JP2020063559A - 山岳地における建造物建造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】山岳地の高所に送配電用の鉄塔などの建造物を建造するにあたり、自然環境に与える影響が少なく、多方面に有益でかつ工期の短期化を図る建造物建造方法を提供する。【解決手段】山岳地1の低地から高地の間の山中の急峻な傾斜地の上に位置する建造物設置場所までの間の森林に生える樹木の間伐が行えるよう路網を整備するためのエリア22に、低地からフェラバンチャ31aを搭載した重機31が入山して樹木を伐採しながら平坦な車道を造成するステップと、造成した車道を自走式基礎工事重機が建造物設置場所まで登坂して建造物設置場所にて基礎工事を行い建造物の基礎部を設けるステップと、造成した車道を建造物組み立て用の資材を積載した不整地運搬車が登坂して前記建造物設置場所に運搬するステップと、運搬された資材を基礎部に組み立てて建造物を建造するステップとを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば山岳地の比較的高い場所(頂上やその付近の狭い土地)に送電用の鉄塔などの建造物を建造するための建造物建造方法に関する。
山岳地に、送電用の鉄塔などの建造物を建造するためには、鉄塔建設場所となる山岳地の山中における鉄塔設置場所(用地)の確保、鉄塔設置場所まで傾斜地を登って建設機材(作業機械や鉄骨、生コンなどの材料)を輸送する運搬手段(モノレールや車両など)の選定と、選定した運搬手段の運搬路を作るための山林伐採、運搬手段が車両の場合は作業道の整備、運搬手段を利用した建設機材の運搬、鉄塔設置場所での基礎工事、鉄塔組み立て工事、送電線の架線工事など、多大な労力と長い工期が必要になる。
このように山岳地の山中に鉄塔を建造する場合、山肌の傾斜がきつい山頂付近では機械がほとんど使えず、平地での一般的な杭打ち工事の工法が使えないため、深礎基礎工事などは主に手作業で行うことになる。深礎基礎工事とは、例えば直径2m程度の円形の深い縦穴(深さ20m程度)を掘り、そこにコンクリートを打設して基礎とする工事である。
鉄塔設置場所まで機材や資材を運搬する運搬手段として、例えばモノレールを選定した場合、図1のような山岳地1の森林のうち、図10に示すようなレールルートの狭いエリア81を伐採する。この際、伐採した木々82は、レールルートの脇に放置することになる。この後、図11に示すように、伐採したエリア81に、モノレールのレール91を設置し、設置したレール91に動力車と荷台からなる運搬機92を移動自在に取り付けて、運搬機92に機材や資材を積載して山頂付近の作業現場84まで運搬することになる。
運搬手段としてモノレールを選定した場合の工事は、山林の伐採範囲が狭く自然保護という面でよいものの、輸送重量がある程度の重さに制限されるため、平地で利用している中・大型の重機などは搬送できず、山頂付近の作業現場での深礎基礎工事は、人手の作業が多くなり、工期がかかる。
また、傾斜のきついレールルートの整備には、多くの人手を要することになり、伐採とレールの設置工事を含めてモノレールが利用可能になるまで数週間から1か月程度を要する。
なお、運搬手段として車両を選定する場合、平地で利用している重機が通行可能な幅の作業道を作るには山岳地という急勾配を考慮すると、現状では幅広な作業道の作設が難しい。
特開2003−118976号公報 特開昭55−101592号公報
