JP2020073920A - 膵臓がんを診断するための方法 - Google Patents

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S Zaret Kenneth
エス ザレット ケニス
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Abstract

【課題】対象の膵臓がん前駆病変または膵臓がんの存在を決定するための、1つまたは複数のバイオマーカーの使用に関する方法を提供する。【解決手段】対象に由来する1つまたは複数の生体試料を得ること、および1つまたは複数の生体試料中で、MANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665等、およびびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数のバイオマーカーを検出ることを含む、方法を提供する。【選択図】図1−1

Description

優先権の主張
本出願は、2013年6月20日に出願された、米国仮特許出願第61/837,35
8号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み
込まれる。
助成金情報
本発明は、国立衛生研究所から授与された助成金番号R37GM36477に基づく政
府支援でなされたものである。米国政府は、本発明について、ある権利を有する。
膵管腺癌(PDAC)は、予後が不良であり、生存率は5%未満である(Hezelら
、2006;MaitraおよびHruban、2008;Rustgi、2006)。
初期段階で顕著な症状がないため、診断が困難である場合があり、がんが他の臓器に既に
転移してから診断が決定されることが多い。加えて、疾患を初期段階で検出するためのバ
イオマーカーが少なく、PDACは通常、進行期で検出されることになり、治療選択肢が
限定されてしまう。検出が遅れることに加え、膵臓がんは、従来使用される化学療法、放
射線療法、および外科手術に対する応答不良を示す。
バイオマーカーとしての役目を果たすことができる、膵臓がんから分泌されるタンパク
質(Harshaら、2009)は、多くが進行した侵襲性のPDACまたはその細胞系
で特定されており、したがって、疾患の初期段階のマーカーではない場合がある。例えば
、幾つかのタンパク質バイオマーカーが、膵炎および膵臓がんの患者に由来する血清およ
び膵液で特定されている。現在、膵臓がんをモニターするために、血清バイオマーカータ
ンパク質CA−19.9が使用されているが、早期診断には有用ではない(Gattan
iら、1996)。したがって、PanINおよび膵管内乳頭粘液性新生物(IPMN)
等の前がん性病変のマーカーが探索されているが(Bratら、1998;Hruban
ら、2001)、それらマーカーは、特にその初期の潜在的に治癒可能な段階での診断可
能性の向上を提供することができる分泌または放出タンパク質ではなく、典型的には細胞
内または細胞表面タンパク質である(Harshaら、2009)。
PDACの有名な動物モデルは、ヒトPDACで頻繁に生じる突然変異であるKras
のG12D突然変異対立遺伝子をマウス膵臓上皮に誘導することに基づく(Hingor
aniら、2003)。マウスは、潜伏期が長く浸透度が不完全なPDACを有する膵臓
上皮内新生物(PanIN)を発症する。PDACは、これら突然変異だけでは効率的に
引き起こされないが、KrasG12D/+マウスが、Ink4a/Arf、Tgfbr
2、p53、またはPTENの突然変異をさらに含む場合、PDACおよび関連腫瘍は、
非常に迅速に発達する(Morrisら、2010)。初期膵臓がんのヒトモデルを開発
するために、PDAC細胞が、腫瘍断片(Rubio−Viqueiraら、2006)
、分散細胞(Kimら、2009)、またはがん幹細胞マーカーで分類した細胞(Her
mannら、2007;Ishizawaら、2010;Liら、2007)のいずれか
として、免疫不全マウスに移植されている。こうした状況では、該細胞がそれらから由来
し、ゆっくりと成長するPDACの初期PanIN段階を経ない進行性PDAC段階と似
ている腫瘍が迅速に生じる(Dingら、2010)。しかしながら、PDACおよび疾
患進行の初期段階を経るヒト生細胞モデルが必要とされている。
Hezelら、2006 MaitraおよびHruban、2008 Rustgi、2006 Harshaら、2009 Gattaniら、1996 Bratら、1998 Hrubanら、2001 Hingoraniら、2003 Morrisら、2010 Rubio−Viqueiraら、2006 Kimら、2009 Hermannら、2007 Ishizawaら、2010 Liら、2007 Dingら、2010
本開示は、初期から侵襲期の膵臓がんが、対象の生体試料で検出することができるバイ
オマーカーを放出または分泌するという発見に、少なくとも部分的に基づく。したがって
、本開示は、対象の生体試料中に膵臓がんを示すバイオマーカーが存在することを決定す
るための方法を提供する。ある実施形態では、患者の生体試料中に1つまたは複数のバイ
オマーカーが検出されることは、初期から侵襲期の膵臓がんが存在することを示す。した
がって、本開示の方法は、がんの早期予後予測および早期診断(例えば、従来手段による
腫瘍特定の前にバイオマーカーを特定すること)、ならびに対象の療法モニタリングをさ
らに提供する。
1つの態様では、本開示は、対象が前がん性病変を有しているか否か、および進行期膵
臓がんを発症するリスクがあるか否かを評価するための方法であって、対象から得られた
生体試料中のバイオマーカーの存在を決定することを含み、バイオマーカーの存在が、患
者の進行期がん発症リスクが増加している指標である方法を提供する。ある実施形態では
、バイオマーカーの存在は、対象に初期膵臓がんがあることを示す。ある実施形態では、
バイオマーカーの存在は、対象に進行期、侵襲性、および/または転移性の膵臓がんがあ
ることを示す。ある実施形態では、本方法は、対象の原発性腫瘍を特定する前に実施され
る。
また別の態様では、本開示は、対象の膵臓がんを予防、阻害、または治療するための治
療的または予防的療法の効力を評価するための方法であって、療法の前に、対象から得ら
れた生体試料中のバイオマーカーの存在および/またはレベルを決定すること;および治
療的または予防的療法中の1つまたは複数の時点で、対象から得られた生体試料中のバイ
オマーカーの存在および/またはレベルを決定することを含み、第1の試料に比べて、第
2のまたはその後の試料のバイオマーカーのレベルがより低い場合、療法が、対象のがん
を予防、阻害、または治療するのに効果的である方法を提供する。
ある非限定的な実施形態では、生体試料は、血液試料および/または血漿試料であって
もよい。ある実施形態では、生体試料は、糞便試料であってもよい。ある実施形態では、
生体試料は、膵嚢胞から排出される流体であってもよい。他の実施形態では、生体試料は
、組織、例えば組織生検であってもよい。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマ
ーカーは、対象に由来する1つまたは複数の生体試料で検出することができる。糞便、血
漿、および/または血液を生体試料として使用することにより、診断または予後予測手段
の侵襲性を排除し、検査が対象に与える負担を劇的に改善することが可能になる。
ある実施形態では、バイオマーカーはタンパク質であり、タンパク質の存在は、タンパ
ク質と特異的に結合する試薬を使用して検出される。例えば、試薬は、抗体、抗体誘導体
、抗原結合抗体断片、およびタンパク質と特異的に結合する非抗体ペプチドからなる群か
ら選択することができる。ある実施形態では、抗体または抗原結合抗体断片は、モノクロ
ーナル抗体もしくはその抗原結合性断片、またはポリクローナル抗体もしくはその抗原結
合性断片である。ある実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、質量分析法等の生物
物理学的技法により検出することができる。ある実施形態では、タンパク質バイオマーカ
ーは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により検出することができる。
また、バイオマーカーは、転写されたポリヌクレオチドまたはその部分、例えば、mR
NAまたはcDNAであってもよい。ある実施形態では、転写されたポリヌクレオチドの
検出は、転写されたポリヌクレオチドを増幅することを含む。ある実施形態では、核酸バ
イオマーカーは、RNA in situハイブリダイゼーションにより検出することが
できる。
また、本開示は、対象が膵臓がんを有するか否かをモニター、診断、または評価するた
めの、対象の治療的処置をモニターするための、および対象の治療的処置計画の効力を評
価するためのキットであって、生体試料中の分泌または放出バイオマーカーを検出するの
に有用な試薬を含むキットを提供する。
患者の一致する周縁部および膵管腺癌に由来するiPS様系統の樹立を示す図である。A.膵臓がんおよび周縁部組織に由来する細胞を再プログラムした。患者#10に由来する10−12周縁部および10−22がんiPS様クローンの様々な継代が示されている。B、C.免疫染色(B)およびRT−PCR(C)による、10−12周縁部および10−22がんiPS様系統での多能性マーカーの発現。D.10−12周縁部および10−22がんiPS様系統に由来するNSGマウスの3か月奇形腫は、3つの胚葉系統全ての組織への分化を示した(図8Aも参照)。E.12〜14日間培養したH1 huES細胞ならびに10−12周縁部および10−22がんiPS様系統に由来する胚様体における、GAPDHと比べた、内胚葉(CXCR4)、中胚葉(RUNX1)、および外胚葉(SOX1、PAX6)の分化マーカーの発現。エラーバー、平均±SD。F、G.10−22がんiPS様系統(F)でのKRAS突然変異および四倍性未満(subtetraploidy)を示す核型、ならびに10−12周縁部iPS様系統(G)での野生型KRASおよび正常核型を明らかにするDNA配列トラック。H.CDKN2A(p16Ink4a)エクソン2のPCR分析は、10−22細胞でのヘテロ接合性欠失を明らかにする。I.10番目の原発性周縁部細胞(a)および10−12周縁部iPS様系統(b)の正常なプロファイルを示す比較ゲノムハイブリダイゼーション。正常な間質細胞と混合された10番目の原発性がん細胞培養(c)では大規模染色体再編(gross chromosomal rearrangements)が明らかであり、再編は、10−22がんiPS様系統(d)でより明白に明らかであり(図9Bも参照されたい)、10−22系統が、クローン的に派生した代表的な初期腫瘍上皮細胞集団であることを示す。PTENおよびDPC4(SMAD4)遺伝子座の位置は、10番目のがん細胞および10−22細胞での染色体消失の領域に示されている。 10−22iPS様細胞が、奇形腫では腺管構造を優先的に生成することを示す図である。A.観察される組織学的構造の数に基づく、免疫不全マウスにおいて3か月で生じる奇形腫組織タイプの要約。huES細胞に由来する奇形腫は、外観はほとんど外胚葉性であるが、10−12および10−22iPS様系統に由来する奇形腫は、ほとんど内胚葉性/腺管状である。B.患者#10の周縁部および腫瘍組織のH&E染色、および3か月後の10−12周縁部および10−22がんiPS様系統により形成された奇形腫のH&E染色。後者の系統は、継代数とは無関係に、チューブ状の腺管様構造を生成する。注目すべきには、10−22がん奇形腫は、原発腫瘍よりもより遥かに高度な分化を示す。C.原発腫瘍は、侵襲性表現型(点線)および高い核対細胞質比(矢印)を示す。D.3か月の10−22腫瘍iPS奇形腫は、低い核対細胞質比、細胞内ムチン(矢印)およびより分化した表現型を示す。 10−22がんiPS様細胞に由来する3か月の奇形腫が、PanIN様構造およびマーカー発現を示す図である。A〜C.マウス皮下組織(陰性対照)ではK19染色はなく、3か月の10−12周縁部iPS様奇形腫には弱いK19染色があり、3か月の10−22がんiPS様奇形腫には強いK19染色がある。D〜I.3か月の10−22がんiPS様奇形腫にのみ、PDX1の核染色(矢印)およびMUC5ACの細胞質染色(矢印)がある。J、K.より高い倍率では、10−22がんiPS様細胞に由来する奇形腫の均一なK19染色(J、J’、矢印)および不均一なMUC5AC染色(K、K’)が示される。 10−22がんiPS様細胞に由来する6か月および9か月の奇形腫が、侵襲期の膵臓がんを示す図である。A〜B、6か月(A、A’)および9か月(B、B’)での、NSGマウスにおける10−22奇形腫のH&E染色。矢印は、3か月の時よりもより異形成の表現型を有する上皮細胞を示し、核はヘテロタイプであり、低血素性の核を有する上皮が間質に浸潤しつつある(A、B、矢印)。C〜R 10 22細胞を注射したNSGマウスにおいて6か月および9か月で生じる腫瘍中の、K19、MUC5AC、PDX1、およびSOX9に陽性の上皮細胞を示す免疫組織化学的検査。腫瘍中の10−22細胞の遺伝子的確認は、図11Fを参照されたい。 3か月時の10−22iPS様細胞の奇形腫外植片内の分泌されたタンパク質およびHNF4調節ネットワークを示す図である。10−22がんiPS様系統に由来する3か月の奇形腫のin vitro外植片の概略。A〜C.10−22iPS様細胞に由来する奇形腫外植片の全載視(A)、ならびに、切片化され、K19で染色された外植片(B)、およびMUC5AC(C)。矢印は、陽性領域を示す。D.10−22がんiPS様細胞に由来する3つの独立した奇形腫外植片(#7761、9223、および9225)の順化培地のプロテオミクス分析。順化培地を、nanoLC/MS/MSで分析し、タンパク質候補を、IPI DBのSequest探索で特定した。UniProKB TrEMBL(2011年10月にダウンロード)を使用して、ペプチドを、ヒトに特有の配列、またはヒトおよびマウスに共通した配列のいずれかからなるリストに含めた。マウス特異的配列を除外した。奇形腫外植片に由来する順化培地のタンパク質I.D.を、対側性対照組織の外植片に由来する順化培地中のもの、および未分化10−22細胞に由来する培地のものと比較した(左側のベン図)。奇形腫に特異的な合計698個の分泌または放出タンパク質が、3つの異なる実験で示された(右側のベン図)。少なくとも2つの奇形腫外植片から分泌されたタンパク質が、表4および5に要約されており、経路分析に使用した。E.多数のタンパク質が、TGFβおよびインテグリンシグナル伝達の連結された経路に入る。分子を結ぶ線および矢印は、直接的相互作用を示し、点線および矢印は、間接的な相互作用を示す。F.太字のタンパク質は全て、10−22奇形腫外植片から特異的に分泌または放出され、転写因子HNF4αにより制御されるネットワーク内に入る(表9)。星印は、その遺伝子がHNF4αにより直接結合されるタンパク質を示す。 PanIN細胞、およびヒト臨床試料の十分に分化した初期膵臓がん、およびヒトPDACのマウスモデルにおけるHNF4αの活性化を示す図である。A〜D.主なヒト膵臓塊および腺管(A)で染色がないこと、10−22細胞を注射したNSGマウスから生成された3か月の奇形腫におけるPanIN様構造(B、矢印)および9か月の腫瘍における侵襲性細胞(C、矢印)の強力な核染色、ならびに小型の中程度に分化した腺管でのほとんど細胞質の染色(D、対角線より下の画像区画、茶色の破線)、および10番目の患者の膵臓腫瘍上皮の未分化腺管に染色がないこと(D、対角線より上の画像区画)を示すHNF4αの免疫組織化学的検査。E〜I.HNF4αは、ヒトPanIN−1細胞(E、矢印、N=8)では弱く標識され、PanIN2(F、矢印、N=7)、PanIN3(G、矢印、N=3)、および粘液性の十分に分化したヒトPDAC(H、矢印、N=8)では強力に標識されるが、未分化/または分化が不良なヒトPDAC(I、N=8)では、減少または標識されない。J、ヒト組織マイクロアレイにおいて複数のPanINおよびPDAC試料中の、計数された総上皮核に対するHNF4α陽性核の割合(表14を参照)。エラーバー、SEM。HNF4α発現の差は、両側スチューデントt検定によると、周縁部とPanIN−2段階およびPanIN−3段階との間(P<0.05);周縁部と十分に分化したPDACとの間(**P=5.46E−06);十分に分化したPDACと分化不良/未分化のPDACとの間(**P=3.05E−06)では統計的に有意である。K〜P.PDACのマウスモデルでは、HNF4αは、PanIN1(K、K’)では弱く発現され、PanIN2〜3段階(L、L’、M、M’)および腫瘍(PDAC)の分化部分(O、O’)では強力に発現され、同じ腫瘍の未分化部分(P、P’)では弱く発現されるかまたは発現されない。 A〜B.患者#14からのiPS様系統の生成。膵臓周縁部およびがんiPS様系統を患者#14から生成し、NANOG、OCT4、SSEA4については免疫染色(A)で、多能性遺伝子については、qRT−PCR(B)で特徴付けた。C〜D.膵臓周縁部およびがんiPS様系統を患者#19から生成し、OCT4、NANOG、およびTRA−1−60については免疫染色(C)で、多能性については、RT−PCR(D)で特徴付けた。E.胚様体を、14−24周縁部iPS様系統から15日間生成し、qRT−PCRを使用して、分化マーカーの発現を検査した。発現レベルは、Gapdhとの比較である。エラーバーは、平均±SD(E)である。F.奇形腫アッセイは、14−24周縁部および14−27がん系統由来iPS様系統の、多系列細胞への分化を示したが、14−27系統を用いた限定的な実験では、神経誘導体は検出されなかったことに留意されたい。G〜H、核型分析は、14−24周縁部および14−27がんiPS様系統が、二倍性未満を示し(G)、19番目の系統が二倍性を示した(H)。 A.3か月後の10−22がんiPS奇形腫組織での様々な胚葉組織の免疫組織化学的(IHC)分析。H1 huES奇形腫組織を、陽性対照として使用した。グリア線維酸性タンパク質(GFAP)およびベータIIIチューブリンを外胚葉に使用し、ビメンチンおよびMF20を中胚葉に使用し、K19を、内胚葉に使用した。B.NANOG(上段パネル)およびOCT4(下段パネル)の免疫組織化学的染色。陽性対照としてのH1 huES系統および原発性腫瘍#10実験試料を同時に分析した。データは、NANOGが原発性#10腫瘍では発現されず、OCT4が散在性細胞で弱く発現されることを示す。NANOG発現の非存在は、原発腫瘍#10が、膵臓がん幹細胞をほとんど含まなかったという仮説と一致する(Lonardoら、2011)。C.亜硫酸水素塩ピロシーケンスによる、ヒトNANOGおよびOCT4遺伝子の5’上流にある指定のCpG部位(楕円形、転写開始に対して下の位置)における10−12周縁部および10−22がんiPS様系統のCpGメチル化状態の分析。H1 huES細胞に由来するゲノムDNAを陽性対照に使用し、患者#10の親原発性腫瘍に由来するゲノムDNAを陰性対照に使用した。この研究で試験した、NANOGおよびOCT4の上流領域の概略図。PCRで増幅した領域が拡大されている。グラフは、指定のCpG位置でメチル化されたCの割合を示す。NANOGでは、試験した9つのCpG部位全てが、親#10腫瘍DNAではメチル化され、10−22iPS様系統では、H1ヒトES対照細胞で観察されるのと同様に、脱メチル化されていた。OCT4では、497位および532位のCは、10−22iPS様系統では著しい脱メチル化を示したが、161位での脱メチル化は中程度であった。H1対照は、497部位および532部位では、著しくは脱メチル化されなかったが、試験した他の部位では脱メチル化されていた。NANOG遺伝子座のメチル化は、原発性腫瘍#10が、膵臓がん幹細胞を含んでいなかったというさらなる証拠を提供する。 A.10−12周縁部および10−22がんiPS様クローンの核型分析。B.10−12の周縁部、10−22がんiPS様クローンの比較ゲノムハイブリダイゼーションアッセイ。10番目の原発性がんの上皮細胞培養に見られる23個の染色体異常のうち、20個の異常が、緑色および赤色の二重バーにより示されているように、10−22がんiPS様系統に存在した。斜線バーおよび黒塗りバーは、それぞれ原発性のがんまたは細胞系に固有の異常を示す。ch10およびch18については、図1Iを参照されたい。主にがん上皮細胞で構成されるが、間質細胞も含む10番目の原発性がん培養に見られる染色体異常(実線のCGHトレース)は、がん培養に由来するクローンである10−22iPS系統では増幅されている(破線CGHトレース)ことに留意されたい。 A.3か月の10−12周縁部および10−22がん奇形腫腺管構造は、DBAレクチンを発現した。対側性対照皮下脂肪組織を陰性対照として使用し、マウス膵臓を陽性対照として使用した。B〜G.独立したNSGマウスの3か月での10−22がんiPS様系統に由来する奇形腫に由来するPanIN様構造。患者#10の親原発性腫瘍の分化不良な構造(B)と比較して、10−22がんiPS様系統は、初期10−22がんiPS様系統の継代数に関わらず、独立したマウスにおいてPanIN段階を生成した(C〜G)。H.3か月のLCM切除10−22がんiPS奇形腫組織でのrt−TAのPCR。レーザーキャプチャーマイクロダイセクションしたPanIN様腺管、間質、およびマウス腺管でのrt−TAのPCR。上皮細胞は全て、間質細胞を除去する前に領域から除去して、交差汚染の可能性を回避した。I.3か月の10−22がんiPS奇形腫組織に由来するPanIN様上皮および間質細胞でのrt−TAの免疫染色。線維芽細胞遠位領域は、rt−TAに陰性だった。このデータは、奇形腫のPanIN様上皮を取り囲む間質の少なくとも一部が、10−22ヒトiPS様細胞系統に由来することを示す。 A.K19およびMUC5ACに対する抗体の検証。抗ヒトK19の種特異性を、1:2000の希釈率で、マウス皮下組織、マウスおよびヒト膵臓組織で試験した。MUC5AC抗体の特異性を、正常ヒト膵臓および正常ヒト胃で試験した。B〜E 3匹の異なるNSGマウスに3か月で生じた10−22がんiPS奇形腫のPanIN様腺管でのSOX9の免疫染色。陽性対照として、マウス膵臓をSOX9で染色した。マウス膵臓の腺管(矢印)および房心細胞(矢印の先端)のサブセットは、SOX9を中程度に発現した(B〜B’茶色)。島細胞は、SOX9を発現しなかった(B〜B’、破線矢印)。PanIN様腺管は、SOX9を発現した(茶色、矢印、C〜E)。F.10−22がんiPS様系統を注射したNSGマウスから生じた9か月の10−22奇形腫がヒト由来であることを、rt−TAおよびCDKN2AのPCRにより確認した。2匹の異なるマウスに由来する4つの腫瘍で、rt−TA配列およびCDKN2Aの欠失が保存されていた。対側性対照(CLC)組織に由来するDNAを陰性対照に使用した。 A.10−22がんiPS様系統に由来する3か月の奇形腫のin vitro外植片の概略。3つの独立した奇形腫組織を、in vitro培養用に外植した(#7761、9223、および9225)。対側性対照組織および10−22奇形腫組織は、球体を生成した。B.10−22奇形腫のin vitro外植片がヒト由来であることを、rt−TAおよびCDKN2AのRT−PCRにより確認し、10−22iPS様細胞のKRAS G12D突然変異を配列決定することより確認した(図1F〜Hを参照)。C.マウス肝臓組織および正常膵臓でのHNF4α免疫染色の対照試験。HNF4αは、島細胞でのみ発現され、マウス正常膵臓の腺房細胞または腺管細胞では発現されなかった。実線矢印は陽性細胞を示し、破線矢印は陰性細胞を示す。D.3か月の独立したマウスに由来する追加の10−22がんiPS奇形腫組織のHNF4α染色。実線矢印は陽性細胞を示す。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーTCHPの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーABCA13の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーSTARD8の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーATP2A1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーFKBP10の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーSCN8Aの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーTCF20の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーSYNE1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーUFD1Lの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーFLRT3の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーTOP2Bの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーZHX2の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーLIMCH1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーTHBS2の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーSHROOM3の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーHMOX1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーLOXL3の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーOBSCURINの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーMALECTINの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーDNAH5の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーCA19−9の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーAFPの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーRTTNの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーNLRX1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーDNAH12の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーODZ3の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーADAMST9の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーTPM1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーDNAH1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーPMBP1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーDNAH17の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーEPHB1の統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーDOSの統計分析を示す表である。 対照試料および膵臓がん試料中のバイオマーカーMMP2の統計分析を示す表である。
