JP2020075900A - Fki−7019物質およびその製造方法 - Google Patents

Fki−7019物質およびその製造方法 Download PDF

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一彦 乙黒
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正人 岩月
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Aki ISHIYAMA
亜紀 石山
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玲 穗苅
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敏明 砂塚
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友靖 廣瀬
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Abstract

【課題】抗マラリア活性を示す新規物質を提供する。【解決手段】下記式(I)の化合物等を開示する:(式中、R1は、水素原子など、R2は、C1〜6アルキル基などを示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、医薬、特に抗マラリア活性を示すFKI−7019物質またはその薬学的に許容される塩に関する。
ヒトに寄生するマラリア原虫類は熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)およびサルマラリア(P. knowlesi)の5種類に分類される。これらの中で、最も厄介なものはマラリア感染者の約80%を占める熱帯熱マラリア原虫であり、重症の場合には死に至る。
これまで、これらのマラリア原虫類に対する既存の抗マラリア剤として、古典薬と呼ばれ、主に1930年〜1960年代に開発された化学合成医薬品であるクロロキンやファンシダール(ピリメサミンとスルファドキシンとの合剤)等と、新薬と呼ばれ、1980年以降に開発された生薬青蒿の有効成分であるアルテミシニンの誘導体が用いられてきた。しかしながら、現在クロロキンやファンシダールに対する薬剤耐性マラリア原虫がマラリア流行地域に広く蔓延し、また、両薬剤に耐性を示す多剤耐性株も出現しており、これらの薬剤の抗マラリア剤としての有用性は著しく低下している。更に、近年ではWHOにより推奨されているアルテミシニン誘導体とその他の抗マラリア剤の併用によるArtemisinin−based Combination Therapy(アーテスネートとメフロキン、アーテメターとルメファントリン等)においてもアルテミシニン誘導体に対する耐性原虫の出現が有用性の低下を招いている。
このような既存の抗マラリア剤に対する薬剤耐性株の蔓延やマラリアの再燃は、マラリアが再興感染症として流行している一因となっており、薬剤耐性株に有効な抗マラリア薬の開発が地球規模で望まれている。特に、熱帯熱マラリア原虫の流行地域は、熱帯から亜熱帯と広範囲にわたっている。これらの地域に位置する開発途上国ではマラリア原虫の感染が極めて深刻な問題であり、寄生虫感染症による死亡原因の第一位がマラリアによるとされている。また、最近の地球規模での温暖化により、マラリアの流行は、開発途上国のみならず温帯地域に位置する先進国へと拡大傾向の様相を呈している。
抗マラリア薬の開発においては、in vitroで効果が確認されても、in vivoでは効果が確認できないものや毒性が確認されるものが多く、薬剤耐性株に有効でかつin vivoで効果が確認できる薬剤はほとんど見出されていない。
国際公開第2010/104169号パンフレット
novabiochem 固相合成ハンドブック メルク株式会社編 Bull.Chem.Soc.Jpn.2001,74,733−738. Chem.Commun.2010,8219−8221.
本発明は、抗マラリア活性を示す新規物質を提供することを課題とする。
本発明者らは、微生物の生産する代謝産物を対象にマラリア原虫の増殖阻害物質を探索した結果、新たに土壌から分離した糸状菌FKI−7019株の培養液中にマラリア原虫の増殖阻害作用を有する物質が産生されていることを見出した。次いで該培養物を精製、単離した結果、新規化合物であるFKI−7019A物質およびFKI−7019B物質にマラリア原虫の増殖阻害作用を有する効果があることを見出した。更に、これらの化合物を基に誘導体展開を行い、新規抗マラリア剤となる化合物群を得ることに成功した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、下記式(I)で表される化合物(以下、「FKI−7019物質」又は「化合物(I)」という)若しくはそのエステル、又はそれらの塩、又はそれらの水和物又は溶媒和物に関する:
Figure 2020075900
(式中、Rは、水素原子、又は、1〜数個の置換基で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のC1〜6アルキル基を表し、
ここで、前記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;水酸基;ホルミル基;C2〜7アルカノイル基;C1〜6アルキル基及び/若しくはC1〜6アルコキシ基で置換されていてもよいアミノカルボニル基;C2〜40アルケニルカルボニル基;又は以下で表される基
Figure 2020075900
を示し、
は、C1〜6アルキル基、又はC2〜40アルケニル基である)。
例えば、前記FKI−7019物質の代表例としては、下記式(Ia)で表されるFKI−7019A物質、及び、下記式(Ib)で表されるFKI−7019B物質が挙げられる。
Figure 2020075900
Figure 2020075900
本明細書において、「C1〜6アルキル基」とは、直鎖又は分岐状の炭素数が1〜6個の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2,3−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、及びシクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくは、C1〜5アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、又は2,3−ジメチルプロピル基である。更に好ましくは、C1〜3アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基、であり、最も好ましくは、メチル基又はエチル基である。
アルキル基が置換基で置換されていてもよい場合の置換基の数は、1〜数個、例えば、1〜5個、1〜4個、1〜3個、又は1〜2個であってもよい。
本明細書において、「C2〜7アルカノイル基」とは、前記C1〜6アルキル基とオキソ基(>C=O基)を介して結合する基((C1〜6アルキル基)−C(=O)−基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C2〜7アルカノイル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基を包含する。
本明細書において、「C1〜6アルコキシ基」とは、前記C1〜6アルキル基と酸素原子を介して結合する基((C1〜6アルキル基)−O−基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C1〜6アルコキシ基とは、該アルキル基部分の炭素原子数が1〜6個であることを意味する。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、2−メチル−1−プロピルオキシ基、2−メチル−2−プロピルオキシ基、2,2−ジメチル−1−プロピルオキシ基、1−ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、2−メチル−1−ブチルオキシ基、3−メチル−1−ブチルオキシ基、2−メチル−2−ブチルオキシ基、3−メチル−2−ブチルオキシ基、1−ペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−メチル−1−ペンチルオキシ基、3−メチル−1−ペンチルオキシ基、2−メチル−2−ペンチルオキシ基、3−メチル−2−ペンチルオキシ基、1−ヘキシルオキシ基、2−ヘキシルオキシ基、3−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。C1〜6アルコキシ基として、好ましくはC1〜5アルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、及び2,3−ジメチルプロピルオキシ基であり、更に好ましくは、C1〜3アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びプロピルオキシ基)であり、より更に好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基である。
