JP2020063405A - 水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】低吸水性印刷媒体への印刷においても、定着性及び耐擦過性に優れる印刷物を得ることができる水系インク、及び該水系インクを用いる印刷方法を提供する。【解決手段】顔料と、架橋構造を有するポリマー粒子Aとを含有する水系インクであって、該ポリマー粒子Aが、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサン(a−1)と重合性不飽和基含有モノマー(a−2)とを共重合してなる、水系インク、及び該水系インクを用いて低吸水性印刷媒体に印刷する印刷方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、水系インク、及び該水系インクを用いる印刷方法に関する。
商品包装印刷や広告等に用いられるラベル印刷等の商業印刷や産業印刷の分野では、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、NY(ナイロン)等の樹脂製印刷媒体に対し、従来、溶剤系インクやUV硬化インク等によって印刷が行われてきた。これに対し、環境負荷の低減、省エネルギー、安全性等の観点から、水系インクを用いる印刷方法として、インクジェット記録方式やフレキソ印刷方式、さらにはグラビア印刷方式の活用が求められている。
また、印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いる水系インクが主流となってきている。しかしながら、樹脂製印刷媒体は非吸水性であり、水系インクが印刷媒体内部に浸透しないため、水系インク中に含まれる顔料粒子は印刷媒体の表面上に残留する。そのため、従来の水系インクでは該印刷媒体への耐擦過性が十分でなく、これらを改善する種々の試みがなされてきた。
例えば、特許文献1には、耐擦過性等を有するインクジェット用インクの提供を目的として、色材、水、水溶性のポリロタキサンを含むインクジェット用インクが記載されている。
ロタキサンを用いる他の技術として、特許文献2に、耐擦傷性等を有する硬化型溶剤系塗料等の提供を目的として、特定の親油性ポリロタキサンを含む硬化型溶剤系塗料が記載されている。
特開2011−122106号公報 特開2009−287031号公報
包装産業の発展に伴い、商業印刷、産業印刷分野での軟包装資材の利用が進んでいる。軟包装資材としては主にPETやOPP等の樹脂フィルムが用いられ、特に食品の軟包装資材への適用のため、樹脂フィルムを基材としてラミネート技術より多層化されたラミネート製品への印刷が求められている。ラミネート製品は、基材フィルムとシーラントフィルムとを含む複層構造を有し、基材フィルム上に形成されたインク塗膜に更にシーラントフィルムが積層されている。しかしながら、基材フィルムへのインクの定着性が不十分であると、ラミネート製品において層間剥離が起こる。また、基材フィルムへのインクの定着性を向上させると、インク塗膜の強度が低下し、耐擦過性が低下する。
特許文献1のインクでは、樹脂フィルムに対する定着性が十分でない。また、特許文献2は、塗膜形成成分の少なくとも一部と親油性ポリロタキサンとを環状分子を介して硬化反応させており、樹脂フィルムへの十分な定着性が得られない。
本発明は、低吸水性印刷媒体への印刷においても、定着性及び耐擦過性に優れる印刷物を得ることができる水系インク、及び該水系インクを用いる印刷方法を提供することを課題とする。
なお、本明細書において、「低吸水性」とは、低吸水性、非吸水性を含む概念であり、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量が0g/m2以上10g/m2以下であることを意味する。
また、「印刷」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念であり、「印刷物」とは、文字や画像が記録された印刷物、印字物を含む概念である。
本発明者は、顔料と、架橋構造を有するポリマー粒子とを含有する水系インクであって、該ポリマー粒子が、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサンと重合性不飽和基含有モノマーとを共重合してなることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]に関する。
[1]顔料と、架橋構造を有するポリマー粒子Aとを含有する水系インクであって、
該ポリマー粒子Aが、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサン(a−1)と重合性不飽和基含有モノマー(a−2)とを共重合してなる、水系インク。
[2]前記[1]に記載の水系インクを用いて低吸水性印刷媒体に印刷する、印刷方法。
本発明によれば、低吸水性印刷媒体への印刷においても、定着性及び耐擦過性に優れる印刷物を得ることができる水系インク、及び該水系インクを用いる印刷方法を提供することができる。
[水系インク]
本発明の水系インク(以下、「インク」ともいう)は、顔料と、架橋構造を有するポリマー粒子A(以下、「ポリマー粒子A」ともいう)とを含有するインクであって、該ポリマー粒子Aが、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサン(a−1)と重合性不飽和基含有モノマー(a−2)とを共重合してなる。
なお、本発明において「水系」とは、顔料を分散させる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。また、ポリマー粒子Aは、好ましくは顔料を含有しない。
本発明のインクは、定着性及び耐擦過性に優れる印刷物を得ることができるため、フレキソ印刷インキ、グラビア印刷インキ、又はインクジェットインクとして好適に用いることができ、インクジェット印刷における吐出安定性(以下、単に「吐出安定性」ともいう)に優れるため、インクジェットインクとして用いることが好ましい。
本発明のインクは、低吸水性印刷媒体への印刷においても、定着性及び耐擦過性に優れる印刷物を得ることができ、更にインクジェットインクに用いることにより吐出安定性に優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
一般に、ポリエチレンテレフタレート等の非吸水性印刷媒体に対するインクの定着性は、インクに含まれる定着助剤であるポリマー粒子の粘性が高いほど向上すると考えられている。一方で、印刷物の耐擦過性は、インク塗膜の強度に大きく依存し、ポリマー粒子の弾性が高いほど向上する。耐擦過性を向上させる方法として、ポリマー粒子のポリマー鎖を架橋することによりインク塗膜の強度を高める試みもなされているが、それにより靱性が損なわれ、定着性が低下するという問題がある。
本発明においてロタキサンは、少なくとも1個の環状分子と該環状分子の開口部を貫通する1個の直鎖状の軸分子を含み、該軸分子の両末端に嵩高い封鎖基を有する。そして、ポリマー粒子の架橋構造を、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサンで形成することにより、ポリマー粒子の弾性が高くなり、インク塗膜の強度を向上させることができる。更に、ロタキサンによる架橋構造は、環状分子の可動性に起因するいわゆる滑車効果により、ポリマー粒子の靭性の低下を抑制することができる。そのため、インク塗膜の強度が高く、かつ靭性の高いインク塗膜を形成することができ、優れた定着性及び耐擦過性を達成することができると考えられる。
また、ポリマー粒子は、特定のロタキサンで架橋されているため、インク中での膨潤が起こりにくく、インクジェット記録方式による印刷において吐出安定性にも優れると考えられる。
本発明では、特定のロタキサンで架橋することにより、耐擦過性と定着性とを両立することができ、更に吐出安定性も向上できると推定される。
<ポリマー粒子A>
ポリマー粒子Aは、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサン(a−1)と重合性不飽和基含有モノマー(a−2)とを共重合してなる。
〔ロタキサン(a−1)〕
重合性不飽和基を2個以上有するロタキサン(a−1)(以下、「ロタキサン(a−1)」ともいう)は、少なくとも1個の環状分子と該環状分子の開口部を貫通する1個の直鎖状の軸分子を含み、該軸分子の両末端に嵩高い封鎖基を有し、かつ環状分子に重合性不飽和基を2個以上有するものである。中でも、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは2個以上の環状分子と該環状分子の開口部を貫通する1個の直鎖状の軸分子を含むポリロタキサンである。
環状分子としては、α−シクロデキストリン(シクロヘキサアミロース)、β−シクロデキストリン(シクロヘプタアミロース)、γ−シクロデキストリン(シクロオクタアミロース)、ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、及びこれらの誘導体又は変性体等のシクロデキストリン類;クラウンエーテル、ベンゾクラウン、ジベンゾクラウン、ジシクロヘキサノクラウン、及びこれらの誘導体又は変性体等のクラウンエーテル類などが挙げられる。これらの環状分子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくはシクロデキストリン類であり、より好ましくはα−シクロデキストリンである。
