JP6315458B2 - ミリ波帯フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、ミリ波帯フィルタに関する。
近年、ユビキタスネットワーク社会を迎え、電波利用ニーズが高まる中、家庭内のワイヤレスブロードバンド化を実現するWPAN(ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク)や安全・安心な運転をサポートするミリ波レーダー等のミリ波帯無線システムが利用され始めている。また、100GHz超無線システム実現への取組も積極的に行われてきている。
その一方で、60〜70GHz帯の無線システムの2次高調波評価や100GHz超の周波数帯における無線信号の評価については、周波数が高くなるにつれ測定器の雑音レベル及びミキサの変換損失が増加するとともに周波数精度が低下するため、100GHzを超える無線信号の高感度、高精度測定技術が確立されていない状況となっている。しかも、これまでの測定技術では局部発振の高調波を測定結果から分離することができず、不要発射等の厳密な測定が困難となっている。
これらの技術課題を克服し、100GHz超帯域無線信号の高感度・高精度測定を実現するためには、イメージ応答及び高次高調波応答を抑制するためのミリ波帯の狭帯域なフィルタ技術の開発が必要であり、特に、可変周波数型(チューナブル)に適応可能なものが望ましい。
これを実現するものとして、本願出願人は、光の分野で用いられているファブリペロー共振器をミリ波に応用し、TE10モード(単一モード)を伝搬する導波管構造の導波路の内部に対向させた一対の電波ハーフミラーの間の共振作用により、ミリ波の所望周波数成分を選択的に通過させるミリ波帯フィルタを提案している(特許文献1)。
上記特許文献1には、所望周波数帯域の電磁波をTE10モードで伝搬させる導波路を、第1導波管と、その第1導波管の一端側を内側に僅かに隙間のある状態で受け入れる第2導波管とで構成し、第1導波管の先端と第2導波管の内部に電波ハーフミラーを対向するように固定し、その間隔が変化するように一方の導波管に対して他方の導波管をその長手方向に相対的に移動させる構造が開示されている。
上記構造のミリ波体フィルタであれば、波面変換による特性劣化がなく、電波ハーフミラーの設計に高い自由度を与えることができ、空間放射による損失が少なくて済み、しかも、一対の電波ハーフミラーの間隔を変化させることでフィルタの共振周波数を可変することができる。
ただし、この構造のミリ波帯フィルタを実際に製造する場合、内側の第1導波管の外周壁と、外側の第2導波管の内周壁との間に、導波管同士の長手方向の相対移動が可能なように隙間を設ける必要があるが、その隙間は、一対の電波ハーフミラーの間に形成される共振器の空間と連続しており、電波ハーフミラー間を往復する電磁波がこの隙間を介して外部に漏れることでフィルタとしての特性が低下してしまう。
したがって、この隙間を可能な限り小さくする必要がある。例えば、導波路の口径2ミリ×1ミリ程度の導波管の場合、容認される隙間は数10μm(例えば20〜30μm)以下であるが、これは顕微鏡で確認しなくてはならない寸法である。ところが、上記構造のミリ波帯フィルタのように、第2導波路の内部に第1導波管の先端が入り込む構造では、隙間部分を外部から観察することができず、その隙間のばらつきを確認できず、双方の位置合わせが極めて困難となる。
この問題を解決する技術として、本願出願人は、特許文献2において、外側の第2導波管を、厚さ一定の板状部に内側の第1導波管の一端側を受け入れる口径の第1導波路を形成する角穴が厚さ方向に貫通形成された第1導波路形成体と、厚さ一定の板状部に第1導波管と同口径の第2導波路を形成する角穴が厚さ方向に貫通形成された第2導波路形成体とで構成し、第1導波路形成体と第2導波路形成体の板状部を、それぞれの角穴同士が同心に連続するように重ね合わせた状態で連結、分離可能に形成する技術を開示している。