本明細書において、「C2〜40アルケニル基」とは、1つ以上の炭素−炭素間の二重結合を有する直鎖又は分岐状の不飽和炭化水素の任意の炭素原子から一個の水素原子を除去してなる炭素原子数が2〜40個の一価の基を意味する。C2〜40アルケニル基として好ましくは、C15〜20アルケニル基、C16〜19アルケニル基、C17〜18アルケニル基、C17アルケニル基が挙げられる。また、アルケニル基が有する二重結合の数として好ましくは1〜3個、又は1若しくは2個である。アルケニル基としては、例えば、ペンタデカ−4−エン−1−イル基、ペンタデカ−5−エン−1−イル基、ペンタデカ−6−エン−1−イル基、ペンタデカ−7−エン−1−イル基、ペンタデカ−8−エン−1−イル基、ペンタデカ−9−エン−1−イル基、ペンタデカ−10−エン−1−イル基、ペンタデカ−11−エン−1−イル基、ペンタデカ−12−エン−1−イル基、ヘキサデカ−4−エン−1−イル基、ヘキサデカ−5−エン−1−イル基、ヘキサデカ−6−エン−1−イル基、ヘキサデカ−7−エン−1−イル基、ヘキサデカ−8−エン−1−イル基、ヘキサデカ−9−エン−1−イル基、ヘキサデカ−10−エン−1−イル基、ヘキサデカ−11−エン−1−イル基、ヘキサデカ−11−エン−1−イル基、ヘキサデカ−12−エン−1−イル基、ヘキサデカ−13−エン−1−イル基、ヘプタデカ−4−エン−1−イル基、ヘプタデカ−5−エン−1−イル基、ヘプタデカ−6−エン−1−イル基、ヘプタデカ−7−エン−1−イル基、ヘプタデカ−8−エン−1−イル基、ヘプタデカ−9−エン−1−イル基、ヘプタデカ−10−エン−1−イル基、ヘプタデカ−11−エン−1−イル基、ヘプタデカ−12−エン−1−イル基、ヘプタデカ−13−エン−1−イル基、ヘプタデカ−14−エン−1−イル基、ヘプタデカ−15−エン−1−イル基、オクタデカ−4−エン−1−イル基、オクタデカ−5−エン−1−イル基、オクタデカ−6−エン−1−イル基、オクタデカ−7−エン−1−イル基、オクタデカ−8−エン−1−イル基、オクタデカ−9−エン−1−イル基、オクタデカ−10−エン−1−イル基、オクタデカ−11−エン−1−イル基、オクタデカ−12−エン−1−イル基、オクタデカ−13−エン−1−イル基、オクタデカ−14−エン−1−イル基、オクタデカ−15−エン−1−イル基、オクタデカ−16−エン−1−イル基、ノナデカ−4−エン−1−イル基、ノナデカ−5−エン−1−イル基、ノナデカ−6−エン−1−イル基、ノナデカ−7−エン−1−イル基、ノナデカ−8−エン−1−イル基、ノナデカ−9−エン−1−イル基、ノナデカ−10−エン−1−イル基、ノナデカ−11−エン−1−イル基、ノナデカ−12−エン−1−イル基、ノナデカ−13−エン−1−イル基、ノナデカ−14−エン−1−イル基、ノナデカ−15−エン−1−イル基、ノナデカ−16−エン−1−イル基、ノナデカ−17−エン−1−イル基、イコサ−4−エン−1−イル基、イコサ−5−エン−1−イル基、イコサ−6−エン−1−イル基、イコサ−7−エン−1−イル基、イコサ−8−エン−1−イル基、イコサ−9−エン−1−イル基、イコサ−10−エン−1−イル基、イコサ−11−エン−1−イル基、イコサ−12−エン−1−イル基、イコサ−13−エン−1−イル基、イコサ−14−エン−1−イル基、イコサ−15−エン−1−イル基、イコサ−16−エン−1−イル基、イコサ−17−エン−1−イル基、が挙げられる。
二重結合の数が2個以上のアルケニル基としては、例えば、ペンタデカ−4,7−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−5,8−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−6,9−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−7,10−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−8,11−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−9,12−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−10,13−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−4,7−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−5,8−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−6,9−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−7,10−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−8,11−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−9,12−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−10,13−ジエン−1−イル基、ヘキサデカ−11,14−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−4,7−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−5,8−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−6,9−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−7,10−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−8,11−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−9,12−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−10,13−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−11,14−ジエン−1−イル基、ヘプタデカ−12,15−ジエン−1−イル基、オクタデカ−4,7−ジエン−1−イル基、オクタデカ−5,8−ジエン−1−イル基、オクタデカ−6,9−ジエン−1−イル基、オクタデカ−7,10−ジエン−1−イル基、オクタデカ−8,11−ジエン−1−イル基、オクタデカ−9,12−ジエン−1−イル基、オクタデカ−10,13−ジエン−1−イル基、オクタデカ−11,14−ジエン−1−イル基、オクタデカ−12,15−ジエン−1−イル基、オクタデカ−13,16−ジエン−1−イル基、ノナデカ−4,7−ジエン−1−イル基、ノナデカ−5,8−ジエン−1−イル基、ノナデカ−6,9−ジエン−1−イル基、ノナデカ−7,10−ジエン−1−イル基、ノナデカ−8,11−ジエン−1−イル基、ノナデカ−9,12−ジエン−1−イル基、ノナデカ−10,13−ジエン−1−イル基、ノナデカ−11,14−ジエン−1−イル基、ノナデカ−12,15−ジエン−1−イル基、ノナデカ−13,16−ジエン−1−イル基、ノナデカ−14,17−ジエン−1−イル基、イコサ−4,7−ジエン−1−イル基、イコサ−5,8−ジエン−1−イル基、イコサ−6,9−ジエン−1−イル基、イコサ−7,10−ジエン−1−イル基、イコサ−8,11−ジエン−1−イル基、イコサ−9,12−ジエン−1−イル基、イコサ−10,13−ジエン−1−イル基、イコサ−11,14−ジエン−1−イル基、イコサ−12,15−ジエン−1−イル基、イコサ−13,16−ジエン−1−イル基、イコサ−14,17−ジエン−1−イル基、ペンタデカ−4,7,10−トリエン−1−イル基、ペンタデカ−5,8,11−トリエン−1−イル基、ペンタデカ−6,9,12−トリエン−1−イル基、ヘキサデカ−4,7,10−トリエン−1−イル基、ヘキサデカ−5,8,11−トリエン−1−イル基、ヘキサデカ−6,9,12−トリエン−1−イル基、ヘキサデカ−7,10,13−トリエン−1−イル基、ヘキサデカ−8,11,14−トリエン−1−イル基、ヘプタデカ−4,7,10−トリエン−1−イル基、ヘプタデカ−5,8,11−トリエン−1−イル基、ヘプタデカ−6,9,12−トリエン−1−イル基、ヘプタデカ−7,10,13−トリエン−1−イル基、ヘプタデカ−8,11,14−トリエン−1−イル基、ヘプタデカ−9,12,15−ジエン−1−イル基、オクタデカ−4,7,10−トリエン−1−イル基、オクタデカ−5,8,11−トリエン−1−イル基、オクタデカ−6,9,12−トリエン−1−イル基、オクタデカ−7,10,13−トリエン−1−イル基、オクタデカ−8,11,14−トリエン−1−イル基、オクタデカ−9,12,15−トリエン−1−イル基、オクタデカ−10,13,16−トリエン−1−イル基、ノナデカ−4,7,10−トリエン−1−イル基、ノナデカ−5,8,11−トリエン−1−イル基、ノナデカ−6,9,12−トリエン−1−イル基、ノナデカ−7,10,13−トリエン−1−イル基、ノナデカ−8,11,14−トリエン−1−イル基、ノナデカ−9,12,15−トリエン−1−イル基、ノナデカ−10,13,16−トリエン−1−イル基、ノナデカ−11,14,17−トリエン−1−イル基、イコサ−4,7,10−トリエン−1−イル基、イコサ−5,8,11−トリエン−1−イル基、イコサ−6,9,12−トリエン−1−イル基、イコサ−7,10,13−トリエン−1−イル基、イコサ−8,11,14−トリエン−1−イル基、イコサ−9,12,15−トリエン−1−イル基、イコサ−10,13,16−トリエン−1−イル基、イコサ−11,14,17−トリエン−1−イル基、及びイコサ−12,15,18−トリエン−1−イル基が挙げられる。
本発明の化合物は不斉炭素を有することから、光学異性体が存在する。本発明の化合物としては、右旋性(+)又は左旋性(−)の何れの化合物であってもよいし、ラセミ体などのこれらの異性体の任意の割合の混合物であってもよい。また、本発明の化合物は、特に断らない限り、いずれの互変異性体、又は幾何異性体(例えば、E体、Z体など)も含むものである。
一例として、本発明の化合物(I)は以下の立体構造を有することができる。
Figure 2020075900
(式中、Rは、水素原子、又は、1〜数個の置換基で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のC1〜6アルキル基を表し、
ここで、前記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;水酸基;ホルミル基;C2〜7アルカノイル基;C1〜6アルキル基及び/若しくはC1〜6アルコキシ基で置換されていてもよいアミノカルボニル基;C2〜40アルケニルカルボニル基;又は以下で表される基
Figure 2020075900
を示し、
は、C1〜6アルキル基、又はC2〜40アルケニル基である)。
また、前記式(Ia)で表されるFKI−7019A物質、及び、下記式(Ib)で表されるFKI−7019B物質の立体構造としては、以下の(Ia’)及び(Ib’)を挙げることができる。
Figure 2020075900
Figure 2020075900
