JP2020076478A - 自動変速機用ピストンシール - Google Patents
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Abstract
【課題】自動変速機用ピストンシールにオイル漏れを生じさせにくくし、ハウジングとピストンリップとの間に良好な潤滑性を持たせること。【解決手段】回転するハウジング111の内部で往復動自在のピストン131に設けたピストンリップ136に、ハウジング111の軸A方向に沿った面とのなす接触角度が、ピストン油圧室137側よりもピストン油圧室137と反対側の方が大きい初期形状を有するリップ端を与え、ピストン油圧室137の内圧の高まりに応じてリップ端をピストン油圧室137側に倒す方向のモーメントをピストンリップ136に生じさせるように、ピストンリップ136の根元部分に薄肉部を設けた。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車などの車両に用いられる自動変速機用ピストンシールに関する。
従来の自動変速機用ピストンシールの一例として、特許文献1には、図6に示すようなものが記載されている。
図6に示す自動変速機用ピストンシール(文献1ではボンデッドピストンシール)は、ハウジング11の内部にピストン31を往復動自在に収納し、ピストン31の往復動によって複数枚のクラッチ板51の締結と解放とを実現している。
ハウジング11は軸Aを中心に回転自在であり、その内部に、内周側を向いた周面である内向き周面12と、外周側を向いた周面である外向き周面13とを備えている。外向き周面13は、内向き周面12の内周側に位置づけられ、これらの二つの周面12,13の間で、ピストン31は軸Aに沿って往復動する。複数枚のクラッチ板51の締結及び解放方向も、軸Aに沿った方向である。
ピストン31は、金属材からなる環状部材である。ピストン31は、ハウジング11内の外向き周面13に取り付けられたOリング14に内周面を密接させ、内向き周面12に密接するピストンリップ32を加硫接着している。これらのOリング14とピストンリップ32とによって、ハウジング11の内部とピストン31との間には密閉された空間が生成される。この空間は、ピストン31を駆動するための作動オイル(図示せず)を導入するピストン油圧室33を構成する。
ピストン31の外周縁部には、フランジ34が設けられている。フランジ34は、ピストン31の往復動に応じて最初のクラッチ板51aを押圧し、複数枚のクラッチ板51の締結及び解放を制御する。
自動変速機用ピストンシールは、キャンセラー71を組み込んでいる。キャンセラー71もピストン31と同様に、金属材からなる環状部材である。キャンセラー71は、ピストン油圧室33とは反対側の空間に配置されており、ハウジング11内の外向き周面13に設けられたシールワッシャ15によって軸A方向に位置固定されている。
キャンセラー71は、ピストン31の内周面に密接するキャンセラーリップ72を外周部に固定している。ピストン31とキャンセラー71との間には、キャンセル油圧室73が生成される。キャンセル油圧室73には、作動オイル(図示せず)が充填されている。
キャンセル油圧室73には、キャンセラー71とピストン31との間に、リターンスプリング91が圧縮された状態で設けられている。
このような構造の自動変速機用ピストンシールは、ピストン油圧室33に作動オイルを導入することで、クラッチ板51に向けてピストン31を移動させる。移動したピストン31は最初のクラッチ板51aを押圧し、複数枚のクラッチ板51の配置間隔を狭め、最終的にすべてのクラッチ板51を締結させる。ピストン油圧室33から作動オイルを退避させると、ピストン31はリターンスプリング91に付勢され、元の位置に復帰する。これによって複数枚のクラッチ板51が解放される。こうしてクラッチ板51の締結と解放とが行なわれる。
図7(A)に示すように、図6に例示するような種類の従来の自動変速機用ピストンシールには、断面三角形形状のピストンリップ32が広く用いられている。ピストンリップ32のリップ端32aは、軸A(図6参照)に沿って設けられているハウジング11の内向き周面12に対してそれぞれα及びβの角度をなす。αはピストン油圧室33側、βはクラッチ板51側の角度である。
このとき従来のピストンリップでは、図7(A)に示すように、α>βの関係に設定するのが一般的である。図7(B)に示すように、面圧分布のピークがピストン油圧室に収納されている作動オイル寄りになり、オイル漏れに対して有利に働くからである。
その一方でα>βの関係に設定すると、ハウジングとピストンリップのリップ端との間にオイルが回りにくくなり、両者の間の摩擦抵抗が増大してピストンリップの潤滑性が損なわれてしまう。そこでα<βとすることも考えられるが、この場合にはオイル漏れが発生しやすくなってしまう。
したがってピストンリップのリップ端におけるαとβとの角度設定は、オイル漏れと潤滑性との間にトレードオフの関係を生じさせる。何らかの改善が求められる。
ピストンリップ32に生ずる課題は、キャンセラー71が備えるキャンセラーリップ72についても発生するため、同様に改善が求められる。
本発明の自動変速機用ピストンシールの一態様は、回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、往復動することによって複数枚のクラッチ板の締結と解放とを実現し、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、前記ピストンを前記クラッチ板から離間する方向に付勢する付勢部と、前記ハウジングの軸方向に沿った面とのなす接触角度が前記ピストン油圧室側よりもこのピストン油圧室と反対側の方が大きい初期形状を有する前記ピストンリップのリップ端と、前記ピストンリップの根元部分に設けられ、前記ピストン油圧室の内圧の高まりに応じて前記リップ端を前記ピストン油圧室側に倒す方向のモーメントを前記ピストンリップに生じさせる薄肉部とを備える。
