(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態に係る入出庫作業支援システム100について説明する。
まず、図1を参照して、入出庫作業支援システム100が使用される保管エリア6について説明する。
保管エリア6は、例えば、倉庫である。保管エリア6には、物品11を収納する複数のラック7が設置されている。また、保管エリア6の所定位置には、目印8が設置されている。
保管エリア6は、荷台としてのカート4が移動する荷台通路3aと、作業者1が移動する作業者通路3bと、を備える。
荷台通路3aは、作業者1がカート4を押して通行可能な幅に形成される。荷台通路3aには、カート4を一時的に停止させることが可能である。荷台通路3aは、カート4だけでなく作業者1も通行可能である。
作業者通路3bは、荷台通路3aと比較して幅が狭く形成される。作業者通路3bには、カート4は進入せず、作業者1のみが通行する。作業者通路3bは、荷台通路3aと交差する複数の接続通路3cと、荷台通路3aと並列に設けられて接続通路3cどうしを繋ぐ複数の並列通路3dと、を有する。作業者通路3bは、接続通路3cと並列通路3dとが交差点を形成する格子状に形成される。
目印8は、ラック7の間に形成される接続通路3cと並列通路3dとの交差点に設けられる。目印8は、作業者1から見やすく、入出庫作業の妨げにならないように、各交差点の天井部分に設置されている。
物品11を入庫する場合には、荷台通路3aの停止位置にカート4を停止させた作業者1は、カート4から物品11を持ち出して接続通路3cから作業者通路3bに入り、物品11の入庫を行った後、接続通路3cから荷台通路3a上のカート4に戻る。一方、物品11を出庫する場合には、荷台通路3aの停止位置にカート4を停止させた作業者1は、接続通路3cから作業者通路3bに入り、物品11の出庫を行った後、接続通路3cから荷台通路3a上のカート4に戻り物品11を積む。
このとき、作業者1が作業者通路3bに入るときに通る接続通路3cと作業者1が荷台通路3aに戻るときに通る接続通路3cとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。作業者1は、カート4に戻った後、次の停止位置までカート4を押して移動させる。
次に、図1から図4を参照して、入出庫作業支援システム100の全体構成について説明する。
図1に示すように、入出庫作業支援システム100は、作業者1が入出庫作業中に使用する携帯端末2と、入出庫作業を支援するための各種処理が実行される支援装置5と、を有する。携帯端末2と支援装置5とは、ネットワーク9を介して通信可能に接続されている。
入出庫作業支援システム100は、保管エリア6にて作業者1による複数の物品11の入出庫作業を支援するものである。具体的には、入出庫作業支援システム100は、作業者1が物品11を保管エリア6に対して入庫又は出庫する入出庫作業の際に、入出庫対象の物品11に到達する最短経路に基づいて、入出庫作業の指示を作業者1が携帯する携帯端末2に表示する。
携帯端末2は、スマートフォン若しくはタブレット型コンピュータである。図2に示すように、携帯端末2は、ROM(Read Only Memory)21と、ROM21に記憶されている各種制御プログラムに従って各部を制御するCPU(Central Processing Unit)22と、CPU22のワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)23と、を備える。ROM21,CPU22,RAM23,及び後述する各構成は、内部バス24によって接続されている。
また、ROM21,CPU22,及びRAM23は、保管エリア6全体のマップと、入庫出庫作業の対象物品11に作業者1を誘導するための目印8、及び目印8までの経路等の作業指示情報を提示する後述の処理を行う処理部として機能する。
携帯端末2は、通信部25と、表示部26と、入力部27と、音声出力部28と、記憶部29と、を有する。
通信部25は、携帯端末2をネットワーク9に無線接続する。
表示部26は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)であり、LCDを起動するLCDドライバ(図示省略)によって、後述する支援装置5から送信された作業指示情報を表示する。
入力部27は、表示部26と、表示部26における表示領域への接触検出センサ(図示省略)と、を組み合わせて構成されるタッチパネルである。入力部27は、入庫又は出庫作業中に、作業指示番号の選択、対象物品11を入庫又は出庫したことの入力等の作業者1からの操作を受け付ける。
音声出力部28は、デジタルデータを音声に変換する回路と、スピーカと、を有する(図示省略)。音声出力部28は、支援装置5から送信された作業指示情報に基づいて、対象物品11に誘導するための目印8、及び目印8までの経路等の作業指示情報を音声にて出力する。
記憶部29は、支援装置5から送信された作業指示情報を格納する。記憶部29としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
記憶部29には、支援装置5から送信される作業指示情報を表示部26に表示するための処理を実行するためのプログラムが記憶されていてもよい。
以上の構成を有することにより、携帯端末2は、通信部25を介して、入出庫作業の対象となる物品11に関する作業指示情報を支援装置5から受け取り、作業指示情報を表示部26に表示したり、音声出力部28から音声にて出力したりする。
図3に示すように、支援装置5は、ROM51と、ROM51に記憶されている各種制御プログラムに従って各部を制御するCPU52と、CPU52のワークエリアとしてのRAM53と、を備える。これらROM51,CPU52,RAM53,及び後述する各構成は、内部バス54によって接続されている。
ROM51,CPU52,及びRAM53は、物品11の入出庫作業を支援するための各種処理を実行する最短経路演算部55として機能する。支援装置5によって実行される処理の詳細は、後述する。
支援装置5は、通信部56と、入力部57と、表示部58と、記憶部59と、を備える。
通信部56は、支援装置5をネットワーク9に無線接続する。
入力部57は、キーボード,マウス等であり、入庫又は出庫の対象物品11を指定するための各種設定操作及び登録操作を受け付ける。入力部57において入力される情報としては、入出庫作業の対象となる物品11を指定するための情報が挙げられる。
物品11に、当該物品11を識別するための情報がRFIDタグ,バーコード,2次元コード等の識別媒体によって付されている場合には、入力部57として、これらを読み取る読取装置が含まれる。
表示部58は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)であり、入出庫作業の対象となる物品11を選択するための操作や、入出庫作業を行うために必要な各種設定操作等のための必要事項を表示する。
