JP2020063803A - 流体の漏出防止方法、及び流体の漏出防止構造 - Google Patents
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Abstract
Description
変圧器本体に対してラジエータを着脱可能に取り付けるため、変圧器本体には本体側配管を設けるとともにラジエータにはラジエータ側配管を設けて、両配管をフランジ接続部によって接続することが行われている。フランジ接続部によって接続した場合、フランジ接続部から絶縁油が漏出してしまう恐れがある。油の漏出対策は、例えば特許文献1、及び特許文献2に開示されている。
特許文献2の油圧ホース用油漏れ防止方法では、油圧ホースの外周面に面ファスナ付きの透明樹脂シートを巻き付けた後に、結束バンドを用いて透明樹脂シートを油圧ホースに対して局所的に締め付けている。結束バンドによる締め付けは、油圧ホースの長さ方向に間隔を空けた複数箇所で行われており、油圧ホースから透明樹脂シート内に漏出した油が結束バンドを超えて拡散しないように、範囲を制限している。
上述した特許文献2の技術は、油圧ホースの外周面に巻き付けた透明樹脂シートと結束バンドとにより、油圧ホースから漏出した油の拡散範囲を制限するものである。従って、特許文献2の技術では、油圧ホースからの油の漏出を止めることはできない。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、配管からの流体の漏出を容易に防止することにある。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。図1は、油入変圧器1を説明する図である。油入変圧器1は、絶縁油を用いる電力設備の一例であり、絶縁油の漏出を防止するための漏出防止構造100が形成されている。
例示した油入変圧器1は、一次巻線、二次巻線、及び鉄心等を収容するとともに内部空間に絶縁油を満たした変圧器本体2と、接続配管3を介して変圧器本体2と接続され、変圧器本体2から送出された絶縁油を冷却して変圧器本体2へ戻すラジエータ4と、を備えている。
接続配管3は、変圧器本体2とラジエータ4との間に介在し、変圧器本体2とラジエータ4との間において絶縁油を流通させる管状の部材であり、例えばステンレス鋼によって作製されている。図1に例示した接続配管3は、ラジエータ4の側面上部に取り付けられた上側接続配管3Uと、ラジエータ4の側面下部に取り付けられた下側接続配管3Lとを備えている。本実施形態では、下側接続配管3Lに対して漏出防止構造100を形成している。漏出防止構造100については、後で説明する。
図2(A)は、接続配管3の本体側フランジ接続部21、及びラジエータ側フランジ接続部22等を側方から見た図である。図2(B)は、ラジエータ側フランジ接続部22をラジエータ側パイプ部12の軸方向から見た図である。図2(C)は、図2(B)のA−A断面図である。詳しくは、各フランジ接続部21、22の締結具23による締結状態を説明する部分拡大断面図である。
図2(A)に示すように、接続配管3(3U、3L)は、変圧器本体2の側面から側方に延びる本体側パイプ部11と、本体側パイプ部11の先端に接合した本体側フランジ接続部21と、ラジエータ4の側面から側方に延びるラジエータ側パイプ部12と、ラジエータ側パイプ部12の先端に接合したラジエータ側フランジ接続部22と、を備えている。
図2(B)に示すように、ラジエータ側フランジ接続部22は円盤形状をしている。本体側フランジ接続部21も、ラジエータ側フランジ接続部22と同様に円盤形状をしている。本体側フランジ接続部21とラジエータ側フランジ接続部22とは、周方向に所定角度ピッチ毎に配置された締結具23によって締結されている。
図2(C)に示すように、締結具23は、例えばボルト23a、ナット23b、及びワッシャ23cの組である。本体側フランジ接続部21とラジエータ側フランジ接続部22との間にパッキン24を介在させ、ボルト23aの軸を各フランジ接続部21、22の貫通穴21a、22aに挿通し、ボルト23a、及びナット23bを締め込むことにより、パッキン24によって液密状態を形成しつつ各フランジ接続部21、22を接続している。
