JP2020075886A - 医療用粘着剤組成物 - Google Patents

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俊幸 小倉
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Abstract

【課題】皮膚に対する非刺激性を損なうことなく、使用中には従来と同等の良好な粘着性を有しながら(非剥落性)、使用終了後には優れた剥離性を有する(易剥離性)皮膚貼付剤の粘着層を構成することができる医療用粘着剤を提供すること、およびこれを用いた皮膚貼付剤を提供する。【解決手段】医療用粘着剤組成物は、グリシジルアジドポリマーと粘着剤成分を含有し、グリシジルアジドポリマーの含有量が0.1〜20質量%、粘着剤成分の含有量が80〜99.9質量%である。この医療用粘着剤組成物に適宜薬効成分等を配合して粘着層用組成物とし、皮膚貼付剤はこの粘着層用組成物からなる粘着層を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、医療分野において皮膚貼付剤用の粘着剤として使用する、医療用粘着剤組成物およびこれを用いた皮膚貼付剤に関する。
日本の総人口はすでに減少期に入る一方で、高齢者人口は増加し続けており、超高齢化社会が2042年頃にピークを迎えるといわれている。このような状況下で医療福祉の分野において国民皆医療保険制度を維持していくため、在宅医療によるセルフメディケーションにおける質的・量的両面での内容充実が望まれている(例えば、非特許文献1)。
その在宅医療において、皮膚貼付剤の役割が今後いっそう増していくことが予測されている。皮膚貼付剤は、各種治療や疾患予防等のための医薬品(薬効成分)を経皮投与するために用いられるものであり(例えば、特許文献1)、不織布等からなる支持体の片面に、薬効成分を含有する粘着層を形成してなる。そして、粘着層を介して皮膚貼付剤を皮膚に貼り付けることで、粘着層に含有される薬効成分を穏やかに経皮投与することができる。薬効成分を所定の処方量投与するためには、皮膚貼付剤が皮膚から剥がれたり、ずれたりすることなく、適切な粘着状態が所定の処方時間にわたって持続されながら、貼付終了時には、皮膚にダメージを与えることなく皮膚貼付剤を剥がせることが求められる。貼付中の皮膚障害、いわゆる「絆創膏かぶれ」は、現在の高品質化された皮膚貼付剤においては、化学的成分の刺激に原因となることはほとんどなく、貼付すること自体による皮膚への物理的刺激に負うところが多い。また、皮膚貼付剤の使用者の相対的な高齢化に伴い、粘着が強すぎると皮膚の角質層のダメージを招いてしまうことも問題化している。皮膚貼付剤には、(使用時は)剥がれにくく、(使用後は)剥がしやすい、というほとんど無理な性能が要求されるようになってきている。
このような要求に対して、皮膚貼付剤中の粘着剤において、二酸化炭素のガス発生を応用した粘着/剥離の技術が開発されている(特許文献2)。この技術においては、二酸化炭素を徐々にガス発生させて粘着力を弱める一方で、粘着剤のゲル化反応も徐々に進行させて粘着力を強め、粘着力の減少と増加の両方をバランスさせながら、所定の貼付時間の経過後にはゲル化完了し、発生した二酸化炭素の累積量により、皮膚貼付剤の剥離を容易にするという技術である。画期的な技術ではあるが、二つの反応のバランスに基づくが故に、処方期間に応じた粘着力維持時間の調整が非常に困難であるという問題を回避できない。
このように、さまざまな薬効成分やさまざまな使用者に対して、使用時には十分な粘着力を維持しながら、適正な処方時間の終了時には容易に剥離できる皮膚貼付剤を得るための技術が求められているのである。
特開2018−083796号公報 特開2016−020309号公報
中央社会保険医療協議会,「医療と介護を取り巻く現状と課題等」,第341回総会資料,平成28年12月14日
上記の通り、本発明の目的は、皮膚に対する非刺激性を損なうことなく、使用中には従来と同等の良好な粘着性を有しながら(非剥落性)、使用終了後には優れた剥離性を有する(易剥離性)皮膚貼付剤の粘着層を構成することができる医療用粘着剤を提供すること、およびこれを用いた皮膚貼付剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、小型汎用化されたハンディUV−LED機器が適用可能な光反応性高分子材料に着目して鋭意研究を重ねた結果、グリシジルアジドポリマーを特定量含有する医療用粘着剤が上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕および〔2〕である。
〔1〕グリシジルアジドポリマーと粘着剤成分を含有し、グリシジルアジドポリマーの含有量が0.1〜20質量%、粘着剤成分の含有量が80〜99.9質量%である医療用粘着剤組成物。
