JP2020063806A - メカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分割型メカニカルシールの、自然割分割面の粗さを小さく、かつ、うねりを大きくすることを解決すべき課題とし、分割面ズレによる漏洩を防止し、かつ、締め付け時に分割面の摺動面における欠けの発生を防止した、メカニカルシール用炭化ケイ素を提供すること。【解決手段】5μm以上の厚さのSiCの殻で覆われた、2〜140μmの粒子径のカーボン粒子が、分割面1mm2当たり50〜400個存在している組織構造を有する、メカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素。【選択図】図6−1

Description

本発明は、メカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素及びその製造方法、並びに該炭化ケイ素より構成される摺動材及び該摺動材を含むメカニカルシールに関する。
メカニカルシールは、ポンプや攪拌機等の回転軸周りを封止する手段として広く用いられている。回転軸への取り付け及び回転軸からの取り外しを容易にするため、回転軸方向に構成部品を分割した、分割型のメカニカルシールが開発されている。
しかし、非分割型と比較すると、分割面(破面、割面ともいう)からオイルや水などの流体が漏洩する恐れが高い。この問題に対処するために、これまで、分割面の一方の面にフッ素系樹脂からなるコート層を、他方の面にフッ素系樹脂からなるコート層と弾性接着層との積層を適用したり(特許文献1)、分割面の少なくとも一方の面に、ゴム又は樹脂材層のシール層を適用したり(特許文献2)、といった取り組みがなされてきた。
ここで、メカニカルシールを構成する脆性材料からなる摺動材の分割方法としては、摺動材の一つの直径線上の2箇所の内外周につけた微小な切り欠き溝から亀裂を進展させることにより、分割面が不規則且つ微細な凹凸面となる自然割(特許文献3)が広く用いられている。
特開2012−97781号公報 国際公開第2007/058306号 特開2008−8493号公報
メカニカルシールを構成する摺動材として、炭化ケイ素(SiC)を常圧焼結して製造される常圧焼結SiCが広く使われている。一般的な緻密で均一な組織の常圧焼結SiCの自然割り時の破面表面は、粗さが小さく分割面に巨視的な凹凸(うねり)が少ないことが分かった(図1)。自然割分割面のうねりが少ないと、誤った分割面の位置でも摺動材が合体してしまうことから、分割面からの漏洩が防止できる正しい位置で摺動材を固定することが困難である。分割面にコート層ないしシール層を適用したとしても、分割面のズレによる漏洩の可能性は依然として存在する。
摺動材には、潤滑性及び耐摩耗性を向上させるために、SiCに黒鉛を分散させることがある。本発明者らが検討した結果、黒鉛を分散させて常圧焼結したSiCの自然分割面は、粗さが大きく、うねりも大きいことがわかった(図2)。うねりが大きいことから分割面がずれにくく、分割面ズレによる漏洩を防止できると考えられる。しかし、分割された摺動材を締め付けて合体するときに、粗い分割面同士が擦れ合い、分割面の摺動面に欠けが発生してその部分から漏洩が発生するという新たな問題が発生した。
以上のことから、自然割り分割面における表面粗さを小さく、かつ、表面うねりを大きくすれば、分割型のメカニカルシールを構成する摺動材における分割面同士のズレによる漏洩と、締め付け時に分割面における欠けの発生とを同時に防止できると考えられる。
本発明は、分割型メカニカルシールを構成する摺動材の、自然割分割面の粗さを小さく、かつ、うねりを大きくすることを解決すべき課題とし、分割面ズレによる漏洩を防止し、かつ、締め付け時に分割面における欠けの発生を防止した、メカニカルシール用炭化ケイ素及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、前記炭化ケイ素から構成される摺動材及び該摺動材を含むメカニカルシールを提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、生コークス粒子を分散させたSiCを反応焼結すると、自然割破面の表面粗さが小さいが、うねりが大きいSiCを得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成した。すなわち、本発明により、以下のメカニカルシール用SiC及びメカニカルシールを提供する。