軸分子としては、環状分子の開口部に貫通され得るものであれば特に限定されないが、直鎖状であるものが好ましい。例えば、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシドを含む)、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリイソプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンと他のオレフィン系モノマーとの共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリメチルビニルエーテル;アクリル系樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらは、誘導体又は変性体であってもよい。
中でも、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリテトラメチレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール及びポリメチルビニルエーテルから選ばれる1種以上であり、より好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレンから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはポリエチレングリコールである。
軸分子の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上100,000以下である。
ロタキサン(a−1)は、軸分子を少なくとも1個の環状分子が包接している。
ロタキサン(a−1)がポリロタキサンである場合、1個の軸分子を包接する環状分子の個数(包接数)は特に制限はないが、例えば、ポリロタキサンを構成する軸分子がポリエチレングリコールであり、かつ環状分子がシクロデキストリン類である場合、エチレングリコール単位(−CHCHO−)の数に対するシクロデキストリン類の個数として、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上であり、そして、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.30以下、更に好ましくは0.20以下である。
ロタキサン(a−1)の封鎖基は、軸分子の両末端に配置され、環状分子が軸分子に貫通された状態を保持できる基であれば特に制限はないが、嵩高い構造を有する基が好ましい。例えば、アダマンチル基、ジニトロフェニル基、シクロデキストリン基、トリチル基、フルオレセイン基、ピレン基等が挙げられる。中でも、好ましくはアダマンチル基である。
ロタキサン(a−1)の重合性不飽和基は、環状分子に導入されてなる。
重合性不飽和基は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基であり、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ビニリデン基、及びビニレン基から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる1種以上であり、より好ましくはメタクリロイル基である。
環状分子への重合性不飽和基の導入方法としては、環状分子とそれに包接される軸分子とを混合して包接した後、環状分子のヒドロキシ基等の反応性官能基と直接反応しうる官能基を有する重合性不飽和基含有化合物とを反応させる方法が挙げられる。反応を容易にするために、あらかじめ環状分子を別の官能基含有化合物と反応させることで環状分子の反応性官能基を変換してもよい。具体的には、環状分子に導入されたカプロラクトン鎖の末端のヒドロキシ基等に2−イソシアナトエチルメタクリレートを反応させることにより導入する方法等が挙げられる。
ロタキサン(a−1)の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくは100,000以上、より更に好ましくは500,000以上であり、そして、好ましくは3,000,000以下、より好ましくは2,000,000以下、更に好ましくは1,500,000以下である。
ロタキサン(a−1)の重合性不飽和基当量は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは1,000以上であり、そして、好ましくは3,000以下、より好ましくは2,000以下、更に好ましくは1,700以下である。
商業的に入手し得るロタキサン(a−1)としては、例えば、セルム スーパーポリマーSM3403P、同SM2403P、同SM1303P、同SA3403P、同SA2403P、同SA1303P等(いずれも、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社製の商品名)が挙げられる。
〔重合性不飽和基含有モノマー(a−2)〕
重合性不飽和基含有モノマー(a−2)(以下、「モノマー(a−2)」ともいう)は、分子内に少なくとも1個の重合性不飽和基を有するものである。該重合性不飽和基としては、前述のロタキサン(a−1)と同様のものが挙げられる。モノマー(a−2)は、好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基、及びビニル基から選ばれる1種以上、より好ましくはアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる1種以上を有するビニルモノマーである。
該ビニルモノマーとしては、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び芳香族基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含む。
脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、好ましくは炭素数が1以上22以下の脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有するものである。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、より好ましくは炭素数1以上10以下のアルキル基を有するものであり、更に好ましくは炭素数1以上8以下のアルキル基を有するものであり、より更に好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、及びブチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である。
芳香族基含有モノマーは、好ましくはヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数6以上22以下の芳香族基を有するビニルモノマーであり、より好ましくはスチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上である。芳香族基含有モノマーの分子量は、500未満が好ましい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン等が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である。
ポリマー粒子Aは、更に脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び芳香族基含有モノマー以外の他のモノマー由来の構成単位を含んでもよい。他のモノマーとしては、イオン性モノマー、又はノニオン性モノマーが挙げられる。
モノマー(a−2)中の、脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
ポリマー粒子Aにおいて重合性不飽和基含有モノマー(a−2)由来の構成単位に対するロタキサン(a−1)由来の構成単位の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
ポリマー粒子Aのキュムラント平均粒径は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは40nm以上、より更に好ましくは50nm以上であり、そして、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下、より更に好ましくは150nm以下である。前記平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
〔ポリマー粒子Aの製造〕
ポリマー粒子Aは、好ましくは乳化重合法によって得られる水不溶性ポリマー粒子であり、水分散液として得ることが好ましい。