なお、医療用粘着剤組成物中におけるグリシジルアジドポリマーと粘着剤成分の合計含有量の上限は100%である。また、「粘着剤成分」とは、樹脂粘着剤と必要に応じてこの架橋剤の双方を含む概念である。
〔2〕前記の〔1〕に記載の医療用粘着剤組成物を含有する、粘着層を有する皮膚貼付剤。
本発明の医療用粘着剤組成物によれば、皮膚に対する非刺激性を損なうことなく、使用中には従来と同等の良好な粘着性を有しながら、使用終了後には優れた剥離性を有する皮膚貼付剤を提供することができる。
本発明の医療用粘着剤組成物は、グリシジルアジドポリマー(以下、GAPと略記する)と粘着剤成分を含有する。
〔グリシジルアジドポリマー(GAP)〕
本発明に用いるGAPは、化学構造をポリ[オキシ(1−アジドメチル)エチレン)]とする重縮合体であり、エピクロロヒドリンの開環重合によって得られるポリ[オキシ(1−クロロメチル)エチレン)]を公知の方法によって、アジ化して得ることができる。具多的には例えば、特表2015−525804号公報の実施例に開示される反応条件(ジメチルフォルムアミド中でアジ化ナトリウムと80℃で24時間)を採用することもできる。さらに精製方法としては、米国特許第4,268,450号明細書に開示されるように、塩化メチレンで希釈後に、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮して得ることができる。 また、米国特許第4,379,894号明細書に開示されるように、相間移動触媒を用いてこれを除去する精製を行うことでアジド基への転化を向上させることもできる。
本発明に用いるGAPは、開環重合の際に用いる(多価)アルコールの価数に由来する分岐数すなわちOH官能基数を有しており、通常1〜10、好ましくは、1.8〜4.2のOH官能基数を有する。本発明に用いるGAPの分子量はGPCによって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量として、通常1,000〜100,000であり、好ましくは2,000〜40,000である。分子内にアジド基を有する高分子材料である。アジド基は紫外線照射によって容易に分解し、窒素ガスを放出する。GAPは、分子量が大きくなるにつれて粘性が増加する傾向がある。したがって、GAPの分子量が大き過ぎると、粘着剤成分を構成するモノマーとの相溶性が低下する傾向がある。したがって、GAPの分子量は100,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましい。GAPの分子量の下限は250以上、好ましくは2,000以上であればよい。
GAPは、紫外線照射で発生する窒素ガスの効果による剥離剤として機能すると同時に、上記の通りポリ[オキシ(1−クロロメチル)エチレン]鎖に由来する粘着剤としての機能も同時に有する。本発明の医療用粘着剤組成物中におけるGAPの含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。GAPの含有量がこの範囲であれば、紫外線照射による窒素ガスの発生量は十分であり、良好な剥離性を担保でき、かつ粘着層からGAPが沁み出すことなく粘着力を維持することができる。
〔粘着剤成分〕
粘着剤成分としては、皮膚貼付剤において使用される公知の樹脂粘着剤を特に制限無く使用することができる。中でも、GAPとの相溶性の観点から疎水性樹脂が好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。これら粘着剤成分は、一種のみを単用することもできるし、二種以上を混用することもできる。
アクリル系樹脂は、添加する架橋剤の量が少なくてすみ、透湿性が高く、保持力は強目であるため、好適に使用することができる。アクリル系樹脂としては、例えば、モノマー単位として、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも1種含有する重合体または共重合体が挙げられる。アクリル系樹脂が共重合体である場合の共重合成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸等のα−β不飽和カルボキシル酸;マレイン酸ブチル等のマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸、フマリン酸、クロトン酸等の二塩基酸単量体;無水マレイン酸等の酸無水物単量体;アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド;ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド等のアルキルエチルメチロール(メタ)アクリルアミド;ビニルピロリドン等の含環状ビニル単量体が挙げられる。これらの中では、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル/アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル/酢酸ビニルの共重合体、およびポリアクリル酸部分中和物とポリアクリル酸との混合物が好ましく挙げられる。