〔1〕5μm以上の厚さのSiCの殻で覆われた、2〜140μmの粒子径のカーボン粒子が、分割面1mm2当たり50〜400個存在している組織構造を有する、メカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素。
〔2〕自然割り面で分割して適用するメカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素であって、JIS B0601に従って測定される自然割り分割面の算術平均粗さRaが2.5μm以下であり、かつJIS B0601に従って測定される自然割り分割面の算術平均うねりWaが2μm以上である、前記〔1〕項に記載の炭化ケイ素。
〔3〕自然割り面で分割して適用するメカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素であって、JIS B0601に従って測定される自然割り分割面の算術平均粗さRaが0.5〜2.5μmであり、かつJIS B0601に従って自然割り分割面の測定される算術平均うねりWaが2〜12μmである、前記〔1〕又は〔2〕項に記載の炭化ケイ素。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の炭化ケイ素から構成されているメカニカルシール用摺動材。
〔5〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の炭化ケイ素から構成されている摺動材を含むメカニカルシール。
〔6〕炭化ケイ素粉末とSiとの反応性が小さいカーボン粒子を含む焼結体を溶融Siと反応させて反応焼結させることを含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の炭化ケイ素の製造方法。
本発明のSiCは、自然割時に、強固なSiCの殻で覆われたカーボン粒子により破面のうねりが形成されるため、分割されたメカニカルシールを合体するときに段差がある状態で破面が合うことはなく、破面のずれの修正が容易にできる。本発明のSiCの分割面はまた、SiCの殻自身の表面は強固で滑らかとなっているため、破面が擦れ合っても分割面に欠けが発生し難い。したがって、本発明により、漏洩が生じ難いメカニカルシールを提供することができる。
図1は、参考例1で製造した常圧焼結SiCの分割面の表面粗さRa及び表面うねりWaを示す。 図2は、参考例2で製造した、黒鉛を分散させた常圧焼結SiCの分割面の表面粗さRa及び表面うねりWaを示す。 図3−1は、実施例1で製造した、生コークス粒子を分散させた反応焼結SiCの分割面の表面粗さRa及び表面うねりWaを示す。 図3−2は、実施例2で製造した、生コークス粒子を分散させた反応焼結SiCの分割面の表面粗さRa及び表面うねりWaを示す。 図3−3は、実施例3で製造した、生コークス粒子を分散させた反応焼結SiCの分割面の表面粗さRa及び表面うねりWaを示す。 図4は、参考例1で製造した常圧焼結SiCの顕微鏡観察による組織観察写真である。 図5は、参考例2で製造した常圧焼結SiCの顕微鏡観察による組織観察写真である。 図6−1は、実施例1で製造した反応焼結SiCの顕微鏡観察による組織観察写真である。黒色の粒子が生コークス由来のSiとの反応性が低いカーボンであり、その周りの薄い灰色の領域がSiCの殻である。薄い灰色の領域がSiである。濃い灰色のバルク領域がSiC骨材である。 図6−2は、実施例2で製造した反応焼結SiCの顕微鏡観察による組織観察写真である。 図6−3は、実施例3で製造した反応焼結SiCの顕微鏡観察による組織観察写真である。 図7は、参考例1,2で製造した常圧焼結SiC及び実施例1で製造した反応焼結SiCの水の漏洩量を示すグラフである。 図8は、参考例1で製造した常圧焼結SiCから2つ割りシールを形成し、分割した両シールを合体したときに発生した分割面ズレによる段差を示す。図中、白線で囲った部分が段差である。 図9は、参考例2で製造した、黒鉛を分散させた常圧焼結SiCから2つ割シールを形成し、分割した両シールを合体したときに発生した摺動面の欠損を示す。図中、白線で囲った部分が欠損である。
