以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、サーバ50が、特許請求の範囲に記載の「管理装置」に対応する。また、本実施形態の給湯システム1のうち、暖房機能に関する構成が、特許請求の範囲に記載の「温水式暖房システム」に対応する。但し、以下の実施形態は、本発明の一実施形態を例示するものであって、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る給湯システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、ルータ20と、携帯端末装置30と、外部通信網40と、サーバ50と、音声受付ユニット60と、音声処理クラウド70と、を備える。
給湯装置10は、温水暖房機能を備えた給湯装置である。すなわち、給湯装置は、給湯機能と温水暖房機能とを備える。また、これらの機能により、追い焚きや湯張り等の風呂機能が行われる。
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13を備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。
本実施形態では、給湯器11が、床暖房機能および浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備えている。したがって、給湯口11aには、これらの暖房機器に温水を供給するための配管が接続され得る。暖房機器として、たとえば、高温水暖房機器としての浴室温水暖房乾燥機や、低温水暖房機器としての床暖房機等が挙げられる。図1の例では、床暖房機14が、配管11bを介して、給湯口11aに接続されている。たとえば、6つの給湯口11aに、それぞれ、暖房機器を接続することが可能である。
給湯器11の入水口から入ってきた水が、給湯器11内の給湯用熱交換器で加熱されて、給湯器11の1つの給湯口11aから出て行く。こうして給湯口11aから出た湯が、その下流の配管で分岐され、台所の先栓や浴室のシャワー器具等に供給される。
暖房用の循環配管は、給湯器11と暖房機器とを接続する。給湯器11内には、循環配管の中途に循環ポンプを備える。すなわち、給湯器11内の暖房用熱交換器で加熱された熱媒水が循環配管(往き路)で暖房機器に供給され、暖房機器で放熱された熱媒水が循環配管(戻り路)で給湯器11に戻される。全ての暖房機器の戻り路が、給湯器11の1つの戻り口に集約されて接続される。
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12、13は、それぞれ、表示部121、131と、入力部122、132とを備える。操作者は、表示部121、131に表示された画面に従って入力部122、132を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40を介してサーバ50に接続するための無線ルータである。
台所リモコン13は、無線通信により、ルータ20に接続される。ルータ20は、台所リモコン13を外部通信網40に接続するための通信中継器である。また、携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、基地局80または外部に設置されたルータ(図示せず)を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信され保持される。このとき同時に、台所リモコン13のID情報が、台所リモコン13からサーバ50に送信される。台所リモコン13のアドレス情報として、たとえば、台所リモコン13の無線通信部136(図2参照)に保持されたMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。台所リモコン13のID情報として、たとえば、台所リモコン13の無線通信部136のTHINGが用いられる。
また、台所リモコン13と携帯端末装置30は、所定の設定操作によって、互いにペアリングされる。ペアリングの情報は、サーバ50に登録され、管理される。すなわち、サーバ50において、台所リモコン13のID情報と携帯端末装置30のID情報とが対応付けて保持される。このとき、通信に用いる携帯端末装置30のアドレス情報も、サーバ50において管理される。携帯端末装置30のID情報として、たとえば、携帯端末装置30の無線通信部のUUID(Universally Unique Identifier)またはGUID(GloballyUnique Identifier)が用いられる。また、携帯端末装置30のアドレス情報として、たとえば、MACアドレスが用いられる。
図1の構成において、操作者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を行うことができる。