ゴム系樹脂は、初期の粘着力に優れ、透湿性が低く、保持力が強目であるという特徴を活かし、好適に使用することができる。ゴム系樹脂としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム、ポリイソブチレン(PIB)、水素化ジシクロペンタジエン系樹脂、ポリブテン、ブチルゴム、天然ゴム、生ゴム、アラビアゴム、アラビアゴム末、イソプレンゴム等が挙げられる。これらの中では、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーまたはスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体と水素化ジシクロペンタジエン系樹脂との混合物が好ましく挙げられる。
シリコーン系樹脂は、耐熱性、耐寒性および耐薬品性に優れるという特徴を活かし、好適に使用することができる。シリコーン系樹脂としては、例えば、オルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーおよびその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらの中では、ポリジメチルジフェニルシロキサンおよびシリコーンゴム/シリコーンレジン混合物が好ましく挙げられる。
粘着剤成分には、樹脂粘着剤に加え、樹脂粘着剤の架橋剤を添加して使用することができる。架橋剤によって樹脂粘着剤の分子鎖が鎖延長または分子間架橋されることによって、粘着層の機械的強度を増したり、薬効成分との相溶性を調整して薬効成分の皮膚への浸透性を助長したりすることができる。このような架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等の架橋剤を用いることができる。 架橋処理は常温以上の温度で行われ、加熱により反応を加速することができる。
本発明に用いるGAPはヒドロキシル基を有するので、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。樹脂粘着剤成分がウレタン反応系である場合、樹脂粘着剤との共架橋構造とすることができ、上記の架橋による効果を十分に発現することができる。本発明の医療用粘着剤組成物中における粘着剤成分の含有量は、80〜99.9質量%とする。
〔薬効成分〕
本発明の医療用粘着剤組成物には、病状や疾患の種類および程度に応じた各種薬効成分を、同じく病状や疾患の種類および程度に応じて適量含有させることで、皮膚貼付剤の粘着層(薬物含有層)用組成物とすることができる。薬効成分としては例えば、ブトルファノールおよびその塩等のオピオイド鎮痛薬;インドメタシン、サリチル酸メチル等の非ステロイド系抗炎症薬;コルチゾン等のステロイド系抗炎症薬;ベンドロフルメチアジド等の利尿薬;プラゾシン等の排尿障害治療薬;クロルプロマジン等の向精神薬;フェノバルビタール等の催眠薬;バルプロ酸ナトリウム、メプロバメート等の抗てんかん薬;クロルゾキサゾン等の抗パーキンソン病薬;ヒドロフルメチアジド等の利尿薬;メトクロプラミドおよびその塩等の制吐薬;エストラジオール等のホルモン薬;リドカインおよびその塩等の不整脈用薬;グアナベンズおよびその塩等の血圧降下薬;エフェドリンおよびその塩等の鎮該去痰薬;ドキシフルリジン等の抗悪性腫瘍薬;マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬;ニトログリセリン等の冠血管拡張薬;ツルブテロール等の気管支拡張薬;ジルチアゼムおよびその塩等のカルシウム拮抗薬;フマル酸ケトチフェン等の抗アレルギー薬;シクロピロクスオラミン等の寄生性皮膚疾患用薬;ニコチン酸アミド等のビタミン;ニコチン等の禁煙補助薬等を挙げることができる。
粘着層用組成物中の薬効成分の量は、好ましくは0.1質量%〜60質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜40質量%である。薬物の量がこの範囲内であれば、治療効果が不十分とはならず、皮膚接着性が損なわれることもない。
また、粘着剤成分の樹脂粘着剤としてアクリル系樹脂を用いる場合は、粘着層用組成物中1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。樹脂粘着剤としてゴム系樹脂を用いる場合は、粘着層用組成物中2〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。樹脂粘着剤としてシリコーン樹脂を用いる場合は、粘着層用組成物中1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