上述したように、山岳地に送配電用の鉄塔を建造するにあたり、山中の鉄塔設置場所までの資材や機材の運搬手段として従来はモノレールを利用することがあるが、この場合、運搬重量に制限があり、人手の作業が多くレールの整備や山中の鉄塔設置場所での深礎基礎工事に工期がかかるという問題がある。また、レールルートの整備で伐採した樹木の木材や葉などは置き去りにされたままになり利益が生まれない上に材料が活用されない。なお、搬送手段として車両を利用する場合、急勾配の傾斜地では、大型重機のような幅広な車両を通す道路の作設が難しい。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、山岳地の高所に送電用の鉄塔などの建造物を建造するにあたり、自然環境に与える影響が少なく、有益でかつ工期の短期化を図ることができる山岳地における建造物建造方法を提供することにある。
本発明の山岳地における建造物建造方法は、山岳地の低地から高地の間の山中の急峻な傾斜地の上に位置する建造物設置場所までの間の森林に生える樹木の間伐が行えるよう路網を整備するためのエリアに、前記低地から入山したフェラバンチャを搭載した重機が前記エリアの樹木を伐採しながら前記建造物設置場所に至る平坦な車道を造成するステップと、造成した前記車道を自走式基礎工事重機が前記低地から前記建造物設置場所まで登坂して前記建造物設置場所にて基礎工事を行い建造物の基礎部を設ける基礎工事ステップと、造成した前記車道を建造物組み立て用の資材を積載した不整地運搬車が前記低地から前記建造物設置場所まで登坂して前記建造物設置場所に資材を運搬するステップと、前記建造物設置場所に運搬された前記資材を前記基礎部に組み立てて前記建造物を建造するステップとを有する。
本発明によれば、急峻な傾斜地を有する山岳地において自然環境を有効に保護しつつ低コストでかつ多方面に利益が生まれるようにして山岳地の高所に建造物を建造することができる。
本発明が適用される山岳地(山林)を示す図である。 山岳地の山頂付近(高所)の鉄塔設置場所までの間伐ルートの樹木を伐採したエリアを示す図である。 図2のエリアに作道した車道を示す図である。 図3の車道を登坂させた自走式工事車両(杭基礎工事機、キャタピラクレーンなどの重機)が鉄塔設置場所の基礎工事を行う様子を示す図である。 図4の自走式工事重機の拡大図である。 従来の深礎基礎工事の孔を示す図である。 本発明の基礎工事の杭打ち孔を示す図である。 鉄塔設置場所に設けられる基礎部を示す図である。 図8の基礎部に資材を組み立てて据え付けた鉄塔を示す図である。 従来のモノレールを設置するためのレールルートのエリアを示す図である。 図10のエリアにモノレールを設置して山頂付近の作業現場に資材や機材を運搬し鉄塔を建てる様子を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一つの実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用する急峻な傾斜地を有する山岳地を示す図である。
この実施形態では、建造物として例えば送電用鉄塔(以下「送電鉄塔」と称す)などの設置場所を、図1に示すように、山岳地1の例えば斜度20°を超えるような急峻な傾斜地の上の高所(山頂付近)を想定し説明する。
一般に、山岳地1に送電鉄塔工事を計画する際には、電力会社が地権者と契約を交わす前に、一般に温暖化対策を目的とした森林整備事業で適用されている別契約を交わす。これは森林の樹木を『植栽→育成→伐採→植栽』のサイクルで循環(リサイクル)することで二酸化炭素の吸収を高めるもので、これまで伐採補償・積み置きされていた支障木を、その木材として利用するためである。
森林整備事業は、近年、社会的意義が高いことから、補助金が適用され、樹木の間伐などは、機械化により生産性と安全性が著しく高まっており、伐採した樹木は木材として活用されることから、それで得られた収益の一部を地権者に還元することなども可能である。
一方、上記と同じような環境の山岳地に送電鉄塔を建設する場合、伐採した樹木などを活用しない実態から環境破壊という面で見られがちであり、特に山岳地の高所に鉄塔を建設する場合は、地権者との交渉が難航しがちである。