本明細書において「塩」は、本発明の化合物が、無機又は有機の塩基又は酸と結合して形成した塩であって、医薬として体内に投与することが許容可能な塩のことである。このような塩は、例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)等に記載されている。塩としては、例えば、酸性基が存在する場合には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、L−グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ−ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩を形成することができる。塩基性基が存在する場合には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩などを挙げることができる。
また、化合物(I)の水和物又は溶媒和物及び化合物(I)の薬理学的に許容される塩の水和物又は溶媒和物も本発明の化合物に包含される。また、本明細書において「化合物(I)」とは、それが明らかに適さない場合を除き、明示されていない場合にも、化合物(I)の薬理学的に許容される塩、水和物及び溶媒和物、並びに化合物(I)の薬理学的に許容される塩の水和物又は溶媒和物をも含む。
更に、本発明は、化合物(I)の薬理学的に許容されるエステル誘導体を包含する。ここで、「薬理学的に許容されるエステル誘導体」は、生体内において代謝されて、本願発明の化合物を与える基を含むエステル化合物でえあって、医薬として体内に投与することが許容可能な化合物を意味する。本明細書において、エステルは、エステル結合した化合物の他、アミド結合した化合物を含む。エステルは、生体内のエステラーゼにより分解されて活性型の化合物を与えてもよい。例えば、エステルとしては、置換され又は置換されていない、低級アルキルエステル、低級アルケニルエステル、低級アルキルアミノ低級アルキルエステル、アシルアミノ低級アルキルエステル、アシルオキシ低級アルキルエステル、アリールエステル、アリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、水酸化アミドを挙げることができる。エステルとして、好ましくは、プロピオオン酸エステル又はアシルエステルである。ここで、低級とは炭素原子の数が1〜6個、好ましくは1〜4個であることを意味する。
また、本発明の式(I)で表わされる化合物又はその塩は結晶であってもよいし、非晶体であってもよい。
本発明は更にパラカマロスポリウム・エスピー(Paracamarosporium sp.)FKI−7019(受領番号NITE AP−02911)株を包含する。パラカマロスポリウム・エスピー(Paracamarosporium sp.)FKI−7019(受領番号NITE AP−02911)株は、本発明者等によって日本国東京都伊豆諸島神津島の土壌より新に分離され、微生物寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)に所在する独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、2019年3月6日に寄託された(受領番号はNITE AP−02911)。
本発明は更にまた、前記FKI−7019物質若しくはそのエステル、又はそれらの塩、又はそれらの水和物又は溶媒和物を有効成分として含む、マラリア原虫による感染症の治療又は予防用医薬組成物に関する。
本発明のFKI−7019物質は、抗マラリア活性を示す新規の物質であることから、薬剤耐性を示すマラリアに対しても有効であると考えられる。また、本発明のFKI−7019物質は、in vivoでも効果を奏することから、真に実用化可能な化合物であると考えられる。
1。製造方法
(1)微生物培養物からの単離
本発明は、FKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質を生産する能力を有する糸状菌に属する微生物を培地に培養し、培養物中にFKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質を蓄積せしめ、該培養物からFKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質を採取することを含む、FKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質の製造方法に関する。
〔培養方法〕
FKI−7019物質は、糸状菌に属するFKI−7019物質を生産する能力を有する微生物を培養し、FKI−7019物質を蓄積させた培養物から常法によって得ることができる。本発明に用いることのできる菌株は糸状菌に属するFKI−7019物質生産菌のすべてが使用できる。FKI−7019物質を生産する能力を有する糸状菌に属する微生物の一例としては、(Paracamarosporium sp.)FKI−7019株(受領番号NITE AP−02911)を挙げることができる。
〔培養方法〕
FKI−7019物質は糸状菌に属し、FKI−7019物質生産能を有する微生物を培養することによって得られる。培養は一般微生物の培養方法に準じて行われる。
FKI−7019物質生産に適した栄養源としては、糸状菌の栄養源として使用し得るものであればよい。例えば、市販のペプトン、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、綿実粉、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、NZ−アミン、カゼインの水和物、硝酸ソーダ、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の窒素源、グリセリン、澱粉、グルコース、ガラクトース、マンノース等の炭水化物、あるいは脂肪等の炭素源、及び食塩、リン酸塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機塩を単独あるいは組み合わせて使用できる。
その他必要に応じて微量の金属塩、消泡剤として動・植・鉱物油等を添加することもできる。これらのものは生産菌を利用しFKI−7019物質の生産の役だつものであればよく、公知の糸状菌の培養材料はすべて用いることができる。FKI−7019物質の大量培養には液体培養が好ましく、培養温度は生産菌が発育し、FKI−7019物質を生産できる範囲で適用できる。培養は以上に述べた条件を使用するFKI−7019物質生産菌の性質に応じて適宜選択して行なうことができる。
〔精製方法〕
FKI−7019物質は、培養液よりクロロホルム、酢酸エチル等の水不混和性の有機溶媒で抽出することができる。上述の抽出法に加え、脂溶性物質の採取に用いられる公知の方法、例えば吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーよりのかき取り、遠心向流分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み合わせ、あるいは繰返すことによって純粋に採取することができる。
(2)合成による製造
式(I)で表される本発明の化合物は、例えば以下のスキームによって製造することができる。
Figure 2020075900
式中、Rは、novabiochem 固相合成ハンドブック メルク株式会社編などに記載された、アミノ酸のカルボキシ基を保護する固相単体や、国際公開第WO2010/104169号、Chem.Soc.Jpn.2001,74,733−738、及びChem.Commun.2010,8219−8221.などに記載された、アミノ酸のカルボキシ基を保護するアンカー基を示す。式中、−CHRは、前記Rで定義された基を表す。例えば、Rは、置換されていてもよいアルキル基であってもよい。また、式中、Rは、ハロゲン原子;水酸基;ホルミル基;C2〜7アルカノイル基;C1〜6アルキル基及び/若しくはC1〜6アルコキシ基で置換されていてもよいアミノカルボニル基;C2〜40アルケニルカルボニル基;又は以下で表される基
Figure 2020075900
を示してもよい。式中P、Pは、アミノ酸のアミノ基の一般的な保護基を示す。
原料となる化合物は、、novabiochem 固相合成ハンドブック ブック メルク株式会社編、国際公開第WO2010/104169号、Chem.Soc.Jpn.2001,74,733−738、及びChem.Commun.2010,8219−8221.などに記載された方法に従い、固相単体やアンカー基の導入を行うことができ、合成することができる。アミノ酸の縮合によるペプチド鎖の伸長は、一般的な縮合促進剤を用いた縮合および脱保護を繰り返すことで行うことができる。ペプチドN末端へのカルボン酸の導入は、一般的な縮合促進剤を用いて行うことができる。保護されたペプチドC末端は、脱保護および種々の化学変換により、変換することができる。
また,本発明は,前記化合物を含有することを特徴とする医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、経口投与用又は非経口投与用とすることができる。例えば,注射剤又は局所適用製剤とすることができる。該医薬組成物は常法に従って調製することができる。本発明の医薬組成物は,薬理学的に許容される担体(製剤用添加物)を含有していてもよい。医薬組成物の製造に用いられる製剤用添加物の種類,有効成分に対する製剤用添加物の割合,又は医薬組成物の製造方法は,組成物の形態に応じて当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機又は有機物質,或いは固体又は液体の物質を用いることができ,一般的には,有効成分重量に対して1重量%から90重量%の間で配合することができる。
一態様において本発明は、マラリア原虫による感染症の治療又は予防用医薬組成物を製造するための、化合物(I)若しくはそのエステル誘導体又はそれらの塩若しくはそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用に関する。または、マラリア原虫による感染症を治療又は予防するための、化合物(I)に関する。あるいは、本発明は、それを必要とする患者に有効量の化合物(I)若しくはそのエステル誘導体又はそれらの塩若しくはそれらの水和物若しくは溶媒和物を投与することを備える、マラリア原虫による感染症の治療方法又は予防方法に関する。例えば、本発明の化合物を治療又は予防目的で使用する場合、本発明の化合物を有効成分として含有する医薬組成物を、経口投与形態、又は注射剤、点滴剤等の非経口投与形態で投与することができる。本発明の化合物等を哺乳動物等に投与する場合、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等として経口投与してもよいし、又は、注射剤、点滴剤として非経口的に投与してもよい。投与量は、症状、年齢、性別、体重、投与形態等により異なるが、例えば成人に経口的に投与する場合には、通常1日量は0.1〜1000mgである。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
