JP2020069304A - 超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラム - Google Patents

超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】超音波画像内の生体情報の劣化を生じさせることなく、縞状アーチファクトを抑制可能とする超音波診断装置を提供すること。【解決手段】1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、超音波プローブ20に対して超音波の送受信を実行させる送受信部11と、超音波ビームにて被検体内を走査した際に生成される複数の受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する画像生成部13と、超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定したフィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施すフィルタ処理部14と、を備える超音波診断装置。【選択図】図5

Description

本開示は、超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラムに関する。
従来、パラレル受信方式を用いた超音波診断装置が知られている。
図1、図2は、パラレル受信方式について、説明する図である。
パラレル受信方式は、被検体内に対して1つの超音波ビーム(図1、Tx1)を送信した際に、複数本の反射波ビーム(図1、図2では、Rx1、Rx2、Rx3、Rx4)を並列的に同時に受信する方式である。尚、図1A、図2Aには、1つの超音波ビーム当たり4本の反射波ビームを同時に受信する場合の態様を示している。
パラレル受信方式においては、超音波プローブP20は、1つの超音波ビームを送信した際に、当該超音波ビームのビーム中心位置を中心としてその両側に複数本の反射波ビームを受信する。そして、超音波診断装置の受信処理部は、超音波プローブP20に設けられた複数の圧電振動子それぞれから出力される受信信号に基づいて、反射波ビーム毎に整相加算を行うことにより、反射波ビーム毎に受信ビームデータを生成し、1つの超音波ビームから複数の受信ビームデータを同時に取得する。
そして、この種の超音波診断装置は、超音波プローブP20から送信する超音波ビームの位置(即ち、開口)を、1つの超音波ビームから得られる複数本の反射波ビームのブロックの単位で、走査方向に沿ってずらすことにより、超音波画像を構成する1つのフレームデータ(二次元データ)を生成する。
パラレル受信方式では、このようにして、単位時間当たりのデータ量を増大させ、フレームレートを向上させる。
尚、以下では、一本の反射波ビームにより生成されるデータ列を「受信ビーム」又は「受信ビームデータ」と称する。又、1つの超音波ビーム当たりに同時に取得される複数の受信ビームデータを「受信ビームブロック」又は「受信ビームデータブロック」と称する。
特開2005−323894号公報
ところで、パラレル受信方式においては、隣接する2つの受信ビーム間に、受信信号の信号強度の差が生じやすく、これに起因して、超音波画像内において縞状のアーチファクト(以下、「縞状アーチファクト」と称する)が表出するという問題がある。
図3は、超音波画像内に生ずる縞状アーチファクトの一例を示す図である。図3では、画面左下の領域に縞状アーチファクトが表出している。尚、縞状アーチファクトは、超音波画像内において、距離方向(即ち、深度方向)に沿って延在し、方位方向(即ち、走査方向)に沿って周期的に現れる輝度の濃淡のことである。
図1Bには、2つの隣接する受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトを示している。尚、図1Bに示す信号強度のグラフは、同一の深度位置における各受信ビームの信号強度の分布を示している。
パラレル受信方式においては、図1Bに示すように、1つの超音波ビームを送信した際、当該超音波ビームのビーム中心を中心として、当該超音波ビームのビーム中心から距離が離れるにつれて、反射波ビームの強度が小さくなる。そのため、隣接する2つの受信ビームブロックの間において、受信ビームの信号強度が小さい領域が発生することになり、これに起因して、受信ビームブロックの周期で縞状アーチファクトが発生する(以下、「受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクト」と称する)。
この点、特許文献1には、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトを除去するため、フィルタ処理によって、当該縞状アーチファクトの有する周波数成分を超音波画像内から一様に除去することが記載されている。
しかしながら、縞状アーチファクトは、各受信ビームの信号強度の差に依拠するため、超音波画像の画像全体に一様に生ずるわけではなく、超音波画像内でも縞状アーチファクトが生じやすい領域と生じにくい領域とがある(例えば、距離方向の深度が大きい位置ほど、縞状アーチファクトが生じやすい)。加えて、超音波画像の領域によっては、縞状アーチファクトの周波数帯域と被検体内の生体組織の情報(以下、「生体情報」と略称する)が含まれる周波数帯域とが重ならない場合もある。
そのため、特許文献1のように、超音波画像の画像全体に対して、画一的にフィルタ処理を実行すると、超音波画像の空間分解能を劣化させ、必要な生体情報まで劣化させてしまうおそれがある。
図2Bには、受信ビームブロック内のいずれかの位置に生ずる縞状アーチファクトを示している。尚、図2Bに示す信号強度のグラフは、同一の深度位置における各受信ビームの信号強度の分布を示している。
パラレル受信方式においては、図2Bに示すように、生体組織Qが存在する場合には、1つの超音波ビームを送信した際、当該生体組織Qからの反射波ビームの反射方向が距離方向に対して傾斜することがある。かかる場合には、同一受信ビームブロック内であっても、当該受信ビームブロック内の受信ビームの位置に応じて、各受信ビームの間で信号強度の差が生じる。そして、これに起因して、受信ビームブロック内で縞状アーチファクトが発生する(以下、「受信ビームブロック内に生ずる縞状アーチファクト」と称する)。
尚、図2Bでは、各受信ビームブロック内の3番目の受信ビームと4番目の受信ビームとの間で、信号強度の差が大きくなっており、この場合には、1つの受信ビームブロックの周期で縞状アーチファクトが発生する。但し、この場合の縞状アーチファクトは、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトと重畳するため、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトと一体的な態様(例えば、太線状)となる。