本開示は、対象に由来する生体試料で膵臓がんの存在を検出すると本明細書において特
定された1つまたは複数のバイオマーカーの使用に関する。本開示は、ヒト膵管腺癌(P
DAC)試料から生成されたiPS細胞が、膵臓がんの初期段階を研究するための生細胞
ヒトモデルを提供したという発見に少なくとも部分的に基づく。さらに、本開示は、初期
から侵襲期の膵臓がんが、対象の生体試料、例えば血液において検出可能である特定のタ
ンパク質を放出または分泌したという発見に少なくとも部分的に基づく。
したがって、本開示は、対象の生体試料に膵臓がんの1つまたは複数のバイオマーカー
が存在することを決定するための方法およびキット、ならびにそのようなバイオマーカー
の存在またはレベルを使用して、対象の膵臓がんを予測または診断し、膵臓がんを罹患す
る対象の治療計画を選択し、膵臓がんを罹患する対象を治療する方法あって、生体試料中
の1つもしくは複数のバイオマーカーの存在(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8
、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、2
5、または30個以上)、または対象に応じて別の規定の最小数が、対象に膵臓がんが存
在することを示す方法を提供する。本開示の方法で使用することができるバイオマーカー
は、表4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15に示されている。
ある実施形態では、本開示の方法で使用することができるバイオマーカーには、RTTN
、DNAH12、TPM1、DNAH1、STARD8、ATP2A1、TOP2B、L
IMCH1、SYNE1、THBS2、およびLOXL3が含まれる。
対象の生体試料中に本開示の分泌または放出バイオマーカーを特定することに基づき、
腫瘍形成が発生または特定される前であっても、対象の膵臓がんの診断をなすことができ
、したがって、対象の予防的療法が可能になる。例えば、さらなるまたはより頻繁なモニ
タリング、生検、外科的切除、または腫瘍形成を予防するかまたは非常に早期にがんを特
定するための他の予防的方策を、生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーを検出す
ることに基づいて実施することができる。
さらに、1つまたは複数のバイオマーカーの存在および/またはレベルを、療法のコー
スにわたって評価することにより、がん療法の有効性をモニターすることができ、こうし
た評価に基づいて、療法のタイプ、継続期間、およびコースに関して意思決定を行うこと
ができる。
ある実施形態では、本明細書に記載のように、生体試料中のバイオマーカーの存在を検
査されている対象は、膵臓がんを発症するリスクが高い対象であり得る。ある実施形態で
は、対象は、例えば、家族歴または遺伝的疾病素質の決定に基づいて、膵臓がんの発症リ
スクが高い。例えば、それらの知見は、遺伝性膵臓がんを有する親族を有する対象を含む
、膵臓がんのリスクが高い個体の管理に示唆を有する。初期段階の膵臓がんからバイオマ
ーカーが分泌または放出されることを特定することに基づくと、後期侵襲性の膵臓がんを
検出する前の時期に、ハイリスク対象に予防的療法を施す格好のチャンスが存在する。
膵臓がんを有する患者の大多数は、現行の方法を使用した診断時には転移性疾患を有し
ているため、本明細書で例示されているように、本開示を使用して、膵管腺癌(PDAC
)を診断することができる。はっきりとした外科的周縁部を有し、転移の証拠のない小さ
な膵臓腫瘍の外科的切除を受けた患者の75%超が、5年以内に転移性疾患で死亡してお
り(Neoptolemosら、2004)、この知見は、初期拡散と一致している。さ
らに、転移性PDACは、慢性膵炎の膵切除術を受け、切除された膵臓の組織学的分析に
より、PanIN病変のみが明らかになった患者のコホートで記録されている(Sako
rafasおよびSarr、2003)。したがって、非常に早期の診断および治療が重
要である。
定義
本明細書で使用される場合、単語「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、特
許請求の範囲および/または明細書にて、用語「含む(comprising)」、「含
む(comprise)」、「含む(includes)」、または「含む(inclu
ding)」と共に使用される場合、「1つ」を意味していてもよいが、「1つまたは複
数」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」の意味とも一致する。本開示のある実施
形態は、本発明の1つもしくは複数の要素、方法ステップ、および/または方法からなっ
てもよく、あるいはから本質的になってよい。本明細書に記載の任意の方法または組成物
は、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に関して実施することができることが
企図される
本明細書で使用される場合、用語「バイオマーカー」は、その初期段階の疾患を検出す
ることを含む、個体の疾患の検出を可能にするマーカー(例えば、mRNAおよび/また
はタンパク質を含む、発現遺伝子)を指す。本明細書で使用される場合、バイオマーカー
には、表4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15に示されている
核酸マーカーおよび/もしくはタンパク質マーカー、またはそれらの組み合わせが含まれ
る。ある非限定的な実施形態では、バイオマーカーは、対象の生体試料で検出することが
できる放出および/または分泌タンパク質である。ある実施形態では、検査される個体に
由来する組織試料または生体試料中のmRNAおよび/またはタンパク質レベルにより決
定されるバイオマーカーの発現レベルは、同じ個体または別の健常個体に由来する正常組
織試料または生体試料中のそれぞれのレベルと比較される。ある実施形態では、検査され
る個体に由来する組織試料または生体試料中のmRNAおよび/またはタンパク質レベル
により決定されるバイオマーカーの存在は、同じ個体または別の健常個体に由来する正常
組織試料または生体試料中のそれぞれの存在または非存在と比較される。ある実施形態で
は、個体に由来する組織試料または生体試料中のmRNAおよび/またはタンパク質レベ
ルにより決定されるバイオマーカーの存在は、個体が膵臓がんを有するか、または後期膵
臓がんに進行するリスクが高いことを示す。
本明細書で使用される場合、用語「生体試料」は、組織、組織試料、細胞試料、腫瘍試
料、糞便試料、および生体液、例えば、血漿、血清、血液、尿、リンパ液、腹水、膵嚢胞
液、および乳頭吸引液を含む、対象、例えばヒト対象から得られる生体材料の試料を指す
。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーの存在は、対象から得られる末梢
血試料で決定される。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーの存在は、対
象から得られる糞便試料で検出される。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマー
カーの存在は、対象から得られる膵嚢胞液で検出される。ある実施形態では、1つまたは
複数のバイオマーカーの存在は、対象から得られる1つまたは複数の血漿試料で検出され
る。
用語「患者」または「対象」は、本明細書では同義的に使用され、任意の温血動物、例
えばヒトを指す。非ヒト対象の非限定的な例には、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、
ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ブタ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ等が含まれる
本明細書に記載の用語「膵臓がん」は、これらに限定されないが、PanIN病変、膵
管腺癌、または膵臓腺癌を含む、膵臓の正常組織から生じる任意のタイプのがん組織また
は前がん性組織を指す。他のタイプの膵臓腫瘍には、腺房細胞癌、漿液性嚢胞腺腫、およ
び膵内分泌腫瘍が含まれる。ある実施形態では、本開示のバイオマーカーは、胆道がんお
よび肝臓がん等のがんを検出するために使用することができる。
本明細書で使用される場合、「切除可能ながん」は、初期段階にあり、外科的に切除す
ることができるがんのサブセットを指す。例えば、限定ではなく、膵臓がんの病期IA、
IB、およびIIAは、典型的には切除可能である。
用語「初期がん」は、本明細書で使用される場合、転移および/または器官血管外漏出
前のがんを指す。例えば、限定ではなく、膵臓がんに関して、初期がんは、病期IA、I
B、およびIIAを含むことができる。
予後予測および診断方法
本開示の実施形態は、対象の膵臓がんを診断するための方法に関する。ある実施形態で
は、対象の前立腺がんを診断するための方法であって、対象から生体試料を得ること、生
体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定すること、および対象の膵臓が
んを診断することを含み、1つまたは複数のバイオマーカーの存在が、対象の膵臓がんの
確定診断と相関する方法が開示されている。本開示の方法で使用することができるバイオ
マーカーは、表4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15に示され
ている。
ある実施形態では、対象の膵臓がんを診断するための方法は、少なくとも1つの生体試
料を対象から得ることを含む。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーは、
血液(血漿または血清を含む)または糞便(例えば、糞便試料)で検出することができる
。またはその代わりに、少なくとも1つのバイオマーカーは、1つの試料で、例えば血液
、血漿、血清で検出することができ、少なくとも1つの他のバイオマーカーは、別の試料
、例えば糞便で検出される。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーは、組
織試料で検出される。例えば、生体試料は、腫瘍生検であってもよい。ある実施形態では
、1つまたは複数のバイオマーカーは、膵嚢胞液で検出される。生体試料を収集するステ
ップは、任意の好適な技法により、直接的または間接的のいずれかで実施することができ
る。例えば、対象に由来する血液試料は、静脈切開または他の好適な技法により実施する
ことができ、本開示主題の方法で使用するために、血液試料をさらに処理して、血清試料
または他の好適な血液画分、例えば血漿を提供することができる。
ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーを検出するための方法を使用して
、対象の応答をモニターし、予防的または治療的処置(例えば、予防的がん治療または診
断されたがんの治療)を行うことができる。ある実施形態では、本開示は、第1の時点に
て対象中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を測定すること、治療剤を投与するこ
と、第2の時点にて1つまたは複数のバイオマーカーを再度測定すること、第1および第
2の測定の結果を比較すること、および任意選択で比較に基づいて治療計画を変更するこ
とを含む、治療法をさらに提供する。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカ
ーは、MANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA
1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、T
CHP、IPI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF1
60、RTTN、ABCA13、DES、IMMT、TPM1、SNRPE、VCAM1
、GRB2、SHROOM3、HMOX1、POSTN、MMP10、MMP−2、TH
BS2、EWSR1、NOD1、ADAMTS9、AFP、SYNE1、SYNE2、E
PHB1、UFD1L、TEAD1、RYR3、CMYA5、MYLK、TOP2B、K
IAA1109、ODZ3、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、E
RP29、OBSCN、LOXL3、MLEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12
、DNAH17、SCYL2、FKBP10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZN
F804A、ACTN2またはそれらの組み合わせから選択される。ある実施形態では、
1つまたは複数のバイオマーカーは、RTTN、DNAH12、TPM1、DNAH1、
STARD8、ATP2A1、TOP2B、LIMCH1、SYNE1、THBS2、L
OXL3、またはそれらの組み合わせから選択される。
ある実施形態では、第1の時点は、治療剤の投与前であり、第2の時点は、前記治療剤
の投与後である。ある実施形態では、第1の時点は、対象に治療剤を最初に投与する前で
ある。ある実施形態では、用量(任意の1回の投与で投与される治療剤の量と定義される
)は、該比較に応じて増加または減少される。ある実施形態では、投薬間隙(連続した投
与間の時間として定義される)は、該比較に応じて増加または減少され、治療の完全中止
が含まれる。
本開示のある実施形態では、対象の膵臓がんを診断、予後予測、またはスクリーニング
するための方法は、(a)対象から生体試料を得ること、(b)表4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、15、またはそれらの組み合わせから選択される、対象の
生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを決定すること、および(c)1
つまたは複数のバイオマーカーのレベルを、基準試料と比較することを含み、1つまたは
複数のバイオマーカーのレベルの増加が、対象に膵臓がんが存在することを示す。ある実
施形態では、基準試料は、例えば、対象の正常生体試料から、例えば隣接する良性組織か
ら、または膵臓がんを有していない対象から得ることができる。
本開示のある実施形態では、対象の膵臓がんを診断、予後予測、またはスクリーニング
するための方法は、(a)対象から生体試料を得ること、(b)表4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、15、もしくはそれらの組み合わせから選択される、対象
の生体試料中の1つもしくは複数のバイオマーカーの存在および/またはレベルを決定す
ることを含み、1つまたは複数のバイオマーカーの検出が、対象に膵臓がんが存在するこ
とを示す。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、1つ
または複数のバイオマーカーには、TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路の1つまた
は複数のバイオマーカーが含まれる。ある実施形態では、1つまたは複数のTGFβ/イ
ンテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーには、これらに限定されないが、DES、I
MMT、TPM1、SNRPE、VCAM1、GRB2、SHROOM3、HMOX1、
POSTN、MMP10、MMP−2、THBS2、EWSR1、NOD1、ADAMT
S9、AFP、SYNE1、SYNE2、EPHB1、UFD1L、TEAD1、RYR
3、CMYA5、MYLK、TOP2Bまたはそれらの組み合わせが含まれる。ある実施
形態では、1つまたは複数のTGFβ/インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは
、SYNE1、THBS2、TOP2B、TPM1、またはそれらの組み合わせである。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、1つ
または複数のバイオマーカーには、HNF4α転写ネットワーク経路の1つまたは複数の
バイオマーカーが含まれる。ある実施形態では、1つまたは複数のHNF4α転写ネット
ワーク経路バイオマーカーには、これらに限定されないが、OBSCN、LOXL3、M
LEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12、DNAH17、SCYL2、FKBP
10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZNF804A、ACTN2、またはそれら
の組み合わせが含まれる。ある実施形態では、1つまたは複数のHNF4α転写ネットワ
ーク経路バイオマーカーは、LOXL3、DNAH12、DNAH1、またはそれらの組
み合わせであってもよい。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、バイ
オマーカーは、RAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路から選択される1
つまたは複数のバイオマーカーを含む。ある実施形態では、1つまたは複数のRAS/p
53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマーカーには、これらに限定されない
が、KIAA1109、ODZ3、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF2
0、ERP29、またはそれらの組み合わせが含まれる。ある実施形態では、1つまたは
複数のRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマーカーは、LIM
CH1である。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、バイ
オマーカーは、MANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、
KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SU
RP、TCHP、IPI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、
ZNF160、RTTN、ABCA13、またはそれらの組み合わせから選択される1つ
または複数のバイオマーカーを含む。ある実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカ
ーは、STARD8(DLC3)、ATP2A1、RTTN、またはそれらの組み合わせ
である。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、バイ
オマーカーは、MANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、
KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SU
RP、TCHP、IPI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、
ZNF160、RTTN、ABCA13、DES、IMMT、TPM1、SNRPE、V
CAM1、GRB2、SHROOM3、HMOX1、POSTN、MMP10、MMP−
2、THBS2、EWSR1、NOD1、ADAMTS9、AFP、SYNE1、SYN
E2、EPHB1、UFD1L、TEAD1、RYR3、CMYA5、MYLK、TOP
2B、KIAA1109、ODZ3、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF
20、ERP29、OBSCN、LOXL3、MLEC、DNAH1、DNAH5、DN
AH12、DNAH17、SCYL2、FKBP10、FLRT3、ZHX2(AFR1
)、ZNF804A、ACTN2またはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複
数のバイオマーカーを含む。
本開示のある実施形態では、対象の膵臓がんを診断、予後予測、またはスクリーニング
するための方法は、対象から生体試料を得ること、およびRTTN、DNAH12、TP
M1、DNAH1、STARD8、ATP2A1、TOP2B、LIMCH1、SYNE
1、THBS2、LOXL3、もしくはそれらの組み合わせから選択される、対象の生体
試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、1つまたは複数
のバイオマーカーの検出は、対象に膵臓がんが存在することを示す。
本開示のある実施形態では、本明細書に記載のバイオマーカー、ならびに表4、5、6
、7、8、9、10、11、12、13、および15に示されているバイオマーカーは、
上述のように個々に、または少なくとも2つのバイオマーカー、少なくとも3つのバイオ
マーカー、少なくとも4つのバイオマーカー、少なくとも5つのバイオマーカー、少なく
とも6つのバイオマーカー、少なくとも7つのバイオマーカー、もしくは少なくとも8つ
のバイオマーカーを含む一団で検出することができる。例えば、一団での検査で使用され
る場合、任意選択で、少なくとも2つのバイオマーカーのレベルを、対象から得られた同
じ血液試料から検査することができ(例えば、患者から得られた同じ血液試料中の種々の
バイオマーカーの定量または量を検出することにより)、または対象から得られた異なる
血液試料中で検査することができる。一団での検査で組み合わせる場合、一団での検査は
、2、3、4、5、6、10、15、20、25、35個以上の異なるバイオマーカー各
々の存在および/またはレベルを決定することを含むことができる。一団での検査で複数
のバイオマーカーを組み合わせることは、一団の1つの特定のメンバーに異常値が見出さ
れても、偽陽性および偽陰性の数を減らす役目をする。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の2つ以上のバイオマーカーの存在を決定す
ることを含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:
TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路およびHNF4α転写因子ネットワークの各々
から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。TGFβ/インテグリンシグナ
ル伝達経路およびHNF4α転写因子ネットワークバイオマーカーの非限定的な例は、上
記にならびに表4〜13および15に記載されている。ある実施形態では、少なくとも1
つのTGFβ/インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは、SYNE1、THBS
2、TOP2B、TPM1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態で
は、少なくとも1つのHNF4α転写ネットワーク経路バイオマーカーは、LOXL3、
DNAH12、DNAH1、またはそれらの組み合わせであってもよい。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の2つ以上のバイオマーカーの存在を決定す