(1)パラカマロスポリウム・エスピー(Paracamarosporium sp.)FKI−7019株の菌学的性質
1.形態的特徴
本菌株は、ジャガイモ・グルコース寒天培地、麦芽汁寒天培地で良好に生育し、各種寒天培地で分生子の着生は良好であった。
麦芽汁寒天培地に生育したコロニーを顕微鏡で観察すると、分生子柄は菌糸との区別が不明瞭、先端に分生子形成細胞を生じる。分生子形成細胞(フィアライド)は無色、平滑、広アンプル型、ときとして不規則なシンポジオ状に発達する、大きさは8.0〜14.0×6.0〜8.0μmであった。分生子は淡褐色から茶褐色、単細胞、楕円〜長楕円形、やや厚壁、平滑、3.5〜6.0×2.0〜3.5μmであった。
2.培養性状
各種寒天培地上で、25℃、7日間培養した場合の肉眼的観察結果を表1に示す。
Figure 2020075900
上記FKI−7019株の形態的特徴および培養性に基づき、既知菌種との比較を試みた結果、本菌株はパラカマロスポリウム(Paracamarosporium) に属する一菌株と同定し、パラカマロスポリウム・エスピー(Paracamarosporium sp.)FKI−7019と命名した。なお本菌株はパラカマロスポリウム・エスピーFKI−7019 (Paracamarosporium sp. FKI−7019) として、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき、千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番8号 (郵便番号292―0818)に所在する独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター、2019年3月6日に寄託されている。受領番号はNITE AP−02911である。
[微生物からの製造]
(実施例1)FKI−7019物質の単離精製及び構造決定
〔培養方法〕
寒天斜面培地(グリセロール0.1%(和光純薬)、リン酸二水素カリウム0.08%(関東化学)、リン酸水素二カリウム0.02%(関東化学)、硫酸マグネシウム七水和物0.02%(和光純薬)、塩化カリウム0.02%(関東化学)、硝酸ナトリウム0.2%(和光純薬)、酵母エキス0.02%(オリエンタル酵母)、寒天1.5%(清水食品)、pH6.0に調製)で培養したFKI−7019株を、種培地(グルコース2.0%(和光純薬)、酵母エキス0.2%(オリエンタル酵母)、硫酸マグネシウム七水和物0.05%(和光純薬)ポリペプトン0.5%(和光純薬)、リン酸二水素カリウム0.1%(関東化学)、寒天0.1%(清水食品)、pH6.0に調整)100mLを分注した500mL容三角フラスコ2本に一白金耳接種し、27°Cで3日間シェイカー(210rpm)内で培養した。その後、生産培地(水溶性でんぷん3.0%(ホクレン)、グリセロール2.0%(和光純薬)、ソイビーンミール2.0%(東京保存食料)、ドライイースト0.3%(オリエンタル酵母)、塩化カリウム0.3%(関東化学)、硫酸マグネシウム七水和物0.05%(和光純薬)、炭酸カルシウム0.3%(関東化学)、リン酸二水素カリウム0.05%(関東化学)、pH6.0に調整)100mLを入れた500mL容三角フラスコ30本に1%ずつ植菌し、27°C、210rpmで、4日間ロータリーシェーカーで培養した。
〔精製方法〕
培養終了後、この培養液(3000mL)にエタノール(3000mL)を加え、30分撹拌後遠心してエタノール抽出液を得た。エタノール抽出液を減圧下でエタノールを留去して得られた水溶液より、酢酸エチル(3000mL)で三度抽出した。酢酸エチル層を濃縮乾固して得た活性粗物質2.2gをシリカゲルカラム(シリカゲル60(メッシュ60−230)、メルク社、20φ×70mm)にて粗精製を行った。クロロホルムでシリカゲルカラムを洗浄したのち、クロロホルム−メタノール(100:0、100:1、50:1、9:1、1:1、0:100)の各混合溶媒を展開溶媒とするクロマトグラフィーを行い、溶出液を溶出条件毎に分画した。活性画分(9:1)を濃縮乾固することで、褐色油状物質487mgを得た。
続いて、活性画分(9:1)487mgをODSカラム(ODS樹脂、センシュー科学、20φ×50mm)にて粗精製を行った。水−メタノール(50:50、40:60、30:70、20:80、10:90、0:100)の各混合溶媒を展開溶媒とするクロマトグラフィーを行い、溶出液を溶出条件毎に分画した。活性画分(0:100)を濃縮乾固することで、褐色油状物質60mgを得た。続いて、活性画分(0:100)60mgをDNHカラム(DNH樹脂、富士シリシア、10φ×50mm)にて粗精製を行った。クロロホルムでシリカゲルカラムを洗浄したのち、クロロホルム−メタノール(100:0、100:1、50:1、9:1、1:1、0:100)の各混合溶媒を展開溶媒とするクロマトグラフィーを行い、溶出液を溶出条件毎に分画した。活性画分(100:1)を濃縮乾固することで、無色しラップ状物質3.8mgを得た。続いてトルエンで固液抽出を行うことでトルエン不溶部にFKI−7019A物質を収量1.7mgで単離した。
〔理化学的性状〕
次に、本発明のFKI−7019物質の理化学的性状について説明する。
1.FKI−7019A物質
(1)性状:白色粉末
(2)分子式:C5810710
HR−ESI−MS (m/z)
[M+H] 計算値1062.8152, 実測値1062.8140
(3)分子量:1061
ESI−MS (m/z) で[M+H] 1062を観測
(4)紫外部吸収スペクトル:メタノール溶液中で測定した紫外部吸収スペクトルはλmax (ε): 204 nmの吸収極大を示す。
(5)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルはνmax 3436,3286,2923,1647,1554cm−1等に特徴的な吸収極大を示す。
(6)溶剤に対する溶解性:ジメチルスルフォキシドに可溶。トルエンに不溶。
(7)プロトン及びカーボン核磁気共鳴スペクトル:DMSO−d中で、アジレント社400及び100 MHz核磁気共鳴スペクトロメータで測定した水素の化学シフト(ppm)及び炭素の化学シフト(ppm)は下記に示すとおりである。なお()内は水素の数を示す。
δ: 0.83 (6H), 0.84 (3H), 0.85 (3H), 0.97 (3H), 0.99 (3H), 1.20−1.45 (44H), 1.09 (3H), 1.45 (3H), 1.65 (1H), 1.77 (1H), 1.90 (1H), 1.92 (1H), 1.95 (1H), 2.00 (2H), 2.05−2.19 (2H), 2.35 (1H), 2.36 (1H), 2.41 (1H), 2.51 (1H), 2.85 (1H), 3.04 (1H), 3.28 (1H), 3.47 (1H), 3.57 (1H), 3.72 (1H), 3.78 (1H), 3.80 (1H), 3.86 (1H), 4.05 (1H), 4.40 (1H), 4.42 (1H), 4.46 (1H), 4.51 (1H), 4.65 (1H), 4.71 (1H), 5.29−5.35 (2H), 6.87 (1H), 7.32 (2H), 7.82 (1H), 7.86 (1H), 8.06 (1H)
δ: 13.9, 13.9, 15.4, 17.2, 18.0, 19.1, 19.4, 22.1, 25.2, 26.6−31.3 (21C), 26.6, 26.6, 29.8, 31.7, 32.0, 34.8, 36.5, 36.8, 47.6, 49.6, 53.9, 56.2, 57.9, 59.1, 60.1, 61.1, 66.8, 66.9, 80.5, 88.3, 129.6, 129.7, 169.4, 169.9, 170.6, 171.6, 171.7, 172.1
以上のように、FKI−7019A物質の各種理化学性状やスペクトルデータを詳細に検討した結果、FKI−7019A物質は下記の式(Ia’)で表される化学構造であることが決定された。
Figure 2020075900
2.FKI−7019B物質
(1)性状:白色粉末
(2)分子式:C3766
HR−ESI−MS (m/z) [M+H] 計算値707.5065, 実測値707.5060
(3)分子量:706
ESI−MS (m/z) で[M+H] 707を観測
(4)紫外部吸収スペクトル:メタノール溶液中で測定した紫外部吸収スペクトルはλmax (ε): 204 nmの吸収極大を示す。
(5)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルはνmax 3417, 3286, 2923, 2360, 1643, 1543, 1419, 1261, 1095, 1025, 798, 671 cm−1等に特徴的な吸収極大を示す。
(6)溶剤に対する溶解性:ジメチルスルフォキシドに可溶。水、ヘキサンに不溶。
(7)プロトン及びカーボン核磁気共鳴スペクトル:DMSO−d中で、アジレント社400及び100 MHz核磁気共鳴スペクトロメータで測定した水素の化学シフト(ppm)及び炭素の化学シフト(ppm)は下記に示すとおりである。なお ( ) 内は水素の数を示す。
δ: 0.81 (3H), 0.83 (6H), 0.95 (3H), 1.06 (3H), 1.43 (3H), 1.90 (1H), 1.95 (1H), 1.20−1.45 (20H), 1.97 (1H), 2.00 (1H), 2.05−2.17 (2H), 2.33 (1H), 2.45 (2H), 3.24 (1H), 3.78 (1H), 3.80 (1H), 3.98 (1H), 4.38 (1H), 4.41 (1H), 4.46 (1H), 4.77 (1H), 5.29−5.35 (2H), 6.85 (1H), 6.95 (1H), 7.02 (1H), 7.36 (1H), 7.91 (1H), 7.94 (1H), 8.06 (1H)
