JP2020064825A - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents

非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の充放電サイクル時の容量の低下を抑制する優れた非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供する。【解決手段】電解質と非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表されるポリマーを含有する非水系電解液。金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極及び正極と、この非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池。このポリマーが非水系電解液中に共存していることによって、安定で好適な皮膜が形成されることにより、電池の充放電サイクル時の容量の低下を抑制することができる。[式(1)中、Xは2価の有機基を表し、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池に関するものであり、詳しくは、特定のポリマーを含有するリチウム二次電池用の非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池に関するものである。
近代の急速な産業の発達による電子機器の小型化に伴い、二次電池の更なる高容量化が切望されるようになった。そこで、ニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池に比べてエネルギー密度の高いリチウム二次電池が開発され、また現在に至るまでその性能向上への取り組みも繰り返し行われてきた。
リチウム二次電池を構成する成分は主に正極、負極、セパレータ、及び電解液に大別される。これらのうち、電解液には一般に、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiAsF、LiN(CFSO、LiCF(CFSO等の電解質を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類等の非水系溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられている。
近年では環境問題やエネルギー問題などの地球規模の課題を背景に、リチウム二次電池の車載用電源や定置型電源などの大型電源への応用にも大きな期待が集まっている。しかし、このような電池は一般に長期使用が見込まれるため、従来のリチウム二次電池以上の寿命性能や抵抗性能が求められている。
リチウム二次電池の各種特性を更に向上させるための取り組みの一つとして、上記電解液に任意の化合物を加える取り組みがなされている。
例えば、特許文献1には、非水系電解液電池の電解液に対して、特定のフルオロスルホン酸塩を加えることで、電池のインピーダンスや充放電サイクル時の容量維持率が向上することが報告されている。
また、特許文献2には、非水系電解液電池の電解液に対して、特定のS−F結合を有するスルホン酸エステルを加えることで、電池の充放電サイクル時の容量維持率や抵抗維持率が向上することが報告されている。
また、特許文献3には、非水系電解液電池の電解液に対して、特定のスルホン酸エステルを加えることで、電池の充放電サイクル後の放電容量維持率が向上することが報告されている。
特開2011−187440号公報 特開2014−183009号公報 国際公開第2009/113545号
上記の通り、従来、電池の耐久性を向上させるための取り組みが行われているが、要求特性を達成させるためには未だ十分とはいえず、更なる改善が求められている。
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、電池の充放電サイクル時の容量の低下を抑制する優れた非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、非水系電解液に特定のポリマーを配合することで、電池の充放電サイクル後の容量維持率が改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 電解質と非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表されるポリマーを含有することを特徴とする非水系電解液。
Figure 2020064825
[式(1)中、Xは2価の有機基を表し、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]
[2] 電解質と非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、下記一般式(2)で表されるポリマーを含有することを特徴とする非水系電解液。
Figure 2020064825
[式(2)中、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]
[3] 金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極及び正極と、非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が[1]又は[2]に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
[4] 前記正極が、少なくとも1種の層状遷移金属酸化物を含むことを特徴とする[3]に記載の非水系電解液二次電池。
[5] 前記負極が、少なくとも炭素質材料を含むことを特徴とする[3]又は[4]に記載の非水系電解液二次電池。
後述の実施例で示すように、本発明によれば、非水系電解液二次電池における充放電サイクル後の容量維持率を従来以上に高めることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
[1.非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、電解質と非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表されるポリマー(以下、「ポリマー(1)」と称す場合がある。)を含有することを特徴とする。
Figure 2020064825
[式(1)中、Xは2価の有機基を表し、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]
上記ポリマー(1)は、下記一般式(2)で表されるポリマー(以下、「ポリマー(2)」と称す場合がある。)であることが好ましい。
Figure 2020064825
[式(2)中、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]
<1−1.ポリマー(1)〜(2)>
ポリマー(1)〜(2)は、原料モノマーとして4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン(MDO)を用いて製造される。このポリマー(1)〜(2)の原料となるMDOの製造例は、上垣外らによるPolymer Preprints,Japan vol.65,No.1(2016)3Pd008に記載があるが、これに限られるわけではない。
ポリマー(1)は、原料モノマーとして少なくともMDOと有機基Xを有するモノマーを用いるラジカル重合によって得られ、ポリマー(2)は、原料モノマーとして少なくともMDOと酢酸ビニルを用いるラジカル重合によって得られることが上記の文献に記載されている。
一般式(1)における有機基Xを有するモノマーとしては、MDOの存在下において共重合するものであれば何でもよく、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−(1,3−ジオキソラン−2−オン)ニルメチル等のアクリル酸エステル化合物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸4−(1,3−ジオキソラン−2−オン)ニルメチル等のメタクリル酸エステル化合物、アクリル酸アミド、アクリル酸2−ジメチルアミノエチルアミド等のアクリルアミド化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル化合物、エチルビニルエーテル、2−テトラヒドロピラニルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、スチレン、2−ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく2種以上を共存させてラジカル重合に供してもよい。
