JP2020076473A - ベルト式無段変速機の振動抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトの横方向の振動を効果的に防止もしくは抑制することのできる装置を提供する。【解決手段】駆動プーリ1と従動プーリ2とが、それぞれの回転中心軸線O1,O2を平行にしかつ所定の間隔を空けて配置され、駆動プーリ1と従動プーリ2との間でトルクを伝達するベルト3がベルト巻掛け溝4,5に巻き掛けられ、ベルト3のうち駆動プーリ1と前記従動プーリ2との間に位置する部分が弦部14とされているベルト式無段変速機CVTの振動抑制装置であって、圧縮側弦部14に回転中心軸線の方向の荷重を掛ける荷重付加機構16を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、プーリに対するベルトの巻き掛け半径を変化させて変速比を連続的に変化させるように構成された無段変速機に関し、特にそのベルトの振動を抑制する装置に関するものである。
この種の振動抑制装置の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された装置は、いわゆるプッシュタイプのベルトを使用した無段変速機における振動抑制装置であり、その無段変速機は、エレメントもしくはブロックと称される多数の金属片を、それぞれの姿勢を揃えて環状に配置し、それらの金属片をフープもしくはリングと称される金属帯で結束してベルトを構成し、そのベルトを、溝幅を変更可能な一対のプーリに巻き掛けて構成されている。駆動プーリから押し出された金属片は、ベルトの走行方向で前方側の金属片を押し、従動プーリに挟み込まれている金属片がその押圧力で押されて従動プーリを回転させ、こうして駆動プーリから従動プーリにトルクが伝達される。
各プーリに対する金属片の挟み込みや各プーリからの金属片の離脱(脱出)は、各金属片が互いに独立していることにより、間欠的に生じ、また駆動プーリに入力されるトルクが不可避的に変動することがあるので、ベルトが振動する場合がある。具体的には、ベルトの各プーリに巻き掛かっていないいわゆる弦部のうち金属片に押圧力(圧縮力)が掛かっている圧縮サイドで振動が生じる。このような振動は、騒音や異音の原因となるだけでなく、耐久性の低下、あるいは動力伝達効率の低下の要因になる。そこで特許文献1に記載された装置では、圧縮サイドの弦部の外側(ベルトの半径方向で外側)に、弦部に対向して磁力発生装置を配置し、弦部が振動した場合に、弦部に対して磁気吸引力を作用させている。その磁気吸引力は、磁力発生装置から離れる方向への弦部の振動に対して反力として作用するから、弦部の振動が抑制される。
ベルトが巻き掛けられているプーリの溝幅は、プーリを構成している一対のシーブのうち、一方のシーブを軸線方向に対して固定し、他方のシーブを当該固定されているシーブに対して接近させ、あるいは離隔させて変化させるようになっている。したがって、各プーリにおけるベルト溝の中心(軸線方向での中心)は、変速比を変化させることに伴って軸線方向に変位し、しかもその変位の方向は、駆動プーリと従動プーリとでは反対方向になる。そのため、各プーリにおけるベルト巻き掛け半径が同じになる変速比が「1」以外の状態では、各プーリにおけるベルト溝の中心が軸線方向にずれるいわゆる芯ずれが生じ、ベルトは斜めに捻れた状態で各プーリに巻き掛かる。この状態ではベルトには、横方向(弦部の走行面上でプーリの軸線の方向)の荷重が掛かり、その荷重がベルトの振動に伴って変化するので、ベルトは横方向にも大きく振動する。上述した特許文献1に記載された装置は、弦部に対してその垂直方向(弦部の走行面に垂直な方向)に磁気吸引力を作用させるように構成されているので、弦部の横方向の振動に対しては特には制振力を生じさせることができない。すなわち、従来では、弦部の横方向の振動を抑制する装置がなく、ベルト式無段変速機における騒音や異音の防止、あるいは耐久性や動力伝達効率の向上などの点で新たな技術の開発が必要であった。
