JP2020077480A - 微細パタンを有するセパレータ、巻回体及び非水電解質二次電池 - Google Patents

微細パタンを有するセパレータ、巻回体及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質二次電池内での液回りの良化とデンドライト生成の抑制が可能なセパレータ、及びそれを含む巻回体又は非水電解質二次電池の提供。【解決手段】非水電解質二次電池に用いられるセパレータであって、該セパレータは、パタンが形成されているパタン領域と、パタンが形成されていない非パタン領域とを有し、非パタン領域のセパレータ裏面に接するように画定された仮想平面を平面B1、パタン領域のセパレータ裏面を面Bとしたときに、平面B1と面Bとで挟まれる角度θ1が、0°超60°以下である、セパレータ。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池に用いられる、微細パタンを有するセパレータ、並びに、捲回体及び非水電解質二次電池に関する。
近年の電子技術の発展及び環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請に貢献できる非水電解質二次電池への期待はますます高くなっている。非水電解質二次電池の代表例であるリチウムイオン二次電池は、各種小型機器用電源に用いられており、近年では、ハイブリッド自動車用電源又は電気自動車用電源としても着目されている。
非水電解質二次電池は、通常、非水電解質と、正極、セパレータ及び負極で構成される積層体又はその巻回体とがケース内に収容されてなる構成を有する。セパレータは、微多孔膜であり、正負極間の直接的な接触を防ぎ、かつ微多孔膜中に保持した非水電解質を通じてイオンを透過させる機能を有する。したがって、微多孔膜としては、多孔構造によりイオン透過性を示す膜、例えばポリオレフィン微多孔膜等が用いられている。
従来、非水電解質二次電池用のセパレータの性能向上の目的で、セパレータの少なくとも片面にパタンを設けることが提案されている。
特許文献1は、セパレータと電極シートとを含む捲回物が収容された電池容器内への非水電解液の注入を容易にする目的で、長尺状多孔質フィルムに、その長尺状多孔質フィルムの一方の側面から他方の側面まで幅方向に連続的に延びる複数の非孔質線状領域が形成され、該非孔質線状領域の少なくとも一方の表面が凹部もしくは凸部を形成している電池用セパレータを記載する。
特許文献2は、電池特性を維持しつつ、電極距離を確保して、内部短絡を防止し、電解液の含浸スピードアップによって生産性を向上させる目的で、非水電解液電池において、セパレータに、表面を凹凸状に加工した微多孔膜を使用することを記載する。
特許文献3は、安価で蓄電デバイスを組む際に裂け難い一軸延伸セパレータを提供する目的で、一軸延伸セパレータの少なくとも一方の面に、延伸方向に対して交差する方向に凹部または凸部を設けることを記載する。
特許文献4は、電解液の組成劣化を抑制する目的で、多数の空孔を有する多孔質フィルムにおいて、多孔質フィルムの膜面上に空孔よりも大きな電解液拡散穴を存在させることを記載する。
特許文献5は、合金系負極を用いた非水電解液電池の製造又は利用において、安価にサイクル特性を良化させる目的で、厚さが1〜100μm、孔径が0.01〜1μmであって、少なくとも一方の表面上に高さが0.5〜100μmの突起をエンボス加工により設けたポリオレフィン製微多孔膜を記載する。
また、特許文献6は、ポリエチレン樹脂製多孔性フィルムの粗面化と電池用セパレータの物性の関係において、透気度が10〜1000秒/100cc、ピン刺強度が300gf/25μm以上、表面粗度が最大高さRmaxとして3μm以上であるエンボス加工されたポリエチレン樹脂製多孔性フィルムを記載する。
特許第4529903号公報 特開平5−151951号公報 特開2016−184710号公報 特開2013−211192号公報 国際公開第2008/053898号 特開平11−106532号公報
非水電解質二次電池の小型化に対する継続した要求から、正極、セパレータ及び負極で構成される積層体又はその巻回体の薄型化に加え、充放電特性の観点から非水電解質二次電池内での非水電解質の移動挙動(以下、「液回り」ともいう。)も求められている。電池ケース内の限られた流路を介して液回りを確保する方法として、例えば特許文献1に記載されるような、凹部若しくは凸部を非孔質として形成する方法、及び、特許文献2に記載されるような、凹凸状のセパレータを得る方法(平膜の表面に多孔膜を貼り合わせる方法、微多孔膜を波型にプレス加工する方法等)は有用であると考えられる。
しかし、従来のセパレータを備える非水電解質二次電池において、充電時に正極側から負極側に流入したリチウムイオンが局所的に偏在することは、樹枝状(デンドライト)リチウムの形成促進、非水電解質の劣化促進等の不都合を招来する。特許文献1及び2に記載されるような、部位ごとに膜厚又は気孔率が異なるセパレータを充放電に供した場合、セパレータを構成する膜のイオンに対する抵抗(以下、「膜抵抗」ともいう。)が不均一となることによって、膜抵抗が相対的に低い部位にイオンが偏在してデンドライトが生成し易くなるという問題がある。
同様に、特許文献3は、凸部を形成する方法として、凸部形成用スラリーを一軸延伸セパレータの片面もしくは両面に塗布すること、凹部を形成する方法として、一軸延伸セパレータの一部を溶融して一軸延伸セパレータにおける細孔を潰すことを例示し、特許文献4は、電解液拡散穴の形状としてすり鉢状を例示し、特許文献5は、突起の形成方法としてエンボス加工を例示し、特許文献6は、エンボスロール温度及びエンボス加工後の表面粗度を例示する。特許文献3〜6に記載される技術もまた、セパレータの一部に他と顕著に異なる形態の部位を設けるものであるため、リチウムイオンの局所的な偏在という問題を有する。
本発明は、上記の事情に鑑みて、非水電解質二次電池内での液回りの良化とデンドライト生成の抑制が可能なセパレータ、及びそれを含む巻回体又は非水電解質二次電池の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表面に凸かつ裏面に凹のパタンを形成し、かつ当該パタンの立ち上がり形状を制御することが上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1] 非水電解質二次電池に用いられる、セパレータであって、
前記セパレータは、パタンが形成されているパタン領域と、前記パタンが形成されていない非パタン領域とを有し、
前記パタン領域は、非パタン領域のセパレータ裏面に接するように画定された仮想平面を平面B1、非パタン領域のセパレータ表面に接するように画定された仮想平面を平面F1、平面B1の法線方向のうち平面F1に向かって延びる方向を上方向、前記上方向と反対の方向を下方向としたときに、セパレータ裏面が平面B1よりも上方、かつセパレータ表面が平面F1上又は平面F1よりも上方にある領域であり、但し前記パタン領域の少なくとも一部においてセパレータ表面は平面F1よりも上方にあり、
前記パタン領域のセパレータ裏面を面Bとしたときに、平面B1と面Bとで挟まれる角度θ1が、0°超60°以下である、セパレータ。
[2] 前記角度θ1が5°以上45°以下である、上記態様1に記載のセパレータ。
[3] 前記セパレータ表面の最上部をパタン頂部、前記パタン頂部に接するように画定された仮想平面を平面F2、前記パタン領域のセパレータ表面を面Fとしたときに、平面F2と面Fとで挟まれる角度θ2が、前記角度θ1よりも大きい、上記態様1又は2に記載のセパレータ。
[4] 前記角度θ2が5°以上80°以下である、上記態様3に記載のセパレータ。
[5] 前記平面F2と前記平面F1との距離が、1μm以上100μm以下である、上記態様1〜4のいずれかに記載のセパレータ。
[6] 前記パタンが、長軸と短軸とのアスペクト比10以下を有する、上記態様1〜5のいずれかに記載のセパレータ。
