以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る樹脂フィルムの製造方法は、電極に接続されて用いられる樹脂フィルムの製造方法である。上記樹脂フィルムは、電極に接続されて用いることができる樹脂フィルムである。本発明に係る樹脂フィルムの製造方法は、樹脂と、上記樹脂フィルムが上記電極に接続された状態で熱電変換機能を発現する熱電変換材料とを含む樹脂組成物を得る工程と、上記樹脂組成物をフィルム状に成形し、樹脂フィルム状物を得る工程と、上記樹脂フィルム状物にドーパントを導入して、ドーパントを含む樹脂フィルムを得る工程とを備える。
本発明では、樹脂フィルムについてゼーベック係数を測定した際に、ゼーベック係数の値が10−7V/K以上である場合に、熱電変換機能を発現するとみなす。例えば、樹脂フィルムにおける離れた2つの位置に電極を接続し、電極間を導線で接続することで、電気取出部から電気を取り出すことができる。
本発明に係る樹脂フィルムの製造方法では、上記の構成が備えられているので、得られる樹脂フィルムにおいて、高い透明性を発現させることができ、かつ高い熱電変換機能を発現させることができる。本発明に係る樹脂フィルムの製造方法により得られる樹脂フィルムは、電極に接続されて用いることができる。本発明に係る樹脂フィルムの製造方法で得られる樹脂フィルムを電極に接続させることにより、熱電変換機能を発現させることができる。
また、本発明に係る樹脂フィルムの製造方法では、上記の構成が備えられているので、高い導電率を有する樹脂フィルムを得ることができる。
熱電変換機能を有する樹脂フィルムを得る方法として、樹脂と熱電変換材料とドーパントとを含む樹脂組成物をフィルム状に成形する方法が考えられる。樹脂組成物を得る際及びフィルム状に成形する際には、一般に、原料は高温で比較的長い時間加熱される。本発明者らは、樹脂と熱電変換材料とドーパントとを含む樹脂組成物をフィルム状に成形して樹脂フィルムを得た場合には、得られる樹脂フィルムの熱電変換機能(特に導電率)が十分に高くならないことがあることを見出した。本発明者らは、樹脂と熱電変換材料とを含む樹脂組成物をフィルム状に成形した樹脂フィルム状物を得て、該樹脂フィルム状物にドーパントを導入することにより、得られる樹脂フィルムの熱電変換機能(特に導電率)を高めることができることを見出した。本発明に係る樹脂フィルムの製造方法によって、樹脂フィルムの熱電変換機能を高めることができる理由としては、樹脂フィルム中でドーパントが特定の分散状態で存在している可能性、及び高温で比較的長い時間加熱されたドーパントでは、ドーパントによる熱電変換機能の向上効果が十分に発揮されない可能性等が考えられるが、定かではない。
以下、まず、樹脂フィルム及び熱電変換フィルムについて説明した後、樹脂フィルムの製造方法及び熱電変換フィルムの製造方法について説明する。
(樹脂フィルム)
本発明に係る樹脂フィルムの製造方法によって製造された樹脂フィルムは、樹脂と、熱電変換材料と、ドーパントとを含む。上記樹脂フィルムは、電極に接続されて用いられる樹脂フィルムである。
上記樹脂フィルムは、1層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよく、4層以上の構造を有していてもよい。上記樹脂フィルムは、2層以上の構造を有し、第1の表面層と、第2の表面層とを備えていてもよい。上記樹脂フィルムは、3層以上の構造を有し、上記第1の表面層と上記第2の表面層との間に、中間層を備えていてもよい。上記樹脂フィルムは、上記中間層を2層以上備えていてもよい。上記樹脂フィルムは、第1の中間層と第2の中間層とを備えていてもよい。
上記樹脂フィルムは、上記熱電変換材料を含む層と、上記熱電変換材料を含まない層とを有していてもよい。上記樹脂フィルムは、上記ドーパントを含む層と、上記ドーパントを含まない層とを有していてもよい。上記樹脂フィルムは、上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含む層と、上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含まない層とを有していてもよい。
上記樹脂フィルムの可視光線透過率は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、より一層好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、更に一層好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、特に一層好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。上記樹脂フィルムの可視光線透過率が上記下限以上であると、透明性をより一層高めることができ、樹脂フィルムを介した視認性を効果的に高めることができる。
なお、上記樹脂フィルムが合わせガラス用中間膜である場合に、合わせガラス用中間膜は、シェード領域を有していてもよい。上記合わせガラス用中間膜におけるシェード領域を除く領域の上記合わせガラス用中間膜(樹脂フィルム)の可視光線透過率を可視光線透過率Aとする。上記可視光線透過率Aは、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、より一層好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、更に一層好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、特に一層好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上である。上記樹脂フィルムは、可視光線透過率が上記下限以上である領域を有することが好ましい。上記樹脂フィルムの中央部の可視光線透過率が上記下限以上であることが好ましい。
上記樹脂フィルムの平面積100%中、上記樹脂フィルムの可視光線透過率が40%以上(又は上記下限以上)である領域の面積は、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。
上記可視光線透過率は、樹脂フィルムを、可視光線透過率が90.4%でありかつJIS R3202:2011に準拠した2枚のクリアガラスの間に配置して得られる合わせガラスを用いて測定することができる。分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いてJIS R3106:1998に準拠して、得られた合わせガラスの波長380nm〜780nmにおける可視光線透過率を測定することができる。
(熱電変換フィルム)
本発明に係る熱電変換フィルムの製造方法によって製造された熱電変換フィルムは、上記樹脂フィルムと、電極とを備え、上記樹脂フィルムは、樹脂と、熱電変換材料と、ドーパントとを含み、上記樹脂フィルムが上記電極に接続されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱電変換フィルムの製造方法で製造される熱電変換フィルムを模式的に示す断面図である。なお、図1及び後述する図における熱電変換フィルムの大きさ及び寸法は、図示の便宜上、実際の大きさ及び形状から適宜変更している。
図1に示す熱電変換フィルム1は、樹脂フィルム10と、電極21とを備える。樹脂フィルム10は、樹脂と熱電変換材料とドーパントとを含む。樹脂フィルム10の一端が電極21に接続されており、他端が電極21に接続されている。2つの電極21は、導線22により接続されている。導線22中に、電気取出部23が配置されている。
樹脂フィルム10は、第1の層11(中間層)と、第2の層12(表面層)と、第3の層13(表面層)とを備える。第1の層11の第1の表面側に、第2の層12が配置されており、積層されている。第1の層11の第1の表面とは反対の第2の表面側に、第3の層13が配置されており、積層されている。第1の層11は、第2の層12と第3の層13との間に配置されており、挟み込まれている。樹脂フィルム10は、多層フィルムである。
