(第1実施形態)
以下、「漏電判定装置」を車載主機として回転電機を備える車両(例えば、ハイブリッド車や電気自動車)に適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態の車載モータ制御システムは、組電池10、モータ20、インバータ30、及び漏電判定装置50を備えている。
組電池10は、インバータ30を介して、モータ20に電気的に接続されている。組電池10は、例えば百V以上となる端子間電圧を有する蓄電池であり、複数の電池モジュールが直列接続されて構成されている。電池モジュールは、複数の電池セルが直列接続されて構成されている。電池セルとして、例えば、リチウムイオン蓄電池や、ニッケル水素蓄電池を用いることができる。組電池10が直流電源に相当する。
モータ20は、車載主機であり、図示しない駆動輪と動力伝達可能とされている。本実施形態では、モータ20として、3相の永久磁石同期モータを用いている。
インバータ30は、相巻線の相数と同数の上下アームを有するフルブリッジ回路により構成されており、各アームに設けられたスイッチ(半導体スイッチング素子)のオンオフにより、各相巻線において通電電流が調整される。
インバータ30には、図示しないインバータ制御装置が設けられており、インバータ制御装置は、モータ20における各種の検出情報や、力行駆動及び発電の要求に基づいて、インバータ30における各スイッチのオンオフにより通電制御を実施する。これにより、インバータ制御装置は、組電池10からインバータ30を介してモータ20に電力を供給し、モータ20を力行駆動させる。また、インバータ制御装置は、駆動輪からの動力に基づいてモータ20を発電させ、インバータ30を介して、発電電力を変換して組電池10に供給し、組電池10を充電させる。
組電池10の正極側電源端子に接続される正極側電源経路L1には、インバータ30等の電気負荷の正極側端子が接続されている。この正極側電源経路L1は、車体などの接地部G1に対して電気的に絶縁されている。この正極側電源経路L1と、接地部G1との間における絶縁状態(対地絶縁抵抗)を地絡抵抗Rpとして表すことができる。また。正極側電源経路L1と、接地部G1との間には、ノイズ除去用のコンデンサや浮遊容量等の対地静電容量が存在し、これらをまとめて対地静電容量Cpとして表す。
同様に、組電池10の負極側電源端子に接続される負極側電源経路L2には、インバータ30等の電気負荷の負極側端子が接続されている。この負極側電源経路L2は、接地部G1に対して電気的に絶縁されている。この負極側電源経路L2と、接地部G1との間における絶縁状態(対地絶縁抵抗)を地絡抵抗Rnとして表すことができる。また。負極側電源経路L2と、接地部G1との間には、ノイズ除去用のコンデンサや浮遊容量等の対地静電容量が存在し、これらをまとめて対地静電容量Cnとして表す。
なお、地絡抵抗Rp,Rnをまとめて地絡抵抗Rxと示す場合があり、また、対地静電容量Cp,Cnをまとめて対地静電容量Cxと示す場合がある。
漏電判定装置50は、正極側電源経路L1と負極側電源経路L2のうちいずれかに接続されており、正極側電源経路L1及び負極側電源経路L2が接地部G1に対して正常に絶縁されているか否か、すなわち、漏電の有無を判定する。以下、漏電判定装置50について説明する。
漏電判定装置50は、回路部51と、電圧検出器としてのA/D変換部52と、判定部としての制御部53と、を備えている。
回路部51は、所定周波数の交流電圧(交流信号)を出力する発振部54と、抵抗R1と、カップリングコンデンサC1を備えている。発振部54、抵抗R1及びカップリングコンデンサC1は直列接続されており、発振部54の一端は、抵抗R1を介してカップリングコンデンサC1に接続されている。カップリングコンデンサC1は、負極側電源経路L2の接続点M1に接続されている。カップリングコンデンサC1は、低電圧回路である漏電判定装置50と、高電圧回路である組電池10、インバータ30、及びモータ20との間で、入力の直流成分を遮断する一方、交流成分を通過させるものである。なお、発振部54の他端は、接地部G1に接続されている。
A/D変換部52は、一端が抵抗R1とカップリングコンデンサC1との間の接続点M2に接続され、他端が接地部G1に接続されている。A/D変換部52は、接続点M2を介して、入力される信号(アナログ信号)を制御部53の処理に適した信号(デジタル信号)に変換して出力する装置である。
発振部54が抵抗R1及びカップリングコンデンサC1を介して交流電圧を出力する場合、接続点M2の電圧(検出電圧)は、最終的に、発振部54が出力した交流電圧を、抵抗R1の抵抗値と地絡抵抗Rxの抵抗値とで分圧した値となる。A/D変換部52は、この検出電圧の値を入力する。なお、接続点M2とA/D変換部52との間にバンドパスフィルタを設けてもよい。
制御部53は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
制御部53は、接続点M2の電圧を検出し、検出電圧に基づいて、高電圧回路の絶縁状態を判定、すなわち、漏電の有無を判定する。例えば、制御部53は、接続点M2の検出電圧の電圧値と、閾値を比較して、漏電の有無を判定することができる。また、例えば、制御部53は、接続点M2における検出電圧の電圧値と発振部54が出力する交流電圧の電圧値との比に基づいて、地絡抵抗Rxの抵抗値を取得し、漏電の有無を判定することができる。
制御部53は、漏電が生じていると判定した場合、漏電に応じた各種処理を実行する。例えば、警報の出力を行う。また、例えば、組電池10からの電力供給や充電を停止し、高電圧回路と組電池10との通電を遮断する。
ところで、発振部54が出力する交流電圧は、例えば、図2(a)に示すような矩形波のパルス信号が一般的であった。しかしながら、対地静電容量Cxの大きさや対地静電容量Cxの充電量により、検出電圧の時間変化(CR時定数の大きさ)が異なるという問題があった。この問題について、図2(b)及び図2(c)に基づいて、より詳しく説明する。図2(b)に地絡抵抗Rxが大きい場合(すなわち、絶縁されている場合)における検出電圧の時間変化を示す。そして、図2(c)に地絡抵抗Rxが小さい場合(すなわち、漏電している場合)における検出電圧の時間変化を示す。
地絡抵抗Rxが大きい場合であって、対地静電容量Cxが小さい場合、図2(b)において実線に示すように、出力される矩形波(交流電圧)にほぼ従って、検出電圧が時間変化する。一方、地絡抵抗Rxが大きい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合、図2(b)において破線に示すように、出力される矩形波の変化にかなり遅れて、検出電圧が時間変化する。具体的には、遷移開始時にわずかに電圧が変化し、その後、時間の経過と共に電圧値が徐々に変化していくこととなる。例えば、立ち上がり開始時にわずかに電圧が上昇し、その後、時間の経過と共に電圧値が徐々に増加していくこととなる。また、立ち下がり開始時にわずかに電圧が下降し、その後、時間の経過と共に電圧値が徐々に減少していくこととなる。
つまり、地絡抵抗Rxが大きい場合、対地静電容量Cxの大きさにより、検出電圧の波形がかなり異なる。このため、地絡抵抗Rxが大きい場合であっても、対地静電容量Cxの大きさにより、漏電していると誤判定する可能性がある。例えば、検出タイミングを時点T100に設定した場合、対地静電容量Cxが小さい場合には、検出電圧が閾値Vhを上回り、対地静電容量Cxが大きい場合には、検出電圧が閾値Vhを下回る可能性がある。この場合、誤判定が生じることとなる。検出タイミングを時点T100よりも遅らせることで、検出誤差は抑制される傾向があるが、その場合、検出時間(つまり、判定時間)が長くなるという問題がある。