本発明の自動変速機用ピストンシールの別の一態様は、回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、往復動することによって複数枚のクラッチ板の締結と解放とを実現し、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、前記ピストンを前記クラッチ板から離間する方向に付勢する付勢部と、前記ピストンの軸方向に沿った面とのなす接触角度が前記キャンセル油圧室側よりもこのキャンセル油圧室と反対側の方が大きい初期形状を有する前記キャンセラーリップのリップ端と、前記キャンセラーリップの根元部分に設けられ、前記キャンセル油圧室の内圧の高まりに応じて前記リップ端を前記キャンセル油圧室側に倒す方向のモーメントを前記キャンセラーリップに生じさせる薄肉部と、を備える。
本発明の一態様によれば、クラッチ板の解放時にはピストンリップのリップ端に良好な潤滑性を持たせることができ、クラッチ板の締結に際してピストン油圧室の内圧が高まるにしたがいピストンリップからのオイル漏れを生じにくくすることができる。
本発明の別の一態様によれば、クラッチ板の解放時にはキャンセラーリップのリップ端に良好な潤滑性を持たせることができ、クラッチ板の締結に際してキャンセル油圧室の内圧が高まるにしたがいキャンセラーリップからのオイル漏れを生じにくくすることができる。
実施の一形態を図1ないし図3(A)(B)に基づいて説明する。本実施の形態は、自動車などの車両に用いられる自動変速機用ピストンシールの一例である。
(基本構成)
図1に示すように、自動変速機用ピストンシール101は、ハウジング111の内部にピストン131を往復動自在に収納し、ピストン131の往復動によって複数枚のクラッチ板151の締結と解放とを実現している。自動変速機用ピストンシール101は、動作時にピストン131に生ずる遠心油圧をキャンセルするためのキャンセラー171も内蔵している。ピストン131はボンデッドピストンシール(BPS)とも称され、キャンセラー171はボンデッドキャンセラーシール(BCS)とも称される。
図1に示すように、自動変速機用ピストンシール101は、ハウジング111の内部にピストン131を往復動自在に収納し、ピストン131の往復動によって複数枚のクラッチ板151の締結と解放とを実現している。自動変速機用ピストンシール101は、動作時にピストン131に生ずる遠心油圧をキャンセルするためのキャンセラー171も内蔵している。ピストン131はボンデッドピストンシール(BPS)とも称され、キャンセラー171はボンデッドキャンセラーシール(BCS)とも称される。
ハウジング111は軸Aを中心に回転自在であり、その内部に、内周側を向いた周面である内向き周面112と、外周側を向いた周面である外向き周面113とを備えている。外向き周面113は、内向き周面112の内周側に位置づけられ、これらの二つの周面112,113の間で、ピストン131は軸Aに沿って往復動する。複数枚のクラッチ板151の締結及び解放方向も、軸Aに沿った方向である。
ピストン131、クラッチ板151、及びキャンセラー171は、ハウジング111と共に回転する。ピストン131、クラッチ板151、及びキャンセラー171も、軸Aを中心に回転自在である。
ピストン131は、例えば板金のプレス加工によって生成された金属材からなる環状部材であり、ハウジング111の外向き周面113を貫通させる貫通孔132を中央部分に備えている。断面にして見たピストン131は、貫通孔132を中心に二つのカップ状部材を逆さに並べたような形状を有している。これらのカップ状部材は、内周側から外周側に向けて内筒部133、円環部134、そして外筒部135によって生成されている。
内筒部133は、軸Aと平行に延びて貫通孔132を形成する部分であり、ハウジング111の外向き周面113に非接触状態で対面している。内筒部133の先端部分は、内側に向けて屈曲する屈曲部133aをなしている。
円環部134は、内周側よりも外周側の方が隆起した形状を有している。隆起方向は、クラッチ板151から離れる方向である。説明の便宜上、隆起していない内周側を内周部134a、隆起した外周側を隆起部134bと呼ぶ。
外筒部135は、軸Aと平行に延びてピストン131の外周面を形成する部分であり、ハウジング111の内向き周面112に非接触状態で対面している。外筒部135の先端部分は外側に向けて屈曲するフランジ135aをなしている。フランジ135aは、ピストン131の往復動に応じて最初のクラッチ板151aを押圧し、複数枚のクラッチ板151の締結及び開放を制御する。
ピストン131は、内周側及び外周側の全周にわたってピストンリップ136を固定している。
内周側のピストンリップ136は、屈曲部133aに加硫接着された内周側リップ136aである。内周側リップ136aは、ハウジング111の外向き周面113に密接している。
外周側のピストンリップ136は、直角に屈曲する隆起部134bと外筒部135との連結部分に加硫接着された外周側リップ136bである。外周側リップ136bは、ハウジング111の内向き周面112に密接している。
ピストン131の内外周にピストンリップ136を設けることで、ハウジング111の内部とピストン131との間には、密閉された空間が生成される。この空間は、作動オイル(図示せず)を導入するピストン油圧室137を構成する。