地権者との交渉で、送電鉄塔工事の許可が得られたとしても、鉄塔を建設する高い場所までの工事ルートは、急斜面が多く平地で利用する重機が入れないばかりか環境保全を前提に鉄塔建設工事を行うため、工事ルートとなるエリアを絞り狭い範囲で樹木を伐採する必要がある。また、伐採した樹木も地権者の所有物であることから工事事業者側では活用できず放置するしかなかった。また、地権者が樹木を持ち出すことは、現実的に費用面で困難であり、活用されることがないのが一般的である。
そこで、本願発明では、森林整備事業と送電鉄塔工事を連携して行うことで、自然環境、地権者、工事事業者の3者全てにとって利益が得られるようにするものである。
森林整備事業では、間伐のため樹木が生い茂る山林部分について路網を整備する。この路網整備を、急峻な傾斜地の上(高所)の鉄塔工事現場(以下「鉄塔設置場所26」と称す)まで行うものとする。
以下、図1乃至図7を参照して建造物建造方法(山林伐採、路網整備、深礎基礎工事、鉄塔組み立てなどの手順)を説明する。
この建造物建造方法は、第1ステップから第6ステップを有する。第1ステップは、山岳地の基地21(低地)から高地(山頂付近など)の間の山中の急峻な傾斜地(例えば傾斜角15°以上25°以下)の上に位置する鉄塔設置場所26までの間の森林に生える樹木の間伐が行えるよう路網を整備するためのエリア22(図2参照)に、基地21(低地)から入山したフェラバンチャ31aを搭載した重機(油圧ショベル31)(図2参照)が樹木を伐採しながら鉄塔設置場所26に至る幅3.5m以下の平坦な造成部24(図3参照)を形成しその造成部24の内側に幅3.0m程度の重機道25を造成する伐採および車道造成ステップである。
第2ステップは、樹木を伐採したエリア22に置かれた樹木を、重機道25を登坂させたハーベスタ32a付きの重機(油圧ショベル32)(図2参照)により木材に加工する木材加工ステップである。
第3ステップは、造成した重機道25にアイアンフォーク33a付きの重機(油圧ショベル33)およびキャリダンプ34(不整地運搬車)を登坂させて、その重機(油圧ショベル33)により木材をキャリダンプ34に積載し基地21(低地)へ運搬する木材運搬ステップである。
第4ステップは、造成した重機道25を自走式基礎工事重機(キャタピラ付きの全周旋回掘削機60、キャタピラクレーン50、生コンミキサ機能を搭載したキャリダンプ41および生コン圧送車(図示せず)など)が基地21(低地)から鉄塔設置場所26まで登坂して鉄塔設置場所26にて基礎工事を行い建造物の基礎部69(深礎基礎)(図6参照)を設ける基礎工事ステップである。
第5ステップは、造成した重機道25を建造物組み立て用の資材を積載したキャリダンプ34が登坂し鉄塔設置場所26に運搬する資材運搬ステップである。
第6ステップは、鉄塔設置場所26において、運搬された資材を基礎部69に組み立てて鉄塔71(図7参照)を建造する鉄塔建造ステップである。
以下、各ステップを詳細に説明する。
まず、伐採および車道造成ステップ(第1ステップ)を説明する。
図1のような樹木が生い茂った山岳地1において、図2に示すように、山岳地1のふもと(平地)の通常の大型車両が運行できる平坦な場所に、重機(油圧ショベル31、32など)の待機場所を造成し、その場所をスタート地点(以下「基地21」と称す)にする。
そして、図2に示すように、基地21に配置した自走式重機、例えば0.45mバケットの油圧ショベル31(立木伐倒用の重機)を基地21から山中に入らせて、山の斜面を例えば3.5m幅で順に平坦にしながら造成部24を生成し、造成部24の両縁0.5m内側の部分を路網と呼ばれる3.0m幅の重機道25(重機が通行できる道路)として敷設する。
この際、油圧ショベル31は、山の斜面を登りながら重機道25を作設する。なお、この図2では、説明を解り易くするため重機道25を単純な1本の登り坂の道としたが、森林設備の間伐に利用するためには鉄塔設置場所26に至る主道から縦横に分岐した枝道なども設けるものとする。