なお、地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが小さい場合、図2(c)において実線に示すように、検出電圧が時間変化する。一方、地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合、図2(c)において破線に示すように、対地静電容量Cxが小さい場合における検出電圧の波形(実線)に対して遷移開始時にわずかに遅れるものの、ほぼ同様に検出電圧が時間変化する。よって、地絡抵抗Rxが小さい場合、対地静電容量Cxの違いによる検出誤差は少なく、誤判定も少ないこととなる。
以上のように、対地静電容量Cxの大きさにより、誤判定する可能性がある。そして、ハイブリッド車や電気自動車では、対地静電容量Cxが大きくなる傾向があるため、従来のような矩形波のパルス信号では、判定精度を向上させつつ、判定時間を短縮することが困難となっていた。そこで、本実施形態の漏電判定装置50を、以下のように構成した。
図1に示すように、発振部54は、第1の交流電源54aと、第2の交流電源54bと、を有する。第1の交流電源54a及び第2の交流電源54bは、共に矩形波のパルス信号(電圧)を出力可能に構成されている。ただし、第1の交流電源54aが出力するパルス信号と、第2の交流電源54bが出力するパルス信号は、同じ交流周期であるものの、ピーク値など、その波形が異なるようになっている。以下、詳しく説明する。
図3(a)に示すように、第1の交流電源54aが出力する第1パルス信号は、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまで、電圧値が「V1」となる。そして、第1パルス信号は、時点T1の経過後から交流周期の後半開始の時点T3が経過するまで(交流周期の前半が終了するまで)、電圧値が「0(ゼロ)」となる。交流周期後半における第1パルス信号の波形は、極性が異なるだけで、交流周期前半における第1パルス信号の波形と同様である。すなわち、後半開始の時点T3から時点T4が経過するまで、電圧値が「−V1」となり、時点T4の経過後から交流周期が終了する時点T6まで、電圧値が「0(ゼロ)」となる波形を有する。
一方、図3(b)に示すように、第2の交流電源54bが出力する第2パルス信号は、交流周期開始の時点T0から交流周期の後半開始の時点T3が経過するまで、電圧値が「V2」となる。交流周期後半における第2パルス信号の波形は、極性が異なるだけで、交流周期前半における第2パルス信号の波形と同様である。すなわち、第2パルス信号は、後半開始の時点T3から交流周期が終了する時点T6まで、電圧値が「−V2」となる波形を有する。
そして、第1の交流電源54aから出力される第1パルス信号は、第2の交流電源54bから出力される第1パルス信号に比較して、ピーク値を大きくしている。つまり、電圧値「V1」の絶対値>電圧値「V2」の絶対値となっている。その一方で、パルス信号がピーク値となっている時間(つまり、電圧値の絶対値が「V1」、若しくは「V2」である時間)は、第2パルス信号に比較して、第1パルス信号の方が短くなっている。
そして、第1の交流電源54aは、第2の交流電源54bに対して直列に接続されており、第1の交流電源54aと第2の交流電源54bは、交流周期の開始時を同期させてパルス信号をそれぞれ出力し、重複させている。このため、発振部54は、第1の交流電源54aからの第1パルス信号と、第2の交流電源54bからの第1パルス信号とを合成(重畳)させた電圧(以下、合成電圧と示す)を交流電圧として出力することとなる。
図3(c)に示すように、交流電圧としての合成電圧は、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまで、電圧値が「V1+V2」となり、時点T1の経過後から交流周期後半開始の時点T3が経過するまで、電圧値が「V2」となる。交流周期後半における合成電圧の波形は、極性が異なるだけで、交流周期前半における合成電圧の波形と同様である。すなわち、合成電圧は、後半開始の時点T3から時点T4が経過するまで、電圧値が「−(V1+V2)」となり、時点T4の経過後から交流周期が終了する時点T6まで、電圧値が「−V2」となる波形を有する。このような合成電圧が、漏電判定の差異、発振部54から交流電圧として出力されることとなる。
そして、本実施形態において、交流周期前半では、時点T1の経過後から交流周期後半開始の時点T3が経過するまでの間のいずれかのタイミングであって、時点T1から所定時間経過した検出タイミング(時点T2)において、接続点M2における電圧(検出電圧)の電圧値が検出される。また、交流周期後半では、時点T4の経過後から交流周期終了の時点T6が経過するまでの間のいずれかのタイミングであって、時点T4から所定時間経過した検出タイミング(時点T5)において、接続点M2における電圧(検出電圧)の電圧値が検出される。
したがって、時点T0から時点T1の間における期間、及び時点T3から時点T4の間における期間が、準備期間に相当する。また、検出タイミング(時点T2,T5)において出力される交流電圧(合成電圧)の絶対値(V2の絶対値)に比較して、準備期間(時点T0〜T1、T3〜T4)において出力される交流電圧の絶対値(V1+V2の絶対値)は大きくなるといえる。
そして、このような合成電圧が出力されると、制御部53は、A/D変換部52を介して接続点M2から、図4(a)及び図4(b)に示すような波形の電圧(以下、検出電圧と示す)を検出することができる。図4(a)に地絡抵抗Rxが大きい場合(すなわち、絶縁されている場合)における検出電圧の時間変化を示す。図4(b)に地絡抵抗Rxが小さい場合(すなわち、漏電している場合)における検出電圧の時間変化を示す。なお、以下では、交流周期の後半(時点T3〜T6)は、極性が異なるだけで交流周期の前半(時点T0〜T3)と同様であるため、交流周期の前半についてのみ説明し、後半についての説明を省略する場合がある。つまり、交流電圧が立ち上がる場合のみについて主に説明する。
地絡抵抗Rxが大きい場合であって、対地静電容量Cxが小さい場合、図4(a)の実線に示すように、出力される交流電圧としての合成電圧にほぼ従って、検出電圧が時間変化する。すなわち、検出電圧は、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまで、電圧値が「V11+V12」となる。そして、検出電圧は、時点T1の経過後(準備期間経過後)から交流周期の後半開始の時点T3が経過するまで、電圧値が「V11」となる。交流周期後半の波形は、極性が異なるだけで、前半の波形とほぼ同じである。すなわち、後半開始の時点T3から時点T4が経過するまで、電圧値が「−(V11+V12)」となる。そして、時点T4の経過後から交流周期が終了する時点T6まで、電圧値が「−V11」となる。なお、V11≦V2であり、V12≦V1である。よって、V11+V12≦V1+V2である。
このため、地絡抵抗Rxが大きい場合であって、対地静電容量Cxが小さい場合、検出タイミング(時点T2)において検出される検出電圧の電圧値は「V11」となる。電圧値「V11」は、電圧値「V2」よりも小さいものの、閾値Vhよりは大きいため、地絡抵抗Rxが大きいと判定されることとなる。
一方、地絡抵抗Rxが大きい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合、図4(a)の破線に示すように、検出電圧は、対地静電容量Cxが小さい場合に比較して、遷移開始時(立ち上がり開始時)において、電圧値が低くなる。具体的には、電圧値「V11」よりも低い電圧値「V13」となる。しかしながら、徐々に増加していき、最終的には対地静電容量Cxが大きい場合と同様の電圧値を検出する。
