簡易な補強部材により載台の強度を確保する視点で鋭意検討が行われ、以下の知見が得られた。
特許文献1に開示された補強部材は、2枚の金属板の面内全域において均等間隔に略矩形状の突出部が設けられているので、載台上の計量対象(例えば、車いす、人など)の移動方向、および、この移動方向に対して直交する方向の曲げ剛性が高いと考えられる。しかし、この場合、載台全面に亘る大面積の金属板を設ける必要がある。仮に金属板の一部に欠けが存在する場合、金属板の欠け部分の曲げ剛性が低下し、その結果、載台の強度を適切に確保することができない。このため、特許文献1では、金属板により載台の強度を適切に確保しながら、金属板の軽量化を図ることが困難である。この点、特許文献1に限らず、特許文献2の如く、金属板を波形形状に加工する場合も同様である。
特許文献3に開示された補強部材は、複数の棒状アーム梁を均等間隔に配置することで、簡易な構成で載台を保持することができる。しかし、この場合、載台上の計量対象の移動方向に直交する方向において、補強部材の曲げ剛性は十分とは言えない。つまり、特許文献3の補強部材は、載台上の計量対象の移動方向に直交する方向における載台の強度の確保については十分に検討されていない。
また、特許文献3に開示された補強部材では、載台の低床化を図ることが困難となる可能性がある。この理由は以下のとおりである。
載台の全体的な強度は、載台上の計量対象の移動方向の載台の強度と、この移動方向に直交する方向の載台の強度とのバランスにより決定される。このため、仮に、特許文献3に開示された棒状アーム梁だけを配置することで、載台の全体的な強度を確保する場合、例えば、棒状アーム梁を互いに直交するように多数、配置する必要性が生じる。すると、載台の荷重測定面と地面との距離(高さ)が長くなるので、載台の低床化を図ることが困難になる可能性がある。
そこで、本開示の第1態様は、上記の知見に基づいて案出できたものであり、載台を含む筐体を備え、載台上の計量対象の荷重を検出するように構成されている計量装置であって、載台は、平面視において略矩形状の荷重測定部と、荷重測定部の両端部のそれぞれに一体的に設けられ、荷重測定部の主面から上方に突出するとともに載台上の計量対象の移動方向に延伸している一対の突出部と、荷重測定部を保持する補強部材と、を備え、この補強部材は、計量対象の移動方向に対して直交する方向の曲げ剛性が、計量対象の移動方向の曲げ剛性よりも高い。
本開示の第2態様の計量装置は、第1態様の計量装置において、補強部材は、平面視において短冊状の複数のフレームを備え、フレームが、筐体内で、計量対象の移動方向に対して直交する方向に延伸していてもよい。
以上の構成によると、本態様の計量装置は、従来に比べて、簡易な補強部材により載台の強度を適切に確保し得る。
具体的には、本態様の計量装置の補強部材は、載台上の計量対象の移動方向に対して直交する方向の曲げ剛性が、この移動方向の曲げ剛性よりも高いので、かかる補強部材により、載台上の計量対象の移動方向に対して直交する方向の載台の強度を向上させることができる。
また、本態様の計量装置は、載台の荷重測定部の両端部のそれぞれに一体的に設けられ、荷重測定部の主面から上方に突出するとともに計量対象の移動方向に延伸している一対の突出部の形成により、載台上で計量対象が移動する方向の載台の強度を向上させることができる。
このようにして、本態様の計量装置は、一対の突出部によって載台上で計量対象が移動する方向の載台の強度を向上させることができるので、補強部材は、載台上の計量対象の移動方向に対して直交する方向の載台の強度を確保するように載台の荷重測定部を保持できればよい。よって、本態様の計量装置は、補強部材により載台の強度を適切に確保しながら、補強部材の軽量化を図ることが可能になる。