すなわち、携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、操作者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を送信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、操作者が要求する内容の設定が、遠隔操作により、給湯装置10に適用される。
また、給湯装置10の状態情報が、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。サーバ50は、受信した状態情報を、給湯装置10ごとに管理する。操作者から携帯端末装置30に入力された遠隔監視の閲覧要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、閲覧要求を送信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10のうち、閲覧要求により指定された給湯装置10の状態情報を、当該携帯端末装置30に送信する。これにより、給湯装置10の状態が、携帯端末装置30において出力される。こうして、操作者は、給湯装置10の状態を、宅内H10および宅外の両方において確認できる。
なお、本実施形態では、浴室リモコン12および台所リモコン13の他に、音声入力により、給湯装置10に対する設定が可能となっている。本実施形態では、音声受付ユニット60が、宅内H10に設置されている。音声受付ユニット60は、マイクロフォンおよびスピーカを備える。音声受付ユニット60は、音声入力の要求やガイダンス等を出力し、また、使用者からの音声入力を受け付ける。音声受付ユニット60として、たとえば、スマートスピーカーが用いられる。音声受付ユニット60は、ルータ20と無線通信で接続される。
音声受付ユニット60に入力された音声は、ルータ20および外部通信網40を介して、音声処理クラウド70に送信される。音声処理クラウド70は、入力された音声に音声認識処理を施して、音声入力に応じた命令情報(インテント)を生成し、生成した命令情報をサーバ50に送信する。サーバ50は、命令情報に基づく設定情報を、外部通信網40およびルータ20を介して、台所リモコン13に送信する。こうして、音声入力に基づく設定が、給湯装置10に対して行われる。
なお、音声入力に基づく設定は、暖房機器に対する設定の他、風呂機能(風呂温度、追い焚き等)や給湯機能等の、給湯システム1における他の機能の設定にも用いられ得る。サーバ50は、予め、命令情報から各機能の設定情報を取得するためのアルゴリズムを備えている。サーバ50は、このアルゴリズムに基づいて、音声入力に対応する設定情報を取得し、取得した設定情報を台所リモコン13に送信する。
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114とを備える。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。
水位センサ114は、給湯装置10が接続された浴槽の水位を検出する。水位センサ114は、たとえば、浴槽に接続された配管内の水圧によって浴槽の水位を検出する。制御部111は、水位センサ114により検出される水位の変化によって、浴槽に対し人が入浴および退出したことを検出する。
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、入室センサ126とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
制御部123は、CPUを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。入室センサ126は、浴室に対する人の出入りを検出する。入室センサ126は、たとえば、赤外線を用いた人感センサである。制御部123は、入室センサ126の出力に基づいて、浴室に人が入ったことを検出する。
台所リモコン13は、上述の表示部131および入力部132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135を備える。表示部131は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンを備える。表示部131が、タッチパネルであってもよい。制御部133は、CPUを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。
さらに、台所リモコン13は、無線通信部136を備える。無線通信部136は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。