ハウジング111は、ピストン油圧室137内に作動オイルを導入し得るように、ピストン油圧室137に位置させて、外向き周面113にオイルポート115を設けている。オイルポート115は図示しない油圧回路に連絡し、ピストン油圧室137に対するオイルの出し入れを支援する。
自動変速機用ピストンシール101は、キャンセラー171を組み込んでいる。キャンセラー171もピストン131と同様に、金属材からなる環状部材である。キャンセラー171は、ピストン油圧室137とは反対側の空間に配置されており、ハウジング111内の外向き周面113に設けられたシールワッシャ114によって軸A方向に位置固定されている。
キャンセラー171は、ピストン131の内周面に密接するキャンセラーリップ172を外周部に固定している。ピストン131とキャンセラー171との間には、キャンセル油圧室173が生成される。キャンセル油圧室173には、作動オイル(図示せず)が充填されている。
キャンセル油圧室173には、キャンセラー171とピストン131との間に、付勢部としてのリターンスプリング191が圧縮された状態で設けられている。
(ピストンリップのリップ端の角度)
図2(A)は、クラッチ板151を解放しているときの外周側リップ136bのリップ端138の形状を示す模式図であり、図2(B)は、そのときの面圧分布図である。図3(A)は、クラッチ板151を締結しているときの外周側リップ136bのリップ端138の形状を示す模式図であり、図3(B)は、そのときの面圧分布図である。これらの各図は、ピストンリップ136のうち、外周側リップ136bの形状及び面圧分布のみを示しているが、内周側リップ136aも同様の形状及び面圧分布を示す。より詳しくは、内周側リップ136aは、外周側リップ136bを垂直軸周りに180度回転させた形状を有している。したがって図2(A)(B)及び図3(A)(B)は、外周側リップ136bを直接的に示しているが、これを垂直軸周りに180度回転させた形状として、内周側リップ136aも黙示的に示している。
図2(A)は、クラッチ板151を解放しているときの外周側リップ136bのリップ端138の形状を示す模式図であり、図2(B)は、そのときの面圧分布図である。図3(A)は、クラッチ板151を締結しているときの外周側リップ136bのリップ端138の形状を示す模式図であり、図3(B)は、そのときの面圧分布図である。これらの各図は、ピストンリップ136のうち、外周側リップ136bの形状及び面圧分布のみを示しているが、内周側リップ136aも同様の形状及び面圧分布を示す。より詳しくは、内周側リップ136aは、外周側リップ136bを垂直軸周りに180度回転させた形状を有している。したがって図2(A)(B)及び図3(A)(B)は、外周側リップ136bを直接的に示しているが、これを垂直軸周りに180度回転させた形状として、内周側リップ136aも黙示的に示している。
図2(A)に示すように、ピストンリップ136(内周側リップ136a,外周側リップ136b)のリップ端138は、断面三角形形状を有している。このためリップ端138は、ハウジング111の軸Aの方向に沿った面(以下「軸方向面」と呼ぶ)との間に、角度αをなす面(以下「α面」と呼ぶ)と角度βをなす面(以下「β面」と呼ぶ)とを備えている。α面はピストン油圧室137側の面、β面はクラッチ板151側(内周側リップ136aの場合にはキャンセル油圧室173側)の面である。上記軸方向面は、内周側リップ136aのリップ端138の場合には外向き周面113、外周側リップ136bのリップ端138の場合には内向き周面112である。
ピストンリップ136のリップ端138は、ハウジング111の軸方向面に対するα面のなす角度αとβ面のなす角度βとを、
α<β
の関係にする形状を備えている。この関係性は、リップ端138の初期形状における設定である。クラッチ板151の解放時、つまりオイルポート115を介してピストン油圧室137にオイルが導入されることでその内圧が高まる状態ではないときのリップ端138によってもたらされる関係性である。
α<β
の関係にする形状を備えている。この関係性は、リップ端138の初期形状における設定である。クラッチ板151の解放時、つまりオイルポート115を介してピストン油圧室137にオイルが導入されることでその内圧が高まる状態ではないときのリップ端138によってもたらされる関係性である。
図2(B)に示すように、α<βの関係を維持しているとき、リップ端138の面圧分布のピークはβ面側、つまりクラッチ板151側(内周側リップ136aの場合にはキャンセル油圧室173側)に偏る。
図2(A)及び図3(A)に示すように、ピストンリップ136は、その根元部分に薄肉部139を有している。薄肉部139は、ピストンリップ136の根元部分において、クラッチ板151の側(内周側リップ136aの場合にはキャンセル油圧室173側)に設けた凹状の窪み140によって成形されている。薄肉部139はピストンリップ136の根元部分の剛性を低下させる。
図3(A)に示すように、薄肉部139によってピストンリップ136の根元部分の剛性が低下することから、ピストン油圧室137の内圧の高まりに応じて、ピストンリップ136にはリップ端138をピストン油圧室137側に倒す方向のモーメントが生ずる。このモーメントによって、リップ端138はピストン油圧室137側に倒れ込む。
少なくとも複数枚のクラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したとき、角度αとβとは、
α>β
に反転する。
α>β
に反転する。
図3(B)に示すように、角度αとβとがα>βの関係に変化したとき、リップ端138の面圧分布のピークはα面側、つまりピストン油圧室137側に偏る。
(ピストンリップのリップ端の位置)