本発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、ベルトの横方向の振動を効果的に防止もしくは抑制することのできる装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明は、ベルト巻掛け溝の溝幅を変更可能な駆動プーリと従動プーリとが、それぞれの回転中心軸線を平行にしかつ前記回転中心軸線に対して垂直な方向に所定の間隔を空けて配置され、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間でトルクを伝達するベルトが前記ベルト巻掛け溝に巻き掛けられ、前記ベルトのうち前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に位置する部分が弦部とされているベルト式無段変速機の振動抑制装置において、前記弦部のうち、前記駆動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝から送り出される箇所と前記従動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝に進入する箇所との間の圧縮側弦部に、前記回転中心軸線の方向の荷重を掛ける荷重付加機構を備えていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記荷重付加機構は、前記駆動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝の中心位置と前記従動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝の中心とが前記回転中心軸線の方向に相対的にずれている場合に前記荷重を前記圧縮側弦部に作用させるように構成されていてよい。
また、本発明においては、前記圧縮側弦部の前記回転中心軸線の方向の振動を検出する検出手段を更に備え、前記荷重付加機構は、前記検出手段が前記振動を検出した場合に、前記荷重を前記圧縮側弦部に作用させるように構成されていてよい。
本発明においては、前記荷重付加機構は、前記圧縮側弦部を吸引する磁力を発生する磁力発生装置を備えていてよい。
本発明においては、圧縮側弦部に回転中心軸線と平行な方向(以下、横方向とする)の振動が生じた場合、荷重付加機構による荷重は、圧縮側弦部を横方向に交番的に変位させる力のうちいずれか一方向の力に対する反力として圧縮側弦部に作用する。したがって、その荷重は横方向の振動に対する制振力となるので、ベルトの横方向振動を効果的に抑制することができ、ひいては騒音や異音、耐久性の低下、動力伝達効率の低下などを回避もしくは抑制することができる。
また、本発明では、駆動プーリと従動プーリとにいわゆる芯ずれが生じている場合に、前記荷重付加機構がベルトの圧縮側弦部に横方向の荷重を作用させるように構成することにより、不必要な荷重の付加を回避して、摩擦などによる損失を低減することができる。
同様に、本発明では、横方向の振動が検出されたことに伴って荷重付加機構がベルトに横方向の荷重を作用させるように構成すれば、不必要な荷重の付加を回避して、摩擦などによる損失を低減することができる。
そして、本発明では、ベルトに作用させる横方向の荷重を磁気力とすることにより、圧縮側弦部での摩擦を回避して、動力損失やベルトの摩耗などを回避もしくは抑制することができる。
以下、本発明を実施例を参照して説明する。図1は本発明で対象とする無段変速機CVTの一例を示す正面図であり、図2はそのII−II線に沿う断面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。一対のプーリ1,2が、それぞれの回転中心軸線O1,O2を互いに平行にして、かつその回転中心軸線O1,O2に対して垂直な方向に所定の間隔を空けて配置されている。これらのプーリ1,2の一方は、エンジンなどの駆動力源からトルクが伝達される駆動プーリ1であり、他方は、その駆動プーリ1からトルクが伝達されて回転する従動プーリ2である。また、各プーリ1,2はベルト3が巻き掛けられるベルト溝(ベルト巻掛け溝)4,5を有し、それらのベルト溝4,5の溝幅を変更して、各プーリ1,2の回転数比である変速比を連続的に変化させるように構成されている。具体的に説明すると、各プーリ1,2は、軸線方向に対して固定された固定シーブ6,7と、固定シーブ6,7に対して軸線方向に移動する可動シーブ8,9とを有し、それらのシーブ6,7,8,9の軸線方向で互いに対向する面がテーパ状に形成されている。それらのテーパ状の面の間の部分がベルト溝4,5であり、したがって固定シーブ6,7と可動シーブ8,9との間隔に応じてベルト溝4,5の溝幅が連続的に増大し、あるいは減少するようになっている。なお、駆動プーリ1における固定シーブ6の半径方向の延長位置に従動プーリ2における可動シーブ9が配置され、駆動プーリ1における可動シーブ8の半径方向の延長位置に従動プーリ2における固定シーブ7が配置されている。
