JP5442804B2 - ミリ波帯フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、ミリ波帯に用いるフィルタに関する。
近年、ユビキタスネットワーク社会を迎え、電波利用ニーズが高まる中、家庭内のワイヤレスブロードバンド化を実現するWPAN(ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク)や安全・安心な運転をサポートするミリ波レーダー等のミリ波帯無線システムが利用され始めている。また、100GHz超無線システム実現への取組も積極的に行われてきている。
その一方で、60〜70GHz帯の無線システムの2次高調波評価や100GHz超の周波数帯における無線信号の評価については、周波数が高くなるにつれ測定器の雑音レベル及びミキサの変換損失が増加するとともに周波数精度が低下するため、100GHzを超える無線信号の高感度、高精度測定技術が確立されていない状況となっている。しかも、これまでの測定技術では局部発振の高調波を測定結果から分離することができず、不要発射等の厳密な測定が困難となっている。
これらの技術課題を克服し、100GHz超帯域無線信号の高感度・高精度測定を実現するためには、イメージ応答及び高次高調波応答を抑制するためのミリ波帯の狭帯域なフィルタ技術の開発が必要であり、特に、可変周波数型(チューナブル)に適応可能なものが望ましい。
これまで、ミリ波帯で周波数可変型として用いられるフィルタとしては、(a)YIG共振器を用いたもの、(b)バラクタダイオードを共振器に付加したもの、(c)ファブリペロー共振器が知られている。
(a)のYIG共振器を用いたものでは現状で80GHz程度まで使用できるものが知られ、(b)のバラクタダイオードを共振器に付加したものでは40GHz程度まで使用できるものが知られているが、100GHzを超える周波数では製造が困難である。
これに対し、(c)のファブリペロー共振器は光の分野でよく用いられており、これをミリ波に用いる技術が非特許文献1に開示されている。この非特許文献1には、ミリ波を反射させる一対の球面反射鏡を、その曲率半径に等しい間隔で対向させて高いQを実現した共焦点型のファブリペロー共振器が示されている。
手代木 扶、米山 務 著「新ミリ波技術」オーム社,1993年,p70
しかしながら、上記共焦点型のファブリペロー共振器では、通過帯域をチューニングするために鏡面間の距離を動かした場合、原理的に焦点がずれるためQの大幅な低下が予想される。したがって周波数毎に曲率の違う反射鏡対を選択的に用いなければならない。
一方、光の分野でよく用いられるファブリペロー共振器としては平面型ハーフミラーを対向配置した構造のものがあり、この構造であれば、原理的に鏡面間の距離を変化させてもQの低下は生じないが、この平面型ファブリペロー共振器を利用したフィルタをミリ波帯で実現するためには、さらに解決すべき次のような課題があった。
(A)ハーフミラーに平面波を平行に入射する必要がある。フィルタへの入力が導波管の場合、その径をホーンアンテナのように大きくし平面波を実現することが考えられるがサイズが大きくなる。その場合でも完全平面波の実現は困難であり特性が劣化する。
(B)ハーフミラーは平面波の一定量を平面波のままで透過させる機能をもつ必要がある。このためハーフミラーの構造が制限され、設計の自由度が低い。
(C)開放型であるため、空間に放射することによる損失が大きい。
本発明は、上記課題を解決し、波面変換による特性劣化がなく、電波ハーフミラーの設計に高い自由度を与え、空間放射による損失が少ないミリ波帯フィルタを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1のミリ波帯フィルタは、
ミリ波帯の所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる導波管(22〜27)によって形成される導波路(21)と、
前記導波路の内部を塞ぐ状態で互いに間隔を開けて対向配置され、前記所定周波数範囲の電磁波の一部を透過させ、一部を反射させる特性をもつ平面型の一対の電波ハーフミラー(30A、30B)とを有し、
前記導波路の一端側から入射された電磁波のうち、前記一対の電波ハーフミラーの間に形成される共振器の共振周波数を中心とする周波数成分を選択的に他端側から出力することを特徴とする。