乳化重合としては、マクロエマルション重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合、シード重合等が挙げられる。中でも、ポリマー粒子Aの分散安定性を向上させ、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、ミニエマルション重合が好ましい。
本発明において乳化重合は、ロタキサン(a−1)及びモノマー(a−2)を含む原料モノマー(a)を、界面活性剤の存在下、水を主成分とする水系媒体中で乳化又は分散させた後、重合開始剤を添加して重合する方法が好ましい。
界面活性剤は、原料モノマー(a)の乳化、懸濁、ミセル形成による重合場の提供、ポリマー粒子の分散安定化等の役割を担っている。乳化重合に用いる界面活性剤は特に限定されないが、アニオン系界面活性剤が好適である。アニオン系界面活性剤は、例えば、サルフェート、スルホネート系としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸系、タウレート系、イセチオネート系、α−オレフィンスルホン酸系等の界面活性剤が挙げられる。カルボキシレート系としては、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、エーテルカルボン酸系、アシル化アミノ酸系の界面活性剤等が挙げられる。リン酸エステル系としては、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
界面活性剤の使用量は、乳化重合を安定に行う観点、及び界面活性剤の残存量を低減する観点から、原料モノマー(a)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
乳化重合に用いる重合開始剤としては、公知の水溶性重合開始剤、油溶性重合開始剤を使用することができる。中でも、水溶性重合開始剤が好ましく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ系開始剤;過酸化化合物に亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、原料モノマー(a)100質量部に対して、得られる重合体の収率、分子量制御の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
乳化重合では連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等が挙げられる。
乳化重合の水系媒体としては、水の他に任意の有機溶媒を加えることもできる。該有機溶媒としては、炭素数が1以上6以下のアルコール類、ケトン類の他、エーテル類、アミド類が挙げられる。
乳化重合において水系媒体中で乳化又は分散させる際に、必要に応じてヘキサンデカン等の強疎水剤(ハイドロホーブ剤)を添加してもよい。強疎水剤を添加することにより、原料モノマー滴からの原料モノマーの拡散を抑制し、原料モノマー滴中での重合を進行させ、粒径分布が狭く、分散安定性に優れるポリマー粒子Aを得ることができる。
水系媒体における水の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上である。
原料モノマー(a)中のロタキサン(a−1)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
原料モノマー(a)中のモノマー(a−2)の含有量は、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下である。
原料モノマー(a)中のロタキサン(a−1)及びモノマー(a−2)の合計含有量は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点、好ましくは90質量%以上、より好ましくは94質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%であり、より更に好ましくは100質量%である。
原料モノマー(a)の量は、全系に対して好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
モノマーの乳化又は分散方法としては、公知の方法で行うことができるが、原料モノマー(a)、界面活性剤、水系媒体、及び必要に応じて有機溶媒、強疎水剤を含むモノマー(a)混合液を乳化又は分散する方法が好ましい。
モノマー(a)混合液中の原料モノマー(a)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは13質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
モノマー(a)混合液中の界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
モノマー(a)混合液中の水系媒体の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは93質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
モノマー(a)混合液の乳化又は分散は、超音波ホモジナイザー等の超音波分散機;マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー等を用いることができる。中でも、原料モノマー滴を微細化させ、ポリマー粒子Aの分散安定性を向上させる観点から、超音波分散機が好ましい。
超音波の周波数は、好ましくは20kHz以上2,000kHz以下である。
超音波分散機の出力は、モノマー(a)混合液1リットル当たりのワット数で、好ましくは20W以上、より好ましくは50W以上、更に好ましくは100W以上であり、そして、好ましくは1,000W以下、より好ましくは800W以下、更に好ましくは600W以下である。
超音波分散の温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。
超音波分散の時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上であり、そして、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下である。
超音波分散機としては、株式会社日本精機製作所、アレックス社等から市販されている。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
重合開始剤のモノマー(a)乳化物への添加方法に特に制限はないが、モノマー(a)乳化物へ重合開始剤の水溶液を滴下する方法が好ましい。
乳化重合条件には特に制限はないが、重合温度は、重合開始剤の分解温度により適宜調整されるが、反応性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、得られる重合体の分子量分布の観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。
重合時間は、反応性の観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、生産性の観点から、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である
重合雰囲気は、反応性の観点から、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
<顔料>
本発明で用いられる顔料は、インク中に分散されてなる。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類等が挙げられる。
色相は特に限定されず、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料;イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
前記顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に係る顔料は、ポリマーBで分散させてなる形態、又は自己分散型顔料の形態で用いることができる。中でも、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、ポリマーBで分散させてなるものが好ましい。
本発明において自己分散型顔料とは、親水性官能基(カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基、又は第4級アンモニウム基等のカチオン性親水基)の1種以上を直接、又は炭素数が1以上12以下のアルカンジイル基等の他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤やポリマー分散剤を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。顔料を自己分散型顔料とするには、例えば、親水性官能基の必要量を、常法により顔料表面に化学結合させればよい。前記親水性官能基としてはアニオン性基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