例えば、上記のとおり、第2態様の計量装置は、平面視において短冊状の複数のフレームが、載台の荷重測定部内で、載台上の計量対象の移動方向に対して直交する方向に延伸することで、補強部材が形成されている。よって、この場合、本態様の計量装置は、特許文献1−3に記載された発明に比べて、フレームにより載台の強度を適切に確保しながら、フレームの軽量化を図ることができる。また、本態様の計量装置は、例えば、特許文献3に開示された複数の棒状アーム梁だけを配置することで、載台上の計量対象の移動方向の載台の強度と、この移動方向に直交する方向の載台の強度とを確保する場合に比べて、載台の低床化を図ることができる。
ここで、本開示の第3態様の計量装置は、第2態様の計量装置において、計量対象が載るための第1金属部材および第1金属部材の下方に設けられた第2金属部材の積層体で構成されており、載台の荷重測定部において、第1金属部材および第2金属部材間の載台の中空領域内に、上記のフレームが設けられていてもよい。
そして、本開示の第4態様の計量装置は、第3態様の計量装置において、フレームは、載台の中空領域内で計量対象の移動方向に所定間隔を隔てて並ぶように配列された複数の第1フレームを備え、第1フレームは、第1金属部材の荷重測定部の下面に固定された第1平坦部と、第2金属部材の荷重測定部の上面に固定された第2平坦部と、第1平坦部の端部から第2平坦部の端部に階段状に延伸する立設部と、を含む部材であってもよい。
以上の構成によると、本態様の計量装置は、載台の荷重測定部が、両隣の第1フレームと、第1金属部材と、第2金属部材とで囲まれる略角パイプ状の部分を備えることで、例えば、第1金属部材と第2金属部材との間に短冊状の平板部材を挿入する構成に比べて、載台の荷重測定部の曲げ強度だけでなく、ねじり強度も向上させることができる。
また、本開示の第5態様の計量装置は、第3態様の計量装置において、筐体のベース上に設けられ、載台上の計量対象の荷重を検出するための荷重検出器と、荷重検出器上に設けられた柱状弾性部材を備え、載台は、第2金属部材の突出部の下面に固定された第1平坦部と、載台の中空領域内に設けられた第2平坦部と、第1平坦部の端部から第2平坦部の端部に階段状に延伸する立設部と、を含む補強具を備え、フレームは、載台の中空領域内の計量対象の移動方向の両端近傍にそれぞれ設けられた一対の第2フレームを備え、補強具が、第2金属部材の突出部の側面に形成された開口を通過することで第2金属部材の突出部から載台の中空領域内へ延伸するとともに、第2フレームと補強具の第2平坦部とが固定されており、載台の荷重測定部上に計量対象が載ったときの載台から荷重検出器への荷重伝達が、補強具の第1平坦部および柱状弾性部材を介して行われてもよい。
かかる構成によると、本態様の計量装置は、載台の荷重測定部上に、計量対象が載ったとき、計量対象の荷重に基づいて柱状弾性部材に応力が集中する構成において、載台と柱状弾性部材との間に介在する補強具の第1平坦部により載台の変位、変形を適切に抑制することができる。
また、本態様の計量装置は、載台の荷重測定部上に、計量対象が載ったとき、仮に、載台が、計量対象の偏荷重などに基づいて傾いた場合であっても、柱状弾性部材は、このような載台の傾倒に追従して変形し得るので、荷重検出器の検出精度の悪化を適切に軽減することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
(実施形態)
[装置構成]
図1は、実施形態の計量装置の一例を示す図である。図1には、本実施形態の計量装置の一例として、利用者が車いすに乗ったまま体重を測定可能な車いす用体重計100の斜視図が示されている。
なお、便宜上、図1(図2および図6も同じ)において、前後および左右が、同図の如く取られており、図示しない車いすが車いす用体重計100の「後」から進入し、車いす用体重計100の「前」から退出するものして、以下の車いす用体重計100の構成を説明する。つまり、図1に示す例では、車いす用体重計100の前後方向が、載台30上の計量対象(例えば、車いす、人など)の移動方向に相当する。また、車いす用体重計100の左右方向が、載台30上の計量対象が移動する方向に対して直交する方向に相当する。