なお、生体組織が存在する場合に生じる縞状アーチファクトは、受信ビーム本数が4本以上であると、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトと周期が同じとなるが、受信ビーム本数が4本未満の場合には、受信ビームブック間に生ずる縞状アーチファクトとは、異なる周期となる。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたもので、超音波画像内の生体情報の劣化が生じることを低減しながら、縞状アーチファクトを抑制可能とする超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラムを提供することを第一の目的とする。また、本開示は、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトを抑制可能な超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラムを提供することを第二の目的とする。更に、本開示は、受信ビームブロック内で生ずる縞状アーチファクトを抑制可能な超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラムを提供することを第三の目的とする。
前述した課題を解決する主たる本開示は、
超音波プローブを用いて被検体内の情報を画像化する超音波診断装置であって、
1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、前記超音波プローブに対して超音波の送受信を実行させる送受信部と、
前記超音波プローブにて被検体内を超音波走査した際に生成される複数の前記受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する画像生成部と、
前記超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施すフィルタ処理部と、
を備える超音波診断装置である。
又、他の局面では、
超音波プローブを用いて被検体内の情報を画像化する超音波診断装置の制御方法であって、
1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、前記超音波プローブに対して超音波の送受信を実行させる処理と、
前記超音波プローブにて被検体内を超音波走査した際に生成される複数の前記受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する処理と、
前記超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施す処理と、
を備える制御方法である。
又、他の局面では、
超音波プローブを用いて被検体内の情報を画像化する超音波診断装置に処理を実行させる制御プログラムであって、
1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、前記超音波プローブに対して超音波の送受信を実行させる処理と、
前記超音波プローブにて被検体内を超音波走査した際に生成される複数の前記受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する処理と、
前記超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施す処理と、
を備える制御プログラムである。
本開示に係る超音波診断装置によれば、超音波画像内の生体情報の劣化が生じることを低減しながら、縞状アーチファクトを抑制することができる。
パラレル受信方式について、説明する図 パラレル受信方式について、説明する図 超音波画像内に生ずる縞状アーチファクトの一例を示す図 第1の実施形態に係る超音波診断装置の外観を示す図 第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成の一例を示すブロック図 第1の実施形態に係る送受信部における超音波走査の態様を示す図 第1の実施形態に係る送受信部における超音波走査の態様を示す図 第1の実施形態に係るフィルタ処理部における処理を模式的に示す図 超音波画像に含まれる生体情報及び縞状アーチファクトの周波数帯域(図9A)と、種々のフィルタの周波数特性(図9B〜図9D)の関係を示す図 ガボールフィルタの設定方法の一例について、説明する図 指向方向を方位方向のみに設定したガボールフィルタのフィルタ特性を示す図 フィルタテーブルにおいて、フィルタの種別を決定するためのパラメータテーブルの一例を示す図 超音波画像内の位置と適用するフィルタの周波数特性との関係に示す図 プローブの種類および撮像モードに基づいて、適用対象のパラメータテーブルを選択するためのデータテーブルの一例を示す図 第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャート 第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャート 第2の実施形態に係るフィルタ処理部によって縞状アーチファクト抑制処理を行わなかった場合の超音波画像(図17A)と、フィルタ処理部によって縞状アーチファクト抑制処理を行った場合の超音波画像(図17B)を比較して示す図 第2の実施形態に係るフィルタ処理部の縞状アーチファクト検出処理を模式的に示す図 第2の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャート
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
[超音波診断装置の全体構成]
以下、図4〜図7を参照して、本実施形態に係る超音波診断装置の全体構成の一例について説明する。
図4は、本実施形態に係る超音波診断装置1の外観を示す図である。図5は、本実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。図6、図7は、本実施形態に係る送受信部11における超音波走査の態様を示す図である。
本実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波診断装置1の本体10に超音波プローブ20が取り付けられて構成されている。尚、本体10と超音波プローブ20とは、ケーブルを介して電気的に接続されている。
超音波診断装置1の本体10は、送受信部11、制御部12、画像生成部13、フィルタ処理部14、デジタルスキャンコンバータ15、表示部16、操作入力部17、及び、フィルタテーブルDFを備えている。
超音波プローブ20は、超音波と電気信号との相互変換を行う複数の圧電振動子21−T1〜21−T1024(ここでは、1024個の圧電振動子)、及び、複数の圧電振動子21それぞれの駆動状態のオンオフを個別に切替制御するためのチャンネル切替部(図示せず)を含んで構成される。そして、当該複数の圧電振動子21が、個別に、送受信部11で発生された電圧パルスを超音波ビームに変換して被検体内へ送信すると共に、当該超音波ビームが被検体内で反射して発生する反射波ビームを受信して電気信号に変換して送受信部11へ出力する。
複数の圧電振動子21は、例えば、走査方向に沿って、アレー状に配設されている。尚、複数の圧電振動子21の駆動状態のオンオフは、制御部12により、個別に又はブロック単位で、走査方向に沿って順番に切り替え制御される。これによって、超音波プローブ20において、被検体内を走査するように、超音波の送受信が実行される。
送受信部11は、超音波プローブ20の圧電振動子21に対して、超音波の送受信を実行させる送受信回路である。