油圧ショベル31は、通常のバケット以外に、フェラバンチャ31a(図2参照)と呼ばれる樹木を掴んでチェンソーで伐採する機構(アタッチメント)を搭載した重機である。この油圧ショベル31(樹木伐倒用の重機)は、山の斜面に生える立木を伐倒し、倒した立木を路側部(道路脇)に集積しながら平らな面の造成を進める。
この際、伐倒した立木の根部を活用し土止め代わりになるよう路網の谷側に並べ、山側を切土し谷川となる側にそれを盛土して、先述した3.5m幅が平らになるよう整地する。
高所になるにつれて山の傾斜が険しくなると、斜面を直に登らずに迂回(蛇行)する方向に道路を敷設することで、登坂する傾斜を極力緩やか(例えば傾斜角25°以下)にしながら路網を整備する。
木材加工ステップ(第2ステップ)
フェラバンチャ31aを搭載した油圧ショベル31により、立木を切り倒し切盛土により路網を設置した後、油圧ショベル31と同じクラスの、ハーベスタ32a(図2参照)を搭載した0.45mバケットの油圧ショベル32を、基地21から登坂させて、車道脇に点在する樹木の集積場所に向かわせる。
油圧ショベル32が樹木の集積場所に到着すると、油圧ショベル32は、その場所に集積されている樹木(立木)を、枝払い・規定長さ(3〜5m程度)に玉切りして、図3に示すように、木材23に加工し、それぞれの集積場所に蓄積してゆく。
木材運搬ステップ(第3ステップ)
集積場所に木材23がある程度蓄積されると、アイアンフォーク33a付きの重機である油圧ショベル33と、3.5〜8t積載できる不整地運搬車であるキャタピラ付きのダンプ車34(以下これを「キャリダンプ34」と称す)を、基地21から木材23の集積場所まで登坂させる。
これら重機が木材23の集積場所に到着すると、アイアンフォーク33a付きの油圧ショベル33が、集積されている木材23をキャリダンプ34に積載し、キャリダンプ34が重機道25を下って、下の基地21へ運搬していく。
キャリダンプ34が基地21に到着すると、基地21に配置した別の油圧ショベルにて基地21側の積載場所に一時集材する。
基地21側の積載場所に木材23がある程度集材されると、集積された木材23を大型の搬送車(木材輸送車)にて市場に運搬し売却する。また枝木・葉についても、キャリダンプ34で下の基地21へ運搬し基地21側の積載場所に集約してリユース先のバイオマス発電所などの売却先に売却する。
これらを繰り返すことで、立木を伐採・搬出・売却しながら、基地21から山頂付近の鉄塔設置場所26までの路網を整備する。これにより、少なくとも0.45m油圧ショベル31〜33が通行できる重機道が整備されることになる。
0.45m油圧ショベル31〜33は、総重量が約12t程度あり、従来の同0.1m油圧ショベルに比べて能力も4倍程度もあることから、山岳地1での鉄塔工事が著しく進むようになり、効率化が図られる。
基礎工事ステップ(第4ステップ)
山頂付近の鉄塔設置場所26までの重機道25が整備されると、造成した重機道25にキャタピラ付きの全周回転オールケーシング掘削機60(以下「全周旋回掘削機60」と称す)、キャタピラクレーン50、0.45mバケットの油圧ショベル40および生コンミキサ機能を搭載したキャリダンプ41などの自走式基礎工事重機を基地21から登坂させて山頂付近の鉄塔設置場所26に移動させる(図4参照)。
0.45mバケットの油圧ショベル40は、日本では最も流通している重機の一つであり、それを山頂付近の工事に導入できるメリットは大きい。例えば上記樹木の伐採、加工で使用したフェラバンチャ31a、ハーベスタ32a、アイアンフォーク33aなどの他、油圧ブレーカーなどの各種アタッチメントが豊富にあることが挙げられ、アタッチメントの交換で異なる作業を行える。