また、以下の説明では、図1の前後方向および左右方向に対して直交する鉛直方向から車いす用体重計100の各部材を視ることを、便宜上、平面視という。
図1に示すように、本実施形態の車いす用体重計100は、載台30およびベース40を含む金属製の筐体10を備え、載台30上の計量対象の荷重を検出するように構成されている。
筐体10の載台30は、平面視において略矩形状の荷重測定部30Cと、荷重測定部30Cの両端部のそれぞれに一体的に設けられ、荷重測定部30Cの主面から上方に突出するとともに計量対象の移動方向に延伸している一対の突出部(右突出部30Rおよび左突出部30L)と、を備える。
本実施形態の車いす用体重計100では、右突出部30Rおよび左突出部30Lは、例えば、適宜の金属部材に対して曲げ加工を施すことにより載台30の荷重測定部30Cと一体に形成されている。載台30の構成の詳細は実施例で説明する。
ここで、荷重測定部30Cの主面は、車いすの前輪および後輪が載り込み得る程度の大きさに設定されている。つまり、車いす用体重計100では、車いすの前輪および後輪が、載台30の荷重測定部30Cに載ることで、車いすに乗ったままの状態で利用者の体重が計測される。なお、上記のとおり、載台30の右突出部30Rおよび左突出部30Lがそれぞれ、荷重測定部30Cの左右の両端部から上方に突出することで、荷重測定部30Cと右突出部30Rの上面(水平面)との間、および、荷重測定部30Cと左突出部30Lの上面(水平面)との間は、所定長の段差が形成されている。このため、車いすが荷重測定部30C上を通過する際に、車いすの車輪が荷重測定部30Cから脱輪することが抑制されている。
載台30の右突出部30Rの上面の中央部には、筐体10内に収納された乾電池に対向する電池蓋36が設けられている。また、左突出部30Lの側面には、電源スイッチ37およびACジャック38が設けられている。つまり、本実施形態の車いす用体重計100は、ACアダプタと乾電池の両電源に対応している。
筐体10のベース40は、前方スロープ41Fと、後方スロープ41Bとを備える。本実施形態の車いす用体重計100では、ベース40の前方スロープ41Fおよび後方スロープ41Bは、例えば、適宜の金属部材に対して曲げ加工を施すことによりベース40の型枠と一体的に形成されている。ベース40の構成の詳細は実施例で説明する。
後方スロープ41Bは、荷重測定部30Cの後端部と床面50との間で車いすが荷重測定部30Cに進入するための傾斜路を形成する部材である。
後方スロープ41Bの左右方向の両サイドのそれぞれには、後方スロープ41Bに対して垂直に延伸する右突出部30Rおよび左突出部30Lがそれぞれ存在している。これにより、車いすが後方スロープ41B上を通過する際に、車いすの車輪が後方スロープ41Bから脱輪することが抑制されている。
なお、図1に示すように、荷重測定部30Cの後端部と後方スロープ41Bの前端部との間には、所定の段差Sが形成されている。このような段差Sの存在により、車いすの後輪が荷重測定部30C上に完全に乗り込んだことを、車いすに乗っている利用者が容易に認識することができるので、車いす用体重計100の誤計量が抑制される。
前方スロープ41Fは、荷重測定部30Cの前端部と床面50との間で車いすが荷重測定部30Cから退出するための傾斜路を形成する部材である。
前方スロープ41Fの左右方向の両サイドのそれぞれには、前方スロープ41Fに対して垂直に延伸する右突出部30Rおよび左突出部30Lがそれぞれ存在している。これにより、車いすが前方スロープ41F上を通過する際に、車いすの車輪が前方スロープ41Fから脱輪することが抑制されている。
以上により、本実施形態の車いす用体重計100は、ベース40が、前方スロープ41Fおよび後方スロープ41Bを備える構成により、例えば、前方スロープおよび後方スロープを載台に一体に形成する場合に比べて、荷重測定部30Cと床面50との距離(高さ)を短くすることができる(つまり、車いす用体重計100を低床化できる)。これにより、車いすが荷重測定部30Cに乗り込みやすくなる。また、車いす用体重計100を小型に構成することができる。
