JP2020076894A - 透視可能な透過型スクリーン積層体 - Google Patents

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幸雄 徳永
幸浩 鈴木
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幸浩 鈴木
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Abstract

【課題】ウインドウディスプレイ用途に好適な、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、映像が透過型スクリーン以外の場所に映り込み難い、透視可能な透過型スクリーン積層体を提供する。【解決手段】視界を制御する視界制御基材の少なくとも一方の面に、他の層を介さずに直接、光拡散性微粒子を含有する光拡散層を有する透視可能な透過型スクリーン積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、ウインドウディスプレイ用途に好適な、透視可能な透過型スクリーン積層体に関する。
現在、プロジェクターより投影された映像を、スクリーンを挟んでプロジェクターの反対側から視認する、いわゆる背面投射型の透過型スクリーンは、これまでのポスター、サイン、看板等の広告媒体に代わって普及しつつある。近年では貼り替えが不要で、即座に内容を変更でき、静的だけではなく動的な掲示が求められるデジタルコンテンツを、大画面で投影できるデジタルサイネージとして非常に注目を浴びている。
とりわけ、店舗のショーウインドウ等は、その多くが顧客の通る道路に面しており、ウインドウを大画面スクリーンとして使用したデジタルサイネージに代えることができれば広告媒体として非常に有用であり、ショーウインドウ貼付型の、いわゆるウインドウディスプレイ用透過型スクリーンのニーズが高まっている。
このようなウインドウ貼付型の透過型スクリーンは、ウインドウに貼り付けるべく、粘着層を設ける粘着加工を施したものが通常使用される。粘着層は透過型スクリーンの光拡散層側に設けられる場合や、光拡散層の設けられた面とは反対側の面に設けられる場合があり、粘着層はセパレート基材で保護される。ウインドウにはこのセパレート基材を剥がして貼り付けられる。
ウインドウディスプレイ用の透過型スクリーンにおいては、広告として機能を最大限に発揮すべくプロジェクターから投影された映像を広い角度から視認できる高い視認性が求められている。このような要求に対し、本件発明者らは光拡散層が光拡散性微粒子とキセロゲルを含有する透視可能な透過型スクリーン(特許文献1)を、あるいは、光拡散性支持体の一方の面に光拡散層を有し、もう一方の面に透明粘着層およびセパレート基材が順次積層された透視可能な透過型スクリーン積層体であって、該光拡散層が光拡散性微粒子とキセロゲルを含有し、該透明粘着層が点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部を有する透視可能な透過型スクリーン積層体(特許文献2)を提案した。
一方、プロジェクターの大きな問題点の一つである、プロジェクターからスクリーンまでの投影距離の問題は、焦点距離の短い、いわゆる、短焦点もしくは超単焦点プロジェクターの普及により大幅に改善され、前述したウインドウディスプレイ用透過型スクリーンにおいても、店内での投影距離が短くて済むことより、設置場所の自由度は著しく改善されてきた。
しかしながら、これらの透視可能な透過型スクリーンに、短焦点もしくは超単焦点プロジェクターで映写した場合、例えば店内の天井に吊り下げたプロジェクターより、ショーウインドウに貼付した透視可能な透過型スクリーンに映写した場合には、スクリーンを介して映像が店外に漏れてしまい、路上等に映像が映り込む場合があった。また店内の床に設置したプロジェクターより、ショーウインドウに貼付した透視可能な透過型スクリーンに映写した場合は、スクリーンを介して映像が対面のビルに映り込む場合があった。このような透視可能な透過型スクリーンを通り抜けた映像が他場所に映り込む問題については、例えば、基材と、基材上に、少なくとも投影された映像を表示する光散乱性被膜と、可視光透過率の入射光角度依存性を制御する光制御膜を有する透明スクリーン(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、このような透明スクリーンにおいても、プロジェクターから投影された映像が確認できる十分な視野角と、スクリーンを通り抜けた映像の他場所への映り込み難さを両立することは困難であり、更なる改善が求められていた。
特開2013−182141号公報 特開2015−004789号公報 特開2018−106138号公報
本発明の目的は、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、映像が透過型スクリーン以外の場所に映り込み難い、透視可能な透過型スクリーン積層体を提供する。
前記課題は以下の発明により達成される。
視界を制御する視界制御基材の少なくとも一方の面に、他の層を介さずに直接、光拡散性微粒子を含有する光拡散層を有する透視可能な透過型スクリーン積層体。