また、本発明の請求項2のミリ波帯フィルタは、請求項1記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記一対の電波ハーフミラーの間の電気長を変化させるために、前記一対の電波ハーフミラーの間隔を可変する間隔可変手段(40)または前記一対の電波ハーフミラーの間に挿入した誘電体(51)の誘電率を可変する誘電率可変手段(52)の少なくとも一方を有していることを特徴としている。
また、本発明の請求項3のミリ波帯フィルタは、請求項1または請求項2記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記導波路が、同一内径で連続する一本の導波管(22)によって形成されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4のミリ波帯フィルタは、請求項2記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記導波路が、
前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる内径を有する第1導波管(23)と、
前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる内径を有し、前記第1導波管の端部に外接した状態で該第1導波管と連結される第2導波管(24)とで形成され、
前記一対の電波ハーフミラーの一方が前記第1導波管に取り付けられ、他方が前記第2導波管に取り付けられ、
前記間隔可変手段は、前記第1導波管と前記第2導波管とが連結された状態で伸縮するように摺動させて前記一対の電波ハーフミラーの間隔を可変することを特徴とする。
また、本発明の請求項5のミリ波帯フィルタは、請求項4記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記第2導波管は、
前記第1導波管の一端側を摺動に必要な隙間のある状態で受け入れる口径を有する第1導波路(24a)と、前記第1導波管の導波路と同口径の第2導波路(24b)とが同心に連続する状態で一体的に形成され、
さらに、前記第1導波管の外周に隙間をもって対向する前記第1導波路の内周壁に、電磁波漏出阻止用の所定深さの溝(60)が周回形成されていることを特徴としている。
また、本発明の請求項6のミリ波帯フィルタは、請求項4または請求項5記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記一対の電波ハーフミラーの間の範囲で前記第2導波管の内周から外周まで連続するエアダクト(70)が設けられていることを特徴としている。
また、本発明の請求項7のミリ波帯フィルタは、請求項2記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記導波路が、
前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる内径を有する第1導波管(25)と、
前記第1導波管と同一の内径および外形を有し、一端側を前記第1導波管の一端側に対向させた状態で同軸に配置された第2導波管(26)と、
前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させ、且つ、前記第1導波管および第2導波管に外接する内径を有し、少なくとも前記第1導波管と第2導波管の一端側を内接させた状態で保持する第3導波管(27)とで形成され、
前記一対の電波ハーフミラーの一方が前記第1導波管に取り付けられ、他方が前記第2導波管に取り付けられ、
前記間隔可変手段は、前記第1導波管と前記第2導波管の少なくとも一方を前記第3導波管に内接保持された状態で摺動させることを特徴とする。
また、本発明の請求項8のミリ波帯フィルタは、請求項7記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記第3導波管は、
前記第1導波管と前記第2導波管のうち、前記第3導波管に対して摺動する方の導波管の一端側を、摺動に必要な隙間のある状態で受け入れるように形成され、
さらに、該受け入れた導波管の外周に隙間をもって対向する内周壁に、電磁波漏出阻止用の所定深さの溝(60′)を周回形成したことを特徴としている。
