JP2020065976A - 散気装置及び水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて簡便な構成でより大きな気泡を効率的に排出し、かつ、その内部に被処理水中の懸濁物が付着し難い、散気装置を提供すること。【解決手段】本発明は、液体中で気体を貯留する、気体貯留部と、上記気体貯留部に気体を供給する、気体供給部と、上記気体貯留部から気体を排出する、気体排出部と、を備え、上記気体貯留部の内面の一部又は全部の静的水接触角が、60°以下である、散気装置を提供する。【選択図】図10

Description

本発明は、散気装置及び水処理システムに関する。
膜分離活性汚泥法(MBR:Membrane Bioreactor)は、活性汚泥槽に分離膜モジュールを浸漬し、活性汚泥を含む濃縮水と透過水とに分離をする処理方法である。
膜分離活性汚泥法では、分離膜モジュールの運転を継続すると、分離膜表面に被処理水中の懸濁物が堆積し、透過水量が低下してしまう。そのため分離膜モジュールの通常運転時においては、下方から加圧気体を送る散気手段によって分離膜表面の流れを乱し、堆積物を剥離させているが、その必要エネルギー量が大きいことが問題視されていた。
これに関し、サイフォン式散気装置を用いてより大きな気泡を排出する技術(特許文献1)等が知られている。
特開2003−340250号公報
しかしながら従来の技術においては、散気装置内に気体が滞留しやすく、散気装置内に貯留された気体がその一部ずつしか排出されないため、大きな気泡の排出が効率的に行えないばかりでなく、散気装置内で被処理水中の懸濁物が乾燥し固着してしまうことが問題視されていた。
そこで本発明は、極めて簡便な構成でより大きな気泡を効率的に排出することが可能であり、かつ、その内部に被処理水中の懸濁物が固着し難い、散気装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の散気装置は、液体中で気体を貯留する、気体貯留部と、上記気体貯留部に気体を供給する、気体供給部と、上記気体貯留部から気体を排出する、気体排出部と、を備え、上記気体貯留部の内面の一部又は全部の静的水接触角が、60°以下であることを特徴とする。
本発明によれば、極めて簡便な構成により効率的に大きな気泡を発生させ、かつ、その内部への懸濁物の固着を効果的に抑制することが可能な、散気装置を提供することができる。
本発明の散気装置の一態様を例示する、斜視図である。 図1におけるI−I’線の断面図である。 本発明の散気装置の一態様を例示する、斜視図である。 図3におけるII−II’線の断面図である。 本発明の散気装置の一態様を例示する、斜視図である。 図5におけるIII−III’線の断面図である。 本発明の散気装置の一態様を例示する、斜視図である。 図7におけるIV−IV’線の断面図である。 本発明の散気装置の一態様を例示する、斜視図である。 図9におけるV−V’線の断面図である。 本発明の散気装置の一態様を例示する、斜視図である。 本発明の散気装置を備える水処理システムの一態様を示す、フロー図である。
以下、本発明の実施形態について、具体的な構成を挙げてより詳細に説明するが、これらの記載により本発明が何ら限定されるものではない。
本発明の散気装置は、液体中で気体を貯留する気体貯留部と、上記気体貯留部に気体を供給する、気体供給部と、上記気体貯留部から気体を排出する気体排出部とを備えることを必要とする。
本発明の散気装置は、少なくともその一部を、液体中に浸漬させて用いられるものである。そして本発明の散気装置が備える気体貯留部は、液体中を気泡の状態で移動する気体を、一定量、その場に留め置くことが可能な部位をいう。
散気装置の具体的な構成の一例について、以下に図面を参照しながら説明する。
図1、3及び5は、本発明の散気装置の各態様、いわゆるバッフル型散気装置の各態様をそれぞれ例示する、斜視図である。これら散気装置1が液体中に浸漬された場合において、それぞれの気体貯留部2に気体が貯留可能となるよう、散気装置の両側の端部5は、いずれも封止されている。このような散気装置の気体貯留部の形状は特に限定されないが、例えば、図1、3又は5に示すように、端部5が三角形、半円形又は台形となるような形状が挙げられる。
