JP2020079179A - 水素製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素製造装置の小型化、マイクロ波出力の大電力化、機器間の接続信頼性の向上を図るとともに、水素ガスの生成効率を高めて、水素の安定的供給を実現する水素製造装置の提供。【解決手段】円筒空胴共振器2内にマイクロ波を照射して、シングルモードの定在波を形成する水素製造装置1であって、水素製造装置はマイクロ波を増幅して円筒空胴共振器内に供給する電力系1Pを有し、電力系は、マイクロ波増幅器31、円筒空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナ34及び円筒空胴共振器を含み、マイクロ波増幅器の出力端とアンテナの入力端が直接接続され、定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、円筒空胴共振器を円筒軸方向に貫通して配された反応管を有し、反応管内にはアンモニアガスを分解して水素ガスを生成する触媒が配され、円筒空胴共振器内に定在波を形成して触媒を加熱状態として、アンモニアガスの接触分解反応を生じる、水素製造装置。【選択図】図1

Description

本発明は、水素製造装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、燃料電池等に供給される水素を製造する水素製造装置に関する。
水素は、燃焼による熱エネルギー生成時や、燃料電池等における化学反応による電力生成時に、環境汚染物質、地球温暖化の原因となる二酸化炭素等を生じない。そのため、次世代クリーンエネルギーとして、水素利用技術に関する研究開発が盛んに進められている。
水素ガスは天然にはほとんど存在しない。そのため、貯蔵輸送性に優れたアンモニアなどの水素原子含有物質を輸送・貯蔵し、必要な場所で水素ガスに転換することが検討されている。水素原子含有物質からの水素の生成には、触媒の作用による接触分解反応が利用される。例えば特許文献1には、空胴共振器内にマイクロ波を照射してTE10n(nは整数)モードの定在波を形成することにより、空胴共振器内に配した改質触媒を加熱すること、これによりアンモニア等の窒化水素系ガス燃料を分解して水素及び窒素を生成することが開示されている。
特開2009−274881号公報
マイクロ波照射に用いるマイクロ波源としては、マグネトロンが知られている。特許文献1においても、具体的な実施形態ではマグネトロンを用いてマイクロ波を照射している。しかし、マグネトロンは大出力を得やすい反面、装置が大型化し、寿命は短く、また振動等に弱いなどの問題がある。
また、マイクロ波源として、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器(固体素子発振器とも称す。)も知られている。固体素子発振器を用いることにより装置の小型化、長寿命化、振動耐性の強化等を実現できる。しかし、固体素子発振器では逆に、大出力を得ることが難しく、被加熱対象物の迅速な高温加熱等が要求される場合には対応が難しい場合があった。
さらに固体素子発振器を用いてマイクロ波を発生させた場合、大電力を得るために発生させたマイクロ波を増幅して用いることになる。しかし、100〜200W程度の大電力マイクロ波を供給した場合、例えば整合器とアンテナとを接続する接続部に焼損を起こすことがあり、接続部の信頼性を高めることが必要であった。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明は、マイクロ波加熱を利用してアンモニアガスの接触分解反応を生じる水素製造装置であって、装置の小型化、マイクロ波の大電力化が可能であり、アンモニアガスからの水素ガスの生成効率を所望のレベルへと高めることができ、水素の安定的な供給を実現することができる水素製造装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、電界強度の極大部分が円筒空胴共振器の中心軸に沿って形成されるTM0n0(nは1以上の整数)モードのマイクロ波定在波を、アンモニアガスの接触分解反応に利用することを検討した。そして、当該定在波を形成する円筒空胴共振器とマイクロ波を供給する電力系の機器を同一の筐体内に収納する形態とし、さらに、円筒空胴共振器の内部に触媒を配した反応管(流通管)を電界強度極大部分(円筒軸)に沿って、空胴共振器を貫通して配した構成の装置を作製した。本発明者らはこの装置を用いて、空胴共振器内に、100W〜200W程度の大電力のマイクロ波を供給してTM0n0モードの定在波を形成した状態で、反応管内にアンモニアガスを供給したところ、内径を大きくした反応管内を流通させたアンモニアガスを触媒の作用により十分に分解できることを見出した。すなわち、上記装置が、アンモニアガスからの水素ガスの生成効率を所望の十分なレベルへと高めることができる水素製造装置として用いることができることを見出した。また、マイクロ波増幅器を冷却することによって、固体素子発生器のような低出力マイクロ波源を用いても大電力マイクロ波を供給でき、装置の小型化も可能になることを見出すに至った。
本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
[1]
円筒空胴共振器内にマイクロ波を照射して、該円筒空胴共振器内にシングルモードの定在波を形成する水素製造装置であって、
前記水素製造装置はマイクロ波を増幅して前記円筒空胴共振器内に供給する電力系を有し、
前記電力系は、マイクロ波増幅器、該マイクロ波増幅器から前記円筒空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナ及び前記円筒空胴共振器を含み、
前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
前記マイクロ波増幅器の出力端と前記アンテナの入力端が直接接続され、
前記定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、前記円筒空胴共振器を円筒軸方向に貫通して配された反応管を有し、
前記反応管内にはアンモニアガスを分解して水素ガスを生成する触媒が配され、
前記円筒空胴共振器内に前記定在波を形成して前記触媒を加熱状態として、前記反応管内にアンモニアガスを流通させて前記反応管内でアンモニアガスの接触分解反応を生じる、水素製造装置。
[2]
円筒空胴共振器内にマイクロ波を照射してTM0n0(nは1以上の整数)モードの定在波を形成する水素製造装置であって、
前記水素製造装置はマイクロ波を発生させる信号系と該マイクロ波を増幅して前記円筒空胴共振器内に供給する電力系とを有し、
前記電力系は、前記信号系によって発生されたマイクロ波出力を高めるマイクロ波増幅器を有し、該マイクロ波増幅器の出力端と前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナとの間に、反射波を吸収するアイソレータ及び反射波を抑制する整合器の少なくとも一つのコンポーネンツを含み、
前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
前記コンポーネンツの最終出力端と前記アンテナの入力端が直接接続され、
前記定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、前記円筒空胴共振器を円筒軸方向に貫通して配された反応管を有し、