本発明により、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、映像が透過型スクリーン以外の場所に映り込み難い、透視可能な透過型スクリーン積層体を提供することができる。
本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体の一実施例を示す概略断面図 比較の透視可能な透過型スクリーン積層体の一実施例を示す概略断面図 本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体を用いた場合の一使用例 本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体を用いた場合の他の使用例 視界制御基材を有さない従来の透視可能な透過型スクリーン積層体を用いた場合の一使用例 視界制御基材を有さない従来の透視可能な透過型スクリーン積層体を用いた場合の他の使用例 図3に使用した視界制御基材の不透明角度の説明図 図4に使用した視界制御基材の不透明角度の説明図
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における「透視可能」との用語は、使用時に廃棄されるセパレート基材や保護フィルムを除いた際の、透過型スクリーン積層体のヘーズ値が60%以下であることをいう。より好ましいヘーズ値は50%以下である。このようなヘーズ値を有することで、該透過型スクリーン積層体は、ウインドウディスプレイ用途に好適に利用される。
ヘーズ値とは、JIS−K7136:2000に準拠して、以下で定義されている値であり、値が低い方が透視性に優れる。
H=(Td/Tt)×100(%)
H:ヘーズ値
Td:拡散光線透過率
Tt:平行光線透過率
図1は本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体の一実施例を示す概略断面図を示し、図2は比較の透視可能な透過型スクリーン積層体の一実施例を示す概略断面図を示す。本発明における透視可能な透過型スクリーン積層体1は、図1に示すように、視界制御基材4の一方の面に、他の層を介さずに直接、光拡散層3を有し、該光拡散層3は光拡散性微粒子2を含有する。このような構成とすることで、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、透過型スクリーン以外の他の場所に映像の映り込み難い透視可能な透過型スクリーン積層体を提供することができる。一方、図2に示すように、比較の透視可能な透過型スクリーン積層体1は、視界制御基材4の一方の面に、粘着層5を介して光透過性基材6が貼合されており、該光透過性基材6のもう一方の面上に光拡散層3を有する。視界制御基材4と光拡散層3の間に光透過性基材6や粘着層5が存在することにより、光拡散層3により拡散された光が、光拡散層3と光透過性基材6の界面、光透過性基材6と粘着層5の界面、粘着層5と視界制御基材4の界面などの界面で一部反射するため、プロジェクターから投影された映像の視野角が低下する。
図3及び図4には、本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体を用いた場合の一使用例と他の使用例を示し、図5及び図6には、視界制御基材を有さない従来の透視可能な透過型スクリーン積層体用いた場合の一使用例と他の使用例を示す。図3及び図5は、それぞれ店内の天井に吊り下げたプロジェクター10より、ショーウインドウ11に貼合した、透視可能な透過型スクリーン積層体1A、あるいは1Bに映写した様子を示しており、図4及び図6は、それぞれ店内の床に設置したプロジェクター10より、ショーウインドウ11に貼合した、透視可能な透過型スクリーン積層体1A、あるいは1Bに映写した様子を示している。図5及び図6では、スクリーンを通り抜けた映像が店外に漏れてしまい、それぞれ路上や対面の建造物に映像12が映る場合があり問題となる。対して、図3及び図4では、視界制御基材を使用することで、前述した図5や図6の様な問題を回避できる。
本発明において光拡散層が含有する光拡散性微粒子は、光を拡散する性能を有するものであれば有機微粒子及び無機微粒子を問わず使用することができるが、プロジェクターから投影された映像を視認できる視野角が非常に広く、スクリーンの両面からの視認性が高まる観点より平均一次粒子径が0.10μm以上の単一粒子分散性の光拡散性微粒子、もしくは平均二次粒子径が0.10μm以上の二次の凝集粒子系を有する光拡散性微粒子(以下、凝集粒子分散性の光拡散性微粒子という)であることが好ましい。単一粒子分散性の光拡散性微粒子の平均一次粒子径の上限は200μm以下であることが好ましい。また凝集粒子分散性の光拡散性微粒子の平均二次粒子径の上限は200μm以下であることが好ましい。
なお、本発明でいう平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で測定することができるが、単一粒子分散性の光拡散性微粒子の場合、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。凝集粒子分散性の光拡散性微粒子の平均二次粒子径は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
また、光拡散性微粒子の屈折率は、1.30以上であることが好ましいが、1.55を超える場合に、とりわけ視野角が広く、スクリーンの両面からの視認性にも優れる透視可能な透過型スクリーン積層体を得ることができるため好ましい。