図3(A)に示すように、ピストンリップ136のリップ端138は、少なくともクラッチ板151が締結されるまでピストン131が変位したときには、ハウジング111の軸Aと直交する面を基準として、ピストンリップ136(内周側リップ136a,外周側リップ136b)の油圧側基部よりもピストン油圧室137側に位置する。
図3(A)に示すように、ピストンリップ136のリップ端138は、少なくともクラッチ板151が締結されるまでピストン131が変位したときには、ハウジング111の軸Aと直交する面を基準として、ピストンリップ136(内周側リップ136a,外周側リップ136b)の油圧側基部よりもピストン油圧室137側に位置する。
図3(A)中、y1はピストンリップ136の油圧側端面の位置、y2はハウジング111に密接するリップ端138の位置、そしてy3はピストンリップ136の油圧側基部の位置をそれぞれ示している。l1は、y2からy1までの距離、つまりリップ端138からピストンリップ136の油圧側端面までの距離を示している。l2は、y3からy1までの距離、つまりピストンリップ136の油圧側基部からピストンリップ136の油圧側端面までの距離を示している。そしてδは、l2からl1を減じた距離を示している。これらの条件のもと、次の式が成立する。
LP=P・(l2−l1)
=P・δ
ただし P:油圧圧力
LP:油圧上昇後のハウジングに対するリップ端の圧力
=P・δ
ただし P:油圧圧力
LP:油圧上昇後のハウジングに対するリップ端の圧力
したがってリップ端138は、P・δの力でハウジング111に押し付けられるため、δが大きいほど押し付け力も大きくなることがわかる。このとき本実施の形態では、
l1<l2
の関係にあるため、ハウジング111に対するリップ端138の押し付け力を増大させることが可能となる。
l1<l2
の関係にあるため、ハウジング111に対するリップ端138の押し付け力を増大させることが可能となる。
(キャンセラーリップのリップ端の角度)
図4(A)は、クラッチ板151を解放しているときのキャンセラーリップ172のリップ端174の形状を示す模式図であり、図4(B)は、そのときの面圧分布図である。図5(A)は、クラッチ板151を締結しているときのキャンセラーリップ172のリップ端174の形状を示す模式図であり、図5(B)は、そのときの面圧分布図である。
図4(A)は、クラッチ板151を解放しているときのキャンセラーリップ172のリップ端174の形状を示す模式図であり、図4(B)は、そのときの面圧分布図である。図5(A)は、クラッチ板151を締結しているときのキャンセラーリップ172のリップ端174の形状を示す模式図であり、図5(B)は、そのときの面圧分布図である。
図4(A)に示すように、キャンセラーリップ172のリップ端174は、断面三角形形状を有している。このためリップ端174は、ピストン131の軸Aの方向に沿った面(以下「軸方向面」と呼ぶ)との間に、角度αをなす面(以下「α面」と呼ぶ)と角度βをなす面(以下「β面」と呼ぶ)とを備えている。α面はキャンセル油圧室173側の面、β面はクラッチ板151側の面である。
キャンセラーリップ172のリップ端174は、ピストン131の軸方向面に対するα面のなす角度αとβ面のなす角度βとを、
α<β
の関係にする形状を備えている。この関係性は、リップ端174の初期形状における設定である。クラッチ板151の解放時、つまりオイルポート115を介してピストン油圧室137にオイルが導入されることで、ピストン油圧室137及びキャンセル油圧室173の内圧が高まる状態ではないときのリップ端174によってもたらされる関係性である。
α<β
の関係にする形状を備えている。この関係性は、リップ端174の初期形状における設定である。クラッチ板151の解放時、つまりオイルポート115を介してピストン油圧室137にオイルが導入されることで、ピストン油圧室137及びキャンセル油圧室173の内圧が高まる状態ではないときのリップ端174によってもたらされる関係性である。
図4(B)に示すように、α<βの関係を維持しているとき、リップ端174の面圧分布のピークはβ面側、つまりクラッチ板151側に偏る。
図4(A)及び図5(A)に示すように、キャンセラーリップ172は、その根元部分に薄肉部175を有している。薄肉部175は、キャンセラーリップ172の根元部分において、クラッチ板151の側に設けた凹状の窪み176によって成形されている。薄肉部175はキャンセラーリップ172の根元部分の剛性を低下させる。
図5(A)に示すように、薄肉部175によってキャンセラーリップ172の根元部分の剛性が低下することから、キャンセル油圧室173の内圧の高まりに応じて、キャンセラーリップ172にはリップ端174をキャンセル油圧室173側に倒す方向のモーメントが生ずる。このモーメントによって、リップ端174はキャンセル油圧室173側に倒れ込む。
少なくとも複数枚のクラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したとき、角度αとβとは、
α>β
に反転する。
α>β
に反転する。
図5(B)に示すように、角度αとβとがα>βの関係に変化したとき、リップ端174の面圧分布のピークはα面側、つまりキャンセル油圧室173側に偏る。
(キャンセラーリップのリップ端の位置)
図5(A)に示すように、キャンセラーリップ172のリップ端174は、少なくともクラッチ板151が締結されるまでピストン131が変位したときには、ピストン131の軸Aと直交する面を基準として、キャンセラーリップ172の油圧側基部よりもキャンセル油圧室173側に位置する。
図5(A)に示すように、キャンセラーリップ172のリップ端174は、少なくともクラッチ板151が締結されるまでピストン131が変位したときには、ピストン131の軸Aと直交する面を基準として、キャンセラーリップ172の油圧側基部よりもキャンセル油圧室173側に位置する。
