JP2020077955A - 導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザ - Google Patents

導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザ Download PDF

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Abstract

【課題】通過帯域における共振現象を抑制することができる導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザを提供する。【解決手段】導波路31が第1の端面から第2の端面まで貫通形成された固定導波管ブロック30と、導波路44が、第2の端面に所定の隙間gを持って平行に対向する第3の端面から第4の端面まで貫通形成されたフィルタブロック40と、を備え、第2の端面側の導波路31の開口の周囲を囲む位置、及び、第3の端面側の導波路44の開口の周囲を囲む位置に、各端面間の隙間からの電磁波漏出を防止するための複数のチョーク溝34,48が設けられ、第2の端面及び第3の端面のそれぞれにおいて複数のチョーク溝34,48を横切る連通溝52−1〜52−4が設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザに関し、特に、ミリ波帯でそれぞれ通過帯域が異なる複数のフィルタを有し、それらのフィルタを選択して、入力信号から所望の通過帯域の信号成分を抽出させるためのミリ波帯フィルタバンクに適用される導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザに関する。
近年、ユビキタスネットワーク社会を迎え、電波利用ニーズが高まる中、家庭内のワイヤレスブロードバンド化を実現するWPAN(ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク)や安全・安心な運転をサポートするミリ波レーダー等のミリ波帯無線システムが利用され始めている。また、100GHz超無線システム実現への取組も積極的に行われてきている。
その一方で、60〜70GHz帯の無線システムの2次高調波評価や100GHz超の周波数帯における無線信号の評価については、周波数が高くなるにつれ、スペクトラムアナライザ等の測定器の雑音レベル及びミキサの変換損失が増加するとともに周波数精度が低下するため、100GHzを超える無線信号の高感度、高精度測定技術が確立されていない状況となっている。
しかも、これまでのスペクトラムアナライザ等の測定技術では、局部発振の高調波を測定結果から分離することができず、不要発射等の厳密な測定が困難となっている。
これらの技術課題を克服し、100GHz超帯域無線信号の高感度・高精度測定を実現するためには、イメージ応答及び高次高調波応答を抑制するためのミリ波帯の可変同調フィルタ(前置フィルタ)が必要となる。
可変同調フィルタの実現方式としてフィルタバンクがある。フィルタバンクは、導波管スイッチにより固定周波数のバンドパスフィルタを切り替えることで通過周波数を切り替える装置である。このため、フィルタバンクの実現には導波管スイッチとバンドパスフィルタが必要となる。
100GHzを超えるミリ波帯で使用可能な導波管スイッチとしては、例えば特許文献1が知られており、この特許文献1に開示された1対複数のスイッチを、入力側と出力側に用い、その間を通過帯域が異なる複数のバンドパスフィルタを介して接続することで、フィルタバンクを構成することができる。
特許第6185455号公報
特許文献1で示した導波管スイッチは、可動部及び固定部に形成された導波管開口からの電磁波の漏れを防ぐため、導波管開口を複数本のチョーク溝で囲む構成としている。導波管スイッチの広帯域化を図るためには、このチョーク構造の広帯域化が必要である。例えば、チョーク溝の寸法を最適化することで、大きな共振によって挿入損失が増加する周波数を移動させ、チョーク構造の広帯域化を図ることは可能である。しかしながら、チョーク溝は複雑な形状となるため、通過帯域に小さな共振による急激な落ち込みが生じる周波数が存在する場合がある。スペクトラムアナライザの前置フィルタとして、導波管スイッチを利用したフィルタバンクを用いることを想定すると、このような鋭い挿入損失の増加点は、スペクトラムアナライザの不確かさやダイナミックレンジを悪化させる要因になってしまうという問題がある。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、通過帯域における共振現象を抑制することができる導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る導波管接続構造は、金属壁で囲まれ、ミリ波帯の電磁波を伝搬させる導波路が第1の端面から第2の端面まで貫通形成された第1の導波管ブロックと、金属壁で囲まれ、前記ミリ波帯の電磁波を伝搬させる導波路が、前記第1の導波管ブロックの前記第2の端面に所定の隙間を持って平行に対向する第3の端面から第4の端面まで貫通形成された第2の導波管ブロックと、を備え、前記第2の導波管ブロックは、前記第2の導波管ブロックの前記導波路が前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続されるように、前記第1の導波管ブロックの前記第2の端面に沿って移動可能である導波管接続構造であって、前記第1の導波管ブロックの前記第2の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置、及び、前記第2の導波管ブロックの前記第3の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置に、各端面間の隙間からの電磁波漏出を防止するための複数のチョーク溝が設けられ、前記第2の端面及び前記第3の端面のそれぞれにおいて前記複数のチョーク溝を横切る少なくとも1つの連通溝が設けられた構成である。
この構成により、本発明に係る導波管接続構造は、導波路の開口の周囲を囲む複数のチョーク溝を横切る連通溝によって、チョーク溝で囲まれた空間の長さが従来よりも短くなるため、チョーク溝間で共振現象が生じる周波数を変更して、通過帯域における共振現象を抑制することができる。この結果、本導波管接続構造を使用したフィルタバンク又は導波管スイッチの使用帯域を広帯域化できる。