音声受付ユニット60は、マイクロフォン601と、スピーカ602と、制御部603と、記憶部604と、無線通信部605とを備える。制御部603は、CPUを備え、記憶部604に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部604は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。無線通信部605は、制御部603からの制御に従って、ルータ20と通信を行う。無線通信部605は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、通信を行う。
なお、サーバ50には、上述の状態情報の他に、構成情報が台所リモコン13から送信される。
ここで、構成情報とは、給湯装置10に関連して設置された設備の構成を示す情報のことである。たとえば、給湯装置10に接続された浴室暖房設備や床暖房設備等の各設備の情報や、給湯装置10に接続されているルータ20等の機器の情報が、構成情報に含まれる。構成情報は、台所リモコン13の記憶部134に記憶され、給湯装置10に関連して設置された設備の構成が変更されるごとに更新される。構成情報は、サーバ50に送信されて、サーバ50で管理され、遠隔制御に用いられる。
図3(a)は、サーバ50において管理される構成情報のうち暖房機器に関する構成情報を示す図である。
図3(a)に示すように、暖房機器の構成情報は、暖房機器を接続可能な6つの給湯口11a(T1〜T6)と、各給湯口11aに暖房機器が接続されているか否かを示すフラグ(接続フラグ)と、各暖房機器の名称(暖房機器名称)とが対応付けて記憶されている。接続フラグが○である給湯口11aに暖房機器が接続されている。暖房器名称は、携帯端末装置30や台所リモコン13を用いて、使用者により任意に設定される。図3(a)の例では、T1〜T6の給湯口11aのうち、T1、T2の給湯口11aに、暖房機器が設置されている。これら暖房機器の名称として、“リビング”と“浴室”が付されている。
図2に戻り、音声処理クラウド70は、制御部701と、記憶部702と、通信部703を備える。制御部701は、CPUを備え、記憶部702に記憶されたプログラムに従って音声処理等の処理を行う。記憶部702は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の処理プログラムおよびデータを記憶する。通信部703は、制御部701からの制御に従って、通信を行う。
図3(b)は、音声処理クラウド70における機能を概念的に示す図である。
音声処理クラウド70の制御部701は、記憶部702に記憶された上記プログラムによって、音声認識AI(Artificial Intelligence)部701aの機能と、自然言語処理AI部701bの機能とを実行する。音声認識AI部701aは、受信した音声入力を音声認識して音声入力に対応する文字列(テキスト)を生成する。自然言語処理AI部701bは、音声認識AI部701aにより生成された文字列(テキスト)に形態素解析や構文解析等の処理を行って、文字列(テキスト)に応じた命令情報(インテント)を生成する。
音声処理クラウド70として、給湯システム1に特化していない汎用的な音声処理クラウド70が用いられ得る。たとえば、音声処理クラウド70として、アマゾン社やアップル社によって管理される音声処理クラウドが用いられる。音声処理クラウド70では、不特定多数の音声入力を機械学習処理して得たデータに基づいて音声認識処理が行われるため、音声入力に基づく命令情報を精度よく生成できる。
音声受付ユニット60が宅内H10に設置される際、音声受付ユニット60とサーバ50との間で情報を送受信するための設定(スキル設定)が行われる。たとえば、この設定は、台所リモコン13にペアリングされている携帯端末装置30を用いて、使用者によって行われる。この設定により、音声受付ユニット60とサーバ50との間の通信に適用される固有の認証パスワード(トークン)が付与される。認証パスワードは、音声受付ユニット60とサーバ50に共有される。さらに、この設定により、認証パスワード(トークン)に、台所リモコン13のID情報がペアリングされる。ペアリング情報は、たとえば、音声処理クラウド70とサーバ50とを中継する中継サーバ(図示せず)に保持される。
図4は、給湯装置10を音声入力により制御する際に各装置間で行われる情報の送受信の流れを示すシーケンス図である。なお、図4では、中継サーバの図示が省略されている。
音声受付ユニット60に対して音声入力がなされると、シーケンス(1)において、音声入力に基づく送信情報が、音声受付ユニット60から音声処理クラウド70に送信される。この送信情報には、上述の認証パスワード(トークン)が付されている。
ここで、使用者は、音声入力により給湯装置10を制御する場合、所定のスキル名に続けて、制御のための音声を発声する。たとえば、スキル名が「ノーリツ」である場合、「ノーリツ_床暖房を入れて」の音声入力がなされると、スキル名である「ノーリツ」により、「床暖房を入れて」の音声入力(制御のための音声入力)に基づく命令情報の送信先が、サーバ50に特定される。このスキル名は、上述のスキル設定の際に、中継サーバに保持される。
