JP2020067104A - 管継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】非圧縮性流体が充填されている場合において、接続作業性の向上を図る。【解決手段】第1継手10(管継手)は、内部が第1主流路12となっている筒状の第1継手本体11と、第1継手本体11の周面に設けた第1弁座19と、第1継手本体11内に収容され、第1弁座19に当接する閉弁位置から、閉弁位置より後方の開弁位置へ移動可能な第1弁体20と、第1主流路12と連通する可変貯留室30を有し、第1主流路12内の圧力上昇に伴って可変貯留室30の容積を増大させるアキュムレータ25とを備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、管継手に関するものである。
特許文献1には、バルブ機構を備えたプラグとソケットからなる管継手が開示されている。プラグとソケットは、内部が流体の流路となっている継手本体と、継手本体内に収容された弁体とを備えており、継手本体の内周に設けた弁座と弁体とによってバルブ機構が構成されている。プラグとソケットを離脱した状態では、双方のバルブ機構が弁体の外周面を弁座と対向させた閉弁状態に保持され、プラグとソケットを接続すると、双方の弁体が弁座から離間するので、双方のバルブ機構が開弁状態となり、プラグの流路とソケットの流路が連通する。
特許第6273592号公報
上記の管継手は、バルブ機構が閉弁状態から開弁状態へ移行する工程の初期において、弁体の外周面が、弁座に対しシール状態を保ったままで摺接するようになっている。そのため、プラグとソケットのうち、開弁時に弁体の移動に伴って流路の容積が減少する側において、流路内に非圧縮性の流体(液体)が充填されている場合は、人力では弁体を開弁方向へ移動させることができない。そのため、従来では、弁体をハンマー等で叩いて流路内の流体を外部へ漏出させるという作業を行わなければならず、作業性の向上が望まれていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、非圧縮性流体が充填されている場合において接続時の作業性向上を図ることを目的とする。
本発明は、
内部が主流路となっている筒状の継手本体と、
前記継手本体の周面に設けた弁座と、
前記継手本体内に収容され、前記弁座に当接する閉弁位置から、前記閉弁位置より後方の開弁位置へ移動可能な弁体と、
前記主流路と連通する可変貯留室を有し、前記主流路内の圧力上昇に伴って前記可変貯留室の容積を増大させるアキュムレータとを備えているところに特徴を有する。
主流路内に非圧縮性流体が充填されている状態で、閉弁位置の弁体に開弁位置側への押圧力が付与されると、非圧縮性流体の圧力が上昇する。この圧力上昇により、アキュムレータでは可変貯留室の容積が増大し、主流路内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室内に流入するので、弁体が開弁位置側へ移動する。アキュムレータを用いることによって主流路内の非圧縮性流体の一部を可変貯留室内へ退避させるようにしたので、人力だけで閉弁位置の弁体を開弁位置へ移動させることができる。
実施例1において、第1継手(管継手)と第2継手の接続を開始した状態をあらわす断面図 第1継手と第2継手の接続過程において、アキュムレータの可変貯留室の容積が増大した状態をあらわす断面図 第1継手と第2継手の接続が完了し、可変貯留室の容積が最小まで復帰した状態をあらわす断面図 実施例2の第1継手(管継手)の断面図 第2継手の断面図 第1継手と第2継手の接続過程において、アキュムレータの可変貯留室の容積が増大した状態をあらわす断面図 第1継手と第2継手の接続が完了し、可変貯留室の容積が最小まで復帰した状態をあらわす断面図 第1継手と第2継手の接続が完了し、可変貯留室の容積が最大まで増大した状態をあらわす断面図
本発明は、前記継手本体に設けられ、前記可変貯留室の容積を増減させる方向へ移動可能な可動部材と、前記可動部材を前記可変貯留室の容積を減少させる方向へ付勢する復帰バネとを備えていてもよい。この構成によれば、弁体が開弁位置から閉弁位置へ移動する過程では、主流路の容積が増大するのに伴って、復帰バネの付勢により可動部材が移動し、可変貯留室の容積が減少する。したがって、手作業で可変貯留室の容積を元に戻す必要がなく、作業性が良好である。
本発明は、前記可動部材が前記継手本体の外部に露出していてもよい。この構成によれば、可動部材の位置を目視することにより、弁体の位置を確認することができる。
本発明は、前記可動部材は、前記可動部材の移動方向と交差し、且つ前記可変貯留室の容積が最小の状態において前記可変貯留室内に臨むように配された受圧面を有していてもよい。この構成によれば、主流路内の非圧縮性流体の圧力が上昇したときに、その圧力が受圧面に有効に作用するので、可動部材の移動が円滑に行われる。