自己分散型顔料の市販品としては、キャボットジャパン株式会社製のCAB-O-JET 200、同300、同352K、同250A、同260M、同270Y、同450A、同465M、同470Y、同480V(以上、商品名)やオリヱント化学工業株式会社製のBONJET BLACK CW−1、同CW−2(以上、商品名)等、東海カーボン株式会社製のAqua-Black 162等、SENSIENT INDUSTRIAL COLORS社製のSENSIJET BLACK SDB00、同SDB000、同SDP2000(以上、商品名)等が挙げられる。
<ポリマーB>
ポリマーBは、少なくとも顔料分散能を有するものであれば特に制限はないが、好ましくは水不溶性ポリマーである。
本発明において水不溶性ポリマーの「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることを意味し、水不溶性ポリマーの前記溶解量は、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。ポリマーBがアニオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。ポリマーBがカチオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのカチオン性基を塩酸で100%中和した時の溶解量である。
インク中でのポリマーBの存在形態は、顔料にポリマーBが吸着している状態、顔料をポリマーBが含有している顔料内包(カプセル)状態、及び顔料にポリマーBが吸着していない形態がある。顔料の分散安定性の観点から、本発明においては顔料をポリマーBが含有する形態、即ち顔料を含有するポリマー粒子(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)の形態が好ましく、顔料をポリマーBが含有している顔料内包状態がより好ましい。
ポリマーBは、顔料の分散安定性、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、イオン性基を有するものが好ましい。該イオン性基としては、アニオン性基が好ましく、カルボキシ基(−COOM)、スルホン酸基(−SO3M)、リン酸基(−OPO32)等の解離して水素イオンが放出されることにより酸性を呈する基、又はそれらの解離したイオン形(−COO-、−SO3 -、−OPO3 2-、−OPO3 -M)等の酸基がより好ましい。上記化学式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。これらの中でも、顔料の分散安定性、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、カルボキシ基(−COOM)が好ましい。
ポリマーBの酸価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは70mgKOH/g以上、更に好ましくは100mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは300mgKOH/g以下、より好ましくは270mgKOH/g以下、更に好ましくは250mgKOH/g以下である。酸価が前記の範囲であれば、酸基及びその中和された酸基の量は十分であり、顔料の分散安定性が確保される。またポリマーBとインクの水系媒体の親和性と、ポリマーBと顔料との相互作用とのバランスの点からも好ましい。
ポリマーBの酸価は、構成するモノマーの質量比から算出することができる。また、適当な親水性の有機溶剤(例えば、MEK)にポリマーBを溶解又は膨潤させて滴定する方法でも求めることができる。
ポリマーBの分子中に含まれるイオン性基は、イオン性モノマー(b−1)によりポリマー骨格に導入されてなるものが好ましい。すなわち、ポリマーBは、イオン性モノマー(b−1)由来の構成単位を含むものが好ましい。ポリマーBとしては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。中でも、ビニル系樹脂が好ましく、イオン性モノマー(b−1)(以下、「(b−1)成分」ともいう)と、疎水性モノマー(b−2)(以下、「(b−2)成分」ともいう)とを含む原料モノマー(b)(以下、単に「原料モノマー(b)」ともいう)を共重合させてなるビニル系樹脂がより好ましい。該ビニル系樹脂は、(b−1)成分由来の構成単位と(b−2)成分由来の構成単位とを含む。該ビニル系樹脂は、顔料の分散安定性、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、更にノニオン性モノマー(b−3)(以下、「(b−3)成分」ともいう)由来の構成単位を含んでもよい。
〔イオン性モノマー(b−1)〕
イオン性モノマー(b−1)は、好ましくは酸基を有するモノマーであり、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等のカルボキシ基を有するモノマー;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有するモノマー;ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸基を有するモノマーが挙げられる。
これらの中でも、好ましくはカルボキシ基を有するモノマーであり、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及び2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である。
〔疎水性モノマー(b−2)〕
本発明において疎水性モノマー(b−2)の「疎水性」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。疎水性モノマー(b−2)の前記溶解量は、顔料への吸着性の観点から、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
疎水性モノマー(b−2)は、好ましくは脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び芳香族基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種である。
脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートとしては、前述のポリマー粒子Aと同様のものが挙げられる。それらの中でも、より好ましくは炭素数1以上10以下のアルキル基を有するものであり、更に好ましくは炭素数1以上8以下のアルキル基を有するものである。
芳香族基含有モノマーは、前述のポリマー粒子Aと同様のものが挙げられる。それらの中でも、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上である。
ポリマーBは、疎水性モノマー(b−2)としてマクロモノマー由来の構成単位を含んでもよい。マクロモノマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下の化合物であり、顔料の分散安定性の観点から、ビニル系樹脂のモノマー成分として用いられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
マクロモノマーの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロモノマーとしては、顔料の分散安定性の観点から、芳香族基含有モノマー系マクロモノマー及びシリコーン系マクロモノマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前述の疎水性モノマーで記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロモノマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
シリコーン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
〔ノニオン性モノマー(b−3)〕
ノニオン性モノマー(b−3)としては、顔料の分散安定性、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。以下、nは当該オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシ(エチレングリコール/プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:n=1〜29)(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である。
商業的に入手しうるノニオン性モノマー(b−3)の具体例としては、NKエステルM−40G、同90G、同230G等(以上、新中村化学工業株式会社の商品名)、ブレンマーPE−90、同200、同350等、ブレンマーPME−100、同200、同400等、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー50POEP−800B等(以上、日油株式会社の商品名)が挙げられる。