また、本発明の請求項9のミリ波帯フィルタは、請求項7または請求項8記載のミリ波帯フィルタにおいて、
前記一対の電波ハーフミラーの間の範囲で前記第3導波管の内周から外周まで連続するエアダクト(70′)が設けられていることを特徴としている。
このように、本発明のミリ波帯フィルタは、ミリ波帯の所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる導波管で形成される導波路に、平面型の一対の電波ハーフミラーを互いに間隔を開けて対向配置した構造を有し、その一対の電波ハーフミラーの間に形成される共振器によって導波路の一端側から入力された電磁波から共振周波数を中心とする周波数成分を選択して他端側から出力させている。
このように、TE10モードのみを伝送する導波路内部に平面型の一対の電波ハーフミラーで形成された共振器を設けた構造であるから、平面波を入射するための特別な工夫が必要なくなり、また電波ハーフミラーも平面波を透過させる必要がなく任意の形状をとることができる。
また、フィルタ全体として密閉型となり、外部空間への放射による損失が原理上なく、ミリ波帯において、極めて高い選択特性を実現できる。
また、電波ハーフミラーの間の電気長を変化させるために、電波ハーフミラーの間隔を可変する間隔可変手段または電波ハーフミラーの間に挿入した誘電体の誘電率を可変する誘電率可変手段の少なくとも一方を有している構造では、共振器の共振周波数を自由に可変することができ、少ない損失で共振周波数可変のフィルタを実現できる。
また、導波路を、導波管2本あるいは3本の連結構造とし、一対の電波ハーフミラーをそれぞれ異なる導波管にそれぞれ取り付けた構造であれば、導波管の摺動でミラー間隔を可変することができ、容易に共振周波数を変更することができる。
また、導波管2本構成のミリ波帯フィルタで、第2導波管の第1導波路の内周壁に、電磁波漏出阻止用の所定深さの溝を周回形成したものでは、電波ハーフミラーの間の電磁波が摺動に必要な隙間を介して外部に漏出されることを抑制でき、フィルタの特性を高く維持できる。
また、導波管3本構成のミリ波帯フィルタで、第1導波管と第2導波管のうち、第3導波管に対して摺動する方の導波管の外周に隙間をもって対向する第3導波管の内周壁に電磁波漏出阻止用の所定深さの溝を周回形成したものでは、電波ハーフミラーの間の電磁波が摺動に必要な隙間を介して外部に漏出されることを抑制でき、フィルタの特性を高く維持できる。
また、一対の電波ハーフミラーの間の範囲でその周りを囲む導波管の内周から外周まで連続するエアダクトを設けたものでは、摺動に必要な隙間を狭くした場合でも、エアダクトによって周波数可変時の空気抵抗を減らすことができ、その空気抵抗による電波ハーフミラーの歪み発生を防ぐことができ、摺動に必要以上の力を加えなくても済む。
本発明のミリ波帯フィルタの基本構造図 フィルタの共振周波数を変化させるための構成を示す図 2本の異径導波管を用いた構造例を示す図 3本の導波管を用いた構造例を示す図 シミュレーションに用いた電波ハーフミラーの構造図 シミュレーションに用いた電波ハーフミラーの周波数特性図 導波管3本構造の異なるミラー間隔毎のフィルタの周波数特性図 導波管2本構造で電磁波漏出阻止用の溝を設けたフィルタの構造図 電磁波漏出阻止用の溝の有無によるフィルタ特性の違いを示すシミュレーション結果 電磁波漏出阻止用の溝の有無によるフィルタ特性の違いを示すシミュレーション結果 導波管2本構造で電磁波漏出阻止用の溝とエアダクトを設けたフィルタの構造図 導波管3本構造で電磁波漏出阻止用の溝を設けたフィルタの構造図 導波管3本構造で電磁波漏出阻止用の溝とエアダクトを設けたフィルタの構造図
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のミリ波帯フィルタ20の基本構造を示している。
このミリ波帯フィルタ20は、ミリ波帯の所定周波数範囲(例えば110〜140GHz)の電磁波をTE10モードで伝搬させる内径(例えば内径a×b=2.032mm×1.016mm)の矩形導波管22により形成された所定長の導波路21と、その導波路21の内部を塞ぐ状態で互いに間隔dを開けて対向配置され、TE10モードで伝搬する前記所定周波数範囲の電磁波の一部を透過させ、一部を反射させる特性をもつ平面型の一対の電波ハーフミラー30A、30Bとを有している。なお、図1の(a)は側面図、図1の(b)はA−A線断面を示している。