ることを含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:
TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路およびRAS/p53/JUN/CTNB1シ
グナル伝達経路の各々から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。TGFβ
/インテグリンシグナル伝達経路およびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝
達経路バイオマーカーの非限定的な例は、上記にならびに表4〜13および15に記載さ
れている。ある実施形態では、少なくとも1つのTGFβ/インテグリンシグナル伝達経
路バイオマーカーは、SYNE1、THBS2、TOP2B、TPM1、またはそれらの
組み合わせであってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのRAS/p53/JU
N/CTNB1シグナル伝達経路バイオマーカーは、LIMCH1であってもよい。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の2つ以上のバイオマーカーの存在を決定す
ることを含み、一団のバイオマーカーは、TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路から
選択される少なくとも1つのバイオマーカー、およびMANF、ZNF485、IMPA
1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8
(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD
51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、またはそ
れらの組み合わせから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態
では、少なくとも1つのTGFβ/インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは、S
YNE1、THBS2、TOP2B、TPM1、またはそれらの組み合わせであってもよ
い。ある実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、STARD8(DLC3)
、ATP2A1、RTTN、またはそれらの組み合わせであってもよい。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の2つ以上のバイオマーカーの存在を決定す
ることを含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:
HNF4α転写因子ネットワークおよびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝
達経路の各々から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。HNF4α転写因
子ネットワークおよびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマー
カーの非限定的な例は、上記にならびに表4〜13および15に記載されている。ある実
施形態では、少なくとも1つのHNF4α転写ネットワーク経路バイオマーカーは、LO
XL3、DNAH12、DNAH1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実
施形態では、少なくとも1つのRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バ
イオマーカーは、LIMCH1であってもよい。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の2つ以上のバイオマーカーの存在を決定す
ることを含み、一団のバイオマーカーは、RAS/p53/JUN/CTNB1シグナル
伝達経路から選択される少なくとも1つのバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF4
85、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS
、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026
665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およびA
BCA13から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態では、
少なくとも1つのRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマーカー
は、LIMCH1であってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカー
は、STARD8(DLC3)、ATP2A1、RTTN、またはそれらの組み合わせで
あってもよい。
本開示のある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由
来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の2つ以上のバイオマーカーの存在を決定す
ることを含み、一団のバイオマーカーは、HNF4α転写因子ネットワークから選択され
る少なくとも1つのバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMPA1、S
VEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DL
C3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD51C
、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およびABCA13から選択さ
れる少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態では、少なくとも1つのHN
F4α転写ネットワーク経路バイオマーカーは、LOXL3、DNAH12、DNAH1
、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのバイ
オマーカーは、STARD8(DLC3)、ATP2A1、RTTN、またはそれらの組
み合わせであってもよい。
本開示のある実施形態では、対象の膵臓がんを診断、予後予測、またはスクリーニング
するための方法は、対象に由来する試料中の3つ以上または4つ以上のバイオマーカーの
存在を決定することを含む。例えば、限定ではないが、膵臓がんを有する対象を診断する
ための方法は、対象に由来する生体試料中の一団のバイオマーカー中の3つ以上のバイオ
マーカーの存在を決定することを含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経
路またはネットワーク:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、HNF4α転写因子
ネットワーク、およびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路の各々から
選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態では、少なくとも1つ
のTGFβ/インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは、SYNE1、THBS2
、TOP2B、TPM1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では
、少なくとも1つのHNF4α転写ネットワーク経路バイオマーカーは、LOXL3、D
NAH12、DNAH1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では
、少なくとも1つのRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマーカ
ーは、LIMCH1であってもよい。
ある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の一団のバイオマーカー中の3つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを
含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ
/インテグリンシグナル伝達経路およびHNF4α転写因子ネットワークの各々から選択
される少なくとも1つのバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMPA1
、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(
DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD5
1C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およびABCA13から選
択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態では、少なくとも1つの
TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは、SYNE1、THBS2、
TOP2B、TPM1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では、
少なくとも1つのHNF4α転写ネットワーク経路バイオマーカーは、LOXL3、DN
AH12、DNAH1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では、
少なくとも1つのバイオマーカーは、STARD8(DLC3)、ATP2A1、RTT
N、またはそれらの組み合わせであってもよい。
ある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の一団のバイオマーカー中の3つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを
含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:HNF4
α転写因子ネットワークおよびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路の
各々から選択される少なくとも1つのバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF485
、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、S
TARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI0002666
5、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およびABC
A13から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態では、少な
くとも1つのRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマーカーは、
LIMCH1であってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのHNF4α転写ネッ
トワーク経路バイオマーカーは、LOXL3、DNAH12、DNAH1、またはそれら
の組み合わせであってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、
STARD8(DLC3)、ATP2A1、RTTN、またはそれらの組み合わせであっ
てもよい。
ある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の一団のバイオマーカー中の3つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを
含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ
/インテグリンシグナル伝達経路およびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝
達経路の各々から選択される少なくとも1つのバイオマーカー、ならびにMANF、ZN
F485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、D
OS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI000
26665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およ
びABCA13から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。ある実施形態で
は、少なくとも1つのRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路バイオマー
カーは、LIMCH1であってもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのTGFβ/
インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは、SYNE1、THBS2、TOP2B
、TPM1、またはそれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態では、少なくとも
1つのバイオマーカーは、STARD8(DLC3)、ATP2A1、RTTN、または
それらの組み合わせであってもよい。
ある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の一団のバイオマーカー中の4つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを
含み、一団のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ
/インテグリンシグナル伝達経路、HNF4α転写因子ネットワーク、およびRAS/p
53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路の各々から選択される少なくとも1つのバイ
オマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA16
71、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U
2SURP、TCHP、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RT
TN、およびABCA13またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのバ
イオマーカーを含む。ある実施形態では、少なくとも1つのRAS/p53/JUN/C
TNB1シグナル伝達経路バイオマーカーは、LIMCH1であってもよい。ある実施形
態では、少なくとも1つのTGFβ/インテグリンシグナル伝達経路バイオマーカーは、
SYNE1、THBS2、TOP2B、TPM1、またはそれらの組み合わせであっても
よい。ある実施形態では、少なくとも1つのHNF4α転写ネットワーク経路バイオマー
カーは、LOXL3、DNAH12、DNAH1、またはそれらの組み合わせであっても
よい。ある実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、STARD8(DLC3
)、ATP2A1、RTTN、またはそれらの組み合わせであってもよい。
ある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の一団のバイオマーカー中の6つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを
含む。例えば、限定ではないが、6つ以上のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路
またはネットワーク:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、HNF4α転写因子ネ
ットワーク、RAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路、もしくはそれらの
組み合わせから選択さすることができ、および/またはMANF、ZNF485、IMP
A1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD
8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、RAD51C、ATP2A1、
NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、もしくはそれらの組み合わせから
選択することができる。ある実施形態では、本方法は、対象に由来する生体試料中の一団
のバイオマーカー中の6つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを含み、一団のバ
イオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ/インテグリン
シグナル伝達経路、HNF4α転写因子ネットワーク、およびRAS/p53/JUN/
CTNB1シグナル伝達経路の各々から選択される少なくとも2つのバイオマーカーを含
む。
ある実施形態では、膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の一団のバイオマーカー中の8つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを
含む。例えば、限定ではないが、8つ以上のバイオマーカーは、以下のシグナル伝達経路
またはネットワーク:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、HNF4α転写因子ネ
ットワーク、RAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路、もしくはそれらの
組み合わせから選択さすることができ、および/またはMANF、ZNF485、IMP
A1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD
8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、RAD51C、ATP2A1、
NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、もしくはそれらの組み合わせから
選択することができる。ある実施形態では、本方法は、対象に由来する生体試料中の一団
のバイオマーカー中の8つ以上のバイオマーカーの存在を決定することを含み、一団のバ
イオマーカーは、以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ/インテグリン
シグナル伝達経路、HNF4α転写因子ネットワーク、およびRAS/p53/JUN/
CTNB1シグナル伝達経路の各々から選択される少なくとも2つのバイオマーカー、な
らびにMANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA
1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、T
CHP、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およびA
BCA13から選択される少なくとも2つのバイオマーカーを含む。
本開示は、初期段階のがん(例えば、切除可能ながん)または進行期の癌(侵襲性およ
び/または転移性がん)を有する対象を識別診断するための方法をさらに提供する。ある
実施形態では、進行期膵臓がんを有する対象を診断するための方法は、対象に由来する生
体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在を決定することを含み、1つまたは複
数のバイオマーカーの検出は、対象が転移性膵臓がんを有することの指標である。例えば
、限定ではないが、1つまたは複数のバイオマーカーには、DNAH12、DNAH1、
STARD8、ATP2A1、TOP2B、THBS2、またはそれらの組み合わせが含
まれていてよい。
ある実施形態では、初期段階のおよび/または切除可能な膵臓がんを有する対象を診断
するための方法は、対象に由来する生体試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在
を決定することを含み、1つまたは複数のバイオマーカーの検出は、対象が初期段階のお
よび/または切除可能な膵臓がんを有することの指標である。例えば、限定ではないが、
1つまたは複数のバイオマーカーには、RTTN、DNAH12、TPM1、DNAH1
、STARD8、ATP2A1、TOP2B、SYNE1、THBS2、LOXL3、ま
たはそれらの組み合わせが含まれていてよい。
ある実施形態では、医師は、本明細書に記載の方法により提供される情報を使用して、
処置(例えば、予防的または治療的)の最も有効なコースを決定することができる。治療
のコースは、膵臓がんの発症リスク増加の評価がなされた後で、患者のために取られる方
策を指す。例えば、対象ががんを発症するリスクが高いと特定される場合、医師は、バイ
オマーカーを検出するための頻繁なモニタリングが予防策として必要であるか否かを決定
することができる。また、対象が膵臓がんを有すると決定された場合(例えば、対象に由
来する生体試料中に1つまたは複数のバイオマーカーが存在することに基づき)、そのよ
うな検出後に、生検、外科処置、化学療法、放射線、免疫療法、生物学的修飾因子療法(
biological modifier therapy)、遺伝子療法、およびワク
チン等を行うこと、または患者が治療される期間を調節することが有利であり得る。
バイオマーカー検出
本開示の方法で使用されるバイオマーカーは、当技術分野で公知の任意の方法を使用し
て生体試料で特定することができる。バイオマーカー、タンパク質、もしくはその分解産
物の存在、mRNAもしくは前躯体mRNAの存在、あるいはバイオマーカー発現を示す
任意の生体分子もしくは産物またはその分解産物の存在の決定は、本明細書に記載の、ま
たは当技術分野で公知の任意の方法により、本開示の方法で使用するために実施すること
ができる。
タンパク質検出技法
タンパク質バイオマーカーを検出するための方法は、当業者に周知であり、これらに限
定されないが、質量分析法技法、1Dまたは2Dゲルに基づく分析システム、クロマトグ
ラフィー、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射線免疫測定法(RIA)、酵素
免疫測定法(EIA)、ウエスタンブロッティング、免疫沈降法、および免疫組織化学法
が含まれる。これらの方法では、タンパク質を検出するための抗体もしくは抗体等価物が
使用されるか、または生物物理学的技法が使用される。抗体アレイまたはタンパク質チッ
プを用いることもできる。例えば、米国特許出願第2003/0013208(A1)号
;第2002/0155493(A1)号、第2003/0017515号、ならびに米
国特許第6,329,209号および第6,365,418号を参照されたい。これらの
文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
ELISAおよびRIA手順は、以下のように実施される:バイオマーカー標準物質を
標識し(125Iまたは35S等の放射性同位体で、または西洋ワサビペルオキシダーゼ
もしくはアルカリホスファターゼ等のアッセイ可能な酵素で)、未標識試料と一緒に、対
応する抗体と接触させ、二次抗体を使用して第1の抗体と結合させ、放射活性または固定
化酵素をアッセイする(競合アッセイ)。あるいは、試料中のバイオマーカーを、対応す
る固定化抗体と反応させ、放射性同位体または酵素で標識した抗バイオマーカー抗体を、
その系と反応させ、放射活性または酵素をアッセイする(ELISAサンドイッチアッセ
イ)。他の従来法も好適なものとして用いることができる。
上記の技法は、本質的に「1段階」または「2段階」アッセイとして実施することがで
きる。「1段階」アッセイは、抗原を固定化抗体と接触させ、洗浄せずに、混合物を標識
抗体と接触させることを含む。「2段階」アッセイは、混合物を標識抗体と接触させる前
に洗浄することを含む。他の従来法を好適なものとして用いることもできる。
ある実施形態では、バイオマーカー発現を測定するための方法は、生体試料、例えば血
液および/または血漿を、バイオマーカーと選択的に結合する抗体またはその変異体(例
えば、断片)を接触させるステップ、ならびに抗体またはその変異体が試料と結合してい
るか否かを検出するステップを含む。方法は、試料を二次抗体、例えば標識抗体と接触さ
せることをさらに含んでいてもよい。方法は、例えば1つまたは複数の試薬を除去するた
めの1つまたは複数の洗浄ステップをさらに含んでいてもよい。