δ: 13.9, 17.2, 18.0, 19.1, 19.3, 25.2, 25.2, 21.9−30.1 (10C), 26.6, 31.3, 34.8, 36.4, 36.7, 49.5, 53.9, 56.3, 58.4, 59.2, 66.8, 129.6, 129.7, 169.5, 170.5, 171.7, 172.0, 172.2, 172.8
以上のように、FKI−7019B物質の各種理化学性状やスペクトルデータを詳細に検討した結果、FKI−7019B物質は下記の式(Ib’)で表される化学構造であることが決定された。
Figure 2020075900
[合成による製造]
化合物の同定は水素核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)およびマススペクトル(MS)により行った。H−NMRは、特に指示のないかぎりは500MHzで測定されたものであり、また化合物および測定条件によっては交換性水素が明瞭に観測されない場合がある。H−NMRは、次のように記載した。chemical shift(integration,multiplicity(s=singlet,d=doublet,t=triplet, q = quintet,m=multiplet,br=broad,app=apparent),coupling constants(Hz))。
(実施例2)FKI−7019Aの製造
Figure 2020075900
(第1工程)Fmoc−Ala−O−Flの脱Fmoc
WO2010/104169に従い調整した原料(Fmoc−Ala−O−Fl)1.15g(1.07mmol)と10%ピペリジン/DCM 15mL(0.072M)を混合し、室温で30分間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル75mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Ala−O−Fl)を0.91g得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.61 (2H, app m), 7.36 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.24-7.20 (2H, app m), 7.17 (1H, m), 7.04-6.99 (2H, app m), 6.95-6.90 (2H, app m), 6.81 (1H, d, 2.5 Hz),3.94-3.87 (2H, app br m), 3.64 (1H, app q, J = 7.0 Hz), 3.39 (4H, t, J = 6.5 Hz), 1.77-1.72 (2H, app m), 1.59-1.54 (4H, app m), 1.44-1.20 (59H, overlapped, complex m), 0.89 (3H, t, J = 7.0 Hz); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C56H86FNO4Na: 878.6439 ([M + Na]+), Found: 878.6439.
Figure 2020075900
(第2工程)Fmoc−Asn−OHの縮合
第1工程と同様にして得られた原料(Ala−O−Fl)2.02g(2.36mmol)、DCM 24mL(0.10M)、Fmoc−Asn−OH 0.921g(2.60mmol)、HOBt 0.383g(2.83mmol)を室温で混合した。この混合液にDIC 0.358g(2.83mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 120mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Fmoc−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Fmoc−Asn−Ala−O−Fl)を2.58g得た。収率92%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3); δ 7.74 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.62-7.47 (4H, app br m), 7.39-7.13 (9H, app m), 7.12-6.99 (2H, app br m), 6.94-6.79 (3H, app br m), 6.34 (1H, br s), 5.74 (1H, br s), 5.38 and 5.33 (1H, each br s), 4.64 (1H, m), 4.48 (1H, br s), 4.39-4.28 (2H, overlapped, app br m), 4.16 (1H, br t J = 6.5 Hz), 3.89 (2H, br t, J = 7.0 Hz), 3.39 (1H, t, J = 7.0 Hz), 2.79 (1H, br t, J = 5.5 Hz), 2.45 (1H, br m), 1.76-1.72 (2H, app br m), 1.58-1.53 (4H, app br m), 1.46 (3H, br d, J = 6.5 Hz), 1.44-1.20 (56H, overlapped, complex m), 0.89 (3H, t, J = 7.0 Hz); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C75H102FN3O8Na: 1214.7549 ([M + Na]+), Found: 1214.7554.
Figure 2020075900
(第3工程)Fmoc−Asn−Ala−O−Flの脱Fmoc
第2工程で得られた原料(Fmoc−Asn−Ala−O−Fl)2.58g(2.16mmol)と10%ピペリジン/DCM 43mL(0.05M)を混合し、室温で20分間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 216mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Asn−Ala−O−Fl)を2.10g得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.84 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.60-7.57 (2H, app m), 7.34 (1H, m), 7.25-7.14 (3H, app m), 7.04-6.99 (2H, app m), 6.95-6.88 (2H, app m), 6.80 (1H, app dd, J = 13.5, 2.5 Hz), 6.08 (1H, br s), 5.43 (1H, br s), 4.67 (1H, m), 3.92-3.89 (2H, app m), 3.60 (1H, m), 3.39 (4H, t, J = 7.0 Hz), 2.61 (1H, dd, J = 15.0, 4.0 Hz), 2.51 (1H, m), 1.77-1.71 (2H, app m), 1.59-1.53 (4H, app m), 1.47 (3H, dd, J = 7.5, 1.0 Hz), 1.45-1.20 (56H, overlapped, complex m), 0.88 (3H, t, J = 7.5 Hz); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C60H92FN3O6Na: 992.6868 ([M + Na]+), Found: 992.6884.
Figure 2020075900
(第4工程)Fmoc−Val−OHの縮合
第3工程と同様にして得られた原料(Asn−Ala−O−Fl)0.77g(0.79mmol)、DCM 16mL(0.05M)、Fmoc−Val−OH 0.30g(0.87mmol)、HOBt 0.13g(0.95mmol)を室温で混合した。この混合液にDIC 0.12g(0.95mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル80mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Fmoc−Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Fmoc−Asn−Ala−O−Fl)を1.02g得た。収率99%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/CD3OD = 10/1) δ 7.71 (2H, br d, J = 7.5 Hz), 7.54-7.49 (4H, app br m), 7.34 (2H, br t, J = 7.5 Hz), 7.28-7.13 (5H, app br m), 7.07 (1H, br t, J = 7.5 Hz), 6.97-6.94 (1H, br m), 6.89-6.72 (3H, app br m), 4.63 (1H, br s), 4.50 (1H, br m), 4.37 (1H, br m), 4.24 (1H, br m), 4.25 (1H, t, J = 7.0 Hz), 3.93 (1H, app br d), 3.84 (2H, br m), 3.35 (4H, t, J = 7.0 Hz), 3.10 (1H, overlapped with MeOH), 2.57(1H, br m), 2.48 (1H, br m), 2.04 (1H, br m), 1.71-1.63 (2H, app m), 1.54-1.48 (4H, app m), 1.38-1.16 (59H, overlapped, complex m), 0.87 (3H, br d, J = 6.5 Hz), 0.83 (3H, br d, overlapped), 0.83 (3H, t, overlapped); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C80H111FN4O9Na: 1313.8233 ([M + Na]+), Found: 1313.8241.