ベルト3は、いわゆるプッシュベルトであって、多数の薄い金属片(エレメントもしくはブロック)10を、姿勢を揃えて環状に配列し、かつリング(もしくはフープ)11によって結束して構成されており、従来知られている構成のものである。その金属片10の一例を図2に示してあり、左右の側面は、各プーリ1,2におけるテーパ状の面と同様に傾斜したフランク面となっており、またリング11を接触させて結束するためのサドル面12が設けられている。このサドル面12に対向してフック部13が設けられている。したがって、リング11を配置する箇所は、サドル面12とフック部13とによるスリット状の部分となっている。このフック部13は、金属片10を図2の上側に引き上げるために、リング11を係合させる部分である。すなわち、金属片10は各プーリ1,2のベルト溝4,5の内部に強く挟み込まれるから、各プーリ1,2から離脱させるためには、リング11によって金属片10を各ベルト溝4,5から引き抜く必要があり、そのためにリング11が引っ掛かるフック部13が設けられている。
上述したように金属片10が各プーリ1,2のベルト溝4,5に挟み込まれて各プーリ1,2に直接接触し、したがって各金属片10がトルクを伝達する。すなわち、駆動プーリ1から送り出された(押し出された)金属片10がそれより前方の金属片10を押し、以下、順次前方側の金属片10を後方側の金属片10が押す。そして、従動プーリ2のベルト溝5に挟み込まれた金属片10は、後方側から押されてくる金属片10に押される。ベルト溝5に挟み込まれている金属片10は従動プーリ2と実質的に一体となっているので、結局、駆動プーリ1側から順次押されてくる金属片10は、ベルト溝5に挟み込まれている金属片10を介して従動プーリ2を円周方向に押して回転させる。すなわち、従動プーリ2にトルクを伝達する。各プーリ1,2の間に張り渡されているベルト3の弦部のうち、このように金属片10が押し合っている側の弦部が圧縮側弦部14である。これに対して、従動プーリ2から送り出された金属片10には、従動プーリ2から積極的には押圧力が作用しないので、リング11と共に進行する。したがって、従動プーリ2から押し出されて駆動プーリ1に到る間の弦部は、いわゆるルーズ側弦部15となる。
図1には、駆動プーリ1の回転数に対して従動プーリ2の回転数が低回転数となる状態、すなわちこれらの回転数の比である変速比が「1」より大きい減速状態を示してある。この減速状態では、駆動プーリ1における可動シーブ8が固定シーブ6に対して後退し、ベルト溝4の溝幅が大きくなり、したがってベルト3の巻き掛け半径が小さくなっている。これに対して従動プーリ2における可動シーブ9が固定シーブ7に接近して、ベルト溝5の溝幅が小さくなり、したがってベルト3の巻き掛け半径が大きくなっている。そのため、駆動プーリ1におけるベルト溝4の中心位置(鎖線Aで示す位置)に対して、従動プーリ2におけるベルト溝5の中心位置(鎖線Bで示す位置)が、回転中心軸線O1,O2と平行な方向にずれている。そのずれ量(芯ずれ)を図1に符号σで示してある。
このような芯ずれが生じている場合、ベルト3における金属片10の圧縮力の方向と、駆動プーリ1からの入力の方向(金属片10の進行方向)とに角度差が生じ、これが原因となって、ベルト3(特に圧縮側弦部14)には横力(軸方向力)が作用する。ここで、横力(軸方向力)とは、前記回転中心軸線O1,O2と平行な方向の分力(荷重)である。図4は、その横力F1の解析図であり、金属片10の圧縮力Fpと、駆動プーリ1からの入力Fiとの成す角度をθとすると、
F1=Fp×tanθ
であり、その角度θは、芯ずれσと各プーリ1,2の軸間距離Lとによって
θ=tan−1(σ/L)
で表される。したがって、駆動プーリ1に入力されるトルクや駆動プーリ1から従動プーリ2に伝達されるトルクが変動すると、上記の横力F1も変動するから、トルクの振動によってベルト3が横方向(前記回転中心軸線O1,O2と平行な方向)に振動する。
F1=Fp×tanθ
であり、その角度θは、芯ずれσと各プーリ1,2の軸間距離Lとによって
θ=tan−1(σ/L)
で表される。したがって、駆動プーリ1に入力されるトルクや駆動プーリ1から従動プーリ2に伝達されるトルクが変動すると、上記の横力F1も変動するから、トルクの振動によってベルト3が横方向(前記回転中心軸線O1,O2と平行な方向)に振動する。