記憶部59は、仮想領域として、地図情報格納領域59Aと、保管場所情報格納領域59Bと、を有する。記憶部59としては、HDDやSSD等を用いることができる。地図情報格納領域59A及び保管場所情報格納領域59Bは、独立した記憶部として記憶部59とは別に用意されていてもよい。
地図情報格納領域59Aには、保管エリア6の全体の地図情報と、保管エリア6に設定された複数の目印8の位置情報と、が格納される。
保管エリア6に保管されるすべての物品11には、物品11を識別するための識別IDが付される。保管場所情報格納領域59Bには、物品11を識別する識別IDと保管エリア6における物品11の保管場所を示す保管場所情報とが対応付けて格納される。
図4に示すように、保管エリア6全体の地図(エリアマップという)において、通路には、行番号A〜Dと、列番号1〜18が付けられている。行通路と列通路とが交差する交差点には、行番号と列番号との組み合わせによるA1,A2等の交差点番号が定義されている。本実施形態では、交差点番号が目印8(図1参照)として設定されている。また、保管エリア6に設置される目印8には、作業者1に視認可能に交差点番号が表示されている。
最短経路演算部55は、カート4を荷台通路3aに停止させた作業者1が接続通路3cから作業者通路3bに入って複数の物品11の入庫又は出庫する最短経路を演算する。具体的には、最短経路演算部55は、作業者1が選択した作業指示情報の対象となる複数の物品11を入庫又は出庫するための最短経路を演算する。まず、最短経路演算部55は、カート4をすべての接続通路3cに臨む荷台通路3a上の停止位置に停止させたとして、カート4の停止位置から複数の物品11を入庫又は出庫するために作業者1が通行するすべての経路を演算する。最短経路演算部55は、演算したすべての経路における作業者1の移動距離を比較し、最も移動距離が短い経路を最短経路とする。
図4に示す例は、保管エリア6内の30個の物品11を入庫又は出庫する作業指示を実行するものである。
まず、作業者1は、交差点A1にカート4を停止させる。作業者1は、交差点A1から接続通路3cを交差点B1に向かって進む。作業者1は、途中で1個の物品11を入庫又は出庫した後、接続通路3cを引き返して交差点A1に停止しているカート4に戻る。
続いて、作業者1は、交差点A1からカート4を押して荷台通路3aを進み、交差点A6に停止させる。作業者1は、交差点A6から接続通路3cを交差点B6,C6に向かって進む。作業者1は、途中で25個の物品11を入庫又は出庫した後、交差点A12から荷台通路3aに出て、交差点A6に停止しているカート4に戻る。
続いて、作業者1は、交差点A6からカート4を押して荷台通路3aを進み、交差点A16に停止させる。作業者1は、交差点A16から接続通路3cを交差点B16に向かって進む。作業者1は、途中で3個の物品11を入庫又は出庫した後、接続通路3cを引き返して交差点A16に停止しているカート4に戻る。
続いて、作業者1は、交差点A16からカート4を押して荷台通路3aを進み、交差点A17に停止させる。作業者1は、交差点A17から接続通路3cを交差点B17に向かって進む。作業者1は、途中で1個の物品11を入庫又は出庫した後、接続通路3cを引き返して交差点A17に停止しているカート4に戻る。
以上の経路を進むことにより、作業者1はすべての物品11を入庫又は出庫することができる。
しかしながら、図4に示す例では、作業者1は、交差点A6にカート4を停止させて作業者通路3bに入り、再び交差点A6に戻ってくる一度の作業で、全30個のうち25個の物品11を入庫又は出庫する。そのため、距離が最短であったとしても、作業者1が多くの物品11を持って移動する必要が生じるおそれがあり、作業者1が物品11を入庫又は出庫する作業を実行するためには、必ずしも効率的であるとは言えない。そこで、入出庫作業支援システム100では、次に説明するように、作業者1がカート4を離れてから物品11を入庫又は出庫して戻ってくるまでの後述する作業領域10を複数に分けて最短経路を演算する。
次に、図5から図7を参照して、入出庫作業支援システム100を用いた入出庫作業支援方法について説明する。
支援装置5は、図5に示すルーチンを、例えば10ミリ秒ごとの一定時間隔で繰り返し実行する。ここでは、図6及び図7を併せて参照し、保管エリア6に対して複数の物品11を入庫又は出庫する場合を例として説明する。
ステップS11では、最短経路演算部55は、最短経路を演算する。具体的には、最短経路演算部55は、作業者1が選択した作業指示情報の対象となる複数の物品11を入庫又は出庫するための最短経路を演算する。まず、最短経路演算部55は、カート4をすべての接続通路3cに臨む荷台通路3a上の停止位置に停止させたとして、カート4の停止位置から複数の物品11を入庫又は出庫するために作業者1が通行するすべての経路を演算する。最短経路演算部55は、演算したすべての経路における作業者1の移動距離を比較し、最も移動距離が短い経路を最短経路とする。
ステップS12では、最短経路演算部55は、カート4が停止した各位置を起点として、カート4の停止位置ごとに作業領域10を作成する。具体的には、最短経路演算部55は、図6に示すとおり、カート4から出発して再びカート4に戻るまでのすべての経路を含む領域(破線で示す領域)を作業領域10とする。ここでは、作業領域10における並列通路3dの方向の長さ(横方向の長さ)はWであり、接続通路3cの方向の長さ(縦方向の長さ)はDである。
ステップS13では、最短経路演算部55は、作業領域10の縦横比(W/D)が所定値より大きいか否かを判定する。ステップS13にて、作業領域10の縦横比(W/D)が所定値より大きいと判定された場合には、ステップS15に移行する。ステップS13にて、作業領域10の縦横比(W/D)が所定値より大きくない、即ち所定値以下であると判定された場合には、ステップS14に移行して処理を抜ける。
ここで、ステップS13にて使用される所定値は、例えば0.5に設定される。この所定値は、保管エリア6の形状や大きさに基づいて適切な値に設定される。
図6に示す例では、作業領域10の縦横比(W/D)が0.5より大きい。よって、ステップS13における判定の結果、ステップS15に移行する。
このように、最短経路演算部55は、並列通路3dの方向の横方向長さと接続通路3cの方向の縦方向長さとの縦横比(W/D)が、予め設定された所定の比率以下となるように最短経路を演算する。
ここで、ステップS11にて演算された最短経路に基づく作業領域10が比較的大きい場合には、作業者1が入庫又は出庫する物品11の数が多くなるおそれがある。そこで、ステップS15からステップS17では、接続通路3cの数を利用して作業領域10を小さく分割する。
具体的には、ステップS15では、最短経路演算部55は、作業領域10に含まれる接続通路3cの数が所定数より多いか否かを判定する。ステップS15にて、作業領域10に含まれる接続通路3cの数が所定数より多いと判定された場合には、ステップS16に移行する。ステップS15にて、作業領域10に含まれる接続通路3cの数が所定数よりも多くない、即ち所定数以下であると判定された場合には、ステップS14に移行して処理を抜ける。