各フランジ接続部21、22において、パッキン24の劣化が進行したり、パッキン24に過度な外力が加わったりしてパッキン24が破損すると、各フランジ接続部21、22から絶縁油が漏出してしまう。図1の油入変圧器1では、下側接続配管3Lの各フランジ接続部21、22からの絶縁油の漏出を防止するため、各フランジ接続部21、22に対して漏出防止構造100を形成している。
図3に示すように、漏出防止構造100は、絶縁油(流体)が漏出した各フランジ接続部21、22(流体の漏出箇所)を含む接続配管3(下側接続配管3L、配管)の外面を筒状に包囲する内側シート(第1シート)30を備えている。内側シート30は、非通気性であって後述する硬化剤50に耐性を有する柔軟な素材(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂)で作製されている。
内側シート30は、本体側フランジ接続部21よりも変圧器本体2側に位置する所定部位が、バンド40(密閉用のバンド、後述)によって締め付けられており、締め付けられた部分が本体側パイプ部11の外周面に密着している。同様に、フランジ接続部22よりもラジエータ4側に位置する所定部位が、バンド41(密閉用のバンド、後述)によって締め付けられており、締め付けられた部分がラジエータ側パイプ部12の外周面に密着している。言い換えれば、バンド40、41を、内側シート30を介して、各パイプ部11、12(接続配管3)に巻き付けている。従って、バンド40とバンド41との間における接続配管3と内側シート30との間には、気密状態で密封された気密空間SP1が形成される。
気密空間SP1には、硬化剤50を充填している。硬化剤50は、気密空間SP1に充填される前は流動状態であり、気密空間SP1に充填された後、時間の経過に伴って硬化する。硬化剤50は、例えば、石膏、セメント、エポキシ系樹脂、及びウレタン系樹脂など、油に耐性を有する各種の材料が使用できる。硬化剤50が硬化することにより、各フランジ接続部21、22からの絶縁油の漏出を止めることができる。
本実施形態において、バンド70はバンド40と重なる位置で外側シート60を締め付けており、バンド71はバンド41と重なる位置で外側シート60を締め付けているが、軸方向位置をずらして各バンド70、71を締結してもよい。
外側シート60は、バンド70によって締め付けられた部分がバンド40に密着し、バンド71によって締め付けられた部分がバンド41に密着する。従って、バンド70とバンド71との間であって内側シート30と外側シート60との間には、気密状態で密封された気密空間SP2(図11を参照)が形成される。
本実施形態では、内側シート30と外側シート60との間の気密空間SP2を抜気して減圧させており、外側シート60を内側シート30に密着させている。外側シート60が内側シート30に密着することにより、硬化前の硬化剤50の流動変形(硬化剤50が自重によって流下することによる変形)を抑制し、硬化剤50を本体側フランジ接続部21、22の近傍に保持する。その結果、硬化剤50による絶縁油の漏出防止効果を向上させることができる。
次に、絶縁油の漏出防止方法について説明する。図4は、実施形態に係る絶縁油の漏出防止方法の一例を示すフローチャートである。前述した漏出防止構造100は、当該漏出防止方法を実行することによって形成される。
図4のフローチャートに示すように、当該漏出防止方法では、各フランジ接続部21、22(漏出箇所)及びその近傍に対する下地処理を行う下地処理工程(S1)と、各フランジ接続部21、22を含む接続配管3の外面を内側シート30により気密的に包囲する第1密閉工程(S2)と、内側シート30と接続配管3との間の気密空間SP1に、硬化剤(充填剤)50を充填する充填剤充填工程(S3)と、各フランジ接続部21、22を含む内側シート30の外面を外側シート60により気密的に包囲する第2密閉工程(S4)と、内側シート30と外側シート60との間の気密空間SP2から抜気する抜気工程(S5)と、硬化剤50が硬化するまで養生する養生工程(S6)と、を実行する。
これらの工程を実行することにより漏出防止構造100が形成され、接続配管3からの絶縁油の漏出を容易に防止することができる。以下、詳細に説明する。
下地処理工程S1では、各フランジ接続部21、22に対する下地処理を行う。下地処理では、各フランジ接続部21、22、及び各フランジ接続部21、22の近傍に位置するパイプ部11、12に対して洗浄(水洗いや洗剤を用いたブラッシング等)を行ったり、錆落としや古い塗装膜の除去(ケレン作業)を行ったりする。
