JP2020067998A - 特許文献集合の分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特許文献項目別文献件数時系列マップを作成、して該マップを観察して所望する文献項目を抽出する方法の代替にする特許文献集合の分析方法を提供する。
【解決手段】文献項目別文献件数時系列データ表を作成するステップと、ダミーを追記して文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表を作成するステップと、該表のダミーと文献項目毎の文献件数の時系列方向の相関係数を算出して相関係数を前記文献項目別文献件数時系列データ表に追記して作成した文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表の相関係数と、該相関係数の大きさにより層別結果に基づいて設定した層別記号を入れ替えて作成した文献項目別文献件数時系列並びにダミー区間別文献件数動向層別チャートの列記号、層別記号及び区分別文献件数を用いて課題に叶う文献項目を抽出にする。
【選択図】図2

Description

本発明は特定の特許文献集合の文献項目別件数時系列データの分析方法に関するものである。
本発明は特定の特許文献集合の分析対象区間の文献項目別件数時系列データの中から、特定の区間、単調増加する、V字型動向を示す等の特定の件数時系列動向を示す文献項目を抽出する、あるいは、特定の区間、特定の文献項目と相似の件数時系列動向を示す文献項目を抽出する方法は、現状では多くの文献項目別文献件数時系列マップを作成、該マップを観察して所望する文献項目を抽出している。
特許マップを用いて前記特定の文献集合の中から特定の文献件数時系列動向を示す文献項目を抽出する方法では多数の特許マップを作成する必要があり多大な工数を要するため、この方法を改善した、特許マップの観察に頼らない方法で特定の特許文献集合の中から文献件数が単調増加動向やV字型動向を示す特許文献項目を抽出する方法が記載されている特許文献としては特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
特許文献1には時系列特許マップの特許文献項目別文献件数の時系列推移と単調増加するダミーとの相関係数を求め、該求めた相関係数により正負の相関有り、正負の相関無しに分類する方法が記載されているが、直線をつなぎ合わせた折れ線で表現される特許文献項目別の文献件数の時系列動向を分析する方法には至っていない。
特許文献2には特定の特許文献項目同士の件数時系列推移の相関係数により相似の時系列推移をしているか否かの判定方法であり、前記特定の特許文献同士の一方の文献件数の時系列推移をV字型とか折線型とかのようにすれば、2直線の組合せで出来る文献件数時系列推移パターンを有する特許文献項目は抽出することはできるが、該方法も直線をつなぎ合わせた折れ線で表現される特許文献項目別の文献件数の時系列動向を分析する方法には至っていない。
特許文献3には種々の時間区分より成る文献項目の直線ダミーとの相関係数により、特定の区間の文献項目の文献件数時系列動向が単調増加であるとか単調減少であるとかの判定方法が記載されているが相関係数の観察からだけでは特定の文献項目の文献件数時系列動向をイメージとして把握することは困難である。
特許第5527566号公報 特許第5765691号公報 特許第6380871号公報
本発明は特定の特許文献集合の分析対象区間全体の文献項目別文献件数時系列動向を視覚で俯瞰しながら単調増加する、V字型動向を示す等の特定の文献件数時系列動向を示す文献項目を抽出することや、特定の区間で特定の文献項目と相似の文献件数時系列動向を示す文献項目を抽出する方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
本願請求項1に係わる特許文献集合の分析方法は
特許文献分析ソフトおよび表計算ソフトがインストールされているコンピュータで実行する特定の特許文献集合の分析方法において
分析対象とする特許分類や出願人やキーワードが記載されている文献項目列(便宜上、Y軸と記載する)と分析対象期間を等分割した区分の時間軸(便宜上、X軸とし各区分には時系列推移と座標名、Xiが記載、ここでiは連続的に変化する自然数)で構成されている表の文献項目と座標名、Xiが交わるマス目には両項目の条件を満たす文献件数、Yiが記載されている文献項目別文献件数時系列データ表を作成するステップと
前記文献項目別文献件数時系列データ表の分析対象期間の連続した3個の区分からなる区間に文献項目のダミーとして文献件数時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを追記して文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表を作成するステップと