図1に示すように、車いす用体重計100は、オプションとして、右手すり33Rおよび左手すり33Lを追加的に配置可能に構成されている。
右手すり33Rは、例えば、U字状のパイプで形成されており、このパイプの両端のそれぞれが、右突出部30Rの上面の前後方向の両端近傍のそれぞれに適宜の固定部材(ここでは、パイプのブラケットおよびボルト)により固定されている。
左手すり33Lは、例えば、U字状のパイプで形成されており、このパイプの両端のそれぞれが、左突出部30Lの上面の前後方向の両端近傍のそれぞれに適宜の固定部材(ここでは、パイプのブラケットおよびボルト)により固定されている。
なお、これらの右手すり33Rおよび左手すり33Lは、例えば、利用者が載台30の荷重測定部30Cを移動する際の補助具として機能する。
また、図1に示すように、車いす用体重計100は、運搬用の一対の前方ハンドル34Fおよび後方ハンドル34Bと、運搬用の前方キャスター35Fおよび一対の後方キャスター35B1、35B2と、を備える。前方ハンドル34Fは、右突出部30Rの上面の前方の適所に設けられ、後方ハンドル34Bは、右突出部30Rの上面の後方の適所に設けられている。前方キャスター35Fは、車輪の走行方向が前後方向になるように左突出部30Lの前方の適所に設けられている。一対の後方キャスター35B1、35B2はそれぞれ、車輪の走行方向が前後方向になるように左突出部30Lの後方の適所に並んで設けられている。
以上により、本実施形態の車いす用体重計100は、右手すり33Rおよび左手すり33Lを取り外すことで、前方ハンドル34Fおよび後方ハンドル34Bを用いて筐体10を直立姿勢に立てることができる。すると、筐体10を前方キャスター35Fおよび後方キャスター35B1、35B2の車輪で支えることができるので、車いす用体重計100を容易に運搬することができる。特に、本実施形態の車いす用体重計100は、前方キャスター35Fの車輪と、後方キャスター35B1、35B2の2つの車輪で筐体10を支えているので、例えば、筐体10の側面に1個ずつ、前後方向に一定間隔を隔ててキャスターを並べる場合に比べて、車いす用体重計100を運搬する際の安定性が向上する。
さらに、本実施形態の車いす用体重計100では、筐体10の載台30は、荷重測定部30Cを保持する補強部材60を備える。そして、補強部材60は、載台30上の計量対象の移動方向(図1の前後方向)に対して直交する左右方向の曲げ剛性が、この移動方向の曲げ剛性よりも高い。
一例として、補強部材60は、平面視において短冊状の複数のフレーム61を備え、フレーム61が、筐体10内で、載台30上の計量対象の移動方向に対して直交する左右方向に延伸していてもよい。なお、かかるフレーム61の詳細な構成については実施例で説明する。
なお、図示を省略するが、本実施例の車いす用体重計100において、載台30上の計量対象の計量に必要となる部材、機器などが適宜、設けられる。
例えば、車いす用体重計100は、筐体10内のベース40上に設けられ、載台30上の計量対象の荷重を検出するための荷重検出器(例えば、ロードセル)の荷重信号を筐体10外の指示計に無線で送信する無線通信基板を備えていてもよい。つまり、車いす用体重計100は、無線通信機能の搭載により、配線を使用せずに荷重検出器の荷重信号を指示計に無線で送信するように構成されていてもよい。なお、このとき、金属製の筐体10の一部が、荷重検出器の荷重信号の無線通信に使用される電波が透過するように、樹脂などで構成されていてもよい。
また、車いす用体重計100は、アンテナを備える無線通信モジュールの他、荷重検出器の出力を増幅する増幅器、および、荷重検出器の出力をA/D変換するA/D変換器などが設けられていてもよい。これらの電子部品は公知であるので、詳細な説明は省略する。
ここで、上記の指示計は、制御器と、記憶装置と、操作器と、表示器とを備えてもよい。この場合、制御器は、例えば、インターフェイス回路と、演算回路とを備えてもよい。