送受信部11は、電圧パルス(以下、「駆動信号」と称する)を生成して圧電振動子21に対して送出する送信部11aと、圧電振動子21で生成された受信ビームに係る電気信号(以下、「受信信号」と称する)を受信処理する受信部11bとを有している。そして、送信部11a及び受信部11bは、それぞれ、制御部12の制御のもと、圧電振動子21に対して、超音波の送受信を行わせる動作を実行する。
送信部11aは、例えば、圧電振動子21に接続するチャンネル毎に設けられたパルス発振器及びパルス設定部等を含んで構成される。当該送信部11aは、パルス発振器が生成した電圧パルスを、パルス設定部に設定された電圧振幅、パルス幅及びタイミングに調整して、圧電振動子21に送出する。尚、当該送信部11aは、各圧電振動子21から出力される超音波がビーム状に集束するように、チャンネル毎に適宜遅延時間を設定して、各圧電振動子21に対して駆動信号を供給する。
受信部11bは、例えば、プリアンプ、ADコンバータ、及び、受信ビームフォーマを含んで構成される。プリアンプとADコンバータは、圧電振動子21に接続するチャンネル毎に設けられ、微弱な受信信号を増幅すると共に、増幅した受信信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換する。受信ビームフォーマは、各圧電振動子21の受信信号(デジタル信号)を整相加算することで複数の圧電振動子21の受信信号D1を1つにまとめて、画像生成部13に出力する。
受信部11bは、例えば、並列に設けられた複数の受信ビームフォーマを有し、これにより並列同時受信処理を行うことが可能に構成されている。受信部11bは、例えば、複数の受信ビームフォーマそれぞれで設定する焦点位置を異ならせることにより、1つの超音波ビームから、複数の受信ビームを得る。又、受信部11bは、1つの超音波ビームに対してパラレル受信するビーム数を設定変更可能に構成されている。
制御部12は、超音波プローブ20のチャンネル切替部を制御して、駆動対象の複数の圧電振動子21を決定すると共に、送受信部11を制御して、駆動対象の複数の圧電振動子21に対して超音波の送受信を実行させる。制御部12は、超音波プローブ20内の複数の圧電振動子21を順に駆動することにより、被検体内を超音波走査する。
この際、制御部12は、例えば、超音波ビームの送信時に用いる圧電振動子21の数及び位置(即ち、送信開口)を制御することで、超音波ビームの送信位置及び送信方法を決定する。又、制御部12は、例えば、受信ビームの受信時に用いる圧電振動子21の数及び位置(即ち、受信開口)を制御することで、超音波プローブ20にて受信する受信ビームの受信位置及びパラレル受信するビーム数等の受信方法を決定する。
制御部12は、操作入力部17に設定された1つの超音波ビーム当たりにパラレル受信するビーム数、超音波プローブ20の種類(例えば、コンペックス型、セクタ型、又は、等)、被検体内の撮像対象の深度、及び、撮像モード(例えば、Bモード、Cモード、又は、Eモード)等に基づいて、送受信部11の送受信条件を決定する。又、制御部12は、これらの情報を、フィルタ処理部14に対しても送信する。
画像生成部13は、送受信部11から出力される各走査位置における受信信号D1を取得して、受信信号D1をラインメモリに順次蓄積し、フレーム単位となる二次元データを生成する。尚、当該二次元データは、走査方向と深度方向に沿った被検体の断面内の各位置における信号強度情報等によって構成される。
そして、画像生成部13は、当該二次元データに基づいて、超音波画像D2に係る画像データ(以下、「超音波画像D2」と略称する)を生成する。画像生成部13は、例えば、走査方向と深度方向に沿った断面内の各位置におけるサンプリングデータ(例えば、受信信号の信号強度)を画素値に変換して、1フレームのBモード表示用の超音波画像D2を生成する。そして、画像生成部13は、例えば、送受信部11が被検体内を走査する度に、かかる超音波画像D2を生成する。
フィルタ処理部14は、画像生成部13にて生成された超音波画像D2を取得し、当該超音波画像D2内に生じている、縞状アーチファクトが抑制された超音波画像に係る画像データ(以下、「超音波画像D3」と略称する)を後段に出力する。
このとき、フィルタ処理部14は、超音波画像D2内の領域毎に、当該領域に生ずる縞状アーチファクトを抽出するためのフィルタの種別を決定し、当該領域毎に、決定した種別のフィルタを用いたフィルタ処理を施す。フィルタ処理部14が用いるフィルタのデータは、フィルタテーブルDFに格納されており、フィルタ処理部14は、フィルタ処理を施す対象の領域毎に、当該フィルタテーブルDFに格納されたフィルタのうちの1つを使用対象のフィルタとして選択する。尚、フィルタ処理部14の処理の詳細は、後述する。
尚、本実施形態に係る画像生成部13及びフィルタ処理部14は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)で構成されたデジタル演算回路によって実現される。但し、これらの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)がプログラムに従って演算処理することによって実現されてもよい。
デジタルスキャンコンバータ15(Digital Scan Converter)は、フィルタ処理部14からフィルタ処理後の超音波画像D3に係る画像データを取得し、当該超音波画像D3の画像データを、表示部16のテレビジョン信号の走査方式に従う表示用の画像データ(即ち、表示画像D4)に変換する。尚、デジタルスキャンコンバータ15において、フィルタ処理後の超音波画像D3が表示画像D4に変換される前に、超音波画像D3に対して、階調補正等、汎用的な画像処理が行われてもよい。
表示部16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイである。表示部16は、デジタルスキャンコンバータ15から表示画像D4を取得して、当該表示画像D4を表示する。
操作入力部17は、例えば、キーボード又はマウス等であって、操作者が入力した操作信号を取得する。操作入力部17は、例えば、ユーザの操作入力に基づいて、超音波プローブ20の種類、パラレル受信するビーム数、被検体の種別(即ち、生体組織の種別)、被検体内の撮像対象の深度、又は、撮像モード(例えば、Bモード、Cモード、又は、Eモード)等を設定可能とする。
本実施形態に係る送受信部11は、上記したように、パラレル受信方式を採用する。
図6Aは、4ビーム並列同時受信を行う際の超音波走査の態様を示す。又、図6Bは、4ビーム並列同時受信を行った際に生成される受信ビームブロックの信号強度の分布を示す。尚、図6A及び図6Bに示すT1〜T6は、それぞれ、1つの超音波ビームを送信した際に受信する反射波ビーム及びその受信ビームデータを表している。
4ビーム並列同時受信を行う場合には、図6Aに示すように、超音波プローブ20は、1つの超音波ビームを送信する毎に、当該超音波ビームの位置を中心としてその両側に2本ずつ、計4本の反射波ビームを受信する。この際、受信部11bは、1つの超音波ビームによって得られた受信信号から4つの受信ビームデータ(受信ビームデータブロック)を同時に取得する。
そして、制御部12は、1回目に送信した超音波ビームの中心軸から2回目に送信する超音波ビームの中心軸が、走査方向に4本の反射波ビームの幅分移動するように送信開口を選択する。制御部12は、かかる処理を繰り返すことによって、T1、T2、T3、T4、T5、及びT6の順に、超音波走査を行う。