すなわち、検出電圧は、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまでにおいて、合成電圧の変化に従って電圧値が急上昇し、電圧値が「V13」となる。なお、V13は、少なくとも「V1+V2」より小さく、本実施形態では、V13<V11である。そして、時点T1の経過後(準備期間経過後)から交流周期の後半開始の時点T3が経過するまでに、電圧値が「V11」となるように、徐々に増加していく。なお、後半開始の時点T3は、前半部分と極性を反対にしただけであるので説明を省略する。
このため、地絡抵抗Rxが大きい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合、検出タイミング(時点T2)において検出される検出電圧の電圧値は「V13」以上となる。電圧値「V13」は、電圧値「V11」よりも小さいものの、閾値Vhよりは大きいため、地絡抵抗Rxが大きいと判定されることとなる。
ここで、図2(b)において破線で示す従来における検出電圧と比較する。なお、比較のため、図2(b)において破線で示した従来における検出電圧を、図4(a)において一点鎖線で示す。図4において一点鎖線で示すように、従来の検出電圧に比較して、本実施形態の検出電圧は、いずれの時点においても電圧値が高くなることがわかる。また、従来の検出電圧に比較して、出力された合成電圧の変化に対する追従性がよく、誤差が少ない。また、従来の検出電圧に比較して、対地静電容量Cxが大きい場合における検出電圧の波形は、対地静電容量Cxが小さい場合における波形に近くなりやすい。したがって、検出時間を短縮しても、検出誤差が少なくなる。
次に、地絡抵抗Rxが小さい場合について説明する。地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが小さい場合、図4(b)の実線に示すように、合成電圧の電圧値「V1+V2」となったときに、合成電圧に従って、検出電圧の電圧値も急上昇する。そして、合成電圧の電圧値「V2」となったときに、合成電圧に従って、検出電圧の電圧値が急下降する。その際、合成電圧の電圧値「V2」よりも低い電圧値「V21」に変化し、その後、徐々に増加していき最終的には、電圧値「V22」となる。なお、検出電圧の電圧値「V21,V22」は、共に合成電圧の電圧値「V2」よりもはるかに低く、かつ、閾値Vhよりも小さい値となる。
すなわち、検出電圧は、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまでにおいて、合成電圧の変化に従って電圧値が急上昇し、電圧値が「V20」となる。時点T1の経過後(準備期間経過後)に、合成電圧の変化に従って電圧値が急下降し、電圧値が「V21」となり、その後、交流周期後半開始の時点T3が経過するまでに、電圧値が「V22」となるように、徐々に増加していく。なお、後半開始の時点T3以降は、前半部分と極性を反対にしただけであるので説明を省略する。
以上のように、地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが小さい場合、時点T1以降から後半開始の時点T3を経過するまで、閾値Vhよりも小さい値となる。このため、時点T1(準備期間経過後)から後半開始の時点T3までのいずれの時点で検出しても、地絡抵抗Rxが小さく、漏電していると判定することとなる。
一方、地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合、図4(b)の破線に示すように、合成電圧の変化に対して、わずかに遅れて追従するように、検出電圧も変化する。
すなわち、検出電圧は、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまでにおいて、合成電圧の変化に従って電圧値が急上昇し、電圧値が「V30」となる。電圧値が「V30」は、電圧値「V20」よりも小さい値である。なお、電圧値が低くなるのは、対地静電容量Cxが大きく、対地静電容量Cxへの充電量が多いからであると考えられる。
そして、検出電圧は、時点T1の経過後(準備期間経過後)に、合成電圧の変化に従って電圧値が下降する。このとき、対地静電容量Cxが大きい場合の検出電圧は、対地静電容量Cxが小さい場合の検出電圧に比較して、緩やかに下降することとなる。なお、緩やかに下降するのは、対地静電容量Cxが大きく、対地静電容量Cxからの放電の影響によるものと考えられる。
その後、対地静電容量Cxが大きい場合の検出電圧は、対地静電容量Cxが小さい場合の検出電圧と同じ値となると、対地静電容量Cxが小さい場合の検出電圧と同様に、交流周期の後半開始の時点T3が経過するまでに、電圧値が「V22」となるように、徐々に増加していく。なお、後半開始の時点T3以降は、前半部分と極性を反対にしただけであるので説明を省略する。
このように、対地静電容量Cxが大きい場合における検出電圧は、時点T1からの一定期間だけ対地静電容量Cxが小さい場合に比較して、電圧値が高くなる傾向がある。しかしながら、対地静電容量Cxが大きい場合における検出電圧の電圧値は指数関数的に減少するため、対地静電容量Cxが小さい場合に比較して電圧値が高くなる傾向はすぐに解消され、その後は、対地静電容量Cxが小さい場合と同様の波形となる。このため、準備期間経過後から一定期間経過した後のタイミング(時点T2,T5)に、検出電圧を取得することにより、対地静電容量Cxが大きい場合であっても、地絡抵抗Rxが小さいということ、すなわち、漏電していることを適切に判定することができる。
上記構成により、以下に示すような有利な効果を有する。
対地静電容量Cxが大きい場合、交流電圧を出力しても、対地静電容量Cxへの充電の影響により、検出電圧の時間変化が緩やかになる。すなわち、CR時定数が大きくなる。そこで、検出タイミング(時点T2,T5)よりも前に設定される準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)において出力する交流電圧の電圧値の絶対値「V1+V2」を、検出タイミングにおいて出力する交流電圧の電圧値の絶対値「V2」よりも大きくした。そして、検出タイミング(時点T2,T5)より前の準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)において、短期間で対地静電容量Cxへの充電を行うこととした。
これにより、対地静電容量Cxの影響を抑制することができ、対地静電容量Cxによる検出誤差を抑制して、判定精度を向上させることができる。また、準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)中に、交流電圧の絶対値を大きくすることにより、従来方法のように、一定電圧を印加し続ける場合に比較して、対地静電容量Cxへの充電を素早く完了させて、その影響を取り除くことができる。したがって、検出タイミング(時点T2,T5)を早期に設定することができ、電圧値を大きくする準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)を設けない場合に比較して、判定時間を短縮することができる。
準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)中に、対地静電容量Cxへの充電が行われても、準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)が開始してから検出タイミング(時点T2,T5)が終了するまでの間で交流電圧の極性が変化する場合、対地静電容量Cxが放電してしまい、充電の意味がなくなる。そこで、準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)が開始してから検出タイミングが終了するまでの間、交流電圧の極性を変化させることなく維持することで、対地静電容量Cxの充電状態を維持し、対地静電容量Cxによる検出誤差を抑制することとしている。