(原料モノマー(b)中又はビニル系樹脂中における各成分又は構成単位の含有量)
ビニル系樹脂製造時における、(b−1)成分及び(b−2)成分の原料モノマー(b)中の含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はビニル系樹脂中における(b−1)成分由来の構成単位及び(b−2)成分由来の構成単位の含有量は、顔料の分散安定性を向上させ、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(b−1)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(b−2)成分の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
ポリマーBとして用いるビニル系樹脂は、原料モノマー(b)を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることによって製造される。重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
ポリマーBの重量平均分子量は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上であり、そして、顔料の分散安定性の観点から、好ましくは500,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは70,000以下である。重量平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
<架橋剤>
ポリマーBは、好ましくは架橋構造を有し、より好ましくは架橋剤で架橋された構造を有する。
ポリマーBが酸基を有する場合には、該酸基の一部と架橋剤の架橋性官能基とが架橋された構造を有することがより好ましい。これにより、ポリマーBが顔料表面に強固に吸着又は固定化され、ポリマーBの膨潤も抑制されるため、定着性、耐擦過性及び吐出安定性が向上すると考えられる。
架橋剤としては、好ましくは分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物、より好ましくはグリシジルエーテル基を有する化合物、更に好ましくは炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物である。
架橋剤の分子量は、反応容易性、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは120以上、より好ましくは200以上であり、そして、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,000以下である。
架橋剤のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは200以下である。
架橋剤のエポキシ基の数は、効率よく架橋反応させて定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、1分子あたり2個以上であり、そして、1分子あたり好ましくは6個以下、市場入手性の観点から、より好ましくは4個以下、更に好ましくは3個以下である。
架橋剤の具体例としては、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルから選ばれる1種以上であり、より好ましくはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルである。
ポリマーBを用いる場合、顔料は顔料水分散体として水系インクに配合されることが好ましい。顔料水分散体の製造方法としては、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、顔料をポリマーBで機械分散させてなるものが好ましい。顔料をポリマーBで機械分散させる方法としては、顔料、ポリマーB、及び水系媒体を含有する顔料混合物(以下、「顔料混合物」ともいう)を分散処理する方法が好ましい。
顔料混合物は、ポリマーBを有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散液を得る方法により得ることが好ましい。ポリマーBの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、水、中和剤、顔料の順に加えることが好ましい。
用いる有機溶媒に制限はないが、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール等が好ましい。ポリマーBとしてビニル系樹脂を溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
ポリマーBが酸基を有する場合、該酸基の少なくとも一部は、中和剤を用いて中和されることが好ましい。中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種アミン等の塩基が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム及びアンモニアである。また、ポリマーBを予め中和しておいてもよい。
中和剤の使用当量は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、また、好ましくは160モル%以下、より好ましくは140モル%以下、更に好ましくは130モル%以下である。
ここで中和剤の使用当量は、次式によって求めることができる。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{ポリマーBの酸価(mgKOH/g)×ポリマーBの質量(g)}/(56×1,000)]〕×100
分散処理は、剪断応力による本分散だけで顔料粒子を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、均一な顔料水分散体を得る観点から、顔料混合物を予備分散した後、さらに本分散することが好ましい。
予備分散に用いる分散機としては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中でも、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて分散処理を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、顔料を所望の粒径になるように制御することができ、後述する顔料水分散体のキュムラント平均粒径も調整することができる。
処理圧力は、生産性及び経済性の観点から、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは150MPa以上であり、そして、好ましくは300MPa以下、より好ましくは250MPa以下である。
また、パス回数は、顔料を小粒子径化する観点から、好ましくは3以上、より好ましくは7以上であり、そして、顔料の分散安定性の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
顔料の分散の際に有機溶媒を用いる場合には、得られる分散処理物から有機溶媒を除去して顔料水分散体を得ることが好ましい。有機溶媒の除去は、公知の方法で行うことができる。得られた顔料水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残留していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
また、粗大粒子等を除去する目的で、有機溶媒を除去した水分散体を、更に遠心分離した後、液層部分をフィルター等で濾過し、該フィルター等を通過してくる水分散体を、顔料水分散体として用いることが好ましい。
ポリマーBが架橋されてなる場合、更に架橋処理を行うことが好ましい。
架橋剤の使用量は、架橋前のポリマーBの酸基のモル当量数に対する架橋剤の架橋性官能基のモル当量数の比で、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下である。
架橋処理の温度は、前記と同様の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは85℃以下である。
架橋処理の時間は、架橋反応の完結と経済性の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下である。
顔料水分散体の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水分散体の分散安定性を向上させる観点及びインクの製造を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。顔料水分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体中の顔料の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