下地処理工程S1を行うことで、硬化剤50が各フランジ接続部21、22、及びパイプ部11、12に対して付着し易くなり、各フランジ接続部21、22からの絶縁油の漏出を止め易くなる。
なお、下地処理工程S1は、緊急で漏油防止処理を行う必要がある場合や、下地処理工程S1をする必要が無い場合には、省略することもできる。
第1密閉工程S2は、図4に示すように、内側シート30の第1巻き付け工程S21と、第1バンド取り付け工程S22を有する。
<内側シート30について>
図5は、第1密閉工程S2で用いられる内側シート30の形状例を示す展開斜視図である。図5に示すように、内側シート30は長方形状をしており、長手方向の長さは各フランジ接続部21、22の外周長さよりも多少長く定められ、幅方向の長さは硬化剤50の充填範囲に応じた長さに定められている。図5に例示した内側シート30では、幅方向の長さよりも長手方向の長さの方が長くなっているが、この比率に限定されない。内側シート30の各長さは、各フランジ接続部21、22の大きさ、及び硬化剤50の充填範囲に応じて適宜定められる。内側シート30の厚みは、充填する硬化剤50を保持でき、巻き付け作業に支障が生じない範囲で選択される。また、内側シート30は、前述したように、非通気性であって硬化剤50に耐性を有する柔軟な素材で作製される。
内側シート30には、硬化剤充填用のスリット状の開口部34が形成されており、開口部34は前述したジッパー33と同様のジッパー構造35により閉じたり、開放したりすることができる。ジッパー構造35を開くことにより、後述する充填剤充填工程(S3)において、硬化剤50を注入するための注入管45(図9を参照)を開口部34に挿入することができる。
次に、第1巻き付け工程S21について説明する。図6(A)は、内側シート30によって包囲した各フランジ接続部21、22等を側方から見た図である。図6(B)は、ラジエータ側フランジ接続部22をラジエータ側パイプ部12の軸方向から見た図である。図7は、内側シート30を各フランジ接続部21、22に巻き付けた後、ジッパー33を閉じた状態を示す図である。
図6(A)(B)に示すように、第1巻き付け工程S21では、内側シート30を各フランジ接続部21、22の外周に沿って円筒状に巻き付ける。そして、図7に示すように、一端部31の突状部分31Tと他端部32の凹溝部分32Sとを嵌め合わせて閉じる(ジッパー33を閉じる)。これにより、内側シート30は、接続配管3における各フランジ接続部21、22(漏出箇所)を含む範囲を筒状に包囲する。
次に、第1バンド取り付け工程S22について説明する。図8は、第1バンド取り付け工程S22を説明する図である。
図8に示すように、第1バンド取り付け工程S22では、内側シート30の外面側から、2つのバンド40、41を取り付ける。バンド40、41は、金属あるいはプラスチックあるいは不織布等で作製された帯状部材であり、内表面に形成された接着層によって内側シート30に接着される。
前述したように、バンド40は、本体側フランジ接続部21よりも変圧器本体2側の所定部位に取り付けられ、バンド41は、フランジ接続部22よりもラジエータ4側の所定部位に取り付けられる。バンド40、41が取り付けられることにより、バンド40とバンド41との間における接続配管3と内側シート30との間には、気密状態で密封された気密空間SP1が形成される。
なお、バンド40、41を取り付ける際には、張力が付与される程度に内側シート30を引っ張ることが好ましい。このようにすると、気密空間SP1の容積が小さくなり、硬化剤50の充填量を最小限にできる。
次に、充填剤充填工程S3について説明する。図9は、充填剤充填工程S3を説明する図である。
図9に示すように、充填剤充填工程S3では、内側シート30のジッパー構造35を開いた後、注入管45の先端を内側シート30の開口部34に挿入する。注入管45を開口部34に挿入した後、注入管45を通じて硬化剤50を気密空間SP1に注入する。図9では、充填した硬化剤50を網掛けで示している。
図9の例では、開口部34が内側シート30の上端に設けられており、硬化剤50は気密空間SP1の上方から注入される。この構成では、注入後の硬化剤50の注入管45への逆流が防止される。
硬化剤50の注入が完了した後、注入管45を開口部34から外し、ジッパー構造35によって開口部34を閉じる。これにより、硬化剤50は、硬化前ではあるが内側シート30から外に漏れ出ることはない。