鉄塔設置場所26が、岩が多い地形の場合、0.45mバケットの油圧ショベルに油圧ブレーカーを装着すると、これまでの手作業による掘削と比較すると飛躍的に生産性は向上する。特に『パイプクラム』と呼ばれるテレスコ(伸縮)式のバケットを使用することで、かなりの部分で掘削・排土がこの重機1台で完結するため、作業員の労力を大幅に削減することができる。
山頂付近の鉄塔設置場所26においては、全周旋回掘削機60、キャタピラクレーン50などが、深さ20m程度までの杭打ち基礎工事を行ってから、例えば深さ3m程度まで土止めしながら掘削して下部の杭基礎と上部の鉄塔の基礎となる台を形成することで、図8に示すような基礎部69を設ける。
ここで、図5を参照して全周旋回掘削機60、キャタピラクレーン50について説明する。
図5に示すように、キャタピラクレーン50は、機体51、伸縮式ブーム52、クレーン53、ハンマークラブ54などを有する。キャタピラクレーン50は、自走式のクレーンであり、例えば4.9t吊り以上のクローラクレーンなどを利用する。
伸縮式ブーム52は、例えば3段式のブームであり、ブーム長を5mから12m程度の範囲で可変可能である。クレーン53は、伸縮式ブーム52の先端からワイヤーでフック53aを昇降可能に支持し、フック53aにハンマークラブ54を引掛けて、上下に移動させる。ハンマークラブ54は、全周旋回掘削機60のケーシングチューブ62に挿入されて、ケーシングチューブ62の孔内の掘削を行い、場所打ち杭を打設する。
全周旋回掘削機60は、山岳用のキャタピラ61、ケーシングチューブ62、カウンタウェイト63、ケーシングドライバ64、転落防止柵65などを有する。すなわち、この全周旋回掘削機60は、山岳用のキャタピラ61を有する駆動装置の上に平地で使用する全周旋回掘削機の機体を軽量化し載置したものである。
山岳用のキャタピラ61は、例えば傾斜角20°〜25°程度に傾斜した重機道を走行するためのものである。ケーシングチューブ62は、ケーシングドライバ64により全周回転するように駆動される。
ケーシングチューブ62の下端には、ファーストチューブ65が設けられている。ファーストチューブ65の先端には、カッター65aが取り付けられており、土砂は、勿論のこと、転石、岩盤や地中の障害物となる地中梁などを切崩する。
カウンタウェイト63は、ファーストチューブ65の回転トルクで機体が共回りしないようにするための重石である。ケーシングドライバ64は、ケーシングチューブ62を回転駆動する。転落防止柵66は、作業者が転落しないように設けた柵である。
山頂付近における深礎基礎工事は、上記重機により全周回転式オールケーシング工法により行われる。
全周回転式オールケーシング工法における主な作業手順は、以下のとおりである。
すなわち、施工準備、杭芯出し、全周旋回掘削機60の固定、掘削、支持層への根入れ、鉄筋の建込み(コンクリート打設)、全周旋回掘削機60の移動、埋戻し、などを行う。
従来、深礎基礎を施工する場合、一般的には、柱体部と呼ばれる箇所は、主に3〜4mの直径の円形で50cm程度毎に手作業で掘削してはライナープレートで土止めを施していく。これを繰り返して、規定の深さ(例えば図6に示す地面から5m程度)まで掘削・土止めを行う。その後、地下の躯体部と呼ばれる箇所は、規定の直径(例えば2〜3.5m程度)で、50cm毎に手作業で掘削土止めを繰り返して、規定の深さ(例えば地表部から20m程度)まで掘削する必要があった。
これに対して、本発明では、鉄塔設置場所26に重機を導入可能なことから、2つのケースで機械による掘削工事を行うことができる。一つのケースは、基礎型を深礎基礎のまま行う第1ケース、他の一つのケースは、基礎型を場所打ち杭に変更して行う第2ケースである。
(第1ケース)