[7] 前記セパレータ表面及び前記セパレータ裏面の一方又は両方が、無機又は有機の被覆層で構成されている、上記態様1〜6のいずれかに記載のセパレータ。
[8] 上記態様1〜7のいずれかに記載のセパレータを捲回した、巻回体。
[9] 上記態様1〜7のいずれかに記載のセパレータを含む、非水電解質二次電池。
本発明の一態様によれば、セパレータを備える非水電解質二次電池において、非水電解質の液回りを良化し、かつデンドライト生成を抑制することができる。
図1は、本発明の一態様に係るセパレータの例を示す図である。なお図1(b)は図1(a)のB−B断面を示す図であり、図1(c)はセパレータの裏面凸形状について説明する図である。 図2は、本発明の一態様に係るパタン形状を示す下面図である。 図3は、図2(g)の3−3断面を示す図である。 図4は、パタンの変形によるセパレータの重畳について説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という。)について説明する。以下の実施形態は、本発明の一態様であり、本発明を以下の実施形態のみに限定する趣旨ではない。従って、以下の実施形態は、本発明の要旨の範囲内で適宜変形して実施可能である。なお、本明細書での「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を上限値、及び下限値として含む意味である。また、図面に示される構成、例えば、縮尺、形状、及び長さ等は、発明を詳細に説明する関係上、誇張して示されている場合がある。本開示でパタンの角度、寸法等について言及する数値範囲は、特記がない限り、セパレータ内に存在するパタンの実質的に全ての部位が当該数値範囲を満たすことを意図するが、本発明の効果を損なわない範囲で上記範囲内にない部位が存在することを排除しない。
〔パタン〕
本実施形態のセパレータには、特定形状のパタンが形成されている。図1(a)は、本発明の一態様に係るセパレータの例を示す図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B断面を示す図である。図1(a)及び図1(b)を参照し、セパレータ100は、パタンが形成されているパタン領域R1と、パタンが形成されていない非パタン領域R2とを有する。パタン領域R1は、非パタン領域R2のセパレータ裏面に接するように画定された仮想平面を平面B1、非パタン領域のセパレータ表面に接するように画定された仮想平面を平面F1、平面B1の法線方向のうち平面F1に向かって延びる方向を上方向、該上方向と反対の方向を下方向としたときに、セパレータ裏面が平面B1よりも上方、かつセパレータ表面が平面F1上又は平面F1よりも上方にある領域である。本実施形態において、パタン領域の少なくとも一部、好ましくは実質的に全部において、セパレータ表面は平面F1よりも上方にある。典型的な態様のセパレータにおいて、パタンは所定の間隔で複数配列されている。
平面B1、F1、B2、F2の位置は、セパレータの厚み方向断面の顕微鏡画像を用いて確認できる。顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡等を使用できる。断面観察試料は、例えば、水平面上にセパレータを載置(セパレータ裏面を該水平面に対向させて)し、鉛直方向かつパタン頂部を通るように該セパレータを切断することで作製できる。観察領域のサイズ(すなわち、セパレータの面内方向のサイズ)は、観察対象のパタンが含まれ、かつセパレータ全体の形状を反映するように適宜選択される。非水電解質二次電池用という用途で用いられる本実施形態のセパレータにおいて、セパレータ全体の性状を反映するような観察領域は、例えば10mm×10mmのサイズを有する。観察領域から3箇所を任意に選んで、複数の断面観察試料を作製する。なお、複数の断面観察試料の各々は、パタンが複数(より具体的には、例えば2〜100個)含まれるように作製する。得られた複数の断面観察試料を断面観察に供し、複数の断面画像(以下、「評価用断面画像」ともいう。)を得る。複数の評価用断面画像の各々について、各平面B1、F1、B2、F2を画定する。
セパレータ100は、表面が平面F1より上方にありかつ裏面が平面B1よりも上方にある領域(すなわち、表面に凸かつ裏面に凹である領域)(図中、凸/凹領域R11)を必須に有し、かつ、表面が平面F1上にありかつ裏面が平面B1よりも上方にある領域(すなわち、表面に凸ではないが裏面に凹である領域)(図中、平坦/凹領域R12)を任意に有する。
図1(c)は、セパレータの裏面凸形状について説明する図である。図1(c)を参照し、セパレータ100は、裏面が平面B1よりも下方にある領域(図中、裏面凸領域R3)を有することを排除しないが、典型的な態様において、裏面凸領域R3は実質的に存在しない。また、本開示において、セパレータの2つの主面のうちいずれが表面でいずれが裏面であるかは、面F及び面Bに関する本開示の条件を満たすか否かによって規定される。表面と裏面とはパタン形状以外の要素(例えば材質、多孔構造等)において互いに同じでも異なってもよい。
非水電解質二次電池用のセパレータは、正極及び負極とセパレータとの積層体又はその巻回体として使用される。パタン領域R1の存在によって、セパレータの特に表面側には、積層体又はその巻回体における非水電解質のための流路として良好に機能する空間が存在する。この空間は、電池製造時のセパレータへの非水電解質の含浸の迅速化による生産性向上に寄与するとともに、非水電解質二次電池の充電及び/又は放電時の液回り向上に寄与し、電池使用時の非水電解質の均一拡散によって、電極材料劣化抑制、電解質劣化抑制及びデンドライト形成抑制に寄与する。
また、セパレータが微多孔膜で形成される場合には、パタン領域R1においても多孔構造を保持(すなわちセパレータとしての機能を保持)しているため、例えば凸部又は凹部をセパレータとは異なる材質で形成する場合と比べ、有効面積が広いという利点を有する。
図2は、本発明の一態様に係るパタン形状を示す下面図である。図2(a)は、図1(a)〜(c)に示すセパレータに対応する。図3は、図2(g)の3−3断面を示す図である。セパレータを下面視(すなわちセパレータ裏面側から平面視)したときのパタンの形状は、図2(a)及び(b)に示すような円形、図2(c)に示すような楕円形、図2(d)に示すようなS字形、図2(e)〜(g)に示すような波形、図示しない多角形(例えば、矩形、五角形、六角形等)等の種々の形状であってよい。パタンの下面視形状は、図2(a)〜(d)に示すように閉図形であってもよいし、図2(e)〜(g)に示す波形のように開図形であってもよい。また、非パタン領域R2は、図2(f)及び(g)、並びに図3に示すようなほぼ線状の形状であってもよい。典型的な態様において、セパレータは、規則的又はランダムに配列された複数のパタンを有する。一態様において、パタンは、パタン形成による利点を良好に得つつセパレータ全体に亘って物性均一性を良好にする点で、格子状(すなわちグリッド状)に配列されていることが好ましい。本開示で、格子状の配列とは、交差する2つの方向に沿った所定間隔での配列を意味する。したがって、格子状の配列は、六方配列(図2(a))、四方配列(図2(b))、三方配列(図示せず)等を包含する。複数のパタンの配列は、上記で例示したもののうち1種でもよいし2種以上の組合せでもよい。
本発明者らは、凸/凹領域R11を形成することで、デンドライト形成を促進させるようなセパレータ厚みの顕著な不均一を防ぎながら、セパレータ表面の凸形状によって非水電解質の流路の形成が可能であることに着目した。しかし、凸/凹領域R11のような形状は、セパレータに掛かる応力によって変形する場合がある。変形によってパタンが所期の形状を有さなくなると、非水電解質のセパレータ内への迅速な含浸、非水電解質劣化抑制、及びデンドライト形成抑制という利点が良好に得られない。