図7Aは、8ビーム並列同時受信を行う際の超音波走査の態様を示す。又、図7Bは、8ビーム並列同時受信を行った際に生成される受信ビームデータブロックの信号強度の分布を示す。尚、図7A及び図7Bに示すT11〜T14は、それぞれ、1つの超音波ビームを送信した際に受信する反射波ビーム及びその受信ビームデータを表している。
図6B及び図7Bに示すように、本実施形態に係る超音波診断装置1においても、超音波画像D2には、パラレル受信するビーム数に応じた縞状アーチファクトが、隣接する二つの受信ビームブロック間に生じることになる。加えて、本実施形態に係る超音波診断装置1においても、超音波画像D2には、被検体内の生体組織との位置関係等に基づいて、受信ビームブロック内のいずれかの受信ビームの位置に縞状アーチファクトが、生じることになる(図2を参照)。
かかる観点から、本実施形態に係る超音波診断装置1は、フィルタ処理部14にて、これらの縞状アーチファクトを抑制する。
[フィルタ処理部の構成]
次に、図8〜図14を参照して、フィルタ処理部14の構成について、説明する。
図8は、フィルタ処理部14における処理を模式的に示す図である。
フィルタ処理部14は、例えば、縞状アーチファクト抽出部14aと、縞状アーチファクト除去部14bと、を有している。
縞状アーチファクト抽出部14aは、例えば、超音波画像D2内をラスタスキャンするように、フィルタ処理を施す領域(以下、「処理対象領域D2a」と称する)を設定し、当該処理対象領域D2a毎に、縞状アーチファクトを抽出するフィルタDFaを用いたフィルタ処理を施す。これによって、処理対象領域D2a内に含まれる縞状アーチファクトの成分を抽出する。処理対象領域D2aのサイズは、任意であってよいが、例えば、15ピクセル×15ピクセル等に設定される。
縞状アーチファクト抽出部14aにおけるフィルタ処理は、例えば、超音波画像D2とフィルタ関数(ここでは、後述するガボール関数)との畳み込み積分によって行うことができる。具体的には、縞状アーチファクト抽出部14aは、処理対象領域D2aに含まれる注目画素と周辺画素(フィルタサイズに含まれる周辺画素)の画素値それぞれに、フィルタDFaが定めるフィルタ係数を乗算し、更にこれらを合計した結果を、フィルタ出力値として算出する。これによって、処理対象領域D2aの注目画素に存在する縞状アーチファクトの成分が、フィルタ出力値として抽出される。
縞状アーチファクト除去部14bは、縞状アーチファクト抽出部14aにより抽出された注目画素のフィルタ出力値を、元の処理対象領域D2aの注目画素の画素値から減算して、フィルタ処理後の超音波画像D3の注目画素の画素値として格納する。これによって、処理対象領域D2aの注目画素から縞状アーチファクトの成分が除去された超音波画像D3のデータが生成される。
以上のような縞状アーチファクト抽出部14a及び縞状アーチファクト除去部14bの処理は、超音波画像D2内の各処理対象領域D2aにおいて実行され、これにより、超音波画像D2内から縞状アーチファクトが除去された超音波画像D3が生成される。
フィルタ処理部14が各処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaは、典型的には、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクト(図1を参照)、又は、受信ビームブロック内に生ずる縞状アーチファクト(図2を参照)を抽出する周波数特性を有する。
かかる観点から、フィルタ処理部14が各処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaは、典型的には、縞状アーチファクト(即ち、超音波画像D2の距離方向に沿って延在する線状部が、方位方向に周期的に生じたもの)のみを抽出するように、抽出方向に指向性を有することが好ましい。換言すると、当該フィルタDFaは、超音波画像の方位方向については、縞状の画素値変化(即ち、周期性)を捉え、且つ、超音波画像の距離方向については、縞状の画素値が連続していることを捉える関数であることが望ましい。当該フィルタDFaは、例えば、ガボール関数、ウェーブレット関数、又は、矩形波関数等によって表現され、本実施形態に係るフィルタ処理部14では、周波数選択性の点で最も好適であるガボール関数(以下、「ガボールフィルタ」とも称する)を用いている。
但し、縞状アーチファクトの表出態様は、送受信部11の送受信条件、被検体内の深度、被検体内の生体組織の種別、被検体内の生体組織との位置関係等に基づいて、超音波画像D2内の処理対象領域D2a毎に異なってくる。又、処理対象領域D2a内に含まれる生体情報の周波数帯域によっても、当該処理対象領域D2aに適用すべきフィルタDFaの周波数特性も異なってくる(図13を参照して後述)。そこで、フィルタ処理部14は、超音波画像D2内の処理対象領域D2a毎に、フィルタテーブルDFから適用するフィルタDFaを決定し、決定したフィルタDFaにてフィルタ処理を行う。
この際、フィルタ処理部14は、処理対象領域D2a毎に、例えば、ROM等に予め記憶されたフィルタテーブルDFのうちから所望の周波数特性を有するフィルタを選択的に読み出すことによって、処理対象領域D2a毎に、所望の周波数特性を有するフィルタを適用する。フィルタテーブルDFには、例えば、方位方向におけるフィルタ抽出対象の周波数帯域、及び、距離方向におけるフィルタ抽出対象の周波数帯域を基準として設定された複数のフィルタが記憶されている。そして、これらの複数のフィルタは、例えば、パラレル受信するビーム数、超音波プローブの種別(例えば、リニア型、コンペックス型、又はセクタ型等)、及び、超音波診断装置1の撮像モードの種別(例えば、Bモード、カラーフローモード、又はMモード等)等と関連付けて、フィルタテーブルDFに記憶されている。
フィルタ処理部14は、操作入力部17による入力操作又は自動検出により、送受信部11の送受信条件、被検体内の深度、被検体内の生体組織の種別、及び、被検体内の生体組織との位置関係等の情報が設定されることによって、超音波画像D2内の処理対象領域D2aの各位置(例えば、領域の中心位置のX座標及びY座標)と対応させて、フィルタテーブルDFに記憶された複数のフィルタの中から、当該処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaを選択的に決定する。
以下、超音波画像D2内の縞状アーチファクトを除去するためのフィルタに要求される周波数特性について、詳述する。
図9は、超音波画像D2に含まれる生体情報の周波数帯域F1及び縞状アーチファクトの周波数帯域F2(図9A)と、種々のフィルタの周波数特性(図9B〜図9D)の関係を示す図である。尚、図9A〜図9Dの縦軸は距離方向の周波数軸であり、横軸は方位方向の周波数軸である。図9B〜図9Dは、図9Aと同一のスケールで表している。
図9Aに示すように、縞状アーチファクトの周波数帯域F2は、生体情報の周波数帯域F1に対して高周波数側に生ずるが、その一部は生体情報の周波数帯域F1に重畳する場合が多い。そのため、縞状アーチファクトの除去の態様によっては、生体情報を劣化させることにつながりかねない。但し、縞状アーチファクトが表出する周波数帯域F2は、上記したように超音波の送受信条件に応じて異なり、加えて、受信ビームブロック内に生じる縞状アーチファクトの発生度合い等によっても異なっている。