なお、開口部34は、内側シート30の上端以外の箇所に設けてもよい。
次に、第2密閉工程S4について説明する。図4に示すように、第2密閉工程S4は、第2シート巻き付け工程S41と、第2バンド取り付け工程S42を有する。
<第2シート巻き付け工程S41について>
図10は、第2シート巻き付け工程S41を説明する図である。第2シート巻き付け工程S41では、外側シート60を用いる。
外側シート60は、内側シート30と同様に長方形状をしている。なお、外側シート60は、内側シート30と同様に構成されているため、展開斜視図による説明は省略する。外側シート60のサイズは、内側シート30のサイズよりもやや大きいか同じサイズに定められる。外側シート60の長手方向一端部61には、突状部分61Tが幅方向に沿って形成され、長手方向他端部62には、凹溝部分62Sが幅方向に沿って形成されている。突状部分61Tと凹溝部分62Sとは、いわゆるジッパー63を構成している。
さらに、外側シート60には、抜気工程S5において用いられる抜気用のスリット状の開口部74が形成されており、開口部74は、ジッパー構造35と同様のジッパー構造75により閉じたり、開放したりすることができる。
外側シート60は、内側シート30と同じく、可撓性を有し、絶縁油を通さない厚手のシート材質である。外側シート60の材質や厚みは、内側シート30の材質や厚みと揃えてもよいし、異ならせてもよい。
外側シート60は、内側シート30の外面側を覆う筒型になるように、各フランジ接続部21、22に沿って巻き付けられる。外側シート60を円筒型に巻き付けた状態で、ジッパー63を構成する突状部分61Tを、凹溝部分62Sに嵌め合わせて閉じる(ジッパー63を閉じる)。
次に、第2バンド取り付け工程S42について説明する。図11(A)は、第2密閉工程S4の第2バンド取り付け工程S42、及び抜気工程S5を説明する図である。
第2バンド取り付け工程S42では、外側シート60の外側から、2つのバンド70、71を取り付ける。バンド70、71は、バンド40、41と同様に、金属あるいはプラスチックあるいは不織布等で作製された帯状部材であり、内表面に形成された接着層によって外側シート60に接着される。
前述したように、本実施形態において、バンド70は、バンド40の位置に重ねて巻き付けられており、バンド71は、バンド41の位置に重ねて巻き付けられている。なお、バンド70は、バンド40の位置から本体側パイプ部11の軸方向にずれた位置に巻き付けられてもよい。同様に、バンド71は、バンド41の位置からパイプ部12の軸方向にずれた位置に巻き付けられてもよい。バンド70、71が取り付けられることにより、バンド70とバンド71との間における内側シート30と外側シート60との間には、気密状態で密封された気密空間SP2が形成される。
次に、抜気工程(脱気工程)S5について説明する。図11(B)は、吸気管80の先端を開口部74に挿入した状態を示す部分拡大断面図である。図11(C)は、開口部74の封止構造の変形例を説明する図である。
図11(B)に示すように、抜気工程S5では、外側シート60のジッパー構造75を開いた後、吸気管80の先端を外側シート60の開口部74に挿入する。吸気管80には、真空ポンプ等の減圧装置が接続されている。吸気管80を開口部74に挿入した後、吸気管80を通じて気密空間SP2を減圧する。気密空間SP2を減圧することにより、外側シート60が符号F2の矢印の方向に収縮し、内側シート30に密着する。外側シート60が内側シート30に密着することにより、硬化前の硬化剤50の流動変形を抑制し、硬化剤50を各フランジ接続部21、22の近傍に保持する。
気密空間SP2を減圧したならば、吸気管80を開口部74から取り外し、ジッパー構造75によって開口部74を閉じる。開口部74を閉じることにより、気密空間SP2が減圧状態で維持される。なお、ジッパー構造75に代えて、気密空間SP2内への空気の流入を阻止する空気逆止弁を、開口部74に設けてもよい。さらに、図11(C)に示すように、外部から開口部74を塞ぐようにして、粘着テープ77を貼り付けるようにしてもよい。
抜気工程S5を行うことにより、硬化剤50が各フランジ接続部21、22の近傍に保持されるため、絶縁油が符号F1で示す方向に漏出しようとしても硬化剤50によって阻止される。従って、硬化剤50により、本体側フランジ接続部21とラジエータ側フランジ接続部22の間からの絶縁油の漏出を防止できる。