前記反応管内にはアンモニアガスを分解して水素ガスを生成する触媒が配され、
前記円筒空胴共振器内に前記定在波を形成して前記触媒を加熱状態として、前記反応管内にアンモニアガスを流通させて前記反応管内でアンモニアガスの接触分解反応を生じる、水素製造装置。
[3]
前記TM0n0モードの定在波がTM010モードの定在波である、[1]又は[2]に記載の水素製造装置。
[4]
前記触媒の誘電損失係数が前記反応管の形成材料の誘電損失係数よりも大きい、[1]〜[3]いずれかに記載の水素製造装置。
[5]
前記筺体内に冷却部を有し、該冷却部は少なくとも前記マイクロ波増幅器を冷却する[1]〜[4]のいずれかに記載の水素製造装置。
[6]
前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系は、前記空胴共振器の外側の側部の前記筺体に配した平面視L字形の凹部底部に配され、該凹部底部の内部に前記冷却部が配されている[5]に記載の水素製造装置。
[7]
前記マイクロ波増幅器を搭載する回路基板の裏面側に形成されたグランドパターンと前記筺体とが接触している[1]〜[6]のいずれかに記載の水素製造装置。
本発明に係る水素製造装置は、装置の小型化、マイクロ波の大電力化が可能であり、アンモニアガスからの水素ガスの生成効率を所望のレベルに高めることができ、水素の安定的な供給を実現することができる。
本発明の水素製造装置の好ましい一実施形態を模式的に示したブロック図である。 図1に示した水素製造装置の筐体の蓋を外した状態の電力系の好ましい一例を示した平面図である。 図1に示した水素製造装置の電力系のマイクロ波増幅器とアイソレータの好ましい配置の一例を示したブロック図である。 マイクロ波増幅器の特性を調べた増幅率(ゲイン)と周波数との関係を示した図であり、入力信号として1mW(0dBm)〜500mW(+25dBm)を2.35GHz〜2.55GHzの範囲で変えながら測定した図である。 図1に示した水素製造装置の空胴共振器、反応管及び触媒の好ましい配置の一例及び寸法の一例を示した断面図である。 入射波モニター値による設定電力(10W〜50W)のマイクロ波照射による、各マイクロ波電力と触媒表面温度との関係を示した図である。 マイクロ波最大電力を50W、触媒温度400℃にて一定で運転したときの温度、マイクロ波電力(入射波電力−反射波電力)、共振周波数の時間プロファイルの関係図である。 図7における0〜3分までの、温度、マイクロ波電力(入射波電力−反射波電力)、共振周波数の時間プロファイルの関係図である。 本発明のマイクロ波処理装置の最大性能を確認する昇温特性を示した図である。 アンモニアガスの接触分解反応が生じていることを示した図であり、左縦軸に触媒温度、右縦軸に転化率、横軸に触媒分解反応の経過時間を示した図である。 質量分析器によって測定した触媒分解反応の経過とともに変化するアンモニアガスと水素ガスのイオン電流を示した図であり、縦軸にイオン電流を示し、横軸に時間を示した図である。 小信号RFとして−4dBmのマイクロ波を供給したときのアンモニアガスの接触分解反応が生じていることを示した図であり、左縦軸に触媒温度、右縦軸に転化率、横軸に触媒分解反応の経過時間を示した図である。 小信号RFとして−4dBmのマイクロ波を供給したときの、質量分析器によって測定した触媒分解反応の経過とともに変化するアンモニアガスと水素ガスのイオン電流を示した図であり、縦軸にイオン電流を示し、横軸に時間を示した図である。
本発明の好ましい実施形態について説明する。
[水素製造装置]
本発明の水素製造装置の好ましい実施形態の一例について、図1〜3を参照して説明する。なお、各図面に示される装置は、本発明の理解を容易にするための模式的に示した図面であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
図1に示すように、水素製造装置1は、空胴共振器2内にマイクロ波を照射して、該空胴共振器2内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波処理装置であり、信号系1Sと電力系1Pとを有する。
<信号系>
信号系1Sは、マイクロ波発生器21、減衰器22、制御器23を含む。マイクロ波発生器21は空胴共振器2内に供給するためのマイクロ波を発生させる。減衰器22は空胴共振器2に配した反応管6内の触媒CTの温度を調整するようにマイクロ波の減衰レベル(振幅レベル)を調整して最終のマイクロ波電力を決定する。制御器23は、検波器25、温度測定器26等の情報に基づいて、マイクロ波発生器21から発生されるマイクロ波の出力を制御する。さらに、マイクロ波発生器21、制御器23等を駆動する信号系電源24が含まれている。この信号系1Sは、回路基板(図示せず)上に形成することが可能であり、例えば5×9cm程度の回路基板に形成することができ、自動車等に搭載が容易になる。
<電力系>
一方、図1〜3に示すように、電力系1Pは、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33、アンテナ34及び空胴共振器2を含む。マイクロ波増幅器31は減衰器22によって減衰したマイクロ波出力を高める。アイソレータ32はマイクロ波の反射波を吸収して反射波からマイクロ波増幅器31を保護する。このアイソレータ32の替わりにサーキュレータを用いる場合には、サーキュレータの一つのポートに終端抵抗(ダミーロード)を接続することが好ましい。終端抵抗によって反射波が吸収される。このようにして、サーキュレータをアイソレータとして機能させる。以下、接続とは電気的接続を意味する。整合器33は、アンテナ34からの反射波の発生を抑制する。アンテナ34は、空胴共振器2内に整合器33を経たマイクロ波を供給する。マイクロ波増幅器31が反射波によって損傷しない場合は、マイクロ波増幅器31の出力端からアンテナ34までの間に、アイソレータ32及び整合器33の少なくとも一つのコンポーネンツを含むようにしてもよい。又はアイソレータ32及び整合器33の両方を設置しなくてもよい。さらに、マイクロ波増幅器31を駆動する電力系電源35が含まれていることが好ましい。
電力系1Pは、各構成部品が同一の筐体3内に配されている。図2に詳細を示すように、例えば、空胴共振器2の側部の一方に筐体凹部(凹部)3Aが配され、凹部3Aに連続して空胴共振器2の側部の他方に筐体凹部(凹部)3Bが配されることが好ましい。すなわち、凹部3A、3Bは平面視L字形に構成されることが好ましい。筐体凹部3Aには、マイクロ波増幅器31を構成する回路基板31Bが配される。この回路基板31Bに入射波測定用の入射波端子36、反射波測定用の反射波端子37を配することもできる。筐体凹部(凹部)3Bには、アイソレータ32及び整合器33を構成する回路基板32B及び33Bが配される。このように平面視L字形の凹部3A、3Bによって、回路基板31B〜33Bを平面視接近又は接触させた状態に配することができ、回路基板31B〜33Bの設置面積を少なくできる(省スペース化、装置の小型化)。筐体3には空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A及び凹部3Bを密閉する蓋(図示せず)が配されている。