ここで、ステップS15にて使用される所定数は、例えば4に設定される。この所定数は、ステップS13にて使用される所定値との関係で設定される。具体的には、作業領域10の縦方向の長さDが保管エリア6の縦方向の長さである場合(最大である場合)に、ステップS13の所定値に基づいて設定される作業領域10の横方向の長さよりも短い範囲となるように所定数が設定される。
図6に示す例では、作業領域10に含まれる接続通路3cの数は9であり、所定数として設定される4よりも多い。よって、ステップS15における判定の結果、ステップS16に移行する。
ステップS16では、最短経路演算部55は、ステップS15にて使用された所定数の接続通路3cが含まれるように作業領域10を作成する。具体的には、図6に示すように、4つの接続通路3cを含む領域(二点鎖線で示す領域)までで作業領域10を分割する。
ステップS17では、最短経路演算部55は、ステップS16にて設定された作業領域10内で、ステップS11と同様に、作業者1が物品11を入庫又は出庫する最短経路を演算する。
このように、最短経路演算部55は、作業者1が荷台通路3aと作業者通路3bとを通りカート4を用いて複数の物品11を入出庫する最短経路を、予め設定された所定数以内の接続通路3cの範囲で演算する。
これにより、所定数の接続通路3cを含む領域を最大とする経路が形成される。よって、接続通路3cの数を利用して作業領域10を小さく分割するので、作業領域10が大きくなって作業者1が入庫又は出庫する物品11の数が多くなることが抑制される。したがって、作業者1が複数の物品11を効率的に入出庫できるように支援することができる。
一方、ステップS14では、ステップS11にて演算された最短経路に基づく作業領域10が充分に小さく分割されたものであるため、当該最短経路をそのまま使用する。
このように、最短経路演算部55は、作業領域10の縦横比(W/D)が所定の比率よりも大きい場合に、所定の通路数以内の範囲で最短経路を演算し、縦横比(W/D)が所定の比率以下である場合には、所定の通路数を超えていても所定の比率に基づいて演算された最短経路を使用する。
そして、図5に示すルーチンを繰り返すことにより、最短経路演算部55は、残りの保管エリア6内に保管される物品11についても最短経路を演算する。これにより、図7に示すように、4つの接続通路3cを含む領域を最大とする複数の経路が作成される。即ち、最短経路演算部55は、カート4を接続通路3cに臨む荷台通路3aに停止させた作業者1が、当該接続通路3cから作業者通路3bに入って複数の物品11の入庫又は出庫を行いカート4に戻る経路を複数組み合わせて複数の物品11を入出庫する最短経路を演算する。
なお、ステップS13における作業領域10の縦横比(W/D)が所定値より大きいか否かの判定を行わずに、ステップS15における作業領域10に含まれる接続通路3cの数が所定数より多いか否かの判定のみを行ってもよい。この場合、最短経路は、作業領域10に含まれる接続通路3cの数のみに基づいて演算される。
また、最短経路演算部55は、作業領域10の縦方向長さDが、予め設定された作業者通路3bの方向の縦方向長さの所定の上限値を超えない範囲で経路を演算してもよい。この場合、作業領域10の縦方向の長さDが長くなりすぎるおそれがあるので、保管エリア6を分割して、縦方向長さが所定の上限値を超えないようにする。
次に、図8から図9Jを参照して、入出庫作業支援システム100による作業者1への物品11の入庫又は出庫作業の支援の具体例について説明する。
保管エリア6は、各々に個別の色情報が設定される複数の分割エリア6aに分割される。ここでは、例として、保管エリア6内の赤色の色情報が設定される分割エリア6aにて作業者1が出庫作業を行う場合について説明する。なお、作業者1が物品11を出庫する場合について説明するが、物品11を入庫する場合も同様である。
まず、作業者1は、出庫作業の作業指示情報を選択する。作業者1は、作業指示情報の選択が完了したら、交差点A1から分割エリア6aにカート4を押しながら進入する。
作業者1が携帯端末2を操作して支援装置5にログインすると、表示部26には、図9Aに示す検索画面が表示される。検索画面の画面左側には、検索条件を入力するための検索設定エリア31が設定され、画面右側には、検索条件に合致する作業指示情報を表示するための作業指示情報エリア32が設定される。作業指示情報エリア32の下には、作業開始地点選択スイッチ33が設けられる。
検索設定エリア31では、作業者1が入庫作業を行うか出庫作業を行うかの選択、作業者1が入庫又は出庫作業を行うエリアコードの選択、未着手案件か否かの選択、及び作業指示番号の手入力が可能である。
図9Aに示す画面は、作業者1が、1階の赤色の色情報が設定された分割エリア6aにて、現在未着手の状態の出庫作業を行うように携帯端末2を操作して入力した状態である。検索設定エリア31の最下部には、検索結果として、この検索条件に3件の作業指示情報が合致する旨が表示されている。
作業指示情報エリア32には、検索条件に合致した3件の作業指示情報の作業指示番号,ステータス,及びエリアコードが各々表示される。作業者1は、いずれかの作業指示情報を選択する。ここでは、作業者1は、1件目の作業指示番号「0003000109」を選択している。表示部26では、選択された作業指示情報がハイライトされている。
作業開始地点選択スイッチ33は、最短経路演算部55が演算する経路の起点を荷台通路3a上の複数の地点から選択するためのものである。作業開始地点選択スイッチ33は、複数(ここでは3つ)の作業開始地点を選択可能なように設けられる。
作業者1が、左側の第1地点選択スイッチ33aを選択すると、最短経路演算部55は、カート4が分割エリア6aの入口に位置する状態、即ち交差点A1にカート4が位置する状態から最短経路を演算する。作業者1が、中央の第2地点選択スイッチ33bを選択すると、最短経路演算部55は、カート4が分割エリア6aの入口から全体の1/3程度進んだ地点に位置する状態、即ち交差点A4近傍にカート4が位置する状態から最短経路を演算する。作業者1が、右側の第3地点選択スイッチ33cを選択すると、最短経路演算部55は、カート4が分割エリア6aの入口から全体の2/3程度進んだ地点に位置する状態、即ち交差点A8近傍にカート4が位置する状態から最短経路を演算する。
このように、作業開始地点を選択可能にすることで、分割エリア6a内にて、作業者1が前回行った入庫又は出庫作業が完了したときに居る地点に近い位置から、次の入庫又は出庫作業を開始することができる。よって、作業者1は、入庫又は出庫作業を完了する度に毎回スタート地点(例えば、入口の交差点A1)まで戻らなくてよい。したがって、作業者1の移動距離を短くすることができる。
作業者1が、第1地点選択スイッチ33a,第2地点選択スイッチ33b,及び第3地点選択スイッチ33cのいずれかを選択すると、最短経路演算部55は、上述した図5に示すルーチンを実行する。これにより、作業者1が、作業開始地点選択スイッチ33によって選択された地点の近傍の荷台通路3aにカート4を停止させ、接続通路3cから作業者通路3bに入って複数の物品11の入庫又は出庫を行いカート4に戻る経路を複数組み合わせて、複数の物品11を入出庫する最短経路が演算される。