この技術を採用することで、内側の第1導波管の外周と外側の第2導波管の第1導波路を形成する角穴との隙間を第1導波路形成体側から観察することができ、その位置合わせを正確に行うことができ、その位置合わせの後に、第2導波路形成体を第1導波路形成体に対して予め位置決めされた位置に連結すれば、第1導波路に対して第2導波路が傾くこともなく、第1導波管の導波路を含めて3つの導波路の位置合わせを正確に行うことができ、フィルタ特性を高く維持できる。
また、上記特許文献2では、上記構造により導波管間の少ない隙間を均等に設けた上で、導波管の間に形成される隙間からの電磁波の漏出を抑制するために、第1導波路形成体を挟んで第2導波路形成体と反対側に重なり、第1導波管を通過させる角穴が厚さ方向に貫通形成され、その角穴の内周に電磁波漏出防止用の所定深さの溝を周回形成するチョーク形成体を設ける技術も開示されている。
特開2013−138401号公報 特開2013−247381号公報
しかしながら、上記特許文献2の構造のミリ波帯フィルタにおいても、さらに解決すべき新たな課題が明らかになった。
即ち、上記のように外側の導波管の内壁に電磁波漏出防止用の溝を設けた構造のフィルタの特性を詳細に調べてみると、内側の導波管の先端(電波ハーフミラーが固定されている部分)から外側の導波管の内壁に設けた溝までの間(以下、不要共振器長と呼ぶ)で不要共振が生じることが認められ、その不要共振周波数が導波管の移動により変化することがわかった。
ここで、一対の電波ハーフミラーの間隔で決まるフィルタ自体の共振周波数(フィルタ共振周波数)は、そのミラー間隔が小さくなるほど高くなるのに対し、上記不要共振周波数はミラー間隔が小さくなるほど低くなる。つまり、ミラー間隔の変化に対し、両共振周波数の変化方向は逆向きとなり、フィルタの共振周波数を大きく動かした場合、フィルタの共振周波数と上記不要共振周波数が重なり、不要共振がフィルタ共振特性を乱すことになる。
これを防ぐために、ミラー間隔が最も広い状態のときに、不要共振器長をそのミラー間隔より十分広くすることが考えられるが、上記不要共振は電磁波の波長の1/2だけでなく、その奇数倍でも発生し、高次の不要共振の影響が避けられない。また不要共振器長を極端に長くすると内側の導波管と外側の導波管とがオーバーラップする長さを大きくする必要があり、フィルタ全体が大型化してしまう。
また、上記のように、第1導波路形成体にチョーク形成体を重ね合わせる際に、その両形成体の角穴の位置が一致するように位置決めする必要があり、チョーク形成体という部品の増加およびその位置合わせという工程の増加によるコスト高を招くという問題もあった。
なお、チョーク形成体を別体として設けずに、電磁波漏出防止用の溝を第1導波路形成体の角穴の内周壁に設けることは可能であるが、長期に渡って電気的に安定な特性を確保するための金メッキ処理を行なう際に、上記したように深さ1mmで幅0.2mmの溝にメッキ液を進入させることは極めて困難であり、上記したような第1導波路形成体と別体チョーク形成体を設けざるを得なかった。
本発明は、上記の新たな課題を解決し、部品点数や位置合わせ作業の増加によるコスト高を招くことなく、容易に製造でき、かつ電磁波漏出による性能低下のないミリ波帯フィルタを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1のミリ波帯フィルタは、
ミリ波帯の所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで伝搬させる口径の導波路(22)を有する第1導波管(21)と、
前記第1導波管の外径より大きく、且つ、前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで伝搬させる口径を有し、前記第1導波管の一端側をその外周に隙間のある状態で受け入れる第1導波路(30a)と、該第1導波路より小さい口径の第2導波路(30b)とが同心に連続するように形成されている第2導波管(30)と、
前記所定周波数範囲の電磁波の一部を透過させ、一部を反射させる特性をもち、一方が前記第1導波管の前記一端側の導波路に固定され、他方が前記第2導波管の前記第1導波路と前記第2導波路の境界部に固定された一対の電波ハーフミラー(40A、40B)と、
