JP2020076607A - 鋼材成分識別装置、鋼材成分識別方法、及び鋼材成分識別プログラム - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施形態の鋼材成分識別装置の構成図である。本実施形態に係る鋼材成分識別装置1は、検査対象の鋼材BとグラインダCとが接触して発生した火花を撮像するカメラ10と、カメラ10で撮像された火花画像に基づいて火花を定量化するコンピュータ20と、を備える。コンピュータ20は、演算処理を行うCPU21と、データのワークエリアであるRAM22と、CPU21の制御プログラムを記憶するROM23を備えている。
画像取込処理部211は、カメラ10により撮像された火花画像をカラー画像としてRAM22に取り込む。
輝度変換部212は、火花画像の各画素の輝度を変換処理して画像を輝度値のみのグレースケール画像に変換し、画像をRAM22に格納する。
二値化処理部213は、火花画像の二値化処理を実行し、画像をRAM22に格納する。
短直線マッチング部214は、火花画像の短直線マッチング処理を行う。より詳細には、短直線マッチング部214は、以下の〔1.4.1 基準短直線設定処理〕〜〔1.4.4 基準短直線延長処理〕の処理を行う。
図6において、短直線マッチング部214は、二値化処理された火花の線(芯線)内で、座標を(x,y)とする任意の黒画素を基準短直線の開始点とする。この座標(x,y)の黒画素は、既に求めた基準短直線から与えられた黒画素でもよく、芯線内の画素を順番に探すことにより検知された黒画素でもよい。
なお、短直線マッチング部214は、短直線が複数存在する場合には、最も多く黒画素がマッチングした短直線を基準短直線とし、黒画素の数が同数の短直線が複数存在する場合には、角度θが最も大きな直線を、基準短直線として設定する。
図7において、短直線マッチング部214は、開始点の座標を(x0’’,y0’’)=(x+t×sin(θ+90°),y+t×sin(θ+90°))(ただし、−10≦t≦10、tは0以外の整数、1≦l≦45、lは整数)としたとき、座標を(x’’,y’’)=(x+l×sinθ+t×sin(θ+90°),y+l×cosθ+t×sin(θ+90°))(ただし、1≦l≦45、lは整数)とする領域を、θを3°刻みとしながら探索し、(x0’’,y0’’)から(x’’,y’’)までの間に、27pix/45pix(60%)以上、黒画素が存在すれば、(x0’’,y0’’)から(x’’,y’’)までを基準短直線に平行な平行短直線とする。
更に、短直線マッチング部214は、芯線内での基準短直線の本数(=1)と、平行短直線の本数の合計を、芯線の太さ(線幅)とする。
図7の例では、芯線の太さは9となる。
図8において、短直線マッチング部214は、基準短直線上の座標(x’,y’)において、基準短直線に直交する直線上の各画素での輝度値を求め、この輝度値の最大値を、芯線の座標(x’,y’)における輝度値とする。
図9において、短直線マッチング部214は、上記の〔1.4.1 基準短直線設定処理〕で求めた基準短直線の先端を新たな開始点として、〔1.4.1 基準短直線設定処理〕〜〔1.4.3 輝度算出処理〕の処理を繰り返す。
やり先領域抽出部215は、流線画像に含まれる各流線内での輝度値の変化に基づいて、各流線のやり先領域を抽出する。より詳細には、やり先領域抽出部215は、以下の〔1.5.1 やり先候補設定処理〕〜〔1.5.3 補間処理〕の処理を実行する。
図10A及び図10Bは、流線画像の種別を示す。流線画像は、図10Aに示すように、火花が連続する第1種の流線画像と、図10Bに示すように、火花が途切れている第2種の流線画像とに分類される。
次に、やり先領域抽出部215は、やり先領域の候補となる各流線内での輝度値の変化に基づいて、各流線のやり先領域を抽出する。
次に、やり先領域抽出部215は、第2種の流線画像に対して、補間処理を実行する。
より具体的には、やり先領域抽出部215は、第2種の流線画像において、火花の先端側の流線画像に含まれる基準短直線の、火花が途切れている箇所における端点を頂点とする扇形の領域内を検索し、この領域内に他の基準短直線の端点が存在し、両者の基準短直線がなす角度が所定範囲にある場合に、両者の基準短直線をやり先候補とする。
なお、元の基準短直線となす角度が−9°〜6°となる基準短直線が複数存在する場合には、全ての基準短直線と元の基準短直線をそれぞれ補間し、やり先候補とする。
モリブデン検知部216は、やり先領域抽出部215によるやり先領域の抽出結果に基づいて、鋼材内のモリブデンの有無又は含有量を検知する。