本実施形態では、第1の層11が熱電変換材料及びドーパントを含む。第1の層11の一端が電極21に接続されており、他端が電極21に接続されている。なお、第1の層、第2の層及び第3の層が熱電変換材料及びドーパントを含んでいてもよい。
第2の層12の第1の層11側とは反対側の外側の表面は、合わせガラス部材が積層される表面であることが好ましい。第3の層13の第1の層11側とは反対側の外側の表面は、合わせガラス部材が積層される表面であることが好ましい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る熱電変換フィルムの製造方法で製造される熱電変換フィルムを模式的に示す断面図である。
図2に示す熱電変換フィルム1Aは、樹脂フィルム10Aと、電極21とを備える。樹脂フィルム10Aは、樹脂と熱電変換材料とドーパントとを含む。樹脂フィルム10Aの一端が電極21に接続されており、他端が電極21に接続されている。2つの電極21は、導線22により接続されている。導線22中に、電気取出部23が配置されている。
樹脂フィルム10Aは、第1の層を備える。樹脂フィルム10Aは、第1の層のみの1層の構造を有し、単層フィルムである。樹脂フィルム10Aは、第1の層である。
図1,2に示すように、樹脂フィルムは、多層フィルムであってもよく、単層フィルムであってもよい。
(樹脂フィルムの製造方法)
本発明に係る樹脂フィルムの製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を備える。(1)樹脂と、上記樹脂フィルムが上記電極に接続された状態で熱電変換機能を発現する熱電変換材料とを含む樹脂組成物を得る工程。(2)上記樹脂組成物をフィルム状に成形し、樹脂フィルム状物を得る工程。(3)上記樹脂フィルム状物にドーパントを導入して、ドーパントを含む樹脂フィルムを得る工程。
(1)樹脂組成物を得る工程において、上記樹脂と、上記熱電変換材料とを混練することにより、上記樹脂組成物を得ることが好ましい。なお、上記樹脂組成物は、上記樹脂と上記熱電変換材料とに加えて、後述する可塑剤、光安定剤、金属塩、紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤等を含んでいてもよい。この場合には、上記樹脂組成物を得る工程において、上記樹脂と、上記熱電変換材料と、必要に応じて配合される他の成分とを混練することにより、上記樹脂組成物を得ることができる。
上記混練の方法は特に限定されない。上記混練の方法としては、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー及びカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。
均一に混練する観点からは、上記混練時の温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは125℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下である。混練時において樹脂組成物がドーパントを含まないと、ドーパントが加熱下に晒されなくなる。
(2)樹脂フィルム状物を得る工程において、上記樹脂組成物をフィルム状に成形する方法は、特に限定されない。単層の樹脂フィルム状物を得る方法としては、押出機を用いて得られた樹脂組成物を押出する方法、及び得られた樹脂組成物をプレス成形する方法等が挙げられる。多層の樹脂フィルム状物を得る方法としては、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、得られた各層を積層する方法、並びに、押出機を用いて各層を形成するための各樹脂組成物を共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出機を用いて押出成形する方法が好ましく、二軸押出機を用いて押出成形する方法がより好ましい。なお、熱電変換材料を含みかつドーパントが導入された層と、熱電変換材料及びドーパントを含まない層とを積層することにより、樹脂フィルムを得てもよい。
上記樹脂組成物をフィルム状に成形する方法は、加熱成形であることが好ましい。上記樹脂組成物の段階でドーパントが導入されていないと、加熱成形時に、ドーパントが加熱下に晒されなくなる。
上記成形時の温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
(3)ドーパントを含む樹脂フィルムを得る工程において、上記樹脂フィルム状物を、上記ドーパントと溶剤とを含むドーパント含有液に含浸させることにより、上記樹脂フィルム状物に上記ドーパントを導入することが好ましい。この場合には、樹脂フィルムの熱電変換機能及び導電率をより一層高めることができる。
上記溶剤は、有機溶剤であることが好ましい。上記有機溶剤としては、アセトニトリル、クロロホルム及びアセトン等が挙げられる。
樹脂フィルムの熱電変換機能及び導電率を更により一層高める観点からは、上記溶剤はアセトニトリルであることが好ましい。
上記ドーパント含有液における上記ドーパントの濃度は、好ましくは1mmol/L以上、より好ましくは5mmol/L以上、好ましくは200mmol/L以下、より好ましくは100mmol/L以下である。上記ドーパントの濃度が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂フィルムの熱電変換機能及び導電率をより一層高めることができる。
上記樹脂フィルム状物を上記ドーパント含有液に含浸させる方法としては、上記樹脂フィルム状物を上記ドーパント含有液中に浸漬させる方法、及び上記樹脂フィルム状物に上記ドーパント含有液を塗布する方法等が挙げられる。
上記樹脂フィルム状物を上記ドーパント含有液に含浸させる方法は、上記樹脂フィルム状物を上記ドーパント含有液中に浸漬する方法であることが好ましい。この場合には、短時間で樹脂フィルムを得ることができる。
上記ドーパントを含む樹脂フィルムを得る工程において、得られる樹脂フィルム中の上記熱電変換材料100重量部に対して、上記ドーパントの含有量が、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上となるように上記樹脂フィルム状物に上記ドーパントが導入されることが好ましい。上記ドーパントを含む樹脂フィルムを得る工程において、得られる樹脂フィルム中の上記熱電変換材料100重量部に対して、上記ドーパントの含有量が、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下となるように上記樹脂フィルム状物に上記ドーパントが導入されることが好ましい。
上記ドーパントを含む樹脂フィルムを得る工程において、上記樹脂フィルム状物を、上記ドーパントと上記溶剤とを含むドーパント含有液に含浸させた場合には、本発明に係る樹脂フィルムの製造方法は、(4)上記溶剤を除去する工程を備えることが好ましい。
上記溶剤を除去する方法としては、ドーパント含有液を含浸させた樹脂フィルム状物を乾燥させる方法等が挙げられる。
上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含む層と、上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含まない層とを有する樹脂フィルム(多層フィルム)は、例えば以下のようにして製造することができる。
上述した樹脂フィルムの製造方法により、上記樹脂と上記熱電変換材料と上記ドーパントとを含む第1の樹脂フィルムを得る。また、樹脂を含みかつ上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含まない組成物を成形し、第2の樹脂フィルムを得る。第1の樹脂フィルムの第1の表面側、又は、第1の表面側及び第2の表面側に第2の樹脂フィルムを積層して、樹脂フィルムを得る。得られる樹脂フィルム(多層フィルム)において、上記第1の樹脂フィルムによって形成された層が上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含む層であり、上記第2の樹脂フィルムによって形成された層が上記熱電変換材料及び上記ドーパントを含まない層である。