音声処理クラウド70は、送信情報を受信すると、シーケンス(2)において、送信情報に含まれる音声情報、すなわち、音声入力に対応する音声情報に対し、上述の音声認識処理を行い、命令情報(インテント)を生成する。生成された命令情報は、認証パスワード(トークン)で暗号化された後、認証パスワード(トークン)とともに、中継サーバを介してサーバ50に受け渡される。
中継サーバは、認証パスワード(トークン)により命令情報を復号し、命令情報に含まれるスキル名に基づいて、命令情報の送信先をサーバ50に特定する。また、中継サーバは、自身が管理しているペアリング情報から、受信した認証パスワード(トークン)にペアリングされている台所リモコン13のID情報を抽出し、抽出したID情報と、スキル名を除く命令情報(インテント)とを、認証パスワード(トークン)で暗号化して、認証パスワード(トークン)とともに、サーバ50に送信する。これにより、命令情報(インデント)がサーバ50により受信される。
サーバ50は、命令情報(インテント)を受信すると、認証パスワード(トークン)に基づき命令情報を復号する。そして、サーバ50は、復号した命令情報だけでは設定情報を取得できない場合、シーケンス(3)〜(6)によって、設定情報の取得に必要な追加の音声入力を要求する処理を実行する。
すなわち、シーケンス(3)、(4)において、追加の音声入力を使用者に促す音声に応じた音声情報が、サーバ50から中継サーバおよび音声処理クラウド70を介して音声受付ユニット60に送信される。これにより、音声情報に基づく音声が、音声受付ユニット60から出力される。使用者は、出力された音声にて要求された音声入力を、音声受付ユニット60に対して行う。これにより、シーケンス(5)において、音声入力が音声処理クラウド70に送信され、さらに、シーケンス(6)において、音声入力に基づく命令情報がサーバ50に送信される。シーケンス(5)、(6)の処理は、シーケンス(1)、(2)の処理と同様である。
サーバ50は、こうして追加の命令情報を受信すると、シーケンス(7)の処理を実行する。すなわち、サーバ50は、シーケンス(3)で受信した命令情報と追加の命令情報とに基づいて、設定情報を生成する。そして、サーバ50は、生成した設定情報を、命令情報とともに受信したID情報により特定される台所リモコン13に送信する。こうして、給湯装置10に対して、音声入力に基づく設定が適用される。
なお、シーケンス(2)で取得された命令情報のみにより設定情報が生成され得る場合は、シーケンス(3)〜(6)が省略される。また、シーケンス(3)〜(6)により取得された追加の命令情報によっても未だ設定情報が生成され得ない場合は、シーケンス(3)〜(6)が再度実行される。すなわち、設定情報の取得が可能となるまで、シーケンス(3)〜(6)が繰り返し実行される。
ところで、暖房機器は、リビングや寝室、浴室等、複数の場所に設置され得る。このため、音声入力により暖房機器を制御する際には、何れの暖房機器が制御対象であるかが特定される必要がある。たとえば、初回の音声入力において、「ノーリツ_床暖房を入れて」との音声が入力された場合、制御対象の暖房機器がこの音声入力によって特定されていない。この場合、通常、シーケンス(3)〜(6)により、暖房機器を特定するための音声入力が、使用者に対して要求される。たとえば、「どの暖房機器を動作させるかを指定して下さい」との音声が、音声受付ユニット60から出力される。使用者は、この音声出力に対し、たとえば、「ノーリツ_リビング」と音声入力する。この音声入力により、「リビング」の名称が付された暖房機器が、動作対象として特定される。
しかし、暖房機器が1つしか設置されていない場合に、使用者に、逐次、このような要求がなされると、音声入力による簡便性が損なわれる。また、暖房機器に設定が適用されるまでに不要な時間が掛かってしまい、音声入力による設定を暖房機器に迅速に適用することができない。これらの事由により、給湯システム1の利便性が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、より簡便かつ迅速に、音声入力による設定を暖房機器に適用するための構成がサーバ50に設けられている。
図5(a)は、音声入力が行われた際にサーバにおいて実行される処理を示すフローチャートである。
サーバ50の制御部501は、音声処理クラウド70から暖房機器に関する命令情報を受信すると(S11:YES)、受信した命令情報において暖房機器が特定されているか否かを判定する(S12)。たとえば、受信した命令情報が、「暖房を入れて」の音声入力に基づくものである場合、制御部501は、暖房機器が特定されていないと判定する。他方、受信した命令情報が、「リビングの暖房を入れて」の音声入力に基づくものである場合、制御部501は、設定対象の暖房機器として名称が「リビング」の暖房機器が特定されていると判定する。