有機基Xを有するモノマーとしては、これらの中から、非水系電解液に使用される非水溶媒に対し、MDOのホモポリマーよりも溶解度が向上するようなモノマーを選択して用いればよい。
ポリマー(1)〜(2)におけるMDOに由来する構成単位の割合、即ち、一般式(1),(2)におけるnとしては、MDOに由来する構成単位が、ポリマー(1)〜(2)を構成する全構成単位100モル%中に90モル%以下であって、10モル%以上が好ましく(即ち、n=0.1〜0.9)、20モル%以上であって、80モル%以下がより好ましく(n=0.2〜0.8)、30モル%以上であって、70モル%以下がさらに好ましい(n=0.3〜0.7)。ポリマー(1)〜(2)がMDOに由来する構成単位に加えて酢酸ビニル等の有機基Xを含むモノマーに由来する構成単位を有することで、ポリマー(1)〜(2)の電解液への溶解性が高くなり、本発明の効果が得られやすい。その反面、有機基Xを含む構成単位を必要以上に増やしても、容量低下を抑制するMODに由来する構成単位の割合が少なくなり、容量低下抑制効果が低減する傾向があるため、MDOに由来する構成単位の割合は上述の範囲とすることが好ましい。
ポリマー(1)〜(2)の分子量としては、充放電の耐久性(特にサイクル後の容量保持)の観点からは大きい方が好ましく、電解液の溶解性の観点からは小さい方が好ましい。ポリマー(1)〜(2)の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量で5,000〜50,000の範囲で、PDI(分子量分布、重量平均分子量と数平均分子量の商)が1.2〜4.0であることが好ましい。
ポリマー(1)〜(2)の非水系電解液中の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。ポリマー(1)〜(2)の非水系電解液中の含有量が上記範囲内にあることにより、電解液中にこれらポリマーが過剰に存在することを抑制した上で、電池の充放電サイクル後の容量維持率を改善する効果を得ることができる。即ち、ポリマー(1)〜(2)は、正極/電解液界面、負極/電解液界面等の界面を修飾することで、電池の充放電サイクル後の容量維持率を改善する目的で用いるものであるため、電解液中にこの修飾に寄与しないポリマーを過剰に存在させないため、上記範囲内であることが好ましい。
ポリマー(1)〜(2)を含有させることで、電池の充放電サイクル後の容量維持率を改善する効果が発現される要因としては、ポリマー(1)〜(2)が非水系電解液中に共存していることによって、これらのポリマーが正極上や負極上で反応する際に、ポリマー(1)〜(2)と電解質、非水溶媒、助剤との混成皮膜が形成され、従来の個々の皮膜よりもより安定で好適な皮膜が形成されることによるものと推察される。
なお、本発明の非水系電解液中には、ポリマー(1)〜(2)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
<1−2.電解質>
<リチウム塩>
本発明の非水系電解液に含まれる電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
LiPF、LiBF、LiClO、LiAlF、LiSbF、LiTaF、LiWF等の無機リチウム塩;
LiWOF等のタングステン酸リチウム類;
HCOLi、CHCOLi、CHFCOLi、CHFCOLi、CFCOLi、CFCHCOLi、CFCFCOLi、CFCFCFCOLi、CFCFCFCFCOLi等のカルボン酸リチウム塩類;
CHSOLi、CHFSOLi、CHFSOLi、CFSOLi、CFCFSOLi、CFCFCFSOLi、CFCFCFCFSOLi等のスルホン酸リチウム塩類;
LiN(FCO)、LiN(FCO)(FSO)、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CFSO)(CSO)等のリチウムイミド塩類;
LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO等のリチウムメチド塩類;
リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;
その他、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBFCF、LiBF、LiBF、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩類:
中でも、LiPF、LiBF、LiSbF、LiTaF、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等が出力特性やハイレート充放電特性、高温保存特性、サイクル特性等を向上させる効果がある点から特に好ましい。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPFとLiBF等の併用であり、負荷特性やサイクル特性を向上させる効果がある。
この場合、非水系電解液全体100質量%に対するLiBFの割合に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
また、他の一例は、無機リチウム塩と有機リチウム塩との併用であり、この両者の併用は、高温保存による劣化を抑制する効果がある。
有機リチウム塩としては、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等が好ましい。
この場合には、非水系電解液全体100質量%に対する有機リチウム塩の割合は、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
非水系電解液中のこれらのリチウム塩の濃度は、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は特に制限されないが、電解液の電気伝導率を良好な範囲とし、良好な電池性能を確保する点から、非水系電解液中のリチウムの総モル濃度は、好ましくは0.3mol/L以上、より好ましくは0.4mol/L以上、さらに好ましくは0.5mol/L以上であり、また、好ましくは3mol/L以下、より好ましくは2.5mol/L以下、さらに好ましくは2.0mol/L以下である。
リチウムの総モル濃度をこの範囲にすることで、電解液の電気伝導率が十分に得られ、また濃度が高すぎて粘度が上昇することによる電気伝導度の低下も避けられるため好ましい。
<1−3.非水溶媒>
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。これらを例示すると、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物、スルホン系化合物等が挙げられる。
<フッ素原子を有していない環状カーボネート>
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレン基を有する、フッ素原子を有していない環状カーボネートの具体的な例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートが挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
フッ素原子を有していない環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
フッ素原子を有していない環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、1種を単独で用いる場合の配合量は、非水溶媒100体積%中、5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。上記下限以上とすることで、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性、負極に対する安定性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。一方、その上限は95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは85体積%以下である。上記上限以下とすることで、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液電池の負荷特性を良好な範囲としやすくなる。
<鎖状カーボネート>