(熱電変換フィルムの製造方法)
本発明に係る熱電変換フィルムの製造方法は、上述した樹脂フィルムの製造方法により、樹脂フィルムを得る工程と、上記樹脂フィルムに電極を接続する工程とを備えることが好ましい。
以下、上記樹脂フィルムを構成する上記第1の層(単層フィルムを含む)、上記第2の層及び上記第3の層の詳細、並びに、上記樹脂組成物、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる各成分の詳細を説明する。
(樹脂)
上記樹脂組成物は樹脂を含む。上記樹脂フィルムは樹脂を含む。上記樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。したがって、上記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂として上記熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムである。上記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(0)と記載することがある)を含む。上記熱可塑性フィルムは、熱可塑性樹脂(0)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、熱可塑性樹脂(1)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(2)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(3)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂(1)と上記熱可塑性樹脂(2)と上記熱可塑性樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記熱可塑性樹脂(1)は、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)と異なることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)と上記ポリビニルアセタール樹脂(2)と上記ポリビニルアセタール樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)と異なることが好ましい。上記熱可塑性樹脂(0)、上記熱可塑性樹脂(1)、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(0)、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びシクロオレフィン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、上記熱可塑性樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂又はアイオノマー樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂を含むことがより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂を含むことが更に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他のフィルム等に対する熱可塑性樹脂フィルムの接着力がより一層高くなる。上記表面層及び上記中間層が、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂又はアイオノマー樹脂を含むことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂、上記ポリ塩化ビニル樹脂及び上記アイオノマー樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70モル%〜99.9モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上であり、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルムの成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3〜5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度が充分に低くなる。
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、熱可塑性樹脂フィルムの接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルムの柔軟性がより一層高くなり、熱可塑性樹脂フィルムの取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは22モル%以上であり、好ましくは28モル%以下、より好ましくは27モル%以下、更に好ましくは25モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、熱可塑性樹脂フィルムの機械強度がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また28モル%以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルムの柔軟性がより一層高くなり、熱可塑性樹脂フィルムの取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは28モル%以上、より一層好ましくは30モル%以上、更に好ましくは31.5モル%以上、更に一層好ましくは32モル%以上、特に好ましくは33モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは38モル%以下、より好ましくは37モル%以下、更に好ましくは36.5モル%以下、特に好ましくは36モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、熱可塑性樹脂フィルムの接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルムの柔軟性が高くなり、熱可塑性樹脂フィルムの取扱いが容易になる。
遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性を更に一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。遮音性を更に一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値、及び、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは20モル%以下である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルム及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、より一層好ましくは7モル%以上、更に好ましくは9モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは24モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルム及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度が0.1モル%以上25モル%以下であると、耐貫通性に優れる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上であり、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルム及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上であり、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは47モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは75モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、以下のようにして求める。先ず、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。このモル分率を百分率で示した値がアセタール化度である。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