前記一対の電波ハーフミラーの間隔が変化するように前記第1導波管を前記第2導波管に対して相対移動させて、前記所定周波数範囲の電磁波のうち前記一対の電波ハーフミラーの間隔で決まる共振周波数の電磁波を選択的に通過させる間隔可変手段(51)とを有し、
前記第2導波管が、
厚さ一定の板状部を有し、該板状部に前記第1導波路を形成する角穴が厚さ方向に貫通形成された第1導波路形成体(31)と、
厚さ一定の板状部を有し、該板状部に前記第2導波路を形成する角穴が厚さ方向に貫通形成された第2導波路形成体(32)とを含み、
前記第1導波路形成体と前記第2導波路形成体とが、前記角穴同士が同心に連続するように前記板状部同士を重ね合わせた状態で連結、分離可能に形成されたミリ波帯フィルタにおいて、
前記第2導波管の前記第1導波路の内壁に対向する前記第1導波管の外壁には、導波路の長手方向に沿った長さが漏出防止対象の電磁波の1/4波長相当となる溝(60)が形成され、該溝によって前記第1導波管の外壁と前記第2導波管の前記第1導波路の内壁との隙間からの電磁波漏出を防止するとともに、
前記第1導波管の前記一端側の先端から前記溝までの間に形成される不要共振器によって生じるフィルタ共振特性の乱れを防止するために、前記第1導波管の前記一端側の先端から前記溝までの距離を、前記溝の長さおよび前記間隔可変手段により変化する前記一対の電波ハーフミラーの間隔より短かく設定し
さらに、前記第1導波管の外壁と前記第2導波管の前記第1導波路の内壁との隙間30μmに対して、前記溝の長さを1.1mm、前記溝の深さ0.2mmとすることで、70〜120GHzの周波数範囲に渡って、前記隙間から漏出する電磁波を減衰させることを特徴としている。
このように、本発明のミリ波帯フィルタは、第2導波管を、板状部を厚さ方向に貫通する角穴により第1導波管の一端側を受け入れるための第1導波路を形成する第1導波路形成体と、第1導波路より小さい口径で板状部を厚さ方向に貫通する角穴により第2導波路を形成する第2導波路形成体とを含む構成とし、これら二つの導波路形成体を角穴同士が同心となるように連結、分離可能に形成するとともに、電磁波漏出防止用の溝を、内側の第1導波管の外壁にその導波路の長手方向に沿った長さが漏出防止対象の電磁波の1/4波長相当となるように設けている。
このため、従来のように、チョーク形成体を別個に用意する必要がなくなり、部品点数および作業工数を大幅に減少させることができ、部品点数や位置合わせ作業の増加によるコスト高を招くことなく、容易に製造でき、かつ電磁波漏出による性能低下のないミリ波帯フィルタを実現できる。
本発明の実施形態の構成を示す図 電波ハーフミラーの構造例を示す図 導波管の位置決め作業の説明図 隙間に対して電磁波漏出防止の溝の長さ方向を変えた場合のモデル図 隙間を伝搬する電磁波の伝搬方向と電磁波漏出防止用の溝の長さ方向が直交するモデルのシミュレーション結果 隙間を伝搬する電磁波の伝搬方向と電磁波漏出防止用の溝の長さ方向が平行なモデルのシミュレーション結果 第1導波管の別の構造例を示す図
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のミリ波帯フィルタ20の基本構造を示している。
図1の(a)の側面図に示すように、このミリ波帯フィルタ20は、第1導波管21、第2導波管30、一対の電波ハーフミラー40A、40Bおよび支持機構50を有している。
第1導波管21は、その本体をなす角筒部21aとその一端側に設けられたフランジ21bとを有し、角筒部21aの内部は、ミリ波帯の所定周波数範囲(例えば110〜140GHz)の電磁波をTE10モード(単一モード)で伝搬させる口径(例えば2.032mm×1.016mm)の導波路22が一端側から他端側に連続して形成されている。