図5(A)中、y1はキャンセラーリップ172の油圧側端面の位置、y2はピストン131の内周面に密接するリップ端174の位置、そしてy3はキャンセラーリップ172の油圧側基部の位置をそれぞれ示している。l1は、y2からy1までの距離、つまりリップ端174からキャンセラーリップ172の油圧側端面までの距離を示している。l2は、y3からy1までの距離、つまりキャンセラーリップ172の油圧側基部からキャンセラーリップ172の油圧側端面までの距離を示している。そしてδは、l2からl1を減じた距離を示している。これらの条件のもと、次の式が成立する。
LP=P・(l2−l1)
=P・δ
ただし P:油圧圧力
LP:油圧上昇後のピストンの内周面に対するリップ端の圧力
=P・δ
ただし P:油圧圧力
LP:油圧上昇後のピストンの内周面に対するリップ端の圧力
したがってリップ端174は、P・δの力でピストン131の内周面に押し付けられるため、δが大きいほど押し付け力も大きくなることがわかる。このとき本実施の形態では、
l1<l2
の関係にあるため、ピストン131の内周面に対するリップ端174の押し付け力を増大させることが可能となる。
l1<l2
の関係にあるため、ピストン131の内周面に対するリップ端174の押し付け力を増大させることが可能となる。
(作用)
オイルポート115を介してピストン油圧室137に作動オイルが導入されると、ピストン油圧室137の内圧が高まり、油圧の作用でピストン131がクラッチ板151に向けて移動する。移動したピストン131は最初のクラッチ板151aを押圧し、複数枚のクラッチ板151の配置間隔を狭め、最終的にすべてのクラッチ板151を締結させる。ピストン油圧室137から作動オイルを退避させると、ピストン131はリターンスプリング191に付勢され、元の位置に復帰する。これによって複数枚のクラッチ板151が解放される。こうしてクラッチ板151の締結と解放とが行なわれる。
オイルポート115を介してピストン油圧室137に作動オイルが導入されると、ピストン油圧室137の内圧が高まり、油圧の作用でピストン131がクラッチ板151に向けて移動する。移動したピストン131は最初のクラッチ板151aを押圧し、複数枚のクラッチ板151の配置間隔を狭め、最終的にすべてのクラッチ板151を締結させる。ピストン油圧室137から作動オイルを退避させると、ピストン131はリターンスプリング191に付勢され、元の位置に復帰する。これによって複数枚のクラッチ板151が解放される。こうしてクラッチ板151の締結と解放とが行なわれる。
キャンセラー171は、ハウジング111の高速回転時、キャンセル油圧室173内に充填されたオイルによってピストン131にかかる遠心油圧をキャンセルし、リターンスプリング191の作動状態を適正化する。
(ピストンリップの作用)
ピストン131の移動開始動作の直後、つまりピストン油圧室137内の油圧上昇時、自動変速機用ピストンシール101は、ハウジング111とリップ端138との間に良好な潤滑性を生じさせる。このときにはハウジング111の軸方向面に対するリップ端138のα面とβ面とのなす角度が、
α<β
の関係を維持しているので(図2(A)参照)、リップ端138の面圧分布のピークがβ面側に偏っているからである(図2(B)参照)。より詳しくは、相対的に小さい角度αのクサビ作用によって、ハウジング111とα面との間にオイルが浸入しやすくなり、微量のオイルがリップ端138に滲み出て、リップ端138を潤滑する。その結果ハウジング111とピストンリップ136との間の摩擦抵抗が減少し、燃費の向上などの効果を期待することができる。
ピストン131の移動開始動作の直後、つまりピストン油圧室137内の油圧上昇時、自動変速機用ピストンシール101は、ハウジング111とリップ端138との間に良好な潤滑性を生じさせる。このときにはハウジング111の軸方向面に対するリップ端138のα面とβ面とのなす角度が、
α<β
の関係を維持しているので(図2(A)参照)、リップ端138の面圧分布のピークがβ面側に偏っているからである(図2(B)参照)。より詳しくは、相対的に小さい角度αのクサビ作用によって、ハウジング111とα面との間にオイルが浸入しやすくなり、微量のオイルがリップ端138に滲み出て、リップ端138を潤滑する。その結果ハウジング111とピストンリップ136との間の摩擦抵抗が減少し、燃費の向上などの効果を期待することができる。
ピストン油圧室137内の油圧が上昇し、クラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したときには、ハウジング111の軸方向面に対するリップ端138のα面とβ面とのなす角度は、
α>β
に反転する(図3(A)参照)。これによってリップ端138の面圧分布のピークはα面側に偏り(図3(B)参照)、ピストンリップ136からのオイル漏れを生じにくくすることができる。
α>β
に反転する(図3(A)参照)。これによってリップ端138の面圧分布のピークはα面側に偏り(図3(B)参照)、ピストンリップ136からのオイル漏れを生じにくくすることができる。
しかも少なくともクラッチ板151が締結されるまでピストン131が変位した場合、ハウジング111に対するリップ端138の押し付け力が大きくなるので、この面からもピストンリップ136からのオイル漏れを生じにくくすることができる。ハウジング111に対するリップ端138の押し付け力が大きくなるのは、前述したとおり、ハウジング111の軸Aと直交する面を基準として、リップ端138がピストンリップ136の油圧側基部よりもピストン油圧室137側に位置づけられ、上記