前記文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表のダミーとY軸の文献項目毎の文献件数の時系列方向の相関係数を算出、該算出した相関係数を前記文献項目別文献件数時系列データ表に追記して作成した文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表の相関係数と、該相関係数の大きさにより前記ダミー区間別の文献件数動向を、X軸に平行、単調増加、近似不可、単調減少の4種類に層別、該層別結果に基づいて設定した層別記号を入れ替えて作成した文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートの列記号、層別記号、区分別文献件数を用いて課題に叶う文献項目を抽出にすることを特徴とする特許文献集合の分析方法である。
本請求項2に係わる特許文献集合の分析方法は、
前記文献項目別文献件数時系列データ表の分析対象期間の連続した3個の区分からなる区間に文献項目のダミーとして文献件数の時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを追記する代わりに、前記文献項目別文献件数時系列データ表の分析対象期間の連続した3個の区分からなる全ての区間に文献項目のダミーとして文献件数の時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを追記して作成した文献項目別、ダミー別文献件数時系列データ表を使用する請求項1に記載の特許文献集合の分析方法である。
本請求項3に係わる特許文献集合の分析方法は、
前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートの代わりに該チャートにダミー区間別文献件数動向勾配を追記した、文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャートの列記号、層別記号、区分別文献件数、ダミー区間別文献件数動向勾配を用いて課題に叶う文献項目を抽出する請求項1に記載の特許文献集合の分析方法である。
本請求項4に係わる特許文献集合の分析方法は、
請求項1に記載の層別記号を視覚による識別機能とコンピュータで昇順、降順の並び替えができる機能の二種類の機能を有する層別記号とする請求項1に記載の特許文献集合の分析方法である。
特許文献集合の分析対象区間全体の文献項目別件数時系列動向を俯瞰できるので、前記分析対象区間の中の重要区間の見極めができ、多数の特許マップを描く必要はないので作業の工数低減ができるようになる。
特許文献分析装置 特許文献集合の分析フローチャート BSのFターム別文献件数時系列データ表 BSのFターム別ダミー別文献件数時系列データ表 BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表 相関係数による文献件数動向近似直線の層別記号 BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャート ▲11▼2017年から遡って単調増加期間が最も長い文献項目を探索するために並べ替えしたBSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート ▲11▼2017年まで最も長期間単調増加を継続してきたBS03の文献件数時系列マップ 直近でV字型転換しているBSのFターム(その1)、BS09の文献件数時系列マップ 直近でV字型転換しているBSのFターム(その2)、BS13の文献件数時系列マップ 独立文献項目、BS13(自由度7)と該BS13の文献集合に含まれている従属文献項目のFターム別、ダミー別文献件数時系列データ表 BS13(独立文献項目)のFターム(従属文献項目)別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート ▲7▼2013年〜▲9▼2015年の間は単調減少、▲9▼2015年以降は再び単調増加に転じないBS13のFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート 図15のマップ ▲7▼2013年〜▲9▼2015年は単調減少、▲9▼2015年〜▲11▼2017年は単調増加するBS13のFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート 図17のマップ ▲9▼2015年以前は独立文献項目、BS13と相似の文献件数時系列動向を示していなかったが、▲9▼2015年以降は単調増加しているBS13のFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート 図19のマップ
以下、図1〜図20を参照して本発明の形態について説明する。
図1に特定の文献集合の分析に用いる特許文献分析装置の一実施例を示すが、該特許文献分析装置1はコンピュータ2とその付帯設備で構成されており、該コンピュータ2は制御装置3、演算装置4、記憶装置5及びI/O6を有し、該I/O6の入力側には、入力装置としてキーボード7、マウス8、入力装置9、MOドライブ等を含むCD−ROMドライブ10が接続されており、I/O6の出力側には、CRT(液晶デイスプレイを含む)からなる表示装置11、プリンタ12等が接続されており、さらに通信回線14を通して日立情報システムズやNRIサイバーパテント等のASPの特許データベース13に接続することもできる。