第2導波管30は、第1導波管21の角筒部21aの外径より僅か(例えば縦横ともに30μmずつ)に大きく、且つ、前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで伝搬させる口径を有し、第1導波管21の角筒部21aの先端をその外周にほぼ一定の隙間のある状態で同心に受け入れる第1導波路30aと、第1導波路30aの口径より小さい(ここでは第1導波管21の導波路22と同口径とする)第2導波路30bとが同心で且つ捩れのない状態で連続するように形成されている。
ここで、第1導波管21の角筒部21aの外形は、導波路22の口径に肉厚分(例えば0.3mm)を加えた寸法であり、第2導波管30の第1導波路30aの口径は、第1導波管21の角筒部21aの外形寸法に、導波管同士の移動に必要な隙間(例えば30μm)を加えた寸法に設定されている。
そして、第1導波管21の角筒部21aの先端部には、前記所定周波数範囲の電磁波の一部を透過させ、一部を反射させる特性をもつ電波ハーフミラー40Aが導波路22を塞ぐ状態で固定され、その電波ハーフミラー40Aと対をなす電波ハーフミラー40Bが第2導波管30の第1導波路30aと第2導波路30bの境界(図の例では第2導波路30bの先端)に固定されている。
一対の電波ハーフミラー40A、40Bは、例えば図2に示しているように、固定される導波路22、30bの口径に対応した大きさの長方形で電磁波に対する反射性を有する金属製の基板41と、その基板41の中央部に基板長辺方向に所定高さで伸び、電磁波に対する透過性を有するスリット42とを有し、基板41の外周が各導波路22、30bの内壁または先端縁に接触する状態で各導波路の先端部に固定されていて、基板41の厚さ、スリット42の高さ、長さ等に対応した透過率で電磁波を透過させる。
なお、ここでは、スリット42の高さを一定としているが、これは基本構造例であり、スリット形状はこの例に限定されない。電波ハーフミラーとして要求される特性は前記所定周波数範囲の電磁波に対する透過率がほぼ一定となることであり、その特性が得られるように、スリット42の形状を変化させることができる。例えば、スリット42の中央部の高さが両端部の高さより小となるリッジ形にし、基板41の厚さ、スリット42の中央部の高さと幅、両端部の高さと幅を選ぶことで、前記所定周波数範囲の電磁波に対する透過率の平坦化が可能である。
このような構造をもつミリ波帯フィルタ20では、互いに対向する一対の電波ハーフミラー40A、40Bの間隔を半波長として共振する平面型のファブリペロー共振器が成され、その共振周波数を中心とする周波数成分だけが選択的に通過できる状態となる。
しかも、各導波路22、30a、30bは、ミリ波帯において極めて低損失の閉鎖型の伝送路としての導波管構造で形成され、進行方向に直交する平面にのみ電界が存在するTE波を用いるから、波面変換などの処理は不要で、共振器で抽出された信号成分のみをTE10モードで極めて低損失に出力させることができる。
なお、第1導波管21と第2導波管30は、それらが有する導波路22、30a、30bが同心でねじれの無い状態で連続し、且つ一対の電波ハーフミラー40A、40Bが平行に対向した姿勢を保ちつつ、その間隔を可変させることができる支持機構50によって支持されている。この支持機構50は、両導波管21、30を堅固に支持するとともに、一対の電波ハーフミラー40A、40Bの間隔が変化するように両導波管21、30を導波路の長さ方向に沿って相対移動させる間隔可変手段51を含むが、その構成は任意である。
このように、TE10モードのみを伝送する導波路が連続し、その内部に平面型の一対の電波ハーフミラー40A、40Bで形成された共振器を設けた構造であるから、平面波を入射するための特別な工夫が必要なくなり、また電波ハーフミラーも平面波を透過させる必要がなく任意の形状をとることができる。
また、フィルタ全体としてほぼ密閉型となり、外部空間への放射による損失が少なく、ミリ波帯において、極めて高い選択特性を実現できる。