また、本発明に係る導波管接続構造においては、前記第2の端面側の前記導波路の開口と前記第3の端面側の前記導波路の開口は矩形形状であり、前記第2の端面及び前記第3の端面のそれぞれにおいて、前記複数のチョーク溝は互いに同心に形成された矩形枠状であり、前記複数のチョーク溝の各辺に直交するように4つの前記連通溝が設けられ、各前記連通溝は、その延伸方向が各前記導波路の開口の中心位置を通る構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る導波管接続構造は、従来構造のチョーク溝で得られた通過帯域特性を大きく変化させずに、不要な共振のみを効果的に除去することができる。
また、本発明に係る導波管接続構造においては、金属壁で囲まれ、前記ミリ波帯の電磁波を伝搬させる導波路が、前記第2の導波管ブロックの前記第4の端面に所定の隙間を持って平行に対向する第5の端面から第6の端面まで貫通形成された第3の導波管ブロックを更に備え、前記第2の導波管ブロックは、前記第2の導波管ブロックの前記導波路が前記第3の導波管ブロックの前記導波路に接続されるように、前記第3の導波管ブロックの前記第5の端面に沿って移動可能であり、前記第3の導波管ブロックの前記第5の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置、及び、前記第2の導波管ブロックの前記第4の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置に、各端面間の隙間からの電磁波漏出を防止するための複数のチョーク溝が設けられ、前記第4の端面及び前記第5の端面のそれぞれにおいて前記複数のチョーク溝を横切る少なくとも1つの連通溝が設けられた構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る導波管接続構造は、導波路の開口の周囲を囲む複数のチョーク溝を横切る連通溝によって、チョーク溝で囲まれた空間の長さが従来よりも短くなるため、チョーク溝間で共振現象が生じる周波数を変更して、通過帯域における共振現象を抑制することができる。この結果、本導波管接続構造を使用したフィルタバンク又は導波管スイッチの使用帯域を広帯域化できる。
また、本発明に係る導波管接続構造においては、前記第4の端面側の前記導波路の開口と前記第5の端面側の前記導波路の開口は矩形形状であり、前記第4の端面及び前記第5の端面のそれぞれにおいて、前記複数のチョーク溝は互いに同心に形成された矩形枠状であり、前記複数のチョーク溝の各辺に直交するように4つの前記連通溝が設けられ、各前記連通溝は、その延伸方向が各前記導波路の開口の中心位置を通る構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る導波管接続構造は、従来構造のチョーク溝で得られた通過帯域特性を大きく変化させずに、不要な共振のみを効果的に除去することができる。
また、本発明に係るミリ波帯フィルタバンクは、上記の導波管接続構造と、前記第1の導波管ブロック及び前記第3の導波管ブロックを固定するベース部と、を備え、前記第2の導波管ブロックが前記導波路を複数有するミリ波帯フィルタバンクであって、前記ベース部に設けられ、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路のうち、指定された任意の導波路が前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続する位置に前記第2の導波管ブロックを移動させる駆動機構を更に備え、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路は、前記ミリ波帯内で異なる通過帯域特性が付与されており、前記第3の導波管ブロックの前記導波路が、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路のうち、前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続された導波路に対して接続される構成である。
この構成により、本発明に係るミリ波帯フィルタバンクは、上記の導波管接続構造を備えることにより、使用帯域を広帯域化できる。
また、本発明に係るミリ波帯フィルタバンクにおいては、前記第1の導波管ブロックの前記導波路の前記第2の端面側の開口と、前記第3の導波管ブロックの前記導波路の前記第5の端面側の開口とが、前記第2の端面に直交する直線上に並んでいる構成であってもよい。
この構成により、本発明に係るミリ波帯フィルタバンクは、必然的にフィルタブロックの各導波路が平行に並んだ状態となるため、フィルタブロックの構造が簡単化され、フィルタバンク全体を小型化できる。
また、本発明に係るミリ波帯フィルタバンクにおいては、前記第2の導波管ブロックは、互いの一面側が接合された状態で一体的に連結された第1ブロックと第2ブロックからなり、前記異なる通過帯域特性が付与された複数の前記導波路が、前記第1ブロックと前記第2ブロックとが接合する面に形成されている構成である。
この構成により、本発明に係るミリ波帯フィルタバンクは、複数の導波路を少ない部品点数で効率的にかつ精度良く製造できる。
また、本発明に係るミリ波帯スペクトラムアナライザは、ローカル信号を出力するローカル信号発生器、ミリ波帯の被測定信号と前記ローカル信号をミキシングするミキサ、及び、前記ミキサのミキシング出力から所定の中間周波数帯の信号を抽出するフィルタを有する周波数変換部と、前記中間周波数帯の信号を検波する検波部とを有し、解析対象周波数に応じて前記ローカル信号の周波数を変化させて、前記被測定信号のスペクトラム特性を求めるミリ波帯スペクトラムアナライザにおいて、前記周波数変換部の前段に、上記のいずれかのミリ波帯フィルタバンクを設けるとともに、前記解析対象周波数に応じて、前記ミリ波帯フィルタバンクの前記駆動機構を制御し、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路のうち前記解析対象周波数が含まれる通過帯域の導波路を、前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続させるフィルタ切替手段を備えている構成である。
この構成により、本発明に係るミリ波帯スペクトラムアナライザは、上記のミリ波帯フィルタバンクを備えることにより、使用帯域における共振現象を抑制することができるため、ダイナミックレンジの大きい正確なスペクトラム解析を行なうことができる。