本発明の炭化ケイ素材料は、反応焼結法により製造できる。一般に反応焼結法は、骨材のSiC粉末と炭素(C)粉末からなる圧粉体に、溶融した金属ケイ素(Si)を含浸させてSiCを生成するとともに、その周りの隙間を遊離Siで埋めることにより、緻密な焼結体を得るプロセスである。本発明では、C粉末として、生コークス等のSiとの反応性が低いカーボン粒子を用いる。カーボン粒子表面においてCとSiとが反応し、SiC殻を生成する。生成したSiC殻はカーボン粒子と一体となって、前記粒子の周囲に殻のように存在する。図6−1は、実施例1で製造したSiC材料の組織写真であるが、2〜100μmの粒子径の黒色の粒子が生コークス由来のカーボンであり、その周りの5〜20μmの厚さの薄い灰色の領域がSiCの殻である。大部分を占める濃い灰色の領域がSiC骨材であり、薄い灰色の領域がSiである。SiC殻とSiC骨材とは、密度が異なるため、自然割りするとその境界で割れる。分割面には、SiC殻が飛び出すことにより形成される凸部と、それ以外の凹部が存在する。しかし、分割面は滑らかである。したがって、分割した摺動材を合体するときに力が掛かっても、欠けの発生を抑制できる。
〔原料〕
本発明において炭素材料として用いることができる生コークスとは、結炭,ピッチ,石油,石油残渣あるいは他の炭素質物質の乾留または分解蒸留によって得られる、結着性,多孔質の固形残渣であって、炭素を主成分とし,無機物質や揮発性物質を含む物質である。生コークス以外にも、Siとの反応性が低いカーボン粒子であれば使用できる。例えば、フェノール樹脂炭素化物粒子(例えば、ガラス状炭素粒子)、1550℃以下で焼成されたコークス等があげられる。焼成時の結着性のため、生コークスが好ましい。原料である生コークス粒子等の炭素材料の平均粒径は17〜23μm程度のものを用いるのが好ましい。焼結前の生コークス粒子等の炭素材料の平均粒径はレーザー粒度計により測定できる。
生コークス粒子は、キノリン不溶分が94〜98%であるのがより好ましい。キノリン不溶分がこのような範囲にあると、焼成時の結着性が高いので好ましい。
生コークス粒子は、灰分が0.5%未満であるのが好ましい。灰分がこのような範囲にあると、不純物が少ないので好ましい。
骨材となるSiC粉末は、反応焼結SiCを製造するのに通常用いられているものを用いることができるが、強度の観点から、平均粒径が、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmのものを用いるのが好ましい。骨材SiC粉末の平均粒径は、レーザー粒度計により測定できる。
金属Siは、反応焼結によりSiC骨材の隙間に溶浸されるため、反応により溶融できる大きさである限り、反応前の粒径は特に限定されない。例えば、1cm程度の大きさの塊から、1μm程度の微粉まで使用可能である。
本発明のSiC材料を製造するにあたり、バインダーを用いてもよい。バインダーとしては、常温で液状であるか、又は、常温では固体であるが、混合時に加熱や混合熱で液状であるフェノール樹脂、ポリビニルアルコール等の慣用のものを用いることができるが、常温で液状であるフェノール樹脂が好ましい。
〔製法〕
本発明の炭化ケイ素製造の第1工程は、骨材のSiC粉末と、生コークス粒子等のSiとの反応性が低いカーボンと、必要により用いるバインダーとを混合する工程である。反応焼結等の条件により異なるが、骨材SiCと、Siとの反応性が低いカーボンとを、質量比が、およそ、90:10〜50:50となる割合で混合すると、焼結体におけるSiC(骨材由来のSiCと反応により生じたSiCとを合わせたもの)と生コークス等由来のカーボン粒子との質量比が、SiC:カーボン粒子=99:1〜90:10である炭化ケイ素が得られる。焼結体におけるSiCと生コークス等由来のカーボン粒子との質量比が上記範囲内にあると、強度が優れるので好ましい。なお、焼結体におけるSiCとカーボン粒子との質量比は、焼結体を粉砕し、JIS R1616に準じた方法により測定することができる。