図1、3及び5に示すような散気装置では、液体中を気泡の状態で移動する気体、特に、液体中を下方から上方に上昇するような気泡を、それぞれの気体貯留部2で直接的に捕捉することができる。つまり、図1、3及び5に示すような散気装置では、気体貯留部と、気体貯留部に気体を供給する気体供給部とが、一体的に(不可分の状態で)成形されているといえる。
図1、3及び5に示すような散気装置では、連続的に又は間欠的に気体が気体貯留部2に貯留され、その内部が気体で満たされると、図1、3及び5における散気装置の下端から、それぞれ気体が気泡の状態で直接的に排出される。つまり、図1、3及び5に示すような散気装置では、気体貯留部と、気体貯留部から気体を排出する気体排出部とが、一体的に(不可分の状態で)成形されているといえる。
本発明の散気装置は、気体貯留部の内面の一部又は全部の静的水接触角が、60°以下である必要がある。ここで「気体貯留部の内面」とは、気体貯留部において、貯留された気体と接触する面をいう。気体貯留部の内面の一部又は全部の静的水接触角が60°以下であることにより、気体貯留部の内面と、貯留された気体との親和性が低下し、気体貯留部に貯留された気体を、より大きな気泡として、効率的に排出することができる。さらには、気体貯留部の内面と、本発明の散気装置が浸漬された液体との親和性が増大し、気体貯留部の内面と懸濁物との間に液体が入り込むことで、気体貯留部の内面に懸濁物が固着するのを抑制することができる。
本発明の効果をより高めるためには、気体貯留部の内面の一部又は全部の静的水接触角が、30°以下であることが好ましい。
気体貯留部の内面の静的水接触角を60°以下とする方法としては、例えば、ガラス等の親水性素材で気体貯留部を成形する方法、気体貯留部の内面に、親水性フィルムを貼付する若しくは親水性コーティング剤を塗布する方法、又は、気体貯留部の内面をプラズマ処理により改質する方法が挙げられる。
さらに、気体貯留部の内面に凹凸を設けることが好ましい。凹凸を設けることで、気体貯留部の内面の表面積が大きくなり、静的水接触角がより小さくなる。
気体貯留部の内面に凹凸を設ける方法としては、例えば、レーザーによる表面加工、表面に凹凸を有する金型を用いた成形処理、又は、コーティング剤の塗布による凹凸状の塗膜形成が挙げられる。
散気装置を構成する部材の素材としては、例えば、ステンレス等の金属類、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム(ABS樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC樹脂)若しくはアクリル等の樹脂、又は、繊維強化樹脂(FRP)等の複合材料が挙げられる。
図1、3及び5に示すような散気装置では、気体供給部と気体排出部とが一体的に(不可分の状態で)成形されているが、より大きな気泡を排出するためには、図7に一例を示すように、気体供給部と気体排出部とが、独立して存在する散気装置が好ましい。気体供給部と気体排出部とが独立して存在することで、気体貯留部へ供給される気体の流れ方向と、気体貯留部から排出される気体の流れ方向が異なることとなり、より大きな気泡として、気体を効率的に排出することができる。なお図7における気体供給部3には、別途気体を供給するためのライン(図示しない)が接続されている。
本発明の散気装置においては、より大きな気泡を放出するため、気体貯留部が仕切り壁により複数のサブ気体貯留部に区画され、かつ、上記複数のサブ気体貯留部同士が、仕切り壁に設けられた空隙により連通していることが好ましく、上記仕切り壁の高さ方向における、上記仕切り壁に設けられた空隙の位置が、隣接する上記仕切り壁に設けられた空隙の位置と異なることがより好ましい。
図9は、本発明の散気装置の一態様、いわゆるサイフォン式散気装置の一態様をそれぞれ例示する、斜視図である。図10は図9におけるV−V’線の断面図であるが、この図からも分かるように、この態様の散気装置は、気体貯留部が仕切り壁により複数のサブ気体貯留部に区画され、かつ、上記複数のサブ気体貯留部同士が、仕切り壁に設けられた空隙により連通している。