そして、この実施形態のミリ波帯フィルタ20では、図1の(b)に示しているように、第2導波管30を、厚さ一定の板状で第1導波路30aを形成する角穴が一面31a側から反対面31b側に貫通形成された第1導波路形成体31と、厚さ一定の板状で第2導波路30bを形成する角穴が一面32a側から反対面32b側に貫通形成された第2導波路形成体32とを、それら角穴同士が同心に連続するように重ね合わせた状態でネジ止めなどにより連結、分離可能に形成されている。図中、符号31cはネジ締付用穴、32cはネジ貫通用穴、符号39は連結用のネジである。
なお、ここでは、最も簡単な形状例として、第1導波路形成体31と第2導波路形成体32が厚さ一定の板体の例を示しているが、導波路30a、30bを形成する角穴が貫通形成されている部分だけが厚さ一定の板状部で、その板状部同士を重ね合わせた状態で連結、分離できる形状であればよく、外周部の形状は任意である。
このように第2導波管30が、単一口径の導波路が厚さ方向に貫通形成された板状体同士を重ね合わせて一体的に連結した構造であるから、異口径の第1導波路30a、第2導波路30bをそれぞれ別部材に正確に製作することができ、また、それらが同心に連続する状態で重なり合う位置を容易に特定することができ、高精度な第2導波管30を実現できる。また、第1導波路30aと第2導波路30bの境界に電波ハーフミラー40Bを固定する作業も板体の表面で行えるから極めて容易に行え、正しい姿勢に固定できる。
また、第2導波路形成体32を第1導波路形成体31に固定する前に、第1導波管21と第1導波路形成体31とを支持機構50に支持させた状態で、第1導波路形成体31の反対面31b側から角穴部分を顕微鏡等で観察すれば、第1導波管21の角筒部21aの外壁と第1導波路30aの内壁との隙間を容易に確認できる。
例えば、図3の(a)のように、第1導波路30aに対して第1導波管21の角筒部21aが傾き(捩れ)、偏心している画像が観察された場合、支持機構50により、第1導波管21の第1導波路形成板31に対する中心位置および角度を合わせ、図3の(b)のように、両者の隙間が全周にわたって均一となる(同心で捩れがない状態)ように位置決めする。これによって、導波管同士の接触が防止でき、磨耗のない状態で周波数可変を円滑に行うことができる。そして、この位置決めの後に、第2導波路形成体32を第1導波路形成体31の予め特定された位置に固定すれば、第1導波管21の導波路を含めて3つの連続した導波路を正確に同心配列できる。
上記のように第1導波管21を第2導波管30に対して相対的に移動させる構造では、第1導波管21の角筒部21aの外周壁と第2導波管30の第1導波路30aの内周壁との間に隙間が必要となるが、この隙間は、構造上、一対の電波ハーフミラー40A、40Bの間に形成される共振器と連続しているので、共振器内の電磁波がこの隙間から漏出して、フィルタとしての損失低下を招く。このため、前記したように少ない隙間で導波管同士の位置調整が行える構造を採用しているが、たとえ前記したように20〜30μm程度の隙間に抑えても電磁波の漏出を完全に防ぐことはできない。
この電磁波漏出を防止する方法として、前記した特許文献1、2では、外側の第2導波管30の内壁に、導波路の長さ方向と直交する方向に漏出対象の電磁波の波長の1/4相当の深さで溝を設けているが、この従来方法では、前記したように不要共振による特性低下や部品およびその位置合わせ作業の増加によるコスト高が避けられない。
この不要共振の問題は、内側の第1導波管21の角筒部21a側に電磁波漏出防止用の溝を設けること解決可能と思われるが、前記したように電磁波漏出防止用の溝として必要な深さはほぼ1mm程度であり、これを従来装置のように導波路の長さ方向に直交する向きに設けることは、第1導波管21の角筒部21aの内径寸法(ほぼ2mm×1mm)から考えて実現困難である。
そこで、発明者らは、溝の電磁波漏出防止作用を示す長さ方向を導波路の長さ方向に合わせることができないかを検討した。
図4の(a)は、30μmの隙間gが形成する導波路に直交するように長さ(深さ)p=1.1mm、幅q=0.3mmの溝を設けた従来モデルであり、図4の(b)は、30μmの隙間gが形成する導波路に沿って長さp=1.1mm、深さq=0.2mmの溝を設けた検討モデルである。従来モデルの透過特性は図5のように得られ、検討モデルの透過特性は図6のように得られた。