先ず、SiC骨材粉末と生コークス粒子等とを十分に混合し、必要によりバインダーを加え、十分、混練する。これを、金型プレス、冷間等方圧プレス、押し出し成形などを用いて所定の形状に成形する。次いで、得られた成形体を焼成する。焼成は多段階、例えば2段階で行うこともできる。得られた焼成体のカサ密度が1.2〜2.0g/cm3程度であると、反応焼結性の点で好ましい。その後、減圧下(例えば100Pa以下)又は不活性ガス(例えばアルゴンガス)雰囲気下、金属Siの融点以上の温度に加熱し、溶融した金属Siを成形体に含浸し、反応焼結させる。反応焼結の際の温度は、Siの融点の観点から、1420〜1800℃であるのが好ましく、1430〜1500℃であるのがより好ましい。反応焼結の時間は、炉温度均一性の観点から、1〜5時間であるのが好ましく、1〜3時間であるのがより好ましい。
生コークス粒子の表面で金属Siが反応し、生コークス粒子を覆う殻のようにSiCが形成される。このSiC殻は、周辺を取り囲んでいるSiCよりも緻密な構造を有する。破面のうねりの発生のため、SiC殻の厚さが5μm以上であり、10μm以上であるのが好ましい。SiC殻の厚さの上限は特に限定されるものではないが、反応焼結時の欠陥発生を防ぐために、20μm以下であるのが好ましい。
焼結体における生コークス由来のカーボン粒子の平均粒径は2〜140μmであり、2〜100μmであるのが好ましく、10〜50μmであるのがより好ましい。焼結体における生コークス粒子の平均粒径がこのような範囲にあると、焼結体の強度が保たれるので好ましい。なお、焼結後の生コークス粒子の平均粒径は、焼結体の組織構造を顕微鏡観察することにより、測定できる。カーボン粒子は大略球形となるが、それ以外の形状、例えば扁平でもよい。焼結後の生コークス粒子の平均粒径は、最も長い辺の長さを指す。
生コークス由来のカーボン粒子の平均粒径は、生コークスの結着性と混合条件により制御可能である。生コークスの結着性が強ければ、混合時に集合して集合体を形成するため、生成するカーボン粒子の粒径は大きくなる。生コークス粒子の結着を抑制する混合条件であれば、生コークス粒子は集合体を形成しないか、又は形成しても比較的小さな集合体となるため、生成するカーボン粒子の粒径は小さくなる。
〔分割表面の特性〕
本発明のSiCは、5μm以上の厚さのSiCの殻で覆われた、2〜140μmの粒子径のカーボン粒子が、分割面1mm2当たり50〜400個存在している組織構造を有する。5μm以上の厚さのSiCの殻で覆われた、2〜140μmの粒子径のカーボン粒子が分割面1mm2当たり50〜400個存在すると、自然割時に、強固なSiCの殻で覆われたカーボン粒子により破面のうねりが形成されるため、分割されたメカニカルシールを合体するときに段差がある状態で破面が合うことはなく、破面のずれの修正が容易にできる。10〜20μmの厚さのSiCの殻で覆われた、10〜50μmの粒子径のカーボン粒子が分割面1mm2当たり50〜200個存在するのがより好ましい。なお、「分割面1mm2」は、平面図における面積を意味する。カーボン粒子の分割面1mm2当たりの数が上記範囲内にあると、強度が優れるので好ましい。
本発明の焼結体の分割面の表面うねりWaは、JIS B0601(2001年改正)で定義される、算術平均高さWaをいう。本発明のSiCのWaは2μm以上であり、好ましくは2〜12μmであり、より好ましくは4〜12μmである。Waが2μm以上であると、メカニカルシール合体時に自然割破面のずれを効果的に防止できる。なお、Waは、Siとの反応性が低いカーボン粒子の粒子径により制御可能である。
本発明の焼結体の分割面の表面粗さRaは、JIS B 0601(2001年改正)で定義される、算術平均高さRaをいう。本発明のSiCのRaは2.5μm以下であり、好ましくは0.5〜2.5μmであり、より好ましくは0.5〜2μmであり、さらに好ましくは1〜2μmであり、最も好ましくは1.1〜1.7μmである。Raを2.5μm以下にすると、メカニカルシール合体時の欠けを効果的に防止できる。なお、Raは、SiC骨材の粒子径により制御可能である。
特に、Raが1〜2μmであり、かつWaが4〜12μmであるのが好ましい。
本発明の焼結体はまた、強度の観点から、カサ密度が、2.8g/cm3〜3.2g/cm3であるのがより好ましい。
本発明の焼結体はまた、強度の観点から、ビッカース硬さが、2000HV以上であるのがより好ましい。
本発明の焼結体はまた、強度の観点から、曲げ強さが、350N/mm2以上であるのがより好ましい。
本発明の焼結体はまた、強度の観点から、ヤング率が、350×103N/mm2以上であるのがより好ましい。
本発明の焼結体はまた、強度の観点から、破壊靱性が、2.5MN/m3/2以上であるのがより好ましい。