〔その他の成分〕
また、粘着層用組成物には、一般的に用いられる添加剤、例えば可塑剤、乳化剤、湿潤剤、安定剤、安定化剤、分散剤、可塑剤、pH調節剤、吸収促進剤、ゲル化剤、防腐剤、充填剤、保存剤、防腐剤、色素、香料、清涼剤、増粘剤、酸化防止剤、美白剤、紫外線吸収剤等の成分を配合してもよい。
〔皮膚貼付剤〕
本発明の皮膚貼付剤は、本発明の医療用粘着剤組成物を含有する粘着層用組成物からなる粘着層を有する。粘着層は支持体上に形成される。
〔支持体〕
本発明の皮膚貼付剤に用いる基材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等から製造された伸縮性もしくは非伸縮性の織布又は不織布、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル等から製造された樹脂フィルム、あるいはウレタン、ポリウレタン等から製造された発泡性支持体が挙げられ、これらを1種単独で又は複数種が積層されたものを使用できる。これらのうちでは、透明性の点から樹脂フィルムが好ましい。
〔皮膚貼付剤の製造〕
皮膚貼付剤を製造するには、粘着層用組成物と希釈溶剤とを混合した塗液を基材の片面に塗布・展延し、溶剤を乾燥除去することで粘着層を形成できる。さらに、形成された粘着層の上に剥離フィルムや剥離紙を被覆してもよい。また、別の方法としては、剥離フィルムや剥離紙等の上に粘着層用組成物を塗布・展延して粘着層を形成し、該粘着層に支持体を貼り合わせても得ることができる。
上記の粘着層の厚みは、好ましくは10μm〜400μmであり、さらに好ましくは20μm〜200μmであり、もっとも好ましくは30μm〜100μmである。粘着層は連続的に形成されてもよく、目的に応じて所定のパターン(例えば、点状、ストライプ状等の規則的パターン、あるいはランダムなパターン)で形成されてもよい。
〔皮膚貼付剤の剥離〕
そして、皮膚貼付剤の使用後に粘着層を皮膚から剥離させる際は、粘着層に紫外線を照射する。これにより、GAP分子内のアジド基が紫外線を吸収して分解することにより窒素ガスが発生し、発生したガスの膨張による物理的な作用によって、糊残りなど無く綺麗に剥離させることができる。なお、GAPの分解により発生するガスは窒素ガスなので、人体に無害である。
ガス発生のために照射する紫外線は、紫外線LEDランプなどの人工的な光源から発生させたものでも良く、太陽光などの自然光に含まれる紫外線成分でも良い。窒素ガスの発生速度は、照射する紫外線の波長に依存する。そこで、窒素ガスの発生に使用する紫外線波長域は200〜380nmが好ましく、250〜320nmの範囲がより好ましい。200nmより短波長側ではアジド基の分解よりもGAP骨格による吸収が多く、有効にアジド基を分解できない。380nm以上ではアジド基による吸収が弱く、窒素ガスの発生速度が制限される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
まず、各例における評価法を示す。貼付剤を4cm×4cmに切断し、16名の成人男子の上腕部に貼付した後、貼付後0時間、8時間、および24時間において、剥落性試験、易剥離性試験および皮膚刺激性試験を行った。
<剥落性試験>
貼付後所定時間において、貼付剤の剥離部分を目視観察し、剥離部分の全面積に対する割合を評価した。評価基準は次の通りである。
◎: 0%以上3%未満
○: 3%以上5%未満
△: 5%以上10%未満
×: 10%以上
<易剥離性試験>
貼付後所定時間経過後に、貼付剤角の寸法の窓を開けた黒色フォトマスクを付けて、深紫外UV−LED照射器(アイテックシステム(株)製)を用いて波長300nm、積算照射量340mJ/cmでUV−B光の照射を行い、直後に引き剥がしを行った。評価基準は次の通りである。
◎: 応力をほとんど感じることなく剥がせた。
○: 若干の応力はあるが、抵抗無く剥がせた。
△: 皮膚の引張り伸びを伴う剥がしにくさを感じた。
×: 皮膚に痛みを感じる程度の剥がしにくさを感じたり、糊の残存が見られたりした。
<皮膚刺激性試験>
各所定時間経過後の易剥離性試験後の皮膚の状態について非貼付領域と比較して観察を行った。評価基準は次の通りである。
◎: 発赤が見られなかった。
○: 僅かな赤みが濃淡無く見られた。
△: 濃淡を認識できる発赤が見られた。
本発明の実施例および比較例で用いた3種のグリシジルアジドポリマーの詳細は次の通りである。
GAP−M28:グリシジルアジドポリマー(医療用グレード)、日油(株)製「GAP−M28」(商品名)、OH官能数1.9、重量平均分子量2000
GAP−M34:グリシジルアジドポリマー(医療用グレード)、日油(株)製「GAP−M34」(商品名)、OH官能数2.9、重量平均分子量3000