本発明は、通過帯域における共振現象を抑制することができる導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザを提供するものである。
本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクの一部を破断した平面図である。 本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクの分解斜視図である。 (a)は従来の導波管接続構造におけるチョーク構造を示す拡大斜視図であり、(b)は従来の導波管接続構造におけるチョーク構造を示す拡大正面図である。 従来の導波管接続構造におけるチョーク構造の挿入損失のシミュレーション結果を示すグラフである。 従来の導波管接続構造の隙間における電界分布のシミュレーション結果を示す図である。 (a)は本発明の実施形態に係る導波管接続構造におけるチョーク構造を示す拡大斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係る導波管接続構造におけるチョーク構造を示す拡大正面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る導波管接続構造におけるチョーク構造の挿入損失のシミュレーション結果を示すグラフであり、(b)は従来の導波管接続構造におけるチョーク構造の挿入損失のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る導波管接続構造の隙間における電界分布のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクの導波路部分の断面図である。 本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクの通過帯域特性図である。 本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクの動作説明図である。 本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクが備えるフィルタブロックの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係るミリ波帯フィルタバンクを用いたミリ波帯スペクトラムアナライザの構成図である。
以下、本発明に係る導波管接続構造、それを用いたミリ波帯フィルタバンク及びミリ波帯スペクトラムアナライザの実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態の導波管接続構造を備えるミリ波帯フィルタバンク(以下、単にフィルタバンクと記す)20の平面図、図2はその分解斜視図である。なお、これらの図には各部の方向が分かりやすいように、X、Y、Zの直交軸を示している。
これらの図に示すように、フィルタバンク20は、ベース部21、第1の導波管ブロックとしての固定導波管ブロック30、第2の導波管ブロックとしてのフィルタブロック40、駆動機構60、第3の導波管ブロックとしての固定導波管ブロック70、側板80,81、カバー90を有している。固定導波管ブロック30及びフィルタブロック40、並びに、フィルタブロック40及び固定導波管ブロック70は、本実施形態の導波管接続構造を構成する。
ベース部21は有底角枠状に形成され、その底部には後述する駆動機構60が設けられている。
ベース部21の上面側には、固定導波管ブロック30が固定されている。固定導波管ブロック30は、Y方向に延び、外形が横長矩形で厚さ一定の金属板からなり、第1の端面30aの中央からその反対側の第2の端面30bの中央までX方向に沿って貫通する導波路31が形成されている。この金属壁で囲まれた導波路31の第2の端面30bにおける開口は矩形形状であり、その開口寸法は、例えば185GHz〜260GHz(WR−4帯)のミリ波帯の電磁波を単一モード(TE10モード)で低損失に伝搬させる寸法(1.092mm×0.546mm)に設定されている。導波路31の断面の長辺はY方向、短辺はZ方向であり、この長辺と短辺の向きは、後述する他の導波路についても同様である。
この導波路31の第1の端面30a側の開口の周囲には、外部に接続する導波管(図示せず)のフランジに係合してネジ止め可能なフランジ受け33が形成されている。固定導波管ブロック30の第2の端面30bには、フィルタブロック40の第3の端面40aが、所定の隙間g(例えば0.1mm程度)を持って平行に対向している。第2の端面30b側の導波路31の開口の周囲を囲む位置には、端面30b,40a間の隙間gからの電磁波漏出を防止するためのチョーク溝34が3重に形成されている(チョーク溝の構成の詳細については後述する)。
フィルタブロック40は、外形が略直方体の金属製で、複数(この例では7本)の導波路41〜47が、第3の端面40aから、第3の端面40aに平行な第4の端面40bまで並列に貫通形成されている。金属壁で囲まれたこれら複数の導波路41〜47は、ミリ波帯内で異なる通過帯域特性が付与されており、長手方向がX方向であり、導波路断面の短辺側を隣接させるようにしてY方向に一定間隔で並んでいる。フィルタブロック40の導波路41〜47の第3の端面40a及び第4の端面40bにおける開口は矩形形状であり、その開口寸法は、例えば185GHz〜260GHzのミリ波帯の電磁波を単一モードで低損失に伝搬させるように、導波路31の開口の寸法に等しい1.092mm×0.546mmに設定されている。
また、各導波路41〜47の第3の端面40a側の開口の周囲を囲む位置にも、固定導波管ブロック30の第2の端面30bと同様に、端面30b,40a間の隙間gからの電磁波漏出を防止するためのチョーク溝48が3重に形成されている。
フィルタブロック40の下面側には、駆動機構60の移動ステージ63の上部に係合する凹部49が形成されており、フィルタブロック40の上面側には、導波路41〜47の並び方向(Y方向)に沿って幅一定の溝50が形成されている。
駆動機構60は、ベース部21の底部の一端側に固定されたモータ61と、モータ61からベース部21の底部の長手方向(Y方向)に延び、モータ61により回転するネジ体62と、ベース部21の底部の上に配置され、ネジ体62に螺合するネジ穴(図示せず)がY方向に貫通形成され、ネジ体62の回転によりネジ体62の長さ方向(Y方向)にスライド移動する移動ステージ63と、移動ステージ63の両側部に近接して移動ステージ63の移動をガイドするガイド板64と、により構成されている。