LP=P・δ
中のδの値を確保することができるからである。
LP=P・δ
中のδの値を確保することができるからである。
以上の分析から明らかなように、クラッチ板151の解放時には、ピストンリップ136のリップ端138に良好な潤滑性が得られる。クラッチ板151の締結に際しては、ピストン油圧室137の内圧が高まるにしたがい、ピストンリップ136からのオイル漏れが生じにくくなる。したがって本来はトレードオフの関係に立つピストンリップ136のオイル漏れと潤滑性とを両立させることができる。
以上のような基本的な作用効果に加え、本実施の形態の自動変速機用ピストンシール101は、つぎのような作用効果も発揮する。
薄肉部139は、ピストンリップ136の根元部分に設けた凹形状の窪み140によって生成されている。したがって薄肉部139を容易に設けることができる。
ピストンリップ136は、ピストン131の外周側と内周側とに設けられ、ハウジング111内の内向き周面112と、この内向き周面112よりも内周側に位置する外向き周面113とにそれぞれ密接している。したがってピストン131の外周側においても内周側においても、上記ピストンリップ136の基本的な作用効果を得ることができる。
(キャンセラーリップの作用)
ピストン131の移動開始動作の直後、つまりピストン油圧室137及びキャンセル油圧室173内の油圧上昇時、自動変速機用ピストンシール101は、ピストン131の内周面とリップ端174との間に良好な潤滑性を生じさせる。このときにはピストン131の軸方向面に対するリップ端174のα面とβ面とのなす角度が、
α<β
の関係を維持しているので(図4(A)参照)、リップ端174の面圧分布のピークがβ面側に偏っているからである(図4(B)参照)。より詳しくは、相対的に小さい角度αのクサビ作用によって、ピストン131の内周面とα面との間にオイルが浸入しやすくなり、微量のオイルがリップ端174に滲み出て、リップ端174を潤滑する。その結果ピストン131の内周面とキャンセラーリップ172との間の摩擦抵抗が減少し、燃費の向上などの効果を期待することができる。
ピストン131の移動開始動作の直後、つまりピストン油圧室137及びキャンセル油圧室173内の油圧上昇時、自動変速機用ピストンシール101は、ピストン131の内周面とリップ端174との間に良好な潤滑性を生じさせる。このときにはピストン131の軸方向面に対するリップ端174のα面とβ面とのなす角度が、
α<β
の関係を維持しているので(図4(A)参照)、リップ端174の面圧分布のピークがβ面側に偏っているからである(図4(B)参照)。より詳しくは、相対的に小さい角度αのクサビ作用によって、ピストン131の内周面とα面との間にオイルが浸入しやすくなり、微量のオイルがリップ端174に滲み出て、リップ端174を潤滑する。その結果ピストン131の内周面とキャンセラーリップ172との間の摩擦抵抗が減少し、燃費の向上などの効果を期待することができる。
ピストン油圧室137及びキャンセル油圧室173内の油圧が上昇し、クラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したときには、ピストン131の軸方向面に対するリップ端174のα面とβ面とのなす角度は、
α>β
に反転する(図5(A)参照)。これによってリップ端174の面圧分布のピークはα面側に偏り(図5(B)参照)、キャンセラーリップ172からのオイル漏れを生じにくくすることができる。
α>β
に反転する(図5(A)参照)。これによってリップ端174の面圧分布のピークはα面側に偏り(図5(B)参照)、キャンセラーリップ172からのオイル漏れを生じにくくすることができる。
しかも少なくともクラッチ板151が締結されるまでピストン131が変位した場合、ピストン131の内周面に対するリップ端174の押し付け力が大きくなるので、この面からもキャンセラーリップ172からのオイル漏れを生じにくくすることができる。ピストン131の内周面に対するリップ端174の押し付け力が大きくなるのは、前述したとおり、ピストン131の軸Aと直交する面を基準として、リップ端174がキャンセラーリップ172の油圧側基部よりもキャンセル油圧室173側に位置づけられ、上記
LP=P・δ
中のδの値を確保することができるからである。
LP=P・δ
中のδの値を確保することができるからである。
以上の分析から明らかなように、クラッチ板151の解放時には、キャンセラーリップ172のリップ端174に良好な潤滑性が得られる。クラッチ板151の締結に際しては、キャンセル油圧室173の内圧が高まるにしたがい、キャンセラーリップ172からのオイル漏れが生じにくくなる。したがって本来はトレードオフの関係に立つキャンセラーリップ172のオイル漏れと潤滑性とを両立させることができる。
以上のような基本的な作用効果に加え、本実施の形態の自動変速機用ピストンシール101は、薄肉部175を容易に設けることができるという作用効果も発揮する。薄肉部175は、キャンセラーリップ172の根元部分に設けた凹形状の窪み176によって生成されているからである。
(変形例)
実施に際しては、各種の変形や変更が許容される。
実施に際しては、各種の変形や変更が許容される。
(ピストンリップについて)
例えば本実施の形態の薄肉部139は、クラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したとき、上記角度α及びβがα>βに反転するようにピストンリップ136を変形させるように構成したが、これは必須ではない。薄肉部139は、ピストン油圧室137の内圧の高まりに応じてリップ端138をピストン油圧室137側に倒す方向のモーメントをピストンリップ136に生じさせることができればよい。このとき上記角度α及びβは、初期状態よりもαが大きくなりさえすればα<βのままであってもよく、あるいはα=βになるようにしてもよい。