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3〜7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネートが好ましく、特に好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と記載する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素原子に結合していてもよく、異なる炭素原子に結合していてもよい。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体としては、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体としては、エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。
鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カーボネートの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。また、鎖状カーボネートの配合量は、非水溶媒100体積%中、90体積%以下、より好ましくは85体積%以下であることが好ましい。このように上限を設定することにより、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
<環状カルボン酸エステル>
環状カルボン酸エステルとしては、炭素原子数が3〜12のものが好ましい。具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。上記下限以上であれば、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
<鎖状カルボン酸エステル>
鎖状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜7のものが好ましい。具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。
中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル等が、粘度低下によるイオン伝導度の向上の点から好ましい。
鎖状カルボン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することで、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、鎖状カルボン酸エステルの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。このように上限を設定することで、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液電池の大電流放電特性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。
<エーテル系化合物>
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
炭素数3〜6の環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等、及びこれらのフッ素化化合物が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
エーテル系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
エーテル系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上、また、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、さらに好ましくは50体積%以下である。この範囲であれば、エーテル系化合物のリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、特に負極活物質が炭素質材料の場合、エーテル系化合物がリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
<スルホン系化合物>
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3〜6の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。
中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と記載する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホラン、3−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロスルホラン、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジフルオロスルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチルスルホラン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラン、4−フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−フルオロ−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロメチルスルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、3−ジフルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオロメチルスルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等が、イオン伝導度が高く、入出力特性が高い点で好ましい。
また、炭素数2〜6の鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン等が挙げられる。
中でも、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−t−ブチルスルホン等がイオン伝導度が高く、入出力特性が高い点で好ましい。
スルホン系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スルホン系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上、より好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、また、好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
<フッ素原子を有する環状カーボネートを非水溶媒として用いる場合>
本発明において、フッ素原子を有する環状カーボネートを非水溶媒として用いる場合は、フッ素原子を有する環状カーボネート以外の非水溶媒として、前記例示した非水溶媒の1種をフッ素原子を有する環状カーボネートと組み合わせて用いてもよく、2種以上をフッ素原子を有する環状カーボネートと組み合わせて併用してもよい。
例えば、フッ素原子を有する環状カーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせの具体例としては、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
<フッ素原子を有する環状カーボネートを助剤として用いる場合>
本発明において、フッ素原子を有する環状カーボネートを助剤として用いる場合は、フッ素原子を有する環状カーボネート以外の非水溶媒として、前記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、非水溶媒の好ましい組合せの一つとして、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せが挙げられる。
例えば、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせの具体例としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
<1−4.助剤>
本発明の非水系電解液において、目的に応じて適宜助剤を配合してもよい。助剤としては、以下に示される不飽和カーボネート、フッ素原子を有する不飽和環状カーボネート、過充電防止剤、その他の助剤、等が挙げられる。
<不飽和カーボネート>