特許文献分析装置1の記憶装置には特許文献分析ソフト、表計算ソフト等、本願記載の分析に必要な全てのソフトは予め記憶装置5にインストールされており、特許マップの作成は、入力装置9を操作して、記憶装置5に予めストアされている特許文献集合のフロントページを開き、項目選択ボタンでマップ選択すると、特定の特許文献集合の特許文献項目別件数を降順又は昇順に表示した、所謂、ランキング特許マップや前記項目別件数の時系列推移を表示した、所謂、時系列特許マップや行と列に特定の特許文献項目を配し、該行と列の交差するマス目には行、列それぞれの特許文献項目が付与されている項目の件数が記載されている、所謂、マトリクスマップ等の各種特許マップのメニューが表示されるので、使用目的に応じたマップの種類を選択、各種マップ作成に必要な項目を設定して所望の特許マップを作成することができ、又、該特許マップから数値テーブルへの切り替は入力装置9の操作により容易に行うことが出来る。
前記、特許マップを切り替えて作成した数値データはコピーして、前記コンピュータにインストールされている表計算ソフトの任意のシートに貼りつけることが出来るので表計算ソフトが有している機能、例えばシートの行、列の挿入、削除、セル同士の四則演算、特定の項目同士の相関マトリクスの作成、グラフ作成機能、該作成したグラフの近似曲線描画機能等、全て使用できるようになっている。
分析に必要な特許文献集合は、入力装置9を操作して、特許データベース13にアクセス、検索目的の応じた特許文献検索式を用いて特許データベース検索を実施、該検索で収集した文献集合を前記特許文献分析装置にインストールされている特許文献分析ソフトで処理できるデータ形式に変換、該データ形式に変換した文献集合をスクリーニング、該スクリーニング済の文献集合を記憶装置5にストア、必要な時に記憶装置5にストアされている文献集合を開いて使用するというシステムになっている。
前記特許データベース13の替わりにCD−ROM等ドライブ10に公開特許公報CDをセットして使用することも可能である。
以下、図1の特許文献分析装置、図2の特許文献集合の分析のフローチャート等の図を参照して本発明の特許文献集合の分析方法を説明するが、本発明の説明に係わるに特定の文献集合や分析用ソフトは予め前記記憶装置5にストアされているものとする。
S1、特定の特許文献集合の文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)を作成する。
本ステップは前記特許文献分析ソフトを用いて作成した特定の特許文献集合の文献項目(出願人や特許分類を総称して文献項目と記載している)別文献件数時系列マップのデータを用いて文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)を作成するステップである。
前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)の文献項目は特定の特許文献集合自身の文献項目と該文献項目を構成している多数の文献項目を同時に含む集合の場合(例として図13参照、文献項目NO.1以下のFタームはNO.0の3C707BS13の集合に含まれているFターム)は、前記特定の特許文献集合自身の文献項目(3C707BS13)を独立文献項目、後者の文献項目(NO.1以下のFターム)を従属文献項目と記載し、前記独立文献項目を含まない場合は全ての文献項目を単に文献項目と記載している。
前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)に独立文献項目が含まれていない場合は特定の文献件数時系列動向、例えば単調増加とかV字型等の特定の文献件数時系列動向を示す文献項目を前記文献項目別文献件数時系列データ表の中から抽出することになるが、前記独立文献項目が含まれている場合(例として図13参照)は、前記文献項目別文献件数時系列データ表の中から前記特定の文献件数時系列動向を示す文献項目の抽出以外に、前記独立文献項目の文献件数時系列動向を支配している従属文献項目を抽出をすることができるようになる。
換言すると、例えば、コア技術(独立文献項目)の文献件数動向がV字動向の場合、常にコア技術と相似の文献件数動向を示す要素技術(従属文献項目)を、あるいは、コア技術の文献件数動向の単調減少に伴って衰退してしまった要素技術(従属文献項目)を、あるいはコア技術の文献件数動向の単調増加に伴って新たに出現した要素技術(従属文献項目)を抽出することが出来るようになる。
特定の特許文献集合の前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)の作成方法は、前記特許文献分析装置1にインストールされている前記特許文献ソフトを用いて既に記憶装置5に保存されている特定の特許文献集合の特許マップ作成オブジェクトを開き、該オブジェクトの中から作成対象として時系列特許マップを選択、該時系列特許マップのプロパテイ選択画面で,特許マップに表示するIPCとかFIとかFタームとか出願人とかの文献項目の中から具体的な項目を選択後、分析対象とする期間と該期間を分割する単位、例えば半期、1年、2年等を決定、その他特許マップ作成に必要な諸元を決定して特許マップ作成を実行、該作成した特許マップを数値データに切替えて作成する。