光拡散性粒子として用いられる有機微粒子としては、例えば、アクリル重合体、スチレン−アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元共重合体、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂、メラミン樹脂等、従来公知のものから広く選ぶことができる。また、メラミン樹脂やアクリル系樹脂等の微粒子表面がシリカ等の無機微粒子で被覆されたものも使用できる。また、このような有機微粒子と少量の無機微粒子(無機微粒子の割合が50質量%を下回るもの)による複合粒子を用いた場合等でも、実質的には有機微粒子と見なし使用できる。更には有機微粒子を構成するポリマーのモノマー中に屈折率を高める目的で硫黄原子を導入したものや、耐候性を向上させる、あるいは屈折率を下げるためにフッ素置換基を導入したものも用いることができる。
光拡散性粒子として用いられる無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン類、アンチモン酸亜鉛、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、ATO、ITOや、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラス等があり、これらの複合酸化物あるいは複合硫化物等についても広く用いることができる。また、酸化チタン、酸化亜鉛等光触媒活性を持つ無機微粒子の場合には、無機微粒子表面に極めて薄く、シリカ、アルミナ、ホウ素等による被覆が行われているものも使用できる。また、無機微粒子と少量の有機微粒子(有機微粒子の割合が50質量%を下回るもの)による複合粒子を用いた場合等でも、実質的には無機微粒子と見なし使用できる。また光拡散性微粒子として用いる無機微粒子は、単一粒子分散性の無機微粒子であることが好ましい。
本発明では、光拡散性微粒子として用いる有機微粒子及び無機微粒子は、それぞれを単独もしくは複数種類を混合して使用することもでき、有機微粒子及び無機微粒子の双方を混合して使用することも可能である。
本発明の光拡散性微粒子の塗布量は特に制限はなく、光拡散性微粒子の屈折率や、平均一次粒子径と比重から計算される光拡散性微粒子の単位質量当たりの比表面積によって異なるが、0.005〜15.0g/mであり、好ましくは0.01〜12.0g/m、更に好ましくは0.03〜10.0g/mである。
本発明における光拡散層は、後述する樹脂バインダーで光拡散性微粒子を保持した光拡散層、後述するキセロゲルによって光拡散性微粒子を保持した光拡散層、後述するゼラチンゲルで光拡散性微粒子を保持した光拡散層などを使用することが可能である。中でも、キセロゲルによって光拡散性微粒子を保持した光拡散層やゼラチンゲルで光拡散性微粒子を保持した光拡散層を使用した場合、映像の視野角がより広くなるため好ましい。
本発明において、樹脂バインダーで光拡散性微粒子を保持した光拡散層を使用する場合の樹脂バインダーとしては、特に限定されるものではないが、透明性が高い親水性樹脂バインダーが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等が挙げられる。これら親水性樹脂バインダーは2種類以上併用することも可能である。
本発明において、キセロゲルによって光拡散性微粒子を保持した光拡散層を使用する場合のキセロゲルとは、蒸発などにより内部の溶媒を失い空隙を持つ網目構造となったゲルのことであり、キセロゲルによって光拡散性微粒子が保持された光拡散層の空隙率は40%以上が好ましく、50%以上が更に好ましい。
空隙率とは、以下の式で定義される。ここで空隙容量Vは水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用い測定・処理された、光拡散層における細孔半径3nmから400nmまでの累積細孔容積(ml/g)に、光拡散層の乾燥固形分量(g/平方メートル)を乗ずることで、単位面積(平方メートル)当たりの数値として求めることができる。また塗層厚みTは光拡散層の断面を電子顕微鏡で撮影し測長することで得ることができる。
P=(V/T)×100(%)
P:空隙率(%)
V:空隙容量(ml/m
T:塗層厚み(μm)
本発明でいうキセロゲルは、無機微粒子と樹脂バインダーによって構成されることが好ましく、平均一次粒子径が18nm以下の無機微粒子と樹脂バインダーによって構成されることがより好ましい。平均一次粒子径が18nmを超えると、光拡散層の透明性が低下し十分な透視性や輝度が得られない場合がある。また、本発明のキセロゲルを構成する無機微粒子は、平均二次粒子径は500nm以下の二次の凝集粒子径を有することが好ましい。平均二次粒子径が500nmを超えると、光拡散層の透明性が低下し十分な透視性や輝度が得られない場合がある。なお、二次の凝集粒子径を有する無機微粒子の場合、本発明でいう平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で測定することができ、平均二次粒子径はレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