さらに整合器33を構成する線路33Lの出力端33LOUTにアンテナ34の入力端34INが直接接続されている。直接接続とは、コネクタ及びケーブルを用いず、出入力端同士を接触させた状態で接続すること、又は出入力端間にリード線を配して接続することを含む。接続方法としては、はんだ接続、溶融接続(レーザ接続、超音波接続、等)が挙げられ、信頼性の高さからはんだ接続が好ましい。また、マイクロ波増幅器31とアイソレータ32との接続、アイソレータ32と整合器33との接続においても、上記の直接接続されていることが好ましい。
電力系1Pの各構成部品(マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33及びアンテナ34)が同一の筐体3内に配されることによって、水素製造装置1の小型化、軽量化が可能になり、自動車等に搭載が容易になる。装置寸法は、蓋を含めた筐体3の外寸にて、例えば150mm×140mm×35mmとすることによって小型化できる。
また、マイクロ波増幅器31が配されることによってマイクロ波の大電力化が可能になる。
さらに整合器33の線路33Lの出力端33LOUTにアンテナ34の入力端34INが直接接続していることから、端子の接続にコネクタを用いる必要ないため、コネクタが焼損を起こすことも無くなり、上記の直接接続している接続部の信頼性が高められる。
<筐体内の冷却>
筺体3には、空胴共振器2、アンテナ34を除く電力系(マイクロ波増幅器31、アイソレータ32及び整合器33)が構成される電力系1Pの回路領域(以下、回路領域という)を冷却する冷却部41を有する。回路領域とは、筐体3における、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32及び整合器33が搭載される回路基板31B,32B及び33Bの設置領域をいう。
冷却部41は、回路領域が形成される部分の筐体凹部3A、3B底部の厚さを利用して、その厚さ内に形成された流路42により構成される。流路42は、例えば、回路領域の幅方向の中央部下を通るように第1流路42Aが配される。この第1流路42Aは並列に複数本配してもよい。また、回路領域と空胴共振器2との境界部分またはその近傍を通るように第2流路42Bが配される。各流路42A、42Bには、コネクタ(図示せず)を介して冷媒(例えば冷水)を供給する管(図示せず)が接続される。第1流路42A内を流れる冷媒によって、各回路領域が冷却され、第2流路42B内を流れる冷媒によって、空胴共振器2が発熱した熱を回路領域の筐体凹部3A、3B側に伝熱しないようにしている。また、空胴共振器2側の温度が筐体凹部3A、3Bよりも低い状態では、筐体凹部3A、3Bに配した各機器が発熱した熱が空胴共振器2側に伝熱されないようにしている。上記第1流路42Aと第2流路42Bとは筺体3内にて接続流路42Cによって接続されていてもよい。
このようにして空胴共振器2から離れた空胴共振器2側方の筐体凹部3A、3Bの底部内に冷却部41が配されることから、空胴共振器2内の加熱に影響を及ぼすことなく、回路基板31B〜33Bの冷却が可能になる。これによって、空胴共振器2の温度制御性を低下させることなく、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32及び整合器33を効率的に冷却することが可能になる。この冷却によって、マイクロ波増幅器13の高出力化が可能になり、200W程度又はそれ以上の大電力を供給することが可能になる。
上記筐体凹部3A、3Bにおける各回路基板31B〜33Bは、その裏面をベタのグランドパターン(図示せず)や、表面の高周波回路外周領域をベタのグランドパターン(一部図示せず)を設けることによって、ノイズ対策が施されていることが好ましい。ベタとは、ある範囲内が同一材料によって1層に形成されていることをいう。各回路基板31B〜33Bの裏面のベタのグランドパターンと筐体凹部3A又は3Bの底部とは、高周波特性の観点から、また冷却性の観点から、接触することが好ましい。また、各回路基板31B〜33Bにおいて、裏面のグランドパターンは、表面のグランドパターンと接続されて、同電位(接地電位)にされることが好ましい。表面のグランドパターンと裏面のグランドパターンとは、各回路基板31B〜33Bを筐体凹部3A、3Bの底部に固定するネジによって同電位にされることが好ましい。したがって、このネジは導電性を有することが好ましい。例えば、回路基板33Bの場合、表面にグランドパターン33Gが形成され、裏面にベタのグランドパターンが形成されている。そのため、回路基板33Bを固定する例えばネジによって、両グランドパターンを接続して、同電位にすることが好ましい。
特に、回路基板31Bのマイクロ波増幅器31や終端抵抗(ダミーロード)32Rは、放熱面(図示せず)が規定されている。そのため、それらの放熱面が冷却部41を配した領域の凹部3A、3Bの底面に直接接触する、もしくは熱伝導性に優れた熱伝導グリス(図示せず)を介して接触して、冷却部41上の筐体凹部3A、3Bの底面に圧着されることが好ましい。同様に、回路基板31B〜33Bも、各裏面に形成されたグランドパターンが冷却部41上の筐体凹部3A、3Bの底面に圧着されることが好ましい。このように回路基板31B〜33Bが配されることによって、回路基板31B〜33Bを裏面からその全体を効率良く冷却することが可能になる。また、上記したように、回路基板31B〜33Bの裏面側は、全面ベタのグランドパターンになっていることが好ましい。すなわち、筐体3に接触することによって、筐体3と同電位(接地電位)にすることが容易になる。このため、高周波ノイズの発生が抑えられ、ノイズ対策ができる。
<電力系の機器間の接続>
マイクロ波増幅器31の出力端(図示せず)とアイソレータ32の入力端(図示せず)、及び/又はアイソレータ32の出力端32OUTと整合器33の入力端33LINとの接続は、出入力端同士が直接接続されていることが好ましい。例えば、上記したように、整合器33の線路33LBの出力端33LOUTにアンテナ34の入力端34INは直接接続されている。
上記のように出入力端同士が直接接続していることから、出入力端同士の接続にコネクタを用いる必要がないので、コネクタ接続部が焼損を起こすことも無くなり、接続部の信頼性が高められる。
上記説明したように各機器を凹部3A、3Bの狭い範囲にまとめて配することができるため、コネクタやケーブルを用いず、各機器間の接続を各機器の端子間の直接接続によって成し得る。直接接続には、例えば、はんだを用いた接続が挙げられる。その際、はんだのみの場合とリード線又は導体片を用いてはんだにより接続する形態が挙げられる。リード線又は導体片は大電力に耐えうる断面積を有する。この断面積とはリード線及び導体片の電流が流れる方向に対して直角方向の断面積をいう。
<入射波及び反射波の測定端子>
上記マイクロ波増幅器31とアイソレータ32との間に入射波測定用の入射波端子36を設けることが好ましい。また、アイソレータ32に反射波測定用の反射波端子37を設けることが好ましい。空胴共振器2に供給されるマイクロ波の電力は、マイクロ波増幅器31から得られる入射波電力Pfや反射波電力Prをモニターしながら、調整することが望ましい。
次に各構成部品について詳細に説明する。
まず信号系1Sについて図1を参照して説明する。
<マイクロ波発生器>