この駆動機構60は、外部からのモータ61に対する制御により、ベース部21内で移動ステージ63を任意の位置に移動させることができ、この移動ステージ63の上部に係合するフィルタブロック40を、移動ステージ63と一体的に第2の端面30b及び後述する第5の端面70aに沿って、ベース部21上をY方向に移動させることができる。ここでは、移動ステージ63の上部にフィルタブロック40の下面側が係合して支持されている例を示すが、ネジ止め等の固着手段を用いて、移動ステージ63にフィルタブロック40を固定状態で支持させてもよい。
なお、図示していないが、ベース部21内における移動ステージ63は、所定の基準位置に来たときにセンサで検知される。ベース部21内における移動ステージ63の位置(すなわち、移動ステージ63に支持されたフィルタブロック40の位置)は、センサで検知された基準位置からのモータ61の回転数や回転角度の変化により精密に特定できる。
なお、ベース部21や駆動機構60の構造は任意であり、この実施形態に限定されるものではない。
フィルタブロック40の具体的な構造については後述するが、フィルタブロック40の複数の導波路41〜47のZ方向に沿った高さ位置(厳密には、端面側開口の高さ位置:以下同様)は、固定導波管ブロック30の導波路31の高さと一致しており、駆動機構60によりフィルタブロック40がY方向に移動すれば、固定導波管ブロック30の導波路31に対し、フィルタブロック40の複数の導波路41〜47が順番に接続されることになる。この場合の接続とは、隙間gを介して互いの導波路の開口の中心位置が一致した状態を示すものとする。
フィルタブロック40の第4の端面40bには、固定導波管ブロック70の第5の端面70aが所定の隙間g(例えば0.1mm程度)を持って平行に対向している。各導波路41〜47の第4の端面40b側の開口の周囲を囲む位置には、端面40b,70a間の隙間gからの電磁波漏出を防止するためのチョーク溝48が3重に形成されている。
固定導波管ブロック70は、フィルタブロック40を挟んで、固定導波管ブロック30と対称に形成されている。すなわち、固定導波管ブロック70はY方向に延び、外形が横長矩形で厚さ一定の金属板からなり、第5の端面70aの中央からその反対側の第6の端面70bの中央までX方向に沿って貫通する導波路71が形成されている。
この金属壁で囲まれた導波路71の第5の端面70aにおける開口は矩形形状であり、その開口寸法は、例えば185GHz〜260GHzのミリ波帯の電磁波を単一モードで低損失に伝搬させるように、固定導波管ブロック30の導波路31と同じに設定される。導波路71の第5の端面70a側の開口の周囲を囲む位置には、端面40b,70a間の隙間gからの電磁波漏出を防止するためのチョーク溝74が3重に形成され、その反対側の第6の端面70b側の開口の周囲にはフランジ受け73が形成されている。
固定導波管ブロック70は、その導波路71の第5の端面70a側の開口が、固定導波管ブロック30の導波路31の第2の端面30b側の開口と同心に並ぶようにベース部21上に固定されている。また、駆動機構60によりフィルタブロック40がY方向に移動すれば、固定導波管ブロック70の導波路71に対し、フィルタブロック40の複数の導波路41〜47が順番に接続される。これにより、導波路71は、フィルタブロック40の複数の導波路41〜47のうち、固定導波管ブロック30の導波路31に接続されている導波路に接続される。このとき、導波路31と、導波路71と、複数の導波路41〜47のうちの1つが一直線上に並ぶことになる。なお、ここでは、フィルタブロック40の複数の導波路41〜47が一直線で、第2の端面30bなどの各端面に対して直交する(X方向に沿っている)場合を示しているが、導波路41〜47の少なくとも一部が、X方向に対して傾きをもつ場合には、それに合わせて、固定導波管ブロック30の導波路31の第2の端面30b側の開口の位置に対して、固定導波管ブロック70の導波路71の第5の端面70a側の開口の位置をY方向にずらすことで対応できる。
固定導波管ブロック30と固定導波管ブロック70は、平行に対向する状態でその両端同士が側板80,81により連結されて、全体として枠状となり、ベース部21上に直立した状態で固定されている。
また、固定導波管ブロック30と固定導波管ブロック70の上縁間は、一定厚の長方形状のカバー90により塞がれている。カバー90の下面側には、フィルタブロック40の上面側の溝50に係合して、フィルタブロック40の横方向(X方向)の位置ずれを抑制するガイドレール95が設けられている。
図3に特許文献1で示されたような従来のチョーク構造を示す。図3(a)は、従来の導波管接続構造において、図1の符号Aで示した領域に相当する領域の拡大斜視図である。図3(b)は、図1に示したフィルタブロック40の導波路44付近の拡大正面図に相当する。なお、図3に示した導波管接続構造の範囲においては、後述する通過帯域特性を付与する構成は含まれていないものとする。
図1及び図3に示すように、フィルタブロック40の第3の端面40a(及び第4の端面40b)の各導波路41〜47の開口を囲むチョーク溝48は例えば3重に設けられており、最も各導波路41〜47の開口に近いものから順に符号48−1,48−2,48−3を付して示す。各チョーク溝48は、所定幅と所定深さを有する矩形枠状に連続した溝であり、各導波路41〜47の開口の中心位置に対して互いに同心に設けられている。
フィルタバンク20の使用帯域を185GHz〜260GHz(WR−4帯)として最適化した各チョーク溝48の寸法の一例を以下に示す。各チョーク溝48の幅は0.25mmである。チョーク溝48−1の内径寸法は2.092mm×1.326mm、外形寸法は2.592mm×1.826mmである。チョーク溝48−2の内径寸法は3.992mm×2.326mm、外形寸法は4.492mm×2.826mmである。チョーク溝48−3の内径寸法は5.892mm×3.326mm、外形寸法は6.392mm×3.826mmである。