図8に示す例では、作業者1が第1地点選択スイッチ33aを選択し、カート4が分割エリア6aの入口に位置する状態から最短経路が演算された状態を示している。なお、図8に実線で示す経路では、表示部26には後述するナビゲーション画面が表示され、破線で示す経路では、表示部26には後述するデータ表示画面が表示される。
表示部26は、図9Bに示すナビゲーション画面に切り換えられる。即ち、表示部26には、最短経路演算部55によって演算された最短経路に基づいて出庫作業の指示が表示される。
図9Bに示すように、ナビゲーション画面の左側には、カート4の経路情報を表示する荷台経路表示エリア34が設定され、右側には、作業者1の経路情報を表示する作業者経路表示エリア35が設定される。このように、ナビゲーション画面が表示される状態では、表示部26には、カート4の経路情報と、カート4の経路情報に基づく作業者1の経路情報とが、画面が分割されて同時に表示される。
よって、作業者1は、カート4から離れて作業者通路3bを移動している間にも、カート4の停止位置が常に表示されているので、物品11を出庫した後でどの地点まで戻ればよいかを把握することができる。
また、ナビゲーション画面の上端には検索画面にて作業者1が選択した作業指示番号が表示されており、ナビゲーション画面の右下には、作業領域10内で出庫を行う物品11の数が表示されている。
荷台経路表示エリア34に表示されるカート4の経路情報は、カート4を停止させる荷台通路3a上の停止位置情報である。図9Bに示す例では、カート4を押して荷台通路3aを進み交差点A3に停止させる作業指示情報が表示されている。
作業者経路表示エリア35に表示される作業者1の経路情報は、カート4の停止位置情報に基づいてカート4を停止させた停止位置からの作業者1の経路を順次表示するナビゲーション情報である。図9Bに示す例では、カート4を交差点A3に停止させた後、交差点A3から接続通路3cを奥へ進む旨の「A3 上ル」との作業指示情報が表示されている。
ここで、「上ル」とは、図8に示す分割エリア6aのエリアマップを荷台通路3aを下にした状態で平面視したときに上側(奥側)に向かう(荷台通路3aから離れる)ことを意味し、「下ル」とは、下側(手前側)に向かう(荷台通路3aに近付く)ことを意味する。
ここでは、作業者1はカート4と共に荷台通路3a上を移動するので、カート4の経路情報を示す荷台経路表示エリア34が強調表示されている。これにより、作業者1は、表示部26を見たときに、現在必要な情報がどれかを認識することができる。強調表示は、分割エリア6aに設定される色情報(ここでは赤色)と同じ色で表示される。これにより、作業者1が現在どこの分割エリア6aで出庫作業を行っているかを視覚的に認識することができる。
作業者1は、図9Bに示すナビゲーション画面を見て、カート4を交差点A3まで押し進めて停止させる。作業者1が、交差点A3に到着してカート4を停止させた後に、表示部26(ここでは入力部27を兼ねる)をタップすると、表示部26は、図9Cに示すデータ表示画面に切り換わる。
図9Cに示すように、データ表示画面には、出庫する物品11のデータが表示される。ここでは、ラック7の「A3−11−2−01」に保管されている識別ID「01955803」の物品11を1つ出庫する作業指示情報が表示されている。作業者1が、指示された物品11の出庫作業を完了して表示部26をタップすると、表示部26は、図9Dに示すナビゲーション画面に再び切り換わる。
図9Dに示す例では、作業者経路表示エリア35には、交差点B3を経由して交差点B2から接続通路3cを奥へ進む旨の「B3 通路を通り B2 上ル」との作業指示情報が表示されている。
このとき、作業者1は、カート4から離れて作業者通路3b上を移動するので、作業者1の経路情報を示す作業者経路表示エリア35が強調表示される。強調表示は、分割エリア6aに設定される色情報(ここでは赤色)と同じ色で表示される。
作業者1は、図9Dに示すナビゲーション画面を見て、接続通路3cを奥に進み交差点B3を通り、並列通路3dを移動して交差点B2に到着すると、接続通路3cを奥に進む方向を向く。作業者1が、交差点B2に到着した後に、表示部26をタップすると、表示部26は、データ表示画面に切り換わる。そして、作業者1が、指示された物品11の出庫作業を完了して表示部26をタップすると、表示部26は、図9Eに示すナビゲーション画面に再び切り換わる。
図9Eに示す例では、作業者経路表示エリア35には、交差点C2を経由して交差点C4から接続通路3cを手前へ進む旨の「C2 通路を通り C4 下ル」との作業指示情報が表示されている。
作業者1は、図9Eに示すナビゲーション画面を見て、接続通路3cを奥に進み交差点C2を通り、並列通路3dを移動して交差点C4に到着して接続通路3cを手前に進む方向を向く。作業者1が、交差点C4に到着した後に、表示部26をタップすると、表示部26は、データ表示画面に切り換わる。そして、作業者1が、指示された物品11の出庫作業を完了して表示部26をタップすると、表示部26は、図9Fに示すナビゲーション画面に再び切り換わる。
図8に示すように、作業者1は、1つ目の作業領域10内のすべての物品11を出庫完了したので、一旦カート4に戻って物品11をカート4に積む。そして、作業者1は、カート4を押して次の作業領域10に移動して出庫作業を行う。図9Fに示す例では、荷台経路表示エリア34には、カート4を現在の停止位置である交差点A3から交差点A9に移動する作業指示情報が表示されている。また、作業者経路表示エリア35には、交差点A9から接続通路3cを奥に進む旨の「A9 上ル」との作業指示情報が表示されている。
このように、表示部26には、作業者1が複数の物品11の入出庫を完了してカート4に戻るときに、カート4の停止位置情報と、カート4を次に停止させる停止位置情報とが同時に表示される。
作業者1は、図9Fに示すナビゲーション画面を見て、カート4を交差点A9まで押し進めて停止させる。作業者1が、交差点A9に到着してカート4を停止させた後に、表示部26をタップすると、表示部26は、図9Gに示すデータ表示画面に切り換わる。
図9Gに示すように、データ表示画面には、出庫する物品11のデータが表示される。ここでは、ラック7の「A9−11−5−04」に保管されている識別ID「05519534」の物品11を1つ出庫した後、ラック7の「A9−12−3−22」に保管されている物品11を1つ出庫する作業指示情報が表示されている。作業者1が、指示された1つ目の物品11の出庫作業を完了して表示部26をタップすると、図9Hに示すように、1つ目の物品11の表示が消えて2つ目の物品11の情報のみが表示される。
作業者1が、指示された2つ目の物品11の出庫作業を完了して表示部26をタップすると、図9Iに示すナビゲーション画面に切り換わる。荷台経路表示エリア34には、図9Iに示すように、カート4の現在の停止位置である交差点A9に戻る作業指示情報が表示される。