キセロゲルを構成する無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、高い空隙率が得られるため非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として、(株)トクヤマからトクシール(登録商標)、ファインシール(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシル(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲル(登録商標)として、GCPジャパン(株)からシロイド(登録商標)、シロジェット(登録商標)として、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学(株)からスノーテックス(登録商標)として市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素とともに燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル(登録商標)、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は18nm以下であることが好ましく、より高い透視性を得るためには、平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。これにより高い空隙率の光拡散層が得られ、映像の視認性に優れた透過型スクリーン積層体が得られる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
本発明では、平均二次粒子径を500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径18nm以下であり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、いずれの様態も、7:3〜3:7の範囲が好ましい。
本発明において、キセロゲルを構成するにあたり、前記した無機微粒子と共に樹脂バインダーが用いられる。樹脂バインダーとしては、特に限定されるものではないが、透明性が高い親水性樹脂バインダーが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等が挙げられる。これら親水性樹脂バインダーは2種類以上併用することも可能である。好ましい親水性樹脂バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変性ポリビニルアルコールである。
樹脂バインダーの含有量は、本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体の透明性を著しく阻害しない範囲で適宜使用できる。光拡散層がキセロゲルで構成されている場合の樹脂バインダーの含有量は、無機微粒子に対して3〜200質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜150質量%、更に好ましくは5〜120質量%である。これにより高い映像の視野角を得ることができる。またこの場合、前述した光拡散性微粒子は、キセロゲルを構成する無機微粒子に対して0.1〜200質量%であることが好ましく、0.3〜150質量%であることが特に好ましい。
光拡散層は、樹脂バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、米国特許第2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明において、ゼラチンゲルで光拡散性微粒子を保持した光拡散層を使用する場合の
ゼラチンゲルとは、ゼラチンがゾル−ゲル変化により、ゲル化したもののことである。ゼラチンとは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに、熱を加えて抽出したタンパク質を主成分としたコラーゲンの熱変成物のことである。ゼラチンの平均分子量としては、30,000以上であることが好ましく、より好ましくは70,000〜150,000である。ゼラチンの種類としては、例えば牛骨または牛皮を原料としたアルカリ法ゼラチン、豚皮を原料に用いた酸性法ゼラチン、変性ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン等)が挙げられ、また、これらのゼラチンに含まれる不純物(例えばカルシウムイオン、ナトリウムイオン、クロライドイオン等の塩類、脂質、核酸及びその分解物、アルデヒド類等)が精製や脱塩処理を施すことにより低減されたゼラチンが挙げられる。これらのゼラチンを1種または2種以上を組み合わせて用いても構わない。また、ゼラチンのゾル−ゲル変化とは、溶液状態ではランダムコイル状の分子構造の流動性を有するゼラチンが、元のコラーゲン様のらせん構造をとることで分子ネットワークが形成されて流動性を失うといった状態変化のことである。本発明において、光拡散性微粒子がゼラチンゲルに担持されているとは、光拡散層微粒子がゲル化した状態のゼラチンを含む光拡散層組成物により固定化された状態のことである。なお、本発明において、ゼラチンは液相中でゲル化させるが、その後光拡散層組成物が乾燥することにより、ゲルの媒体は気相に変わる。