上記マイクロ波発生器21としては、発振周波数を2.45GHz帯のマイクロ波を発生できるマイクロ波発生器を挙げることができる。マイクロ波の周波数を微調整できるという観点、装置の小型化という観点から、半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器を用いることが好ましい。半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器としては、例えばガンダイオード、アバランシェダイオード(インパットダイオード)、等を用いたマイクロ波発生器が挙げられる。もしくは、MHz帯ではコイルとコンデンサからなるLC回路による発振回路も用いることができる。また、これらの素子と周波数制御機構をパッケージ化したVCO(Voltage Controlled Oscillator)やPLL(Phase Lockd Loop)回路等も挙げることができる。マイクロ波発生器21によって発生されるマイクロ波は、周波数が2.45GHz帯のマイクロ波に限定されるものではなく、915MHz帯、5.8GHz帯等、その他の周波数帯のマイクロ波を発生するものも、適宜、用いることができる。
<減衰器>
減衰器(アッテネータ)22は、反応管6の触媒CTの温度を調整するように減衰レベルを調整し、最終のマイクロ波電力を決定する。マイクロ波増幅器31の入り口レベルを減衰器22で調整することで、最終出力を調整するものである。
<制御器>
制御器23は、例えば、検波器25の信号を解析してマイクロ波発生器31への周波数信号を決定する、温度測定器26の値をもとに減衰器22の減衰率を決定する。制御器23の機能は上記に限定されることはなく、水素製造装置1の各種機能を制御することもできる。
上記周波数信号の決定の一例としては、マイクロ波発生器21から発生するマイクロ波を、空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A内に形成された定在波の周波数に一致させることが好ましい。この一致させるとは、完全に一致することが好ましいが、ある範囲内、例えば0.1〜0.2%以内の差がある場合も周波数が一致している範ちゅうに含むものとする。そして、周波数を一致させたマイクロ波をマイクロ波照射空間2A内に照射させる。そのため、空胴共振器2には、マイクロ波照射空間2A内の定在波の形成状態を検出する検波器25が配されていることが好ましい。検波器25には、マイクロ波照射空間2A内部のエネルギー強度を計測し、その信号を処理して周波数を検出するものであればよい。検波器25にて得た信号は、例えば、検波器端子38から取り出せる。定在波の形成状態を検出する方法として、空洞共振器2からの反射波をアイソレータ32につけた反射波端子37から得られる情報を用いることもできる。
上記信号系1Sの駆動電源として信号系電源24(図1参照)には、直流電源が用いられている。
なお、信号系1Sの各機器同士の接続には、大電流が流れて焼損等のリスクが少ないため、コネクタ及びケーブルを用いることができる。例えば、信号系電源24と信号系1Sとの接続、制御器23とマイクロ波発生器21、減衰器22、検波器25、温度測定器26等との接続にも、コネクタ及びケーブルを用いることができる。
上記温度測定器26には、非接触にて温度測定が可能な放射温度計を用いることが好ましい。
電力系1Pについて、図1〜2を参照して説明する。
<空胴共振器>
水素製造装置1に用いる円筒空胴共振器2の形状は、一つのマイクロ波供給口4を有し、マイクロ波を供給した際にシングルモードの定在波が形成されるものであれば特に制限はない。例えば、円筒形の他に角筒形の空胴共振器も用いることができる。また本明細書において円筒空胴共振器とは、該空胴共振器の中心軸Cに垂直な内側断面形状が円形であるものの他、当該断面形状が楕円形もしくは長円形であるものを含む意味に用いる。また、角筒空胴共振器は、中心軸Cに直角な内側断面形状が多角形であるものを意味し、当該断面形状が4〜10角形であることが好ましい。また、多角形の角が、丸みを帯びた形状であってもよい。
ここで、円筒空胴共振器の「中心軸」は「円筒軸」とも称し、円筒の円の中心を通り、円周方向に対して垂直に伸びる軸を意味する。以下、円筒空胴共振器を空胴共振器2として説明する。
円筒空胴共振器2には、円筒空胴共振器2内に形成されるTM0n0(nは1以上の整数、好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1である。)モードの定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、円筒空胴共振器2を円筒軸方向に貫通する反応管6(流通管6)が配されている。本発明では、TM0n0モードの定在波を利用するため、反応管6は円筒空胴共振器2の中心軸Cに沿って配される。この反応管6内には、アンモニアガスを接触分解して水素ガスを生成する触媒CT(以下、単に触媒とも称す。)(図1参照)が配されている。
円筒空胴共振器2のマイクロ波照射空胴2Aには、マイクロ波増幅器31によって増幅されたマイクロ波が供給される。例えば、周波数が2.45GHz帯のマイクロ波が供給される。
円筒空胴共振器2の大きさも上記説明した形態において、目的に応じて適宜に設計することができる。円筒空胴共振器2は電気抵抗率の小さいものが望ましく、通常は金属製であり、一例として、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、黄銅、ステンレス、若しくはそれらの合金等を用いることができる。又は、樹脂やセラミック、金属の表面に電気抵抗率の小さい物質をめっき、蒸着などによりコーティングしてもよい。コーティングには銀、銅、金、スズ、ロジウムを含む材を用いることができる。
また、空胴共振器2には温度測定窓5が形成されていることが好ましい。
<マイクロ波増幅器>
水素製造装置1はマイクロ波発生器21から発生したマイクロ波の出力を増幅するマイクロ波増幅器31を備える。マイクロ波増幅器31の構成に特に制限はないが、例えば、高周波用電界効果トランジスタ(FET)を有する高周波トランジスタ回路で構成されることが、小型化において好ましい。またマイクロ波増幅器31の出力電力は、好ましくは0.1〜2kW、より好ましくは0.1〜400W、さらに好ましくは1〜200Wである。
例えば、マイクロ波増幅器31は、大電力出力を得るために、複数段増幅とすることが好ましい。例えば、第1段増幅器311と第2段増幅器312を含む2段増幅器とする。上記高周波用FETには、200Wの大電力マイクロ波トランジスタを用いることができる。マイクロ波増幅器31は、例えば、増幅可能周波数帯域:2.4GHz〜2.5GHz、出力電力:0.1〜200W(+20dBm〜+53dBm)、増幅率:+33dB以上である。また、増幅後の入射波及び反射波を測定するための、マイクロ波増幅器31とアイソレータ32との間に入射波電力を測定するための入射波端子36を備え、アイソレータ32に反射波電力を測定するための反射波端子37を備えることが好ましい(図2、3参照)。
例えば、最大入力0.1W(+20dBm)の信号マイクロ波を2段階で増幅する。最終段には大電力LDMOS(横方向拡散MOS)トランジスタを採用する。例えば、AMPLEON社製 BLC2425M9LS250;最大電力250WのLDMOSトランジスタを用いることができる。
増幅後のマイクロ波を、1/1000(−30dB)を進行波(PF)として検出するとともに、アイソレータ32で反射波(PR)を防ぐことができる。マイクロ波増幅器31全体は、例えば電力系電源35から供給される直流電圧によって駆動することができる。直流電圧としては、例えば32Vを印加する。