また、図3の構造をシミュレーションして、図1の領域Aに相当する領域における導波路31と導波路44の間の挿入損失S21を求めた結果を図4に示す。ここでは、固定導波管ブロック30の第2の端面30bと、フィルタブロック40の第3の端面40aとの隙間gを0.1mmとしている。図4を見ると170GHz付近と280GHz付近に挿入損失が大きく増加する点があることが分かる。これは、隣り合うチョーク溝48間で共振が発生することによる挿入損失の増加である。このような共振の周波数は、チョーク溝48の設置間隔を調整することで移動させることが可能であるため、使用帯域に合わせて最適に調整することができる。しかしながら、図4の結果からは、この他にも196.2GHz付近に、挿入損失の増加点があることが分かる。これは、導波路31と導波路44を伝搬される電磁波の波長に対して、チョーク構造全体が大きな構造であるために複雑な共振が発生し、その共振によって挿入損失が増加したものと推定される。
図3の構造に対するシミュレーションにより、196.2GHzにおける第2の端面30bと第3の端面40aとの隙間gの電界分布(RMS)を確認した結果を図5に示す。この図は、白く見える部分の電界が強いことを示している。図5より、導波路44(及び導波路31)の水平方向(Y方向)のチョーク溝48−1とチョーク溝48−2の間に電界の強い部分があり、この部分が共振していることが分かる。
この問題を解決するため、図3に示した従来のチョーク構造に水平・垂直方向の連通溝52−1〜52−4を追加した構造を図6に示す。図6(a)は、図1の領域Aの拡大斜視図である。図6(b)は、図1に示したフィルタブロック40の導波路44付近の拡大正面図である。追加した連通溝52−1〜52−4以外の寸法は図3(b)に示した例と同様である。なお、図6に示した導波管接続構造の範囲においては、後述する通過帯域特性を付与する構成は含まれていないものとする。
例えば、図6(b)に示すように、第3の端面40aにおいて、3重のチョーク溝48−1〜48−3をY方向に横切ってこれらを連通させる2つの連通溝52−1,52−2と、3重のチョーク溝48−1〜48−3をZ方向に横切ってこれらを連通させる2つの連通溝52−3,52−4と、が設けられる。各連通溝52−1〜52−4は、例えば、チョーク溝48と同じ幅と深さを有し、各チョーク溝48の各辺に対して直交する方向に設けられる。また、各連通溝52−1〜52−4は、その延伸方向がYZ平面上において導波路44の開口の中心位置を通るように、導波路44の開口の上下左右に設けられる。
なお、図6(b)は、第3の端面40aにおける導波路44の開口付近の連通溝52−1〜52−4のみを示しているが、第3の端面40a及び第4の端面40bにおける全ての導波路41〜47の開口付近に同様に4つの連通溝が設けられていることが望ましい。また、固定導波管ブロック30の第2の端面30b、及び、固定導波管ブロック70の第5の端面70aにも、第3の端面40aに設けられたチョーク溝48−1〜48−3及び連通溝52−1〜52−4と同様の、3重のチョーク溝34,74と4つの連通溝が設けられていることが望ましい。
図6に示したチョーク構造により、導波路44の開口がチョーク溝48に囲まれる部分の寸法を小さくできるため、不要な共振を高周波側に追いやって、使用帯域を広域化する効果が期待できる。さらに、従来構造のチョーク溝48に対して直交する方向に新たな連通溝52−1〜52−4を挿入したため、従来構造のチョーク溝48で得られた導波管接続構造の通過帯域特性を大きく変化させないことが想定できる。
図6の構造をシミュレーションして、領域Aにおける導波路31と導波路44の間の挿入損失S21を求めた結果を図7(a)に示す。ここでは、図4に示したシミュレーションと同様に、固定導波管ブロック30の第2の端面30bと、フィルタブロック40の第3の端面40aとの隙間gを0.1mmとしている。図7(b)は、比較のため図4で示した従来のチョーク構造のシミュレーション結果を破線で示している。図7(a)より、全体の周波数特性は図7(b)とほぼ同様であるが、196.2GHz付近の挿入損失の増加が解消されていることが分かる。
なお、図6(b)には、4つの連通溝52−1〜52−4がそれぞれ3重のチョーク溝48に直交するように、導波路44の開口の上下左右に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。不要な共振による使用帯域内の挿入損失の増加を解消することができるのであれば、連通溝の個数や位置、各連通溝と各チョーク溝48とが交わる角度などは、任意に設計することが可能である。また、チョーク溝48は、3重に限定されず、2重でもよく、4重以上であってもよい。これらのことは、第2の端面30b、第4の端面40b、及び第5の端面70aにそれぞれ設けられたチョーク溝と連通溝についても当てはまる。
図6の構造に対するシミュレーションにより、196.2GHzにおける第2の端面30bと第3の端面40aとの隙間gの電界分布(RMS)を確認した結果を図8に示す。図8の電界分布では図5で見られたチョーク溝48−1とチョーク溝48−2の間での共振は確認できず、導波路44の中央部分の電界が強くなっていることが分かる。これらの結果から、本チョーク構造の有効性が確認できた。
なお、フィルタブロック40の導波路41〜47に通過帯域特性を付与する構成としては、種々のものが知られており、図9にその一例を示す。図9(a)は、1つの導波路(ここでは導波路41とする)の内部を長辺側から見た図、図9(b)は短辺側から見た図である。
導波路41の内部には、スリット付きの共振板(アイリスと呼ばれる)51が通過帯域中心周波数に対応した間隔aで連続的に設けられており、これにより導波路内に多数の共振回路が形成される。また、隣り合う共振回路間の結合度が共振板51のスリット間隔bで設定される。このような構成にすることで、フィルタブロック40の導波路41〜47において所望の通過帯域特性を実現している。ただし、このような共振板を用いた構造だけでなく、導波路内に誘電体共振器を配置するなど、その他、周知の種々の構成が可能である。
図9に示すような構造を用いることで、各導波路41〜47に対して、例えば図10のように、所望範囲(185GHz〜260GHz)のミリ波帯を7分割する通過帯域Band1〜Band7を付与することができる。なお、複数の導波路に与える通過帯域特性は、用途に応じて設定すればよく、例えば、複数の導波路のうちの1つだけは、185GHz以上を通過させるハイパス特性(実際には導波管そのものの特性)にしてもよい。