次に、養生工程S6について説明する。養生工程S6では、硬化剤50が硬化するまで養生をする。これにより、図3にて説明した漏出防止構造100が形成される。
なお、各シート60、30、及び各バンド70、71、40、41は、硬化剤50が硬化したあとも取り外さずに残置することが好ましい。各シート60、30等を残置することにより、各シート60、30によって硬化剤50を紫外線や降雨等から保護することができる。この場合、外側シート60と内側シート30を取り除く作業を削減できる。
また、硬化剤50の硬化後において、各シート60、30等を取り外してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行える。
上述の実施形態では、電力設備として油入変圧器1を例示したが、油入変圧器1に限定されない。本発明は、油入変圧器1以外の電力設備に用いられる接続配管にも適用できる。
上述の実施形態では、流体として絶縁油を例示したが、流体は絶縁油に限定されない。例えば、水やガスであってもよいし、絶縁油以外の油であってもよい。
上述の実施形態では、各フランジ接続部21、22を備える接続配管3を例示したが、この構成に限定されるものではない。本発明は、フランジ接続部を備えていない接続配管にも適用できる。例えば、流体を送出する配管の溶接部において発生した亀裂部分の補修にも適用できる。
上述の実施形態では、充填剤として硬化剤50を例示したが、この構成に限定されない。硬化しない充填剤を用いてもよい。
上述の実施形態では、ジッパー33として、突状部分31Tと、凹溝部分32Sとを備えたものを例示したが、この構成に限定されない。例えば、ジッパー33に代えて、かぎ型突起と、このかぎ型突起を引っ掛けるループ部分とを備えた面ファスナを用いてもよい。さらに、ジッパー33に代えて粘着と剥離とを繰り返し行える粘着部を用いてもよい。
上述の実施形態では、バンド40、41等として、金属あるいはプラスチックあるいは不織布等で作製された帯状部材を例示したが、この構成に限定されない。例えば、バンド40、41等に代えて、粘着テープを用いてもよいし、面ファスナを用いてもよいし、ロープを用いてもよい。
<第一の実施態様>
本態様に係る流体の漏出防止方法は、流体(絶縁油)を送る配管(接続配管3)の漏出箇所(各フランジ接続部21、22)からの流体の漏出を防止する流体の漏出防止方法であって、漏出箇所を含む配管の外面を第1シート(内側シート30)により気密的に包囲する第1密閉工程(第1密閉工程S2)と、第1シートと配管との間の気密空間(気密空間SP1)に、充填剤(硬化剤50)を充填する充填剤充填工程(充填剤充填工程S3)と、漏出箇所を含む第1シートの外面を第2シート(外側シート60)により気密的に包囲する第2密閉工程(第2密閉工程S4)と、第1シートと第2シートとの間の気密空間(気密空間SP2)から抜気する抜気工程(抜気工程S5)と、を有する。
第2密閉工程では、漏出箇所を含む第1シートの外面を第2シートにより気密的に包囲し、その後、抜気工程では、第1シートと第2シートとの間の気密空間から抜気する。第2シートによる気密的な包囲、及び気密空間からの抜気もまた、専門的な知識を要せず簡単な作業によって行うことができる。気密空間からの抜気により、第2シートが第1シートに密着するので、硬化前の硬化剤の流動変形を抑制し、硬化剤を漏出箇所の近傍に保持できる。
従って、本態様では、従来の施工方法に比べて、配管からの流体の漏出を容易に防止することができる。
本態様に係る流体の漏出防止方法では、第1密閉工程(第1密閉工程S2)において、密閉用のバンド(バンド40、41)を、第1シート(内側シート30)を介して配管(各パイプ部11、12)に巻き付けることにより、漏出箇所(各フランジ接続部21、22)を気密的に包囲し、第2密閉工程(第2密閉工程S4)において、密閉用のバンド(バンド70、71)を、第2シート(外側シート60)、及び第1シートを介して配管(各パイプ部11、12)に巻き付けることにより、第1シートの外面を気密的に包囲する。
本態様によれば、各シートと各バンドとを用いて、迅速に、簡単に、確実に気密状態を形成できる。