インターフェイス回路は、例えば、無線通信基板と、記憶装置と、操作器と、表示器と、制御器の演算回路との間で各種の信号およびデータの受け渡しを行う機能を備えてもよい。
演算回路は、例えば、マイクロプロセッサ(CPUまたはMPU)などで構成され、記憶装置に格納されている所定の動作プログラムの指示に従って、必要な信号を、インターフェイス回路を介して受け取り、必要なデータを記憶装置から受け取り、受け取った信号およびデータに基づいて演算を実行する機能を備えてもよい。
記憶装置は、例えば、メモリ(PROMまたはRAM)などで構成され、所定プログラムおよび基本データなどを長期的に記憶したり、種々のデータおよび演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を備えてもよい。
操作器は、例えば、操作スイッチ、数値キーなどを備え、測定開始および測定終了の動作、使用モードの切り換え動作、数値設定動作などの種々の動作の際に用いられてもよい。
表示器は、例えば、液晶ディスプレイパネルなどで構成され、測定結果および各種データの入出力画面などが表示されてもよい。
なお、車いす用体重計100の図示しない上記の部材および機器は例示であって、本例に限定されない。
以上のとおり、本実施形態の車いす用体重計100は、従来に比べて、簡易な補強部材60により載台30の強度を適切に確保し得る。
具体的には、本実施形態の車いす用体重計100の補強部材60は、載台30上の計量対象の移動方向に対して直交する左右方向の曲げ剛性が、この移動方向の曲げ剛性よりも高いので、かかる補強部材60により、載台30上の計量対象の移動方向に対して直交する左右方向の載台30の強度を向上させることができる。
また、本実施形態の車いす用体重計100は、載台30の荷重測定部30Cの両端部のそれぞれに一体的に設けられ、荷重測定部30Cの主面から上方に突出するとともに計量対象の移動方向に延伸している右突出部30Rおよび左突出部30Lの形成により、載台30上で計量対象が移動する前後方向の載台30の強度を向上させることができる。つまり、平板状の金属部材に対して曲げ加工を施すことで、右突出部30Rおよび左突出部30Lを形成することにより、平板状の金属部材に比べて、載台30の前後方向の強度が向上する。
このようにして、本実施形態の車いす用体重計100は、右突出部30Rおよび左突出部20Lによって載台30上で計量対象が移動する前後方向の載台30の強度を向上させることができるので、補強部材60は、載台30上の計量対象の移動方向に対して直交する左右方向の載台30の強度を確保するように載台30の荷重測定部30Cを保持できればよい。よって、本実施形態の車いす用体重計100は、補強部材60により載台30の強度を適切に確保しながら、補強部材60の軽量化を図ることが可能になる。
例えば、上記のとおり、本実施形態の車いす用体重計100は、平面視において短冊状の複数のフレーム61が、載台30の荷重測定部30C内で、載台30上の計量対象の移動方向に対して直交する左右方向に延伸することで、補強部材60が形成されている。よって、この場合、本実施形態の車いす用体重計100は、特許文献1−3に記載された発明に比べて、フレーム61により載台30の強度を適切に確保しながら、フレーム61の軽量化を図ることができる。また、本実施形態の車いす用体重計100は、例えば、特許文献3に開示された複数の棒状アーム梁だけを配置することで、載台30上の計量対象の移動方向の載台30の強度と、この移動方向に直交する左右方向の載台30の強度とを確保する場合に比べて、載台30の低床化を図ることができる。
(実施例)
[載台の構成]
図2は、実施形態の実施例の計量装置の載台の一例を示す図である。図2には、車いす用体重計100の載台30を構成する金属部材の分解斜視図が示されている。
図2に示すように、載台30は、計量対象が載るための第1金属部材31および第1金属部材31の下方に設けられた第2金属部材32の積層体で構成されている。