GAP−M44:グリシジルアジドポリマー(医療用グレード)、日油(株)製「GAP−M44」(商品名)、OH官能数3.7、重量平均分子量5000
(実施例1)
(粘着層用組成物の製造)
表1に示す組成の医療用粘着剤組成物の全体に対し、0.22質量部の合成副腎皮質ホルモン製剤「プレドニゾロン」(富士フイルム和光純薬(株)製試薬)と1.0質量部のメチルシクロヘキサンを混合し、ディスポーザブルカップ中で約30秒間超音波処理して薬効成分を分散させた後、保湿剤として0.87質量部のポリオキシエチレンオレイルエーテル「NOFABLE EAO9905」(商品名、日油(株)製)を加え、十分に混合した。次いで、0.38質量部のアクリル系粘着剤「ニッセツPE−300」(商品名、日本カーバイド工業(株)製)、2.4質量部のキレート系架橋剤「ニッセツCK−401」(商品名、日本カーバイド工業(株)製)、3.10質量部のグリシジルアジドポリマー「GAP−M28」(商品名、日油(株)製)を順次加え、十分に混合した。混合物を脱気して粘着層用組成物を得た。
(皮膚貼付剤の製造)
得られた粘着層用組成物をドクターナイフを用い、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し有機溶媒が揮発するまで静置した。続いてバッキング膜を被せてローラーで圧着し、約40℃の恒温槽中で8〜12時間架橋させ皮膚貼付剤を得た。得られた皮膚貼付剤における粘着層用組成物の層厚みは、50μmであった。得られた皮膚貼付剤について、4×4cmのサイズにカットした後、前記した官能貼付試験、粘着力安定性試験および剥離性試験を行い、医療用粘着剤組成物の性能を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜9および比較例1、2)
実施例1と同様にして、表1および表2に示す組成の粘着層用組成物と皮膚貼付剤を製造し、医療用粘着剤組成物の性能を評価した。結果を表1(実施例2〜9)および表2(比較例1,2)に示す。
なお、表中に略号で記した使用材料の詳細は次の通りである。
(粘着剤成分)
PE−300:アクリル系粘着剤、日本カーバイド工業(株)製「ニッセツPE−300」(商品名)、共重合比:アクリル酸2−エチルヘキシルエステル/アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル/酢酸ビニル=17:2:1、固形分濃度40質量%
CK−401:キレート系架橋剤、日本カーバイド工業(株)製「ニッセツCK−401」(商品名)、固形分濃度10質量%
AH106X:ポリアクリル酸部分中和物、東亜合成(株)製「アロンビスAH−106X」(商品名)、重量平均分子量450万、中和度40モル%
SH8:ポリアクリル酸、東亜合成(株)製「ジュリマーSH8α」(商品名)、重量平均分子量100万、中和度0モル%、固形分濃度8質量%
TWB−P:ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂、住友精化(株)製「アクアコークTWB−P」(商品名)、白色ペレット、吸水能20〜30g/純水g
2200L:ポリイソプレンゴム、日本ゼオン(株)製「Nipol IR2200L」(商品名)、ムーニー粘度70
D1107CU:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)製「クレイトンD1107CU」(商品名)
HM4H:液状ポリイソブチレン、JXTGエネルギー(株)製「ハイモール4H」(商品名)、粘度平均分子量=40,000
PX1150N:テルペン系樹脂、ヤスハラケミカル(株)製「YSレジンPX1150N」(商品名)、軟化点=115±5℃
B170:脂肪族系炭化水素樹脂、日本ゼオン(株)製「クイントンB170」(商品名)、軟化点=70℃、溶融粘度50Pa・s
D−1161:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)製「クレイトンD−1161」(商品名)
PX1150N:テルペン樹脂、ヤスハラケミカルズ(株)製「YSレジン PX1150N」(商品名)
HV−300F:ポリブテン、JXTGエネルギー(株)製「日石ポリブテンHV−300F」、数平均分子量1,400、動粘度(40℃)26,000
T−411:スチレン−ブタジエンブロック共重合体、旭化成ケミカル(株)製「アサプレンT−411」(商品名)、スチレン含有量30質量%、軟化点=119.5℃、溶融粘度3150mPa・s。トルエン25質量%溶液にして使用。
HA105:C5系水素化ジシクロペンタジエン系樹脂(石油ナフサの熱分解により生成するペンテン、イソプレン、ピペリン及び1,3−ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られる)、スタンダード石油株製「T−REZ HA105」、重量平均分子量620、軟化点105.4℃。トルエン25質量%溶液にして使用。