図9Bは、一般的なローパスフィルタの周波数特性を示す図である。図9Cは、一般的なノッチフィルタの周波数特性を示す図である。図9Dは、本実施形態に係るフィルタ処理部14が適用するガボールフィルタの周波数特性を示す図である。尚、図9B〜図9DのFaの領域は、フィルタ処理後に超音波画像D2内にそのまま残存する周波数領域を表し、Fbの領域は、フィルタ処理後に超音波画像D2内から除去される周波数領域を表す。
図9Bから分かるように、一般的なローパスフィルタを適用して縞状アーチファクトを除去した場合、高周波帯域の生体情報を全て消失させてしまうことになる。又、図9Cから分かるように、一般的なノッチフィルタを適用して縞状アーチファクトを除去した場合、周波数帯域を選択することは可能であるものの、方位方向と距離方向との両方に対して周波数選択性を保有させることができないため、生体情報の一部(例えば、距離方向の高周波成分)を消失させてしまうことになる。
この点、ガボールフィルタは、図9Dに示すように、方位方向と距離方向の両方に対して周波数選択性を有するフィルタである。そのため、ガボールフィルタを適用して縞状アーチファクトを除去した場合、生体情報の消失を最小限に抑えることができる。
図10は、ガボールフィルタの設定方法について、説明する図である。図11は、指向方向を方位方向のみに設定したガボールフィルタのフィルタ特性を示す図である。
ガボールフィルタは、ガウス関数と正弦波(又は余弦波)の積で表わされ、指定方向における所望の空間周波数の特徴量を抽出するフィルタリング機能をもつガボール関数を用いたフィルタである。ガボール関数は、一般に、次式(1)で表される。
式(1)中で、λは波長(即ち、空間周波数)、σはx方向周波数の抽出帯域幅、σはy方向周波数の抽出帯域幅、θは指向方向を表し、これらのパラメータを適宜選択することで、任意の方向について、所望の空間周波数を抽出することができる。尚、ここでは、位相オフセットを省略している。
尚、指向方向θは、x軸とのなす角を表しており、ガボールフィルタは、θ=0度では縦方向(y軸、即ち距離方向に平行)のエッジ、θ=90度では横方向(x軸、即ち方位方向に平行)のエッジを抽出することができる。
本実施形態に係るフィルタDFaは、距離方向に平行に延在する縞状アーチファクトを抽出するものであるため、フィルタDFaに適用されるガボールフィルタの指向方向θは、典型的には、θ=0度と設定される。
そして、フィルタDFaに適用されるガボールフィルタは、図10に示すように、適用される処理対象領域D2aの縞状アーチファクトの態様(即ち、抽出する周波数領域Fb)に応じて、波長λ、x方向周波数の抽出帯域幅σ、及び、y方向周波数の抽出帯域幅σが適宜設定されることになる。
尚、図11Aは、λ(波長)=5、θ(指向方向)=0度に設定したガボールフィルタのフィルタ特性を表し、図11Bは、λ(波長)=10、θ(指向方向)=0度に設定したガボールフィルタのフィルタ特性を表す。
図12は、フィルタテーブルDFにおいて、フィルタDFaを決定するためのパラメータテーブルの一例を示す図である。図12Aは、パラレル受信するビーム数と、適用するフィルタDFaの方位方向における抽出中心周波数の関係の一例を示すパラメータテーブルである。図12Bは、超音波画像D2内の位置と、適用するフィルタDFaの抽出帯域幅の関係の一例を示すパラメータテーブルである。
図13は、図12Bのパラメータテーブルを模式的に示す図である。尚、図13のF1は、超音波画像D2に含まれる生体情報の周波数帯域を表し、Fbは、フィルタDFaが抽出する抽出帯域を表す。
フィルタ処理部14における縞状アーチファクト除去処理において、縞状アーチファクトの抑制効果と生体情報の劣化度合いとは、トレードオフの関係にある。即ち、フィルタDFaの抽出帯域幅を広げるほど縞状アーチファクトを抑制することができるが、生体情報も劣化してしまう。一方、フィルタDFaの抽出帯域幅を狭めると生体情報の劣化は抑制されるが、縞状アーチファクトの抑制能力も低下することになる。そのため、処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaの特性は、当該処理対象領域D2aに生ずる縞状アーチファクトの周波数特性、及び当該処理対象領域D2aに含まれる生体情報の周波数特性の両方を考慮して、決定されるのが望ましい。
縞状アーチファクトの態様は、まず、送受信部11の送受信条件に基づいて変化し、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトは、典型的には、パラレル受信するビーム数が増加するほど、低周波数側に生じ、当該ビーム数が減少するほど、高周波数側に生ずる。
又、受信ビームブロック内に生ずる縞状アーチファクトは、被検体内の生体組織の種別や、又は、当該生体組織と超音波プローブ20の位置関係(例えば、傾斜角度や又は距離)に応じて変化する。当該縞状アーチファクトは、例えば、平面状に延在する生体組織からの受信ビームについては生じにくい一方、曲面状に延在する生体組織からの受信ビームについては生じやすく、特に、被検体内の生体組織の境界領域(エッジ部)において生じやすい。
一方、超音波画像D2内の生体情報は、典型的には、超音波画像内の画像端側ほど、高周波数帯域の情報を含まれなくなる。具体的には、距離方向の深度が深くなるにつれ、超音波ビームの中心周波数が低下するため、超音波画像D2内の生体情報は、距離方向の深度が深い位置の画像領域においては、距離方向の高周波数帯域には含まれなくなる。又、方位方向の画像両端側ほど、送信開口が狭まり送信超音波のビーム幅が広がるため、超音波画像D2内の生体情報は、方位方向の画像両端側の画像領域においては、方位方向の高周波数帯域には含まれなくなる。
尚、パラレル受信するビーム数や取得される生体情報の周波数帯域は、プローブの種類および撮像モード等によって変化するため、フィルタテーブルDFにおいて、図12Aおよび図12Bのパラメータテーブルは、プローブの種類毎、および撮像モード毎に個別に設けられるのが好ましい。
図14は、プローブの種類および撮像モードに基づいて、適用対象のパラメータテーブルを選択するためのデータテーブルの一例を示す図である。図14において、プローブ1、プローブ2及びプローブ3は、例えば、リニア型プローブ、コンベックス型プローブ及びセクタ型プローブ等のプローブの種類を表す。又、モード1、モード2及びモード3は、例えば、Bモード、Color Flowモード、弾性モード等の撮像モードを表す。
以上の観点から、フィルタ処理部14は、以下のように、フィルタテーブルDFから、超音波画像D2内の各処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaを決定する。
まず、フィルタ処理部14は、プローブの種類および撮像モードに基づいて、適用するパラメータテーブルを決定する(図14を参照)。
次に、フィルタ処理部14は、パラレル受信するビーム数に基づいて、フィルタDFaにて抽出する方位方向の中心周波数を決定する(図12Aを参照)。