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1〜図3を参照して説明する。本実施例1のカプラAは、第1継手10(請求項に記載の管継手)と第2継手40とを有する。第1継手10と第2継手40は、夫々、個別のプレートPに貫通状態で固定されている。双方のプレートPを接近させると、第1継手10と第2継手40が、双方の前端面同士を突き当てるとともに前端部同士を嵌合させることにより、同軸状に接続されるようになっている。尚、以下の説明において、第1継手10の前後の方向については、図1〜3における右方を前方と定義し、第2継手40の前後の方向については、第1継手10とは逆に図1〜3における左方を前方と定義する。
<第1継手10>
第1継手10は、第1継手本体11と、第1バルブ機構18と、アキュムレータ25とを備えて構成されている。第1継手本体11は、前後両端が開放された円筒状をなす。第1継手本体11の内部空間は、作動油等の非圧縮性流体を流動させるための第1主流路12となっている。第1継手本体11は、円筒形のフロントボディ13と円筒形のリヤボディ14とを組み付けて構成されている。フロントボディ13は、ボディ本体部15と、ボディ本体部15から前方へ延出したバルブシリンダ16と、ボディ本体部15から後方へ延出した外筒部17とを備えた単一部材である。外筒部17の後端部がプレートPに貫通状態で固定されている。
<第1バルブ機構18>
第1バルブ機構18は、第1弁座19(請求項に記載の弁座)と第1弁体20(請求項に記載の弁体)と第1弁バネ21とを備えて構成されている。第1弁座19は、フロントボディ13(バルブシリンダ16)の前端部内周に取り付けたシールリングからなる。第1弁体20は、第1継手本体11の内部(第1主流路12内)に収容され、第1継手本体11の内周に摺接した状態で閉弁位置(図1を参照)と、閉弁位置より後方の開弁位置(図2,3を参照)との間で前後方向に平行移動するように設けられている。第1弁体20は、第1弁バネ21により閉弁位置側へ付勢されている。第1継手10と第2継手40を離脱した状態では、第1弁体20は閉弁位置に保持される。第1弁体20が閉弁位置にある状態では、第1弁体20の前端面が、第1継手本体11の前端面において露出した状態で前方に臨んでいる。
第1弁体20の前端部外周には、円形断面の第1シール面22が形成されている。第1シール面22の外径は、第1シール面22の前端から後端に亘って一定の寸法である。第1弁体20が閉弁位置にある状態では、第1シール面22が第1弁座19に対し液密状に密着し、第1バルブ機構18が閉弁状態となる。閉弁状態では、第1主流路12の前端が第1弁体20で液密状に閉塞されるので、第1主流路12内の非圧縮性流体が第1継手10の外部前方へ漏出することがない。
第1弁体20が閉弁位置から開弁位置へ移動する過程において、移動の初期では、第1シール面22が第1弁座19に密着した状態(第1主流路12内の非圧縮性流体が第1継手10の外部へ漏出しない状態)を保つ。第1弁体20の開弁方向への移動が進んで、第1シール面22の前端が第1弁座19を通り過ぎると、バルブ機構が開弁状態となる。開弁状態では、第1主流路12内と第1継手10の外部前方とが、第1弁体20の外周と第1継手本体11の内周との隙間を介して連通した状態となる。
第1弁体20のうち第1シール面22より後方の領域には、第1シール面22の外周と後面とを連通させる第1連通路23が形成されている。第1連通路23は、第1弁体20の位置に拘わらず、第1主流路12と連通している。第1弁体20の外周面のうち第1シール面22より後方の領域には、第1シール面22より外径寸法が大きい円形断面の第1ガイド面24が形成されている。第1弁体20が閉弁位置と開弁位置との間でスライドする過程では、第1ガイド面24が第1継手本体11の内周面に摺接することにより、第1弁体20が第1継手本体11と同軸の姿勢に保たれる。
<アキュムレータ25>
アキュムレータ25は、フロントボディ13の外筒部17と、リヤボディ14と、可動部材27と、復帰バネ34と、可変貯留室30と、連通孔35とを備えて構成されている。外筒部17は、ボディ本体部15から後方へ片持ち状に延出し、リヤボディ14の外周に対し同軸状に且つ径方向に間隔を空けて対向するように配されている。外筒部17とリヤボディ14との間には、前端部がボディ本体部15の後面によって閉塞され、後端が第1継手本体11の後方へ開放された取付け空間26が構成されている。
可動部材27は、円筒形をなし、第1継手本体11に対し同軸状に取り付けられている。可動部材27は、外筒部17の後端の最小容積規定部28に当接する前端位置(図1,3を参照)と、リヤボディ14の後端部外周の最大容積規定部29に当接する後端位置(図2を参照)との間で、第1継手本体11に対し前後方向(第1継手10の軸線方向)へ相対的に平行移動するようになっている。可動部材27は、復帰バネ34の付勢により常には最小容量規定部に当接する前端位置に保持されている。