より具体的には、図9及び10に示す散気装置1においては、気体貯留部2は第一仕切り壁8により、第一サブ気体貯留部6と、第二サブ気体貯留部7とに区画されている。そして、これら複数のサブ気体貯留部同士、すなわち、第一サブ気体貯留部6と第二サブ気体貯留部7とは、第一仕切り壁8に設けられた空隙12により連通している。なお、第二サブ気体貯留部7と気体排出部4とは、第二仕切り壁9により区画され、第二仕切り壁9に設けられた空隙13により連通している。
これら仕切り壁の高さ方向において、第一仕切り壁8に設けられた空隙12の位置は、隣接する第二仕切り壁9に設けられた空隙13の位置とは異なるといえる。
第一サブ気体貯留部6と第二気体貯留部7との上面とは、いずれも蓋板10で閉塞されている。また第二気体貯留部7と気体排出部4の下面とは、いずれも蓋板11で閉塞されている。一方で第一サブ気体貯留部6の下面は開放されており、これが気体供給部3に相当する。
図9に示す散気装置1の気体供給部3から、連続的又は間欠的に気体を供給すると、第一サブ気体貯留部6及び第二サブ気体貯留部7にそれぞれ気体が貯留されていく。これらサブ気体貯留部の内部が気体で満たされ、第二仕切り板9に設けられた空隙13にまで達すると、第一サブ気体貯留部6及び第二気体貯留部7に貯留された気体が、気体排出部4へ移動し、それに伴い気体供給部3から第一サブ気体貯留部6及び第二気体貯留部7に多量の液体が流れ込むことで、気体排出部4から大きな気泡が排出されることとなる。
本発明の水処理システムは、本発明の散気装置と、被処理水を透過水と濃縮水とに分離する分離膜モジュールと、を備える必要がある。
図12は、本発明の水処理システムの一態様を示す、フロー図である。図12に示すように、本発明の散気装置は、分離膜モジュールの下方に配置され、そこから排出した気泡により、分離膜モジュールの分離膜表面の堆積物を剥離させるために用いられる。より具体的には、図12に示す水処理システムにおいては、活性汚泥槽15に貯えられた有機性廃水等の被処理水に、分離膜モジュール16が浸漬されており、その下方に本発明の散気装置14が配置されている。散気装置14の気体貯留部には、ブロワ19から気体供給部を経由して供給された気体が貯留され、その後気体貯留部から気体排出部を経由して排出された気泡が分離膜モジュール16の分離膜表面を上昇し、堆積物が剥離される。
この場合において被処理水は、分離膜モジュール16の分離膜を隔てて、被処理水側の圧力と、透過水側圧力との差(膜間差圧)を駆動力として、分離膜を通過する。そしてその際に、被処理水が含有する、微生物粒子や無機物粒子等の懸濁物がろ過される。膜間差圧は、透過水側をポンプ17で吸引することにより生じさせることができる。また分離膜を通過した透過水18は、分離膜エレメントの透過水取出口(図示しない)及びポンプ17等を経由して、活性汚泥槽15から分離回収される。
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの記載により本発明が何ら限定されるものではない。
<静的水接触角の測定>
散気装置が備える気体貯留部の内面のサンプルを、150mm×150mmの大きさで用意した。サンプルを全自動接触角計(協和界面科学株式会社製;DM−901)にセットして、温度25℃の雰囲気下、1.3μLの水滴を無作為に選択した20箇所に滴下して、それぞれの箇所における静的水接触角を測定し、その平均値を、その測定部位における気体貯留部の内面の静的水接触角とした。
<平膜型分離膜エレメントの作製>
市販の平膜型分離膜エレメント(東レ株式会社製;TSP−50100エレメント)と同仕様の分離膜エレメントを作製した。完成した平膜型分離膜エレメントは、上部に取水ノズルを設けた大きさ200mm×120mmの支持板の両面に、面積0.17mの平膜状の分離膜が貼付された態様であった。
<膜面気泡流速の測定>
作製した平膜型分離膜エレメント6枚を水槽内に浸漬させて、下方の散気手段(ステンレス製の円管に直径6mmの散気孔を4個開けた散気管を、散気孔が上方を向くように間隔230mmで2本平行に配置したもの)から、50L/minで加圧空気を送り、分離膜の表面を上昇する気泡の流速を、高速度カメラで10秒間撮影して測定し、すべての気泡の流速の平均値を、膜面気泡流速とした。
(実施例1)