このようなベルト3の横方向の振動を抑制するために、本発明に係る装置は、荷重付加機構を備えている。図1に示す例では、圧縮側弦部14を上記の芯ずれを是正する方向に押圧するローラ16が荷重付加機構として設けられている。このローラ16は、圧縮側弦部14におけるベルト3の走行面に対して垂直な軸線を中心に回転するように配置されており、適宜の治具17によって回転可能に保持され、かつ圧縮側弦部14に荷重を掛けるように構成されている。そのローラ16の配置位置について更に説明すると、ローラ16は、ベルト3の横方向の振動を抑制するためのものであるから、横方向の振動の腹に相当する箇所に配置されていることが好ましい。一例として、圧縮側弦部14の走行方向での中央部にローラ16が配置されていることが好ましい。また、上述した芯ずれσは、最小変速比および最大変速比で最も大きくなり、ローラ16はそのような最大の芯ずれσを許容する位置に配置されている必要がある。したがって、ローラ16を固定するとした場合、芯ずれσが生じていない変速比が「1」の状態では、ベルト3(圧縮側弦部14)に接触せず、芯ずれσが生じた場合に初めてベルト3(圧縮側弦部14)に接触する位置にローラ16が配置されていることが好ましい。なお、治具17に適宜の駆動機構を組み込み、その駆動機構によってローラ16を前記回転中心軸線O1,O2の方向に移動させて、ローラ16をベルト3の側面(圧縮側弦部14の側面)に常時接触させるように構成してもよい。
上述したように構成された本発明に係る振動抑制装置では、ベルト3(特にその圧縮側弦部14)に横方向の振動が生じた場合、圧縮側弦部14にはローラ16から荷重が負荷されてローラ16側への振動が規制される。その結果、ベルト3の横方向の振動が抑制される。また、ローラ16はこれが接触している圧縮側弦部14の走行と共に回転するから両者の接触箇所での摩擦が最小に抑えられており、動力損失あるいは動力の伝達効率の低下が問題となることはない。
なお、芯ずれの方向は、変速比に応じて反対になる。図5は、変速比と芯ずれσとの関係の一例を示しており、変速比が「1」の近辺では芯ずれσが正の値になり、変速比がそれ以上に大きい場合および小さい場合に、芯ずれσが負の値になる。また、横方向の振動による圧縮側弦部14の変位は左右両側に向けて生じる。したがって、本発明における荷重付加機構としての前記ローラ16は、ベルト3を挟んだ両側に設けてもよい。
つぎに本発明の他の実施例について図6および図7を参照して説明する。図6および図7に示す例は、ベルト3の振動が生じた場合にベルト3に対して荷重付加機構によって制振のための荷重を付加するように構成した例である。荷重付加機構としてのローラ16は、位置調整用のアクチュエータ18に取り付けられている。このアクチュエータ18は、電気的に駆動されてローラ16を前述した回転中心軸線O1,O2の方向に前後動させるように構成されている。
一方、ベルト3の振動を各プーリ1,2の回転変動によって検出する検出手段として、回転角センサ19,20が設けられている。これらの回転角センサ19,20は、電気的あるいは光学的に各プーリ1,2の回転角を検出して信号を出力する公知のセンサであってよく、一方の回転角センサ19は駆動プーリ1の回転角を検出してコントローラ21に検出信号を出力し、他方の回転角センサ20は従動プーリ2の回転角を検出してコントローラ21に検出信号を出力するようになっている。コントローラ21は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成され、入力された信号に基づいて各プーリ1,2の回転数や回転角度、各プーリ1,2の回転角度の相違、回転数の変化の状態などを演算して求め、さらにはその演算結果に基づいて各プーリ1,2の回転変動やベルト3の横方向の振動を判定するように構成されている。さらに、コントローラ21は、振動や回転変動を判定あるいは検出した場合に、上記のアクチュエータ18に制御指令信号を出力して、ローラ16をベルト3の圧縮側弦部14に向けて移動させ、あるいは圧縮側弦部14の側面にローラ16を接触させるように構成されている。
図6および図7に示すように構成した実施例では、ベルト3に横方向の振動が生じていない場合、ローラ16はアクチュエータ18によって、圧縮側弦部14の側面から離隔するように後退させられる。したがって、ベルト3とローラ16との接触による摩擦やローラ16を連れ回すことなどによる損失が生じないので、動力伝達効率の低下や耐久性の低下などを回避もしくは抑制することができる。