また、既に述べたように、隙間gからの電磁波の漏出を防ぐために、フィルタブロック40の両端面40a,40bの導波路41の開口を囲むようにチョーク溝48が3重に設けられている。図9に示すように、各チョーク溝は、導波路の開口縁からY方向にc1、c2、c3の間隔(任意とする)で、また、導波路の開口縁からZ方向にc4、c5、c6の間隔(任意とする)で、それぞれ深さd1〜d3に設けられている。例えば、図6(b)に示した寸法例では、c1=0.5mm、c2=0.95mm、c3=0.95mm、c4=0.39mm、c5=0.5mm、c6=0.5mmである。このようにチョーク溝を3重に設けることで、漏出阻止効果を高めるとともに、漏出阻止帯域を広くしている。
例えば、d1=d2=d3として、全てのチョーク溝の深さを等しくすれば、その深さに相当する特定の漏出阻止波長の漏れを大きく抑圧することができる。
また、例えば、d1<d2<d3とすれば、漏出阻止波長が導波路の開口縁から外側に行くほど長くなるので、漏出阻止帯域を広くすることができる。
なお、このチョーク溝による漏出阻止作用は、前記した固定導波管ブロック30、固定導波管ブロック70に設けられたチョーク溝34,74についても同様である。これらのチョーク溝により、フィルタブロック40は、固定導波管ブロック30,70に対して非接触状態で移動して、磨耗などによる特性劣化を起こすことなく、異なる通過帯域特性が付与された複数の導波路のうち、任意の導波路の接続を長期に渡って安定に行なえる。
このフィルタバンク20は、フィルタブロック40の複数の導波路41〜47のうち、駆動機構60に対して指定された任意の導波路が、固定導波管ブロック30の導波路31と固定導波管ブロック70の導波路71に接続されるようにフィルタブロック40を移動させる。例えば、駆動機構60に対して導波路41が指定されると、図11(a)のように、駆動機構60がフィルタブロック40を、その導波路41の両端が、固定導波管ブロック30の導波路31と固定導波管ブロック70の導波路71に接続される位置までY方向に移動させる。また、駆動機構60に対して例えば導波路47が指定されると、図11(b)のように、駆動機構60がフィルタブロック40を、その導波路47の両端が、固定導波管ブロック30の導波路31と固定導波管ブロック70の導波路71に接続される位置までY方向に移動させる。
なお、フィルタブロック40に形成される複数の導波路41〜47のY方向の最小間隔は、導波路の開口を囲む最も外側のチョーク溝の外径+最小の余裕分であり、例えば図6(b)に示した寸法例では、最小の余裕分を1mmとすれば7.392mmとなる。
これに対し、既製の導波管で一般的に用いられる導波管のフランジ径は、固定導波管ブロック30,70のフランジ受け33,73の径から分かるように格段に大きい。これに対して、本実施形態のフィルタバンク20は、複数の導波管の並び方向の寸法を格段に小さくでき、しかも、導波路の間隔が狭いから、極めて短時間に所望の導波路に接続できる。また、フィルタバンク全体として電磁波の伝搬路長を短くできるから低損失化できる。
また、通過帯域の切替えはフィルタブロック40のみを移動すればよく、その駆動制御が簡単になり、消費電力も小さくできる。
次に、フィルタブロック40の構成例について説明する。前記実施形態のフィルタブロック40は、異なる通過帯域特性が付与された複数の導波路を精度良く形成するために、図12に示すように、互いの一面側が接合された状態で一体的に連結された矩形板状の第1ブロック100と第2ブロック105により構成され、その接合面に複数の導波路41〜47が形成されている。言い換えれば、前記フィルタブロック40全体を、各導波路を通過する平面で上下に分割した構造ともいえる。
下側の第1ブロック100の下面側には移動ステージ63の上部に係合する凹部49が形成されており、上面100a側には、複数の導波路41〜47の例えば下半部をなす導波路形成溝41a〜47aが一端から他端にまで連続して形成されている。導波路形成溝41a〜47aの内部にはそれぞれ異なる通過帯域特性を与えるための図示しない共振素子(その一部の場合もある)が設けられている。
また、上側の第2ブロック105の上面側にはガイドレール95を受け入れる溝50が形成され、下面105a側には、複数の導波路41〜47の例えば上半部をなす導波路形成溝41b〜47bが、導波路形成溝41a〜47aと同じ間隔で一端から他端まで連続して形成されている。導波路形成溝41b〜47bの内部にはそれぞれ異なる通過帯域特性を与えるための図示しない共振素子(その一部の場合もある)が設けられている。なお、各チョーク溝48も、下半部48aと上半部48bに分割されている。
第1ブロック100の上面100aと第2ブロック105の下面105aは接合され、互いの導波路形成溝41a〜47a,41b〜47bが上下に合わせられ、導波路41〜47を形成する状態で一体化されている。このとき、チョーク溝の下半部48aと上半部48bも連結される。なお、ここでは、各導波路41〜47を上半部と下半部に分けているが、導波路の短辺中央以外の位置で分割してもよく、一方のブロック(例えば、第1ブロック100)側だけに導波路形成溝と前記共振素子を設け、その導波路形成溝の開口面を、他方のブロック(例えば、第2ブロック105)の平坦な面で塞いで一体化してもよい。
このような構造を採用すれば、複数の導波路を少ない部品点数で効率的にかつ精度良く製造できる。
ただし、第1ブロック100の上面100aと第2ブロック105の下面105aとの接合が不十分で、導波路形成部に隙間ができると導波路としての所望の特性が得られないので、この実施形態では、導波路の両側の位置における両ブロックの接合を完全にするために、多数のネジ(図示せず)を楕円で示すネジ穴110,111に締め付けて、一体化している。
上記したフィルタバンク20は、ミリ波帯において、小型、低損失で、フィルタ切替えが高速に行なえ、その制御が容易で消費電力が少なくて済むので、これをミリ波帯スペクトラムアナライザに用いれば測定精度を向上させるために格別有効である。
ところで、特許文献1に開示されたような導波管スイッチに本実施形態の導波管接続構造を適用することも可能である。このとき、第1の端面30aから第2の端面30bまで貫通形成される入力側の導波路31と、第5の端面70aから第6の端面70bまで貫通形成される出力側の導波路71の本数は任意である。例えば、入力側の導波路31を複数本にすることによって、複数対1の導波管スイッチを構成することができる。あるいは、出力側の導波路71を複数本にすることによって、1対複数の導波管スイッチを構成することができる。あるいは、入力側の導波路31と出力側の導波路71を共に複数本にすることによって、複数対複数の導波管スイッチを構成することもできる。
図13は、上記フィルタバンク20を用いたミリ波帯スペクトラムアナライザ200の基本的な構成を示している。