破裂密度算出部217は、二値化処理部213によって二値化された火花画像に対し、複数の角度に相当する短直線を表す複数のテンプレートを各々マッチングし、火花画像全体の火花の破裂の総数(破裂数)、及び、火花画像全体のマッチングされたテンプレートの総数(短直線数)をカウントし、破裂数を短直線数で除した破裂密度を算出する。
炭素含有量検知部218は、破裂密度算出部217によって算出された破裂密度に基づいて、鋼材内の炭素の含有量を検知する。これは、特許文献1に開示されるように、鋼材中の炭素の含有量が高いほど、破裂密度も高いという知見に基づくものである。
図18A及び図18Bは、本実施形態に係る鋼材成分識別装置1の動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、CPU21に、破裂密度算出部217及び炭素含有量検知部218が備わる場合のフローチャートである。
また、ステップS2の後に、ステップS3及びステップS4を経由せず、ステップS6を実行してもよい。
〔3.1 撮影環境〕
図19は、実施例における撮影環境を示す図である。カメラ10としては、DITECT社製のHAS−L2を用い、鋼材BとグラインダCとの接触点から600mmの距離に設置した。
〔3.2.1 やり先領域の密度とモリブデンの含有量との関係〕
図20は、やり先領域の密度と、鋼材B内のモリブデンの含有量との関係を示す。図20に示すように、やり先領域の密度が高いほど、モリブデンの含有量は高い。
図21は、やり先領域の密度と、鋼材B内のモリブデン及び炭素の含有量との関係を示す。なお、図21では、やり先領域の密度が高いほど円の半径が大きい。図21に示すように、モリブデンの含有量が高いほど、やり先領域の密度が増加する一方で、炭素の含有量が高いほど、やり先領域の密度は減少する。
図22A及び図22Bは、フローチャートの説明の中で述べたように、やり先領域を抽出する際に、線幅情報を用いず、輝度値情報のみを用いてやり先領域を抽出した場合の検証結果である。
図22Aに示すように、輝度値情報のみを用いた場合は、双方の情報を用いた場合に比較して、精度が減少する。輝度値情報のみを用いている場合は、線幅情報と輝度値情報との双方を用いる場合に比較して、用いる情報量が少ないためである。
双方の情報を用いた場合の解析時間は16.9秒である一方で、輝度値情報のみを用いた場合の解析時間は15.9秒となり、処理速度が速いことが示された。
本発明の実施形態に係る鋼材成分識別装置1は、火花画像に含まれる流線画像を生成する流線画像生成部と、流線画像に含まれる各流線内での輝度値の変化に基づいて、各流線のやり先領域を抽出するやり先領域抽出部215と、やり先領域の抽出結果に基づいて前記鋼材内のモリブデンの有無又は含有量を検知するモリブデン検知部216と、を備える。
これにより、鋼材成分識別装置1は、鋼材中のモリブデンの有無、延いてはモリブデンの含有量を簡便に検知することが可能となる。
また、やり先領域抽出部215は、上記の正負が反転する点の前後で、負が連続する領域内での負の2階微分値の総和の絶対値と、正が連続する領域内での正の2階微分値の総和の絶対値とが第1閾値以上であり、負の2階微分値の総和の絶対値と、正の2階微分値の総和の絶対値との比が第2閾値以上となるような前記点を挟んで、前記符号が負となる側の領域を、やり先領域とする。
また、やり先領域抽出部215は、2階微分値の符号が反転する点から見て、2階微分値の2回目のピークでの絶対値が第3閾値以内となるような当該点を挟んで、符号が負となる側の領域を、やり先領域とする。
これにより、鋼材成分識別装置1は、鋼材中のモリブデンの有無、延いてはモリブデンの含有量を検知するためのやり先領域の抽出を正確に実行することが可能となる。
これにより、鋼材成分識別装置1は、鋼材内のモリブデンの有無や含有量を検知する精度を高めることが可能となる。
これにより、より正確にやり先領域の数をカウントすることが可能となる。
これにより、鋼材成分識別装置1は、鋼材内のモリブデンの有無や含有量を検知する精度を高めることが可能となる。
これにより、鋼材成分識別装置1は、より正確に鋼材へのモリブデンの含有量を検知することが可能となる。
上記の実施形態では、コンピュータ20が、CPU21と、RAM22と、CPU21の制御プログラムを記憶するROM23とを備え、CPU21がROM23に格納された制御プログラムを読み出し、該制御プログラムに従って、図2の機能ブロック図に示す機能を実現するとしたが、これには限定されない。例えば、CPU21の代わりに集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって、図2の機能ブロック図に示す機能を実現してもよい。
10 カメラ
20 コンピュータ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