ここで、載台30の右突出部30Rは、第1金属部材31の右突出部31Rおよび第2金属部材32の右突出部32Rの積層体により構成されている。また、載台30の左突出部30Lは、第1金属部材31の左突出部31Lおよび第2金属部材32の左突出部32Lの積層体により構成されている。
具体的には、載台30の右突出部30Rおよび左突出部30Lでは、第1金属部材31の右突出部31Rおよび左突出部31Lのそれぞれの下面(裏面)が、第2金属部材32の右突出部32Rおよび左突出部32Lのそれぞれの上面(おもて面)と接触している。つまり、載台30の右突出部30R(図1参照)の基材は、第1金属部材31の右突出部31Rの下面と第2金属部材32の右突出部32Rの上面との接触で形成された金属製の積層板である。また、載台30の左突出部30L(図1参照)の基材は、第1金属部材31の左突出部31Lの下面と第2金属部材32の左突出部32Lの上面との接触で形成された金属製の積層板である。
なお、第1金属部材31の右突出部31Rの上面の中央部および第2金属部材32の右突出部32Rの上面の中央部のそれぞれには、乾電池を電池ホルダに着脱するための開口部A1および開口部A2がそれぞれ設けられている。なお、これらの開口部A1、A2は、車いす用体重計100の使用時には、電池蓋36(図1参照)により覆われている。
また、第1金属部材31の左突出部31Lの側面の中央部には、電源スイッチ37およびACジャック38(いずれも図1参照)を取り付けるための切欠き部N1が設けられている。
さらに、第1金属部材31の左突出部31Lの側面の前方端部および後方端部のそれぞれには、前方キャスター35Fおよび後方キャスター35B1(いずれも図1参照)のそれぞれを取り付けるための切欠き部N2、N3がそれぞれ設けられている。なお、図示を省略しているが、第1金属部材31の左突出部31Lの上面の後方端部には、後方キャスター35B2(図1参照)を取り付けるための取り付け孔などが設けられている。
載台30の荷重測定部30Cにおいては、第1金属部材31の荷重測定部31Cおよび第2金属部材32の荷重測定部32C間の載台30の中空領域200内に、平面視において短冊状の複数のフレーム61が設けられている。
具体的には、フレーム61は、載台30の中空領域200内で計量対象の移動方向に所定間隔を隔てて並ぶように配列された複数(ここでは、6個)の第1フレーム61Aを備える。
第1フレーム61Aは、例えば、図3Aに示す如く、第1平坦部61AH1と、第2平坦部61AH2と、第1平坦部61AH1の端部から第2平坦部61AH2の端部に階段状に延伸する立設部61AVとを含む、横断面視H−Hにおいて段曲げ形状(Z形状)の金属部材である。
図4は、図2の第1金属部材および第2金属部材と図3Aの第1フレームとを固定した状態の一例を示す図である。
図4に示すように、載台30の中空領域200内において、第1フレーム61Aの第1平坦部61AH1は、適宜の固定手段により、第1金属部材31の荷重測定部31Cの下面に固定され、第1フレーム61Aの第2平坦部61AH2は、適宜の固定手段により、第2金属部材32の荷重測定部32Cの上面に固定されている。例えば、第1フレーム61Aの第1平坦部61AH1は、第2金属部材32に形成された孔を通じて、電極棒90を載台30の中空領域200内に挿入することにより、スポット溶接で第1金属部材31の荷重測定部31Cの下面に接合されていてもよい。また、第1フレーム61Aの第2平坦部61AH2は、第1金属部材31を第1フレーム61Aの第1平坦部61AH1に固定する前に、電極棒91を用いることにより、スポット溶接で第2金属部材32の荷重測定部32Cの上面に接合されていてもよい。
以上により、載台30の荷重測定部32Cが、両隣の第1フレーム61Aと、第1金属部材31と、第2金属部材32とで囲まれる略角パイプの部分(内壁が、図4の二点鎖線300で囲まれた部分)を備える。
図2に示すように、フレーム61は、載台30の中空領域200内の計量対象の移動方向の両端近傍にそれぞれ設けられた一対の第2フレーム61Bを備える。