顔料水分散体中のポリマーBに対する顔料の質量比[顔料/ポリマーB]は、好ましくは50/50以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、更に好ましくは80/20以下である。
顔料水分散体のキュムラント平均粒径は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上、より更に好ましくは70nm以上、より更に好ましくは80nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下、より更に好ましくは110nm以下、より更に好ましくは100nm以下である。前記平均粒径は、実施例に記載した方法により測定することができる。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインクは、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、更に水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
水溶性有機溶剤は、常温(25℃)で液体であっても固体であってもよい。水溶性有機溶剤は、有機溶剤を25℃の水100mlに溶解させたときに、その溶解量が10ml以上である有機溶剤をいう。
水溶性有機溶剤は、沸点90℃以上の有機溶剤を1種以上含むことが好ましい。水溶性有機溶剤の沸点の加重平均値は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
水溶性有機溶剤としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。これらの中では、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、プロピレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上が更に好ましい。
本発明のインクは、前述のポリマー粒子Aの水分散液と、顔料水分散体と、水溶性有機溶剤とを混合して得ることが好ましい。更に必要に応じて、水系インクに通常用いられる保湿剤、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加してもよく、更にフィルター等による濾過処理を行って得てもよい。
水系インクの各成分の含有量、インク物性は以下のとおりである。
(水系インクの各成分の含有量)
インク中の顔料の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
インク中の、ポリマーBに対する顔料の質量比[顔料/ポリマーB]は、好ましくは50/50以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、更に好ましくは80/20以下である。
インク中のポリマー粒子Aの含有量は、定着性及び耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である。
インク中の、顔料に対するポリマー粒子Aの質量比[ポリマー粒子A/顔料]は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.7以下である。
インク中の、ポリマーBに対するポリマー粒子Aの質量比[ポリマー粒子A/ポリマーB]は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である。
インク中の、固形分量に対する顔料の質量比[顔料/固形分量]は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下である。
インクの不揮発成分濃度(固形分濃度)は、該分散体の分散安定性を向上させる観点及び水系インクの調製を容易にする観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。前記固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
水系インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、吐出安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、定着性及び耐擦過性の観点から、好ましくは47質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましく40質量%以下である。
水系インク中の水の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
(水系インク物性)
水系インクの32℃における粘度は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9mPa・s以下、更に好ましくは7mPa・s以下である。水系インクの粘度は、E型粘度計を用いて実施例に記載の方法により測定される。
水系インクの20℃における静的表面張力は、定着性、耐擦過性及び吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは23mN/m以上、より好ましくは25mN/m以上であり、そして、好ましくは40mN/m以下、より好ましくは30mN/m以下である。
水系インクの20℃における静的表面張力は、実施例に記載の方法により測定される。
水系インクのpHは、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9.5以下である。水系インクのpHは、実施例に記載の方法により測定される。
[印刷方法]
水系インクは、フレキソ印刷インキ用、グラビア印刷インキ用、又はインクジェットインク用として好適に用いることができ、特にインクジェットインク用として用いることが好ましい。公知のインクジェット記録装置に装填し、印刷媒体にインク液滴として吐出させて画像等を記録することができる。
インクジェット記録装置としては、サーマル式及びピエゾ式があるが、ピエゾ式のインクジェット記録用水系インクとして用いることがより好ましい。
用いることができる印刷媒体としては、普通紙、コート紙、樹脂フィルムが挙げられる。コート紙としては、汎用光沢紙、多色フォームグロス紙等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、好ましくはポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムから選ばれる少なくとも1種である。該樹脂フィルムは、コロナ処理された基材を用いてもよい。
一般的に入手できる樹脂フィルムとしては、例えば、ルミラーT60(東レ株式会社製、ポリエステル)、PVC80B P(リンテック株式会社製、塩化ビニル)、DGS−210WH(ローランドディージー株式会社製、塩化ビニル)、透明塩ビRE−137(株式会社ミマキエンジニアリング製、塩化ビニル)、カイナスKEE70CA(リンテック株式会社製、ポリエチレン)、ユポSG90 PAT1(リンテック株式会社製、ポリプロピレン)、FOR、FOA(いずれもフタムラ化学株式会社製、ポリプロピレン)、ボニールRX(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、ナイロン)、エンブレムONBC(ユニチカ株式会社製、ナイロン)等が挙げられる。
印刷媒体は、定着性及び耐擦過性の観点から、好ましくは低吸水性印刷媒体である。
低吸水性印刷媒体の純水との接触時間100m秒における吸水量は、定着性及び印刷画質の観点から、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2g/m以上であり、そして、好ましくは8g/m以下、より好ましくは6g/m以下である。該吸水量は、自動走査吸液計を用いて、実施例に記載の方法により測定される。
インクジェット記録方式による印刷方法においては、インク液滴をインクジェット記録方式により印刷媒体上に吐出して印刷した後、印刷媒体上に着弾したインク液滴を乾燥する工程を含むことが好ましい。
乾燥工程においては、印刷画質の向上の観点から、印刷媒体表面温度は、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、熱による印刷媒体の変形抑制とエネルギー低減の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
以下の製造例、調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
(1)キュムラント平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELS−8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い、キュムラント平均粒径を測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定サンプルの濃度は、5×10-3%(固形分濃度換算)で行った。
(2)固形分濃度の測定
30mlのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更に室温(25℃)のデシケーター内で更に15分間放置したのちに、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(3)ポリマーBの重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM−H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolum Super AW−H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F−550、F−80、F−10、F−1、A−1000)、PStQuick C(F−288、F−40、F−4、A−5000、A−500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
測定サンプルは、ガラスバイアル中にポリマー0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター(DISMIC−13HP PTFE 0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
(4)水系インクの粘度の測定
E型粘度計「TV−25」(東機産業株式会社製、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数50rpm)を用いて、32℃にて粘度を測定した。
(5)水系インクの静的表面張力の測定
表面張力計「CBVP−Z」(協和界面科学株式会社製)を用いて、白金プレートを5gの水系インクの入った円柱ポリエチレン製容器(直径3.6cm×深さ1.2cm)に浸漬させ、20℃にて水系インクの静的表面張力を測定した。
(6)水系インクのpHの測定
pH電極「6337−10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F−71」(株式会社堀場製作所製)を用いて、20℃におけるpHを測定した。
(7)印刷媒体と純水との接触時間100m秒における印刷媒体の吸水量
自動走査吸液計「KM500win」(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下にて、純水の接触時間100m秒における転移量を測定し、100m秒の吸水量とした。測定条件を以下に示す。
「Spiral Method」
Contact Time(秒):0.010〜1.0
Pitch(mm):7
Length Per Sampling(degree):86.29
Start Radius(mm):20
End Radius(mm):60
Min Contact Time(m秒):10
Max Contact Time(m秒):1,000
Sampling Pattern:50
Number of Sampling Points:19
「Square Head」
Slit Span(mm):1
Slit Width(mm):5
<ポリマー粒子Aの水分散液の製造>
製造例1−1
滴下ロートを備えた反応容器内に、ポリロタキサンの50%MEK溶液(アドバンスト・ソフトマテリアル株式会社製、商品名:SM3403P)2.5部、メチルメタクリレート54部、n−ブチルアクリレート46部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.9部、ヘキサデカン8.7部、及びイオン交換水550部を入れて混合し、得られた原料モノマー(a1)混合液を超音波分散機「US300T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて、出力300W、周波数20kHzで3分間超音波を照射することで原料モノマー(a1)の乳化物を得た。
過硫酸カリウム(以下、「KPS」ともいう)2.7部をイオン交換水165部に溶解させたKPS水溶液を滴下ロートに入れた後、反応容器内の窒素置換を行った。窒素雰囲気下、反応容器内の原料モノマー(a1)の乳化物を撹拌しながら70℃に維持し、滴下ロート中のKPS水溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、70℃で1時間熟成を行った。
透析膜(スペクトラム・ラボラトリー社製、商品名:スペクトラ/ポア3 Dialysis Membrane、分画分子量:3,500)を用いて、精製した。固形分濃度が30%となるように水をエバポレーターにより除去することでポリマー粒子A1の水分散液を得た。得られたポリマー粒子A1のキュムラント平均粒径は122nmであり、有機溶剤には不溶であったため、分子量の測定はできなかった。
製造例1−2〜1−8及び比較製造例1−1〜1−3
製造例1−1において、モノマー(a)又は界面活性剤の種類又は量を表1に示すものに変更した以外は、製造例1−1と同様の方法によりポリマー粒子A2〜A8及びポリマー粒子AC1〜AC3の水分散液を得た。得られたポリマー粒子Aのキュムラント平均粒径を測定した。結果を表1に示す。
なお、表1中の各表記は以下のとおりである。
SM3403P:ポリロタキサン(環状分子としてシクロデキストリンを、軸分子としてポリエチレングリコール鎖、封鎖基としてアダマンチル基を含み、該シクロデキストリンに重合性不飽和基としてメタクリロイル基を有するポリロタキサン)(軸の分子量:35,000、全体分子量1,000,000、メタクリロイル当量1,500(いずれの数値もカタログ値))の50%MEK溶液、商品名、アドバンスト・ソフトマテリアル株式会社製
SM2403P:ポリロタキサン(環状分子、軸分子、封鎖基及び重合性不飽和基は上記SM3403Pと同様である。)(軸の分子量:20,000、全体分子量600,000、メタクリロイル当量1,500(いずれの数値もカタログ値))の、50%MEK溶液、商品名、アドバンスト・ソフトマテリアル株式会社製
SH3400P:ポリロタキサン(環状分子、軸分子及び封鎖基は、上記SM3403Pと同様で、分子中に重合性不飽和基を含まない。)(軸の分子量:35,000、全体分子量700,000(いずれの数値もカタログ値))の50%MEK溶液、商品名、アドバンスト・ソフトマテリアル株式会社製
ジビニルベンゼン(富士フイルム和光純薬株式会社、純度93%)
<ポリマーBの製造>
製造例2−1
2つの滴下ロート1及び2を備えた反応容器内に、表2に記載の「初期仕込みモノマー溶液」に示すモノマー、有機溶媒(メチルエチルケトン)、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)を入れて混合し、窒素ガス置換を行い、「初期仕込みモノマー溶液」を得た。
一方、表2に記載の「滴下モノマー溶液1」に示すモノマー、有機溶媒、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル);富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:V−65)、前記重合連鎖移動剤を混合して、「滴下モノマー溶液1」を得、滴下ロート1中に入れて、窒素ガス置換を行った。
また、表2に記載の「滴下モノマー溶液2」に示すモノマー、有機溶媒、前記重合開始剤、前記重合連鎖移動剤を混合して、「滴下モノマー溶液2」を得、滴下ロート2中に入れて、窒素ガス置換を行った。
窒素雰囲気下、反応容器内の「初期仕込みモノマー溶液」を撹拌しながら77℃に維持し、滴下ロート1中の「滴下モノマー溶液1」を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。次いで滴下ロート2中の「滴下モノマー溶液2」を2時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、反応容器内の混合溶液を77℃で0.5時間撹拌した。次いで前記重合開始剤0.6部をメチルエチルケトン27.0部に溶解した重合開始剤溶液を調製し、該混合溶液に加え、77℃1時間撹拌することで熟成を行った。
前記重合開始剤溶液の調製、添加及び熟成を更に5回行った。次いで反応容器内の反応溶液を80℃に1時間維持し、メチルエチルケトンを加えて水不溶性ポリマーB1の溶液(固形分濃度40.8%)を得た。得られた水不溶性ポリマーB1の重量平均分子量は52,700であった。
なお、表2中のモノマーの詳細は下記のとおりである。
スチレン系マクロモノマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S(有効分濃度:50%、数平均分子量:6,000、末端:メタクリロイル基、セグメント:スチレン)
M−40G:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、新中村化学工業株式会社社製、商品名:NKエステルM−40G(エチレンオキシド平均付加モル数:4、末端:メトキシ基)
<顔料水分散体の調製>
調製例1