Figure 2020075900
(第5工程)Fmoc−Val−Asn−Ala−O−Flの脱Fmoc
第4工程と同様にして得られた原料(Fmoc−Val−Asn−Ala−O−Fl)2.64g(2.04mmol)と10%ピペリジン/DCM 41mL(0.05M)を混合し、室温で30分間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 205mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Val−Asn−Ala−O−Fl)を2.19g得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.39 (1H, br d, J = 7.5 Hz), 7.57-7.52 (3H, app m), 7.32 (1H, m), 7.25-7.12 (3H, app m), 7.03-6.99 (2H, app m), 6.94-6.78 (3H, app m), 6.07 (1H br s), 5.40 (1H, app br d, J = 27.5 Hz), 4.66 (1H, m), 4.59 (1H, m), 3.89 (2H, m), 3.38 (4H, t, J = 7.0 Hz), 3.17 (1H, d, J = 4.0 Hz), 2.67 (1H, m), 2.42 (1H, m), 2.18 (1H, m), 1.77-1.70 (1H, m), 1.58-1.53 (4H, app m), 1.44-1.20 (59H, overlapped, complex m), 0.93 (3H, d, J = 7.0 Hz), 0.88 (3H, t, J = 7.0 Hz), 0.77 (3H, d, J = 7.0 Hz); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C65H101FN4O7Na: 1091.7552 ([M + Na]+), Found: 1091.7574.
Figure 2020075900
(第6工程)
Fmoc−4−MePro−OHの縮合
第5工程と同様にして得られた原料(Val−Asn−Ala−O−Fl)1.28g(1.20mmol)、DCM 24mL(0.05M)、前記文献に従い調整したFmoc−4−MePro−OH 0.47g(1.34mmol)、HOBt 0.20g(1.46mmol)を室温で混合した。この混合液にDIC 0.18g(1.46mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 120mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Fmoc−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Fmoc−4−MePro−Asn−Ala−O−Fl)を1.64g得た。収率98%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.78-6.80 (20H, overlapped, app br m), 6.08 (1H, app br d, J = 10.0 Hz), 5.53 (1H, app br d, J = 24.0 Hz), 4.72 (1H, br m), 4.55 (1H, br m), 4.44-4.36 (2H, app br m), 4.25-4.21 (2H, app br m), 3.88 (2H, m), 3.64 (1H, br t, J = 8.5 Hz), 3.38 (4H, t, J = 7.0 Hz), 2.95 (1H, br t, J = 9.5 Hz), 2.70 (1H, br m), 2.50-2.30 (3H, br m), 2.16 (1H, br m), 1.97-1.85 (2H, br s), 1.71 (2H, br m), 1.56 (4H, br m), 1.44-1.20 (59H, overlapped, complex m), 1.06 (3H, br d, J = 6.0 Hz), 0.88 (6H, overlapped, app t, J = 7.0 Hz), 0.84 (3H, br d, J = 6.0 Hz); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C86H120FN5O10Na: 1424.8917 ([M + Na]+), Found: 1424.8910.
Figure 2020075900
(第7工程)Fmoc−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Flの脱Fmoc
第6工程で得られた原料(Fmoc−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)1.63g(1.16mmol)と10%ピペリジン/DCM 16mL(0.072M)を混合し、室温で30分間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 80mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)を1.37g得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.30 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.81 (1H, J = 7.5 Hz), 7.56-7.53 (3H, app m), 7.31 (1H, m), 7.26-7.20 (2H, app m), 7.13 (1H, m), 7.03-7.00 (2H, app m), 6.93-6.79 (3H, app m), 6.20 (1H, br s), 5.54 (1H, app br d, J = 23.5 Hz), 4.65 (1H, m), 4.53 (1H, m), 4.17 (1H, m), 3.89 (2H, m), 3.76 (1H, dd, J = 10.0, 5.0 Hz), 3.38 (4H, t, J = 6.5 Hz), 3.05 (1H, dd, J = 9.0, 9.0 Hz), 2.67 (1H, m), 2.56 (1H, app t, J = 8.5 Hz), 2.40 (1H, m), 2.17 (1H, m), 2.09-1.99 (2H, app m), 1.76-1.66 (2H, app m), 1.58-1.53 (4H, app m), 1.41 (3H, app t, J = 7.0 Hz), 1.34-1.20 (56H, overlapped, complex m), 0.99 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.91 (3H, d, J = 7.0 Hz), 0.87 (3H, t, J = 7.0 Hz), 0.86 (3H, br d, J = 7.0 Hz); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C71H110FN5O8Na: 1202.8236 ([M + Na]+), Found: 1202.8245.
Figure 2020075900
(第8工程)Fmoc−Thr(t−Bu)−OHの縮合
第7工程で得られた原料(4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)1.37g(1.16mmol)、DCM 23mL(0.05M)、Fmoc−Thr(t−Bu)−OH 0.51g(1.28mmol)、HOBt 0.19g(1.39mmol)を室温で混合した。この混合液にDIC 0.18g(1.39mmol)を加え、室温で13時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 115mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Fmoc−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Fmoc−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)を1.80g得た。収率99%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.76 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.60 (2H, d, J = 7.0 Hz), 7.58-7.52 (2H, app br m), 7.39 (2H, br t, J = 7.0 Hz), 7.32-6.08 (11H, app br m), 6.19 (1H, br d, J = 8.5 Hz), 5.84 (1H, br dd, J = 12.8, 8.5 Hz), 5.57 (1H, app br d, J = 19.5 Hz), 4.79 (1H, br m), 4.62-4.53 (2H, app m), 4.39 (1H, d, J = 7.0 Hz), 4.22-4.17 (2H, app m), 3.98 (1H, m), 3.93-3.85 (2H, app br m), 3.38 (4H, t, J = 7.0 Hz), 3.17 (1H, t, J = 9.5 Hz), 2.69-2.57 (2H, app m), 2.39 (1H, br m), 2.28 (1H, br m), 2.20(1H, br m), 1.96 (2H, br s), 1.75-1.68 (2H, app m), 1.56 (4H, m), 1.43 (3H, app t, J = 8.0 Hz), 1.39-1.20 (56H, overlapped, complex m), 1.11 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.06 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.93-0.86 (9H, overlapped, m); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C94H135FN6O12Na: 1582.0020 ([M + Na]+), Found: 1582.0031.
Figure 2020075900
(第9工程)Fmoc−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Flの脱Fmoc
第8工程と同様にして得られた原料(Fmoc−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)0.59g(0.38mmol)と10%ピペリジン/DCM 11mL(0.036M)を混合し、室温で30分間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 55mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)を0.50g得た。収率97%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.02-6.78 (13H, overlapped, app m), 6.25 (1H, br d, J = 11.0 Hz), 5.63-5.50 (1H, br m), 4.87-4.77 (1H, br m), 4.61-4.52 (2H, app br m), 4.27-4.17 (1H, br m), 4.01 (1H, app t, J = 8.5 Hz), 3.91-3.88 (2H, br m), 3.75 (1H, m), 3.51 (1H, br d, J = 6.5 Hz), 3.38 (4H, t, J = 6.5 Hz), 3.24-3.07 (1H, app m), 2.72-2.06 (5H, app m), 1.76-1.69 (2H, app m), 1.55 (4H, m), 1.46-1.20 (59H, overlapped, complex m), 1.09 (3H, d, J = 6.5 Hz), 1.06 (3H, d, J = 6.5 Hz), 0.93-0.84 (9H, overlapped, m); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C79H125FN6O10Na: 1359.9339 ([M + Na]+), Found: 1359.9330.