ベルト3の横方向の振動を抑制するための荷重は、圧縮側弦部14を横方向に押圧する荷重以外に、横方向に引っ張る荷重であってもよい。図8および図9に示す実施例は、圧縮側弦部14を磁力によって横方向に引っ張るように構成した例である。図8および図9において、前述したローラ16が配置されていた位置と同様の位置に、磁力発生装置22が設けられている。その磁力発生装置22は例えば通電されることにより磁力を発生するヨークおよび電磁コイルによって構成されており、前述した金属片10がスチールなどの磁性のある金属によって構成されていることにより、ベルト3の圧縮側弦部14を磁気的に吸引して横方向の荷重を圧縮側弦部14に付加するようになっている。
この磁力発生装置22への通電および電流の遮断は、前述したコントローラ21によって行うように構成することができる。すなわち、コントローラ21がベルト3の横方向の振動あるいはそれに伴う回転変動を判定した場合に、磁力発生装置22に通電して磁力を発生させ、ベルト3の圧縮側弦部14に横方向の荷重を付加するように構成することができる。このような構成であれば、ベルト3の横方向の振動を効果的に抑制することができ、またベルト3の振動やそれに伴う回転変動が生じていない場合には、磁力発生装置22に通電しないので、無駄にエネルギを消費することを回避できる。さらに、荷重付加機構として上記の磁力発生装置22を採用すれば、ベルト3に非接触で横方向の荷重を付加できるので、摩擦やそれに伴う動力損失あるいは耐久性の低下などを回避もしくは抑制することができる。
ベルト3の振動を検出し、その検出結果に基づいて制振を行うように構成した他の例を説明する。図10ないし図13はその例を示しており、圧縮側弦部14の外側(ベルト3の半径方向で外側)と内側(ベルト3の半径方向で内側)とに、圧縮側弦部14までの距離を電磁気的あるいは光学的に検出するギャップセンサ23,24が設けられている(図11参照)。外側のギャップセンサ23は、図12に示すように、金属片10のうち外側に凸となっている部分の頂部に向けて配置されている。したがって、このギャップセンサ23と圧縮側弦部14との距離(間隔)は、圧縮側弦部14がベルト3の半径方向で内外に向けて振動することにより変化し、それだけでなく、圧縮側弦部14が横方向に振動した場合には金属片10の凸となっている部分の頂部がギャップセンサ23の正面から外れるために、ギャップセンサ23と圧縮側弦部14との距離(間隔)が変化する。したがって、外側のギャップセンサ23によって圧縮側弦部14の内外方向での振動(仮に垂直方向の振動とする)だけでなく、横方向の振動を検出することができる。
他方、内側のギャップセンサ24は、図12に示すように、金属片10のうち平坦な部分に向けて配置されている。したがって内側のギャップセンサ24の検出値は、圧縮側弦部14が垂直方向に振動した場合に変化し、圧縮側弦部14が横方向に振動した場合にはギャップセンサ24と金属片10のうちの平坦部分との距離(間隔)が変化しないので、検出値に変化が生じない。すなわち、内側のギャップセンサ24は垂直方向の振動を検出する。そして、各ギャップセンサ23,24はコントローラ21に接続されている。
そして、図13に示すように、垂直方向の振動を抑制するための磁力を発生する磁力発生装置25が圧縮側弦部14にベルト3の半径方向において対向するように配置されている。この磁力発生装置25も前述した横方向の振動を抑制するための磁力発生装置22と同様にコントローラ21によって制御されるように構成されている。
駆動プーリ1から従動プーリ2にベルト3を介してトルクを伝達している過程でベルト3に振動が生じると、いずれかのギャップセンサ23,24の検出値(もしくは検出信号)が振動に応じて変化する。例えば両方のギャップセンサ23,24の検出値が所定以上に変化すると、圧縮側弦部14に垂直方向の振動が生じ、あるいは垂直方向と横方向との両方の方向の振動が生じていることになる。これに対して外側のギャップセンサ23の検出値が所定値以上に変化し、内側のギャップセンサ24の検出値が所定値以上には変化しない場合には、圧縮側弦部14が横方向に振動していることになる。このようにして各ギャップセンサ23,24によって振動のモードが判別される。