図1では、導波路21を形成するための最も単純な構造として、一本の連続した矩形導波管22を採用しているが、後述するように、周波数可変を容易に実現する構造として2本または3本の導波管を連結させた構造で導波路21を形成してもよい。
電波ハーフミラー30A、30Bは、図1の(b)に示しているように、導波路21に内接する矩形の外形をもつ金属板31に、電磁波透過用のスリット32が設けられた構造を有しており、そのスリット32の形状や面積に対応した透過率で電磁波を透過させる。
このような基本構造をもつミリ波帯フィルタ20では、互いに対向する一対の電波ハーフミラー30A、30Bの間の電気長(物理長dと内部の誘電率で決まる電気長)を半波長として共振する平面型のファブリペロー共振器が成され、その共振周波数を中心とする周波数成分だけが選択的に通過できる状態となる。
しかも、導波路21は、ミリ波帯において極めて低損失の閉鎖型の伝送路としての導波管構造で形成され、進行方向に直交する平面にのみ電界が存在するTE波を用いるから、波面変換などの処理は不要で、共振器で抽出された信号成分のみをTE10モードで極めて低損失に出力させることができる。
ここで、図2の(a)のように電波ハーフミラー31、32の間隔dを間隔可変手段40によって可変できるようにしたり、図2の(b)のようにミラー間に挿入した誘電体51の誘電率を誘電率可変手段52からの電気信号で可変する、あるいは両者を併用することで、ミラー間の電気長(つまり共振周波数)を自由に可変でき、これによってミリ波帯において極めて損失が少ない可変周波数型のフィルタが実現できる。
この基本構造における間隔可変手段40としては種々の構成が考えられるが、上記例のように導波路が一本の連続した導波管で形成されている場合、一方の電波ハーフミラー31を管内の所定位置に固定し、他方の電波ハーフミラー32を管内で摺動させる機構が考えられる。また誘電率可変用の誘電体51としては例えば液晶を用いることができる。
次に、周波数可変型のミリ波帯フィルタのより具体的な構造について説明する。
図3は、導波路21を、異径の第1導波管23と第2導波管24によって形成したミリ波帯フィルタ20′を示している。
このミリ波帯フィルタ20′の導波路21を形成する第1導波管23は、前記同様に、ミリ波帯の所定周波数範囲(例えば110〜140GHz)の電磁波をTE10モードで伝搬させる内径(例えば内径a×b=2.032mm×1.016mm)の矩形導波管であり、その一端側の開口を塞ぐように一方の電波ハーフミラー30Aが固定されている。
また、第2導波管24は、第1導波管23の一端側に外接した状態で第1導波管23と連結され、その内部に他方の電波ハーフミラー30Bが固定されている。
このように異径の導波管23、24を連結した構造で、それぞれに電波ハーフミラー30A、30Bを固定した構造であれば、間隔可変手段40により、第1導波管23と第2導波管24とが連結された状態で伸縮するように摺動させることで、一対の電波ハーフミラー30A、30Bの間隔dを可変することができ、共振周波数を自由に設定できる。
なお、この構造において、第2導波管24の内径は、第1導波管23の内径に、その肉厚分と摺動の余裕分とを加えたものであるので、TE01モードで伝搬できる周波数範囲が第1導波管23のそれより低い領域にシフトすることになるが、内径(約2mm×1mm)に対して導波管の厚みと摺動余裕分を含めて0.1mm程度にすることで、そのシフト量を小さくすることができる。
図4は、導波路21を、同型の第1導波管25、26と、それより口径が僅かに大きい第3導波管27によって形成したミリ波帯フィルタ20″を示している。
このミリ波帯フィルタ20″の導波路21を形成する第1導波管25および第2導波管26は、前記同様に、ミリ波帯の所定周波数範囲(例えば110〜140GHz)の電磁波をTE10モードで伝搬させる内径(例えば内径a×b=2.032mm×1.016mm)の矩形導波管(WR−08)であり、その一端側の開口を塞ぐように一方の電波ハーフミラー30Aが固定されている。
また、第1導波管25と同型の第2導波管26は、その一端側を第1導波管25の一端側に対向させた状態で同軸に配置されており、その一端側開口を塞ぐように他方の電波ハーフミラー30Bが固定されている。