(可塑剤)
樹脂フィルムの接着力をより一層高める観点からは、上記樹脂組成物は、可塑剤を含むことが好ましい。樹脂フィルムの接着力をより一層高める観点からは、上記樹脂フィルムは、可塑剤(以下、可塑剤(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記樹脂フィルムに含まれている樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、樹脂フィルム(各層)は、可塑剤を含むことが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を含む層は、可塑剤を含むことが好ましい。
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−ブタノエート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、マレイン酸ジブチル、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2,2―ブトキシエトキシエチル、安息香酸グリコールエステル、アジピン酸1,3−ブチレングリコールポリエステル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、炭酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(2)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
上記式(2)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(2)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−n−ブタノエート(3GB)、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)を含むことが好ましい。上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−n−ブタノエート(3GB)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)を含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
上記熱可塑性樹脂フィルムにおける上記熱可塑性樹脂(0)100重量部に対する上記可塑剤(0)の含有量を、含有量(0)とする。上記含有量(0)は、好ましくは20重量部以上、より好ましくは25重量部以上、更に好ましくは30重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは60重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。上記含有量(0)が上記下限以上であると、耐貫通性がより一層高くなる。上記含有量(0)が上記上限以下であると、熱可塑性樹脂フィルムの透明性がより一層高くなる。
上記第1の層において、上記熱可塑性樹脂(1)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量を、含有量(1)とする。上記含有量(1)は、好ましくは50重量部以上、より好ましくは55重量部以上、更に好ましくは60重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下、更に好ましくは85重量部以下、特に好ましくは80重量部以下である。上記含有量(1)が上記下限以上であると、熱可塑性樹脂フィルムの柔軟性が高くなり、熱可塑性樹脂フィルムの取扱いが容易になる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、耐貫通性がより一層高くなる。
上記第2の層において、上記熱可塑性樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量を、含有量(2)とする。上記第3の層において、上記熱可塑性樹脂(3)100重量部に対する上記可塑剤(3)の含有量を、含有量(3)とする。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上、特に好ましくは24重量部以上、最も好ましくは25重量部以上である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは35重量部以下、特に好ましくは32重量部以下、最も好ましくは30重量部以下である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記下限以上であると、熱可塑性樹脂フィルムの柔軟性が高くなり、熱可塑性樹脂フィルムの取扱いが容易になる。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記上限以下であると、耐貫通性がより一層高くなる。
合わせガラスの遮音性を高めるために、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも多いことが好ましく、上記含有量(1)は上記含有量(3)よりも多いことが好ましい。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上である。合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは20重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。
(熱電変換材料)
上記樹脂材料は、熱電変換材料を含む。上記樹脂フィルムは、熱電変換材料を含む。上記表面層が上記熱電変換材料を含むことが好ましい。上記中間層が上記熱電変換材料を含むことが好ましい。上記熱電変換材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱電変換効率を効果的に高める観点からは、上記熱電変換材料の性状が、粒子状又は繊維状であることが好ましく、繊維状であることがより好ましい。
上記熱電変換材料は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。熱電変換効率を効果的に高める観点からは、上記熱電変換材料は、有機化合物であることが好ましい。また、上記熱電変換材料は、有機ナノファイバーであることも好ましい。
上記熱電変換材料としては、ポリチオフェン化合物、並びにPEDOT PSS等のポリチオフェン化合物を含む電荷移動錯体等が挙げられる。上記樹脂フィルムの透明性をより一層高める観点からは、上記熱電変換材料は、ポリチオフェン化合物を含むことが好ましい。
上記ポリチオフェン化合物は、下記式(1)で表される構造を有するポリチオフェン化合物であることが好ましい。この場合、該式(1)で表される構造を有するポリチオフェン化合物は、電荷移動錯体の状態で、樹脂組成物及び樹脂フィルム中に含まれてもよい。また、該式(1)で表される構造を有するポリチオフェン化合物は、ナノファイバー化された状態で、樹脂組成物及び樹脂フィルム中に含まれてもよい。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は有機基を表す。