第1ケースでは、基地21から鉄塔設置場所26に自走して登坂した0.45mバケットの油圧ショベル40が、地面から直径3〜4m、深さ5m程度まで掘削することから、柱体部の掘削・排土による労力を著しく削減することができる。またこれは地質により一概には言えないが、岩などの自立性のよい地質の場合、地面から深さ3〜4m程度掘削した後で、地上で地組したライナープレートを0.45mバックホー(この重機はクレーン機能を搭載したもの)にて吊り上げ、掘削した坑内に下ろすことで土止めが成立するため、一連の掘削・土止め作業が、ほぼ機械化されることになる。なお躯体部の掘削からは、従来通りである。
また、現場の土質によって大きく左右されるが、例えばブレーカーを使用しないと砕けない岩混じりの地表の場合、従来の工法であれば、柱体部だけでも4人の作業員が手堀または0.1m程度の小型バックホーを併用したとして10日程度要する。これに対して本工法ならば0.45mバックホーに油圧ブレーカーなどの各種アタッチメントを活用できることもあり、バックホーオペレター1人と地上作業員1名程度で2〜3日程度もあれば同じ作業を終わらせることができるため、圧倒的な工期短縮となる。
(第2ケース)
従来、重機が現場に辿り着けないことから、基礎形状を深礎基礎にしていたが、本発明の工法では、全周旋回掘削機やキャタピラクレーンなどを鉄塔設置場所26で稼働させることができることから、基礎型を、深礎基礎から場所打ち杭基礎に変更することが可能になる。
この場合、地面に水平に設置した全周旋回掘削機で、図7に示すように、規定の直径(例えば1.5m)で規定の深さ(例えば20m)まで土止め・掘削し、その後、鉄筋の建て込み・生コン打設という工事を全て機械で実施することができる。
その後、基礎工事と呼ばれる作業は、地面を規定の深さまで(例えば2〜4m)作業に支障のない直径(例えば2〜3m)を0.45mバックホーで土止め掘削する。杭の主鉄筋部分の生コン部分を撤去して(これを杭頭処理という)、そこに基礎材と呼ばれる上部鉄塔材と連結する部材を設置する。その後、型枠により、規定の太さ(例えば直径1m)、規定長さ(例えば2〜3m)の基礎になるよう生コンを打設して場所打ち杭部と連結する。
これは、現場の土質や地形により左右されるが、機械を水平に据えるための造成作業に、オペレーター1人と地上作業員1人で2日、掘削・鉄筋建て込み・生コン打設(一連の作業を場所打ち杭作業と呼ぶ)は、クレーンのオペレーター1人・全周旋回掘削機のオペレーター1人・地上作業員3名程度で2〜4日で終了する。その後、基礎工事は、バックホーオペ1人・地上作業員2名で7日程度で終了する(通常2班同時で施工するため、7日×4脚÷2班=14日)。
従来の深礎基礎の工事は、柱体部掘削10日×4脚=40日、躯体部掘削40日、配筋2日×4脚=8日、躯体部L1生コン打設1日×4脚=4日、基礎材据付2日×4脚=8日、躯体部L2生コン打設1日×4脚=4日、柱体型枠と生コン打設3日日×4脚=12日、その他、養生・休日などで約4ヶ月要する。
これに対して、本発明の工法によれば、基礎型を、場所打ち杭に変更した場合、地表部造成2日×4脚=8日、場所打ち杭最大4日×4脚、基礎作業14日、都合1〜2ヶ月以内で終了する。
資材運搬ステップ(第5ステップ)
造成した重機道25を建造物組み立て用の資材を積載したキャリダンプ34が自走、登坂して鉄塔設置場所26に資材を運搬する。建造物組み立て用の資材としは、例えば山形鋼、ボルト、ナット、碍子などである。
鉄塔建造ステップ(第6ステップ)
図9に示すように、鉄塔設置場所26において、運搬された資材を基礎部69(図8参照)に組み立てて鉄塔71を建造する。この際、キャタピラクレーン50により資材を吊り上げて基礎部69に組み付ける。
このようにして鉄塔設置場所26に鉄塔71を据え付けた後、余分な機材や工事車両を上記の作業手順と逆の順序で搬出および撤収する。なお、基地21(低地)から鉄塔71までの間に作設した重機道25は、以降の森林整備事業における間伐作業や鉄塔71の定期メンテナンスなどに利用するため、残すものとする。