70〜120GHzの範囲で両者を比較すると、従来モデルは検討モデルに対して大きな減衰が得られ、特に94GHzでは急峻に減衰していることがわかる。しかしながら、検討モデルにおいても、上記周波数範囲でほぼ10dBの減衰が得られており、この減衰量で不十分であれば、同一形状の溝を導波路の長さ方向に沿って複数段形成することで対応できる。この結果から、電磁波漏出防止用の溝については、その電磁波漏出防止作用を示す長さ方向を導波路の長さ方向に合わせて形成することが可能であることが確認でき、この技術は、肉厚が0.3mm程度の第1導波管21であれば十分適用できる。
図1に示したミリ波帯フィルタ20は上記検討技術を採用したものであり、第2導波管30の第1導波路形成体31の内壁に隙間を挟んで対向する第1導波管21の角筒部21aの先端に近い上下(長辺側)の外壁に、電磁波漏出防止用の溝60を、その電磁波漏出防止作用を示す長さ方向が導波路の長さ方向と一致するように設けている。
つまり、電磁波漏出防止作用を示す長さp=1mm程度の溝60を、深さ0.2mm程度で形成している。このような向きに設けた場合であっても、溝60のハーフミラーに近い方のエッジから遠い方のエッジまで伝搬して戻ってくる電磁波の位相がλ/2変化して入出力が相殺する(漏出電磁波に対してインピーダンスが非常に高くなるチョーク効果を示す)ため、電磁波漏出効果が得られる。
この溝60による電磁波漏出防止効果は、前記検討モデルから10dB程度の減衰と予想されるが、図1の(a)、(b)に点線で示しているように溝60を導波路の長さ方向に沿って複数段(図1では2段示しているが導波管の重なる長さを延長して3段以上設けてもよい)並べることで、より大きな減衰量を得ることができる。
また、ここでは、電磁波漏出防止効果が高い第1導波管21の角筒部21aの上下(長辺側)の外壁に溝60を設けているが、第1導波路形成体31の左右(短辺側)の内壁に対向する左右(短辺側)の外壁にも溝を設けることができる。
このように、実施形態のミリ波体フィルタ20では、第1導波路形成体31の内壁に隙間を挟んで対向する第1導波管21の角筒部21aの外壁に、電磁波漏出作用を示す長さ、即ち、漏出対象の電磁波の波長の1/4相当の長さ方向が導波路の長さ方向と一致するように形成された溝60によりその隙間からの電磁波漏出を防止している。
このため、従来装置のように、チョーク形成体を別個に用意する必要がなくなり、部品点数および作業工数を大幅に減少させることができ、部品点数や位置合わせ作業の増加によるコスト高を招くことなく、容易に製造でき、かつ電磁波漏出による性能低下のないミリ波帯フィルタを実現できる。
また、ミラー間隔の変化に対して不要共振器長が不変となり、その距離をミラー間隔に対して十分小さくすることで、不要共振によるフィルタの共振特性の乱れを防止できる。
なお、第1導波管21の角筒部21aの外壁に設けた溝60の開口の大きさはほぼ1mm×導波管幅(2mm程度)と広く、深さは前記例で0.2mm程度と浅いため、長期に渡って電気的に安定な特性を確保するための金メッキ処理を行なう際に、容易にメッキ液を進入させることができる。
また、第1導波管21の本体をなす角筒部21aの肉厚としては、電磁波漏出防止作用を示す長さと無関係にその溝を形成できる程度の深さ分を見込めばよく、限られた口径の第1導波管であっても十分実現できる。
なお、上記実施形態のミリ波帯フィルタ20では、第1導波管21を方形導波管とし、第2導波管30に内挿される角筒部21aの外壁に深さ0.2mm程度の溝60を形成しているため、最低限必要な肉厚として0.3mm程度が必要となり、この肉厚の増加により、第1導波管21の角筒部21aの内径と第2導波管30の第1導波路30aの内径との差が大きくなり、伝搬可能な下限周波数の差が大きくなり、実際にフィルタとして使用できる周波数帯域の下限側が制限されることになる。