そこで、本発明者らは更に、凸/凹領域R11を形成することによる利点が良好に得られるセパレータの形態を検討した。その結果、パタン領域のセパレータ裏面を面Bとしたときに、平面B1と面Bとで挟まれる角度θ1を0°超60°以下とすることが有利であることを見出した。
図1(a)及び(b)を再び参照し、本実施形態のセパレータ100において、角度θ1は、半直線V1と半直線V2とで挟まれる角度である。
半直線V1は、平面B1と面Bとの接線l上の点aから延びる該接線lの法線のうち、面Bに接しかつパタン領域R1側に延びる半直線である。
半直線V2は、平面B1に接しかつパタン領域R1側に延びる半直線である。
角度θ1は、平面B1の上方に(すなわち平面B1の下方は通らないように)画定される。
すなわち、角度θ1は、平面B1と面Bとの接線上の点から延びる該接線の法線のうち面Bに接しかつパタン領域側に延びる半直線V1と、平面B1に接しかつパタン領域側に延びる半直線V2とで挟まれる角度である。
一態様において、角度θ1は、前述の複数の評価用断面画像にて半直線V1,V2を決定することで計測する。一態様において、複数の評価用断面画像中の全てのパタンについて角度θ1を求め、その数平均値を角度θ1の値とする。
図4は、パタンの変形によるセパレータの重畳について説明する図である。図4を参照し、本発明者らは、凸/凹領域R11を有するセパレータにおいて、パタンの変形の特に不都合な態様が、図4に示すようなセパレータ重畳部R4(すなわち、セパレータの表面同士又は裏面同士が接するように屈曲してしまっている部位)の形成であることに着目した。そして本発明者らは、パタンの立ち上がり角を特定範囲とした場合、セパレータが応力下でも重畳しにくいこと、したがって、電池製造時のセパレータへの非水電解質の含浸の迅速化、並びに、電池使用時の非水電解質劣化抑制及びデンドライト形成抑制に有利であることを見出した。
角度θ1は、0°超であり、非水電解質の流路の良好な形成の観点から、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上、更に好ましくは20°以上である。角度θ1は、セパレータの重畳部の形成を防止する観点から、60°以下であり、好ましくは55°以下、より好ましくは50°以下、更に好ましくは45°以下である。
図1(a)及び(b)を参照し、一態様において、セパレータ表面の最上部をパタン頂部T、パタン頂部Tに接するように画定された仮想平面を平面F2、パタン領域のセパレータ表面を面Fとしたときに、平面F2と面Fとで挟まれる角度θ2は、角度θ1よりも大きい。
図1(a)及び(b)を再び参照し、本実施形態のセパレータ100において、角度θ2は、半直線V3と半直線V4とで挟まれる角度である。
半直線V3は、
平面F2と面Fとの接線上の点c(パタン形状が、平面F2と面Fとが線状に接するような形状である場合)から延びる該接線の法線、又は
平面F2と面Fとの接点d(パタン形状が、平面F2と面Fとが点状に接するような形状である場合)から延びる線、
のうち、面Fに接しかつ非パタン領域R2側に延びる半直線である。
半直線V4は、平面F2に接しかつ非パタン領域R2側に延びる半直線である。
角度θ2は、平面F2の下方に(すなわち平面F2の上方は通らないように)画定される。
すなわち、角度θ2は、平面F2と面Fとの接線上の点から延びる該接線の法線又は平面F2と面Fとの接点から延びる線のうち面Fに接しかつ非パタン領域側に延びる半直線V3と、平面F2に接しかつ非パタン領域側に延びる半直線V4とで挟まれる角度である。
一態様において、角度θ2は、前述の複数の評価用断面画像にて半直線V3,V4を決定することで計測する。一態様において、複数の評価用断面画像中の全てのパタンについて角度θ2を求め、その数平均値を角度θ2の値とする。
角度θ2が角度θ1よりも大きいことは、パタンの変形を防止しながらパタンの高さ(すなわち平面F1と平面F2との距離)を大きくすることが容易である点で有利である。パタンの高さが大きい場合、非水電解質のためのより良好な流路が形成される。角度θ2は、パタンの高さを大きくすることが容易である点で、好ましくは5°以上、好ましくは10°以上、より好ましくは15°以上、更に好ましくは20°以上であり、変形しにくいパタンを形成する観点から、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下、更に好ましくは60°以下である。
図3を参照し、一態様において、平面B1と面Bとで挟まれる角度の最大値である角度θ3は、角度θ1よりも大きい。平面B1と面Bとで挟まれる角度は、線分e−fと半直線V5とで挟まれる角度である。
線分e−fは、面B上の任意の点eと、該点eから面Bに接しかつ平面B1と最短距離で交わるように延ばした線と該平面B1との交点fと、を結ぶ線分である。
半直線V5は、点fから、線分e−fと同一平面上かつ平面B1上にてパタン頂部T側に(すなわち非パタン領域R2側とは反対側に)延びる半直線である。
平面B1と面Bとで挟まれる角度は、平面B1の上方に(すなわち平面B1の下方は通らないように)画定され、点eの位置によって変動する。
角度θ3を与える面B上の部位は、パタンの形状に応じて、パタン領域R1と非パタン領域R2との境界よりも上方のいずれかの位置に存在する。角度θ3が角度θ1よりも大きいことは、非水電解質のための流路を良好に形成する点で有利である。この態様において、角度θ2は角度θ1と同じ又はこれよりも小さくてもよいが、好ましくは、角度θ2もまた角度θ1よりも大きい。一態様において、角度θ3は、前述の複数の評価用断面画像にて線分e−f及び半直線V5を決定することで計測する。一態様において、複数の評価用断面画像中の全てのパタンについて角度θ3を求め、その数平均値を角度θ3の値とする。
角度θ3は、非水電解質の流路の良好な形成の観点から、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上、更に好ましくは15°以上であり、パタンの変形抑制の観点から、好ましくは60°以下、より好ましくは50°以下、更に好ましくは45°以下である。
一態様において、平面B1と面Bとで挟まれる角度は、パタン領域R1と非パタン領域R2との境界からパタン頂部Tに向かって徐々に大きくされる(例えば図1(b)に示すように)ことが、パタンの変形を防止しながらパタンの高さを大きくすることが容易である点で好ましい。この場合、角度θ3はパタン頂部Tでの角度であり、通常は角度θ2とほぼ等しい値となる。
図1(b)及び図3を参照し、平面F1と平面F2との距離として画定されるパタン領域の高さは、非水電解質が良好に流通できる流路を形成する観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、変形しにくいパタン領域を形成する観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下、更に好ましくは80μm以下である。一態様において、パタン領域の高さは、前述の複数の評価用断面画像にて平面F1,F2を決定することで計測する。一態様において、複数の評価用断面画像中の全てのパタンについてパタン領域の高さを求め、その数平均値をパタン領域の高さの値とする。
図2(a)〜(g)を参照し、一態様において、パタン領域の下面視形状の長径Lと短径Dとのアスペクト比L/Dは、1以上であり、例えば、2以上、又は3以上、又は4以上であってよく、非水電解質の流路の良好な形成の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下である。本開示で、長径L及び短径Dは、下面視形状の外接矩形の長辺及び短辺としてそれぞれ規定される。
長径L及び短径Dは、以下の方法で計測できる。すなわち、セパレータ裏面を顕微鏡観察する。観察領域は、セパレータ全体の性状を反映するように選択され、例えば前述の10mm×10mmのサイズを有する。得られた裏面画像上でパタン領域の外縁を決定する。外縁が閉図形である場合には、該閉図形の外接矩形を決定し、外接矩形の長辺を長径L、短辺を短径Dとする。一方、外縁が開図形である場合には、各パタン領域における外縁間の最短距離を短径Dとし、長径Lは値なしとする。