前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)は文献項目軸(便宜上、Y軸と記載する)と時間軸(便宜上、X軸と記載する)で構成されており、文献項目軸には分析対象とする出願人とか特許分類の文献項目が記載され、時間軸は分析対象期間を半期、1年、2年等で等分割した区分で構成されており、各区分には時系列推移と座標名、Xi(iは連続的に変化する自然数)が記載されており、該表のY軸とX軸の項目が交わるマス目には両項目の条件を満たす項目毎の文献件数、Yiが記載されている。
S2、前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)のX軸の連続した3個の区分より成る区間の文献項目のダミーとして文献件数の時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーDi(ここでDはダミーを、iは該ダミーの始点のX軸の座標名Xiのiをあらわしている)を設定して文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表(例として図4参照)を作成する。
前記ダミー、Diの種類を区分個数3個のダミーだけにしている理由は、該ダミーとの相関係数を使用して前記文献項目の文献件数時系列動向の直線性を判定できる最少の個数であること及び該ダミーの区分個数が少ないおかげで前記文献項目の文献件数時系列動向の直線性を小刻みに判定することが出来るので放物線のような曲線でも下に凸、上に凸の判定ができるからである。
分析対象期間の任意区間で単調増加、又は、単調減少する文献項目を抽出しようとする場合は、前記分析対象期間のX軸の連続した3個の区分より成る全ての区間に前記ダミーを設定、分析対象区間の特定の区間で単調増加、又は、単調減少する文献項目を抽出しようとする場合は、該単調増加、又は、単調減少する特定の区間に合わせて、前記ダミーを組合わせて、例えば、前記X軸のX1〜X4にまたがる単調増・減の文献項目を抽出したい場合はダミーD1(X座標、X1、X2、X3のダミー)とダミーD2(X座標、X2、X3、X4のダミー)を一セットのダミーとして、X1〜X5にまたがる単調増・減の文献項目を抽出したい場合はダミーD1(X座標、X1、X2、X3のダミー)とダミーD3(X座標、X3、X4、X5のダミー)を一セットのダミーとして使用する。
S3、前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)に前記ダミーDiと前記Y軸の特許文献項目毎の文献件数の時系列方向の相関係数を追記して文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表(例として図5参照)を作成する。
前記ダミー、Diと前記Y軸の特許文献項目毎の文献件数の時系列方向の相関係数の前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)への追記は前記特許文献分析装置1にインストールされている表計算ソフトの相関係数算出機能を使用して前記文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表(例として図4参照)の全てのダミーと前記Y軸の全ての特許文献項目の組合せの相関係数が算出される相関係数マトリクスを作成、該相関係数マトリクスから必要とする部分だけをコピーして前記文献項目別文献件数時系列データ表(例として図3参照)にペイストして作成する。
S4、前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表(例として図5参照)の相関係数と該相関係数の大きさにより前記ダミー区間の文献件数動向を、X軸に平行、単調増加、近似不可、単調減少の4種類に層別して設定した層別記号(該層別記号は視覚で識別できる機能とコンピュータで昇順、降順の並び替えができる機能を有するものとする)を入れ替えて文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(例として図7参照)を作成する。
前記、前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表(例として図5参照)に記載してある相関係数(Rと記載する)の大きさで当該ダミー区間の文献項目の時系列件数動向を直線近似できるか否か、直線近似できる場合はその勾配は正か負かを判定する相関係数Rの判定基準値の算出方法例として数1を掲載する。
ここで Nは相関係数算出区間のデータ個数、本発明はNは3に限定しているので、
R=0.9が直線近似できるか否かの判定基準値とする
相関係数算出区間のダミーの勾配が正の場合は
R≧0.9 は直線近似ができ、該近似直線の勾配は正である
R≦−0.9 は直線近似ができ、該近似直線の勾配は負である
−0.9<R<0.9は直線近似は不可
相関係数算出区間のダミーの勾配が負の場合は上記近似直線の勾配は正、負が入れ替る。
数1の出典:「オペレーション・リサーチ」 1997年7月号、上田太郎著