不飽和カーボネート、即ち、不飽和結合を有するカーボネートとしては、炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合等の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートであればその他に制限は無く、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有するカーボネートも、不飽和結合を有するカーボネートに含まれるものとする。
不飽和カーボネートの例としては、ビニレンカーボネート誘導体類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類等が挙げられる。
ビニレンカーボネート誘導体類の具体例としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、カテコールカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フェニルカーボネート類の具体例としては、ジフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、t−ブチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
ビニルカーボネート類の具体例としては、ジビニルカーボネート、メチルビニルカーボネート等が挙げられる。
アリルカーボネート類の具体例としては、ジアリルカーボネート、アリルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらの不飽和カーボネートの中でも、ビニレンカーボネート誘導体類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類が好ましく、特に、ビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートは、安定な界面保護被膜を形成するので、より好適に用いられる。
不飽和カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
不飽和カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液100質量%中通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。上記下限以上であれば、十分なサイクル特性向上効果を発現し易く、上記上限以下であれば、高温保存特性、トリクル充電特性の低下、ガス発生量の増加、放電容量維持率の低下を抑制することができる。
<フッ素原子を有する不飽和環状カーボネート>
フッ素原子を有する不飽和環状カーボネート、即ち、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)が有するフッ素原子の数は1以上であれば、特に制限されない。中でもフッ素原子が通常6以下、好ましくは4以下であり、1又は2のものが最も好ましい。
フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、フッ素化ビニレンカーボネート誘導体、芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体等が挙げられる。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フッ素化不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、50以上であり、また、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対するフッ素化環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。
フッ素化不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、通常、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、非水系電解液電池は十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
<過充電防止剤>
本発明の非水系電解液において、非水系電解液電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。中でも、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が好ましい。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼン又はt−アミルベンゼンとの組み合わせ、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種と、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種を併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。
過充電防止剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。過充電防止剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.1質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、過充電防止剤の効果を十分に発現させやすく、また、高温保存特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。過充電防止剤は、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
<その他の助剤>
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。
その他の助剤としては、
エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;
エチレンサルファイト、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;
ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物;
等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
その他の助剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その他の助剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、その他助剤の効果が十分に発現させやすく、高負荷放電特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。その他の助剤の配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
以上、上述の非水系電解液成分は、本発明に記載の非水系電解液電池の内部に存在するものも含まれる。
具体的には、リチウム塩や溶媒、助剤等の非水系電解液の構成要素を別途合成し、実質的に単離されたものから非水系電解液を調製し、下記に記載する方法にて別途組み立てた電池内に注液して得た非水系電解液電池内の非水系電解液である場合や、本発明の非水系電解液の構成要素を個別に電池内に入れておき、電池内にて混合させることにより本発明の非水系電解液と同じ組成を得る場合、更には、本発明の非水系電解液を構成する化合物を該非水系電解液電池内で発生させて、本発明の非水系電解液と同じ組成を得る場合も含まれるものとする。
[2.非水系電解液二次電池]
<2−1.非水系電解液>
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を配合して用いることも可能である。
<2−2.正極>
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
<リチウム遷移金属系化合物>