Figure 2020075900
(第10工程)オレイン酸の縮合
第9工程と同様にして得られた原料(Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)0.90g(0.67mmol)、DCM 13mL(0.05M)、オレイン酸 0.21g(0.74mmol)、HOBt 0.11g(0.81mmol)を室温で混合した。この混合液にDIC 0.10g(0.81mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、アセトニトリル 65mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出した化合物(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)をろ過、洗浄、乾燥することにより、化合物(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)を1.02g得た。収率95%。
1H NMR (500 MHz, CHCl3) δ 7.59-7.54 (3H, app m), 7.39-6.80 (11H, app m), 6.49 (1H, app br t, J = 8.0 Hz), 6.22 (1H, app br d, J = 14.0 Hz), 5.56 (1H, app br d, J = 12.5 Hz), 5.37-5.30 (2H, app m), 4.81-4.77 (2H, app m), 4.62-4.53 (2H, app m), 4.24-4.19 (2H, app m), 4.01 (1H, m), 3.93-3.86 (2H, app m), 3.38 (4H, t, J = 6.5 Hz), 3.19 (1H, m), 2.69-2.60 (2H, app m), 2.38 (1H, m), 2.29-2.17 (4H, app m), 2.00 (4H, app m), 1.76-1.69 (2H, app m), 1.60 (1H, m), 1.55 (4H, m), 1.46-1.20 (82H, overlapped, complex m), 1.073 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.065 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.93-0.84 (12H, overlapped, m); HRMS (FAB, NBA + NaI matrix) Calcd. for C97H157FN6O11Na: 1624.1792 ([M + Na]+), Found: 1624.1804.
Figure 2020075900
(第11工程)脱t−Buおよび脱Fl
第10工程と同様にして得られた原料(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−O−Fl)181mg(0.11mmol)と20%TFA/DCM5.7mL(0.02M)を混合し、室温で5時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、反応溶液を0℃に冷却し、ピリジン1.1mLを滴下した。この混合液にメタノール28mLを加え、0℃で30分間撹拌した。析出物をろ過、洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物に酢酸エチル30mLを加えて混合し、1M塩酸(20mL×3)、飽和食塩水(20mL×1)で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物をろ過にて除去したのち、減圧下で濃縮した。得られたクルード化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH)で精製し、化合物(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−OH)を66mg得た。収率75%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (1H, d, J = 7.0 Hz), 7.88 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.83 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.78 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.34 (1H, s), 6.90 (1H, s), 5.35-5.29 (2H, app m), 4.68 (1H, br s), 4.54-4.48 (2H, app m), 4.42 (1H, app t, J = 7.5 Hz), 4.12-4.07 (2H, app m), 3.83-3.78 (2H, app m), 3.27 (1H, app t, J = 9.0 Hz), 2.52 (1H, overlapped with DMSO, m), 2.41 (1H, dd, 7.5, 15.5 Hz), 2.34 (1H, m), 2.17-2.06 (2H, app m), 2.01-1.93 (5H, app m), 1.64 (1H, m), 1.48-1.42 (2H, app m), 1.33-1.13 (24H, overlapped, app br s), 1.08 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.97 (3H, d, J = 7.0 Hz), 0.86-0.81 (9H, app m); HRMS (ESI+) Calcd. for C40H70N6O9Na: 801.5102 ([M + Na]+), Found: 801.5094; HRMS (ESI-) Calcd. for C40H69N6O9: 777.5126 ([M-H]-), Found: 777.5123.
Figure 2020075900
(第12工程)Weinrebアミド化
第11工程と同様にして得られた原料(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−OH)120mg(0.15mmol)、DMF4.3mL(0.036M)、MeO(Me)NH−HCl48mg(0.49mmol)、DEPBT(3−(diethoxyphosporyloxy)−1,2,3−benzotriazin−4(3H)−one)147mg(0.49mmol)を室温で混合した。この混合液にDIPEA127mg(0.99mmol)を加え、室温で23時間撹拌した。原料の消失を確認したのち、この溶液に酢酸エチル50mLを加え、1M塩酸(30mL×2)、飽和食塩水(30mL×1)で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物をろ過にて除去したのち、減圧下で濃縮した。得られたクルード化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH)で精製し、化合物(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−N(Me)OMe)を127mg得た。収率100%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (1H, d, J = 7.0 Hz), 7.86 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.83 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.77 (1H, d, J = 7.0 Hz), 7.32 (1H, s), 6.90 (1H, s), 5.35-5.29 (2H, app m), 4.65 (1H, d, J = 6.0 Hz), 4.65 (1H, m), 4.54-4.41 (3H, app m), 4.09 (1H, dd, J = 6.5, 8.0 Hz), 3.83-3.78 (2H, app m), 3.71 (3H, s), 3.26 (1H, app t, J = 9.0 Hz), 3.09 (3H, s), 2.53 (1H, overlapped with DMSO, m), 2.39 (1H, dd, 7.5, 15.5 Hz), 2.35 (1H, m), 2.18-2.06 (2H, m), 2.01-1.92 (5H, app m), 1.64 (1H, m), 1.48-1.42 (2H, app m), 1.33-1.13 (21H, overlapped, app br s), 1.17 (3H, d, J = 7.0 Hz), 1.09 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.97 (3H, d, J = 7.0 Hz), 0.86-0.81 (9H, app m); HRMS (ESI+) Calcd. for C42H75N7O9Na: 844.5524 ([M + Na]+), Found: 844.5515.
Figure 2020075900
(第13工程)アルデヒドへの還元およびファイトスフィンゴシンとのN,O−アセタール化
第12工程と同様にして得られた原料(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−N(Me)OMe)16.0mg(0.019mmol)に乾燥THF3.0mL(0.007M)を室温で加えて溶解させ、0℃へと冷却した。この混合液に別途事前に調整したLAHのTHF溶液(0.10M)0.331mL(0.032mmol)を0℃で滴下し、同温で1時間撹拌した。得られた混合液に0℃で1M塩酸10mLをゆっくりと加えたのちに室温へと昇温し、CHCl(10mL×3)で抽出した。得られた有機層を合一し、硫酸ナトリウムで乾燥し、固形物をろ過にて除去したのち、減圧下で濃縮することで、クルード化合物(Oleic acid−Thr(t−Bu)−4−MePro−Val−Asn−Ala−H)を得た。得られたクルード化合物にCHCl1.9mLを加えて溶解させ、ここにファイトスフィンゴシン6.8mg(0.021mmol)を加えて室温で2.5時間撹拌した。この混合液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH)で精製し、化合物FKI−7019A(I)を10.6mg得た。2工程収率51%。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.08 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.86 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.82 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.32 (1H, d, overlapped), 7.32 (1H, s), 6.88 (1H, s), 5.35-5.29 (2H, app m), 4.71 (1H, d, J = 6.5 Hz), 4.66 (1H, d, J = 5.5 Hz), 4.52-4.40 (4H, app m), 4.05 (1H, dd, J = 6.5, 8.0 Hz), 3.86 (1H, app br s), 3.82-3.78 (2H, app m), 3.71 (1H, m), 3.57 (1H, m), 3.47 (1H, m), 3.29 (1H, dd, J = 9.0, 9.5 Hz), 3.04 (1H, m), 2.86 (1H, m), 2.51 (1H, m, overlapped with DMSO), 2.41 (1H, dd, 6.5, 15.5 Hz), 2.36 (1H, m), 2.35 (1H, m), 2.17-2.06 (2H, app m), 2.02-1.92 (6H, app m), 1.77 (1H, br t), 1.65 (1H, m), 1.48-1.42 (3H, app m), 1.33-1.13 (44H, complex m), 1.09 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.99 (3H, d, J = 7.0 Hz), 0.97 (3H, d, J = 7.0 Hz), 0.86-0.82 (12H, app m); HRMS (ESI+) Calcd. for C58H107N7O10Na: 1084.7977 ([M + Na]+), Found: 1084.7968.