前記、数1で算出した基準値は絶対的な値でなく、分析の要求精度に応じて変更しても良い。
前記、文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(例として図7参照)より、文献件数と文献件数動向の直線性と勾配の正、負を評価尺度として特定の文献項目を抽出することが出来るが、さらに下記、数2で算出した文献項目別時系列件数動向の前記ダミー区間別勾配を前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(例として図7参照)に付加して作成した文献項目別時系列件数、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャート(例として図8参照)を用いると、特定の区間の文献項目の文献件数、文献件数動向勾配の大きさ、文献件数動向の層別記号を用いて所望する文献項目を抽出することができるようになる。
ここで
Xiは座標名Xiの座標値
Yiは座標名Xiの文献件数
X′は勾配算出対象区間の座標名Xiの座標値の平均値
Y′は勾配算出対象区間の座標名Xiの文献件数Yiの平均値
nは勾配算出対象区間のデータ個数
S5、前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(例として図7参照)、又は、文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャート(例として図8参照)の列記号、特定の区間のBSのFタームの文献件数、文献件数動向勾配、文献件数動向の層別記号を使用して課題に叶う文献項目を抽出するステップである。
課題に叶う文献項目の抽出は前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(例として図7参照)、又は、文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャート(例として図8参照)の文献項目の中から、該表の列と層別記号と文献件数動向勾配と区分別文献件数を使用して課題に叶う文献項目を抽出する。
以下、図1〜図20を参照して上記分析手順を実施例により具体的に説明する。
実施例として公開・公表日を2007年〜2017年、特許分類をテーマコード3C707(マニプレータ)の分析対象特許文献集合(文献件数12251件)を使用して、独立文献項目を含まない集合の場合(実施例1)と独立文献項目(該独立文献集合は前記実施例1の分析結果を参照して決定した文献項目とする)を含む場合の集合(実施例2)から課題に叶う文献項目を抽出方法を記載する。
実施例1の分析課題は、テーマコード3C707(マニプレータ)のコア技術となる観点BS(マニプレータの種類、タイプ)のFターム(以下Fタームの記載はテーマコードを省略して、BSのFタームのように記載する)の中から、(1)公開・公開日、2017年まで最も長期間単調増加をしているFタームを探索すること、(2)直近で文献件数時系列動向がV字型転換をしているFタームを探索することである。
S1、特許文献集合、3C707のBSのFターム別文献件数時系列データ表(図3)を作成するステップである。
前記特許文献分析ソフトを用いて記憶装置5に保存してある前記分析対象特許文献集合、3C707を開き、公開・公表年が2007年〜2017年、時間軸区分が1年毎のBSのFターム別文献件数時系列マップを作成、該マップを数値テーブルに切替えて作成したBSのFターム別文献件数時系列データ表(図3)を作成して前記記憶装置5に保存した。
S2、前記BSのFターム別文献件数時系列データ表(図3)のX軸の連続した3個の区分より成る区間のダミーとして文献件数の時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを設定してBSのFターム別ダミー別文献件数時系列データ表(図4)を作成するステップである。
本実施例は特定の区間での文献件数時系列動向が単調増加、又は、単調減少する文献項目を抽出しようとする目的の分析ではないため、前記BSのFターム別ダミー別文献件数時系列データ表(図4)には、分析対象のX軸の連続した3個の区分よりなる全区間に勾配が1となる直線ダミーを設定した。
S3、前記BSのFターム別文献件数時系列データ表(図3)に前記ダミーと前記文献項目の件数時系列方向の相関係数を追記してBSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表(図5)を作成するステップである。
前記BSのFターム別ダミー別文献件数時系列データ表(図4)のダミーと文献項目別件数時系列データ(2007年〜2017年)の行方向の相関係数を前記表計算ソフトを用いて算出、該算出した相関係数の必要部分のみをコピー、前記BSのFターム別文献件数時系列データ表(図3)にダミー区間別、ダミーとの相関係数欄を設け、該欄にペイストしてBSのFターム別文献件数時系列、ダミーとの相関係数表(図5)を作成した。