地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合、準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)の経過後、対地静電容量Cxによる放電により、検出電圧の絶対値が大きくなる場合がある(図4(b)の破線で示す)。そこで、制御部53は、準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)の終了後から所定時間経過後に検出電圧を取得することとし、対地静電容量Cxによる放電の影響を抑制し、検出誤差を抑制することとしている。
発振部54は、第1の矩形波の電圧(第1パルス信号)を出力する第1の交流電源54aと、第2の矩形波の電圧(第2パルス信号)を出力する第2の交流電源54bと、を有する。そして、発振部54は、準備期間(時点T0〜T1、時点T3〜T4)において、第1パルス信号と第2パルス信号と、を重複して出力するようにした。そして、準備期間の経過後、検出タイミング(時点T2,T5)が終了するまで、第2パルス信号のみを出力するようにした。これにより、準備期間において出力する交流電圧の電圧値の絶対値を、検出タイミングにおいて出力する交流電圧の電圧値の絶対値よりも大きくすることが、簡易な回路構成で達成することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の漏電判定装置50について説明する。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
第1実施形態における発振部54は、第1パルス信号を出力する第1の交流電源54aと、第2パルス信号を出力する第2の交流電源54bと、を有していたが、第2実施形態では、この構成を変更している。
すなわち、図5に示すように、発振部54として、交流電圧の波形を任意に変更することができる交流電源を採用している。そして、第2実施形態において、発振部54が出力する波形は、図6に示すように、準備期間開始の時点(時点T20、時点T23)に電圧値の絶対値がピークとなり、徐々に電圧値(の絶対値)が小さくなっていく、のこぎり波である。
このような波形の交流電圧とすることにより、検出タイミング(時点T22,T25)より前の準備期間(時点T20〜T21、時点T23〜T24)において、短期間で対地静電容量Cxへの充電を行うことができる。これにより、対地静電容量Cxの影響を抑制することができ、対地静電容量Cxによる検出誤差を抑制して、判定精度を向上させることができる。また、準備期間(時点T20〜T21、時点T23〜T24)中に、交流電圧の絶対値を大きくすることにより、従来方法のように、一定電圧を印加し続ける場合に比較して、対地静電容量Cxへの充電を素早く完了させて、その影響を取り除くことができる。したがって、検出タイミング(時点T22,T25)を早期に設定することができ、電圧値を大きくする準備期間(時点T20〜T21、時点T23〜T24)を設けない場合に比較して、判定時間を短縮することができる。
なお、第2実施形態において、発振部54が出力する交流電圧の波形は、検出タイミングにおける電圧値に比較して、準備期間における電圧値が大きくなるのであれば、のこぎり波に限らず任意に変更してもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の漏電判定装置50について説明する。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
上記実施形態では、準備期間における交流電圧(絶対値)を高く(大きく)することにより、対地静電容量Cxを充電し、検出タイミングで地絡抵抗Rxに対応した電圧が検出されるようにしている。しかしながら、準備期間における交流電圧(絶対値)が低すぎ、準備期間において対地静電容量Cxへの充電量が足らなかった場合、図4(a)の従来例と同様に、準備期間経過後も対地静電容量Cxに充電され続け、その影響により、検出電圧が低く検出される場合がある。この場合、漏電していると、誤判定する可能性がある。
一方で、準備期間における交流電圧が高すぎ、対地静電容量Cxに対して過剰な充電量となった場合、図4(b)にて説明したように、準備期間の経過後、対地静電容量Cxによる放電により、検出電圧(絶対値)が高く検出される場合がある。この場合、地絡抵抗Rxに対応した検出電圧とならず、漏電していないと、誤判定する可能性がある。
なお、検出電圧の検出タイミングを遅らせれば、いずれの場合も時間経過と共に検出電圧が適切な値となり、判定精度が向上するが、判定時間が長くなるという問題が生じる。
以上のことから、対地静電容量Cxに対して準備期間における交流電圧を適切に設定する必要がある。そこで、第3実施形態では、準備期間における交流電圧の電圧値を変更可能に構成されている。以下、詳しく説明する。
第3実施形態における漏電判定装置50は、図8に示すとおりである。図8に示す漏電判定装置50において、第1の交流電源54aは、準備期間における第1パルス信号の電圧値「V1」(絶対値)を変更可能に構成されている。なお、交流周期開始の時点T0から時点T1が経過するまでの期間、及び交流周期の後半開始の時点T3から時点T4が経過するまでの期間(第1パルス信号の出力期間)を単に準備期間と示す場合がある。
この第1の交流電源54aは、制御部53に接続されており、制御部53の指示により、第1パルス信号が設定(変更)される。これにより、制御部53は、検出タイミングよりも前に設定される準備期間における交流電圧の電圧値(V1+V2)を設定(変更)することが可能となる。このため、制御部53が設定部に相当する。
ところで、前述したように、準備期間における交流電圧を適切に設定するためには、対地静電容量Cxの電気容量が判別されていることが必要である。そこで、第3実施形態では、対地静電容量Cxの電気容量を判別したうえで、交流電圧(第1パルス信号)の電圧値を設定している。以下、制御部53により実施される交流電圧の設定処理について図9に基づいて説明する。
まず、制御部53は、第1パルス信号の電圧値「V1」として、制御部53に備えられているRAMなどの記憶部53aから第1の電圧値「V1a」を読み出す(ステップS101)。第1の電圧値「V1a」は、任意の電圧である。
そして、制御部53は、第1の電圧値「V1a」を発振部54に指示し、発振部54の第1の交流電源54aから、準備期間における電圧値が第1の電圧値「V1a」となる第1パルス信号を出力させる。これにより、発振部54から、準備期間において電圧値(絶対値)が第1の値(V1a+V2)となり、準備期間経過後の電圧値が「V2」となる第1の交流電圧が出力される。
第1の交流電圧を出力させた後、制御部53は、準備期間終了時点(時点T1又は時点T4)から所定時間経過した検出タイミング(例えば、時点T2又は時点T5)において、A/D変換部52を介して、接続点M2における電圧(検出電圧)を検出する(ステップS102)。第1の交流電圧を出力させた場合における検出電圧を、以下では、第1の検出電圧と示す。制御部53は、検出した第1の検出電圧を第1の交流電圧と対応付けて記憶部53aに記憶する。
その後、制御部53は、第1パルス信号の電圧値「V1」として、制御部53に備えられている記憶部53aから第2の電圧値「V1b」を読み出す(ステップS103)。この第2の電圧値「V1b」は、第1の電圧値「V1a」とは異なる任意の値である。
そして、制御部53は、第1の電圧値「V1b」を発振部54に指示し、発振部54の第1の交流電源54aから、準備期間における電圧値が第1の電圧値「V1b」となる第1パルス信号を出力させる。これにより、発振部54から、準備期間において出力させる電圧値の絶対値が第1の値(V1b+V2)となり、準備期間経過後の電圧値が「V2」となる第2の交流電圧を出力させる。