一態様において、長径Lは、変形し難いパタン領域を形成する観点から、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上、更に好ましくは300μm以上であり、非水電解質が良好に流通できる流路を形成する観点から、好ましくは1800μm以下、より好ましくは1500μm以下、更に好ましくは1200μm以下である。
一態様において、短径Dは、変形し難いパタン領域を形成する観点から、好ましくは100μm以上、更に好ましくは120μm以上であり、非水電解質が良好に流通できる流路を形成する観点から、好ましくは1500μm以下、より好ましくは1200μm以下、更に好ましくは1000μm以下である。
図2(a)〜(g)を参照し、パタン領域の下面視形状は、一定のピッチPを有する規則的な配列を有することが好ましい。本開示で、ピッチPは、隣り合うパタン領域間の最短距離を意味する。ピッチPは、非水電解質が良好に流通できる流路を形成する観点から、好ましくは170μm以上、より好ましくは220μm以上、更に好ましくは320μm以上であり、上記観点から、好ましくは1820μm以下、より好ましくは1520μm以下、更に好ましくは1220μm以下である。一態様において、裏面画像中の全てのパタンについてピッチPを計測し、その数平均値をピッチPの値とする。
セパレータのパタン領域及び非パタン領域の各々の厚みは、機械強度が良好なセパレータを得る観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは3.5μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、正極と負極との間のリチウムイオンの良好な移動によって良好な電池特性を得る観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下、更に好ましくは80μm以下である。本開示で、セパレータの厚みは、セパレータ裏面上で任意に選択した点からセパレータ表面までの最短距離を意味する。一態様において、厚みは、前述の複数の評価用断面画像の各々において、セパレータ裏面上の10個の点を任意に選んで計測される。具体的には、複数の評価用断面画像の各々について、選ばれた各点からセパレータ表面までの最短距離を計測する。全評価用断面画像に亘る全計測値の数平均値を厚みの値とする。
セパレータ厚みは、セパレータ全体に亘って比較的均一であることが好ましい。比較的均一な厚みは、リチウムイオンの偏在防止、及びセパレータの良好な機械強度(特に、デンドライト形成によるセパレータ損傷防止)の観点で好ましい。一態様においては、上記全計測値の最小値が上記数平均値の0.4倍以上、かつ上記全計測値の最大値が上記数平均値の1.4倍以下である。また、一態様においては、前述の複数の評価用断面画像の各々において、パタン領域及び非パタン領域の各10個(すなわち計20個)の点を任意に選んで計測し全計測値の数平均値を算出したときの、パタン領域のセパレータ数平均厚みXと、非パタン領域のセパレータ数平均厚みYとの比X/Yが、好ましくは、0.4以上1.4以下、又は0.4超1.0未満である。
〔セパレータの材質〕
本実施形態のセパレータは、基材に所望形状のパタンをエンボス加工等によって形成することで製造できる。以下、セパレータの材質の好適例について説明する。
基材としては、イオンの透過性が高く、かつ正極と負極とを電気的に隔離する機能を有するもの、例えば、非水電解質二次電池に用いられる既知の微多孔膜を用いることができる。
具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、及びポリウレタン等のように、電池中の非水電解質に対して安定であり、かつ電気化学的に安定な材料で構成された微多孔膜又は不織布等を基材として用いることができる。
また、基材としては、好ましくは80℃以上(より好ましくは100℃以上)で、かつ好ましくは180℃以下(より好ましくは150℃以下)の温度において、その孔が閉塞する機能(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。従って、基材には、融解温度、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度範囲が、好ましくは80℃以上(より好ましくは100℃以上)、好ましくは180℃以下(より好ましくは150℃以下)であるポリオレフィンを含む微多孔膜又は不織布を用いることがより好ましい。この場合、基材となる微多孔膜又は不織布は、例えば、PEのみで構成されていてもよく、PPのみで構成されていてもよく、更には2種類以上の材料を含んでいてもよい。
なお、基材は、単数に限られず、複数の層を含むことができる。従って、基材は、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体(PP/PE/PP三層積層体等)、PE製の微多孔膜とポリイミド製の微多孔膜との積層体等でもよい。
基材の代表例としては、ポリオレフィン微多孔膜等が挙げられる。
(ポリオレフィン微多孔膜)
ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂を含んで構成される。ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のホモポリマー、並びにこれらのコポリマー、多段ポリマー等を用いることができる。より具体的には、特に限定されないが、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、及びエチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
なかでも、非水電解質二次電池への用途を想定した場合、ポリオレフィン樹脂としては、低融点、かつ高強度である、高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂が好ましい。
また、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂とを併用することがより好ましい。このようなポリオレフィン樹脂を用いることにより、セパレータの耐熱性がより向上する傾向にある。なお、ポリプロピレンの立体構造としては、特に限定されないが、例えば、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、及びアタクティックポリプロピレンが挙げられる。
ポリプロピレンの含有量としては、ポリオレフィン樹脂100質量%に対して、1〜35質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、4〜10質量%が更に好ましい。ポリプロピレンの含有量が上記の範囲内であることにより、より高い耐熱性とより良好なシャッダウン機能とを両立できる傾向にある。
ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、上記のものが挙げられ、なかでも、ポリエチレン、ポリブテン、及びエチレン−プロピレンランダムコポリマー等が好ましい。特に、シャットダウン特性の観点から、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン等がより好ましい。また、強度の観点から、JIS K 7112に従って測定した密度が0.93g/cm3以上であるポリエチレンも好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂の含有量としては、基材100質量%に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量が上記の範囲内であることにより、非水電解質二次電池用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能がより向上する傾向にある。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量としては、3万以上1200万以下が好ましく、5万以上200万以下がより好ましく、10万以上100万以下が更に好ましい。粘度平均分子量が3万以上であることにより、溶融成形時のメルトテンションが大きくなり基材の成形性が良好になると共に、ポリマー同士の絡み合いにより基材がより高強度となる傾向にある。一方、粘度平均分子量が1200万以下であることにより、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にある。更に、粘度平均分子量が100万以下であることにより、温度上昇時に孔を閉塞し易く良好なシャットダウン機能が得られる傾向にある。なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で用いる代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満となるポリオレフィン樹脂混合物を用いてもよい。
基材は、任意の添加剤を含有することができる。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂以外のポリマー;無機粒子;樹脂微粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
基材に無機粒子、及び/又は樹脂微粒子を含有させる場合には、上記のポリオレフィン微多孔膜中に、無機粒子、及び/又は樹脂微粒子を含有させればよい。
無機粒子としては、好ましくは、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、SiO2−MgO(ケイ酸マグネシウム)、SiO2−CaO(ケイ酸カルシウム)、ハイドロタルサイト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、塩基性チタン酸塩、塩基性ケイチタン酸塩、塩基性酢酸銅、塩基性硫酸鉛、層状複水酸化物(Mg−Alタイプ、Mg−Feタイプ、Ni−Feタイプ、Li−Alタイプ)、層状複水酸化物−アルミナシリカゲル複合体、ベーマイト、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、ヘマタイト、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の陰イオン吸着材、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム、アパタイト、非塩基性チタン酸塩、ニオブ酸塩、ニオブ・チタン酸塩等の陽イオン吸着材、ゼオライト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、石膏、硫酸バリウム等の炭酸塩、及び硫酸塩、アルミナ三水和物(ATH)、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、ジルコニア、及びイットリア等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、カオリナイト、タルク、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイト等の層状シリケート、アスベスト、ケイ藻土、ガラス繊維、合成層状シリケート、例えば、雲母又はフルオロ雲母、及びホウ酸亜鉛から成る群から選択される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子としては、耐熱性、及び電気絶縁性を有し、非水電解質に対して安定であり、かつ非水電解質二次電池の作動電圧範囲において酸化還元され難い、電気化学的に安定な樹脂で構成されることが好ましい。このような樹脂微粒子を形成するための樹脂としては、スチレン樹脂(ポリスチレン等)、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド等)、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)、及びこれらの誘導体から成る群から選ばれる少なくとも1種の樹脂の架橋体、尿素樹脂、並びにポリウレタン等が例示できる。樹脂微粒子は、上記で例示された樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、樹脂微粒子は、必要に応じて、樹脂に添加されることができる既知の添加剤、例えば、酸化防止剤等を含有してもよい。
無機粒子又は樹脂微粒子の形態としては、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、及び塊状等のいずれの形態であってもよい。上記形態を有する無機粒子又は樹脂微粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。透過性向上の観点からは複数の面から成る多面体状が好ましい。
無機粒子又は樹脂微粒子の粒子径としては、その平均粒子径(D50)が、0.1μm〜4.0μmであることが好ましく、0.2μm〜3.5μmであることがより好ましく、0.4μm〜3.0μmであることが更に好ましい。このような範囲内に平均粒子径を調整することで高温での熱収縮がより抑制される傾向にある。
これらの添加剤の合計含有量としては、基材100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。合計含有量の下限値は、特に制限されるものではなく、例えば、基材100質量部に対して、0質量部を超えることができる。
(被覆層)
一態様においては、セパレータの表面若しくは裏面又はこれらの両方が、無機又は有機の被覆層で構成されている。このようなセパレータは、基材の片面又は両面に被覆層を形成することで製造できる。被覆層は、パタン領域、非パタン領域、又はこれらの両方に存在してよい。好ましい態様において、被覆層は、パタン領域と非パタン領域の両方に存在する。例えば、ポリオレフィン微多孔膜に無機層が設けられる場合、その無機層は、耐熱性と安全性の観点から、好ましくはセパレータ表面のうちパタン領域と非パタン領域に設けられ、又は好ましくはセパレータ裏面に設けられる。無機の被覆層は、耐熱性、寸法安定性、強度などの観点から好ましい。有機の被覆層は、強度、熱可塑性、電極との接着性、セパレータ巻回体のプレスバック防止又はロールバック防止などの観点から好ましい。
無機層としては、特に限定されないが、例えば、無機フィラーと樹脂製バインダを含むものが挙げられる。
このうち、無機フィラーとしては、上記で無機粒子として例示したものを好ましく用いることができる。なかでも、電気化学的安定性、及び微多孔膜の耐熱特性を向上させる観点から、アルミナ、ベーマイト等の酸化アルミニウム化合物;又はカオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等のイオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウムが好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、カオリン鉱物で主に構成されているカオリンが好ましい。カオリンには湿式カオリン、及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