熱電変換効率をより一層高める観点からは、上記式(1)で表される構造を有するポリチオフェン化合物は、上記式(1)で表される構造が複数連続した構造を有することが好ましい。熱電変換効率をより一層高める観点からは、上記式(1)で表される構造を有するポリチオフェン化合物は、下記式(1A)で表される構造を有するポリチオフェン化合物であることが好ましい。
上記式(1A)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は有機基を表し、nは5以上500以下の整数を表す。
熱電変換効率を効果的に高める観点からは、上記式(1)及び上記式(1A)中、R1及びR2のいずれか一方は、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましく、R1及びR2の残りの他方は、炭素数1〜12の有機基であることが好ましい。上記炭素数1〜12の有機基は、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。なお、上記炭素数1〜12の炭化水素基及び炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記炭素数1〜12の有機基は、炭素原子及び水素原子以外の原子を有していてもよく、置換基を有していてもよい。上記炭素数1〜12のアルキル基は、炭素数3〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数6のアルキル基(ヘキシル基等)であることが更に好ましい。
熱電変換効率を効果的に高める観点からは、上記式(1A)中、nは50以上の整数であることが好ましく、400以下の整数であることが好ましい。
上記熱電変換材料が樹脂フィルムの表面に含まれている場合に、樹脂フィルムの接着性が低下する可能性がある。
多層フィルムにおいては、中間層が熱電変換材料を含むことが好ましい。第2の層と第3の層との間に第1の層が配置されている多層フィルムにおいては、第1の層が、熱電変換材料を含むことが好ましい。
第2の層と第3の層との間に第1の層が配置されている多層フィルムにおいては、第1の層中の熱電変換材料の含有量は、第2の層及び第3の層中の熱電変換材料の含有量よりも多いことが好ましく、0.005重量%以上多いことがより好ましく、0.01重量%以上多いことが更に好ましい。第2の層及び第3の層はそれぞれ、熱電変換材料を含んでいなくてもよい。第2の層及び第3の層中の熱電変換材料の含有量は、第2の層100重量%中及び第3の層100重量%中、0.05重量%以下であってもよく、0.03重量%未満であってもよく、0.01重量%未満であってもよい。
上記樹脂フィルム100重量%中及び熱電変換材料を含む層100重量%中、上記熱電変換材料の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上である。上記熱電変換材料の含有量が上記下限以上であると、熱電変換機能がより一層高くなる。上記樹脂フィルム100重量%中及び熱電変換材料を含む層100重量%中、上記熱電変換材料の含有量は、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.06重量%以下である。上記熱電変換材料の含有量が上記上限以下であると、熱電変換機能が効果的に高くなる。
(ドーパント)
上記樹脂フィルムは、ドーパントを含む。ドーパントの使用により、樹脂フィルムの熱電変換効率及び導電率が向上する。上記ドーパントは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ドーパントとしては、例えば、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、繊維金属化合物、アニオン及び酸性化合物等が挙げられる。上記ハロゲンは、Cl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr又はIFであることが好ましい。上記ルイス酸は、PF5、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、BBr3又はSO3であることが好ましい。上記プロトン酸は、HF、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H、CISO3H又はCF3SO3Hであることが好ましい。上記遷移金属化合物は、FeCl3、FeOCl、AgCl、AuCl3、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoF5、MoCl5、WF6、WCl6、UF6又はLnCl3(Ln=La、Ce、Pr、Nd、Smなどのランタノイド)であることが好ましい。上記アニオンは、Cl−、Br−、I−、ClO4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −又はBF4 −であることが好ましい。
ドーピングによる効果をより一層高める観点からは、上記樹脂フィルム中の上記熱電変換材料100重量部に対して、上記ドーパントの含有量は、好ましくは5重量部以上である。ドーピングによる効果を更に一層高める観点からは、上記樹脂フィルム中の上記熱電変換材料100重量部に対して、上記ドーパントの含有量は、好ましくは10重量部以上であり、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。
(光安定剤)
上記樹脂フィルム、上記表面層及び上記中間層は、光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤の使用により、樹脂フィルムが長期間使用されたり、太陽光に晒されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記光安定剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤であることが好ましい。
上記ヒンダードアミン光安定剤としては、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基、アルコキシ基又は水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤等が挙げられる。変色をより一層抑える観点からは、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基又はアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤が好ましい。上記ヒンダードアミン光安定剤は、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることが好ましく、ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることも好ましい。
上記ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin765」及び「Tinuvin622SF」、並びにADEKA社製「アデカスタブ LA−52」等が挙げられる。
上記ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「TinuvinXT−850FF」及び「TinuvinXT−855FF」、並びにADEKA社製「アデカスタブ LA−81」等が挙げられる。
上記ピペリジン構造の窒素原子に水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin770DF」、及びクラリアント社製「Hostavin N24」等が挙げられる。