可動部材27のうち前端側領域は取付け空間26内に収容されている。取付け空間26のうち可動部材27の前端より前方の領域は、可変貯留室30となっている。可変貯留室30の後方は、可動部材27の外周に取り付けられて外筒部17の内周に液密状に密着する外周側シールリング31、及び可動部材27の内周に取り付けられてリヤボディ14の外周に液密状に密着する内周側シールリング32により液密状にシールされている。
可動部材27の前端面は、可変貯留室30に臨み、且つ可動部材27の移動方向と直交する受圧面33となっている。リヤボディ14には、リヤボディ14の内周から外周に貫通した形態の複数の連通孔35が形成されている。複数の連通孔35は周方向に間隔を空けて配置されている。可変貯留室30は、連通孔35を介すことにより、常に第1主流路12と連通した状態となっている。
可動部材27が前端位置と後端位置との間で移動すると、可変貯留室30の容積が変動する。即ち、可動部材27が前端位置にあるときには、可変貯留室30の容積が最小となる。この状態から、可動部材27が後方へ移動すると、その移動距離に比例して可変貯留室30の容積が増大する。可動部材27が後端位置に至ると、可変貯留室30の容積が最大となる。可変貯留室30の容積が増大するのに伴い、復帰バネ34に蓄勢される弾性復元力が増大していく。また、可動部材27が前端位置と後端位置との間のいずれの位置にあっても、可動部材27のうち後端側の領域は、第1継手本体11(外筒部17)の外部へ露出した状態を維持する。
<第2継手40>
第2継手40は、第2継手本体41と、第2バルブ機構47とを備えて構成されている。第2継手本体41は、円筒形のアウタボディ42と、円形断面のインナボディ43とを組み付けて構成されている。アウタボディ42の外周がプレートPに貫通状態で固定されている。インナボディ43はアウタボディ42内に同軸状に収容され、インナボディ43の後端部がアウタボディ42の後端部に固定されている。アウタボディ42の内周とインナボディ43の外周との間の空間は、第2継手本体41の前端面に開放された作動空間44となっている。
インナボディ43の中心孔は、インナボディ43の後端面に開放された第2主流路45となっている。第2主流路45の前端部は、複数の第2連通路46を介すことによりインナボディ43の外周面に開口している。インナボディ43の外周面のうち第2連通路46より前方の領域は、第2バルブ機構47を構成する第2弁座48となっている。第2弁座48(インナボディ43の前端部外周)の外径は、第1弁体20の第1シール面22の外径と同じ寸法に設定されている。
作動空間44内には、第2バルブ機構47を構成する円筒形の第2弁体49が収容されている。第2弁体49は、インナボディ43の外周面に案内されることにより、前方の閉弁位置(図1を参照)と、閉弁位置より後方の開弁位置(図2,3を参照)との間で前後方向にスライドするようになっている。第2弁体49は、第2弁バネ47Sにより前方に付勢され、常には、閉弁位置に保持されている。第2弁体49が閉弁位置にある状態では、第2弁体49の前端面が、第2継手本体41の前方へ臨むように露出している。
第2弁体49の内周には、インナボディ43の外周面に液密状に密着する前後一対の封止リング51F,51Rが取り付けられている。第2弁体49が閉弁位置にある状態では、前側の封止リング51Fが第2弁座48(インナボディ43の外周における第2連通路46より前方の領域)に対し液密状に密着し、後側の封止リング51Rが、インナボディ43の外周における第2連通路46より後方の領域に対し液密状に密着する。これにより、第2連通路46(第2主流路45の前端部)が液密状に封止され、第2バルブ機構47が閉弁状態となる。
<実施例1の作用及び効果>
第1継手10と第2継手40を離脱すると、第1バルブ機構18と第2バルブ機構47が閉弁状態となり、第1継手10のアキュムレータ25においては、復帰バネ34の付勢により可変貯留室30の容積が最小の状態となる。第1主流路12と可変貯留室30と第2主流路45には非圧縮性流体が充填されている。第1主流路12は、第1主流路12の外部流路(図示省略)と非連通の閉回路状態に保たれ、第1主流路12内には、空気のような圧縮性流体が存在しない。第2主流路45は、外部流路(図示省略)と連通し、第2主流路45における非圧縮性流体の流入と流出が自由に行われるようになっている。
かかる第1継手10と第2継手40を接続する過程では、バルブシリンダ16の前端面が、第2弁体49を第2継手40の後方へ押し動かすとともに、インナボディ43の前端面が第1弁体20を第1継手10の後方へ押し動かす。このときの第1弁体20の移動方向は、第1主流路12の容積を減少させる方向なので、第1主流路12内及び可変貯留室30内の非圧縮性流体の圧力が上昇する。