第2フレーム61Bは、例えば、図3Bに示す如く、第1平坦部61BH1と、第2平坦部61BH2と、第1平坦部61BH1の一方の端部から第2平坦部61AH2の端部に階段状に延伸する第1立設部61BV1と、第1平坦部61BH1の他方の端部から下方に延伸する第2立設部61BV2と、を含む、横断面視H−Hにおいて凸形状の金属部材である。
ここで、第2フレーム61Bの第1平坦部61BH1は、適宜の固定手段(例えば、スポット溶接など)により、第1金属部材31の荷重測定部31Cの下面に固定され、第2フレーム61Bの第2平坦部61BH2は、第2金属部材32の荷重測定部32Cの上面に固定されている。なお、第2フレーム61Bと第2金属部材32とが固定されると、第2フレーム61Bの第1平坦部61BH1、第1立設部61BV1および第2立設部61BV2と、第2金属部材32の荷重測定部32Cとによって囲まれる空間が形成される。
図2に示すように、載台30は、4個の補強金具70(補強具)を備える。具体的には、載台30の中空領域200内の四隅のそれぞれに、補強金具70がそれぞれ、ロードセルLC1〜LC4(図6参照)に対応するように設けられている。
補強金具70は、図3Cに示す如く、第1平坦部70H1と、第2平坦部70H2と、第1平坦部70H1の端部から第2平坦部70H2の端部に階段状に延伸する立設部70Vと、を含む、縦断面視V−Vにおいて段曲げ状(Z形状)の金属部材である。
図5Aおよび図5Bは、図2の第2金属部材と図3Cの補強金具とを固定した状態の一例を示す図である。図5Aには、図2の第2金属部材32の右突出部32Rの後方の補強金具70を上方から見た図が示されており、図5Bには、図2の第2金属部材32の右突出部32Rの後方の補強金具70を下方から見た図が示されている。
なお、第2金属部材32の右突出部32Rの前方、第2金属部材32の左突出部32Lの前方および後方の補強金具70については、以下の内容と同様であるので説明および図示を省略する。
図5Bに示すように、補強金具70の第1平坦部70H1は、適宜の固定手段(例えば、スポット溶接)により、第2金属部材32の右突出部32Rの下面に固定されている。また、図5Aに示すように、補強金具70の第2平坦部70H2は、載台30の中空領域200内に設けられている。つまり、補強金具70が、第2金属部材32の右突出部32Rの側面に形成された開口を通過することで第2金属部材32の右突出部32Rから載台30の中空領域200内へ延伸している。
ここで、図2および図5Aの二点鎖線から理解できるとおり、補強金具70の第2平坦部70H2が、第2フレーム61Bの第1平坦部61BH1、第1立設部61BV1および第2立設部61BV2と、第2金属部材32の荷重測定部32Cとによって囲まれる空間内に設けられている。そして、第2フレーム61Bと補強金具70の第2平坦部70H2とが、適宜の固定手段(例えば、スポット溶接など)により固定されている。
[ベースの構成]
図6は、実施形態の実施例の計量装置のベースの一例を示す図である。図6には、車いす用体重計100のベース40を構成する金属部材の斜視図が示されている。
図6に示すように、ベース40は、金属部材を曲げ加工することにより、矩形環状かつ凹状の溝型枠が形成されている。具体的には、この溝型枠は、ベース40の左右のそれぞれにおいて、前後方向に直線状に延伸する右溝型枠FRおよび左溝型枠FLと、ベース40の前後のそれぞれにおいて、左右方向に直線状に延伸する前溝型枠FFおよび後溝型枠FBと、を備える。
ここで、一対の板状のロードセルLC1、LC2がそれぞれ、右溝型枠FRの前後方向の両端部のそれぞれの底壁に、適宜の固定手段(例えば、ボルトなど)により固定されている。なお、右溝型枠FR内の中央部の底壁には、電池ホルダH2が形成されている。
また、一対の板状のロードセルLC3、LC4がそれぞれ、左溝型枠FLの前後方向の両端部のそれぞれの底壁に、適宜の固定手段(例えば、ボルトなど)により固定されている。