命令情報において暖房機器が特定されている場合(S12:YES)、制御部501は、命令情報によって設定情報を生成できるとして、処理をステップS16に進める。すなわち、制御部501は、命令情報に応じた設定情報を生成し、生成した設定情報を、設定対象の給湯装置10(台所リモコン13)に送信する。これにより、制御対象の暖房機器に、音声入力に応じた設定がなされる。たとえば、音声入力が「リビングの暖房を入れて」である場合、リビングルームの暖房機器(たとえば、床暖房器)の動作が開始される。
他方、命令情報において暖房機器が特定されていない場合(S12:NO)、制御部501は、制御対象の給湯装置10における暖房機器の構成情報を参照し(S13)、当該構成情報が、設定情報を生成し得る所定の条件を満たすか否かを判定する(S14)。
図5(b)は、ステップS14における判定処理の一例を示すフローチャートである。
制御部501は、構成情報として登録されている暖房機器が1つであるか否かを判定する(S21)。すなわち、図3(a)に示した構成情報において、○が付されている接続フラグの数が1つであるか否かを判定する。図3(a)の例では、○が付されている接続フラグの数が2つであるので、ステップS21の判定はNOとなる。この場合、制御部501は、条件が充足されていないと判定する(S23)。他方、○が付されている接続フラグの数が1つである場合、ステップS21の判定はYESとなる。この場合、制御部501は、条件が充足されていると判定する(S22)。
図5(a)に戻り、条件が充足されていない場合(S14:NO)、制御部501は、暖房機器の特定を使用者に要求する音声を音声受付ユニット60に出力させる処理を実行する(S15)。これにより、図4に示したシーケンス(3)〜(6)の処理が実行される。このシーケンスによって暖房機器を特定する追加の命令情報を受信すると、制御部501は、追加の命令情報と、ステップS11で受信した命令情報とに基づき設定情報を生成し、生成した設定情報を、設定対象の給湯装置10(台所リモコン13)に送信する(S16)。これにより、制御対象の暖房機器に、音声入力に応じた設定がなされる。
他方、条件が充足されている場合(S14:YES)、制御部501は、ステップS15の処理をスキップし、処理をステップS16に進める。この場合、図4に示したシーケンス(3)〜(6)の処理は、実行されない。ステップS16において、制御部501は、構成情報に登録されている暖房機器が1つしかないので、この暖房機器を制御対象として特定する。そして、制御部501は、特定した暖房機器と、ステップS11で受信した命令情報とに基づき設定情報を生成し、生成した設定情報を、設定対象の給湯装置10(台所リモコン13)に送信する(S16)。これにより、当該暖房機器に、音声入力に応じた設定がなされる。
なお、図5(a)のステップS14の条件は、図5(b)のステップS21の条件に限られるものではない。たとえば、構成情報が、暖房機器の故障を示す情報を含む場合、故障でない暖房機器の数が条件とされてもよい。すなわち、制御可能な暖房機器の数(制御対象となるべき暖房機器の数)がステップS21の条件とされてもよい。たとえば、構成情報として2つの暖房機器が登録されているが、そのうち一方が故障の場合、故障でない暖房機器は1つだけとなる。この場合、ステップS14の判定はYESとなり、ステップS16では、故障でない暖房機器を制御対象の暖房機器として、設定情報が生成される。この他、構成情報に基づいて制御対象の暖房機器を特定可能である限りにおいて、他の条件がステップS14の条件として設定されてもよい。
また、構成情報に含まれる暖房機器が2台であり、そのうち動作できない暖房機器が1台含まれる場合、動作可能な暖房機器を特定する音声(あるいは、動作できない暖房機器を特定する音声)を音声受付ユニット60から出力させた上で、暖房機器を特定するための音声入力を省略して、動作可能な暖房機器を動作させるように構成してもよい。あるいは、この場合に、動作可能な暖房機器を動作させてよいことの音声入力のみを要求する音声出力を、音声受付ユニット60から出力させてもよい。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
図5(a)に示したように、暖房機器の構成情報が、暖房機器の特定が不要な所定の条件を満たすか否かに基づいて(S14)、操作対象とされるべき暖房機器を特定するための音声入力を要求するか否かが決定される。これにより、使用者は、一律に、暖房機器を特定するための音声入力が要求される場合に比べて、不要な音声入力を回避できる。よって、使用者は、音声入力によって、より簡便に、暖房機器を制御することができる。