作業者1が、交差点A9に停止しているカート4に戻って表示部26をタップすると、表示部26には、図9Jに示すように、出庫作業完了の確認が表示される。作業者1が、表示部26の「はい」をタップすると、最初に選択した作業指示番号「0003000109」の作業を完了する。そして、表示部26には、図9Aに示す検索画面が再び表示される。
以上のように、作業者1は、携帯端末2の表示部26に表示される作業指示情報を参照しながら入庫又は出庫作業を行うことができる。ナビゲーション画面が表示される状態では、表示部26には、カート4の経路情報と、カート4の経路情報に基づく作業者1の経路情報とが、画面が分割されて同時に表示される。そのため、作業者1は、分割エリア6a内のどの位置に居て、最終的にどこに戻ればよいのかを容易に理解することができる。したがって、カート4を使用して作業者1が複数の物品11を入出庫する場合に、効率的に入出庫できるように作業者1を支援することができる。
以上の第1の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
最短経路演算部55は、作業者1が荷台通路3aと作業者通路3bとを通りカート4を用いて複数の物品11を入出庫する最短経路を、予め設定された所定数以内の接続通路3cの範囲で演算する。これにより、所定数の接続通路3cを含む領域を最大とする経路が形成される。よって、接続通路3cの数を利用して作業領域10を小さく分割するので、作業領域10が大きくなって作業者1が入庫又は出庫する物品11の数が多くなることが抑制される。したがって、作業者1が複数の物品11を効率的に入出庫できるように支援することができる。
(第2の実施形態)
次に、図10から図12を参照して、本発明の第2の実施形態に係る入出庫作業支援システム100について説明する。
第1の実施形態と第2の実施形態とでは、作業領域10を作成する際の判定基準が異なる。即ち、第1の実施形態では、作業領域10の縦横比(図5のステップS13)と、接続通路数(図5のステップS15)と、が判定されたが、第2の実施形態では、作業領域10内の物品11の総数(以下では「アイテム数」と称する。)が所定数Mを超えるか否かが判定される点で異なる。
なお、以下のすべての実施形態において、第1の実施形態と同一の構成及び処理には同一の符号を付すと共に、説明を省略する。また、以下のすべての実施形態において、作業者1が出庫作業を行う場合について説明するが、当然ながら、入庫作業も同一の構成及び方法で実施可能である。
図10を参照すると、第1の実施形態と同様に、ステップS11において最短経路62(図11参照)が演算され、ステップS12においてカート4の停止位置を起点に作業領域60(図11参照)が作成される。
ステップS12において作業領域10が作成されると、処理はステップS20に進む。ステップS20において、最短経路演算部55は、作業領域10内のアイテム数が予め設定された所定数Mを超えるか否かを判定する。ここでは、アイテム数が物品11の数値情報である。
ここで、予め設定される所定数Mは、例えば、作業者1が、カート4から出発して入出庫を行う際に、カート4なしで持ち運ぶことができる物品11の数量である。以下では、所定数Mを5として説明する。
ステップS20において、アイテム数が所定数Mを超えない、即ち所定数M以下であると判定されると、処理はステップS21に進む。
ステップS21において、最短経路演算部55は、ステップS11にて演算された経路を最短経路62として記憶部59に記憶すると、処理を抜ける。
一方、ステップS20において、作業領域内のアイテム数が所定数Mを超えていると判定されると、処理はステップS22に進む。ステップS22において、最短経路演算部55は、図11に破線で示すように、アイテム数が5となるような作業領域60を作成する。作業領域60が作成されると、処理はステップS23に進む。
ステップS23において、最短経路演算部55は、ステップS22にて作成された作業領域60内で最短経路62を演算し、記憶部59に記憶する。
ステップS23において、最短経路62が記憶部59に記憶されると、処理はステップS24に進む。ステップS24において、最短経路演算部55は、最後の接続通路64にM+1個目、即ち6個目以降のアイテム71があるか否かを判定する。
ここで、最後の接続通路64とは、図11に示すとおり、作業者1が最短経路62に従って通行する接続通路3cのうち、作業領域60の端に最も近い接続通路3cである。換言すれば、最短経路62上の接続通路3cであって、且つカート4の進行方向において最も遠い位置にある接続通路3cが、最後の接続通路64である。
最後の接続通路64には、6個目のアイテム71が存在する。即ち、最短経路演算部55は、ステップS24において最後の接続通路64に6個目以降のアイテム71が存在すると判定して、ステップS25に進む。
ステップS25において、最短経路演算部55は、次の作業者1の作業開始位置としてのカート4の位置を、最後の接続通路64に設定する。これにより、次の最短経路演算時には、後述するように、最後の接続通路64から作業領域61が作成され、最短経路66(図12参照)が演算されることになる。
上記の処理を終えた後に、次の最短経路66を演算する方法について、図12を参照して説明する。図12は、複数の作業領域60,61が設定された状態を示す図である。ステップS24からステップS25に進む場合、最短経路演算部55は、以下のような処理を行う。
図12を参照すると、ステップS25の処理によって、カート4は、作業領域60の最後の接続通路64の入り口に停止している。最短経路演算部55は、図10のステップS11〜S22を実行することにより、カート4の停止位置を起点に、作業者1が次に作業を行うための作業領域61を作成する。図示のように、第2の実施形態では、最短経路演算部55は、作業領域60と作業領域61とが、最後の接続通路64において重複するような作業領域60を作成する。
このように、第2の実施形態に係る入出庫作業支援システム100は、作業者1が入出庫する際の最短経路62,66を、作業者1の入出庫の対象となる複数の物品11の総数に基づいて演算する。
より詳しくは、最短経路演算部55は、複数の物品11の総数が所定数M以下となるような作業領域(第1の作業領域)60を作成すると共に作業領域60内の最短経路62を演算する。そして、最短経路演算部55は、作業領域60内において、最短経路(第1の最短経路)62上の最後の接続通路64を決定する。最短経路演算部55は、最後の接続通路64を含む作業領域(第2の作業領域)61を作成すると共に、最後の接続通路64の入り口、即ち最後の接続通路64と荷台通路3aとの交差点を起点に、作業領域61内の最短経路66を演算する。
第2の実施形態に係る入出庫作業支援システム100によれば、以下に示す効果を奏する。
作業者1は、カート4なしで持ち運ぶことが可能な物品11の数に基づいて設定された作業領域60内の最短経路62を知ることができる。したがって、作業者1は、入出庫作業を行うのに適した数の物品11を持ち運ぶため、物品11をスムーズに取り出し(又は収納)できると共に、最短距離でカート4の位置に戻れる。これにより、作業者1は、効率よく入出庫作業を行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、図13から図15を参照して、本発明の第3の実施形態に係る入出庫作業支援システム100について説明する。