(発明の効果)
このように本発明の建造物建造方法(山岳基礎工法)によれば、山岳地1の基地21(低地)から鉄塔設置場所26に至る道筋に間伐が行えるよう路網を整備し、この際に、基地21から入山したフェラバンチャ31aを搭載した油圧ショベル31がエリア22の樹木を伐採しながら鉄塔設置場所26に至る平坦な重機道25を造成し、造成した重機道25を自走式の重機(キャタピラクレーン50、全周旋回掘削機60、生コンミキサ機能を搭載したキャリダンプ41など)が登坂して鉄塔設置場所26に移動して鉄塔設置工事を行うので、従来の人手の工事に比べて工期を大幅に短縮でき、また生産性を向上することができる。
また、重機道25は、森林保全活動の際の樹木の間伐に利用する道路も兼ねるので、森林保全活動を行う上でも有効である。
さらに、地権者には、重機道25の作設のための山林伐採により得られた木材23を市場に売却したり、伐採した樹木の枝木・葉をリユース先のバイオマス発電所などの売却することで得られた利益を還元するので、収益面での効果が期待できる。
また、基地21から鉄塔設置場所26までを路網整備することにより、油圧ショベルだけでなく、平地での工事では広く普及している4.9t吊りのクローラークレーンの導入が可能になる。クローラークレーンを使用する工種は、掘削(排土・土止め材荷下ろし他)・配筋・生コン打設・組立など多様で、これまで分解して運搬していたものを自走で使えることから、複数台による活用が可能になることで、より安全に効率よく施工することになる。
今回、(公序良俗違反につき、不掲載)のクローラークレーンの登坂能力を向上させた山岳地仕様のキャタピラクレーン50を導入したことで、最大吊り重量50t〜75tのクレーンを山岳地1で使用できるようになった。山岳地仕様とは、キャタピラの凹凸量を大きくしかつ傾斜面を登る方向(進行方向)に重心を置いて(前重心にして)登坂能力を向上させたものである。
また、山岳用のキャタピラ61を装備した全周旋回掘削機60を新たに開発し、基地21から鉄塔設置場所26まで自走、登坂させて、山岳地仕様のキャタピラクレーン50と組み合わせて使用することで、山岳地1の高所において、平地同様の杭打ち施工を行うことができる。
これら山岳地仕様の重機と重機道の整備により、従来のモノレールを利用した深礎基礎工事では3〜4ヶ月程度時間を要したが、本発明の工法に変更することで、工期をおよそ1.5〜2ヶ月に短縮することができる。また、深礎基礎工事以降に実施される鉄塔の組立工事においても、最も時間を費やす下部(鉄塔下部)のクレーン組立を山中においても実現できる。
さらに、地組など、総じてクレーン作業により効率化されることから、従来の工法(全て台棒工法による)では工期が15日程度かかったものが約10日程度に短縮される。これらにより、コストは、従来の工法の半額程度に削減されるものと試算できる。
すなわち、工事事業者としては、工期の大幅な短縮効果とコスト削減効果の2つの大きな効果が得られることになる。
造成した重機道25を重機に自走、登坂させるメリットは、掘削工事以外にも物資の輸送面(物輸面)で大きな効果がある。
従来のモノレールによる物輸では、最高速度で時速1.8〜2.4kmで、最大積載量が2〜3t程度である(仮に500m程度の輸送距離がある場合、1時間当たり3.6〜7.2t運搬可能となる)。
本発明では、重機道を登坂させる重機の一つとしてキャリダンプ34を使用して資材や機材などの物資を輸送するため、最高速度8〜10Km、最大積載量が3.5〜8tとなり(同条件で1時間当たり35〜64t)運搬時間はケタ違いに向上する上、モノレールと違い普及品のため複数台の使用も容易となる。