両方のギャップセンサ23,24が振動を検出している場合には、横方向の振動と垂直方向の振動とが生じていると考えられるので、上述した2つの磁力発生装置22,25に通電して各磁力発生装置22,25によってベルト3の圧縮側弦部14を磁気吸引する。横方向の振動については、前述したように、圧縮側弦部14の側面側に配置してある磁力発生装置22の磁気吸引力が制振力として作用することにより、その振動が抑制される。また同様に、垂直方向の振動については、圧縮側弦部14がベルト3の内周側に撓むことを阻止するように他方の磁力発生装置25の磁気吸引力が作用するので、その振動が抑制される。なお、横方向の振動の起振力が垂直方向の振動の起振力より大きいので、そのように起振力に対応させて、横方向の振動を抑制するための磁力発生装置22の電磁力を、垂直方向の振動を抑制するための磁力発生装置25の電磁力より大きくする。
また、外側のギャップセンサ23のみが検出信号を出力している場合、言い換えれば、外側のギャップセンサ23の検出信号が所定値以上でありかつ内側のギャップセンサ24の検出信号が所定値未満の場合、圧縮側弦部14が横方向に振動していることになる。したがってこの場合、圧縮側弦部14の側面側に配置されている磁力発生装置22のみに通電して電磁力を発生させる。その結果、圧縮側弦部14が磁力発生装置22側に吸引されて横方向の振動が抑制される。なお、いずれのギャップセンサ23,24も検出信号を出力していない場合には、各磁力発生装置22,25に対する通電は止められる。
このように図10ないし図13に示す実施例では、振動のモードに合わせて、本発明の荷重付加装置に相当する各磁力発生装置22,25を動作させることができるので、不必要に磁力を発生させたり、ベルト3に荷重を掛けたりすることを回避することができる。
上述した図10ないし図13に示す実施例は、ベルト3の振動のモードが横方向の振動と垂直方向の振動との2つのモードであることに合わせて、ギャップセンサ23,24と磁力発生装置22,25とをそれぞれ2つ設けた例であるが、2つのギャップセンサ23,24は同じ機能のものであり、また2つの磁力発生装置22,25は同じ機能のものであるから、1つのギャップセンサ(検出手段)および1つの磁力発生装置(荷重付加機構)で、横方向の振動と垂直方向の振動とを検出し、かつ抑制することができる。その例を図14に示してある。ここに示す例は、1つのギャップセンサSと1つの磁力発生装置(荷重付加機構)Mとを、圧縮側弦部14にベルト3の半径方向で正対する位置(ベルト3の半径方向で外側の位置もしくは内側の位置)と圧縮側弦部14の側面に正対する位置とに移動させるように構成された例である。圧縮側弦部14をベルト3の半径方向で外側で跨ぐガイドレール30が設けられており、そのガイドレール30に、ギャップセンサS用の電動スライダ31と磁力発生装置M用の電動スライダ32とが係合している。
ガイドレール30は、図14では省略してあるが、正面側(ベルト3の走行方向で前方側)と裏面側(ベルト3の走行方向で後ろ側)とにガイド面を有し、一方のガイド面にギャップセンサS用の電動スライダ31が係合し、その電動スライダ31にギャップセンサSが取り付けられている。また、他方のガイド面に磁力発生装置M用の電動スライダ32が係合し、その電動スライダ32に磁力発生装置Mが取り付けられている。なお、図14では、簡略化するために、一方のガイド面に各電動スライダ31,32が係合しているように記載してある。さらに、ガイドレール30は、図14に示すように、圧縮側弦部14における金属片10の頂部の上方位置と、圧縮側弦部14の側面に対向する位置とを滑らかに結んだ曲線状に形成されている。これらガイドレール30と各電動スライダ31,32とが、ギャップセンサS(あるいは検出手段)や磁力発生装置M(あるいは荷重付加装置)の移動手段を構成している。
ギャップセンサSを図15に示すように金属片10の頂部側に位置させて金属片10に正対させた場合には、圧縮側弦部14が横方向および垂直方向のいずれの方向に振動しても、ギャップセンサSの検出値が所定値以上になり、その振動を検出することができる。これに対して、ギャップセンサSを圧縮側弦部14の側面側に位置させてその側面に正対させた場合、その側面がある程度の面積の平坦部分を有しているから、圧縮側弦部14が垂直方向に振動しても検出値が所定値を超えることがなく、したがって垂直方向の振動を検出しない。これに対して圧縮側弦部14が横方向に振動するとその側面とギャップセンサSとの距離(間隔)が変化するので、ギャップセンサSの検出値が所定値を超え、したがって横方向の振動を検出できる。このようにギャップセンサSの位置を適宜に変更することにより、横方向の振動と垂直方向の振動とのいずれも検出することができる。