そして、フィルタ処理部14は、超音波画像D2の中心領域D2aに適用するフィルタDFaについては、生体情報の周波数帯域に縞状アーチファクトの周波数帯域が重なる量が大きいことを考慮して、方位方向及び距離方向いずれの方向についても、抽出帯域幅を狭くして、生体情報を劣化させる度合いを軽減する(図13AのR1領域)。又、フィルタ処理部14は、超音波画像D2の方位方向の画像端の領域D2aに適用するフィルタDFaについては、生体情報の周波数帯域に縞状アーチファクトの周波数帯域が重なる量が小さいことを考慮して、方位方向の抽出帯域幅を広げて、縞状アーチファクトを確実に抑制する(図13AのR2領域)。又、フィルタ処理部14は、超音波画像D2の距離方向の深度が深い位置の領域D2aに適用するフィルタDFaについては、生体情報の周波数帯域に縞状アーチファクトの周波数帯域が重なる量が小さいことを考慮して、距離方向の抽出帯域幅を広げて、距離方向における縞状アーチファクトの抑制度合いを大きくする(図13AのR3領域)。又、フィルタ処理部14は、超音波画像D2の方位方向の画像端で且つ距離方向の深度が深い領域D2aに適用するフィルタDFaについては、距離方向及び方位方向の両方の抽出帯域幅を広げる(図13AのR4領域)。
尚、フィルタ処理部14は、超音波画像D2内の生体組織のエッジ部の領域においては、縞状アーチファクトが増強するので抽出帯域幅を広げる方が好ましい。
更に、フィルタ処理部14は、受信ビームフロック内に生ずる縞状アーチファクトが表出するおそれがある領域については、パラレル受信する受信ビームの本数に基づいて決定した中心周波数を高周波数側にシフトさせる。但し、受信ビームフロック内に生ずる縞状アーチファクトによって、受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクトが見えなくなる場合もあり、かかる場合には、フィルタ処理部14は、パラレル受信するビーム数に基づいて決定した中心周波数を低周波数側にシフトさせてもよい。
フィルタ処理部14は、このように、超音波画像D2内の処理対象領域D2a(例えば、処理対象領域D2aの注目画素のX座標及びY座標)毎に、当該処理対象領域D2aに適用すべきフィルタの周波数特性を算出する。そして、フィルタ処理部14は、フィルタテーブルDFから、算出した周波数特性に合致するフィルタを選択して、当該処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaとして決定する。そして、フィルタ処理部14は、決定したフィルタDFaを用いて、当該処理対象領域D2aに対してフィルタ処理を実行する。
但し、超音波画像D2内の処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaは、生成された超音波画像D2の状態に基づいて、決定されてもよい。特に、受信ビームブロック内に生ずる縞状アーチファクトは、被検体内の生体組織との位置関係にも依拠するため、かかる態様が好適である。
他方、フィルタ処理部14が超音波画像D2から縞状アーチファクトを除去する度合いは、操作入力部17等によって設定変更可能とするのが望ましい。これによって、フィルタ処理部14にて、縞状アーチファクトを除去する際に、生体情報が過剰に劣化することを抑制することが可能となる。
このように、フィルタ処理部14は、超音波画像D2の全領域に画一的に同一のフィルタを用いるのではなく、超音波画像D2の処理対象領域D2a毎に異なる周波数特性のフィルタDFaを適用することによって、生体情報の空間分解能の劣化を抑制しつつ、縞状アーチファクトのみを除去することを可能とする。
[超音波診断装置の動作フロー]
次に、図15〜図17を参照して、本実施形態に係る超音波診断装置1の動作の一例について説明する。
図15、図16は、本実施形態に係る超音波診断装置1の動作を示すフローチャートである。図16は、図15のステップS6のサブルーチン処理を示している。図15、図16に示すフローチャートは、例えば、超音波診断装置1の各部がコンピュータプログラムに従って、実行するものである。
図17は、本実施形態に係るフィルタ処理部14によって縞状アーチファクト抑制処理を行わなかった場合の超音波画像D4(図17A)と、フィルタ処理部14によって縞状アーチファクト抑制処理を行った場合の超音波画像D4(図17B)を比較して示す図である。
まず、超音波診断装置1は、画像モード(Bモード、又はカラードプラモード)及び超音波プローブ20の種類等の送信条件を設定すると共に(ステップS1)、パラレル受信するビーム数等の受信条件を設定する(ステップS2)。そして、超音波診断装置1は、ステップS1及びS2で設定された送信条件及び受信条件に基づいて、超音波画像D2内の各処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaを決定する(ステップS3)。
次に、超音波診断装置1は、ステップS1及びS2で設定された送信条件及び受信条件に基づいて、超音波プローブ20に超音波の送受信を実行させ、超音波画像D2の画像データを取得し(ステップS4)、超音波画像D2の画像データに対して、縞状アーチファクト抑制処理を施す(ステップS5)。
ステップS5に示す縞状アーチファクト抑制処理は、図16に示すように、ステップS51〜S57の処理による。まず、超音波診断装置1は、S4で取得した超音波画像D2内の注目画素の座標(x,y)を取得し(ステップS51)、超音波画像D2において注目画素(x,y)を中心とした処理対象領域D2aを設定する(ステップS52)。
次に、超音波診断装置1は、注目画素の座標(x,y)に対応したフィルタDFaをフィルタテーブルから取得し(ステップS53)、処理対象領域D2aに対して、フィルタDFaによる畳み込み積分を施し、フィルタ出力値S(x,y)を算出する(ステップS54)。次に、超音波診断装置1は、注目画素の画素値I(x,y)から、フィルタ出力値S(x,y)を減算した画素値O(x,y)を算出し(ステップS55)、当該画素値O(x,y)を出力画像D3の座標(x,y)に設定する(ステップS56)。
次に、超音波診断装置1は、全ての座標の処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合(ステップS57:NO)、超音波画像D2内の注目画素の位置をずらして、ステップS51に戻って、再度、ステップS51〜S56までの処理を実行する。この際、全ての座標の処理が終了している場合(ステップS57:YES)、超音波診断装置1は、続く、ステップS6に処理を進める。
図15に戻って、超音波診断装置1は、ステップS5で得られたフィルタ処理後の超音波画像D3から、表示画像D4を生成する(ステップS6)。そして、超音波診断装置1は、表示画像D4を表示部150に出力し、表示部150にて表示画像D4を表示させる(ステップS7)。超音波診断装置1は、かかる処理の後、再度、ステップS4に戻って、処理を繰り返し実行する。
本実施形態に係る超音波診断装置1は、以上のようにして、表示部16に、縞状アーチファクトが除去された超音波画像(表示画像D4)を連続的に表示させる。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、フィルタ処理部14にて、超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタDFaを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施す。
従って、本実施形態に係る超音波診断装置1によれば、パラレル受信方式を使用することに伴って発生する縞状アーチファクト(受信ビームブロック間に生ずる縞状アーチファクト、又は、受信ビームブロック内に生ずる縞状アーチファクト)を的確に抽出し、当該縞状アーチファクトを超音波画像D2から除去することができる。