第2の実施形態と第3の実施形態とは、最後の接続通路84にアイテム71が存在する場合における最短経路62,82の演算方法が異なる。即ち、第2の実施形態では、最短経路演算部55は、最短経路62を演算し(図10のステップS23)、その後に最後の接続通路84にM+1個目以降のアイテム71が存在するか否かを判定する(図10のステップS24)が、アイテム71が存在すると判定した場合であっても最短経路62を変更しない。一方、第3の実施形態では、最短経路演算部55は、一旦、最短経路62を演算し、最後の接続通路84にM+1個目以降のアイテム71が存在するか否かを判定し、アイテム71が存在すると判定した場合には、再度、アイテム71を出庫可能な最短経路82を演算する。
図13を参照して、最短経路演算部55の処理について説明する。ステップS11〜S22は、第2の実施形態の処理と同一であるため、説明は省略する。第3の実施形態では、ステップS30〜S32が第2の実施形態と異なる。以下では、所定数Mを5として説明する。
ステップS22において、図14に示すように、出庫対象となるアイテム数が5個以内となる作業領域80が作成されると、処理はステップS30に進む。ステップS30において、最短経路演算部55は、最後の接続通路84に6個目以降のアイテム71が存在するか否かを判定する。
最後の接続通路84に6個目以降のアイテム71が存在しない場合、処理はステップS31に進む。ステップS31において、最短経路演算部55は、作業領域80内での最短経路62(図11参照)を演算する。最短経路演算部55は、ステップS31において演算された最短経路62を記憶部59に記憶し、処理を抜ける。
一方、最後の接続通路84に6個目以降のアイテム71が存在する場合、処理はステップS32に進む。例えば、図14に示すように、最後の接続通路84に6個目のアイテム71が存在する場合を想定する。
ステップS32において、アイテム71は作業領域80には含まれないが、最短経路演算部55は、作業領域80の外にあるアイテム71も出庫するための最短経路82を演算する。最短経路演算部55は、ステップS32において演算された最短経路82を記憶部59に記憶し、処理を抜ける。
上記の処理を終えた後に、次の最短経路86を演算する方法について、図15を参照して説明する。図15は、複数の作業領域80,81が設定された状態を示す図である。作業領域80の最後の接続通路84にアイテム71が存在する場合、最短経路演算部55は、次の作業領域81内の最短経路86を演算するために、以下のような処理を行う。
まず、最短経路演算部55は、図13のステップS11〜S12を実行することにより、作業者1が次に作業を行う作業領域81を設定する。このとき、最後の接続通路84に存在するアイテム71は既に出庫されているため、次の作業領域81に最後の接続通路84を含める必要はない。したがって、図示のように、第2の実施形態では、最短経路演算部55は、作業領域80と作業領域81とが最後の接続通路84において重複しないような作業領域81を作成する。作業領域81が作成されると、ステップS20以降の処理によって、次の作業領域81における最短経路86が演算される。
また、第3の実施形態において、カート4は、最短経路86の演算の結果に応じた位置に停止する。即ち、第2の実施形態では、最短経路66(図12参照)を演算する前にカート4の位置が決定されたが、第3の実施形態では最短経路86を演算する前にカート4の位置が決定されることはない。この例では、図15に示されるように、最短経路演算部55によって演算された最短経路86に応じて、カート4は、作業領域81の略中間地点に停止することになる。
このように、第3の実施形態に係る入出庫作業支援システム100は、作業者1が入出庫する際の最短経路82,86を、作業者1の入出庫の対象となる複数の物品11の総数に基づいて演算する。
より詳しくは、最短経路演算部55は、複数の物品11の総数が所定数M以下となるような作業領域(第3の作業領域)80を作成すると共に作業領域80内の最短経路62を演算する。そして、最短経路演算部55は、作業領域80内において、最短経路62上の最後の接続通路84を決定する。最短経路演算部55は、最後の接続通路84に面する位置であって、且つ最短経路62に含まれない位置に、アイテム(他の物品)71が入出庫される場合、作業領域80内の複数の物品11に加えて、アイテム71を入出庫する最短経路(第3の最短経路)82を演算する。その後、最短経路演算部55は、最後の接続通路84を含まない作業領域81を作成すると共に、作業領域81内の最短経路(第4の最短経路)86を演算する。
第3の実施形態に係る入出庫作業支援システム100によれば、以下に示す効果を奏する。
最短経路演算部55は、最後の接続通路84に面する位置にアイテム71があるとき、アイテム71が作業領域80内に含まれていなくても、作業者1がアイテム71を出庫できるような最短経路82を演算し直す。これにより、作業者1は、作業者1の作業領域80から近い位置にあるアイテム71を、道すがら出庫(又は入庫)することができる。
即ち、最短経路演算部55は、次の作業領域81を作成するとき、最後の接続通路84を含まない領域を作成することができる。換言すれば、最短経路演算部55は、作業領域80と重複しない作業領域81における最短経路86を演算する。次の作業領域81に最後の接続通路84が含まれないため、作業領域80と作業領域81との重複が防止される。これにより、第3の実施形態に係る入出庫作業支援システム100は、第2の実施形態と比較して、より作業効率の良い最短経路82,86を演算することができる。
このように、第3の実施形態に係る入出庫作業支援システム100によれば、第2の実施形態に係る入出庫作業支援システム100による効果に加えて、更に効率の良い最短経路82を提供することが可能となる。これにより、作業者1は、効率よく入出庫作業を行うことができる。
(第4の実施形態)
次に、図16を参照して、本発明の第4の実施形態に係る入出庫作業支援システム100について、説明する。
第2及び第3の実施形態では、作業領域60,80内のアイテム数に基づいて最短経路62,82を決定したが、第4の実施形態では、作業領域60内の物品11の総体積VAに基づいて最短経路(以下、図示省略)を決定する点において異なる。
図16を参照すると、最短経路演算部55は、ステップS11において最短経路を演算し、ステップS12においてカート停止位置を起点に作業領域10を作成する。作業領域10が作成されると、処理はステップS40に進む。
ステップS40において、最短経路演算部55は、作成された作業領域10内の複数の物品11の総体積VAを演算する。入出庫の対象となる物品11の数値情報は、例えば、記憶部59の所定の領域に記憶されている。ここでは、数値情報とは、例えば、複数の物品11の各々の体積、寸法、及び質量である。