ゼラチンゲルで光拡散性微粒子を保持した場合、光拡散層は、ゼラチン以外の種々のポリマー成分や添加剤を含有しても構わない。ゼラチン以外のポリマー成分としては、例えば、単量体としてアクリル酸もしくはメタクリル酸もしくはこれらの塩またはこれらのエステル等の誘導体を含むアクリル系重合体の水溶液や水分散液が挙げられる。他のアクリル系重合体例としては、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸アルキル共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体等及びこれらの金属塩または変性物、アクリル酸−アクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル−アクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸アルキル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸アルキル−フマル酸共重合体、アクリル酸アルキル−イタコン酸共重合体等及びこれらの金属塩または変性物等の水溶液や水分散液が挙げられる。
また、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の、その変性物を含めた合成ゴムラテックスなどの水分散液が挙げられる。また、各種変性あるいは未変性のポリビニルアルコール、酸化澱粉やエーテル化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、大豆蛋白、カラギーナンなどの水溶性高分子樹脂などを併用しても構わない。本発明において、光拡散層が含有する好ましいゼラチンの含有量としては、光拡散層全体に対して20質量%以上である。20質量%未満であると、光拡散層がゼラチンにより充分にゲル化しない場合があり、光拡散層の表面に微細な凹凸が発生し、スクリーン透明性や映像視認性が不十分となる場合がある。
上記したゼラチンゲルの形成にあたり、光拡散性微粒子とゼラチンを含有する液温が20℃以上の光拡散層塗布液を塗布した後、乾燥工程までの間に、該光拡散層塗布液の膜面温度を15℃以下にすることが好ましい。光拡散層塗布液の膜面温度を15℃以下にすることにより、光拡散層塗布液に含有されるゼラチン成分のゲル化が充分に進行するために、光拡散性微粒子が特に均一な分散状態が獲得可能となり、光拡散性能とスクリーン透明性を高いレベルで両立することが可能となる。
本発明における光拡散層の乾燥固形分塗布量は、1〜50g/mの範囲が好ましく、3〜40g/mの範囲がより好ましく、特に5〜30g/mの範囲が好ましい。光拡散層には更に、カチオン性ポリマー、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、硬膜剤、pH調節剤等を添加することもできる。
光拡散層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの光拡散層の構成はお互いに同じであっても異なっていてもよい。なお、複数の光拡散層がある場合、光拡散性微粒子は少なくとも視界制御基材に接する光拡散層に含有する。
本発明において、光拡散層の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の各種塗布方式を用いることができる。例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアーナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
本発明における視界制御基材は、例えば、特開昭57−189439号公報に示される、透明シート及び不透明シートを交互に貼り合わせたプラスチックブロックから切り出した配向膜や、特開平6−11606号公報、特許第3829601号公報、特開2006−350290号公報等に示される感光性樹脂を用いて透明基板上に格子や縞等の模様をなすレリーフを設けたものなど、特定の角度域の入射光のみを選択的に散乱し(不透明角度)、それ以外の角度域については入射光を効率的に透過させる(透明角度)光制御性を有する基材であれば、片面に粘着加工を施したものも含めて特に限定されずに使用することができる。このような視界制御基材としては、リンテック(株)から、ウインコス(登録商標)ビジョンコントロールフィルムとして販売されている。本発明においては、中でも、不透明角度(視界制御基材面に対する垂直面方向から、不透明となる領域までの角度。垂直面方向を0°とし、一方向(図7においては下方、図8においては上方)をプラス方向とし、その逆方向をマイナス方向とする。)が+15°〜+65°の範囲にある視界制御基材を用いることが好ましい。視界制御基材の使用方法としては、前述した図3の使用例の場合は、図7のように不透明角度が下方となるように使用することが好ましく、前述した図4の使用例の場合は、図8のように不透明角度が上方となるように使用することが好ましい。
本発明において、視界を制御する視界制御基材の少なくとも一方の面に、他の層を介さずに直接、光拡散性微粒子を含有する光拡散層を有する具体的な方法としては、上記の視界制御基材上に、直接、光拡散層塗布液を塗布し乾燥させて光拡散層を設ける方法が挙げられる。透明ポリエチレンテレフタレートフィルム等の光透過性基材や粘着層を介して、視界制御基材に光拡散層を設けた場合、プロジェクターから投影された映像の視野角が狭くなるため好ましくない。