特に、本実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像D2内における処理対象領域D2a毎に適用するフィルタDFaを決定するため、生体情報の空間分解能の劣化を引き起こすことなく、縞状アーチファクトが抑制された超音波画像(表示画像D4)を表示することができる点で有用である。
又、特に、本実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像D2内における処理対象領域D2aの位置、送受信部11における送受信条件(パラレル受信するビーム数、撮像対象領域の深度等)、被検体内の生体組織の種別等、種々の条件に基づいて、各処理対象領域D2aに適用するフィルタDFaを決定する。これによって、より効果的に、生体情報の空間分解能の劣化を引き起こすことなく、縞状アーチファクトが抑制された超音波画像D3を生成することができる。
(第2の実施形態)
次に、図18、図19を参照して、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の構成について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置1は、フィルタ処理部40が、超音波画像D2の各処理対象領域D2aに生ずる縞状アーチファクトの周波数帯域を検出した上で、当該処理対象領域D2aに対して適用するフィルタDFaを決定する点で、第1の実施形態と相違する。尚、第1の実施形態と共通する構成については、説明を省略する。
図18は、本実施形態に係るフィルタ処理部40の縞状アーチファクト検出処理を模式的に示す図である。図18において、図18Aは、超音波画像D2内の方位方向の一ライン分の画素値を示すグラフである。又、図18Bは、図18Aの対応する各位置における畳み込み積分値の絶対値(フィルタ出力値)を示すグラフである。尚、図18Bのフィルタ1、フィルタ2及びフィルタ3のグラフは、超音波画像D2に対して、互い周波数特性が異なるフィルタ1、フィルタ2及びフィルタ3を適用した際のフィルタ出力値を示している。
フィルタ処理部40は、超音波画像D2の各処理対象領域D2aに対して、縞状アーチファクト抽出処理を実行する際、周波数特性が互いに異なる複数のフィルタを適用して、複数のフィルタそれぞれにおけるフィルタ出力値を算出する。そして、フィルタ処理部40は、複数のフィルタそれぞれにおけるフィルタ出力値を比較して、フィルタ出力値が最大となるフィルタを、当該処理対象領域D2aに対して適用するフィルタと決定する。そして、フィルタ処理部40は、決定したフィルタのフィルタ出力値を、当該処理対象領域D2aの注目画素の画素値から減算して、出力画像の画素値とする。
ここで用いられるフィルタは、第1の実施形態で説明したように、線状部が距離方向に沿って延在する縞状アーチファクトのみを抽出するように、抽出方向に指向性を有するフィルタであり、典型的には、ガボールフィルタである。つまり、本実施形態に係るフィルタ処理部40は、周波数特性が互いに異なる複数のガボールフィルタを用いて、試験的に、処理対象領域D2aにフィルタ処理を行うことによって、当該処理対象領域D2aに生ずる縞状アーチファクトの周波数帯域を検出する。
これによって、超音波画像D2の各処理対象領域D2aに含まれる縞状アーチファクトの態様が不明である場合にも、超音波画像D2から縞状アーチファクトを除去することができる。
図19は、本実施形態に係る超音波診断装置1の動作を示すフローチャートである。尚、図19は、第1の実施形態と相違するフローである図15のステップS5のサブルーチン処理のみを示している。
まず、超音波診断装置1は、S4で取得した超音波画像D2内の注目画素の座標(x,y)を取得して(ステップSt51)、超音波画像D2において注目画素(x,y)を中心とした処理対象領域D2aを設定する(ステップSt52)。
次に、超音波診断装置1は、処理対象領域D2aに対して、試験対象の各フィルタ(ここでは、フィルタDF1〜フィルタDFN)を用いた畳み込み積分を施し、それぞれのフィルタ出力値(ここでは、フィルタ出力値S1(x,y)〜フィルタ出力値SN(x,y)を算出する(ステップSt53)。
次に、超音波診断装置1は、ステップSt53で算出されたフィルタ出力値S(x,y)〜SN(x,y)のうち、最大のフィルタ出力値を選択して、注目画素の画素値I(x,y)から、当該最大のフィルタ出力値を減算した画素値O(x,y)を算出する(ステップSt54)。そして、超音波診断装置1は、ステップSt55で算出した画素値O(x,y)を出力画像D3の座標(x,y)に設定する。
次に、超音波診断装置1は、全ての座標の処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合(ステップSt56:NO)、超音波画像D2内の注目画素の位置をずらして、ステップ51に戻って、再度、ステップSt51〜St55までの処理を実行する。この際、全ての座標の処理が終了している場合(ステップSt56:YES)、超音波診断装置1は、続く、ステップS6に処理を進める。
ステップS6以降の処理は、図15を参照して、上記した通りである。
以上のように、本実施形態に係るフィルタ処理部14は、超音波画像D2内の処理対象領域D2a毎に、縞状アーチファクトの周波数帯域を検出し、検出された当該領域の縞状アーチファクトの周波数帯域に基づいて、当該領域に適用するフィルタを決定する。これによって、フィルタ処理部14は、被検体の種別(例えば、個体差が大きい組織部位)等に起因して、超音波画像内に生ずる縞状アーチファクトの態様が明らかでない場合にも、生体情報の劣化を引き起こすことなく、縞状アーチファクトが抑制可能な適切なフィルタを決定することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、種々に変形態様が考えられる。
上記実施形態では、フィルタ処理部14の一例として、空間フィルタリングによるフィルタ処理を行う態様を示した。しかしながら、フィルタ処理部14は、超音波画像D2をフーリエ変換して、周波数空間にてフィルタ処理を施す態様であってもよい。
又、上記実施形態では、超音波診断装置1の一例として、Bモード画像に適用した態様を示した。しかしながら、本発明に係る超音波診断装置1は、カラードプラ画像、三次元超音波画像、又は弾性モード画像等の任意の撮像モードに適用し得る。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本開示に係る超音波診断装置によれば、超音波画像内の生体情報の劣化を生じさせることなく、縞状アーチファクトを抑制することができる。
1 超音波診断装置
10 本体
11 送受信部
11a 送信部
11b 受信部
12 制御部
13 画像生成部
14 フィルタ処理部
15 デジタルスキャンコンバータ
16 表示部
17 操作入力部
20 超音波プローブ
21 圧電振動子
D1 受信信号
D2 超音波画像
D3 超音波画像
D4 表示画像
DF フィルタテーブル
DFa フィルタ

Claims (19)

  1. 超音波プローブを用いて被検体内の情報を画像化する超音波診断装置であって、