具体的には、最短経路演算部55は、作業領域10内のすべての物品11に関する体積の情報を記憶部59から読み出して加算し、総体積VAを演算する。最短経路演算部55は、演算した総体積VAが総体積V[m3]を超えるか否かを判定する。
ここで、総体積V[m3]は、例えば、作業者1がカート4なしで持ち運べる程度の物品11の総体積VAである。
ステップS40において、総体積VAが総体積V[m3]以下であると判定されたとき、処理はステップS41に進む。ステップS41において、最短経路演算部55は、ステップS11にて演算された最短経路を記憶部59に記憶する。
一方、ステップS40において、総体積VAが総体積V[m3]を超えると判定されたとき、処理はステップS42に進む。ステップS42において、最短経路演算部55は、作業領域内の物品11の総体積VAが総体積V[m3]以下となる作業領域10を作成する。作業領域10が作成されると、処理はステップS43に進む。
ステップS43において、最短経路演算部55は、ステップS42にて作成された作業領域10内の最短経路を演算する。最短経路演算部55は、ステップS43において演算された最短経路を記憶部59に記憶する。
上記のように、作業領域内の複数の物品11の総体積VAに基づいて最短経路を演算する。なお、本実施形態では、物品11の大きさの一例として、体積の値を用いたが、大きさを示す指標となる値であれば他の数値情報であってもよい。例えば、物品11の最も長い部分を示す値が大きさの指標として用いられてもよい。
このように、第4の実施形態に係る入出庫作業支援システム100は、作業者1が入出庫する際の最短経路を、作業者1の入出庫の対象となる複数の物品11の総体積VAに基づいて演算する。
第4の実施形態に係る入出庫作業支援システム100によれば、以下に示す効果を奏する。
入出庫作業支援システム100は、作業者1がカート4なしで持ち運ぶことができる物品11の総体積VAに基づいて最短経路を得ることが可能となる。これにより、作業者1は持ち運ぶのに適した体積の物品11を携帯して作業を行うため、効率的に入出庫を行うことができる。具体的には、物品11の体積が大きすぎるために、作業者1がスムーズに作業者通路3bを移動することができない等の問題を解消することができる。
(第5の実施形態)
次に、図17を参照して、第5の実施形態に係る入出庫作業支援システム100について、説明する。
第5の実施形態は、作業領域10を作成する際の判定の基準となる変数が、第4の実施形態の変数と異なる。即ち、第4の実施形態では作業領域10内の複数の物品11の総体積VAに基づいて最短経路を決定したが、第5の実施形態では総質量WAに基づいて最短経路を決定する。
図17を参照すると、最短経路演算部55は、ステップS11において最短経路を演算し、ステップS12においてカート4の停止位置を起点に作業領域10を作成する。作業領域10が作成されると、処置はステップS50に進む。
ステップS50において、最短経路演算部55は、作成された作業領域10内の物品11の総質量WAを演算する。ステップS50において、最短経路演算部55は、作業領域10内のすべての物品11に関する質量の情報を記憶部59から読み出して加算し、総質量WAを演算する。最短経路演算部55は、演算した総質量WAが総質量W[kg]を超えるか否かを判定する。
ここで、総質量W[kg]は、例えば、作業者1がカート4なしで持ち運べる程度の物品11の総質量WAである。
ステップS50において、総質量WAが総質量W[kg]以下と判定されたとき、処理はステップS51に進む。ステップS51において、最短経路演算部55は、ステップS11にて演算された最短経路を記憶部59に記憶する。
一方、ステップS50において、総質量WAが総質量W[kg]を超えると判定されたとき、処理はステップS52に進む。ステップS52において、最短経路演算部55は、作業領域内の物品11の総質量WAが総質量W[kg]以下となる作業領域10を作成する。作業領域10が作成されると、処理はステップS53に進む。
ステップS53において、最短経路演算部55は、ステップS52において作成された作業領域10内の最短経路を演算する。最短経路演算部55は、ステップS53において演算された最短経路を記憶部59に記憶する。
このように、第5の実施形態では、作業領域10内の複数の物品11の総質量WAに基づいて最短経路を演算する。なお、本実施形態では、質量の一例として、重さそのものを判定の基準として挙げたが、質量を示す指標となる値であれば他の数値情報であってもよい。例えば、他の数値情報は、重量X[N]であってもよい。
第5の実施形態に係る入出庫作業支援システム100によれば、以下に示す効果を奏する。
入出庫作業支援システム100は、作業者1がカート4なしで持ち運び可能な物品11の総質量WAに基づいて最短経路を演算することが可能となる。これにより、作業者1は持ち運ぶのに適した総質量WAの物品11を携帯して作業するため、効率的に入出庫を行うことができる。具体的には、物品11の総質量WAが大きすぎるために、作業者1がスムーズに作業者通路3bを移動することができない等の問題を解消することができる。
(第1の変形例)
次に、図18を参照して、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせて得られる第1の変形例について説明する。
第1の変形例では、第1の実施形態において示される作業領域10の縦横比と接続通路数、及び第2の実施形態において示される作業領域10内のアイテム数に基づいて最短経路が演算される。
上記の実施形態と同一の処理には同一の符号が付されているが、図18に示されるように、第1の変形例の処理は、第1又は第2の実施形態の処理の一部と等しい。したがって、各処理の説明は省略し、全体の処理の概要のみ説明する。
第1の変形例では、まず、アイテム数を制限した作業領域10が作成される(ステップS22)。更に、作成された作業領域10の縦横比及び接続通路数を制限した作業領域10が作成される(ステップS13〜S16)。最短経路演算部55は、これらの処理を経て作成された作業領域10における最短経路を演算する。
なお、第1の変形例として示される、アイテム数の制限に関する一連のステップ(ステップS20,S22等)と、作業領域10の縦横比の制限に関する一連のステップ(ステップS13,S15,S16)と、の順序は可変である。即ち、各ステップの順序は適宜変更されてもよい。
このように、最短経路演算部55は、複数の物品11の総数、及び接続通路3cの総数が所定値以下となるような作業領域10を作成すると共に作業領域10内の最短経路を演算する。
第1の変形例によれば、以下に示す効果を奏する。
第1の変形例によれば、作業者1がカート4なしで持ち運べる個数の物品11が存在する作業領域10であって、かつ、作業者1が作業を行うに際し広すぎない程度の作業領域10における最短経路が得られる。これにより、作業者1は、適切な距離範囲において、作業をするに適した数の物品11を取り出す(又は収納する)ことができる。換言すれば、作業者1は、持ち運ぶことが困難なほどの数の物品11を携帯した状態で長距離の移動を行う必要がない。これにより、作業者1が複数の物品11を効率的に入出庫することが可能となる。