前溝型枠FFにおいては、前溝型枠FFの内壁の高さを外壁の高さよりも高くすることで、前方スロープ41Fが、前溝型枠FFの内壁の上面から前方の床面50に向かうように斜め下方に延伸している。なお、このとき、前溝型枠FFの内壁と前方スロープ41Fとは、金属板を曲げ加工することにより一体に形成されていてもよい。
後溝型枠FBにおいては、後溝型枠FBの内壁の高さを外壁の高さよりも高くすることで、後方スロープ41Bが、後溝型枠FBの内壁の上面から後方の床面50に向かうように斜め下方に延伸している。なお、このとき、後溝型枠FBの内壁と後方スロープ41Bとは、金属板を曲げ加工することにより一体に形成されていてもよい。
以上により、前溝型枠FFでは、前方スロープ41Fと底壁と内壁と外壁とで囲まれる第1空洞が形成されている。また、後溝型枠FBでは、後方スロープ41Bと底壁と内壁と外壁とで囲まれる第2空洞が形成されている。そして、これらの第1空洞および第2空洞は、ロードセルLC1、LC2と図示しない無線通信基板との間の接続配線、電池ホルダH2内の乾電池と無線通信基板との間の接続配線などが通過する領域として使用され得る。
また、本実施例の車いす用体重計100では、電池ホルダH2、ロードセルLC1〜LC4および無線通信基板の全てがベース40に設けられている。よって、本実施例の車いす用体重計100は、例えば、これらの接続配線間の干渉の問題が発生しにくく、このような接続配線間の干渉に起因する計量精度の低下を適切に抑制することができる。
[載台からロードセルへの荷重伝達構成]
図7は、図2の載台と図6のベースおよびロードセルとを固定した状態の一例を示す図である。
図7に示すように、載台30とベース40との間のロードセルLC4上には、柱状弾性部材80(例えば、ゴム製の円柱状部材)が設けられている。
図7に示す例では、柱状弾性部材80は、左溝型枠FLの後方端部近傍の底壁に形成された開口およびロードセルLC4に形成された開口を通過するボルト81により、ロードセルLC4に固定されている。また、柱状弾性部材80は、図示しない固定手段(例えば、ボルトなど)により、補強金具70とも固定されている。
そして、載台30の荷重測定部30C上に計量対象が載ったときの載台30の左突出部30LからロードセルLC4への荷重伝達が、補強金具70の第1平坦部70H1および柱状弾性部材80を介して行われている。すると、載台30の左突出部30Lと補強金具70の第1平坦部70H1との積層構造よって、計量対象の荷重に基づいて応力が集中する載台30の部分の強度を適切に向上させることができる。
なお、ロードセルLC1〜LC3のそれぞれの上に設けられた柱状弾性部材80の固定、および、載台30の荷重測定部30C上に計量対象が載ったときの載台30からロードセルLC1〜LC3への荷重伝達については、上記と同様であるので説明および図示を省略する。
以上のとおり、本実施例の車いす用体重計100は、載台30の荷重測定部32Cが、両隣の第1フレーム61Aと、第1金属部材31と、第2金属部材32とで囲まれる略角パイプの部分を備えることで、例えば、第1金属部材31と第2金属部材32との間に短冊状の平板部材を挿入する構成に比べて、載台30の荷重測定部32Cの曲げ強度だけでなく、ねじり強度も向上させることができる。
また、本実施例の車いす用体重計100は、載台30の荷重測定部30C上に、計量対象が載ったとき、計量対象の荷重に基づいて柱状弾性部材80に応力が集中する構成において、載台30と柱状弾性部材80との間に介在する補強金具70の第1平坦部70H1により載台30の変位、変形を適切に抑制することができる。
また、本実施例の車いす用体重計100は、載台30の荷重測定部30C上に、計量対象が載ったとき、仮に、載台30が、計量対象の偏荷重などに基づいて傾いた場合であっても、柱状弾性部材80は、このような載台30の傾倒に追従して変形し得るので、ロードセルLC1〜LC4の検出精度の悪化を適切に軽減することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更することができる。