    1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、前記超音波プローブに対して超音波の送受信を実行させる送受信部と、
    前記超音波プローブにて被検体内を超音波走査した際に生成される複数の前記受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する画像生成部と、
    前記超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施すフィルタ処理部と、
    を備える超音波診断装置。
  2. 決定された前記フィルタは、前記領域に生ずる縞状アーチファクトの周波数帯域に対応したフィルタである、
    請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記フィルタは、前記領域の縞状アーチファクトを抽出するためのフィルタであり、
    前記フィルタ処理部は、前記領域毎に、決定されたフィルタに基づき縞状アーチファクトを抽出し、抽出した縞状アーチファクトを前記超音波画像の前記領域から除去する処理を実行する、
    請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記縞状アーチファクトは、1つの超音波ビーム当たりに生成する前記受信ビームデータのブロックを基準として、互いに隣接する2つの前記ブロック間の位置に生ずる縞状アーチファクトを含む、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  5. 前記縞状アーチファクトは、1つの超音波ビーム当たりに生成する前記受信ビームデータのブロックを基準として、前記ブロック内のいずれかの前記受信ビームデータの位置に生ずる縞状アーチファクトを含む、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  6. 前記フィルタ処理部が各領域に適用する前記フィルタは、前記超音波画像の方位方向については、縞状の画素値変化を捉え、且つ、前記超音波画像の距離方向については、前記縞状の画素値が連続していることを捉えるフィルタ特性を有する、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記フィルタ処理部が各領域に適用する前記フィルタは、ガボール関数を用いたフィルタである、
    請求項6に記載の超音波診断装置。
  8. 前記フィルタ処理部が各領域に適用する前記フィルタは、前記超音波画像内の方位方向における抽出周波数帯域、及び、前記超音波画像内の距離方向における抽出周波数帯域を基準として設定されたフィルタである、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  9. 前記フィルタ処理部は、1つの前記超音波ビーム当たりに生成する前記受信ビームデータの数に基づいて、各領域に適用する前記フィルタを決定する、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  10. 前記フィルタ処理部は、前記超音波画像内の処理対象領域の位置に基づいて、各領域に適用する前記フィルタを決定する、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  11. 前記フィルタ処理部は、前記被検体内の撮像対象領域の深度、前記超音波プローブの種別、及び撮像モードの種別のいずれか1つまたは組み合わせに基づいて、各領域に適用する前記フィルタを決定する、
    請求項1乃至10のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  12. 前記フィルタ処理部は、前記被検体内の生体組織の種別又は前記被検体内の生体組織との位置関係に基づいて、各領域に適用する前記フィルタを決定する、
    請求項1乃至11のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  13. 前記超音波画像内の方位方向の端部領域に適用される前記フィルタは、前記超音波画像内の方位方向の中心の領域に適用される前記フィルタよりも、前記縞状アーチファクトを抽出する方位方向における周波数帯域幅が広い、
    請求項1乃至12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  14. 前記超音波画像内の深度が深い位置の領域に適用される前記フィルタは、前記超音波画像内の深度が浅い位置の領域に適用される前記フィルタよりも、前記縞状アーチファクトを抽出する距離方向における周波数帯域幅が広い、
    請求項1乃至13のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  15. 前記フィルタ処理部は、前記超音波画像内を所定サイズ毎にラスタスキャンするように、フィルタ処理を施す対象の領域を設定する、
    請求項1乃至14のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  16. 前記フィルタ処理部は、前記超音波画像内の領域毎に、前記縞状アーチファクトの周波数帯域を検出し、検出された当該領域の前記縞状アーチファクトの周波数帯域に基づいて、当該領域に適用する前記フィルタを決定する、
    請求項1乃至15のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  17. 前記フィルタ処理部が前記超音波画像から前記縞状アーチファクトを除去する度合いは、設定変更可能である、
    請求項1乃至16のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  18. 超音波プローブを用いて被検体内の情報を画像化する超音波診断装置の制御方法であって、
    1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、前記超音波プローブに対して超音波の送受信を実行させる処理と、
    前記超音波プローブにて被検体内を超音波走査した際に生成される複数の前記受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する処理と、
    前記超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施す処理と、
    を備える制御方法。
  19. 超音波プローブを用いて被検体内の情報を画像化する超音波診断装置に処理を実行させる制御プログラムであって、
    1つの超音波ビーム当たり複数の受信ビームデータを生成するように、前記超音波プローブに対して超音波の送受信を実行させる処理と、
    前記超音波プローブにて被検体内を超音波走査した際に生成される複数の前記受信ビームデータに基づいて、超音波画像を生成する処理と、
    前記超音波画像内の領域毎に、互いに異なる周波数特性を有する複数のフィルタのうちから、適用対象のフィルタを選択的に決定して、当該領域毎に、決定した前記フィルタを用いて縞状アーチファクトを低減するためのフィルタ処理を施す処理と、
    を備える制御プログラム。
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