第3導波管27は、第1導波管25、第2導波管26に外接する内径を有しており、第1導波管25と第2導波管26の一端側に外接した状態で、両導波管25、26を保持、連結している。ここで、前記導波管24と同様に、第3導波管27の内径は、第1導波管25、第2導波管26の内径にその肉厚分と摺動余裕分とを加えたものであるが、それらを口径に対して微小にすることで、TE10モード(単一モード)で伝搬可能な周波数範囲の低下量を僅少にすることができる。
そして、前記同様に、間隔可変手段40により、一方の電波ハーフミラー30Aが固定されている第1導波管25と、他方の電波ハーフミラー30Bが固定されている第2導波管26の少なくとも一方を、第3導波管27に内接保持された状態で摺動させることで、一対の電波ハーフミラー30A、30Bの間隔dを可変することができ、共振周波数を自由に設定できる。
また、このミリ波帯フィルタ20″では、導波路21の両端が同口径の導波管25、26で形成されていて、110〜140GHzをTE10モードで伝搬させる標準口径のものを使用することができ、電磁波の入出力回路に対する接続に汎用の導波管がそのまま使用でき、フィルタを含めた回路構築が極めて容易となる。なお、図3の構造の第2導波管24の他端側に第1導波管23と同径の導波管を装着すれば、このミリ波帯フィルタ20″と同様に他の回路との接続に汎用の導波管が使用できる。
次に、上記図4の構造のミリ波帯フィルタ20″のシミュレーション結果を以下に示す。なおシミュレーションでは簡単のため材質を完全導体とし、導体損が存在しないモデルとしている。
また、第1導波管25、第2導波管26は、肉厚0.1mmの標準口径の導波管(内径2.032mm×1.016mm)であり、その先端に固定される電波ハーフミラー30A、30Bは、図5のように、外形全体が導波管に内接する矩形で、厚さ100μm、幅30μmの短辺方向に延びた金属帯板31aを、幅97μmの縦スリット32aを挟んで長辺方向(横方向)に且つ上下2段に並べ、その間に10μmの横スリット32bを設けたものを用いている。この電波ハーフミラー30A、30Bの透過率S21の周波数特性を図6に示す。
図7は、この電波ハーフミラー30A、30Bの距離dを変化させたときのフィルタ全体の透過率S21の周波数特性を示している。距離d=1.284mm、1.500mm、1.632mmに対応して、共振周波数がそれぞれ135.5GHz、121.5GHz、114.9GHzと変化しているが、各共振特性のピーク値はほぼ0dBで広い周波数範囲にわたって極めて低損失(つまり狭帯域)な特性が得られている。この特性をみると、第3導波管27の口径が標準口径より僅かに大きいことによる周波数領域の低下は極めて少ないと言える。
なお、上記シミュレーションで用いたハーフミラーの構造は、本発明を限定するものではなく、スリットの位置、形状などは任意である。
また、前記したミリ波帯フィルタ20′、20″では、間隔可変手段40によって導波管をスライド移動させることで電波ハーフミラー30A、30Bの間隔を変化させて共振周波数を変えるようにしていたが、この間隔可変手段40による間隔変化に加えて、ミラー間に配置した誘電体51の誘電率を外部からの電気信号によって変化させる誘電率可変手段52を併用すれば、より細かな共振周波数の可変制御が可能となる。
図3の導波管2本構造で第1導波管23を第2導波管24に対して摺動させるためには、その摺動に必要な隙間を設ける必要があるが、この隙間が大きいと電波ハーフミラー間の電磁波が外部に漏れてしまい、フィルタ特性を著しく低下させる。
例えば、口径2ミリ×1ミリ程度の導波管の場合、容認されるギャップGは20μm以下となるが、この程度に抑えても電磁波の漏出を完全に防ぐことはできない。
この電磁波の漏出が無視できない特性が要求される場合には、図8に示す構造を採用すればよい。
即ち、第2導波管24を、第1導波管23の一端側を摺動に必要な隙間Gのある状態で受け入れる口径を有する第1導波路24aと、第1導波管23の導波路23aと同口径の第2導波路24bとが同心に連続する状態で一体的に形成し、さらに、第1導波管23の外周に隙間Gをもって対向する第1導波路24aの内周壁に、電磁波漏出阻止用の所定深さの溝(チョーク)60を周回形成する。
ここで、上記のような溝60が電磁波漏出阻止作用を示すためには、その深さを阻止波長λgの1/4(例えば120GHzであれば0.7mm程度)に設定すればよい。幅は、阻止波長に関係しないが、例えば0.2mmが望ましい。また、阻止波長を広帯域にする場合には、深さが異なる複数の溝を所定間隔で形成すればよい。