本発明における透視可能な透過型スクリーン積層体が片面に粘着加工を施したものでない場合は、視界制御基材の双方の面に光拡散層を有することも可能であるが、一方の面に光拡散層を有し、もう一方の面に粘着層、及びセパレート基材を有することも可能である。また、光拡散層上に粘着層、及びセパレート基材を有することも可能である。
本発明において、粘着層は一般に使用されるアクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ゴム系等の合成樹脂系接着剤を用いることができ、被接着基材との必要な接着性が得られるように調整して使用される。なお。粘着層にはイソシアネート系などの公知の架橋剤や紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。
本発明において、粘着層の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の各種塗布方式を用いることができる。例えば、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアーナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。なお透視可能な透過型スクリーン積層体を被接着基材に貼り付ける際に空気が抜けやすくするために、粘着層を点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめたり、粘着層にエンボス加工による極細溝を設けることもできる。
本発明において、セパレート基材は、剥離した際に粘着層がセパレート基材上に残らないように、粘着層と貼り合わせる面にシリコーン樹脂加工などの剥離処理加工を施したフィルムや紙等の公知の基材を用いることができる。なお最終的には剥がして使用するため厚みやヘーズ値に関しても特に制限はないが、ハンドリングの観点より、厚みは1.0〜100μmが好ましく、更に5.0〜50μmが好ましい。
本発明においては、光拡散層を保護するために、光拡散層にプロテクト基材を設けることができる。プロテクト基材は、剥離した際に透視可能な透過型スクリーン積層体側に接着剤が残らないように調整された粘着層を有するフィルムや紙等の公知の基材を使用することができる。なお最終的には剥がして使用するため、厚みやヘーズ値に関しても特に制限はないが、ハンドリングの観点より、厚みは1.0〜100μmが好ましく、更に5.0〜50μmが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、視界制御基材の表面には、光拡散層と視界制御基材との接着性を向上させる目的、あるいは上記粘着層と視界制御基材との接着性を向上させる目的で易接着処理を施してもよく、また別途易接着層を設けてもよい。
本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体は、プロジェクターの映像を光拡散層側もしくはその反対側の双方どちらから投影して使用することも可能であるが、好ましくは光拡散層側から投影することが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部とは固形分あるいは実質成分の質量部を表す。また主体とは、該成分の割合が50質量%を超えることを表す。
(実施例1)
視界制御基材として、リンテック(株)製、ウインコス ビジョンコントロールフィルムY−2555(片面に粘着層とセパレート基材を有する)のセパレート基材面とは反対面に、下記組成の光拡散層塗布液1を、固形分塗布量が20.0g/mになるようにメタリングバーを用いて塗布し、10℃及び50℃の熱風を順次吹き付けて乾燥して、実施例1の透視可能な透過型スクリーン積層体を作製した。なお、水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用いて空隙容量を測定したところ、14ml/m、光拡散層の断面の電子顕微鏡観察による厚みは23μmであり、計算される空隙率は61%であった。
<シリカ分散液の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。平均二次粒子径は、(株)堀場製作所製LA910を用いて測定すると80nmであった。
<光拡散層塗布液1>
シリカ分散液 (シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 100部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
光拡散性微粒子 0.76部
(オプトビーズ(登録商標)500S:日産化学(株)製、シリカ、メラミン樹脂複合微粒子(メラミン樹脂主体)、単一粒子分散性、平均一次粒子径0.5μm、真比重2.2、屈折率1.65)
全体の固形分濃度が12%になるように水で調整した。
(実施例2)
実施例1の視界制御基材に、下記の光拡散層塗布液2を、固形分塗布量が25g/mになるようにメタリングバーを用いて塗布した。塗布直後5℃の冷却ゾーンを通過させ、ゼラチンをゲル化させた。赤外線温度計で測定した冷却ゾーン通過時の光拡散層塗布液の膜面温度は13℃であった。その後、25℃〜50℃の温風を順次吹き付けて乾燥して、実施例2の透視可能な透過型スクリーン積層体を作製した。光拡散性微粒子はゼラチンゲルに担持されている。