S4、前記BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表(図5)の相関係数と該相関係数の大きさにより前記ダミー区間の文献件数動向を、X軸に平行、単調増加、近似不可、単調減少の4種類に層別して設定した層別記号(該層別記号は視覚で識別できる機能とコンピュータで昇順、降順の並び替えができる機能を有するものとする)を入れ替えてBSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(図7)を作成するステップである。
実施例においては、視覚で識別できる機能を有する識別記号として、X軸に平行は、→、単調増加は、↑、近似不可は、×、単調減少は、↓、コンピュータで昇順、降順の並び替えができる機能を有する識別記号として、X軸に平行は1、単調増加は2、近似不可は3、単調減少は4とした2種類の識別記号を一体化した層別記号(図6)と前記BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表(図5)の相関係数を入れ替えて図7のBSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートを作成した。
前記BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(図7)に前記数2で算出したBSのFターム別ダミー区間別文献件数動向勾配を付加して作成したチャートがBSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャート(図8)である。
S5、前記BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(図7)又は前記BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャート(図8)の列記号、特定の区間のBSのFタームの文献件数、文献件数動向勾配、文献件数動向の層別記号を使用して課題に叶う文献項目を抽出するステップである。
本実施例では前記BSのFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャート(図7)を用いて課題1の公開・公開日、2017年まで最も長期間単調増加を継続してきたBSのFターム、課題2の直近でV字型転換をしているBSのFタームの探索を実施した。
図9は課題1,2のFタームを探索するため、前記図7の文献項目のダミー区間別、文献件数動向の層別欄のD9列の層別記号を並べ替えのキーとして文献項目を昇順に並び変え、次に、D9列の層別記号が、↑2の行だけを、D8列の層別記号を並べ替えのキーとして文献項目を昇順に並び替えたものである。
図9より、文献項目NO3のBS03のD9、D8の層別記号が(↑ 2)で、該BS03が最も長期間単調増加を継続してきた文献項目(図10)であることがわかる。
図9より、文献項目NO5のBS09はD7の層別記号が単調減少(↓ 4)、D9の層別記号が単調増加(↑ 2)でV字転換している文献項目(図11)であることがわかる。
図9より、文献項目NO8のBS13はD6とD7の層別記号が単調減少(↓ 4)、D9が層別記号が単調増加(↑ 2)でV字転換している文献項目(図12)であることがわかる。
本実施例の文献項目NO8のBS13の単調減少区間はD6(この間のダミーとの相関係数R=−1.0)とD7(この間のダミーとの相関係数R=−0.92)の2個の区間で構成されており、直線の一部が重なり合っているので一本の直線ダミーの場合(相関係数R=―0.89)とは異なるが、連続する3区分から成るダミーを小刻みに使用することにより放物線状の文献件数時系列動向の曲線でも、下に凸の曲線か、上に凸の曲線かを判定することが出来ることがわかる。
実施例2の課題は独立文献項目の文献件数動向がV字型に変化することに伴い変遷する従属文献項目の状況を分析する。
実施例1の図12より、BS13(独立文献項目)の件数時系列動向は▲7▼2013年〜▲9▼2015年は単調減少、▲9▼2015年〜▲11▼2017年は単調増加していることが明らかになったので、該BS13を構成している従属文献項目の中から(1)▲7▼2013年〜▲9▼2015年の間は単調減少し、▲9▼2015年以降は再び単調増加に転じないFタームの抽出、(2)▲7▼2013年〜▲9▼2015年は単調減少、▲9▼2015年〜▲11▼2017年は単調増加するFタームの抽出、(3)▲9▼2015年以前は独立文献項目BS13と相似の文献件数時系列動向は示していなかったが▲9▼2015年〜▲11▼2017年は単調増加するFタームを探索する。
図13は独立文献項目、BS13と該BS13の文献集合に含まれている従属文献項目のFターム別、ダミー別文献件数時系列データ表である。
前記図13を用いて、実施例1と同様な方法で作成したBS13(独立文献項目)のFターム(従属文献項目)別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートが図14である。