この圧力上昇により、可動部材27が復帰バネ34の付勢に抗して後方へ移動し、可変貯留室30の容積が増大するので、第1主流路12内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室30内に流入する。したがって、第1主流路12内の圧力上昇が原因で第1弁体20の開弁方向(後方)への移動が阻止される、ということはない。これにより、第1継手10と第2継手40の接続動作(つまり、第1弁体20の開弁方向への移動動作)が支障なく開始される。第1弁体20の後方への移動が進むのに伴い、第1主流路12の容積が減少して第1主流路12内及び可変貯留室30内の非圧縮性流体が加圧され、可動部材27の受圧面33に作用する圧力が上昇する。これにより、可動部材27が復帰バネ34の付勢に抗して後方へ移動するので、可変貯留室30の容積が増大していく。
第1弁体20の移動が進み、図2に示すように、第1シール面22(第1弁体20の前端部外周面)が第1弁座19の後方へ移動して第1バルブ機構18が開弁状態になると、第2弁座48が第1弁座19を通過して第1弁座19の後方に位置し、インナボディ43の外周面における第2連通路46の開口領域前端部が第1弁座19と対応する。この状態では、バルブシリンダ16の内周面のうち第1弁座19より後方の領域と、第2弁座48との間に、非圧縮性流体が流通可能であり且つ第2連通路46と連通する連通隙間18S(図2を参照)が生じ、第2バルブ機構47が開弁状態となる。
また、第2バルブ機構47が開弁した状態では、バルブシリンダ16の内周面のうち第1弁座19より後方の領域と、第1シール面22(第1弁体20)との間には、第1連通路23及び連通隙間18Sと連通し、且つ非圧縮性流体が流通可能な弁室18Rが形成される。これにより、第1主流路12と第2主流路45は、第1連通路23と弁室18Rと連通隙間18Sと第2連通路46とを介して連通した状態となる。
この状態から両継手10,40の接続が進む過程では、第1弁体20の移動に伴って第1主流路12内及び可変貯留室30内の非圧縮性流体が加圧された状態を保つので、可変貯留室30の容積は、最小容積より大きい状態に保たれる。第1弁体20が後方へ移動する過程では、弁室18Rの容積が増大するとともに、第1主流路12のうち第1弁体20より後方の領域の容積が減少するので、第1主流路12内の非圧縮性流体の一部が弁室18R内と第2主流路45内に流入する。また、接続が進む間、第1弁座19が、インナボディ43の外周における第2連通路46の開口領域より後方へ移動するので、連通隙間18Sがなくなり、第2連通路46と弁室18Rが直接的に連通する。
両継手10,40の接続が進み、第1継手本体11のボディ本体部15の前端面と、第2継手本体41の前端面とが突き当たった状態になると、両継手10,40の接続が完了する。この状態では、第1弁体20の移動が停止し、第1主流路12内及び可変貯留室30内の非圧縮性流体は、第1弁体20の開弁方向への移動による加圧状態から解放される。これにより、図3に示すように、可動部材27が、復帰バネ34の付勢により前方へ移動し、最小容積規定部28に当接する前端位置に復帰する。
また、第1継手10と第2継手40を接続した状態で、第1主流路12内、可変貯留室30内及び第2主流路45内の非圧縮性流体が加圧されると、可変貯留室30の容積が増大し、第1主流路12内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室30内に流入する。これにより、第1主流路12及び第2主流路45内の非圧縮性流体の圧力が調整される。
上述のように、本実施例1の第1継手10は、内部が第1主流路12となっている筒状の第1継手本体11と、第1継手本体11の前端部における周面に設けた第1弁座19と、第1継手本体11内に収容され、第1弁座19と径方向に当接する閉弁位置から、第1弁座19に摺接しながら閉弁位置より後方の開弁位置へ移動可能な第1弁体20と、アキュムレータ25とを備えている。アキュムレータ25は、第1主流路12と連通する可変貯留室30を有し、第1主流路12内の圧力上昇に伴って可変貯留室30の容積を増大させるようになっている。
第1主流路12内に非圧縮性流体が充填されている状態で、閉弁位置の第1弁体20に対し第2継手40側(第2継手本体41側)から開弁位置側への押圧力が付与されると、非圧縮性流体の圧力が上昇する。この圧力上昇により、アキュムレータ25では可変貯留室30の容積が増大し、第1主流路12内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室30内に流入するので、第1弁体20が開弁位置側へ移動する。アキュムレータ25を用いることによって第1主流路12内の非圧縮性流体の一部を可変貯留室30内へ退避させるようにしたので、人力だけで閉弁位置の弁体を開弁位置へ移動させることができる。