リチウム遷移金属系化合物とは、リチウムイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、ケイ酸化合物、ホウ酸化合物、リチウム遷移金属複合酸化物等が挙げられる。硫化物としては、TiSやMoS等の二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MMo(MはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物等が挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMPO(Mは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO等が挙げられる。ケイ酸化合物としてはLiMSiO、ホウ酸化合物としてはLiMBO等が挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLim(Mは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、LiCoVO等が挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMO(Mは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO、LiNiO、LiNi1−xCo、LiNi1−x−yCoMn、LiNi0.5Mn0.5、Li1.2Cr0.4Mn0.4、Li1.2Cr0.4Ti0.4、LiMnO等が挙げられる。
<組成>
リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)又は(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO …(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
なお、前記組成式(A)においては、酸素の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があってもよい。また、前記組成式中のxは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のxが−0.65以上、1以下に測定されることがある。
また、リチウム遷移金属系化合物は、正極活物質の結晶性を高めるために酸素含有ガス雰囲気下で高温焼成を行って焼成されたものが電池特性に優れる。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLiMOとの固溶体であってもよい。
αLiMO・(1−α)LiM’O …(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
Mは、平均酸化数が4である少なくとも一種の金属元素であり、具体的には、Mn、Zr、Ti、Ru、Re及びPtからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
M’は、平均酸化数が3である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
2)下記一般式(B)で表されるリチウム遷移金属系化合物である場合。
Li[LiMn2−b−a]O4+δ …(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、Al及びMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。bの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位質量当たりのエネルギー密度が高い。
また、aの値は通常0以上、0.3以下である。また、前記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが−0.65以上、1以下に測定されることがある。aの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位質量当たりのエネルギー密度を大きく損なわず、かつ、良好な負荷特性が得られる。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
ここでリチウム遷移金属系化合物の組成であるリチウムニッケルマンガン系複合酸化物におけるリチウム組成の化学的な意味について、以下により詳細に説明する。
前記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求める事で計算される。
構造的視点では、aに係るリチウムは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、aに係るリチウムによって、電荷中性の原理によりMとマンガンの平均価数が3.5価より大きくなる。
また、前記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、LiMn2xと表記される。
前記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1、Li1+xMn1.8Al0.2、Li1+xMn1.5Ni0.5等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いてもよい。
<異元素導入>
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,Si及びSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界等に単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
<表面被覆>
また、前記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加、乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加後、加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等により該正極活物質表面に付着させることができる。なお、炭素を付着させる場合には、炭素質を、例えば、活性炭等の形で後から機械的に付着させる方法も用いることもできる。
表面付着物質の量としては、該正極活物質に対して質量で、下限として好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上、上限として、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。前記範囲であると、リチウムイオンの出入りの阻害に伴う抵抗を抑制することができる一方、前記効果を十分に発現することができる。
本発明においては、正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものをも「正極活物質」という。
<形状>
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐため好ましい。また、板状等軸配向性の粒子であるよりも球状ないし楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作成する際の導電材との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
<正極活物質の製造法>
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えばその1例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、別の方法の例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
更に別の方法の例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
<ブレンド>
なお、これらの正極活物質は一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<正極の構成と作製法>
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。また、例えば、上述の正極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
以下、スラリーを正極集電体に塗布・乾燥する場合について説明する。
<活物質含有量>
正極活物質の、正極活物質層中の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは82質量%以上、特に好ましくは84質量%以上である。また上限は、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、特に好ましくは93質量%以下である。上記範囲であると、正極活物質層中の正極活物質の電気容量を確保できるとともに、正極の強度を保つことができる。
