JP2020079009A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電装置の蓄電割合の低下を抑制すると共に、ユーザのエンジン音への違和感を抑制する。【解決手段】加速が要求されたときには、エンジンから出力するパワーが走行に要求される走行要求パワーに基づくエンジン要求パワーより小さいパワーから上昇するようにエンジンを運転しながら走行要求パワーで走行するようにエンジンとモータとを制御する加速感向上制御を実行する車両の制御装置であって、加速感向上制御の実行中に走行要求パワーが蓄電装置の蓄電割合に基づく閾値を超えたときには、加速感向上制御を中断して、車速が高いときには低いときに比して高い回転数且つ高いトルクでエンジンを運転しながら走行要求パワーで走行するようにエンジンとモータとを制御する。【選択図】図2
Description
本発明は、車両の制御装置に関し、詳しくは、エンジンと、モータと、蓄電装置と、を備えるハイブリッド車両に搭載される制御装置に関する。
従来、この種の車両の制御装置としては、エンジンと、モータと、蓄電装置(バッテリ)と、を備えるハイブリッド車両に搭載されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。モータは、エンジンからの動力で発電を行なう。蓄電装置は、モータと電力をやりとりする。この装置では、加速時において、エンジンの回転数がしきい回転数に達したとき以降は、エンジンの回転数がしきい回転数に達してからの経過時間が長いときには短いときに比してエンジンの目標回転数を高く設定する。そして、エンジンが目標回転数で運転されるようにエンジンとモータとを制御することにより、ユーザが感じる加速感を向上させることができる。
上述の制御装置では、緩やかな加速のためにアクセルペダルが踏み込まれているときでも、エンジンの回転数がしきい回転数に達するまでは、エンジンから出力するパワーおよびエンジンの回転数が急上昇してしまう。そのため、加速時の車速の変化とエンジンの回転数の変化(エンジン音の変化)とに乖離が生じて、ユーザが感じる加速感が損なわれてしまう。こうした不都合を回避する手法として、加速時にエンジンから出力するパワーを抑制してエンジンの回転数の変化を抑制し、蓄電装置からより多くのパワーを出力する手法が考えられる。しかしながら、この手法では、加速毎に蓄電装置の蓄電割合(蓄電装置の全容量に対する蓄電している電力の割合)が低下する。そして、蓄電装置が残量不足となると、エンジンから出力するパワーおよびエンジンの回転数を急上昇させざるを得なくなり、ユーザがエンジン音に対して違和感を覚えてしまう。
本発明の車両の制御装置は、蓄電装置の蓄電割合の低下を抑制すると共に、ユーザのエンジン音への違和感を抑制することを主目的とする。
本発明の車両の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両の制御装置は、
エンジンと、
前記エンジンからの動力で発電可能なモータと、
前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
を備える車両に搭載され、
加速が要求されたときには、前記エンジンから出力するパワーが走行に要求される走行要求パワーに基づくエンジン要求パワーより小さいパワーから上昇するように前記エンジンを運転しながら前記走行要求パワーで走行するように前記エンジンと前記モータとを制御する加速感向上制御を実行する車両の制御装置であって、
前記加速感向上制御の実行中に前記走行要求パワーが前記蓄電装置の蓄電割合に基づく閾値を超えたときには、前記加速感向上制御を中断して、車速が高いときには低いときに比して高い回転数且つ高いトルクで前記エンジンを運転しながら前記走行要求パワーで走行するように前記エンジンと前記モータとを制御する
ことを要旨とする。
エンジンと、
前記エンジンからの動力で発電可能なモータと、
前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
を備える車両に搭載され、
加速が要求されたときには、前記エンジンから出力するパワーが走行に要求される走行要求パワーに基づくエンジン要求パワーより小さいパワーから上昇するように前記エンジンを運転しながら前記走行要求パワーで走行するように前記エンジンと前記モータとを制御する加速感向上制御を実行する車両の制御装置であって、
前記加速感向上制御の実行中に前記走行要求パワーが前記蓄電装置の蓄電割合に基づく閾値を超えたときには、前記加速感向上制御を中断して、車速が高いときには低いときに比して高い回転数且つ高いトルクで前記エンジンを運転しながら前記走行要求パワーで走行するように前記エンジンと前記モータとを制御する
ことを要旨とする。
この本発明の車両の制御装置では、加速が要求されたときには、エンジンから出力するパワーが走行に要求される走行要求パワーに基づくエンジン要求パワーより小さいパワーから上昇するようにエンジンを運転しながら走行要求パワーで走行するようにエンジンとモータとを制御する加速感向上制御を実行する。加速感向上制御では、加速が要求されたときに、エンジンから出力するパワーをエンジン要求パワーより小さいパワーから上昇させるから、エンジンから出力するパワーをエンジン要求パワーより小さくしている分蓄電装置から持ち出されるパワーが大きくなる。そのため、蓄電装置の蓄電割合が低下しやすい。こうした加速感向上制御の実行中に走行要求パワーが蓄電装置の蓄電割合に基づく閾値を超えたときには、加速感向上制御を中断して、車速が高いときには低いときに比して高い回転数且つ高いトルクでエンジンを運転しながら走行要求パワーで走行するようにエンジンとモータとを制御する。ここで、「閾値」は、蓄電割合に対して走行要求パワーが大き過ぎるか否かを判定するための閾値であり、蓄電割合が低いときには高いときに比して小さく設定される。加速感向上制御の実行中に走行要求パワーが閾値を超えたとき、即ち、蓄電割合に対して走行要求パワーが大き過ぎるときには、車速が高いときには低いときに比して高い回転数且つ高いトルクでエンジンを運転しながら走行要求パワーで走行するようにエンジンとモータとを制御する。これにより、車速が比較的高い領域では、エンジンから出力されるパワーを大きくすることができ、蓄電装置が充電される機会が多くなる。したがって、蓄電装置の蓄電割合の低下を抑制することができる。また、車速が高いときには低いときに比して高い回転数でエンジンを運転することから、車速の変化とエンジンの回転数の変化(エンジン音の変化)との乖離を抑制でき、ユーザのエンジン音への違和感を抑制することができる。この結果、蓄電装置の蓄電割合の低下を抑制すると共に、ユーザのエンジン音への違和感を抑制することができる。