また、アキュムレータ25は、可動部材27と復帰バネ34を有している。可動部材27は、第1継手本体11に設けられ、可変貯留室30の容積を増減させる方向へ移動可能である。復帰バネ34は、可変貯留室30の容積を減少させる方向へ可動部材27を付勢するための手段である。かかるアキュムレータ25によれば、第1弁体20が開弁位置から閉弁位置へ移動する過程では、第1主流路12の容積が増大するのに伴って、復帰バネ34の付勢により可動部材27が移動し、可変貯留室30の容積が減少する。したがって、手作業で可変貯留室30の容積を元に戻す必要がなく、作業性が良好である。
また、可動部材27の後端側領域が第1継手本体11の外部に露出しているので、可動部材27の位置を目視することにより、第1弁体20の位置を確認することができる。また、可動部材27は、可動部材27の移動方向と交差し、且つ可変貯留室30の容積が最小の状態において可変貯留室30内に臨むように配された受圧面33を有している。この構成によれば、第1主流路12内の非圧縮性流体の圧力が上昇したときに、その圧力が受圧面33に有効に作用するので、可動部材27の移動が円滑に行われる。
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を図4〜図8を参照して説明する。本実施例2のカプラBは、第1継手50(請求項に記載の管継手)と第2継手80とを有する。第1継手50と第2継手80は、双方の前端面同士を突き当てるとともに前端部同士を嵌合させることにより、同軸状に接続されるようになっている。尚、以下の説明において、第1継手50の前後の方向については、図4,6〜8における右方を前方と定義し、第2継手80の前後の方向については、第1継手50とは逆に図5〜8における左方を前方と定義する。
<第1継手50>
第1継手50は、第1継手本体51と、第1バルブ機構57と、アキュムレータ62とを備えて構成されている。第1継手本体51は、前後両端が開放された円筒状をなす。第1継手本体51は、円筒形のアウタボディ52と円筒形のインナボディ53と円形断面のセンターボディ54を組み付けて構成されている。インナボディ53は、アウタボディ52における前端側領域内に同軸状に収容されて固定されている。アウタボディ52とインナボディ53とによって構成された筒状部の内部空間は、作動油等の非圧縮性流体を流動させるための第1主流路55となっている。インナボディ53の前端部(第1主流路55より前方の領域)には、径方向へ移動可能な複数のロックボール56が取り付けられている。センターボディ54は、アウタボディ52内に同軸状に収容され、センターボディ54の後端部がアウタボディ52の内周に取り付けられている。
<第1バルブ機構57>
第1バルブ機構57は、第1内側弁座58A(請求項に記載の弁座)と第1外側弁座58B(請求項に記載の弁座)と第1弁体59(請求項に記載の弁体)と第1弁バネ60とを備えて構成されている。第1内側弁座58Aは、センターボディ54の前端部外周に取り付けたシールリングからなる。第1外側弁座58Bは、インナボディ53の内周に取り付けたシールリングからなる。第1弁体59は、円筒形をなし、インナボディ53の内周面に案内されることにより、前方の閉弁位置(図4を参照)と、閉弁位置より後方の開弁位置(図7,8を参照)との間で前後方向にスライドするようになっている。第1弁体59は、第1弁バネ60により前方に付勢され、常には、閉弁位置に保持されている。第1弁体59が閉弁位置にある状態では、第1弁体59の前端面が、第1継手本体51の前方へ臨むように露出している。
第1弁体59の前端部内周には、第1内側シール面61Aが形成されている。第1内側シール面61Aの内径は、第1内側シール面61Aの前端から後端に亘って一定の寸法である。第1弁体59の前端部外周には、第1外側シール面61Bが形成されている。第1外側シール面61Bの内径は、第1外側シール面61Bの前端から後端に亘って一定の寸法である。第1弁体59が閉弁位置にある状態では、第1内側シール面61Aが第1内側弁座58Aに対し液密状に密着し、第1外側シール面61Bが第1外側弁座58Bに対し液密状に密着することで、第1バルブ機構57が閉弁状態となる。閉弁状態では、第1主流路55の前端が第1弁体59で液密状に閉塞されるので、第1主流路55内の非圧縮性流体が第1継手50の外部前方へ漏出することがない。