アッセイ系の1つの成分を支持体に固定化し、それにより、その成分をその系の他の成
分と接触させ、手間や時間を必要とする労力をかけることなく容易に取り出すことが望ま
しい場合がある。第1の相から離れた第2の相を固定化することが可能であるが、通常は
1つの相で十分である。
酵素自体を支持体に固定化することが可能であるが、固相酵素が必要な場合、一般的に
、抗体と結合させ、その抗体を支持体と結合させることにより、それを達成するのが最良
であり、そのためのモデルおよび系は当技術分野で周知である。単純なポリエチレンは、
好適な支持体を提供することができる。
標識化に用いることができる酵素は、特に限定されないが、例えば、オキシダーゼ群の
メンバーから選択することができる。オキシダーゼは、それらの基質と反応することによ
り過酸化水素の産生を触媒する。安定性が良好で、入手が容易で、安価であり、ならびに
その基質(グルコース)が容易に入手できるため、グルコースオキシダーゼが使用される
ことが多い。オキシダーゼの活性は、当技術分野で周知の制御条件下で酵素標識抗体を基
質と反応させた後、形成された過酸化水素の濃度を測定することによりアッセイすること
ができる。
他の技法を使用して、本開示に基づき開業医の選択に従ってバイオマーカーを検出する
ことができる。バイオマーカータンパク質レベルを検出および定量化するために使用する
ことができる1つのそのような技法は、ウエスタンブロッティングである(Towbin
ら、Proc.Nat.Acad.Sci.76巻:4350頁(1979))。細胞を
、凍結し、溶解緩衝液中でホモジナイズし、溶解産物を、SDS−PAGEにかけ、ニト
ロセルロースフィルター等の膜にブロッティングすることができる。その後、抗体(未標
識)を膜と接触させ、標識プロテインAまたは抗免疫グロブリン(125I、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼを含む好適な標識)等の、二次免疫学
的試薬によりアッセイする。クロマトグラフィー検出も使用することができる。ある実施
形態では、免疫検出は、高感度化学発光系(例えば、PerkinElmer Life
Sciences社製、ボストン、マサチューセッツ州)を使用して、バイオマーカー
に対する抗体を用いて実施することができる。その後、膜をストリップし、対照抗体、例
えば、Sigma社製(セントルイス、ミズーリ州)の抗アクチン(A−2066)ポリ
クローナル抗体で再度ブロッティングすることができる。
免疫組織化学法を使用して、例えば生検試料中のバイオマーカーの発現および/存在を
検出することができる。好適な抗体を、例えば細胞の薄層と接触させ、その後洗浄して未
結合抗体を除去し、次に第2の標識抗体と接触させる。標識化は、蛍光マーカー、ペルオ
キシダーゼ等の酵素、アビジン、または放射性標識によることができる。アッセイは、顕
微鏡観察を使用して視覚的にスコア化し、結果を定量化することができる。
また、他の機械または自動画像化システムを使用して、バイオマーカーの免疫染色結果
を測定することができる。本明細書で使用される場合、「定量的」免疫組織化学法は、免
疫組織化学法を行った試料を走査およびスコア化して、抗原または他のタンパク質等の特
定のバイオマーカーの存在を特定および定量化するための自動化された方法を指す。試料
に与えられたスコアは、試料の免疫組織化学的染色の強度の数値表現であり、試料の中に
存在する標的バイオマーカーの量を表わす。本明細書で使用される場合、光学密度(OD
)は、染色の強度を表わす数値スコアである。本明細書で使用される場合、半定量的免疫
組織化学法は、人間の目により免疫組織化学結果をスコア化することを指し、結果は、訓
練された作業者が数的にランク付けする(例えば、1、2、または3として)。
免疫組織化学法での使用に好適な種々の自動化試料処理、走査、および分析システムが
、当技術分野で利用可能である。そのようなシステムには、自動染色(例えば、Benc
hmarkシステム、Ventana Medical Systems,Inc.社)
および顕微走査、コンピュータ化画像分析、連続切片比較(試料の配向性およびサイズの
変動を制御するため)、デジタルレポート作成、および試料(組織切片が配置されるスラ
イド等)の保管および追跡が含まれる。免疫染色した試料を含む細胞および組織の定量分
析を行うための、従来の光学顕微鏡をデジタル画像処理システムと組み合わせた細胞画像
システムが商業的に入手可能である。例えば、CAS−200システム(Becton,
Dickinson&Co.社)を参照されたい。
また、バイオマーカーに対する抗体を、例えば、対象の細胞中のバイオマーカーの存在
を検出するための画像化目的に使用することができる。好適な標識には、放射性同位体、
ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)
、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)、フルオレセインおよ
びローダミン等の蛍光標識、ならびにビオチンが含まれる。免疫酵素的相互作用は、ペル
オキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の様々な酵素、またはDAB、AECもしくは
Fast Red等の様々な色原体を使用して視覚化することができる。
抗体は、それ自体は身体外部から検出可能ではなく、したがって、in vivo画像
化のためには、検出が可能になるように標識化しなければならないか、またはそうでなけ
れば修飾しなければならない。そのためのマーカーは、抗体結合を実質的に妨害しないが
、外部検出を可能にするものであれば何でもよい。好適なマーカーには、X線撮影、NM
R、またはMRIにより検出することができるものが含まれ得る。X線撮影技法の場合、
好適なマーカーには、検出可能な放射線を放射するが、対象に過度に有害ではない、例え
ばバリウムまたはセシウム等の、任意の放射性同位体が含まれる。NMRおよびMRIに
好適なマーカーには、一般的に、例えば、関連ハイブリドーマの栄養素を適切に標識化す
ることにより抗体に組み込むことができる、重水素等の検出可能な特徴的スピンを有する
ものが含まれる。
対象の大きさ、および使用される画像システムにより、診断画像を生成するために必要
とされる画像化部分の量が決定されることになる。放射性同位体部分の場合、ヒト対象で
は、注入される放射活性の量は、通常、約5から20ミリキュリーまでの範囲のテクネチ
ウム−99mであろう。
その後、標識抗体または抗体断片は、バイオマーカーを含有する細胞の位置で優先的に
蓄積することになる。その後、標識抗体またはその変異体、例えば抗体断片は、公知の技
法を使用して検出することができる。抗体には、天然または合成、全長またはその断片、
モノクローナルまたはポリクローナルに関わらず、検出しようとするバイオマーカーと十
分に強く特異的に結合するあらゆる抗体が含まれる。抗体は、最大で約10−6M、10
−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12MのK
有することができる。語句「特異的に結合する」は、例えば、同一または類似のエピトー
プ、抗原、もしくは抗原決定基の第2の調製物を結合が置換または競合することができる
ように、抗体が、エピトープまたは抗原もしくは抗原決定基と結合することを指す。
使用することができる抗体およびその誘導体は、ポリクローナルもしくはモノクローナ
ル抗体、キメラ、ヒト、ヒト化、霊長類化(CDRグラフト)、ベニアまたは単鎖抗体、
ファージ産生抗体(phase produced antibody)(例えば、ファ
ージディスプレイライブラリに由来する)、ならびに抗体の機能的結合断片を包含する。
例えば、これらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、およびF(ab’)断片
を含む、バイオマーカーまたはその部分に結合可能な抗体断片を使用することができる。
そのような断片は、酵素による切断により、または組換え技法により産生することができ
る。例えば、パパインまたはペプシン切断は、それぞれFabまたはF(ab’)断片
を生成することができる。また、必要な基質特異性を有する他のプロテアーゼを使用して
、FabまたはF(ab’)断片を生成することができる。また、抗体は、1つまたは
複数の終止コドンが天然終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な
切断形態で産生することができる。例えば、F(ab’)重鎖部分をコードするキメラ
遺伝子は、重鎖のCHドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設
計することができる。
合成および操作抗体は、以下の文献に記載されている:例えば、Cabillyら、米
国特許第4,816,567号 Cabillyら、欧州特許第0,125,023(B
1)号;Bossら、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許第0,1
20,694(B1)号;Neuberger,M.S.ら、WO86/01533;N
euberger,M.S.ら、欧州特許第0,194,276(B1)号;Winte
r、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0,239,400(
B1)号;Queenら、欧州特許第0451216(B1)号;およびPadlan,
E.A.ら、EP0519596A1。また、霊長類化抗体に関しては、Newman,
R.ら、BioTechnology、10巻:1455〜1460頁(1992)を、
単鎖抗体に関しては、Ladnerら、米国特許第4,946,778号およびBird
,R.E.ら、Science、242巻:423〜426頁(1988)を参照された
い。
ある実施形態では、抗体以外に、ポリペプチドと特異的に結合する、ペプチド等の作用
剤が使用される。特異的に結合するペプチドは、当技術分野で公知の任意の手段、例えば
ペプチドファージディスプレイライブラリにより特定することができる。一般的に、バイ
オマーカーの存在が検出および/または定量化されるように、バイオマーカーポリペプチ
ドを検出可能な作用剤を使用することができる。本明細書で定義されるように、「作用剤
」は、生体試料中のバイオマーカーを特定または検出する(例えば、バイオマーカーのm
RNA、バイオマーカーのDNA、バイオマーカーのタンパク質を特定または検出する)
ことが可能な物質を指す。ある実施形態では、作用剤は、バイオマーカーポリペプチドと
特異的に結合する標識されたまたは標識可能な抗体である。
加えて、バイオマーカーは、MALDI/TOF(飛行時間型)、SELDI/TOF
、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー質量分析(
GC−MS)、高速液体クロマトグラフィー質量分析(HPLC−MS)、キャピラリー
電気泳動質量分析、核磁気共鳴分析、またはタンデム型質量分析(例えば、MS/MS、
MS/MS/MS、ESI−MS/MS等)等の質量分析を使用して検出することができ
る。例えば、米国特許出願第20030199001号、第20030134304号、
第20030077616号を参照されたい。これらの文献は、参照により本明細書に組
み込まれる。
質量分析法は、当技術分野で周知であり、タンパク質等の生体分子を定量化および/ま
たは特定するために使用されている(例えば、Liら(2000)Tibtech 18
巻:151〜160頁;Rowleyら、(2000)Methods 20巻:383
〜397頁;ならびにKusterおよびMann(1998)Curr.Opin.S
tructural Biol.8巻:393〜400頁を参照)。さらに、単離タンパ
ク質の少なくとも部分的なde novo配列決定を可能にする質量分析技法が開発され
ている。Chaitら、Science 262巻:89〜92頁(1993);Keo
ughら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.96巻:7131〜6頁(
1999);Bergman、EXS 88巻:133〜44頁(2000)に概説。
ある実施形態では、気相イオンスペクトロメータが使用される。他の実施形態では、レ
ーザー脱離/イオン化質量分析法を使用して、試料を分析する。現代的なレーザー脱離/
イオン化質量分析法(「LDI−MS」)は、2つの主要な異なるモードで実施すること
ができる:マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)質量分析法およ
び表面増強レーザー脱離/イオン化(「SELDI」)。MALDIでは、分析物を、マ
トリックスを含有する溶液と混合し、その液体の液滴を基材の表面に配置する。その後、
マトリックス溶液は、生体分子と共に共同結晶する。基材を、質量分析計に挿入する。レ
ーザーエネルギーが基材表面に向けられ、生体分子は、著しく断片化されずに脱着および
イオン化される。しかしながら、MALDIには、分析ツールとして制限がある。MAL
DIは、試料を分取するための手段を提供せず、マトリックス材料は、特に低分子量分析
物の検出を妨害する場合がある。例えば、米国特許第5,118,937号(Hille
nkampら)および米国特許第5,045,694号(Beavis&Chait)を
参照されたい。
質量分析計に関する追加情報は、例えば、Principles of Instru
mental Analysis、第3版、Skoog、Saunders Colle
ge Publishing、フィラデルフィア、1985;およびKirk−Othm
er Encyclopedia of Chemical Technology、第
4版、15巻(John Wiley&Sons、ニューヨーク 1995)、1071
〜1094頁を参照されたい。
マーカーまたは他の物質の存在の検出は、典型的には、シグナル強度の検出を伴う。シ
グナル強度は、ひいては、基質と結合したポリペプチドの量および特徴を反映することが
できる。例えば、ある実施形態では、第1の試料および第2の試料のスペクトルにあるピ
ーク値のシグナル強度を比較して(例えば、視覚的に、コンピュータ分析等により)、特
定のバイオマーカーの相対量を決定することができる。Biomarker Wizar
dプログラム(Ciphergen Biosystems,Inc.社、フリーモント
、カリフォルニア州)等のソフトウェアプログラムを使用して、質量スペクトルの分析を
支援することができる。質量分析計およびそれらの技法は、当業者に周知である。
当業者であれば誰でも、質量分析計の構成要素(例えば、脱離供給源、質量分析器、検
出等)および様々な試料調製物はいずれも、本明細書に記載のまたは当技術分野で知られ
ている他の好適な構成要素または調製物と組み合わせることができることを理解する。例
えば、ある実施形態では、対照試料は、重原子(例えば、13C)を含有していてもよく
、それにより、同じ質量分析実験で、試験試料を既知対照試料と混合することが可能にな
る。
ある実施形態では、レーザー脱離飛行時間型(TOF)質量分析計が使用される。レー
ザー脱離質量分析では、結合マーカーを有する基材を入口システムに導入する。マーカー
は、イオン化源からのレーザーにより、気相へと脱離およびイオン化される。生成された
イオンは、イオン光学アッセンブリにより収集され、その後飛行時間型質量分析器では、
イオンが短い高電圧場により加速され、高真空チャンバーへと押し出される。加速された
イオンは、高真空チャンバーの遠位端部の感受性検出器表面に様々な時間で到達する。飛
行時間は、イオンの質量の関数であるため、イオン形成からイオン検出器到達までの間の
経過時間を使用して、特定の質量対電荷比を有する分子の存在または非存在を特定するこ
とができる。
ある実施形態では、第1または第2の試料に存在する1つまたは複数のバイオマーカー
の相対量は、部分的には、プログラム可能なデジタルコンピュータによるアルゴリズムの
実行により決定される。アルゴリズムは、第1の質量スペクトルおよび第2の質量スペク
トル中の少なくとも1つのピーク値を特定する。その後、アルゴリズムは、第1の質量ス
ペクトルのピーク値のシグナル強度を、質量スペクトルの第2の質量スペクトルのピーク
値のシグナル強度と比較する。相対的なシグナル強度は、第1および第2の試料に存在す
るバイオマーカーの量の指標である。既知量のバイオマーカーを含有する標準物質を、第
2の試料として分析して、第1の試料に存在するバイオマーカーの量をより良好に定量化
することができる。ある実施形態では、また、第1および第2の試料中のバイオマーカー
の正体を決定することができる。
RNA検出技法
核酸バイオマーカーを定性的または定量的に検出するための任意の方法を使用すること
ができる。RNA転写物の検出は、例えば、ノーザンブロッティングにより達成すること
ができる。ノーザンブロッティングでは、RNAの調製物を変性アガロースゲルにかけ、
活性化セルロース、ニトロセルロース、またはガラスもしくはナイロンの膜等の好適な支
持体に移す。その後、放射性標識cDNAまたはRNAを調製物とハイブリダイズさせ、
洗浄し、オートラジオグラフィーにより分析する。
さらに、RNA転写物の検出は、増幅法を使用して達成することができる。例えば、m
RNAをcDNAに逆転写し、その後ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行うこと
;または、米国特許第5,322,770号に記載のように、単一の酵素を両ステップに
使用すること、もしくは、R.L.Marshallら、PCR Methods an
d Applications 4巻:80〜84頁(1994)に記載のように、mR
NAをcDNAに逆転写し、その後対称性ギャップリガーゼ連鎖反応(symmetri
c gap ligase chain reaction)(RT−AGLCR)を行
うことは、本開示の範囲内である。
ある実施形態では、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)を使
用して、バイオマーカーのmRNAレベルを評価する。バイオマーカーおよび対照mRN
Aのレベルは、がん組織またはがん細胞および隣接する良性組織で定量化することができ
る。1つの特定の実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーのレベルは、生体試料
中で定量化することができる。
本明細書で利用することができる他の既知の増幅法には、これらに限定されないが、以
下のものが含まれる:PNAS USA 87巻:1874〜1878頁(1990)に
記載されており、Nature 350巻(6313号):91〜92頁(1991)に
も記載されている、いわゆる「NASBA」または「3SR」技法;公開欧州特許出願(
EPA)第4544610号に記載のQベータ増幅法;鎖置換増幅法(G.T.Walk
erら、Clin.Chem.42巻:9〜13頁(1996)および欧州特許出願第6
84315号;およびPCT公開WO9322461号に記載の、標的媒介性増幅(ta
rget mediated amplification)。
In situハイブリダイゼーション視覚化を用いることもできる。この場合、放射
性標識アンチセンスRNAプローブを、生検試料の薄片とハイブリダイズさせ、洗浄し、
RNaseで切断し、オートラジオグラフィー用の感光乳剤へ曝露する。試料をヘマトキ
シリンで染色して、試料の組織学的組成を示すことができ、好適な光フィルターを用いた
暗視野画像化は、感光したエマルジョンを示す。ジゴキシゲニン等の非放射性標識を使用
することもできる。
バイオマーカー発現を評価するための別の方法は、蛍光in situハイブリダイゼ
ーション(FISH)により、バイオマーカーのmRNAレベルを検出することである。
FISHは、細胞の特定領域のDNAまたはRNAを直接特定することができ、したがっ
て、組織試料中のバイオマーカー発現の視覚的決定を可能にする技法である。FISH法
は、より客観的なスコアリングシステムであり、同じ試料の全ての非新生物細胞に存在す
るバイオマーカー遺伝子シグナルからなる組込み内部対照が存在するという利点がある。
蛍光in situハイブリダイゼーションは、比較的迅速で感度が高い直接in si
tu技法である。また、FISH試験は、自動化することができる。バイオマーカーの発
現レベルを免疫組織化学法だけで決定するのが難しい場合、免疫組織化学法をFISH法
と組み合わせることができる。
あるいは、mRNA発現は、DNAアレイ、チップ、またはマイクロアレイで検出する
ことができる。バイオマーカーに対応するオリゴヌクレオチドをチップに固定化し、その
後、それを、対象から得られた試験試料の標識核酸とハイブリダイズさせる。陽性ハイブ
リダイゼーションシグナルは、バイオマーカー転写物を含有する試料で得られる。DNA
アレイを準備およびそれらを使用するための方法は、当技術分野で周知である。(例えば
、米国特許第6,618,6796号;第6,379,897号;第6,664,377
号;第6,451,536号;第548,257号;U.S.20030157485お
よびSchenaら、1995 Science 20巻:467〜470頁;Gerh
oldら、1999 Trends in Biochem.Sci.24巻、168〜
173頁;およびLennonら、2000 Drug discovery Toda
y 5巻:59〜65頁を参照されたい。これらの文献は、参照によりそれらの全体が本
明細書に組み込まれる)。また、遺伝子発現連続分析(SAGE:Serial Ana
lysis of Gene Expression)を実施することができる(例えば
、米国特許出願第20030215858号を参照)。
例えば、mRNAレベルをモニターするために、試験する生体試料からmRNAを抽出
することができ、逆転写され蛍光標識されたcDNAプローブが生成される。マイクロア
レイは、バイオマーカーとハイブリダイズ可能であり、その後、標識cDNAプローブで
cDNAをプロ−ビングすることができ、スライドを走査して蛍光強度が測定される。こ
の強度は、ハイブリダイゼーション強度および発現レベルと関連する。
RNAを検出するためのプローブのタイプには、cDNA、リボプローブ、合成オリゴ
ヌクレオチド、およびゲノムプローブが含まれる。例えば、使用されるプローブのタイプ
は、一般的に、in situハイブリダイゼーションの場合はリボプローブ、およびノ
ーザンブロッティングの場合はcDNA等、特定の状況により決まることになる。ある実
施形態では、プローブは、特定のバイオマーカーRNAに特有のヌクレオチド領域に向け
られる。プローブは、特定のバイオマーカーmRNA転写物を差別的に認識するために必
要とされる短さであればよく、例えば15塩基の短さであってもよい。しかしながら、少
なくとも17塩基、少なくとも18塩基、および少なくとも20塩基のプローブを使用す
ることができる。ある実施形態では、プライマーおよびプローブは、ストリンジェントな
条件下で、標的遺伝子に対応するヌクレオチド配列を有する核酸断片と特異的にハイブリ
ダイズする。本明細書で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、配列間に
少なくとも95%または少なくとも97%の同一性がある場合にのみ、ハイブリダイゼー
ションが生じることになることを意味する。
プローブの標識形態は、放射性同位体、例えば32Pおよび35Sの使用等、適切であ
れば何れでもよい。放射性同位体による標識化は、プローブを化学的もしくは生物学的に
合成し、または適切に標識された塩基を使用することでも、いずれでも達成することがで
きる。
キット
ある非限定的な実施形態では、本開示は、対象が膵臓がんを有するか否かを決定するた
めのキットであって、表4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15
に示されているバイオマーカー、またはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複
数のバイオマーカーを検出するための手段を含むキットを提供する。本開示は、対象の膵
臓がんを予防または治療するための療法の効力を決定するためのキットをさらに提供する
キットのタイプには、これらに限定されないが、プローブおよびプライマーセットのパ
ッケージ(例えば、TaqManプローブ/プライマーセット)、アレイ/マイクロアレ
イ、バイオマーカー特異的抗体ならびにビーズが含まれ、それらは、本開示の1つまたは
複数のバイオマーカーを検出するための1つまたは複数のプローブ、プライマー、または
他の検出試薬をさらに含む。
ある非限定的な実施形態では、キットは、特定しようとする1つまたは複数のバイオマ
ーカーを検出するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または核酸配列決定に好適な
1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含むことができる。1対のプライマーは、表4、
5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15に示されているバイオマーカ
ーに相補的なヌクレオチド配列を含むことができ、前記バイオマーカーと選択的にハイブ
リダイズするのに十分な長さであってもよい。あるいは、相補的ヌクレオチドは、バイオ
マーカー位置の’5および/または’3近傍に十分に近接した特定の領域に選択的にハイ
ブリダイズして、PCRおよび/または配列決定を実施することができる。多数のバイオ
マーカーを同時にアッセイするために、複数のバイオマーカー特異的プライマーをキット
に含めることができる。また、キットは、1つまたは複数のポリメラーゼ、逆転写酵素、
およびヌクレオチド塩基を含むことができ、ヌクレオチド塩基は、さらに検出可能に標識
化されていてもよい。
ある実施形態では、プライマーは、長さが、少なくとも約10ヌクレオチド、もしくは