こうした本発明の車両の制御装置において、前記加速感向上制御の実行中に前記走行要求パワーが前記閾値を超えて前記加速感向上制御の実行を中断した場合において、前記走行要求パワーが前記閾値以下となったときには、前記加速感向上制御を再開してもよい。一旦中断した加速感向上制御を再開できるから、加速感を向上させることができる。
また、本発明の車両の制御装置において、前記ハイブリッド車両は、前記モータとして第1モータと、前記エンジンの出力軸と前記第1モータの回転軸と車軸に連結された駆動軸との3軸に3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2モータと、を備えていてもよい。この場合において、前記加速感向上制御および前記加速感向上制御の実行中に前記走行要求パワーが前記閾値を超えた場合における制御では、前記エンジンが効率よく運転されるように前記エンジンと前記第1,第2モータとを制御してもよい。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例としての制御装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、バッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートから入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrやスロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットル開度THなどを挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための種々の制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される制御信号としては、スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの制御信号や燃料噴射弁への制御信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号など、その他にも種々のものを挙げることができる。
エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によってエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいて、クランクシャフト26の回転数、即ち、エンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、エンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、電力ライン54を介してバッテリ50と接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2を挙げることができる。また、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサからの相電流も挙げることができる。
モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の駆動状態に関するデータをHVECU70に出力する。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されている。このバッテリ50は、上述したように、電力ライン54を介してインバータ41,42と接続されている。バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの電池電圧Vbやバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの電池電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどを挙げることができる。
バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータをHVECU70に出力する。バッテリECU52は、電流センサ51bからの電池電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50の入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,車速センサ88からの車速Vを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBPも挙げることができる。
HVECU70は、上述したように、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド走行(HV走行)モードや電動走行(EV走行)モードで走行する。ここで、HV走行モードは、エンジン22の運転を伴って走行するモードであり、EV走行モードは、エンジン22の運転を伴わずに走行するモードである。
HV走行モードでは、以下の走行制御が実行される。まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて、走行に要求される(駆動軸36に出力すべき)要求トルクTd*を設定する。続いて、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Ndを乗じて、走行に要求される走行要求パワーPdrv*を計算する。ここで、駆動軸36の回転数Ndとしては、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数を用いることができる。そして、計算した走行要求パワーPdrv*にバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50に充電するときが正の値)を加えて、エンジン22に要求されるエンジン要求パワーPe*を設定する。ここで、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の蓄電割合SOCと目標割合SOC*との差分ΔSOCに基づいて、差分ΔSOCの絶対値が小さくなるように設定する。続いて、エンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるように、エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)や、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)は、エンジン22の運転ポイント(回転数,トルク)のうち騒音や振動等を加味して燃費が最適となる最適動作ラインを予め定めておき、エンジン要求パワーPe*に対応する最適動作ライン上の運転ポイント(回転数,トルク)を求めて設定する。