例えば本実施の形態の薄肉部139は、クラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したとき、上記角度α及びβがα>βに反転するようにピストンリップ136を変形させるように構成したが、これは必須ではない。薄肉部139は、ピストン油圧室137の内圧の高まりに応じてリップ端138をピストン油圧室137側に倒す方向のモーメントをピストンリップ136に生じさせることができればよい。このとき上記角度α及びβは、初期状態よりもαが大きくなりさえすればα<βのままであってもよく、あるいはα=βになるようにしてもよい。
薄肉部139は、ピストンリップ136のピストン油圧室137側の根元部分に設けた窪みによって生成するようにしてもよい。別の実施の形態としては、窪みという形状上の工夫にとどまらず、複数個の穴などの別の形状上の工夫、あるいは硬度の異なる材料の選定などによって薄肉部139を生成するようにしてもよい。
リップ端138に設けた上記特有の角度上及び位置上の工夫は、ピストン131の外周側と内周側とのそれぞれのピストンリップ136に適用するのみならず、外周側又は内周側のいずれか一方に適用するようにしてもよい。
(キャンセラーリップについて)
例えば本実施の形態の薄肉部175は、クラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したとき、上記角度α及びβがα>βに反転するようにキャンセラーリップ172を変形させるように構成したが、これは必須ではない。薄肉部175は、キャンセル油圧室173の内圧の高まりに応じてリップ端174をキャンセル油圧室173側に倒す方向のモーメントをキャンセラーリップ172に生じさせることができればよい。このとき上記角度α及びβは、初期状態よりもαが大きくなりさえすればα<βのままであってもよく、あるいはα=βになるようにしてもよい。
例えば本実施の形態の薄肉部175は、クラッチ板151を締結する位置までピストン131が移動したとき、上記角度α及びβがα>βに反転するようにキャンセラーリップ172を変形させるように構成したが、これは必須ではない。薄肉部175は、キャンセル油圧室173の内圧の高まりに応じてリップ端174をキャンセル油圧室173側に倒す方向のモーメントをキャンセラーリップ172に生じさせることができればよい。このとき上記角度α及びβは、初期状態よりもαが大きくなりさえすればα<βのままであってもよく、あるいはα=βになるようにしてもよい。
薄肉部175は、キャンセラーリップ172のキャンセル油圧室173側の根元部分に設けた窪みによって生成するようにしてもよい。別の実施の形態としては、窪みという形状上の工夫にとどまらず、複数個の穴などの別の形状上の工夫、あるいは硬度の異なる材料の選定などによって薄肉部139を生成するようにしてもよい。
その他、あらゆる変形や変更が許容される。
101 自動変速機用ピストンシール
111 ハウジング
112 内向き周面
113 外向き周面
114 シールワッシャ
115 オイルポート
131 ピストン
132 貫通孔
133 内筒部
133a 屈曲部
134 円環部
134a 内周部
134b 隆起部
135 外筒部
135a フランジ
136 ピストンリップ
136a 内周側リップ
136b 外周側リップ
137 ピストン油圧室
138 リップ端
139 薄肉部
140 窪み
151 クラッチ板
151a 最初のクラッチ板
171 キャンセラー
172 キャンセラーリップ
173 キャンセル油圧室
174 リップ端
175 薄肉部
176 窪み
191 リターンスプリング(付勢部)
111 ハウジング
112 内向き周面
113 外向き周面
114 シールワッシャ
115 オイルポート
131 ピストン
132 貫通孔
133 内筒部
133a 屈曲部
134 円環部
134a 内周部
134b 隆起部
135 外筒部
135a フランジ
136 ピストンリップ
136a 内周側リップ
136b 外周側リップ
137 ピストン油圧室
138 リップ端
139 薄肉部
140 窪み
151 クラッチ板
151a 最初のクラッチ板
171 キャンセラー
172 キャンセラーリップ
173 キャンセル油圧室
174 リップ端
175 薄肉部
176 窪み
191 リターンスプリング(付勢部)
Claims (9)
- 回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、往復動することによって複数枚のクラッチ板の締結と解放とを実現し、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、
前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、
前記ピストンを前記クラッチ板から離間する方向に付勢する付勢部と、
前記ハウジングの軸方向に沿った面とのなす接触角度が前記ピストン油圧室側よりもこのピストン油圧室と反対側の方が大きい初期形状を有する前記ピストンリップのリップ端と、
前記ピストンリップの根元部分に設けられ、前記ピストン油圧室の内圧の高まりに応じて前記リップ端を前記ピストン油圧室側に倒す方向のモーメントを前記ピストンリップに生じさせる薄肉部と、