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、下限として好ましくは1.5g/cm以上、より好ましくは2g/cm、さらに好ましくは2.2g/cm以上であり、上限としては、好ましくは3.8g/cm以下、より好ましくは3.5g/cm以下、さらに好ましくは3.0g/cm以下、特に好ましくは2.8g/cm以下の範囲である。この範囲を上回ると集電体/活物質界面付近への電解液の浸透性が低下し、特に高電流密度での充放電特性が低下し高出力が得られない場合がある。また下回ると活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し高出力が得られない場合がある。
<集電体>
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
<導電材>
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。
<結着剤>
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であれば、その種類は特に制限されないが、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等を考慮して選択するのが好ましい。
<スラリー形成溶媒>
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
<増粘剤>
特に水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。
<集電体>
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。
<2−3.負極>
負極に使用される負極活物質としては、電気化学的に金属イオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
<炭素質材料>
炭素質材料としては、(1)天然黒鉛、(2)人造黒鉛、(3)非晶質炭素、(4)炭素被覆黒鉛、(5)黒鉛被覆黒鉛、(6)樹脂被覆黒鉛等が挙げられる。
(1)天然黒鉛としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛及び/又はこれらの黒鉛を原料に球形化や緻密化等の処理を施した黒鉛粒子等が挙げられる。これらの中でも、粒子の充填性や充放電レート特性の観点から、球形化処理を施した球状もしくは楕円体状の黒鉛が特に好ましい。
(2)人造黒鉛としては、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサイルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機化合物を、通常2500℃以上、通常3200℃以下の範囲の温度で黒鉛化し、必要に応じて粉砕及び/又は分級して製造されたものが挙げられる。
(3)非晶質炭素としては、タール、ピッチ等の易黒鉛化性炭素前駆体を原料に用い、黒鉛化しない温度領域(400〜2200℃の範囲)で1回以上熱処理した非晶質炭素粒子や、樹脂などの難黒鉛化性炭素前駆体を原料に用いて熱処理した非晶質炭素粒子が挙げられる。
(4)炭素被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、タール、ピッチや樹脂等の有機化合物である炭素前駆体を混合し、400〜2300℃の範囲で1回以上熱処理し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、非晶質炭素が核黒鉛を被覆している炭素黒鉛複合体が挙げられる。複合の形態は、表面全体または一部を被覆しても、複数の一次粒子を前記炭素前駆体起源の炭素をバインダーとして複合させたものであってもよい。また、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛にベンゼン、トルエン、メタン、プロパン、芳香族系の揮発分等の炭化水素系ガス等を高温で反応させ、黒鉛表面に炭素を堆積(CVD)さ
せることでも炭素黒鉛複合体を得ることもできる。
(5)黒鉛被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、タール、ピッチや樹脂等の易黒鉛化性の有機化合物の炭素前駆体を混合し、2400〜3200℃程度の範囲で1回以上熱処理し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、黒鉛化物が核黒鉛の表面全体または一部を被覆している黒鉛被覆黒鉛が挙げられる。
(6)樹脂被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、樹脂等を混合、400℃未満の温度で乾燥し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、樹脂等が核黒鉛を被覆している樹脂被覆黒鉛が挙げられる。
上記の(1)〜(6)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記(2)〜(5)に用いられるタール、ピッチや樹脂等の有機化合物としては、石炭系重質油、直流系重質油、分解系石油重質油、芳香族炭化水素、N環化合物、S環化合物、ポリフェニレン、有機合成高分子、天然高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選ばれた炭化可能な有機化合物などが挙げられる。また、原料有機化合物は混合時の粘度を調整するため、低分子有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
また、核黒鉛の原料となる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛としては、球形化処理を施した天然黒鉛が好ましい。
<合金系材料>
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特に制限されない。
<負極の構成と作製法>
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
<集電体>
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
<結着剤>
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
<スラリー形成溶媒>
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
<増粘剤>
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
<2−4.セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
<材料>
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエステル、ポリオキシアルキレン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、さらに好ましくはポリオレフィンであり、特に好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また上記材料を積層させて用いてもよい。
<2−5.電池設計>
<電極群>
電極群は、前記の正極板と負極板とを前記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前記の正極板と負極板とを前記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
電極群占有率が、前記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、前記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、さらには、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
<集電構造>
電極群が前述の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。1枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が前述の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
<保護素子>
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
<外装体>