第1弁体59が閉弁位置から開弁位置へ移動する過程において、移動の初期では、第1内側シール面61Aが第1内側弁座58Aに密着した状態(第1主流路55内の非圧縮性流体が第1継手50の外部へ漏出しない状態)を保つとともに、第1外側シール面61Bが第1外側弁座58Bに密着した状態(第1主流路55内の非圧縮性流体が第1継手50の外部へ漏出しない状態)を保つ。第1弁体59の開弁方向への移動が進んで、第1内側シール面61Aの前端が第1内側弁座58Aを通り過ぎ、第1外側シール面61Bの前端が第1外側弁座58Bを通り過ぎると、第1バルブ機構57が開弁状態となる。開弁状態では、第1主流路55内と第1継手50の外部前方とが、インナボディ53の内周とセンターボディ54の前端部外周との隙間を介して連通した状態となる。
<アキュムレータ62>
アキュムレータ62は、アウタボディ52と、連通孔65と、可動部材68と、可変貯留室72と、復帰バネ73とを備えて構成されている。アウタボディ52の外周部には、側面視において段差状をなす外周側段差部63が形成されている。外周側段差部63には、第1継手50の前後方向の軸線と直交し且つ後方に面する最小容積規定面64が、全周に亘って連続して形成されている。
アウタボディ52のうち最小容積規定面64に対して後方に隣接する領域には、アウタボディ52の外周面から内周面に貫通した形態の複数の連通孔65が、周方向に間隔を空けて形成されている。アウタボディ52のうち連通孔65より後方の位置には、リング状部材66が取り付けられている。リング状部材66の外周縁部は、最大容積規定部67として機能する。
可動部材68は、円筒形をなし、第1継手本体51に対し同軸状に外嵌した状態に取り付けられている。可動部材68の内周には、側断面視において段差状をなす内周側段差部69が形成されている。内周側段差部69には、第1継手50の前後方向の軸線と直交し且つ前方に面する当接面70が、全周に亘って連続して形成されている。可動部材68は、第1継手本体51に対し前端位置(図4,7を参照)と後端位置(図6,8を参照)との間で前後方向(第1継手50の軸線方向)に相対移動し得るようなっている。
アウタボディ52の外周側段差部63と可動部材68の内周側段差部69との間には、アウタボディ52の外周に取り付けたフロント側シールリング71Fと、可動部材68の内周に取り付けたリヤ側シールリング71Rとにより液密状にシールされた可変貯留室72が形成されている。可動部材68が前端位置にある状態では、可動部材68の当接面70がアウタボディ52の最小容積規定面64に当接する。可動部材68が後端位置にある状態では、可動部材68の後端部が最大容積規定部67に当接する。可動部材68は、復帰バネ73の付勢により常には最小容積規定面64に当接する前端位置に保持されている。
可動部材68の内周面(内周側段差部69)のうち側断面視において当接面70に対して後方に隣接する領域は、アウタボディ52の外周面と径方向に対向する拡径面74となっている。可動部材68が前端位置にあるとき、拡径面74は連通孔65と対向するように位置する。拡径面74の内径寸法は、アウタボディ52の外周面のうち連通孔65が開口する領域の外径寸法より大きい寸法に設定されている。可動部材68が前端位置にあるときには、拡径面74とアウタボディ52の外周面との間に、連通孔65と連通する連通空間75が全周に亘って連続して形成されている。この連通空間75は可変貯留室72を構成する。可変貯留室72は、連通孔65を介すことにより、常に第1主流路55と連通した状態となっている。
可動部材68が前端位置と後端位置との間で移動すると、可変貯留室72の容積が変動する。即ち、可動部材68が前端位置にあるときには、可変貯留初の容積が最小となる。この状態から、可動部材68が後方へ移動すると、その移動距離に比例して可変貯留室72の容積が増大する。可動部材68が後端位置に至ると、可変貯留初の容積が最大となる。可変貯留室72の容積が増大するのに伴い、復帰バネ73に蓄勢される弾性復元力が増大していく。また、可動部材68が前端位置と後端位置との間のいずれの位置にあっても、可動部材68のうち後端側領域は、第1継手本体51(外筒部)の外部へ露出した状態を維持する。
<第2継手80>
第2継手80は、第2継手本体81と、第2バルブ機構88とを備えて構成されている。第2継手本体81は、全体として円筒形をなし、フロントボディ82と、リヤボディ83と、ロック解除部材86と、可動ロック筒87とを有する。フロントボディ82の後端部とリヤボディ83の前端部とが同軸状に固定されている。フロントボディ82の外周にはロック溝84が形成されている。第2継手本体81の内部空間は、第2主流路85となっている。
ロック解除部材86は、リヤボディ83の外周に前後方向への相対移動を可能に取り付けられている。可動ロック筒87は、フロントボディ82の外周とロック解除部材86の内周との間に収容され、フロントボディ82及びロック解除部材86に対し前後方向へ相対移動し得るようになっている。