図1に示す散気装置を、素材としてアクリルを用いて、幅Wが71mm、長さLが123mm、高さHが36mm、厚みDが10mm、角度Aが90°となるように作製した。気体貯留部の内面の全部に、親水性ポリエチレンフィルム(スリーエムジャパン株式会社;親水性処理フィルム#9901P)を貼付した。親水性ポリエチレンフィルムの静的水接触角は、20°であった。この散気装置2個を、水槽内に浸漬させた6枚の平膜型分離膜エレメントと散気手段との間に、その頂部の間隔が230mmになるように平行に並べて介在させて、膜面気泡流速を測定したところ、膜面気泡流速は0.85m/sであった。
(実施例2)
気体貯留部の内面の全部に、親水性コーティング剤(中央自動車工業株式会社製;無機防汚コーティング剤エクセルピュア)を塗布した以外は、実施例1と同様にして膜面気泡流速の測定を実施した。親水性コーティング剤を塗布した気体貯留部の内面の静的水接触角は4°であり、膜面気泡流速は0.90m/sであった。
(実施例3)
図9に示す散気装置を、素材としてアクリルを用いて、幅Wが128mm、長さLが56mm、高さHが128mm、厚みDが10mmとなるように作製した。気体貯留部の内面の全部に、親水性コーティング剤(中央自動車工業株式会社;無機防汚コーティング剤エクセルピュア)を塗布した。この散気装置2個を、図11に示すように2個接着して、散気装置14を作製した。この散気装置14を2個、水槽内に浸漬させた6枚の平膜型分離膜エレメントと散気手段との間に、互いの間隔が186mmになるように平行に並べて介在させて、膜面気泡流速を測定したところ、膜面気泡流速は9.85m/sであった。
(比較例1)
散気装置を介在させなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜面気泡流速の測定を実施した。膜面気泡流速は0.57m/sであった。
(比較例2)
気体貯留部の内面に親水性ポリエチレンフィルムを貼付しなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜面気泡流速の測定を実施した。素材であるアクリルの静的水接触角は、70°であった。また膜面気泡流速は0.63m/sであった。
(比較例3)
気体貯留部の内面に親水性コーティング剤を塗布しなかったこと以外は、実施例3と同様にして膜面気泡流速の測定を実施した。膜面気泡流速は5.97m/sであった。
実施例1及び2と比較例1及び2とを、膜面気泡流速について対比すると、実施例1及び2の膜面気泡流速の方が、いずれも値が大きいことが分かる。これは、本発明の散気装置が、より大きな気泡を効率的に排出していることを示す結果である。
また実施例3と比較例3とを、膜面気泡流速について対比すると、実施例3の膜面気泡流速の方が、値が大きいことが分かる。これも、本発明の散気装置が、より大きな気泡を効率的に排出していることを示す結果である。
1 散気装置
2 気体貯留部
3 気体供給部
4 気体排出部
5 端部
6 第一サブ気体貯留部
7 第二サブ気体貯留部
8 第一仕切り壁
9 第二仕切り壁
10 蓋板
11 蓋板
12 空隙
13 空隙
14 散気装置
15 活性汚泥槽
16 分離膜モジュール
17 ポンプ
18 透過水
19 ブロワ

Claims (6)

  1. 液体中で気体を貯留する、気体貯留部と、
    前記気体貯留部に気体を供給する、気体供給部と、
    前記気体貯留部から気体を排出する、気体排出部と、を備え、
    前記気体貯留部の内面の一部又は全部の静的水接触角が、60°以下である、散気装置。
  2. 前記静的水接触角が、30°以下である、請求項1記載の散気装置。
  3. 前記気体供給部と前記気体排出部とが、独立して存在する、請求項1又は2記載の散気装置。
  4. 前記気体貯留部が、仕切り壁により複数のサブ気体貯留部に区画され、前記複数のサブ気体貯留部同士が、前記仕切り壁に設けられた空隙により連通している、請求項1〜3のいずれか一項記載の散気装置。
  5. 前記仕切り壁の高さ方向における、前記仕切り壁に設けられた空隙の位置が、隣接する前記仕切り壁に設けられた空隙の位置と異なる、請求項4記載の散気装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の散気装置と、
    被処理水を透過水と濃縮水とに分離する分離膜モジュールと、を備える、水処理システム。
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