(第2の変形例)
次に、図19を参照して、第2から第5の実施形態を組み合わせて得られる第2の変形例について説明する。第2の変形例について、第1の変形例と同様に、各処理の説明は省略し、全体の処理の概要のみ説明する。
第2の変形例では、まず、アイテム数を制限した作業領域10が作成されると(ステップS22)、その作業領域10内の物品11の総体積VAを制限した作業領域10が作成され(ステップS42)、更に、その作業領域10内の物品11の総質量WAを制限した作業領域10が作成される(ステップS52)。最短経路演算部55は、これらの処理を経て作成された作業領域10における最短経路を演算する。
即ち、ステップS22、ステップS42、及びステップS52のうちのいずれの処理も行われなかった場合、作業領域10は、ステップS12において作成された作業領域10から変更されていない。したがって、ステップS60において、作業領域10の変更は無いと判定され、処理はステップS61に進む。
ステップS61において、ステップS12にて作成された作業領域10は変更されていないため、最短経路を演算し直す必要はない。したがって、ステップS61において、最短経路演算部55は、ステップS11にて演算された最短経路をそのまま用いると、処理は終了する。
一方、ステップS22、ステップS42、及びステップS52のうちの少なくともいずれか一つの処理が行われた場合には、作業領域10は、ステップS12において作成された作業領域10から変更されている。したがって、ステップS60において、作業領域10の変更があったと判定される。ステップS60において、作業領域10の変更があったと判定されると、処理はステップS62に進む。
ステップS62において、作業領域10がステップS12にて作成された作業領域10から変更されているため、最短経路演算部55は、ステップS11にて演算された最短経路をそのまま用いない。ステップS62において、最短経路演算部55は、変更された作業領域10内における最短経路を演算する。最短経路が演算されると、処理は終了する。
このように、第2の変形例に係る最短経路演算部55は、複数の物品11の総数、複数の物品11の総質量WA、及び複数の物品11の総体積VAが、各々所定値以下となるような作業領域10を作成すると共に作業領域内の最短経路を演算する。
なお、第2の変形例として示される、アイテム数の制限に関する一連のステップ(ステップS20,S22)と、物品11の総体積VAの制限に関する一連のステップ(ステップS40,S42)と、物品11の総質量WAの制限に関するステップ(ステップS50,S52)と、の順序は可変である。即ち、各ステップの順序は適宜変更されてもよく、あるいは、上記三種類の制限のうちの少なくともいずれか一つの制限が行われる構成としてもよい。
第2の変形例によれば、以下の作用及び効果を奏する。
第2の変形例によれば、作業者1がカート4なしで持ち運べる範囲内の、物品11の数量(所定数M)、総体積VA、及び総質量WAの少なくともいずれかの制限が課された作業領域10における最短経路が得られる。これにより、作業者1は、作業をするに適した数量(所定数M)、総体積VA、及び総質量WAの物品11を取り出す(又は収納する)ことができる。換言すれば、作業者1は、持ち運ぶことが困難なほどの数量(所定数M)、総体積VA、又は総質量WAの物品11を携帯した状態で作業を行うことはない。これにより、作業者1が複数の物品11を効率的に入出庫することが可能となる。
以上のように、第2〜第5の実施形態、及び第1〜第2の変形例に係る入出庫作業支援システム100は、作業者1の入出庫の対象となる複数の物品11に関する数値情報に基づいて最短経路を演算する。作業者1は、得られた最短経路に従って、複数の物品11を効率的に入出庫することができる。
なお、更なる変形例として、入出庫作業支援システム100には、以下の構成が更に備えられていてもよい。
例えば、上記のすべての実施形態に係る入出庫作業支援システム100において、物品11の形状を判断してもよい。この場合、最短経路演算部55は、記憶部59から、複数の物品11の、各物品11の寸法に関する数値情報を取得する。
例えば、形状を判断する構成が、第4の実施形態に適用される場合について説明する。最短経路演算部55は、物品11の寸法から形状を特定すると共に総体積VAを演算する。例えば、物品11が、携帯しづらいような平たい板状であるとき、仮に総体積VAが総体積V[m3]以下であっても、作業者1は、物品11を1個しか持ち運べないことがある。逆に、物品11が、携帯しやすいような細長い棒状であるとき、仮に総体積VAが総体積V[m3]より大きくても、作業者1は、物品11を多数持ち運べることがある。このような場合、最短経路演算部55は、総体積VAにかかわらず、物品11の形状に基づいて作業者1が持ち運べる物品11の個数を演算し、その個数に応じた最短経路を演算してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、作業者1が携帯端末2の入力部27を操作する(表示部26をタップする)ことで、物品11を入庫又は出庫したことを入力している。これに代えて、物品11を識別するための情報をRFIDタグ,バーコード,2次元コード等の識別媒体によって付しておき、これらの識別媒体を読取装置が読み取ることで、物品11を入庫又は出庫したことを入力してもよい。
また、上記実施形態では、最短経路演算部55は、支援装置5内に設けられて支援装置5内で最短経路の演算が実行される。これに代えて、最短経路演算部55を携帯端末2何に設けて、携帯端末2内で最短経路の演算を実行してもよい。
また、コンピュータをインターネット上のクラウドサーバに接続し、携帯端末2及び支援装置5が実行主体である上記の各処理の実行主体をクラウドサーバとしてもよい。更に、上記の各処理の実行主体をクラウドサーバとする場合は、入出庫作業支援システム100がコンピュータを備えずに、携帯端末2等の各機器がインターネットを介してクラウドサーバに直接接続される構成としてもよい。
また、上述した入出庫作業支援システム100における一連の処理は、コンピュータにこれを実行さるためのプログラムとして提供されてもよい。
即ち、本実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、作業者1が荷台通路3aと作業者通路3bとを通りカート4を用いて複数の物品11を入出庫する最短経路を、複数の物品11に関する数値情報に基づいて演算する手順を実行させるものである。
上述した一連の処理を実行するためのプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体によって提供される。支援装置5においては、記憶部59に記憶されていてもよい。
また、コンピュータが実行する各種プログラムは、例えばCD−ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。