また、ヘリコプタ・索道による物輸の場合、作業員は、山登り通勤を余儀なくされるが、本発明のような路網整備により、作業員輸送専用の乗用車両(キャリダンプ34を改造し積載部に座席を設けたもの)を導入することで、作業員の山登りの安全確保と労力の大幅な削減が可能になった。
以上のように本発明によれば、急峻な傾斜地を有する山岳地1において自然環境を保護しつつ低コストでかつ多方面に利益が生まれるようにして山岳地1の高所に送電用の鉄塔71を設置(建造)することができる。
なお、このような作業手順(ステップ)の例は一例であり、各作業手順(ステップ)を入れ替え、また新たな作業手順(ステップ)を追加したり、一部の作業手順(ステップ)を削除することで、建造物建造方法(工法)をさまざまに変えることも可能である。
本発明の実施の形態を説明したが、実施の形態は、例として示したものであり、この他の様々な形態で実施が可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。
1…山岳地
26…鉄塔設置場所
31、32、33、40…油圧ショベル
31a…フェラバンチャ
32a…ハーベスタ
33a…アイアンフォーク
34…ダンプ車(キャリダンプ)
41…生コンミキサ機能付きキャリダンプ
50…キャタピラクレーン
51…機体
52…伸縮式ブーム
53…クレーン
53a…フック
54…ハンマークラブ
60…全周回転オールケーシング掘削機(全周旋回掘削機)
61…キャタピラ
62…ケーシングチューブ
63…カウンタウェイト
64…ケーシングドライバ
65…転落防止柵
65…ファーストチューブ
65a…カッター
66…転落防止柵
69…基礎部
71…鉄塔

Claims (5)

  1. 山岳地の低地から高地の間の山中の急峻な傾斜地の上に位置する建造物設置場所までの間の森林に生える樹木の間伐が行えるよう路網を整備するためのエリアに、前記低地から入山したフェラバンチャを搭載した重機が前記エリアの樹木を伐採しながら前記建造物設置場所に至る平坦な車道を造成するステップと、
    造成した前記車道を自走式基礎工事重機が前記低地から前記建造物設置場所まで登坂して前記建造物設置場所にて基礎工事を行い建造物の基礎部を設ける基礎工事ステップと、
    造成した前記車道を建造物組み立て用の資材を積載した不整地運搬車が前記低地から前記建造物設置場所まで登坂して前記建造物設置場所に資材を運搬するステップと、
    前記建造物設置場所に運搬された前記資材を前記基礎部に組み立てて前記建造物を建造するステップと
    を有する山岳地における建造物建造方法。
  2. 前記樹木を伐採した前記エリアに置かれた樹木を、前記車道を登坂させたハーベスタ付きの重機が木材に加工するステップと、
    造成した前記車道を不整地運搬車およびアイアンフォーク付きの重機が登坂して前記木材を前記不整地運搬車に積載し前記低地へ運搬するステップと
    をさらに有する請求項1記載の山岳地における建造物建造方法。
  3. 前記基礎工事ステップでは、前記自走式基礎工事重機として導入したキャタピラを備えた全周旋回掘削機が縦孔を掘削し深礎基礎工事を行う請求項1記載の建造物建造方法。
  4. 前記傾斜地は、斜度が15°以上25°以下の急峻な傾斜地であることを特徴とする請求項1記載の山岳地における建造物建造方法。
  5. 前記エリアには、幅3.5m以下の平坦な造成部とこの造成部の内側に幅3.0m程度の車道とを造成することを特徴とする請求項1記載の山岳地における建造物建造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113982014A (zh) * 2021-11-01 2022-01-28 山西建筑工程集团有限公司 一种山地群体建筑穿插施工的方法

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