少なくとも約15ヌクレオチドもしくは少なくとも約20ヌクレオチドであってもよく、
および/または長さが、最大で約200ヌクレオチド、もしくは最大で約150ヌクレオ
チド、もしくは最大で約100ヌクレオチド、もしくは最大で約75ヌクレオチド、もし
くは最大で約50ヌクレオチドであってもよい。
ある実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーは、固体表面または支持体、例えば
核酸マイクロアレイに固定化することができ、固体表面または支持体に結合された各オリ
ゴヌクレオチドプライマーの位置は、既知であり、特定可能である。
ある非限定的な実施形態では、キットは、in situハイブリダイゼーションまた
は蛍光in situハイブリダイゼーションに好適であり、特定しようとするバイオマ
ーカーを検出するための、少なくとも1つの核酸プローブを含むことができる。そのよう
なキットは、一般的に、種々のバイオマーカーに特異性を示す1つまたは複数のオリゴヌ
クレオチドプローブを含む。
ある非限定的な実施形態では、キットは、プライマー伸長によりバイオマーカーを検出
するためのプライマーを含むことができる。
ある非限定的な実施形態では、キットは、特定しようとするバイオマーカーを免疫検出
するための少なくとも1つの抗体を含むことができる。バイオマーカーに特異的な抗体は
、ポリクローナルおよびモノクローナルの両方とも、当業者に一般的に公知となるような
、従来の免疫技法を使用して調製することができる。キットの免疫検出試薬には、所与の
抗体または抗原自体に結合または連結される検出可能な標識が含まれ得る。そのような検
出可能な標識には、例えば、化学発光分子または蛍光分子(ローダミン、フルオレセイン
、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、Cy3、Cy5、またはROX)、放射性標識
H、35S、32P、14C、131I)、または酵素(アルカリホスファターゼ、
西洋ワサビペルオキシダーゼ)が含まれる。
ある非限定的な実施形態では、バイオマーカー特異的抗体は、カラムマトリックス、ア
レイ、またはマイクロタイタープレートのウエル等の固体支持体に結合して提供すること
ができる。あるいは、支持体は、キットの個別の要素として提供することができる。
ある非限定的な実施形態では、キットは、表4、5、6、7、8、9、10、11、1
2、13、15に示されている1つまたは複数のバイオマーカー、またはそれらの組み合
わせを検出するのに好適な、1つまたは複数のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、
または抗体を含むことができる。
ある非限定的な実施形態では、キットは、以下のバイオマーカーの1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14個以上を検出するのに好適な、1つま
たは複数のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができる:M
ANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529
、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、
IPI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、R
TTN、ABCA13、DES、IMMT、TPM1、SNRPE、VCAM1、GRB
2、SHROOM3、HMOX1、POSTN、MMP10、MMP−2、THBS2、
EWSR1、NOD1、ADAMTS9、AFP、SYNE1、SYNE2、EPHB1
、UFD1L、TEAD1、RYR3、CMYA5、MYLK、TOP2B、KIAA1
109、ODZ3、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、ERP29
、OBSCN、LOXL3、MLEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12、DNA
H17、SCYL2、FKBP10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZNF804
AおよびACTN2。
ある非限定的な実施形態では、キットは、以下のバイオマーカー:KIAA1109、
ODZ3、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、ERP29の1、2
、3、4、5、6、または7個を検出するのに好適な、1つまたは複数のプライマー、プ
ローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができる。
ある非限定的な実施形態では、キットは、以下のバイオマーカー:RTTN、DNAH
12、TPM1、DNAH1、STARD8、ATP2A1、TOP2B、LIMCH1
、SYNE1、THBS2、およびLOXL3の1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、または11個を検出するのに好適な、1つまたは複数のプライマー、プローブ、マ
イクロアレイ、または抗体を含むことができる。
ある実施形態では、キットは、これらに限定されないが、DES、IMMT、TPM1
、SNRPE、VCAM1、GRB2、SHROOM3、HMOX1、POSTN、MM
P10、MMP−2、THBS2、EWSR1、NOD1、ADAMTS9、AFP、S
YNE1、SYNE2、EPHB1、UFD1L、TEAD1、RYR3、CMYA5、
MYLK、TOP2B、またはそれらの組み合わせを含む、TGFβ/インテグリンシグ
ナル伝達経路の1つまたは複数のバイオマーカーを検出するのに好適な、1つまたは複数
のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができる。
ある実施形態では、キットは、これらに限定されないが、KIAA1109、ODZ3
、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、ERP29、またはそれらの
組み合わせを含む、RAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路の1つまたは
複数のバイオマーカーを検出するのに好適な、1つまたは複数のプライマー、プローブ、
マイクロアレイ、または抗体を含むことができる。
ある実施形態では、キットは、これらに限定されないが、OBSCN、LOXL3、M
LEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12、DNAH17、SCYL2、FKBP
10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZNF804A、ACTN2、またはそれら
の組み合わせを含む、HNF4α転写ネットワーク経路の1つまたは複数のバイオマーカ
ーを検出するのに好適な、1つまたは複数のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、ま
たは抗体を含むことができる。
ある実施形態では、キットは、MANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、K
IAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SC
N8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD51C、ATP2A
1、NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、またはそれらの組み合わせか
ら選択される1つまたは複数のバイオマーカーを検出するのに好適な、1つまたは複数の
プライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができる。
ある実施形態では、キットは、2つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な2つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワークの各々に由来する少なくとも1つまたは複数
のバイオマーカーを含む:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、例えばSYNE1
、THBS2、TOP2B、および/またはTPM1、ならびにHNF4α転写因子ネッ
トワーク、例えばLOXL3、DNAH12、および/またはDNAH1。
ある実施形態では、キットは、2つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な2つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワークの各々に由来する少なくとも1つまたは複数
のバイオマーカーを含む:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、例えばSYNE1
、THBS2、TOP2B、および/またはTPM1、ならびにRAS/p53/JUN
/CTNB1シグナル伝達経路、例えばLIMCH1。
ある実施形態では、キットは、2つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な2つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワークの各々に由来する少なくとも1つまたは複数
のバイオマーカーを含む:HNF4α転写因子ネットワーク、例えばLOXL3、DNA
H12、および/またはDNAH1、ならびにRAS/p53/JUN/CTNB1シグ
ナル伝達経路、例えばLIMCH1。
ある実施形態では、キットは、2つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な2つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、例えばSYNE1、THBS2、TOP2B
、および/またはTPM1に由来する少なくとも1つまたは複数のバイオマーカー、なら
びにMANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1
529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TC
HP、IPI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF16
0、RTTN、ABCA13、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つ
または複数のバイオマーカーを含む。
ある実施形態では、キットは、2つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な2つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
HNF4α転写因子ネットワーク、例えばLOXL3、DNAH12、および/またはD
NAH1に由来する少なくとも1つまたは複数のバイオマーカー、ならびにMANF、Z
NF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、
DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00
026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、A
BCA13、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つまたは複数のバイ
オマーカーを含む。
ある実施形態では、キットは、2つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な2つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
RAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路、例えばLIMCH1に由来する
少なくとも1つまたは複数のバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMP
A1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD
8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RA
D51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、または
それらの組み合わせから選択される少なくとも1つまたは複数のバイオマーカーを含む。
ある実施形態では、キットは、3つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な3つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワークの各々に由来する少なくとも1つまたは複数
のバイオマーカーを含む:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路、HNF4α転写因
子ネットワーク、およびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路。
ある実施形態では、キットは、3つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な3つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路
およびHNF4α転写因子ネットワークの各々に由来する少なくとも1つまたは複数のバ
イオマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1
671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、
U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD51C、ATP2A1、NL
RX1、ZNF160、RTTN、およびABCA13から選択される少なくとも1つの
バイオマーカーを含む。
ある実施形態では、キットは、3つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な3つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路
およびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路の各々に由来する少なくと
も1つまたは複数のバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMPA1、S
VEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DL
C3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD51C
、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、およびABCA13から選択さ
れる少なくとも1つのバイオマーカーを含む。
ある実施形態では、キットは、3つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な3つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:HNF4α転写因子ネットワークおよびR
AS/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路の各々に由来する少なくとも1つま
たは複数のバイオマーカー、ならびにMANF、ZNF485、IMPA1、SVEP1
、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD8(DLC3)、
SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RAD51C、ATP
2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、またはそれらの組み合わ
せから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む。
ある実施形態では、キットは、4つ以上のバイオマーカーを検出するのに好適な4つ以
上のプライマー、プローブ、マイクロアレイ、または抗体を含むことができ、キットは、
以下のシグナル伝達経路またはネットワーク:TGFβ/インテグリンシグナル伝達経路
、HNF4α転写因子ネットワーク、およびRAS/p53/JUN/CTNB1シグナ
ル伝達経路の各々に由来する少なくとも1つまたは複数のバイオマーカー、ならびにMA
NF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、
GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、I
PI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RT
TN、ABCA13、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのバイオ
マーカーを含む。
キットの測定手段がアレイを用いるある非限定的な実施形態では、上記に示されている
バイオマーカーのセットは、マイクロアレイにあるマーカーの種の少なくとも10パーセ
ント、または少なくとも20パーセント、または少なくとも30パーセント、または少な
くとも40パーセント、または少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセ
ント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも80パーセントを構成するこ
とができる。ある非限定的な実施形態では、バイオマーカー検出キットは、バイオマーカ
ーを検出するアッセイまたは反応を実施するために必要な、1つまたは複数の検出試薬お
よび他の成分(例えば、緩衝液、DNAポリメラーゼまたはリガーゼ等の酵素、デオキシ
ヌクレオチドトリホスファート等の鎖伸長ヌクレオチド、およびサンガー型DNA配列決
定反応の場合は、連鎖停止ヌクレオチド、陽性対照配列、陰性対照配列等)を含むことが
できる。また、キットは、ウエスタンブロッティング免疫組織化学法で使用される二次抗
体等の、バイオマーカーの検出に必要な追加の成分または試薬を含むことができる。キッ
トは、他の予後因子、例えば腫瘍病期を評価するための1つまたは複数の他のバイオマー
カーまたは試薬をさらに含むことができる。
キットは、バイオマーカーを標準物質と比較するための手段をさらに含むことができ、
キットを使用して目的のバイオマーカーを検出するための説明書を含むことができる。例
えば、説明書には、本明細書に示されているバイオマーカーが存在することにより、対象
が膵臓がんを有しているかまたは発症することになることが示されることが記載されてい
てもよい。
レポート、プログラムされたコンピュータおよびシステム
表4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15に示されている1つ
または複数のバイオマーカー、ならびに/または検査に関する任意の他の情報をアッセイ
することに基づく、検査の結果(例えば、膵臓がん等のがんの個体リスク)または個体の
薬物応答性の予測(例えば、化学療法に対する応答)は、本明細書では「レポート」と呼
ばれる場合がある。検査プロセスの一部として有形レポートを任意選択で生成することが
できる(本明細書では、「レポーティング」として、またはレポートを「提供する」、レ
ポートを「作成する」、もしくはレポートを「生成する」と同義的に呼ばれる)。
有形レポートの例には、これらに限定されないが、紙(検査結果のコンピュータ生成印
刷出力等)または同様の形式のレポート、およびコンピュータ可読媒体(CD、USBフ
ラッシュドライブもしくは他の取り外し可能な記憶装置、コンピュータハードドライブ、
またはコンピュータネットワークサーバ等)に保存されているレポートが含まれていても
よい。レポート、特にコンピュータ可読媒体に保存されているものは、データベースの一
部であってもよく、それは、任意選択でインターネットを介してアクセス可能であっても
よい(例えば、患者および患者の医療従事者のみがレポートの閲覧を許可され、他の無許
可の個人は、レポートを閲覧できない等の、レポートへのアクセスを制限するセキュリテ
ィ機能を有する「安全なデータベース」であってもよい、コンピュータネットワークサー
バに保存されている患者記録または遺伝子情報のデータベース等)。有形報告書を生成す
ることに加えてまたはその代わりに、レポートは、コンピュータスクリーン(または別の
電子デバイスまたは機器のディスプレイ)に表示することもできる。
レポートは、例えば膵臓がん等のがんの個体リスクを含んでいてもよく、または表4、
5、6、7、8、9、10、11、12、13、および15に示されている1つまたは複
数のバイオマーカーセットの存在、非存在、またはレベルを含んでいるだけでもよい(例
えば、ネットワークサーバ等のコンピュータ可読媒体にあるレポートは、あるバイオマー
カーまたはあるバイオマーカーのレベルを有する個体の疾患リスクの増加または減少等の
、医学的/生物学的示唆が記載されている1つまたは複数の学術誌刊行物またはウェブサ
イトへのハイパーリンクを含んでいてもよい)。したがって、例えば、レポートは、任意
選択でバイオマーカー情報も含むだけでなく、疾患リスクもしくは他の医学的/生物学的
意義(例えば、薬物応答性、推奨される予防的治療等)を含んでいてもよく、またはレポ
ートは、疾患リスクもしくは他の医学的/生物学的意義を含まずに、バイオマーカー情報
を含んでいるだけでもよい(レポートを閲覧する個体が、バイオマーカー情報を使用して
、医療従事者、刊行物、任意選択でハイパーリンク等によりレポートにリンクされている
場合があるウェブサイト等からの、レポート自体以外の情報源から、関連する疾患リスク
または他の医学的/生物学的意義を決定することができるように)。
レポートは、検査した個体に、医療従事者(例えば、医師、看護師、臨床検査従事者、
遺伝相談員等)、ヘルスケア組織、臨床検査室、および/またはリポートを閲覧もしくは
所有することを意図している任意の他の団体もしくは依頼人等に、さらに「送信」または
「通信」することができる(これらの用語は、本明細書では同義的に使用することができ
る)。レポートを「送信」または「通信」する行為は、レポートの形式に基づき、当技術
分野で公知の任意の手段によるものであってもよい。さらに、レポートを「送信」または
「通信」することは、レポートを送達すること(「プッシング(pushing)」)お
よび/またはレポートを回収すること(「プリング(pulling)」)を含むことが
できる。例えば、レポートは、一方の当事者から別の当事者へと物理的に送達すること等
により、当事者間で物理的に移送されること(紙形式のレポートの場合等)、またはコン
ピュータネットワークサーバ等に保存されているデータベースから取り出すこと等により
、電気的にまたはシグナル形式で送信されることによること(例えば、Eメールによりま
たはインターネットで、ファックスにより、および/または当技術分野で公知の任意の有
線または無線通信法により)を含む、種々の手段により送信/通信することができる。
ある例示的な実施形態では、開示されている主題は、本明細書に記載の方法を実行する
ようにプログラムされたコンピュータ(または、生物医学的デバイスもしくは実験室機器
等の他の装置/デバイス)を提供する。例えば、ある実施形態では、開示されている主題
は、単独でまたは他のバイオマーカーと組み合わせて、本明細書で開示された1つまたは
複数のバイオマーカーの正体を受信(つまり入力として)し、バイオマーカーのレベルま
たはバイオマーカーの正体に基づいて、疾患リスク(例えば膵臓がんのリスク)または他
の結果(例えば疾患の診断または予後、薬物応答性等)を提供する(つまり出力として)
ようにプログラムされたコンピュータを提供する。そのような出力(例えば、疾患リスク
、疾患の診断または予後、薬物応答性等の通信)は、例えば、コンピュータ可読媒体にあ
るレポート、紙形態に印刷されたレポート、および/またはコンピュータスクリーンもし
くは他のディスプレイに表示されたレポートの形態であってもよい。
開示されている主題のあるさらなる実施形態は、個体のがんリスク、または個体が、化
学療法による治療(もしくは他の療法)または予防的治療から利益を得ることになるか否
かを決定するためのシステムを提供する。ある例示的なシステムは、個体(または個体の
医療従事者)が、そのような個体のがんリスク(または薬物応答)の決定を要求する組込
み「ループ」を含み、この決定は、個体に由来する試料を検査することにより実施され、
その後、この決定の結果は、依頼人に提供される。例えば、あるシステムでは、試料(例
えば、糞便、血液等)を、個体から検査用に取得し(試料は、個体がまたは例えば医療従
事者が取得してもよい)、試料を、検査のために(例えば、単独で、または1つもしくは
複数の他のバイオマーカーと組み合わせて、本明細書に記載のバイオマーカーを決定する
ために)実験室(または他の施設)に提出し、次に検査の結果を患者に送り(これは、任
意選択で、結果をまず医療従事者等の代理人に送ることにより実施することができ、その