第2の交流電圧を出力させた後、制御部53は、準備期間終了時点(時点T1又は時点T4)から所定時間経過した検出タイミング(例えば、時点T2又は時点T5)において、接続点M2における電圧(検出電圧)を検出する(ステップS104)。第2の交流電圧を出力させた場合における検出電圧を、以下では、第2の検出電圧と示す。制御部53は、検出した第2の検出電圧を第2の交流電圧と対応付けて記憶部53aに記憶する。
次に、制御部53は、記憶部53aから第1の検出電圧及び第2の検出電圧を読み出し、それら複数の検出電圧に基づいて、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定する(ステップS105)。
ここで、複数の検出電圧に基づいて、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定する方法について詳しく説明する。車載モータ制御システムにおいて、発振部54、抵抗R1、対地静電容量Cx及び地絡抵抗Rxは、図10に示す等価回路にて表すことができる。なお、カップリングコンデンサC1は、その電気容量が対地静電容量Cxの電気容量「Cg」に対して十分大きく、省略可能であるため、この等価回路から省略している。
図10に示す等価回路において、発振部54から、図11(a)に示すような交流電圧が出力された場合における検出電圧の変化について説明する。図11(a)に示すような交流電圧は、図11(b)に示す第1パルス信号と図11(c)に示す第2パルス信号の合成電圧である。このため、検出電圧は、第1パルス信号が等価回路に出力された場合に検出される電圧と、第2パルス信号が等価回路に出力された場合に検出される電圧の合計に等しくなる。そこで、第1パルス信号が等価回路に出力された場合に検出される電圧と、第2パルス信号が等価回路に出力された場合に検出される電圧とに分けて考える。
第1パルス信号のみが出力された場合、当該第1パルス信号に基づいて接続点M2で検出される電圧「Vcg1(t)」は、準備期間中、図11(d)及び数式(4)に示すように上昇する。なお、数式において、「V1」は、準備期間中における第1パルス信号の電圧値である。また、「Rd」は、抵抗R1の抵抗値であり、「Rg」は、地絡抵抗Rxの抵抗値である。また、「Cg」は、対地静電容量Cxの電気容量であり、「t」は、交流周期開始からの経過時間である。
そして、準備期間経過後(第1パルス信号の電圧値がゼロとなった以降)における第1パルス信号に基づいて接続点M2で検出される電圧「Vcg1(t−tp)」は、図11(d)及び数式(5)に示すように下降する。なお、「tp」は、交流周期開始から準備期間終了までの経過時間である。
一方、第2パルス信号のみが出力された場合、当該第2パルス信号に基づいて接続点M2で検出される電圧「Vcg2(t)」は、図11(e)及び数式(6)に示すように上昇する。「V2」は、第2パルス信号の電圧値である。
前述したように、検出電圧「Vrd(td)」は、第1パルス信号が等価回路に出力された場合に検出される電圧と、第2パルス信号が等価回路に出力された場合に検出される電圧の合計に等しくなる。このため、検出電圧「Vrd(td)」は、数式(1)〜(3)に示すようになる。なお、「td」は、交流周期開始から検出タイミングまでの経過時間である。
数式(1)〜(3)において、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」と、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の2値が不明である。一方、抵抗R1の抵抗値「Rd」、交流周期開始から準備期間終了までの経過時間「tp」、交流周期開始から検出タイミングまでの経過時間「td」、第1パルス信号の電圧値「V1」、第2パルス信号の電圧値「V2」は、既知である。また、検出電圧「Vrd(td)」は、検出可能である。したがって、「Rd」、「tp」、「td」、「V1」、「V2」、「Vrd(td)」のうち2値を変更させて、電気容量「Cg」と抵抗値「Rg」の2値が不明である2つの方程式を取得し、当該方程式を解くことにより、電気容量「Cg」と抵抗値「Rg」を特定することが可能である。
第3実施形態では、第1パルス信号の電圧値「V1」を異ならせて、複数の検出電圧「Vrd(td)」を取得する。そして、検出電圧「Vrd(td)」と各検出電圧「Vrd(td)」を検出する際に出力された第1パルス信号の電圧値「V1」の組み合わせを複数(2組以上)、取得し、当該複数の組み合わせを数式(1)〜(3)に代入し、方程式を解くことにより、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」と、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の2値を算出することができる。
なお、計算により電気容量「Cg」と抵抗値「Rg」を算出することは可能であるが、計算量が多くなる可能性がある。そこで、第3実施形態では、次の方法で対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定している。
すなわち、制御部53は、第1の交流電圧を構成する第1パルス信号の電圧値「V1a」及び第1の検出電圧を前記数式(1)〜(3)に代入することにより第1のCg−Rg曲線(第1の対地静電容量−地絡抵抗曲線)を取得する。第1のCg−Rg曲線の例を図12(a)に示す。なお、検出電圧の違いにより、第1のCg−Rg曲線は、異なり、検出電圧が小さいほど、図12(a)の左側の曲線に近づく。
次に、制御部53は、第2の交流電圧を構成する第1パルス信号の電圧値「V1b」及び第2の検出電圧を数式(1)〜(3)に代入することにより第2のCg−Rg曲線(第2の対地静電容量−地絡抵抗曲線)を取得する。第2のCg−Rg曲線の例を図12(b)に示す。なお、第2の交流電圧を構成する第1パルス信号の電圧値「V1b」は、第1の交流電圧を構成する第1パルス信号の電圧値「V1a」に比較して大きな値としている。また、検出電圧の違いにより、第2のCg−Rg曲線は、異なり、検出電圧が小さいほど、図12(b)の左側の曲線に近づく。
そして、制御部53は、第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線との交点から、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定する。
例えば、図13に地絡抵抗が大きい場合における第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線との交点の例を示す。電気容量「Cg」が小さい場合、図13(a)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。また、電気容量「Cg」が中程度の場合、図13(b)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。また、電気容量「Cg」が大きい場合、図13(c)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。
同様に、図14に地絡抵抗が中程度の場合における第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線との交点の例を示す。電気容量「Cg」が小さい場合、図14(a)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。また、電気容量「Cg」が中程度の場合、図14(b)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。また、電気容量「Cg」が大きい場合、図14(c)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。