最適動作ラインでは、エンジン要求パワーPe*が大きいときには小さいときに比して対応する運転ポイントでのエンジン22の回転数およびトルクが大きくなるように、即ち、エンジン要求パワーPe*が大きくなるほど対応する運転ポイントでのエンジン22の回転数およびトルクが大きくなるように、運転ポイントが設定される。そして、エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)については、エンジンECU24に送信する。モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*については、モータECU40に送信する。エンジンECU24は、目標運転ポイントに基づいてエンジン22が運転されるように、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるように、インバータ41,42の各トランジスタのスイッチング制御を行なう。
EV走行モードについては、本発明の中核をなさないため、詳細な説明を省略する。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、HV走行モードで走行しているときにアクセル開度Accが大きくなり加速が要求されたときには、加速初期にエンジン22の回転数Neが高くなってエンジン音が大きくなることを抑制して加速感を向上させる加速感向上制御を実行する。
加速感向上制御では、上述したHV走行モードでの処理と同様の処理で、エンジン要求パワーPe*を計算する。続いて、加速初期のアクセル開度として予め定めた初期開度Acciと車速Vとに基づいて初期要求トルクTdi*を設定する。初期開度Acciは、加速が要求された判断されるアクセル開度Accより小さい開度として、例えば、35%、40%、45%などに設定される。続いて、設定した初期要求トルクTdi*に駆動軸36の回転数Ndを乗じて、加速初期の初期走行パワーPdrvi*を計算する。計算した初期走行パワーPdrvi*にバッテリ50の充放電要求パワーPb*を加えて、加速初期の車両に要求される初期エンジンパワーPei*を設定する。そして、エンジン22から出力されるパワーが初期エンジンパワーPei*からエンジン要求パワーPe*へ向けて上昇すると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*(走行要求パワーPdrv*)が駆動軸36に出力されるように、エンジン22の最適動作ライン上の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)や、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。エンジンの目標運転ポイントについてはエンジンECU24に送信する。モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*については、モータECU40に送信する。エンジンECU24は、目標運転ポイントに基づいてエンジン22が運転されるように、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、上述したように、インバータ41,42を制御する。
次に、こうして構成された実施例の制御装置を搭載するハイブリッド自動車20の動作、特に、加速感向上制御を実行中の動作について説明する。図2は、実施例のHVECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例について示すフローチャートである。本ルーチンは、加速感向上制御を実行しているときに繰り返し実行される。
本ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、車速Vと蓄電割合SOCとを入力する処理を実行する(ステップS100)。車速Vは、車速センサ88により検出されたものを入力している。蓄電割合SOCは、バッテリECU52により演算されたものを通信により入力している。
次に、蓄電割合SOCを用いて閾値Prefを設定する(ステップS110)。閾値Prefは、バッテリ50の蓄電割合SOCに対して走行要求パワーPdrv*が大き過ぎるか否かを判定するための閾値であり、蓄電割合SOCが低いときには高いときに比して低くなるように、即ち、蓄電割合SOCが低くなるほど低くなるように設定される。加速感向上制御を実行しているときには、加速の初期においてエンジン22から出力されるパワーが抑制されていることから、バッテリ50からの出力が増え、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下しやすい。バッテリ50の蓄電割合SOCに対して走行要求パワーPdrv*が大きいときに、加速感向上制御を継続すると、蓄電割合SOCがさらに大きく低下してしまう。したがって、ステップS110は、加速感向上制御を継続すると蓄電割合SOCが大きく低下する可能性があるか否かを判定する処理となっている。
そして、走行要求パワーPdrv*が閾値Prefを超えているか否かを判定する(ステップS120)。走行要求パワーPdrv*が閾値Pref以下であるときには、加速感向上制御を継続しても差し支えないと判断して、加速感向上制御を継続して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。
ステップS120で走行要求パワーPdrv*が閾値Prefを超えているときには、加速感向上制御を継続すると蓄電割合SOCが大きく低下する可能性があると判断して、加速感向上制御を中断して(ステップS140)、
続いて、車速Vを用いてエンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS150)。目標回転数Ne*は、車速Vが高いときには低いときに比して高くなるように、即ち、車速Vが高くなるほど高くなるように設定される。
そして、エンジン22の目標回転数Ne*と上述した最適動作ラインを用いて、エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)が最適動作ライン上となるように、エンジン22の目標トルクTe*を設定する(ステップS160)。
こうしてエンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)を設定すると、エンジン要求パワーPe*(=Ne*・Te*)をエンジン22から出力しながらバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*(走行要求パワーPdrv*)が駆動軸36に出力されるように、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する(ステップS170)。
そして、エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)については、エンジンECU24に送信し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*については、モータECU40に送信し(ステップS180)、本ルーチンを終了する。エンジンECU24は、目標運転ポイントに基づいてエンジン22が運転されるように、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、上述したように、インバータ41,42を制御する。
最適動作ライン上では、エンジン22の回転数が高いときには低いときに比してエンジン22のトルクが高く設定される傾向にある。目標回転数Ne*は、車速Vが高いときには低いときに比して高くなるように、即ち、車速Vが高くなるほど高くなるように設定するから、車速Vが比較的高い領域では、エンジン22の回転数、トルク共に高く設定される。したがって、エンジン22から出力されるパワーが大きくなり、バッテリ50が充電される機会が多くなる。図3は、目標回転数Ne*とバッテリ50を充電するパワーPchr(=Pe*−Pdrv*)との一例を示す。バッテリ50を充電するパワーPchrは、図示するように、目標回転数Ne*が高いときには低いときに比して大きくなる傾向、即ち、目標回転数Ne*が高くなるほど大きくなる傾向となる。
このように、加速感向上制御を中断して、車速Vを用いてエンジン22の目標回転数Ne*を設定し、エンジン22を最適動作ライン上の運転ポイントで運転することにより、バッテリ50から電力が持ち出されることを抑制し、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を抑制することができる。また、車速Vが高いときには低いときに比して目標回転数Ne*を高く設定することから、車速Vの変化とエンジン22の回転数Neの変化(エンジン音の変化)との乖離を抑制でき、ユーザのエンジン音への違和感を抑制することができる。この結果、バッテリ50の蓄電割合SOCの低下を抑制すると共に、ユーザのエンジン音への違和感を抑制することができる。
なお、ステップS140で加速感向上制御を中断したときには、次回以降に実行される図2の駆動制御ルーチンのステップS120で走行要求パワーPdrv*が閾値Pref以下と判定されたときに、ステップS130で加速感向上制御を再開する。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20に搭載される制御装置によれば、加速感向上制御の実行中に走行要求パワーPdrv*が蓄電割合SOCに基づく閾値Prefを超えたときには、車速Vが高いときには低いときに比して高い回転数且つトルクでエンジン22を運転しながら走行要求パワーPdrv*で走行するようにエンジン22とモータMG2とを制御することにより、蓄電割合SOCの低下を抑制すると共にユーザのエンジン音への違和感を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載される制御装置では、ハイブリッド自動車20が蓄電装置としてバッテリ50を備えている。しかしながら、ハイブリッド自動車20は、バッテリ50に代えて、キャパシタを備えていてもよい。
実施例では、駆動輪38a,38bに連結された駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36にモータMG2を接続するハイブリッド自動車20に搭載される制御装置の形態としている。しかしながら、エンジンと、エンジンからの動力を発電可能なモータと、を備える車両に搭載される制御装置の形態であればよいから、例えば、駆動輪38a,38bに連結された駆動軸36に無段変速機(CVT)を介して発電可能なモータを接続すると共にモータの回転軸にクラッチを介してエンジン22を接続する車両に搭載される制御装置の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とが「車両の制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の制御装置の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU52)、54 電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。
Claims (1)
- エンジンと、
前記エンジンからの動力で発電可能なモータと、
前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
を備える車両に搭載され、
加速が要求されたときには、前記エンジンから出力するパワーが走行に要求される走行要求パワーに基づくエンジン要求パワーより小さいパワーから上昇するように前記エンジンを運転しながら前記走行要求パワーで走行するように前記エンジンと前記モータとを制御する加速感向上制御を実行する車両の制御装置であって、
前記加速感向上制御の実行中に前記走行要求パワーが前記蓄電装置の蓄電割合に基づく閾値を超えたときには、前記加速感向上制御を中断して、車速が高いときには低いときに比して高い回転数且つ高いトルクで前記エンジンを運転しながら前記走行要求パワーで走行するように前記エンジンと前記モータとを制御する
車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018213069A JP2020079009A (ja) | 2018-11-13 | 2018-11-13 | 車両の制御装置 |
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ID=70801357
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2020079009A (ja) |
-
2018
- 2018-11-13 JP JP2018213069A patent/JP2020079009A/ja active Pending
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