このミリ波帯スペクトラムアナライザ200は、ミリ波帯の被測定信号のスペクトラム特性を求めるものであって、フィルタバンク20、周波数変換部210、検波部220、制御部230、表示部240により構成されている。周波数変換部210は、ミキサ211と、ローカル信号発生器212と、フィルタ213と、を有する。
ミリ波帯の被測定信号Sxは、フィルタバンク20を介して周波数変換部210のミキサ211に与えられ、ローカル信号発生器212から出力されるローカル信号とミキシングされ、そのミキシング出力からフィルタ213により所定の中間周波数帯の信号が抽出される。ローカル信号の周波数は、制御部230の周波数掃引手段231により所望の解析対象周波数範囲に対応して掃引可変され、その所望の解析対象周波数範囲の信号成分が時間経過にともなって中間周波数帯の信号として抽出されてその強度が検波部220で検出される。なお、ここでは説明を容易にするために、周波数変換部210での周波数変換処理(ヘテロダイン変換)を1回だけ行なう例を示しているが、ミリ波帯のような高い周波数の信号を正確に解析する場合には、周波数変換処理を複数回行なってデジタル処理が可能な中間周波数帯に変換することになる。
制御部230のスペクトラムデータ取得手段232は、解析対象周波数ごとに検出される信号強度をスペクトラムデータとして記憶し、これを表示部240に表示させる。また、制御部230のフィルタ切替手段233は、フィルタバンク20の駆動機構60を解析対象周波数に応じて制御し、フィルタバンク20のフィルタブロック40の複数の導波路のうち、解析対象周波数が含まれる通過帯域の導波路を指定し、指定した導波路を固定導波管ブロック30の導波路31に接続させるようになっている。すなわち、フィルタ切替手段233は、被測定信号Sxから、指定された導波路に付与された通過帯域に含まれる信号成分のみを抽出させて周波数変換部210に出力させる。
このように構成されたミリ波帯スペクトラムアナライザ200は、小型に構成でき、フィルタ切替制御が容易となり、省電力化が可能となり、しかも、フィルタブロック40の各導波路の通過帯域による周波数選択作用により、イメージ成分の誤検出を防止できる。また、フィルタブロック40の複数の導波路の切替えを高速に行なえるので、解析対象周波数の掃引範囲が広い場合であってもローカル信号の周波数掃引を途中で長時間待たせる必要がなく、効率的に正確なスペクトラム解析を行なうことができる。また、低損失であるから、被測定信号SxのS/Nを低下させることがなく、小レベルの信号のスペクトラム検出が可能となる。
なお、図13において、点線で示しているように、周波数変換部210のローカル信号発生器212からミキサ211の間に、フィルタバンク20と同等の構成で、全体の周波数帯域がローカル信号の周波数可変範囲に対応したフィルタバンク20′を設けてもよい。フィルタ切替手段233により、フィルタバンク20′のフィルタブロック40の複数の導波路のうち解析対象周波数に対応したローカル信号周波数が含まれる通過帯域の導波路を、固定導波管ブロック30の導波路31に選択的に接続させるようにすれば、ローカル信号に含まれる高調波やスプリアスを減衰させてミキサ211に与えることができ、ローカル信号に含まれる高調波やスプリアスに影響されないより正確なスペクトラム測定が可能となる。
なお、周波数変換部210の入力側(すなわち前段)だけにフィルタバンク20を設ける構成、ローカル信号発生器212とミキサ211の間だけにフィルタバンク20′を設ける構成、あるいは両方にそれぞれフィルタバンク20,20′を設ける構成のいずれも可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る導波管接続構造は、導波路の開口の周囲を囲む複数のチョーク溝を横切る連通溝52−1〜52−4によって、チョーク溝で囲まれた空間の長さが従来よりも短くなるため、チョーク溝間で共振現象が生じる周波数を変更して、通過帯域における共振現象を抑制することができる。この結果、本導波管接続構造を使用したフィルタバンク又は導波管スイッチの使用帯域を広帯域化できる。
また、本実施形態に係る導波管接続構造は、特に、導波路の開口の周囲を囲む複数のチョーク溝が互いに同心に形成された矩形枠状であり、チョーク溝の各辺に直交するように4つの連通溝52−1〜52−4が設けられた場合には、従来構造のチョーク溝で得られた通過帯域特性を大きく変化させずに、不要な共振のみを効果的に除去することができる。
また、本実施形態に係るフィルタバンク20は、上記の導波管接続構造を備えることにより、使用帯域を広帯域化できる。
また、本実施形態に係るフィルタバンク20は、固定導波管ブロック30の導波路31の第2の端面30b側の開口と、固定導波管ブロック70の導波路71の第5の端面70a側の開口とが同心に並んでいるため、必然的にフィルタブロック40の各導波路41〜47が平行に並んだ状態となる。このため、フィルタブロック40の構造が簡単化され、フィルタバンク20全体を小型化できる。
また、本実施形態に係るフィルタバンク20は、複数の導波路の一部が第1ブロック100の一面側に形成され、残りの一部が第2ブロック105の一面側に形成されているため、両ブロックの一面側同士を重ね合わせて一体化することで構成できる。これにより、複数の導波路を少ない部品点数で効率的にかつ精度良く製造できる。
また、本実施形態に係るミリ波帯スペクトラムアナライザ200は、上記のフィルタバンク20を備えることにより、使用帯域における共振現象を抑制することができるため、ダイナミックレンジの大きい正確なスペクトラム解析を行なうことができる。
20,20′ フィルタバンク
30,70 固定導波管ブロック
30a 第1の端面
30b 第2の端面
31,71 導波路
34,48,48−1,48−2,48−3,74 チョーク溝
40 フィルタブロック
40a 第3の端面
40b 第4の端面
41〜47 導波路
52−1,52−2,52−3,52−4 連通溝
60 駆動機構
70a 第5の端面
70b 第6の端面
100 第1ブロック
105 第2ブロック
200 ミリ波帯スペクトラムアナライザ
210 周波数変換部
211 ミキサ
212 ローカル信号発生器
213 フィルタ
220 検波部
233 フィルタ切替手段

Claims (8)

  1. 金属壁で囲まれ、ミリ波帯の電磁波を伝搬させる導波路(31)が第1の端面(30a)から第2の端面(30b)まで貫通形成された第1の導波管ブロック(30)と、