図5(b)に示したように、制御部501は、構成情報に含まれる暖房機器の数が1つである場合(S21:YES、S14:YES)、暖房機器を特定するための音声入力を要求しないことを決定する。これにより、暖房機器が1つしか設置されていないにも拘わらず、暖房機器を特定するための音声入力が要求されることを回避できる。よって、使用者は、音声入力によって、より簡便に、暖房機器を制御することができる。
図5(a)に示したように、制御部501は、暖房機器を特定するための音声入力を要求しないことを決定した場合(S14:YES)、当該音声入力を要求するための処理(S15)を行うことなく、操作指令の音声入力に基づく設定を給湯装置10に対して行う。これにより、操作指令に基づく設定が、給湯装置10に対して円滑かつ迅速に行われる。よって、給湯システム1の利便性を高めることができる。
図1に示したように、外部通信網40を介して、サーバ50(管理装置)が給湯装置10に接続されている。この構成によれば、外部通信網40を介して、1つのサーバ50により、設置場所が異なる複数の給湯装置10を制御することができる。これにより、給湯システム1を低コストかつ効率的に運用できる。
図1に示したように、サーバ50(管理装置)は、外部通信網40に接続された音声処理クラウド70によって処理された音声入力に基づく命令情報を、外部通信網40を介して取得するよう構成されている。このように、膨大な数の音声入力を処理して学習する音声処理クラウド70を、暖房機器用の音声入力の処理に用いることにより、サーバ50において、音声入力に基づく命令情報を、円滑かつ適正に取得することができる。よって、音声入力に基づく給湯装置10の制御を、より円滑かつ適正に行うことができる。
図2に示したように、音声入力は、マイクロフォン601およびスピーカ602を備える音声受付ユニット60によって受け付けられる。たとえば、音声受付ユニット60として、スマートスピーカーが用いられ得る。これにより、使用者は、適宜、音声受付ユニット60から出力される音声に従って、円滑に、音声入力を進めることができる。
<変更例>
上記実施形態では、外部の音声処理クラウド70を音声入力の処理に用いたが、たとえば、図6に示すように、音声入力を処理するための制御装置90が宅内H10に設置されてもよい。この場合、制御装置90は、たとえば無線通信により、ルータ20に接続される。音声受付ユニット60に対する音声入力は、ルータ20を介して制御装置90に送信され処理される。制御装置90は、受信した音声入力を音声認識処理して、音声入力に基づく命令情報を生成し、生成した命令情報をルータ20および外部通信網40を介してサーバ50に送信する。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
なお、図6の構成において、制御装置90が、さらに、図5(a)、(b)の処理を行ってもよい。この場合、制御装置90は、図3(a)に示した宅内H10の暖房機器の構成情報を随時更新記憶し、記憶した更新情報に基づいて、図5(a)、(b)の処理を行う。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
この構成では、制御装置90が、特許請求の範囲に記載の管理装置に対応する。なお、この構成において、制御装置90は、音声入力に基づく暖房機器の制御とともに、宅内H10の他の機器を、音声入力に基づいて制御してもよい。
また、上記実施形態では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に無線通信部136が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて給湯器11がルータ20に接続されてもよい。また、無線通信で接続された箇所は、有線通信で接続されてもよい。
また、上記実施形態では、音声受付ユニット60が1つのみ図示されたが、音声受付ユニット60が宅内に複数設置されてもよい。また、音声入力は、必ずしも、音声受付ユニット60によって受け付けられなくてもよい。たとえば、台所リモコン13にマイクロフォンが設けられ、台所リモコン13において音声入力が受け付けられてもよい。
また、上記実施形態では、音声処理クラウド70から中継サーバを介してサーバ50に命令情報が送信されたが、音声処理クラウド70から直接サーバ50に命令情報が送信される構成であってもよい。
さらに、上記実施形態では、暖房機能の他、風呂機能や給湯機能を実行可能な給湯システム1が開示されたが、たとえば、風呂機能が省略されてもよく、あるいは、発電機能等の他の機能がさらに追加されてもよい。また、暖房機能のみを備えた温水式暖房システムに本発明が適用されてもよい。給湯装置で湯を生成するための加熱部は、ガス燃焼式のものに代えて、石油燃焼式のものや、ヒートポンプ式のもの、あるいは、燃料電池の排熱回収式のものなどであってもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。