後代理人が、結果を個体に提供またはそうでなければ伝達し、および/または結果に基づ
いて行動する)、それにより個体のがんリスク(または薬物応答等)を決定するための組
込みループシステムを形成する。結果が送信される(例えば、検査施設、医療従事者、お
よび/または個体のいずれかの間で)システムの部分は、電子的送信またはシグナル送信
により(例えば、電子メールまたはインターネット等を介してコンピュータにより、任意
選択で安全なデータベースであってもよいウェブサイトまたはコンピュータネットワーク
サーバに結果を提供することにより、電話またはファックスにより、または当技術分野で
知られている任意の他の有線もしくは無線送信により)実施することができる。
ある実施形態では、システムは、個体および/または個体の医療従事者により、制御さ
れ、個体および/または個体の医療従事者が、検査を依頼し、検査結果を受け取り、およ
び(任意選択で)検査結果に基づいて行動して、疾患管理システムを実装すること等によ
り個体の疾患リスクを低減する。
バイオマーカーの存在または非存在またはレベルを、がん(例えば、膵臓がん)のリス
クの変化(例えば、増加または減少)(またはリスクの無変化)と関連されること等の、
本明細書に記載の種々の方法は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するようにプロ
グラムされたコンピュータ(または、生物医学的デバイス、実験室機器、もしくはコンピ
ュータプロセッサを有する他の装置/デバイス等の他の装置/デバイス)を使用すること
等による自動化法により実施することができる。例えば、コンピュータソフトウェア(本
明細書では、同義的にコンピュータプログラムと呼ばれる場合がある)を実施して、個体
におけるバイオマーカーの存在または非存在を、がん、例えば、その個体の膵臓がんのリ
スクの変化(例えば、増加または減少)(またはリスクの無変化)と関連させることがで
きる。したがって、開示されている主題のある実施形態は、本明細書に記載の方法のいず
れかを実行するようにプログラムされたコンピュータ(または他の装置/デバイス)を提
供する。
以下の実施例は、本開示をより完全に説明するために提示されているが、その範囲の限
定として解釈されるべきではない。
ヒト膵管腺癌に由来するiPS細胞系は、初期から侵襲期の膵臓がん進行を経る。
材料および方法
一般的細胞培養
293T細胞およびヒト膵管癌細胞系PanC−1およびMIAPaCa−2を、10
%FBS(Hyclone社、ローガン、ユタ州)を補充した90%ダルベッコ変法基本
培地(Invitrogen社、カールズバッド、カリフォルニア州)で維持し、一日お
きに栄養供給した。放射線照射したマウス胚線維芽細胞(MEF)細胞を、R&D sy
stems社(ミネアポリス、ミネソタ州)から購入し、0.1%ゼラチン(Milli
pore社、ビルリカ、マサチューセッツ州)事前処置組織培養皿にて、15%FBS(
Hyclone社)を補充した85%DMEM(Invitrogen社)で維持した。
播種した放射線照射MEFは、5日以内に使用した。
H1 huES/ヒトiPS培養
H1 huES(Thomsonら、1998)およびiPS様クローンを、20%の
KNOCKOUT血清代替物、0.1mM非必須アミノ酸(Invitrogen社)、
0.1mM−メルカプトエタノール(Sigma社、セントルイス、ミズーリ州)、およ
び10ng/mlヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)(Invitrogen社
)を補充した80%ダルベッコ変法基本培地(DMEM)/F12で維持した。ヒトES
/iPS様クローンを、0.1%ゼラチン組織培養皿の放射線照射MEFで増殖させた。
細胞に毎日栄養供給し、週一回継代した。継代する場合、1mg/mlコラゲナーゼIV
(Invitrogen社)で3分間37℃にて処置することにより、ヒトES細胞を剥
離し、遠心分離し、10μmのY27632(Calbiochem社、ダルムシュタッ
ト、ドイツ)を補充したヒトES培地に再懸濁し、次に放射線照射MEFに播種した。i
PS様系統を、5日〜7日毎に針で機械的に継代した。RNA精製および分化の場合、M
EFを除去するために、ヒトESおよびiPS様系統を、hES用Matrigel(B
D Bioscience社、サンホゼ、カリフォルニア州)コーティング組織培養皿の
mTeSR1培地(Stem Cell Technologies社、ブリティッシュ
コロンビア、カナダ)で培養した。
レンチウイルス産生および力価測定
マウスtet−Oct4、−Sox2、−Klf4、およびC−MyCレンチウイルス
ベクターは、Jaenisch研究所(Brambrinkら、2008)から寄贈され
たものである。pWPT rtTAベクターは、pUHrT 62−1ベクター(Url
ingerら、2000)から単離されたrtTA2−M2遺伝子を、GFPが除去され
たPWT−GFP骨格ベクターにライゲーションすることにより生成した。293T細胞
を、100mm皿当たり8×10細胞の密度で播種した。翌日、供給業者の説明書に従
って、30μlのFugene6(Roche社、バーゼル、スイス)を用いて、2.5
μgのベクター(PWPT−rtTAまたはTetO−4因子)、1.7μgのpsPA
X2パッケージングベクター、および0.8μgのPMDGエンベロープベクターで細胞
を形質移入した。形質移入の16時間後、培地を除去し、新しい培地を添加し、細胞をさ
らに60時間培養した。最後に、ウイルス上清を収集し、4℃で10分間遠心分離した。
上清を、0.45μmでろ過し、等分化し、ウイルス力価を直接試験するかまたは使用ま
で維持した。ウイルス力価をモニターするために、Tet0−GFPレンチウイルスを同
時に生成した。レンチウイルスの力価を、感染の2〜3日後にフローサイトメトリーおよ
び顕微鏡検査で検査した。一般的に、5〜7MOIの各レンチウイルスを感染に使用した
。PanC−1およびMIAPaCa−2対照PDAC細胞のレンチウイルス平均力価は
、それぞれ3×10感染単位(IU)/mlおよび3×10IU/mlだった。HT
1080線維芽細胞に対するレンチウイルス力価は、2.5×10IU/mlだった。
ヒト膵臓上皮腫瘍細胞の単離および培養
ヒト膵管腺癌および膵臓周縁部組織は、Fox Chase Cancer Cent
erが、患者のインフォームドコンセントの下に外科切除により取得した。患者はコンセ
ントに署名し、試料取得は、組織内試料調達手続きに従って施設内治験審査委員会による
承認を受けた。組織標本は、切除直後に手術室から得た。1〜2ccの組織を、がんの中
心部から採取し、1〜2ccの組織を、がんから最も遠い周縁部から採取し、直ちに、1
00U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、10μg/mlゲンタ
マイシン、2.5μg/mlファンギゾン、10μg/mlシプロフロキサシン、100
U/mlナイスタチン(Invitrogen社)を補充した無菌F12培地/またはラ
イボビッツL−15培地(Invitrogen社)に解離まで入れた。組織を、供給業
者のプロトコールの通りに、0.7mg/mlリベラーゼHI(Roche社、スイス)
で解離した。手短に言えば、ハンクスバランス緩衝生理食塩溶液(HBSS、Invit
rogen社)で2回すすいだ後、組織を、リベラーゼ作業用溶液(HBSS中、0.7
mg/mlリベラーゼHI、100μg/ml DNaseI、25mM HEPES)
に移し、メスで細かく刻んだ。刻んだ組織を、ガラスバイアルに移し、37℃でインキュ
ベートした(時間は、組織サイズに応じて様々であり、最大1時間)。その後、リベラー
ゼ活性を、反応停止緩衝液(10%FBSを補充したHBSS)で阻害し、380μmフ
ィルター(Sigma社)に通して、組織残屑を除去した。解離した細胞をリベラーゼ反
応停止緩衝液ですすぎ、その後遠心分離した。反応停止緩衝液で2回洗浄した後、解離し
た細胞を、5ng/mlヒトEGF(BD biosciences社)および50ng
/mlコレラ毒素(Sigma社)、50μg/mlウシ下垂体エキス(Invitro
gen社)を補充した完全限定KSFM(Invitrogen社)に再懸濁し、5μg
/cmラットコラーゲンI(BD biosciences社)事前コーティング組織
培養皿に播種し、37℃のCOインキュベータで培養した。感染まで一日おきに細胞に
栄養供給した。組織を送達するまでの時間が長い場合、自己分解細胞を除去するために、
刻んだ組織を、ます温和な条件で消化し(0.5mg/mlリベラーゼHIでおよそ30
分間)、次に380μmフィルターに通した。この条件では、解離した単一細胞は、通常
、自己分解細胞ならびに血液細胞を含んでいたが、がん細胞を多くは含んでいなかった。
したがって、自己分解細胞を除去するために、解離した細胞を別々に収集または廃棄した
。第1の消化後の380μmフィルター上部に保持された組織幹を収集し、0.7mg/
mlリベラーゼHI作業用溶液で30〜40分間(組織サイズに応じて)37℃にて消化
し、失活させ、洗浄し、その後上記に記載のように培養した。
ヒト原発性膵管がんおよび周縁部からのiPS様クローンの生成
上皮細胞
培養した膵臓がんおよび周縁部上皮細胞を、PWPT−rtTAウイルスと共に、Te
t0−Oct4、Tet0−Sox2、TetO−Klf4、TetO−Mycウイルス
に、播種後3〜4日間感染させた。24時間後に、細胞を、同じウイルスに再感染させた
。第2の感染の48時間後、感染細胞を剥離および計数することにより、およそ100,
000個の細胞が各周縁部試料または腫瘍試料で生存したことが明らかになった。細胞を
、ヒトES培地(20%Knockout Serum Replacer、1mM L
−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、0.1mMベータ−メラカプトエタノール(
BME)、10ng/ml塩基性Fgf(Invitrogen社)を補充した80%D
MEM/F12に再懸濁し、0.1%ゼラチン組織培養皿の放射線照射マウス胚線維芽細
胞に播種した。細胞に毎日栄養供給した。ES様の平らなコロニーを、第2の感染後の1
2日目〜36日目から22ゲージ針で採取し、放射線照射MEFに置き、毎日栄養供給し
、5〜7日毎に針を用いて機械的に継代した。コロニーを、およそ継代3〜4で凍結し、
安定クローンを、継代10後に凍結した(ES/iPS細胞培養に関しては、上記を参照
)。
KRASコドン12突然変異のピロシーケンス
原発腫瘍組織のKRASコドン12突然変異を、ピロシーケンス(Kandaら、20
12)で検査した。パラフィンスライドから単離された25ナノグラムのゲノムDNAを
、製造業者のプロトコールに従って、PyroMarkポリメラーゼ連鎖反応キット(Q
iagen社)を用いてPCR増幅した。増幅後、3ulの反応をアガロースゲルに負荷
して、PCR産物を検査した。10マイクロリットルのビオチン化PCR産物を、ストレ
プトアビジンセファロースHPビーズ(GE Healthcare Bio−Scie
nces社)に固定化し、上述のように、PyroMarkアッセイ設計ソフトウェア(
Qiagen社)を用いて設計した配列決定用プライマー(プライマーは、表1を参照)
とアニーリングさせた。KRASコドン12のピロシーケンスは、PyroMark M
D(Qiagen社)で行った。実験は全て、異なるバッチのPCR産物を用いて3回繰
り返した。培養した10−12周縁部iPS様系統および10番目の周縁部原発性上皮細
胞に由来するゲノムDNAを、生物学的陰性対照に使用した(GAT G12Dの場合は
2%基線、GGT G12V突然変異の場合は0.5%基線)。DNA増幅PCR産物お
よびプライマーアニーリングPCR産物は、技術的な陰性対照として使用しなかった。
RNAのRT−PCR
RT−PCR/qRT−PCRの場合、H1およびiPS様クローンを、放射線照射M
EF細胞で培養した。CGH分析の場合、H1/H9ヒトES細胞およびiPS様クロー
ンを、マウス支持細胞層を用いずにmTeSR培地(Stem Cell Techno
logies)のマトリゲルで培養した。全RNAを、RNeasy Microキット
(Qiagen社、バレンシア、カリフォルニア州)で単離し、100ngの全RNAを
、iScript cDNA合成キット(Bio rad社、ハーキュリーズ、カリフォ
ルニア州)を使用することにより逆転写した。cDNA(2ng)を、SYBRグリーン
プライマーセットまたはTaqmanプローブのいずれかを用いて、iCycler(B
io−rad社)でリアルタイムPCRにかけた。Taqmanプローブでの遺伝子発現
レベルの場合、デルタCt法を、基準としてのGapdhまたはベータアクチンのいずれ
かと共に使用した。SYBRグリーンプライマーのRT−PCR産物を、臭化エチジウム
で染色した後、2%アガロースゲルで視覚化して、適切な標的増幅を確認した。プライマ
ー対は、表1に示されている。
免疫染色/免疫組織化学法(IH)
H1/iPSでの免疫染色の場合、細胞を、室温(RT)にて15分間4%パラホルム
アルデヒド/PBSで固定し、RTにて10分間0.1%Triton X−100/P
BSで透過処理した。PBSで2回洗浄した後、ブロッキング溶液(PBS中の4%正常
ヤギ血清(Sigma社)で、RTにて30分間アプライした。SSEA4(Milli
pore社、1:100)、NANOG(Abcam社、1:100)、およびOCT4
(Abcam社、1:100)を含む一次抗体を、固定した細胞にアプライして、4℃で
一晩インキュベートした。すすいだ後、Alexa488結合ヤギ抗マウスIgGまたは
ヤギ抗ウサギIgG抗体を、RTにて1時間アプライした。最後の洗浄においてDAPI
をアプライして、核を染色した。免疫組織化学法の場合、電子レンジで15分間、10m
Mクエン酸緩衝液(pH6)中で煮沸することにより、パラフィン切片スライドを抗原賦
活化した。次に、組織スライドの内因性ペルオキシダーゼ活性を、RTにて15分間、過
酸化水素溶液で失活させた。組織を、10分間タンパク質遮断剤(Thermo Sci
entific社)でブロックし、その後アビジン/ビオチンブロッキング(Vecto
r lab社、バーリンゲーム、カリフォルニア州)を15分間行った。0.1%BSA
および0.2%Triton−X 100を補充したPBSで希釈された、K19(Ab
cam社、1:2000)、MUC5AC(Vector lab社、1:100)、P
DX−1(Santa Cruz社、1:1000)、SOX9(Santa Cruz
社 1:500)、HNF−4α(Santa Cruz社、1:250〜1:500)
、MF20(ハイブリドーマバンク、1:40)、ビメンチン(Stemgent社、ケ
ンブリッジ、マサチューセッツ州、1:500)、ベータIIIチューブリン(Abca
m社、1:2000)、GFAP(Cell Signaling社、1:200)を含
む一次抗体をアプライし、4℃にて12〜16時間インキュベートした。2回洗浄した後
、組織を、ビオチン化抗マウスIgG(Vector lab社)と共に37℃にて30
分間インキュベートした。VectaStain Elite ABCキット(vect
or lab社)を37℃にて30分間使用することにより、組織切片をアビジン−西洋
ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、その後、ペルオキシダーゼ用のDABペ
ルオキシダーゼ基質キット(Vector lab社)で1〜2分間発色させた。発色さ
せた組織切片を、ヘマトキシリンで核染色し、脱水し、マウントした。rt−TA(Mo
BiTec社、ドイツ、1:50)染色の場合、新しい凍結組織を、OCTに包埋し、8
μMの厚さに切片化した。切片を、アセトンで5分間固定し、PBSで洗浄し、上述のよ
うにIHC用に処理した。10番目の原発腫瘍組織でのNANOG(Abcam社 1:
1000)およびOCT4(Abcam社 1:2000)の免疫染色の場合、凍結組織
を、OCTに包埋し、8μMの厚さに切片化した。陽性対照の場合、H1ヒトES細胞を
、4%アガロースに包埋し、OCT中で瞬間凍結し、10μMの厚さに切片化した。切片
は全て、4%PFAで固定し、上記のようにIHC用に処理した。10番目の原発腫瘍組
織でのNANOG(Abcam社 1:1000)およびOCT4(Abcam社 1:
2000)の免疫染色の場合、凍結組織をOCTに包埋し、8μMの厚さに切片化した。
陽性対照の場合、H1ヒトES細胞を、4%アガロースに包埋し、OCT中で瞬間凍結し
、10μMの厚さに切片化した。切片は全て、4%PFAで固定し、上記のようにIHC
用に処理した。
奇形腫アッセイ
雌の4〜6週齢NOD−SCID−IL2Rgcヌル(NSG)マウス(ペンシルバニ
ア大学、異種移植コア)(Shultzら、2005)を、ヒト膵臓iPS様系統の皮下
注射に使用した。手短に言えば、注射の24時間前に、ドキシサイクリンを培養培地から
取り除いた。DMEM/F12で細胞をすすぎ、コラゲナーゼ(1mg/ml)を添加し
、37℃で3分間インキュベートすることにより、コンフルエント細胞を6ウエルプレー
トの全ウエルから剥離させ、遠心分離で収集した。細胞を、420μlの完全ヒトES培
地に再懸濁し、雌NSGマウスに皮下注射した。幾つかの場合には、300μlの細胞ペ
レットを、注射前に120μlのマトリゲルと混合した。これは、10−22細胞が、P
anINを発生させるか否かに影響を及ぼさなかったが、病変をあまり分散させなかった
。注射の12週(3か月)後または273日(9か月)後、注射領域を収集し、4%パラ
ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋した。パラフィン塊を切片化し、分析用に
ヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。
胚様体へのH1/iPS様クローンの分化
手短に言えば、Accutase溶液(Innovative Cell Techn
ologies社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を使用し、huES培地ですすい
て、単一のサブコンフルエント6ウエルプレートから細胞を回収した。細胞の凝集塊は、
70μmフィルターを通すことによる解離細胞だった。解離細胞を、Fgf2およびKS
Rを含まないが、20%FBSまたはaggrewell培地(Stem Cell T
echnologies社)を補充したhuES培地で、極低付着6ウエルプレート(C
orning社、オネオンタ、ニューヨーク州)にて2〜3週間培養し、その後、qRT
−PCRのためのRNA用に収集した。
比較ゲノムハイブリダイゼーション
全ゲノムDNAを、プロテイナーゼK/フェノール−クロロホルムにより、培養原発性
がんおよび周縁部上皮細胞、ならびにiPS様クローンの培養から単離した。製造業者に
従って、ゲノムDNA分析酵素標識キット(Agilent社、サンタクララ カリフォ
ルニア州)用のAgilent Oligonucleotide Array−Bas
ed CGHを使用して、ゲノムDNAを増幅した。標識ゲノムDNAを、Penn M
icroarray施設によるヒトゲノムCGHマイクロアレイキット44K(Agil
ent社)と同時ハイブリダイズした。アレイを、Agilent社製スキャナーシステ
ムで走査した。データは、Partek Genomics Suite(Partek
社、セントルイス、ミズーリ州)を使用することにより分析した。
CpGメチル化塩基配列決定
全ゲノムDNAを、H1 huES細胞、10−12周縁部iPS様細胞、および10
−22がんiPS様細胞から、フェノール抽出により精製した。親原発性がんゲノムDN
Aを、パラフィンまたはOCT塊に包埋した組織から単離した。製造業者による説明に従
ってCpGenome(商標)DNA修飾キット(Millipore社)を使用して、
1μgゲノムDNAでの亜硫酸水素塩変換を実施した。以前に発表されているプライマー
、またはPyroMark Assay Designソフトウェア(Qiagen社、
バレンシア、カリフォルニア州)で設計したプライマーを使用して、NANOG上流領域
およびOCT上流領域を、30ngの変換DNAを使用して増幅した(プライマーは、表
1を参照)。増幅したPCR産物を、記載のように(TostおよびGut、2007)
、亜硫酸水素塩ピロシーケンスにかけた。手短に言えば、ビオチン結合プライマーを用い
て増幅された10ulのPCR産物を、ストレプトアビジンセファロースHPビーズ(G
E Healthcare Bio−Sciences AB社、スウェーデン)に10
分間固定化した。固定化したPCR産物を一本鎖に分離し、PyroMark(登録商標
)Q96 Vacuum Workstation(Qiagen社)で、配列決定用プ
ライマーを含むPyromarkプレートに放出し、80℃でインキュベーションした後
で室温に冷却することにより配列決定用プライマーとアニーリングさせた。対応するCp
G部位のピロシーケンスを、PSQ96機器(Qiagen社)で実施した。各CpG部
位でのメチル化割合を、Q−CpGメチル化ソフトウェア(Qiagen社)を使用して
決定した。
10−22がんiPS様系統奇形腫のin vitro培養
13〜14週後に、10−22細胞を内包するNSGマウスから奇形腫を回収した。切
除した奇形腫組織を切り刻み、リベラーゼT−flex(1.3W/ml)で37℃にて
30分間解離した。続いて、反応を停止させ、15%FBS/DMEMで洗浄した。解離
した細胞を、細胞培養全体、または40μmフィルターに通した単一細胞のいずれかとし
て播種した。解離した奇形腫組織を、以前に記載したように包埋した(Leeら、200
7)。手短に言えば、事前に冷却した4ウエルプレート(Nunc社、ロチェスター、ニ
ューヨーク州)を、37℃のインキュベータにて15分間、150μlマトリゲル(BD
Biosciences社)の薄層で被膜した。解離した細胞を、4℃にて5分間12
00rpmで遠心分離することによりペレットにし、200μlのマトリゲルに再懸濁し
、37℃にて30分間インキュベートして、細胞−マトリゲル複合体をゲル化した。外植
片に、500μlの無血清培養培地で栄養供給した。播種の6日後に、無血清順化培地を
収集し、遠心分離して細胞凝集塊を除去し、上清を収集し、プロテオミクス分析用に−8
0℃で維持した。外植片を、さらに培養するために4〜5日毎に栄養供給した。プロテオ
ミクス分析用の陰性対照を準備するために、10−22(p10およびp27)iPS様
系統を、幹細胞継代ツール(Invitrogen社)を使用して機械的に収集し、5μ
g/cmラットコラーゲンで事前にコーティングしたプレートの無血清DMEM培地で
2日間培養した。培地を収集し、0.45μmフィルターでろ過し、プロテオミクス分析
用に−80℃で維持した。
プロテオミクス分析
凍結した培地を、各々が30〜60μgタンパク質に対応するタンパク質を含む3本の
チューブに分割した。各試料をアセトンで析出させて、タンパク質を濃縮し、塩および脂
質可溶性夾雑物を除去した。手短に言えば、4容積の冷却アセトンを試料に添加し、試料
を−20℃で一晩インキュベートした。試料を、4℃にて10分間16,000gでペレ
ットにして、次いでアセトンおよび水(4:1)の溶液で洗浄した。ペレットを10分間
空気乾燥し、還元剤を含むNuPage LDS試料緩衝液(Invitrogen社)
で5分間沸騰することにより変性させた。各試料を、Nupage10%Bis−Tri
sゲルにかけ、Nupage MOPS SDSランニング緩衝液(Invitroge
n社)を用いて、ほとんど2時間100mVで流した。ゲルを、MS分析に関する製造業
者の推奨に従って、Simplyblue safestain(Invitrogen
社)で染色した。5×5mm小片を切り出し、2%酢酸溶液で保存した。切り出したゲル
試料を、トリプシンで消化した(Straderら、2006)。5μlのトリプシン消
化試料を、オートサンプラー(Eksigent technologies社、ダブリ
ン、カリフォルニア州)で注入し、10cmのC18カラムを使用して、消化ペプチドを
分離した。Nano LC(Eksigent社)を、200nl/分の流速にて100
分間の勾配で流した。オンラインナノスプレーを使用して、分離したペプチドをLTQ(
Thermo Electron社)にスプレーし、Xcaliburで生データを得た
。Sequestソフトウェアを使用して、データベースUniprotおよびIPIを
検索し、各試料のsrfファイルを生成した。Scaffold3.3を使用して、Se
questが生成したsrfファイルを、スペクトラムカウントに基づき定量的に統合お
よび分析した。カットオフは、ペプチドがp値>95%であり、タンパク質がp値>99
%だった。ヒトタンパク質をマウスおよびウシからさらに分別するために、UniPro
KB TrEMBL(2011年10月にダウンロードした)を使用し、ミスマッチを許
可せずに、ペプチド配列をブラスト検索した。ヒトペプチドならびにヒトおよびマウスに
共通するペプチドを使用して、奇形腫および10−22iPS様系統から分泌されるタン
パク質を特定した。ヒトおよびマウスの両方に共通するペプチドのみを有するタンパク質
を、マウスバックグラウンドに由来するタンパク質と区別するために、タンパク質は全て
、対側性対照から分泌されるタンパク質を差し引いた。Mevを使用して(メトリックと
してピアソン相関を使用して)、階層的クラスタリングを適用した(データ非表示)。少
なくとも2つの奇形腫外植片から分泌されたタンパク質を、Ingenuity経路分析
(http://www.ingenuity.com)に使用した。
PanINおよびPDACマウスモデル
2〜2.5月齢および4〜6月齢のPdx−Cre;LSL−KrasG12D;p5
3fl/+;RosaLSL−YFPマウス(Rhimら、2012)を、それぞれPa
nINおよび腫瘍段階におけるHNF4α発現を分析した。安楽死させた後、膵臓を洗浄