製造例2−1で得られた水不溶性ポリマーB1の溶液(固形分濃度40.8%)157.6gを、メチルエチルケトン(MEK)60.7gと混合し、容積が2Lの受器を有するディスパーに投入し、1,400rpmの条件で撹拌しながら、イオン交換水446.9g、5N水酸化ナトリウム水溶液22.3g、及び25%アンモニア水溶液1.7gを添加して、水酸化ナトリウムによる中和剤の使用当量が78.8モル%、アンモニアによる中和剤の使用当量が21.2モル%となるように調整し、0℃の水浴で冷却しながら、1,400rpmで15分間撹拌した。次いで、シアン顔料(銅フタロシアニン、PB15:3、DIC株式会社製)150gを加え、7,000rpmで3時間撹拌した。更にイオン交換水199.8gを添加して、得られた顔料混合物をマイクロフルイダイザー「M−110EH−30XP」(Microfluidics社製)を用いて150MPaの圧力で20パス分散処理し、分散処理物(固形分濃度21.0%)を得た。
得られた分散処理物1,000gを2Lナスフラスコに入れ、イオン交換水400gを加え(固形分濃度15.0%)、回転式蒸留装置「ロータリーエバポレーター N−1000S」(東京理化器械株式会社製)を用いて、回転数50rpmで、32℃に調整した温浴中、0.09MPaの圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去した。更に、温浴を62℃に調整し、圧力を0.07MPaに下げて固形分濃度25.0%になるまで濃縮した。
得られた濃縮物を500mlアングルローターに投入し、高速冷却遠心機「himac CR22G」(日立工機株式会社製、設定温度20℃)を用いて7,000rpmで20分間遠心分離した後、液層部分を5μmのメンブランフィルター「Minisart」(Sartorius社製)で濾過し、シアン顔料水分散体(i)を得た。
得られたシアン顔料水分散体(i)400g(銅フタロシアニン68.6g、水不溶性ポリマーB1 29.4g)にイオン交換水54.6gを添加し、更にプロキセルLVS(防黴剤、アーチケミカルズジャパン株式会社製、有効分20%)0.89g、エポキシ架橋剤(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX321L、エポキシ当量129)を、架橋剤の使用量がポリマーB1のカルボキシ基のモル当量数に対するエポキシ架橋剤のエポキシ基のモル当量数の比で0.4になるように2.82gを添加し、70℃で2時間撹拌した。25℃に冷却後、前記5μmフィルターで濾過し、更に固形分濃度が22.0%になるようにイオン交換水を加えて、架橋処理されたシアン顔料水分散体(I)を得た。シアン顔料水分散体(I)の平均粒径は97.7nmであった。
実施例1
製造例1−1で得られたポリマー粒子A1の水分散液10.0g(ポリマー粒子A1 3.0g、水7.0g)、調製例1で得られたシアン顔料水分散体(I)37.2g、プロピレングリコール(PG)30.0g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)4.0g、アセチレン系界面活性剤(商品名「サーフィノール440」、エボニックインダストリーズ社製)1.0g、シリコーン系界面活性剤(ポリエーテル変性シリコーン、商品名「KF−6011」、信越化学工業株式会社製)0.4g、及びイオン交換水17.4gを混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター(Sartorius社製、商品名:Minisart)で濾過し、インク1を得た。
(印刷物の調製)
インクジェットプリンター(株式会社リコー製、商品名:IPSIO SG 2010L)にラバーヒーターを搭載し、該プリンターに得られたインク1を充填し、60℃に加熱した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、商品名:ルミラーT60、吸水量2.3g/m2)(以下、「PET」ともいう)、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製、品種:AF-662、防曇グレート、吸水量2.4g/m2)(以下、「OPP」ともいう)にそれぞれベタ画像の印刷を行った後、60℃に加熱したホットプレートにて印刷面を6分間乾燥させることにより、印刷物を得た。得られた印刷物を後述する方法により評価した。
実施例2〜11及び比較例1〜5
表3に示すインク配合組成に変更した以外は実施例1と同様にして、インク2〜11及びC1〜C5を得て印刷物を得た。表3中の「SM3403P」は前記のとおりである。
<評価>
(吐出安定性)
インクジェットプリンター(株式会社リコー製、商品名:IPSIO SG 2010L)のインクカートリッジにインク充填後ヘッドをキャップしない状態で30分間放置し、その後、再度印刷を開始した際のインクの吐出状態を確認し、以下の評価基準で吐出安定性を評価した。全ノズルの合計数は96個である。
〔評価基準〕
A:欠けなし。
B:欠けのあるノズル数が全ノズル中、4以下である。
C:欠けのあるノズル数が全ノズル中、4より多く、10以下である。
D:欠けのあるノズル数が全ノズル中10より多い。
欠けのあるノズルの数が少ないほど吐出安定性に優れる。
(定着性)
JIS 6854−3に則った試験法で評価を行った。前記PET及びOPPの最終印刷物の表面に両面テープ(ニチバン株式会社製、ナイスタックTM、粘着力04)を印刷面に貼り付け、幅15mm、長さ20mmの試験片となるように切り取った。引張試験機(株式会社オリエンテック製、RTC−1150A)を用いて、試験片の先端の印刷基材部分と、両面テープ部分の両方をアームではさみ、速さ300mm/minでT字型の引張試験を行った。荷重の測定は長さ20μmごとに行い、25mmから125mmの荷重の値を平均した値を引張強度の値とし、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
A:引張強度の値が2.0N以上であった。
B:引張強度の値が1.5以上2.0N未満であった。
C:引張強度の値が1.0N以上1.5N未満であった。
D:引張強度の値が0.5N以上1.0N未満であった。
E:引張強度の値が0.25N以上0.5N未満であった。
F:引張強度の値が0.25N未満であった。
引張強度の値が大きいほど定着性に優れる。
(耐擦過性)
前記PET及びOPPの最終印刷物に対して、1kgの荷重を加えた底面が17mm×11mmの市販の消しゴムの該底面で、印刷面を5cmの距離で10往復擦過した後の表面状態を目視にて確認し、以下に示す評価基準で耐擦過性を評価した。
〔評価基準〕
A:目視では全く変化が確認されなかった。
B:擦過した試験部の1/10以下の領域でインクの剥離が確認された。
C:擦過した試験部の1/10超1/2以下の領域でインクの剥離が確認された。
D:擦過した試験部の1/2超3/4以下の領域でインクの剥離が確認された。
E:擦過した試験部の3/4超の領域でインクの剥離が確認された。
擦過により変化した領域が小さいほど耐擦過性に優れる。
表3より、実施例1〜11は、比較例1〜5に比べて、定着性及び耐擦過性にも優れ、更に吐出安定性に優れることが分かる。
本発明によれば、低吸水性印刷媒体への印刷においても、定着性、耐擦過性及び吐出安定性に優れる水系インク、及び該水系インクを提供することができる。

Claims (9)

  1. 顔料と、架橋構造を有するポリマー粒子Aとを含有する水系インクであって、
    該ポリマー粒子Aが、重合性不飽和基を2個以上有するロタキサン(a−1)と重合性不飽和基含有モノマー(a−2)とを共重合してなる、水系インク。
  2. 前記ポリマー粒子Aのキュムラント平均粒径が10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の水系インク。
  3. 前記ポリマー粒子Aにおいて重合性不飽和基含有モノマー(a−2)由来の構成単位に対するロタキサン(a−1)由来の構成単位の含有量が0.3質量%以上15質量%以下である、請求項1又は2に記載の水系インク。
  4. 前記ポリマー粒子Aの含有量が0.5質量%以上15質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系インク。
  5. 顔料に対する前記ポリマー粒子Aの質量比[ポリマー粒子A/顔料]が0.1以上2以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の水系インク。
  6. ロタキサン(a−1)が、2個以上の環状分子と該環状分子の開口部を貫通する1個の直鎖状の軸分子を含むポリロタキサンであり、該ポリロタキサンの環状分子がα-シクロデキストリンである、請求項1〜5のいずれかに記載の水系インク。
  7. 重合性不飽和基含有モノマー(a−2)が、脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の水系インク。
  8. 顔料がポリマーBで分散されてなり、該ポリマーBがエポキシ基を2個以上有する化合物で架橋された構造を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の水系インク。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の水系インクを用いて低吸水性印刷媒体に印刷する、印刷方法。
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