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、前記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体(外装ケース)内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
外装ケースの形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
[二次電池の作製]
<正極の作製>
正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)85質量部を用い、カーボンブラック10質量部とポリフッ化ビニリデン5質量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
<負極の作製>
黒鉛に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布して乾燥し、ロールプレスして負極とした。黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレン−ブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作成した。
<非水系電解液二次電池の製造>
前記の正極、負極、及びポリオレフィン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
[電池の評価]
<初期充放電試験>
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を4.2Vまで1/6C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。以下同様。)で定電流−定電圧充電した後、1/6Cで2.5Vまで放電した。続いて4.1Vまで1/6Cで定電流−定電圧充電した後、電池を60℃に12時間保持してエージングを実施した。その後、25℃において1/6Cで2.5Vまで放電した。続いて、1/6Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、1/6Cで2.5Vまで放電した。このようにして非水系電解液二次電池を安定させた。
<サイクル後放電容量及び放電容量維持率評価試験>
初期充放電を実施した電池を、60℃において、4.2Vまでの1/3C定電流−定電圧充電と、これに続く2.5Vまでの1/3C定電流放電の充放電サイクルを1サイクル行った。このときの放電容量を初期容量とした。その後、1Cの定電流−定電圧法で4.2Vまで充電した後、1Cの定電流法で2.5Vまで放電する充放電を300サイクル行った。その後、この電池を4.2Vまでの1/3C定電流−定電圧充電と、これに続く2.5Vまでの1/3C定電流放電の充放電サイクルを1サイクル行った。このときの最後の放電容量を300サイクル目の放電容量とした。また、この300サイクル目の放電容量の初期容量に対する割合を300サイクル後容量維持率(%)とした。
[製造例1]
ポリマー(1)〜(2)の原料となるモノマーである4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン(MDO)を上垣外らによるPolymer Preprints,Japan vol.65,No.1(2016)3Pd008の記載に従って製造した。
[製造例2]
製造例1で得られたMDOを用いて、上垣外らによるPolymer Preprints,Japan vol.65,No.1(2016)3Pd008の記載に従ってラジカル重合を行って、分子量の異なるMDOのホモポリマーPMDO1とPMDO2を製造した。
また、同様にMDOと酢酸ビニルを用いてラジカル重合を行って、MDO/酢酸ビニルコポリマーであるPMDO3を製造した。
PMDO3について、組成比をNMR測定で調べたところMDOと酢酸ビニルに由来する各構成単位のモル比はMDO:酢酸ビニル=52:48(n=5.2)であった。
これらPMDO1〜3の標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)とPDIは以下の通りであった。
PMDO1:Mn=13,500、PDI=1.94
PMDO2:Mn=17,100、PDI=2.76
PMDO3:Mn=21,000、PDI=2.33
[比較例1]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥したLiPFを非水電解液全量で1モル/Lとなるように溶解させた(この電解液を「基準電解液」と称する場合がある)。この基準電解液を用いて上述の方法で電池を作成し、上記の評価を行った。
[比較例2]
比較例1と同様に基準電解液を作製し、これに製造例2で得られたPMDO1を0.5質量%加えて暫く撹拌した後溶液部分を非水系電解液とした。この非水系電解液を用いて上述の方法で電池を作成し、上記の評価を行った。
[比較例3]
比較例2におけるPMDO1をPMDO2に代えた以外は、比較例2と同様にして電池を作成し、評価を行った。
[実施例1]
比較例2におけるPMDO1をPMDO3に代えた以外は、比較例2と同様にして電池を作成し、評価を行った。
実施例1と比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 2020064825
表1より、本発明の非水系電解液を用いた実施例1において、優れたサイクル後容量維持率が得られており、これらは従来の非水系電解液(比較例1)及び共重合成分を含まない単一ポリマーを使用した非水系電解液(比較例2および3)を用いた場合と比較して、個々の性能の単純な足し合わせでは説明できない程度の顕著な向上効果であることが示された。
このような向上効果が発現した要因としては、本発明におけるポリマー(1)〜(2)が非水系電解液中に共存していることによって、これらのポリマーが正極上や負極上で反応する際に、ポリマー(1)〜(2)を含む混成皮膜が形成され、従来の個々の皮膜よりもより安定で好適な皮膜が形成されたことが推察される。
本発明の非水系電解液によれば、非水系電解液二次電池のサイクル容量維持率を改善することができる。そのため、本発明の非水系電解液及びこれを用いた非水系電解液二次電池は、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、例えば、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、スマートフォン、リチウムイオンコンデンサー、ポータブルCD/DVD/BDプレイヤー、ポータブル液晶テレビ、ハンディークリーナー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、カメラ、負荷平準化用電源、自然エネルギー貯蔵電源等が挙げられる。

Claims (5)

  1. 電解質と非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表されるポリマーを含有することを特徴とする非水系電解液。
    Figure 2020064825
    [式(1)中、Xは2価の有機基を表し、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]
  2. 電解質と非水溶媒を含む非水系電解液であって、該非水系電解液が、下記一般式(2)で表されるポリマーを含有することを特徴とする非水系電解液。
    Figure 2020064825
    [式(2)中、nは0.1以上0.9以下の数であって、それぞれの括弧の構成単位は不規則に存在する。]
  3. 金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極及び正極と、非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が請求項1又は2に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  4. 前記正極が、少なくとも1種の層状遷移金属酸化物を含むことを特徴とする請求項3に記載の非水系電解液二次電池。
  5. 前記負極が、少なくとも炭素質材料を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の非水系電解液二次電池。
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WO2023078534A1 (de) * 2021-11-02 2023-05-11 Wacker Chemie Ag Bioabbaubare copolymere

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