G1657:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)製「クレイトンG−1657」(商品名)
PSA7−4201:シリコーン系粘着剤(アミン適合性、末端封鎖型)、ダウ・コーニング(株)製「BIO−PSA7−4201」(商品名)、シリコーンゴム/シリコーンレジンの構成質量比:45/55
PSA6574:PSA6574 ポリジメチルジフェニルシロキサン、モメンティブ(株)製「Silgrip PSA6574」(商品名)
(薬効成分)
SJA6017:合成副腎皮質ホルモン製剤「プレドニゾロン」、富士フイルム和光純薬(株)製試薬
NV:温感刺激成分、ノニル酸ワニリルアミド、東京化成工業(株)製試薬
IM:鎮痛消炎剤、インドメタシン、東京化成工業(株)製試薬
TUB:気管支拡張薬、ツロブテロール塩酸塩、東京化成工業(株)製試薬
NG:血管拡張薬、ニトログリセリン、日油(株)製、10質量%酢酸エチル溶液
BUT:オピオイド系鎮痛剤、酒石酸ブトルファノール、富士フイルム和光純薬(株)製試薬
FORM:気管支拡張薬、ホルモテロールフマル酸塩水和物、東京化成工業(株)製試薬
OXB:頻尿治療剤、オキシブチニン塩酸塩、富士フイルム和光純薬(株)製試薬
(その他成分)
EAO9905:保湿剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、日油(株)製「NOFABLE EAO9905」(商品名)
IPM:経皮吸収促進剤、ミリスチン酸イソプロピル、日光ケミカルズ(株)製医薬部外品「NIKKOL IPM−100」(商品名)
M352:流動パラフィン、カネダ(株)製「ハイコールM352」(商品名)
F810:中鎖脂肪酸(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリド、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、日光ケミカル(株)製「NIKKOLトリエスターF810」(商品名)
LM:冷感刺激成分、L−メントール、東京化成工業(株)製試薬
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガノックス565」(商品名)
J72:軽質流動パラフィン、エクソンモービル(有)製「CARNATION J72」
MG400:ポリエチレングリコール(医薬品添加物規格品)、日油(株)製「マクロゴール400」(商品名)、数平均分子量400
IPP:経皮吸収促進剤、パルミチン酸イソプロピル(医薬部外品)、日光ケミカルズ(株)製「NIKKOL IPP」(商品名)
OA:オレイルアルコール、高級アルコール工業(株)製「オレイルアルコールオレイルアルコールVP」(商品名)
PVP K25:ポリビニルピロリドン、BASFジャパン(株)製「Kollidon 25」(商品名)、重量平均分子量35,000
Q7−9120:シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製「シリコーンフルードQ7−9120」(商品名)、重合度200
Figure 2020075886
Figure 2020075886
表1の結果から、各実施例の皮膚貼付剤は良好な人肌への官能貼付性と剥離性を有していることが確認された。また、表2においては、本発明構成に必須のGAPを使用しない場合に、十分な易剥離性が得られないことが明らかである。

Claims (2)

  1. グリシジルアジドポリマーと、粘着剤成分を含有し、
    前記グリシジルアジドポリマーの含有量が0.1〜20質量%、
    前記粘着剤成分の含有量が80〜99.9質量%である、
    医療用粘着剤組成物。
  2. 請求項1に記載の医療用粘着剤組成物を含有する粘着層を有する、皮膚貼付剤。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114042166A (zh) * 2021-10-18 2022-02-15 常州都铂高分子有限公司 一种医疗用胶水组合物
WO2022168785A1 (ja) * 2021-02-04 2022-08-11 パナソニックIpマネジメント株式会社 化粧料用樹脂組成物、ネイル用樹脂組成物、ジェルネイル用ベースコート剤、およびまつ毛エクステンション用接着剤
WO2024029441A1 (ja) * 2022-08-01 2024-02-08 パナソニックIpマネジメント株式会社 化粧料積層物、カバーコート層、ネイルの製造方法、およびネイル除去方法

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