この電磁波漏出作用を確認するためのシミュレーションを行った結果を図9、図10に示す。図9は、a:隙間Gが無い状態(理想状態)、b:隙間G=20μmで溝60を設けない状態、c:隙間G=20μmで、深さ0.7mm、幅0.2mmの溝60を設けた状態のフィルタの中心周波数、挿入損失、3dB帯域幅、Q値の測定結果を示し、図10は、入力信号の周波数を可変したときの透過特性を示している。
これらのシミュレーション結果から、理想状態に対して、隙間G=20μm、溝無しの場合、挿入損失は16.85dB悪化し、帯域幅(選択度)は3.4倍以上悪化し、Q値は29パーセントまで低下していることがわかる。これに対し、理想状態に対して、隙間G=20μmで溝がある場合、挿入損失は1.3dB、帯域幅(選択度)は1.2倍、Q値は81パーセントまでしか低下しておらず、図10の特性図でみても、理想状態に近い特性が得られており、摺動に必要な隙間Gがあっても溝60による電磁波漏出作用で特性劣化を抑制できることがわかる。
なお、上記のように狭い隙間を設けた場合で、第1導波管23を第2導波管24に対して比較的早い速度で相対移動させたとき、一対の電波ハーフミラー30A、30Bの間の空間の体積が増減するが、その中に存在する空気が狭い隙間Gを抜けきらず(空気抵抗が大きい)に必要以上に強い力を加えないと所望速度で移動させることができない。
そして、そのような無理な力を加えると内部の圧力が変化し、その圧力によって薄い電波ハーフミラー30A、30Bに歪みが生じ、フィルタの共振周波数が所望値からずれたり、損失が大きくなる等の問題が生じる可能性がある。
その圧力変化によるフィルタ特性への影響が無視できない場合には、図11の(a)の平面図および(b)の断面図に示すように、電波ハーフミラー30A、30Bの間の範囲で、その周りを囲む導波路(この場合、第2導波管24の第1導波路24a)の短辺縁から、その外周まで連続するエアダクト70を設け、電波ハーフミラー30A、30Bの間の空間と外部との間で空気が通りやすくすればよい。
ここで、上記のように導波路24aの側縁から外周まで連続するダクトを設けたことによるフィルタ特性へ影響が心配されるが、矩形導波路の長辺側に比べて短辺側の形状変化の影響は少ない(幅をカットオフ波長近傍まで大きくしても特性変化が少ない)ことが知られている。また、図示しないがこのエアダクト70による電磁波漏出が無視できない場合には、前記した電磁波漏出阻止用の所定深さの溝60をエアダクト70の内壁に設けることで抑圧できる。
電磁波漏出阻止用の溝は、前記した導波管3本構成のミリ波帯フィルタにも設けることができる。この場合、図12に示すように、導波路25a、25bが同口径で、第3導波管27の導波路27aに内接するように進入している第1導波管25と第2導波管26のうち、第3導波管27に対して摺動する方の導波管(この例では第1導波管25)の外周に隙間Gをもって対向する第3導波管27の内周壁に電磁波漏出阻止用の所定深さの溝60′を周回するように形成して、一対の電波ハーフミラー30A、30Bの間の電磁波が摺動に必要な隙間Gを介して外部に漏出されることを抑制し、フィルタ特性を高く維持する。ここで、第2導波管26は第3導波管27に固定されていて、第1導波管25に対して一体的に移動するものとする。
また、このような導波管3本構成のミリ波帯フィルタにおいても、図13に示すように、一対の電波ハーフミラー30A、30Bの間の範囲でその周りを囲む第3導波管27の導波路27aの短辺縁から外周まで連続するエアダクト70′を設けることで、摺動に必要な隙間Gを狭くした場合でも、エアダクト70′によって周波数可変時の空気抵抗を減らすことができ、その空気抵抗による電波ハーフミラーの歪み発生を防ぐことができ、摺動に必要以上の力を加えなくても済む。
20、20′、20″……ミリ波帯フィルタ、21、23a、24a、25a、26a27a……導波路、22〜27……導波管、30A、30B……電波ハーフミラー、40……間隔可変手段、51……誘電体、52……誘電率可変手段、60、60′……溝、70、70′……エアダクト

Claims (9)

  1. ミリ波帯の所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる導波管(22〜27)によって形成される導波路(21)と、