し、亜鉛−ホルマリン(Polysciences社、ウォリントン、ペンシルベニア州
)で、2時間4℃にてインキュベートした。洗浄し、エタノールで脱水した後、組織を、
パラフィンに包埋し切片化した。キシレンで脱パラフィンした後、蒸気レトリバーを使用
して、R−buffer Aで、組織切片を抗原賦活化した(両方ともElectron
Microscopy Sciences社製、ハットフィールド、ペンシルベニア州
)。スライドを、0.1%Triton−X100のPBS中の5%ロバ血清で1時間ブ
ロッキングし、その後一次抗体(ニワトリαGFP(Abcam社、1:500)および
ヤギαHNF4α(1:200)と共に1時間室温にてインキュベートした。その後、ス
ライドを、二次抗体(FITC結合ロバαニワトリ(1:200;Life Techn
ologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州);Alexa fluor5
94結合ロバαヤギ(1:200;Jackson Immunoresearch社、
ウエストグローブ、ペンシルベニア州);DAPI(1:1000))と共に、ブロッキ
ング溶液中で1時間室温でインキュベートし、その後、洗浄し、カバーガラスにマウント
した。オリンパスIX71倒立蛍光顕微鏡を使用して画像を視覚化し、オリンパスDPマ
ネージャソフトウェア(v.3.1.1)を使用してキャプチャおよび統合した。
序文
がん表現型は、核移植により再プログラムして多能性にすると、ある髄芽細胞腫細胞、
RAS誘導性メラノーマ細胞、および胚性癌細胞、および腎腫瘍細胞では抑制することが
できる(Blellochら、2004;Hochedlingerら、2004;Li
ら、2003;McKinnellら、1969)。その後、その結果生じた多能性細胞
は、複数の初期発生細胞タイプの胚に分化することができる。そのような胚は、推測では
あるががん表現型の再発現のため、部分的には器官形成中に死滅する。ある状況では、多
能性ネットワークががん表現型を十分に抑制して、初期組織分化を可能にすることができ
ることは注目すべきことである。iPS細胞技術(TakahashiおよびYaman
aka、2006)を使用して、がん細胞系からiPS細胞が作製されている(Care
tteら、2010;Miyoshiら、2010)。しかしながら、固形原発性ヒトが
んに由来するiPS細胞系は報告されていない。1つの理論に限定されないが、上皮性腫
瘍からiPS細胞を作製することにより、細胞を多能性状態で無期限に繁殖させることが
可能になりその上、分化の際に、細胞のサブセットがヒトがんの初期発生段階を経ること
になり、疾患の初期段階の生細胞ヒトモデルを提供する。
結果
ヒト膵管腺癌からのiPS様細胞系の作製
ヒト膵管腺癌試料を切除直後に得た(表2)。標本の周縁部の組織学的に正常な膵臓組
織を、対照として使用した。上皮細胞を単離し、コレラ毒素と共に無血清培地で培養して
、線維芽細胞の増殖を妨害した。膵臓がんおよび周縁部細胞の2回連続感染を、ドキシサ
イクリン誘導可能マウスOct4、Sox2、Klf4、およびc−Myc、ならびにr
t−TAトランス活性化因子を別々にコードする5つのレンチウイルスで実施し、一方、
ゲノムDNAを別々に培養した膵臓の標本周縁部およびがん上皮細胞から単離した。ピロ
シーケンス分析は、初期腫瘍試料の9つのうちの7つでKRAS突然変異細胞を明らかに
した(表2および3)。ES様コロニーが7日後に発生し始め、がん上皮細胞から生じた
コロニーはより少数だった。がんまたは周縁部に由来するES様クローンは、ドキシサイ
クリンを取り除いた4日後に分化および消失し始めた。したがって、低ドキシサイクリン
濃度(50ng/ml)の存在下でコロニーを維持し、その結果生じた系統は、ドキシサ
イクリンに対して依存性であるため、iPS様と呼んだ。iPS様系統を、9つの腫瘍上
皮標本のうち4つから樹立し、対応する周縁部iPS様系統を、標本のうち3つから樹立
した(図1A、表2)。
細胞の多能性を、RT−PCR、免疫染色、胚様体形成、奇形腫アッセイ、核型分析に
より特徴付け、サブセットをCpGメチル化分析により特徴付けた。ほとんどのiPS様
系統が、内因性多能性マーカーRNAおよびタンパク質を発現した(図1B、C;図7A
、B、C、およびD)。免疫不全NSGマウスでの奇形腫アッセイ、および胚様体アッセ
イは、10番目の患者に由来する10−12膵臓周縁部および10−22がんiPS様系
統(図1D、E;図8A)、ならびに14番目の患者に由来する14−24膵臓周縁部お
よび14−27がんiPS様クローン(図7E、F)が、複数の胚葉の組織を生成し、多
能性を示すことができることを明らかにした。原腫瘍#10は、NANOG発現が陰性で
あり、POU5F1/OCT4の散在性発現を示した(図8B)。CpGメチル化の詳細
なピロシーケンス分析は、10−22iPS様系統が、原発性腫瘍と比較して、NANO
Gプロモーターの9つの部位の9つで、およびOCT4プロモーターの6つの部位のうち
の3つで脱メチル化を示し、H1 huES系統は、同様にNANOGで脱メチル化され
、POU5F1の6つの部位のうちの4つで脱メチル化されたことを示した(図8C)。
したがって、iPS様系統は、再プログラムされた多能性細胞の多様な特徴を示す。
1放射線照射または放射線および化学療法を受けた組織から、コロニーは得られなかった

2検査室への移送に時間がかかったことによる周縁部組織自己分解、または放射線/化学療
法で治療された患者に由来する腫瘍組織自己分解
全てのiPS様系統を、膵臓がんに共通の遺伝的変化である、KRAS、CDKN2A
、およびBRAFの突然変異(Moskalukら、1997)についてスクリーニング
した(表3)。10番目の患者の再発性で侵襲性の分化不良PDACに由来した10−2
2iPS様系統は、初期腫瘍上皮集団に見られるものと同じKRAS G12D突然変異
を内包する(図1F;表2、3)。また、10−22細胞は、CDKN2Aヘテロ接合性
欠失(図1H;表3)、ならびに原発性がん培養よりも誇張された多数の染色体異常およ
びそれに応じた異常核型を有する比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)パターン
(図1I;図3)を有する。原発性がん培養は、幾つかの間質細胞を含んでおり、したが
って正常遺伝子型の細胞で狭雑されているため、10−22iPS様系統の原発性がんC
GHパターンの誇張は、予想の通りである。具体的には、23個の全染色体異常が、10
番目の腫瘍のPDAC上皮細胞集団で検出され、10−22系統では20個が示された(
図1I、図9B)。原発腫瘍細胞および10−22系統でのCGHシグナル減少は、PT
ENおよびDPC4(SMAD4)にわたっていた。これは、ヒト膵臓がんにおけるこれ
ら遺伝子座の対立遺伝子欠失の観察と一致する(Hahnら、1996;Hahnら、1
995年)。対照的に、同質遺伝子型膵臓10−12周縁部iPS様系統は、野生型KR
AS、親周縁部細胞培養と類似した均一なCGH染色体プロファイル、および正常核型を
有していた(図1G、H、I;図9;表3)。10−12および10−22iPS様系統
は、それぞれ膵臓周縁部およびがん上皮細胞に由来し、10−22系統は、初期進行性腫
瘍上皮集団で見られる著しいゲノム再編成を内包していた。まばらな1mm増殖巣を含む
中程度に分化したPDACを有する14番目の患者に由来するiPS様系統(図7A、B
)は、CDKN2AおよびBRAFに点突然変異を示したが、親上皮培養のように野生型
KRASでは点突然変異を示さず(表2および3)、均一なCGHプロファイルを示した
(データ非表示)。また、19番目の患者に由来する1対の周縁部およびがん由来iPS
様系統(図7C、D)は、野生型KRASおよびBRAFと共に、CDKN2Aに体細胞
突然変異も有していた(表3)。10番目の患者に由来する10−22がんiPS様系統
は、PDACに典型的なKRAS突然変異バックグラウンドを含んでいたため、その系統
およびその同質遺伝子型10−12、KRAS wt周縁部iPS様クローンに関する詳
細な研究を実施した。
進行性ヒトPDACに由来する10−22iPS様細胞は、分化の際に、初期段階の膵臓
がんを経る。
がんに由来するにも関わらず、10−22癌iPS様系統ならびにその対応する10−
12周縁部系統は、3か月では、対照H1ヒトES細胞に由来するものに見られたものと
比較して、はるかに小さな皮下奇形腫を生じさせた。より興味深いことには、10−12
および10−22iPS様系統に由来する奇形腫では、内胚葉性DBAレクチン陽性腺管
構造の割合が非常に高かったが(図2A;図10A)、H1細胞は、以前に観察されてい
るように(Bockら、2011)、ほとんどニューロン系統を生成した。これらの結果
は、他のiPS細胞系が、それら自体に由来した系統へと分化する傾向があることに関す
る報告と一致する(bar−Nurら、2011;Kimら、2011)。
周縁部(10−12)および腫瘍(10−22)iPS系統から生じた内胚葉奇形腫を
、10番目の患者の原腫瘍と比較した。原腫瘍は、多くの領域が分化不良の病変および浸
潤を示したが、より組織化された上皮を示すこともあった。しかしながら、PanINは
示さなかった(図2B、C;図10B)。腫瘍上皮は、侵襲性表現型を示す細胞質突起と
共に(図2Cの点線)、不規則な形の多染色体性の核および高い核対細胞質比を示した(
図2C、矢印)。対照的に、10−22がんiPS様系統に由来する3か月の奇形腫腺管
組織は、高レベルの構造化組織を示し、原発腫瘍と比較して、大量の腺形成およびより分
化した細胞学的特徴を有していた(図2B)。これは、PanIN段階を示す、細胞質の
増加、均一な核膜輪郭を有するより小さくより多染色体性でない核、核対細胞質比の減少
、および細胞極性の増加を含んでいた。大量のムチンが、細胞の頂端面に存在していた(
図2Dの矢印)。腺房分化または神経内分泌新生物形成の証拠はなかった。PanINを
、正常な腺管と比較した異形構造の程度により分類した(Hrubanら、2001)。
一連のPanIN1様構造、PanIN2様構造、およびPanIN3様構造が、3か月
の10−22iPS様系統に由来する内胚葉奇形腫の組織学的検査で観察されたが、Pa
nIN2およびPanIN3段階に似た構造が多かった(図10C〜G)。特定の理論に
限定されないが、これらの知見は、10−22がんiPS様系統が、PanINに似た腺
管構造を生成することを示唆した(MaitraおよびHruban、2008)。
10−22細胞の継代数に関わらず、3か月の奇形腫実験10回のうちの9回で、Pa
nIN様奇形腫が形成された。対照的に、10−12膵臓周縁部iPS様系統は、奇形腫
ではPanIN様構造を生成しなかった(n=4)(図2B)。また、素因性突然変異を
含有するが、KRASの突然変異は含有しない14番目および19番目の腫瘍に由来する
iPS様系統は、PanIN様病変を生成しなかった(n=5、データ非表示)。したが
って、さらなる研究は行わなかった。レーザーキャプチャーマイクロダイセクションで得
たDNAのPCRは、10−22系統のPanIN様奇形腫の腺管上皮を取り囲む間質細
胞が、rt−TAレンチウイルスDNAを含有しており、したがって、開始10−22細
胞に由来することを示した(図10H)。これは、rT−TA発現が、PanIN様上皮
で、ならびに局所間質にわたって検出されるが、皮下組織の遠位間質部分では検出されな
いことにより確認された(図10I)。最近、PDACを取り囲む間質様細胞は、マウス
モデルでは、EMTにより膵臓がん上皮から派生することが見出されている(Rhimら
、2012)。しかしながら、この研究では、EMT由来間質細胞は、PanIN段階で
はほとんど観察されなかった。まとめると、奇形腫のPanIN領域にあるヒト間質細胞
の、恐らくは全てではないがほとんどは、多能性10−22細胞の上皮組織および間充組
織への局所的な同時分化により派生したと考えられる。
10−22がんiPS様系統の奇形腫の腺管構造をさらに詳細に特徴付けると、それら
は、ケラチン19(K19)ならびに核PDX1、膵臓決定因子、および核SOX9を発
現することが見出された(図3A〜F、J;図11A〜E)。PDX1は、成人膵管細胞
では非常に低レベルで発現されるが、成人外分泌腺細胞では発現されず、膵炎、PanI
N、およびPDACで上方制御される(Miyatsukaら、2006)。SOX9は
、マウスモデルでは、前駆膵臓病変の、変異体Krasとの協調的エフェクターである(
Koppら、2012)。10−12膵臓周縁部iPS様細胞に由来する奇形腫は、胃ム
チンMUC5ACを発現しなかったが、10−22細胞に由来する奇形腫のPanIN様
構造は、PanIN病変および十分に分化したPDACで観察されるように(Kimら、
2002)、大量のMUC5ACを発現した(図3G〜I、K、褐色染色;図11A)。
10−22iPS様系統が由来した親膵臓がん組織の組織学的検査およびCGHゲノムプ
ロファイルを考慮すると、データは、分化が不良な後期PDACに由来する10−22i
PS様系統は、その疾患の初期段階に関連するPanIN病変に分化することができるこ
とを示す。
10−22iPS様系統PDACは、侵襲性段階のヒト膵臓がんへと進行する。
10−22系統に由来するPanIN様構造が、後期段階のPDACに進行することが
できるか否かを評価するために、NSGマウスで6〜9か月間増殖させた奇形腫を調査し
た。9か月までに、2匹の注射マウスの各々に、2つの固形で触知可能な腫瘍が生じた(
3〜6mm直径)。腫瘍は全て10−22細胞の遺伝子型特徴を有していた(図11F)
。触知可能な腫瘍は、6か月では明白でなかったが、組織学的分析は、6か月および9か
月の両方で、核異型性および血色素減少を有する高度腺状構造を示した(図4A、B)。
上皮細胞は、K19、MUC5AC、PDX1、およびSOX9が陽性だった(図4C〜
R、矢印)。注目すべきには、局所的に侵襲性の表現型を示す構造が観察された(図4A
、B;矢印)。10−22iPS様系統に由来する奇形腫のPanIN様段階の後には、
in vivoでは侵襲性段階のPDACが続き、10−22iPS様モデルが、広範な
膵臓発癌現象を経ることを示した。
10−22系統奇形腫に由来するPanIN様細胞の培養オルガノイドは、初期膵臓がん
を示すタンパク質を分泌または放出する。
10−22細胞に由来する奇形腫内に生じるPanIN様構造を、初期ヒト膵臓がんの
生細胞in vitroモデルとして研究することができる系を生成した。したがって、
注射した3か月後の奇形腫に由来する組織を、対側性対照組織と共に回収した。組織をマ
トリゲルに別々に包埋し、in vitroで培養する条件を確立した(図12A)。そ
の結果生じた球状オルガノイドに由来するDNAのPCR分析により、10−22系統遺
伝子型が確認されたが、10−22系統遺伝子型は、対側性対照外植片には存在しなかっ
た(図12B)。10−22がんiPS様細胞に由来するオルガノイドは、ヒトK19お
よびMUC5ACの発現を保持した(図5A〜C、切片)。
PDACの予後不良を考慮して、オルガノイド系を使用し、早期検出を可能にすること
ができ、療法後の疾患モニタリングを容易にすることができるバイオマーカーおよび経路
を特定した。Nano LC/MS/MSを使用して、6日間培養した3つの独立した奇
形腫の外植片から分泌または放出されたタンパク質を調査した(図5D、左)。データを
、同様に培養された対側性対照組織の外植片から、および未分化の状態で培養された親1
0−22iPS様系統から分泌または放出されたタンパク質と比較した。ヒトペプチドと
完全に一致し、ヒトPanIN様奇形腫外植片に特異的だったペプチドを選択した(図5
D、右)。3つ全ての10−22奇形腫外植片から分泌または放出された25個のタンパ
ク質のうち(図5D、右;表4)、8個は、PanIN、IPMN、および/またはPD
AC内のRNAまたはタンパク質レベルで発現されることが以前に報告されているが、残
りのタンパク質については報告されていない(Harshaら、2009)(表5)。対
の10−22奇形腫外植片の交差から特定された82個のタンパク質のうち(図5D、右
;表6〜8)、15個のタンパク質が、PanIN/IPMN/PDACで以前に報告さ
れている(Harshaら、2009(表5)。PGAM−MおよびVWF等の、あるm
RNAが、PanINにおいて以前に特定されたが(Buchholzら、2005)、
対応するタンパク質は、細胞から分泌または放出され、培地中で安定性を保つことが判明
した。
Ingenuity経路分析は、少なくとも2つの10−22奇形腫外植片から分泌ま
たは放出された合計107個のタンパク質のうち(図5)、42個が、相互に関連するT
GFβ1およびインテグリンシグナル伝達ネットワークに入ることを明らかにした(38
個のタンパク質については図5E、および表13)。これらの経路は、PanIN、IP
MN、およびPDACにおいて以前に報告されている(Bardeesyら、2006;
Jonesら、2008)。加えて、奇形腫外植片から分泌または放出された7個のタン
パク質が、相互に関連するRas/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路に入る
ことが特定された(表12)。要約すると、初期ヒト膵臓がんの10−22生細胞モデル
から分泌または放出される多数のタンパク質が発見され、ならびに十分に研究されている
経路が早期がん進行に関与する証拠が発見された。
強調されている数値は、10-22iPS様細胞の3つの独立したテトラトーマ(マウス#9223、922
5、および7761)に由来する無血清培地で培養された外植片に由来する順化培地においての
み、タンパク質特定を提供し、対側性対照組織の外植片に由来する培地または多能性条件
下で培養された10-22iPS様系統に由来する培地ではタンパク質特定を提供しないペプチド
の数を示す。合計は25個のタンパク質である。H-ヒト特異的ペプチド、M-マウス特異的ペ
プチド、C-ヒトおよびマウスペプチド、B-ウシ特異的、U-ヒト/マウス/ウシ以外の種。
HNF4αネットワークは、初期から中期膵臓がんで活性化されたが、後期膵臓がんで
は活性化されなかった。さらなるIngenuity分析は、分泌または放出されたタン
パク質の別の25個が、多数の直接遺伝子標的を含む、転写因子HNF4αを中心とする
ネットワークにあることを明らかにした(Odomら、2004)(図5F、表9および
10)。また、HNF4αネットワークのタンパク質のうち9個は、マウスPDACモデ
ルのPanIN段階中に血漿へと分泌された(表9)(Taguchiら、2011)。
HNF4αは、データベースの検索することにより、PDACの発症または進行には報告
されていないが、ヒトPDACにおけるHNF4α遺伝子座の増幅(Maserら、20
07)およびHNF4α mRNAの上方制御(Iacobuzio−Donahueら
、2003;Logsdonら、2003)が記されていた。幾つかの報告では、成体マ
ウスの膵腺房細胞ならびに島細胞にHNF4αが示されているが(Guptaら、200
7)、HNF4aは、主に島細胞で発現され、正常な膵臓の他所では発現が非常に低いか
または発現されないことが見出された(図12C)。興味深いことには、HNF4αは、
正常ヒトまたはマウス膵管では発現されなかったが(図6A;図12C)、3か月の10
−22奇形腫PanIN様細胞および9か月の侵襲期細胞の核で発現された(図6B、C
;図12D)。HNF4αは、10−22細胞が由来した、10番目の患者の原腫瘍の中
程度に分化した領域で細胞質的に検出されたが、腫瘍の未分化部分では検出されなかった
(図6D)。
ヒト膵臓がんの様々な段階でのHNF4α発現をより定量的に評価するために、組織マ
イクロアレイを使用して、様々な段階のヒトPanINの複数の試料ならびに膵臓がんの
試料を評価した。HNF4αは、正常膵管の核でわずかに検出され、PanIN−1細胞
の試料では非常に微弱だったが、PanIN−2の試料での核発現は、統計的に有意な増
加を示し(p<0.05)、PanIN−3上皮ではより強力でより均一な発現を示した
(p<0.05)(図6E、G、J;表10)。HNF4αは、原患者#10腫瘍で見ら
れるように(図6D)、十分に分化したPDACのムチン切片で最も頻繁に検出され(p
<0.01)、未分化または分化不良のPDACの上皮構造ではわずかに検出されたかま
たは検出可能でなかった(図6H〜J)。また、ヒトタンパク質アトラス(Uhlenら
、2010)では、HNF4αは、十分に分化したPDACの上皮構造で陽性であるが、
細胞質でも、分化不良または未分化のPDACの上皮構造でも発現されず、転移性PDA
Cで発現されないと考えられるとも記されていた。
HNF4αは、KrasG12D;p53L/+;Pdx1−Cre;RosaLSL
−YFPバックグラウンド(Rhimら、2012)で生じるPDACのマウスモデルで
評価した。ヒトでのように、HNF4αは、PanIN−1段階で散在的に発現されるた
め(図6K)、PanIN−2病変(図6L)およびPanIN−3病変(図6M)のほ
とんどの核で発現され、マウス腫瘍のより分化した部分の核で観察されたが、未分化の部
分では観察されなかった(図6O、P;白色矢印)。結論として、10−22iPS様細
胞がヒト膵臓がんの初期段階を経る能力を、それらの形態、組織学的検査、分泌または放
出タンパク質により検証し、それらを使用して、ヒト臨床試料および疾患のマウスモデル
において初期から侵襲期の病理に関連する、これまでは正当に評価されていないネットワ
ークを発見した。
強調されている数値は、10-22iPS様細胞の2つの独立したテトラトーマ(マウス#9223お
よび9225)に由来する無血清培地で培養された外植片に由来する順化培地においてのみ、
タンパク質特定を提供し、対側性対照組織の外植片に由来する培地または多能性条件下で
培養された10-22iPS様系統に由来する培地ではタンパク質特定を提供しないペプチドの数
を示す。合計は42個のタンパク質である。H-ヒト特異的ペプチド、M-マウス特異的ペプチ
ド、C-ヒトおよびマウスペプチド、B-ウシ特異的、U-ヒト/マウス/ウシ以外の種。
考察
PDAC進行の生ヒト細胞モデルが存在しなかったため、結果的に、疾患の初期段階の
放出バイオマーカーおよび経路指標としての役目を果たすことができるタンパク質に関す
る情報はほとんどなかった。ヒトPDACまたは膵臓がん幹細胞を免疫不全マウスに移植
すると、細胞が由来した進行性PDAC段階と似た腫瘍が急速に発生し、PDAC前駆体
の遅延増殖表現型を経ることはない。あるがん細胞が、核移植により多能性に再プログラ
ムされ、その後初期哺乳類発生を経る能力に基づき、ヒト膵臓の腫瘍に由来する多能性幹
細胞系が、がんの初期発生段階を経て進行する能力を有する可能性があるという仮説を立
てた。これにより、破壊的ながんの生初期ヒト細胞の内因性プロセスおよび分泌タンパク
質バイオマーカーを発見する機会が提供される。実際、希少な単一の膵臓がんiPS様系
統である10−22細胞は、ヒトがん進行に対する新規な洞察を提供することができる。
Oct4、Sox2、Klf4、およびc−Mycの異所性発現、ならびに多能性様状
態は、がん表現型を抑制した。以前に観察されているように、多能性エピジェネティック
環境が、ある発がん状態を支配する場合がある(Lonardo E、2011)。核移
植研究では、あるがん細胞だけが、再プログラムを受けやすく(Blellochら、2
004;Hochedlingerら、2004;Liら、2003)、同様に、1つの
iPS様系統が、PDACの主な促進因子であるKRAS突然変異を内包する膵臓がんか
ら取得された。KRAS突然変異は、マウスES細胞の分化を開始させる(Kunath
ら、2007)MAPKシグナル伝達を、ヒトES細胞において誘導し、MAPKシグナ
ル伝達は、自己複製を促進することができる(Eiselleovaら、2009)。発
がん性RASは、p53またはCDKN2Aの蓄積により細胞老化を誘導し(Serra
noら、1997)、4つの再プログラム因子の発現も、p53およびCDKN2Aを誘
導することにより老化を開始させ、それにより再プログラムを妨害する(Banitoら
、2009)。患者#10のみが、CDKN2Aのexon2に欠失を有していた。恐ら
くは、これが、10−22細胞がどのようにして老化表現型を回避することができるかの
説明である。さらなる突然変異が10−22細胞で生じて、細胞が特にiPSを形成し易
くした可能性がある。
強調されている数値は、10-22iPS様細胞の2つの独立したテトラトーマ(マウス#9223およ
び7661)に由来する無血清培地で培養された外植片に由来する順化培地においてのみタン
パク特定を提供し、対側性対照組織の外植片に由来する培地または多能性条件下で培養さ
れた10-22iPS様系統に由来する培地ではタンパク特定を提供しないペプチドの数を示す。
合計は18個のタンパク質である。H-ヒト特異的ペプチド、M-マウス特異的ペプチド、C-ヒ
トおよびマウスペプチド、B-ウシ特異的、U-ヒト/マウス/ウシ以外の種。
強調されている数値は、10-22iPS様細胞の2つの独立したテトラトーマ(マウス#9223およ
び7761)に由来する無血清培地で培養された外植片に由来する順化培地においてのみタン
パク特定を提供し、対側性対照組織の外植片に由来する培地または多能性条件下で培養さ
れた10-22iPS様系統に由来する培地ではタンパク特定を提供しないペプチドの数を示す。
合計は22個のタンパク質である。H-ヒト特異的ペプチド、M-マウス特異的ペプチド、C-ヒ
トおよびマウスペプチド、B-ウシ特異的、U-ヒト/マウス/ウシ以外の種。
多能性からの解放は、後期表現型への即時回帰を起こすのではなく、がんゲノムを病期
特異的な様式で発現させることを可能にした。多能性からの解放には、通常、胚葉細胞の
発生およびその後の特殊組織の発生が伴い、それが引き続き後成的に常在がんゲノムを圧
倒することができる(Blellochら、2004;Hochedlingerら、2
004;Liら、2003)。PDACに由来する10−22細胞は、奇形腫、ならびに
PanIN病変および後期進行を示した膵管組織において多様な組織タイプを生成した。