変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤の分子量は好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは700以下である。
過度の色むら、及び変色をより一層抑える観点からは、上記樹脂フィルム100重量%中及び光安定剤を含む層100重量%中、上記光安定剤の含有量は好ましくは0.0025重量%以上、より好ましくは0.025重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
(金属塩)
上記樹脂フィルム及び上記表面層は、マグネシウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(以下、これらを併せて金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記中間層は、上記金属塩Mを含んでいてもよい。上記金属塩Mの使用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他のフィルム等に対する樹脂フィルムの接着力を制御することがより一層容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属塩Mは、金属として、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr又はBaを含むことが好ましい。樹脂フィルム中に含まれている金属塩は、K又はMgであることが好ましい。この場合に、KとMgとの双方が含まれていてもよい。
また、上記金属塩Mは、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のマグネシウム塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチル酪酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
上記樹脂フィルムにおけるMg及びKの含有量の合計、及び、Mg又はKを含む層(表面層など)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上であり、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、ガラス板、合わせガラス部材又は他のフィルム等に対する樹脂フィルムの接着力をより一層良好に制御できる。
(紫外線遮蔽剤)
上記樹脂フィルム、上記表面層及び上記中間層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記紫外線遮蔽剤の使用により、樹脂フィルムが長期間使用されたり、高温下で使用されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤(金属を含有する紫外線遮蔽剤)、金属酸化物系紫外線遮蔽剤(金属酸化物を含有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤)、トリアジン系紫外線遮蔽剤(トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤)、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤)、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤)及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤(ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤)等が挙げられる。
上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤である。
上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
上記樹脂フィルム100重量%中及び紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。上記樹脂フィルム100重量%中及び紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。上記紫外線遮蔽剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率の低下がより一層抑えられる。
(酸化防止剤)
上記樹脂フィルム、上記表面層及び上記中間層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤の使用により、樹脂フィルムが長期間使用されたり、高温下で使用されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H−BHT」、BASF社製「IRGANOX 1010」、並びにADEKA社製「アデカスタブ AO−40」等が挙げられる。
変色をより一層抑え、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂フィルム100重量%中及び酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記樹脂フィルム100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
(他の成分)
上記樹脂組成物、上記樹脂フィルム、上記表面層及び上記中間層は、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(樹脂フィルムの他の詳細)
遮音性を効果的に高める観点からは、上記中間層が、ガラス転移温度が10℃以下である層を含むことが好ましい。
上記樹脂フィルムの厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに遮熱性を充分に高める観点からは、上記樹脂フィルムの厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上であり、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記樹脂フィルムの厚みが上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記樹脂フィルムの厚みが上記上限以下であると、樹脂フィルムの透明性がより一層良好になる。
(樹脂フィルム及び熱電変換フィルムの用途)
上記樹脂フィルムは、合わせガラス用中間膜であることが好ましい。上記熱電変換フィルムは、熱電変換機能を有する合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
上記樹脂フィルム及び上記熱電変換フィルムは、ガラス板に貼り合わされることで、ガラス板含有積層体を得るために好適に用いられる。上記樹脂フィルムに電極を接続することにより、熱電変換−ガラス板含有積層体を得ることができる。
上記樹脂フィルムは、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置されることで、合わせガラスを得るために好適に用いられる。上記合わせガラスにおける上記樹脂フィルムに電極を接続することにより、熱電変換合わせガラスを得ることができる。上記熱電変換合わせガラスは、熱電変換機能を有する合わせガラスである。
上記合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した樹脂フィルムとを備えることが好ましい。上記樹脂フィルムが、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に配置されていることが好ましい。上記樹脂フィルムが電極に接続されて用いられることが好ましい。