上記マイクロ波増幅器は、例えば以下のような特性を有する。入力信号として1mW(0dBm)〜500mW(+25dBm)について5dBmごとに、2.35GHz〜2.55GHzの範囲で周波数を変えながら増幅率(ゲイン:Pg)を測定した。その結果の一例を図4に示す。仕様とした入力Pin=+20dBmにおいて、2.4GHzから2.5GHzの範囲では増幅率Pg>+36dBを満たしていることが確認できる。ただし、増幅率は入力電力に対して異なっており、また2.48GHzでピークをもつ周波数特性(f特)を持つ増幅率を有している。このことから、被処理対象物に照射するマイクロ波の電力は、本増幅回路から得られる入射波電力Pfや反射波電力Prをモニターしながら、調整することが望ましい。
なお、このような周波数特性を持つ増幅回路に対し、制御器23は、あらかじめ周波数特性の情報を内部メモリーに取り込んで随時参照しながら運転することが好ましい。
<アイソレータ>
アイソレータ32は、マイクロ波発振器21にて発生する反射波の影響を抑制(例えば吸収)してマイクロ波増幅器31を保護するものであり、一方向(アンテナ34方向)にマイクロ波が供給されるようにするものである。このアイソレータ32には、代わりにサーキュレータ32Cを用いることもできる。サーキュレータ32Cを用いる場合には3つのポートのうち一つのポートに終端抵抗(ダミーロード)32Rを接続する。残りの2つのポートが入力と出力になる。サーキュレータにはマイクロストリップラインを利用したものがあり、小型化に優れている。例えば、定格出力が300WのADMOTECH社製ADC245CD(100)(商品名)を用いることができる。この場合、例えば、反射波電力を1/1000(−30dB)の感度で検出することが好ましい。
<整合器>
整合器33は反射波が発生しないように反射波を抑制する機能を有する。整合器としては、可変式のスリースタブチューナやスラグチューナ等用いることができる。また、被処理対象物のマイクロ波吸収特性が大きく変化しない場合は、固定式の整合器を用いることもできる。また、被処理対象物を設置した際、一時的に整合器を調整できる半固定式の整合器を用いることができる。以下は、半固定式の整合器の例を示す。
すなわち、回路基板33B上にマイクロストリップラインによって構成された線路33Lと、該線路33Lのインピーダンス(例えば、Sパラメータ)を調整するコンデンサ33Cとを有することが好ましい。また、線路33Lには、線路33Lのインピーダンスを調整するための線路パターン調整部(図示せず)を配してもよい。線路33Lは、通常の回路基板に用いられる銅箔パターンで形成することが好ましい。なお線路33Lはストリップラインによって構成したものであってもよい。コンデンサ33Cは、チップコンデンサを用いることができ、例えばネットワークアナライザ(VNA)を用いて、Sパラメータによる順方向の反射係数S11の値と順方向の伝送係数S21の値とによって設置位置を調整することができる。具体的には、反射波が最小になるように、すなわちS11(順方向の反射波)の値が極小になるように、コンデンサ33Cの位置を調整する。また、S11の値が極小になるように、線路33Lの幅及び/又は長さのトリミングによる調整によって、S11の値の極小値を求めることもできる。また、線路33Lにスタブ状(枝状)の線路(線路パターン調整部)を接続しスタブの幅及び/又は長さを調整することによって、S11の値の極小値を求めることもできる。なお、コンデンサ33Cの容量を変えることによりS11の値の極小値を求めることもできる。もしくは、コンデンサ33Cを複数用い、それぞれの位置を微調整することでS11の値の極小値を求めることも可能である。
線路33Lの入力端33LINにはアイソレータ32の出力端32OUTがコネクタを介さず、例えば、リード線39をはんだ付けすることによって接続されている。また、線路33Lの出力端33LOUTにはアンテナ34の入力端34INが直接接続されている。整合器33を構成する回路基板33Bは、回路基板33Bを構成する絶縁基板上の表面側に上記線路33Lを有し、その線路33Lの周囲の導電体箔が除去されて絶縁領域33Iが形成されている。さらに線路33Lに対して絶縁領域33Iを介してグランド領域33Gが形成されている。さらに、線路33Lとグランド領域33Gとの間において、SパラメータのS11の値が最小値となる位置を調整したコンデンサ33Cを配して接続することが好ましい。
マイクロストリップラインの線路33Lによって構成される整合器33は、通常、絶縁性の回路基板33Bの裏面側は全面にわたって、ベタのグランドパターンとして導体箔(図示せず)が形成されている。整合器33の裏面の導体箔には例えば銅箔が用いられ、グランド電位に接続されていることが好ましい。
<アンテナ>
図2に示す形態では、円筒形の空胴共振器2の中心軸Cに平行な壁面(円筒の内面)又はその近傍には、マイクロ波供給口4が設けられている。マイクロ波供給口4を通じてマイクロ波照射空間2Aには、高周波を印加することができるアンテナ34を有していることが好ましい。アンテナ34としては磁界励起アンテナ、例えばループアンテナ、または電界励起アンテナ、例えばモノポールアンテナ等を用いることが好ましい。アンテナ34の入力端34INは、整合器33の線路33Lの出力端33LOUTに、ケーブルを介さず直接接続されている。通常、アンテナ34は、金属線で構成されるが、整合器33の線路33Lとのはんだ接続性の良さを考慮すると、銅線が好ましい。
この構成では、マイクロ波発生器21から発せられたマイクロ波を、マイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33を介して、整合器33から直接アンテナ34を通してマイクロ波照射空間2A内に供給する。
マイクロ波照射空間2A内の上記アンテナ34の端部は空胴共振器壁面など接地電位と接続することが好ましい。このアンテナ34にマイクロ波(高周波)を印加することで、例えばループアンテナのループ内に磁界が励振され空胴共振器内に定在波を形成する形態とすることができる。
上記の円筒状の空胴共振器においてTM010のシングルモード定在波を形成させた場合、中心軸Cにおいて、電界強度が最大になり、中心軸C方向に電界強度が均一になる。したがって、反応管6において、その内部に存在し、又は流通する被処理対象物(図示せず)を、均一に、高効率にマイクロ波加熱することが可能になる。
電力系1Pを駆動する電力系電源35(図1参照)には、直流電源が用いることが好ましい。
なお、電力系電源35と電力系1Pとの接続には、十分な耐圧、電流容量を有するコネクタ及びケーブルを用いることができる。
<反応管と触媒>
本発明の水素製造装置では、反応管6内に配された触媒CT(図1参照)は、空胴共振器2内部に定在波のエネルギー(電界)強度に対応させて配される。特に、空胴共振器2内に形成された定在波の電界強度が極大になる部分(中心軸C)に沿って配せば、より効率的な加熱が可能になる。
<反応管>
反応管6は、内部に触媒CTを配することができる筒状の管である。反応管6の内径は特に制限されない。上記説明したように、大電力マイクロ波(例えば200W)の供給が可能であることから、例えば、反応管6の内径を4〜40mm程度とすることができる。このような内径としても、反応管6内の電界強度のムラを抑制でき、水素ガスのより効率的な生成が可能となる。また、反応管6の壁面の厚みも特に制限されず、十分な強度を確保する観点からは、1〜10mm程度とすることが好ましい。