を備えることを特徴とする自動変速機用ピストンシール。 - 前記リップ端は、少なくとも前記クラッチ板が締結されるまで前記ピストンが変位したときには、前記ハウジングの軸と直交する面を基準として、前記ピストンリップの油圧側基部よりも前記ピストン油圧室側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機用ピストンシール。 - 前記薄肉部は、少なくとも前記クラッチ板が締結されるまで前記ピストンが変位したときには、前記リップ端の前記ハウジングの軸方向に沿った面とのなす接触角度を、前記ピストン油圧室側よりもこのピストン油圧室と反対側の方が小さくなるように前記ピストンリップを変形させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動変速機用ピストンシール。 - 前記薄肉部は、前記ピストンリップの根元部分に設けた凹形状の窪みによって生成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の自動変速機用ピストンシール。 - 前記ピストンリップは、前記ピストンの外周側と内周側とに設けられ、前記ハウジング内の内向き周面と、この内向き周面よりも内周側に位置する外向き周面とにそれぞれ密接している、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の自動変速機用ピストンシール。 - 回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、往復動することによって複数枚のクラッチ板の締結と解放とを実現し、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、
前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、
前記ピストンを前記クラッチ板から離間する方向に付勢する付勢部と、
前記ピストンの軸方向に沿った面とのなす接触角度が前記キャンセル油圧室側よりもこのキャンセル油圧室と反対側の方が大きい初期形状を有する前記キャンセラーリップのリップ端と、
前記キャンセラーリップの根元部分に設けられ、前記キャンセル油圧室の内圧の高まりに応じて前記リップ端を前記キャンセル油圧室側に倒す方向のモーメントを前記キャンセラーリップに生じさせる薄肉部と、
を備えることを特徴とする自動変速機用ピストンシール。 - 前記リップ端は、少なくとも前記クラッチ板が締結されるまで前記ピストンが変位したときには、前記ピストンの軸と直交する面を基準として、前記キャンセラーリップの油圧側基部よりも前記キャンセル油圧室側に位置する、
ことを特徴とする請求項6に記載の自動変速機用ピストンシール。 - 前記薄肉部は、少なくとも前記クラッチ板が締結されるまで前記ピストンが変位したときには、前記リップ端の前記ピストンの軸方向に沿った面とのなす接触角度を、前記キャンセル油圧室側よりもこのキャンセル油圧室と反対側の方が小さくなるように前記キャンセラーリップを変形させる、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の自動変速機用ピストンシール。 - 前記薄肉部は、前記キャンセラーリップの根元部分に設けた凹形状の窪みによって生成されている、
ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一に記載の自動変速機用ピストンシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018211479A JP2020076478A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 自動変速機用ピストンシール |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018211479A JP2020076478A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 自動変速機用ピストンシール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020076478A true JP2020076478A (ja) | 2020-05-21 |
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JP2018211479A Pending JP2020076478A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 自動変速機用ピストンシール |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020076478A (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010180972A (ja) * | 2009-02-06 | 2010-08-19 | Nok Corp | シール構造 |
JP2014228089A (ja) * | 2013-05-24 | 2014-12-08 | Nok株式会社 | ピストン一体シール |
-
2018
- 2018-11-09 JP JP2018211479A patent/JP2020076478A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010180972A (ja) * | 2009-02-06 | 2010-08-19 | Nok Corp | シール構造 |
JP2014228089A (ja) * | 2013-05-24 | 2014-12-08 | Nok株式会社 | ピストン一体シール |
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