ここで、第1導波管21の角筒部21aの内径を所望周波数帯の下限に合わせると、第1導波路30aの内径がその所望周波数帯の下限に対してかなり低い周波数に合ってしまい、別モードの伝搬が発生する恐れがある。逆に、第1導波路30aの内径を所望周波数帯の下限に合わせると、第1導波管21の角筒部21aの内径がその所望周波数帯の下限に対してかなり高い周波数に合ってしまい、所望周波数帯の伝搬が行なえない。
このような問題が発生する場合には、内側の第1導波管21として、小口径であっても低域まで通過特性が延びている導波管を用いればよい。
例えば、導波管の長辺側の両内壁中央から互いに近づく方向に突出する突出部が長さ方向に連続して形成されていて、図7のように、導波路の断面形状が略H状となる所謂リッジ型導波管を用いることが考えられる。
このリッジ型導波管の場合、導波路22の中央部22aの幅w1と高さh1および両側部22b、22cの幅w2と高さh2を選ぶことで、標準の方形導波管の導波路の断面形状より小さい断面形状で、同等の周波数範囲の電磁波をTE10モードで伝搬できる。
20……ミリ波帯フィルタ、21……第1導波管、22……導波路、30……第2導波管、30a……第1導波路、30b……第2導波路、31……第1導波路形成体、32……第2導波路形成体、40A、40B……電波ハーフミラー、50……支持機構、51……間隔可変手段、60……溝

Claims (1)

  1. ミリ波帯の所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで伝搬させる口径の導波路(22)を有する第1導波管(21)と、
    前記第1導波管の外径より大きく、且つ、前記所定周波数範囲の電磁波をTE10モードで伝搬させる口径を有し、前記第1導波管の一端側をその外周に隙間のある状態で受け入れる第1導波路(30a)と、該第1導波路より小さい口径の第2導波路(30b)とが同心に連続するように形成されている第2導波管(30)と、
    前記所定周波数範囲の電磁波の一部を透過させ、一部を反射させる特性をもち、一方が前記第1導波管の前記一端側の導波路に固定され、他方が前記第2導波管の前記第1導波路と前記第2導波路の境界部に固定された一対の電波ハーフミラー(40A、40B)と、
    前記一対の電波ハーフミラーの間隔が変化するように前記第1導波管を前記第2導波管に対して相対移動させて、前記所定周波数範囲の電磁波のうち前記一対の電波ハーフミラーの間隔で決まる共振周波数の電磁波を選択的に通過させる間隔可変手段(51)とを有し、
    前記第2導波管が、
    厚さ一定の板状部を有し、該板状部に前記第1導波路を形成する角穴が厚さ方向に貫通形成された第1導波路形成体(31)と、
    厚さ一定の板状部を有し、該板状部に前記第2導波路を形成する角穴が厚さ方向に貫通形成された第2導波路形成体(32)とを含み、
    前記第1導波路形成体と前記第2導波路形成体とが、前記角穴同士が同心に連続するように前記板状部同士を重ね合わせた状態で連結、分離可能に形成されたミリ波帯フィルタにおいて、
    前記第2導波管の前記第1導波路の内壁に対向する前記第1導波管の外壁には、導波路の長手方向に沿った長さが漏出防止対象の電磁波の1/4波長相当となる溝(60)が形成され、該溝によって前記第1導波管の外壁と前記第2導波管の前記第1導波路の内壁との隙間からの電磁波漏出を防止するとともに、
    前記第1導波管の前記一端側の先端から前記溝までの間に形成される不要共振器によって生じるフィルタ共振特性の乱れを防止するために、前記第1導波管の前記一端側の先端から前記溝までの距離を、前記溝の長さおよび前記間隔可変手段により変化する前記一対の電波ハーフミラーの間隔より短かく設定し
    さらに、前記第1導波管の外壁と前記第2導波管の前記第1導波路の内壁との隙間30μmに対して、前記溝の長さを1.1mm、前記溝の深さ0.2mmとすることで、70〜120GHzの周波数範囲に渡って、前記隙間から漏出する電磁波を減衰させることを特徴するミリ波帯フィルタ。
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