本発明の炭化ケイ素は、メカニカルシール摺動材として用いることができる。
参考例の炭化ケイ素材料を製造するのに用いた材料は以下のとおりである:
〔炭素粉末〕
・鱗片状黒鉛粉
〔SiC〕
・SiC粉末(平均粒径0.4μm)
〔バインダー〕
・ポリビニルアルコール
実施例の炭化ケイ素材料を製造するのに用いた材料は以下のとおりである:
〔炭素粉末〕
・生コークス粉末(平均粒径18μm、キノリン不溶分96%、灰分0.2%。なお、平均粒径の測定はレーザー粒度計による。キノリン不溶分、及び灰分の測定は、JIS K2425による)
〔SiC〕・SiC粉末(平均粒径7μm)
〔バインダー〕
・液状フェノール樹脂
〔金属ケイ素〕
・金属Si粉末(平均粒径0.6mm)
参考例1
SiC粉末10kg、焼結助剤としてB4C粉末50gを混合し、そこに、ポリビニルアルコール水溶液を固形分換算で1.5wt%添加した。それらをボールミルに入れ24時間混合した。均一に混合したスラリーを、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒化した。顆粒を成型用金型に充填して250kg/cm2の圧力にて予備成形した後、冷間静水圧成型法にて3000kg/cm2の圧力で本成形を行い、成形体とした。成形体は所定寸法に加工した。この加工済み成形体を不活性雰囲気中、昇温速度5℃/分で2200℃まで昇温し4時間保持し、焼結を完了した。得られたSiC材料を加工し、メカニカルシールを構成する摺動材を得た。
参考例2
SiC粉末10kg、焼結助剤としてB4C粉末50g、鱗片状黒鉛粉2000gを混合し、そこに、ポリビニルアルコール水溶液を固形分換算で1.5wt%添加した。それらをボールミルに入れ24時間混合した。均一に混合したスラリーを、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒化した。顆粒を成型用金型に充填して250kg/cm2の圧力にて予備成形した後、冷間静水圧成型法にて3000kg/cm2の圧力で本成形を行い、成形体とした。成形体は所定寸法に加工した。この加工済み成形体を不活性雰囲気中、昇温速度5℃/分で2200℃まで昇温し4時間保持し、焼結を完了した。得られたSiC材料を加工し、メカニカルシールを構成する摺動材を得た。
実施例1
生コークス粉末1.15kg及びSiC粉末3.85kgを混合し、そこに、バインダー880gを投入して混練した。40℃で1時間乾燥後、成形用金型に充填し、200MPaの圧力において20秒間プレスすることにより成形した。この成形体を、不活性雰囲気中、昇温速度15℃/時間で1000℃まで昇温し、1000℃において1時間保持することにより、1次焼成した。1次焼成体を、不活性雰囲気中、昇温速度25℃/時間で1500℃まで昇温し、1500℃において1時間保持することにより、2次焼成した。2次焼成体を所定寸法に加工した後、金属Si粉末と共に1450℃において反応焼結した。得られたSiC材料を加工し、メカニカルシールを構成する摺動材を得た。
実施例2
生コークス粉末1.4kg及びSiC粉末3.6kgを混合し、そこに、バインダー710gを投入して混練した。40℃で1時間乾燥後、成形用金型に充填し、200MPaの圧力において20秒間プレスすることにより成形した。この成形体を、不活性雰囲気中、昇温速度15℃/時間で1000℃まで昇温し、1000℃において1時間保持することにより、1次焼成した。1次焼成体を、不活性雰囲気中、昇温速度25℃/時間で1500℃まで昇温し、1500℃において1時間保持することにより、2次焼成した。2次焼成体を所定寸法に加工した後、金属Si粉末と共に1450℃において反応焼結した。得られたSiC材料を加工し、メカニカルシールを構成する摺動材を得た。
実施例3
生コークス粉末1.15kg及びSiC粉末3.85kgを混合し、そこに、バインダー500gを投入して混練した。40℃で1時間乾燥後、成形用金型に充填し、200MPaの圧力において20秒間プレスすることにより成形した。この成形体を、不活性雰囲気中、昇温速度15℃/時間で1000℃まで昇温し、1000℃において1時間保持することにより、1次焼成した。1次焼成体を、不活性雰囲気中、昇温速度25℃/時間で1500℃まで昇温し、1500℃において1時間保持することにより、2次焼成した。2次焼成体を所定寸法に加工した後、金属Si粉末と共に1450℃において反応焼結した。得られたSiC材料を加工し、メカニカルシールを構成する摺動材を得た。