無機フィラーの形状としては、特に限定されないが、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、及び塊状等が挙げられ、上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。なかでも、複数の面からなる多面体状、柱状、紡錘状が好ましい。このような無機フィラーを用いることにより、透過性がより向上する傾向にある。
無機フィラーの含有量としては、無機層100質量%に対して、50質量%以上100質量%未満が好ましく、70質量%以上99.99質量%以下がより好ましく、80質量%以上99.9質量%以下が更に好ましく、90質量%以上99質量%以下が特に好ましい。無機フィラーの含有量が上記の範囲内であることにより、無機フィラーの結着性、耐熱性、及び多層の微多孔膜とした場合における透過性等がより向上する傾向にある。
樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、非水電解質に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。このような樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点、及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
樹脂製バインダとしてポリビニルアルコールを用いる場合、そのケン化度は、85%以上100%以下が好ましく、90%以上100%以下がより好ましく、95%以上100%以下が更に好ましく、99%以上100%以下が特に好ましい。PVAのケン化度が85%以上であることにより、セパレータの短絡する温度(ショート温度)が向上し、より良好な安全性能が得られる傾向にある。
ポリビニルアルコールの重合度としては、200以上5,000以下が好ましく、300以上4,000以下がより好ましく、500以上3,500以下が更に好ましい。重合度が200以上であることにより、少量のポリビニルアルコールで焼成カオリン等の無機フィラーを無機層に強固に結着でき、無機層の力学的強度を維持しながら基材の透気度増加を抑えることができる傾向にある。また、重合度が5,000以下であることにより、塗布液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にある。
樹脂製バインダとしては、樹脂製ラテックスバインダが好ましい。樹脂製ラテックスバインダを用いることにより、イオン透過性が低下し難く、高出力特性が得られ易い傾向にある。加えて、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。
樹脂製ラテックスバインダとしては、特に限定されないが、例えば、電気化学的安定性と結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体、不飽和カルボン酸単量体、並びに、脂肪族共役ジエン系単量体、及び/又は不飽和カルボン酸単量体と脂肪族共役ジエン系単量体、及び/又は不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを乳化重合して得られるものが好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、既知の方法を用いることができる。単量体、及びその他の成分の添加方法については特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができ、また、一段重合、二段重合又は多段階重合等の何れも採用することができる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換、及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸(無水物)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体、及び/又は不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、特にメチルメタクリレートが好ましい。
なお、これらの単量体に加えて様々な品質、及び物性を改良するために、上記以外の単量体成分を更に用いることもできる。
樹脂製バインダの平均粒径としては、50〜800nmが好ましく、60〜700nmがより好ましく、80〜500nmが更に好ましい。樹脂製バインダの平均粒径が50nm以上であることにより、無機層をポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下し難く、高出力特性が得られ易い傾向にある。加えて、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。樹脂製バインダの平均粒径が800nm以下であることにより、良好な結着性を発現し、多層の微多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。なお、樹脂製バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH等を調整することで制御することが可能である。
無機層の層厚としては、1〜50μmが好ましく、1.5〜20μmがより好ましく、2〜10μmが更に好ましく、3〜10μmがより更に好ましく、3〜7μmが特に好ましい。無機層の層厚が1μm以上であることにより、基材の耐熱性、及び絶縁性がより向上する傾向にある。また、無機層の層厚が50μm以下であることにより、電池容量と透過性がより向上する傾向にある。
無機層の層密度としては、0.5〜2.0g/cm3が好ましく、0.7〜1.5g/cm3がより好ましい。無機層の層密度が0.5g/cm3以上であることにより、高温での熱収縮率が良好となる傾向にある。また、無機層の層密度が2.0g/cm3以下であることにより、透気度がより低下する傾向にある。
有機の被覆層としては、接着層を例示できる。接着層は熱可塑性ポリマーを含む。接着層のセパレータにおける位置については特に限定されない。例えば、セパレータの少なくとも片面に接着層が配されたもの、上記の微多孔膜の少なくとも片面に上記の無機層を配し、更に少なくとも片面に接着層を付与したもの等が挙げられる。接着層は、セパレータの少なくとも片面の全部に配置されてもよく、一部のみに配置されてもよい。接着層において、熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在していてもよい。好ましい態様において、接着層は、セパレータ裏面に形成されていることが好ましく、これにより、パタンと接着層の接触面積を減らすことができる。
〔セパレータの特性〕
セパレータは、上記の基材を含んで構成される。セパレータの空孔率は、非水電解質の保持量を確保してイオン透過性を良好にするために、セパレータの乾燥した状態で、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。一方、セパレータの強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、セパレータの乾燥した状態で、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。なお、セパレータの空孔率Po(%)は、セパレータの、パタン高さ込みでの厚み(すなわち、平面B1と平面F2との距離)、面積当たりの質量、及び構成成分の密度から、下記式:
Po={1−(m/t)/(Σai・ρi)}×100
{式中、aiは、全体の質量を1としたときの成分iの比率であり、ρiは、成分iの密度(g/cm3)であり、mは、セパレータの単位面積当たりの質量(g/cm2)であり、かつtは、セパレータのパタン高さ込みでの厚み(cm)である。}
を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