課題(1)の▲7▼2013年〜▲9▼2015年の間は単調減少、▲9▼2015年以降は再び単調増加に転じないFタームの抽出は図14の文献項目のダミー区間別文献件数動向の層別欄のD7列の層別記号が単調減少(↓ 4)、D8列、D9列の層別記号が単調増加(↑ 2)以外の文献項目であるとして抽出、該抽出した文献項目の中から▲7▼2013年〜▲9▼2017年の文献件数上位5に限定して作成したBS13のFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートが図15、マップは図16である。
課題(2)の▲7▼2013年〜▲9▼2015年は単調減少、▲9▼2015年〜▲11▼2017年は単調増加するFタームの抽出は図14の文献項目のダミー区間別文献件数動向の層別欄のD7列の層別記号が単調減少(↓ 4)、D9列の層別記号が単調増加(↑ 2)する文献列と項目であるとして抽出、該抽出した文献項目の中から▲7▼2013年〜▲9▼2017年の文献件数上位5に限定して作成したBS13のFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートが図17、マップは図18である。
課題(3)の▲9▼2015年以前は独立文献項目BS13と相似の件数時系列動向は示していなかったが▲9▼2015年〜▲11▼2017年は単調増加するFタームの抽出は図14の文献項目のダミー区間別文献件数動向の層別欄のD9列の層別記号が単調増加(↑ 4)でD7列、D8列の層別記号は文献項目NO.0のBS13の層別記号と一致していない文献項目であるとして抽出、該抽出した文献項目の中から▲7▼2013年〜▲9▼2017年の文献件数上位5に限定して作成したBS13のFターム別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートが図19、マップは図20である。
本発明は特定の特許文献集合の文献件数時系列マップを作成すること無く、コア技術の変遷に伴う要素技術の変遷や文献件数時系列動向が単調増加、V字型等の特定の時系列動向パターンを示す文献項目を抽出をすることが出来るので業務の工数低減に寄与することが出来る。

Claims (4)

  1. 特許文献分析ソフトおよび表計算ソフトがインストールされているコンピュータで実行する特定の特許文献集合の分析方法において
    分析対象とする特許分類や出願人やキーワードが記載されている文献項目列(便宜上、Y軸と記載する)と分析対象期間を等分割した区分の時間軸(便宜上、X軸とし各区分には時系列推移と座標名、Xiが記載、ここでiは連続的に変化する自然数)で構成されている表の文献項目と座標名、Xiが交わるマス目には両項目の条件を満たす文献件数、Yiが記載されている文献項目別文献件数時系列データ表を作成するステップと
    前記文献項目別文献件数時系列データ表の分析対象期間の連続した3個の区分からなる区間に文献項目のダミーとして文献件数時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを追記して文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表を作成するステップと
    前記文献項目別ダミー別文献件数時系列データ表のダミーとY軸の文献項目毎の文献件数の時系列方向の相関係数を算出、該算出した相関係数を前記文献項目別文献件数時系列データ表に追記して作成した文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別ダミーとの相関係数表の相関係数と、該相関係数の大きさにより前記ダミー区間別の文献件数動向を、X軸に平行、単調増加、近似不可、単調減少の4種類に層別、該層別結果に基づいて設定した層別記号を入れ替えて作成した文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートの列記号、層別記号、区分別文献件数を用いて課題に叶う文献項目を抽出にすることを特徴とする特許文献集合の分析方法。
  2. 前記文献項目別文献件数時系列データ表の分析対象期間の連続した3個の区分からなる区間に文献項目のダミーとして文献件数の時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを追記する代わりに、前記文献項目別文献件数時系列データ表の分析対象期間の連続した3個の区分からなる全ての区間に文献項目のダミーとして文献件数の時系列動向の勾配がゼロ以外の直線となるダミーを追記して作成した文献項目別、ダミー別文献件数時系列データ表を使用する請求項1に記載の特許文献集合の分析方法。
  3. 前記文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向層別チャートの代わりに該チャートにダミー区間別文献件数動向勾配を追記した、文献項目別文献件数時系列、ダミー区間別文献件数動向勾配、文献件数動向層別チャートの列記号、層別記号、区分別文献件数、ダミー区間別文献件数動向勾配を用いて課題に叶う文献項目を抽出する請求項1に記載の特許文献集合の分析方法。
  4. 請求項1に記載の層別記号を視覚による識別機能とコンピュータで昇順、降順の並び替えができる機能の二種類の機能を有する層別記号とする請求項1に記載の特許文献集合の分析方法。
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