(試験例1) in vitro抗マラリア活性試験
本発明の化合物の抗マラリア活性の評価は、東京大学大学院医学系研究科の北潔教授より分与された、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の薬剤耐性株であるK1株及び薬剤感受性株であるFCR3株を用いて、これらのマラリア原虫に対する化合物のin vitroにおける抗マラリア活性を乙黒らの方法(Otoguro,K.,Kohana,A.,Manabe,C.,Ishiyama,A., Ui,H.,Shiomi,K.,Yamada,H.&Omura,S.:Potent antimalarial activity of polyether antibiotic,X−206.J.Antibiot.,54:658−663,(2001))に従って測定した。
試験原虫の培養については、TragerとJensenの方法(Trager,W. and Jensen,J.:Human malaria parasites in continuous culture,Science,193:673−677,(1976))を若干改変し、維持、継代を行ったものを用いた。すなわち、培養シャーレ内で、10%ヒト血漿を添加したRPMI1640培地と新鮮なヒト赤血球を用いて継代した原虫感染赤血球を希釈し(ヘマトクリット値:2〜5%、原虫感染赤血球率:0.25〜1%)、37℃にて3%O−4%CO−93%Nの混合ガス下で培養を行い、2〜3日毎に培地交換と新鮮な赤血球を添加して連続培養を行った。
薬剤感受性試験は、Desjardinsらの方法(Desjardins,R.E.,Canfield,C.J.,Haynes,D.E. and Chulay,J.D.:Quantitative assessment of antimalarial activity in vitro by a semiautomated microdilution technique.Antimicrob.Agents Chemother.,16:710−718(1979))を改変して行った。具体的には、96穴プレートの各ウェルに前培養した原虫浮遊液(ヘマトクリット値:2%、原虫感染赤血球率:0.5又は1%)190μLと最終濃度12.5〜0.0001μMとなるような濃度段階希釈した被験化合物の溶液(5%DMSO溶液)10μLを添加し、混和後、前述の混合ガス下で72時間培養を行った。
原虫増殖の測定はMaklerらの方法(Makler,M.T.,Rise,J.M.,Williams,J.A.,Bancroft,J.E.,Piper,R.C.,Gibbins,B.L. and Hinrichs,D.J.:Parasite lactate dehydrogenase as an Assay for Plasmodium falciparum drug sensitivity,Am.J.Med.Hyg.,48:739−741(1993))を改変し、Malstat試薬(Flow社、米国)にて原虫の乳酸脱水素酵素(p−LDH)を比色定量する方法を用いた。
すなわち、培養72時間後に96穴プレートを直接−20℃下で18時間凍結後、37℃下で融解することにより、原虫感染赤血球を溶血させ、かつ原虫を破壊させて粗酵素液を調製した。新たな96穴プレートの各ウェルにMalstat試薬100μLと粗酵素液20μLを添加、混和し、15分間室温にて反応後、ニトロブルーテトラゾリウム(nitroblue tetrazolium)2mg/mL:フェナジンエトサルフェート(phenazine ethosulfate)0.1mg/mL=1:1溶液20μLを各ウェルに添加し、遮光条件下、室温にて2時間反応させた。
反応により生じたブルーフォルマザン(blue formazan)生成物をマイクロプレートリーダー(Labosystems社、フィンランド国)を用いて、測定波長655nmでの吸光度を測定することにより、原虫の増殖の有無を比色定量した。化合物の50%原虫増殖阻止濃度(IC50値)は化合物濃度作用曲線より求めた。
(評価結果)
本発明化合物は、in vitro抗マラリア活性試験において、強い抗マラリア活性を示した。本発明の代表化合物の培養熱帯熱マラリア原虫に対する抗マラリア活性を表2に示す。抗マラリア活性はIC50値で示した。また試験が未実施の場合はNT印で示した。
Figure 2020075900
本発明の化合物はいずれも、薬剤耐性株であるK1株及び薬剤感受性のFCR3株に対して同程度の強い抗マラリア活性を示し、この結果は、本発明の化合物がいずれもマラリア原虫類の増殖抑制に対して優れた有効性を有することを示している。特にFKI−7019YH−4物質は非常に優れた有効性を示した。
(試験例2)in vivo抗マラリア活性試験
本発明の化合物のネズミマラリア原虫P.berghei N株(薬剤感受性株)感染実験モデルに対するin vivoでの治療効果を前述の乙黒ら(2001)の方法及びPetersらの方法(Peters,W.,Portus,J.H. and Robinson,B.L.:The chemotherapy of rodent malaria.XXII. The value of drug−resistant strains of P.berghei in Screening for blood schizonticidal activity.Ann.Trop.Med.Parasitol.,69:155−171,(1975))を若干改変して測定した。ネズミマラリア原虫P.berghei N株は、Dr.W.Peters(Northwick Park Institute for Medical Research,Meddlesex,英国)より分与を受けた。
供試動物としてはICRマウス(日本チャールス・リバー社)の雄、体重18〜20gの一群5匹を用いた。in vivo passageにて維持・継代した原虫を2×10個の寄生虫感染赤血球を調整し、尾静脈接種にて感染させた。治療実験は4日間suppressive testで行った。感染日を0日目として、感染2時間後に被験化合物溶液(溶媒:10%DMSO/0.5%Tween20水溶液もしくは懸濁液)を腹腔内投与(i.p.)し、以後1日1回3日間連続投与し(1〜3日目)、4日目に尾静脈より血液塗末標本を作成し、原虫感染赤血球率(parasitaemia)を観察し、化合物非投与群の感染率より治療効果(阻害%)を判定した。有意差検定はDunnett検定で行った。
本発明の代表化合物のin vivo抗マラリア活性を表3に示す。
Figure 2020075900
本発明の化合物〔I〕は、30mg/kgの用量においてネズミマラリア原虫P.berghei N株感染実験モデルに対して、薬剤無添加の対照群と比べ有意に原虫感染赤血球率の抑制効果を示し、感染治療効果が認められた。これは陽性対照として用いたアルテスネート(30mg/kgの用量で89.9%の原虫感染赤血球率の抑制)と同等の治療効果であった。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される化合物若しくはそのエステル、又はそれらの塩、又はそれらの水和物又は溶媒和物
    Figure 2020075900
    (式中、Rは、水素原子、又は、1〜数個の置換基で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のC1〜6アルキル基を表し、
    ここで、前記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;水酸基;ホルミル基;C2〜7アルカノイル基;C1〜6アルキル基及び/若しくはC1〜6アルコキシ基で置換されていてもよいアミノカルボニル基;C2〜40アルケニルカルボニル基;又は以下で表される基
    Figure 2020075900
    を示し、
    は、C1〜6アルキル基、又はC2〜40アルケニル基である、
    ただし、Rが1−ホルミル基エチル基で、Rが8−ヘプタデカエンである化合物を除く)。
  2. 前記式(I)で表される化合物が下記式(Ia)で表されるFKI−7019A物質、又は下記式(Ib)で表されるFKI−7019B物質である、請求項1に記載の若しくはそのエステル、又はそれらの塩、又はそれらの水和物又は溶媒和物
    Figure 2020075900
    Figure 2020075900
  3. 下記式(I)で表される化合物若しくはそのエステル、又はそれらの塩、又はそれらの水和物又は溶媒和物を有効成分として含有する、マラリア原虫による感染症の治療又は予防用医薬組成物
    Figure 2020075900
    (式中、Rは、水素原子、又は、1〜数個の置換基で置換されていてもよい直鎖又は分岐状のC1〜6アルキル基を表し、
    ここで、前記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;水酸基;ホルミル基;C2〜7アルカノイル基;C1〜6アルキル基及び/若しくはC1〜6アルコキシ基で置換されていてもよいアミノカルボニル基;C2〜40アルケニルカルボニル基;又は以下で表される基
    Figure 2020075900
    を示し、
    は、C1〜6アルキル基、又はC2〜40アルケニル基である)。
  4. 前記式(I)で表される化合物が下記式(Ia)で表されるFKI−7019A物質、又は下記式(Ib)で表されるFKI−7019B物質である、請求項3に記載のマラリア原虫による感染症の治療又は予防用医薬組成物。
    Figure 2020075900
    Figure 2020075900
  5. 下記式(Ia)で表されるFKI−7019A物質
    Figure 2020075900
    、又は下記式(Ib)で表されるFKI−7019B物質
    Figure 2020075900
    を生産する能力を有する糸状菌に属する微生物を培地で培養し、培養物中にFKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質を蓄積せしめ、該培養物からFKI−7019物質を採取することを特徴とするFKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質の製造方法。
  6. FKI−7019A物質及び/又はFKI−7019B物質を生産する能力を有する糸状菌に属する微生物が、パラカマロスポリウム・エスピー(Paracamarosporium sp.)FKI−7019(受領番号NITE AP−02911)である請求項5に記載の製造方法。
  7. パラカマロスポリウム・エスピー(Paracamarosporium sp.)FKI−7019株(受領番号NITE AP−02911)。
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