また、セパレータの透気度は、10秒/100cc以上500秒/100cc以下であることが好ましく、より好ましくは20秒/100cc以上450秒/100cc以下であり、更に好ましくは30秒/100cc以上450秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であることにより、セパレータを非水電解質二次電池に用いた際の自己放電がより少なくなる傾向にある。また、透気度が500秒/100cc以下であることにより、より良好な充放電特性が得られる傾向にある。
〔セパレータの製造方法〕
(基材の製造方法)
基材を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、既知の製造方法を採用することができる。既知の製造方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂等を含む組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形した後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法;樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によって樹脂結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法;樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート状に成形した後、延伸によって樹脂と無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法;樹脂組成物の溶解後、樹脂に対する貧溶媒に浸漬させ樹脂を凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。
ここで、パタンを形成する方法については、特に限定されないが、例えば、所定のエンボス加工ロールと、所定の弾性バックアップロールとの両ロールの間に、樹脂組成物を通過させる方法が挙げられる。両ロール間の線圧、及び各ロールの外径並びに表面温度等、加工条件は適宜調節することができる。弾性バックアップロールとしては、JIS K6253 デュロメータ タイプAによるゴム硬度で50°以下であることが好ましい。この硬度を満たすことで、セパレータの孔の閉塞を抑制することができる。弾性バックアップロールのJIS K6253 デュロメータ タイプAによるゴム硬度は、より好ましくは、40°以下、30°以下、又は20°以下である。弾性バックアップロールの材質としては、シリコーンゴムおよびその発泡体が好適に用いられる。
例えば、セパレータが無機層を有する場合において、無機層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、微多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して無機層を形成する方法を挙げることができる。
無機フィラーと樹脂製バインダとを、塗布液の溶媒に分散させる方法については、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を基材に塗布する方法については、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、微多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、微多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法又は低温で減圧乾燥する方法等が挙げられる。微多孔膜の流れ方向(MD方向)の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、及び巻取り張力等を適宜調整することが好ましい。
無機フィラーと樹脂製バインダとを、塗布液の溶媒に分散させる方法については、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を基材に塗布する方法については、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、転写法等が挙げられる。より具体的には、基材にロールを用いて塗工し乾燥することで微細パタンを形成することができる。
〔セパレータの使用態様〕
本実施形態のセパレータは、積層型又は捲回型の非水電解質二次電池に適用できる。好ましい一態様は、セパレータを捲回してなる捲回体(セパ捲回体)である。セパレータを捲回する管(芯)の直径は、製品として用いられる直径であれば良いため、特に限定されないが、2インチ(約5.08cm)以上が好ましく、より好ましくは3インチ以上、更に好ましくは6インチ以上である。ロールの生産性の観点から、管の直径は、10インチ以下であることができる。
セパレータを巻く管の材質は特に限定されない。紙、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル樹脂のいずれかを含んでよい。なかでも樹脂であることが好ましく、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル樹脂のいずれかを含んでよい。
セパレータの巻長は、特に限定されないが、電池を作製する場合の生産性の観点から、300m以上が好ましく、より好ましくは400m以上、更に好ましくは500m以上である。セパレータの巻長は、ロールの生産性の観点から、5000m以下であることができる。
〔二次電池〕
本発明の一態様は、正極、上記に記載のセパレータ、及び負極が積層された積層体又はその積層体を捲回したもの(捲回物)と、非水電解質とを含む、非水電解質二次電池である。
非水電解質二次電池の形態としては、スチール缶、アルミニウム缶等を外装缶として用いた筒形(例えば、角筒形、円筒形等)等が挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体として用いて、非水電解質二次電池を構成することもできる。非水電解質二次電池の代表例として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。
〔正極〕
正極は、正極活物質と、導電材と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。正極に含まれ得る正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵、及び放出可能な既知のものを用いることができる。なかでも、正極活物質としては、リチウムを含む材料が好ましい。なお、正極を形成するために、本技術分野で既知の導電材、結着材、及び集電体を用いてよい。
〔負極〕
負極は、負極活物質と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。負極に含まれ得る負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵、及び放出可能な既知の物質を用いることができる。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛粉末、メソフェーズ炭素繊維、及びメソフェーズ小球体等の炭素材料;並びに金属、合金、酸化物、及び窒化物が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、負極を形成するために、本技術分野で既知の結着材、及び集電体を用いてよい。
〔非水電解質〕