反応管6の形成材料は、マイクロ波を透過し、かつ所望の耐熱性を有すれば特に制限されない。例えば、石英ガラス、アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシア等で形成することができる。また、これらの材料を組み合わせた複合材で形成されていてもよい。
また、反応管6は断熱材で被覆されていてもよい。断熱材としては、例えば、マイクロ波を透過しやすいアルミナファイバーを用いることができる。
触媒CTは、反応管6内の反応管長軸方向全体に配してもよいし、一部に触媒が配されていない部分があってもよい。例えば、円筒空胴共振器内に位置する反応管部分に触媒を配し、円筒空胴共振器外に位置する反応管部分には触媒を配しない形態とすることができる。
本発明の水素製造装置では、水素を得るための原料として、気体であるアンモニアガスを用いる。そのため、触媒を反応管6内に充填した場合であっても、原料として液体を用いた場合のように圧力損失が生じにくい。また、反応管6内に触媒を充填した形態とすれば、アンモニアガスとの接触面積をより大きくでき、水素製造効率をより高めることができる。
反応管6の形成材料と、その内部に配される触媒CTの、誘電損失係数の関係は、[触媒の誘電損失係数]>[反応管形成材料の誘電損失係数]の関係を満たすことが好ましい。この関係を満足することにより、触媒CTのマイクロ波加熱の効率をより高めることができる。
誘電損失係数は、室温から600℃の範囲で、照射するマイクロ波周波数における測定値を用いることが好ましい。ただし、誘電損失係数は、照射するマイクロ波の周波数、被照射物の温度によって変化する。したがって、設計上は、便宜的に25℃において、2450MHzの値を用いることもできる。なお、誘電損失係数は、例えば、空胴共振器法(JISR1641)により決定することができる。
<触媒>
反応管6内に配される触媒CT(図1参照)は、アンモニアガスに作用して接触分解反応を生じるものであれば特に制限されない。この触媒CTは通常、金属触媒である。したがって、反応管6内には金属粒子を配する形態とすることができる。この金属粒子は通常、担体に担持させた状態で反応管6内に配される。触媒として用いる金属粒子は、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、クロム、ニッケル、コバルト、銅、セシウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、イットリウム、ルビジウム、タングステン、モリブデン、ストロンチウム、バリウム、イリジウム、ナトリウム、カリウム、及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上を含むものが挙げられる。なかでもコバルト、ニッケル、ルテニウム、銅、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びルビジウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
金属粒子は、アンモニアや水素などにより、表面を金属状態まで還元してから使用することが好ましい。
触媒として担持する上記の担体としては、例えば、酸化アルミニウム(γ−Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、イットリア安定ジルコニア(YSZ)、NaY型ゼオライト、超安定化Y型ゼオライト(USY型ゼオライト)、ルチル型酸化チタン(ルチル型TiO)、アナターゼ型酸化チタン(アナターゼ型TiO)、及びルチル−アナターゼ混晶型酸化チタン(P25TiO)の少なくとも1種の金属酸化物を用いることができる。なお、担体は、マイクロ波照射により加熱されやすいものが好ましい。この観点では、酸化アルミニウム、イットリア安定ジルコニア及びNaY型ゼオライトの少なくとも1種の多孔質酸化物が好ましい。
担体への金属粒子の担持量は、担体と金属粒子との合計量を100質量%としたとき、金属粒子が0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。担体への金属粒子の担持量が上記範囲内にあると、触媒がマイクロ波照射によって、より加熱されやすくなる。
触媒CTは、例えば、マイクロ波の誘電損失係数が小さい炭化ケイ素などの加熱助剤を添加し、触媒混合物とすることができる。加熱助剤を用いることにより、金属粒子や担体の加熱効率をより高めることができる。加熱助剤の添加量は、触媒100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。加熱助剤の添加量を当該範囲内とすることにより、より低いマイクロ波出力でも、触媒を所望の高温域まで加熱しやすくなる。
上記触媒CTをハニカム構造体とすることもできる。水素製造装置1において、例えば、触媒を通過するガス状物質に触媒の作用による化学反応を生じさせるために、ハニカム構造体の触媒を用いることができる。触媒は、ハニカム構造体に担持させた形態とすることも好ましい。
水素製造装置1は、円筒空胴共振器2に対して、マイクロ波発振器21から発生させたマイクロ波をマイクロ波増幅器31、アイソレータ32、整合器33を通してアンテナ34から供給し、円筒空胴共振器2内にTM0n0モードの定在波を形成する。この定在波の形成により、電界強度が極大となる部分に沿って(円筒軸に沿って)配された反応管6内の触媒CTが反応管6の長軸方向に沿って略均一に加熱される。したがって、上記の定在波を形成して触媒CTを加熱した状態で、アンモニアガスを反応管6内に流通させることにより、触媒CTの作用によるアンモニアの接触分解反応が生じて水素ガスが生成される。上記水素製造装置1では、円筒空胴共振器2に設けられたマイクロ波供給口4から、アンテナ34により、TM0n0モードの定在波を形成するマイクロ波が円筒空胴共振器2内に供給される。
上記水素製造装置1において、マイクロ波発生器21から発生されるマイクロ波は、周波数と出力を調整して供給される。周波数の調整により、円筒空胴共振器2内にTM0n0モードの定在波を形成し、またマイクロ波の出力によって定在波の強度を調整することができる。
さらに、円筒空胴共振器2自体を小型化することにより円筒空胴共振器2に供給されるマイクロ波のエネルギー密度を高めることができる。つまり、円筒空胴共振器2をより小型化することにより、円筒空胴共振器内を貫通してマイクロ波照射空胴2A内に配された反応管全体に亘り、より高いマイクロ波エネルギーを供給することが可能となる。
したがって、本発明の水素製造装置は、アンモニアガスからの水素ガスの生成効率を所望のレベルへと高めることができる。また、装置の小型化、大電力化も可能とするものである。
<水素の製造>
本発明の水素製造装置1を用いて、反応管6の一端からアンモニアガスを流通させ、反応管6内において加熱された触媒CTとアンモニアガスとを接触させることにより、アンモニアガスが分解されて水素ガスと窒素ガスを生じる。アンモニアガスの接触分解反応それ自体は公知であり、下記反応式で示される。
2NH → 3H+N
上記反応により生じた水素ガスは、窒素ガスとの混合ガスとして回収してもよいし、回収前に、ガス分離膜、ガス洗浄器、吸着剤等を用いて、水素ガスを分離して、回収することもできる。
アンモニアガスの反応管内への供給量、触媒加熱温度等は、目的に応じて適宜に設計することができる。アンモニアガスの反応管内への供給量は、例えば0.01〜1000L/分とすることができる。また、触媒加熱温度は、好ましくは200〜1000℃とし、より好ましくは200〜800℃、さらに好ましくは250〜700℃とする。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[触媒の調製]