これと同様に、磁力発生装置Mを図16に示すように、ベルト3の半径方向で外側で圧縮側弦部14に正対する位置に移動させ、ここで磁力を発生させれば、前述した例と同様に、圧縮側弦部14の垂直方向の振動を抑制することができる。また、磁力発生装置Mを圧縮側弦部14の側面に正対する位置に移動させ、ここで磁力を発生させれば、前述した例と同様に、圧縮側弦部14の横方向の振動を抑制することができる。磁力発生装置Mの位置を、上記のギャップセンサSで検出した振動のモードに応じて選択することにより、上述した実施例と同様に、圧縮側弦部14の横方向の振動および垂直方向の振動を抑制することができる。なお、ギャップセンサSおよび磁力発生装置Mの位置を変更するための電動スライダ31,32のガイドレール30に沿った移動は、コントローラ21によって制御する。
なお、本発明は上述した各実施例で示した構成に限られないのであって、各実施例を適宜に組み合わせた構成としてもよく、また本発明の目的の範囲で適宜に変更して実施することができる。
1…駆動プーリ、 2…従動プーリ、 3…ベルト、 4,5…ベルト溝、 6,7…固定シーブ、 8,9…可動シーブ、 10…金属片、 11…リング、 12…サドル面、 13…フック部、 14…圧縮側弦部、 15…ルーズ側弦部、 16…ローラ、 17…治具、 18…アクチュエータ、 19,20…回転角センサ、 21…コントローラ、 22,25…磁力発生装置、 23,24…ギャップセンサ、 30…ガイドレール、 31,32…電動スライダ、 CVT…無段変速機、 M…磁力発生装置、 O1,O2…回転中心軸線、 S…ギャップセンサ。
Claims (4)
- ベルト巻掛け溝の溝幅を変更可能な駆動プーリと従動プーリとが、それぞれの回転中心軸線を平行にしかつ前記回転中心軸線に対して垂直な方向に所定の間隔を空けて配置され、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間でトルクを伝達するベルトが前記ベルト巻掛け溝に巻き掛けられ、前記ベルトのうち前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に位置する部分が弦部とされているベルト式無段変速機の振動抑制装置において、
前記弦部のうち、前記駆動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝から送り出される箇所と前記従動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝に進入する箇所との間の圧縮側弦部に、前記回転中心軸線の方向の荷重を掛ける荷重付加機構を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の振動抑制装置。 - 請求項1に記載のベルト式無段変速機の振動抑制装置において、
前記荷重付加機構は、前記駆動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝の中心位置と前記従動プーリにおける前記ベルト巻掛け溝の中心とが前記回転中心軸線の方向に相対的にずれている場合に前記荷重を前記圧縮側弦部に作用させるように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機の振動抑制装置。 - 請求項1または2に記載のベルト式無段変速機の振動抑制装置において、
前記圧縮側弦部の前記回転中心軸線の方向の振動を検出する検出手段を更に備え、
前記荷重付加機構は、前記検出手段が前記振動を検出した場合に、前記荷重を前記圧縮側弦部に作用させるように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機の振動抑制装置。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のベルト式無段変速機の振動抑制装置において、
前記荷重付加機構は、前記圧縮側弦部を吸引する磁力を発生する磁力発生装置を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の振動抑制装置。
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