非水電解質としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液(非水電解液)が用いられる。リチウム塩としては、特に限定されず、既知のものを用いることができる。このようなリチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2k2k+1〔式中、kは1〜8の整数である〕、LiN(SO2k2k+12〔式中、kは1〜8の整数である〕、LiPFn(Ck2k+16-n〔式中、nは1〜5の整数であり、かつkは1〜8の整数である〕、LiPF4(C24)、及びLiPF2(C242が挙げられる。これらのなかでも、LiPF6が好ましい。LiPF6を用いることにより、高温時においても電池特性、及び安全性により優れる傾向にある。これらのリチウム塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解質に用いられる非水溶媒としては、特に限定されず、既知のものを用いることができる。非水溶媒としては、例えば、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;γープチロラクトン、及びγーバレロラクトン等のラクトン;スルホラン等の環状スルホン;テトラヒドロフラン、及びジオキサン等の環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びメチルトリフルオロエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルエーテル等の鎖状エーテル;プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;並びにジメトキシエタン等の鎖状エーテルカーボネート化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非水電解質は、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上記に例示した以外のリチウム塩、不飽和結合含有カーボネート、ハロゲン原子含有カーボネート、カルボン酸無水物、硫黄原子含有化合物(例えば、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸エステル、スルフィト、スルフェート、スルホン酸無水物等)、ニトリル基含有化合物等が挙げられる。
その他の添加剤の具体例は、以下のとおりである:
リチウム塩:例えば、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート等;
不飽和結合含有カーボネート:例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等;
ハロゲン原子含有カーボネート:例えば、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等;
カルボン酸無水物:例えば、無水酢酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等;
硫黄原子含有化合物:例えば、エチレンスルフィト、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、エチレンスルフェート、ビニレンスルフェート等;
ニトリル基含有化合物:例えば、スクシノニトリル等。
非水電解質が、上記で説明された他の添加剤を含むことにより、電池のサイクル特性がより向上する傾向にある。
なかでも、電池のサイクル特性を更に向上させるという観点から、ジフルオロリン酸リチウム、及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群から選択される少なくとも1種が好ましい。ジフルオロリン酸リチウム、及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群から選択される少なくとも1種の添加剤の含有量は、非水電解質100質量%に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい。この含有量が0.001質量%以上であると、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、この含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。この含有量が3質量%以下であると、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性がより向上する傾向にある。
非水電解質中のその他の添加剤の含有量は、例えば、31P−NMR、19F−NMR等のNMR測定により確認することができる。
非水電解質中のリチウム塩の濃度は、0.5mol/L〜6.0mol/Lであることが好ましい。非水電解質の低粘度化の観点から、非水電解質中のリチウム塩の濃度は、0.9mol/L〜1.25mol/Lであることがより好ましい。リチウム塩の非水電解質中の濃度は目的に応じて選択することができる。
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
100,300 セパレータ
B1,F1,B2,F2 平面(仮想平面)
B 面(セパレータ裏面)
D 短径
F 面(セパレータ表面)
L 長径
P ピッチ
R1 パタン領域
R11 凸/凹領域
R12 平坦/凹領域
R2 非パタン領域
R3 裏面凸領域
R4 重畳部
T パタン頂部
V1,V2,V3,V4,V5 半直線
a,b,c,d,e,f 点
l 接線
θ1,θ2,θ3 角度

Claims (9)

  1. 非水電解質二次電池に用いられる、セパレータであって、
    前記セパレータは、パタンが形成されているパタン領域と、前記パタンが形成されていない非パタン領域とを有し、
    前記パタン領域は、非パタン領域のセパレータ裏面に接するように画定された仮想平面を平面B1、非パタン領域のセパレータ表面に接するように画定された仮想平面を平面F1、平面B1の法線方向のうち平面F1に向かって延びる方向を上方向、前記上方向と反対の方向を下方向としたときに、セパレータ裏面が平面B1よりも上方、かつセパレータ表面が平面F1上又は平面F1よりも上方にある領域であり、但し前記パタン領域の少なくとも一部においてセパレータ表面は平面F1よりも上方にあり、
    前記パタン領域のセパレータ裏面を面Bとしたときに、平面B1と面Bとで挟まれる角度θ1が、0°超60°以下である、セパレータ。
  2. 前記角度θ1が5°以上45°以下である、請求項1に記載のセパレータ。
  3. 前記セパレータ表面の最上部をパタン頂部、前記パタン頂部に接するように画定された仮想平面を平面F2、前記パタン領域のセパレータ表面を面Fとしたときに、平面F2と面Fとで挟まれる角度θ2が、前記角度θ1よりも大きい、請求項1又は2に記載のセパレータ。
  4. 前記角度θ2が5°以上80°以下である、請求項3に記載のセパレータ。
  5. 前記平面F2と前記平面F1との距離が、1μm以上100μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセパレータ。
  6. 前記パタンが、長軸と短軸とのアスペクト比10以下を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセパレータ。
  7. 前記セパレータ表面及び前記セパレータ裏面の一方又は両方が、無機又は有機の被覆層で構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセパレータ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のセパレータを捲回した、巻回体。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のセパレータを含む、非水電解質二次電池。
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