同様に、図15に地絡抵抗が小さい場合における第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線との交点の例を示す。電気容量「Cg」が小さい場合、図15(a)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。また、電気容量「Cg」が中程度の場合、図15(b)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。また、電気容量「Cg」が大きい場合、図15(c)に示すように第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線とが交差する。
以上のように、制御部53は、第1のCg−Rg曲線と、第2のCg−Rg曲線との交点から、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定することができる。
そして、制御部53は、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」に応じて、第1パルス信号の電圧値「V1」を設定する(ステップS105)。すなわち、準備期間中、交流電圧(合成電圧)による充電量が対地静電容量Cxの電気容量「Cg」に対して等しくなるように、第1パルス信号の電圧値「V1」を設定する。電気容量「Cg」に応じた第1パルス信号の電圧値「V1」は、例えば、電気容量「Cg」に応じて適切な第1パルス信号を実験により求め、その結果をマップに記憶し、当該マップを参照して設定すればよい。また、計算により、算出してもよい。
なお、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」は、車両ごとにほぼ一定の値を取り続ける。このため、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を1度算出することができれば、適切な交流電圧を印加することが可能となる。また、図13〜図15に示すように、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」が小さい場合、電気容量「Cg」の分解能が低くなる。このため、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定する場合には、整備後など、確実に絶縁されているタイミングにおいて実行することが望ましい。
以上のように、第1パルス信号を異ならせることにより複数の検出電圧を検出し、複数の検出電圧に基づいて電気容量「Cg」を特定することができる。また、第3実施形態では、制御部53が、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定し、電気容量「Cg」に応じて、第1パルス信号の電圧値「V1」が適切な値となるように、設定(変更)することができる。これにより、準備期間中に、対地静電容量Cxに対して適切に充電することができ、漏電の判定精度を向上させることができる。また、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を一度特定した場合、それ以降、複数の検出電圧を取得する必要がなく、判定時間を短くすることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の漏電判定装置50について説明する。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
第3実施形態で述べたように、複数の検出電圧から、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」と、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定することができる。そこで、第4実施形態では、複数の検出電圧から、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定し、当該抵抗値「Rg」に基づいて漏電を判定するようにしている。以下、詳しく説明する。なお、第3実施形態と同様の構成は、その説明を省略する。
以下、制御部53により実施される漏電判定処理について図16に基づいて説明する。漏電判定処理は、所定のタイミング(例えば、エンジン始動時など)、又は所定周期ごとに実行される。
漏電判定処理のステップS201〜S202では、設定処理のステップS101〜S102と同様にして、制御部53は、第1の検出電圧を第1の交流電圧と対応付けて記憶部53aに記憶する。また、漏電判定処理のステップS203〜S204では、設定処理のステップS103〜S104と同様にして、制御部53は、第2の検出電圧を第2の交流電圧と対応付けて記憶部53aに記憶する。
次に、制御部53は、記憶部53aから第1の検出電圧及び第2の検出電圧を読み出し、それら複数の検出電圧に基づいて、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定する(ステップS205)。複数の検出電圧に基づいて、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定する方法は、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を特定する方法と同様である。
すなわち、第1の検出電圧と第1の交流電圧の組み合わせと、第2の検出電圧と第2の交流電圧の組み合わせを、それぞれ数式(1)〜(3)に代入し、方程式を解くことにより、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」と、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の2値を算出する。
なお、第4実施形態でも第3実施形態と同様にして、第1のCg−Rg曲線と第2のCg−Rg曲線を取得し、それらの交点から地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定してもよい。
そして、制御部53は、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」が漏電を示す判定値以下であるか否かを判定する(ステップS206)。この判定結果が肯定の場合には、制御部53は、漏電していると判定し、その結果を出力する(ステップS207)。一方、否定の場合には、制御部53は、絶縁している(漏電していない)と判定し、その結果を出力する(ステップS208)。そして、漏電判定処理を終了する。
以上のように、第4実施形態では、制御部53が、複数の検出電圧から地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定し、抵抗値「Rg」に基づいて、漏電を判定することができる。これにより、対地静電容量Cxに関わらず、漏電を精度よく判定することができる。
また、図15に示すように、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」が小さい場合には、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」の分解能が悪くなるが、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の分解能は悪くならないため、漏電を精度よく判定することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の漏電判定装置50について説明する。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