上記熱電変換合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した樹脂フィルムと、電極とを備えることが好ましい。上記樹脂フィルムは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に配置されている。上記樹脂フィルムは上記電極に接続されている。
また、上記熱電変換合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した熱電変換フィルムとを備えることが好ましい。上記熱電変換フィルムにおける上記樹脂フィルムが、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に配置されていることが好ましい。
図3は、図1に示す熱電変換フィルムを用いた熱電変換合わせガラスの一例を示す断面図である。
図3に示す熱電変換合わせガラス31は、合わせガラス40と、電極21と、導線22と、電気取出部23とを備える。熱電変換合わせガラス31は、熱電変換フィルム1を備える。
合わせガラス40は、第1の合わせガラス部材41と、第2の合わせガラス部材42と、樹脂フィルム10とを備える。
樹脂フィルム10は、第1の合わせガラス部材41と第2の合わせガラス部材42との間に配置されており、挟み込まれている。樹脂フィルム10の第1の表面(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材41が積層されている。樹脂フィルム10の第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材42が積層されている。
図4は、図2に示す熱電変換フィルムを用いた熱電変換合わせガラスの一例を示す断面図である。
図4に示す熱電変換合わせガラス31Aは、合わせガラス40Aと、電極21と、導線22と、電気取出部23とを備える。熱電変換合わせガラス31Aは、熱電変換フィルム1Aを備える。
合わせガラス40Aは、第1の合わせガラス部材41と、第2の合わせガラス部材42と、樹脂フィルム10Aとを備える。
樹脂フィルム10Aは、第1の合わせガラス部材41と第2の合わせガラス部材42との間に配置されており、挟み込まれている。樹脂フィルム10Aの第1の表面(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材41が積層されている。樹脂フィルム10Aの第1の表面とは反対の第2の表面(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材42が積層されている。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に樹脂フィルムが挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に樹脂フィルムが挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第2の合わせガラス部材がガラス板又はPETフィルムであることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代わる合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上であり、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上であり、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上であり、好ましくは0.5mm以下である。
(合わせガラス及び熱電変換合わせガラスの製造方法)
本発明に係る合わせガラスの製造方法は、上述した樹脂フィルムの製造方法により、樹脂フィルムを得る工程と、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に、上記樹脂フィルムを配置する工程とを備えることが好ましい。
本発明に係る熱電変換合わせガラスの製造方法は、上述した樹脂フィルムの製造方法により、樹脂フィルムを得る工程と、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に、上記樹脂フィルムを配置する工程と、上記樹脂フィルムに電極を接続する工程を備えることが好ましい。
上記合わせガラスの製造方法及び上記熱電変換合わせガラスの製造方法における上記樹脂フィルムを配置する工程では、以下のようにして、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に上記樹脂フィルムを配置することができる。
上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、樹脂フィルムを挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、第1の合わせガラス部材と樹脂フィルムとの間及び上記第2の合わせガラス部材と樹脂フィルムとの間に残留する空気を脱気する。その後、約70℃〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120℃〜150℃及び1MPa〜1.5MPaの圧力で圧着する。
上記樹脂フィルム及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記樹脂フィルム及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記樹脂フィルム及び上記合わせガラスは、車両用又は建築物用の樹脂フィルム及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の樹脂フィルム及び合わせガラスであることがより好ましい。上記樹脂フィルム及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記樹脂フィルム及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。上記樹脂フィルムは、自動車の合わせガラスを得るために用いられる。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
以下の材料を用いた。
用いたポリビニルアセタール樹脂では、アセタール化に、炭素数4のn−ブチルアルデヒドが用いられている。ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396−92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
(熱可塑性樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂(表中「PVB」、平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)
塩化ビニル樹脂(表中「PVC」、塩化ビニル−エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)
(可塑剤)
トリエチレングリコールー2−エチルヘキサノエート(3GO)
セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)
(熱電変換材料)
ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル):P3HTナノファイバー
P3HTナノファイバーは以下のようにして作製した。
アニソールとクロロホルムとの混合溶液(アニソールとクロロホルムとの混合比(体積比)3:7)にP3HTを0.05重量%となるように添加した後、60℃で混合してP3HTを溶解させた。次いで、得られた溶液をゆっくりと冷却し、析出物であるP3HTナノファイバーを得た。
(ドーパント)
塩化金(AuCl3)
(金属塩)
酢酸マグネシウムと2−エチル酪酸マグネシウムとの混合物(酢酸マグネシウムの重量比:2−エチル酪酸マグネシウムの重量比=50重量%:50重量%)
(紫外線遮蔽剤)
BASF社製「Tinuvin326」
(酸化防止剤)
BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
(実施例1)
ドーパント含有液の作製:
ドーパントとアセトニトリルとを混合し、ドーパント含有液を得た。ドーパント含有液におけるドーパントの濃度は10mmol/Lとした。
樹脂組成物の作製:
以下の配合成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、樹脂組成物を得た。
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールー2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる樹脂フィルム(中間膜)中で0.05重量%となる量の熱電変換材料(P3HTナノファイバー)
得られる中間膜中でMgが60ppmとなる量の酢酸マグネシウムと2−エチル酪酸マグネシウムとの混合物
得られる中間膜中で0.2重量%となる量のBASF社製「Tinuvin326」) 得られる中間膜中で0.2重量%となる量のBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
樹脂フィルム状物の作製:
得られた樹脂組成物をプレス成形し、樹脂フィルム状物を得た。
樹脂フィルム(中間膜)の作製:
樹脂フィルムの作製時に、ドーパントを導入した(後導入)。得られた樹脂フィルム状物を、得られたドーパント含有液中に60分間浸漬し、樹脂フィルム状物にドーパントを導入した。次いで、ドーパント含有液を含浸させた樹脂フィルム状物を乾燥した。このようにして、厚みが0.810mmである樹脂フィルム(中間膜)を得た。
合わせガラスの作製(可視光線透過率測定用):
得られた中間膜を、縦5cm×横5cmの大きさに切断した。次に、可視光線透過率が90.4%でありかつJIS R3202:2011に準拠した2枚のクリアガラス(縦5cm×横5cm×厚み2.5mm)を用意した。この2枚のクリアガラスの間に、得られた中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、積層体を得た。積層体において、ガラス板からはみ出た中間膜部分を切り落とし、合わせガラスを得た。
熱電変換合わせガラスの作製:
上記合わせガラスの両端にて露出している中間膜(樹脂フィルム)に、電極を接続した。電極を導線を介して電気取出部(電力計を備える)に接続して、熱電変換合わせガラスを得た。
(実施例2〜10)
ドーパント含有液におけるドーパントの濃度、熱可塑性樹脂の種類及び配合量、可塑剤の種類及び配合量、並びに、樹脂フィルムの厚みを下記の表1,2に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜、合わせガラス、及び熱電変換合わせガラスを得た。
(比較例1)
樹脂組成物の作製:
樹脂組成物の作製時に、ドーパントを導入した(前導入)。以下の配合成分のうち、P3HTナノファイバーと塩化金とを混合し、ドープ処理を行った。次いで、残りの配合成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、樹脂組成物を得た。
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールー2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる樹脂フィルム(中間膜)中で0.05重量%となる量の熱電変換材料(P3HTナノファイバー)
得られる樹脂フィルム(中間膜)中の熱電変換材料100重量部に対して0.05重量部となる量のドーパント(塩化金)
得られる中間膜中でMgが60ppmとなる量の酢酸マグネシウムと2−エチル酪酸マグネシウムとの混合物
得られる中間膜中で0.2重量%となる量のBASF社製「Tinuvin326」) 得られる中間膜中で0.2重量%となる量のBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
樹脂フィルム(中間膜)の作製:
得られた樹脂組成物をプレス成形し、厚みが0.781mmである樹脂フィルムを得た。
この樹脂フィルム(中間膜)を用いて、実施例1と同様にして、合わせガラス、及び熱電変換合わせガラスを得た。
(比較例2〜4)
可塑剤の種類及び配合量、並びに、樹脂フィルムの厚みを下記の表3に示すように設定したこと以外は比較例1と同様にして、中間膜、合わせガラス、及び熱電変換合わせガラスを得た。
(評価)
(1)可視光線透過率(A光Y値、初期A−Y(380nm〜780nm))
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いてJIS R3106:1998に準拠して、得られた合わせガラスの波長380nm〜780nmにおける可視光線透過率(Visible Transmittance)を測定した。
(2)熱電変換機能
(2−1)ゼーベック係数S
試験片(中間膜)の両端にそれぞれ電極が接するように配置した配線基板に試験片を固定した。試験片を固定した配線基板の一方の電極側にヒータを設け、真空チャンバー内に入れて真空環境下で試験片の一端を加熱した。なお、電極からに隣接する位置にクロメル−アルメル熱電対を配置して試料の両端に生じる温度差を測定した。各電極を電圧計に接続し、試験片の両端に生じた熱起電力を測定した。なお、加熱されていない一端はほぼ20℃に保たれており、ヒータにより加熱された他端は21℃から31℃まで温度上昇した。その際の熱起電力を測定して、傾きからゼーベック係数Sを算出した。
(2−2)導電率σ
4端子法にて真空雰囲気下、電流源より試験片(中間膜)に一定電流を流して、デジタルマルチメーターにて電圧値を読み取り、導電率σを算出した。
(2−3)熱拡散率
得られた樹脂フィルムを1cm×1cmの大きさに切削し、測定サンプルとした。測定サンプルを日立ハイテクサイエンス社製「ai−phase」を用いて、周期的定常加熱で評価を行い、温度波の位相差から、熱拡散率を算出した。
(2−4)定圧比熱
リガク社製「thermo plus DSC8230」を用いて、JIS K7123に準拠して、定圧比熱を測定した。
(2−5)熱伝導率λ
熱伝導率λを次式に基づいて求めた。
λ=α・Cp・ρ
なお、Cpは比熱、αは熱拡散率、ρは試験片(中間膜)の密度である。熱拡散率αは、レーザーフラッシュ法により、比熱Cpは、示差走査熱量測定(DSC)法により、試験片の密度ρは、試験片の重量測定値及び体積測定値より、それぞれ測定した。
(2−6)PF
PFを次式に基づいて求めた。
PF=σ×S×S
なお、σは導電率、Sはゼーベック係数である。
(2−7)ZT(300K)
算出したPF及び熱伝導率λから、ZT(300K)を次式に基づいて求めた。
ZT=PF/λ×300
(3)密度
得られた中間膜の密度を測定した。
(4)柔軟性(折り曲げ性)
折り曲げ試験
1回曲げた後の中間膜(樹脂フィルム)と10回曲げた後の中間膜(樹脂フィルム)とを観察し、折り曲げ性を以下の基準で判定した。
[折り曲げ試験]
○:10回折り曲げた後の中間膜(樹脂フィルム)に折り目が観察されなかった
×:1回折り曲げた後の中間膜(樹脂フィルム)に折り目が観察された
詳細及び結果を下記の表1〜3に示す。表1〜3中の「ドーパントの導入時期」の欄には、樹脂組成物の作製時にドーパントを導入した場合には「前導入」と記載し、樹脂フィルムの作製時にドーパントを導入した場合には「後導入」と記載した。なお、表1〜3において、実施例1〜10及び比較例1〜4で用いた金属塩、紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤の記載は省略した。
なお、比較例1〜4で得られた中間膜は導電率の値が低く、計測できなかったため表中では「計測不可」と記載した。また、比較例1〜4で得られた中間膜では、導電率が計測できなかったことから、ゼーベック係数の測定は不要であると判断し、該ゼーベック係数を測定しなかった。このため、比較例1〜4では、PF及びZT(300K)も評価しなかった。さらに、比較例1〜4で得られた中間膜では、柔軟性の評価も行わなかった。