<試験>
1.表面粗さRa及びうねりWaの測定
表面性状測定機(株式会社 ミツトヨ社製、「SV−3100」)を用い、測定した。結果を表1及び図1、図2,図3−1,図3−2,図3−3に示す。
2.組織像観察
顕微鏡により、自然割り割面を機械加工し研磨した面の組織像を観察した。結果を表2及び図4、図5,図6−1,図6−2,図6−3に示す。なお、図6−1とは別の場所では、133μmのカーボン粒子が存在した(図示せず)。また、実施例2及び3のSiC:カーボン粒子の質量比は、実施例1の結果に基づき、実施例2及び3の原料の配合条件から推定した。
3.漏洩量の測定
漏洩量は、メカニカルシールの摺動材を軸上で試験機に組込後、流体を導入し、1.0MPaGで30分間保持し、漏洩量(つまり、メカニカルシールから漏洩した流体が集まるドレーン孔から出てくる流体の体積)を測定した。実験条件は以下のとおりである。
流体:水
温度:常温
圧力(静圧):1.0MPa
材質組合せ : 参考例1,2及び実施例1において製造したSiC材料をシールリングとして用い、ロータリーリング(株式会社タンケンシールセーコウ製、C40)と組み合わせて使用した。
サンプル数 : 各 2 組
参考例1,2及び実施例1で得られた摺動材を自然割りし、軸上で試験機に組込後、流体を導入し、1.0MPaGで30分間保持し、漏洩量を測定した。結果を図7に示す。参考例1及び2で多量の漏洩が見られた。多量漏洩が見られた摺動材にはずれ(図8)と欠け(図9)が見られた。
4.かさ密度
JIS R1634 真空法を用いて、かさ密度を測定した。
5.ビッカース硬さ
JIS R1610 ビッカース硬さ試験方法を用いて、ビッカース硬さを測定した。
6.曲げ強さ
JIS R1601 3点曲げ強さ測定方法を用いて、曲げ強さを測定した。
7.ヤング率
JIS R1602 静的弾性率試験方法を用いて、ヤング率を測定した。
8.破壊靱性
JIS R1607 予き裂導入破壊試験法を用いて、破壊靱性を測定した。
参考例1,2及び実施例1〜3で得られたSiC材料の強度試験結果及び組織像を表3に示す。

Claims (6)

  1. 5μm以上の厚さのSiCの殻で覆われた、2〜140μmの粒子径のカーボン粒子が、分割面1mm2当たり50〜400個存在している組織構造を有する、メカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素。
  2. 自然割り面で分割して適用するメカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素であって、JIS B0601に従って測定される自然割り分割面の算術平均粗さRaが2.5μm以下であり、かつJIS B0601に従って測定される自然割り分割面の算術平均うねりWaが2μm以上である、請求項1に記載の炭化ケイ素。
  3. 自然割り面で分割して適用するメカニカルシールの摺動材用炭化ケイ素であって、JIS B0601に従って測定される自然割り分割面の算術平均粗さRaが0.5〜2.5μmであり、かつJIS B0601に従って自然割り分割面の測定される算術平均うねりWaが2〜12μmである、請求項1又は2に記載の炭化ケイ素。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の炭化ケイ素から構成されているメカニカルシール用摺動材。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の炭化ケイ素から構成されている摺動材を含むメカニカルシール。
  6. 炭化ケイ素粉末とSiとの反応性が小さいカーボン粒子を含む焼結体を溶融Siと反応させて反応焼結させることを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の炭化ケイ素の製造方法。
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WO2023074219A1 (ja) * 2021-10-28 2023-05-04 東海カーボン株式会社 多結晶SiC成形体及びその製造方法

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