本態様に係る流体の漏出防止方法では、第1密閉工程(第1密閉工程S2)において、第1シート(内側シート30)の一端部と他端部とをジッパー(ジッパー33)により密閉して接続し、第2密閉工程(第2密閉工程S4)において、第2シート(外側シート60)の一端部と他端部とを他のジッパー(ジッパー63)により密閉して接続する。
本態様によれば、第1シート、及び第2シートのそれぞれを、ジッパーを用いて迅速に且つ簡単に取り付けることができる。
本態様に係る流体の漏出防止方法では、第1密閉工程(第1密閉工程S2)の前に、漏出箇所(各フランジ接続部21、22)の洗浄を行う。
本態様によれば、漏出箇所の洗浄を行うことで、充填剤(硬化剤50)が漏出箇所に密着し易くなり、流体の漏出を確実に止めることができる。
本態様に係る流体の漏出防止方法では、漏出個所が、配管を接続するフランジ接続部(各フランジ接続部21、22)になっている。
本態様によれば、流体の漏出が生じ易いフランジ接続部に対して、流体の漏出を効果的に止めることができる。
本態様に係る流体の漏出防止構造(漏出防止構造100)は、漏出箇所(各フランジ接続部21、22)を含む配管(各パイプ部11、12)の外面を気密的に包囲する第1シート(内側シート30)と、第1シートと配管との間の気密空間(気密空間SP1)に、充填される充填剤(硬化剤50)と、漏出箇所を含む第1シートの外面を気密的に包囲するとともに、第1シートとの間の気密空間が減圧された第2シート(外側シート60)と、を有する。
本態様によれば、第2シートは、第1シートとの間の気密空間が減圧されることにより、第1シートに密着する。第2シートが第1シートに密着することにより、未硬化の充填剤の流動変形を抑制し、充填剤を漏出箇所の近傍に保持できる。その結果、充填剤による絶縁油の漏出防止効果を向上させることができる。
Claims (6)
- 流体を送る配管の漏出箇所からの前記流体の漏出を防止する流体の漏出防止方法であって、
前記漏出箇所を含む前記配管の外面を第1シートにより気密的に包囲する第1密閉工程と、
前記第1シートと前記配管との間の気密空間に、充填剤を充填する充填剤充填工程と、
前記漏出箇所を含む前記第1シートの外面を第2シートにより気密的に包囲する第2密閉工程と、
前記第1シートと前記第2シートとの間の気密空間から抜気する抜気工程と、
を有することを特徴とする流体の漏出防止方法。 - 前記第1密閉工程では、密閉用のバンドを、前記第1シートを介して前記配管に巻き付けることにより、前記漏出箇所を気密的に包囲し、
前記第2密閉工程では、他の密閉用のバンドを、前記第2シート、及び前記第1シートを介して前記配管に巻き付けることにより、前記第1シートの外面を気密的に包囲することを特徴とする請求項1に記載の流体の漏出防止方法。 - 前記第1密閉工程では、前記第1シートの一端部と他端部とをジッパーにより密閉して接続し、
前記第2密閉工程では、前記第2シートの一端部と他端部とを他のジッパーにより密閉して接続することを特徴とする請求項1または2に記載の流体の漏出防止方法。 - 前記第1密閉工程の前に、前記漏出箇所の洗浄を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の流体の漏出防止方法。
- 前記流体の前記漏出個所が、前記配管を接続するフランジ接続部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の流体の漏出防止方法。
- 流体を送る配管の漏出箇所からの前記流体の漏出を防止する流体の漏出防止構造であって、
前記漏出箇所を含む前記配管の外面を気密的に包囲する第1シートと、
前記第1シートと前記配管との間の気密空間に充填される充填剤と、
前記漏出箇所を含む前記第1シートの外面との間に減圧された気密空間を形成する第2シートと、
を有することを特徴とする流体の漏出防止構造。
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JP2018196543A JP7172425B2 (ja) | 2018-10-18 | 2018-10-18 | 流体の漏出防止方法 |
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- 2018-10-18 JP JP2018196543A patent/JP7172425B2/ja active Active
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