多能性細胞が、それら自体が由来したがんタイプを再現する明白な傾向を示すことは、i
PS細胞系が、一般的に自らの由来起原に優先的に分化する傾向を反映する(bar−N
urら、2011;Kimら、2011)。幾つかの証拠は、10−22iPS様系統が
PDACに由来することを示している。第1に、原再発腫瘍の病理は、PDACの病理で
あり、培養細胞のバルク集団のCGHプロファイルは、高度に破壊されたゲノムを有し、
10−22iPS様系統のCGHプロファイルを示していた(図1I、9B)。腫瘍が、
大部分の未分化細胞中で、より多くの分化上皮細胞のポケットを内包し、したがって、ど
のタイプの細胞が10−22系統で不死化されたかが不確かであり、10−22細胞の破
壊されたゲノムは、再発腫瘍の典型的な上皮細胞のゲノムを反映している。第2に、10
−22細胞の奇形腫に由来するPanIN様構造は、SOX9を発現した(図11B〜E
)。これは、マウスモデルの初期KrasG12D依存性膵臓前駆体病変(Koppら、
2012)ならびに決定的な膵臓がん上皮マーカーであるPDX1に必要である。したが
って、10−22細胞に由来する腺管病変は膵臓型である。第3に、10−22細胞に由
来する9か月の奇形腫は、後期PDACの組織学および局所的侵襲性特徴に進行した(図
4)。したがって、10−22系統は、もっぱら初期表現型を経ることになる初期細胞由
来ではなかった。特定の理論に限定されないが、10−22iPS様系統が、原腫瘍のP
DAC細胞に由来し、奇形腫での再分化の際に疾患の進行を経ることを示す証拠がある。
これは、後期のがんを示す他のヒトPDAC系統とは異なる(Lieberら、1975
;Yunisら、1977)。
NANOG等の多能性遺伝子は、膵臓がん幹細胞(CSC)の球形培養で発現し、その
ような細胞が再プログラムを受けやすいことを示唆する(Lonardoら、2011)
。しかしながら、CD133+CXCR4+膵臓CSCは、豊富にならず、多能性遺伝子
の発現は、10−22細胞を導出するために使用された接着培養条件では観察されない(
Hermannら、2007)。また、OCT4およびNANOG多能性遺伝子は、10
−22細胞系およびhuES H1対照とは対照的に、親腫瘍#10上皮培養で高度にメ
チル化され、NANOG自体は、原発性腫瘍では発現されなかったが、OCT4は、散在
的に発現された(図8B、C)。特定の理論に限定されないが、10−22細胞が膵臓C
SCに由来した可能性は低いと考えられる。加えて、膵臓CSC(Hermannら、2
007;Ishizawaら、2010;Liら、2007)は、原発性腫瘍を表す浸潤
性腫瘍を急速に生成するが、10−22細胞は、ゆっくりと増殖するPanINを生成す
る(図3、10)。最後に、膵臓CSCで生成された腫瘍は、3か月の奇形腫でのPan
IN様腺管の均質なK19陽性染色とは対照的に、その結果生じた腫瘍のサイトケラチン
陰性細胞および陽性細胞を両方とも生じさせる(図3、8A)。したがって、10−22
細胞は、膵臓がん幹細胞の特性を示さないと考えられる。
PanIN様奇形腫から放出または分泌されたタンパク質は、PDAC進行を抑制する
TGFβおよびインテグリンのシグナル伝達の相互関連ネットワークを含む、少なくとも
3つの主要なネットワークに入る(Hezelら、2012)。HNF4αネットワーク
の活性化が後期PanINから侵襲性段階に特有であることを、初めて発見した。HNF
4αは、正常膵管細胞では発現されないかまたはわずかに発現されるに過ぎず、PanI
N1段階での発現は不良であるが、PanIN2段階およびPanIN3段階、侵襲期、
および初期の十分に分化したヒト膵臓がんでは活性化される。その後、HNF4αレベル
は、進行性または未分化のPDACでは著しく減少する。これらの発現状態は、PDAC
進行のマウスモデルでも生じることが判明した。HNF4α発現のダイナミックスは、肝
細胞の発がん性形質転換に影響を及ぼす(Hatziapostolouら、2011)
。HNF4αおよびその標的遺伝子の発現が、膵臓がん進行の原因であるかまたは結果で
あるかは依然として分かっていない。しかしながら、膵臓がんが、典型的には進行段階ま
たは転移段階で発見されることを考慮すると、特に後期PanIN段階における、HNF
4αの活性化およびこの因子の標的遺伝子に由来するタンパク質の放出または分泌は、有
用な診断法を提供するはずである。
マトリゲルに包埋された少なくとも2つの10-22奇形腫外植片に由来する分泌タンパク質の
うち、HNF4αにより直接的または間接的に調節されるタンパク質。
10−22系統に由来するPanIN様細胞から再現性よく放出または分泌された10
7個のタンパク質うち、合計68個のタンパク質が、ヒトPanINおよびPDACで発
現した遺伝子、タンパク質、およびネットワークと重複し(表10、11、12、および
13)、細胞の由来がさらに確証される。加えて、そのようなタンパク質は、細胞から放
出され、安定しており、したがって初期PDACのバイオマーカーとしての役目を果たす
。分泌されたタンパク質のサブセットは、外植片の局所的に活性化された間質細胞に由来
する可能性がある。特定の理論に限定されないが、PanINおよび侵襲性PDAC細胞
内のHNF4α、TGFβ、およびインテグリンネットワークの産物である放出タンパク
質の検出を合わせることにより、ヒトにおける膵臓がんの進行を非侵襲的に検出するため
の手段が提供される。
ELISAによる、膵臓がんを有する対象のバイオマーカーの検出。
この実施例では、開示された膵臓がんのバイオマーカーの検証を、酵素結合免疫吸着ア
ッセイ(ELISA)を使用して、膵臓がんを有する対象の血漿試料で実施した。
開示されたバイオマーカーの検証は、種々の段階の膵臓がんを有する10人の患者の血
漿試料を分析すること、および膵臓がんを有していなかった10人の対照対象の血漿試料
を分析することにより実施した。膵臓がんの10人の対象のうち、7人は、切除可能な局
所的進行がんを有し、5人は、それほど進行していない切除可能な膵臓がんを有していた
(表15)。
実施例1に記載の特定されたバイオマーカーのうちの33個および1つの対照を、EL
ISAにより対象の血漿で分析した(表15)。ヒト血漿試料を、抗凝血剤としてのED
TAまたはヘパリンで処理することにより、患者または対照から採取した血液から調製し
た。混合物を、血液収集の30分以内に1000×gで15分間2〜8℃にて遠心分離し
た。物質を等分して凍結し、凍結解凍サイクルの繰り返しを回避した。ELISAアッセ
イは、ELISAキットの製造業者の説明書に従って実施した。手短に述べると、100
μlの標準物質または10μlの試料を、マイクロタイタープレートのウエル毎に添加し
、90ulの希釈剤を試料ウエルに添加した。付属の粘着性ストリップでウエルをカバー
し、37℃で2時間インキュベートした。各ウエルに存在する液体を取り除き、100μ
lの製造業者のビオチン抗体(1×)を各ウエルに添加し、新しい粘着性ストリップでカ
バーし、その後1時間37℃でインキュベーションした。各ウエルを吸引し、200μl
の製造業者の洗浄緩衝で洗浄し、合計3回の洗浄を繰り返した。最後の洗浄後、吸引また
はデカントすることにより、あらゆる残留洗浄緩衝液を除去し、マイクロタイタープレー
トを逆さまにしてブロットし、各ウエルの一切の残存液体をさらに取り除いた。100μ
lのHRP−アビジン(1×)を各ウエルに添加し、マイクロタイタープレートを、新し
い粘着性ストリップでカバーし、37℃で1時間インキュベートした。吸引/洗浄プロセ
スを、上記の洗浄ステップで実施したように5回繰り返し、その後、90μlの製造業者
のTMB基質を各ウエルに添加し、37℃で15〜30分間インキュベーションした。3
7℃でインキュベーションした後、50μlの製造業者の停止溶液を、各ウエルに添加し
、プレートを穏やかにタッピングして、十分な混合を保証した。各ウエルの光学密度を、
450nmに設定したマイクロプレートリーダを使用して、5分以内に決定した。Sof
t Max Proを使用して、4パラメータのロジスティック非線形回帰モデルにより
各ウエルのシグナルを分析し、標準曲線にフィッティングし、各血漿試料中の抗原濃度の
決定を可能にした。
試料間および患者(症例)血漿および対照個人の血漿間の抗原濃度を比較するために、
ロジスティック回帰分析を実施して、受信者動作特性(ROC)曲線下の面積(つまりc
−統計値)を推定した。ROC曲線は、真陽性率(感度)対偽陽性率(1−特異性)を、
データセットの目的バイオマーカーについて観察された値の範囲にわたってプロットする
ことにより推定した。0.5のc−統計値は、症例/対照ステータスを50%の正確性で
正しく予測するマーカーと一致する。0.7を超えるc−統計値は、バイオマーカーが、
膵臓がんの診断として信頼できることを示す。
試験した33個のバイオマーカーは、AFP、RTTN、NLRX1、DNAH12、
ODZ3、ADAMST9、TPM1、DNAH1、PMFBP1、DNAH17、EP
HB1、DOS、MMP2、STARD8、ATP2A1、FKBP10、TCHP、T
CF20、ABCA13、SCN8A、TOP2B、LIMCH1、UFD1L、FLR
T3、ZHX2、SYNE1、THBS2、HMOX1、Obscurin、DNAH5
、Shroom3、LOXL3、Malectinだった(表15および図13〜46)
。がん抗原19−9(Ca199)は、膵臓がんの信頼できる腫瘍マーカーであり、陽性
対照として使用され、1.0のc−統計値をもたらした(表15および図33)。試験し
た33個のバイオマーカーのうち、RTTN、DNAH12、TPM1、DNAH1、S
TARD8、AP2A1、TOP2B、LIMCH1、SYNE1、THBS2、および
LOXL3は、0.7を超えるc−統計値を示したため、対象に膵臓がんが存在すること
を示すための信頼できるバイオマーカーであることが特定された(表15および図13〜
46)。例えば、TOP2Bは、TGFβ/インテグリン経路のメンバーであり、膵臓が
ん全てで0.860のc−統計値を示した。これは、TOP2Bが、初期および進行期膵
臓がんの信頼できるバイオマーカーであることを示す(表15および図23)。同様の結
果が、DNAH1、STARD8、ATP2A1、LIMCH1、およびTHBS2で観
察された(表15、図15、16、25、26、および41)。RTTN、TPM1、L
OXL3、およびSYNE1は、切除可能ながんを有する対象の血漿試料で0.7を超え
るc−統計値を示した。これは、RTTN、TPM1、LOXL3、およびSYNE1が
、初期の切除可能な膵臓がんの信頼できるバイオマーカーであることを示す(表15、図
20、29、35、および40)。DNAH12は、HNFa経路のメンバーであり、膵
臓がん患者全て、つまり局所的に進行した切除可能な膵臓がんを有する患者の血漿試料で
1.0のc−統計値を示した。これは、DNAH12が、膵臓がんの信頼できるバイオマ
ーカーであり得ることを示す(表15および図37)。
質量分析による、膵臓がんを有する対象でのバイオマーカーの検出。
この実施例では、質量分析を使用して、開示された膵臓がんのバイオマーカーの検出を
、膵臓がんを有する対象の血漿試料で実施した。
2つの対照血漿(M1、M2)および2つの転移性PDAC症例血漿(M3、M4)を
選択し、盲検を可能にするためにコード化した。各血漿試料を、血清アルブミン除去ゲル
にかけ(「プル−ダウン」)、上清を収集した。各血漿試料の上清を、プロテインAビー
ズおよびプロテインGビーズの混合物にかけてIgGを除去し、6M尿素、10mM D
TT、および50mM IAAで調整して、遊離スルフヒドリル基をブロッキングした。
その後、上清を、1:50のトリプシンで処理し、C18カートリッジ脱塩ステップにか
けた。各上清試料から30μgを等分し、各々をLC−MS/MSにかけた。pFind
を使用して、データを分析し、ペプチドIDを特定した。逆方向ペプチドデコイを、順方
向ペプチドと比較し、5%FDRフィルターを適用し、ペプチドヒットを提供したリスト
を作成した。各血漿試料は、約22,000個のペプチドヒット(MS−1:21294
個のペプチドヒット;MS−2:23621個のペプチドヒット;MS−3:22342
個のペプチドヒット;およびMS−4:21991個のペプチドヒット)をもたらし、試
料間の比較を可能にした。表16に示されているように、64個のバイオマーカー候補の
幾つかのペプチドヒットが、PDAC試料で観察された。
試料から特定された最も豊富なタンパク質は、301個のペプチドヒットを示したアル
ファ−2−マクログロブリン、2700個のペプチドヒットを示したA2M、1495個
のペプチドヒットを示したセルロプラスミン、および1398個のペプチドヒットを示し
たアルブミンだった。これらの結果は、上記に示されているように、幾つかのタンパク質
が、最も多くのペプチドヒットを示し、スペクトラムを圧倒して、試料中の少量タンパク
質を遮蔽することに結び付いたことを示す。これは、血漿試料に由来する血漿タンパク質
の枯渇が不十分だったことによる場合がある。
64個の候補タンパク質のうち、下記のものが、2つの試験したPDAC試料(MS3
およびMS4)で検出された:DNAH1、VCAM1、およびMYLK(表16)。6
4個の候補タンパク質のうち、下記のものが、PDAC症例試料(MS3またはMS4)
の1つで検出された:ACTN2、ATP2A1、DNAH5、TCF20、SYNE2
、SYNE1、KIAA1109、ABCA13、ZNF804A、SCYL2、および
KIAA1671(表16)。実施例2および表15に記載されているように、ELIS
Aにより、>0.7のc−統計値を有すると特定された4つの候補のうち、DNAH1、
ATP2A1、SYNE1が、PDAC血漿試料(MS3またはMS4)の少なくとも1
つで検出された(表16)。これらのデータは、特定されたタンパク質が膵臓がんのバイ
オマーカーとしての役目を果たすことができることを示す独立した実験結果を提供する。
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その内容全体が本明細書に参照により組み込まれる、様々な刊行物、特許および特許出
願が本明細書中で引用されている。

Claims (20)

  1. 対象が膵臓がんを有するか否かを決定する方法であって、対象に由来する1つまたは複
    数の生体試料を得ること、および1つまたは複数の生体試料中で、MANF、ZNF48
    5、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、
    STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI000266
    65、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA1
    3、DES、IMMT、TPM1、SNRPE、VCAM1、GRB2、SHROOM3
    、HMOX1、POSTN、MMP10、MMP−2、THBS2、EWSR1、NOD
    1、ADAMTS9、AFP、SYNE1、SYNE2、EPHB1、UFD1L、TE
    AD1、RYR3、CMYA5、MYLK、TOP2B、KIAA1109、ODZ3、
    PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、ERP29、OBSCN、LO
    XL3、MLEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12、DNAH17、SCYL2
    、FKBP10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZNF804A、ACTN2およ
    びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数のバイオマーカーを検出
    することを含み、1つまたは複数のバイオマーカーの検出が、対象が膵臓がんを有するこ
    との指標である方法。
  2. 対象が膵臓がんを有するか否かを決定する方法であって、対象に由来する1つまたは複
    数の生体試料を得ること、および1つまたは複数の生体試料中で、RTTN、DNAH1
    2、TPM1、DNAH1、STARD8、ATP2A1、TOP2B、LIMCH1、
    SYNE1、THBS2、LOXL3、およびそれらの組み合わせからなる群から選択さ
    れる1つまたは複数のバイオマーカーを検出することを含み、1つまたは複数のバイオマ
    ーカーの存在が、対象が膵臓がんを有することの指標である方法。
  3. 対象が膵臓がんを有するか否かを決定する方法であって、対象に由来する生体試料を得
    ること、および対象に由来する生体試料が少なくとも3つのバイオマーカーを含有するか
    否かを決定することを含み、少なくとも3つのバイオマーカーの1つが、TGFβ/イン
    テグリンシグナル伝達経路のメンバーであり、少なくとも3つのバイオマーカーの1つが
    、HNF4α転写因子ネットワークのメンバーであり、少なくとも3つのバイオマーカー
    の1つが、Ras/p53/JUN/CTNB1シグナル伝達経路のメンバーであり、試
    料中の少なくとも3つのバイオマーカーの存在が、対象が膵臓がんを有することの指標で
    ある方法。
  4. 対象がヒトである、請求項1、2、または3に記載の方法。
  5. 生体試料が、糞便試料、血液試料、血漿試料、膵嚢胞液試料、およびそれらの組み合わ
    せからなる群から選択される、請求項1、2、または3に記載の方法。
  6. バイオマーカーがタンパク質である、請求項1、2、または3に記載の方法。
  7. タンパク質バイオマーカーの存在が、タンパク質バイオマーカーと特異的に結合する試
    薬を使用して検出される、請求項6に記載の方法。
  8. 試薬が、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合性断片、またはポリクローナル抗体
    もしくはその抗原結合性断片である、請求項7に記載の方法。
  9. タンパク質の存在が、酵素結合免疫吸着アッセイにより検出される、請求項6に記載の
    方法。
  10. バイオマーカーが、転写されたポリヌクレオチドまたはその部分を含む、請求項1、2
    、または3に記載の方法。
  11. 対象が膵臓がんを有するか否かを診断するための、または治療的処置の効力を評価する
    ためのキットであって、対象に由来する1つまたは複数の生体試料中で、MANF、ZN
    F485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、D
    OS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI000
    26665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、AB
    CA13、DES、IMMT、TPM1、SNRPE、VCAM1、GRB2、SHRO
    OM3、HMOX1、POSTN、MMP10、MMP−2、THBS2、EWSR1、
    NOD1、ADAMTS9、AFP、SYNE1、SYNE2、EPHB1、UFD1L
    、TEAD1、RYR3、CMYA5、MYLK、TOP2B、KIAA1109、OD
    Z3、PMFBP1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、ERP29、OBSCN
    、LOXL3、MLEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12、DNAH17、SC
    YL2、FKBP10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZNF804A、ACTN
    2およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数のバイオマーカー
    を検出するために有用な試薬を含むキット。
  12. パッケージングされたプローブおよびプライマーセット、アレイ/マイクロアレイ、バ
    イオマーカー特異的抗体、または1つもしくは複数のバイオマーカーを検出するためのビ
    ーズの1つまたは複数を含む、請求項11に記載のキット。
  13. 特定しようとする1つまたは複数のバイオマーカーを検出するための、少なくとも1つ
    のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性断片またはポリクローナル抗体もしくはそ
    の抗原結合性断片を含む、請求項11に記載のキット。
  14. 対象が膵臓がんを有するか否かを決定する方法であって、対象に由来する生体試料を得
    ること、および対象に由来する生体試料が少なくとも2つのバイオマーカーを含有するか
    否かを決定することを含み、少なくとも2つのバイオマーカーの一方が、TGFβ/イン
    テグリンシグナル伝達経路のメンバーであり、少なくとも2つのバイオマーカーの他方の
    バイオマーカーが、HNF4α転写因子ネットワークのメンバーであり、試料中の少なく
    とも2つのバイオマーカーの存在が、対象が膵臓がんを有することの指標である方法。
  15. 対象が膵臓がんを有するか否かを決定する方法であって、対象に由来する生体試料を得
    ること、および対象に由来する生体試料が少なくとも2つのバイオマーカーを含有するか
    否かを決定することを含み、少なくとも2つのバイオマーカーの一方が、Ras/p53
    /JUN/CTNB1シグナル伝達経路のメンバーであり、少なくとも2つのバイオマー
    カーの他方のバイオマーカーが、HNF4α転写因子ネットワークのメンバーであり、試
    料中の少なくとも2つのバイオマーカーの存在が、対象が膵臓がんを有することの指標で
    ある方法。
  16. 対象が膵臓がんを有するか否かを決定する方法であって、対象に由来する生体試料を得
    ること、および対象に由来する生体試料が少なくとも2つのバイオマーカーを含有するか
    否かを決定することを含み、少なくとも2つのバイオマーカーの一方が、Ras/p53
    /JUN/CTNB1シグナル伝達経路、HNF4α転写因子ネットワーク、TGFβ/
    インテグリンシグナル伝達経路、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される経
    路のメンバーであり、少なくとも2つのバイオマーカーの他方のバイオマーカーが、MA
    NF、ZNF485、IMPA1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、
    GNN、DOS、STARD8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、I
    PI00026665、RAD51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RT
    TN、ABCA13、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、試料中の少な
    くとも2つのバイオマーカーの存在が、対象が膵臓がんを有することの指標である方法。
  17. 対象の膵臓がんを予防または治療するための療法の効力を評価する方法であって、
    (a)療法の前に、対象から得られた生体試料中の、MANF、ZNF485、IMP
    A1、SVEP1、KIAA1671、KIAA1529、GNN、DOS、STARD
    8(DLC3)、SCN8A、U2SURP、TCHP、IPI00026665、RA
    D51C、ATP2A1、NLRX1、ZNF160、RTTN、ABCA13、DES
    、IMMT、TPM1、SNRPE、VCAM1、GRB2、SHROOM3、HMOX
    1、POSTN、MMP10、MMP−2、THBS2、EWSR1、NOD1、ADA
    MTS9、AFP、SYNE1、SYNE2、EPHB1、UFD1L、TEAD1、R
    YR3、CMYA5、MYLK、TOP2B、KIAA1109、ODZ3、PMFBP
    1、EPHB3、LIMCH1、TCF20、ERP29、OBSCN、LOXL3、M
    LEC、DNAH1、DNAH5、DNAH12、DNAH17、SCYL2、FKBP
    10、FLRT3、ZHX2(AFR1)、ZNF804A、ACTN2およびそれらの
    組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを決定す
    ること、ならびに
    (b)療法中の1つまたは複数の時点で、対象から得られた生体試料中の1つまたは複
    数のバイオマーカーのレベルを決定すること
    を含み、第1の試料と比べて、第2のまたはその後の試料中の1つまたは複数のバイオマ
    ーカーのレベルがより低い場合、療法が、対象のがんを予防または治療するのに効果的で
    ある方法。
  18. 膵臓腫瘍細胞モデル系を産生する方法であって、
    (a)膵管腺癌試料から膵管腺癌細胞を単離すること、
    (b)単離した膵管腺癌細胞でKlf4、Sox2、Oct4、およびc−Mycを過
    剰発現させて、人工多能性幹細胞を産生すること、
    (c)人工多能性幹細胞を免疫低下動物に注射して、動物に奇形腫を生じさせること;
    (d)動物から奇形腫を単離すること;ならびに
    (e)奇形腫を培養して、膵臓腫瘍細胞モデル系を得ること
    を含む方法。
  19. 請求項18に記載の方法により生成される膵臓腫瘍細胞モデル系。
  20. 膵臓がんの1つまたは複数のバイオマーカーを特定するための、請求項19に記載の膵
    臓腫瘍細胞モデル系の使用。
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