含浸法によって、γ−アルミナ(γAl)にコバルト(Co)を5質量%となるよう担持させ、コバルト担持γ−アルミナを調製した。具体的には、硝酸コバルト水溶液に、γ−アルミナを含浸させ、110℃で12時間乾燥後、500℃で3時間焼成した。焼成物は室温まで冷却させてペレット状に加圧成形した後粉砕し、平均粒径が250〜500μmになるようにふるい分けした。なお、γ−アルミナに担持させる金属粒子として、硝酸コバルト(和光純薬工業株式会社製硝酸コバルト(II)六水和物特級)を用いた。また、担体として、γ−アルミナ(住友化学株式会社製AKS−GT00)を用いた。
得られたコバルト−γ−アルミナ100質量部に対し10質量部の炭化ケイ素(SiC)加熱助剤(和光純薬工業株式会社製粒径50nm)を混合した。得られた混合物を、600℃、1気圧の水素(H)雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物(アンモニアガスを分解して水素ガスを生成する触媒、以下、単に「マイクロ波加熱用触媒」という。)を調製した。
[水素製造装置の作製]
図5に示すように、反応管6として、外径D1が10mm、内径D2が8mmの石英製の反応管を用いた。反応管6に触媒充填部7の長さが35mmとなるように触媒CTとしてマイクロ波加熱用触媒を充填した。このマイクロ波加熱用触媒を充填した反応管6を、円筒空胴共振器2を中心軸C方向に貫くように配置した。なお、水素製造装置1は、電力系1Pに最大出力200Wのマイクロ波増幅器31を搭載している。円筒空胴共振器2は空胴部分(マイクロ波照射空間2A)の中心軸C方向の長さLが25mm、円の直径Dが91mm、反応管6が通る穴径Dhが10.5mmのものを用いた。
[実施例1]
図1及び2に示す本発明の水素製造装置1を用いて水素製造触媒の加熱の評価を行った。筐体3内には2.4〜2.5GHzのマイクロ波源(クマガイRFA製;パワーモニタ・アイソレータ内蔵)を組み込んでおり、整合器33はマイクロストリップラインの線路33Lによって構成した。また、マイクロストリップラインの線路33Lからアンテナ(例えば、ループアンテナ)34を直接はんだ付けした。電力系1Pが配された筐体3の凹部3A、3Bの底部には冷却水の流路42が設けてられている。水素製造装置1の寸法は、蓋を含めた筐体3の外寸にて、150mm×140mm×35mmとなっており、石英製の反応管6に充填したマイクロ波加熱用触媒を1000℃まで加熱することが可能である。
この水素製造装置1が備える円筒空胴共振器2内に、マイクロ波を照射して、TM010モードの定在波を形成することによりマイクロ波加熱用触媒の温度制御を行いながら、水素製造の実験を試みた。
より詳細には、反応管6に外形10mm、内径8mmの石英管を用い、両端を大気開放状態にして、当該反応管6内に充填したマイクロ波加熱用触媒をTM010モードの定在波により加熱した。この時、触媒加熱温度を400℃の条件として、水素製造時に必要な昇温試験を試みた。
あらかじめ触媒温度が50℃以下となっているのを確認した後、入射波モニター(図示せず)の値が設定電力(10W〜50W)となるよう、信号系1Sとして用いた信号発生器(SG)の出力値を設定し、マイクロ波照射を試みた。温度測定器(放射温度計)(図示せず)の指示値が400℃を超えたところで、信号発生器(SG)の出力を最小値に設定し、マイクロ波照射を停止した。放射温度計には、ジャパンセンサー社製TMHXSTM0050シリーズ(商品名)を用いた。この放射温度計の温度検出波長は石英ガラスを透過する波長の赤外線を用いているため、触媒充填部の表面温度を計測することができる。測定点から4cmの位置にループアンテナを用いた検出素子を配して測定した。この時の得られた、空胴共振器2内に供給される各マイクロ波電力と触媒表面温度を図6に示す。10Wでは目標の400℃に到達していないが、20W以上の照射により、400℃以上に加熱できていることはわかった。昇温特性(昇温速度)は、マイクロ波設定電力が50W:16.3℃/sec、40W:13.5℃/sec、30W:9.6℃/sec、20W:5.8℃/sec、10W:2.7℃/secであった。本結果より、上記マイクロ波処理装置1においても、従来のマイクロ波リアクターモジュールと同等の加熱制御が可能であることを確認できた。
次に、400℃における温度一定制御を行った。マイクロ波最大電力を50Wとし、400℃一定で運転したときの温度、マイクロ波電力(入射波電力−反射波電力)、共振周波数の時間プロファイルを図7に示す。図7に示すように、実験した1時間の間、安定した温度制御が実現できていることがわかった。この時の温度安定性は、399.8℃±0.1℃であった。図8の0〜3分間の拡大図に示すように、マイクロ波照射後28秒においては、ほぼ最大電力が印加されており400℃に到達していた。その後最大7℃のオーバシュートののちは、目標温度の400℃で安定していた。この時の、空胴共振器2内に供給されるマイクロ波電力は13Wであった。周波数は、1時間の推移グラフでは時間の経緯とともに上昇していた。
本発明の水素製造装置1を用い、触媒の温度制御を行った結果を図9に示す。あらかじめネットワークアナライザーで求めた共振周波数で触媒に最大出力200Wのマイクロ波が照射できるよう信号発生器(シグナルジェネレータ)(図示せず)で発生した小信号RFを水素製造装置1に供給したところ、5秒で目標の400℃に到達することを確認した。このように、水素製造装置1においても、高速昇温が可能であることが確認できた。
上記説明したように、起動後5秒間、共振器内に最大出力の200Wのマイクロ波が照射され、その後、目的温度(400℃)に到達してからは、その温度を維持するのに必要な電力として20W〜50Wのマイクロ波が随時調整されながら照射されることによって、400℃の加熱温度を維持できるがわかった。
[実施例2]
実施例1と同様の水素製造装置1を用い、マイクロ波加熱用触媒を充填した反応管6にアンモニアガスを、図5に示したように、反応管6の上から下に流し、マイクロ波による定在波を形成して触媒の加熱を行い、水素ガスの製造を行った。
マイクロ波加熱用触媒を通過してきたアンモニアガスは、質量分析器及びガスクロマトグラフを用いてその成分を定量した。なお、アンモニア転化率は、アンモニアが分解して生成した水素の割合を示し、アンモニアが完全に水素へ分解した場合のアンモニア転化率を100%とした。図10に経過時間に対する触媒温度とアンモニア転化率を示した。また、図11に同じ経過時間にと対する質量分析器で計測された質量数2(水素に相当)のイオン電流と、質量数17(アンモニアに相当)のイオン電流をプロットした。なお、転化率の計算に用いた、アンモニア濃度および水素濃度は、別途求めた(図示せず)イオン電流と各化学種の濃度の校正表を用いて導出した。
実験に先立ち、ネットワークアナライザーを用いてTM010の共振周波数を計測し、2.434GHzであることを確認した。