    前記導波路の内部を塞ぐ状態で互いに間隔を開けて対向配置され、前記所定周波数範囲の電磁波の一部を透過させ、一部を反射させる特性をもつ平面型の一対の電波ハーフミラー(30A、30B)とを有し、
    前記導波路の一端側から入射された電磁波のうち、前記一対の電波ハーフミラーの間に形成される共振器の共振周波数を中心とする周波数成分を選択的に他端側から出力することを特徴とするミリ波帯フィルタ。
  2. 前記一対の電波ハーフミラーの間の電気長を変化させるために、前記一対の電波ハーフミラーの間隔を可変する間隔可変手段(40)または前記一対の電波ハーフミラーの間に挿入した誘電体(51)の誘電率を可変する誘電率可変手段(52)の少なくとも一方を有していることを特徴とする請求項1記載のミリ波帯フィルタ。
  3. 前記導波路が、同一内径で連続する一本の導波管(22)によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のミリ波帯フィルタ。
  4. 前記導波路が、
    前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる内径を有する第1導波管(23)と、
    前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる内径を有し、前記第1導波管の端部に外接した状態で該第1導波管と連結される第2導波管(24)とで形成され、
    前記一対の電波ハーフミラーの一方が前記第1導波管に取り付けられ、他方が前記第2導波管に取り付けられ、
    前記間隔可変手段は、前記第1導波管と前記第2導波管とが連結された状態で伸縮するように摺動させて前記一対の電波ハーフミラーの間隔を可変することを特徴とする請求項2記載のミリ波帯フィルタ。
  5. 前記第2導波管は、
    前記第1導波管の一端側を摺動に必要な隙間のある状態で受け入れる口径を有する第1導波路(24a)と、前記第1導波管の導波路と同口径の第2導波路(24b)とが同心に連続する状態で一体的に形成され、
    さらに、前記第1導波管の外周に隙間をもって対向する前記第1導波路の内周壁に、電磁波漏出阻止用の所定深さの溝(60)が周回形成されていることを特徴とする請求項4記載のミリ波帯フィルタ。
  6. 前記一対の電波ハーフミラーの間の範囲で前記第2導波管の内周から外周まで連続するエアダクト(70)が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5記載のミリ波帯フィルタ。
  7. 前記導波路が、
    前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させる内径を有する第1導波管(25)と、
    前記第1導波管と同一の内径および外形を有し、一端側を前記第1導波管の一端側に対向させた状態で同軸に配置された第2導波管(26)と、
    前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで一端から他端に伝搬させ、且つ、前記第1導波管および第2導波管に外接する内径を有し、少なくとも前記第1導波管と第2導波管の一端側を内接させた状態で保持する第3導波管(27)とで形成され、
    前記一対の電波ハーフミラーの一方が前記第1導波管に取り付けられ、他方が前記第2導波管に取り付けられ、
    前記間隔可変手段は、前記第1導波管と前記第2導波管の少なくとも一方を前記第3導波管に内接保持された状態で摺動させることを特徴とする請求項2記載のミリ波帯フィルタ。
  8. 前記第3導波管は、
    前記第1導波管と前記第2導波管のうち、前記第3導波管に対して摺動する方の導波管の一端側を、摺動に必要な隙間のある状態で受け入れるように形成され、
    さらに、該受け入れた導波管の外周に隙間をもって対向する内周壁に、電磁波漏出阻止用の所定深さの溝(60′)を周回形成したことを特徴とする請求項7記載のミリ波帯フィルタ。
  9. 前記一対の電波ハーフミラーの間の範囲で前記第3導波管の内周から外周まで連続するエアダクト(70′)が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8記載のミリ波帯フィルタ。
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