第3実施形態で述べたように、第1パルス信号の電圧値「V1」は、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」に対して適切な値とする必要がある。第3実施形態では、実験により定めたマップを参照することにより、若しくは、計算により、適切な電圧値を特定していた。しかしながら、これらの方法では、手間がかかっていた。そこで、より簡単に、第1パルス信号の電圧値「V1」を適切な値とするため、第5実施形態では、図17に示すような設定処理を実施している。以下、詳しく説明する。なお、漏電判定装置50の回路構成は、第3実施形態と同様である。
まず、制御部53は、記憶部53aから対地静電容量Cxの電気容量「Cg」、第1パルス信号の初期値「V1f」を読み取り、取得する(ステップS301)。このため、制御部53は、取得部に相当する。対地静電容量Cxの電気容量「Cg」は、第3実施形態で述べたような方法で、特定してもよいし、測定してもよい。対地静電容量Cxの電気容量「Cg」は、同じ種類の車両であれば、ほぼ同じ値となるため、同じ種類の車両の対地静電容量Cxの電気容量「Cg」を記憶しておいてもよい。第1パルス信号の初期値「V1f」は、任意の値である。制御部53は、読み取った初期値「V1f」を、第1パルス信号の電圧値「V1」の仮値として設定する。
次に、制御部53は、検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係を示す基準線を記憶部53aから取得する(ステップS302)。基準線とは、交流周期開始から検出タイミングまで交流電流の電圧値が同じであると仮定した場合であって、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」がゼロであると仮定した場合における検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係を示すものである。つまり、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」がゼロである場合であって、第1パルス信号を出力せず、第2パルス信号のみで構成される交流電圧を出力させた場合(すなわち、理想的な状態である場合)に、検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係を示すものである。
対地静電容量Cxの電気容量「Cg」がゼロであり、準備期間において充電の必要がない場合、第2パルス信号のみで構成される交流電圧を出力させると、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」に対して理想的な検出電圧「Vrd」が出力される。つまり、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」がゼロである場合、第1パルス信号を出力しなくても、検出電圧「Vrd」に対して地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の分解能が最もよくなる。この分解能が最もよくなる状態における検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係を基準線としている。
なお、基準線は、数式(1)〜(3)において、第1パルス信号の電圧値「V1」をゼロとし、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」をゼロにすることにより求めることができる。具体的には、数式(7)及び図18(a)に示すようになる。
そして、制御部53は、ステップS301で取得した対地静電容量Cxの電気容量「Cg」に応じて、第1パルス信号の電圧値「V1」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の関係性を示す校正線を記憶部53aから取得する(ステップS303)。校正線は、対地静電容量Cxの電気容量が、ステップS301で取得した電気容量「Cg」であることを前提としたときに、検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係が基準線と一致するように定められたものである。すなわち、校正線は、基準線が示す検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係を維持するため、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」に対してどのような第1パルス信号の電圧値「V1」を出力すればよいかを示すものである。
校正線は、例えば、数式(1)〜(3)、(7)を解けば、求めることができる。この校正線は、例えば、図18(b)に示すようになる。なお、実験などにより電気容量「Cg」ごとに校正線を測定し、その結果をマップとして記憶し、当該マップを参照して校正線を取得してもよい。
次に、制御部53は、ステップS301又は後述するステップS310で設定された仮値を、第1パルス信号の電圧値「V1」として設定し、発振部54に出力させる(ステップS304)。その後、制御部53は、A/D変換部52を介して検出電圧を検出する(ステップS305)。
次に、制御部53は、基準線を参照して、ステップS305で検出された検出電圧に対応する地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」(以下、第1の地絡抵抗「Rg1」と示す)を特定する(ステップS306)。
また、制御部53は、ステップS303で取得した校正線を参照して、ステップS301又はステップS310で設定された仮値に対応する地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」(以下、第2の地絡抵抗「Rg2」と示す)を特定する(ステップS307)。
そして、制御部53は、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」の差が、所定の範囲内であるか否かを判定する(ステップS308)。具体的には、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」の差(絶対値)が、所定の判定用閾値「Rer」よりも小さいか否かを判定する。
この判定結果が肯定の場合、制御部53は、仮値が第1パルス信号の電圧値「V1」として適切なものであるとして、当該仮値を第1パルス信号の電圧値「V1」の真値として設定する(ステップS309)。そして、設定処理を終了する。
一方、ステップS308の判定結果が否定の場合、制御部53は、第1パルス信号の電圧値「V1」の仮値を補正し、再設定する(ステップS310)。具体的には、制御部53は、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」の間の値を算出し、校正線を参照して、当該値に対応する第1パルス信号の電圧値を特定し、特定した値を新たな仮値として再設定する。
例えば、制御部53は、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」の中間値(平均値)を算出し、校正線を参照して、中間値に対応する第1パルス信号の電圧値を特定し、特定した値を新たな仮値として再設定する。その後、ステップS304に移行し、ステップS304以降の処理を再び実行する。
ステップS304〜ステップS310を繰り返し実行することにより、図19に示すように、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」との差がなくなり、真値を定めることができる。図19では、仮値が3回設定されることにより、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」との差がなくなり、真値が定められる様子を示している。