あらかじめ反応管にアンモニア100%のガスを流量200ml/minで流通させた状態にした(図10、図11において0秒から60秒の間)。図11に示した質量分析器のイオン電流は、水素がほぼ0で、アンモニアが3.9×10−9Aであった。60秒が経過したところで、信号発生器に発生させた2.434GHz、−7.9dBmの小信号RFを水素製造装置1に供給した。その結果、図10に示したように、300秒(RF供給後240秒)の段階で390℃に達し、その後400℃付近で安定した。本実験では、マイクロ波増幅器31の出力端でのRF電力は測定していないが、あらかじめ計測していた当該周波数でのマイクロ波増幅器31の増幅率(50dB)から16W程度と見積もった。なお、本実施例3と上記実施例2では、マイクロ波増幅器31の増幅率は調整しなおしたため異なっている。
小信号RFを供給した後(60秒から300秒)、質量分析器によって測定されるイオン電流は、アンモニアのイオン電流が減少し、水素のイオン電流が増加しているのがわかった。安定状態(図中300秒から800秒)では、水素のイオン電流は1.25×10−9〜1.4×10−9Aであり、アンモニアのイオン電流は1.9×10−9Aであった。このときの、各化学種濃度を検量線(図示せず)から算出し、アンモニアの転化率を求めた結果を図10中の破線で示した。安定状態では、49%のアンモニアが水素に転化していることが確認できた。
900秒後(RF印加後840秒後)に信号発生器からの小信号RFをOFFにしたところ、触媒温度が低下し、アンモニアから水素の転化率が0にすみやかに低下していることが確認できた。本水素製造装置1を用いることで、短い起動時間で水素製造が可能であり、小信号RFをOFFにすることで直ちに水素製造を停止できることがわかった。
[実施例3]
次に信号発生器の出力を−4.0dBmとした小信号RFを実施例1にて用いたのと同様の水素製造装置1に供給したときの、水素発生量の経時変化を求めた。ことのきの、マイクロ波増幅器31の出力端でのRF電力は40Wと推測された。
初期条件として信号発生器の出力を0とし、反応管にアンモニア100%のガスを流量200ml/minで流通させた状態にした(図12、図13において0秒から60秒の間)。図13に示される質量分析器のイオン電流は水素がほぼ0で、アンモニアが4.1×10−9Aであった。60秒が経過したところで、信号発生器で発生させた2.434GHz、−4.0dBmの小信号RFを水素製造装置1に供給したところ、図12に示したように、83秒(RF供給後23秒)の段階で400℃に達した。この時の質量分析器のイオン電流は、アンモニアのイオン電流が減少し、水素のイオン電流が増加しているのがわかる。400℃に達した時点では、54%のアンモニアが水素に転化していることが確認できた。その直後に、信号発生器の出力を−11.23dBmに減少させた小信号RFを水素製造装置1に供給したところ、310℃まで温度が低下すると同時に、水素発生量の減少によるアンモニア転化率の減少が確認できた。以上の結果より、30秒以下の起動時間で水素製造を開始することが可能であること確認した。
1 水素製造装置
1S 信号系
1P 電力系
2 空胴共振器
3 筐体
3A、3B 筐体凹部(凹部)
4 マイクロ波供給口
5 温度測定窓
6 反応管
7 触媒充填部
21 マイクロ波発生器
22 減衰器
23 制御器
24 信号系電源
25 検波器
26 温度測定器
31 マイクロ波増幅器
311 第1マイクロ波増幅器
312 第2マイクロ波増幅器
31B、32B、33B 回路基板
36 入射波端子
37 反射波端子
38 検波器端子
32 アイソレータ
32R 終端抵抗(ダミーロード)
33 整合器(新しい半固定整合器)
33D 半固定整合器
33C コンデンサ
33G グランド領域
33I 絶縁領域
33L 線路
33LIN 入力端
33LOUT 出力端
34 アンテナ
34IN 入力端
35 電力系電源
39 リード線
41 冷却部
42 流路
42A 第1流路(流路)
42B 第2流路(流路)
42C 接続流路
CT 触媒
C 中心軸

Claims (7)

  1. 円筒空胴共振器内にマイクロ波を照射して、該円筒空胴共振器内にシングルモードの定在波を形成する水素製造装置であって、
    前記水素製造装置はマイクロ波を増幅して前記円筒空胴共振器内に供給する電力系を有し、
    前記電力系は、マイクロ波増幅器、該マイクロ波増幅器から前記円筒空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナ及び前記円筒空胴共振器を含み、
    前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
    前記マイクロ波増幅器の出力端と前記アンテナの入力端が直接接続され、
    前記定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、前記円筒空胴共振器を円筒軸方向に貫通して配された反応管を有し、
    前記反応管内にはアンモニアガスを分解して水素ガスを生成する触媒が配され、
    前記円筒空胴共振器内に前記定在波を形成して前記触媒を加熱状態として、前記反応管内にアンモニアガスを流通させて前記反応管内でアンモニアガスの接触分解反応を生じる、水素製造装置。
  2. 円筒空胴共振器内にマイクロ波を照射してTM0n0(nは1以上の整数)モードの定在波を形成する水素製造装置であって、
    前記水素製造装置はマイクロ波を発生させる信号系と該マイクロ波を増幅して前記円筒空胴共振器内に供給する電力系とを有し、
    前記電力系は、前記信号系によって発生されたマイクロ波出力を高めるマイクロ波増幅器を有し、該マイクロ波増幅器の出力端と前記空胴共振器内にマイクロ波を供給するアンテナとの間に、反射波を吸収するアイソレータ及び反射波を抑制する整合器の少なくとも一つのコンポーネンツを含み、
    前記電力系の各機器が同一筐体内に配され、
    前記コンポーネンツの最終出力端と前記アンテナの入力端が直接接続され、
    前記定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、前記円筒空胴共振器を円筒軸方向に貫通して配された反応管を有し、
    前記反応管内にはアンモニアガスを分解して水素ガスを生成する触媒が配され、
    前記円筒空胴共振器内に前記定在波を形成して前記触媒を加熱状態として、前記反応管内にアンモニアガスを流通させて前記反応管内でアンモニアガスの接触分解反応を生じる、水素製造装置。
  3. 前記TM0n0モードの定在波がTM010モードの定在波である、請求項1又は2に記載の水素製造装置。
  4. 前記触媒の誘電損失係数が前記反応管の形成材料の誘電損失係数よりも大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素製造装置。
  5. 前記筺体内に冷却部を有し、該冷却部は少なくとも前記マイクロ波増幅器を冷却する請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素製造装置。
  6. 前記空胴共振器及び前記アンテナを除く前記電力系は、前記空胴共振器の外側の側部の前記筺体に配した平面視L字形の凹部底部に配され、該凹部底部の内部に前記冷却部が配されている請求項5に記載の水素製造装置。
  7. 前記マイクロ波増幅器を搭載する回路基板の裏面側に形成されたグランドパターンと前記筺体とが接触している請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素製造装置。
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