フロントボディ82の前端部内周には、第2バルブ機構88を構成する第2弁座89が形成されている。第2継手本体81(第2主流路85)内には、第2バルブ機構88を構成する第2弁体91と、第2弁体91を閉弁方向に付勢する第2弁バネ90が収容されている。第2弁体91の前端部外周には、閉弁状態において第2弁座89に対し液密状に密着するバルブシール92が取り付けられている。第2弁体91の後端部外周には、フロントボディ82の内周面に摺接するガイド筒部93が形成されている。第2弁体91には、第2弁体91の外周面から第2弁体91の後端面に連通する第2連通路94が形成されている。
<実施例2の作用及び効果>
第1継手50と第2継手80を離脱すると、第1バルブ機構57と第2バルブ機構88が閉弁状態となり、第1継手50のアキュムレータ62においては、復帰バネ73の付勢により可変貯留室72の容積が最小の状態となる。第1主流路55と可変貯留室72と第2主流路85には、非圧縮性流体が充填されている。第1主流路55は、第1主流路55の外部流路(図示省略)と非連通の閉回路状態に保たれ、第1主流路55内には、空気のような圧縮性流体が存在しない。第2主流路85は、外部流路(図示省略)と連通し、第2主流路85における非圧縮性流体の流入と流出が自由に行われるようになっている。
かかる第1継手50と第2継手80を接続する過程では、センターボディ54の前端面が、第2弁体91を第2継手80の後方へ押し動かすとともに、フロントボディ82の前端面が第1弁体59を第1継手50の後方へ押し動かす。このときの第1弁体59の移動方向は、第1主流路55の容積を減少させる方向であるから、第1主流路55内及び可変貯留室72内の非圧縮性流体の圧力が上昇する。
この圧力上昇により、可動部材68が復帰バネ73の付勢に抗して後方へ移動し、図6に示すように、可変貯留室72の容積が増大するので、第1主流路55内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室72内に流入する。したがって、第1主流路55内の圧力上昇が原因で第1弁体59の開弁方向(後方)への移動が阻止される、ということはない。これにより、第1継手50と第2継手80の接続動作(つまり、第1弁体59の開弁方向への移動動作)が支障なく開始される。第1弁体59の後方への移動が進むのに伴い、第1主流路55の容積が減少して第1主流路55内及び可変貯留室72内の非圧縮性流体が加圧され、可動部材68に作用する圧力が上昇する。これにより、可動部材68が復帰バネ73の付勢に抗して後方へ移動するので、可変貯留室72の容積が増大していく。
第1弁体59の移動が進むと、第1弁体59の第1内側シール面61A(第1弁体59の内周面)が第1内側弁座58Aの後方へ移動するとともに、第1弁体59の第1外側シール面61B(第1弁体59の外周面)が第1外側弁座58Bの後方へ移動することによって第1バルブ機構57が開弁し、第2弁体91のバルブシール92が第2弁座89の後方へ移動して第2バルブ機構88が開弁する。第1バルブ機構57と第2バルブ機構88が開弁すると、第1主流路55と第2主流路85が、第2連通路94を介して連通した状態となる。第1主流路55と第2主流路85が連通した状態では、第1主流路55内、可変貯留室72内及び第2主流路85内の非圧縮性流体は、第1弁体59の開弁方向への移動に伴う加圧状態から解放されるので、図7に示すように、可動部材68が、復帰バネ73の付勢により前方へ移動し、最小容積規定面64に当接する前端位置に復帰する。
両継手50,80の接続が進んで両継手50,80が正規の接続状態になると、第1継手本体51のロックボール56が第2継手本体81のロック溝84に嵌合することにより、両継手50,80が離脱規制状態にロックされる。第1継手50と第2継手80を接続した状態で、第1主流路55内、可変貯留室72内及び第2主流路85内の非圧縮性流体が加圧されると、図8に示すように、可変貯留室72の容積が増大し、第1主流路55内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室72内に流入する。これにより、第1主流路55及び第2主流路85内の非圧縮性流体の圧力が調整される。
上述のように、本実施例2の第1継手50は、内部が第1主流路55となっている筒状の第1継手本体51と、第1継手本体51の前端部における周面に設けた第1内側弁座58Aと、同じく第1継手本体51の前端部における周面に設けた第1外側弁座58Bと、第1継手本体51内に収容された第1弁体59と、アキュムレータ62とを備えている。第1弁体59は、第1内側弁座58Aと径方向に当接する閉弁位置から、第1内側弁座58Aに摺接しながら閉弁位置より後方の開弁位置へ移動可能であるとともに、第1外側弁座58Bと径方向に当接する閉弁位置から、第1外側弁座58Bに摺接しながら閉弁位置より後方の開弁位置へ移動可能である。アキュムレータ62は、第1主流路55と連通する可変貯留室72を有し、第1主流路55内の圧力上昇に伴って可変貯留室72の容積を増大させるようになっている。
