製した。
得られたインキ組成物を25℃でBL型粘度計を用いて6rpmで測定したインキ粘度は、10000mPa・sであり、60rpmで測定したインキ粘度は9000mPa・sであり、揺変度(6rpmで測定したインキ粘度/60rpmで測定したインキ粘度)は、1.11であった。
実施例1のインキ組成物を、前記スタンプ用熱変色性インキ組成物に置き換えた以外は同様にしてスタンプを得た。
前記スタンプを用いて対象面(紙)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキ組成物が円滑に流出して対象面に移り、印影が滲むことなく、明瞭な印影を連続して形成することができた。
前記スタンプにより得られる印影は、室温下(25℃)では緑色の印影が視認され、45℃(t′3)になるとピンク色の印影が視認され、45℃から25℃に戻ることでピンク色の印影は緑色に戻ることが確認された。更に加温して60℃(t4)になると無色になることが確認された。
t2 可逆熱変色性顔料の発色開始温度
t′2 可逆熱変色性顔料の第一着色温度
t3 可逆熱変色性顔料の消色開始温度
t′3 可逆熱変色性顔料の第一変色温度
t4 可逆熱変色性顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 スタンプ
2 印材
3 スタンプ基材
4 尾栓
5 キャップ
6 インキ貯留部
7 取替部
Claims (4)
- (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包された可逆熱変色性顔料を用いた筆記具用インキ組成物であって、前記(イ)成分が、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物であるスタンプ用熱変色性インキ組成物。
- 前記(イ)成分と(ロ)成分が、1:3〜1:30の比率で配合される請求項1記載のスタンプ用熱変色性インキ組成物。
- 前記請求項1又は2に記載のスタンプ用熱変色性インキ組成物を内蔵したスタンプ。
- 前記スタンプによる印影を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなる請求項3記載のスタンプ。
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