<酸化ジルコニウム分散液>
水に、分散剤(アロン(登録商標)A−6114:東亞合成(株)製)2部と酸化ジルコニウム(UEP−100:第一希元素化学工業(株)製)屈折率2.19、100部を添加し、固形分濃度が20%の予備分散液を作製した後、メディアミル(MSC−50型:日本コークス工業(株)製)で循環処理時間を調節して、酸化ジルコニウムの平均二次粒子径が117nmの酸化ジルコニウム分散液を作製した。
<光拡散層塗布液2>
水に、ゼラチン(IK−3000:(株)ニッピ製)を添加した後、80℃に昇温して溶解し、固形分濃度が20%のゼラチン水溶液を作製した。次いで、ゼラチン水溶液(ゼラチン固形分として)100部を30℃まで降温した後、(酸化ジルコニウム固形分として)6部の酸化ジルコニウム分散液を添加混合し、全体の固形分濃度が20%、液温が25℃になるように調整し、光拡散層塗布液2を得た。
(比較例1)
厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値4%)の片面に、実施例2の光拡散層塗布液2を、実施例2と同様にして塗布・乾燥した。続いて、厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムのもう一方の面に、下記の粘着層塗布液を10μmの乾燥塗厚になるように塗布・乾燥し、セパレート基材としてシリコン樹脂加工で剥離処理を施した厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値3%)を密着貼合し粘着層面を保護して、比較例1の透視可能な透過型スクリーン積層体を得た。
<粘着層塗布液>
アクリル系共重合樹脂 100部
架橋剤 4部
(ヘキサメチレンジイソシアネート)
紫外線吸収剤 2部
(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン)
全体の固形分濃度が30%になるようにトルエンで調整した。
(比較例2)
厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値4%)の片面に、実施例2の光拡散層塗布液2を、実施例2と同様にして塗布・乾燥した。続いて、厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムのもう一方の面に、比較例1と同様の粘着層塗布液を10μmの乾燥塗厚になるように塗布・乾燥し、実施例1に用いた視界制御基材のセパレート基材面とは反対面に密着貼合して、比較例2の透視可能な透過型スクリーン積層体を得た。
得られた実施例1及び2、比較例1及び2の透視可能な透過型スクリーン積層体に関し、セパレート基材を剥離した際のJIS−K7361−1:1997及びJIS−K7136:2000に準拠して全光線透過率とヘーズ値を測定したところ、全光線透過率は全て50%を超えており、ヘーズ値は全て50%以下であった。その後、視界制御基材を使用しているものについては不透明角度が前述の図8となるように、透視可能な透過型スクリーン積層体の光拡散層とは反対面をアクリル板に貼り付け、超短焦点プロジェクター(IPSIO(登録商標)PJWX4130:(株)リコー製)を、前述の図4や図6のようにセットし、A4サイズの映像を光拡散層側より投影した。評価は、プロジェクターとは反対側のスクリーンから距離1.5mの位置より観察して、映像の視野角と映像の映り込みに関して下記の基準で行った。これらの結果を表1に示す。
<映像の視野角>
水平方向の視野角(スクリーン面に対する垂線方向からの角度)を0°から90°まで変えてスクリーンに映る映像を観察し、以下の評価基準により評価した。
○:全ての角度で映像が確認でき視野角が広い
△:90°付近の高視野角で映像濃度がやや低く見える
×:90°付近の高視野角で映像濃度が著しく低く見える
<映像の映り込み>
プロジェクターとは反対側の3mの高さの天井に映し出される映像を目視評価した。
◎:天井への映像の映り込みがほとんどない
○:上記◎よりは劣るが、気になる天井への映像の映り込みはない
△:天井への映像の映り込みがやや気になる程度に存在する
×:天井への映り込みが著しい
表1の結果から、本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体により、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、映像が透過型スクリーン以外の場所に映り込み難い、透視可能な透視可能な透過型スクリーン積層体が得られることが判る。
1 透視可能な透過型スクリーン積層体
1A 本発明の透視可能な透過型スクリーン積層体
1B 従来の透視可能な透過型スクリーン積層体
2 光拡散性微粒子
3 光拡散層
4 視界制御基材
5 粘着層
6 光透過性基材
10 プロジェクター
11 ショーウインドウ
12 店外に映写された映像
13 不透明角度

Claims (1)

  1. 視界を制御する視界制御基材の少なくとも一方の面に、他の層を介さずに直接、光拡散性微粒子を含有する光拡散層を有する透視可能な透過型スクリーン積層体。
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