以下、第5実施形態では、次のような効果を得ることができる。
第1パルス信号の電圧値「V1」がゼロであり、かつ、対地静電容量Cxの電気容量「Cg」がゼロであると仮定した場合、検出電圧「Vrd」に対する地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」の分解能が良くなる。つまり、地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を精度よく検出しやすくなる。そこで、基準線に近づくように、第1パルス信号の電圧値「V1」を繰り返し変更して、真値を特定し、設定するようにした。これにより、対地静電容量Cxに対して適切な充電量となるように、第1パルス信号の電圧値を変更することができる。
また、第1パルス信号の電圧値「V1」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係を示す校正線は、対地静電容量CxがステップS301で取得した測定値であるとした場合に、検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係が基準線と一致するように定められている。このため、仮値が発振部54から出力された場合に検出された検出電圧「Vrd」に基づいて、基準線から特定された第1の地絡抵抗「Rg1」と、校正線から仮値に対応する第2の地絡抵抗「Rg2」とは、一致するはずである。
そこで、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」との比較に基づいて、静電容量「Cg」に対して適切な充電量となるように、第1パルス信号の電圧値の真値を設定することができる。
また、制御部53は、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」との差が所定の範囲内でない場合、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」との中間値を算出し、校正線を参照して、当該中間値に対応する電圧値を特定し、当該電圧値を新たな仮値として再設定する。一方、第1の地絡抵抗「Rg1」と第2の地絡抵抗「Rg2」との差が所定の範囲内となった場合、仮値を真値として設定する。これにより、簡単な計算で、かつ、変更回数を少なくして、真値を特定することができる。
なお、第5実施形態では、検出電圧「Vrd」と地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」との関係が、基準線に近づくように、真値を特定している。このため、校正線から当該真値に基づいて地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定してもよい。また、基準線を参照して、検出電圧「Vrd」から地絡抵抗Rxの抵抗値「Rg」を特定してもよい。そして、当該抵抗値「Rg」に基づいて漏電判定を行ってもよい。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
・上記実施形態では、準備期間中、出力する交流電圧の絶対値を大きくするため、検出電圧も高くなる場合がある。特に、地絡抵抗Rxが小さい場合であって、対地静電容量Cxが大きい場合(図4(b)の破線で示す場合)、準備期間の経過後、対地静電容量Cxによる放電により、検出電圧の絶対値が大きくなる場合がある。そこで、準備期間における交流電圧の絶対値(V1+V2)以上の値を少なくともフィルタリングするフィルタ部を備え、制御部53は、フィルタ部を介して検出電圧を入力してもよい。フィルタ部は、接続点M2とA/D変換部52との間に設けることが望ましい。
これにより、準備期間中に出力した交流電圧の影響を抑制することができる。また、対地静電容量Cxによる放電の影響を抑制して、判定精度を向上させることができる。また、フィルタ部を設けることにより、準備期間から一定期間経過後に検出タイミングを設定する必要がなくなるため、判定時間を短縮することも可能である。なお、フィルタ部がフィルタリングする電圧値の範囲は、準備期間において出力される交流電圧の電圧値や準備期間の長さ等に基づいて、適切に調整されることが望ましい。具体的には、準備期間において出力される交流電圧の電圧値が大きいほど、フィルタリングされる電圧値を大きくすることが望ましい。また、準備期間が長いほど、フィルタリングされる電圧値を大きくすることが望ましい。また、対地静電容量Cxが大きいと予想されるほど、フィルタリングされる電圧値を大きくすることが望ましい。
・上記実施形態において、発振部54が出力する交流電圧は、極性が変更するものであったが、極性を変更しないものであってもよい。例えば、出力(電圧印加)と停止を繰り返す交流電圧であってもよい。
・上記実施形態において、準備期間の終了から一定期間経過後に、検出タイミングを設定したが、準備期間の終了直後に検出タイミングを設定してもよい。この場合、準備期間において出力される交流電圧の電圧値や準備期間の長さを適切に調整すればよい。
・上記実施形態において、交流電圧の波形は、上述した波形に限らない。検出タイミングにおける電圧値の絶対値に比較して、準備期間における電圧値の絶対値が大きくなるのであれば、任意に変更してもよい。
・上記実施形態において、「直流電源」として組電池10を用いたが、当該構成に代えて、「直流電源」として単電池を用いてもよい。
・上記実施形態において、漏電の有無を判定する高電圧回路は「直流電源(電圧源)」を有するものであればよく、上記実施形態の回路に限定されるものではない。
・上記実施形態において、準備期間の開始タイミングは、交流周期の開始タイミングと同じにしたが、検出タイミングよりも前であれば、任意に変更してもよい。例えば、図7に示すように、交流周期開始から所定時間経過した時点T30において、準備期間を設定してもよい。つまり、第1実施形態でいえば、第2パルス信号の出力開始から所定時間経過した時点T30において、第1パルス信号と第2パルス信号とを重複して出力してもよい。
・上記実施形態において、発振部54は、第1の交流電源54aと、第2の交流電源54bを有していたが、任意電圧波形印加回路にて、第1パルス信号と第2パルス信号の合成電圧を出力させるように構成してもよい。
・上記第3実施形態では、対地静電容量Cxを複数の検出電圧に基づいて算出したが、予め対地静電容量Cxを測定しておき、当該対地静電容量Cxに応じて、第1パルス信号を設定してもよい。
・上記実施形態において、第1パルス信号の電圧値「V1」を変更して、複数の検出電圧を取得し、複数の検出電圧に基づいて、対地静電容量Cx又は地絡抵抗Rxを特定した。この別例として、第2パルス信号の電圧値「V2」を変更して、複数の検出電圧を取得してもよい。同様に、交流電圧の印加開始から検出タイミングまでの時間「td」、又は交流電圧の印加開始から準備期間が終了するまでの時間「tp」を変更して、複数の検出電圧を取得してもよい。これらの検出電圧からでも対地静電容量Cx又は地絡抵抗Rxを特定可能である。
なお、交流電圧の印加開始から検出タイミングまでの時間「td」を変更することにより、交流電圧の印加開始から検出タイミングまでの第2パルス信号の出力時間が変更されることとなる。このため、時間「td」を変更することにより、第2パルス信号の種類が実質的に変更されるともいえる。
同様に、交流電圧の印加開始から準備期間が終了するまでの時間「tp」を変更することにより、第1パルス信号の出力時間が変更されることとなる。このため、時間「tp」を変更することにより、第1パルス信号の種類が実質的に変更されるともいえる。
・上記第3実施形態〜第5実施形態及び別例において、地絡抵抗Rxを特定するのであれば、対地静電容量Cxを特定しなくてもよい。
・上記第3実施形態又は第4実施形態において、第1パルス信号の電圧値「V1a」又は「V1b」のいずれか一方をゼロにしてもよい。