    金属壁で囲まれ、前記ミリ波帯の電磁波を伝搬させる導波路(41〜47)が、前記第1の導波管ブロックの前記第2の端面に所定の隙間を持って平行に対向する第3の端面(40a)から第4の端面(40b)まで貫通形成された第2の導波管ブロック(40)と、を備え、
    前記第2の導波管ブロックは、前記第2の導波管ブロックの前記導波路が前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続されるように、前記第1の導波管ブロックの前記第2の端面に沿って移動可能である導波管接続構造であって、
    前記第1の導波管ブロックの前記第2の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置、及び、前記第2の導波管ブロックの前記第3の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置に、各端面間の隙間からの電磁波漏出を防止するための複数のチョーク溝(34,48)が設けられ、
    前記第2の端面及び前記第3の端面のそれぞれにおいて前記複数のチョーク溝を横切る少なくとも1つの連通溝(52−1〜52−4)が設けられたことを特徴とする導波管接続構造。
  2. 前記第2の端面側の前記導波路の開口と前記第3の端面側の前記導波路の開口は矩形形状であり、
    前記第2の端面及び前記第3の端面のそれぞれにおいて、前記複数のチョーク溝は互いに同心に形成された矩形枠状であり、前記複数のチョーク溝の各辺に直交するように4つの前記連通溝が設けられ、各前記連通溝は、その延伸方向が各前記導波路の開口の中心位置を通ることを特徴とする請求項1に記載の導波管接続構造。
  3. 金属壁で囲まれ、前記ミリ波帯の電磁波を伝搬させる導波路(71)が、前記第2の導波管ブロックの前記第4の端面に所定の隙間を持って平行に対向する第5の端面(70a)から第6の端面(70b)まで貫通形成された第3の導波管ブロック(70)を更に備え、
    前記第2の導波管ブロックは、前記第2の導波管ブロックの前記導波路が前記第3の導波管ブロックの前記導波路に接続されるように、前記第3の導波管ブロックの前記第5の端面に沿って移動可能であり、
    前記第3の導波管ブロックの前記第5の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置、及び、前記第2の導波管ブロックの前記第4の端面側の前記導波路の開口の周囲を囲む位置に、各端面間の隙間からの電磁波漏出を防止するための複数のチョーク溝(48,74)が設けられ、
    前記第4の端面及び前記第5の端面のそれぞれにおいて前記複数のチョーク溝を横切る少なくとも1つの連通溝(52−1〜52−4)が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導波管接続構造。
  4. 前記第4の端面側の前記導波路の開口と前記第5の端面側の前記導波路の開口は矩形形状であり、
    前記第4の端面及び前記第5の端面のそれぞれにおいて、前記複数のチョーク溝は互いに同心に形成された矩形枠状であり、前記複数のチョーク溝の各辺に直交するように4つの前記連通溝が設けられ、各前記連通溝は、その延伸方向が各前記導波路の開口の中心位置を通ることを特徴とする請求項3に記載の導波管接続構造。
  5. 前記請求項3又は請求項4に記載の導波管接続構造と、
    前記第1の導波管ブロック及び前記第3の導波管ブロックを固定するベース部(21)と、を備え、前記第2の導波管ブロックが前記導波路を複数有するミリ波帯フィルタバンク(20,20′)であって、
    前記ベース部に設けられ、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路のうち、指定された任意の導波路が前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続する位置に前記第2の導波管ブロックを移動させる駆動機構(60)を更に備え、
    前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路は、前記ミリ波帯内で異なる通過帯域特性が付与されており、
    前記第3の導波管ブロックの前記導波路が、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路のうち、前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続された導波路に対して接続されることを特徴とするミリ波帯フィルタバンク。
  6. 前記第1の導波管ブロックの前記導波路の前記第2の端面側の開口と、前記第3の導波管ブロックの前記導波路の前記第5の端面側の開口とが、前記第2の端面に直交する直線上に並んでいることを特徴とする請求項5に記載のミリ波帯フィルタバンク。
  7. 前記第2の導波管ブロックは、互いの一面側が接合された状態で一体的に連結された第1ブロック(100)と第2ブロック(105)からなり、
    前記異なる通過帯域特性が付与された複数の前記導波路が、前記第1ブロックと前記第2ブロックとが接合する面に形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のミリ波帯フィルタバンク。
  8. ローカル信号を出力するローカル信号発生器(212)、ミリ波帯の被測定信号と前記ローカル信号をミキシングするミキサ(211)、及び、前記ミキサのミキシング出力から所定の中間周波数帯の信号を抽出するフィルタ(213)を有する周波数変換部(210)と、前記中間周波数帯の信号を検波する検波部(220)とを有し、解析対象周波数に応じて前記ローカル信号の周波数を変化させて、前記被測定信号のスペクトラム特性を求めるミリ波帯スペクトラムアナライザ(200)において、
    前記周波数変換部の前段に、前記請求項5から請求項7のいずれかに記載のミリ波帯フィルタバンクを設けるとともに、
    前記解析対象周波数に応じて、前記ミリ波帯フィルタバンクの前記駆動機構を制御し、前記第2の導波管ブロックの複数の前記導波路のうち前記解析対象周波数が含まれる通過帯域の導波路を、前記第1の導波管ブロックの前記導波路に接続させるフィルタ切替手段(233)を備えていることを特徴とするミリ波帯スペクトラムアナライザ。
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