第1主流路55内に非圧縮性流体が充填されている状態で、閉弁位置の第1弁体59に対し第2継手80側(第2継手本体81側)から開弁位置側への押圧力が付与されると、非圧縮性流体の圧力が上昇する。この圧力上昇により、アキュムレータ62では可変貯留室72の容積が増大し、第1主流路55内の非圧縮性流体の一部が可変貯留室72内に流入するので、第1弁体59が開弁位置側へ移動する。アキュムレータ62を用いることによって第1主流路55内の非圧縮性流体の一部を可変貯留室72内へ退避させるようにしたので、人力だけで閉弁位置の弁体を開弁位置へ移動させることができる。
また、アキュムレータ62は、可動部材68と復帰バネ73を有している。可動部材68は、第1継手本体51に設けられ、可変貯留室72の容積を増減させる方向へ移動可能である。復帰バネ73は、可変貯留室72の容積を減少させる方向へ可動部材68を付勢するための手段である。かかるアキュムレータ62によれば、第1弁体59が開弁位置から閉弁位置へ移動する過程では、第1主流路55の容積が増大するのに伴って、復帰バネ73の付勢により可動部材68が移動し、可変貯留室72の容積が減少する。したがって、手作業で可変貯留室72の容積を元に戻す必要がなく、作業性が良好である。また、可動部材68の全領域が第1継手本体51の外部に露出しているので、可動部材68の位置を目視することにより、第1弁体59の位置を確認することができる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1,2では、可動部材が、第1継手本体の外部に露出して目視可能となっているが、可動部材は、第1継手本体の内部に収容されて目視できないようになっていてもよい。
(2)上記実施例1,2では、可変貯留室の容積を減少させる方向へ可動部材を付勢する復帰バネを設けたが、このような復帰バネを設けず、第1継手と第2継手を離脱させた後に、主流路へ非圧縮流体を圧送するためのポンプを停止して主流路内を減圧し、主流路内の非圧縮流体をポンプ側で引くことにより、可変貯留室の容積を減少させる方向へ可動部材を移動させてもよい。
(3)上記実施例1において、第1継手と第2継手を、実施例2のボールロック機構によって接続状態にロックするようしてもよい。
(4)上記実施例1では、第1継手(アキュムレータを備えている側の継手)が、第2継手(アキュムレータを備えていない側の継手)の内部に挿入されるようになっているが、これとは逆に、第1継手(アキュムレータを備えている側の継手)の内部に、第2継手(アキュムレータを備えていない側の継手)が挿入されるようにしてもよい。
(5)上記実施例2では、第1継手(アキュムレータを備えている側の継手)の内部に、第2継手(アキュムレータを備えていない側の継手)が挿入されるようになっているが、これとは逆に、第1継手(アキュムレータを備えている側の継手)が、第2継手(アキュムレータを備えていない側の継手)の内部に挿入されるようにしてもよい。
10,50…第1継手(管継手)
11,51…第1継手本体(継手本体)
12,55…第1主流路(主流路)
19…第1弁座(弁座)
58A…第1内側弁座(弁座)
58B…第1外側弁座(弁座)
20,59…第1弁体(弁体)
25,62…アキュムレータ
27,68…可動部材
30,72…可変貯留室
33…受圧面
34,73…復帰バネ

Claims (4)

  1. 内部が主流路となっている筒状の継手本体と、
    前記継手本体の周面に設けた弁座と、
    前記継手本体内に収容され、前記弁座に当接する閉弁位置から、前記閉弁位置より後方の開弁位置へ移動可能な弁体と、
    前記主流路と連通する可変貯留室を有し、前記主流路内の圧力上昇に伴って前記可変貯留室の容積を増大させるアキュムレータとを備えていることを特徴とする管継手。
  2. 前記継手本体に設けられ、前記可変貯留室の容積を増減させる方向へ移動可能な可動部材と、
    前記可動部材を前記可変貯留室の容積を減少させる方向へ付勢する復帰バネとを備えていることを特徴とする請求項1記載の管継手。
  3. 前記可動部材が前記継手本体の外部に露出していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管継手。
  4. 前記可動部材は、前記可動部材の移動方向と交差し、且つ前記可変貯留室の容積が最小の状態において前記可変貯留室内に臨むように配された受圧面を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の管継手。
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