211 画像取込処理部
212 輝度変換部
213 二値化処理部
214 短直線マッチング部
215 やり先領域抽出部
216 モリブデン検知部
217 破裂密度算出部
218 炭素含有量検知部
B 鋼材
C グラインダ
Claims (10)
- 鋼材を研削して発生する火花の画像である火花画像に基づいて、前記火花画像に含まれる流線の画像である流線画像を生成する流線画像生成部と、
前記流線画像に含まれる各流線内での輝度値の変化に基づいて、各流線のやり先領域を抽出するやり先領域抽出部と、
前記やり先領域抽出部による前記やり先領域の抽出結果に基づいて前記鋼材内のモリブデンの有無又は含有量を検知するモリブデン検知部と、
を備える鋼材成分識別装置。 - 前記やり先領域抽出部は、各流線内での輝度値の2階微分値の符号の正負が反転する点を挟んで前記符号が負となる側の領域を、前記やり先領域とする、請求項1に記載の鋼材成分識別装置。
- 前記やり先領域抽出部は、前記2階微分値の符号の正負が反転する点の前後で、負が連続する領域内での負の2階微分値の総和の絶対値と、正が連続する領域内での正の2階微分値の総和の絶対値とが第1閾値以上であり、前記負の2階微分値の総和の絶対値と、前記正の2階微分値の総和の絶対値との比が第2閾値以上となるような前記点を挟んで、前記符号が負となる側の領域を、前記やり先領域とする、請求項2に記載の鋼材成分識別装置。
- 前記やり先領域抽出部は、前記2階微分値の符号が反転する点から見て、前記2階微分値の2回目のピークでの絶対値が第3閾値以内となるような前記点を挟んで、前記符号が負となる側の領域を、前記やり先領域とする、請求項3に記載の鋼材成分識別装置。
- 前記やり先領域抽出部は、前記各流線のうちの、前記火花の発生源から相対的に遠い第1領域と、前記各流線の長さ方向かつ前記発生源に相対的に近い側に前記第1領域に対して隣接する第2領域とについて、前記第1領域と前記第2領域との境界を挟んで、前記第1領域の太さが前記第2領域の太さよりも太いとき、前記第1領域をやり先領域の候補とし、当該候補の中から前記やり先領域を抽出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼材成分識別装置。
- 前記やり先領域抽出部は、前記流線画像に含まれ互いに離間する第1流線と第2流線とについて、前記第1流線の端点と前記第2流線の端点とが共に所定領域内に存在し、前記第1流線の前記端点における傾きと前記第2流線の前記端点における傾きとの相違が所定範囲内にある場合に、前記第1流線と前記第2流線との間を補間し、1本の流線とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼材成分識別装置。
- 前記モリブデン検知部は、前記やり先領域の抽出結果を用いて前記やり先領域の密度を算出し、算出した前記やり先領域の密度に基づいて、前記鋼材内のモリブデンの有無又は含有量を検知する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼材成分識別装置。
- 二値化された前記火花画像から、前記火花画像全体の破裂密度を算出する破裂密度算出部と、
前記破裂密度に基づいて、前記鋼材内の炭素の含有量を検知する炭素含有量検知部とを更に備え、
前記モリブデン検知部は、前記やり先領域の密度における、前記鋼材への炭素の含有による抑制分を、前記炭素の含有量を用いて補正することにより、前記モリブデンの含有量を検知する、請求項7に記載の鋼材成分識別装置。 - 鋼材を研削して発生する火花の画像である火花画像に基づいて、前記火花画像に含まれる流線の画像である流線画像を生成する流線画像生成ステップと、
前記流線画像に含まれる各流線内での輝度値の変化に基づいて、各流線のやり先領域を抽出するやり先領域抽出ステップと、
前記やり先領域抽出ステップにおける前記やり先領域の抽出結果に基づいて前記鋼材内のモリブデンの有無又は含有量を検知するモリブデン検知ステップと、
を有する鋼材成分識別方法。 - 鋼材を研削して発生する火花の画像である火花画像に基づいて、前記火花画像に含まれる流線の画像である流線画像を生成する流線画像生成ステップと、
前記流線画像に含まれる各流線内での輝度値の変化に基づいて、各流線のやり先領域を抽出するやり先領域抽出ステップと、
前記やり先領域抽出ステップにおける前記やり先領域の抽出結果に基づいて前記鋼材内のモリブデンの有無又は含有量を検知するモリブデン検知ステップと、
をコンピュータに実行させるための、鋼材成分識別プログラム。
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